JP2015142131A - 集光装置を設けた色素増感型太陽電池 - Google Patents

集光装置を設けた色素増感型太陽電池 Download PDF

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輝樹 高安
金児 小野田
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金児 小野田
松岡 亮介
Ryosuke Matsuoka
亮介 松岡
貴則 服部
Takanori Hattori
貴則 服部
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Abstract

【課題】本発明は、高い光電変換効率に相当する高電力が発現できる色素増感型太陽電池を提供することを目的とする。
【解決手段】光電極と対極とが電解質層を介して対向配置された色素増感型太陽電池であって、(1)光電極が、チタン材料上に、色素増感剤を含有する酸化チタン層が形成されたものであり、(2)対極が、透明導電性ガラスまたは透明導電性フィルム上に、電気化学的還元触媒層がコーティングされたものであり、(3)集光装置が対極側に配置されているものであることを特徴とする色素増感型太陽電池。
【選択図】なし

Description

本発明は、色素増感型太陽電池に関する。
太陽電池としては、単結晶、多結晶又はアモルファスのシリコン型太陽電池、CIGS、CdTe、GaAs等の化合物半導体太陽電池、有機薄膜太陽電池、色素増感型太陽電池等、多種類のものがある。
現在、シリコン型太陽電池が主流となっている。しかしながら、シリコン型太陽電池は、高純度のシリコン材料が必要である。また、シリコン型太陽電池は、高温及び高真空下で製造する必要があり、製造コストが高いという点については改善の余地がある。
こうした中、近年、色素増感型太陽電池が注目を集めている。色素増感型太陽電池は、その構造が簡単であることから容易に作製でき、また構成材料は豊富である。また、色素増感型太陽電池は、安価で作製でき、高い光電変換効率を有する。そのため、色素増感型太陽電池は、次世代太陽電池として注目されている。
色素増感型太陽電池は、光電極と対極との間に、可逆な電気化学的酸化還元特性を有する電解液を注入後、光電極と対極とを封止及び結線するという簡便な手法により、構築できる。
光電極は、従来は以下の手法により作製されるものである。先ず、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Fluorine Tin Oxide)等の透明導電膜を形成させたガラス基板である透明導電性ガラスの表面に、酸化チタン微粒子を含むペースト剤をコーティングする。次いで、得られたコーティング物を400〜500℃の温度で熱処理することにより、多孔質状の酸化チタン層を有する電極を作製する。次いで、ルテニウム系色素、インドリン系色素等の色素増感剤を含む有機溶液中に、得られた電極を浸漬することにより、多孔質状の酸化チタンの表面に色素増感剤が吸着した光電極を作製する。
次に、対極は、スパッタリング等の手法により、透明導電膜を形成させたガラス基板やフィルム上に、電気化学的還元作用を発揮する白金層を形成させることにより作製されるものである。
しかしながら、従来の色素増感型太陽電池では、光電極及び対極を構成する透明導電膜は電気抵抗が比較的に大きい。そのため、酸化チタンのコーティング面積(透明導電膜の面積)を大きくすると、得られた色素増感型太陽電池の光電変換効率が著しく低下するという点については改善の余地がある。また、多孔質状の酸化チタン層(酸化チタン焼結体)を作製する際の加熱処理により、透明導電膜の電気抵抗が大きくなる。そのため、色素増感型太陽電池の光電変換効率の低下を招くという点についても改善の余地がある。
こうした中、光電極の基板として金属チタンを用いる技術が検討されている。この技術は、従来の透明導電膜を形成させたガラス基板と比較して電気抵抗値が低く、従来の透明導電膜を用いた色素増感太陽電池と比較すると、特に酸化チタンのコーティング面積が大きい際に、光電変換効率が高くなり、色素増感型太陽電池に用いる電解液に含まれるヨウ素等に対して耐腐食性を有する。
しかしながら、色素増感太陽電池の光電変換効率は、現状の太陽電池の主流と
なっているシリコン型太陽電池と比較すると、低いという問題点があり、得られる電力が少なかった。
このような観点から集光装置を用いる色素増感太陽電池も検討されている。
例えば、特許文献1には、透明導電性ガラスや透明導電性プラスチックで形成された色素増感太陽電池の電極側にマイクロレンズアレイを設置し入射する光を集光する。また対極側に鏡を設置し、透過した光を反射させ再度多孔質層に照射されることで変換効率を向上させるという技術が開示されている。
また特許文献2には、ITO(Indium Tin Oxide)膜をコーティングしたガラス基板やPET(polyethylene terephthalate)やPEN(polyethylene naphthalate)等の透明プラスチック材
料の光受光面をパラキシリレン系樹脂膜で凸面曲状に覆うように形成することにより、集光効率を高めるという技術が開示されている。
しかしながら、これらの技術は、電気抵抗の大きな透明導電膜を使用しているために、光電変換効率はあまり向上するものではなく、改善の余地があった。
特開2009-224105号公報 特開2009-193702号公報
本発明は、高い光電変換効率に相当する高電力が発現できる色素増感型太陽電池を提供することを目的とする。
本発明者は、従来技術の問題点を解決すべく鋭意検討をした処、特定の構造を備える色素増感型太陽電池が上記目的を達成できることを見出した。
即ち、本発明は、下記の色素増感型太陽電池である。
項1 光電極と対極とが電解質層を介して対向配置された色素増感型太陽電池であって、
(1)光電極が、チタン材料上に、色素増感剤を含有する酸化チタン層が形成されたものであり、
(2)対極が、透明導電性ガラスまたは透明導電性フィルム上に、電気化学的還元触媒層がコーティングされたものであり、
(3)集光装置が対極側に配置されているものであることを特徴とする色素増感型太陽電池。
項2 前記チタン材料が、金属チタン、チタン合金、表面処理した金属チタン及び表面処理したチタン合金からなる群から選ばれる材料であることを特徴とする項1記載の色素増感型太陽電池。
項3 前記酸化チタン層の形状が、長方形であることを特徴とする項1または2に記載の色素増感型太陽電池。
項4 前記電気化学的還元触媒層が、白金触媒層である項1〜3のいずれかに記載の色
素増感型太陽電池。
項5 前記対極の透明導電性ガラスまたは透明導電性フィルムが、反射防止膜加工したものであることを特徴とすることを項1〜4のいずれかに記載の色素増感型太陽電池。
項6 前記対極が、透明導電性ガラスまたは透明導電性フィルムの光照射面にさらに反射防止フィルムを設けているものである特徴とすることを項1〜4のいずれかに記載の色素増感型太陽電池。
項7 冷却装置が配置されていることを特徴とする項1〜6のいずれにかに記載の色素増感太陽電池。
項8 前記光電極のチタン材料が、以下の表面処理方法により製造されるものである、項1〜7のいずれかに記載の色素増感型太陽電池:
(1)金属チタン材料又はチタン合金材料の表面にチタン窒化物を形成する工程、及び
(2)工程(1)で得られた、表面にチタン窒化物が形成された金属チタン材料又はチタン合金材料を、チタンに対してエッチング作用を有する電解液を用いて、火花放電発生電圧以上にて陽極酸化を行い、アナターゼ型酸化チタンの皮膜を形成する工程。
項9 前記光電極のチタン材料が、以下の表面処理方法により製造されるものである、項1〜7のいずれかに記載の色素増感型太陽電池:
(1)金属チタン材料又はチタン合金材料の表面にチタン窒化物を形成する工程、
(2)工程(1)で得られた、表面にチタン窒化物が形成された金属チタン材料又はチタン合金材料を、チタンに対してエッチング作用を有しない電解液中で、陽極酸化を行う工程、及び
(3)工程(2)で得られた、陽極酸化処理を施した金属チタン材料又はチタン合金材料を、酸化性雰囲気中で加熱処理を行い、アナターゼ型酸化チタンの皮膜を形成する工程。
項10 前記チタン窒化物を形成する工程が、PVD処理、CVD処理、溶射処理、アンモニアガス雰囲気下での加熱処理及び窒素ガス雰囲気下での加熱処理よりなる群から選択された1種の処理方法により行うものである、項8又は9記載の色素増感型太陽電池。
