JP2015143889A - 眼鏡用レンズおよびその製造方法 - Google Patents

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庸平 鈴木
Yohei Suzuki
庸平 鈴木
加賀 唯之
Tadayuki Kaga
唯之 加賀
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EHS Lens Philippines Inc
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Abstract

【課題】PCの画面を見るときの像の変形を抑制でき、さらに、眼鏡用レンズの厚みの増加を軽減できる眼鏡用レンズを提供する。【解決手段】物体側の面が、垂直基準線Yに沿った平均面屈折力が第1の値D1の第1の領域21と、平均面屈折力が第2の値D2の第2の領域22と、第1の領域21と第2の領域22との間で、平均面屈折力が第1の値D1から第3の値D3に増加し、第3の値D3から第2の値D2に減少する第3の領域23とを含む眼鏡用レンズ10を提供する。第1の領域21は遠用部11に含まれ、第2の領域22は近用部12に含まれ、第3の領域23は中間部13を含む。したがって、中間部13を介して見ることが多いPCの画面などの変形を抑制できる眼鏡用レンズであって、厚みが薄い眼鏡用レンズを提供できる。【選択図】図3

Description

本発明は、眼鏡用レンズおよびその製造方法に関するものである。
特許文献1には、累進屈折力レンズに必然的に生じる像の歪みやボケを減少させ、装用
感を向上させることができる累進屈折力レンズを提供することが記載されている。そのた
め、特許部文献1においては、外面と内面の両面を累進面とする両面累進レンズとすると
共に、外面の面加入度をマイナスとし、外面と内面の平均面屈折力分布が相似になるよう
に累進面形状を設計することが記載されている。すなわち、累進屈折力レンズの累進面は
、古くは外面側に形成されていたが、その累進面を内面側に形成することによって、飛躍
的に光学性能が向上することが判明した。この内面累進レンズの理論を応用し、さらに光
学性能を向上させるために、特許文献1においては、外面と内面の両方に累進屈折面を形
成した両面累進レンズとすると共に、外面の平均面屈折力を遠用部から近用部にかけて連
続的に減少するように設定している。両面累進レンズの外面の平均面屈折力の変化をマイ
ナスとする、即ち外面の面加入度をマイナスとすることにより、近用部の倍率差を小さく
して、歪みを減少させることができる。
特開2004−4436号公報(要約、段落番号0010、0011)
両面累進レンズを用いた眼鏡により、遠用部と近用部との倍率差を低減することができ
る。しかしながら、外面の平均面屈折力を遠用部から近用部にかけて連続的に減少するよ
うに設定するため、内面累進レンズや外面累進レンズと比べてレンズが厚くなりやすい。
このため、累進屈折力レンズに必然的に生じる像の歪みを軽減するとともに、レンズの厚
みを抑制し、さらに装着感も良好な眼鏡用レンズが求められている。
本発明の一態様は、物体側の面が、主注視線(主子午線)または垂直基準線に沿った平
均面屈折力が第1の値の第1の領域と、平均面屈折力が第2の値の第2の領域と、第1の
領域と第2の領域との間で、平均面屈折力が前記第1の値から第3の値に増加し、第3の
値から第2の値に減少する第3の領域とを含む、眼鏡用レンズである。眼鏡用レンズを通
して得られる像は、傾向としてはレンズ度数が大きくなると倍率は大きくなり、物体側の
面の平均面屈折力が小さくなれば倍率は小さくなる。したがって、この眼鏡用レンズにお
いては、第1の領域と第2の領域との間にある第3の領域で平均面屈折力を変えることに
より、眼鏡用レンズの倍率の変化を局所的に制御できる。したがって、多く用いられる視
