JP2015143415A - ドアチェック装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】任意の開度位置で大きな保持力を発生させることができる簡易な構成のドアチェック装置を提供する。【解決手段】ドアチェック装置1は、構造体に形成された開口を開閉可能に構造体に連結したドアに取付けられたケース部材2と、構造体に連結されるとともにドアの開閉動作に応じてケース部材2に対して軸方向に相対移動するチェック棒3と、ケース部材2内に固定されたリング磁石4と、ケース部材2内に回転可能に配設されるとともに、チェック棒3の軸方向移動に伴い回転するようにチェック棒3に連結するロータ部材5と、を備える。ロータ部材5は磁性部材を含む。ロータ部材5が回転したときにリング磁石4の磁束を磁性部材が横切るように、リング磁石4及びロータ部材5がケース部材2内に配設される。【選択図】図3A

Description

本発明は、ドアチェック装置に関する。
ドアチェック装置は、ドアの開閉動作に対する抵抗力(以下、この力を保持力と呼ぶ)を発生するように構成される。保持力よりも強い開閉操作力をドアに入力することによりドアが開閉する。ドアチェック装置は例えば車両に搭載される。この場合、ドアチェック装置は、乗員の乗降りのための開口を有する車体と、その開口を開閉可能なように車体に取り付けられる車両ドアとの間に設けられる。車両にドアチェック装置を搭載することによって、例えば坂道にて車両ドアを所定の開度で開放している時に車両ドアが意に反して閉じてしまったり、或いは風などに煽られて車両ドアが所望の開度からさらに大きく開いてしまう等の、車両ドアの意に反する開閉動作が防止できる。
車両に適用される一般的なドアチェック装置は、車両ドアが所定の開度で開いているときに大きな保持力を発生するように構成され、それ以外の開度で開いているときに発生する保持力は小さい。例えば車両ドアの開度が30°および60°であるときに大きな保持力が発生するようにドアチェック装置が構成される。しかし、乗員の体格、車両の周囲環境(例えば隣接する車両との間の距離)により、大きな保持力を発生させるべき最適な開度は異なる。そこで、ユーザが車両ドアの開閉動作を停止した任意の開度位置で大きな保持力を発生させることができるドアチェック装置が求められる。
特許文献1は、ドアの開閉動作が任意の開度位置で停止しているときに大きな保持力を発生させることができるドアチェック装置を開示する。このドアチェック装置は、内部に流体が封入されたシリンダと、シリンダ内に配設されるピストンと、シリンダ内に挿通されるとともにピストンに連結されたロッドと、ピストン内部に設けられたバルブユニットとを備える。バルブユニットが閉弁することによりピストンを経由したシリンダ内の流体の流通が遮断され、開弁することにより流体の流通が許可される。ロッドはドアの開閉動作に伴って軸方向移動できるように構成される。ドアを開閉させる場合は、バルブユニットの開弁圧(保持力)よりも大きな力でドアを開閉させる。開弁圧よりも大きな力でドアを開閉させた場合、ロッドが軸方向移動するとともにピストンがシリンダ内で移動する。ピストンの移動によりシリンダ部材内の流体圧が開弁圧を上回ってバルブユニットが開弁作動する。これによりシリンダ内部の流体が流通して流体圧が低下するため、ドアがスムーズに開閉する。任意の開度位置でドアの開閉動作を停止した場合、バルブユニットが閉弁作動するため再びシリンダ内の流体の流通が遮断される。これにより、ドアチェック装置は再び開弁圧に相当する大きな保持力を発生する。
特許文献2は、2個の円板状の磁石を並列配置し、磁石同士の吸引力と反発力を利用することによって、2個の円板状磁石の相対回転に対する抵抗力を発生するように構成された磁気式ロータリダンパを開示する。この磁気式ロータリダンパをドアチェック装置に適用することにより、ドアが所定の開度位置であるときに大きな抵抗力が保持力としてドアに作用する。ドアの一回の開閉動作当たりに大きな抵抗力を発生する頻度を増やすことにより、擬似的に、任意の開度位置で大きな保持力が発生するドアチェック装置を構成することができる。
特許文献3は、チェック棒に接触するチェックガイドに永久磁石が設けられるとともに、チェックガイドを収容するチェックケースに電磁石が設けられたドアチェック装置を開示する。ドアが任意の開度位置であるときに電磁石に通電することで、電磁石と磁石との間に斥力が発生する。発生した斥力がドアの保持力として働く。
特許第4048158号 特開2005−265174号公報 実開平6−49128号公報
(発明が解決しようとする課題)
上記特許文献1に記載のドアチェック装置は、バルブユニット、シリンダ、ピストン等、多くの構成部品を必要とし、またシリンダ内に流体のシール構造等を設けなければならないため、複雑な構造であり、且つ大型で重量も大きい。したがって、製造コストが高い。また、特許文献2に記載の磁石式ロータリダンパは、2つの磁石を用いるため磁石に要するコストが高い。また、特許文献3に記載のドアチェック装置は通電制御が必要であるため製造コストが高い。
本発明は、簡易な構成で、任意の開度位置で大きな保持力を発生させることができるように構成されたドアチェック装置を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明は、構造体(B)に形成された開口(OP)を開閉可能に構造体に連結したドア(DR)に取付けられたケース部材(2)と、構造体に連結されるとともにドアの開閉動作に応じてケース部材に対して軸方向に相対移動するチェック棒(3)と、ケース部材内に固定されたステータ部材(4)と、ケース部材内に回転可能に配設されるとともに、チェック棒の軸方向移動に伴い回転するようにチェック棒に連結するロータ部材(5)と、を備え、ステータ部材及びロータ部材のいずれか一方が磁石(4)を含むとともにいずれか他方が磁性体(52)を含み、ロータ部材が回転したときに磁石の磁束を磁性体が横切るように、ステータ部材及びロータ部材がケース部材内に配設されている、ドアチェック装置を提供する。
本発明によれば、ドアの開閉動作に応じてチェック棒がケース部材に対して相対的に軸方向移動すると、チェック棒に作動的に連結したロータ部材がケース部材内で回転する。このときロータ部材及びステータ部材のいずれか一方に設けられる磁石の磁束を、いずれか他方に設けられる磁性体が横切るように、磁性体が磁石に対して相対的に動作する。磁性体が磁束を横切ることにより、磁性体を通過する磁束量が変化する。磁性体を通過する磁束量の変化に起因して、ロータ部材が1回転するごとに磁性体の動作に対する反力が繰り返し発生する。発生した反力がロータ部材の回転に対して大きな抵抗力としてロータ部材に作用する。斯かる抵抗力が保持力としてドアに作用する。
また、チェック棒の軸方向移動に対してロータ部材が複数回転するように、チェック棒の直線移動動作をロータ部材の回転動作に変換することにより、一連のドアの開閉動作に対して複数回の反力のピークを発生させることができる。反力のピークの発生頻度を増やすことで、擬似的に、ドアが任意の開度位置で停止しているときに大きな保持力を発生させることができる。
このように、本発明に係るドアチェック装置は、ロータ部材の回転時にロータ部材とステータ部材のいずれか一方に設けられた磁性体がいずれか他方に設けられた磁石の磁束を横切るように、ロータ部材及びステータ部材をケース部材内に配設するといった簡単な構造であり、且つ、任意の開度位置で大きな保持力を発生させることができる。また、保持力を発生させるために二つの磁石を必要としないことから、磁石に要するコストを低減でき、ひいてはドアチェック装置の製造コストを削減することができる。加えて本発明に係るドアチェック装置は、磁力によりステータ部材とロータ部材が非接触状態を維持したまま保持力を発生するように構成されているので、作動音等の異音が発生せず、構成部品が摩耗により劣化することもなく、且つ、湿度、濡れ等により保持力が変動することもない。よって、様々な環境の変化に耐え得るドアチェック装置を提供することができる。
本発明において、「磁束を磁性体が横切る」とは、磁石に対する磁性体の相対的な動作によって、磁性体に新たに磁束が進入し、或いは磁性体から磁束が退出するように磁性体が動作し、磁性体内を通過する磁束が増減することを言う。従って、磁束の方向に垂直な方向に沿って磁性体が動作している場合であっても、その磁性体に新たに磁束が進入しなければ、磁性体が磁束を横切るとは言わない。例えば磁束に垂直な方向に沿ってリング状の磁性体が回転しているだけでは、磁性体が磁束を横切るとは言わない。
