JP2015141088A - 高純度リムルス試薬、エンドトキシン濃度測定キット、及びエンドトキシン濃度測定法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、高感度でエンドトキシンを測定できる、高純度リムルス試薬、エンドトキシン濃度測定キット、及びエンドトキシン濃度測定法を目的とする。
【解決手段】本発明は、C因子を含み、C因子、B因子及び前凝固酵素以外のカブトガニ血球抽出物に由来する物質を含まない、発光合成基質法に用いるための高純度リムルス試薬である。該高純度リムルス試薬は、さらにB因子を含むことが好ましく、さらに前凝固酵素を含むことがより好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】本発明は、C因子を含み、C因子、B因子及び前凝固酵素以外のカブトガニ血球抽出物に由来する物質を含まない、発光合成基質法に用いるための高純度リムルス試薬である。該高純度リムルス試薬は、さらにB因子を含むことが好ましく、さらに前凝固酵素を含むことがより好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、高純度リムルス試薬、エンドトキシン濃度測定キット、及びエンドトキシン濃度測定法に関する。
「エンドトキシン(endotoxin:内毒素)」は、グラム陰性菌の外膜を構成する成分の一つであり、その活性の本体はLPS(lipopolysaccharide:リポ多糖)である。生体内におけるエンドトキシンの存在は、グラム陰性菌の表層に外膜の一部として存在する。また、一般的にはグラム陰性桿菌の死後、フリーのエンドトキシンとして血流中に遊離して存在している。
エンドトキシンが血液中に一定量以上存在する場合、当該エンドトキシンの刺激によって単球や顆粒球等で過剰の炎症性サイトカインが産生される。その結果、エンドトキシン血症と呼ばれる発熱、敗血症、敗血症性ショック、又は多臓器不全等の症状が惹起される。
そのため、血液中に直接投与する注射用医薬品等において、エンドトキシンをより高感度で測定することは、医薬品の投与によりこれらの症状が引き起こされることを防止するために重要である。また、診断において、血液中のエンドトキシンをより低濃度で正確に測定することは、患者の早期診断や治療経過観察をするために重要である。
そのため、血液中に直接投与する注射用医薬品等において、エンドトキシンをより高感度で測定することは、医薬品の投与によりこれらの症状が引き起こされることを防止するために重要である。また、診断において、血液中のエンドトキシンをより低濃度で正確に測定することは、患者の早期診断や治療経過観察をするために重要である。
エンドトキシン測定法としては、一般にリムルステストによる方法が知られている。
リムルステストは、カブトガニの血球抽出液中のエンドトキシンにより特異的に誘導されるカスケードを利用したものである。該カスケードは、具体的に以下の(1)〜(3)の3段階の反応を有する。
(1)エンドトキシンが、C因子と強固に結合して、C因子を活性型に変換する段階。
(2)次いで、活性型C因子が、B因子を活性型に変換する段階。
(3)次いで、活性型B因子が、前凝固酵素から凝固酵素を生成する段階。
各段階で生成する活性型C因子、活性型B因子及び凝固酵素は、それぞれ配列特異的なプロテアーゼ活性を有する。
リムルステストは、カブトガニの血球抽出液中のエンドトキシンにより特異的に誘導されるカスケードを利用したものである。該カスケードは、具体的に以下の(1)〜(3)の3段階の反応を有する。
(1)エンドトキシンが、C因子と強固に結合して、C因子を活性型に変換する段階。
(2)次いで、活性型C因子が、B因子を活性型に変換する段階。
(3)次いで、活性型B因子が、前凝固酵素から凝固酵素を生成する段階。
各段階で生成する活性型C因子、活性型B因子及び凝固酵素は、それぞれ配列特異的なプロテアーゼ活性を有する。
リムルステストにおける検出系としては、ゲル化転倒法(ゲル化法)及び比濁時間分析法(比濁法)、発光合成基質法(発光法)、発色合成基質法(比色法)等が挙げられる。中でも、発光合成基質法(発光法)と発色合成基質法(比色法)は、プロテアーゼ活性がアミノ酸配列特異的であることを利用した、合成基質を用いる検出系として開発されてきている。
例えば、特許文献1には、検出系として発光合成基質法(発光法)を用いたリムルステストが開示されている。同文献の実施例では、合成基質として、ベンゾイル−Leu−Arg−Arg−アミノルシフェリンが用いられている。また、該実施例には、検出されたエンドトキシンの最低濃度は、10−4エンドトキシン単位(EU)/mLであることが示されている。
また、特許文献2には、検出系として発色合成基質法(比色法)を用いたリムルステストが開示されている。同文献の実施例では、合成基質として、tert−ブトキシカルボニル−Leu−Gly−Arg−pNAが用いられている。また、同文献には、検出されたエンドトキシンの最低濃度は、10−1EU/mLであることが示されている。また、同文献においては、カブトガニ血球抽出液由来の前凝固酵素を用いた場合と、組換え前凝固酵素を用いた場合とでは、同等の活性であることも示されている。
例えば、特許文献1には、検出系として発光合成基質法(発光法)を用いたリムルステストが開示されている。同文献の実施例では、合成基質として、ベンゾイル−Leu−Arg−Arg−アミノルシフェリンが用いられている。また、該実施例には、検出されたエンドトキシンの最低濃度は、10−4エンドトキシン単位(EU)/mLであることが示されている。
また、特許文献2には、検出系として発色合成基質法(比色法)を用いたリムルステストが開示されている。同文献の実施例では、合成基質として、tert−ブトキシカルボニル−Leu−Gly−Arg−pNAが用いられている。また、同文献には、検出されたエンドトキシンの最低濃度は、10−1EU/mLであることが示されている。また、同文献においては、カブトガニ血球抽出液由来の前凝固酵素を用いた場合と、組換え前凝固酵素を用いた場合とでは、同等の活性であることも示されている。
しかしながら、リムルステストにおいて、エンドトキシンの濃度をさらに高感度で測定できることが望まれている。
そこで、本発明は、高感度でエンドトキシンを測定できる、高純度リムルス試薬、エンドトキシン濃度測定キット、及びエンドトキシン濃度測定法を目的とする。
そこで、本発明は、高感度でエンドトキシンを測定できる、高純度リムルス試薬、エンドトキシン濃度測定キット、及びエンドトキシン濃度測定法を目的とする。
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]C因子を含み、C因子、B因子及び前凝固酵素以外のカブトガニ血球抽出物に由来する物質を含まない、発光合成基質法に用いるための高純度リムルス試薬。
[2]さらにB因子を含む、[1]に記載の高純度リムルス試薬。
[3]さらに前凝固酵素を含む、[2]に記載の高純度リムルス試薬。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の高純度リムルス試薬と、エンドトキシンの結合により活性化された活性型C因子を介する反応により発光基質を遊離する発光合成基質を含有する基質試薬と、遊離する発光基質を発光させる発光酵素を含有する酵素試薬とを有するエンドトキシン濃度測定キット。
[5]被験試料に[1]〜[3]のいずれかに記載の高純度リムルス試薬を添加するリムルス試薬添加工程、エンドトキシンの結合により活性化された活性型C因子を介する反応により発光基質を遊離する発光合成基質を含有する基質試薬を添加する基質添加工程、遊離する発光基質を発光させる発光酵素を含有する酵素試薬を添加する酵素添加工程、発光強度を測定する測定工程を有する、エンドトキシン濃度測定法。
[1]C因子を含み、C因子、B因子及び前凝固酵素以外のカブトガニ血球抽出物に由来する物質を含まない、発光合成基質法に用いるための高純度リムルス試薬。
[2]さらにB因子を含む、[1]に記載の高純度リムルス試薬。