野範囲がある程度特定される用途において、その視野範囲での像のゆれや歪みを軽減でき
、さらに、凸面高さおよび縁厚が小さく、実質的な厚みが薄い眼鏡レンズを提供できる。
そのような用途の1つはパーソナルコンピュータ(PC)の操作である。近年、PCの
操作に多くの時間を費やすユーザー(装着者)が増えている。遠用部と近用部とを有する
多焦点レンズの装着者がPCの画面を見るときは、遠用部と近用部との間で徐々に度数が
変化する中間部を通して画面を見ることが多い。したがって、遠用部から近用部に至る部
分に第3の領域を設定することにより、PCの画面を見やすい眼鏡用多焦点レンズであっ
て、薄いレンズを提供できる。
すなわち、本発明の典型的な眼鏡用レンズは、主に遠距離の物体を見るときに使用する
遠用部と、主に近距離の物体を見るときに使用する近用部と、遠用部と近用部との間で徐
々に度数が変化する中間部とを含み、物体側の面の第1の領域は遠用部の少なくとも一部
であり、第2の領域は近用部の少なくとも一部であり、第3の領域は第1の領域と第2の
領域との間に位置し、平均面屈折力は第1の値から第3の値に増加し、第3の値から第2
の値に減少する。これにより、遠用部に含まれる第1の領域を通して得られる像と、近用
部に含まれる第2の領域を通して得られる像との間に倍率差があっても、それらの間の第
3の領域を通して得られる像の歪みを低減できる。
この眼鏡用レンズにおいては、使用者側の面(内面)が累進面になるが、使用者側の面
も、物体側の第1の領域、第2の領域および第3の領域のそれぞれに対面する、主注視線
(主子午線)または垂直基準線に沿った平均面屈折力(平均面屈折力の絶対値)が第4の
値の第4の領域と、平均面屈折力が第5の値の第5の領域と、第4の領域と第5の領域と
の間で、平均面屈折力が第4の値から第6の値に増加し、第6の値から第5の値に減少す
る第6の領域とを含む。第6の領域に遠用部が含まれる場合は、第6の領域において第4
の値から第6の値に増加する際に、第4の値から第7の値を経て第6の値に達する。
この眼鏡用レンズにおいては、当該眼鏡用レンズのアイポイント(フィッティングポイ
ント)を原点として上下に延び、アイポイントに対して上方に正の座標をおくと、第1の
領域と第3の領域との境界点(以下、第1ポイントともいう)Yaと、平均面屈折力が第
3の値である点(以下、第3ポイントともいう)Ycと、第3の領域と第2の領域との境
界点(以下、第2ポイントともいう)Ybとが、以下(1)式の条件を満たす。ただし、
以下の式において単位はmmである。
Ya>Yc>Yb・・・(1)
眼鏡仕様によるが、典型的には、点Yc(第3ポイント)において、物体側の平均面屈
折力(ベースカーブ)が極大値(第3の値)になることが多い。
境界点(第1ポイント)Yaが下にあるほど、レンズを薄型にしやすい。したがって、
境界点Yaは以下(2)式の条件を満たすことが好ましい。
Ya≦15・・・(2)
また、PCを見る際に好適な眼鏡を得るためには、第3ポイントYcがPCの画面の上
端近傍を見る位置となり、第2ポイントYbがPCの画面の下端近傍を見る位置となるこ
とが好ましい。このため、第3ポイントYcは以下(3)式の条件を満たし、第2ポイン
トYbは以下(4)式の条件を満たすことが好ましい。
−5≦Yc≦10・・・(3)
−25≦Yb≦−5・・・(4)
第1ポイントと第3ポイントとの距離が短すぎると物体側の面のベースカーブが急激に
変化するので遠用部分に不自然な歪みが生ずるおそれがある。また、PCの画面を視界に
収めるために第3ポイントと第2ポイントとの距離をある程度確保する必要がある。した
がって、第1ポイントYa、第3ポイントYc、第2ポイントYbは、以下(5)式およ
び(6)式の条件を満たすことが好ましい。
Ya−Yc≧4・・・(5)
Yc−Yb≧10・・・(6)
この眼鏡用レンズにおいては、第1の値をD1とし、第2の値をD2とし、さらに、第
