JP2015143276A - Btnl9タンパク質、核酸および抗体ならびにそれらの使用 - Google Patents

Btnl9タンパク質、核酸および抗体ならびにそれらの使用 Download PDF

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Abstract

【課題】BTNL9タンパク質、核酸および抗体ならびにそれらの使用の提供。
【解決手段】本発明は、新規のBTNL9タンパク質(ヒトBTNL9タンパク質の多量体、フラグメント、およびバリアントが含まれる)を提供する。さらに、BTNL9タンパク質に結合することができる抗体およびBTNL9タンパク質をコードする核酸を提供する。BTNL9タンパク質およびそのアゴニストまたはアンタゴニストの使用を記載する。本発明は、ブチロフィリン様タンパク質ならびにそのフラグメント、バリアント、および誘導体、かかるタンパク質をコードする核酸、これらのタンパク質に結合する抗体、ならびに、これらのタンパク質のアゴニストおよびアンタゴニストに関する。
【選択図】図8

Description

関連出願の引用
本願は、本明細書中に参考として援用される、2010年4月9日に出願された米国仮出願第61/322,800号の米国特許法第119条の下での優先権を主張する。
分野
本発明は、ブチロフィリン様タンパク質ならびにそのフラグメント、バリアント、および誘導体、かかるタンパク質をコードする核酸、これらのタンパク質に結合する抗体、ならびに、これらのタンパク質のアゴニストおよびアンタゴニストに関する。かかる分子を含む薬学的組成物およびかかる分子またはかかる分子を含む組成物の使用もまた意図する。
背景
免疫応答または炎症応答の調整は、種々の治療状況で有益であり得る。免疫応答または炎症応答の下方調整は、各種自己免疫疾患または炎症性疾患の処置で望ましい場合もある。任意の免疫応答の上方調整は、例えば、特定の抗原(例えば、ワクチン中に含まれる抗原または癌細胞もしくは線維性疾患を媒介する細胞上で優先的に発現する抗原)に対する応答を増幅するのに有益であり得る。したがって、免疫応答または炎症応答を調整することができる分子は、潜在的に種々の治療状況で治療的に有益である。本発明は、不適切なおよび/または異常な炎症および/または免疫応答によって特徴づけられる疾患の診断および処置のための治療薬を提供する。これらの薬剤のいくつかは免疫応答を刺激することができる。他の薬剤は、炎症応答および/または免疫応答を阻害することができる。
概要
本発明は、BTNL9タンパク質、BTNL9タンパク質をコードする核酸、およびBTNL9タンパク質に結合する抗体を提供する。より具体的には、本明細書中に記載のBTNL9タンパク質は、多量体タンパク質または融合タンパク質であり、これらは単離タンパク質および/または可溶性タンパク質であり得る。BTNL9タンパク質ならびにBTNL9に結合するアンタゴニスト抗体およびアゴニスト抗体の使用も提供する。
1つの実施形態では、本発明は、(a)配列番号2のアミノ酸35〜257と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドおよび(b)配列番号2のアミノ酸35〜257と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する第2のポリペプチドを含む単離された可溶性で多量体のBTNL9タンパク質であって、ここで、(a)および(b)のポリペプチドのアミノ酸配列の、配列番号1のアミノ酸35〜257とのアラインメントウィンドウが少なくとも80アミノ酸長であり、ここで、多量体が少なくとも三量体であり、ここで、多量体のBTNL9タンパク質が抗CD3抗体によって刺激されたT細胞の増殖を阻害することができる、単離された可溶性で多量体のBTNL9タンパク質を包含する。少し異なる実施形態では、本発明は、(a)配列番号2のアミノ酸35〜257と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチド、および(b)配列番号2のアミノ酸35〜257と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有する第2のポリペプチドを含む単離された可溶性で多量体のBTNL9タンパク質であって、ここで、(a)および(b)のポリペプチドのアミノ酸配列の、配列番号2のアミノ酸35〜257とのアラインメントウィンドウが少なくとも80アミノ酸長であり、ここで、上記多量体の分子量が、(a)の単量体ポリペプチドの分子量の約3倍よりも大きく、そして/または(a)の単量体ポリペプチドの分子量の少なくとも約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16倍であり、ここで、多量体のBTNL9タンパク質が抗CD3抗体によって刺激されたT細胞の増殖を阻害することができる、単離された可溶性で多量体のBTNL9タンパク質を提供する。これらの実施形態のいずれかにおける多量体のBTNL9タンパク質はまた、少なくとも三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、八量体(octomer)、九量体、十量体、および/またはより高次の多量体であり得る。このことは、多量体のBTNL9タンパク質が三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、八量体(octomer)、九量体、十量体、および/またはより高次の多量体であり得ることも意味する。多量体のBTNL9タンパク質は、配列番号2のアミノ酸35、36、37、38、39、または40〜253、254、255、256、または257由来のアミノ酸配列を含むことができる。いくつかの実施形態では、多量体BNTL9タンパク質は配列番号2のアミノ酸258〜277を含まず、いくつかの実施形態では、別のポリペプチド(例えば、抗体のFc部分など)を含むことができる。かかるFc部分は、(i)天然の(native)ヒトFc領域のアミノ酸配列あるいは(ii)天然のヒトFc領域のアミノ酸配列と比較して単一のアミノ酸の15個以下、10個以下、または5個以下の挿入、欠失、または置換を有する天然のヒトFc領域のものと実質的に類似するアミノ酸配列を含むことができる。天然のヒトFcは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgD、IgM、またはIgEアイソタイプの天然のヒトFcであり得る。多量体のBTNL9タンパク質は、ホモ四量体、ホモ五量体、ホモ六量体、ホモ七量体、ホモ八量体、ホモ九量体、ホモ十量体、より高次のホモ多量体、ヘテロ多量体、または種の混合物であり得る。かかる多量体のBTNL9タンパク質をコードする核酸ならびにこれらの核酸を含むベクターおよび上記ベクターおよび/または上記核酸を含む宿主細胞も提供する。
別の実施形態では、本発明は、(a)配列番号2のアミノ酸35〜257と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドであって、ここで、BTNL9融合タンパク質のアミノ酸配列の、配列番号2のアミノ酸35〜257とのアラインメントウィンドウが少なくとも80アミノ酸長である、第1のポリペプチドおよび(b)第2のポリペプチドであって、ここで、BTNL9融合タンパク質が抗CD3抗体によって刺激されたT細胞の増殖を阻害することができる、第2のポリペプチドを含む、BTNL9融合タンパク質を提供する。融合タンパク質は、単離タンパク質および/または可溶性タンパク質であり得る。第2のポリペプチドは、抗体のFc部分であって、ここで、上記Fc部分が、天然のヒトFc領域のアミノ酸配列と同一であるか実質的に類似し、天然のヒトFc領域と比較して単一のアミノ酸の5個以下、10個以下、15個以下、または20個以下の挿入、欠失、あるいは置換を含むアミノ酸配列を有する、抗体のFc部分であり得る。天然のヒトFc領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgD、IgE、またはIgMアイソタイプの天然のヒトFc領域であり得る。BTNL9融合タンパク質は、配列番号2のアミノ酸35〜257を含むことができる。BTNL9融合タンパク質は、配列番号18と実質的に類似するアミノ酸配列を含むことができ、ここで上記アミノ酸配列は配列番号18と比較して単一のアミノ酸の5個以下、10個以下、15個以下、または20個以下の挿入、欠失、または置換を含み、そして/あるいはBTNL9融合タンパク質は配列番号18を含むことができる。BTNL9融合タンパク質は、少なくとも三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、八量体、九量体、または十量体であり得る。BTNL9融合タンパク質はリンカーを含むことができる。かかるBTNL9融合タンパク質は多量体であり得、ここで、上記多量体の分子量は、単量体BTNL9融合タンパク質の分子量の少なくとも約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16倍である。かかるBTNL9融合タンパク質をコードする核酸、これらの核酸を含むベクター、ならびに上記ベクターおよび/または上記核酸を含む宿主細胞も提供する。
別の実施形態では、本発明は、配列番号2の40〜140位にわたる配列番号2のフラグメントのアミノ酸配列、または配列番号2のアミノ酸40〜140と比較して単一のアミノ酸の5個以下または10個以下の挿入、欠失、または置換を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含む可溶性BTNL9タンパク質であって、ここで上記BTNL9タンパク質はまた、配列番号2の160〜248位にわたる配列番号2のフラグメントのアミノ酸配列、および配列番号2のアミノ酸160〜248と比較して単一のアミノ酸の20個以下、15個以下、10個以下、10個以下、または5個以下の挿入、欠失、または置換を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含まず、ここで上記BTNL9タンパク質が抗CD3抗体によって刺激されたT細胞の増殖を阻害することができる、可溶性BTNL9タンパク質を提供する。可溶性BTNL9タンパク質は、配列番号2のアミノ酸40〜140と比較して単一のアミノ酸の5個以下の挿入、欠失、または置換を含むことができる。あるいは、別の態様では、可溶性BTNL9タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸40〜140と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり得る。可溶性BTNL9タンパク質は、少なくとも三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、八量体、九量体、または十量体であり得る。かかるBTNL9タンパク質はまた、三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、八量体、九量体、十量体、より高次の多量体、またはこれらの種の混合物であり得る。かかる可溶性BTNL9タンパク質は多量体であり得、ここで、上記多量体の分子量は、単量体可溶性BTNL9タンパク質の分子量の少なくとも約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16倍である。かかる可溶性BTNL9タンパク質は、別のポリペプチド(例えば、抗体のFcフラグメントおよび/またはリンカーなど)をさらに含むことができる。かかる可溶性BTNL9タンパク質をコードする核酸、これらの核酸を含むベクター、ならびに上記ベクターおよび/または上記核酸を含む宿主細胞も提供する。
あるいは、可溶性BTNL9タンパク質は、配列番号2の160〜248位にわたる配列番号2のフラグメントのアミノ酸配列、または配列番号2のアミノ酸160〜248と比較して単一のアミノ酸の20個以下、15個以下、10個以下、または5個以下の挿入、欠失、または置換を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含むことができ、ここで上記BTNL9タンパク質はまた、配列番号2の40〜140位にわたる配列番号2のフラグメントのアミノ酸配列、および配列番号2のアミノ酸40〜140と比較して単一のアミノ酸の10個以下の挿入、欠失、または置換を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含まず、ここで上記BTNL9タンパク質が抗CD3抗体によって刺激されたT細胞の増殖を阻害することができる。かかる可溶性BTNL9タンパク質は、少なくとも三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、八量体、九量体、十量体、またはより高次の多量体であり得る。かかるBTNL9タンパク質は、別のポリペプチド(例えば、抗体のFcフラグメントおよび/またはリンカーなど)をさらに含むことができる。かかる可溶性BTNL9タンパク質は多量体であり得、ここで、上記多量体の分子量は、単量体可溶性BTNL9タンパク質の分子量の少なくとも約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16倍である。かかるBTNL9融合タンパク質をコードする核酸、これらの核酸を含むベクター、ならびに上記ベクターおよび/または上記核酸を含む宿主細胞も提供する。
さらなる実施形態では、核酸によってコードされるBTNL9融合タンパク質であって、ここで上記核酸が、以下:(a)(i)配列番号1のヌクレオチド334、337、340、または343〜990、993、996、999、または1002由来のヌクレオチド配列からなるか、(ii)ストリンジェントな条件下で(i)のポリヌクレオチドとハイブリッド形成するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、および(b)配列番号1の配列からなるポリヌクレオチドとハイブリッド形成せず、(a)のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドをインフレームで有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、ここで上記融合タンパク質が抗CD3抗体によって刺激されたT細胞の増殖を阻害することができる、BTNL9融合タンパク質を提供する。BTNL9融合タンパク質はリンカー配列を含むことができ、単離タンパク質および/または可溶性タンパク質であり得る。かかるBTNL9融合タンパク質は多量体であり得、ここで、上記多量体の分子量は、単量体BTNL9融合タンパク質の分子量の少なくとも約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16倍である。かかるBTNL9融合タンパク質をコードする核酸、これらの核酸を含むベクター、ならびに上記ベクターおよび/または上記核酸を含む宿主細胞も提供する。
上記または下記で論じる任意のBTNL9タンパク質は単離されそして/または可溶性であり得、複数のBTNL9タンパク質分子を含む多量体または凝集種を含むことができる。多量体または凝集体中に含まれる単量体BTNL9タンパク質種の分子量を、還元条件下でのゲル電気泳動または還元条件下で実施するサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)によって測定することができる。多量体種または凝集種の分子量を、非還元条件下で行うゲル電気泳動またはSECによって測定することができる。いくつかの実施形態では、多量体または凝集体の分子量は、単量体種の分子量の少なくとも約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16倍である。かかる多量体または凝集体の単量体BTNL9タンパク質は、(a)配列番号2のアミノ酸35、36、37、38、39、または40〜253、254、255、256、または257由来のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは(b)配列番号2のアミノ酸35〜257と少なくとも90%、95%、97%、または99%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドであって、ここで、(b)のポリペプチドのアミノ酸配列の、配列番号2のアミノ酸35〜257とのアラインメントウィンドウが少なくとも80アミノ酸長である、ポリペプチド、または(c)配列番号2と比較して単一のアミノ酸の20個以下、15個以下、10個以下、または5個以下の挿入、欠失、または置換を含むことができることを除いて配列番号2のアミノ酸35〜257のポリペプチドに類似する配列を有するポリペプチドを含む。
別の態様では、BTNL9タンパク質および別のポリペプチドを含む融合タンパク質をコードする核酸であって、ここで上記核酸が、(a)(i)配列番号1のヌクレオチド334、337、340、または343〜990、993、996、999、または1002由来のヌクレオチド配列からなるか、(ii)ストリンジェントな条件下で(i)のポリヌクレオチドとハイブリッド形成するポリヌクレオチド、および(b)配列番号1の配列からなるポリヌクレオチドとハイブリッド形成せず、(a)のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドをインフレームで有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、ここで上記融合タンパク質が抗CD3抗体によって刺激されたT細胞の増殖を阻害することができる、核酸を提供する。これらの核酸を含むベクターならびに上記ベクターおよび/または上記核酸を含む宿主細胞も意図する。
本発明は、上記で論じた任意のBTNL9タンパク質(多量体のBTNL9タンパク質、BTNL9融合タンパク質、および可溶性BTNL9タンパク質が含まれる)の作製方法であって、BTNL9タンパク質をコードする核酸を含む宿主細胞を上記核酸の発現に適切な条件下の培地中にて培養する工程、および細胞塊または培養培地から、発現したBTNL9タンパク質を回収する工程を含む、方法を提供する。
さらに別の態様では、自己免疫疾患または炎症性疾患を有する患者を処置するための方法であって、治療有効用量の(1)配列番号2のアミノ酸35〜257のアミノ酸配列を含む任意のBTNL9タンパク質または(2)配列番号2のアミノ酸35〜257と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を含むか、配列番号2のアミノ酸35〜257の配列と比較して単一のアミノ酸の5個以下、10個以下、15個以下、または20個以下の挿入、欠失、または置換を有するアミノ酸配列を含むそのバリアントを患者に投与する工程を含み、ここで上記BTNL9タンパク質が抗CD3抗体によって刺激されたT細胞の増殖を阻害することができる、方法を提供する。本方法は、本方法の実施のための上記で論じた可溶性で多量体のBTNL9タンパク質、BTNL9融合タンパク質、または可溶性BTNL9タンパク質の使用を含むことになる。自己免疫疾患または炎症性疾患は、関節リウマチ、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、乾癬、サルコイドーシス、多発性硬化症、慢性閉塞性肺疾患、喘息、または線維性疾患であり得る。
さらなる態様では、T細胞の増殖を阻害するための方法であって、(1)配列番号2のアミノ酸35、36、37、38、39、または40〜253、254、255、256、または257由来のアミノ酸配列を含む任意のBTNL9タンパク質または(2)配列番号2のアミノ酸35〜257と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を含むか、配列番号2のアミノ酸35〜257の配列と比較して単一のアミノ酸の5個以下、10個以下、15個以下、または20個以下の挿入、欠失、または置換を有するアミノ酸配列を含むそのバリアントをT細胞に添加する工程を含み、ここで上記BTNL9タンパク質が抗CD3抗体によって刺激された増殖T細胞を阻害することができる、方法を提供する。本方法は、T細胞の増殖を阻害するための上記で論じた可溶性で多量体のBTNL9タンパク質、BTNL9融合タンパク質、または可溶性BTNL9タンパク質の使用を包含する。T細胞の増殖のこの阻害は、in vitroまたはin vivoで起こり得る。
別の実施形態は、治療有効用量の抗BTNL9抗体を患者に投与する工程を含む、自己免疫疾患または炎症性疾患を有する患者を処置するための方法であって、ここで上記抗BTNL9抗体が上記で論じた可溶性で多量体のBTNL9タンパク質、BTNL9融合タンパク質の1つ、および/または可溶性BTNL9タンパク質によってT細胞の増殖阻害を増大させ、ここで上記抗BTNL9抗体が配列番号2のアミノ酸35〜257のアミノ酸配列からなるタンパク質に結合する、方法を含む。
別の実施形態は、本明細書中に記載のように自己免疫疾患または炎症性疾患を有する患者を処置するための方法であって、治療有効用量の抗BTNL9抗体を患者に投与する工程を含み、ここで上記抗BTNL9抗体が配列番号2のアミノ酸35〜257のアミノ酸配列からなるタンパク質に結合することができる、方法を含む。いくつかの実施形態では、抗BTNL9抗体は、細胞表面BTNL9タンパク質に結合し、BTNL9のB30.2ドメインを介して細胞内シグナル伝達カスケードを誘導することができる。
さらなる方法は、治療有効量の配列番号2のアミノ酸35〜257からなるBTNL9タンパク質に結合する抗体を癌患者に投与する工程を含む上記患者に対する処置を含む。癌は、例えば、急性または慢性白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、リンパ性白血病、リンパ性リンパ腫または皮膚リンパ腫、癌腫、肉腫、胸腺腫、縦隔の新生物、乳癌、前立腺癌、頭頸部癌、肺癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、各種皮膚癌、膀胱癌、悪性神経膠腫、食道癌、胃癌、膵臓癌、肝胆管新生物、小腸、結腸、または直腸の癌、腎臓または尿管の癌、睾丸癌、尿道または陰茎の癌、婦人科系腫瘍、卵巣癌、骨の肉腫、内分泌系の癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、中枢神経系の新生物、および形質細胞新生物であり得る。抗体はアンタゴニスト抗体であり得る。
最後に、癌細胞上に高度に発現する抗原および配列番号2のアミノ酸35〜257からなるタンパク質に結合するアンタゴニスト抗体を患者に投与する工程を含む、癌に対して患者にワクチン接種するための方法を提供する。
本発明の好ましい実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1) (a)配列番号2のアミノ酸35〜257と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチド、および(b)配列番号2のアミノ酸35〜257と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有する第2のポリペプチドを含む単離された可溶性で多量体のBTNL9タンパク質であって、
(a)および(b)の該ポリペプチドのアミノ酸配列の、配列番号2のアミノ酸35〜257とのアラインメントウィンドウが少なくとも80アミノ酸長であり、
該多量体が少なくとも三量体であり、
該多量体のBTNL9タンパク質が抗CD3抗体によって刺激されたT細胞の増殖を阻害することができる、
単離された可溶性で多量体のBTNL9タンパク質。
(項目2) (a)配列番号2のアミノ酸35〜257と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチド、および
(b)配列番号2のアミノ酸35〜257と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有する第2のポリペプチド
を含む単離された可溶性で多量体のBTNL9タンパク質であって、
(a)および(b)の該ポリペプチドのアミノ酸配列の、配列番号2のアミノ酸35〜257とのアラインメントウィンドウが少なくとも80アミノ酸長であり、
該多量体の分子量が、(a)のポリペプチドの分子量の約3倍よりも大きく、
該多量体のBTNL9タンパク質が抗CD3抗体によって刺激されたT細胞の増殖を阻害することができる、
単離された可溶性で多量体のBTNL9タンパク質。