[3]さらに前凝固酵素を含む、[2]に記載の高純度リムルス試薬。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の高純度リムルス試薬と、エンドトキシンの結合により活性化された活性型C因子を介する反応により発光基質を遊離する発光合成基質を含有する基質試薬と、遊離する発光基質を発光させる発光酵素を含有する酵素試薬とを有するエンドトキシン濃度測定キット。
[5]被験試料に[1]〜[3]のいずれかに記載の高純度リムルス試薬を添加するリムルス試薬添加工程、エンドトキシンの結合により活性化された活性型C因子を介する反応により発光基質を遊離する発光合成基質を含有する基質試薬を添加する基質添加工程、遊離する発光基質を発光させる発光酵素を含有する酵素試薬を添加する酵素添加工程、発光強度を測定する測定工程を有する、エンドトキシン濃度測定法。
本発明の高純度リムルス試薬、エンドトキシン濃度測定キット、及びエンドトキシン濃度測定法によれば、エンドトキシン濃度を高感度で測定できる。
<高純度リムルス試薬>
本発明の高純度リムルス試薬は、C因子を含み、C因子、B因子及び前凝固酵素以外のカブトガニ血球抽出物に由来する物質を含まない。該高純度リムルス試薬は、発光合成基質法(発光法)に用いられる。
また、高純度リムルス試薬は、さらにB因子を含むことが好ましく、さらに前凝固酵素を含むことがより好ましく、個別に精製して得たC因子、B因子、及び前凝固酵素を再構成したものであることが最も好ましい。
本発明の高純度リムルス試薬は、C因子を含み、C因子、B因子及び前凝固酵素以外のカブトガニ血球抽出物に由来する物質を含まない。該高純度リムルス試薬は、発光合成基質法(発光法)に用いられる。
また、高純度リムルス試薬は、さらにB因子を含むことが好ましく、さらに前凝固酵素を含むことがより好ましく、個別に精製して得たC因子、B因子、及び前凝固酵素を再構成したものであることが最も好ましい。
本明細書において「C因子、B因子及び前凝固酵素以外のカブトガニ血球抽出物に由来する物質を含まない」とは、C因子、B因子、及び前凝固酵素以外のカブトガニ血球抽出物に由来する物質を実質的に含まないことを意味する。この「実質的に」含まないとは、本発明による効果を妨げない程度に、高度にC因子、B因子、及び前凝固酵素が精製されていることを意味する。
また、「高度に」精製されているとは、高純度リムルス試薬中の、C因子、B因子、及び前凝固酵素の総含有量に対する、C因子、B因子、及び前凝固酵素以外のカブトガニ血球抽出物に由来する物質の含有量(以下、「夾雑物含有量」という。)が、50質量%以下であることを意味する。夾雑物含有量が50質量%以下であれば、本発明の効果、すなわちエンドトキシン濃度の検出感度の向上が充分に図られる。
該夾雑物含有量は、40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、5質量%以下であることが最も好ましい。夾雑物含有量が前記上限値以下であれば、エンドトキシン濃度の検出感度のさらなる向上が図られる。
本発明の高純度リムルス試薬は、乾燥粉末であってもよく、液体であってもよい。
また、「高度に」精製されているとは、高純度リムルス試薬中の、C因子、B因子、及び前凝固酵素の総含有量に対する、C因子、B因子、及び前凝固酵素以外のカブトガニ血球抽出物に由来する物質の含有量(以下、「夾雑物含有量」という。)が、50質量%以下であることを意味する。夾雑物含有量が50質量%以下であれば、本発明の効果、すなわちエンドトキシン濃度の検出感度の向上が充分に図られる。
該夾雑物含有量は、40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、5質量%以下であることが最も好ましい。夾雑物含有量が前記上限値以下であれば、エンドトキシン濃度の検出感度のさらなる向上が図られる。
本発明の高純度リムルス試薬は、乾燥粉末であってもよく、液体であってもよい。
[C因子、B因子、及び前凝固酵素]
本発明の高純度リムルス試薬におけるC因子、B因子、及び前凝固酵素は、カブトガニ血球抽出物等から高度に精製した天然タンパク質であってもよく、組換えタンパク質であってもよい。
カブトガニ血球抽出物等から高度に精製した天然タンパク質は、公知の精製方法により得た天然タンパク質でよい。例えば、C因子についてはEur. J. Biochem. 154, 511-521 (1986)、B因子についてはJ. Biochem. 99, 847-857 (1986)、前凝固酵素についてはJ. Biochem. 97, 1561-1574 (1985)に記載される精製方法により得た天然タンパク質等が挙げられる。
本発明の高純度リムルス試薬におけるC因子、B因子、及び前凝固酵素は、カブトガニ血球抽出物等から高度に精製した天然タンパク質であってもよく、組換えタンパク質であってもよい。
カブトガニ血球抽出物等から高度に精製した天然タンパク質は、公知の精製方法により得た天然タンパク質でよい。例えば、C因子についてはEur. J. Biochem. 154, 511-521 (1986)、B因子についてはJ. Biochem. 99, 847-857 (1986)、前凝固酵素についてはJ. Biochem. 97, 1561-1574 (1985)に記載される精製方法により得た天然タンパク質等が挙げられる。
組換えタンパク質は、クローニングしたC因子、B因子、又は前凝固酵素をコードする遺伝子を、大腸菌、酵母等の微生物又は昆虫細胞や哺乳類細胞に導入し発現させたタンパク質を精製したものである。C因子、B因子、及び前凝固酵素をコードする遺伝子は、文献やデータベースにより公知である。したがって、例えば、B因子をコードする遺伝子はJ. Biol. Chem. 268, 21384-21388 (1993)、C因子をコードする遺伝子はJ. Biol. Chem. 266, 6554-6561 (1991)、前凝固酵素をコードする遺伝子は国際公開第2008/004674号に掲載される塩基配列情報等を参照して、PCR法等により適宜増幅し、クローニングすることができる。また、遺伝子は、野生型であってもよく、野生型を適宜改変して得た変異型であってもよい。
変異型としては、公知のものがあればそれを用いればよく、新たに改変して得たものを用いてもよい。新たに改変する場合には、例えば、発現したC因子、B因子、又は前凝固酵素の活性型における酵素活性が野生型よりも高くなるように設計し得たもの等が好ましい。例えば、野生型のアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、挿入、置換又は付加されたアミノ酸配列等が挙げられる。ここで、「1又は数個のアミノ酸が欠失、挿入、置換又は付加された」とは、部位特異的突然変異誘発法等の公知の変異ポリペプチド作製法により欠失、挿入、置換又は付加できる程度の数(好ましくは10個以下、より好ましくは7個以下、最も好ましくは5個以下)のアミノ酸が欠失、挿入、置換又は付加されていることが意図される。
また、野生型と変異型の相同性は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上が最も好ましい。
また、野生型と変異型の相同性は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上が最も好ましい。
C因子、B因子、及び前凝固酵素は、C因子、B因子、及び前凝固酵素以外のカブトガニ血球抽出物に由来する物質を含まないものとする点、精製をより容易に行える点、生物保護の点から、組換えタンパク質であることが好ましい。
(含有割合)
高純度リムルス試薬にB因子を含ませる場合、高純度リムルス試薬におけるC因子に対するB因子の含有割合(B因子/C因子)は、質量比で10/1〜0.1/1が好ましく、2/1〜0.5/1がより好ましい。
高純度リムルス試薬に前凝固酵素を含ませる場合、高純度リムルス試薬におけるC因子に対する前凝固酵素の含有割合(前凝固酵素/C因子)は、質量比で10/1〜0.1/1が好ましく、2/1〜0.5/1がより好ましい。
B因子/C因子及び前凝固酵素/C因子が前記範囲内であれば、リムリス反応が良好に進む。
高純度リムルス試薬にB因子を含ませる場合、高純度リムルス試薬におけるC因子に対するB因子の含有割合(B因子/C因子)は、質量比で10/1〜0.1/1が好ましく、2/1〜0.5/1がより好ましい。