チェック棒の軸方向移動に伴いロータ部材を作動的に回転させるために、スクリュー・ナット機構或いはラックアンドピニオン機構が採用されても良い。スクリュー・ナット機構を採用する場合、例えばチェック棒に雄ネジが形成されるとともにロータ部材には雄ネジに螺合する雌ネジが形成される。また、ラックアンドピニオン機構を採用する場合、例えばチェック棒にはラック歯が形成され、ラック歯に噛合するピニオンギアと同軸且つ一体回転可能にロータ部材がピニオンギアに連結される。このような、直線運動を回転運動に変換する変換部材は、チェック棒及びロータ部材に直に形成されていてもよいし、チェック棒とロータ部材との間に介在されていてもよい。
また、本発明において、磁石は、ロータ部材が回転するにつれて磁性体に対面する位置が変化するとともに対面位置における磁極が交互に変化するように、磁性体に対面配置されているとよい。これによれば、ロータ部材の回転に伴って磁石と磁性体との対面位置が変化することにより、磁性体が磁石の磁束を横切るように磁石に対して相対的に動作する。
また、本発明においては、ステータ部材が磁石を含み、ロータ部材が磁性体を含むように構成されてもよい。この場合、ステータ部材は、リング状に形成されるとともに、周方向に沿って等間隔に且つ交互に磁極が変化するように構成されたリング磁石(4)を有するのがよい。また、ロータ部材は、リング磁石の内周側に配設され、リング磁石の内周面(4a)に対面する外周面(51a)を有するとともに非磁性材料で形成された円柱状のロータボディ(51)を有するのがよい。そして、ロータボディの外周面に磁性体(52)が取付けられているのがよい。
これによれば、ロータボディとともにロータボディの外周面に取付けられた磁性体が回転すると、磁性体とリング磁石の内周面との対面状態が変化する。リング磁石は周方向に沿って磁極が交互に且つ等間隔に変化するように構成されているので、磁性体はリング磁石の磁束を横切るように回転動作する。このためロータ部材が1回転するごとに磁性体の回転動作に対する反力が発生する。発生した反力のピークがロータ部材の回転に対する抵抗として作用する結果、大きな保持力が発生する。
さらにこの場合、複数の磁性体が、ロータボディの周方向に沿って間歇的に且つ等間隔にロータボディに取付けられているとよい。そして、複数の磁性体の取付角度が、リング磁石の周方向に沿って磁極が変化しない領域を表す磁極角度に一致するように、複数の磁性体がロータボディに取付けられているとよい。これによれば、ロータボディの回転に伴って、複数の磁性体がそれぞれ同時にリング磁石の磁束を横切る。得られる保持力の大きさは各磁性体についてそれぞれ発生する反力の和により表される。つまり、リング磁石の磁束を横切る磁性体の数が多いほど保持力は大きい。従って、複数の磁性体をロータボディに取付けておくことにより、より大きな保持力を発生させることができる。また、ロータ部材が1回転する間に、リング状磁石の周方向に沿って変化する磁極の個数と同じ回数の反力のピークを発生させることができるため、より反力のピークの発生頻度を増やすことができる。これにより、確実に、ドアの任意の開度位置にて大きな保持力を発生させることができる。
上記において、「磁性体の取付角度」とは、ロータボディの外周面に取付けられている一つの磁性体の取付位置とその磁性体に隣接してロータボディの外周面に取付けられている磁性体の取付位置とを結ぶロータボディの外周円弧を有する扇形の中心角である。この取付角度は、1回転を表す360°を磁性体の個数で除すことにより求めることができる。例えば、ロータ部材の周方向に沿って、等間隔に4つの磁性体が取付けられている場合、磁性体の取付角度は90°である。
また、上記において、「磁極角度」とは、リング磁石の周方向に沿って磁極が変化しない領域を表し、この角度はリング磁石の周方向に亘り連続して形成された同一の磁極領域により形成される円弧を有する扇形の中心角に等しい。この角度は、1回転を表す360°を、リング磁石の周方向に沿って形成されている磁極数で除すことにより求めることができる。例えば、リング磁石が周方向に沿って4つの磁極(N極、S極、N極、S極)を持つ場合、磁極角度は90°である。
また、ステータ部材は、リング状に形成され、周方向に沿って等間隔に且つ交互に磁極が変化するとともに同一の磁極が2箇所以上存在するように構成されたリング磁石を有し、磁性体は、リング磁石の内周側に配置されるとともにリング磁石の内周面のうち同一の磁極を構成する部分に対面配置した複数の羽部を有するように構成してもよい。これによれば、磁性体が回転すると、磁性体の羽部とリング磁石の内周面との対面状態が変化する。リング磁石は周方向に沿って磁極が交互に且つ等間隔に変化するように構成されているので、磁性体の複数の羽部は常に同じ磁極に対面するように回転する。また、それぞれの羽部がリング磁石の磁束を横切るように回転動作する。このためロータ部材が1回転するごとに、リング磁石の周方向に沿って変化する磁極の個数と同じ回数の反力のピークが発生する。発生した反力のピークが大きな保持力として働く。
また、ステータ部材は、周方向に沿って等間隔に且つ交互に磁極が変化するリング状或いは円板状に形成されたリング状磁石を有し、ロータ部材は、リング状磁石の外周面(4b)の一部に対面配置する第1磁性体(711)と、リング状磁石の外周面の他の一部に対面配置するとともにリング状磁石を挟んで第1磁性体に対向配置する第2磁性体(712)と、第1磁性体及び第2磁性体に連結されるとともに第1磁性体及び第2磁性体を共にリング状磁石に接近する方向に付勢する付勢部材(72)とを有する磁性体ユニット(7)を有するように構成してもよい。そして、磁性体ユニットは、リング状磁石を中心として回転可能であるとともに、回転遠心力により第1磁性体及び第2磁性体がリング状磁石から離間する方向に移動するように構成されるとよい。
これによれば、ロータ部材の回転に伴い磁性体ユニットがリング状磁石を中心として回転すると、第1磁性体とリング状磁石の外周面との対面状態及び第2磁性体とリング状磁石の外周面との対面状態が変化する。リング状磁石は周方向に沿って磁極が交互に且つ等間隔に変化するように構成されているので、これらの磁性体はリング状磁石の磁束を横切るように回転動作する。このため磁性体ユニットが1回転するごとに磁性体ユニットの回転動作に対する反力が発生する。発生した反力のピークが大きな保持力として働く。また、磁性体ユニットが回転することにより回転遠心力が発生し、この回転遠心力によって、第1磁性体及び第2磁性体がリング状磁石から遠ざかるように移動する。したがって、ドアの開閉動作中、つまりロータ部材の回転中における第1磁性体及び第2磁性体へのリング状磁石の磁束の影響を小さくすることができる。このため、ドアの開閉動作中に大きな保持力が発生することを防止できる。
ドアチェック装置が搭載される車両の概略図である。 図1のA部詳細図である。 第1実施形態に係るドアチェック装置の分解斜視図である。 第1実施形態に係るドアチェック装置の側面図である。 第1実施形態に係るドアチェック装置の正面図である。 図3CのA−A断面図である。 図3DのB−B断面図である。 リング磁石の正面図である。 ロータ部材の断面図である。 ケース部材内におけるリング磁石とロータ部材との配設状態を示す図である。 リング磁石と磁性部材の対面状態の変化を示す図である。 リング磁石からロータ部材に作用する力と回転角度φとの関係を示すグラフと、回転角度φが0°、22.5°、45°、77.5°、90°であるときにおけるリング磁石と磁性部材との対面状態と示す図である 車両ドアの開度と保持力との関係を示すグラフである。 第2実施形態に係るドアチェック装置の側面図である。 第2実施形態に係るドアチェック装置の平面図である。 図10AのA−A断面図である。 図10BのB−B断面図である。 図10CのC−C断面図である。 変形例に係るロータ部材を示す図である。 他の変形例に係るロータ部材を示す図である。 ロータ部材の回転角と保持力との関係を示すグラフである。 第3実施形態に係るドアチェック装置の平面図である。 ケース部材及びケース部材に収納される各部品の分解斜視図である。 図11に示すケース部材のA−A断面図である。 図13AのB−B断面図である。 図13AのC−C断面図である。 第3実施形態に係るリング磁石を示す図である。 磁性体ユニットとリング磁石との対面状態の変化を示す図である。 磁性部材がロータ部材の回転平面における径方向外方に移動した状態を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1はドアチェック装置が搭載される車両の概略図である。図1に示す車両Vは車体B(構造体)および車両ドアDRを備える。車体Bの側方部に乗降用の開口OPが形成される。開口OPの車両前方の縁部(前縁部)FEに一対のドアヒンジH,Hが上下方向に沿って取り付けられる。一対のドアヒンジH,Hを介して車両ドアDRが車体Bに揺動可能に連結される。従って、車両ドアDRは車体Bに形成された開口OPを開閉可能に車体Bに取り付けられる。