(項目3) (a)および(b)の前記ポリペプチドが配列番号2のアミノ酸35〜257と少なくとも95%同一である、項目1または2に記載の多量体のBTNL9タンパク質。
(項目4) (a)および(b)の前記ポリペプチドが配列番号2のアミノ酸35〜257と少なくとも97%同一である、項目1または2に記載の多量体のBTNL9タンパク質。
(項目5) (a)および(b)の前記ポリペプチドが配列番号2のアミノ酸35〜257のアミノ酸配列を含む、項目1または2に記載の多量体のBTNL9タンパク質。
(項目6) 配列番号2のアミノ酸258〜277を含まない、項目1から5のいずれか1項に記載の多量体のBNTL9タンパク質。
(項目7) (a)および(b)の前記ポリペプチドがそれぞれ別のポリペプチドを含む、項目1から6のいずれか1項に記載の多量体のBTNL9タンパク質。
(項目8) 前記別のポリペプチドが抗体のFc部分である、項目7に記載の多量体のBTNL9タンパク質。
(項目9)(i)前記Fc部分が天然のヒトFc領域のアミノ酸配列を含むか、
(ii)該Fc部分が該天然のヒトFc領域のアミノ酸配列と比較して単一のアミノ酸の15個以下の挿入、欠失、または置換を有するアミノ酸配列を含む、
項目8に記載の多量体のBTNL9タンパク質。
(項目10) (ii)の前記Fc部分が、前記天然のヒトFc領域のアミノ酸配列と比較して単一のアミノ酸の10個以下の挿入、欠失、または置換を有する、項目9に記載の多量体のBTNL9タンパク質。
(項目11) (ii)の前記Fc部分が、前記天然のヒトFc領域のアミノ酸配列と比較して単一のアミノ酸の5個以下の挿入、欠失、または置換を有する、項目10に記載の多量体のBTNL9タンパク質。
(項目12) 前記Fc部分がヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合することができる、項目8から11のいずれか1項に記載の多量体のBTNL9タンパク質。
(項目13) 前記天然のヒトFc領域のアミノ酸配列を含む、項目12に記載の多量体のBTNL9タンパク質。
(項目14) 前記天然のヒトFc領域がIgG1アイソタイプの天然のヒトFc領域である、項目9から13のいずれか1項に記載の多量体のBTNL9タンパク質。
(項目15) 前記天然のヒトFc領域がIgG2アイソタイプの天然のヒトFc領域である、項目9から13のいずれか1項に記載の多量体のBTNL9タンパク質。
(項目16) 前記天然のヒトFc領域がIgG4アイソタイプの天然のヒトFc領域である、項目9から13のいずれか1項に記載の多量体のBTNL9タンパク質。
(項目17) ホモ四量体であるかまたはより高次のホモ多量体である、項目1から16のいずれか1項に記載の多量体のBTNL9タンパク質。
(項目18) ホモ四量体より高次のホモ多量体である、項目16に記載の多量体のBTNL9タンパク質。
(項目19) ヘテロ多量体である、項目1から16のいずれか1項に記載の多量体のBTNL9タンパク質。
(項目20) 前記多量体のBTNL9タンパク質の分子量が、配列番号2のアミノ酸35〜257と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む単量体ポリペプチドの分子量の少なくとも約8倍大きく、該単量体ポリペプチドのアミノ酸配列の、配列番号2のアミノ酸35〜257とのアラインメントウィンドウが少なくとも80アミノ酸長である、項目1から19のいずれか1項に記載の多量体のBTNL9タンパク質。
(項目21) BTNL9融合タンパク質であって、
(a)配列番号2のアミノ酸35〜257と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドであって、該BTNL9融合タンパク質のアミノ酸配列の、配列番号2のアミノ酸35〜257とのアラインメントウィンドウが少なくとも80アミノ酸長である、第1のポリペプチド、および
(b)第2のポリペプチド
を含み、
該BTNL9融合タンパク質が抗CD3抗体によって刺激されたT細胞の増殖を阻害することができる、BTNL9融合タンパク質。
(項目22) 前記第2のポリペプチドが抗体のFc部分である、項目21に記載のBTNL9融合タンパク質。
(項目23) 前記Fc部分が、天然のヒトFc領域と比較して単一のアミノ酸の15個以下の挿入、欠失、または置換を含むアミノ酸配列を有する、項目22に記載のBTNL9融合タンパク質。
(項目24) 前記Fc部分が天然のヒトFc領域と比較して単一のアミノ酸の10個以下の挿入、欠失、または置換を含むアミノ酸配列を有する、項目22に記載のBTNL9融合タンパク質。
(項目25) 前記Fc部分が天然のヒトFc領域と比較して単一のアミノ酸の5個以下の挿入、欠失、または置換を含むアミノ酸配列を有する、項目22に記載のBTNL9融合タンパク質。
(項目26) 前記Fc部分がFcRnに結合することができる、項目23から25のいずれか1項に記載のBTNL9融合タンパク質。
(項目27) 天然のヒトFc領域を含む、項目26に記載のBTNL9融合タンパク質。
(項目28) 前記天然のヒトFc領域がIgG1アイソタイプの天然のヒトFc領域である、項目23から27のいずれか1項に記載のBTNL9融合タンパク質。
(項目29) 前記天然のヒトFc領域がIgG2アイソタイプの天然のヒトFc領域である、項目23から27のいずれか1項に記載のBTNL9融合タンパク質。
(項目30) 前記天然のヒトFc領域がIgG4アイソタイプの天然のヒトFc領域である、項目23から27のいずれか1項に記載のBTNL9融合タンパク質。
(項目31) 前記第1のポリペプチドが配列番号2のアミノ酸35〜257と少なくとも95%同一である、項目21から30のいずれか1項に記載のBTNL9融合タンパク質。
(項目32) 前記第1のポリペプチドが配列番号2のアミノ酸35〜257を含む、項目31に記載のBTNL9融合タンパク質。
(項目33) 配列番号19と実質的に類似するアミノ酸配列を含み、該アミノ酸配列が、配列番号19と比較して単一のアミノ酸の20個以下の挿入、欠失、または置換を含む、項目21から32のいずれか1項に記載のBTNL9融合タンパク質。
(項目34) 配列番号19と比較して単一のアミノ酸の15個以下の挿入、欠失、または置換を含む、項目33に記載のBTNL9融合タンパク質。
(項目35) 配列番号19と比較して単一のアミノ酸の10個以下の挿入、欠失、または置換を含む、項目34に記載のBTNL9融合タンパク質。
(項目36) 配列番号19と比較して単一のアミノ酸の5個以下の挿入、欠失、または置換を含む、項目35に記載のBTNL9融合タンパク質。
(項目37) 前記アミノ酸配列が配列番号19を含む、項目36に記載のBTNL9融合タンパク質。
(項目38) 前記BTNL9融合タンパク質は、該融合タンパク質の分子量が該融合タンパク質の単量体種の分子量の少なくとも約8倍であるように凝集している、項目21から37のいずれか1項に記載のBTNL9融合タンパク質。
(項目39) 配列番号2の40〜140位にわたる配列番号2のフラグメントのアミノ酸配列、または配列番号2のアミノ酸40〜140と比較して単一のアミノ酸の10個以下の挿入、欠失、または置換を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含む可溶性BTNL9タンパク質であって、
該BTNL9タンパク質はまた、配列番号2の160〜248位にわたる配列番号2のフラグメントのアミノ酸配列、および配列番号2のアミノ酸160〜248と比較して単一のアミノ酸の10個以下の挿入、欠失、または置換を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含まず、
該BTNL9タンパク質が抗CD3抗体によって刺激されたT細胞の増殖を阻害することができる、可溶性BTNL9タンパク質。
(項目40) 配列番号2の160〜248位にわたる配列番号2のフラグメントのアミノ酸配列、または配列番号2のアミノ酸160〜248と比較して単一のアミノ酸の10個以下の挿入、欠失、または置換を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含む可溶性BTNL9タンパク質であって、
該BTNL9タンパク質はまた、配列番号2の40〜140位にわたる配列番号2のフラグメントのアミノ酸配列、および配列番号2のアミノ酸40〜140と比較して単一のアミノ酸の10個以下の挿入、欠失、または置換を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含まず、
該BTNL9タンパク質が抗CD3抗体によって刺激されたT細胞の増殖を阻害することができる、可溶性BTNL9タンパク質。
(項目41) 核酸によってコードされるBTNL9融合タンパク質であって、該核酸が、
(a)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドが、
(i)配列番号1のヌクレオチド334〜1002のヌクレオチド配列からなるか、または
(ii)ストリンジェントな条件下で(i)のポリヌクレオチドとハイブリッド形成する、ポリヌクレオチドおよび
(b)配列番号1の配列からなるポリヌクレオチドとハイブリッド形成せず、(a)のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドをインフレームで有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
を含み、
該融合タンパク質が抗CD3抗体によって刺激されたT細胞の増殖を阻害することができる、BTNL9融合タンパク質。
(項目42) リンカー配列を含む、項目1から41のいずれか1項に記載の多量体のBTNL9タンパク質、BTNL9融合タンパク質、または可溶性BTNL9タンパク質。
(項目43) 項目1、3から16、19から37、および39から42のいずれか1項に記載の、多量体のBTNL9タンパク質、BTNL9融合タンパク質、または可溶性BTNL9タンパク質であって、該タンパク質は、凝集した該タンパク質の分子量が該タンパク質の単量体種の分子量の約3倍よりも大きいように凝集している、項目1、3から16、19から37、および39から42のいずれか1項に記載の、多量体のBTNL9タンパク質、BTNL9融合タンパク質、または可溶性BTNL9タンパク質。
(項目44) 項目43に記載の、多量体のBTNL9タンパク質、BTNL9融合タンパク質、または可溶性BTNL9タンパク質であって、該タンパク質は、凝集した該タンパク質の分子量が該タンパク質の単量体種の分子量の少なくとも約8倍であるように凝集している、項目43に記載の、多量体のBTNL9タンパク質、BTNL9融合タンパク質、または可溶性BTNL9タンパク質。
(項目45) 項目1から44のいずれか1項に記載の多量体のBTNL9タンパク質、BTNL9融合タンパク質、または可溶性BTNL9タンパク質をコードする単離された核酸。
(項目46) BTNL9タンパク質および別のポリペプチドを含む融合タンパク質をコードする核酸であって、該核酸が、
(a)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドが、
(i)配列番号1のヌクレオチド334〜1002のヌクレオチド配列からなるか、または
(ii)ストリンジェントな条件下で(i)のポリヌクレオチドとハイブリッド形成する、ポリヌクレオチド、および
(b)配列番号1の配列からなるポリヌクレオチドとハイブリッド形成せず、(a)のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドをインフレームで有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
を含み、
該融合タンパク質が抗CD3抗体によって刺激されたT細胞の増殖を阻害することができる、核酸。
(項目47) 項目45または46に記載の核酸を含むベクター。
(項目48) 項目45または46に記載の核酸または項目45に記載のベクターを含む宿主細胞。
(項目49) BTNL9タンパク質の作製方法であって、
項目48に記載の宿主細胞を前記核酸の発現に適切な条件下の培地中にて培養する工程、および
該細胞または培養培地から、発現したタンパク質を回収する工程
を含む、方法。
(項目50) 自己免疫疾患または炎症性疾患を有する患者の処置方法であって、
(a)配列番号2のアミノ酸35〜257のアミノ酸配列、
(b)配列番号2のアミノ酸35〜257と少なくとも90%同一のアミノ酸配列であって、該アミノ酸配列の、配列番号2のアミノ酸35〜257とのアラインメントウィンドウが少なくとも80アミノ酸長である、アミノ酸配列、または
(c)配列番号2のアミノ酸35〜257の配列と比較して単一のアミノ酸の20個以下の挿入、欠失、または置換を有するアミノ酸配列
を含む治療有効用量のBTNL9タンパク質を該患者に投与する工程を含み、
該BTNL9タンパク質が抗CD3抗体によって刺激されたT細胞の増殖を阻害することができる、方法。
(項目51) 前記自己免疫疾患または炎症性疾患が、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、乾癬、サルコイドーシス、喘息、または線維性疾患からなる群から選択される、項目50に記載の方法。
(項目52) 前記自己免疫疾患または炎症性疾患がクローン病である、項目51に記載の方法。
(項目53) 前記自己免疫疾患または炎症性疾患が潰瘍性大腸炎である、項目51に記載の方法。
(項目54) 前記自己免疫疾患または炎症性疾患が線維性疾患である、項目51に記載の方法。
(項目55) T細胞の増殖を阻害するための方法であって、
(a)配列番号2のアミノ酸35〜257のアミノ酸配列、
(b)配列番号2のアミノ酸35〜257と少なくとも90%同一のアミノ酸配列であって、該アミノ酸配列の、配列番号2のアミノ酸35〜257とのアラインメントウィンドウが少なくとも80アミノ酸長である、アミノ酸配列、または
(c)配列番号2のアミノ酸35〜257の配列と比較して単一のアミノ酸の20個以下の挿入、欠失、または置換を有するアミノ酸配列
を含むBTNL9タンパク質を該T細胞に添加する工程を含み、
該BTNL9タンパク質が抗CD3抗体によって刺激されたT細胞の増殖を阻害することができる、方法。
(項目56) 前記阻害がin vitroで起こる、項目55に記載の方法。
(項目57) 前記阻害がin vivoで起こる、項目55に記載の方法。
(項目58) 自己免疫疾患または炎症性疾患を有する患者の処置方法であって、治療有効用量の抗BTNL9抗体を該患者に投与する工程を含み、
該抗BTNL9抗体が配列番号2のアミノ酸35〜257の配列を含むBTNL9タンパク質によってT細胞の増殖阻害を増大させ、
該抗BTNL9抗体が配列番号2のアミノ酸35〜257のアミノ酸配列からなるタンパク質に結合する、方法。
(項目59) 治療有効量の配列番号2のアミノ酸35〜257からなるBTNL9タンパク質に結合する抗体を癌患者に投与する工程を含む、癌患者の処置方法。
(項目60) 前記癌が、急性または慢性白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、リンパ性白血病、リンパ性リンパ腫または皮膚リンパ腫、癌腫、肉腫、胸腺腫、縦隔の新生物、乳癌、前立腺癌、頭頸部癌、肺癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、各種皮膚癌、膀胱癌、悪性神経膠腫、食道癌、胃癌、膵臓癌、肝胆管新生物、小腸、結腸、または直腸の癌、腎臓または尿管の癌、睾丸癌、尿道または陰茎の癌、婦人科系腫瘍、卵巣癌、骨の肉腫、内分泌系の癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、中枢神経系の新生物、および形質細胞新生物からなる群から選択される、項目59に記載の方法。
(項目61) 前記抗体がアンタゴニスト抗体である、項目59または60に記載の方法。
(項目62) 癌に対して患者にワクチン接種するための方法であって、癌細胞に高度に発現する抗原および配列番号2のアミノ酸35〜257からなるタンパク質に結合するアンタゴニスト抗体を該患者に投与する工程を含む、方法。
(項目63) 自己免疫状態または炎症状態を有する患者を処置するための方法であって、以下の工程:
(a)該患者からT細胞を取り出す工程、
(b)該T細胞を、抗CD3抗体を含むタンパク質とBTNL9タンパク質との組み合わせで刺激する工程であって、該BTNL9タンパク質が、
(i)配列番号2のアミノ酸35〜257のアミノ酸配列、
(ii)配列番号2のアミノ酸35〜257と少なくとも90%同一のアミノ酸配列であって、該アミノ酸配列の、配列番号2のアミノ酸35〜257とのアラインメントウィンドウが少なくとも80アミノ酸長である、アミノ酸配列、または
(iii)配列番号2のアミノ酸35〜257の配列と比較して単一のアミノ酸の20個以下の挿入、欠失、または置換を有するアミノ酸配列
を含む、刺激する工程、
(c)刺激されたT細胞を採取する工程、および
(d)採取したT細胞を該患者に戻す工程
を含み、該BTNL9タンパク質が抗CD3抗体によって刺激されたT細胞の増殖を阻害することができる、方法。
(項目64) 前記BTNL9タンパク質が、(b)(iii)のBTNL9タンパク質であり、配列番号2のアミノ酸35〜257の配列と比較して単一のアミノ酸の10個以下の挿入、欠失、または置換を有する、項目63に記載の方法。
(項目65) 前記BTNL9タンパク質が、配列番号2のアミノ酸35〜257の配列と比較して単一のアミノ酸の5個以下の挿入、欠失、または置換を有する、項目64に記載の方法。
(項目66) 前記BTNL9タンパク質が(b)(i)のBTNL9タンパク質である、項目63に記載の方法。
(項目67) 前記自己免疫状態または炎症状態が、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、乾癬、サルコイドーシス、喘息、または線維性疾患からなる群から選択される、項目63から66のいずれか1項に記載の方法。
ブチロフィリン様(BTNL)タンパク質ファミリーの一部であるヒトタンパク質のドメイン構造を図示している。各楕円または円は、タンパク質ドメインを示す。ドメインを以下のように示す:
Figure 2015143276
、免疫グロブリン可変領域様(IgV様)ドメイン;
Figure 2015143276
、免疫グロブリン定常領域様(IgC様)ドメイン;
Figure 2015143276
、免疫グロブリン様(Ig様)ドメイン;
Figure 2015143276
、膜貫通ドメイン;および
Figure 2015143276
、B30.2ドメイン。特定のドメイン構造を使用して同定されていない領域を横線で示す。
この図は、種々の初代ヒト免疫細胞に存在するBTNL9mRNAの相対量を示す。細胞を正常なヒトドナーのロイコパックまたは全血から単離し、RNAをAffymetrixアレイ(Affymetrix GENECHIP(商標)HG−U133 Plus 2.0)へのハイブリッド形成によって評価した。縦軸は、ROSETTA RESOLVER(登録商標)を使用して生成したBTNL9mRNA発現の強度値を示す。試験した種々の細胞型を、以下のようにx軸に沿って示す:1、末梢血単核細胞;2、CD3細胞;3、CD4細胞;4、CD8細胞;5、調節T細胞;6、CD19細胞;7、ナチュラルキラー(NK)細胞;8、NK−T細胞;9、単球;10、マクロファージ;11、好酸球;12、好中球;13、好塩基球;および14、血小板。方法を実施例1に詳述している。 この図は、マイクロアレイ上のBTNL9プローブへのハイブリッド形成によって決定した場合の種々の成人ヒト組織におけるBTNL9mRNAの相対発現レベルを示す。BTNL9mRNA発現の強度値を縦軸上に示す。種々の組織を、以下のように横軸上に示す:1、副腎;2、膀胱;3、膀胱癌腫;4、骨髄;5、骨髄単核細胞;6、脳;7、乳房;8、結腸;9、結腸腺癌細胞;10、正常な外見の結腸生検の辺縁部;11、心臓;12、過形成性前立腺;13、非ホジキンリンパ腫患者由来の回腸;14、正常な外見の回腸生検由来の辺縁部;15、腎臓;16、喉頭由来の扁平上皮癌腫細胞;17、正常な外見の喉頭生検由来の辺縁部;18、肝臓;19、肺;20、卵巣;21、胎盤;22、前立腺;23、骨格筋;24、皮膚;25、小腸;26、脾臓;27、精巣;28、胸腺;および29、白色脂肪組織。方法を実施例1に記載している。 この図は、種々のタンパク質(以下:(1)
Figure 2015143276
、10μg/mlのヒトIgG調製物由来のFcフラグメント;2)
Figure 2015143276
、2μg/mlのヒトIgG調製物由来のFcフラグメント;3)
Figure 2015143276
、0.5μg/mlのヒトB7−2:Fcタンパク質(R&D Biosystemsから購入);4)
Figure 2015143276
、5μg/mlのマウスBTNL2.Fc融合タンパク質;5)
Figure 2015143276
、10μg/mlのヒトBTNL9.Fc;および6)
Figure 2015143276
、2μg/mlのヒトBTNL9.Fcが含まれる)の存在下にて抗CD3(クローン2C11)抗体で活性化されたマウスCD4T細胞の増殖レベルを示す。レーン4〜6上のアスタリスクは、これらの結果がコントロールアッセイの結果よりも有意に低いことを示す。方法を実施例3に記載している。
この図は、種々のタンパク質:以下((1)
Figure 2015143276
、さらなるタンパク質なし;(2)
Figure 2015143276
、10μg/mlのT細胞の増殖に影響を及ぼさないことが公知のFc融合タンパク質(p7.5−Fc);(3)
Figure 2015143276
、2.5μg/mlのp7.5−Fc;(4)
Figure 2015143276
、20μg/mlのヒトBTNL9.Fc;(5)
Figure 2015143276
、10μg/mlのヒトBTNL9−Fc;(6)
Figure 2015143276
、5μg/mlのヒトBTNL9.Fc;(7)
Figure 2015143276
、2.5μg/mlのヒトBTNL9.Fc;および(8)
Figure 2015143276
、10μg/mlのマウスBTNL2.Fcタンパク質が含まれる)の存在下にて抗CD3抗体で活性化されたヒトCD4T細胞の増殖レベルを示す。レーン4および8上のアスタリスクは、これらのデータがレーン2中に示したコントロールアッセイのデータと有意に異なることを示す。方法を実施例4に記載している。
図6A〜6Eは、抗CD3抗体および種々のさらなるタンパク質の存在下または非存在下でのヒトCD4T細胞による種々のサイトカインの産生レベルを示す。パネル6A、6B、6C、6D、および6Eは、示すようにそれぞれインターロイキン−2、腫瘍壊死因子−α、インターフェロン−γ、インターロイキン−17、およびインターロイキン−13のレベルを示す。パネル6A〜6E中の棒グラフにおけるレーンは、以下:1)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体を使用しない細胞;2)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体を使用するがさらなるタンパク質を使用しない細胞;3)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体およびヒトIgGの調製物を使用した細胞;4)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体+p7.5−Fc融合タンパク質を使用した細胞;5)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体およびHB15−Fc融合タンパク質(T細胞の増殖に影響を及ぼさないことが公知)を使用した細胞;6)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体およびマウスBTNL2.Fcタンパク質を使用した細胞;および7)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体およびヒトBTNL9.Fcタンパク質を使用した細胞を含むアッセイに由来する。方法を実施例5に記載している。