高純度リムルス試薬に前凝固酵素を含ませる場合、高純度リムルス試薬におけるC因子に対する前凝固酵素の含有割合(前凝固酵素/C因子)は、質量比で10/1〜0.1/1が好ましく、2/1〜0.5/1がより好ましい。
B因子/C因子及び前凝固酵素/C因子が前記範囲内であれば、リムリス反応が良好に進む。
(他の成分)
高純度リムルス試薬には、塩、pH調整剤等のカブトガニ血球抽出物に由来しない他の成分を適宜含ませてもよい。
高純度リムルス試薬には、塩、pH調整剤等のカブトガニ血球抽出物に由来しない他の成分を適宜含ませてもよい。
[製造方法]
(タンパク質源)
C因子、B因子、前凝固酵素は、カブトガニ血球抽出物から天然タンパク質を得てもよく、組換えタンパク質を大腸菌、酵母等の微生物又は昆虫細胞や哺乳類細胞に発現させて得てもよい。大腸菌、酵母等の微生物又は昆虫細胞や哺乳類細胞に発現させる場合のベクターは、プラスミドベクターを用いてもよく、バキュロウイルス等のウイルスベクターを用いてもよい。発現は、一過性でもよく、安定発現でもよい。
C因子、B因子、前凝固酵素は、C因子、B因子、及び前凝固酵素以外のカブトガニ血球抽出物に由来する物質を含まないものとする点、精製をより容易に行える点、生物保護の点から、組換えタンパク質を大腸菌、酵母等の微生物、昆虫細胞、又は哺乳類細胞等に発現させて得るのが好ましい。
(タンパク質源)
C因子、B因子、前凝固酵素は、カブトガニ血球抽出物から天然タンパク質を得てもよく、組換えタンパク質を大腸菌、酵母等の微生物又は昆虫細胞や哺乳類細胞に発現させて得てもよい。大腸菌、酵母等の微生物又は昆虫細胞や哺乳類細胞に発現させる場合のベクターは、プラスミドベクターを用いてもよく、バキュロウイルス等のウイルスベクターを用いてもよい。発現は、一過性でもよく、安定発現でもよい。
C因子、B因子、前凝固酵素は、C因子、B因子、及び前凝固酵素以外のカブトガニ血球抽出物に由来する物質を含まないものとする点、精製をより容易に行える点、生物保護の点から、組換えタンパク質を大腸菌、酵母等の微生物、昆虫細胞、又は哺乳類細胞等に発現させて得るのが好ましい。
(精製)
C因子、B因子、前凝固酵素の精製方法は、公知の精製方法であれば、特に限定されない。精製方法としては、イオン交換クロマトグラフィ、ゲル濾過、アフィニティクロマトグラフィを用いる方法等が挙げられる。
天然タンパク質を得るための精製方法としては、例えば、Eur. J. Biochem. 154, 511-521 (1986)、J. Biochem. 99, 847-857 (1986)、J. Biochem. 97, 1561-1574 (1985)に記載されるイオン交換クロマトグラフィ及びゲル濾過等を用いる方法が挙げられる。
C因子、B因子、前凝固酵素の精製方法は、公知の精製方法であれば、特に限定されない。精製方法としては、イオン交換クロマトグラフィ、ゲル濾過、アフィニティクロマトグラフィを用いる方法等が挙げられる。
天然タンパク質を得るための精製方法としては、例えば、Eur. J. Biochem. 154, 511-521 (1986)、J. Biochem. 99, 847-857 (1986)、J. Biochem. 97, 1561-1574 (1985)に記載されるイオン交換クロマトグラフィ及びゲル濾過等を用いる方法が挙げられる。
アフィニティクロマトグラフィを用いる場合、タンパク質は天然タンパク質であってもよく、組換えタンパク質であってもよい。中でも、ポリヒスチジン、FLAG(登録商標)、GST(グルタチオン−S−トランスフェラーゼ)等の汎用のタグペプチドを利用したアフィニティクロマトグラフィを行うため、タンパク質源は組換えタンパク質が好ましい。
タグに特異的なアフィニティビーズとしては、例えば、ポリヒスチジンタグに対してはニッケル等の金属キレートアガロース(GEヘルスケア社製の「Ni Sepharose excel」等)、FLAG(登録商標)タグに対しては抗FLAG(登録商標)モノクローナル抗体アガロース(シグマ社製の「M2 agarose」等)、GSTタグに対してはグルタチオンビーズ(Pierce社製の「Glutathione Magnetic Beads」等)等が挙げられる。
アフィニティビーズを用いるアフィニティクロマトグラフィは、バッチにより行ってもよく、アフィニティビーズを空のカラムに充填したカラムを用いて行ってもよい。スケールアップがしやすい点及び精製の安定性の点から、カラムを用いるのが好ましい。
タグに特異的なアフィニティビーズとしては、例えば、ポリヒスチジンタグに対してはニッケル等の金属キレートアガロース(GEヘルスケア社製の「Ni Sepharose excel」等)、FLAG(登録商標)タグに対しては抗FLAG(登録商標)モノクローナル抗体アガロース(シグマ社製の「M2 agarose」等)、GSTタグに対してはグルタチオンビーズ(Pierce社製の「Glutathione Magnetic Beads」等)等が挙げられる。
アフィニティビーズを用いるアフィニティクロマトグラフィは、バッチにより行ってもよく、アフィニティビーズを空のカラムに充填したカラムを用いて行ってもよい。スケールアップがしやすい点及び精製の安定性の点から、カラムを用いるのが好ましい。
上述した精製方法の中でも、効率的な精製が行える点から、アフィニティクロマトグラフィを用いる方法が好ましい。
また、精製は、1段階でも本発明の効果が充分得られるが、該効果をさらに良好にするため、精製の手間、コスト、時間等を考慮しつつ多段階で行ってもよい。
多段階とする場合には、同種の精製方法を繰返し行ってもよく(例えば、イオン交換クロマトグラフィを繰返し行う等)、異種の精製方法を組合せて行ってもよい。中でも、純度をさらに高めるため、異種の精製方法を組合せるのが好ましい。
また、精製は、1段階でも本発明の効果が充分得られるが、該効果をさらに良好にするため、精製の手間、コスト、時間等を考慮しつつ多段階で行ってもよい。
多段階とする場合には、同種の精製方法を繰返し行ってもよく(例えば、イオン交換クロマトグラフィを繰返し行う等)、異種の精製方法を組合せて行ってもよい。中でも、純度をさらに高めるため、異種の精製方法を組合せるのが好ましい。
[用途]
本発明の高純度リムルス試薬は、発光合成基質法(発光法)に用いられる。
発光合成基質法(発光法)は、エンドトキシンのC因子への結合により生成された、活性型C因子、活性型B因子、又は凝固酵素の基質として、後述する発光合成基質を用いる検出系である。発光合成基質法(発光法)においては、まず、活性型C因子、活性型B因子、又は凝固酵素のプロテアーゼ活性により発光合成基質が加水分解され、後述する発光基質が遊離する。次いで、この発光基質に後述する発光酵素を作用させることにより、該発光基質が発光する。発光の強度とエンドトキシンの濃度とが相関することから、発光強度を測定すればエンドトキシン濃度を算出できる。
本発明の高純度リムルス試薬は、発光合成基質法(発光法)に用いられる。
発光合成基質法(発光法)は、エンドトキシンのC因子への結合により生成された、活性型C因子、活性型B因子、又は凝固酵素の基質として、後述する発光合成基質を用いる検出系である。発光合成基質法(発光法)においては、まず、活性型C因子、活性型B因子、又は凝固酵素のプロテアーゼ活性により発光合成基質が加水分解され、後述する発光基質が遊離する。次いで、この発光基質に後述する発光酵素を作用させることにより、該発光基質が発光する。発光の強度とエンドトキシンの濃度とが相関することから、発光強度を測定すればエンドトキシン濃度を算出できる。
<エンドトキシン濃度測定キット>
本発明のエンドトキシン濃度測定キットは、上述の高純度リムルス試薬と、基質試薬と、酵素試薬とを有する。
高純度リムルス試薬は、上述したとおりである。
[基質試薬]
基質試薬は、エンドトキシンの結合により活性化された活性型C因子を介する反応により発光基質を遊離する発光合成基質(以下、単に「発光合成基質」という。)を含有する。
基質試薬は、乾燥粉末であってもよく、液体であってもよい。
本発明のエンドトキシン濃度測定キットは、上述の高純度リムルス試薬と、基質試薬と、酵素試薬とを有する。
高純度リムルス試薬は、上述したとおりである。
[基質試薬]
基質試薬は、エンドトキシンの結合により活性化された活性型C因子を介する反応により発光基質を遊離する発光合成基質(以下、単に「発光合成基質」という。)を含有する。
