JP2015144503A - 電動車の回生ブレーキ制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
また、電動車では、車輪に摩擦制動力を与える摩擦ブレーキと、走行用モータジェネレータの回生により車輪に回生制動力を与える回生ブレーキとが搭載されている。
回生ブレーキを動作させた場合、走行用モータジェネレータの回生電力でバッテリを充電している。
そのため、このような場合では、回生ブレーキを十分に使用することができず、主に摩擦ブレーキを使用して下り坂を走行することになる。この場合、摩擦ブレーキに過剰な負荷が掛かりやすく摩擦ブレーキの性能が劣化するおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、バッテリの過剰な充電を抑制しつつ、回生ブレーキを十分に使用する上で有利な電動車の回生ブレーキ制御装置を提供することにある。
請求項2記載の発明は、前記ファンは、前記ファン用モータにより回転駆動されることで前記電動車の走行方向に向かう空気流を形成し前記空気流により前記電動車に制動力を与えることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記ファン用モータは、発電機能を有するファン用モータジェネレータであり、前記ファンは、前記電動車の走行方向と逆方向に向かう空気流により回転駆動されることで前記ファン用モータジェネレータを発電させ、前記制御手段は、前記残容量と前記走行状態とに基づいて前記ファン用モータジェネレータで発電された電力を前記バッテリに供給することで前記バッテリを充電することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、前記ファンと前記ファン用モータとはクラッチを介して接続され、前記制御手段は、前記残容量と前記走行状態とに基づいて前記クラッチの断接を制御することを特徴とする。
請求項5記載の発明は、前記走行状態検出手段により検出される前記走行状態は、前記電動車が走行する路面の傾斜角度と、前記電動車の走行方向の加速度とを含むことを特徴とする。
請求項2記載の発明によれば、ファンは、ファン用モータにより回転駆動されることで電気自動車の走行方向に向かう空気流を形成し空気流により電動車に制動力を与えるので、摩擦ブレーキを構成するブレーキ機構に掛かる負担を軽減する上でより有利となる。
請求項3記載の発明によれば、ファン用モータジェネレータで発電された電力によりバッテリを充電するので、バッテリの残容量の低下を抑制でき、走行距離を確保する上で有利となる。
請求項4記載の発明によれば、残容量と走行状態とに基づいてクラッチの断接を行なうことにより、ファンにより電動車に制動力を与える機能およびファンによりバッテリを充電する機能の有効、無効の切り替えを簡単かつ確実に行なう上で有利となる。また、クラッチを切断することで、走行中におけるファンによって生じる空気抵抗を最小限にできるので、電動車の空気抵抗を抑制する上で有利となる。
請求項5記載の発明によれば、電動車が下り坂を走行しているか否かを的確に判定する上で有利となる。
本実施の形態では、回生ブレーキ制御装置が適用される電動車が走行用モータジェネレータを駆動源とする電気自動車である場合について説明する。
なお、本発明は、エンジンと走行用モータジェネレータとの双方を駆動源として用いるハイブリッド車あるいはプラグインハイブリッド車、もしくは走行用モータジェネレータのみを駆動源として用いる電気自動車を含む電動車に広く適用可能である。
図1、図3、図4に示すように、電気自動車10は車体12を備え、車体12には、バッテリ14と、バッテリECU16と、インバータ18と、走行用モータジェネレータ20と、駆動機構22と、前輪24と、後輪26と、ブレーキペダル28と、ブレーキ機構30と、車両ECU32などが設けられている。
バッテリ14は、直列接続された複数の電池セルがユニット単位でバッテリケース内に収納され、本実施の形態では、バッテリ14は、図3に示すように、車体12のフロア下方に配置されている。
バッテリECU16は、バッテリ14の状態を検出するものであり、本実施の形態では、バッテリ14の残容量を検出して車両ECU32に供給する残容量検出手段を構成している。
また、駆動機構22は、走行用モータジェネレータ20に対する電力が供給されていない場合に、走行用モータジェネレータ20の回生力を前輪24または後輪26に伝達することで制動力を発生させるものである。
そして、CPUが制御プログラムを実行することにより、後述するような制御を行なう制御手段32Aを構成している。