図6A〜6Eは、抗CD3抗体および種々のさらなるタンパク質の存在下または非存在下でのヒトCD4T細胞による種々のサイトカインの産生レベルを示す。パネル6A、6B、6C、6D、および6Eは、示すようにそれぞれインターロイキン−2、腫瘍壊死因子−α、インターフェロン−γ、インターロイキン−17、およびインターロイキン−13のレベルを示す。パネル6A〜6E中の棒グラフにおけるレーンは、以下:1)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体を使用しない細胞;2)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体を使用するがさらなるタンパク質を使用しない細胞;3)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体およびヒトIgGの調製物を使用した細胞;4)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体+p7.5−Fc融合タンパク質を使用した細胞;5)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体およびHB15−Fc融合タンパク質(T細胞の増殖に影響を及ぼさないことが公知)を使用した細胞;6)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体およびマウスBTNL2.Fcタンパク質を使用した細胞;および7)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体およびヒトBTNL9.Fcタンパク質を使用した細胞を含むアッセイに由来する。方法を実施例5に記載している。
図6A〜6Eは、抗CD3抗体および種々のさらなるタンパク質の存在下または非存在下でのヒトCD4T細胞による種々のサイトカインの産生レベルを示す。パネル6A、6B、6C、6D、および6Eは、示すようにそれぞれインターロイキン−2、腫瘍壊死因子−α、インターフェロン−γ、インターロイキン−17、およびインターロイキン−13のレベルを示す。パネル6A〜6E中の棒グラフにおけるレーンは、以下:1)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体を使用しない細胞;2)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体を使用するがさらなるタンパク質を使用しない細胞;3)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体およびヒトIgGの調製物を使用した細胞;4)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体+p7.5−Fc融合タンパク質を使用した細胞;5)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体およびHB15−Fc融合タンパク質(T細胞の増殖に影響を及ぼさないことが公知)を使用した細胞;6)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体およびマウスBTNL2.Fcタンパク質を使用した細胞;および7)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体およびヒトBTNL9.Fcタンパク質を使用した細胞を含むアッセイに由来する。方法を実施例5に記載している。
この図は、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)放出の測定によって細胞死を測定するためのアッセイの結果を示す(実施例7に詳細に説明)。パネル7AはLDHアッセイの結果を示し、パネル7Bは、同一の細胞で行った増殖アッセイの結果を示す。これらのアッセイにおける細胞はマウスCD4T細胞である。パネル7Aおよび7B中の種々のレーンは、活性化T細胞を使用したか使用しなかったアッセイおよび以下のさらなる成分((1)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体を使用したT細胞;(2)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体+ヒトIgGの調製物を使用したT細胞;(3)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体+HB15−Fcを使用したT細胞;(4)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体+p7.5−Fcを使用したT細胞;(5)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体+マウスBTNL2.Fcを使用したT細胞;(6)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体+BTNL9.Fcを使用したT細胞;および(7)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体+マウスB7−1−Fcを使用したT細胞)を使用したか使用しなかったアッセイの結果を示す。パネル7Aでは、レーン(8)はT細胞を使用しなかった培地を使用して行ったLDHアッセイ由来のデータを示し、レーン(9)はT細胞+triton X−100(100%細胞死を示すポジティブコントロールである)を使用して行ったアッセイ由来データを示す。
この図は、示すように正常なドナー由来の、および潰瘍性大腸炎(UC)またはクローン病(Crohns)を有するドナー由来の結腸組織におけるBTNL9mRNAの発現レベルを示す。各ポイントは1ドナー由来のデータを示す。アスタリスクによって示すように、正常組織と罹患組織との間の発現の相違はUCおよびクローン病組織の両方について統計的に有意であった。 この図は、SEC精製によって生じるプール画分の検体のサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)分析を示す。 この図は、以下に示すさらなるタンパク質を使用したか使用しなかった、抗CD3抗体に応答したマウスCD4T細胞の増殖レベルを示す:(1)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体のみを使用;(2)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体+HB15−Fcを使用;(3)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体+ヒトIgGの調製物を使用;(4)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体+ヒトIgGの調製物由来のFcフラグメントを使用;(5)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体+マウスBTNL2.Fcを使用;(6)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体+BTNL9.Fc画分1を使用;(7)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体+BTNL9.Fc画分2を使用;および(8)
Figure 2015143276
、抗CD3抗体+BTNL9.Fc画分3を使用。二重アスタリスクはコントロール値との有意差を示す。手順を実施例9に示している。
この図は、種々のさらなるタンパク質を使用したか使用しなかった、抗CD3抗体の存在下でのヒトCD4T細胞の増殖レベルを示す。レーンの模様は図10のそれと同一である。手順を実施例9に記載している。 実施例10で説明するように、この図は、DAPI(左)、抗BTNL9抗体(中央)、およびCD31(右)で染色したヒト脾臓組織を示す。
配列表の簡単な説明
配列番号1:NCBIリファレンス配列NM_152547.4に開示の全長ヒトBTN
L9タンパク質をコードするcDNAのヌクレオチド配列。
配列番号2:NCBIリファレンス配列NM_152547.4のヌクレオチド配列の翻
訳物であるヒトBTNL9の全長アミノ酸配列。
配列番号3:IgKシグナル配列のアミノ酸配列。
配列番号4:ヒト成長ホルモンのシグナル配列のアミノ酸配列。
配列番号5:NCBIリファレンス配列NM_172793.2に開示の全長マウスBT
NL9タンパク質をコードするcDNAのヌクレオチド配列。
配列番号6:NCBIリファレンス配列番号NM_172793.2に開示のヌクレオチ
ド配列の翻訳物であるマウスBTNL9の全長アミノ酸配列。
配列番号7:NCBIリファレンス配列BC062459.1によって開示の選択的スプライシングされたヒトBTNL9cDNAの全長ヌクレオチド配列。
配列番号8:NCBIリファレンス配列BC062459.1のヌクレオチド配列の翻訳物である選択的スプライシングされたヒトBTNL9の全長アミノ酸配列。
配列番号9:リンカーのアミノ酸配列。
配列番号10:リンカーのアミノ酸配列。
配列番号11:リンカーのアミノ酸配列。
配列番号12:リンカーのアミノ酸配列。
配列番号13:リンカーのアミノ酸配列。
配列番号14:リンカーのアミノ酸配列。
配列番号15:リンカーのアミノ酸配列。
配列番号16:リンカーのアミノ酸配列。
配列番号17:リンカーのアミノ酸配列。
配列番号18:ヒトBTNL9の細胞外領域、リンカー、およびFc領域を含む融合タンパク質(BTNL9.Fc)をコードするヌクレオチド配列。
配列番号19:BTNL9.Fcのアミノ酸配列。
配列番号20:マウスBTNL2の細胞外領域およびヒトIgG Fc領域を含むBTNL2.Fc融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列。
配列番号21:配列番号20によってコードされたBTNL2.Fcのアミノ酸配列。
詳細な説明
本発明は、BTNL9タンパク質またはBTNL9タンパク質のインヒビターもしくはアゴニスト(抗BTNL9抗体および/またはBTNL9タンパク質のバリアント形態など)の使用を提供する。本発明は、BTNL9タンパク質(そのバリアントが含まれる)、かかるタンパク質の使用、および上記の全タンパク質をコードする核酸を提供する。BTNL9タンパク質は、T細胞の活性化、増殖、およびサイトカイン産生を低下させることによってT細胞機能を変化させることができる。かかる効果により、T細胞媒介性の自己免疫疾患または炎症性疾患(とりわけ炎症性腸疾患および線維症など)を有効に処置することができる。BTNL9のインヒビターは、BTNL9がT細胞の活性化、増殖、およびサイトカイン分泌を低下させるのを防止し、したがって、全体としてT細胞活性化を増大させるように機能することができる。かかる効果は、疾患(癌など)の処置またはワクチンの効力の増強に有用であり得る。BTNL9のアゴニストは、例えば、BTNL9タンパク質を発現するB細胞の活性化状態を変化させることによって免疫細胞機能を変化させることができる。
定義
「抗体」は、本明細書中で意味する場合、免疫グロブリンの重鎖可変領域および/または免疫グロブリンの軽鎖可変領域を含む。抗体は、軽鎖可変領域(V)、軽鎖定常領域(C)、重鎖可変領域(V)、第1の重鎖定常領域(C1)、ヒンジ領域、第2の重鎖定常領域(C2)、および第3の重鎖定常領域(C3)を含む全長四量体抗体(IgG、IgA、IgD、IgM、またはIgE抗体など)であり得る。あるいは、抗体は、フラグメント(Fabフラグメントなど)または必要に応じて組換えフラグメント(scFvフラグメントなど)であり得る。単一の可変領域(V領域またはV領域のいずれか)を含む単一ドメイン抗体も本明細書中で意味する抗体である。単一ドメイン抗体は、米国特許出願公開第2006/0062784号(単一ドメイン抗体を記載している部分が、本明細書中で参考として援用される)に記載されている。さらに、種々の1価の形態(一本鎖抗体、例えばscFv、Fab、scFv−Fc、ドメイン抗体、および、例えば、国際特許出願公開第WO2009/089004号および米国特許第5,837,821号(その記載部分が本明細書中で参考として援用される)に記載の種々の形式が含まれる)および多価分子(F(ab)および、例えば、国際特許出願公開第WO2009/089004号および米国特許第5,837821号(その記載部分が本明細書中で参考として援用される)に記載の多価分子など)は、「抗体」の意味の範囲に包含される。
タンパク質の多量体種の分子量がタンパク質の単量体種の分子量の「少なくとも約」4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16倍であることを本明細書の複数の場所で言及している。これの意味するところは明白であるが、この句は具体的には単量体の約4,5、6倍などである種だけでなく、かかる種のより大きな種との組み合わせを含むことを意味する。同様に、多量体が「少なくとも」三量体、四量体などであることを複数の場所で言及している。この句は、具体的には、三量体、四量体などである種だけでなく、言及した種のより大きな種との組み合わせも含まれることを意味する。
「BTNL9タンパク質」には、本明細書中で意味する場合、全長ヒトBTNL9タンパク質ならびにそのフラグメントおよび/またはバリアント(BTNL9遺伝子の天然に存在する対立遺伝子バリアントによってコードされたタンパク質が含まれる)、ならびに組換えによって産生されたBTNL9タンパク質(天然に存在するBTNL9タンパク質と比較していくつかの配列変化を含み得る)が含まれる。
「scFv」は、重鎖可変領域(V)および軽鎖可変領域(V)を含むが、抗体の定常領域を含まない一本鎖抗体である。いくつかの実施形態では、scFvはまた、重鎖可変領域と軽鎖可変領域との間に種々の長さのリンカーを含むことができる。scFvを他のアミノ酸配列に融合することができるが、scFvと言及されるタンパク質部分は、好ましくはV領域、V領域、および必要に応じてこれらの配列に連結するリンカー以外のいかなる相当量のアミノ酸配列も含まない。
抗体の「Fc領域」または「Fc部分」または「Fcフラグメント」(本明細書中で同一と見なされる)は、C2ドメインおよびC3ドメインおよびヒンジ領域を含む重鎖フラグメントまたはかかるフラグメントのバリアントである。Fcフラグメントは、C1ドメインやVドメインを含まない。例えば、Kuby,Immunology,Second Edition,p.110−11,W.H.Freeman and Co.,New York(1994)を参照のこと。Fcフラグメントは、IgA、IgD、IgE、IgG、またはIgAアイソタイプ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、または他のサブタイプが含まれる)のFcフラグメントであり得る。Fc領域のバリアントは、本明細書中で意味する場合、天然に存在するFc領域と比較して単一のアミノ酸の1〜30個(具体的には、1個以下、2個以下、3個以下、4個以下、5個以下、6個以下、7個以下、8個以下、9個以下、10個以下などが含まれる)の挿入、欠失、または置換を含むことができる。天然に存在するか「天然の」Fc領域は、生きている生物中に天然に存在する配列を有する(例えば、ヒトまたはマウスのFc領域)。したがって、「天然のヒト」Fc領域は、天然に存在するヒトFc領域中に見いだされるアミノ酸配列を有する。機能に影響を及ぼすことなく変動が許容され得る位置に関するガイダンスを当該分野で見出すことができる。例えば、米国特許第5,807,706号および国際特許出願公開第WO2009/089004号(その関連部分が本明細書中で参考として援用される)で同定されたアミノ酸残基の変更を使用して、ホモ二量体形成と比較してヘテロ二量体形成の促進に使用することができる。同様に、新生児Fc受容体(FcRn)の結合を防止しないFc領域への変更は、本明細書中で意味する場合にFcバリアントで起こり得る変更の範囲内に包含される。Fc領域のFcRnへの結合を、Biacore装置(Biacore 3000など)を使用して約pH6で確認することができる。ヒトFcRnを、標準的な化学反応を使用してCM5チップにカップリングすることができる。Fc含有タンパク質は移動相の一部であり得、応答をレゾナンスユニットで測定することができる。Fc領域の変更は、例えば、国際特許出願公開第WO97/34631号(その関連部分が本明細書中で参考として援用される)に記載されている。あるいは、例えば、種内および種間のIgG配列の比較により、高度保存アミノ酸を位置決定することができ、それにより、当業者にこれらのアミノ酸の変更が構造および/または機能に影響を及ぼし得ることを示唆することになる。ヒンジ、C2領域、およびC3領域(共にFc領域を形成する)の多数の配列アラインメントは、例えば、Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest,National Institutes of Health,Publication No.91−3242,1991(その関連部分が本明細書中で参考として援用される)で利用可能である。他方では、種々のIgG間で変化するアミノ酸は、変動が機能に影響を及ぼすことなく許容される可能性がある部位である。同様に、他の所望の性質(エフェクター機能(抗体依存性細胞傷害性および/またはC1q結合(補体結合を導く)が含まれる)の増減など)を有するFcバリアントは、Fcバリアントの意味の範囲内に包含される。
用語「全長抗体」は、天然に存在する抗体と構造が類似する(すなわち、2つの全重鎖および2つの全軽鎖を含む)分子をいう。例えば、天然に存在する抗体の構造の論述については、Kabat et al.,上掲またはKuby,Immunology,Second Edition,p.109−32,W.H.Freeman and Co.,New York(1994)を参照のこと。全長抗体の構造を記載しているこれらの参考文献の部分が、本明細書中で参考として援用される。「全長抗体」のうちで、2つの完全な重鎖(しばしば、異常に長いCDR3領域を伴う)を含み、軽鎖を含まない天然に存在するヒトコブラクダ抗体と構造が類似する抗体も含まれる。Muldermans
et al.(2001),J.Biotechnol.74:277−302;Desmyter et al.(2001),J.Biol.Chem.276:26285−26290。これらのヒトコブラクダ抗体の構造を記載しているこれらの参考文献の部分が、本明細書中で参考として援用される。
「多量体」タンパク質(多量体のBTNL9タンパク質など)は、1つを超えるポリペプチド鎖を含むタンパク質である。用語「多量体」は、「二量体」、「三量体」、または「四量体」などの用語を包含し、これらは、多量体がいくつのポリペプチド鎖を含むかを正確に特定している。「ホモ多量体」は2コピー以上の同一のポリペプチド鎖からなり、いかなる異なるポリペプチド鎖も含まない。同様に、例えば、「ホモ二量体」は2コピーの同一のポリペプチド鎖からなり、「ホモ三量体」は3コピーの同一のポリペプチド鎖などからなる。「ヘテロ多量体」は、少なくとも2つの異なるポリペプチド鎖を含む。ヘテロ多量体が3つ以上のポリペプチド鎖を有する場合、これらのうちのいくつかは、少なくとも1つがその他と異なる限り、相互に同一であり得る。タンパク質が「少なくとも三量体」であるという場合、それが三量体またはより高次の多量体であることを意味する。同様の意味が「少なくとも四量体」、「少なくとも五量体」などに帰することになる。
「Fabフラグメント」は、1つのV領域およびC領域を含む軽鎖ならびに1つのV領域および1つのC1領域を含む重鎖の一部を含む抗体フラグメントである。Fabフラグメントは、C2領域やC3領域を含まない。例えば、何のFabフラグメントであるかの論述については、Kuby,Immunology,Second Edition,pp.110−11 W.H.Freeman and Co.,New York(1994)を参照のこと。異なる種類のFabフラグメントは、ヒンジ領域を含まないか、ヒンジ領域の一部を含むか、全ヒンジ領域を含み得る。
「scFv−Fc」は、本明細書中で使用する場合、scFvのFc領域との融合物である組換えタンパク質である。Li et al.(2000),Cancer Immunol.Immunother.49:243−252;Powers et al.(2001),J.Immunol.Methods 251:123−135;Gilliland et al.(1996),Tissue Antigens 47:1−20を参照のこと。
「組換え」タンパク質または抗体は、遺伝子工学のプロセスから生じるタンパク質または抗体である。用語「遺伝子工学」は、高レベルまたは低レベルで遺伝子を発現するか、遺伝子の変異体形態を発現する細胞を作製するために使用される組換えDNAまたはRNA法をいう。換言すれば、細胞を、組換えポリヌクレオチド分子でトランスフェクトするか、形質転換するか、形質導入し、それにより、細胞による所望のポリペプチドの発現を変化させるように、変化させる。
可溶性分泌タンパク質および細胞表面に発現するタンパク質は、しばしば、N末端「シグナル配列」を含み、このシグナル配列は、真核細胞中の小胞体(ER)が結合した膜を介したタンパク質の挿入を媒介する疎水性配列である。I型膜貫通タンパク質はシグナル配列も含む。「シグナル配列」は、本明細書中で意味する場合、アミノ末端疎水性配列であり、この配列は、タンパク質の一部または全ての、ER膜を介したERの内腔への挿入後に通常は酵素的に除去される。したがって、シグナル配列は分泌タンパク質または膜貫通タンパク質の前駆体形態の一部として存在し得るが、一般にタンパク質の成熟形態で欠いているということは当該技術分野で公知である。タンパク質がシグナル配列を含むという場合、タンパク質の前駆体形態はシグナル配列を含むが、タンパク質の成熟形態はシグナル配列を含まない可能性があるということを理解すべきである。シグナル配列は、切断部位に隣接し且つすぐ上流(−1位)の残基および−3位の別の残基(この酵素切断に重要である)を含む。Nielsen et al.(1997),Protein Eng.10(1):1−6;von Heijne(1983),Eur.J.Biochem.133:17−21;von Heijne(1985),J.Mol.Biol.184:99−105(シグナル配列およびこれを同定する方法を記載している部分が本明細書中で参考として援用される)。シグナル配列を、Nielsen et al.(上掲)に記載のように同定することができる。哺乳動物宿主細胞で機能的なシグナルペプチドまたは配列の例には、以下が含まれる:米国特許第4,965,195号に記載のインターロイキン−7(IL−7)のシグナル配列;Cosman et al.((1984),Nature 312:768)に記載のインターロイキン−2受容体のシグナル配列;欧州特許第0 367 566号に記載のインターロイキン−4受容体シグナルペプチド;米国特許第4,968,607号に記載のI型インターロイキン−1受容体シグナル配列;欧州特許第0 460 846号に記載のII型インターロイキン−1受容体シグナルペプチド;ヒトIgKのシグナル配列(METDTLLLWVLLLWVPGSTG;配列番号3である);およびヒト成長ホルモンのシグナル配列(MATGSRTSLLLAFGLLCLPWLQEGSA;配列番号4)。これらの参考文献の関連部分が、本明細書中で参考として援用される。多数の他のシグナル配列が当該分野で公知である。
「免疫グロブリン様」(Ig様)ドメインは、本明細書中で意味する場合、主にその三次構造によって区別される。例えば、Bork et al.(1994),J.Mol.Biol.242:309−20;Hunkapiller and Hood(1989),Adv.Immunol.44:1−63;Williams and Barclay(1988),Ann.Rev.Immunol.6:381−405を参照のこと。しかし、可変および定常免疫グロブリン様ドメインは、その一次アミノ酸配列内の保存された位置に存在するわずかな高保存アミノ酸を含む。例えば、Kabat et al.(1991),Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Dept.of Health and
Human Services,Public Health Service,National Institutes of Health,NIH Publication No.91−3242を参照のこと。可変領域ならびにC1およびC2定常領域中のかかる保存アミノ酸は、例えば、Harpaz and Chothia(1994),J.Mol.Biol.238:528−39 and Williams and Barclay(1988),Ann.Rev.Immunol.6:381−405で詳細に論じられている。かかる保存残基を論じているこれらの参考文献の部分が、本明細書中で参考として援用される。適切なスペーシング中に生じるかかる高保存アミノ酸またはその保存的バリアントの存在は、IgC様ドメインまたはIgV様ドメインの存在を示し得る。