基質試薬は、乾燥粉末であってもよく、液体であってもよい。
(発光合成基質)
発光合成基質は、発光基質にペプチドが結合したものである。
発光基質:
発光基質とは、発光酵素の基質であり、該発光酵素の作用により生物発光する物質である。発光基質としては、ルシフェリン等が挙げられる。中でも、アミノ基がペプチドのカルボキシル基とアミド結合を形成させることができるため、発光基質にペプチドを結合させやすいことから、アミノルシフェリンが好ましい。
発光基質の種類は、単独でもよく、2種以上の組合せであってもよい。
発光合成基質は、発光基質にペプチドが結合したものである。
発光基質:
発光基質とは、発光酵素の基質であり、該発光酵素の作用により生物発光する物質である。発光基質としては、ルシフェリン等が挙げられる。中でも、アミノ基がペプチドのカルボキシル基とアミド結合を形成させることができるため、発光基質にペプチドを結合させやすいことから、アミノルシフェリンが好ましい。
発光基質の種類は、単独でもよく、2種以上の組合せであってもよい。
ペプチド:
ペプチドは、該ペプチドのC末端における発光基質とのアミド結合が、活性型C因子、活性型B因子及び凝固酵素のいずれか1種のプロテアーゼ活性により切断されるアミノ酸配列を有するものであればよい。発光基質とのアミド結合を切断できるものであれば、ペプチドのアミノ酸残基数及びアミノ酸配列は限定されないが、特異性、合成コスト、取扱い易さ等の観点からアミノ酸残基数は2個〜10個が好ましい。
ペプチドは、該ペプチドのC末端における発光基質とのアミド結合が、活性型C因子、活性型B因子及び凝固酵素のいずれか1種のプロテアーゼ活性により切断されるアミノ酸配列を有するものであればよい。発光基質とのアミド結合を切断できるものであれば、ペプチドのアミノ酸残基数及びアミノ酸配列は限定されないが、特異性、合成コスト、取扱い易さ等の観点からアミノ酸残基数は2個〜10個が好ましい。
具体的には、凝固酵素の認識配列を有するペプチドとしては、Gly−Val−Ile−Gly−Arg−(配列番号1)、Val−Leu−Gly−Arg−(配列番号2)、Leu−Arg−Arg−(配列番号3)、Ile−Glu−Gly−Arg−(配列番号4)、Leu−Gly−Arg−(配列番号5)、Val−Ser−Gly−Arg−(配列番号6)、Val−Gly−Arg−(配列番号7)等が挙げられる。
活性型C因子の認識配列を有するペプチドとしては、Ile−Glu−Ala−Arg−(配列番号8)、Leu−Gly−Asn−Lys−Val−Ser−Arg−(配列番号9)、Ile−Thr−Thr−Val−Gly−Arg−(配列番号10)等が挙げられる。
活性型B因子の認識配列を有するペプチドとしては、Thr−Thr−Thr−Thr−Arg−(配列番号11)、Ser−Arg−Gln−Arg−Arg−(配列番号12)等が挙げられる。
ペプチドのN 末端は、保護基で保護されていてもよい。保護基としては、通常この分野で用いられるものであれば限定されることなく用いることができる。具体的には、例えば、N−スクシニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ベンゾイル基、p−トルエンスルホニル基等が挙げられる。
ペプチドの種類は、単独でもよく、2種以上の組合せであってもよい。
ペプチドの種類は、単独でもよく、2種以上の組合せであってもよい。
(他の成分)
基質試薬には、塩、pH調整剤等の他の成分を適宜含ませてもよい。
基質試薬には、塩、pH調整剤等の他の成分を適宜含ませてもよい。
(製造方法)
発光合成基質は、市販されているものであってもよく、合成したものであってもよい。
市販されているものとしては、例えば、プロメガ社から市販されている「Proteasome-GloTM Assay Systems」に付属の発光合成基質(ベンゾイル−Leu−Arg−Arg−アミノルシフェリン)が挙げられる。
合成する方法としては、例えば、特表2005−530485号公報(国際公開第2003/066611号)に記載の方法が挙げられる。
発光合成基質は、市販されているものであってもよく、合成したものであってもよい。
市販されているものとしては、例えば、プロメガ社から市販されている「Proteasome-GloTM Assay Systems」に付属の発光合成基質(ベンゾイル−Leu−Arg−Arg−アミノルシフェリン)が挙げられる。
合成する方法としては、例えば、特表2005−530485号公報(国際公開第2003/066611号)に記載の方法が挙げられる。
基質試薬中に遊離のアミノルシフェリンが含まれる場合は、これを予め除去しておくことが好ましい。発光合成基質から遊離のアミノルシフェリンを除去することにより、バックグラウンド発光を抑制することができる。遊離のアミノルシフェリンを除去する方法としては、例えば、トリシンの20mM、MgSO4の8mM、EDTAの0.13mMを含む溶液(pH7.8)に溶解する発光合成基質に、補酵素Aの0.8mM、ATPの1.5mM、ホタルルシフェラーゼの250μg/mL及びDTTの90mMを含む溶液を加え、室温(25℃)で1時間〜6時間インキュベートして、遊離のアミノルシフェリンを分解する方法が挙げられる。
[酵素試薬]
酵素試薬は、遊離する発光基質を発光させる発光酵素(以下、単に「発光酵素」という。)を含有する。
酵素試薬は、乾燥粉末であってもよく、液体であってもよい。発光酵素は溶液中で失活しやすいため、酵素試薬は乾燥粉末であることが好ましい。又は、酵素試薬は、発光酵素を含む乾燥粉末と発光酵素溶解用の溶媒とを分けて保存し、用時調製により溶液とされるのが好ましい。
(発光酵素)
発光酵素は、発光合成基質から遊離した発光基質の生物発光を触媒し、光を発生させるものであればよい。発光酵素としては、例えば、ルシフェラーゼ、イクオリン等が挙げられる。
発光酵素は、天然タンパク質であってもよく、組換えタンパク質であってもよい。また、発光酵素は、市販されているものであってもよく、精製したものであってもよい。
発光酵素の種類は、単独でもよく、2種以上の組合せであってもよい。
酵素試薬は、遊離する発光基質を発光させる発光酵素(以下、単に「発光酵素」という。)を含有する。
酵素試薬は、乾燥粉末であってもよく、液体であってもよい。発光酵素は溶液中で失活しやすいため、酵素試薬は乾燥粉末であることが好ましい。又は、酵素試薬は、発光酵素を含む乾燥粉末と発光酵素溶解用の溶媒とを分けて保存し、用時調製により溶液とされるのが好ましい。
(発光酵素)
発光酵素は、発光合成基質から遊離した発光基質の生物発光を触媒し、光を発生させるものであればよい。発光酵素としては、例えば、ルシフェラーゼ、イクオリン等が挙げられる。
発光酵素は、天然タンパク質であってもよく、組換えタンパク質であってもよい。また、発光酵素は、市販されているものであってもよく、精製したものであってもよい。
発光酵素の種類は、単独でもよく、2種以上の組合せであってもよい。
ルシフェラーゼ:
発光基質がルシフェリンである場合、発光酵素にはルシフェラーゼが好ましい。また、発光基質がアミノルシフェリンである場合は、発光酵素には甲虫由来のルシフェラーゼが好ましい。甲虫由来のルシフェラーゼとしては、北米ホタル、ゲンジボタル、ヘイケボタル、ツチボタル、ヒメボタル、マドボタル、オバボタル、光コメツキムシ、鉄道虫等の甲虫由来のルシフェラーゼが好ましい。
発光基質がルシフェリンである場合、発光酵素にはルシフェラーゼが好ましい。また、発光基質がアミノルシフェリンである場合は、発光酵素には甲虫由来のルシフェラーゼが好ましい。甲虫由来のルシフェラーゼとしては、北米ホタル、ゲンジボタル、ヘイケボタル、ツチボタル、ヒメボタル、マドボタル、オバボタル、光コメツキムシ、鉄道虫等の甲虫由来のルシフェラーゼが好ましい。
ルシフェラーゼは、野生型であってもよく、変異型であってもよい。
野生型ルシフェラーゼのアミノ酸配列とこれをコードする遺伝子は公知であり、データベースを適宜参照して知ることができる。例えば、北米ホタルルシフェラーゼ遺伝子(cDNA)の塩基配列は、アクセッション番号:M15077としてデータベース(例えば、EMBL Nucleotide Sequence Database(http://www.ebi.ac.uk/embl/))に登録されている。
