JP2015145356A - 微粒子化した乳酸菌(ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズクレモリスh−61株(nitebp−01787))を有効成分として含有する免疫調整剤並びにこれを含有する薬剤及び食品 - Google Patents

微粒子化した乳酸菌(ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズクレモリスh−61株(nitebp−01787))を有効成分として含有する免疫調整剤並びにこれを含有する薬剤及び食品 Download PDF

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Abstract

【課題】微粒子化した乳酸菌H−61株を有効成分として含有する免疫調整剤により、種々の免疫異常に起因する疾患の改善を図る。【解決手段】本件発明に係る免疫調整剤は、乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)H−61株(NITE BP−01787)の菌体が粒度5μm未満に微粒子化されたものを有効成分として含有する。前記微粒子化された菌体は、分散剤又は賦形剤によって再凝集が防止されている。前記免疫調整剤は、AOS(Aneurysm−Osteoarthritis Syndrome)及び皮膚疾患の症状改善剤として用いられる。【選択図】図5

Description

本発明は、AOS(Aneurysm−Osteoarthritis Syndrome、動脈解離骨関節症候群)及びアトピー性皮膚炎等の皮膚疾患等、発症に免疫異常が関与する疾患について、免疫機構の調整を図ることで病態の改善ないし緩和を図るための、微粒子化した乳酸菌(ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス H−61株(NITE BP−01787))を有効成分として含有する免疫調整剤並びにこれを含有する薬剤及び食品に関する。
従来、乳酸菌には整腸作用を始めとした様々な効能があることが知られている。さらに、菌種や菌株によっては特異な効能を有するものも種々存在することが知られている。たとえば、乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)H−61株には老化抑制作用があるとの従来技術もある。すなわち、老化実験用のマウスを用いた試験で、乳酸菌H−61株を与えたマウスでは、老化による骨密度の減少や皮膚潰瘍の発生が抑制されることが確認された(特許文献1)。
ところで、従来、大動脈解離という疾患が知られている。大動脈解離とは、「「大動脈壁が中膜のレベルで二層に分離し,動脈走行に沿ってある長さを持ち二腔になった状態」で,大動脈壁内に血流もしくは血腫(血流のある型がほとんどであるが,血流のない=血栓化した型もある)が存在する動的な病態」である(非特許文献1)。急性の大動脈解離の診断に際しては、「血圧の左右差は重要な手がかりとなる」とされている(非特許文献1)。
すなわち、収縮期血圧が左右の腕の間で10mmHg以上、あるいは15mmHg以上の場合、末梢血管疾患の可能性が高く、特に15mmHg以上の場合は死の危険性もあることが報告されている(非特許文献2)。
また、近年になり、TGF−βシグナル伝達の異常により大動脈解離が誘導されるとの報告もされている(非特許文献3)。
一方、TGF−βは骨関節症候群への関与も知られているが、2013年になり、TGF−βが動脈解離骨関節症候群の原因であるとの報告がなされた(非特許文献4)。動脈解離骨関節症候群(AOS)は近年になって報告された疾患で、多発的な動脈解離及び大きな動脈の蛇行・彎曲とその後血管解離をもたらすが、患者の大部分は早期発症型骨関節症を発症する、とされている(非特許文献5及び6)。たとえば、患者の半分以上は、離断性骨軟骨炎(osteochondritis dissecans(OCD))を発症し、また92%と大部分の患者が、主に頸椎及び腰椎の椎間板変成やヘルニアを発症している(非特許文献6)。また、動脈解離の進行と関節痛(骨関節症症候群)の発現は、TGF−βの上昇と連動して見られる現象であり、関節痛などの骨関節症状(前記「AOS」の「O」)はTGF−βの抑制により、その症状は改善する、との報告もある(非特許文献7)。
特許第4604207号公報
日本循環器学会「大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2011年改訂版) 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010年度合同研究班報告)」 Clark CE, Taylor RS, Shore AC, Ukoumunne OC, Campbell JL " Association of a difference in systolic blood pressure between arms with vascular disease and mortality: a systematic review and meta-analysis." Lancet 2012; 379: 905-914. Bee KJ, Wilkes DC, Devereux RB, Basson CT, Hatcher CJ "TGF-βRIIb mutations trigger aortic aneurysm pathogenesis by altering transforming growth factor β2 signal transduction." Circ Caridiovasc Genet 2012; 5: 621-629. De Backer J, Campens L, De Paepe A "Genes in thoracic aortic aneurysms/dissections - do they matter?" Ann Cardiothorac Surg 2013; 2: 73-82. van de Laar IMBH, van der Linde D, Oei EHG, Bos PK, Bessems JH, Bierma-Zeistra SM, van Meer BL, Pals G, Oldenburg RA, Bekkers JA, Moelker A, de Graaf BM, Matyas G, Frohn-Mulder IME, Timmermans J, Hilhorst-Hofstee Y, Cobben JM, Bruggenwirth HT, van Laer L, Loeys B, De Backer J, Coucke PJ, Dietz HC, Willems PJ, Oostra BA, De Paepe A, Roos-Hesselink JW, Bertoli-Avella AM, Wessels MW "Phenotypic spectrum of the SMAD3-related aneurysms-osteoarthritis syndrome." J Med Genet 2012; 49: 47-57. Martens T, Van Herzeele I, De Ryck F, Renard M, De Paepe A, Francois K, Vermassen F, De Backer J "Multiple aneurysms in a patient with aneurysms-osteoarthritis syndrome." Ann Thorac Surg 2013; 95: 332-335. Kapetanakis S, Drygiannakis I, Kazakos K, Papanas N, Kolios G, Kouroumalis E, Verettas D-A "Serum TGF-β2 and TGF-β3 Are Increased and Positively Correlated to Pain, Functionality, and Radiographic Staging in Osteoarthritis." Orthopedics; 33: 1-11.
