JP2015144558A - 超音波モータの駆動制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】0.1μm以下の微小駆動が可能で、低速域での速度安定性、モータ特性の安定性を確保でき、ナノオーダでの超微細送りや超微細位置決めができ、また小形で高出力、高耐久性の超音波リニアモータの駆動制御方法を提供する。【解決手段】伸縮振動と屈曲振動をそれぞれ独立制御する超音波モータの駆動制御方法において、伸縮駆動用のピーク電圧が屈曲駆動用のピーク電圧より高くなるように両駆動用電圧を調整して両駆動用電圧を独立に制御すること、より具体的には、伸縮駆動用電圧を50V以上で、かつ屈曲駆動用電圧を20V以下で両駆動用電圧を調整し、移動体の移動量が0.1μm以下となるように両駆動用電圧を制御する。さらに伸縮駆動用電極と屈曲駆動用電極にそれぞれ、立下がり時間に比べて立ち上がり時間の長い鋸歯波状のDC電圧、または矩形状のDC電圧を印加することにより、確実かつ効果的な移動体の微小駆動が実現できる。【選択図】なし
Description
本発明は超音波モータの駆動制御方法に関する。本発明は、特に、圧電振動子上の電極を屈曲振動と伸縮振動の分極領域に独立して配置し、伸縮振動と屈曲振動をそれぞれ独立して制御することで微小領域での移動量を確保できるようにした超音波モータにおける駆動制御方法に関する。
電子・情報技術の急速な発展に伴い、精密部品の更なる微細化、高集積化が求められており、ナノオーダでの検査や超微細加工に対応する超精密位置決め装置が必要となってきている。このような超精密位置決め装置や超微細送りを実現するものとして、圧電振動子を利用した超音波モータが開発されている。この超音波モータは圧電素子の共振現象を利用しているため、インパクトドライブアクチュエータと比べて効率がよく、高出力が可能であり、さらに構造が比較的単純で、小形化できる点で優れている。
超音波モータの基本的な構造は振動子と移動体とにより構成されており、振動子先端の摩擦接触部を前記移動体に押し付け、前記振動子の摩擦接触部に伸縮動作と屈曲動作の共働した楕円運動を行わせ、摩擦接触部が移動体に間欠的に圧接しながら移動体を移動させる。
超音波モータに関連した先行技術としては、本出願人らによる特許文献1〜3に示されるものがある。特許文献1(特開2011−155760号公報)では圧電素子に屈曲振動を励振する電極領域と伸縮振動を励振する電極領域を配置し、各振動子を個別に制御できるようにしている。この方式は各電極を同時制御するものに比べて速度のばらつきや不感帯をなくすことができる。特に、従来のように伸縮駆動用電極と屈曲駆動用電極の同時励振では、低速の領域で速度成分(屈曲振動成分)及びトルク成分(伸縮振動成分)がともに小さくなり、全く動作しない不感帯領域が大きくなる。これに対し特許文献1の独立励振の場合は、前記トルク成分の振動を維持しつつ、前記速度成分の振動を小さくすることが可能となり、より低速領域での駆動が実現できる。
また、特許文献2(特開2010−041777号公報)では圧電振動子を移動体に押し付けるばね手段として座屈現象を利用した板ばねを採用し、これによって、ある変位領域で押し付け荷重が一定となる非線形性を実現し、この荷重一定領域で駆動することで摩擦接触部の磨耗による加圧力の変化を小さくし、耐久性も高めることが可能となる。特許文献3(特開2008−054407号公報)には、薄板圧電素子を複数枚積層した積層圧電型超音波モータ用振動子について記載されており、伸縮振動を励振する電極領域に所定の電圧を印加して伸縮振動を励起し、屈曲振動を励振する電極領域に印加する電圧を可変にして屈曲振動を調整し、これによって移動体の移動速度を制御するようにしている。
