本発明の任意の実施形態を詳細に説明する前に、本発明が、その出願において、以下の説明に記載される、または以下の図面に示される、構成の詳細および構成要素の配置に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態であることができ、様々な方法で実施または実行することができる。
本発明の方法に関する以下の説明において、処理工程は、他に規定のない限り、室温(約22℃)および大気圧で行われる。本明細書において列挙される任意の数値範囲は、下限値から上限値までのすべての値を含むことも特に理解される。例えば、濃度範囲または有益な効果範囲が、1%〜50%であると述べられる場合、2%〜40%、10%〜30%、または1%〜3%などの値が、本明細書において明示的に列挙されることが意図される。同様に、配列同一性の範囲が、例えば60%〜100%未満の間であると示される場合、65%、75%、90%などが、本明細書において明示的に列挙されることが意図される。これらは、具体的に意図されるものの単なる例示であり、最低値から最高値までのすべての可能な数値が、本出願において明示的に述べられるものと見なされる。
「熱安定性ルシフェラーゼ」という用語は、対応する野生型ルシフェラーゼと比較して、所定の温度(例えば、22℃)で強化された安定性を有するルシフェラーゼを含む。本明細書に開示される例示の実施形態の場合、「TL」という用語は、Ppe2の熱安定性変異型を指し、Ppe2は、フォツリスペンシルバニカ(Photuris pennsylvanica)からのルシフェラーゼである。しかしながら、当業者は、TLについて述べられる場合、任意の熱安定性ルシフェラーゼが用いられ得ることを認識するであろう。例えば、フォティナスピラリス(Photinus pyralis)からのルシフェラーゼ、ならびにルキオラクルキアタ(Luciola cruciata)、ルキオララテラリス(Luciola lateralis)、ピロコエリアミヤコ(Pyrocoelia miyako)、ランピリスノクチルカ(Lampyris noctiluca)、フォツリスペンシルバニカ(Photuris pennsylvanica)、フェンゴデス種(Phengodes sp.)、ルキオラミングレリカ(Luciola mingrelica)、およびフォティナスピラリス(Photinus pyralis)からのルシフェラーゼが用いられてもよい(Ye et al.,Biochimica et Biophysica Acta,1339:39−52(1997)参照)。
「CP」という用語は、円順列置換(circularly-permuted)を指す。例えば、「TL−CP」は、フォツリスペンシルバニカ(Photuris pennsylvanica)からのPpe2ルシフェラーゼの円順列置換熱安定性変異型を指す。用語「DEVD:DD」は、リンカー、すなわち、DEVDカスパーゼ3/7認識部位および該DEVDカスパーゼ認識部位のC末端側上にある3つのアミノ酸、GSLを含む、円順列置換ルシフェラーゼのN末端およびC末端を接続するアミノ酸配列を指す。
「バイオセンサー」という用語は、標的分子と相互作用することができる、センサー領域を含むアミノ酸配列を指す。標的分子がセンサー領域と相互作用するとき、系の分子特性が解明される。
「カスパーゼ−3/7バイオセンサー」および「CBS」という用語は、カスパーゼ−3/7認識部位と円順列置換されたフォツリスペンシルバニカからのPpe2ルシフェラーゼの熱安定性変異型を含むバイオセンサー、すなわち、修飾されたTLフラグメントの間の接合部において、カスパーゼ−3/7認識部位、DEVDを含むものを指す。例えば、「TL−CP358−DEVD:DD」は、配列番号2に対して358位において円順列置換されたCBSを指し、円順列置換熱安定性ルシフェラーゼのN末端およびC末端を接続するDEVD:DDリンカーを含む。「CBS変異型」という用語は、CBSに対して1つ以上のアミノ酸置換を持つCBSを指す。
置換残基を識別するために本出願全体で用いられるアミノ酸付番は、フォツリスペンシルバニカからの野生型Ppe2ルシフェラーゼのポリペプチド配列、すなわち配列番号2、またはフォツリスペンシルバニカポリペプチド配列、すなわち配列番号4からのPpe2ルシフェラーゼの熱安定性変異型内の位置に対して特定される。さらに、配列番号4内に示されるもの以外の変異体を用いることができる。
「カスパーゼ−3またはカスパーゼ−7認識部位」という用語は、カスパーゼ−3またはカスパーゼ−7アイソフォームのいずれかにより認識および切断されるペプチド配列を指す。例えば、カスパーゼ−3またはカスパーゼ−7認識部位は、DEVDG(配列番号55)を含んでよい。
「グランザイムB認識部位」という用語は、グランザイムBアイソフォームにより認識および切断されるペプチド配列を指す。例えば、グランザイムB認識部位は、GRIEADSE(配列番号80)またはKSVGPDFG(配列番号81)を含んでもよい。
「標的分子」という用語は、バイオセンサー、例えば、プロテアーゼ、キナーゼ、Gタンパク質連結受容体、cAMP、cGMP、酵素共因子、イオン(例えば、カルシウムイオン、pHセンサーとして用いるための水素イオン)、抗体、ペプチド、またはバイオセンサーに系の分子特性を解明させる糖と相互作用する、目的の分子を指す。
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈において、「同一性」という用語は、同一であるか、または任意の数の配列比較アルゴリズムを用いるか、または手動整列および目視検査により測定されるように、比較ウィンドウまたは指定領域上の最大対応について比較および整列されるときに、同一である特定のパーセンテージのアミノ酸残基もしくはヌクレオチドを有する、2つ以上の配列または部分配列を指す。
本明細書において、「細胞」、「細胞株」、および「宿主細胞」という用語は、同義的に用いられ、そのような指定は、これらの指定の子孫または可能な子孫を含む。「形質転換細胞」という用語は、本発明の核酸分子が中に(またはその原種の中に)導入される細胞を指す。任意で、本発明の核酸分子は、本発明の核酸分子によりコードされたタンパク質またはポリペプチドを生産することができる安定して形質転換された細胞株を形成するように、適切な細胞株の中に導入されてもよい。そのような細胞株を構築するためのベクター、細胞、および方法は、当該技術分野においてよく知られている。「形質転換体」または「形質転換細胞」という語は、転換の回数に関係なく、本来の形質転換細胞に由来する一次形質転換細胞を含む。すべての子孫は、意図的な変異または不慮の変異に起因して、DNA含有量が精密に同一でなくてもよい。それでもなお、本来の形質転換細胞内でスクリーニングされるものと同一の機能性を有する変異体子孫は、形質転換体の定義内に含まれる。
本明細書において、「異種」核酸配列またはタンパク質は、参照配列に対して、異なる源を有する、例えば、外来種を起源とする配列を指し、または同一種からの場合は、本来の形態から実質的に修飾されてもよい。「相同性」という用語は、2つ以上の配列間の相補性の程度を指す。部分的な相同性または完全な相同性(すなわち、同一性)があってもよい。
「核酸分子」、「ポリヌクレオチド」、または「核酸配列」という用語は、本明細書において、ポリペプチドまたはタンパク質前駆体の生産に必要なコーディング配列を含む、核酸、DNA、またはRNAを指す。コードされたポリペプチドは、全長ポリペプチド、そのフラグメント(全長未満)、または融合ポリペプチドを生じる、全長ポリペプチドもしくはそのフラグメントのいずれかと別のポリペプチドとの融合であってもよい。
タンパク質またはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、遺伝子のコーディング領域を含む核酸配列を意味するか、または言い換えれば、核酸配列は、遺伝子産物をコードする。コーディング領域は、cDNA、ゲノムDNA、またはRNA形態で存在してもよい。DNA形態で存在するとき、オリゴヌクレオチドは、一本鎖(すなわち、センス鎖)または二本鎖であってよい。エンハンサー/プロモーター、スプライス接合部、ポリアデニル化シグナルなどの適切な制御要素は、転写の適切な開始および/または一次RNA転写物の適正な処理を許可するために必要な場合、遺伝子のコーディング領域の近位に配置されてもよい。他の対照または調節要素としては、限定されないが、転写因子結合部位、スプライシングシグナル、ポリアデニル化シグナル、終止シグナル、およびエンハンサー要素が挙げられる。
本明細書において、「親」は、本発明のさらなる操作により変異型を生成するために用いられる、開始アミノ酸またはヌクレオチド配列を指す。例えば、野生型フォツリスペンシルバニカPpe2ルシフェラーゼ(配列番号2)、フォツリスペンシルバニカからのPpe2ルシフェラーゼの熱安定性変異型(例えば、配列番号4)、またはフォツリスペンシルバニカからのPpe2ルシフェラーゼの円順列置換熱安定性変異型(例えば、配列番号6)を開始配列として用いて、本発明において記載される変異型を生成することができる。さらに、配列番号4または6内に示されるもの以外の変異型を親配列として用いることができる。