野生型ルシフェラーゼのアミノ酸配列とこれをコードする遺伝子は公知であり、データベースを適宜参照して知ることができる。例えば、北米ホタルルシフェラーゼ遺伝子(cDNA)の塩基配列は、アクセッション番号:M15077としてデータベース(例えば、EMBL Nucleotide Sequence Database(http://www.ebi.ac.uk/embl/))に登録されている。
野生型のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列としては、例えば、野生型のアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、挿入、置換又は付加されたアミノ酸配列が挙げられる。ここで、「1又は数個のアミノ酸が欠失、挿入、置換又は付加された」とは、部位特異的突然変異誘発法等の公知の変異ポリペプチド作製法により欠失、挿入、置換又は付加できる程度の数(好ましくは10個以下、より好ましくは7個以下、最も好ましくは5個以下)のアミノ酸が欠失、挿入、置換又は付加されていることが意図される。
また、野生型と変異型の相同性は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上が最も好ましい。
また、野生型と変異型の相同性は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上が最も好ましい。
変異型ルシフェラーゼの中でも、発光強度が増大するように改変された変異型ルシフェラーゼを用いるが好ましい。超微量のエンドトキシンを高感度に測定できるからである。発光強度が増大するように改変された変異型ルシフェラーゼとしては、例えば以下の変異型ルシフェラーゼを挙げることができる。
(i)野生型北米ホタルルシフェラーゼのアミノ酸配列(配列番号13)において、423位のイソロイシン(Ile)がロイシン(Leu)に置換され、436位のアスパラギン酸(Asp)がグリシン(Gly)に置換されたアミノ酸配列からなる変異型ホタルルシフェラーゼ
(ii)北米ホタルルシフェラーゼのアミノ酸配列において、423位のイソロイシン(Ile)がロイシン(Leu)に置換され、530位のロイシン(Leu) がアルギニン(Arg)に置換されたアミノ酸配列からなる変異型ホタルルシフェラーゼ
(iii)北米ホタルルシフェラーゼのアミノ酸配列において、436位のアスパラギン酸(Asp) がグリシン(Gly)に置換され、530位のロイシン(Leu)がアルギニン(Arg)に置換されたアミノ酸配列からなる変異型ホタルルシフェラーゼ
(iv)北米ホタルルシフェラーゼのアミノ酸配列において、423位のイソロイシン(Ile)がロイシン(Leu)に置換され、436位のアスパラギン酸(Asp)がグリシン(Gly)に置換され、530位のロイシン(Leu)がアルギニン(Arg)に置換されたアミノ酸配列からなる変異型ホタルルシフェラーゼ
(v)北米ホタルルシフェラーゼのアミノ酸配列において、423位のイソロイシン(Ile)がロイシン(Leu)に、530位のロイシン(Leu)がアルギニン(Arg)に置換され、さらに、47位のイソロイシン(Ile)がスレオニン(Thr) に、50位のアスパラギン(Asn)がセリン(Ser)に、59位のメチオニン(Met)がスレオニン(Thr)に、252位のスレオニン(Thr)がセリン(Ser)に置換されたアミノ酸配列からなる変異型ホタルルシフェラーゼ
(i)野生型北米ホタルルシフェラーゼのアミノ酸配列(配列番号13)において、423位のイソロイシン(Ile)がロイシン(Leu)に置換され、436位のアスパラギン酸(Asp)がグリシン(Gly)に置換されたアミノ酸配列からなる変異型ホタルルシフェラーゼ
(ii)北米ホタルルシフェラーゼのアミノ酸配列において、423位のイソロイシン(Ile)がロイシン(Leu)に置換され、530位のロイシン(Leu) がアルギニン(Arg)に置換されたアミノ酸配列からなる変異型ホタルルシフェラーゼ
(iii)北米ホタルルシフェラーゼのアミノ酸配列において、436位のアスパラギン酸(Asp) がグリシン(Gly)に置換され、530位のロイシン(Leu)がアルギニン(Arg)に置換されたアミノ酸配列からなる変異型ホタルルシフェラーゼ
(iv)北米ホタルルシフェラーゼのアミノ酸配列において、423位のイソロイシン(Ile)がロイシン(Leu)に置換され、436位のアスパラギン酸(Asp)がグリシン(Gly)に置換され、530位のロイシン(Leu)がアルギニン(Arg)に置換されたアミノ酸配列からなる変異型ホタルルシフェラーゼ
(v)北米ホタルルシフェラーゼのアミノ酸配列において、423位のイソロイシン(Ile)がロイシン(Leu)に、530位のロイシン(Leu)がアルギニン(Arg)に置換され、さらに、47位のイソロイシン(Ile)がスレオニン(Thr) に、50位のアスパラギン(Asn)がセリン(Ser)に、59位のメチオニン(Met)がスレオニン(Thr)に、252位のスレオニン(Thr)がセリン(Ser)に置換されたアミノ酸配列からなる変異型ホタルルシフェラーゼ
上記(i)〜(v)の各変異型ホタルルシフェラーゼの発光強度は、それぞれ北米ホタルルシフェラーゼ(野生型)の発光強度と比較して(i)18倍、(ii)18倍、(iii)8倍、(iv)20倍、(v)21倍に増大したことが確認されている(特開2007−97577号公報参照)。
(他の成分)
酵素試薬には、ATP、塩、pH調整剤等の他の成分を適宜含ませてもよい。
例えば、発光合成基質としてルシフェリン、発光酵素としてルシフェラーゼを用いる発光反応においては、ATP及び2価金属イオンが必要である。したがって、酵素試薬は、緩衝液中に、上述の発光合成基質及び発光酵素の他、予めATP及び2価金属イオンを含んでいてもよく、用時調製により含ませる形態であってもよい。
酵素試薬には、ATP、塩、pH調整剤等の他の成分を適宜含ませてもよい。
例えば、発光合成基質としてルシフェリン、発光酵素としてルシフェラーゼを用いる発光反応においては、ATP及び2価金属イオンが必要である。したがって、酵素試薬は、緩衝液中に、上述の発光合成基質及び発光酵素の他、予めATP及び2価金属イオンを含んでいてもよく、用時調製により含ませる形態であってもよい。
(製造方法)
発光酵素は、市販されているものであってもよく、精製して得たものであってもよい。
市販されている発光酵素としては、例えば、ルシフェラーゼPhotinus pyralis(ホタル)由来(シグマアルドリッチ社製)等が挙げられる。
精製して得る場合、例えば、野生型ホタルルシフェラーゼであれば、天然タンパク質であってもよく、組換えタンパク質であってもよい。また、変異型ホタルルシフェラーゼであれば、組換えタンパク質が用いられる。
以下、ホタルルシフェラーゼを精製して得る場合について説明する。
発光酵素は、市販されているものであってもよく、精製して得たものであってもよい。
市販されている発光酵素としては、例えば、ルシフェラーゼPhotinus pyralis(ホタル)由来(シグマアルドリッチ社製)等が挙げられる。
精製して得る場合、例えば、野生型ホタルルシフェラーゼであれば、天然タンパク質であってもよく、組換えタンパク質であってもよい。また、変異型ホタルルシフェラーゼであれば、組換えタンパク質が用いられる。
以下、ホタルルシフェラーゼを精製して得る場合について説明する。
天然のホタルルシフェラーゼを精製して得る場合、ホタルルシフェラーゼは、北米ホタル、ゲンジボタル、ヘイケボタル、ツチボタル、ヒメボタル、マドボタル、オバボタル、光コメツキムシ、鉄道虫等の甲虫から作製したタンパク質抽出液から、精製して得る。精製方法としては、イオン交換クロマトグラフィ、ゲル濾過、アフィニティクロマトグラフィを用いる方法等が挙げられる。
組換えタンパク質を精製して得る場合、まず、ホタルルシフェラーゼ遺伝子を、公知の方法により発現ベクターに挿入し、適当な宿主細胞に導入して、組換えタンパク質を発現させる。次いで、該宿主細胞から作製したタンパク質抽出液から、組換えタンパク質を精製して得る。
組換えタンパク質の中でも、特に変異型ホタルルシフェラーゼを精製して得る場合には、変異型ホタルルシフェラーゼ遺伝子を、野生型ホタルルシフェラーゼの遺伝子を改変して得ればよい。