項11 前記窒素ガス雰囲気下での加熱処理が、酸素トラップ剤の存在下で実施するものである、項10記載の色素増感太陽電池。
本発明の色素増感型太陽電池は、高い光電変換効率に相当する高電力を発現することができる。
本発明の色素増感型太陽電池の一実施形態を示す概略図(断面図)である。
以下に本発明を詳細に説明する。尚、本明細書では、金属チタン、チタン合金、表面処理した金属チタン及び表面処理したチタン合金からなる群から選ばれる材料を単にチタン材料と記すこともある。
本発明の色素増感型太陽電池は、光電極と対極とが電解質層を介して対向配置されており、
(1)光電極が、チタン材料上に、色素増感剤を含有する酸化チタン層が形成されたもの
であり、
(2)対極が、透明導電性ガラスまたは透明導電性フィルム上に、電気化学的還元触媒層がコーティングされたものであり、
(3)集光装置が対極側に配置されているものであることを特徴とする色素増感型太陽電池を特徴とする。
本発明の色素増感型太陽電池は、光電極が光透過性のないチタン材料にて構成されるために、光照射を、対極から実施する。さらに対極と光源の間に集光装置を用いることにより、高い光電変換効率に相当する高電力を発現することができる。
本発明の色素増感太陽電池は、以下の部材にて構成される。
(1)光電極
色素増感型太陽電池は、光電極と対極とが電解質層を介して対向配置されている。光電極は、金属チタン、チタン合金、表面処理した金属チタン及び表面処理したチタン合金からなる群から選ばれる材料(以下「チタン材料」とも記す、光電極基板)上に、色素増感剤を含有する酸化チタン層が形成されたものである。
光電極基板
光電極基板は、チタン材料自体を用いることも可能である。チタン材料は基材となる。
金属チタン材料とは、チタンそのものである。チタン合金材料を使用する場合、その種類については、特に限定されない。当該チタン合金としては、Ti−6Al−4V、Ti−4.5Al−3V−2Fe−2Mo、Ti−0.5Pd等が挙げられる。
また、光電極基板は、色素増感剤の光励起に伴う電子が酸化チタン層から光電極基板に移行する際に電解液層への電子の漏出を防ぐ等という理由から、チタン材料に対して、下記表面処理方法A又はBを施し、チタン材料の表面にアナターゼ型酸化チタンの皮膜を形成させたものを使用することが好ましい。アナターゼ型酸化チタンの皮膜は半導体層となる。
本発明の色素増感型太陽電池は、光電極基板が、チタン材料上に色素増感剤を含有する半導体層が形成されたものであるため、特に酸化チタンコーティング面積が大きい際に光電変換効率が高い。
光電極基板の厚みは、通常0.01〜10mm程度、好ましくは0.01〜5mm程度、より好ましく
は0.05〜1mm程度である。
表面処理方法A
光電極基板(光電極のチタン材料)は、以下の表面処理方法により製造される、表面にアナターゼ型酸化チタンを有する半導体層を有する光電極基板からなるものであることが好ましい。
(1)金属チタン材料又はチタン合金材料の表面にチタン窒化物を形成する工程、及び
(2)工程(1)で得られた、表面にチタン窒化物が形成された金属チタン材料又はチタン合金材料を、チタンに対してエッチング作用を有する電解液を用いて、火花放電発生電圧以上にて陽極酸化を行い、アナターゼ型酸化チタンの皮膜を形成する工程。
表面処理方法B
光電極基板(光電極のチタン材料)は、以下の表面処理方法により製造される、表面にアナターゼ型酸化チタンを有する半導体層を有する光電極基板からなるものであることが好ましい。
(1)金属チタン材料又はチタン合金材料の表面にチタン窒化物を形成する工程、
(2)工程(1)で得られた、表面にチタン窒化物が形成された金属チタン材料又はチタン合金材料を、チタンに対してエッチング作用を有しない電解液中で、陽極酸化を行う工程、及び
(3)工程(2)で得られた、陽極酸化処理を施した金属チタン材料又はチタン合金材料を、酸化性雰囲気中で加熱処理を行い、アナターゼ型酸化チタンの皮膜を形成する工程。
表面処理方法A及びBの工程(1)
チタン材料(金属チタン又はチタン合金)の表面にチタン窒化物を形成する工程(工程(1))では、チタン材料の表面にチタン窒化物の層を、通常0.1〜100μm程度形成することができる。チタン窒化物の層は、好ましくは0.5〜50μm程度であり、より好ましく
は1〜10μm程度である。
チタン材料の表面にチタン窒化物を形成させる手段については、特に限定されない。例えば、チタン材料の表面にチタン窒化物を物理的又は化学的に付着させる方法や、チタン材料の表面上でチタンと窒素とを反応させてチタン窒化物を形成させる方法が挙げられる。
チタン窒化物を形成する工程は、PVD処理(物理気相蒸着)、CVD処理(化学気相蒸着)、溶射処理(吹きつけによる被膜形成)、アンモニアガス雰囲気下での加熱処理及び窒素ガス雰囲気下での加熱処理よりなる群から選択された1種の処理方法により行うものであることが好ましい。
PVD処理としては、イオンプレーティング、スパッタリング等が挙げられる。CVD処理としては、熱CVD処理、プラズマCVD処理、レーザーCVD処理等が挙げられる。溶射処理とし
ては、フレーム溶射、アーク溶射、プラズマ溶射、レーザー溶射等が挙げられる。
アンモニアガス又は窒素ガス雰囲気下での加熱処理の加熱温度は、500℃程度以上が好
ましく、750〜1050℃程度がより好ましく、750℃〜950℃程度が更に好ましい。窒素ガス
雰囲気下で、通常500℃程度以上(好ましくは750℃程度以上)でチタン材料を加熱する方法が好ましい。
アンモニアガス又は窒素ガス雰囲気下での加熱処理は、酸素トラップ剤の存在下で行われることが好ましい。
特に、酸素トラップ剤の存在下、窒素ガス雰囲気下での加熱処理を行って、チタン窒化物を形成することが好ましい。
チタン材料の加熱処理で用いられる酸素トラップ剤は、チタン材料よりも酸素に対する親和性が高い物質又は気体が挙げられる。例えば、カーボン材料、金属粉末、水素ガス等が好ましい材料である。これらの酸素トラップ剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
カーボン材料としては、特に制限されず、例えば黒鉛質系カーボン、非晶質カーボン、これらの中間的結晶構造を持つカーボン等が挙げられる。カーボン材料は、平板状、箔状、粉末状等如何なる形状のものでもよい。取扱い性やチタン材料の加熱処理中の熱歪を防止できるという理由から、平板状のカーボン材料を使用することが好ましい。
金属粉末としては、特に制限されず、例えばチタン、チタン合金、クロム、クロム合金、モリブデン、モリブデン合金、バナジウム、バナジウム合金、タンタル、タンタル合金
、ジルコニウム、ジルコニウム、ジルコニウム合金、シリコン、シリコン合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属粉末が挙げられる。酸素親和性が高いという理由から、チタン、チタン合金、クロム、クロム合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属粉末を使用することが好ましい。最も好ましい金属粉末は、微粒子状のチタン、チタン合金の金属粉末である。前記金属粉末を1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
金属粉末の平均粒子径は、好ましくは0.1〜1000μm程度であり、より好ましくは0.1〜100μm程度であり、更に好ましくは0.1〜10μm程度である。
アンモニアガス又は窒素ガス雰囲気中での酸素トラップ剤を使用する条件を、酸素トラップ剤の種類や形状に応じて適時設定することができる。例えば、酸素トラップ剤としてカーボン材料や金属粉末を使用する場合であれば、チタン材料にカーボン材料や金属粉末を接触させ、チタン材料の表面をカーボン材料や金属粉末で覆い、チタン材料をアンモニアガス又は窒素ガス雰囲気中で加熱処理する方法が挙げられる。また酸素トラップ剤として水素ガスを使用する場合であれば、アンモニアガス、窒素ガス雰囲気下に水素ガスを導入した状態で、チタン材料を加熱処理する方法が挙げられる。
アンモニアガス、窒素ガス、又はアンモニアガス及び窒素ガスの混合ガス雰囲気下で加熱処理を行うことができる。簡便性、経済性、安全性を考慮すると、窒素ガスを用いるのが最も好ましい。
アンモニアガス又は窒素ガス雰囲気下での加熱処理の反応気圧としては、0.01〜100 MPa程度、好ましくは0.1〜10 MPa程度、更に好ましくは0.1〜1 MPa程度である。窒素ガス雰囲気下での加熱処理が好ましい。