「ペプチド」、「タンパク質」、および「ポリペプチド」は、長さまたは翻訳後修飾(例えば、グリコシル化またはリン酸化)に関わらず、任意のアミノ酸鎖を意味する。本発明の核酸分子は、天然に存在するタンパク質またはそのポリペプチドフラグメントの変異型もコードしてよく、それが由来する天然に存在する(天然型または野生型)タンパク質のアミノ酸配列対して少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、または99%同一であるアミノ酸配列を有する。例えば、コレオプテランルシフェラーゼは、配列番号2に対して少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、または99%のアミノ酸配列同一性を有し、ホタルルシフェラーゼは、配列番号2もしくは4のうちの1つ、または配列番号6、8、10、12、14、18、20、22、58、60、62、64、66、68、70、72、もしくは74が基づくルシフェラーゼに対して少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%のアミノ酸配列同一性を有する。
本明細書において、「純粋」とは、対象の種が、存在する優勢種である(すなわち、組成物中の任意の他の個別種よりもモルベースで多く存在する)ことを意味し、一実施形態において、実質的に精製された分画は、存在するすべての高分子種の少なくとも約50%(モルベースで)を含む。一般に、「実質的に純粋な」組成物は、該組成物中に存在するすべての高分子種の約80%超を含み、一実施形態では、約85%、約90%、約95%、または約99%超を含む。一実施形態において、対象種は、本質的に均一に精製され(従来の検出方法により、組成物中で汚染種を検出することができない)、該組成物は、本質的に単一の高分子種からなる。
核酸は、異なる種の変異を含むことが知られている。「置換」は、親配列からの1つ以上の塩基位置(複数可)におけるヌクレオチドの配列内の変更を指す。変異は、核酸配列が親配列(例えば、野生型)と異なるか、または置換終止コドンを有するように、1つ以上の塩基の挿入または欠失を指してもよい。
「応答性」という用語は、バイオセンサーと標的分子との相互作用に起因する、発光の変化、例えば、発光の増加または減少を指す。
本明細書において、「サンプル」は、細胞、動物、細胞溶解物、またはインビトロ 転写/翻訳混合物を指し得る。
「ベクター」という用語は、DNAのフラグメントが挿入またはクローン化され得る核酸分子を指し、それらを用いてDNA断片(複数可)を細胞中に転送することができ、細胞内の複製を可能にする。ベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、ウイルス、コスミドなどに由来してもよい。
「野生型」という用語は、本明細書において、天然に存在する源から単離された遺伝子または遺伝子産物の特徴を有する、遺伝子または遺伝子産物を指す。遺伝子または遺伝子産物は、天然に存在するか、または合成することができる。野生型遺伝子は、集団内で最も頻繁に観察されるものであり、したがって、遺伝子の「野生型」形態は、任意に指定される。これに対して、「変異体」または「変異型」という用語は、野生型遺伝子または遺伝子産物と比較したときに、配列および/または機能特性の修飾(すなわち、変更された特徴)を呈する遺伝子または遺伝子産物を指す。天然に存在する変異体および合成変異体は、単離することができ、野生型遺伝子または遺伝子産物と比較したときに、それらが特徴を変化させたという事実により識別されることが知られている。
発光は、適切な条件下、例えば、ルシフェリンなどの好適な基質の存在下でのルシフェラーゼポリペプチドの光出力を指す。光出力は、ルシフェリン基質の添加時に開始し得る、発光反応の開始時に、光出力の即時またはほぼ即時測定として測定され得る(「T=0」発光または「フラッシュ」と呼ばれる場合がある)。様々な実施形態における発光反応は、例えば、原核または真核発現系内の細胞からの溶解物を含む溶液中で行われる。他の実施形態において、発現は、インビトロ系内で発生するか、またはルシフェラーゼタンパク質は、細胞外媒質中に分泌され、後者の場合、溶解物を生産する必要がないようにする。他の実施形態では、ルシフェラーゼは、全細胞(複数可)またはインビトロ、例えば、動物内で発現する。いくつかの実施形態において、反応は、ルシフェラーゼタンパク質を含む反応チャンバ(例えば、96−ウェルプレートなどの多重ウェルプレートのウェル)中に適切な材料、例えば、ルシフェリンを注入することにより開始される。反応チャンバは、例えば、照度計または光電子増倍管を用いて、光出力を測定することができる読取装置内に配置されてもよい。ルシフェラーゼが全細胞(複数可)または動物内で発現するとき、反応は、ルシフェラーゼ基質、例えば、ルシフェリンの投与により開始される。全細胞(複数可)の場合、この投与は、ルシフェラーゼ基質の細胞媒質中への添加を含んでもよい。動物の場合、ルシフェラーゼ基質の投与は、注入または経口投与を含んでよく、例えば、該基材の動物の食餌または水への混入を含み得る。光出力または蛍光は、例えば、同一反応チャンバ、細胞(複数可)、または動物内で数秒、数分、数時間などの期間に経時的に測定されてもよい。光出力または蛍光は、経時的平均、シグナルの減衰半減期、一定期間にわたるシグナルの合計、またはピーク出力として報告されてもよい。蛍光は、撮像、例えば、インビボ撮像を介して検出することもできる。
強化された応答は、TL−CPバイオセンサーが標的分子と相互作用する前後の差異的活性を含む。TL−CPバイオセンサーの基底活性は、バイオセンサーが標的分子と相互作用する前、アッセイ時間(0)における活性として定義される。誘導活性は、TL−CPバイオセンサーが標的分子と相互作用した後、しばらく後の時点(t)における活性として定義される。活性の応答または倍率増加は、基底活性に対する誘導活性の比率である。
強化された発光は、比較により得られた測定値の好適な比較により決定されるように、増加した光出力を含む。本明細書において開示されるように、TL−CPバイオセンサー配列に対する1つ以上の好適なアミノ酸置換は、TL−CPバイオセンサーポリペプチドを生産し、強化された発光を呈する。親熱安定性ルシフェラーゼヌクレオチド配列からのヌクレオチド配列における変化は、アミノ酸置換をもたらすこと、および/またはタンパク質発現を強化することにより、強化された発光に寄与し得る。
強化されたシグナル安定性は、例えば、経時的なシグナルの減衰半減期により測定されるように、ルシフェラーゼからのシグナルが発光を継続する期間の増加を含む。
強化されたタンパク質安定性は、増加した熱安定性(例えば、上昇温度での安定性)および化学的安定性(例えば、Triton X−100を含む、洗剤などの変性剤の存在下での安定性)を含む。
ルシフェラーゼバイオセンサーは、前述されており、例えば、参照によりその開示が本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2005/0153310号を参照されたい。センサー領域は、円順列置換ルシフェラーゼ中にクローン化され、ルシフェラーゼバイオセンサーが標的分子と相互作用するときに、標的分子と接触していないルシフェラーゼバイオセンサーに対して、強化または増加した発光が生成されるようにする。あるいは、センサー領域は、円順列置換ルシフェラーゼ中にクローン化され、ルシフェラーゼバイオセンサーが標的分子と相互作用するときに、標的分子と接触していないルシフェラーゼバイオセンサーに対して、減少した発光が生成されるか、または発光が生成されないようにする。センサー領域は、プロテアーゼの活性、cAMPおよびcGMPなどの環状ヌクレオチドの結合、カルシウム、他のイオン、または抗体の存在もしくは濃度、1つ以上のGタンパク質結合受容体リガンドの存在もしくは濃度、pHの変化、ホスファターゼもしくはキナーゼまたは他の酵素の活性、結合タンパク質もしくは当業者に知られているペプチドもしくは糖などの目的の分子を検出するために有用であり得る。
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、特定の宿主内の発現のために最適化される。本明細書において、最適化は、コドン最適化、ならびに真核細胞においては、Kozak配列および/または1つ以上のイントロンの導入を含む。したがって、核酸分子は、コドンの30%、35%、40%、または45%超、例えば、50%、55%、60%超で未修飾ルシフェラーゼをコードする野生型核酸配列のそれとは異なるコドン組成を有してよい。