図2は図1のA部を詳細に示す図である。図2に示すように、一対のドアヒンジH,Hはそれぞれ同軸のヒンジ軸H1、H1を備える。車両ドアDRの開閉時に車両ドアDRはヒンジ軸H1,H1を中心として車体Bに対して揺動する。また、前縁部FEにブラケットBRがボルト等の締結手段により固定される。このブラケットBRにピンPを介して、本実施形態に係るドアチェック装置の構成要素であるチェック棒3の一方端が連結される。一方端が車体Bに揺動可能に連結されたチェック棒3は、車両ドアDRの全閉時に車体Bの前縁部FEに対面する部分である車両ドアDRの前端部DEに形成された孔Sを経由して、車両ドアDR内に延出される。
(第1実施形態)
図3Aは、第1実施形態に係るドアチェック装置1の分解斜視図、図3Bはドアチェック装置1の側面図、図3Cはドアチェック装置1の正面図、図3Dは図3CのA−A断面図、図3Eは図3DのB−B断面図である。このドアチェック装置1は、車体Bと車両ドアDRとの間に設けられ、車両ドアDRが任意の開度位置であるときに大きな保持力を発生するように構成される。
本実施形態に係るドアチェック装置1は、ケース部材2と、チェック棒3と、リング磁石4と、ロータ部材5と、を備える。図3A及び図3Dに示すように、ケース部材2は、ケース本体2aと、カバー2bと、前側抑えプレート2cと、後側抑えプレート2dとを備える。ケース本体2aは一方端が開口した有底円筒形状をなし、底面に円孔が形成される。カバー2bはプレート状に形成され、ケース本体2aの開口に被せられて締結部材でケース本体2aに締結される。カバー2bの中央にも円孔が形成される。前側抑えプレート2cはカバー2bに外方から被せられるとともに締結部材でカバー2bに固定される。前側抑えプレート2cの中央にも円孔が形成される。後側抑えプレート2dはケース本体2aの底面に外方から被せられるとともに締結部材でケース本体2aに固定される。後側抑えプレート2dの中央にも円孔が形成される。これらの構成部品(ケース本体2a、カバー2b、前側抑えプレート2c、後側抑えプレート2d)が組み付けられて内部が中空のケース部材2を構成したときに、各構成部品に形成されている円孔が同軸配置する。同軸配置したこれらの円孔を通ってチェック棒3がケース部材2内に挿通される。
上述したように、チェック棒3は、その一方端にて車体Bに揺動可能に連結される。また、チェック棒3は車両ドアDR内に延出されるとともに車両ドアDR内でケース部材2内に挿通される。チェック棒3の他方端は自由端であり、ケース部材2から延出される。チェック棒3は、車両ドアDRが開閉したときに車体Bに対して揺動するとともにケース部材2に対して軸方向に相対移動する。本実施形態において、チェック棒3は丸棒状に形成され、その側周面には雄ネジ3aが形成されている。なお、車両ドアDRの開閉時におけるチェック棒3の揺動中心位置と車両ドアDRの揺動中心位置は異なるので、車両ドアDRが開閉した場合にチェック棒3が車両ドアDRに対して揺動しながら軸方向移動する。このため、チェック棒3の車両ドアDRに対する揺動に伴ってケース部材2もチェック棒3とともに揺動できるように、ケース部材2は車両ドアDRに揺動可能に取り付けられているとよい。
図3D及び図3Eに示すように、ケース部材2内にステータ部材としてのリング磁石4が配設される。リング磁石4はリング形状に形成された永久磁石である。リング磁石4の外周面がケース本体2aの内周壁に固着される。なお、ステータ部材は、リング磁石4のみで構成されていてもよいし、リング磁石4及びその他の部品を含んで構成されていてもよい。
図4はリング磁石4の正面図である。図4に示すように、リング磁石4は、周方向に沿って90°間隔で交互に磁極が変化するように構成されている。すなわち、リング磁石4の周方向に沿って4つの磁極が形成され、磁極が変化しない領域を表す角度(磁極角度)Mは90°である。したがって、リング磁石4の内周面4aは4つの磁極面(2つのN極面及び2つのS極面)により構成される。リング磁石4の内周面4aのうちN極面から生じる磁束は、リング磁石4の内周空間を通って両隣のS極面に進入する。
図3D及び図3Eに良く示すように、ケース部材2内にてリング磁石4の内周側にロータ部材5が配設される。図5は、図3Eに表わされるロータ部材5の断面図である。図5に示すように、ロータ部材5は、非磁性材料の樹脂で形成されたロータボディ51と、磁性材料で形成された複数(本実施形態では4個)の磁性部材52(磁性体)を有する。ロータボディ51は略円柱形状に形成される。ロータボディ51の両端面の中央を貫通するように、ロータボディ51の軸方向に沿ってネジ孔51aが形成される。ケース部材2内にてこのネジ孔51aにチェック棒3が挿通されるとともにネジ孔51aの内壁に形成された雌ネジにチェック棒3の雄ネジ3aが螺合する。従って、チェック棒3が軸方向移動すると、ケース部材2内でロータ部材5が回転する。すなわち、チェック棒3とロータ部材5とによって、直線運動を回転運動に変換するスクリュー・ナット機構が構成される。
図3Dに示すように、ロータ部材5のロータボディ51の両端部分の外周に一対のベアリング9,9がそれぞれ取り付けられており、一対のベアリング9,9を介してロータ部材5がケース本体2a及びカバー2bに取り付けられている。このようにして、ロータ部材5が回転可能にケース部材2内に配設される。
図5に示すように、ロータボディ51の外周面51bには周方向に沿って等間隔(90°間隔)に4つの平坦面が形成されており、それぞれの平坦面上に磁性部材52が取付けられる。磁性部材52は強磁性体材料により構成されるのがよい。磁性部材52は固定部52aとコア部52bとを有し、図5に示す方向から見てT字形状を呈する。固定部52aはピン等によりロータボディ51に固定されるとともにロータボディ51との固定部位からロータボディ51の径外方に延設される。コア部52bは固定部52aに接続されてロータボディ51の外周面51bに露出するとともにロータボディ51の周方向に延設される。このようなT字形状の磁性部材52がロータボディ51の外周面51bに取り付けられる。コア部52bの外周面は、ロータボディ51の外周面51bの曲率半径と同一の曲率半径を持つ円弧状に形成される。本実施形態では、4つの磁性部材52がロータボディ51の周方向に沿って間歇的にロータボディ51の外周面51bに取り付けられる。従って、ロータ部材5の外周面は、磁性部材52のコア部52bにより構成される磁性面と、ロータボディ51により構成される非磁性面を有し、周方向に沿って磁性面と非磁性面が交互に形成される。
図6は、ケース部材2内におけるリング磁石4とロータ部材5との配設状態を示す図である。図6に示すように、リング磁石4とロータ部材5は同心状に配置される。ロータボディ51はリング磁石4の内周側に配設され、その外周面51bがリング磁石4の内周面4aに僅かな隙間を隔てて対面する。また、ロータボディ51の外周面51bに取付けられている複数の磁性部材52の外周面も、リング磁石4の内周面4aに僅かな隙間を隔てて対面する。したがって、磁性部材52の外周面が磁極対向面521を形成し、この磁極対向面521がリング磁石4の磁極面に対面する。リング磁石4に対してロータ部材5が回転すると、磁極対向面521とリング磁石4の内周面(磁極面)との対面位置が変化するとともに、対面位置におけるリング磁石4の磁極(磁極面)が交互に変化する。
上述したように、リング磁石4の磁極角度Mは90°である。また、磁性部材52の取付角度(ロータボディ51の外周面51bに取付けられている一つの磁性部材52の取付位置とその磁性部材52に隣接してロータボディ51の外周面に取付けられている磁性部材52の取付位置とを結ぶロータボディ51の外周円弧を有する扇形の中心角度)Jは90°である。つまり、磁極角度Mと取付角度Jは一致する。