一般に超音波モータは低速駆動における不安定性を有するため、ナノオーダの精密位置決めを行うためには複雑な制御を必要とする。また、摩擦部材の磨耗によってもモータ性能が変化するなど、多くの改善すべき点が残されている。例えば伸縮振動(縦振動)と屈曲振動を独立制御で行う超音波モータで微小駆動を共振で行う場合、伸縮駆動用電圧を小さくし、屈曲駆動用電圧を大きくしていくと、移動体が元の位置へ戻ってしまうという現象が発生し、0.1μm以下での微小駆動が困難となる。
本発明は上述した問題を解決するためになされたものであり、0.1μm以下の微小駆動が可能で、低速域での速度安定性、モータ特性の安定性を確保でき、ナノオーダでの超微細送りや超微細位置決めができ、また小形で高出力、高耐久性の超音波リニアモータの駆動制御方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、下記[1]〜[6]の超音波モータの駆動制御方法が提供される。
[1]伸縮振動と屈曲振動をそれぞれ独立して制御する超音波モータの駆動制御方法において、伸縮駆動用のピーク電圧が屈曲駆動用のピーク電圧より高くなるように両駆動用電圧を調整して、両駆動用電圧を制御することを特徴とする超音波モータの駆動制御方法。
[1]伸縮振動と屈曲振動をそれぞれ独立して制御する超音波モータの駆動制御方法において、伸縮駆動用のピーク電圧が屈曲駆動用のピーク電圧より高くなるように両駆動用電圧を調整して、両駆動用電圧を制御することを特徴とする超音波モータの駆動制御方法。
[2]伸縮駆動用電圧を50V以上、かつ屈曲駆動用電圧を20V以下に両駆動用電圧を調整し、移動体の移動量が0.1μm以下となるように両駆動用電圧を制御する前項1に記載の超音波モータの駆動制御方法。
[3]伸縮振動と屈曲振動をそれぞれ独立して制御する超音波モータの駆動制御方法において、伸縮駆動用のピーク電圧が屈曲駆動用のピーク電圧より高くなるように両駆動用電圧を調整して、両駆動用電圧を制御するとともに、伸縮駆動用電極と屈曲駆動用電極にそれぞれ、立ち上がり時間と立下がり時間の異なる鋸歯波状のDC電圧、または矩形状のDC電圧を印加することを特徴とする超音波モータの駆動制御方法。
[4]前記伸縮駆動用電極と屈曲駆動用電極にそれぞれ、立ち上がり時間と立下がり時間の異なる鋸歯波状のDC電圧を印加する前項3に記載の超音波モータの駆動制御方法。
[5]前記伸縮駆動用電圧を50V以上、かつ前記屈曲駆動用電圧を20V以下に両駆動用電圧を調整し、移動体の移動量が0.1μm以下となるように両駆動用電圧を制御するとともに、前記鋸歯波状のDC電圧の立ち上がり時間を5ms以上とし、立下がり時間を5μs以下とする前項4に記載の超音波モータの駆動制御方法。
[6]前記伸縮駆動用電極と屈曲駆動用電極にそれぞれ、矩形状のDC電圧(電圧OFF時間5μ秒以下)を印加する前項3に超音波モータの駆動制御方法。
本発明による超音波モータの駆動制御方法によれば、0.1μm以下の微小駆動が可能で、低速域での速度安定性、モータ特性の安定性を確保でき、またナノオーダでの超微細送り、超微細位置決めができる。さらに本発明では小形で高出力、高耐久性の超音波モータが実現できる。
次に、本発明を各種の実施例について図面を参照して説明する。まず、実施例に適用される超音波モータの振動子の例を図1に示して説明すれば、矩形薄板状の無機あるいは有機圧電材を複数枚積層して積層圧電素子を構成し、その各積層体に屈曲振動用電極7,8及び伸縮振動用電極9を配置する。屈曲振動用電極7,8は、その外側縁7a,8aが矩形板状圧電素子1の長辺側部1aに平行に隣接し、内側縁7b,8bは所定の値の歪みの等高線に沿う曲線状に形成し、圧電素子1の上面では長辺側部1aの位置に外部電極との接続部7c,8cを形成する。圧電素子1の下面の電極は前記上面に対して接続する外部電極とは別の外部電極に接続する。各面で対となった電極7,8を逆位相で駆動することにより、屈曲2次振動が励振される。