本発明のいくつかの実施形態において、異なるコドンとは、哺乳類においてより頻繁に用いられるものであり、一方別の実施形態において、異なるコドンとは、植物においてより頻繁に用いられるものである。特定の種類の哺乳類、例えば、ヒトは、別の種類の哺乳類とは異なる組の好ましいコドンを有してよい。同様に、特定の種類の植物は、別の種類の植物とは異なる組の好ましいコドンを有してよい。本発明のいくつかの実施形態において、異なるコドンの大部分は、所望の宿主細胞内の好ましいコドンであるものであり、そのような最適化された配列は、ルシフェラーゼに対するシグナルの強度を高めることができる。哺乳類(例えば、ヒト)および植物に対して好ましいコドンは、当業者に知られている(例えば、Wada et al.NAR 18:2367(1990);Murray et al.NAR 17:477(1989);WO02/16944)。
いくつかの実施形態において、対応する野生型ルシフェラーゼは、コレオプテラン種、例えば、ルキオラクルキアタ(Luciola cruciata)、ルキオララテラリス(Luciola lateralis)、ピロコエリアミヤコ(Pyrocoelia miyako)、ランピリスノクチルカ(Lampyris noctiluca)、フォツリスペンシルバニカ(Photuris pennsylvanica)、フェンゴデス種(Phengodes sp.)、ルキオラミングレリカ(Luciola mingrelica)、およびフォティナスピラリス(Photinus pyralis)に由来する。(Ye et al.,Biochimica et Biophysica Acta;1339:39−52(1997)参照)。
いくつかの実施形態において、TL−CPバイオセンサーは、TL間の接合部において、アミノ酸DEVDを含むカスパーゼ−3認識部位を含む。カスパーゼ−3との相互作用時に、TL−CPバイオセンサーは、認識部位において切断され、2つのTLフラグメントがより好ましく、より高い活性の配座を形成するのを可能にする。他の実施形態において、TL−CPバイオセンサーは、他のプロテアーゼに対する認識部位、例えば、カスパーゼ−8認識部位(LETDG、配列番号15)、TEVプロテアーゼ認識部位(ENLYFQS、配列番号16)、またはMMP−2認識部位(PLGMWSR、配列番号75)を含む。
修飾されたTL−CPバイオセンサーのアミノ酸配列は、対応する未修飾TL−CPバイオセンサー(親)、例えば、ルシフェラーゼ配列内で1つ以上の置換を持つ変異体ルシフェラーゼのアミノ酸配列とは異なる。いくつかの実施形態において、修飾された熱安定性ルシフェラーゼのルシフェラーゼ配列は、対応する未修飾熱安定性ルシフェラーゼ(親ルシフェラーゼ)のアミノ酸配列に対して円順列置換され、順列置換は、修飾に耐える部位(残基)または領域内で起こる。いくつかの実施形態において、円順列置換熱安定性ルシフェラーゼのルシフェラーゼ配列は、非順列置換熱安定性ルシフェラーゼに対して修飾される。
いくつかの実施形態において、TL−CPバイオセンサーは、1つ以上の別個の(単離された)異種アミノ酸配列を有し、それらのうちの少なくとも1つは、標的分子と直接または間接的に相互作用し、得られるTL−CPバイオセンサーが、標的との相互作用、例えば、生物発光活性が、標的分子との相互作用後に変更される前および/または後、例えば、光強度、色、もしくは動態プロファイルの変更前後に生物発光活性を有する限り、例えば、未修飾の熱安定性ルシフェラーゼのN末端および/またはC末端を含む、修飾に耐える部位(複数可)または領域(複数可)内に1つ以上のアミノ酸の欠失を任意に含んでよい。
いくつかの実施形態において、本発明のTL−CPは、未修飾の熱安定性ルシフェラーゼなどの対応する熱安定性ルシフェラーゼのアミノ酸配列に対して円順列置換される、アミノ酸配列を含み、円順列置換熱安定性ルシフェラーゼ内に新たなN末端およびC末端を生じ、それらのうちの少なくとも1つは、修飾に耐える部位または領域内で起こり、標的分子と直接または間接的に相互作用するアミノ酸配列を含むセンサー領域を導入することにより、機能性を有するように設計される。他の実施形態において、円順列置換熱安定性ルシフェラーゼは、他の修飾を含み、限定されないが、円順列置換熱安定性ルシフェラーゼのN末端またはC末端に対する内的挿入および/または欠失、例えば、対応する未修飾熱安定性ルシフェラーゼのN末端およびC末端における、もしくはその付近、例えば、対応する未修飾熱安定性ルシフェラーゼのN末端の残基1〜約10もしくは約30、またはそれらの間の任意の整数に対応する、および/またはC末端の最後の残基もしくは最後の約30残基、例えば、最後の15残基、もしくは1〜30の間の任意の整数の残基に対応する残基での別の挿入および/または欠失が挙げられる。
いくつかの実施形態において、熱安定性甲虫ルシフェラーゼは、ホタルルシフェラーゼ(例えば、配列番号2または4のうちの1つ)の残基、例えば、残基7、37、47、75、83、107、121、144、160、174、188、198、205、225、233、242、255、268、308、316、358、377、403、435、490、もしくは540において、または残基2〜12、残基32〜53(例えば、残基32〜43もしくは残基42〜52)、残基70〜88(例えば、残基70〜80もしくは残基78〜88)、残基102〜126(例えば、残基102〜112もしくは残基116〜126)、残基139〜165、残基183〜203、残基220〜247(例えば、残基228〜238)、残基262〜273、残基303〜313、残基353〜408、残基485〜495、あるいは残基535〜546に対応する領域内で円順列置換されてよい。残基の付番は、未修飾(天然)ホタルルシフェラーゼのそれに基づいている。対応する位置は、例えば、配列整列プログラムを用いてルシフェラーゼ配列を整列させることにより識別されてよい。修飾に耐えるルシフェラーゼ内の残基または領域は、ルシフェラーゼを円順列置換するための部位、または挿入のための部位として用いられてもよい。
いくつかの実施形態において、本発明は、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼおよびリンカーを含む、バイオセンサーをコードするポリヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態において、熱安定性ルシフェラーゼは、熱安定性などの向上した特性を授与するアミノ酸置換を含む、フォツリスペンシルバニカルシフェラーゼPpe2(配列番号1および2)のバージョンに基づいている(配列番号3および4)。リンカーは、修飾された熱安定性ルシフェラーゼのC末端部分を、修飾された熱安定性ルシフェラーゼのN末端部分に結合する。リンカーは、細胞内の標的分子と相互作用することができるセンサー領域を有する。修飾された熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーは、未修飾の熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーに対して、バイオセンサーと標的との相互作用後に強化された応答を有する。
いくつかの実施形態において、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーは、細胞内の標的分子との相互作用後に強化された応答を有する。修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーは、配列番号2の5、17、21、23、26、39、44、51、81、101、103、110、114、115、119、123、126、128、133、137、186、191、192、193、196、208、211、214、226、228、230、233、264、273、275、286、287、294、295、297、302、303、304、406、308、309、313、324、329、331、343、348、353、364、374、385、389、409、420、426、427、428、431、449、456、460、461、465、466、468、471、473、482、484、485、489、493、494、497、503、507、509、510、513、516、517、521、522、523、526、530、533、536、537、542、もしくは543位に対応する少なくとも1つのアミノ酸の置換、またはそれらの組み合わせを含む。
いくつかの実施形態において、TL−CPは、熱安定性ルシフェラーゼのN末端およびC末端を接続するセンサー領域を含むリンカーを有し、該センサー領域は、標的分子(例えば、プロテアーゼまたはキナーゼ)と直接相互作用する、アミノ酸配列(例えば、プロテアーゼ認識部位またはキナーゼ部位)を含む。