上記背景技術より、大動脈解離及び骨関節症の発症にはTGF−βが関与しているとともに、AOSの初期段階では骨関節症が発生する可能性が高い、といえる。すなわち、AOS患者はまず、TGF−βの異常によって腰痛や関節痛といった骨関節症を発症し、さらに時間が経てば同じくTGF−βの関与によって大動脈解離が高率に発症し、重篤な場合には動脈瘤が破裂すると死に至ることもある。よって、腰痛や関節痛といった骨関節症を患う人は数多いが、それらの人々は既にAOSの初期段階にあるかもしれず、いずれは大動脈解離で重篤な事態に陥る可能性がある。
一方、血管の蛇行、伸展並びに解離(顕微鏡的観察でしか確認できない血管壁の裂け目と平滑筋の伸展)は、若齢期にあるヒト、イヌ、ネコでも臨床症状発現以前に存在することがあるが、これが加齢により急性の転帰をとり、さらにTGF−βの関与によって臨床症状として大動脈解離が高率に発症し、重篤な場合には大動脈や血管(静脈を含む)が破裂し死に至ることもある。
上記のような異常は、TGF−βの伝達障害によるTh1生体反応を司る細胞性サイトカイン依存性免疫機構の異常に関連するものであり、そのような免疫機構の異常を調整することができれば、上記のようなAOSの症状を改善できる可能性がある。その他にも、たとえば、アトピー性皮膚炎等の皮膚疾患についても同様に免疫機構の調整により改善することが期待できる。
発明者らは、このような免疫機構の調整を図るための手段として、前述の老化抑制作用を有するという乳酸菌H−61株に着目した。本発明は、その乳酸菌H−61株を有効成分として含有する免疫調整剤並びにこれを含有する薬剤及び食品により、種々の免疫異常に起因する疾患の改善を図ることを課題とする。
上記の課題を解決すべく、本発明に係る免疫調整剤は、乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)H−61株(NITE BP−01787)の菌体が粒度5μm未満に微粒子化されたものを有効成分として含有することを特徴とする。
ここで、上記菌株の菌体を「粒度5μm未満に微粒子化」するとは、菌体の粒子の大部分(97%以上)の粒度を5μm未満(好ましくは、1μm未満)の大きさにまで粉砕又は分散することをいう。この粉砕処理及び分散処理は、それぞれいずれか一方のみを行うこととしてもよいし、これらの処理を別々に、あるいは同時に行うこととしてもよい。なお、菌体の粒度が5μm未満であるかどうかは、粒度分布計又は電子顕微鏡等で測定することが可能である。
本発明における「微粒子化」の方法については、湿式あるいは乾式を問わず、撹拌したり、また、ボールミル、ミキサー、ジェットミル、ビーズミル、ホモゲナイザー、ジェネレーター等の公知の機材を用いる手法を採用可能である。
ここで、微粒子化していない本菌株の平均粒子径は10.5μmである。これを上記の方法で平均粒度1.1μmに微粒子化した場合、全体の97%以上が粒子径5μm未満となる。このように微粒子化されることで、菌体はより吸収されやすくなる。
そして、そのような微粒子化された菌体は、分散剤又は賦形剤によって再凝集が防止されていることが望ましい。すなわち、5μm未満に粉砕又は分散した微粒子の再凝集を防止する目的で、公知の分散剤又は賦形剤添加し、再び上述の手法にて分散処理を行うことが望ましい。なお、ここでいう分散剤又は賦形剤は、「微粒子化」の際に添加するものとしてもよい。
たとえば、以下のような方法を採用することができる。
必要な菌体が、たとえば実験室レベルでの使用のような比較的少量の場合は、まず、上記乳酸菌株を公知の方法にて培養し、培養液をマイクロフィルター膜に通し、残った菌体濃縮物に分散剤又は賦形剤(たとえば、デキストリン)を添加し、約100℃で殺菌する。この殺菌菌体を凍結させてから真空乾燥機にかけて板状にし、これを粉砕機にて細かく粉砕して得たものを、本件発明に係る免疫調整剤とすることができる。
また、必要な菌体が、たとえば工業生産レベルでの使用のような比較的大量の場合は、まず、上記乳酸菌株を公知の方法にて培養し、培養液をマイクロフィルター膜に通し、残った菌体濃縮物に分散剤又は賦形剤(たとえば、デキストリン)を添加し、約100℃で殺菌する。この殺菌菌体を、スプレードライヤーを用いて機械体内の上部から霧状に噴霧すれば、細かい粉状となって落下し、これを本件発明に係る免疫調整剤とすることができる。
上記のいずれの場合も、得られた免疫調整剤は褐色の細かい顆粒状の外観を呈する。この免疫調整剤が含有する正味の菌体量は、添加する分散剤又は賦形剤の量により変動することになる。たとえば、前記菌体濃縮物に分散剤又は賦形剤を等量添加する場合には、菌体含有量は50重量%となり、この場合、この免疫調整剤100mg中には約5,000億個の菌が含まれることになる。また、この免疫調整剤には、整腸作用を有する成分、たとえば、難消化性デキストリン又はオリゴ糖などを加えることとしてもよい。このような整腸作用を有する成分が腸の働きを活発にすることにより、微粒子化した菌体はさらに吸収が促進され、結果、免疫調整作用の増強が期待される。