また、ロータボディ51の外周面51bに取り付けられた磁性部材52の配設領域を表す角度、すなわち、磁性部材52のコア部52bの外周円弧を有する扇形の中心角度、換言すれば、コア部52bの長手方向の一方端とロータボディ51の中心Oとを結ぶ線分L1とコア部52bの長手方向の他方端とロータボディ51の中心Oとを結ぶ線分L2とのなす角(以下、この角度を磁性体配設角度θと呼ぶ)は、本実施形態では45°である。磁性体配設角度θは、磁極角度Mよりも小さい角度であるのがよい。また、磁性体配設角度θは任意の角度に設定できる。例えば、磁極角度Mが90°である場合、磁性体配設角度θは30°でも良いし、60°でもよい。
上記構成のドアチェック装置1において、以下に、その作動について説明する。車両ドアDRが開閉動作すると、それに伴いチェック棒3がケース部材2に対して軸方向に相対移動する。チェック棒3が軸方向移動した場合、チェック棒3の雄ネジ3aに螺合することによりチェック棒3に作動的に連結したロータ部材5が、ステータ部材であるリング磁石4に対して相対的に回転する。ロータ部材5が回転することによってロータボディ51の外周面51bに取り付けられている複数の磁性部材52も回転動作する。上述したように磁性部材52はリング磁石4の内周面4aに対面しており、リング磁石4は周方向に沿って磁極が交互に変化するように構成されているので、磁性部材52がリング磁石4に対して相対的に回転した場合、磁性部材52がリング磁石4の磁束を横切る。なお、本実施形態では、チェック棒3に形成された雄ネジ3aのリードを調整することによって、車両ドアDRの一連の開閉動作当たりにロータ部材5が数回転〜数十回転するように構成される。
図7は、リング磁石4と磁性部材52の対面状態の変化を示す図である。リング磁石4と磁性部材52の対面状態は、図7(a)→図7(b)→図7(c)→図7(d)→図7(e)の順に変化する。
リング磁石4と磁性部材52の対面状態が図7(a)に示す状態であるとき、磁性部材52の磁極対向面521の周方向における中央部分がリング磁石4のN極面とS極面との境界位置に対面する。図7(a)に示す状態であるときに、磁束に対する磁性部材52の配置状態が最も安定する。このとき磁性部材52内を通過する磁束量が最も多い。つまり、磁性部材52内を磁束が最も通り易い。このような磁性部材52の回転位置を、「安定位置」と呼ぶ。また、磁性部材52が図7(a)に示すような回転位置にあるときにおけるロータ部材5の回転角度φを0°と定義する。
磁性部材52の回転位置が安定位置にあるときから、チェック棒3の軸方向移動に伴ってロータ部材5が一方向に回転した場合、磁性部材52とリング磁石4との対面位置が変化するとともに、磁性部材52がリング磁石4の磁束を横切るように回転するため、磁性部材52内を通過する磁束量が変化する。このとき磁性部材52の回転動作に対する反力、すなわち磁性部材52の回転位置を安定位置に戻そうとする反力が磁性部材52に作用する。これによりロータ部材5の回転に対する抵抗力がロータ部材5に働く。斯かる反力が車両ドアDRの保持力として働く。反力の大きさは、磁性部材52内を通過する磁束量の変化量(減少量)の大きさに比例する。磁性部材52内を通過する磁束量の変化量(減少量)の大きさは、磁性部材52の回転位置が図7(a)に示す安定位置から遠ざかるにつれて増大する。したがって、磁性部材52の回転位置が図7(a)に示す回転位置から遠ざかるにつれて反力が増大する。そして、ロータ部材5の回転角度φが22.5°であるときに反力の大きさがピークに達する。図7(b)は、回転角度φが22.5°であるときにおける、リング磁石4と磁性部材52の対面状態を示す。図7(b)に示す状態では、磁性部材52の磁極対向面521の周方向における一方の端部がリング磁石4のN極面とS極面との境界位置に対面する。反力の大きさがピーク値であるときにおける磁性部材52の回転位置を、本明細書では「最大反力発生位置」と呼ぶ。
磁性部材52の回転位置が最大反力発生位置であるときから、さらにロータ部材5が一方向に回転した場合、磁性部材52とリング磁石4との対面位置が変化するとともに、磁性部材52がリング磁石4の磁束を横切るように回転するため、磁性部材52内を通過する磁束量が変化する。ただし、磁束量の変化量(減少量)は減少するため、反力の大きさは小さくなる。そして、ロータ部材5の回転角度φが45°であるときに、反力の大きさは0になる。図7(c)は、回転角度φが45°であるときにおける、リング磁石4と磁性部材52の対面状態を示す。リング磁石4に対する磁性部材52のこのような回転位置を、本明細書では「中立位置」と呼ぶ。中立位置であるときに、リング磁石4の磁束は磁性部材52を最も通過し難い。
磁性部材52の回転位置が中立位置にあるときからさらにロータ部材5が一方向に回転した場合、磁性部材52とリング磁石4との対面位置が変化するとともに、磁性部材52がリング磁石4の磁束を横切るように回転するため、磁性部材52内を通過する磁束量が変化する。このときロータ部材5は、磁性部材52をより近い安定位置に引き込もうとする力をリング磁石4から受ける。つまり、磁性部材52が中立位置にあるときからロータ部材5が回転しようとすると、ロータ部材5は回転に対する推進力をリング磁石4から受ける。推進力の大きさは、磁性部材52を通過する磁束量の変化量(増加量)の大きさに比例する。磁性部材52を通過する磁束量の変化量(増加量)の大きさは、磁性部材52の回転位置が中立位置から遠ざかるにつれて増大する。従って、磁性部材52の回転位置が図7(c)に示す回転位置から遠ざかるにつれて推進力が増大し、ロータ部材5の回転角度φが67.5°であるときにピークに達する。推進力の大きさがピークであるときにおける磁性部材52の回転位置を、本明細書では「最大推進力発生位置」と呼ぶ。図7(d)は、回転角度φが67.5°であるときにおける、リング磁石4と磁性部材52の対面状態を示す。
磁性部材52の回転位置が最大推進力発生位置であるときから、リング磁石4の推進力を受けてロータ部材5がさらに一方向に回転した場合、磁性部材52とリング磁石4との対面位置が変化するとともに、磁性部材52がリング磁石4の磁束を横切るように回転するため、磁性部材52内を通過する磁束量が変化する。ただし、磁束量の変化量(増加量)は減少するため、推進力の大きさも小さくなる。そして、ロータ部材5の回転角度φが90°に達した時に、推進力が0になるとともに、磁性部材52の回転位置が再度安定位置に達する。図7(e)は、回転角度φが90°であるときにおける、リング磁石4と磁性部材52の対面状態を示す。
図8は、リング磁石4からロータ部材5に作用する力(反力、推進力)と回転角度φとの関係を示すグラフと、回転角度φが0°、22.5°、45°、67.5°、90°であるときにおけるリング磁石4と磁性部材52との対面状態とを示す図である。図8に示すように、回転角度φが0°から22.5°まで増加するにつれて反力が増大し、回転角度φが22.5°であるときに反力が最大である。回転角度φが22.5°から45°まで増加するにつれて反力が減少し、回転角度φが45°であるときには反力は0である。回転角度が45°から67.5°まで増加するにつれて推進力(負の反力)が増大し、回転角度φが67.5°であるときに推進力が最大である。回転角度φが67.5°から90°まで増加するにつれて推進力が減少する。回転角度φが90°であるときの推進力は0であり、このとき磁性部材52の回転位置が安定位置に達する。
このように、本実施形態に係るドアチェック装置1によれば、ロータ部材5が回転するにつれて、リング磁石4の磁性部材52に対する対面位置が変化するとともに、対面位置における磁極が交互に変化するように、リング磁石4がロータ部材5に対して配置されている。そして、ロータ部材5がリング磁石4に対して90°回転するごとに反力がピークに達して大きな保持力が発生する。つまり、ロータ部材5が一回転する間に、リング磁石4の周方向に沿って形成されている磁極の個数と同じ数(4回)の反力のピークが発生する。また、スクリュー・ナット機構(チェック棒3の雄ネジ3aとロータ部材5のネジ孔51aに形成された雌ネジとの螺合)によって、チェック棒3の軸方向移動動作がロータ部材5の回転動作に変換される。そして、車両ドアDRの一回の開閉動作当たりにロータ部材5が数回〜数十回回転するように雄ネジ3aのリードが調整される。このため、車両ドアDRの一回の開閉動作あたりに非常に多くの反力のピーク、すなわち大きな保持力が発生する。