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一率を、コンピュータプログラムGAP(すなわち、Genetics Computer Group(GCG;Madison,WI)Wisconsinパッケージバージョン10.0プログラム、GAP(Devereux et al.(1984),Nucleic Acids Res.12:387−95))を使用した配列情報の比較によって決定することができる。GAPプログラム用の好ましいデフォルトパラメータには、以下が含まれる:(1)ヌクレオチドについての単項比較行列(同一性についての値1および非同一性についての値0を含む)およびAtlas of Polypeptide Sequence and Structure,Schwartz and Dayhoff,eds.,National Biomedical Research Foundation,pp.353−358(1979)に記載のGribskov and Burgess,((1986)Nucleic Acids Res.14:6745)の重み付きアミノ酸比較行列または他の類似の比較行列のGCG実行;(2)アミノ酸配列についての各ギャップのペナルティ8および各ギャップ中の各シンボルの追加ペナルティ2またはヌクレオチド配列についての各ギャップのペナルティ50および各ギャップ中の各シンボルの追加ペナルティ3;(3)エンドギャップのペナルティなし;および(4)ロングギャップの最大ペナルティなし。
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列同一性を決定するための比較に関連して、「アラインメントウィンドウ」が、本明細書中に記載のパラメーターを使用したコンピュータプログラムGAP(Devereux et al.(1984),Nucleic
Acids Res.12:387−95)によって別のポリヌクレオチドまたはポリペプチドと一部または全体が一致したポリヌクレオチドまたはポリペプチド部分であることを意味する。例えば、20アミノ酸のポリペプチドを相当により長いタンパク質とアラインメントし、最初の10アミノ酸がより長いタンパク質と正確に一致する一方で、最後の10アミノ酸がより長いタンパク質とまったく一致しない場合、アラインメントウィンドウは10アミノ酸である。他方では、20アミノ酸のポリペプチドの最初および最後のアミノ酸がより長いタンパク質と一致し、8個の他の一致がその間に点在する場合、アラインメントウィンドウは20アミノ酸長である。しかし、本明細書中で意味する場合、少なくとも、例えば、25アミノ酸または75ヌクレオチドの同一または保存的に置換されたアミノ酸または同一のヌクレオチドを含まないいずれかのアラインメントした鎖中のロングストレッチは、アラインメントウィンドウのエンドポイントを構成する。配列比較のためのアラインメントウィンドウは、少なくとも約25、50、60、75、80、90、100、150、200、225、300、400、450、500、または600アミノ酸長またはヌクレオチド長であり得る。
2つのポリペプチド配列またはヌクレオチド配列は、上記のGAPプログラムを使用して決定した場合にこれらが少なくとも90%同一であり、且つ類似の生物学的活性を有する場合、「実質的に類似する」と見なされる。BTNL9の場合、2つの配列が実質的に類似するかどうかの決定で試験すべき生物学的活性は、抗CD3抗体によって活性化されたT細胞の増殖を阻害する能力である。
BTNLファミリー
BTNL9は、そのドメイン構造に基づいて、ブチロフィリン様(BTNL)ファミリー内のタンパク質に属している。例えば、Arnett et al.(2008),Current Immunology Reviews 4:43−52およびArnett et al.(2009),Cytokine 46:370−75を参照のこと。BTNLファミリー中のヒトタンパク質にはBTNL2、BTNL3、BTNL8、BTNL9、ERMAP、およびMOGが含まれ、これらのタンパク質のドメイン構造を図1に図式的に示す。図1から明らかなように、BTNL2は、その細胞外領域中に4つの免疫グロブリン様(Ig様)ドメイン(2つのIgV様ドメインおよび2つのIgC様ドメイン)を有する唯一のファミリーのメンバーである。MOGおよびERMAPはそれぞれたった1つのIg様ドメインを有する。BTNL3、BTNL8、およびBTNL9はまた、明確にIg様ドメインである一方の細胞外ドメインおよびIg様ドメインのいくつかの特徴を欠くがIg様ドメインであるためのほぼ正確なサイズである別のドメインを有する。全BTNLファミリーメンバーは膜貫通ドメインを有する。BTNL2およびMOGは短い細胞内領域を有するのに対して、BTNL3、BTNL8、BTNL9、およびERMAPは、B30.2ドメインを含むより長い細胞内領域を有する。いくつかのタンパク質のB30.2ドメインの変異は一定の疾患と関連しているにも関わらず、細胞内B30.2の機能は未知である。Henry et al.(1998),Mol.Biol.Evol.15:1696−1705(その関連する開示が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。さらに、いくつかのB30.2ドメインの結合パートナーが同定されている。例えば、Jeong et al.(2009),J.Biol.Chem.284:22444−22456を参照のこと。
BTNL9と他のヒトBTNLファミリーメンバーとの配列同一性を、以下の表1に示す。
Figure 2015143276
図1に示すように、BTNL3、BTNL8、およびBTNL9は、類似のドメイン構造を有する。BTNL9タンパク質とBTNL3タンパク質およびBTNL8タンパク質との配列同一性は、他のBTNLタンパク質とのそれよりわずかに高い。BTNL3タンパク質およびBTNL8タンパク質は、相互に69%同一である。
配列同一性レベルを超えて、6つ全てのヒトBTNL様タンパク質のアラインメントである以下の表2に示すようにBTNLタンパク質ファミリー内の一定の部位は高度に保存されている。上記アラインメントの下にコンセンサス配列を示す。コンセンサスアミノ酸(複数可)が、上記アミノ酸が存在する上記アラインメントの部分にアミノ酸配列が及んでいる全タンパク質中に存在する場合、このアミノ酸を太字で示す。上記配列が上記アラインメントの部分に及んでいる1つを除く全タンパク質中にコンセンサスアミノ酸が存在する場合、このアミノ酸を通常のフォントで示す。ある部位が全ての場合において2つ以上のアミノ酸(それぞれ他方の保存的変異(variation)である)のうちの1つを有する場合、これらのアミノ酸をその位置の下に太字のフォントで列挙する。ある部位が上記アラインメントのその部分に及んでいる1つを除く全配列中に2つ以上のアミノ酸(それぞれ他方の保存的変異である)のうちの1つを有する場合、これらのアミノ酸をその位置の下に通常のフォントで列挙する。表2中のアラインメントの上の番号付けは、配列番号2(ヒトBTNL9の全長アミノ酸配列(配列番号2の34位で終結するシグナル配列を含む)である)の番号付けである。
Figure 2015143276
Figure 2015143276
Figure 2015143276
当業者は、これらのタンパク質のうちのコンセンサス配列がこれらのタンパク質の構造または機能に重要であり得る特徴を反映すると認識するう。その多様な発現パターンを考慮すると、これらのタンパク質が同一の機能を持たない可能性があり、したがって、各タンパク質の機能に重要な全てのアミノ酸がファミリー内に保存されていそうにない。しかし、多数の保存アミノ酸は、勿論機能に必要な適切な構造を維持するために重要であり得る。多くの部位で相互の保存的変異である2つ以上のアミノ酸のうちの1つが、BTNLファミリーの全てまたはほとんどのメンバーに存在する。当業者は、BTNL9のかかる保存的変異が機能に不利に影響しそうにないと理解することになる。例えば、配列番号2の55位で(上記表2のアラインメントと同一の番号付けを有する)、BTNLファミリーの種々のメンバーは、3つの異なる疎水性アミノ酸(アラニン(BTNL3、BTNL8、およびERMAP)、イソロイシン(BTNL2)、またはバリン(BTNL9およびMOG))のうちの1つを有する。当業者は、BTNL9アミノ酸配列のこの位置でのバリンのアラニンまたはイソロイシンへの変化が機能に影響を与えていそうにないと理解することになる。ファミリー内で保存的変異が存在する部位全てを同様に考慮することになる。したがって、BTNL9タンパク質には、本明細書中で意味する場合、配列番号2を含むタンパク質またはそのフラグメントが含まれ、ここで、保存的変異がBTNLファミリーのメンバー間に存在する部位での保存的変異によって上記配列を変化させることができ、ここで、以下の実施例に記載した方法によって測定した場合に上記タンパク質がT細胞の増殖を阻害することができる。かかる部位には、配列番号2の47、49、51、53、54、55、57、61、67、72、74、82、83、85、86、87、88、91、98、100、101、106、107、108、116、117、119、120、123、131、135、147、184、209、211、215、217、221、225、244、288、291、312、316、317、323、324、327、330、331、343、349、352、357、360、365、368、370、371、373、374、383、392、393、395、398、400、403、411、413、417、428、433、436、440、443、448、449、451、460、463、468、472、477、および485位が含まれる。さらに、機能に影響を及ぼすことなくBTNL9内の他の部位の変異も許容することができる。例えば、かかる部位で機能的影響が起こりうるにもかかわらず、非保存位置での保存的置換は、機能に影響を及ぼしそうにない。
したがって、BTNL9タンパク質には、本明細書中で意味する場合、(1)天然に存在する多型または組換え的に導入されたアミノ酸変化を有し、(2)配列番号2および/または配列番号2のアミノ酸35〜257と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であり、(3)本明細書中に記載の方法によって測定した場合にT細胞の増殖を弱めるか、天然のBTNL9のインヒビターとして作用する能力を保持するタンパク質が含まれる。いくつかのかかる多型は、BTNL9タンパク質がT細胞の増殖を阻害する能力を増強することができ、そして/またはBTNL9タンパク質において、商業的産生プロセスでの産生をより容易にすることができる。他のかかる多型は、天然のBTNL9のインヒビターを産生することができる。これらの多型は、BTNL9内の保存されていない部位(例えば、41、44、45、46、48、56、58、60位など)および表2に非保存性であることが示された任意の他の部位に存在し得る。
BTNLタンパク質の発現パターンおよび生物学的機能は、ある場合にはいくらかの範囲まで調査されているが、他の場合では調査されていない。ERMAPは、赤血球表面に発現し、特定の生物学的機能を割り当てられていない。MOGはミエリン鞘の成分である。MOGに対する抗体がしばしば多発性硬化症患者で検出されるにもかかわらず、ERMAPおよびMOGはいずれも免疫系で役割を果たすと考えられていない。BTN1はMOGと類似し(homologous)、BTN1は牛乳中に見出される。ヒトによる牛乳の消費によってヒトMOGと交差反応するBTN1に対する抗体が産生され、それにより、自己免疫疾患(多発性硬化症など)を引き起こし得るという仮説が立てられている。Guggenmos et al.(2004),J.Immunol.172:61−68を参照のこと。BTNL2は、T細胞の増殖およびサイトカイン分泌を阻害するが、B細胞増殖を阻害しないことが示されている。したがって、BTNL2は、T細胞媒介性事象の負の共調節因子として作用すると考えられる。例えば、米国特許第7,244,822号(その関連部分が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。BTNL2の多型は明らかにサルコイドーシスに関連しており、この疾患の開始もしくは媒介またはこの疾患への寄与もしくは応答のいずれかでBTNL2が役割を果たし得ると示唆される。Valentonyte et al.(2005),Nature Genetics
37(4):357−64。種々のBTNL2多型と潰瘍性大腸炎、関節リウマチ、特発性封入体筋炎、全身性エリテマトーデス、I型糖尿病、類結核癩、および抗原特異的IgE応答性との間のより仮説的な関連が導き出されている。Arnett et al.(2009),Cytokine 46:370−75。BTNL3、8、および9は、いかなる特異的な生物学的機能も割り当てられていない。
種々の細胞型および組織における種々のBTNLタンパク質をコードするRNAのレベルが報告されている。BTNL9 RNAは、脂肪組織、肺、胸腺、脾臓、および心臓で比較的高発現する。他のBTNLファミリーメンバーは異なる発現パターンを有し、1つを除いて全てにおいて、RNA発現は、造血系細胞で検出されている。Arnett et al.(2009),Cytokine 46:370−75。BTNL9発現について試験した免疫機能に関連する種々の細胞型のうち、BTNL9 RNAは主にB細胞に発現される。Arnett et al.(2009),Cytokine 46:370−75。免疫機能に関与する細胞におけるBTNL9 RNA発現は、BTNL9が炎症応答の駆動または発赤後の応答の軽減のいずれかによって免疫機能で役割を果たし得ることが示唆される。
BTNL9タンパク質
本発明は、BTNL9の分泌性、可溶性バージョン、ならびに細胞表面に発現することができる膜貫通ドメインを含むバージョンを包含する。かかるタンパク質を単離することができる(すなわち、BTNL9タンパク質が調製物中に存在するタンパク質の少なくとも80%または少なくとも90%を構成する精製タンパク質調製物の一部であり得る)。本発明は、さらに、下記のBTNL9核酸によってコードされるBTNL9タンパク質を含む。BTNL9タンパク質は、本明細書中で意味する場合、配列番号2のアミノ酸配列、ならびにそのフラグメント、誘導体、およびバリアントを含むタンパク質(上記および下記で論じる融合タンパク質および多量体が含まれる)を包含する。配列番号2のアミノ酸配列は、1位から開始され、約29位〜約38位、必要に応じて34位で終結するシグナル配列を含む。したがって、成熟BTNL9のアミノ酸配列は、配列番号2の約30〜約39位の位置から開始される。必要に応じて、BTNL9の成熟アミノ酸配列は、配列番号2の35位から開始される。
BTNL9のシグナル配列の後に配列番号2の約44位〜約150位にわたるIg様ドメインが続く。その後の領域である配列番号2の約151位〜約257位はBTNL2中のIgC様ドメインと整列する(align)が、IgC1様ドメインで一般に認められる特徴的な配列特性のいくつかを欠く。例えば、Williams and Barclay(1988),Ann.Rev.Immunol.6:381−405;Peach
et al.(1995),J.Biol.Chem.270(36):21181−21187を参照のこと。BTNL9の膜貫通ドメインは、配列番号2の約258位から開始され、配列番号2の約277位で終結する。BTNL9の細胞内部分は、配列番号2の約278位から開始され、535位で終結する。細胞内領域は、配列番号2の約328位〜約486位にわたるB30.2ドメインを含む。B30.2ドメインは、およそ170アミノ酸の球状ドメインである。Henry et al.は、B30.2ドメインについていくらか詳細に論じており、多数のB30.2ドメインのアラインメントおよび上記アラインメントに由来するコンセンサス配列を提供している。B30.2ドメインを示し(配列比較による)、B30.2ドメインが何であるかを説明しているHenry et al.(1998),Mol.Biol.Evol. 15(12):1696−1705の部分が、本明細書中で参考として援用される。B30.2ドメインはまた、BTNL3、BTNL8、およびERMAPで見出されており、その全てが、本明細書中で論じるように、ブチロフィリン様ファミリーのメンバーのタンパク質である。約328〜486位の上記表2中のBTNLタンパク質のアラインメントは、Henry et al.(上掲)によってアラインメントされたB30.2ドメインを含むタンパク質のより異なる集団の間で認められる相同性よりも確実に高い、高い程度の相同性を示す。
BTNL9タンパク質には、本明細書中で意味する場合、少なくとも2つのBTNL9タンパク質を含むヘテロ多量体およびホモ多量体が含まれる。いくつかの実施形態では、生物学的に活性な多量体はホモ多量体であり得る。かかるホモ多量体のサイズを、非還元条件下でのポリアクリルアミドゲル電気泳動またはサイズ排除クロマトグラフィによって決定することができる。かかる多量体中に含まれる単量体BTNL9タンパク質のサイズを、還元条件下での多量体のポリアクリルアミドゲル電気泳動によって決定することができる。かかる条件は、ジスルフィド架橋を破壊し、非共有結合性相互作用(水素結合または電荷相互作用など)を妨害することが予想されることになる。したがって、ジスルフィド結合または非共有結合性相互作用によって相互に保持された多量体は、還元条件下で単量体に還元されることが予想されることになる。いくつかの実施形態では、生物学的に活性なBTNL9ホモ多量体のサイズは、単量体BTNL9タンパク質のサイズの少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16倍であり得る。
BTNL9タンパク質には、本明細書中で意味する場合、全長BTNL9mRNAのスプライスバリアントによってコードされたタンパク質も含まれる。BTNL9(配列番号1)をコードする全長cDNAは、配列番号1中の以下の位置に存在する11個のエキソンを含む:エキソン1、1〜208位;エキソン2、209〜340位;エキソン3、341〜685位;エキソン4、686〜967位;エキソン5、968〜1084位;エキソン6、1085〜1117位;エキソン7、1118〜1138位;エキソン8、1139〜1159位;エキソン9、1160〜1186位;エキソン10、1187〜1213位;およびエキソン11、1214〜3500位。
コード配列は配列番号1の232〜1839位にわたり、最後の3つのヌクレオチドは終止コドンである。したがって、コード配列は第2のエキソン内から開始される。第2のエキソンの末端は、配列番号2の約34位でBTNL9のシグナル配列をコードするヌクレオチド配列の末端をわずかに越えて伸びている。第3のエキソンは、配列番号2の約37位〜約151位のアミノ酸(Ig様ドメインが含まれる)をコードする。第4のエキソンは、約152位〜約245位の配列番号2の部分(換言するとその後のドメインのほとんど)をコードし、IgC1様ドメインのいくつかの特徴を有する。これにエキソン5〜10が続き、これらは全て比較的短い。エキソン5は細胞外ドメインの残部+膜貫通ドメイン(配列番号2の約246位〜約284位)をコードする。エキソン6〜10は共に約43個のアミノ酸(配列番号2の約285位〜約327位)をコードする。エキソン11は、B30.2ドメイン(配列番号2の約328位〜約486位にわたる)および上記タンパク質の残部(配列番号2の535位で終結)をコードする。
BTNL9タンパク質は、本明細書中で意味する場合、任意の1,2,3,4,5,6,7,8,または9個のエキソンを欠いているスプライスバリアントによってコードされ得る。例えば、BTNL9タンパク質は、エキソン3またはエキソン4を欠くスプライスバリアントによってコードされ得る。得られたBTNL9タンパク質は、配列番号2の約37位〜約151位のIg様ドメインを含むことができるが、配列番号2の約152位〜約245位のその後のドメインを含まない。あるいは、得られたBTNL9タンパク質は、配列番号2の約152位〜約245位のアミノ酸を含むことができるが、配列番号2の約37位〜約151位のアミノ酸を含まない。エキソン10および11を欠くスプライスバリアント転写物によってコードされるBTNL9タンパク質は配列番号2の約319〜535にわたるアミノ酸を欠くであろうが、これらのアミノ酸がエキソン9の後のイントロンによってコードされる他のアミノ酸に置き換えられる可能性がある。エキソン10および11を欠くかかるBTNL9転写物はGenBank寄託番号BC062459.1に報告されており、その配列を、配列番号7に示す。このスプライスバリアントは、イントロン中に見いだされる潜在的スプライス部位を利用するようである。配列番号8は、配列番号7によってコードされるアミノ酸配列である。他のBTNL9タンパク質は、エキソン3、4、5、6、7、8、9、10、または11、またはこれらのエキソンの任意の組み合わせを欠くスプライスバリアントによってコードされ得る。スプライスバリアントは、潜在的スプライス部位をさらに使用することができる。
いくつかの実施形態では、BTNL9タンパク質は、配列番号2を含む全長膜貫通タンパク質の可溶性フラグメントまたはそのバリアントであり得る。いくつかの実施形態では、BTNL9タンパク質は、配列番号2の残基40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50から配列番号2の残基140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、または150までにわたる免疫グロブリン様ドメインを含むBTNL9のフラグメントを含む。かかる実施形態は、配列番号2の残基141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、または160から配列番号2の残基248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、または260までにわたるその後のドメインを含んでも含まなくてもよい。さらなる実施形態では、BTNL9タンパク質は、配列番号2の残基141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、または160から配列番号2の残基248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、または260までにわたるフラグメントを含むことができる。かかる実施形態は、配列番号2の残基40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50から配列番号2の残基140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、または150までにわたる先行するドメインを含んでも含まなくてもよい。BTNL9タンパク質は、BTNL9の細胞外領域のほとんどまたは全てを含むフラグメントを含むことができる。かかるタンパク質は、配列番号2の残基30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40から配列番号2の残基248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、または260まで、必要に応じて、配列番号2の約残基37から約残基257までにわたるアミノ酸配列を含むことができる。これら全てのフラグメントは、配列番号2に関する変異を含むことができ、以下に論じるように配列番号2に対して単一のアミノ酸の所定数の置換、挿入、または欠失を含むことができる。これらすべての実施形態は、抗CD3抗体によって刺激されたT細胞の増殖を阻害することができる。
本発明は、抗体の生成に有用なBTNL9タンパク質のエピトープを包含し、このエピトープは、本明細書中で免疫原性フラグメントと呼ばれる。免疫原性フラグメントは、好ましくは、少なくとも10アミノ酸長であり、配列番号2由来の隣接アミノ酸を含むことができる。かかるエピトープは、スプライスジャンクションによってコードされるBTNL9タンパク質領域におよぶことができ、このエピトープは、特異的スプライスバリアントによってコードされるタンパク質への特異的結合という利点を有し得る。いくつかの実施形態では、エピトープは、BTNL9の細胞外領域(配列番号2のアミノ酸35〜257位)内に存在する。エピトープは、配列番号2の約アミノ酸44〜150位にわたる免疫グロブリン様ドメイン内または配列番号2の約アミノ酸151〜257位にわたるその後のドメイン内に存在し得る。