かかる免疫調整剤は、AOS(Aneurysm−Osteoarthritis Syndrome)の症状改善剤として利用され、また、皮膚疾患の症状改善剤として利用されるものである。
ここで、ヒト、イヌ、ネコにおいては早期発症型骨関節症が動脈解離に先行あるいは潜在し、これは、MAX検査(結合組織(matrix)由来のTGF−βに対するモノクローナル抗体を用いて、血漿中のTGF−β濃度を測定する検査。「matrix」の略に由来してこう称される。)でその存在あるいは可能性が指摘される(後述の実施例参照)。また、AOSとしての動脈解離については脈圧(収縮期血圧と拡張期血圧との差)、腕(前肢)ならびに足首(後肢)の血圧の左右差、腕(前肢)と足首(後肢)との差により、その発症の可能性を推定することが可能である。具体的には、脈圧の基準値40〜60mmHg(成人で50mmHg、高齢者で30〜40mmHg位)に対する高低によって、血管の柔軟性を判定する。動脈硬化では脈圧が小さくなる。高齢になると拡張期血圧が下がることで、脈圧が大きくなる場合がある。ついで、測定部位を問わず平均最高血圧の左右差は10%以上の差(10mmHg以上)で異常とされ、ヒトもイヌもネコも左右差は高い血圧の10%以内なら異常との指摘はされないが、頻繁に左右差が10mmHg〜15mmHgを超える場合は末梢動脈疾患の疑いがある(なお、「高血圧治療ガイドライン」によると、その患者の30%程度が5年以内に死亡するとされている。)。左右の血圧の差が20mmHg以上ある場合は、高齢者では動脈硬化の一種である粥状硬化から進んで、胸部大動脈瘤の原因ともなる(前記非特許文献2参照)。
以上のような知見から、本件発明者らは後述の発明の実施の形態で触れる「AOSの病態判定システム」に想到したが、本件発明に係る免疫調整剤は、この病態判定システムでスクリーニングされた、いわば「AOS予備軍」ともいうべき患者あるいは患畜に対し投与することで、より効率の良いAOSの予防及び治療に資するものである。
本件発明に係る免疫調整剤は、下記の各実施例から示されるように、血漿中のTGF−β値を低下させることにより、AOS及び免疫アンバランスに起因する皮膚疾患の症状改善をもたらすものと考えられる。
また、TGF−βは、ガンの病勢進行の主要な機構である免疫抑制、転移、血管姿勢、ガン細胞増殖の各々について重要な役割を果たすことが広く知られている。また、脱毛にも関与していることも知られている。このように、TGF−βが関与する疾患については、本件発明に係る免疫調整剤のTGF−β低下作用により疾患の改善が期待できる。
また、上記の免疫調整剤は、薬剤及び食品(ペットフードを含む)にその有効成分として含有される。
微粒子化した乳酸菌H−61株(NITE BP−01787)を有効成分として含有する免疫調整剤により、種々の免疫異常に起因する疾患、たとえばAOSあるいは皮膚疾患等の改善を図ることが可能となる。また、この免疫調整剤を有効成分として含むことにより、種々の免疫異常に起因する疾患の予防及び治療を目的とする薬剤として、さらに、主にこのような疾患を気にするヒトや動物を対象とした健康食品、ペットフード等として利用することも可能となる。
また、この免疫調整剤は粉末状の外観を呈するため、カプセルあるいは小袋に小分けすることができ、また、錠剤化も可能で携行性が高いものである。
微粒子化していない乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)H−61株(NITE BP−01787)の菌体の粒度分布測定結果である。 微粒子化した乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)H−61株(NITE BP−01787)の菌体の粒度分布測定結果である。 実施例で使用したAOSの病態判定システムを実現するためのコンピュータシステムの模式図である。 実施例で使用したAOSの病態判定システムにおける評価関数を図式化したものである。 実施例4のX線写真像である。 実施例4のX線写真像である。 実施例5のX線写真像である。 実施例5のX線写真像である。 実施例6のX線写真像である。 実施例6のX線写真像である。 実施例7のX線写真像である。 実施例7のX線写真像である。 実施例8の患部写真である。 実施例9の患部写真である。
以下、本件発明の実施形態について説明する。
(1)免疫調整剤