アンモニアガス又は窒素ガス雰囲気下での加熱処理の加熱時間は、1分〜12時間程度が好ましく、10分〜8時間程度がより好ましく、1時間〜6時間程度が更に好ましい。この時
間で、チタン材料を加熱処理することが好ましい。
チタン材料をアンモニアガス又は窒素ガス雰囲気下で加熱処理する方法では、チタン材料の表面にチタン窒化物を効率よく形成するために、ロータリー式真空ポンプや必要に応じてメカニカルブースターポンプ、油拡散ポンプを用いて加熱処理する炉内を減圧し、加熱処理する炉内(窒化炉内)に残留する酸素濃度を減少させておくことが好ましい。加熱処理する炉内の真空度を、好ましくは10Pa程度以下、より好ましくは1Pa程度以下、更に
好ましくは0.1 Pa程度以下まで減圧することで、チタン材料表面にチタン窒化物を効率よく形成できる。
前記減圧された炉内に、アンモニアガス、窒素ガス又はアンモニアガス及び窒素ガスの混合ガスを炉内に供給して、炉内を復圧し、チタン材料を加熱処理することにより、チタン材料の表面にチタン窒化物を効率よく形成できる。本炉を用いた加熱処理の加熱温度、加熱時間等については、前記した条件と同じ条件でよい。ガス組成としては、簡便性、経済性、安全性を考慮すると、窒素ガスを用いることが最も好ましい。
また、加熱処理する炉内に残留する酸素濃度を減少させる減圧処理と、窒素ガス等を炉内に供給する復圧処理とを、交互に繰り返すこと(数回)で、チタン材料の表面にチタン窒化物をより効率良く形成できる。更に、酸素トラップ剤の存在下で減圧処理、アンモニアガス、窒素ガス等のガス雰囲気下での加熱処理を行うことにより、チタン材料の表面にチタン窒化物をより効率良く形成できる。
チタン材料の表面に形成されるチタン窒化物の種類については、特に制限されない。例えば、TiN、Ti2N、α−TiN0.3、η−Ti3N2-X、ζ−Ti4N3-X(但し、Xは0以上3未満の数値を示す)、これらの混在物、及びアモルファス状チタン窒化物等が挙げられる。これらの中で好ましくは、TiN、Ti2N、及びこれらの混在物、更に好ましくはTiN、及びTiNとTi2Nの混在物、特に好ましくはTiNが例示される。
本発明では、上記チタン窒化物を形成する手段として、上記方法の内、1つの方法を単独で行ってもよく、また2種以上の方法を任意に組み合わせて行ってもよい。上記チタン窒化物を形成する方法の中で、簡便性、量産性、或いは製造コスト等の観点から、好ましくは、窒素ガス雰囲気下でのチタン材料の加熱処理である。
表面処理方法Aの工程(2)
表面処理方法Aでは、表面にチタン窒化物が形成されたチタン材料を、チタンに対してエッチング作用を有する電解液を用いて、火花放電発生電圧以上にて陽極酸化を行い、アナターゼ型酸化チタンの皮膜を形成する(工程(2))。表面にアナターゼ型酸化チタンを有する半導体層を有する光電極基板を製造できる。陽極酸化処理を行うことにより、アナターゼ型の酸化チタン皮膜を好適に形成できる。アナターゼ型の酸化チタンの皮膜を形成することにより、高い光電変換効率を好適に発揮することができる。
火花放電発生電圧以上の電圧を印加する方法により表面処理としては、チタン材料に対してエッチング作用を有する電解液が好ましい。電解液は、チタンに対してエッチング作用を有する無機酸及び/又は有機酸を含むことが好ましい。電解液は、更に過酸化水素を含有するものであることが好ましい。放電発生電圧以上の電圧を印加することにより陽極酸化を行うことが好ましい。
電解液として、チタン材料に対してエッチング作用を有する無機酸及び/又は該作用を有する有機酸が含有されている水溶液を用いることが好ましい。チタン材料に対してエッチング作用を有する無機酸としては、硫酸、フッ化水素酸、塩酸、硝酸、王水等が挙げられる。また、チタンに対してエッチング作用を有する有機酸としては、例えば、シュウ酸、ギ酸、クエン酸、トリクロル酢酸等が挙げられる。これらの酸は、1種単独で使用してもよく、また有機酸、無機酸の別を問わず、これらの酸を2種以上任意に組み合わせて使用しても良い。
2種以上の酸を含有する電解液の好ましい態様の一例として、硫酸に必要に応じてリン酸を含有する水溶液が挙げられる。当該電解液における上記酸の配合割合については、使用する酸の種類、陽極酸化条件等によって異なるが、通常、上記酸の総量で0.01〜10M、好ましくは0.1〜10M、更に好ましくは1〜10Mとなる割合を挙げることができる。例えば、硫酸及びリン酸を含有する電解液の場合であれば、硫酸1〜8M及びリン酸0.1〜2Mの割合で含有する電解液を例示できる。
当該電解液は、上記有機酸及び/又は無機酸に加えて、過酸化水素を含有しているものが望ましい。電解液中に過酸化水素が含まれていることによって、一層効率的にアナターゼ型酸化チタンの皮膜を調製することが可能になる。電解液に過酸化水素を配合する場合、その配合割合については、特に制限されないが、例えば0.01〜5M、好ましくは0.01〜1M、更に好ましくは0.1〜1Mとなる割合が例示される。
陽極酸化で使用される電解液の好ましい態様の一例として、硫酸1〜8M、リン酸0.1〜2M及び過酸化水素0.1〜1Mの割合で含有する水溶液が挙げられる。
上記電解液中にチタン材料を浸漬し、火花放電発生電圧以上の電圧を印加できるよう一
定電流印加し陽極酸化を行うことにより、アナターゼ型の酸化チタンの皮膜が得られる。火花放電発生電圧以上の電圧としては、通常100V以上、好ましくは150V以上が例示される。
陽極酸化は、例えば、上記の火花放電発生電圧まで一定の割合にて電圧を上昇させ、火花放電発生電圧以上の電圧にて、一定時間定電圧を印加することにより行うことができる。火花放電発生電圧まで電圧を上昇させる速度としては、通常0.01〜1V/秒、好ましく
は0.05〜0.5V/秒、更に好ましくは0.1〜0.5V/秒に設定される。また、火花放電発生
電圧以上の電圧を印加する時間としては、通常1分以上、好ましくは1〜60分間、更に好ましくは10〜30分間に設定される。
火花放電による陽極酸化は、電圧を制御する代わりに、電流を制御することにより行うこともできる。陽極酸化において、電流密度は、0.1A/dm2以上であればよいが、経済性
、簡便性、性能面の観点から1A/dm2から10A/dm2がこの好ましい。
上記方法によれば、膜厚が1〜100μm程度のアナターゼ型酸化チタンを含む皮膜を得
ることができる。
表面処理方法Bの工程(2)
表面処理方法Bでは、表面にチタン窒化物が形成されたチタン材料を、チタンに対してエッチング作用を有しない電解液中で、陽極酸化を行い(工程(2))、次いで陽極酸化処理を施したチタン材料を、酸化性雰囲気中で加熱処理を行い、アナターゼ型酸化チタンの皮膜を形成する(工程(3))。表面にアナターゼ型酸化チタンを有する半導体層を有する高い光電変換効率を好適に発揮する光電極基板を製造できる。
電解液は、チタンに対してエッチング作用を有しない無機酸及び有機酸よりなる群から選択される少なくとも1種の酸やこれらの塩化合物を含有することが好ましい。表面にチタン窒化物が形成されたチタン材料を、チタンにエッチング性を有しない電解液中で、陽極酸化を行うことにより、チタン材料の表面に非晶質(アモルファス)なチタンの酸化皮膜を形成することができる。
チタンに対してエッチング作用を有しない電解液としては、無機酸、有機酸及びこれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物(以下「無機酸等」とも記す)を含有する電解液であることが好ましい。前記無機酸等を含有する電解液は、リン酸、リン酸塩等の希薄な水溶液であることが好ましい。
表面処理方法Bの陽極酸化を行う工程(2)だけでは、火花放電が発生しない条件であり、通常、アナターゼ型酸化チタン等の結晶性酸化チタンは形成されない。次工程の酸化性雰囲気下での加熱処理では、非晶質な酸化チタンからアナターゼ型酸化チタンを形成することができる。そのため、チタン材料の表面に非晶質なチタンの酸化皮膜が効果的に形成されるという理由から、表面にチタン窒化物が形成されたチタン材料を陽極酸化することが好ましい。
チタンに対してエッチング作用を有しない電解液としては、無機酸(リン酸等)、有機酸及びこれらの塩(リン酸塩等)よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物(無機酸等)を含有する電解液であることが好ましい。
チタンに対してエッチング作用を有しない無機酸としては、簡便性、経済性、安全性等を考慮し、リン酸、炭酸等が好ましい。チタンに対してエッチング作用を有しない有機酸としては、酢酸、アジピン酸、乳酸等が好ましい。またこれらの酸の塩である、リン酸二