図2に示すように、回生ブレーキ制御装置34は、上記の車両ECU32に加えて、ファン36と、クラッチ38と、ファン用モータ40と、斜度センサ42と、加速度センサ44と、ファンボタン46などを含んで構成されている。
本実施の形態では、ファン36は、エアコンコンデンサ50の前方に2つ配置されており、ファン36は回転軸を電気自動車10の前後方向に向けた軸流ファンで構成されている。なお、ファン36の数、配置箇所は任意である。
したがって、本実施の形態では、ファン36は、ファン用モータ40により回転駆動されることにより、電気自動車10の走行方向に向かう空気流を形成し空気流により電気自動車10に制動力を与えるブレーキ機能を有する。
また、ファン36は、電気自動車10の走行方向と逆方向に向かう空気流により回転駆動されることでファン用モータ40を回転駆動して発電させ、発電した電力をインバータ18を介してバッテリ14に供給しバッテリ14を充電する充電機能を有する。
クラッチ38が接続されると、ファン36とファン用モータ40とが接続されるため、ファン用モータ40によりファン36を回転駆動することができ、あるいは、ファン36が空気流により回転駆動されることでファン用モータ40による発電がなされる。すなわち、ファン36によるブレーキ機能および充電機能が有効となる。
クラッチ38が切断されると、ファン36とファン用モータ40とが切り離されるため、ファン36によるブレーキ機能および充電機能が無効となる。そして、ファン36は自由に回転可能な状態となり、走行中におけるファン36によって生じる空気抵抗が最小となる。
加速度センサ44は、電気自動車10の走行方向の加速度を検出し、車両ECU32に供給するものである。
本実施の形態において、斜度センサ42および加速度センサ44は、電気自動車10の走行状態を検出する走行状態検出手段を構成している。
なお、走行状態検出手段は、検出された走行状態に基づいて電気自動車10が下り坂を走行しているか否かを判定できるものであればよい。したがって、走行状態検出手段は、路面2に対する車体12の姿勢や走行方向を検出できれば、どのようなセンサを用いてもかまわない。
しかしながら、斜度センサ42および加速度センサ44は、安価で入手性に優れているため、コストの抑制を図る上で有利となる。
ファンボタン46は、手動操作により、電気自動車10の減速時にファン36のブレーキ機能を有効とするか、電気自動車10の減速時にファン36の充電機能を有効とするかの何れかを車両ECU32に設定するものである。
本実施の形態では、ファンボタン46がオンされるとファン36のブレーキ機能が有効となり、ファンボタン46がオフされるとファン36の充電機能が有効となるように車両ECU32が設定される。
本実施の形態では、車両ECU32は、バッテリ14の残容量、電気自動車10の走行状態、ファンボタン46の設定状態などに基づいて定められるファン駆動条件が成立した場合に、インバータ18を制御してバッテリ14からファン用モータ40に予め定められた電力を供給することでファン用モータ40を回転駆動させる。
図5では、電気自動車10が下り坂を走行してやがて平地に至るまでの走行状態およびファン36の動作状態を、(A)下り始め、(B)下り中盤、(C)平地の3段階に分けて説明している。そして、各段階におけるバッテリ14の残量1402をそれぞれハッチングの面積の大小により模式的に示している。図中、符号MAXはバッテリ14が満充電であることを示し、符号MINはバッテリ14の残容量がゼロであることを示す。
車両ECU32は、バッテリECU16によりバッテリ14の残容量が閾値残容量を上回った場合、斜度センサ42による傾斜角度と加速度センサ44による加速度の検出結果に基づいて下り坂を走行しているか否かを判定する。
なお、閾値残容量は、バッテリが満充電である場合の残容量、あるいは、満充電に近い残容量(例えば80%)に設定される。
判定結果が肯定であると、車両ECU32は、インバータ18を制御して、バッテリ14から走行用モータジェネレータ20への電力の供給を停止して走行用モータジェネレータ20による回生ブレーキを動作させる。さらに、車両ECU32は、クラッチ38を接続し、インバータ18を制御して、バッテリ14からファン用モータ40に電力を供給してファン36を回転駆動させて電気自動車10の走行方向に向かう空気流を形成し制動力を発生させる。すなわち、車両ECU32は、バッテリ14の残容量と電気自動車10の走行状態とから、走行用モータジェネレータ20の回生電力によるバッテリ14への過剰な充電が予測された場合に、バッテリ14からファン用モータ40に電力を供給する。