BTNL9タンパク質は、本明細書中で意味する場合、上記で論じた配列番号2または配列番号2のフラグメントの1つと比較して単一のアミノ酸の1つ以上の挿入、欠失、または置換を含むことができる。いくつかの実施形態では、BTNL9タンパク質は、上記で論じた配列番号2または配列番号2のフラグメントの1つと比較して単一のアミノ酸の20個以下、19個以下、18個以下、17個以下、16個以下、15個以下、14個以下、13個以下、12個以下、11個以下、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、または1個以下の置換、挿入、または欠失を含む。本発明の範囲内の全てのかかるBTNL9タンパク質バリアントは、T細胞の増殖を低減させる能力を保持するか、本明細書中に記載の方法によってアッセイした場合に、変化しないBTNL9タンパク質によるT細胞の増殖のこの低減についてのインヒビターとして作用することができる。
いくつかの実施形態では、置換は保存的アミノ酸置換であり得る。生物学的活性に影響を及ぼす可能性が低い保存的アミノ酸置換の例には、以下が含まれる:セリンに代えてアラニン、イソロイシンに代えてバリン、グルタミン酸に代えてアスパラギン酸、セリンに代えてトレオニン、グリシンに代えてアラニン、トレオニンに代えてアラニン、アスパラギンに代えてセリン、バリンに代えてアラニン、グリシンに代えてセリン、フェニルアラニンに代えてチロシン、プロリンに代えてアラニン、アルギニンに代えてリジン、アスパラギンに代えてアスパラギン酸、イソロイシンに代えてロイシン、バリンに代えてロイシン、グルタミン酸に代えてアラニン、グリシンに代えてアスパラギン酸、およびこれらの変更の逆。例えば、Neurath et al.,The Proteins,Academic Press,New York(1979)(その関連部分が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。さらに、あるグループ内の1つのアミノ酸の、同一グループ内の別のアミノ酸に代えての交換は保存的置換であり、グループは以下である:(1)アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、ノルロイシン、およびフェニルアラニン;(2)ヒスチジン、アルギニン、リジン、グルタミン、およびアスパラギン;(3)アスパラギン酸およびグルタミン酸;(4)セリン、トレオニン、アラニン、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびシステイン;および(5)グリシン、プロリン、およびアラニン。
生物学的機能に影響を及ぼすことなくBTNL9のどのアミノ酸を変化させることができるのかということについてのガイダンスを、以下に示すヒトBTNL9アミノ酸配列(上のライン、小文字、配列番号2)のマウスBTNL9アミノ酸配列(下のライン、大文字、配列番号6)との以下のアラインメントによって示す。太字で示した残基は、IgV様ドメイン(配列番号2の残基37〜150)またはIgC1様ドメイン(配列番号2の残基151〜257)、またはその保存的バリアントに特徴的な残基である。Harpaz and Chothia(1994),J.Mol.Biol.238:528−539;Williams and Barclay(1988),Ann.Rev.Immunol.6:381−405;Peach et al.(1995),J.Biol.Chem.270(36):21181−21187(その全てが、本明細書中で参考として援用される)。
Figure 2015143276
これらの配列(すなわち、表3に示すヒトおよびマウスアミノ酸配列)は、約71%同一である。興味深いことに、BTNL9の第2の細胞外ドメイン(配列番号2の約151〜257位)および細胞内ドメインのほとんど(配列番号2の約306〜535位)の配列は、第1のIg様細胞外ドメインの配列よりもマウス配列とヒト配列の間でより高く保存されている。当業者は、進化において構造は配列よりも保存されるので、非保存残基が保存残基よりもBTNL9タンパク質の全体的な三次構造の決定で役割を果たす可能性が低いことを認識する。Bork et al.(1994),J.Mol.Biol.242:309−20。本明細書中で使用する場合、「非保存残基」は、表3におけるようにヒトおよびマウスBTNL9タンパク質配列を比較した場合に保存されていないBTNL9タンパク質内のアミノ酸である。非保存アミノ酸はまた、BTNL9機能で直接的な役割を果たす可能性が低い。例えば、表3中に示した配列番号2の残基50、54、62、63、および多くの他の残基は同一でなく、類似もしていない。したがって、当業者は、同一でなく、類似もしない残基の変更は、同一または類似する残基の変更よりもBTNL9タンパク質機能に影響を及ぼす可能性が低いことを理解することになる。さらに、保存的置換(本明細書中に記載)は、非保存的置換よりもタンパク質機能に影響を及ぼす可能性が低い。他方では、保存残基(例えば、配列番号2の残基43、44、47、48、および49など)(具体的には、Ig様ドメイン中で保存されている残基(配列番号2の残基52、55、および57など))の置換または欠失は、生物学的機能を損なう可能性が一層多くある。当業者はまた、プログラム(例えば、DALI(Holm and Sander(1993),J.Mol.Biol.233:123−38)など)によって予測されるBTNL9タンパク質の三次構造を実質的に無効にする(upset)置換も機能を損ねる可能性があることを認識する。したがって、当該技術では、機能に影響を及ぼすことなく変更が行えるものに関する注目すべきガイダンスを提供している。BTNL9タンパク質の全てのバリアントおよび誘導体は、本明細書中で意味する場合、抗CD3抗体で活性化されたT細胞の増殖を阻害することができるか、BTNL9タンパク質の非変異バージョンが増殖を阻害する能力を阻害することができる。
BTNL9タンパク質は、配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であり得、ここで、アラインメントウィンドウは少なくとも50、60、75、80、90、または100アミノ酸長であり、ここで上記BTNL9タンパク質は抗CD3抗体で活性化されたT細胞の増殖を阻害することができる。上記で論じられるように、マウス配列および他のヒトBTNLファミリーメンバーとの配列ミスマッチは、機能に影響を及ぼすことなく改変することができる配列番号2の配列中の位置を当業者に手引きすることができる。いくつかの実施形態では、挿入、欠失、または置換は、ヒトBTNL9とマウスBTNL9との間で保存されない残基またはその残基付近で起こり得る。いくつかの実施形態では、これらの変更は、配列番号2の以下の残基の1つ以上(欠失または置換の場合)またはその残基付近(挿入の場合)で起こる:39、45、46、50、54、60、62〜65、69、79、80、89、91〜95、98、99、105〜109、113、117、119、121、122、130、136、145、153、165〜167、173、174、188、195、198、202、203、207、219、222、227、228、232、235、240、251、252、254、および257。あるいは、BTNL9タンパク質は、配列番号2と比較して1個以下、2個以下、3個以下、4個以下、5個以下、6個以下、8個以下、10個以下、15個以下、20個以下、25個以下、または30個以下のアミノ酸の置換、欠失、または挿入を含むことができる。上記のタンパク質は、抗CD3抗体によって活性化されたT細胞の増殖を阻害することができる限り、本明細書中で意味するBTNL9タンパク質である。
BTNL9タンパク質を、種々の程度にグリコシル化してよいか、しなくても良い。例として、本発明のBTNL9タンパク質は、1つ以上のN結合またはO結合グリコシル化部位を、配列番号2を含むタンパク質中に既に見いだされる部位に加えて、含むことができる。配列番号2は、102、139、224、464、および516位に、5つの潜在的なN結合グリコシル化部位を含む。当業者は、配列Asn Xxx Ser/Thr(式中、Xxxはプロリン以外の任意のアミノ酸である)の一部であるアスパラギン残基がN−グリカン付加部位として役立ち得ることに気付くことになる。さらに、O結合グリコシル化部位として役立ち得る多数のセリン残基およびトレオニン残基が存在する。グリコシル化は、in vivo半減期を増加させるか、生物学的活性を変化させることができる。得られたタンパク質がT細胞の増殖を阻害することができる限り、BTNL9タンパク質のバリアントには、配列番号2中に存在するよりも1,2,3,4,5,6,7,8,9,または10個多いN結合および/またはO結合グリコシル化部位を含むタンパク質も含まれる。バリアントBTNL9タンパク質には、これらが抗CD3抗体で活性化されたT細胞の増殖を阻害することができるか、またはこれらが、上記増殖を阻害するBTNL9タンパク質の非変異バージョンの能力を阻害することができる限り、配列番号2中に存在するよりも1,2,3,4、または5個少ないN結合および/またはO結合グリコシル化部位を有するタンパク質も含まれる。
BTNL9タンパク質は、本明細書中で意味する場合、配列番号2のバリアントおよび/またはフラグメント(上記で説明したように)であるアミノ酸配列を含むことができる少なくとも1つのBTNL9ポリペプチドおよび少なくとも1つの他の部分(moiety)を含む融合タンパク質であり得る。他の部分は、BTNL9タンパク質以外のポリペプチドであり得る。他の部分はまた、非タンパク質部分(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)部分または細胞傷害性部分、細胞増殖抑制性部分、発光部分、および/または放射性部分など)であり得る。
PEGの結合により、少なくともいくつかのタンパク質のin vivo半減期が増加することが示されている。さらに、細胞傷害性部分、細胞増殖抑制性部分、発光部分、および/または放射性部分は、診断または治療目的のために(例えば、抗体を結合することができる細胞を位置決定するか、その増殖を阻害するか、死滅させるため)抗体に融合されている。同様に、かかる部分に融合したBTNL9タンパク質を使用して、BTNL9が結合することができる細胞(B細胞、T細胞、および/または免疫応答に関与する他の細胞など)を位置決定するか、その増殖を阻害するか、死滅させることができる。かかる細胞傷害性部分、細胞増殖抑制性部分、発光部分、および/または放射性部分の中には、例えば、メイタンシン誘導体(DM1など)、エンテロトキシン(ブドウ球菌性エンテロトキシンなど)、ヨウ素同位体(ヨウ素125など)、テクネチウム同位体(Tc−99mなど)、シアニン蛍光色素(Cy5.5.18など)、リボゾーム不活化タンパク質(ボウガニン(bouganin)、ゲロニン、またはサポリン−S6など)、およびカリケアマイシン(商標マイロターグ(商標)(Wyeth−Ayerst)として販売されている製品の一部である細胞傷害性物質)がある。
BTNL9以外の種々のポリペプチドを、種々の目的(例えば、タンパク質のin vivo半減期を増大させるため、タンパク質の同定、単離および/または精製を容易にするため、タンパク質活性を増大させるため、およびタンパク質のオリゴマー化を促進するためなど)のためにBTNL9ポリペプチドに融合することができる。
多数のポリペプチドは、これらのポリペプチドがその一部として存在する組換え融合タンパク質の同定および/または精製を容易にすることができる。例には、ポリアルギニン、ポリヒスチジン、またはHAT(商標)(Clontech)(固定化金属イオンに高親和性を有する非隣接ヒスチジン残基の天然に存在する配列である)が含まれる。これらのポリペプチドを含むBTNL9タンパク質を、例えば、固定化ニッケルまたはTALON(商標)樹脂(Clontech)(固定化コバルトイオンを含む)を使用したアフィニティクロマトグラフィによって精製することができる。例えば、Knol et al.(1996),J.Biol.Chem.27(26):15358−15366を参照のこと。ポリアルギニンを含むポリペプチドにより、イオン交換クロマトグラフィによって効率的に精製することが可能となる。他の有用なポリペプチドには、例えば、米国特許第5,011,912号およびHopp et al.(1988),Bio/Technology 6:1204に記載の抗原性識別ペプチドが含まれる。1つのかかるペプチドは、FLAG(登録商標)ペプチドである。このペプチドは、抗原性が高く、特異的モノクローナル抗体が可逆的に結合し、それにより、発現した組換え融合タンパク質を迅速にアッセイし、容易に精製することが可能なエピトープを提供する。4E11と呼ばれるマウスハイブリドーマは、米国特許第5,011,912号に記載のように、特定の2価の金属陽イオンの存在下でFLAG(登録商標)ペプチドに結合するモノクローナル抗体を産生する。4E11ハイブリドーマ細胞系は、American Type Culture Collectionに受託番号HB 9259で寄託されている。FLAG(登録商標)ペプチドに結合するモノクローナル抗体を、FLAG(登録商標)ペプチドを含むポリペプチド精製試薬を回収するための親和性試薬として使用することができる。他の適切なタンパク質タグおよび親和性試薬は以下である:1)GST−Bind(商標)システム(Novagen)(グルタチオン−S−トランスフェラーゼ融合タンパク質の、固定化グルタチオンに対する親和性を利用する)に記載のもの;2)T7−TAG(登録商標)アフィニティ精製キット(Novagen)(T7遺伝子10タンパク質のアミノ末端の11アミノ酸の、モノクローナル抗体に対する親和性を利用する)に記載のもの;または3)STREP−TAG(登録商標)システム(Novagen)(ストレプトアビジンの工学的に作製された形態の、タンパク質タグに対する親和性を利用する)に記載のもの。上記タンパク質タグのいくつかおよびその他のものは、Sassenfeld(1990),TIBTECH 8:88−93,Brewer et al.,in Purification and Analysis of Recombinant Proteins,pp.239−266,Seetharam and Sharma(eds.),Marcel Dekker,Inc.(1991),およびBrewer and Sassenfeld,in Protein Purification Applications,pp.91−111,Harris and Angal(eds.),Press,Inc.,Oxford England(1990)に記載されている。タンパク質タグを記載しているこれらの参考文献の部分が、本明細書中で参考として援用される。さらに、2つ以上の上記タグの融合物(例えば、FLAGタグとポリヒスチジンタグとの融合物など)を、本発明のBTNL9タンパク質に融合することができる。
BTNL9以外のポリペプチドを含む組換え融合タンパク質は、他の種の固有の利点(例えば、二量体、三量体、またはより高次の多量体を形成する性質、in vivo半減期の増大、および/または生物学的活性の増大など)を有し得る。「より高次の多量体」は、例えば、「二量体」と併せて使用する場合、2つを超えるポリペプチド鎖を含む多量体を意味する。「三量体またはより高次の多量体」のような句で使用する場合、より高次の多量体は、3つを超えるポリペプチド鎖を含む。したがって、より高次の多量体は、比較される多量体よりも多数のポリペプチド鎖を有する多量体である。融合タンパク質の調製技術は公知であり、例えば、国際特許出願公開第WO99/31241号およびCosman et al.((2001).Immunity 14:123−133)に記載されている。例として、抗体(必要に応じて、IgG抗体)のFc領域を含むポリペプチドまたは実質的に類似するタンパク質を、BTNL9ポリペプチドまたはそのフラグメントに融合することができる。抗体のFc領域は、抗体由来のヒンジのほとんどまたは全部+C2およびC3ドメインを含むポリペプチドまたはこれらと実質的に類似する免疫グロブリンドメインである。論考については、Hasemann and Capra,Immunoglobulins:Structure and Function,in William E.Paul,ed.,Fundamental Immunology,Second Edition,212−213(1989)を参照のこと。Fcフラグメントは、ヒトIgG Fc(IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fcなど)であり得る。Fcフラグメントは、天然のヒトまたは動物のFcフラグメントであり得る。二量体化を促進するFc領域の短縮形態(すなわち、ヒンジ、C2、および/またはC3ドメインのいくつかの部分を欠く形態)も使用することができる。抗体および他の免疫グロブリンアイソタイプの他の部分を使用することができる。抗体のFc領域を含む組換え融合タンパク質は、二量体またはより高次の多量体を形成する可能性がある。抗体由来タンパク質の種々の部分を含む融合タンパク質は、Ashkenazi et al.((1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:10535−39),Byrn et al.((1990),Nature 344:677−70),Hollenbaugh and Aruffo(in Current Protocols in Immunology,Suppl.4,pp.10.19.1−10.19.11(1992)),Baum et al.((1994),EMBO J.13:3992−4001)ならびに米国特許第5,457,035号および国際特許出願公開第WO93/10151(その関連部分が本明細書中で参考として援用される)に記載されている。いくつかの実施形態では、変化したFc領域は、野生型Fc領域と比較してFc受容体に対して低い親和性を有するという利点を有し得る。かかる組換え融合タンパク質が結合する細胞の、免疫エフェクター細胞による溶解を減少させることができるので、これは有利であり得る。かかるFc領域の変更は、米国特許第5,457,035号および国際特許出願公開第WO93/10151号(その関連部分が本明細書中で参考として援用される)に記載されている。以下の実施例2は、ヒトBTNL9の細胞外領域およびヒトIgG1抗体のFc領域を含む融合タンパク質の産生を記載している。
BTNL9タンパク質を含む組換え融合タンパク質は、ロイシンジッパーを含むポリペプチドを含むことができる。公知のロイシンジッパー配列の中には、二量体化を促進する配列および三量体化を促進する配列がある。例えば、Landschulz et al.(1988),Science 240:1759−64(その関連する部分が、本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。ロイシンジッパーは、しばしば他のアミノ酸が散在した4つまたは5つのロイシン残基を伴う反復性の7アミノ酸繰り返しを含む。ロイシンジッパーの使用および調製は、当該分野で周知である。
BTNL9融合タンパク質は、1つ以上のペプチドリンカーを含むことができる。一般に、ペプチドリンカーは、複数のポリペプチドが連結して多量体を形成し、タンパク質の連結部分の所望の機能に必要な可撓性または強剛性を与えるのに役立つ一続きのアミノ酸である。典型的には、ペプチドリンカーは、約1アミノ酸長と30アミノ酸長との間である。ペプチドリンカーの例には、−−Gly−Gly−−、GGGGS(配列番号9)、(GGGGS)n(配列番号10)、GKSSGSGSESKS(配列番号11)、GSTSGSGKSSEGKG(配列番号12)、GSTSGSGKSSEGSGSTKG(配列番号13)、GSTSGSGKSSEGKG(配列番号14)、GSTSGSGKPGSGEGSTKG(配列番号15)、EGKSSGSGSESKEF(配列番号16)、およびGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号17)が含まれるが、これらに限定されない。連結部分は、例えば、Huston,J.S.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.85:5879−83(1988)、Whitlow,M.,et al.,Protein Engineering 6:989−95(1993)、Newton,D.L.,et al.,Biochemistry 35:545−53(1996)、および米国特許第4,751,180号および同第4,935,233号に記載されている。これらの参考文献の関連部分(すなわち、リンカー記載部分)が、本明細書中で参考として援用される。
組換えBTNL9融合タンパク質は、その正常なシグナル配列を欠き、その代わりにそれを異なるシグナル配列で置き換えたBTNL9タンパク質を含むことができる。シグナル配列の選択は、組換えタンパク質が産生される宿主細胞の型に依存し、異なるシグナル配列を天然のシグナル配列で置き換えることができる。哺乳動物宿主細胞で機能的なシグナル配列の例には、以下が含まれる:米国特許第4,965,195号に記載のインターロイキン−7(IL−7)のシグナル配列;ヒトIgKのシグナル配列(METDTLLLWVLLLWVPGSTG;配列番号3である);Cosman et al.((1984),Nature 312:768)に記載のインターロイキン−2受容体のシグナル配列;欧州特許第0 367 566号に記載のインターロイキン−4受容体シグナルペプチド;米国特許第4,968,607号に記載のI型インターロイキン−1受容体シグナルペプチド;および欧州特許第0 460 846号に記載のII型インターロイキン−1受容体シグナルペプチド。これらのシグナル配列を記載しているこれらの参考文献の部分が、本明細書中で参考として援用される。
BTNL9核酸
本発明は、本明細書中に記載のBTNL9タンパク質(配列番号2のアミノ酸配列ならびにそのフラグメントおよび/またはバリアントを含むタンパク質が含まれる)をコードする単離された核酸(例えば、DNAおよびRNAが含まれる)を包含する。これらの核酸は、とりわけ、組換えタンパク質の産生および組織サンプル中のBTNL9核酸の存在の検出(例えば、診断での使用のため)に有用である。かかる核酸は、ゲノムDNAまたはcDNAであり得る。核酸は、BTNL9タンパク質をコードする中断されていない読み取り枠を含むことができる。本発明の核酸分子には、一本鎖形態および二本鎖形態の両方のDNAおよびRNAならびに対応する相補配列が含まれる。「単離された核酸」は、天然に存在する供給源から単離された核酸の場合、核酸が単離された生物のゲノム中に存在する隣接遺伝子配列から分離された核酸である。化学合成された核酸(オリゴヌクレオチドなど)またはテンプレートから酵素的に合成された核酸(ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)産物またはcDNAなど)の場合、かかるプロセスに起因する核酸が単離された核酸であると理解される。単離された核酸分子は、個別のフラグメントの形態またはより大きな核酸構築物の成分としての核酸分子をいう。