3の値をD3としたときに、以下(7)式の条件を満たすようにすることが好ましい。な
お、単位はディオプタである。
MAX(D1、D2)+1≦D3≦(n−1)/0.015・・・(7)
nは素材の屈折率である。MAX(D1、D2)は、D1とD2の内、値が大きい方を
選ぶ関数である。
第3の領域の倍率補正効果を得るためには、第3の値D3は第1の値D1および第2の
値D2に対し少なくとも1Dは大きいことが望ましい。一方、第3の値D3が44を超え
ると物体側の面の曲率が大きくなりすぎて諸収差が大きくなる。また、眼鏡用レンズとし
て眼鏡フレームに嵌める大きさが確保できなくなる。なお、第1の値D1および第2の値
D2は同じであっても異なっていてもよい。
本発明の他の態様は、上記眼鏡用レンズと、眼鏡用レンズを装着した眼鏡フレームとを
有する眼鏡である。この眼鏡は、薄くコンパクトであるとともに、PCを操作する際の像
のゆれが少ないなどの特定の用途において安定した像が得られる。
本発明のさらに他の態様は、眼鏡用レンズの製造方法である。この製造方法は、主注視
線または垂直基準線に沿った平均面屈折力が第1の値の第1の領域と、平均面屈折力が第
2の値の第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間で、平均面屈折力が第1の値から
第3の値に増加し、第3の値から第2の値に減少する第3の領域とを備えた物体側の面を
形成することを有する。
この製造方法によれば、眼鏡用レンズ全体ではなく、限定された第3の領域を介して見
た像の歪みが小さく、薄い眼鏡用レンズを得ることができる。
この製造方法は、さらに、物体側の面を形成することと前後し、または同時に、主に遠
距離の物体を見るときに使用する遠用部と、主に近距離の物体を見るときに使用する近用
部と、遠用部と近用部との間で徐々に度数が変化する中間部とを備えた使用者側の面を形
成することを含み、物体側の面の第1の領域は遠用部の少なくとも一部と対面し、第2の
領域は近用部の少なくとも一部と対面するようにすることが望ましい。
本発明のさらに他の態様は、度数の異なる遠用部と近用部とを含む眼鏡用多焦点レンズ
を設計する装置である。この装置は、遠用部および近用部を含む使用者側の面を設定する
第1のユニットと、主注視線または垂直基準線に沿った平均面屈折力が第1の値の第1の
領域、平均面屈折力が第2の値の第2の領域、さらに、第1の領域と第2の領域との間で
、平均面屈折力が第1の値から第3の値に増加し、第3の値から第2の値に減少する第3
の領域を含む物体側の面を設定する第2のユニットとを有する。第2のユニットは、第1
の領域が遠用部の少なくとも一部と対面し、第2の領域が近用部の少なくとも一部と対面
するように物体側の面を設定する。この装置は、さらに、物体側の面および使用者側の面
を含む眼鏡用多焦点レンズを通して見た様子をシミュレーションするユニットを有してい
てもよい。
眼鏡の一例を示す斜視図。 図2(a)は眼鏡用多焦点レンズの一方のレンズを模式的に示す平面図、図2(b)はその断面図。 本発明の実施例の眼鏡用レンズの面屈折力を示す図。 実施例の眼鏡用レンズの面屈折力分布および収差分布を示す図。 図5(a)は実施例の眼鏡用レンズの面屈折力を示す図、図5(b)は比較例1の眼鏡用レンズの面屈折力を示す図、図5(c)は比較例2の眼鏡用レンズの面屈折力を示す図。 実施例の眼鏡用レンズ、および比較例1〜2の眼鏡用レンズの設計データを纏めて示す図。 実施例の眼鏡用レンズ、および比較例1〜2の眼鏡用レンズの倍率差を示す図。 実施例の眼鏡用レンズと、比較例2の眼鏡用レンズとの凸面高さを示す図。 眼鏡用レンズの製造方法の一例を説明するためのフローチャート。 眼鏡用レンズの設計装置の一例の概略構成を示す図。
図1は、眼鏡の一例を斜視図にて示している。図2(a)は、本発明の実施形態の眼鏡
用多焦点レンズの一方のレンズを平面図にて模式的に示している。図2(b)は、本発明