水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、アジピン酸カリウム、乳酸ナトリウム等を用いることもできる。
その他、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム等の電解質を含有する電解液を用いることが好ましい。
チタンに対してエッチング作用を有しない電解液としては、無機酸(リン酸等)、有機酸及びこれらの塩(リン酸塩等)よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物(無機酸等)を含有する電解液であることが好ましい。前記無機酸等としては、リン酸及びリン酸塩が最も好ましい。
電解液は、無機酸等の希薄な水溶液であることが好ましい。電解液中の無機酸等の濃度は、経済性等の理由から、1重量%程度の範囲であることが好ましい。例えば、リン酸が
含まれる電解液では、0.01〜10重量%程度の濃度範囲が好ましく、0.1〜10重量%程度の
濃度範囲がより好ましく、1〜3重量%程度の濃度範囲が更に好ましい。
これらの酸は、1種単独で使用してもよく、また有機酸、無機酸の別を問わず、これらの酸を2種以上任意に組み合わせて使用してもよい。2種以上の酸を含有する電解液の好ましい態様の一例として、リン酸塩及びリン酸を含有する水溶液が挙げられる。当該電解液における上記酸の配合割合については、使用する酸及び酸の塩の種類、陽極酸化条件等によって異なるが、通常、上記酸の総量で0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜10重量%、更
に好ましくは1〜3重量%となる割合を挙げることができる。
チタンに対してエッチング作用を有しない無機酸等を含有する希薄な電解液中に、前記チタン窒化物を形成する工程で得られた表面にチタン窒化物が形成されたチタン材料を浸漬する。次いで、好ましくは10〜300V程度の電圧を印加することにより陽極酸化を行う
。50〜300V程度の電圧で陽極酸化を行うことがより好ましく、50〜200V程度の電圧で陽極酸化を行うことが更に好ましい。
陽極酸化の処理温度は、簡便性、経済性、安全性等の理由から、0〜80℃程度が好まし
い。10〜50℃程度の温度で陽極酸化を行うことがより好ましく、20〜30℃程度の温度で陽極酸化を行うことが更に好ましい。
陽極酸化の処理時間は、1秒〜1時間程度が好ましい。10秒〜30分程度の時間で陽極酸化を行うことがより好ましく、5分〜20分程度の時間で陽極酸化を行うことが更に好ましい
表面処理方法Bの工程(3)
次に、表面にチタンの酸化皮膜が形成されたチタン材料を、酸化性雰囲気中で加熱処理を行い、アナターゼ型酸化チタンの皮膜を形成する(工程(3))。
金属チタン材料等に単に酸化性雰囲気中で加熱処理するだけでは、ルチル型酸化チタンは形成されるが、アナターゼ型酸化チタンは十分に形成されない。
チタン窒化物が形成され、チタンの酸化皮膜(非晶質な酸化チタン膜)が形成されたチタン材料(陽極酸化処理後のチタン材料)を、酸化性雰囲気中で加熱処理(大気酸化処理等)することにより、結晶性の酸化チタンにおいて光触媒特性、光電変換特性に優れたアナターゼ型酸化チタン皮膜を形成することができる。その結果、加熱処理後のチタン材料は光電変換特性に優れる。
加熱処理を行う酸化性雰囲気として、大気酸化雰囲気、酸素ガスと窒素ガスを混合させた任意な酸素ガス濃度の雰囲気、酸素ガス雰囲気等から選択されたものであればよいが、簡便性、経済性、安全性等という理由から、大気酸化雰囲気化での加熱処理が好ましい。
酸化性雰囲気中で加熱処理の温度は、非晶質な酸化チタンからアナターゼ型酸化チタンに効率よく変化するという理由から、300℃程度以上が好ましい。酸化性雰囲気中で加熱
処理の温度は、アナターゼ型酸化チタンからルチル型酸化チタンに相転移しないようにする理由から、800℃程度以下が好ましい。アナターゼ型酸化チタンに比べて、ルチル型酸
化チタンは、光電変換特性が良くないからである。酸化性雰囲気中で加熱処理の温度は、300〜800℃程度がより好ましく、300〜700℃程度が更に好ましく、400〜700℃程度が特に好ましい。
加熱処理を行う反応気圧としては、0.01〜10MPa程度、好ましくは0.01〜5MPa程度、更
に好ましくは0.1〜1MPa程度である。
加熱処理を行う加熱時間は、1分〜12時間程度が好ましく、10分〜8時間程度がより好ましく、1時間〜6時間程度が更に好ましい。
結晶性の酸化チタン皮膜は、アナターゼ型の酸化チタン皮膜であることが好ましい。アナターゼ型酸化チタンは、ルチル型酸化チタンを色素増感型太陽電池の光電極に用いることに比べて、開放電圧値が向上するために、光電変換特性も高い。本発明の陽極酸化後の加熱処理により、光電変換特性が高いアナターゼ型酸化チタンの量が多い皮膜を形成することができる。
加熱処理により、チタン材料の表面に活性の高いアナターゼ型酸化チタンが多量に形成された光電変換素子用材料を調製することができる。高い変換効率を達成する光電変換素子用材料に使用することも可能である。
上記方法によれば、膜厚が1〜100μm程度のアナターゼ型酸化チタンを含む皮膜を得
ることができる。
チタン材料の表面にチタン窒化物を形成させ、チタン窒化物の形成後、酸化性雰囲気中での加熱処理前に、リン酸等のチタンに対してエッチング性を有しない希薄な酸性水溶液、リン酸等の塩の水溶液等の電解液中で陽極酸化を行う工程を組み込むことにより、良好な光電変換素子用材料を製造できる。
チタン材料は、それらの材料表面にアナターゼ型酸化チタン(皮膜)が形成されるので、次世代太陽電池として注目されている色素増感型太陽電池の光電極基板等の光電変換素子用材料として用いることができる。
酸化チタン層
光電極は、チタン材料(金属チタン、チタン合金、表面処理した金属チタン及び表面処理したチタン合金からなる群から選ばれる材料)上に色素増感剤を含有する酸化チタン層(半導体層)を形成されたものである。
前記表面処理方法A及びBにより調製されるアナターゼ型酸化チタンの皮膜が半導体層を形成しても良い。更に、酸化チタン等の微粒子を含むペースト剤を塗布後、酸化性雰囲気下での加熱処理する工程により、酸化チタン層を形成することができる。
酸化チタン微粒子の平均粒径は、0.1〜3000nm程度が好ましく、1〜1000nm程度がより好ましく、10〜500nm程度が更に好ましい。また酸化チタン微粒子粉末としては、1種類の
ものを使用する必要はなく、粒径の小さいものと大きなものを混合することにより、酸化チタン層中にて光が散乱することにて得られた色素増感太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。
ペースト剤は、例えば、酸化チタン微粒子を溶剤中に分散させることにより調製できる。溶剤としては、ポリエチレングリコールが好ましい。ペースト剤中における酸化チタン微粒子の含有量は特に限定されず、焼結体が好適に形成されるよう適宜調節すればよい。
ペースト剤を前記チタン材料上に塗布する方法としては、特に限定されず、例えば、スクリーンプリント、インクジェット、ロールコート、ドクターブレード、スプレーコート等が挙げられる。
ペースト剤を塗布した後の塗膜の厚みは、特に限定されず、目的とする厚みの酸化チタン焼結体が形成されるよう適宜設定すればよい。
また本酸化チタン層の塗布形状は、長方形であることが好ましい。酸化チタン層を正方形ではなく長方形にすることにより、色素増感剤の光励起に伴う電子が酸化チタン層にて電子が消失することなく、光電変換効率が向上する。
光電極基板が、表面処理した金属チタン材料、チタン合金材料の際においては、酸化チタン層として、前記酸化チタン焼結体と前記酸化チタン膜との積層体が得られる。
熱処理の温度は、100〜600℃程度が好ましく、400〜500℃程度がより好ましい。特に、400〜500℃程度の温度で熱処理することにより、酸化チタン微粒子同士を好適に焼結させることができる。熱処理の時間は、熱処理温度等に応じて適宜設定すればよい。前記熱処理は、酸化性雰囲気中(例えば空気中等の酸素が存在する雰囲気中)で行われる。
色素増感剤
光電極は、チタン材料上に色素増感剤を含有する酸化チタン層が形成されたものである。
前記の手法にて酸化チタン層(半導体層)を形成させた光電極を、色素増感剤を含む溶液にて浸漬させることにより色素増感剤を酸化チタン層に吸着させることができる。