遺伝子の改変は、部位特異的変異導入、ランダム変異導入、有機合成等、当業者に周知の方法により行うことができる。なお、上記「発光酵素」の項の(i)〜(v)に記載の変異型ホタルルシフェラーゼは、特開2007−97577号公報の実施例を参照することにより作製することができる。
遺伝子の改変は、部位特異的変異導入、ランダム変異導入、有機合成等、当業者に周知の方法により行うことができる。なお、上記「発光酵素」の項の(i)〜(v)に記載の変異型ホタルルシフェラーゼは、特開2007−97577号公報の実施例を参照することにより作製することができる。
また、当業者は、ゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタル、マドボタル、光コメツキムシ及び鉄道虫についても、公知のデータベースに登録されたこれらのルシフェラーゼ遺伝子の塩基配列に基づいて、公知の方法により変異型ルシフェラーゼを容易に取得することができる。さらに、上記(i)〜(v)に記載の北米ホタル由来の変異型ホタルルシフェラーゼの置換アミノ酸を参照すれば、他の甲虫由来のルシフェラーゼにおける同等の位置のアミノ酸を置換することにより、当業者は発光強度が増大した変異型ルシフェラーゼを容易に取得することができる。
<エンドトキシン濃度測定法>
本発明のエンドトキシン濃度測定法は、被験試料に上述の高純度リムルス試薬を添加するリムルス試薬添加工程、エンドトキシンの結合により活性化された活性型C因子を介する反応により発光基質を遊離する発光合成基質を含有する基質試薬を添加する基質添加工程、遊離する発光基質を発光させる発光酵素を含有する酵素試薬を添加する酵素添加工程、 発光強度を測定する測定工程を有する。
被験試料としては、注射剤、輸液、透析液等の医薬品;血液(血漿)、尿等の臨床試料;食品;上水、下水、河川水及び海洋水等の水;土壌及び大気;等が挙げられる。
本発明のエンドトキシン濃度測定法は、被験試料に上述の高純度リムルス試薬を添加するリムルス試薬添加工程、エンドトキシンの結合により活性化された活性型C因子を介する反応により発光基質を遊離する発光合成基質を含有する基質試薬を添加する基質添加工程、遊離する発光基質を発光させる発光酵素を含有する酵素試薬を添加する酵素添加工程、 発光強度を測定する測定工程を有する。
被験試料としては、注射剤、輸液、透析液等の医薬品;血液(血漿)、尿等の臨床試料;食品;上水、下水、河川水及び海洋水等の水;土壌及び大気;等が挙げられる。
以下、各工程の手順について説明する。
リムルス試薬添加工程においては、まず、被験試料に、高純度リムルス試薬を添加、混合する。次いで、20〜40℃で5〜20分間静置する。
基質添加工程においては、リムルス試薬添加工程後の反応液に、発光合成基質を含有する基質試薬を添加、混合する。次いで、20〜40℃で2〜10分間静置する。
酵素添加工程においては、基質添加工程後の反応液に、酵素試薬を添加、混合する。
測定工程においては、生物発光測定装置を用いて、酵素添加工程後の反応液の発光強度を測定する。生物発光測定装置は、市販されているものを用いることができる。生物発光測定装置としては、例えば、「ルミテスター(登録商標)C1000」(キッコーマン社製)等が挙げられる。
なお、各試薬が乾燥粉末である場合は、予め溶液とすることなく、液体状の被験試料や反応液に添加することにより溶解してもよい。
リムルス試薬添加工程においては、まず、被験試料に、高純度リムルス試薬を添加、混合する。次いで、20〜40℃で5〜20分間静置する。
基質添加工程においては、リムルス試薬添加工程後の反応液に、発光合成基質を含有する基質試薬を添加、混合する。次いで、20〜40℃で2〜10分間静置する。
酵素添加工程においては、基質添加工程後の反応液に、酵素試薬を添加、混合する。
測定工程においては、生物発光測定装置を用いて、酵素添加工程後の反応液の発光強度を測定する。生物発光測定装置は、市販されているものを用いることができる。生物発光測定装置としては、例えば、「ルミテスター(登録商標)C1000」(キッコーマン社製)等が挙げられる。
なお、各試薬が乾燥粉末である場合は、予め溶液とすることなく、液体状の被験試料や反応液に添加することにより溶解してもよい。
リムルス試薬添加工程におけるC因子の濃度は、被験試料に高純度リムルス試薬を添加した後の濃度で1ng/μL〜1μg/μLが好ましく、10ng/μL〜100ng/μLがより好ましい。
リムルス試薬添加工程におけるB因子の濃度は、被験試料に高純度リムルス試薬を添加した後の濃度で1ng/μL〜1μg/μLが好ましく、10ng/μL〜100ng/μLがより好ましい。
リムルス試薬添加工程における前凝固酵素の濃度は、被験試料に高純度リムルス試薬を添加した後の濃度で1ng/μL〜1μg/μLが好ましく、10ng/μL〜100ng/μLがより好ましい。
C因子、B因子、及び前凝固酵素のそれぞれの濃度が前記下限値以上であれば、リムリス反応が良好に進み、一方、前記上限値以下であれば、材料コストが抑えられ、また、充分な溶解性が得られる。
リムルス試薬添加工程におけるB因子の濃度は、被験試料に高純度リムルス試薬を添加した後の濃度で1ng/μL〜1μg/μLが好ましく、10ng/μL〜100ng/μLがより好ましい。
リムルス試薬添加工程における前凝固酵素の濃度は、被験試料に高純度リムルス試薬を添加した後の濃度で1ng/μL〜1μg/μLが好ましく、10ng/μL〜100ng/μLがより好ましい。
C因子、B因子、及び前凝固酵素のそれぞれの濃度が前記下限値以上であれば、リムリス反応が良好に進み、一方、前記上限値以下であれば、材料コストが抑えられ、また、充分な溶解性が得られる。
基質添加工程における発光合成基質の濃度は、反応液に基質試薬を添加した後の濃度で0.1〜100μMが好ましく、1〜20μMがより好ましい。発光合成基質の濃度が前記下限値以上であれば、充分な検出感度が得られ、一方、前記上限値以下であれば、材料コストが抑えられる。
酵素添加工程におけるアデノシン三リン酸(ATP)の濃度は後述するエンドトキシン濃度測定法の酵素添加工程において、基質遊離液にATP試薬を加えた後の濃度で10−7〜10−3Mが好ましく、10−6〜10−4Mがより好ましい。ATPの濃度が前記下限値以上であれば、酵素反応においてATPが不足することを防げ、一方、前記上限値以下であれば、材料コストが抑えられ、また、過剰なATPによる酵素反応の阻害が防げる。
酵素添加工程における発光酵素の濃度は、後述するエンドトキシン濃度測定法の酵素添加工程において、基質遊離液に酵素試薬を加えた後の濃度で1ng/μL〜10μg/μLが好ましく、10ng/μL〜100ng/μLがより好ましい。発光酵素の濃度が前記下限値以上であれば、充分な検出感度が得られ、一方、前記上限値以下であれば、材料コストが抑えられる。
酵素添加工程におけるアデノシン三リン酸(ATP)の濃度は後述するエンドトキシン濃度測定法の酵素添加工程において、基質遊離液にATP試薬を加えた後の濃度で10−7〜10−3Mが好ましく、10−6〜10−4Mがより好ましい。ATPの濃度が前記下限値以上であれば、酵素反応においてATPが不足することを防げ、一方、前記上限値以下であれば、材料コストが抑えられ、また、過剰なATPによる酵素反応の阻害が防げる。
酵素添加工程における発光酵素の濃度は、後述するエンドトキシン濃度測定法の酵素添加工程において、基質遊離液に酵素試薬を加えた後の濃度で1ng/μL〜10μg/μLが好ましく、10ng/μL〜100ng/μLがより好ましい。発光酵素の濃度が前記下限値以上であれば、充分な検出感度が得られ、一方、前記上限値以下であれば、材料コストが抑えられる。
<他の態様>
本発明のエンドトキシン濃度測定キットにおいて、高純度リムルス試薬と基質試薬とが混合試薬であってもよい。このような混合試薬を用いる場合、被験試料に該混合試薬を添加する1回の操作で、リムルス試薬添加工程と基質添加工程とを進行させられる。
本発明のエンドトキシン濃度測定キットにおいて、高純度リムルス試薬と基質試薬とが混合試薬であってもよい。このような混合試薬を用いる場合、被験試料に該混合試薬を添加する1回の操作で、リムルス試薬添加工程と基質添加工程とを進行させられる。