これにより、バッテリ14の電力はファン用モータ40により消費されるため、走行用モータジェネレータ20の回生電力によるバッテリ14の充電を行ってもバッテリ14が満充電を超えて充電されるような過剰な充電が抑制される。
運転者がブレーキペダル28を操作することによりブレーキ機構30による摩擦ブレーキが動作すると共に、走行用モータジェネレータ20による回生ブレーキが動作し、さらにファン36による空気流により制動力が発生するため、ブレーキ機構30に掛かる負担を軽減することができる。
この場合、マップを、バッテリ14の残容量が大きくなるほど、電力量が大きくなるように構成すれば、バッテリ14の過剰な充電を抑制するように、ファン用モータ40を制御することができる。
また、マップを、傾斜角度が大きくなるほど(下り坂の勾配が急になるほど)、また、走行方向の加速度が大きくなるほど、電力量が大きくなるように構成すれば、下り坂の勾配、加速度に対応した制動力がファン36から発生するようにファン用モータ40を制御することができる。
バッテリ14の電力がファン用モータ40によって消費されてバッテリ14の残容量が低下し、回生電力によるバッテリ14の過剰な充電のおそれがなくなると、車両ECU32は、インバータ18を制御してバッテリ14からファン用モータ40への電力供給を停止する。
これにより、ファン36は走行方向と逆方向に向かう空気流により回転駆動され、ファン用モータ40により発電された電力によりバッテリ14への充電がなされる。
この場合も下り始めの場合と同様に、運転者がブレーキペダル28を操作することによりブレーキ機構30による摩擦ブレーキが動作すると共に、走行用モータジェネレータ20による回生ブレーキが動作し、さらにファン36が走行方向と逆方向に向かう空気流によりファン用モータ40を回転駆動する際に発生する空気抵抗が発生するため、ブレーキ機構30に掛かる負担を軽減することができる。
電気自動車10が下り坂を下り終えて平地に至ると、車両ECU32は、インバータ18を制御してバッテリ14の電力を走行用モータジェネレータ20に供給することで前輪24を回転駆動させて電気自動車10を走行させる。
この場合、クラッチ38の接続を維持してファン用モータ40によるバッテリ14への充電を行っても良い。
なお、電気自動車10が高速で走行する場合には、クラッチ38を切断してバッテリ14の充電を停止しファン36を自由回転させれば、ファン36により発生する空気抵抗を最小限にできるため、走行中の電気自動車10に加わる空気抵抗を低減する上で好ましい。
まず、車両ECU32は、バッテリECU16で検出されたバッテリ14の残容量が閾値残容量を上回っているか否かを判定する(ステップS10)。
具体的には、車両ECU32は、傾斜角度が閾値傾斜角度を上回り、かつ、加速度が閾値加速度を上回っているか否かを判定する。ここで、閾値傾斜角度は、電気自動車10が走行する路面2が下り坂であるか否かの判定を行なうための傾斜角度として設定される。また、閾値加速度は、電気自動車10が加速しているか否かを判定するための加速度として設定される。
したがって、ステップS12では、電気自動車10が閾値傾斜角度を上回る下り坂を閾値加速度を上回る加速度で走行している場合に、電気自動車10が下り坂を走行しているものとして判定される。
したがって、運転者がブレーキペダル28を操作することによりブレーキ機構30による摩擦ブレーキが動作すると共に、走行用モータジェネレータ20による回生ブレーキが動作し、さらにファン36による空気流により制動力が発生するため、ブレーキ機構30に掛かる負担を軽減することができる。
車両ECU32は、ファンボタン46がオンであると判定したならば(ステップS16で「Y」)、加速度センサ44の検出結果により電気自動車10が減速しているか否かを判定する(ステップS18)。
ステップS18が「Y」ならば、電気自動車10が減速しているので、車両ECU32は、ファンボタン46の設定状態(オン)に応じてファン36のブレーキ機能を有効とし、ステップS14に移行して、インバータ18を制御してバッテリ14からファン用モータ40に電力を供給してファン36を回転駆動させ、ファン36による空気流により制動力を発生させる。
一方、ステップS18が「N」ならば、電気自動車10が加速するかあるいは一定速度で走行しているので、車両ECU32は、クラッチ38を切断してファン36を自由回転させファン36により発生する空気抵抗を最小限とし、走行中の電気自動車10に加わる空気抵抗を低減させる(ステップS20)。