図9は、車両ドアの開度と保持力との関係を示すグラフである。図9に示すように、車両ドアDRを全閉状態から全開状態まで開作動する間に、複数の開度位置で保持力がピークに達して大きな保持力が発生している。車両ドアDRの一回の開閉動作あたりにおける保持力のピークの発生回数(発生頻度)を多くすることで、擬似的に、任意の開閉位置(開度)にて大きな保持力を発生させることができる。この場合、任意の開閉位置(開度)以外の複数の位置でも大きな保持力が発生するが、開閉動作中においては、車両ドアDRの開閉に伴うロータ部材5の回転慣性力によって反力が相殺されるため、正味の保持力が低下する。よって、開閉動作中に大きな反力を感じることはない。その結果、任意の開閉位置にて大きな保持力を発生し、且つ、一旦車両ドアDRの開閉動作が開始した後はスムーズに車両ドアDRを開閉動作させることができるドアチェック装置1を構成することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。図10A〜図10Eは、第2実施形態に係るドアチェック装置1’を示す図である。図10Aはドアチェック装置1’の側面図、図10Bはドアチェック装置1’の平面図、図10Cは図10AのA−A断面図、図10Dは図10BのB−B断面図、図10Eは図10CのC−C断面図である。このドアチェック装置1’は、車体Bと車両ドアDRとの間に設けられ、車両ドアDRが任意の開度位置であるときに大きな保持力を発生するように構成される。
本実施形態に係るドアチェック装置1’は、ケース部材2と、チェック棒3と、リング磁石4と、ロータ部材5と、回転軸6とを備える。図10Cに示すように、ケース部材2は、内部に部品を収納するための空間が形成されるとともに一方端面が開口したケース本体2aと、ケース本体2aの開口に被せられるカバー2bを備える。カバー2bが締結部材等によりケース本体2aの開口を塞ぐことにより、内部が中空のケース部材2が構成される。
ケース本体2aの対向する両側面に貫通孔が形成されており、そのうちの一方の貫通孔から、一方端が車体Bに揺動可能に連結されたチェック棒3がケース部材2内に挿通されるとともに、他方の貫通孔からチェック棒3がケース部材2の外部に延出する。チェック棒3の他方端は自由端である。車両ドアDRが開閉したときに、チェック棒3は車体Bに対して揺動するとともに、ケース部材2に対して軸方向に相対移動する。また、図10A、図10D及び図10Eに示すように、チェック棒3には、その長手方向に沿ってラック歯3bが形成されている。
図10Cに良く示すように、ケース部材2内に回転軸6が収納される。回転軸6の両端部は、ケース本体2a及びカバー2bに軸受部材を介して回転可能に軸支される。回転軸6はピニオンギア部6a及び軸部6bを有する。チェック棒3に形成されているラック歯3bは、ケース部材2内にて回転軸6のピニオンギア部6aに噛み合う。従って、チェック棒3がケース部材2に対して相対的に軸方向移動した場合には、チェック棒3のラック歯3bと回転軸6のピニオンギア部6aとの噛み合いによって、回転軸6が軸周り回転する。
図10Eに示すように、ケース部材2内にリング磁石4が配設される。リング磁石4の構成及びリング磁石4のケース部材2内での配設状態は、上記第1実施形態で説明したリング磁石4の構成及びケース部材2内での配設状態と同一であるので、その説明を省略する。また、図10C及び図10Eに示すように、ケース部材2内にてリング磁石4の内周側にロータ部材5が配設される。ロータ部材5は回転軸6の軸部6bに一体回転可能に接続される。よって、チェック棒3が軸方向移動して回転軸6が回転した場合、それに伴ってロータ部材5が回転軸6を回転中心軸として回転する。すなわち、チェック棒3と回転軸6とロータ部材5とによって、直線運動を回転運動に変換するラックアンドピニオン機構が構成される。
図10Eに示すように、樹脂製のロータボディ51の中心に孔51cが形成されており、この孔51cに回転軸6の軸部6bが差し込まれて固定される。このため回転軸6とロータボディ51が一体回転する。本実施形態に係るロータ部材5のそれ以外の部分は上記第1実施形態にて説明したロータ部材5と同一であるので、同一部分について同一符号で示してその説明を省略する。
上記構成のドアチェック装置1’において、車両ドアDRが開閉動作すると、それに伴いチェック棒3がケース部材2に対して軸方向に相対移動する。チェック棒3が軸方向移動した場合、チェック棒3のラック歯3bに噛み合っているピニオンギア部6aを有する回転軸6が回転し、さらに回転軸6に接続されたロータ部材5が回転する。ロータ部材5が回転することによってロータボディ51の外周に取り付けられた磁性部材52も回転する。このとき、磁性部材52とリング磁石4との対面位置が変化するとともに、磁性部材52がリング磁石4の磁束を横切るように回転する。なお、本実施形態では、ピニオンギア部6aの径を調整することによって、車両ドアDRの一連の開閉動作当たりにロータ部材5が数回転〜数十回転するように構成される。
本実施形態に係るドアチェック装置1’による保持力の発生の原理は、上記第1実施形態に係るドアチェック装置1による保持力の発生の原理と同一であるので、その具体的説明は省略するが、本実施形態においても上記第1実施形態と同様に、ロータ部材5が90°回転するごとに、反力がピークに達して大きな保持力が発生する。つまり、ロータ部材5が一回転する間に4回の反力のピークが発生する。また、車両ドアDRの一回の開閉動作当たりにロータ部材5が数回〜数十回回転するようにピニオンギア部6aの径が調整されるので、車両ドアDRの一回の開閉動作あたりに非常に多くの反力のピーク、すなわち大きな保持力が発生する。車両ドアDRの一回の開閉動作あたりにおける保持力のピークの発生回数を多くすることで、擬似的に、任意の開閉位置にて大きな保持力を発生させることができる。この場合、任意の位置以外の位置でも大きな保持力が発生するが、開閉動作中においては、車両ドアDRの開閉に伴うロータ部材5の回転慣性力によって反力が相殺されることにより、正味の保持力が低下するため、開閉動作の過程で大きな反力を感じることはない。よって、任意の開閉位置にて大きな保持力を発生し、且つ、一旦車両ドアDRの開閉動作が開始した後はスムーズに車両ドアDRを開閉動作させることができるドアチェック装置1‘を構成することができる。
(変形例)
上記第2実施形態では、樹脂製のロータボディ51と複数の磁性部材52とを有するロータ部材5を示したが、図11に示すロータ部材5Aを採用することもできる。図11に示すロータ部材5Aは、回転軸6の軸部6bを挿通するための孔が形成された円筒状の固定部54と、固定部54の外周から径方向外方に延設された一対の羽部55,55とを有する。それぞれの羽部55,55は図11に示すように略扇側状に形成される。
ロータ部材5Aは、リング磁石4の内周側に配設される。リング磁石4は、図11に示すように、周方向に沿って等間隔に且つ交互に磁極が変化するとともに同一の磁極が2箇所以上存在するように構成される。図11に示す例では、周方向に離間した2箇所に同一の磁極が存在するように、リング磁石4が構成される。そして、ロータ部材5Aの一対の羽部55,55は、リング磁石4の内周面のうち同一の磁極を構成する部分に対面配置する。このような構成のロータ部材5Aは、磁性体材料により構成される。また、扇形状に形成されたそれぞれの羽部55,55の中心角度は45°である。
図12は、図11に示すロータ部材5Aのさらに変形例を示す図である。図12に示すロータ部材の形状は、基本的には図11に示すロータ部材の形状と同一であり、異なるところは、羽部の中心角のみである。図12(a)に示すロータ部材5Bの羽部55,55の中心角は30°であり、図12(b)に示すロータ部材5Cの羽部55,55の中心角は60°である。
図13は、図11及び図12に示すロータ部材を用いて上記第2実施形態に係るドアチェック装置1’を構成した場合において、ロータ部材5A,5B,5Cが一回転した場合における、回転角度φと保持力との関係を示すグラフである。図13において、実線のグラフAが図11に示すロータ部材5Aを用いた場合における回転角度φと保持力との関係を示し、一点鎖線のグラフBが図12(a)に示すロータ部材5Bを用いた場合おける回転角度φと保持力との関係を示し、破線のグラフCが図12(b)に示すロータ部材5Cを用いた場合における回転角度φと保持力との関係を示す。図13に示すように、ロータ部材5A,5B,5Cを用いた場合であっても、上記第1実施形態で示したように、ロータ部材の一回転(360°)当たりに4回の反力のピークを作り出すことができる。