伸縮振動用電極9では、矩形板状圧電素子は上面、下面とも同じ中央位置に配置し、上面側ではその電極外側部9aを素子1の長辺側部1aに隣接させ、かつ素子1の他方の長辺側部1bで外部電極との接続部9cを形成する。素子1の下面では電極外側部を素子1の長辺側部1aで別の外部電極との接続部を形成し、かつ素子1の前記他方の長辺側部1bに下面側電極を隣接させる。また、伸縮振動用電極9は屈曲振動用電極7,8との間で十分に絶縁性が確保されるように間隔dを空けて、屈曲振動用電極7,8の曲線形状部分に沿った曲線状に形成する。なお、矩形板圧電素子は積層体だけでなく単層の圧電素子としてもよい。
上述のような圧電振動素子は、図2(a),(b)に示すように、枠形の支持部材11内に、支持部材11と直接接触しない形態で、板ばね3を介して保持される。圧電振動素子1は先端の摩擦接触部2が支持部材11から露出しており、この部分が図示しない移動体と摩擦接触して移動体に送り動作を与える。板ばね3は振動子1の上端側(摩擦接触部側)の両側部と下端側の両側部で振動子1を支持している。4は板ばね3を振動子1に固定する固着部材であって、振動子1の上下両側部に固着されている。この例では上下の4枚の板ばね3は座屈平行板ばねとして構成されており、前記移動体に対して振動子1の摩擦接触部2に押圧力が作用することで振動子1が変位するとき、或る変位領域で板ばね3に座屈現象が生じ、非線形性のばね変位−加圧力特性を示す。図3はこの時の振動子の変位(mm)と加圧力(N)との関係を示したものである。図中、線Aは前記座屈平行板ばねの場合、同図の線Bは変位と加圧力が比例関係となる通常のコイルばねの場合である。この図3に示すように線Aの加圧力が変化しない領域Sで駆動することにより、前記摩擦接触部の磨耗による加圧力の変化をなくすことができ、安定したモータ特性を持続させることができる。
次に、上述のような超音波モータにおいて、振動子に印加する電圧のON,OFFの形態について説明する。
超音波モータの場合、振動子に対して電圧は間欠的なON、OFFの形態で印加される。このような電圧の間欠的なON,OFFの操作により、振動子と接触する移動体の移動動作がなされる。電圧ONの時は、振動子は移動体に対してすべりを発生することなく移動体を送り駆動する必要があり、電圧OFFの時は、前述のばね手段の関与により、振動子は元の位置へ戻り、この動作を繰り返しつつ移動体の移動がなされる。ここで振動子の戻り時には振動子と移動体との間にはすべりが発生することが必要である。本発明では電圧ON時にすべりが発生せず、電圧OFF時にはすべりが有効に働くような電圧モードによって駆動制御がなされる。
超音波モータの場合、振動子に対して電圧は間欠的なON、OFFの形態で印加される。このような電圧の間欠的なON,OFFの操作により、振動子と接触する移動体の移動動作がなされる。電圧ONの時は、振動子は移動体に対してすべりを発生することなく移動体を送り駆動する必要があり、電圧OFFの時は、前述のばね手段の関与により、振動子は元の位置へ戻り、この動作を繰り返しつつ移動体の移動がなされる。ここで振動子の戻り時には振動子と移動体との間にはすべりが発生することが必要である。本発明では電圧ON時にすべりが発生せず、電圧OFF時にはすべりが有効に働くような電圧モードによって駆動制御がなされる。