の実施例の眼鏡用多焦点レンズの一方のレンズを断面図にて模式的に示している。
なお、本例では、使用者側(ユーザー側、着用者側、眼球側)からみて、左側を左、右
側を右として説明する。また、以下において左眼用レンズ10Lおよび右眼用レンズ10
Rに共通する構成については眼鏡用レンズ10として説明する。左眼用のレンズ10Lお
よび右眼用のレンズ10Rは基本的には左右対称の構成である。
この眼鏡1は、左眼用および右眼用の左右一対の眼鏡用レンズ10Lおよび10Rと、
レンズ10Lおよび10Rをそれぞれ装着した眼鏡フレーム20とを有している。眼鏡用
レンズ10(10Lおよび10R)は、それぞれ、眼鏡用多焦点レンズ、より具体的には
、累進多焦点レンズ(累進屈折力レンズ)である。眼鏡用レンズ10の基本的な形状は物
体側に凸のメニスカスレンズである。眼鏡用レンズ10は、物体側の面(凸面、以下外面
ともいう)19Aと、眼球側(使用者側)の面(凹面、以下内面ともいう)19Bとを含
む。
眼鏡用レンズ10は内面累進レンズであり、内面19Bは、上方に遠距離の物を見るた
めの視野部分である遠用部11を含み、下方に遠用部11と異なる度数(屈折力)の近距
離の物を見るための視野部分である近用部12を含む。さらに、眼鏡用レンズ10の内面
19Bは、これら遠用部11と近用部12とを連続的に屈折力が変化するように連結する
中間部(累進部分)13を含む。
従来の内面累進レンズや外面累進レンズでは、近用部を通して見る像の倍率が遠用部を
通して見る像の倍率よりも大きいので、中間部を通して見る像は、近用部側がより水平方
向に伸ばされる。このため、正方形の像が上底よりも下底が長い台形に見える。PCの画
面など、眼鏡をかけた状態で長時間にわたり見るものが中間部13を通して得られる像で
あることは多い。このとき、中間部を通して得られる像が台形に見え、像がひずむ印象を
与える要因となり、眼鏡の装用感が低下する。
すなわち、眼鏡レンズの倍率Mは近似的に以下の式で表わされる。
M = Ms×Mp・・・(8)
ここで、Msはシェープ・ファクター、Mpはパワー・ファクターと呼ばれる。レンズ
基材の屈折率をn、レンズの物体側の面のベースカーブ(面屈折力)をD(ディオプトリ
、ディオプタ)、レンズの眼球側の面の頂点(内側頂点)から眼球までの距離をL、内側
頂点の屈折力(内側頂点屈折力)をP(度数S)、レンズ中心の厚みをtとすると、Mp
およびMsは、以下のように表される。
Ms = 1/(1−D×t/n) ・・・(9)
Mp = 1/(1−L×P) ・・・(10)
なお、式(9)および(10)の計算にあたっては、ベースカーブDおよび内側頂点屈
折力Pについてはディオプトリ(D)を、また、厚みtおよび距離Lについてはメートル
(m)を用いる。
したがって、式(8)は、以下のようになる。
M={1/(1−D×t/n)}×{1/(1−L×P)}・・・(8)
この式(8)からわかるように、屈折力Pが大きくなると倍率Mも大きくなり、加入度
が加わる近用部12の方が像の倍率Mが大きくなる。
遠用部11と近用部12との倍率差を低減する両面累進レンズを用いた眼鏡においては
、遠用部11のベースカーブに対して近用部12のベースカーブを小さくすることにより
中間部13を通して得られる像が台形に見えたり、像の倍率が変化したりすることを軽減
しようとしている。しかしながら、近用部12の断面形状を眼鏡用レンズに適したメニス
カスレンズの状態を維持するために相対的に遠用部11のベースカーブを大きくする必要
があり、結果的に眼鏡用レンズの凸面高さ(サグ値)が大きく、内面累進レンズや外面累
進レンズと比べてレンズが厚くなる。このため、眼鏡の装着感をさらに改善するためには
凸面高さが小さく、中間部13における像の倍率変化の少ない眼鏡用レンズが求められて
いる。
図3に、本発明の実施形態に係る眼鏡用レンズ10の外面(物体側の面)19Aおよび
内面(使用者側の面、眼球側の面)19Bの垂直基準線Yに沿った面屈折力(平均面屈折