ステップS22が「Y」ならば、言い換えるとファン充電条件が成立したならば、車両ECU32は、ファンボタン46の設定状態(オフ)に応じてファン36の充電機能を有効とし、インバータ18を制御してバッテリ14からファン用モータ40への電力供給を停止する。これにより、ファン36は走行方向と逆方向に向かう空気流によりファン用モータ40を回転駆動し、ファン用モータ40により発電された電力によりバッテリ14への充電がなされる(ステップS24)。
一方、ステップS22が「N」ならば、電気自動車10が加速するかあるいは一定速度で走行しているので、車両ECU32は、ステップS20に移行して、クラッチ38を切断してファン36を自由回転させファン36により発生する空気抵抗を最小限とし、走行中の電気自動車10に加わる空気抵抗を低減させる。
したがって、バッテリ14が満充電あるいは満充電に近い状態において電気自動車10が下り坂を走行する場合、ファン用モータ40でファン36を回転駆動することでバッテリ14の電力を消費することができる。そのため、走行用モータジェネレータ20の回生電力によるバッテリ14の過剰な充電を抑制しつつ、回生ブレーキを十分に使用することができ、摩擦ブレーキを構成するブレーキ機構30に掛かる負担を軽減することができる。
したがって、クラッチ38の接続、切断により、ファン36により電気自動車10に制動力を与える機能およびファン36によりバッテリ14を充電する機能の有効、無効の切り替えを簡単かつ確実に行なう上で有利となる。
また、クラッチ38を切断することで、走行中におけるファン36によって生じる空気抵抗を最小限にできるので、電気自動車10の空気抵抗を抑制する上で有利となる。
したがって、電気自動車10が下り坂を走行しているか否かを的確に判定する上で有利となる。
しかしながら、本実施の形態のように空気流により電気自動車10に制動力を与えるファン36を用いると、電気自動車10の制動力を確保する上で有利となる。
12 車体
14 バッテリ
16 バッテリECU(残容量検出手段)
20 走行用モータジェネレータ
32 車両ECU
32A 制御手段
34 回生ブレーキ制御装置
36 ファン
38 クラッチ
40 ファン用モータ
42 斜度センサ(走行状態検出手段)
44 加速度センサ(走行状態検出手段)
Claims (5)
- バッテリと、前記バッテリから供給される電力により駆動される一方で、回生により制動力を発生すると共に前記バッテリを充電する走行用モータジェネレータとを備えた電動車の回生ブレーキ制御装置であって、
前記電動車の車体に設けられたファンと、
前記バッテリから供給される電力により前記ファンを回転駆動するファン用モータと、
前記バッテリの残容量を検出する残容量検出手段と、
前記電動車の走行状態を検出する走行状態検出手段と、
前記残容量と前記走行状態とに基づいて前記バッテリから前記ファン用モータに供給する電力量を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記残容量と前記走行状態とから、前記走行用モータジェネレータの回生電力による前記バッテリへの過剰な充電が予測された場合に、前記バッテリから前記ファン用モータに電力を供給する、
ことを特徴とする電動車の回生ブレーキ制御装置。 - 前記ファンは、前記ファン用モータにより回転駆動されることで前記電動車の走行方向に向かう空気流を形成し前記空気流により前記電動車に制動力を与える、
ことを特徴とする請求項1記載の電動車の回生ブレーキ制御装置。 - 前記ファン用モータは発電機能を有するファン用モータジェネレータであり、
前記ファンは、前記電動車の走行方向と逆方向に向かう空気流により回転駆動されることで前記ファン用モータジェネレータを発電させ、
前記制御手段は、前記残容量と前記走行状態とに基づいて前記ファン用モータジェネレータで発電された電力を前記バッテリに供給することで前記バッテリを充電する、
ことを特徴とする請求項2記載の電動車の回生ブレーキ制御装置。 - 前記ファンと前記ファン用モータとはクラッチを介して接続され、
前記制御手段は、前記残容量と前記走行状態とに基づいて前記クラッチの断接を制御する、
ことを特徴とする請求項2または3記載の電動車の回生ブレーキ制御装置。 - 前記走行状態検出手段により検出される前記走行状態は、前記電動車が走行する路面の傾斜角度と、前記電動車の走行方向の加速度とを含む、
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項記載の電動車の回生ブレーキ制御装置。
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