上述したように、この種の微細送り用超音波モータでは、伸縮振動と屈曲振動を独立制御で共振させて駆動を行うとき、定常振動に至るまでの立上げ時間が重要となり、特に微小駆動の場合、入力時間が短い中での移動では立上げ中の過渡的な振動が支配的となり、微小駆動が難しくなる。
本発明ではこの問題に鑑み、鋸歯波状または矩形波状の電圧を振動子に印加するON・OFF時間を適切な範囲とすることで超音波モータの駆動装置を制御する。
本発明ではこの問題に鑑み、鋸歯波状または矩形波状の電圧を振動子に印加するON・OFF時間を適切な範囲とすることで超音波モータの駆動装置を制御する。
次に鋸歯波状の電圧を印加する場合(実施態様1)について図4〜図6を参照して具体的に説明する。
厚さ0.08mm×長さ30mm×幅7.6mmの矩形状のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)製の板を50層積層した積層型の圧電素子板を用意し、図1に示した形状及び配置の伸縮1次振動用電極(9)及び屈曲2次振動用電極(7,8)を形成した。伸縮1次振動用電極は長さ29.6mmの十字型とし、圧電素子の面積の41%の大きさを有する。屈曲2次振動用の電極は、各々、長さ11.72mm、幅3.02mmとし、2対で圧電素子の面積の14%を有する。短辺中央部に摩擦接触部となるステータ(ジルコニア製、1mmφのピン型形状)を接着して超音波モータ用振動子を作製した。
厚さ0.08mm×長さ30mm×幅7.6mmの矩形状のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)製の板を50層積層した積層型の圧電素子板を用意し、図1に示した形状及び配置の伸縮1次振動用電極(9)及び屈曲2次振動用電極(7,8)を形成した。伸縮1次振動用電極は長さ29.6mmの十字型とし、圧電素子の面積の41%の大きさを有する。屈曲2次振動用の電極は、各々、長さ11.72mm、幅3.02mmとし、2対で圧電素子の面積の14%を有する。短辺中央部に摩擦接触部となるステータ(ジルコニア製、1mmφのピン型形状)を接着して超音波モータ用振動子を作製した。
摺動板として、アルミナジルコニアを使用し、前記振動子の伸縮駆動用電極と屈曲駆動用電極に、それぞれ独立して、立ち上がり時間と立下がり時間の異なる鋸歯波状(25m秒/波)のDC電圧を印加する超音波モータの駆動制御方法における電圧ON領域の時間の目安を図4に示す。伸縮駆動用電極には70V(縦電圧、固定)を印加し、屈曲駆動用電極には可変で0〜80V(曲げ電圧)を印加した。
電圧ON領域では、立ち上がり時間13マイクロ秒(μs)以下で電圧を上げると、すべりが発生し、移動体の駆動が有効になされない。これ以上で250μs(図4中のA点)まではすべりは発生しないが、電圧のON時間が早い(短い)ことによる移動体のオーバラップが見られる。このオーバラップ及びすべりの発生がないようにするためには5ミリ秒(ms)(=5000μs)(図4中のB点)以上の時間をかけて電圧をONにするのがよいことが判明した。
図5にこの超音波モータの駆動制御方法における電圧OFF領域の時間の目安を示す。電圧OFFの領域では、5μs以上かけて電圧を落すと、移動体と振動子との間のすべりが発生しにくく、振動子につられて移動体が戻る現象が見られる。図5でAはすべりが発生する点(5μs以下)、Bはすべりが発生しにくく戻り現象が見られ点(5〜25μs)を示している。
したがって、この実施態様1では、図6に示すように電圧ONの電圧立ち上がり時には、5ms以上の時間(図中のA)をかけて電圧をONにし、電圧OFFの電圧降下時には可能な限り早く、具体的には5μs以下の時間で電圧OFFを行う電圧制御により0.1μm以下の微小駆動が可能となることが確かめられた。