以上に説明した高純度リムルス試薬、エンドトキシン濃度測定キット、及びエンドトキシン濃度測定法によれば、エンドトキシン濃度を高感度で測定できる。この作用効果は、高純度リムルス試薬に、検出系として発光合成基質法(発光法)を組合せたことによるものである。
発色合成基質法(比色法)を用いたリムルステストにおいては、カブトガニ血球抽出液由来の前凝固酵素を用いた場合と、組換え前凝固酵素を用いた場合とでは、同等の活性であることが知られている。
一方、後述する実施例に示すとおり、本発明の発光合成基質法(発光法)を用いたリムルステストにおいては、カブトガニ血球抽出液由来のリムルス試薬を用いた場合に比べて、組換えC因子、組換えB因子、組換え前凝固酵素を個別に精製して再構成した高純度リムルス試薬を用いた場合、エンドトキシン濃度の検出感度が改善された。
これらから、従前のリムルス試薬に発光合成基質法(発光法)を組合せた場合には、C因子、B因子、及び前凝固酵素以外のカブトガニ血球抽出物に由来する何らかの物質(夾雑物)により、発光合成基質法(発光法)における何らかの阻害反応が生じていることが推察される。よって、本発明による作用効果は、この阻害反応を除去したことにより得られたものと推察される。
発色合成基質法(比色法)を用いたリムルステストにおいては、カブトガニ血球抽出液由来の前凝固酵素を用いた場合と、組換え前凝固酵素を用いた場合とでは、同等の活性であることが知られている。
一方、後述する実施例に示すとおり、本発明の発光合成基質法(発光法)を用いたリムルステストにおいては、カブトガニ血球抽出液由来のリムルス試薬を用いた場合に比べて、組換えC因子、組換えB因子、組換え前凝固酵素を個別に精製して再構成した高純度リムルス試薬を用いた場合、エンドトキシン濃度の検出感度が改善された。
これらから、従前のリムルス試薬に発光合成基質法(発光法)を組合せた場合には、C因子、B因子、及び前凝固酵素以外のカブトガニ血球抽出物に由来する何らかの物質(夾雑物)により、発光合成基質法(発光法)における何らかの阻害反応が生じていることが推察される。よって、本発明による作用効果は、この阻害反応を除去したことにより得られたものと推察される。
以下に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
<製造例1>
C因子、B因子、前凝固酵素をコードする遺伝子は、ミナミカブトガニ(Tachypleus gigas)の造血組織より調製したcDNAライブラリーから、以下のプライマーを使用したPCR法により増幅させた。
<製造例1>
C因子、B因子、前凝固酵素をコードする遺伝子は、ミナミカブトガニ(Tachypleus gigas)の造血組織より調製したcDNAライブラリーから、以下のプライマーを使用したPCR法により増幅させた。
なお、増幅させた遺伝子の塩基配列は、C因子をコードする遺伝子についてはアクセッション番号:AF467804、B因子をコードする遺伝子についてはアクセッション番号:D14701、前凝固酵素をコードする遺伝子についてはアクセッション番号:M58366として登録されている塩基配列のタンパク質コーディング領域を含んでいる。
増幅させた各遺伝子を昆虫細胞用発現ベクターphr512Zに組換え、クローニングし、発現ベクターを得た。
なお、昆虫細胞用発現ベクターphr512Zは、pIEx−5ベクター(ノバジェン社製)をベースとし、該ベクターのアンピシリンをコードする遺伝子を除去し、該遺伝子があった箇所に、pIEx−4ベクター(ノバジェン社製)由来のIE1プロモーター下にpIZTベクター(ライフテクノロジーズ・ジャパン社製)由来のゼオシン抵抗性遺伝子を組換えたDNAを挿入することで昆虫細胞がゼオシン抵抗性を示すようにデザインした、染色体組換え型の発現ベクターである。ここで、C因子をコードする遺伝子を組換えた発現ベクターを「C51Z」、B因子をコードする遺伝子を組換えた発現ベクターを「B51Z」、前凝固酵素をコードする遺伝子を組換えた発現ベクターを「CE51Z」と称することとした。
なお、昆虫細胞用発現ベクターphr512Zは、pIEx−5ベクター(ノバジェン社製)をベースとし、該ベクターのアンピシリンをコードする遺伝子を除去し、該遺伝子があった箇所に、pIEx−4ベクター(ノバジェン社製)由来のIE1プロモーター下にpIZTベクター(ライフテクノロジーズ・ジャパン社製)由来のゼオシン抵抗性遺伝子を組換えたDNAを挿入することで昆虫細胞がゼオシン抵抗性を示すようにデザインした、染色体組換え型の発現ベクターである。ここで、C因子をコードする遺伝子を組換えた発現ベクターを「C51Z」、B因子をコードする遺伝子を組換えた発現ベクターを「B51Z」、前凝固酵素をコードする遺伝子を組換えた発現ベクターを「CE51Z」と称することとした。
セルフェクチン(登録商標)II(ライフテクノロジーズ・ジャパン社製)を用いたリポフェクチン法により、C51Z、B51Z、CE51Zを昆虫細胞sf9株に導入し、遺伝子組換え細胞を得た。
昆虫細胞の培養には、SF 900 III SFM(ライフテクノロジーズ・ジャパン社製)に、ウシ胎児血清が10体積%、ゼオシン(ライフテクノロジーズ・ジャパン社製)が600ppmとなるように添加した培地を用いた。各遺伝子組換え細胞を3週間培養して、ゼオシン耐性細胞を得た。ここで、C因子を発現するゼオシン耐性細胞を「C51Z組換え細胞」、B因子を発現するゼオシン耐性細胞を「B51Z組換え細胞」、前凝固酵素を発現するゼオシン耐性細胞を「CE51Z組換え細胞」と称することとした。
昆虫細胞の培養には、SF 900 III SFM(ライフテクノロジーズ・ジャパン社製)に、ウシ胎児血清が10体積%、ゼオシン(ライフテクノロジーズ・ジャパン社製)が600ppmとなるように添加した培地を用いた。各遺伝子組換え細胞を3週間培養して、ゼオシン耐性細胞を得た。ここで、C因子を発現するゼオシン耐性細胞を「C51Z組換え細胞」、B因子を発現するゼオシン耐性細胞を「B51Z組換え細胞」、前凝固酵素を発現するゼオシン耐性細胞を「CE51Z組換え細胞」と称することとした。
C51Z、B51Z、CE51Z組換え細胞を27℃で7日間培養した。Ni Sepharose excel(GEヘルスケア社製)の1mLを用いて、前記それぞれの組換え細胞の培養上清100mLから、C因子、B因子、及び前凝固酵素を精製した。次いで、前記C因子、B因子、前凝固酵素を含む溶液の溶媒を、PD−10カラム(GEヘルスケア社製)用いて、トレハロースの10質量%、酢酸マグネシウムの1mM、Tris−Clの50mMを含む溶液(pH7.8)に置換した。その際、タンパク質濃度がそれぞれ0.5mg/mLになるように調整し、C因子、B因子、及び前凝固酵素を含む溶液を得た。
それぞれのタンパク質溶解液は、すぐに使用する場合にはそのまま使用し、使用まで1日以上ある場合には−20℃で保存した。
それぞれのタンパク質溶解液は、すぐに使用する場合にはそのまま使用し、使用まで1日以上ある場合には−20℃で保存した。
<製造例2>
ルシフェラーゼは、特開2007−97577号公報に記載された方法により得た。具体的には、まず、ヒスチジンタグがC末端に付加された高輝度化変異北米ホタルルシフェラーゼをコードする遺伝子を、大腸菌用発現ベクターpET28a(メルク社製)に組換えた。次いで、該ベクターを大腸菌に導入し、ヒスチジンタグがC末端に付加された高輝度化変異北米ホタルルシフェラーゼを発現させた。次いで、大腸菌を超音波処理し、該高輝度化変異北米ホタルルシフェラーゼを含む粗抽出液を作製した。次いで、Ni Sepharose excel(GEヘルスケア社製)を用いて、該粗抽出液から該高輝度化変異型ホタルルシフェラーゼを精製した。
精製した高輝度化変異型ホタルルシフェラーゼを、ATPの10−5 M、酢酸マグネシウムの1mM、Tris−Clの50mMを含む溶液(pH8.0)に溶解し、250ng/μLのルシフェラーゼ液を得た。
ルシフェラーゼは、特開2007−97577号公報に記載された方法により得た。具体的には、まず、ヒスチジンタグがC末端に付加された高輝度化変異北米ホタルルシフェラーゼをコードする遺伝子を、大腸菌用発現ベクターpET28a(メルク社製)に組換えた。次いで、該ベクターを大腸菌に導入し、ヒスチジンタグがC末端に付加された高輝度化変異北米ホタルルシフェラーゼを発現させた。次いで、大腸菌を超音波処理し、該高輝度化変異北米ホタルルシフェラーゼを含む粗抽出液を作製した。次いで、Ni Sepharose excel(GEヘルスケア社製)を用いて、該粗抽出液から該高輝度化変異型ホタルルシフェラーゼを精製した。