本実施形態に係る免疫調整剤は、乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)H−61株(NITE BP−01787)の菌体が粒度5μm未満(望ましくは、1μm未満)に微粒子化された、新規な成分を有効成分としたものである。この微粒子化された菌体は、分散剤又は賦形剤によって再凝集が防止されている。この分散剤又は賦形剤としてはデキストリンが使用されている。
この免疫調整剤は以下のようにして調製された。
まず、上記乳酸菌株を公知の方法にて培養し、培養液をマイクロフィルター膜に通し、残った菌体濃縮物に等重量のデキストリンを賦形剤として添加し、約100℃で殺菌した。この殺菌菌体を凍結させてから真空乾燥機にかけて板状にし、これを粉砕機にて細かく粉砕して微粒子化したものを、免疫調整剤の原末とした。このようにして得られた免疫調整剤の原末は褐色の細かい顆粒状の外観を呈していた。よって、この免疫調整剤の原末が含有する正味の菌体量は、50重量%である。なお、この免疫調整剤の原末100mg中には約5,000億個の菌が含まれている。
ここで、上記のような微粒子化を行わなかった菌体の粒度分布をグラフで示したものが図1である。この図1においては、粒子径に対応する相対粒子量を示す山形を呈するグラフと、相対粒子量の積算値を示す上昇カーブを呈するグラフとが示されている。この粒度分布の測定は、レーザ回折式粒子径分布測定装置(型番SALD−3100、島津製作所製)を使用して行った。このグラフより、微粒子化を行わなかった菌体の平均粒子径は10.5μmであることが示されている。
一方、上記のようにして微粒子化された菌体(降圧剤の原末)の粒度分布をグラフで示したものが図2である。粒子径に対応する相対粒子量を示す山形を呈するグラフと、相対粒子量の積算値を示す上昇カーブを呈するグラフとが示されていることは図1と同様である。このグラフより、微粒子化した菌体の平均粒子径は1.1μmとなっており、全体の50%近くが1μm未満の粒子径となっていた。また、全体の97%以上が粒子5μm未満であった。
この免疫調整剤の原末100mgに対し、難消化性デキストリン866.68mg、ビタミンB1 1.00mg、ビタミンB2 1.10mg、ビタミンB6 1.22mg及びミルクカルシウム30.00mgの割合で混合して得たカクテルを、今回使用する免疫調整剤とした。以上より、この免疫調整剤が含有する正味の菌体量は10重量%である。よって、この免疫調整剤1,000mg中には約5,000億個の菌が含まれている。
この免疫調整剤は、このまま摂取してもよいし、各種剤形に製剤した薬剤としてもよいし、また、各種食品に添加して健康食品等の食品としてもよい。なお、ここでいう食品は、ヒトが摂取するもののみならず、ペットに摂取されるペットフード等も含むものである。
この免疫調整剤を、下記の各実施例で示す患者又は患畜に対し、ヒトに対しては1,000mg(菌数約5,000億個)、また、イヌに対しては17mg/kg(菌数約85億個/kg)をそれぞれ1日1回、経口投与した。
(2)AOSの病態判定システム
図3は、AOSの病態判定システムを実現するためのコンピュータシステム10である。このコンピュータシステム10は、入力手段としての入力装置20と、記憶手段としてのメモリ30と、算出手段としての演算処理ユニット40と、表示デバイス50と、を備えている。
血漿中TGF−β値(検査名「MAX」)及び腕(前肢)又は足首(後肢)の血圧左右差をパラメータとした、病態グレードとの評価関数は、記憶手段としてのメモリ30に記憶されている。病態グレードは、下記表1のように数値化される。
この評価関数は、複数の疾患ケースについて、血漿中TGF−β値(pg/ml)と病態グレードとの間で最小二乗法で求めた第1相関関数と、腕(前肢)又は脚(後肢)の血圧左右差(mmHg)と病態グレードとの間で最小二乗法で求めた第2相関関数とを組み合わせたものである。さらに具体的には、ある実際の疾患ケースについて、血漿中TGF−β値(T値)と腕(前肢)又は脚(後肢)の血圧左右差(P値)との組み合わせが得られた場合、前記第1相関関数にT値を代入して得られた数値と、前記第2相関関数にP値を代入して得られた数値との平均値として得られた値を病態グレードとするものである(この手法を、「グレーディング法」と称する。)。
この評価関数については、図4のように図式化される。
図4の左側の直線が、前記第1相関関数を表す。T値と病態グレード(G値)との組合せを(T,G)のように座標で表すと、前記第1相関関数は、(4.5,−2.67)及び(300,6.53)の2点を通る直線として表される。ここから、前記第1相関関数は
G1=0.0311*T−2.81