力)の変化を示している。この眼鏡用レンズの処方10は、度数Sが+3.00、加入度
addが2.00である。また、レンズ基材の屈折率は1.67であり、中心厚は1.1
mm以上、縁厚は0.5mm以上、中心厚+縁厚は3.2mm以上となるように設計され
たものである。た、内面19Bがいずれの箇所においても凸とならない条件で、外面19
Aの面屈折力が最も小さくなる、すなわち、薄型となるように設計している。
垂直基準線Yは、図2に示すように眼鏡用レンズ10のアイポイント(フィッティング
ポイント)Peを通る垂直な基準線であり、アイポイントPeを原点(0点)として上方
が正、下方が負の垂直座標の基準線である。なお、眼鏡用レンズ10の垂直方向の基準線
として、遠方視・中間視・近方視をするときに視野の中心となるレンズ上の位置を結んだ
主注視線(主子午線)Y´が用いられることがある。
図3の実線が、眼鏡用レンズ10の外面19Aの平均面屈折力の変化を示し、破線が内
面19Bの平均面屈折力の変化を示している。この眼鏡用レンズ10は内面累進レンズで
あり、内面19Bは、主に遠距離の物体を見るときに使用する遠用部11と、主に近距離
の物体を見るときに使用する近用部12と、遠用部11と近用部12との間で徐々に度数
が変化する中間部13を含む。
眼鏡用レンズ10の外面(物体側の面)19Aは、平均面屈折力が第1の値D1の第1
の領域21と、平均面屈折力が第2の値D2の第2の領域22と、第1の領域21と第2
の領域22との間で、平均面屈折力が第1の値D1から第3の値D3に増加し、第3の値
D3から第2の値D2に減少する第3の領域23とを含む。外面19Aの第1の領域21
は内面19Bの遠用部11の一部と対面し、第2の領域22は近用部12と対面している
。外面19Aの第3の領域23は、第1の領域21および第2の領域22の間で、内面1
9Bの遠用部11の下側と中間部13とに対面している。
この眼鏡用レンズ10において、第1の値D1および第2の値D2は5D(ディオプタ
)であり、第3の値D3は7Dである。また、アイポイントPe(Y=0)に対して、第
1の領域21と第3の領域23との境界点(第1ポイント)P1のY座標Yaは4(Ya
=4)であり、第3の領域23において平均面屈折力が極大値(第3の値)D3となる点
(第3ポイント)P3のY座標Ycは−4(Yc=−4)であり、第3の領域23と第2
の領域22との境界点(第2ポイント)P2のY座標Ybは−14(Yb=−14)であ
る。
内面19Bは、さらに、外面19Aの第1の領域21、第2の領域22および第3の領
域23のそれぞれに対応して、平均面屈折力が第4の値D4の第4の領域24と、平均面
屈折力が第5の値D5の第5の領域25と、第4の領域24と第5の領域25との間で平
均面屈折力が第4の値D4から第6の値D6に増加し、第6の値D6から第5の値D5に
減少する第6の領域26とを含む。また、この眼鏡用レンズ10においては、第6の領域
26に遠用部11が含まれるので、第6の領域26において第4の値D4から第6の値D
6に増加する際に、第4の値D4から第7の値D7を経て第6の値D6に達している。
この眼鏡用レンズ10において、第4の値D4は2D、第5の値D5は0D、第6の値
D6は3.2D、第7の値D7は3Dである。第4の領域24と第6の領域26との境界
点(第4ポイント)P4のY座標は第1ポイントP1のY座標Yaと同じであり、第6の
領域26において平均面屈折力が極大値(第6の値)D6となる点(第6ポイント)P6
のY座標は第3ポイントのY座標Ycと同じであり、第6の領域26と第5の領域25と
の境界点(第5ポイント)P5のY座標は第2ポイントのY座標Ybと同じである。第7
の値D7の第7ポイントP7のY座標は、遠用部11と中間部13との境界であり、この
眼鏡用レンズ10においてはアイポイントPeと同じ座標(Y=0)である。
図4は、眼鏡用レンズ10の物体側の面(外面)19A、眼球側の面(使用者側の面、