いくつかの実施形態において、標的分子と相互作用するアミノ酸配列には、少なくとも1つのリンカーが隣接し(例えば、ペプチドリンカーなどの各末端で隣接し)、それらのリンカーは、同一であっても異なってもよく、標的分子との相互作用時の発光および/または応答を任意に向上させる。いくつかの実施形態において、標的分子と相互作用するアミノ酸配列は、N末端において少なくとも1つのリンカーが隣接し、標的分子との相互作用時の発光および/または応答を任意に向上させる。いくつかの実施形態において、リンカーは、以下の配列のうちの少なくとも1つを有する。
GSSGGSGGSGGG(配列番号23)
GSSSDSDSSAGS(配列番号24)
GSNDSSGGSEGG(配列番号25)
GSNGGFDSSEGG(配列番号26)
GSIRWSGLSGGD(配列番号27)
GSRGGSVYSEGG(配列番号28)
GSSEGSSDFGGD(配列番号29)
GSIVVSCSSEGG(配列番号30)
GSNWDSGCSREG(配列番号31)
GSNWDSGCSREC(配列番号32)
GSSGCTGDAGGS(配列番号33)
GSNWDSGCSRQC(配列番号34)
GS S/N S/D/G D/S/G S/F D/G S/G S A/E G S/G(配列番号35)
G S I/R/S R/G/E W/G S G/V/S L/Y/D S/F G/E G D/G(配列番号36)
G S I/N/S V/W/G V/D/C S/T C/G S/C/D S/A E/R/G G/E G/S(配列番号37)
G S I/S V/G/A V/G S/C G/D G/D/S S/A G/E G/E G/N(配列番号38)
G S I/N/S V/W/G/A V/D/C/G S/T/C C/G S/C/D S/A E/R/G G/E G/S(配列番号39)
GSIAGCGDAGEG(配列番号40)
GSNWDSGCSRE(配列番号41)
GSIAGCGDAGEG(配列番号42)
GSNWDSGCSREG(配列番号43)
NWDSGCSREG(配列番号44)または
IAGCGDAGEG(配列番号45)
「スラッシュ(/)」マークは、「/」の前または後のアミノ酸が、その位置で用いられてよいことを示す。本発明のバイオセンサー内で用いられるリンカーは、アミノ酸配列であり、バイオセンサー内のその存在は、そのバイオセンサーの活性を実質的に減少させず、例えば、リンカー(複数可)を欠く対応するバイオセンサーに対して、活性を10倍超、例えば、わずか4倍、またはわずか2倍も減少させない、および/または本発明のバイオセンサー内で用いられるリンカーの存在は、リンカー(複数可)を欠く対応するバイオセンサーもしくはリンカー(複数可)GSSGGSGGSGGG(配列番号23)を有する対応するバイオセンサーに対して、または両方の対応するバイオセンサーに対して、発光またはその標的との相互作用に対す応答を増加させる。
いくつかの実施形態において、本発明のペプチドリンカーは、本発明のセンサー領域に対するN末端に位置し、標的分子、例えば、検出される分子と直接または間接的に相互作用することができる。いくつかの実施形態において、本発明のペプチドリンカーは、本発明のバイオセンサー内のそのペプチド配列に対するC末端に位置する。いくつかの実施形態において、本発明のペプチドリンカーは、検出される標的分子と直接または間接的に相互作用することができる、ペプチド配列に対するN末端およびC末端に位置する。
いくつかの実施形態において、標的分子の非存在下で、本発明の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの活性は、対応する親(未修飾)円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの活性未満であり、例えば、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの発光活性は、約0.001%、0.01%、0.1%、1%、10%、20%、50%、70%以上であるが、対応する親(未修飾)円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーのそれの100%未満であり、その修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの活性は、任意で検出可能である。他の実施形態において、標的の非存在下で、本発明の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの活性は、親(未修飾)円順列熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの活性と実質的に同じであるか、またはそれ以上であり、例えば、本発明の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの活性は、親(未修飾)円順列熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーのそれの約1.5倍、例えば、少なくとも2倍、3倍、または5倍以上である。標的分子の存在下で、本発明の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの活性は、検出可能に変更される。例えば、標的分子の存在下での修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼの活性内の検出可能な変更は、標的の非存在下での修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの活性に対して、少なくとも0.001%、0.01%、0.1%、1%、10%または100%、および最大2倍、4倍、10倍、100倍、1,000倍、10,000倍以上の変更である。したがって、親(未修飾)円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーではないが、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー内に存在するセンサー領域と相互作用する、標的分子の物理的近接は、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの活性を変更、例えば、減少、排除、または増加させる。いくつかの実施形態において、標的の存在下での本発明の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの発光シグナルは、標的分子の存在下での対応する親(未修飾)円順列置換熱安定性ルシエフェラーゼバイオセンサールシフェラーゼの発光シグナルに対して増加する。
本発明は、円順列置換バイオセンサーを含み、そのルシフェラーゼ配列は、本来の(野生型)N末端もしくはC末端、または両方において、残基の欠失を含んでよく、例えば、N末端において1〜3個以上の残基の欠失およびC末端において1〜6個以上の残基、ならびに標的分子と相互作用するか、または翻訳語修飾(センサー)により影響されるセンサー領域を含んでもよい。修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼのルシフェラーゼ配列は、未修飾円順列置換された熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーのアミノ酸配列と同じであるか、または実質的に同じである。実質的に同じ配列を有するポリペプチドまたはペプチドは、アミノ酸配列が、全体的ではないかもしれないが、大部分が同じであり、それが関連する配列の機能活性を保持することを意味する。一般に、2つのアミノ酸配列は、少なくとも80%が同一である場合、例えば、少なくとも85%、90%、95%、99%以上の同一性を有する場合、実質的に同じであるか、または実質的に相同性である。