と求められる。
一方、図4の右側の直線が、前記第2相関関数を表すP値とG値との組合せを(P,G)のように座標で表すと、前記第2相関関数は、(0,1.47)及び(20,6)の2点を通る直線として表される。ここから、前記第2相関関数は
G2=0.227*P+1.47
と求められる。
以上から、T値とP値との組合せから求められるG値は、
G=(G1+G2)/2=0.0156*T+0.113*P−0.67
という評価関数として表すことができる。すなわちこの評価関数は、単位が異なるため本来組み合わせることのできない数値であるところのT値とP値とを、実際の病態グレードを媒介としてそれぞれ妥当な重み付けをした上で組み合わせた結果得られるものである、といえる。
上記評価関数は、上述のとおり、記憶手段としてのメモリ30に記憶されている。
そして、実際に患者又は患畜から測定されたT値及びP値は、入力装置20により入力され、メモリ30の一時的記憶領域にストアされる。演算処理ユニット40は、メモリ30から前記評価関数を読み出し、これにストアされているT値及びP値を代入して、G値が演算される。このG値は、表示デバイス50により可視的に表示される。
以下、実施例により、本件発明の有効性を説明する。
(1)AOSに対する効果
(1−1)T値
各実施例における血漿中TGF−β値(T値)は、MAX検査、すなわち、結合組織(matrix)中から分離されたTGF−β(MAX/TGF−βとも称される)を抗原とするモノクローナル抗体を用いたELISA法により、ヒト、イヌ又はネコから採取した血漿中のTGF−βを測定したもの(単位はpg/ml)である。
(1−2)P値
P値は、ヒト、イヌ又はネコの両腕(上肢)及び両脚(下肢)のいずれか又は両方について測定した血圧について、左右の高い方から低い方を減じた値(単位はmmHg)とした。なお、両腕(上肢)及び両脚(下肢)の両方についてP値を求めることができる場合には、値のより大きい方をP値として採用した。
(1−3)ヒトの実施例
(1−3−1)実施例1
男性。51歳。
既往症として、手指及び足指の関節痛を2週間に1度程度認めていた。受診時のT値は66.4pg/mlであった。また、左側足首の平均血圧が右側よりも33mmHg低く、P値は33mmHgであった。これらの値から、前記病態判定システムにより算出された受診時の病態グレード(G値)は13.5と、かなり重篤な状態と判定された。
この患者に、受診日を初日として38日間、本件発明に係る免疫調整剤を投与したところ、投与38日目のT値は49.5pg/mlに、P値は1mmHgに、それぞれ低下した。これらの値から、本件発明に係る病態判定システムにより算出された病態グレードは0.2と、劇的な改善を見た。なお、投与開始後、上記した2週間に1度程度の関節痛は消失し、現在に至っている。
(1−3−2)実施例2
男性。54歳。
既往症として、腰椎症による間欠的な腰痛を認めていた。受診時のT値は68.3pg/mlであった。また、右腕の平均血圧が左側よりも18mmHg低く、P値は18mmHgであった。これらの値から、前記病態判定システムにより算出された受診時の病態グレード(G値)は2.4と、軽度ではあるが血管障害の疑いありと判定された。
この患者に、受診日を初日として27日間、本件発明に係る免疫調整剤を投与したところ、投与27日目のT値は40.6pg/mlに、P値は10mmHgに、それぞれ低下した。これらの値から、本件発明に係る病態判定システムにより算出された病態グレード(G値)は1.1と改善を見た。なお、自覚症状のあった腰痛は消失し、その後も腰痛の再発は認めていない。
(1−3−3)実施例3
男性。51歳。
既往症としての骨関節症の自覚はなかったものの、受診時のT値は109.6pg/mlと高値であった。また、左側足首の平均血圧が右側よりも26mmHg低く、P値は26mmHgであった。これらの値から、前記病態判定システムにより算出された受診時の病態グレード(G値)は4.0と、重度ではないものの心血管障害の疑いありと判定された。
この患者に、受診日を初日として31日間、本件発明に係る免疫調整剤を投与したところ、投与31日目のT値は40.1pg/mlに、P値は7mmHgに、それぞれ低下した。これらの値から、本件発明に係る病態判定システムにより算出された病態グレード(G値)は0.6と著しい改善を見た。
(1−4)イヌの実施例
(1−4−1)実施例4
ゴールデン・レトリバー。オス。3歳齢。体重35.4kg。