なお、図11に示すロータ部材5Aを用いた場合、最大反力発生位置は上記第1実施形態で示したロータ部材5を用いた場合における最大反力発生位置と同一(φ=22.5°)である。一方、図12(a)に示すロータ部材5Bを用いた場合、グラフBで示すように最大反力発生位置は図11に示すロータ部材5Aを用いた場合に比べて遅れる(φ=30°)。また、図12(b)に示すロータ部材5Cを用いた場合には、グラフCで示すように最大反力発生位置は図12に示すロータ部材5Aを用いた場合に比べて早まる(φ=15°)。これは、羽部55の中心角度の違いによって、羽部55の端面がリング磁石4の極面の境界に達するときの回転角度φが異なることに起因する。したがって、最大反力発生位置を、羽部55の中心角によって調整することができる。
また、図13に二点鎖線で示すグラフDは、上記第1実施形態に係るロータ部材5を用いた場合における回転角度φと保持力との関係を示すグラフである。グラフDにおける最大保持力は、グラフA,B,Cにおける最大保持力の約2倍である。これは、図11及び図12に示すロータ部材5A,5B,5Cは、一対の羽部55,55がリング磁石4の内周面の2箇所に対面するように構成されているのに対し、上記第1実施形態に係るロータ部材5は、4個の磁性部材52を有し、リング磁石4の内周面の4箇所にこれらの磁性部材52が対面するように構成されるためである。つまり、上記第1実施形態に示すように、ロータボディ51に複数の磁性部材52を取り付けた場合、磁性部材52とリング磁石4との対面箇所が多くなり、そのため、それぞれの対面箇所において発生する反力の和により表わされる保持力を大きくすることができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態に係るドアチェック装置1”も第2実施形態に示すドアチェック装置1’と同様に、ケース部材2と、チェック棒3と、リング磁石4と、ロータ部材5と、回転軸6を備える。図14はドアチェック装置1”の平面図である。図14に示すように、チェック棒3には、上記第2実施形態にて説明したチェック棒3と同様に、その外周面にラック歯3bが形成されている。チェック棒3の構成は上記第2実施形態に係るチェック棒3の構成と同一であるので、その具体的説明は省略する。なお、本実施形態において、チェック棒3はケース部材2内を挿通しない。
図15は、ドアチェック装置1”のケース部材2及びケース部材2に収納される各部品の分解斜視図である。また、図16Aは、図14に示すケース部材2のA−A断面図、図16Bは図16AのB−B断面図、図16Cは図16AのC−C断面図である。図15及び図16Aに示すように、ケース部材2は、ケース本体2aと、第1カバー2eと、第2カバー2fとを有する。
ケース本体2aは矩形状の正面S及び裏面R並びに四方の側面を有する直方体形状に構成され、内部には断面円形であって正面S及び裏面Rに開口した円柱状空間が形成される。第1カバー2eはケース本体2aの正面Sの開口を塞ぐようにケース本体2aの正面Sに取付けられ、第2カバー2fはケース本体2aの裏面Rの開口を塞ぐようにケース本体2aの裏面Rに取付けられる。従って、ケース本体2aと第1カバー2eと第2カバー2fとにより、内部に円柱状空間が形成されたケース部材2が構成される。このように構成されたケース部材2の内部空間内に、リング磁石4、ロータ部材5及び一対のベアリング9,9が収納される。
図16Aに示すように、第2カバー2fの中央部分には、ケース部材2の内部空間に向かって突出した突部21が形成される。突部21にステータ部材としてのリング磁石4が嵌挿されることにより、リング磁石4がケース部材2に固定される。なお、本実施形態においては、リング磁石4に代えて、円板状の磁石を用いても良い。
図17はリング磁石4の正面図である。図17に示すように、リング磁石4は、周方向に沿って90°間隔で交互に磁極が変化するように構成されている。すなわち、リング磁石4の周方向に沿って4つの磁極が形成され、磁極が変化しない領域を表す角度(磁極角度)Mは90°である。したがって、リング磁石4の外周面が4つの磁極面(2つのN極面及び2つのS極面)により構成される。リング磁石4の外周面4bのうちN極面から生じる磁束は、リング磁石4周りの空間を通って隣接するS極面に進入する。
図15に示すように、ロータ部材5は、ロータカバー53と、磁性体ユニット7と、一対のガイドプレート8,8とを有する。ロータカバー53は、円筒状の周壁部531と、周壁部531の一方端面に形成される底壁部532と、底壁部532の中央部分に形成され底壁部532から周壁部531の内周空間側に向かって突出したボス部533とを有する。また、図16Bに示すように、周壁部531の内壁面に周方向に等間隔に4個のガイド固定部534が形成される。そして、周壁部531の外壁面がケース本体2aの円筒状空間を形成する内壁面に僅かな隙間を隔てて対面配置するように、ロータカバー53がケース部材2内に収納される。このとき図16Aに示すように、第2カバー2fに設けられた突部21にロータカバー53のボス部533が干渉しないように、ボス部533の内側が中空状に形成される。したがって、突部21に取付けられたリング磁石4は、ボス部533の内側壁面533aに対面する。
また、図16Aに示すように、ロータカバー53のボス部533の先端部分がベアリング9を介して第1カバー2eに支持され、ロータカバー53の底壁部532がベアリング9を介して第2カバー2fに支持される。これによりロータカバー53は、周壁部531の中心軸周りに回転可能にケース部材2に保持される。こうしてケース部材2に保持されたロータカバー53のボス部533に回転軸6が取付けられる。なお、第1カバー2eの中央には円孔が形成されており、回転軸6は第1カバー2eの円孔をからケース部材2の外部に突出する。回転軸6のうちケース部材2から突出した部分にピニオンギアが形成されていて、このピニオンギアがチェック棒3のラック歯3bに噛み合う。従って、チェック棒3が軸方向移動した場合、ラックアンドピニオン機構により回転軸6が回転し、さらに回転軸6に連結したロータ部材5が回転する。
ロータカバー53の周壁部531とボス部533との間のリング状の空間内に、磁性体ユニット7が配設される。磁性体ユニット7は、図15に示すように、第1磁性部材711と、第2磁性部材712と、一対のスプリング72,72とを備える。第1磁性部材711及び第2磁性部材712は同一形状であり、略半円形状の一方端面71a及び他方端面71b並びにこれらの端面の縁同士を接続する円弧状の外周面71c及び外周面71cと反対側の底面71dを有する。底面71dから一対の脚部71e,71eが離間して立設される。また、第1磁性部材711及び第2磁性部材712のそれぞれの一方端面71aに溝71fが形成される。
また、図16Bに示すように、第1磁性部材711の一対の脚部71e,71e及び一対の脚部71e,71e間に形成される円弧状の内周面71gがリング磁石4に対面する。同様に、第2磁性部材712の一対の脚部71e,71e及び一対の脚部71e,71e間に形成される円弧状の内周面71gがリング磁石4に対面する。また、第1磁性部材711及び第2磁性部材712のそれぞれに一対のブラケット73,73が固定される。第1磁性部材711に固定された一対のブラケット73,73の先端部に一対のスプリング72,72の一端部が係止され、第2磁性部材712に固定された一対のブラケット73,73の先端部に一対のスプリング72,72の他端部が係止される。そして、第1磁性部材711と第2磁性部材712の脚部71e、71eの先端が向かい合うように、一対のスプリング72,72により第1磁性部材711と第2磁性部材712が接続される。
磁性体ユニット7は、ロータカバー53のボス部533及びリング磁石4を挟んで第1磁性部材711と第2磁性部材712が対向配置するようにロータカバー53内に配設される。また、スプリング72,72は常に収縮力を発生している。従って、第1磁性部材711及び第2磁性部材712は、スプリング72,72の弾性力によって、それぞれリング磁石4に接近する方向に付勢される。第1磁性部材711及び第2磁性部材712は、ともに磁性体材料(例えば鉄)により形成される。