色素増感剤としては、近赤外光領域、可視光領域に光吸収を持つ色素であれば特に限定されるものではない。色素増感剤の中でも、レッドダイ(N719)、ブラックダイ(N749)等のルテニウム金属錯体;銅フタロシアニン等のルテニウム以外の金属錯体;エオシン、ローダンミン、メロシリニン、インドリン等の有機錯体等が好ましい。これらの色素増感剤は、1種単独又は2種以上を込み合わせての使用ができる。色素増感剤の中でも、ルテニウム錯体が好ましく、レッドダイ(N719)と近赤外線領域に光吸収を有するブラックダイ(N749)を混合したものがさらに好ましい。
色素増感剤を酸化チタン層に吸着させる手法としては、色素増感剤を含む溶液中に、酸化チタン層等の半導体層を浸漬する方法がある。色素増感剤を、半導体層に、付着(化学吸着、物理吸着又は堆積等)させることができる。
色素増感剤を付着させる量は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、半導体層の面積等に応じて適宜設定すればよい。
(2)対極
色素増感型太陽電池では、対極は、透明導電性ガラスまたは透明導電性フィルム上に、電気化学的還元触媒層がコーティングされたものである。透明導電性ガラスまたは透明導電性フィルムは、透明導電膜であるITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Fluorine Tin Oxide)等を透明ガラスや透明なプラスチック材料であるPET(polyethylene terephthalate)やPEN(polyethylene naphthalate)等にコーティングしたものである。透明導電性ガラスまたは透明導電性フィルムの電解質側の表面上に、電気化学的還元触媒層を電子ビーム蒸着やスパッタリング等のPVD処理にてコーティングするものを使用する。
電気化学的還元触媒層としては、白金触媒層、炭素層、ポリ(3,4-エチレンジオキシチ
オフェン)(PEDOT)層、金層、銀層、銅層、アルミニウム層、ロジウム層、インジウム層等を用いることができる。電気化学的還元触媒層は、水素過電圧が低いために電解層中の電子を失った電解質に電子注入がされ易い等という理由から、白金触媒層であることが好ましい。
本発明品は、光電極としては光透過性のないチタン材料にて構成されるために光照射手段は、対極から実施する。対極上の白金コーティング膜厚は薄い程、光透過性が高まるために、数nm以下コーティングするのが好ましい。コーティング膜厚が薄すぎると、電解液中の電子を失った電解質に電子注入されにくくなるために、得られた色素増感太陽電池の光電変換効率が低下するために、白金層の厚みとしては、0.5〜1nm程度がさらに好まし
い。
また色素増感太陽電池への入る光量を高めるために、対極となる透明導電膜ガラスや透明導電膜フィルムの光照射される面にMgF2やSiO2等を真空蒸着やスパッタリング等のドライ処理やスピンコーティングやディップコーティング等の手法にて反射防止膜を形成させたものを実施したものを使用することや光照射面に反射防止フィルムを貼り合わせることにより、得られた色素増感太陽電池の光電変換効率は向上する。
(3)電解質層
電解質層は、光励起され、半導体層へ電子注入を果たした色素増感剤に、電子を供給でき、色素増感剤を還元できる層であれば良い。電解質層は、更に、電子を失った電解質に、対極の白金触媒層から電子を供給される層であればよい。
液体状の電解質層としては、酸化還元種を含む非水系電解液等があげられる。酸化還元種としては、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化カルシウム等のヨウ化物塩とヨウ素の組み合わせ、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化カルシウム等の臭化物塩と臭素の組み合わせが好ましい。夫々1種単独又は2種類以上
の併用でもよい。またDMPII(1,2-dimethyl-3-propylimidazolium iodide)、TBP(tert-ブチルピリジン)等を添加してもよい。
溶媒としては、アセトニトリル、3-メトキシプロピオニトリル、炭酸エチレン、炭酸プロピオン等があげられる。これらの溶媒は、1種単独又は2種を組み合わせて使用してもよい。本発明の色素増感太陽電池は、集光装置、対極材料、電解液層を経由して、光電極上の酸化チタン層に吸着された色素に光照射がなされて、色素が光励起するために、電解液層は光透過性が高いことが必要である。電解質層の厚み、すなわち光電極と対極との距離は、25〜100μmが好ましく、さらに好ましいのは、25〜50μmである。
セパレータ(スペーサー)及び封止材
色素増感型太陽電池では、光電極と対極との接触を防ぐためにセパレータ(スペーサー
)を設置することが好ましい。
光電極と対極間に設置するセパレータ(スペーサー)の厚みは、電解液層の厚みを決定する。電解液層の厚みが薄い程、本発明の色素増感太陽電池は、集光装置、対極材料、電解液層を経由して、光電極上の酸化チタン層に吸着された色素に光照射がなされて、色素が光励起するために、電解液層は光透過性が高いことが必要であり、電解液層の厚みが薄い好ましい。セパレータ(スペーサー)が薄すぎると、光電極と対極との接触が起きる。セパレータ(スペーサー)としては、25〜100μmが好ましく、さらに好ましいのは、25
〜50μmである。セパレータとしては、電池分野で通常使われる公知のセパレータを用いることができる。セパレータとして、アイオノマー系樹脂フィルム、ポリイミド系樹脂フィルム、アクリル系UV硬化樹脂、ガラス材、シラン変性ポリマー、ポリイミド系テープ等を用いることができる。
セパレータの面積についても、特に限定されず、目的とする太陽電池の規模等に応じて適宜設定すればよい。
封止材として、アクリル系UV硬化樹脂、アイオノマー系樹脂フィルム、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ホットメルト系樹脂、シリコーン系エラストマー、ブチルゴム系エラストマー、ガラス材等を用いることができる。アクリル系UV硬化樹脂としては、スリーボンド製のTB3017Bを用いることができる。光電極及び対極の両
極間を封止することができる。
(4)集光装置
本色素増感型太陽電池では、集光装置が対極側に配置されているものである。
光照射手段は、集光装置を介して対極側から配置されている。色素増感型太陽電池では、光電極としては光透過性のないチタン材料にて構成されるために光照射は、対極から実施する。対極と光源との間に集光装置を設置することにより、無駄に使用されている光を集光し、高い光電変換効率に相当する高電力が達成される。従来の色素増感太陽電池にて使用されているITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Fluorine Tin Oxide)等の透明導電膜を用いたものではシート抵抗が高く、集光装置にて光を収束しても、特に大面積の色素増感太陽電池では、光電変換効率の向上は認められない。一方、本発明の光電極に用いられている金属チタン、チタン合金または金属チタン、チタン合金を表面処理した材料は、シート抵抗がITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Fluorine Tin Oxide)等の透明導電膜と比較すると極めて低い等の利点がある。その結果、本発明の色素増感太陽電池では大面積の色素増感太陽電池においても集光装置を用いて光を収束させることにて、得られた色素増感太陽電池の光電変換効率に相当する電力を得ることができる。
集光装置としては、特に限定されるものではないが、ガラスやPMMA(Polymethyl methacrylate),PET(Polyethylene terephthalate),PEN(Polyethylene naphthalate)等の透明プ
ラスチックス製のリニアフレネルレンズ等の集光レンズを用いることが好ましい。
色素増感太陽電池に使用されている色素増感剤等の有機物成分は、太陽光に含まれる波長の短い紫外線にて劣化する恐れがある。そのためガラスやPMMA(Polymethyl methacrylate),PET(Polyethylene terephthalate),PEN(Polyethylene naphthalate)等の透明プラス
チックスのリニアフレネルレンズ等の集光装置を用いることにより、太陽光に含まれる波長の短い紫外線が色素増感太陽電池に入ることを防ぐことが可能である。色素増感太陽電池に使用されている色素等の有機物成分の劣化が防ぐことができ、色素増感太陽電池の耐久性を向上することができる。