2013年3月9日に、運動不耐性を訴え初診。血圧はSYS(収縮期):186mmHg−DIA(拡張期):135mmHgと高値であった。その後、同月26日に一旦症状は消失、血圧もSYS:144mmHg−DIA:109mmHgと低下した。しかし、同年5月24日、再び運動不耐性を訴え再診。図5(A)に示す胸部X線写真から、心基部拡張症(前縦隔洞の拡張)及び左室の縮小が観察され、これは死亡直前の心臓形状であるといえる。また、図6に示す両前肢のX線写真から、左前肢肘関節に軟骨形成不全(点線円内)が見られた。一方、右側では骨軟骨症(OCD)に伴う肘関節の亜脱臼(クレッセントサイン)が見られた。このため遠位骨端に骨膜反応(バットレス:矢印部分)が見られた。さらに、右側の骨が左側より太く、骨の成長過剰も指摘された。これらのX線写真像から、AOSの特徴としての骨軟骨症などの腰椎関節症状と大動脈・心房心室結合壁の両方が明瞭に認められた。
下記表2に、この患畜の各種データを掲げる。
初診時(同年5月24日)のT値は850.8pg/mlと、著しい高値であった。また、後肢で測定したP値(MAP(平均)で計算)は24mmHgであった。これらの値から、前記病態判定システムにより算出された受診時の病態グレード(G値)は15.3と、心臓の形状も考え合わせるとかなり重篤ないしは瀕死の状態と判定された。
この患畜に、同年6月25日より本件発明に係る免疫調整剤の投与を開始した。その後、投与開始後64日目の同年8月27日の時点でのT値は、上記表2に示すように、72.8pg/mlと著しい低下を見せた。また、P値も1mmHgまで低下した。これらの値から、前記病態判定システムにより算出された受診時の病態グレード(G値)は0.6と劇的な改善を見た。これを裏付けるように、図5(B)及び(C)で示すX線写真では、投与開始後29日目の同年7月23日時点では心基部の縮小と左心室の正常化が見られ(図5(B))、投与開始後64日目の同年8月27日の時点では心・血管陰影の正常化が見られた(図5(C))。
なお、関節の形態においては目立った変化は見られなかったものの、本件発明に係る免疫調整剤はAOSについて著効を示すことが示された。それとともに、前記病態判定システムは、治療前後のAOSの病態を的確に捉えていたことも判明した。
(1−4−2)実施例5
ミニチュア・ダックスフント。メス。9歳4箇月齢。体重8.2kg。
腹部が腫れてきて抱こうとすると痛がるとの主訴にて2013年6月22日初診。体重8.2kgと肥満。月経は同年5月5日から開始するも初診時には終了していた。X線検査により胃もしくは肝臓の腫大が見られ圧痛あり。心肥大もあり。
図7に示す胸部側面X線写真から、前肢肩関節には離断性骨軟骨症(OCD)、前肢肘関節には鉤状突起折損(FCP/外側鉤状突起の折損であるBCP)が見られた。また、図8(A)のX線写真に示すように、前縦隔洞の心基部の拡張及び心拡大が観察された。これらのX線写真像から、重篤ではないものの、AOSの特徴としての骨軟骨症(OC)と心基部の拡張による大動脈伸展と二次的な心拡大の両方が認められた。
下記表3に、この患畜の各種データを掲げる。
初診時(同年6月22日)のT値は89.8pg/mlと、比較的高い値を示した。また、後肢で測定したP値(MAP(平均)で計算)は30mmHgと高値であった。これらの値から、前記病態判定システムにより算出された受診時の病態グレード(G値)は3.4と、X線写真像も併せ中等度のAOSと判定された。
この患畜に、同日より本件発明に係る免疫調整剤の投与を開始した。その後、投与開始後63日目の同年8月24日の時点でのT値は、上記表3に示すように、50.6pg/mlと低下を見せた。また、P値も0mmHgと左右差は解消した。これらの値から、前記病態判定システムにより算出された受診時の病態グレード(G値)は0.6と改善を見た。これを裏付けるように、図8(B)に示すX線写真では、同8月24日時点では心基部の縮小が認められた。
以上、本実施例においても、本件発明に係る免疫調整剤はAOSについて著効を示すことが示された。それとともに、前記病態判定システムは、治療前後のAOSの病態を的確に捉えていたことも判明した。
(1−4−3)実施例6
シェットランド・シープ・ドッグ。避妊メス。1歳齢。体重13.5kg。
左後肢跛行及び疼痛を訴え、2013年5月18日初診。基礎疾患としてTGF−β血管障害を有し、図9に示すX線写真像では、腰椎部のシュモール結節と、椎間板の変性並びに硬膜拡張症、腰椎の後屈(ロードーシス)が指摘された。また、図10(A)に示すX線写真像では、著しい心基部拡張及び肺動脈の突出が観察された。さらに、同日のT値は80.6pg/mlと高値であった。
以上より、P値の測定はしなかったものの高度のAOSと診断し、同日より同年8月24日まで、本件発明に係る免疫調整剤を投与した。その結果、同日のT値は57.8pg.mlと投与前に比べ低下した。また、図10(B)のX線写真像に示すように、心基部が縮小するとともに、肺動脈の突出の良化が認められた。