内面)19Bおよび物体側の面および眼球側の面を通して見たときの収差分布および等価
球面度数分布を示している。
図3に示すように、この眼鏡用レンズ10の第3の領域23に注目すると、まず、遠用
部11の内部にある第1ポイントP1から遠用部11と中間部13との境界である第7ポ
イントP7(アイポイントPe)までの範囲23aにおいては、度数Sが変わらず、外面
19Aの面屈折力(ベースカーブ)Dが増加(曲率が増加、曲率半径が減少)する。した
がって、式(8)によれば、像の倍率が徐々に増加する。
第7ポイントP7から、ベースカーブが最大になる第3ポイントP3までの範囲23b
においては、中間部13になるので度数Sが徐々に増加し、ベースカーブDが徐々に増加
する。したがって、像の倍率の増加傾向が大きくなる。
第3ポイントP3から、近用部12との境界である第2ポイントP2までの範囲23c
においては、度数Sが徐々に増加し、ベースカーブDが徐々に減少する。したがって、こ
の範囲23cにおいては、像の倍率の変化が抑制される。このため、ベースカーブDが最
大となる第6ポイントP6から第2ポイントP2の範囲23cでPCの画面などが見られ
るようにすれば、画面の変形、ゆれなどを抑制できる。
したがって、第1ポイントP1の座標Ya、第2ポイントP2の座標Ybおよび第3ポ
イントP3の座標Ycは以下の条件を満たすことが望ましい。なお、以下の式において単
位はmmである。
Ya>Yc>Yb・・・(1)
(1)式の条件は、ベースカーブDがピークとなる第3ポイントP3が遠用部11と中
間部13との境界P1と、中間部13と近用部12との境界P2との間に位置することを
示す。
境界点(第1ポイント)P1が下にあるほど、レンズを薄型にしやすい。一方、上述し
たように第3の領域の第3ポイントP3と第2ポイントP2との間23cが像の倍率変化
が小さい部分であり、第1ポイントP1がアイポイントPeに近いと、像の倍率変化の小
さな部分23cを広く確保しにくい。したがって、第1ポイントP1は以下(2)式の条
件を満たすことが好ましい。
Ya≦15・・・(2)
第1ポイントP1はさらに以下の条件を満たすことが望ましい。
0≦Ya≦15・・・(2´)
第3ポイントP3と第2ポイントP2との間23cの像の倍率変化が小さいので、PC
の画面を見るのに好適な眼鏡用レンズ10にするためには、第3ポイントP3がPCの画
面の上端近傍を見る位置となり、第2ポイントP2がPCの画面の下端近傍を見る位置と
なることが好ましい。このため、それぞれの座標YcおよびYbは以下(3)式および(
4)式の条件を満たすことが望ましい。
−5≦Yc≦10・・・(3)
−25≦Yb≦−5・・・(4)
また、第1ポイントP1と第3ポイントP3との間23aおよび23bは、上述したよ
うに像の倍率変化の傾向が比較的大きくなる領域であり、領域23aおよび23bの長さ
が短すぎると像の倍率変化の傾向が大きくなり、見にくくなる。一方、領域23aおよび
23bの長さが長すぎると、PCの画面を見るのに適した第3ポイントP3と第2ポイン
トP2との間の領域23cの長さが短くなる。したがって、第1ポイントP1の座標Ya
、第3ポイントP3の座標Yc、第2ポイントP2の座標Ybは、以下(5)式および(
6)式の条件を満たすことが好ましい。
Ya−Yc≧4・・・(5)
Yc−Yb≧10・・・(6)
第3ポイントP3におけるベースカーブDの値D3は、領域23cにおけるベースカー
ブDの値D3から値D2への変化が、度数Sの増加による像の倍率変化を抑制できる程度
に確保できる値であればよい。具体的には、以下の(7)式の条件を満たすことが望まし
い。
MAX(D1、D2)+1≦D3≦(n−1)/0.015・・・(7)
すなわち、第3の値D3は、第1の値D1および第2の値D2よりも1D以上大きくな
らないと、ベースカーブDの増加および減少を伴う第3の領域23が形成できない。第3