いくつかの実施形態において、修飾は、限定されないが、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、エステラーゼ(例えば、コレステロールエステラーゼ)、ホスファターゼ(例えば、アルカリホスファターゼ)、および同様物を含む、加水分解酵素の認識部位の導入であってもよい。例えば、加水分解酵素としては、限定されないが、ペプチド結合に作用する酵素(ペプチド加水分解酵素)、例えば、アミノペプチダーゼ、ジペプチダーゼ、ジペプチジル−ペプチダーゼおよびトリペプチジル−ペプチダーゼ、ペプチジル−ジペプチダーゼ、セリン型カルボキシペプチダーゼ、メタロカルボキシペプチダーゼ、システイン型カルボキシペプチダーゼ、オメガペプチダーゼ、セリンエンドペプチダーゼ、システインエンドペプチダーゼ、アスパラギン酸エンドペプチダーゼ、メタロエンドペプチダーゼ、トレオニンエンドペプチダーゼ、および未知の触媒機構のエンドペプチダーゼが挙げられる。例えば、本発明の修飾された熱安定性甲虫ルシフェラーゼは、エンテロキナーゼ切断部位、カスパーゼ切断部位、コロナウイルスプロテアーゼ部位(STLQ−SGLRKMA、配列番号46)、キナーゼ部位、HIV−1プロテアーゼ部位(SQNY−PIVQまたはKAVRL−AEAMS、それぞれ配列番号47および配列番号48)、HCVプロテアーゼ部位(AEDVVCC−SMSYS、配列番号49)(例えば、Lee et al,2003参照)、SARSウイルスプロテアーゼ部位(例えば、QTSITSAVLQSGFRKMAFPS、配列番号50またはVRQCSGVTFQGKFKKIVKGT、配列番号51)、グランザイムB部位、ライノウイルスプロテアーゼ部位、例えば、ライノウイルス3Cプロテアーゼ部位、プロホルモン転換酵素部位、インターロイキン−16転換酵素部位、CMV組立部位、リーシュマンジシン部位、炭疽菌致死因子、ボツリヌス神経毒軽鎖プロテアーゼ部位、アミロイド前駆体タンパク質のβ−セクレターゼ部位(VKM−DAEF、配列番号56)、前立腺特異的抗原配列、トロンビン部位、レニンおよびアンジオテンシン転換酵素部位、カテプシンD部位、マトリックスメタロプロテイナーゼ部位、uPA部位、プラスミン部位、カチオンの結合部位、例えば、カルシウム結合ドメイン、カルモデュリン結合ドメイン、セルロース結合ドメイン、キチン結合ドメイン、マルトース結合タンパク質ドメイン、またはビオチン結合ドメインを含んでよい。別の実施形態において、本発明の修飾された熱安定性甲虫ルシフェラーゼは、抗体などのリガンドまたはカルシウムなどの金属により認識される配列を含んでもよい。
本発明はまた、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーを発現する安定した細胞株を含み、本発明の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーをコードする核酸分子を含む、発現カセットを含み、および/または宿主細胞内で本発明の核酸分子を発現することができるベクター(例えば、プラスミド、ウイルス、または欠陥ウイルス粒子)を含む。一実施形態において、発現カセットは、核酸配列に操作可能に連結されたプロモーター、例えば、構造的または調節可能なプロモーターを含む。一実施形態において、発現カセットは、誘導可能なプロモーターを含む。本発明の発現カセットまたはベクターを含む、宿主細胞、例えば、植物または脊椎細胞、例えば、限定されないが、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、または齧歯類(例えば、ウサギ、ラット、フェレット、もしくはマウス)細胞を含む哺乳類細胞などの原核細胞または真核細胞、および本発明の核酸分子、発現カセット、ベクター、宿主細胞、または修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーを含むキットも提供される。
例えば、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーをコードするベクターは、サンプル、例えば、細胞、細胞溶解物、インビトロ転写/翻訳混合物、または上清と混合され、該サンプル中の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼの活性は、例えば、1つ以上の時点において任意に、または標的を有しないか、もしくは異なる量の標的を有する対照サンプルに対して、検出もしくは決定される。例えば、経時的および/または対照(例えば、特定量の標的分子を有する細胞)に対するサンプル中の発光活性の変更は、サンプル中の標的分子の存在もしくは量、または実験条件に関連する標的分子の量の変化を示す。いくつかの実施形態において、細胞は、プロモーター、例えば、調節可能もしくは構成的プロモーターを含むベクター、および環状ヌクレオチドと相互作用するセンサー領域を含む、本発明の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼをコードする核酸配列と接触する。いくつかの実施形態において、形質転換細胞は、プロモーターが、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの一過性発現を誘導する条件下で培養され、発光の存在または量が決定される。他の実施形態において、標的分子と相互作用するセンサー領域を含む本発明の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー、および標的分子を有する疑いがあるサンプルは混合され、発光の量が決定される。
本発明の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーは、未修飾の円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーが、例えば、機能的レポーターとして、細胞または動物(例えば、マウス)内の様々な条件および/または標的分子を測定または検出することができない用途に用いられてもよい。例えば、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーをコードするベクター、または該修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーは、細胞、動物、細胞溶解物、インビトロ転写/翻訳混合物、または上清に導入され、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの活性は、例えば、1つ以上の時点において、および対応する未修飾の円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーに対して検出または決定される。経時的、および/または対照(例えば、対応する未修飾の円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーを有する細胞)に対する細胞、動物、細胞溶解物、インビトロ転写/翻訳混合物、または上清混合物中の発光活性の変更は、プロテアーゼの存在を示す。例えば、本発明は、重度の急性呼吸器症候群と関連付けられたウイルスを検出する方法を含む。本方法は、生物学的サンプル、例えば、生体組織または流体を修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーと接触させることを含む。バイオセンサーは、ウイルスのプロテアーゼに対するアミノ酸認識配列を含む。サンプルの存在下で、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの活性が変更されたか否かが検出または決定され、それによりサンプルがウイルスを含むか否かを示す。
いくつかの態様において、本開示は、サンプル中の標的分子の存在または活性を検出する方法を提供し、サンプルを、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー、および該修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼの基質と接触させることと、発光を測定することと、を含む。いくつかの実施形態において、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼは、標的分子のセンサー領域を含む。センサー領域は、限定されないが、プロテアーゼ認識部位、キナーゼ認識部位、抗体結合部位、金属結合部位、イオン結合部位、環状ヌクレオチド結合部位、またはヌクレオチド結合部位を含んでもよい。いくつかの実施形態において、本方法は、プロテアーゼ、キナーゼ、抗体、金属、イオン、環状ヌクレオチド、またはヌクレオチドである、標的分子の存在または活性を検出してもよい。実施形態において、プロテアーゼは、カスパーゼ3、カスパーゼ8、TEVプロテアーゼ、またはMMP−2であってもよい。実施形態において、サンプルは、細胞、動物、細胞溶解物、またはインビトロ転写/翻訳混合物であってもよい。いくつかの実施形態において、本方法は、さらに、試験化合物を添加することを含み、該試験化合物は、標的分子の活性を変化(例えば、増加、排除、または増加)させ得る。実施形態において、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの基質は、ルシフェリンまたはルシフェリン誘導体であってもよい。