本発明者等は伸縮駆動用電圧と屈曲駆動用電圧のピーク電圧を独立して制御することにより、微小領域での移動量を制御できることを見出した。そして本発明の目的の1つである移動体の移動量0.1μm以下の微小駆動を実現するために、伸縮駆動用電圧と屈曲駆動用電圧を種々変えて実験を行った。その結果(移動量;μm)を表1に示す。
表1中、Aは1回目の実験結果、Bは同条件での2回目の実験結果を示している。1回目の実験で伸縮駆動用電圧(表1中の縦電圧)40Vで、かつ屈曲駆動用電圧(表1中の曲げ電圧)30Vでは移動体の移動量は0.19μmであり、伸縮駆動用電圧35Vでかつ屈曲駆動用電圧40Vでは移動量は0.23μm、同じく伸縮駆動用電圧が30Vで屈曲駆動用電圧が60Vの場合では移動量が0.37μmとなり、目的とする移動量が0.1μmを超えている。また、移動量のばらつきを示す標準偏差σはいずれも0.010〜0.01とばらつきが大きい。また、1回目の実験で伸縮駆動用電圧を30Vでかつ屈曲駆動用電圧を20Vとした場合、移動体の移動は見られなかった。
2回目の実験で伸縮駆動用電圧を50V、屈曲駆動用電圧を20Vとした場合、及び1回目の実験で伸縮駆動用電圧を70V、屈曲駆動用電圧を15Vとした場合は、いずれも移動量は0.1μmであり、ばらつきを示す偏差σも0.008と小さい。また、2回目の実験で伸縮駆動用電圧を60V、屈曲駆動用電圧を15Vとした場合、移動量は0.02μmで偏差σも0.006と小さい結果が得られた。
以上の結果から、伸縮駆動用電圧と屈曲駆動用電圧を独立に調整することにより、移動体の移動量を微小に変化することが可能であり、特に、0.1μm以下の微小駆動をばらつきなく実現するには、伸縮駆動用電圧を50V以上、屈曲駆動用電圧を20V以下、好ましくは15V以下とするのがよいことが確認された。
以上の結果から、伸縮駆動用電圧と屈曲駆動用電圧を独立に調整することにより、移動体の移動量を微小に変化することが可能であり、特に、0.1μm以下の微小駆動をばらつきなく実現するには、伸縮駆動用電圧を50V以上、屈曲駆動用電圧を20V以下、好ましくは15V以下とするのがよいことが確認された。
さらに、本発明では、このような電圧制御に加えて、伸縮駆動用電極と屈曲駆動用電極にそれぞれ、立ち上がり時間と立下がり時間の異なる鋸歯波状のDC電圧、または矩形状のDC電圧を印加することにより移動体の微小駆動が実現できる。
すなわち、鋸歯波状のDC電圧の場合には、電圧の立上げ時間を立下げ時間よりも長くした鋸歯波状の電圧、具体的には立ち上がり時間を5ms以上で降下時間を5μs以下とした鋸歯波状の電圧を印加することにより、確実かつ効果的な微小駆動が実現できる。
すなわち、鋸歯波状のDC電圧の場合には、電圧の立上げ時間を立下げ時間よりも長くした鋸歯波状の電圧、具体的には立ち上がり時間を5ms以上で降下時間を5μs以下とした鋸歯波状の電圧を印加することにより、確実かつ効果的な微小駆動が実現できる。
図7は超音波モータの振動子を屈曲駆動電極の印加による屈曲変位のみで駆動した場合のスライダ移動特性を示す図である。屈曲駆動電極のみの印加による屈曲変位のみで駆動した場合、電圧OFF時のすべりが発生せず微小変位動作に難点がある。屈曲振動のみでも微小変位は可能であるが、制止状態で保持するために常に屈曲駆動電極に電圧印加し続けていなければならず(電圧OFFにすると移動体が元の位置に戻ってしまうため)、これでは静止時の消費電力0Vという超音波モータの長所を活かすことはできない。