一対のガイドプレート8,8は、図15に示すように、細長い平板形状に形成される。ガイドプレート8の一方面の中央部に突起8aが形成される。そして、一方のガイドプレート8の突起8aが第1磁性部材711の一方端面71aに形成された溝71fに嵌合され、他方のガイドプレート8の突起8aが第2磁性部材712の一方端面71aに形成された溝71fに嵌合されるように、一対のガイドプレート8,8がガイド固定部534に固定される。一対のガイドプレート8,8は、ガイド固定部534に固定されたとき、図16Cに示すように、互いに平行配置する。ガイドプレート8の突起8aが溝71fに嵌め込まれることにより、第1磁性部材711及び第2磁性部材712は、ロータカバー53に対して溝71fの延設方向に移動可能であり、それ以外の方向には移動不能であるように、その移動がガイドプレート8にガイドされる。ここで、溝71fは、図16Bに示す組み付け状態において、ロータ部材5の回転平面における径方向(ロータカバー53の周壁部531の径方向)に沿って形成される。したがって、第1磁性部材711及び第2磁性部材712は、ロータ部材5の径方向に移動可能であり、それ以外の方向には移動不能であるように、ケース部材2に組み付けられる。
上記構成のドアチェック装置1において、以下に、その作動について説明する。車両ドアDRが開閉動作すると、それに伴いチェック棒3がケース部材2に対して軸方向に相対移動する。チェック棒3が軸方向移動した場合、チェック棒3のラック歯3bに噛み合っているピニオンギアを有する回転軸6が回転し、さらに回転軸6に接続されたロータカバー53が回転する。ロータカバー53が回転することによって、ロータカバー53のガイド固定部534に固定されたガイドプレート8も回転する。ガイドプレート8の突起8aは第1磁性部材711及び第2磁性部材712の溝71fに嵌合しているため、ガイドプレート8の回転に伴い磁性体ユニット7が回転する。このように、チェック棒3の軸方向移動に伴って、回転軸6及び、ロータ部材5が一体的に回転する。
ロータ部材5が回転することにより、第1磁性部材711及び第2磁性部材712はリング磁石4の周りを回転する。このとき第1磁性部材711及び第2磁性部材712はリング磁石4の磁束を横切るようにリング磁石4に対して回転動作する。なお、本実施形態では、回転軸6のピニオンギアの径を調整することによって、車両ドアDRの一連の開閉動作当たりにロータ部材5が数回転〜数十回転するように構成される。
ロータ部材5が一回転する間に、第1磁性部材711及び第2磁性部材712(以下、第1磁性部材711と第2磁性部材712とを総称する場合は、単に磁性部材71と称する)とリング磁石4との対面位置及び対面位置におけるリング磁石4の磁極が交互に変化する。図18は、リング磁石4と磁性部材71との対面状態の変化を示す図である。リング磁石4と磁性部材71の対面状態は、図18(a)→図18(b)→図18(c)→図18(d)→図18(e)の順に変化する。
リング磁石4と磁性部材71の対面状態が図18(a)に示す状態であるときに、磁性部材71の内周面71gの周方向における中央部分がリング磁石4のN極面とS極面との境界位置に対面する。図18(a)に示す状態であるとき、磁束に対する磁性部材71の配置状態が最も安定する。このとき磁性部材71内を通過する磁束量が最も多い。つまり、磁性部材71内を磁束が最も通り易い。このような磁性部材71の回転位置を、「安定位置」と呼ぶ。また、磁性部材71が図18(a)に示すような回転位置にあるときにおけるロータ部材5の回転角度φを0°と定義する。
磁性部材71の回転位置が安定位置にあるときから、チェック棒3の軸方向移動に伴ってロータ部材5が一方向に回転した場合、磁性部材71の脚部71e及び内周面71gと、リング磁石4との対面位置が変化するとともに、磁性部材71がリング磁石4の磁束を横切るように回転するため、磁性部材71内を通過する磁束量が変化する。このとき磁性部材71の回転動作に対する反力、すなわち磁性部材71の回転位置を安定位置に戻そうとする反力が磁性部材71に作用する。これによりロータ部材5の回転に対する抵抗力がロータ部材5に働く。斯かる反力が車両ドアDRの保持力として働く。反力の大きさは、磁性部材71内を通過する磁束量の変化量(減少量)の大きさに比例する。磁性部材71内を通過する磁束量の変化量(減少量)の大きさは、磁性部材71の回転位置が図18(a)に示す安定位置から遠ざかるにつれて増大する。したがって、磁性部材71の回転位置が図18(a)に示す回転位置から遠ざかるにつれて反力が増大する。そして、ロータ部材5の回転角度φが22.5°であるときに反力の大きさがピークに達する。図18(b)は、回転角度φが22.5°であるときにおける、リング磁石4と磁性部材71の対面状態を示す。反力の大きさがピークであるときにおける磁性部材71の回転位置を、本明細書では「最大反力発生位置」と呼ぶ。
磁性部材71の回転位置が最大反力発生位置であるときから、さらにロータ部材5が一方向に回転した場合、磁性部材71の脚部71e及び内周面71gと、リング磁石4との対面位置が変化するとともに、磁性部材71がリング磁石4の磁束を横切るように回転するため、磁性部材71内を通過する磁束量が変化する。ただし、磁束量の変化量(減少量)は減少するため、反力の大きさは小さくなる。そして、ロータ部材5の回転角度φが45°であるときに、反力の大きさは0になる。図18(c)は、回転角度φが45°であるときにおける、リング磁石4と磁性部材71の対面状態を示す。リング磁石4に対する磁性部材71のこのような回転位置を、本明細書では「中立位置」と呼ぶ。中立位置であるときに、リング磁石4の磁束は磁性部材71を最も通過し難い。
磁性部材71の回転位置が中立位置にあるときからさらにロータ部材5が一方向に回転した場合、磁性部材71の脚部71e及び内周面71gと、リング磁石4との対面位置が変化するとともに、磁性部材71がリング磁石4の磁束を横切るように回転するため、磁性部材71内を通過する磁束量が変化する。このときロータ部材5は、磁性部材71をより近い安定位置に引き込もうとする力をリング磁石4から受ける。つまり、磁性部材71が中立位置にあるときからロータ部材5が回転しようとすると、ロータ部材5は回転に対する推進力をリング磁石4から受ける。推進力の大きさは、磁性部材71を通過する磁束量の変化量(増加量)の大きさに比例する。磁性部材71を通過する磁束量の変化量(増加量)の大きさは、磁性部材71の回転位置が中立位置から遠ざかるにつれて増大する。従って、磁性部材71の回転位置が図18(c)に示す回転位置から遠ざかるにつれて推進力が増大し、ロータ部材5の回転角度φが67.5°であるときにピークに達する。推進力の大きさがピークであるときにおける磁性部材71の回転位置を、本明細書では「最大推進力発生位置」と呼ぶ。図18(d)は、回転角度φが67.5°であるときにおける、リング磁石4と磁性部材71の対面状態を示す。
磁性部材71の回転位置が最大推進力発生位置であるときから、リング磁石4の推進力を受けてロータ部材5がさらに一方向に回転した場合、磁性部材71の脚部71e及び内周面71gと、リング磁石4との対面位置が変化するとともに、磁性部材71がリング磁石4の磁束を横切るように回転するため、磁性部材71内を通過する磁束量が変化する。ただし、磁束量の変化量(増加量)は減少するため、推進力の大きさも小さくなる。そして、ロータ部材5の回転角度φが90°に達した時に、推進力が0になるとともに、磁性部材71の回転位置が再度安定位置に達する。図18(e)は、回転角度φが90°であるときにおける、リング磁石4と磁性部材71の対面状態を示す。図18(e)に示す磁性部材71とリング磁石4との対面状態は、図18(a)に示す対面状態と同じである。
従って、本実施形態に係るドアチェック装置1”においても上記第1実施形態に係るドアチェック装置1と同様に、ロータ部材5が90°回転するごとに反力がピークに達して大きな保持力が発生する。つまり、ロータ部材5が一回転する間に4回の反力のピークが発生する。また、ラックアンドピニオン機構(チェック棒3のラック歯3bと回転軸6のピニオンギアとの噛合)によって、チェック棒3の軸方向移動動作がロータ部材5の回転動作に変換される。そして、車両ドアDRの一回の開閉動作当たりにロータ部材5が数回〜数十回回転するようにピニオンギアの径(歯数)が調整される。このため、車両ドアDRの一回の開閉動作あたりに非常に多くの反力のピーク、すなわち大きな保持力が発生する。これにより、車両ドアDRの一回の開閉動作あたりにおける保持力のピークの発生回数を多くすることができ、その結果、擬似的に任意の開閉位置にて大きな保持力を発生させることができる。