本発明は、目的の分子の存在を検出する方法も提供する。例えば、細胞は、プロモーター(例えば、調節可能なプロモーター)を含むベクター、および目的の分子と相互作用する挿入/センサー領域を含む、本発明の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーをコードする核酸配列と接触する。一実施形態において、形質転換細胞は、プロモーターが、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの一過性発現を誘導する条件下で培養され、該修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの検出可能な活性が決定される。別の実施形態において、動物(例えば、マウス)は、プロモーター(例えば、調節可能なプロモーター)を含むベクター、および目的の分子と相互作用する挿入/センサー領域を含む、本発明の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーをコードする核酸配列、または本発明の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーを発現する形質転換細胞と接触する。次に、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの検出可能な活性が決定される。
本発明の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーは、標的分子、すなわち目的の分子と相互作用するアミノ酸配列を含むか、またはそうでなければ対応する未修飾の円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーに対する条件に敏感である。修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの相互作用または活性に対する一定条件下で、目的の分子との変更された相互作用または変更された活性を有する、変異型の修飾された円順列置換ルシフェラーゼバイオセンサーをコードする、1つ以上の変異型ポリヌクレオチドが選択される。いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーを分子のライブラリと接触させることと、1つ以上の分子が、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー内のセンサー領域と相互作用するか否かを検出または決定することと、を含む方法を提供する。
本発明は、サンプル内に存在する標的分子または目的の分子の量を調節することができる薬剤(「試験」薬)についてスクリーニングする方法も提供する。「調節」は、生物活性または過程(例えば、酵素活性)の機能特性を強化または阻害するいずれかの能力を指す。このような強化または阻害は、シグナル変換経路の活性化などの特定イベントの発生に付随し得る、および/または特定の細胞タイプにおいてのみ表され得る。「調節因子」は、薬剤(天然に存在するか、または天然に存在しない)、例えば、生体高分子(例えば、核酸、タンパク質、非ペプチド、または有機分子)、小分子、細菌、植物、真菌、もしくは動物(特に哺乳類)細胞もしくは組織などの生物物質から製造された抽出物、または任意の他の薬剤を指す。調節因子は、本明細書に記載されるスクリーニングアッセイに含めることにより、生物過程(複数可)(例えば、アゴニスト、部分アゴニスト、またはアンタゴニスト)の(直接的または間接的)阻害剤または活性剤としての潜在的な活性について評価される。調節因子の活性(複数可)は、既知であるか、未知であるか、または部分的に既知であり得る。そのような調節因子は、本発明の方法を用いてスクリーニングすることができる。「試験薬」または「試験化合物」という用語は、推定調節因子として本発明の1つ以上のスクリーニング方法により試験される薬剤または化合物を指す。通常、0.01μM、0.1μM、1.0μM、および10.0μMなどの様々な所定濃度がスクリーニングに用いられる。対照は、試験薬もしくは化合物の非存在下、標的を調節することが知られている薬剤もしくは化合物との比較、または試験薬もしくは化合物との接触前、接触中、および/または接触後のサンプル(例えば、細胞、組織、もしくは有機体)との比較で、シグナルの測定値を含むことができる。
いくつかの実施形態において、本方法は、プロテアーゼ活性を調節する薬剤または化合物をスクリーニングすることを含む。例えば、いくつかの実施形態において、アポトーシスを調節することができる薬剤または化合物を識別する方法が提供される。カスパーゼファミリーのプロテアーゼは、アポトーシスと関連付けられている。したがって、カスパーゼファミリーのプロテアーゼを含むことが疑われるサンプルを、カスパーゼ活性を調節することが疑われる薬剤または化合物、およびカスパーゼにより切断可能な切断部位を有する修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーと接触させることを含む。修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの活性は、試験薬または化合物との接触前後にサンプル内で検出される。薬剤との接触後の活性の増加は、薬剤または化合物がアポトーシスを阻害したことを示し、減少は、薬剤がアポトーシスを活性化したことを示す。
したがって、本発明は、本発明の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー内に存在する認識配列の切断を調節する薬剤または化合物を識別し、その活性を検出するために有用なスクリーニングシステムを提供する。これにより、プロテアーゼ活性の調節因子を迅速にスクリーニングすることが可能になる。本明細書に記載のスクリーニングシステムの利用は、プロテアーゼ、例えば、カスパーゼファミリープロテアーゼを調節(例えば、阻害もしくは活性化)する薬剤または化合物を識別するための高感度かつ迅速な手段を提供する。特に、本発明は、センサー領域が、目的の酵素の切断部位であるアミノ酸配列を含む、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーを検討する。したがって、目的の分子はプロテアーゼであり、挿入はプロテアーゼの切断認識配列を含むペプチドを含む。プロテアーゼの切断認識配列は、タンパク質分解的切断中にプロテアーゼにより認識される特定のアミノ酸配列である。したがって、本発明は、サンプルをプロテアーゼのセンサー領域を含む本発明の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーと接触させ、ルシフェラーゼ活性の変化を測定することによって、サンプル中のプロテアーゼの量を決定する方法を提供する。本発明の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーは、特に、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーを発現する細胞内または動物の体内でのプロテアーゼの活性を監視するために用いることができる。
本発明のアッセイを用いて、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーを切断するプロテアーゼの活性を変更する薬剤または化合物を識別する薬物をスクリーニングすることができる。いくつかの実施形態において、アッセイは、プロテアーゼを含むインビトロサンプル上で行われる。既知量のプロテアーゼを含むサンプルを、本発明の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーおよび試験薬と混合する。次に、サンプル中のプロテアーゼ活性の量を上記のように決定する。試験薬の存在下でのプロテアーゼ1モル当たりの活性量を、試験薬の非存在下でのプロテアーゼ1モル当たりの活性と比較する。差は、試験薬がプロテアーゼの活性を変化させることを示す。したがって、変化は、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー活性の減少をもたらすプロテアーゼ活性の増加、または修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー活性の増加もしくは維持に対応するプロテアーゼ活性の減少であってもよい。
いくつかの実施形態において、薬剤がプロテアーゼ活性を変化させる能力が決定される。このアッセイにおいて、細胞は、プロテアーゼ活性を調節することが疑われる薬剤または化合物により条件付けられるか、またはそれと接触する。培養物中の細胞(複数可)を溶解し、プロテアーゼ活性を測定する。例えば、既知量または未知量のプロテアーゼを含む溶解した細胞サンプルを、本発明の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーと混合する。次に、サンプル中のプロテアーゼ活性の量を、対照または未処理のサンプルおよび処理された溶解細胞サンプル中の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー活性の程度を決定することにより、上記のように決定する。活性または阻害は、サンプル中1マイクログラムまたはミリグラム当たりのタンパク質に基づいて算出することができる。したがって、プロテアーゼ活性の調節は、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー活性の減少をもたらすプロテアーゼ活性の増加、または修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー活性の増加もしくは維持に対応するプロテアーゼ活性の減少を含む。典型的に、差は、絶対量のプロテアーゼ活性を生じるように、標準測定値に対して較正される。プロテアーゼの活性または発現を阻害または阻止する試験薬は、未処理の対照と比較して、処理された細胞内の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー活性の増加により検出することができる。