の値D3の最大値は、以下のように眼鏡用レンズとしての幅を確保することで決定できる
まず、累進屈折力レンズを用いた眼鏡においては、フレームの天地幅を30mm以上と
することが推奨されている。この際、物体側の面の曲率半径を15mm以下とすると、必
要なフレーム径を確保できなくなるおそれがある。したがって、第3の値D3がとりうる
最大値Dmaxは以下(11)式を満たすようにすることが好ましい。単位はディオプタ
である。
Dmax=(n−1)/r=(n−1)/0.015・・・(11)
ここで、nはレンズ素材の屈折率、rは物体側の面の曲率半径(m)である。
上記(11)式において、レンズ素材の屈折率nを1.662とすると、最大値Dma
xは以下(12)式になる。
Dmax=(1.662−1)×1000/15≒44.13(D)・・・(12)
本例の眼鏡用レンズ10は上記の条件(1)〜(7)を満たしている。
図5に、本例の眼鏡用レンズ10の外面19Aおよび19Bの平均面屈折力の変化(図
5(a))を、比較例1(内面累進レンズ)(図5(b))と、比較例2(両面累進レン
ズ、物体側の面の面加入度をマイナスとしたもの(外面逆加入)(図5(c))と比較し
て示している。これらの眼鏡用レンズは、図6に実施例、比較例1および比較例2の設計
条件を示すように、眼鏡仕様が同一のレンズである。
図7は、実施例の眼鏡用レンズ、および比較例1〜2の眼鏡用レンズのそれぞれについ
て、第3ポイントP3における倍率と、第2ポイントP2における倍率と、倍率差とを纏
めて示している。この図からわかるように、実施例の眼鏡用レンズ10の倍率差が最も小
さく、倍率差を縮めることを1つの目的としている比較例2の両面累進レンズと比べても
、第3ポイントP3と第2ポイントP2との間の領域23cに限れば、実施例の眼鏡レン
ズ10の倍率差が最も小さい。したがって、PCの画面を見るといった用途に限定すれば
、実施例の眼鏡用レンズ10は、像が台形状に見えるといった感覚を軽減でき、装着感の
よい眼鏡を提供できる。
本例の眼鏡用レンズ10が両面累進レンズに対して倍率差が小さい1つの要因は、図5
(a)と図5(c)とを比較すると分かるように、第3の領域23においてベースカーブ
Dを増加減少させているためにピーク値(第3の値)D3の値を加入度に対して大きくで
きることである。本例の眼鏡用レンズ10であれば、ピーク値D3をさらに大きくするこ
とにより倍率差のさらに小さな眼鏡用レンズ10を提供できる。
図8は、実施例のレンズと比較例2の厚みを比較した図であって、Y座標と物体側の面
の凸面高さ(Z座標、サグ値)との関係を示している。本図に示すように、本例の眼鏡用
レンズ10に対して、比較例2の両面累進レンズは、近用部12におけるベースカーブD
を本例の眼鏡用レンズ10と同じ設計にした場合、遠用部11におけるベースカーブDの
値が大きくなる。このため、遠用部11の曲率が大きくなり、そのため、遠用部11の眼
鏡レンズの厚み(アイポイントPeに対する凸面高さ)が大きくなる。一方、本例の眼鏡
用レンズ10であれば、遠用部11のベースカーブDを近用部12と同じに設定すること
が可能であり、比較例1の内面累進レンズと同程度の厚み(凸面高さ)の眼鏡用レンズで
あって、倍率差の小さな眼鏡用レンズを提供できる。したがって、さらに装着感のよい眼
鏡1を提供できる。
なお、本例の眼鏡用レンズ10においては、遠用部11のベースカーブDと近用部12
のベースカーブDとを同一にする必要はない。したがって、設計によっては、比較例1の
内面累進レンズよりもさらに薄い(凸面高さの小さい)眼鏡用レンズを提供できる可能性
がある。
また、本例の眼鏡用レンズ10において、遠用部11を通して見た像の倍率と近用部1
2を通してみた像の倍率との差を縮めるように設計することも可能である。そのような眼
鏡用レンズは、図5(a)および(c)を合体させたような設計になり、PCの画面を見