また、本実施形態においては、ロータ部材5が回転した場合に、磁性部材71に回転による遠心力が作用する。磁性部材71に作用する遠心力がスプリング72の弾性力(収縮力)よりも大きくなった場合、遠心力によって磁性部材71がロータ部材5の回転平面における径方向外方に移動する。図19は、磁性部材71がロータ部材5の回転平面における径方向外方に移動した状態を示す図である。図19に示すように磁性部材71が移動した場合、磁性部材71とリング磁石4との距離が増大する。このためリング磁石4の磁束が磁性部材71に与える影響の大きさが小さくなり、磁性部材71がリング磁石4から受ける力が減少する。このため磁性部材71に作用する反力が減少する。すなわち、車両ドアDRをある程度の開閉速度でもって開閉動作させてロータ部材5を高速回転させ、遠心力により磁性部材71をリング磁石4から遠ざけることにより、車両ドアDRの開閉動作中における反力すなわち保持力をより小さくすることができる。このため、任意の開閉位置にて大きな保持力を発生し、且つ、一旦車両ドアDRの開閉動作が開始した後はよりスムーズに車両ドアDRを開閉動作させることができるドアチェック装置1を構成することができる。
以上説明したように、本実施形態に係るドアチェック装置は、車体Bに形成された開口OPを開閉可能に車体Bに連結した車両ドアDRに取付けられたケース部材2と、車体Bに連結されるとともに車両ドアDRの開閉動作に応じてケース部材2に対して軸方向に相対移動するチェック棒3と、ケース部材2内に固定されたリング磁石4と、ケース部材2内に回転可能に配設されるとともに、チェック棒3の軸方向移動に伴い回転するようにチェック棒3に連結するロータ部材5と、を備える。ロータ部材5は磁性部材52を含んで構成される。そして、ロータ部材5が回転したときにリング磁石4の磁束を磁性部材52が横切るように、リング磁石4及びロータ部材5がケース部材2内に配設される。
本実施形態によれば、ロータ部材5の回転時に磁性部材52がリング磁石4の磁束を横切るようにロータ部材5及びリング磁石4をケース部材内に配設するといった簡単な構造で、任意の開度位置にて大きな保持力を発生させることができるドアチェック装置を提供することができる。また、本実施形態に係るドアチェック装置は特別なシール構造を必要としないためより構造を簡素化できる。また、保持力を発生させるために二つの磁石を必要としないことから、磁石に要するコストを低減できる。これらによって、ドアチェック装置の製造コストを大きく削減することができる。加えて、本実施形態に係るドアチェック装置は、磁力によりリング磁石4とロータ部材5が非接触状態を維持したまま保持力を発生するように構成されているので、作動音等の異音が発生せず、構成部品が摩耗により劣化することもなく、且つ、温度や湿度、濡れ等により保持力が変動することもない。よって、耐久性の向上したドアチェック装置を提供することができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態では、ステータ部材がリング磁石を含み、ロータ部材が磁性体を含む構成について説明したが、ステータ部材が磁性体を含み、ロータ部材が磁石を含んで構成されていてもよい。この場合、ステータ部材に設けられる磁性体が磁石に対面する状態と対面しない状態とが交互に繰り返されるように構成されるとよい。また、上記実施形態では、チェック棒3の軸方向移動動作をロータ部材5の回転動作に変化する変換機構としてスクリュー・ナット機構及びラックアンドピニオン機構を示したが、その他の変換機構を採用してもよい。また、上記実施形態では車体と車両ドアとの間に設けられるドアチェック装置について説明したが、本発明は、開口を有する構造体(例えば家屋)と、その構造体の開口を開閉可能に構造体に取付けられたドアとの間に設けられるドアチェック装置にも適用できる。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
1…ドアチェック装置、2…ケース部材、21…突部、3…チェック棒、3a…雄ネジ、3b…ラック歯、4…リング磁石(ステータ部材)、4a…内周面、4b…外周面、5,5A,5B,5C…ロータ部材、51…ロータボディ、51b…外周面、52…磁性部材(磁性体)、521…磁極対向面、53…ロータカバー、54…固定部、55…羽部(磁性体)、6…回転軸、6a…ピニオンギア部、6b…軸部、7…磁性体ユニット、71…磁性部材(磁性体)、711…第1磁性部材(第1磁性体)、712…第2磁性部材(第2磁性体)、71a…一方端面、71b…他方端面、71c…外周面、71d…底面、71e…脚部、71f…溝、71g…内周面、72…スプリング、8…ガイドプレート、8a…突起、J…取付角度、M…磁極角度、θ…磁性体配設角度、φ…回転角度

Claims (7)

  1. 構造体に形成された開口を開閉可能に前記構造体に連結したドアに取付けられたケース部材と、
    前記構造体に連結されるとともに前記ドアの開閉動作に応じて前記ケース部材に対して軸方向に相対移動するチェック棒と、
    前記ケース部材内に固定されたステータ部材と、
    前記ケース部材内に回転可能に配設されるとともに、前記チェック棒の軸方向移動に伴い回転するように前記チェック棒に連結するロータ部材と、
    を備え、
    前記ステータ部材及び前記ロータ部材のいずれか一方が磁石を含むとともにいずれか他方が磁性体を含み、
    前記ロータ部材が回転したときに前記磁石の磁束を前記磁性体が横切るように、前記ステータ部材及び前記ロータ部材が前記ケース部材内に配設されている、ドアチェック装置。
  2. 請求項1に記載のドアチェック装置において、
    前記磁石は、前記ロータ部材が回転するにつれて前記磁性体に対面する位置が変化するとともに対面位置における磁極が交互に変化するように、前記磁性体に対面配置されている、ドアチェック装置。
  3. 請求項2に記載のドアチェック装置において、
    前記ステータ部材が磁石を含み、前記ロータ部材が磁性体を含む、ドアチェック装置。
  4. 請求項3に記載のドアチェック装置において、
    前記ステータ部材は、リング状に形成されるとともに、周方向に沿って等間隔に且つ交互に磁極が変化するように構成されたリング磁石を有し、
    前記ロータ部材は、前記リング磁石の内周側に配設され、前記リング磁石の内周面に対面する外周面を有するとともに非磁性材料で形成された円柱状のロータボディを有し、
    前記ロータボディの外周面に前記磁性体が取付けられている、ドアチェック装置。
  5. 請求項4に記載のドアチェック装置において、
    複数の前記磁性体が、前記ロータボディの周方向に沿って間歇的に且つ等間隔に前記ロータボディに取付けられ、
    複数の前記磁性体の取付角度が、前記リング磁石の周方向に沿って磁極が変化しない領域を表す磁極角度に一致する、ドアチェック装置。
  6. 請求項3に記載のドアチェック装置において、
    前記ステータ部材は、リング状に形成され、周方向に沿って等間隔に且つ交互に磁極が変化するとともに同一の磁極が2箇所以上存在するように構成されたリング磁石を有し、
    前記磁性体は、前記リング磁石の内周側に配置されるとともに前記リング磁石の内周面のうち同一の磁極を構成する部分に対面配置した複数の羽部を有する、
    ドアチェック装置。
  7. 請求項3に記載のドアチェック装置において、
    前記ステータ部材は、周方向に沿って等間隔に且つ交互に磁極が変化するリング状或いは円板状に形成されたリング状磁石を有し、
    前記ロータ部材は、前記リング状磁石の外周面の一部に対面配置する第1磁性体と、前記リング状磁石の外周面の他の一部に対面配置するとともに前記リング状磁石を挟んで前記第1磁性体に対向配置する第2磁性体と、前記第1磁性体及び前記第2磁性体に連結されるとともに前記第1磁性体及び前記第2磁性体を共に前記リング状磁石に接近する方向に付勢する付勢部材とを有する磁性体ユニットを有し、
    前記磁性体ユニットは、前記リング状磁石を中心として回転可能であるとともに、回転遠心力により前記第1磁性体及び前記第2磁性体が前記リング状磁石から離間する方向に移動するように構成された、ドアチェック装置。
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