他の実施形態において、薬剤または化合物がプロテアーゼ活性をインビボで変更する能力が決定される。インビボアッセイにおいて、本発明の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーをコードする発現ベクターにより一過性または安定的に形質転換された細胞は、異なる量の試験薬または試験化合物に曝露され、細胞内のルシフェラーゼ活性に対する試験薬または試験化合物の影響を決定することができる。典型的に、差は、絶対量のプロテアーゼ活性を生じるように、標準測定値に対して較正される。プロテアーゼの活性または発現を阻害または阻止する試験薬は、未処理の対照と比較して、処理された細胞内の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー活性の増加により検出することができる。
他の実施形態において、薬剤または化合物が動物の体内のプロテアーゼ活性を変化させる能力が決定される。全動物アッセイにおいて、動物(例えば、マウス)には、本発明の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーを発現する細胞が注入されてよく、動物は、異なる量の試験薬または試験化合物に曝露される。いくつかの実施形態において、本発明の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーを発現する細胞は、動物に移植されてもよい。いくつかの実施形態では、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼの基質を動物に注入する。いくつかの実施形態では、基質を動物の細胞に注入する。次に、動物内のルシフェラーゼ活性に対する試験薬または試験化合物の影響を決定することができる。
本開示はまた、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーを固体支持体、例えば、粒子、樹脂、カラム、固体表面(例えば、プレート、スライド、またはウェル底)などに固定化する方法も提供する。次に、固定化されたバイオセンサーを用いて、目的の分子の存在または活性を検出することができる。いくつかの実施形態において、精製された形態であるか、または細胞溶解物、例えば、大腸菌細胞溶解物内で発現したかのいずれかである、本発明の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーは、固体支持体、例えば、樹脂または固体表面、および検出された目的の分子の上に固定化することができる。目的の分子は、分子の精製された形態であり得るか、または細胞溶解物内で発現し得る。次に、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの検出可能な活性が決定される。
いくつかの態様において、本開示は、サンプルを、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー、および修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼの基質と接触させることと、サンプル内の発光を検出することと、を含む、サンプル内のアポトーシスを検出する方法を提供する。いくつかの実施形態において、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーは、アポトーシスに関与する分子のセンサー領域を含む。
いくつかの態様において、本開示は、細胞媒介性細胞傷害についての非放射性アッセイための組成物および方法を提供する。本開示は、細胞傷害性リンパ球、例えば、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)およびサイトカイン活性化されたナチュラルキラー(NK)細胞により媒介される細胞傷害を検出または決定するための組成物および方法を提供する。本開示は、グランザイムB活性を検出するための新規のグランザイムB認識配列および生物発光バイオセンサーも提供する。本開示は、本明細書に記載される生物発光バイオセンサーを用いて、細胞ベースのアッセイにおいてグランザイムB活性を検出する方法をさらに含む。
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、新規または既知のグランザイムB認識配列を含む生物発光プロテアーゼバイオセンサーを用いる。いくつかの実施形態において、本方法は、グランザイムB認識配列を含む生物発光プロテアーゼバイオセンサーを標的細胞に形質転換することと、形質転換された標的細胞を細胞傷害性リンパ球、例えば、NK細胞で共インキュベートすることと、発光を検出することと、を含む。グランザイムBが形質転換された標的細胞に良好に転送された場合、認識配列を介してバイオセンサーを切断し、発光が生成される。標的細胞の例としては、例えば、K562細胞、EL4細胞、またはJurkat細胞などの腫瘍細胞、ウイルス感染細胞、細胞内細菌または寄生原虫に感染した細胞、および移植された腎臓、心臓、肺などの同種移植片が挙げられる。
他の実施形態において、本発明の方法を用いて、患者または患者由来のCTLもしくはNK細胞を試験して、それらの細胞傷害機能を決定することができる。いくつかの実施形態において、本方法は、グランザイムB認識配列を含む生物発光プロテアーゼバイオセンサーを、標的細胞、例えば、腫瘍細胞中に形質転換することと、形質転換された標的細胞を患者または患者由来のCTLもしくはNK細胞を用いて共インキュベートすることと、発光を検出することと、を含む。いくつかの実施形態において、患者または患者由来のCTLもしくはNK細胞は、細胞傷害機能をほとんど有しないか、または未知の細胞傷害機能を有する。
他の実施形態において、本発明の方法を用いて、細胞の細胞傷害機能の阻害剤(例えば、siRNA)またはエンハンサー(例えば、小分子)についてスクリーニングすることができる。いくつかの実施形態において、阻害剤またはエンハンサーについてのスクリーニングは、多重ウェル形式、例えば、96−、384−、または1536−ウェルで行うことができる。
本開示は、新規のグランザイムB認識配列も提供する。いくつかの実施形態において、新規のグランザイムB認識配列は、GRIEADSE(配列番号80)またはKSVGPDFG(配列番号81)である。
本開示は、細胞媒介性細胞傷害の検出のためのプロテアーゼバイオセンサーも提供する。プロテアーゼバイオセンサーは、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第13/105,648号に記載されるように、円順列置換熱安定性ルシフェラーゼおよびペプチドリンカーを含むバイオセンサーをコードする。ペプチドリンカーは、目的の分子と相互作用することができるセンサー領域を含む。いくつかの実施形態において、プロテアーゼバイオセンサーセンサー領域は、グランザイムB認識配列を含む。いくつかの実施形態において、グランザイムB認識配列は、新規の認識配列、例えば、GRIEADSE(配列番号80)またはKSVGPDFG(配列番号81)である。他の実施形態において、グランザイムB認識配列は、既知の認識配列、例えば、GIETDSG(配列番号82)である。
本開示は、細胞過程におけるグランザイムB活性、例えば、β−アレスチン局在化を検出するための方法も提供する。いくつかの実施形態において、本発明のグランザイムBバイオセンサーを用いて、細胞過程におけるグランザイムB活性を決定する。
本発明のアッセイにおいて使用するための材料および組成物は、理想的にはキットの調製に適している。そのようなキットは、1つ以上の容器手段、例えば、バイアル、管、および相当物などを含む搬送手段を備え、容器手段のそれぞれは、本方法で用いられる別個の要素のうちの1つを含む。容器のうちの1つは、本発明の修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーまたはポリヌクレオチドを(例えば、ベクターの形態で)含む。第2の容器は、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの基質を含んでもよい。
本発明は、以下の非限定例によりさらに説明される。
実施例I:細胞内の応答性が増加した修飾された熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの生成