また集光装置にて光が収束することにて発生する色素増感太陽電池自身が熱を持つために、色素増感太陽電池の耐久性が損なわれる恐れがあるために、冷却装置を設けることが好ましい。冷却装置としては、特に制限されるものではないが、集光装置と対極の間に太陽光の熱エネルギーを遮断するために、近赤外線遮断フィルターを設けたものや、光電極に使用されている金属チタン、チタン合金または金属チタン、チタン合金を水冷、空冷させる装置、銅板等の熱伝導率が高い材料等が好ましい。これらの冷却装置を付設することにより、集光装置により収束した光による発熱を防ぐことが可能である。冷却効率をさらに高めるには、本発明の色素増感太陽電池の光電極面に2種類以上の熱伝導性の良い材料
(アルミニウム、銅板等)を積層させもよい。
(5)色素増感型太陽電池の製造方法
本発明の色素増感型太陽電池は、公知の方法に従って製造できる。例えば、光電極及び対極にスペーサーを介して対向配置させ、光電極及び対極間に電解質層を封入する。電解質層の封入方法は限定的ではなく、例えば、前記光電極の前記半導体層側に前記対極を積層した後、注入口を設け、この注入口から電解質層を構成する材料を注入する方法が挙げられる。この注入口は、前記材料の注入を完了した後に、所定の部材や樹脂により塞げばよい。また、前記材料の注入の際、前記電解質層がゲル状の場合には加熱により液化すればよい。また、前記電解質層が固体状の場合には、例えば、固体電解質を溶解可能な溶媒を用いて固体電解質を溶解した液を調製し注入口に注入した後、溶媒を除去すればよい。
本発明の色素増感型太陽電池は、光電変換効率が高い次世代太陽電池である。本発明の色素増感型太陽電池は、複数の電池を併設したモジュールの形態を有することができる。
図1は、本発明の色素増感型太陽電池の一実施形態を示す概略図(断面図)である。図1の色素増感型太陽電池は、光電極と対極とが電解質層を介して対向配置された色素増感型太陽電池である。
光電極は、チタン材料1上に、色素増感剤を含有する半導体層2であり、対極は、透明導電性ガラス3である。対極上には、電気化学的触媒層4を蒸着されているものである。当該光電極と対極との間に電解質5を介在させ、光電極と対極間にはスペーサ―6を設置した後、封止材7により封止されている。
対極の上部には、集光装置8を設置され、対極の光照射面には反射防止フィルム9を設けている形態を有している。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
(1)陽極酸化処理したチタン材料の作製
金属チタン板(チタン材料、光電極基板)を、トリクロロエチレンを用いて脱脂処理した後、窒化炉(NVF-600-PC、中日本炉工業製)を使用して、脱脂処理した金属チタン板の表面にチタン窒化物を形成した。
先ず、窒化炉内に設置した平板状のカーボン材により、金属チタン板を挟んだ。次いで、酸素を取り除くために窒化炉を1Pa以下まで減圧処理した後、窒化炉に99.99%以上の高純度の窒素ガスを導入して0.1MPa(大気圧)まで復圧させた。次いで、窒化炉を2時間か
けて950℃まで昇温した。次いで、この950℃の窒化炉において、1時間加熱処理を行い、
金属チタン板の表面にチタン窒化物を形成した。
表面にチタン窒化物を形成させた金属チタン板を、1.5M硫酸、0.05Mリン酸、0.3M過酸化水素にて電流密度4A/dm2にて30分間陽極酸化処理を実施した。アナターゼ型酸化チタン
の皮膜を形成させた。
(2)光電極の作製
上記表面処理した12mm×50mmの金属チタン板を光電極として用いて、色素増感型太陽電池を作製した。
先ず、上記表面処理した金属チタン板を溶剤にて洗浄後、UVオゾンクリーナー UV253S(フィルジェン(株)製)内にて酸素フロー(0.05MPa,5分間)実施後紫外線照射を30分
間実施、さらに窒素フロー(0.2MPa,7.5min)実施した。
本処理をした上記表面処理材に、酸化チタン材料(PST-18NR、日揮触媒化成製)を、塗布面積が2cm2(5mm×40mm)になるように、スキージ法にて3回コーティングした(半導体層)後、450℃で1時間焼成した。さらにUVオゾンクリーナー UV253S(フィルジェン(株
)製)内にて酸素フロー(0.05MPa,5分間)実施後紫外線照射を30分間実施、さらに窒素
フロー(0.2MPa,7.5min)実施した。
次いで、ルテニウム系色素のN719を0.45mM(Solaronix製、色素増感剤)とルテニウ
ム系色素のN749を0.15mM(Solaronix製、色素増感剤)を、tert-ブタノール(t-BuOH)及びアセトニトリル(CH3CN)を含む混合溶液に希釈し、色素溶液を調製した。混合液は
、t-BuOH:CH3CN=1:1の混合割合である。焼成後の金属チタン板を、本色素溶液に40
℃にて14時間浸漬し、光電極材料を得た。
同様に表面処理しない金属チタン材や従来の色素増感太陽電池に使用されているFTO(Fluorine Tin Oxide)蒸着ガラス板(旭硝子(株)製)においても作業を実施し、光電極を
準備した。
表面処理した金属チタンをフッ化水素酸5%溶液にて5分間浸漬することにてエッチング処理をすることにて集電部を設けた。金属チタンは、集電部を設ける処理は実施しなかった。FTO(Fluorine Tin Oxide)蒸着ガラス板には、ドータイトD-550(藤倉化成(株)製 銀ペースト)をコーティングすることにて集電部を設けた。
(3)色素増感型太陽電池の作製
対極としては、FTO(Fluorine Tin Oxide)蒸着ガラス板(旭硝子(株)製)に白金を電
子ビーム蒸着した12×50mmの材料を用いた。ドータイトD-550(藤倉化成(株)製 銀
ペースト)をコーティングすることにて集電部を設けた。白金の蒸着厚さは1nmであり、
光電極と対極との隙間に30μmのアイオノマー樹脂のスペーサ―(ハイミラン、三井・デュポン ポリケミカル(株)製)を設置した。本対極の光照射面には、反射防止フィルム
((株)ホリ製)を貼りつけた。
次いで、0.01M I2(ヨウ素)、0.02M LiI(ヨウ化リチウム)、0.24MDMPII(1,2-dimethyl-3-propylimidazolium iodide)、1.0M TBP(tert-ブチルピリジン)をアセトニ
トリル中に溶解させて、電解液を調製した。調製した電解液を、光電極と対極との隙間に入れた(電解質層)。
次いで、アクリル系UV硬化樹脂TB3017B((株)スリーボンド製、封止材)を用いて
、両極間を封止し、色素増感型太陽電池を作製した。
集光装置(集光レンズ)レンズとしては、PMMA(Polymethyl methacrylate)製リニアフ
レネルレンズ(日本特殊光学樹脂(株)製)を用いて入射光を収束させた。集光レンズを用
いて入射光の収束させた際の集光率は、シリコン型標準セル(分光計器(株)製)を用いて光を収束した際の電流値から求めた。
(4)評価結果
表面処理した金属チタン、金属チタン、FTO(Fluorine Tin Oxide)蒸着ガラス板をそれ
ぞれ用いた色素増感太陽電池において、集光した際の発生電力に相当する見かけ光電変換効率について調べた結果を、表1に示した。
Figure 2015142131
本結果から、従来の色素増感太陽電池の光電極基板に使用しているFTOガラスにおいて
は、集光しても光電変換効率があまり向上しないことがわかった。
一方、本発明の金属チタンや表面処理した金属チタンを光電極基板として用いた色素増感太陽電池にて集光をすることにより、光を収束すれば光電変換効率が向上し、高い電力が発生することがわかった。
実施例2
(1)陽極酸化処理したチタン材料の作製
金属チタン板(チタン材料、光電極基板)を、トリクロロエチレンを用いて脱脂処理した後、窒化炉(NVF-600-PC、中日本炉工業製)を使用して、脱脂処理した金属チタン板の表面にチタン窒化物を形成した。
先ず、窒化炉内に設置した平板状のカーボン材により、金属チタン板を挟んだ。次いで、酸素を取り除くために窒化炉を1Pa以下まで減圧処理した後、窒化炉に99.99%以上の高純度の窒素ガスを導入して0.1MPa(大気圧)まで復圧させた。次いで、窒化炉を2時間か
けて950℃まで昇温した。次いで、この950℃の窒化炉において、1時間加熱処理を行い、
金属チタン板の表面にチタン窒化物を形成した。
表面にチタン窒化物を形成させた金属チタン板を、1.5M硫酸、0.05Mリン酸、0.3M過酸化水素にて電流密度4A/dm2にて30分間陽極酸化処理を実施した。アナターゼ型酸化チタ
ンの皮膜を形成させた。