さらに、本発明は、(1)当該分野で周知の多数の方法(例えば、サザンブロッティングおよびノーザンブロッティング、ドットブロッティング、コロニーハイブリッド形成、アレイへのハイブリッド形成など)によるBTNL9核酸検出のためのプローブとして、(2)BTNL9核酸を増幅するためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマーとして、または(3)例えば、アンチセンス核酸(ペプチド核酸が含まれる)、リボザイム、三重らせん形成分子、または干渉RNAでの発現阻害によるBTNL9核酸発現を調節するための手段としての役割を果たし得る、BTNL9タンパク質をコードする核酸のフラグメントを包含する。これらの任意のRNAをコードするDNAはまた、本明細書中で意味するBTNL9核酸である。PCRプライマーは、BTNL9核酸配列に加えて、増幅された核酸の使用を容易にする他の配列(制限酵素切断部位など)を含むことができる。PCRは、以下の参考文献に記載されている:Saiki et al.(1988),Science 239:487−91;PCR Technology,Erlich,ed.,Stockton Press,(1989)。以下に説明されているように、PCRはBTNL9mRNAの過剰発現または過小発現を検出するために有用であり得、PCRプライマーをBNTL9遺伝子の種々の部分から取ることができ、異なるスプライスバリアントを識別するために選択することもできる。アンチセンスRNA(およびこれをコードするDNA)、DNA、または合成ヌクレオチドおよび発現を調節するためのその使用は当該分野で周知であり、例えば、Izant and Weintraub(1984),Cell 36(4):1007−15;Izant and Weintraub(1985),Science 229(4711):345−52;Harel−Bellan et al.(1988),J.Exp.Med.168(6):2309−18;Sarin et al.(1988),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85(20):7448−51;Zon(1988),Pharm.Res.5(9):539−49;Harel−Bellan et al.(1988),J.Immunol.140(7):2431−35;Marcus−Sekura et al.(1987),Nucleic Acids Res.15(14):5749−63;Gambari(2001),Curr.Pharm.Des.7(17):1839−62;およびLemaitre et al.(1987),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84(3):648−52に記載されている。核酸を使用した遺伝子発現の調整技術を記載しているこれらの参考文献の部分が、本明細書中で参考として援用される。同様に、干渉RNA(およびこれをコードするDNA)および選択した遺伝子の発現を阻害するためのその使用は当該分野で周知であり、例えば、Fjose et al.(2001),Biotechnol.Ann.Rev.7:31−57;Bosher and Labouesse(2000),Nature Cell Biol.2:E31−E36に記載されている。これらの参考文献の関連部分が、本明細書中で参考として援用される。さらに、例えば、Lewin and Hauswirth(2001),Trends Mol.Med.7(5):221−28;Menke and Hobom(1997),Mol.Biotechnol.8(1):17−33;Norris et al.(2000),Adv.Exp.Med.Biol.465:293−301;Sioud(2001),Curr.Mol.Med.1(5):575−88;およびSantiago and Khachigian(2001),J.Mol.Med.79(12):695−706に記載のように、リボザイムまたはDNAザイムは特異的RNAの切断を目的とすることができ、それにより、遺伝子発現の阻害に使用することができる。これらの遺伝子発現調整方法を記載しているこれらの参考文献の部分が、本明細書中で参考として援用される。BTNL9発現を調節することができる核酸は、BTNL9機能のin vivoまたはin vitro研究でまたは治療薬(必要に応じて、遺伝子療法薬)としての使用を見出すことができる。
本発明はまた、配列番号1の配列を含む核酸もしくはそのフラグメントまたは中ストリンジェンシー条件下、必要に応じて高ストリンジェンシー条件下で配列番号1のヌクレオチド配列(全長BTNL9cDNAのヌクレオチド配列である)を含む核酸とハイブリッド形成する核酸(ここで、上記核酸は抗CD3抗体で活性化されたT細胞の増殖を阻害することができるタンパク質をコードする)を含む。ハイブリッド形成技術は当該分野で周知であり、Sambrook,J.,E.F.Fritsch,and T.Maniatis(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,chapters 9 and 11,(1989))およびCurrent Protocols in Molecular Biology (F.M.Ausubel et al.,eds.,John Wiley&Sons,Inc.,sections 2.10 and 6.3−6.4(1995))(その関連部分が、本明細書中で参考として援用される)に記載されている。フィルターハイブリッド形成のための中ストリンジェンシー条件には、約50%ホルムアミド、約42℃〜55℃の温度での6×SSC中でのハイブリッド形成および約60℃の0.5×SSC、0.1%SDS中での洗浄が含まれる。高ストリンジェンシー条件を、上記の通りだがおよそ68℃の0.2×SSC、0.1%SDS中での洗浄を使用したハイブリッド形成条件と定義する。ハイブリッド形成および洗浄バッファーにおけるSSPE(1×SSPEは、0.15M NaCl、10mM NaHPO、および1.26mM EDTA(pH7.4)である)を、SSC(1×SSCは0.15M NaClおよび15mMクエン酸ナトリウムである)の代わりに使用することができ、洗浄(必要に応じて、少なくとも2回の洗浄)を、ハイブリッド形成完了後に15分間行う。
当業者に公知であり、且つ以下にさらに記載のように(例えば、Sambrook et al.,上掲を参照のこと)、洗浄温度および洗浄塩濃度を、必要に応じて、ハイブリッド形成反応および二重鎖の安定性の基準となる基本原理の適用によって所望のストリンジェンシーが達成されるように調整することができるということを理解すべきである。公知の配列の核酸をハイブリッド形成する場合、ハイブリッドの長さを、核酸配列のアラインメント(例えば、GAPを使用)および最適な配列相補性領域(単数または複数)の同定によって決定することができる。50塩基対長未満と予測されるハイブリッドのためのハイブリッド形成温度は、ハイブリッドの融解温度(Tm)より5〜10℃低くするべきであり、Tmは、以下の式に従って決定される。18塩基対長未満のハイブリッドについては、Tm(℃)=2(A+T塩基の数)+4(G+C塩基の数)。18塩基対長超のハイブリッドについては、Tm(℃)=81.5+16.6(log10[Na])+0.41(%G+C)−(600/N)(式中、Nはハイブリッド中の塩基数であり、[Na]はハイブリッド形成バッファー中のナトリウムイオン濃度である)。かかる各ハイブリッド形成核酸は、少なくとも15ヌクレオチド(または少なくとも18ヌクレオチド、または少なくとも20ヌクレオチド、または少なくとも25ヌクレオチド、または少なくとも30ヌクレオチド、または少なくとも40ヌクレオチド、または少なくとも50ヌクレオチド、または少なくとも100ヌクレオチド)である長さを有する。Sambrook et al.,上掲。
BTNL9核酸には、以下のポリヌクレオチドを含む核酸が含まれる:(1)配列番号1の全てまたは配列番号1のフラグメント(ここで、上記フラグメントはT細胞の増殖を阻害することができるBTNL9タンパク質をコードする);(2)配列番号1と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、または99.7%同一のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド(ここで、アラインメントウィンドウが少なくとも100、125、150、175、200、225、250、300、400、500、600、800、1000、または1200ヌクレオチド長であり、上記配列が抗CD3抗体で活性化されたT細胞の増殖を阻害することができるBTNL9タンパク質をコードする);(3)本発明のBTNL9タンパク質をコードする核酸を検出もしくは増幅するために、またはBTNL9mRNAおよび/またはタンパク質の発現を調節するために有用な配列番号1のフラグメントまたは実質的に類似する配列;(4)配列番号1と比較して単一のヌクレオチドの1個以下、2個以下、3個以下、4個以下、6個以下、8個以下、10個以下、15個以下、20個以下、25個以下、または30個以下の変更を含むポリヌクレオチド(ここで、変更は、単一のヌクレオチドの挿入、欠失、または置換であり得、ここで上記ポリヌクレオチドは、抗CD3抗体で活性化されたT細胞の増殖を阻害することができるBTNL9タンパク質をコードすることができるか、またはかかるタンパク質のアンタゴニストとして役立ち得る);および(5)本明細書中に記載のBTNL9タンパク質(ヒトBTNL9タンパク質のフラグメント、誘導体、およびバリアントが含まれる)をコードするポリヌクレオチド。
BTNL9タンパク質の作製方法
BTNL9タンパク質または抗BTNL9抗体(または抗イディオタイプ抗体)を下記のように作製することができる。BTNL9タンパク質または抗BTNL9抗体をコードする核酸を、本明細書中に記載のように、ベクターに導入することができ、このベクターを宿主細胞に導入することができる。BTNL9タンパク質または抗BTNL9抗体をコードする核酸を含むベクターおよび宿主細胞は、本発明に包含される。BTNL9タンパク質または抗BTNL9抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、BTNL9タンパク質または抗BTNL9抗体を発現することができるような条件下で培養することができる。次いで、発現したBTNL9タンパク質または抗BTNL9抗体を、上記細胞を培養した培地または上記細胞から得て、当該分野で公知の多数の適切な任意の手段によって精製することができる。さらに、BTNL9タンパク質産生のための遺伝子工学的方法には、公知の方法に従った無細胞発現系での、細胞宿主での、組織での、および動物モデルでのポリヌクレオチド分子の発現が含まれる。
ベクターには、宿主での増殖のための選択マーカーおよび複製起点を含むことができる。ベクターは、さらに、適切な転写調節配列または翻訳調節配列(BTNL9タンパク質または抗BTNL9抗体をコードする核酸に作動可能に連結された哺乳動物遺伝子、微生物遺伝子、ウイルス遺伝子、または昆虫遺伝子由来の調節配列など)を含むことができる。かかる調節配列の例には、転写プロモーター、オペレーター、またはエンハンサー、mRNAリボゾーム結合部位、および転写および翻訳を調節する適切な配列が含まれる。調節配列が標的タンパク質をコードするDNAに機能的に関連する場合、ヌクレオチド配列は作動可能に連結されている。したがって、プロモーターヌクレオチド配列が抗BTNL9抗体またはBTNL9タンパク質をコードする配列の転写を指示する場合、プロモーターヌクレオチド配列はBTNL9核酸配列に作動可能に連結されている。BTNL9タンパク質が融合タンパク質である場合、融合タンパク質の一部(例えば、シグナル配列)をコードする核酸配列がベクターの一部であり得、抗BTNL9抗体またはBTNL9タンパク質をコードする核酸を、付加シグナル配列+抗BTNL9抗体またはBTNL9タンパク質を含むタンパク質がベクターによってコードされるようにベクターに挿入することができる。
BTNL9タンパク質または抗BTNL9抗体の発現に適切な宿主細胞には、原核生物細胞、酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞、および高等真核生物細胞が含まれる。ベクター中の調節配列を、宿主細胞中で作動可能なように選択する。適切な原核生物宿主細胞には、Escherichia属、Bacillus属、およびSalmonella属の細菌、ならびにPseudomonas属、Streptomyces属、およびStaphylococcus属のメンバーが含まれる。原核生物細胞(例えば、大腸菌)での発現について、BTNL9タンパク質または抗BTNL9抗体をコードするポリヌクレオチド分子は、好ましくは、組換えポリペプチドの発現を容易にするためのN末端メチオニン残基を含む。N末端メチオニンを、必要に応じて、発現したポリペプチドから切断することができる。適切な酵母宿主細胞には、属(Saccharomyces属、Pichia属、およびKluveromyces属が含まれる)由来の細胞が含まれる。好ましい酵母宿主は、S.cerevisiaeおよびP.pastorisである。昆虫宿主細胞での発現に適切な系は、例えば、Luckow and Summersによる概説((1988),BioTechnology 6:47)(その関連部分が本明細書中で参考として援用される)に記載されている。適切な哺乳動物宿主細胞には、サル腎臓細胞のCOS−7系(Gluzman et al.(1981),Cell 23:175−182)、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Puck et al.(1958),PNAS USA 60:1275−1281)、CV−1(Fischer et al.(1970),Int.J.Cancer 5:21−27)、ヒト腎臓由来の293細胞(American Type Culture Collection(ATCC(登録商標))カタログ番号CRL−10852(商標))、およびヒト子宮頸癌腫細胞(HELA)(ATCC(登録商標)CCL2)が含まれる。本段落中で言及した参考文献の関連部分が、本明細書中で参考として援用される。
細胞宿主で用いるための発現ベクターは、一般に、1つ以上の表現型選択マーカー遺伝子を含む。かかる遺伝子は、例えば、抗生物質耐性を付与するか、栄養要求性を与えるタンパク質をコードする。広範な種々のかかるベクターを、市販の供給源から容易に入手可能である。例には、pGEMベクター(Promega)、pSPORTベクターおよびpPROEXベクター(InVitrogen,Life Technologies,Carlsbad,CA)、Bluescriptベクター(Stratagene)、ならびにpQEベクター(Qiagen)が含まれる。酵母ベクターは、しばしば、2μ酵母プラスミド由来の複製起点配列、自己複製配列(ARS)、プロモーター領域、ポリアデニル化配列、転写終結配列、および選択マーカー遺伝子を含む。酵母および大腸菌の両方で複製可能なベクター(シャトルベクターと呼ばれる)も使用することができる。酵母ベクターの上記特徴に加えて、シャトルベクターは、大腸菌における複製および選択のための配列も含む。BTNL9または抗体をコードするヌクレオチド配列の5’末端に酵母α因子リーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含めることによって、酵母宿主中で発現された標的ポリペプチドを直接分泌させることができる。Brake(1989),Biotechnology 13:269−280。
哺乳動物宿主細胞での使用に適切な発現ベクターの例には、pcDNA3.1/Hygro(Invitrogen)、pDC409(McMahan et al.(1991),EMBO J.10:2821−2832)、およびpSVL(Pharmacia Biotech)が含まれる。哺乳動物宿主細胞で用いるための発現ベクターは、ウイルスゲノム由来の転写調節配列および翻訳調節配列を含むことができる。BTNL9
RNAを発現するために使用することができる一般的に使用されるプロモーター配列およびエンハンサー配列には、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)、アデノウイルス2、ポリオーマウイルス、およびサルウイルス40(SV40)由来のプロモーター配列およびエンハンサー配列が含まれるが、これらに限定されない。哺乳動物発現ベクターを構築するための方法は、例えば、Okayama and Berg((1982)Mol.Cell.Biol.2:161−170)、Cosman et al.((1986)Mol.Immunol.23:935−941)、Cosman et al.((1984)Nature 312:768−771)、EP−A−0367566号、およびWO91/18982号に開示されている。これらの参考文献の関連部分が、本明細書中で参考として援用される。
BTNL9抗体
本明細書中に記載のBTNL9タンパク質に特異的に結合する抗体、抗BTNL9抗体に結合する抗イディオタイプ抗体、およびこれらの抗体の使用は、本発明によって包含される。抗BTNL9抗体は、配列番号2のアミノ酸配列またはそのフラグメント(配列番号2のアミノ酸35〜257など)からなるポリペプチドに結合することができる。本明細書中で使用する場合、第1の抗体によるBTNL9タンパク質上のエピトープの特異的結合とは、第1の抗体と競合する別の抗体によって、第1の抗体がBTNL9タンパク質から移動させられることができるが、第1の抗体と結合を競合しない他の抗BTNL9抗体によって置き換えることができないことを意味する。多数の競合的結合アッセイが当該分野で公知である。
典型的には、抗体の結合の競合を、蛍光標示式細胞分取(FACS)アッセイによって評価することができる。目的の全抗体をビオチン化する。ビオチン化抗体を、抗体が結合する抗原を発現することが公知の細胞と組み合わせる。ビオチン化抗体が予想されるように細胞に結合する場合、蛍光強度のシフトが認められるはずである。同一の抗体の非標識バージョンとの細胞のプレインキュベーションにより、認められた蛍光のシフトが完全に消失するはずである。異なる非標識抗体とのプレインキュベーションにより、蛍光シフトが完全または部分的に消失し得るか、影響がない。後者の場合、非標識抗体が標識抗体と競合しないと結論付けられることになる。前者の場合、抗体は結合を競合し、本明細書中で意味する場合、蛍光シフトの消失が完全であったか部分的であったかどうかに依存して、エピトープが完全または部分的に重複すると結論付けられることになる。意図する抗体の中には、任意の特異的に提供された抗BTNL9抗体と完全または部分的に競合する抗体がある。
さらに、BTNL9タンパク質の存在下または非存在下での抗CD3活性化T細胞の活性化に及ぼすBTNL9抗体の影響により、抗体の機能的性質に関するさらなる有用な情報を得ることができる。本発明は、それぞれがBTNL9の特定のエピトープに結合するモノクローナル抗体およびこれらと結合を競合するモノクローナル抗体を含む。
BTNL9タンパク質上のエピトープは、隣接アミノ酸を含むことができ、BTNL9タンパク質の折り畳みによって近位になる非隣接アミノ酸も含むことができる。エピトープを、当該分野で公知の方法(タンパク質フラグメントまたはペプチドライブラリーの使用、アラニンスキャニング、エピトープ抽出、エピトープ切り出し、またはX線結晶学が含まれる)によって同定することができる。例えば、Leinonen et al.(2002),Clin.Chem.48(12):2208−16;Kroger et
al.(2002),Biosens.Bioelectron.17(11−12):937−44;Zhu et al.(2001),Biochem.Biophys.Res.Commun.282(4):921−27;Obungu et at.(2009),Biochemistry 48:7251−60を参照のこと。これらの参考文献の関連部分(すなわち、エピトープマッピング法を記載している部分)が、本明細書中で参考として援用される。
抗体はポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であり得、当該分野で周知の方法によって産生することができる。例えば、Monoclonal Antibodies,Hybridomas:A New Dimension in Biological Analyses,Kennet et al.(eds.),Plenum Press,New York(1980);およびAntibodies:A Laboratory Manual,Harlow and Land(eds.),Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,(1988);Kohler and Milstein(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,77:2197;Kozbor et al.(1984),J.Immunol.133:3001−3005(ヒトB細胞ハイブリドーマ技術について記載);Cole et al.,Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,pp.77−96(1985)(EBV−ハイブリドーマ技術について記載);.Kuby,Immunology,Second Edition,p.162−64,W.H.Freeman and Co.,New York(1994)(これらの参考文献の関連部分が、本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。本発明のBTNL9タンパク質に特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞系も本明細書中で意図される。かかるハイブリドーマ系を従来の技術によって産生し同定することができる。本発明の抗体を産生するハイブリドーマを、in vitroまたはin vivoで培養することができる。さらに、抗BTNL9抗体を、他の培養細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、HeLa、VERO、BHK、Cos、MDCK、293、3T3、骨髄腫(例えば、NSO、NSI)、またはWI38細胞、酵母細胞、昆虫細胞、および細菌細胞(例えば、大腸菌が含まれる)が含まれる)中で産生することができる。かかる抗体を、抗体をコードする核酸+これらの核酸を発現させることを可能にするための核酸を所望の宿主細胞に導入することによって産生することができる。次いで、抗体を、これらの核酸が導入された細胞を培養することによって産生することができる。モノクローナル抗体は、任意の免疫グロブリンクラス(IgG、IgM、IgE、IgA、IgDが含まれる)およびその任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4など)のモノクローナル抗体であり得る。
抗BTNL9抗体は、2つの重鎖および2つの軽鎖を含む全長四量体抗体(ほとんどの哺乳動物種で見出されるものなど)であり得る。あるいは、抗BTNL9抗体は、1つの重鎖可変領域および1つの軽鎖可変領域を含み、必要に応じて、1つ以上の定常領域様ドメインも含む一本鎖抗体(米国特許第4,946,778号;Bird et al.(1988),Science 242:423−26;Huston et al.(1988),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−83)、二量体抗体または多価抗体(例えば、Lantto et al.(2002),J.Gen.Virol.83:2001−05;Hudson and Souriau(2001),Expert Opin.Biol.Ther.1(5):845−55を参照のこと)、四量体抗体(例えば、Janeway et al.,Immunobiology:The Immune System in Health and Disease,Fifth Edition,Part II,Ch.3,Garland Publishing(2001)を参照のこと)、キメラ抗体(Hudson and
Souriau,上掲;Boulianne et al.(1984),Nature 312:643−46;Morrison et al(1984),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851−55;Takeda et al.(1985),Nature 314:452−54;Neuberger et al.(1985),Nature 314:268−70)、非ヒトトランスジェニック哺乳動物中で産生されたか(例えば、米国特許第6,150,584号に記載)もしくはin vitro選択(米国特許出願公開第2002/0058033号)による完全なヒト抗体、またはヒト化抗体(Morrison et al.,上掲;Takeda et al.,上掲;Boulianne et al.,上掲)であり得る。さらに、抗体を、変化した性質(例えば、それに結合するエピトープに対するより高い親和性など)を有する抗体を生成するためのin vitro選択スキームによって「成熟」させることができる。例えば、Jackson et al.(1995),J.Immunol.154(7):3310−19;Pini and Bracci(2000),Curr.Protein Pept.Sci.1(2):155−69;Ellmark