これに対し、屈曲駆動と伸縮駆動の両方を独立制御で行うことにより、図8に示すように、より低い電圧でより小さい移動量での移動体の0.1μm以下の微動が可能となる。なお、図7で符号Aの部分は移動した移動体が戻ってしまう部分であり、図8ではこのような状態は生じていない。
次に矩形状の電圧を印加する場合(実施態様2)について説明する。
実施態様1と同様に図1に示した矩形形状及び配置の伸縮1次振動用電極及び屈曲2次振動用電極を形成し、短辺中央部にステータ(アルミナ製、4mmφの円柱形状)を接着して超音波モータ用振動子を作製した。摺動板として、99アルミナを使用し、前記振動子の伸縮駆動用電極と屈曲駆動用電極にそれぞれ独立して、矩形波のDC電圧(25m秒/波、電圧OFF時間5μ秒)を、伸縮駆動用電極には80V(縦電圧、固定)を印加し、屈曲駆動用電極には可変で0〜80V(曲げ電圧)を印加した。その結果を図7に示す。図7から曲げ電圧5〜10Vの範囲で0.1μm以下の微小移動量が達成できることが確認された。
実施態様1と同様に図1に示した矩形形状及び配置の伸縮1次振動用電極及び屈曲2次振動用電極を形成し、短辺中央部にステータ(アルミナ製、4mmφの円柱形状)を接着して超音波モータ用振動子を作製した。摺動板として、99アルミナを使用し、前記振動子の伸縮駆動用電極と屈曲駆動用電極にそれぞれ独立して、矩形波のDC電圧(25m秒/波、電圧OFF時間5μ秒)を、伸縮駆動用電極には80V(縦電圧、固定)を印加し、屈曲駆動用電極には可変で0〜80V(曲げ電圧)を印加した。その結果を図7に示す。図7から曲げ電圧5〜10Vの範囲で0.1μm以下の微小移動量が達成できることが確認された。
1 圧電振動子
2 摩擦接触部
3 板ばね(座屈平行板ばね)
4 固着部材
7,8 屈曲振動用電極
9 伸縮振動用電極
11 支持部材
2 摩擦接触部
3 板ばね(座屈平行板ばね)
4 固着部材
7,8 屈曲振動用電極
9 伸縮振動用電極
11 支持部材
Claims (6)
- 伸縮振動と屈曲振動をそれぞれ独立して制御する超音波モータの駆動制御方法において、伸縮駆動用のピーク電圧が屈曲駆動用のピーク電圧より高くなるように両駆動用電圧を調整して、両駆動用電圧を制御することを特徴とする超音波モータの駆動制御方法。
- 伸縮駆動用電圧を50V以上、かつ屈曲駆動用電圧を20V以下に両駆動用電圧を調整し、移動体の移動量が0.1μm以下となるように両駆動用電圧を制御する請求項1に記載の超音波モータの駆動制御方法。
- 伸縮振動と屈曲振動をそれぞれ独立して制御する超音波モータの駆動制御方法において、伸縮駆動用のピーク電圧が屈曲駆動用のピーク電圧より高くなるように両駆動用電圧を調整して、両駆動用電圧を制御するとともに、伸縮駆動用電極と屈曲駆動用電極にそれぞれ、立ち上がり時間と立下がり時間の異なる鋸歯波状のDC電圧、または矩形状のDC電圧を印加することを特徴とする超音波モータの駆動制御方法。
- 前記伸縮駆動用電極と屈曲駆動用電極にそれぞれ、立ち上がり時間と立下がり時間の異なる鋸歯波状のDC電圧を印加する請求項3に記載の超音波モータの駆動制御方法。
- 前記伸縮駆動用電圧を50V以上、かつ前記屈曲駆動用電圧を20V以下に両駆動用電圧を調整し、移動体の移動量が0.1μm以下となるように両駆動用電圧を制御するとともに、前記鋸歯波状のDC電圧の立ち上がり時間を5ms以上とし、立下がり時間を5μs以下とする請求項4に記載の超音波モータの駆動制御方法。
- 前記伸縮駆動用電極と屈曲駆動用電極にそれぞれ、矩形状のDC電圧(電圧OFF時間5μ秒以下)を印加する請求項3に記載の超音波モータの駆動制御方法。
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