(2)光電極の作製
上記表面処理した17mm×50mmの金属チタン板を光電極として用いて、色素増感型太陽電池を作製した。
先ず、上記表面処理した金属チタン板を溶剤にて洗浄後、UVオゾンクリーナー UV253S(フィルジェン(株)製)内にて酸素フロー(0.05MPa,5分間)実施後紫外線照射を30分
間実施、さらに窒素フロー(0.2MPa,7.5min)実施した。
本処理をした上記表面処理材に、酸化チタン材料(PST-18NR、日揮触媒化成製)を、塗布面積が4cm2(10mm×40mm)になるように、スキージ法にて3回コーティングした(半導
体層)後、450℃で1時間焼成した。さらにUVオゾンクリーナー UV253S(フィルジェン
(株)製)内にて酸素フロー(0.05MPa,5分間)実施後紫外線照射を30分間実施、さらに
窒素フロー(0.2MPa,7.5min)実施した。
次いで、ルテニウム系色素のN719を0.45mM(Solaronix製、色素増感剤)とルテニウ
ム系色素のN749を0.15mM(Solaronix製、色素増感剤)とを、tert-ブタノール(t-BuOH)及びアセトニトリル(CH3CN)を含む混合溶液に希釈し、色素溶液を調製した。混合液
は、t-BuOH:CH3CN=1:1の混合割合である。焼成後の金属チタン板を、本色素溶液に40℃にて14時間浸漬し、光電極材料を得た。同様に表面処理しない金属チタン材や従来の
色素増感太陽電池に使用されているFTO(Fluorine Tin Oxide)蒸着ガラス板(旭硝子(株
)製)においても作業を実施し、光電極を準備した。
表面処理した金属チタンは、フッ化水素酸5%溶液にて5分間浸漬することにてエッチ
ング処理することにて集電部を設けた。金属チタンは、集電部を設ける処理は実施しなかった。
FTO(Fluorine Tin Oxide)蒸着ガラス板には、ドータイトD-550(藤倉化成(株)製 銀ペースト)をコーティングすることにて集電部を設けた。
(3)色素増感型太陽電池の作製
対極としては、FTO(Fluorine Tin Oxide)蒸着ガラス板(旭硝子(株)製)に白金を電
子ビーム蒸着した17mm×50mmの材料を用いた。ドータイトD-550(藤倉化成(株)製
銀ペースト)をコーティングすることにて集電部を設けた。白金の蒸着厚さは1nmであ
り、光電極と対極との隙間に30μmのアイオノマー樹脂のスペーサ―(ハイミラン、三井・デュポン ポリケミカル(株)製)を設置した。本対極の光照射面には、反射防止フィ
ルム((株)ホリ製)を貼りつけた。
次いで、0.01M I2(ヨウ素)、0.02M LiI(ヨウ化リチウム)、0.24MDMPII(1,2-dimethyl-3-propylimidazolium iodide)、1.0M TBP(tert-ブチルピリジン)をアセトニ
トリル中に溶解させて、電解液を調製した。調製した電解液を、光電極と対極との隙間に入れた(電解質層)。
次いで、アクリル系UV硬化樹脂TB3017B((株)スリーボンド製、封止材)を用いて
、両極間を封止し、色素増感型太陽電池を作製した。
集光レンズとしては、PMMA(Polymethyl methacrylate)製リニアフレネルレンズ(日本特殊光学樹脂(株)製)を用いて入射光を収束させた。集光レンズを用いて入射光の収束さ
せた際の集光率は、シリコン型標準セル(分光計器(株)製)を用いて光を収束した際の電流値から求めた。
(4)評価結果
表面処理した金属チタン、金属チタン、FTO(Fluorine Tin Oxide)蒸着ガラス板をそれ
ぞれ用いた色素増感太陽電池において、集光した際の発生電力に相当する見かけ光電変換効率について調べた結果を、表2に示した。
Figure 2015142131
本結果から、従来の色素増感太陽電池の光電極基板に使用しているFTOガラスにおいて
は、集光しても光電変換効率があまり向上しない。一方、本発明の金属チタンや表面処理した金属チタンを光電極基板として用い、集光をすることにより、光を収束すれば光電変換効率が向上し、高い電力が発生することがわかった。
実施例3
(1)陽極酸化処理したチタン材料の作製
金属チタン板(チタン材料、光電極基板)を、トリクロロエチレンを用いて脱脂処理した後、窒化炉(NVF-600-PC、中日本炉工業製)を使用して、脱脂処理した金属チタン板の表面にチタン窒化物を形成した。
先ず、窒化炉内に設置した平板状のカーボン材により、金属チタン板を挟んだ。次いで、酸素を取り除くために窒化炉を1Pa以下まで減圧処理した後、窒化炉に99.99%以上の高純度の窒素ガスを導入して0.1MPa(大気圧)まで復圧させた。次いで、窒化炉を2時間か
けて950℃まで昇温した。次いで、この950℃の窒化炉において、1時間加熱処理を行い、
金属チタン板の表面にチタン窒化物を形成した。
表面にチタン窒化物を形成させた金属チタン板を、1.5M硫酸、0.05Mリン酸、0.3M過酸化水素にて電流密度4A/dm2にて30分間陽極酸化処理を実施した。アナターゼ型酸化チタ
ンの皮膜を形成させた。
(2)光電極の作製
上記表面処理した金属チタン板を光電極として用いて、色素増感型太陽電池を作製した。
先ず、上記表面処理した金属チタン板を溶剤にて洗浄後、UVオゾンクリーナー UV253S(フィルジェン(株)製)内にて酸素フロー(0.05MPa,5分間)実施後紫外線照射を30分
間実施、さらに窒素フロー(0.2MPa,7.5min)実施した。本処理をしたそれぞれ9×50mm、10×50mm、12mm×50mm、17mm×50mmの上記表面処理材に、酸化チタン材料(PST-18NR、日揮触媒化成製)を、塗布面積が0.8cm2(2mm×40mm)、1.2 cm2(3mm×40mm)、2.0cm2(5mm×40mm)、4.0cm2(10mm×40mm)になるように、スキージ法にて3回コーティングした
(半導体層)。さらにUVオゾン処理を30分間実施した後、450℃で1時間焼成した。さ
らにUVオゾンクリーナー UV253S(フィルジェン(株)製)内にて酸素フロー(0.05MPa,5分間)実施後紫外線照射を30分間実施、さらに窒素フロー(0.2MPa,7.5min)実施した。
次いで、ルテニウム系色素のN719を0.45mM(Solaronix製、色素増感剤)とルテニウ
ム系色素のN749を0.15mM(Solaronix製、色素増感剤)を、tert-ブタノール(t-BuOH)及びアセトニトリル(CH3CN)を含む混合溶液に希釈し、色素溶液を調製した。混合液は
、t-BuOH:CH3CN=1:1の混合割合である。焼成後の金属チタン板を、本色素溶液に40
℃にて14時間浸漬し、光電極材料を得た。表面処理した金属チタンは、フッ化水素酸5%
溶液にて5分間浸漬することにて集電部を設けた。
(3)色素増感型太陽電池の作製
対極としては、FTO(Fluorine Tin Oxide)蒸着ガラス板(旭硝子(株)製)に白金を電
子ビーム蒸着した光電極基板と同じ面積の材料を用いた。ドータイトD-550(藤倉化成(
株)製 銀ペースト)をコーティングすることにて集電部を設けた。白金の蒸着厚さは1nmであり、光電極と対極との隙間に30μmのアイオノマー樹脂のスペーサ―(ハイミラン
、三井・デュポン ポリケミカル(株)製)を設置した。本対極の光照射面には、反射防
止フィルム((株)ホリ製)を貼りつけた。
次いで、0.01M I2(ヨウ素)、0.02M LiI(ヨウ化リチウム)、0.24MDMPII(1,2-dimethyl-3-propylimidazolium iodide)、1.0M TBP(tert-ブチルピリジン)をアセトニ
トリル中に溶解させて、電解液を調製した。調製した電解液を、光電極と対極との隙間に入れた(電解質層)。
次いで、アクリル系UV硬化樹脂TB3017B((株)スリーボンド製、封止材)を用いて
、両極間を封止し、色素増感型太陽電池を作製した。
集光レンズとしては、PMMA(Polymethyl methacrylate)製リニアフレネルレンズ(日本特殊光学樹脂(株)製)を用いて、入射光を収束させた。集光レンズを用いて入射光の収束
させた際の集光率は、シリコン型標準セル(分光計器(株)製)を用いて光を収束した際の電流値から求めた。
(4)評価結果
表面処理した金属チタンについて酸化チタンコーティング幅や縦と横のバランスであるアスペクト比を変更した色素増感太陽電池の光電変換効率を表3に示した。酸化チタンコーティングの面積が0.8cm2(2mm×40mm)にした色素増感太陽電池において、集光装置を
用いて集光した際の発生電力に相当する光電変換効率を表4に示した。