et al.(2002),Mol.Immunol.39(5−6):349;O’Connell et al.(2002),J.Mol.Biol.321(1):49−56;Huls et al.(2001),Cancer Immunol.Immunother.50:163−71;Hudson and Souriau,上掲;Adams and Schier(1999),J.Immunol.Methods 231(1−2):249−60;Schmitz et al.(2000),Placenta 21 Suppl.A:S106−12を参照のこと。あるいは、本発明のBTNL9タンパク質に特異的に結合することができる抗体のフラグメント(例えば、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、または一本鎖Fvフラグメント(scFv)など)も、本明細書中で抗BTNL9抗体として意味するものに包含される。FabおよびFvフラグメントの論考については、Kuby,上掲,pp.109−112およびJaneway et al.,上掲を参照のこと。本発明はまた、BTNL9タンパク質に特異的に結合する抗体に特異的に結合し、BTNL9タンパク質の効果を模倣する抗イディオタイプ抗体を包含する。かかる抗イディオタイプ抗体は、BTNL9タンパク質と同一の用途が見出される。抗イディオタイプ抗体を生成するための方法は当該分野で周知である。例えば、Kuby et al.,上掲,371−72を参照のこと。本発明のBTNL9タンパク質および別のタンパク質に特異的に結合することができる種々の組換えおよび非組み換えの二重特異性抗体も意図される。種々の二重特異性抗体およびそれらを作製するための方法は、例えば、米国特許第4,474,893号、同第6,060,285号、および同第6,106,833号に記載されている。
抗BTNL9抗体は、多量体抗体(2つの完全な重鎖および2つの完全な軽鎖を含む全長四量体二重特異性抗体または、例えば、1つの重鎖+1つの軽鎖+1つのFc領域を含む多量体1価抗体が含まれる)であり得る。かかる多量体抗体は、ヘテロ二量体の形成を容易にするそれらのFc領域に特定の変異を含み得る。かかる抗体および変異は、国際特許出願公開第WO2009/089004号および米国特許出願公開第2007/0105199号(かかる抗体および変異を記載している部分が、本明細書中で参考として援用される)に記載されている。かかる抗体中のFc領域は、天然のヒト配列または他の種由来の天然の配列を有することができる。あるいはまたはさらに、かかる抗体のFc領域は、種々のFc受容体のFc領域に対する親和性の増加または減少によってエフェクター機能が増加または減少する、Fc領域の変異を含むことができる。いくつかのかかるFcの変化は、米国特許第5,457,035号および国際特許出願公開第WO93/10151号(その関連部分が本明細書中で参考として援用される)に論じられている。
抗体は、米国特許出願公開第2004/058820号(これらの単一ドメイン抗体を記載している部分が、本明細書中で参考として援用される)に記載のように、抗体の別の部分に必要に応じて融合した単一の重鎖可変領域または軽鎖可変領域のみを含むことができる。
ラクダおよびラマで見出されているいくつかの天然に存在する抗体は、2つの重鎖からなる二量体であり、軽鎖を含まない。Muldermans et al.,2001,J.Biotechnol.74:277−302;Desmyter et al.,2001,J.Biol.Chem.276:26285−90(これらの抗体の構造を記載している部分が、本明細書中で参考として援用される)。この構造を有する抗BTNL9抗体は、本発明の抗BTNL9抗体に含まれる。
抗BTNL9抗体は、種々の活性および用途を有し得る。抗BTNL9抗体は、例えば、T細胞の増殖のBTNL9依存性阻害の遮断または拮抗(本明細書中の実施例に記載の方法によってアッセイすることができる)によってBTNL9の生物学的機能を遮断または阻害するアンタゴニスト抗体であり得る。抗体はまた、BTNL9の対構造物に結合してBTNL9結合を模倣し、それによりT細胞の活性化または増殖を阻害するアゴニスト抗体であり得る。かかるアゴニスト抗体はまた、抗BTNL9抗体に結合し、BTNL9対構造物にも結合してBTNL9の活性を模倣する(すなわち、本明細書中に記載のようにT細胞の増殖を阻害する)抗イディオタイプ抗体であり得る。かかる抗体を、BTNL9タンパク質と同一の用途のために使用することができる。抗BTNL9抗体は、例えば、おそらく細胞表面の他のタンパク質と組み合わせたBTNL9タンパク質の安定化または破壊によってアゴニスト性であるかまたはアンタゴニスト性(agonistic or antagonistic)であり得る。例えば、アゴニスト抗体は、例えば、B細胞または他の細胞型の細胞表面でのBTNL9の膜貫通形態の安定化またはBTNL9タンパク質の他のBTNL9タンパク質または異なるタンパク質との相互作用の安定化によってBTNL9の活性を増強させることができる。さらに、アンタゴニスト抗体は、例えば、B細胞または他の細胞型の表面でのBTNL9の膜貫通形態の不安定化または複数のBTNL9分子間の相互作用またはBTNL9の他のタンパク質との相互作用の不安定化によってBTNL9活性を阻害することができる。アゴニスト抗BNTL9抗体はまた、BTNL9の膜貫通形態に結合し、それにより、BTNL9を発現する細胞に生物学的シグナルを伝達することができる。アンタゴニスト抗BTNL9抗体を使用して、免疫応答を増強することができる。それ故、アンタゴニスト抗BNTL9抗体は、例えば、ワクチン(例えば、癌特異的抗原に対する応答を誘導するためのワクチン)の使用を見出すことができる。
本発明の抗体を、in vitroまたはin vivoでの本発明のBTNL9タンパク質の存在を検出するためのアッセイで使用することもできる。抗体を、イムノアフィニティクロマトグラフィによる本発明のBTNL9タンパク質の精製で使用することもできる。
BTNL9ポリペプチドのアゴニストおよびアンタゴニスト
アンタゴニスト抗体またはアゴニスト抗体に加えて、BTNL9タンパク質に特異的に結合することができる他の抗体関連分子(アフィボディ(Roennmark et al.(2002),J.Immunol.Methods 261(1−2):199−211(アフィボディを記載している部分が、本明細書中で参考として援用される))およびBTNL9に特異的に結合してBTNL9タンパク質の生物学的活性を阻害する国際特許出願公開第WO00/24782号(これらのペプチドを記載している部分が、本明細書中で参考として援用される)に記載の生物学的に活性なペプチドなど)が本発明に包含される。さらに、BTNL9アンタゴニストには、BTNL9タンパク質および/またはmRNAの発現を調整するのに有用な上記核酸(例えば、干渉RNA(またはこれをコードするDNA)またはアンチセンスRNAもしくはDNAなど)が含まれる。
アンタゴニストには、さらに、BTNL9またはその受容体に結合するためにin vitroで選択されたアミノ酸配列を含み、必要に応じて、BTNL9およびその受容体の相互作用を干渉することができるタンパク質が含まれる。あるいは、かかるタンパク質は、BTNL9の生物学的機能を促進または模倣するBTNL9アゴニストであり得る。BTNL9またはその受容体に結合するタンパク質を、BTNL9のその受容体との相互作用を妨害する能力についてスクリーニングすることができるか、あるいは、かかるタンパク質が直接得られるように選択をデザインすることができる。
タンパク質を、多数の方法(例えば、ファージディスプレイまたは細菌表面のディスプレイなど)によって選択することができる。例えば、Parmley and Smith(1989),Adv.Exp.Med.Biol.251:215−218;Luzzago et al.(1995),Biotechnol.Annu.Rev.1:149−83;Lu et al.(1995),Biotechnology(NY)13(4):366−372を参照のこと。これらの方法では、結合ドメインのライブラリーの各メンバーを各ファージ粒子または細菌細胞上にディスプレイすることができ、選択した条件下で目的のタンパク質に結合する細菌またはファージを選択することができる。選択した結合ドメインをコードする核酸を、選択したファージまたは細菌の成長およびこれらからの核酸の単離によって得ることができる。
あるいは、タンパク質を、完全にin vitroで選択することができる。例えば、潜在的な結合ドメインのライブラリー中の各ポリペプチドを、ポリペプチドをコードする核酸に結合させることができ、選択した条件下で目的のタンパク質に結合する核酸を選択することができる。ポリペプチドをこのポリペプチドをコードする核酸に結合させるので、その後の操作(増幅、クローニング、または有効な結合ドメインをコードする核酸の配列決定など)が容易である。かかる選択のための種々のスキームが当該分野で公知であり、そのスキームには、抗体−リボゾーム−mRNA粒子、リボゾームディスプレイ、共有結合性RNA−ペプチド融合、または共有結合性DNA−RNA−ペプチド融合が含まれる。He and Taussig(1997),Nucleic Acids.Res.25(24):5132−5134;Hanes and Pluckthun(1997),Proc.Natl.Acad.Sci.94:4937−4942;Roberts and Szostak(1997),Proc.Natl.Acad.Sci.94:12297−12302;Lohse and Wright(2001),Curr.Opin.Drug Discov.Devel.4(2):198−204;Kurz et al.(2000),Nucleic Acids Res.28(18):E83;Liu et al.(2000),Methods Enzymol.318:268−93;Nemoto et al.(1997),FEBS Lett.414(2):405−08;米国特許第6,261,804号;国際特許出願公開第WO00/32823号;およびWO00/34784号。どのようにしてかかる選択を行うことができるかを記載しているこれらの刊行物の一部が、本明細書中で参考として援用される。かかるタンパク質を、アンタゴニストまたはアゴニストであるように選択することができる。
治療用途
BTNL9.Fc融合タンパク質が活性化T細胞の増殖を阻害することができることを本明細書中で証明する。BTNL9はまた、活性化T細胞によるサイトカイン(IL−2、TNFα、IFNγ、およびIL−17など)の産生を阻害する。BTNL9がB細胞に結合することができ、わずかな程度T細胞に結合することができることを蛍光標示式細胞分取(FACS)によってさらに証明する。これらの知見は、BTNL9またはBTNL9経路をアゴナイズする能力を有する分子がT細胞によって媒介される自己免疫疾患または炎症性疾患を処置するための治療薬として有用であり得ることを示す。かかる疾患には、例えば、全身性エリテマトーデス、クローン病、潰瘍性大腸炎、喘息、多発性硬化症、関節リウマチ、乾癬、サルコイドーシス、および線維性疾患(アテローム性動脈硬化症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肝硬変、強皮症、腎臓移植線維症、および肺線維症が含まれる)が含まれる。
BTNL9がT細胞への頑強な結合を示すことなくT細胞に影響を及ぼすという事実(以下の実施例で示すように)を、1つを超える方法で説明することができる。T細胞表面でのBTNL9とその対構造物との相互作用が低親和性または一過性の結合相互作用であり得る。あるいは、T細胞への結合について試験するために本発明者らが使用したBTNL9−Fc二量体分子は、T細胞に強固に結合するための正確な多量体でなくてよい。
BTNL9経路を遮断または阻害する分子は、腫瘍学の環境での用途を見出すことができる。BTNL9またはその受容体のいずれかに結合し、これらの分子の相互作用を遮断または阻害することができる抗体を、癌を処置するための治療薬として使用することができる。上記BTNL9の他のアンタゴニストも使用することができる。BTNL9経路遮断薬で処置することができる種々の癌のうちのいくつかには、多数の他の癌のうちで、急性または慢性白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、リンパ性白血病、リンパ性リンパ腫または皮膚リンパ腫、癌腫、肉腫、胸腺腫、縦隔の新生物、乳癌、前立腺癌、頭頸部癌、肺癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、各種皮膚癌、膀胱癌、悪性神経膠腫、食道癌、胃癌、膵臓癌、肝胆管新生物、小腸、結腸、または直腸の癌、腎臓または尿管の癌、睾丸癌、尿道または陰茎の癌、婦人科系腫瘍、卵巣癌、骨の肉腫、内分泌系の癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、中枢神経系の新生物、および形質細胞新生物が含まれる。
上記の通り、BTNL9アンタゴニストはまた、ワクチンをより有効にするための薬剤としての用途を見出すこともできる。BTNL9を、任意の抗原に対する応答を誘導するためにワクチンと共に使用することができる。これらの抗原の中には、癌細胞(上記癌由来の細胞など)上で高発現する抗原がある。これらの癌抗原の中には、以下のヒトタンパク質がある:WT1、MUC1、LMP2、EGFRvIII、HER−2/neu、MAGE−A3、NY−ESO−1、PSMA、GM2/GD2シンターゼ、CEA、MLANA/MART1、gp100、サバイビン、前立腺特異的抗原(PSA)、テロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、肉腫転座切断点、EPHA2、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、黒色腫アポトーシスインヒビター(ML−IAP)、α−フェトプロテイン(AFP)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、ERG、NA17.A2ペプチド(VLPDVFIRC)、ペアードボックス3(PAX3)、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、rho関連GTP結合タンパク質RhoC、v−myc骨髄球腫症ウイルス関連癌遺伝子(MYCN)、TRP−2、GD3ガングリオシド、フコシルGM1、メソテリン、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、MAGE−A1、CYP1B1、PLAC1、GM3、BORIS、テトラネクチン(TN)、ETV6−AML1(具体的には、切断点を含むペプチド)、NY−BR−1、RGS5、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、PAX5、プロアクロシン結合タンパク質sp32前駆体(OY−TES−1)、精子タンパク質17(Sp17)、LCK、高分子量黒色腫関連抗原(HMWMAA、黒色腫コンドロイチン硫酸プロテオグリカンとしても公知)、AKAP−4、SSX2、XAGE−1、B7H3(CD276としても公知)、レグマイン、TIE2、前立腺関連遺伝子4タンパク質(PAGE−4)、血管内皮成長因子受容体2(VEGFR2)、プロタミン2(MAD−CT−1としても公知)、グロムリン(FAPとしても公知)、PDGFR−β、SSX2、SSX5、Fos関連抗原1、CD20、インテグリンαvβ3、5T4腫瘍胎児性抗原、CAIX、CD5、CD19、CD22(Siglec−2としても公知)、CD30(TNFRSF1としても公知)、CD33(Siglec−3としても公知)、CD40、CD44V6、CD55、CD56(NCAMとしても公知)、CTLA−4(CD152としても公知)、EGFR、GD2、HER2、HLA−DR10(MHC II)、IGF1R、IL−6、シアリルルイスY、TAG−72、TAL6、TRAILR2、VEGF、CD52(CAMPATH−1としても公知)、CD4、CD73、CA125(MUC16としても公知)、CD66e、CD80(B7−1としても公知)、PDGFRβ、前立腺特異的膜抗原(PSMA、多くの他の名称のうちで、グルタミン酸カルボキシペプチダーゼ2としても公知)。癌抗原にはまた、ヒトヘルペスウイルス4タンパク質LMP2、ヒトパピローマウイルスタンパク質E6およびE7、ならびにグリコセラミドグロボH(Gilewski et al.(2001),Proc.Natl.Acad.Sci.98(6):3270−3275(グロボHを記載している部分が、本明細書中で参考として援用される)に記載)、α4β1およびα4β7インテグリンのα4サブユニット、α4β7インテグリン、BAFF、APRIL、CD2、CD3、CD20、CD52、CD73、CD80、CD86、C補体タンパク質、IgE、IL−1β、IL−5、IL−6R、IL−12、IL−23、および腫瘍壊死因子α(TNFα)が含まれる。
本明細書中に言及した任意の疾患の「処置」は、疾患の少なくとも1つの症状の緩和、疾患の重症度の軽減、またはより重篤な症状(幾つかの場合には、疾患を伴うか少なくとも1つの他の疾患をもたらし得る)への疾患の進行の遅延もしくは防止を包含する。処置は、疾患が完全に治癒することを意味する必要はない。有用な治療薬は、疾患の重症度の軽減、疾患またはその処置に関連する1つ以上の症状の重症度の軽減、または処置した状態に続いていくらかの頻度で起こり得るより重篤な症状またはより重篤な疾患の発症の遅延のみを必要とする。例えば、疾患が炎症性腸疾患である場合、治療薬は、腸内の個別の炎症部位数、腸の総罹患範囲を軽減し、痛みおよび/または腫脹を軽減し、症状(下痢、便秘、または嘔吐など)を軽減し、そして/または腸の穿孔を防止することができる。患者の状態を、標準的技術(バリウム注腸または高位浣腸法後に行うX線、内視鏡検査、結腸鏡検査、および/または生検など)によって評価することができる。適切な手順は、患者の状態および症状に応じて変化する。
疾患を処置するために使用される薬物の「治療有効量」は、疾患の重症度を軽減するか、疾患またはその処置に関連する1つ以上の症状の重症度を軽減するか、処置した状態に続いていくらかの頻度で起こり得るより重篤な症状またはより重篤な疾患の発症を遅延させることができる量である。
本発明は、炎症性疾患(全身性エリテマトーデス、クローン病、潰瘍性大腸炎、喘息、多発性硬化症、関節リウマチ、乾癬、サルコイドーシスなど)、線維性疾患(アテローム性動脈硬化症、肝硬変、強皮症、全身性エリテマトーデス、および肺線維症が含まれる)の処置方法を包含する。かかる処置は、治療有効量のBTNL9タンパク質またはBTNL9またはその受容体に結合するアゴニスト抗体を、特定の障害の重症度または障害に原因する症状の重症度を反映する指標のベースラインを超える持続的改善を誘導するか、または、いくつかもしくは全ての場合における処置した状態に続くより重篤な疾患の発症を遅延または防止するのに十分な時間使用する工程を含む。したがって、本発明の処置を、一般的に使用される問題の障害の他の処置の前、後、または間に使用することができるか、または他の処置を使用せずに使用することができる。例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎を、一般に、スルファサラジン、5−アミノサリチル酸、またはコルチコステロイドを使用して処置する。したがって、これらの処置を、本発明の処置の前、間、または後に使用することができる。
同様に、癌は、しばしば、化学療法薬を使用して処置され、かかる薬剤を、BTNL9アンタゴニスト治療薬(本明細書中に記載の抗BTNL9抗体など)と共に使用することができる。化学療法薬には、例えば、当該分野で公知の多数の治療薬のうち、以下の治療薬が含まれる:アルキル化剤(例えば、ブスルファン、テモゾロミド、シクロホスファミド、ロムスチン(CCNU)、メチルロムスチン、ストレプトゾトシン、cis−ジアミンジ−クロロ白金、アジリジニルベンゾ−キノン、およびチオテパ);無機イオン(例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン);ナイトロジェンマスタード(例えば、メルファラン塩酸塩、イフォスファミド、クロラムブシル、およびメクロレタミンHCl);ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン(BCNU));抗新生物性抗生物質(例えば、アドリアマイシン(ドキソルビシン)、ダウノマイシン、マイトマイシン C、ダウノルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、およびブレオマイシン);植物誘導体(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンデシン、VP−16、およびVM−26);代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート(ロイコボリン含有または非含有)、5−フルオロウラシル(ロイコボリン含有または非含有)、5−フルオロデオキシウリジン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−アザシチジン、ヒドロキシ尿素、デオキシコフォルマイシン、ゲムシタビン、およびフルダラビン);ポドフィロトキシン(例えば、エトポシド、イリノテカン、およびトポテカン);ならびにアクチノマイシンD、ダカルバジン(DTIC)、mAMSA、プロカルバジン、ヘキサメチルメラミン、ペンタメチルメラミン、L−アスパラギナーゼ、およびミトザントロン。例えば、Cancer:Principles and Practice of Oncology,4th Edition,DeVita et al.,eds.,J.B.Lippincott Co.,Phildelphia,PA(1993)(その関連部分が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
自己免疫状態または炎症状態については、T細胞を、例えば、アフェレーシスによって患者から取り出し、T細胞が調節表現型または阻害表現型に到達するように、BTNL9(必要に応じて、BTNL9+他のタンパク質)を使用してex vivoで刺激することができる。次いで、T細胞を患者に戻すことができる。調節表現型または阻害表現型に到達するようにT細胞を刺激するために、T細胞を、TGF−βおよびIL−2の存在下で、ヒトT細胞アゴニスト抗CD3抗体、rBTNL9.Fc、およびrB7−1.FcまたはrB7−2.Fcでコーティングした表面の存在下(例えば、ビーズを使用するかまたはマイクロタイタープレートウェル中で)インキュベートすることができる。あるいは、表面を、rBTNL9またはBTNL9.Fc+アゴニスト抗CD3抗体を含有するタンパク質の組み合わせまたはこれらのタンパク質のみを含有する組み合わせでコーティングすることができる。1つの実施形態では、アゴニスト抗CD3抗体、rBTNL9.Fc、およびrB7−1.FcまたはrB7−2.Fcは、例えば、分子量比が2:10:2.5であり得る。TGF−βおよびIL−2は、適切な濃度(例えば、TGF−βについては約0.05〜5ng/mlまたは約0.09または0.1ng/ml、IL−2については約0.5〜10ng/mlまたは約10ng/mlなど)であり得る。これにより、T細胞が阻害性または調節性になるようにプログラムすることができる。T細胞を、かかる状況で例えば3〜7日間インキュベートし、次いで採取し、同一の患者に戻すことができる。必要に応じて、T細胞を、約3,4,5,6または7日間インキュベートすることができる。いくつかの実施形態では、T細胞を休ませ(すなわち、T細胞受容体や共起刺激性刺激剤を使用することなく例えばIL−2の存在下で培養し)、次いで、上記で説明するようにさらに約1回〜4回再刺激することもできる。かかるレジメを使用して処置可能な自己免疫状態または炎症状態には、例えば、全身性エリテマトーデス、クローン病、潰瘍性大腸炎、喘息、多発性硬化症、関節リウマチ、乾癬、サルコイドーシス、および線維性疾患(アテローム性動脈硬化症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肝硬変、強皮症、腎臓移植線維症、および肺線維症が含まれる)が含まれる。
任意の上記治療薬を、組成物の形態(すなわち、1つ以上のさらなる成分(生理学的に許容され得るキャリア、賦形剤、または希釈剤など)を含む)で投与することができる。例えば、組成物は、本明細書中に記載の可溶性BTNL9タンパク質+バッファー、抗酸化剤(アスコルビン酸など)、低分子量ポリペプチド(10アミノ酸未満のポリペプチドなど)、タンパク質、アミノ酸、炭水化物(グルコース、スクロース、またはデキストリンなど)、キレート剤(EDTAなど)、グルタチオン、および/または他の安定剤、賦形剤、および/または防腐剤を含むことができる。組成物を、液体または凍結乾燥物として処方することができる。薬学的処方物で使用することができる成分のさらなる例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th Ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,(1980)(その関連部分が本明細書中で参考として援用される)中に示されている。