るのに適した領域23cにおける倍率差をさらに縮小できる。しかしながら、遠用部11
の設計は比較例2の両面累進レンズと同じになるので、眼鏡用レンズ全体の凸面高さは比
較例2と同様になる。したがって、PCの画面を見るのに適した領域23cの倍率差の軽
減効果に対して眼鏡用レンズの厚みを薄くできるという効果は奏するが、全体の凸面高さ
は比較例2とほぼ同じになる可能性がある。
図9は、眼鏡用レンズ10の設計および製造方法の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップ51において、眼鏡処方より、内面19Bの遠用部11と近用部12の平
均面屈折力を含む内面累進面の基本的な形状を決める。ステップ52において、眼鏡処方
(眼鏡仕様)と用途などの条件(処方)に基づいて外面19Aの上端(第1ポイント)P
1、極大値をとる点(第3ポイント)P3および下端(第2ポイント)P2の座標を決め
る。そして、ステップ53において、ステップ51で決めた内面19Bの平均面屈折力に
対して第3の領域23、特に、像の倍率差を小さくしたい領域23cにおける倍率差を考
慮して外面19AのベースカーブDの形状を決定する。
さらに、ステップ54において外面19AのベースカーブDにしたがって、内面累進面
の性能が発揮されるように内面19Bの形状を決定する。そして、ステップ55において
、外面19Aおよび内面19Bを含む眼鏡用レンズ10を成形する。
図10は、眼鏡用レンズの設計装置70の一例の概略構成を示している。この設計装置
70は、第1ないし第3のユニット(機能)71〜73を含む。第1のユニット71は、
眼鏡処方に基づいて遠用部11および近用部12を含む累進面を設定するユニットである
。第2のユニット72は、外面19Aに第1の領域21、第2の領域22および第3の領
域23を設定し、第1の領域21の値D1と、第2の領域22の値D2と、第3の領域2
3のピークの値D3とを決める。第2のユニット72では、第1の領域21は遠用部11
に含まれ、第2の領域22は近用部12に含まれ、第3の領域23は中間部(累進部)1
3を含むように領域を設定する。
第3のユニット73は、上述のように設計された眼鏡用レンズ10Lおよび10Rを、
装着者(ユーザー)が通して見た様子をシミュレーションするユニットである。このユニ
ット73の一例は画像表示装置であり、ヘッドマウントディスプレイなどを用いて左右の
倍率差が縮小された矯正視力を仮想的に体験することができる。
この設計装置70を用いることにより、ユーザーは、眼鏡の販売店において、ユーザー
が望む用途において主に見る像の歪やゆれの度合いを体験できる。したがって、この設計
装置70を用いることにより、上述のように設計された眼鏡1によって快適な視野が得ら
れることをユーザーが体験できる。
なお、本実施形態では、眼鏡用累進多焦点(累進屈折力)レンズを例にとって説明した
が、本発明は、累進多焦点レンズに限定されるものではない。本発明は、二重焦点(バイ
フォーカル)レンズや、さらに中間度数を付けた三重焦点(トライフォーカル)レンズな
どにも適用可能である。
1 眼鏡、10、10L、10R 眼鏡用レンズ
11 遠用部、 12 近用部、13 中間部(累進部分)
21 第1の領域、 22 第2の領域、 23 第3の領域
19A 物体側の面、 19B 眼球側の面
20 フレーム、 70 眼鏡用レンズの設計装置

Claims (1)

  1. 物体側の面が、
    主注視線または垂直基準線に沿った平均面屈折力が第1の値の第1の領域と、
    前記平均面屈折力が第2の値の第2の領域と、
    前記第1の領域と前記第2の領域との間で、前記平均面屈折力が前記第1の値から第3の値に増加し、前記第3の値から前記第2の値に減少する第3の領域と、
    を含む眼鏡用レンズ。
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