Figure 2015142131
Figure 2015142131
本結果から、セル幅を狭くなり、縦と横のバランスであるアスペクト比が高い長方形状に酸化コーティング層を形成させると、得られた色素増感太陽電池が向上した。また2mm
の幅にて酸化チタンコーティングした光電極基板を用いた色素増感太陽電池の光電変換効率はさらに向上し、高い電力が得られた。
本発生電力量は、現在の太陽電池の主流であるシリコン型太陽電池と同等なものとなっていることがわかった。
実施例4
(1)陽極酸化処理したチタン材料の作製
金属チタン板(チタン材料、光電極基板)を、トリクロロエチレンを用いて脱脂処理した後、窒化炉(NVF-600-PC、中日本炉工業製)を使用して、脱脂処理した金属チタン板の表面にチタン窒化物を形成した。
先ず、窒化炉内に設置した平板状のカーボン材により、金属チタン板を挟んだ。次いで、酸素を取り除くために窒化炉を1Pa以下まで減圧処理した後、窒化炉に99.99%以上の高純度の窒素ガスを導入して0.1MPa(大気圧)まで復圧させた。次いで、窒化炉を2時間か
けて950℃まで昇温した。次いで、この950℃の窒化炉において、1時間加熱処理を行い、
金属チタン板の表面にチタン窒化物を形成した。
表面にチタン窒化物を形成させた金属チタン板を、1.5M硫酸、0.05Mリン酸、0.3M過酸化水素にて電流密度4A/dm2にて30分間陽極酸化処理を実施した。アナターゼ型酸化チタ
ンの皮膜を形成させた。
(2)光電極の作製
上記表面処理した10mm×50mmの金属チタン板を光電極として用いて、色素増感型太陽電池を作製した。
先ず、上記表面処理した金属チタン板を溶剤にて洗浄後、UVオゾンクリーナー UV253S(フィルジェン(株)製)内にて酸素フロー(0.05MPa,5分間)実施後紫外線照射を30分
間実施、さらに窒素フロー(0.2MPa,7.5min)実施した。本処理をした上記表面処理材に
、酸化チタン材料(PST-18NR、日揮触媒化成製)を、塗布面積が1.2cm2(3mm×40mm)に
なるように、スキージ法にて3回コーティングした(半導体層)後、450℃で1時間焼成した。さらにUVオゾンクリーナー UV253S(フィルジェン(株)製)内にて酸素フロー(0.05MPa,5分間)実施後紫外線照射を30分間実施、さらに窒素フロー(0.2MPa,7.5min)実施した。
次いで、ルテニウム系色素のN719を0.45mM(Solaronix製、色素増感剤)とルテニウ
ム系色素のN749を0.15mM(Solaronix製、色素増感剤)を、tert-ブタノール(t-BuOH)及びアセトニトリル(CH3CN)を含む混合溶液に希釈し、色素溶液を調製した。混合液は
、t-BuOH:CH3CN=1:1の混合割合である。焼成後の金属チタン板を、本色素溶液に40
℃にて14時間浸漬し、光電極材料を得た。
表面処理した金属チタン、金属チタンは、フッ化水素酸5%溶液にて5分間浸漬するこ
とにてエッチング処理をすることにて集電部を設けた。
(3)色素増感型太陽電池の作製
対極としては、FTO(Fluorine Tin Oxide)蒸着ガラス板(旭硝子(株)製)に白金を電
子ビーム蒸着した10mm×50mmの材料を用いた。ドータイトD-550(藤倉化成(株)製
銀ペースト)をコーティングすることにて集電部を設けた。白金の蒸着厚さは1nmであ
り、光電極と対極との隙間に30μmのアイオノマー樹脂のスペーサ―(ハイミラン、三井・デュポン ポリケミカル(株)製)を設置した。本対極の光照射面には、反射防止フィ
ルム((株)ホリ製)を貼りつけたものと貼りつけていないものを作製した。
次いで、0.01M I2(ヨウ素)、0.02M LiI(ヨウ化リチウム)、0.24MDMPII(1,2-dimethyl-3-propylimidazolium iodide)、1.0M TBP(tert-ブチルピリジン)をアセトニ
トリル中に溶解させて、電解液を調製した。調製した電解液を、光電極と対極との隙間に入れた(電解質層)。
次いで、アクリル系UV硬化樹脂TB3017B((株)スリーボンド製、封止材)を用いて
、両極間を封止し、色素増感型太陽電池を作製した。
集光レンズとしては、PMMA(Polymethyl methacrylate)製リニアフレネルレンズ(日本特殊光学樹脂(株)製)を用いて入射光を収束させた。集光レンズを用いて入射光の収束さ
せた際の集光率は、シリコン型標準セル(分光計器(株)製)を用いて光を収束した際の電流値から求めた。
(4)評価結果
反射防止フィルム有無による色素増感太陽電池の発生電力に相当するみかけ光電変換効率の違いを表5に示した。
Figure 2015142131
本結果から、反射防止フィルムを使用することにて、得られた色素増感太陽電池の光電変換効率がさらに向上し、高い電力が発生することがわかった。
1 チタン材料
2 色素増感剤を含有する半導体層
3 透明導電性ガラス
4 電気化学的触媒層
5 電解質
6 スペーサ―
7 封止材
8 集光装置
9 反射防止フィルム

Claims (11)

  1. 光電極と対極とが電解質層を介して対向配置された色素増感型太陽電池であって、
    (1)光電極が、チタン材料上に、色素増感剤を含有する酸化チタン層が形成されたものであり、
    (2)対極が、透明導電性ガラスまたは透明導電性フィルム上に、電気化学的還元触媒層がコーティングされたものであり、
    (3)集光装置が、対極側に配置されているものであることを特徴とする色素増感型太陽電池。
  2. 前記チタン材料が、金属チタン、チタン合金、表面処理した金属チタン及び表面処理したチタン合金からなる群から選ばれる材料であることを特徴とする
    請求項1記載の色素増感型太陽電池。
  3. 前記酸化チタン層の形状が、長方形であることを特徴とする請求項1または2に記載の色素増感型太陽電池。
  4. 前記電気化学的還元触媒層が、白金触媒層である、請求項1〜3のいずれかに記載の色素増感型太陽電池。
  5. 前記対極の透明導電性ガラスまたは透明導電性フィルムが、反射防止膜加工したものであることを特徴とすることを請求項1〜4のいずれかに記載の色素増感型太陽電池。
  6. 前記対極が、透明導電性ガラスまたは透明導電性フィルムの光照射面にさらに反射防止フィルムを設けているものである特徴とすることを請求項1〜4のいずれかに記載の色素増感型太陽電池。
  7. 冷却装置が配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれにかに記載の色素増感太陽電池。
  8. 前記光電極のチタン材料が、以下の表面処理方法により製造されるものである、請求項1〜7のいずれかに記載の色素増感型太陽電池:
    (1)金属チタン材料又はチタン合金材料の表面にチタン窒化物を形成する工程、及び
    (2)工程(1)で得られた、表面にチタン窒化物が形成された金属チタン材料又はチタン合金材料を、チタンに対してエッチング作用を有する電解液を用いて、火花放電発生電圧以上にて陽極酸化を行い、アナターゼ型酸化チタンの皮膜を形成する工程。
  9. 前記光電極のチタン材料が、以下の表面処理方法により製造されるものである、請求項1〜7のいずれかに記載の色素増感型太陽電池:
    (1)金属チタン材料又はチタン合金材料の表面にチタン窒化物を形成する工程、
    (2)工程(1)で得られた、表面にチタン窒化物が形成された金属チタン材料又はチタン合金材料を、チタンに対してエッチング作用を有しない電解液中で、陽極酸化を行う工程、及び
    (3)工程(2)で得られた、陽極酸化処理を施した金属チタン材料又はチタン合金材料を、酸化性雰囲気中で加熱処理を行い、アナターゼ型酸化チタンの皮膜を形成する工程。
  10. 前記チタン窒化物を形成する工程が、PVD処理、CVD処理、溶射処理、アンモニアガス雰囲気下での加熱処理及び窒素ガス雰囲気下での加熱処理よりなる群から選択された1種の処理方法により行うものである、請求項8又は9記載の色素増感型太陽電池。
  11. 前記窒素ガス雰囲気下での加熱処理が、酸素トラップ剤の存在下で実施するものである、請求項10記載の色素増感太陽電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018073983A (ja) * 2016-10-28 2018-05-10 株式会社昭和 色素増感型太陽電池モジュール

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