上記治療分子を含む組成物を、任意の適切な手段(非経口、局所、経口、鼻、膣、直腸、または肺(吸入による)投与が含まれるが、これらに限定されない)によって投与することができる。注射する場合、組成物(複数可)を、ボーラス注射または連続注入によって関節内、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、または皮下に投与することができる。経皮送達および埋没物(implant)、皮膚パッチ、または坐剤からの徐放としての局所投与(すなわち、疾患部位における)が意図される。吸入による送達には、例えば、鼻腔吸入または経口吸入、噴霧器の使用、およびエアロゾル形態での吸入などが含まれる。体腔に挿入された坐剤を介した投与を、例えば、選択した体腔中への固体形態の組成物を挿入し、その組成物を溶解させることによって達成することができる。他の代替法には、点眼薬、経口用調製物(丸薬、ロゼンジ、シロップ、およびチューインガムなど)、および局所用調製物(ローション、ゲル、スプレー、および軟膏など)が含まれる。ほとんどの場合、ポリペプチドである治療分子を、局所投与するか、注射または吸入によって投与することができる。
上記治療分子を、処置される状態の処置に有効であり得る任意の投薬量、頻度、および期間で投与することができる。投薬量は、治療分子の分子の性質および処置される障害の性質に依存する。所望の結果を達成するのに必要な限り、処置を継続することができる。処置の周期は、処置の期間を通して持続してもしなくてもよい。例えば、処置を、最初に1週間間隔で行い、その後に隔週で行うことができる。数日、数週間、数ヶ月、または数年の期間の処置が本発明に包含される。処置を中断し、その後に再開することができる。最初の処置後に維持用量を投与することができる。
投薬量を、ミリグラム/キログラム体重(mg/kg)としてか、皮膚表面積1平方メートルあたりミリグラム(mg/m)としてか、身長や体重と無関係の固定用量として計り取ることができる。これらは、当該分野で標準的な投薬単位である。ヒトの皮膚表面積を、標準式を使用して身長および体重から計算する。例えば、BTNL9またはその受容体に結合する治療用BTNL9タンパク質または抗体を、約0.05mg/kg〜約10mg/kgまたは約0.1mg/kg〜約1.0mg/kgの用量で投与することができる。あるいは、約1mg〜約500mgの用量を投与することができる。あるいは、約5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、100mg、200mg、または300mgの用量を投与することができる。
本発明を、具体的な実施例を参照して以下に記載する。これらの実施例は、本発明を制限することを決して意味しない。この開示の目的について、本発明に対し種々の変更や改変を行なうことができ、これらは十分に本発明の範囲内であることが理解される。当業者に容易に示唆を与える多くのの他の変更を行なうことができ、これらの変更は、本明細書中に開示され、添付の特許請求の範囲に定義されるとおり、本発明の精神の範囲内に包含される。
実施例
実施例1:ヒト免疫細胞および成体ヒト組織におけるヒトBTNL9タンパク質をコードするmRNAの発現
初代ヒト免疫細胞および種々の組織でのヒトBTNL9をコードするmRNAの発現に関する情報を収集するために、以下の実験を行った。
初代免疫細胞を、Stem Cell Sciences(Palo Alto,California)またはMiltenyi Biotech(Germany)からの種々の商業的に利用可能な選択方法によって全血またはロイコパックから単離した。例えば、EASYSEP(登録商標)ヒトT細胞富化キットをCD4T細胞富化キット(共にStem Cell Sciences由来)と組み合わせて使用してCD4T細胞を単離した一方で、単球をMiltenyi単球単離キットIIを使用して単離した。かかる市販の試薬を使用したかかる細胞分離は、当該分野で日常的である。マクロファージを、ネガティブ選択した単球の7日間のex vivo成熟によって得た。各単離細胞集団を蛍光標示式細胞分取(FACS)によって分析して、単離細胞集団が予想される細胞表面タンパク質を発現しているかどうかを決定した。RNAを、Affymetrixアレイ(Affymetrix GENECHIP(商標)HG−U1333 Plus 2.0)によって単離および評価した。ヒトBTNL9転写物検出のためのデータ正規化および分析を、ROSETTA RESOLVER(登録商標)ソフトウェア(Rosetta Biosoftware,Cambridge,MA,USA)を使用して行った。これらの分析結果を図2に示す。試験した種々の細胞型のうちで、その細胞表面にCD19を発現した細胞(図2のレーン6)(すなわち、B細胞)が、もっとも大量のBTNL9を発現した。
成体ヒト組織におけるヒトBTNL9発現を、Affymetrix GENECHIP(商標)Human Genome 133 Plus 2.0アレイ(Affymetrix,Santa Clara,CA,USA)を使用したマイクロアレイ分析によって評価した。この分析結果を図3に示す。これらのデータは、ヒトBTNL9が多数の異なる組織において広範に発現することを示す。組織のうちで最高のBTNL9mRNA発現を示す組織は、以下の身体構造物由来の組織があった:副腎(図3中のレーン1)、結腸(図3中のレーン9)、心臓(図3中のレーン11)、肺(図3中のレーン19)、脾臓(図3中のレーン26)、胸腺(図3中のレーン28)、および白色脂肪組織(図3中のレーン29)。
実施例2:ヒトBTNL9.FcおよびマウスBTNL2.Fcの調製
以下は、ヒトBTNL9の細胞外領域およびヒトIgG1抗体のFc部分を含む融合タンパク質をどのようにして作製したかを記載している。リンカー+ヒトIgG1 Fcフラグメントに融合したヒトBTNL9の細胞外ドメインをコードするcDNAを含む適切なベクターを構築した。配列番号18はこのcDNAの配列を提供し、配列番号19はこのcDNAによってコードされるBTNL9.Fcタンパク質のアミノ酸配列を提供する。Cos PKB細胞を、LIPOFECTAMINE(商標)2000(Invitrogen)を使用してBTNL9.Fc哺乳動物発現構築物でトランスフェクトし、0.5%低Ig血清を含む完全ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で培養した。これらの方法は、Ettehadieh et al.,OVEREXPRESSION OF PROTEIN KINASE BA ENHANCES RECOMBINANT PROTEIN EXPRESSION IN TRANSIENT SYSTEMS in Animal Cell Technology:From Target to Market:Proceedings of the 17th ESACT Meeting,Tyloesand,Sweden,June 10−14,2001,Vol.1,Lindner−Olsson et al.,eds.,pp.31−35,Springer,2001に詳述されている。組換えタンパク質の作製方法を記載しているこの参考文献の部分が、本明細書中で参考として援用される。トランスフェクション7日後、上清を採取し、BTNL9.Fcタンパク質をプロテインAカラムクロマトグラフィ(MABSELECT(商標)SuRe column,GE Healthcare)によって精製した。
マウスBTNL2.Fcタンパク質を、本質的に米国特許第7,244,822号に記載のように作製した。この構築物をBTL−II:Fcと呼ぶ。このタンパク質は、ヒトIgG1 Fc領域に融合したマウスBTNL2タンパク質の細胞外領域を含む。この構築を記載している米国特許第7,244,822号の部分が、本明細書中で参考として援用される。マウスBTNL2.Fcタンパク質をコードする核酸配列およびBTNL2.Fcタンパク質のアミノ酸配列は、それぞれ、米国特許第7,244,822号の配列番号20および21に報告されている。
実施例3:マウスCD4T細胞の増殖のin vitro分析
in vitroでのマウスCD4T細胞の増殖に及ぼすヒトBTNL9:Fc融合タンパク質の影響を決定するために以下の実験を行った。
実験あたり少なくとも5匹の雌C57BL/6マウスから採取した脾臓から調製した単一細胞の脾細胞懸濁物を使用して、マウスEASYSEP(商標)CD4ネガティブ選択キット(Stem Cell Sciences)を使用してCD4T細胞を精製した。FACS分析によって評価したところ、CD4T細胞の純度は90%超であった。組織培養処理マイクロタイタープレートを、種々の濃度の抗CD3モノクローナル抗体(Clone 2C11,BD Biosciences Pharmingen,San
Diego,CA,USA)および10μg/mlヤギ抗ヒトFc抗体(Jackson ImmunoResearch,West Grove,PA,USA)を含むPBSにて4℃で一晩コーティングした。次いで、ウェルをPBSで洗浄し、指定量の表示のFc融合タンパク質にて室温で4時間コーティングした。ウェルを再度PBSで洗浄し、次いで1〜2×10個の精製CD4脾細胞/ウェルを添加した。72時間培養の最後の6時間でのH−チミジン(1μCi/ウェル)の取り込みによってCD4T細胞の増殖を決定した。ヒトIgG調製物由来のFcフラグメントを、ネガティブコントロールとして使用した。ポジティブコントロールとして、マウスBTNL2.Fc(以前にT細胞の増殖の阻害を示していた)およびヒトB7−2−Fc(R&D Biosystemsから購入)(T細胞の公知の陽性共刺激因子)も含めた。
結果を図4に示す。図4中のレーン1および2は、それぞれ10μg/mlおよび2μg/mlのヒトIgG調製物由来のFcフラグメントを含むネガティブコントロールアッセイを示す。レーン3は、ヒトB7−2−Fcタンパク質を含むポジティブコントロールアッセイ由来の結果を示す。レーン4は、マウスBTNL2.Fc(陰性共刺激分子)を含むアッセイ由来の結果を示す。レーン5および6は、それぞれヒトBTNL9.Fcの10μg/mlおよび2μg/mlを含むアッセイ由来の結果を示す。これらのデータによってマウスT細胞の増殖に及ぼすヒトB7−2−Fcの刺激効果およびマウスBTNL2.Fcの阻害効果が確認され、ヒトBTNL9.FcがマウスT細胞の増殖を阻害することができることを示す。
実施例4:ヒトCD4T細胞の増殖のin vitro分析
in vitroでのヒトCD4T細胞の増殖に及ぼすヒトBTNL9:Fc融合タンパク質の影響を決定するために以下の実験を行った。
ヒトT細胞を、ヒトCD4T細胞単離キットII(Miltenyi Biotech,Bergisch Gladbach,Germany,カタログ番号130−091−155)を使用してヒト末梢血単核細胞から精製し、90%を超えるCD4細胞を含む細胞集団を得た。マウスCD4増殖アッセイと同様に、組織培養処理マイクロタイタープレートを、種々の濃度の抗CD3mAb(OKT3)および10μg/ml ヤギ抗ヒトFc(Jackson ImmunoResearch)を含むPBSにて4℃で一晩プレコーティングした。次いで、ウェルをPBSで洗浄し、指定量の表示のFc融合タンパク質にて室温で4時間コーティングした。ウェルを再度PBSで洗浄し、次いで1〜2×10個の精製ヒトCD4T細胞/ウェルを添加した。72時間培養の最後の6時間でのH−チミジン(1μCi/ウェル)の取り込みによってCD4T細胞の増殖を決定した。ヒトCD4細胞に結合せず、且つT細胞の増殖への影響は知られていないので、Fcタンパク質p7.5Fcを、ネガティブコントロールとして使用した。ポジティブコントロールとしてマウスBTNL2−Fcを含めた。抗CD3抗体(OKT3)のみに曝露した細胞もさらなるコントロールとして含めた。
結果を図5に示す。レーン1は、抗CD3抗体を含み、且つさらなるタンパク質を添加しなかったアッセイの結果を示す。レーン2および3は、抗CD3抗体+ネガティブコントロールタンパク質p7.5−Fcをそれぞれ10μg/mlおよび2.5μg/mlの濃度で含むアッセイの結果を示す。レーン4〜7は、抗CD3抗体+ヒトBTNL9.Fcをそれぞれ20、10、5、および2.5μg/mlの濃度で含むアッセイの結果を示す。レーン8は、抗CD3抗体およびマウスBTNL2.Fcを10μg/mlの濃度で含むアッセイの結果を示す。これらのデータは、ヒトBTNL9.Fcが濃度依存性様式でヒトT細胞の増殖を阻害することを示す。
実施例5:活性化ヒトT細胞によるサイトカインの産生
標準的な抗CD3増殖アッセイでは、上記のように、ヒトCD4T細胞を単離し、BTNL9.Fc(T細胞の増殖を阻害することが以前に示されている濃度で)または種々の他のFc含有タンパク質を使用するか使用しないで、抗CD3抗体で刺激した。刺激72時間後、100μlの上清を各条件から採取した。次いで、上清を、Meso Scale Discovery of Gaithersburg,Marylandから販売されている複数のサイトカイン(IL2、IL4、IL5、IL10、IL13、IL17、GM−CSF、TNFα、IFNγ、およびIL1β)を同時に検出するためのカスタマイズされた市販のキットを使用してサイトカインレベルについてアッセイした。かかるキットアッセイは、原理上はELISAアッセイに類似しているが、複合検出テクノロジーを使用している。
図6A〜6Eは、検出した、インターロイキン−2(図6A)、腫瘍壊死因子−α(図6B)、インターフェロン−γ(図6C)、インターロイキン−17(図6D)、およびインターロイキン−13(図6E)のレベルを示す。全パネル中のレーン1〜7は、以下の成分を含むアッセイの結果を示す:(1)、抗CD3抗体またはいかなるさらなるタンパク質を使用しない細胞;(2)、抗CD3抗体のみを使用した細胞;(3)〜(5)、抗CD3抗体+ヒトIgG、p7.5−Fc、またはHB15−Fcの各調製物を使用した細胞;(6)抗CD3抗体およびマウスBTNL2.Fcを使用した細胞;および(7)抗CD3抗体およびBTNL9.Fcを使用した細胞。マウスBTNL2.Fcと同様に、BTNL9.Fcは、抗CD3抗体による刺激に応答したヒトCD4T細胞によるインターロイキン−17、インターロイキン−2、腫瘍壊死因子−α、およびインターフェロン−γの発現を阻害したが、インターロイキン−13の発現を阻害しなかった。
実施例6:細胞結合研究
特異的細胞型BTNL9が何に結合するかを決定するために以下の実験を行った。マウス脾細胞の単一細胞懸濁物を生成し、次いで、2μg/mlの抗CD3抗体(2C11−マウス;OKT3−ヒト)、コンカナバリン(conconavalin)A(Con A)、または細菌リポ多糖(LPS)で48時間活性化した。コントロールとして非刺激細胞も含めた。非刺激細胞および刺激細胞を、huBTNL9.FcまたはコントロールFc含有タンパク質を使用して氷上で60分間染色した。洗浄後、結合したFcタンパク質を、FACSを使用してフィコエリトリン(PE)結合体化F(ab’)ヤギ抗ヒトFc(Jackson ImmunoResearch)で検出した。さらに、これらの染色された細胞をアロフィコシアニン(APC)結合体化CD3またはCD19(BD Biosciences)で同時染色して、混合細胞集団中のT細胞およびB細胞をそれぞれ特異的に同定した。サンプルを固定し、FACSCALIBUR(商標)フローサイトメーター(BD Immunocytometry Systems,San Jose,CA,USA)を使用して分析した。
得られたデータは、BTNL9.FcがLPSで刺激したマウスB細胞に結合するが、非刺激マウスB細胞に結合しないことを示した。データは示していない。さらなるデータは、BTNL9.Fcが刺激したマウスT細胞に結合するがそれはわずか限られた程度であり、非刺激マウスT細胞には検出可能に結合しないことを示した。これは、BTNL9のT細胞との相互作用が一過性および/または低親和性であり、したがって、本発明者らのFACSアッセイの検出レベル未満であることを示し得る。
実施例7:ヒトT細胞の増殖の阻害は細胞死に起因しない
BTNL9.Fcによる活性化ヒトT細胞の増殖の阻害が細胞死に起因するかどうかを決定するために以下の実験を行った。BTNL9.Fcまたはコントロールタンパク質の存在下または非存在下でのヒトCD4T細胞の抗CD3抗体による刺激後の乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)放出を検出するためのアッセイを使用して、細胞傷害性を検出した。LDHは、原形質膜の損傷および細胞死の際に上清に放出される安定な細胞質酵素である。LDHを、製造者の指示(LDH Cytotoxicity Detection
Kit,Clontech Laboratories,Inc,Mountain View,CA,USA)に従った72時間の刺激後の比色反応によって検出した。Triton−Xで溶解した細胞を、細胞死による最大LDH放出のポジティブコントロールとして使用した。同一の実験用アッセイウェルを使用して、細胞増殖阻害およびLDH放出を検出した。
図7Aおよび7Bは、それぞれLDHアッセイおよび増殖アッセイの結果を示す。図7Aおよび7Bの各レーン中に示したサンプルは、上記のこれらの図の簡単な説明中に詳述している。これらのデータは、BTNL2.FcおよびBTNL9.Fcのいずれも抗CD3で刺激したT細胞の増殖の阻害に十分な濃度で細胞傷害性の影響を及ぼさないことを示す。したがって、これらのデータは、これらのタンパク質による細胞増殖の阻害が細胞死を伴わないことを示唆している。
実施例8:炎症性腸疾患患者由来の結腸組織中でのBTNL9の高発現
BTNL9が正常な結腸組織と比較して炎症性腸疾患(クローン病または潰瘍性大腸炎)を罹患しているドナー由来の結腸組織中で過剰発現または過小発現するかどうかを決定するために以下の実験を行った。炎症性腸疾患を罹患していないドナーおよび潰瘍性大腸炎またはクローン病のいずれかを罹患しているドナー由来の結腸組織におけるヒトBTNL9発現を、ABI PRISM(登録商標)7900HT配列検出システム(Applied Biosystems Inc,Foster City,CA,USA)を使用した定量的リアルタイムRT−PCRによって測定した。BTNL9mRNA発現の検出量を、ハウスキーピング遺伝子(β−アクチン)の発現に対して正規化した。cDNAを生成するために、罹患組織または正常組織由来のDNアーゼ処理した(DNA−free,Ambion)総RNA20ngを、TAQMAN(登録商標)逆転写キット(Applied Biosystems Inc.)を使用して逆転写した。このcDNAを、TAQMAN(登録商標)ユニバーサルバッファー(Applied Biosystems Inc.)およびhuBTNL9プローブセット(Applied Biosystemsから購入;プローブセットHs_00537320_m1)を使用した定量的リアルタイムRT−PCRにおけるテンプレートとして使用した。PCR条件は、50℃で2分間、次いで95℃で10分間、次いで以下の温度レジメで40サイクル:95℃で15秒間、その後に60℃で1分間。各PCR反応を、研究に含まれる各生物サンプルについて三連で行った。
結果を図8に示す。図8上の各点は、1人のドナー由来のデータを示す。潰瘍性大腸炎(UC)またはクローン病(Crohns)のいずれかを罹患しているドナー由来の外科的に摘出した結腸組織における全ヒトBTNL9mRNA発現は、炎症性腸疾患を罹患していないドナー由来の結腸組織におけるより高かった。正常組織と罹患組織との間の発現の相違は、UC組織およびCrohns組織の両方について統計的に有意であった。これらのデータは、BTNL9mRNAが潰瘍性大腸炎またはクローン病(2つの最も一般的な炎症性腸疾患)のいずれかを罹患しているドナーにおいて正常を超えるレベルで発現することを示す。これらの知見は、BTNL9がこれらの疾患に対する応答を媒介することにおいて役割を果たす可能性を示唆している。
実施例9:BTNL9の凝集の状態がT細胞の増殖に対するBTNL9の阻害に及ぼす影響
本実験の目的は、BTNL9.Fcの凝集の状態がT細胞の増殖を阻害するその能力で役割を果たすかどうかを決定することであった。様々な凝集の状態にあるBTNL9.Fcの精製画分を以下のように得た。BTNL9.Fcを発現する哺乳動物細胞の培養上清から得たBTNL9.Fcを、プロテインAクロマトグラフィによって精製した。より具体的には、BTNL9.Fcを、25mM Tris、150mM NaCl(pH7.4)中のプロテインAカラムにロードした。カラムを25mM Tris、0.5M L−アルギニン(pH7.5)で洗浄後、25mM Tris、150mM NaCl(pH7.4)で洗浄した。BTNL9.Fcタンパク質を50mMクエン酸ナトリウム、1M L−アルギニン(pH3.5)で溶出し、1M Tris(pH8.0)を使用して中性pHまで滴定した。BTNL9.Fcを、154mM NaCl、3.89mM KHPO、12mM NaHPO(pH7.2)(PBS)にて実施したサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)によってさらに精製した。各々の個別画分を分析SECによって分析し、次いで、保存のために3つの画分にプールした。プールした画分を濃縮し、50μM EDTAを含むPBSで処方し、分析SECによって分析し、その結果を図9に示す。
プール画分1は、分析SECで分子量が約958,000ダルトンの単一ピークを示した。したがって、画分1は、ほとんど完全に高凝集した種を含んでいた。プール画分2は、2つのサイズクラスの分子のおよそ50:50混合物を含んでいた。この2つの主要ピークは分析SECにおいて分子量が約903,000ダルトンおよび531,000ダルトンであった。したがって、画分2は、高凝集種と中程度のサイズの凝集種との混合物を含んでいた。画分3の80%超が、より小さな種からなっていた。画分3の主要SECピークは、見かけ上の分子量が約197,000ダルトンであった。還元条件下で泳動したポリアクリルアミドゲルで決定したBTNL9.Fcのサイズがおよそ65,000ダルトンであるので、この種は二量体または大きくとも三量体であり得る。データは示していない。このサイズは、一部グリコシル化されたBTNL9.Fc単量体の予想される分子量におよそ相当する。画分2中の約531,000ダルトンの種は、それが単量体のサイズの約8倍であるので、八量体を含み得る。画分2および3中に存在する900,000ダルトン超の種は、より高次の多量体(おそらく、14量体)である。
BTNL9.Fcのこれらの精製画分を、上記のように行ったマウスおよびヒトCD4T細胞の増殖のアッセイで使用した。これらの実験の結果を図10(マウスT細胞)および11(ヒトT細胞)に示す。結果は、BTNL9.Fc画分1および2がマウスおよびヒトT細胞の増殖の両方において統計的に有意な阻害(コントロールとの比較)を示したことを示す。画分1は両アッセイにおいて画分2よりいくらか有効であったが、この相違における統計的有意性は決定されなかった。他方では、BTNL9.Fc画分3はマウスおよびヒトT細胞の増殖のいずれの阻害も示さなかった。したがって、これらのデータは、より高次の凝集体がより小さな種(二量体または三量体など)よりもT細胞の増殖の阻害に有効であることを示す。画分3中の主要な種を二量体として暫定的に同定したことに基づいて、これらのデータは、T細胞の増殖の阻害には少なくとも三量体のBTNL9.Fcが必要であるが、より高次の多量体(少なくとも四量体または五量体など)が必要であり得ることを示す。これらのデータの別の見解は、BTNL9タンパク質の単量体種の少なくとも約8倍の分子量の種がT細胞の増殖を有効に阻害することができるのに対して、BTNL9タンパク質の単量体種の分子量の約3倍の種が阻害できないことである。
実施例10:脾臓中の毛細血管内皮中のBTNL9の局在
BTNL9が脾臓中の血管組織で発現されるかどうかを決定するために以下の実験を行った。凍結ヒト脾臓組織を、75%アセトン/25%エタノールを使用して固定し、ヒトBTNL9およびヒトCD31に特異的な抗体と組み合わせて染色した。CD31は、血管内皮上に優先的に発現する。インキュベーションおよび洗浄後、二次抗体を、免疫蛍光による検出のために組織に添加した。最終洗浄後、切片をDAPIで染色し、画像処理した。BTNL9およびCD31染色の共局在は、脾臓における毛細血管内皮でのBTNL9発現を実証する。脾臓はまた、より弱く染色されるBTNL9+/CD31−細胞を含む。したがって、これらの結果は、BTNL9が脾臓における血管組織および非血管組織の両方に発現することを示す。

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