精製した高輝度化変異型ホタルルシフェラーゼを、ATPの10−5 M、酢酸マグネシウムの1mM、Tris−Clの50mMを含む溶液(pH8.0)に溶解し、250ng/μLのルシフェラーゼ液を得た。
<実施例1>
製造例1で得たC因子、B因子、及び前凝固酵素の溶解液を等量ずつ混合して、高純度リムルス試薬を得た。
試料には、エンドトキシン(大腸菌O111:B4由来エンドトキシン)(生化学工業社製)をパイロジェンフリー水で希釈することにより、10−6〜10−1EU/mLの範囲で6段階に調製したものを用いた。また、ブランクにはエンドトキシンを含まないパイロジェンフリー水を用いた。
発光合成基質は、ベンゾイル−Leu−Gly−Arg−アミノルシフェリン(AATバイオクエスト社製)を用いた。酢酸マグネシウムの1mM、Tris−Clの50mMを含む溶液(pH8.0)に、該発光合成基質を75μMとなるように溶解し、これを基質溶液とした。
製造例1で得たC因子、B因子、及び前凝固酵素の溶解液を等量ずつ混合して、高純度リムルス試薬を得た。
試料には、エンドトキシン(大腸菌O111:B4由来エンドトキシン)(生化学工業社製)をパイロジェンフリー水で希釈することにより、10−6〜10−1EU/mLの範囲で6段階に調製したものを用いた。また、ブランクにはエンドトキシンを含まないパイロジェンフリー水を用いた。
発光合成基質は、ベンゾイル−Leu−Gly−Arg−アミノルシフェリン(AATバイオクエスト社製)を用いた。酢酸マグネシウムの1mM、Tris−Clの50mMを含む溶液(pH8.0)に、該発光合成基質を75μMとなるように溶解し、これを基質溶液とした。
まず、反応試験管に高純度リムルス試薬を50μLずつ分注した。次いで、50μLの試料を該高純度リムルス試薬に加え、ボルテックスミキサーにより数秒間混合し、反応液を得た。反応液を37℃の保温器にて10分間静置した。
次いで、基質溶液の50μLを前記反応液に加え、反応液を37℃の保温器にて5分間静置した。
次いで、反応液を生物発光測定専用試験管「ルミチューブ」(キッコーマン社製)に移し、50μLのルシフェラーゼ液を加えた。これを生物発光測定装置「ルミテスター(登録商標)C1000」(キッコーマン社製)にセットして、発光強度を測定した。
図1に、エンドトキシン濃度を横軸とし、発光強度を縦軸として表した実施例1の結果のグラフを示す。
次いで、基質溶液の50μLを前記反応液に加え、反応液を37℃の保温器にて5分間静置した。
次いで、反応液を生物発光測定専用試験管「ルミチューブ」(キッコーマン社製)に移し、50μLのルシフェラーゼ液を加えた。これを生物発光測定装置「ルミテスター(登録商標)C1000」(キッコーマン社製)にセットして、発光強度を測定した。
図1に、エンドトキシン濃度を横軸とし、発光強度を縦軸として表した実施例1の結果のグラフを示す。
<比較例1>
高純度リムルス試薬の代わりに、従来のカブトガニ血球より調製したリムルス試薬(和光純薬社製のエンドトキシン測定キット(シングルテストワコー)のカブトガニ血球より調製したリムルス試薬)を用いた以外は、実施例1と同様にエンドトキシンの濃度を測定した。
図2に、比較例1の結果のグラフを示す。
高純度リムルス試薬の代わりに、従来のカブトガニ血球より調製したリムルス試薬(和光純薬社製のエンドトキシン測定キット(シングルテストワコー)のカブトガニ血球より調製したリムルス試薬)を用いた以外は、実施例1と同様にエンドトキシンの濃度を測定した。
図2に、比較例1の結果のグラフを示す。
図2に示すように、従来のカブトガニ血球より調製したリムルス試薬用いた場合には、エンドトキシン濃度が10−4EU/mL以下で、発光強度の変化に乏しい。すなわち、ルシフェラーゼアッセイ系においては、従来のカブトガニ血球より調製したリムルス試薬用いた場合、エンドトキシンの検出限界が10−4EU/mLであることを意味する。
これに対し、図1に示すように、高純度リムルス試薬を用いた場合、エンドトキシン濃度が10−6EU/mLまで直線的に検出できた。
以上の結果から、ルシフェラーゼアッセイ系においては、高純度リムルス試薬を用いた場合、検出限界が10−6EU/mLよりも小さいことが分かった。
これに対し、図1に示すように、高純度リムルス試薬を用いた場合、エンドトキシン濃度が10−6EU/mLまで直線的に検出できた。
以上の結果から、ルシフェラーゼアッセイ系においては、高純度リムルス試薬を用いた場合、検出限界が10−6EU/mLよりも小さいことが分かった。
本発明は、注射剤、輸液、透析液等の医薬品、血液(血漿)、尿等の臨床試料の他、食品や環境中のエンドトキシンの検出又は濃度測定に用いることができる。
Claims (5)
- C因子を含み、C因子、B因子及び前凝固酵素以外のカブトガニ血球抽出物に由来する物質を含まない、発光合成基質法に用いるための高純度リムルス試薬。
- さらにB因子を含む、請求項1に記載の高純度リムルス試薬。
- さらに前凝固酵素を含む、請求項2に記載の高純度リムルス試薬。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の高純度リムルス試薬と、エンドトキシンの結合により活性化された活性型C因子を介する反応により発光基質を遊離する発光合成基質を含有する基質試薬と、遊離する発光基質を発光させる発光酵素を含有する酵素試薬とを有するエンドトキシン濃度測定キット。
- 被験試料に請求項1〜3のいずれか一項に記載の高純度リムルス試薬を添加するリムルス試薬添加工程、
エンドトキシンの結合により活性化された活性型C因子を介する反応により発光基質を遊離する発光合成基質を含有する基質試薬を添加する基質添加工程、
遊離する発光基質を発光させる発光酵素を含有する酵素試薬を添加する酵素添加工程、
発光強度を測定する測定工程を有する、エンドトキシン濃度測定法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014013682A JP2015141088A (ja) | 2014-01-28 | 2014-01-28 | 高純度リムルス試薬、エンドトキシン濃度測定キット、及びエンドトキシン濃度測定法 |
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JP2016528490A (ja) * | 2013-07-15 | 2016-09-15 | ユニバーシティ オブ プリマスUniversity Of Plymouth | 水の試験 |
WO2018074498A1 (ja) * | 2016-10-18 | 2018-04-26 | 生化学工業株式会社 | リムルス属由来の組換え蛋白質及びこれをコードするdna |
-
2014
- 2014-01-28 JP JP2014013682A patent/JP2015141088A/ja active Pending
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JP2016528490A (ja) * | 2013-07-15 | 2016-09-15 | ユニバーシティ オブ プリマスUniversity Of Plymouth | 水の試験 |
WO2018074498A1 (ja) * | 2016-10-18 | 2018-04-26 | 生化学工業株式会社 | リムルス属由来の組換え蛋白質及びこれをコードするdna |
JPWO2018074498A1 (ja) * | 2016-10-18 | 2019-08-08 | 生化学工業株式会社 | リムルス属由来の組換え蛋白質及びこれをコードするdna |
CN114507690A (zh) * | 2016-10-18 | 2022-05-17 | 生化学工业株式会社 | 源自鲎属的重组蛋白及编码该重组蛋白的dna |
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