以上、本実施例においても、本件発明に係る免疫調整剤はAOSについて著効を示すことが示された。
(1−4−4)実施例7
キャバリア・キングチャールズ・スパニエル。メス。11歳6箇月齢。体重7.4kg。
胸部右側乳腺の腫瘍にて2013年6月14日初診。右側乳腺の前3個に乳腺腫瘍を認めたが、左側には認められなかった。聴診にてLevine4〜6の雑音が聴取され、僧帽弁閉鎖不全が疑われた。心電図で完全左脚ブロックが認められた。症候性皮膚進展率は10%と高値を示した。図11(B)に示すX線写真像では、乳腺腫瘍が認められた。また、図11(A)及び図12(A)に示すX線写真像では、胸部大血管の著しい拡張が見られ、胸部大動脈瘤(TAAD)が認められた。さらに、図11(C)に示すX線写真像では、(関節部位)に離断性骨軟骨炎(OCD)が認められた。また、同日の左側前肢の血圧はSYS:168mmHg−DIA:113mmHgと高値を示した。さらにT値も141.8pg/mlと高値であった。
以上より、右側前肢血圧は測定しなかったためP値の測定はできなかったものの高度のAOSと診断し、翌15日より同年9月13日まで、本件発明に係る免疫調整剤を投与した。その投与期間中の同年7月5日の受診時においては、症候性皮膚進展率は9.1%と正常に復した。血圧曲線の変化として、左側前肢血圧はSYS:132mmHg−DIA:105mmHg、右側前肢血圧はSYS:130mmHg−DIA:109mmHgとP値の改善が推認された。さらに、同年9月13日の受診時におけるT値は38.4pg/mlと投与前に比べ著しい低下を認めた。また、図12(B)のX線写真像に示すように、AOSの特徴である心基部の拡張が縮小するとともに、胸部大動脈の拡張も改善した。
さらに本実施例においては、乳腺腫瘍の反対側への浸潤転移が認められなかったことである。イヌにおける乳腺腫瘍は本実施例程度の症状の場合、3箇月の間には反対側への浸潤転移が起こるのが普通であるところ、この所見は特筆すべきものといえる。
以上、本実施例においても、本件発明に係る免疫調整剤はAOSについて著効を示すことが示された。さらに、乳腺腫瘍の少なくとも浸潤転移を阻止したことから、悪性腫瘍に対する効能を有することも示唆された。
(2)皮膚疾患に対する効果
(2−1)実施例8
シーズー。去勢オス。2歳齢。体重3.4kg。
皮膚の痒覚を訴え、2013年7月5日初診。図13(A)の写真に示すように、痒覚に伴う掻破のため患部は粗毛で皮膚は湿潤していた。同日より本件発明に係る免疫調整剤の投与開始。投与期間3箇月後の、同年9月12日再来時の図13(B)の写真に示すように、痒覚も粗毛も改善された。また、副作用はみられなかった。
なお、この患畜から投与前後に採取した血液からリンパ球を分離し、以下の方法にて、投与前後のTh1、Th2及びTh3リンパ球(各Th生体反応)の、全リンパ球に対する割合を測定した。
まず、ヘパリン(0.5ml)を加えたシリンジにて頚静脈より採血した。採血した血液はPBSにて倍量に希釈し、これをFicoll比重遠心法に供して、末梢血単核球を分離した。この単核球を4×10個/mlとなるように10%BSA添加RPMI1640培養液に浮遊させた。この浮遊細胞液にPMA及びイオノマイシンをそれぞれ最終容量100μg/mlとなるように添加浮遊させ、ポリクローナルなリンパ球活性化刺激を加えた。その後、37℃で5時間培養した。なお、培養終了2時間前に、細胞内蛋白輸送阻害剤であるブレフェルディンAを最終濃度100μg/mlとなるように添加し、リンパ球内で産生されたサイトカインを細胞内に蓄積させた。培養終了後、冷PBSを加えて活性化リンパ球の反応を止め、遠心洗浄した。その後、蛍光色素標識抗体を用いてCD4(Th1リンパ球の表面マーカー)、CD8(Th2リンパ球の表面マーカー)及びCD25(Th3リンパ球の表面マーカー)の細胞表面タンパク質を染色した。染色後の細胞をフローサイトメトリーにより解析した。その結果は下記表4のとおりである。
まず、投与前のTh2リンパ球の割合が、通常は検出限界以下であるところ、0.43%であった。通常、Th2リンパ球(IL−4サイトカイン)が0.42%(Th2生体反応)以上であればアトピーと診断されるため、本患畜はアトピーと診断された。それに対し、投与後は、Th2リンパ球(Th2生体反応)は検出限界以下にまで減少した。また、正常の免疫反応に関与するTh1リンパ球の割合(Th1生体反応、所謂免疫力)が約10倍に増加した。Th1/Th2比(衛生仮説)の値が小さくなるほど(すなわち、Th2リンパ球の割合が大きくなるほど)アトピーなどのアレルギー疾患を誘発しやすくなるといういわゆる衛生仮説に従えば、本件発明に係る免疫調整剤の投与によるTh1リンパ球の増加がTh2リンパ球の減少(Th2生体反応の短縮)をもたらし、その結果、図13(B)に示すような皮膚疾患の治癒をもたらしたものと推定された。
なお、投与前のTh3リンパ球の割合は、通常は検出限界以下であるところ、0.2%にまで上昇していた。このTh3リンパ球(所謂、組織脆弱性あるいはがん体質に関与するとされている。)は、TGF-β及びβの産生に関与することが知られている。よって、本患畜は、AOSの初期段階にあったものの、本件発明に係る免疫調整剤の投与によりTh3リンパ球(Th3生体反応)が検出限界以下まで減少したことから、種々の免疫機構を調整することにより、AOSの重篤化を未然に予防したものと推測される。
(2−2)実施例9
パグ、去勢オス、4歳2箇月齢。体重8.7kg。
鼻、口腔周囲及び肛門周囲の痒覚を訴え、2012年12月24日初診。図14(A)の写真に示すように、鼻、口腔周囲及び肛門周囲の痒覚に伴う掻破のため患部は脱毛していた。これにより痒みスコアは「4」と判定された。2013年6月16日より同年9月19日まで本件発明に係る免疫調整剤を投与した。その結果、同日の再来時の患部写真である図14(B)に示すように、脱毛も回復し痒覚も改善したことで、痒みスコアは「0」と判定された。
なお、この患畜から投与前後に採取した血液からリンパ球を分離し、前記(2−1)に記載の方法にて、投与前後のTh1リンパ球の全リンパ球に対する割合(%)を各種Th生体反応として測定した。
その結果、投与前(6月16日)のTh1リンパ球の割合が0.99%(Th1生体反応)と低かったのに対し、投与後(9月19日)は2.30%にまで上昇し、免疫力が亢進した。
なお、本患畜では、Th2リンパ球の割合は測定していないが、前記衛生仮説に従えば、Th1リンパ球の増加によりTh2リンパ球の減少をもたらし、それにより、前記実施例8と同様に、図14(B)に示すような皮膚疾患の治癒をもたらしたものと示唆された。
(2−3)皮膚疾患についてまとめ
上記実施例8及び9により、本件発明に係る免疫調整剤は、痒覚を主訴とする皮膚疾患にも著効を示すことが示され、それはTh1/Th2比(衛生仮説)の改善(正常化)という免疫調整効果によるものであることが強く示唆された。
(3)原末とカクテルとの効果比較
なお、本件発明に係る免疫調整剤の原末と、カクテル(前記「発明を実施するための形態」(1)の項参照)との効果比較をイヌを検体とした実験で確認した。
原末投与群では、イヌ8頭に対し、各々原末1.7mg/kg(菌数約85億個/kg)を1日1回、90日間に亘り経口投与した。
カクテル投与群では、犬6頭に対し、各々カクテル17mg/kg(菌数約85億個/kg)を1日1回経口投与した。投与期間は、最短65日間、最長177日間であった。
上記の結果、投与期間前後でTGF−β(MAX)値の低下を見たのが、原末投与群で8頭中3頭(37.5%)、カクテル投与群で6頭中5頭(83.3%)であった。
いずれの投与群も体重当たりの投与菌数は同じでありながらも、カクテルのTGF−β(MAX)値の低下作用が原末に対して顕著であったのは、含有する難消化性デキストリンによる整腸作用により腸の働きが活発になり、微粒子化した菌体の吸収が促進された結果であると考えられる。
本発明は、ヒト及びイヌにおけるAOS及び皮膚疾患等の免疫異常に起因する疾患の改善に利用可能であり、特に、前記のAOS病態判定システムによりスクリーニングされた患者や患畜に対するAOSの予防・治療に利用可能である。
10 コンピュータシステム
20 入力装置 30 メモリ
40 演算処理ユニット 50 表示デバイス
NITE BP−01787

Claims (6)

  1. 乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris) H−61株(NITE BP−01787)の菌体が粒度5μm未満に微粒子化されたものを有効成分として含有することを特徴とする免疫調整剤。
  2. 前記微粒子化された菌体は、分散剤又は賦形剤によって再凝集が防止されていることを特徴とする請求項1記載の免疫調整剤。
  3. AOS(Aneurysm−Osteoarthritis Syndrome)の症状改善剤として利用されることを特徴とする請求項1又は2記載の免疫調整剤。
  4. 皮膚疾患の症状改善剤として利用されることを特徴とする請求項1又は2記載の免疫調整剤。
  5. 請求項1、2、3又は4に記載の免疫調整剤を有効成分として含むことを特徴とする薬剤。
  6. 請求項1、2、3又は4に記載の免疫調整剤を有効成分として含むことを特徴とする食品。
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