カスパーゼ−3バイオセンサー(CBS)は、アミノ酸358位で円順列置換された(CP)、カスパーゼ−3認識部位を有する、熱安定性フォツリスペンシルバニカルシフェラーゼ(TL)、すなわち、TLフラグメントの間の接合部にアミノ酸DEVDを含むカスパーゼ−3認識部位を含むものである。開始テンプレートとして用いられた特異的CBSは、TL−CP358−DEVD:DDと呼ばれる。このCBSのアミノ酸配列は、M/TL残基358〜544/SDEVDGSL/TL残基4〜354/V(配列番号6)として表すことができる。CP TL内のアミノ酸位は、非CP TL配列のそれに相関する(添付の付録に提供される)。カスパーゼ−3で処理すると、CBSは、認識部位で切断され、2つのTLフラグメントがより好ましい高活性の構造を形成することを可能にする。
CBSの利用性は、カスパーゼ−3による切断前後の差異的活性である。CBSの基礎活性は、カスパーゼ−3が認識部位において切断する時間を有する前のアッセイ時間(0)における活性として定義される。誘導活性は、CBSがカスパーゼ−3により切断された後、しばらく後の時点(t)における活性として定義される。活性における応答または倍率増加は、基礎活性に対する誘導活性の比率である。TL−CP358−DEVD:DD内の置換は、誤りを起こしやすい変異型PCRベースシステムGeneMorph II(Stratagene;Daugherty,PNAS USA 97(5):2029(2000))を用いて、製造者の指示に従って、誘導に対する応答性が強化されたCBS変異型を開発するために生成された。
得られるライブラリは、大腸菌内で発現し、組み換えカスパーゼ−3(データ図示せず)による前処理を行う場合と行わない場合のルシフェラーゼ活性についてスクリーニングした。次に、最適なシグナルおよび応答特性を有するCBS変異型を、TNF−α関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)処理に対する応答を測定する動態アッセイによりHEK293細胞内で評価した(Wiley,S.R.et al,Immunity 3:673(1995);Niles,A.L.et al,Meth.Mol.Biol.414:137(2008))。TRAILは、細胞死受容体の活性化を介してアポトーシスを誘導して、活性カスパーゼ−8を形成し、順にプロカスパーゼ3を活性化してカスパーゼ−3を生産する。活性カスパーゼ−3の出現には、CBS変異型が切断および活性化されるときの発光の増加が付随する必要がある。つまり、96ウェルプレート内に15,000細胞/ウェルで載置されたHEK293細胞は、TL−CP358−DEVD:DD内にアミノ酸置換を持つ様々なCBS変異型をコードするプラスミドDNAを含むTransIT−LTI(Mirus Bio)を用いて一過性に形質転換された。同一のプラスミドは、レニラ(Renilla)ルシフェラーゼの構成的発現のための遺伝子も搬送し、形質転換対照として作用した。細胞を2mMルシフェリンにより37℃で2時間前処理した。細胞を1μg/mLのTRAILで処理し、37℃で10時アッセイした。発光を連続して経時的に監視した(発光計:Varioskan Flash(Thermo)1秒積分時間)。複製ウェル内の細胞を、TRAILの添加時、すなわち、時間(0)に溶解し、レニラルシフェラーゼ活性を測定した。次にすべてのバイオセンサーデータを、レニラルシフェラーゼ発光(Dual−GloAssay System;Promega Corporation)を用いて、形質転換効率について正規化した。
例示のCBS変異型は、限定されないが、表1に列挙されるものを含む。表1は、クローン名で識別された、TRAIL処理に対して改善された応答を示す、TL−CP358−DEVD:DDの変異型を列挙する。表1に列挙される改善を、親TL−CP358−DEVD:DD CBSに対して正規化する。「基底(BASAL)」は、TRAIL添加時、すなわち、時間(0)における正規化されたバイオセンサー発光を表し、「誘導(INDUCED)」は、TRAIL添加の約10時間後における正規化されたバイオセンサー発光を表し、「応答(RESPONSE)」は、倍率誘導、すなわち、基底活性に対する誘導活性の比率を表す。
当該技術分野において既知の標準配列決定法を用いて、各クローン内のアミノ酸置換を識別した(表1参照)。アミノ酸の位置は、変異型の2位の親TL(例えば、Pro)に基づき(=TL358)、したがって、DEVDのN末端に対する残基は、TL残基358〜544(Gly)を表し、DEVDのC末端に対する残基は、TL残基4(Lys)−354(Gly)を表す(例えば、図1参照)。各アミノ酸置換は、TL−CP358−DEVD:DD配列ではなく、親TL内のアミノ酸位置に対応する位置により示され、それにより数値位置に続く第1の文字は、親TL内の対応するアミノ酸を表す。アミノ酸が別のアミノ酸と置換される場合、第2の文字は、アミノ酸置換を表す。アミノ酸が終止コドンと置換される場合、置換は「終止(STOP)」により示される。
表1:対応するTL−CP358−DEVD:DDを超えるCBS変異型の応答性の倍率改善のまとめ
実施例II:熱安定性ルシフェラーゼカスパーゼ−3内の変異の特定の組み合わせに関する評価
追加のCBS変異型は、オリゴベースの部位特異的変異誘発キットQuick Change(Stratagene;Kunkel,PNAS USA82(2):488(1985))を用い、製造者の指示に従って生成した。最も改善された応答を持つ実施例Iからの変異型内で識別されたアミノ酸置換、特にクローン12:B−10、01:A−05、04:C−03、01:E−11、16:D−12、01:D−02、および07:B−02を組み合わせ、HEK293細胞内で実施例Iと同様に評価した。追加のCBS変異型を生成するために用いられるアミノ酸置換は、配列番号2に対応する
193LP(“193SP”)、297SI、329RQ、471IT、503SG、507TI、523KI、533VA、および536QRであった。例示のCBS変異型は、限定されないが、表2に列挙されるものを含む。表2は、クローン(「新(NEW #)」)、カラムのXにより示されるクローン内で見出されたアミノ酸置換(アミノ酸置換193SP、297SI、329RQ、471IT、503SG、507TI、523KI、533VA、および536QRを示す)、対応する開始TL−CP358−DEVD:DDを超える基底、誘導、および応答の改善を識別する。
表2:対応するTL−CP358−DEVD:DDを超える特定アミノ酸置換の組み合わせを持つCBS変異型の応答性の倍率改善のまとめ
試験した置換の組み合わせの多くは、親TL−CP358−DEVD:DDまたは表1に開示された変異型と比較して、応答性の増加を示した。4つのCBS変異型、すなわち01:A−05、FC7:24、FC7:43、およびFC7:49に特に注目した(図1および表3参照)。図1は、4つのアミノ酸置換I471T、S503G、T507I、およびS193Pの位置を示し、これらの変異型を親TL−CP358−DEVD:DD配列に組み込み、その位置を円順列置換部位に対して修正した(表3も参照)。図1の上の図は、一次アミノ酸配列の配列順序番号に基づく置換の位置を示す。図1の下の図は、親TL−CP358−DEVD:DDに基づくコドン指定点を示す。ヌクレオチド変化は、以下のとおりである。471:ata>aca、503:agt>ggt、507:aca>ata、193:tcg>ccg。
表3:クローン01:1−05、FC7:24、FC7:43、およびFC7:43内で見出されるアミノ酸置換のまとめ
改善されたCBS変異型01:A−05、FC7:24、FC7:43、およびFC7:49内の生細胞におけるTRAILに対する応答(それぞれ「1A5」、「24」、「43」、および「49」)を、図2A〜Bおよび3A〜Bにおいて、10時間の期間で親TL−CP358−DEVD:DD(「TL−CP」)と比較した。変異型01:A−05は、TL−CP358−DEVD:DDと比較して、それぞれTRAIL処理の2時間および10時間後に2倍および約4.8倍優れた応答を有した(図2Aおよび2B)。2時間後に、変異型FC7:24およびFC7:49は、TL−CP358−DEVD:DDおよび変異型43より約2倍優れた応答を有した(図3Aおよび3B)。10時間後に、変異型FC7:24およびFC7:49は、TL−CP358−DEVD:DDより約3.2〜3.7倍優れた応答を有したが(図3Aおよび3B)、変異型FC7:43は約2.2倍優れた応答を有した。これらのデータは、CBSバイオセンサーが、これら4つのアミノ酸置換I471T、S503G、T507I、およびS193Pのうちの1つ以上を組み込むことにより改善された応答を有するように生成することができる。
実施例III
追加のCBS変異型は、SSDEVDGSSG(配列番号52)、SSGSDEVDGSLSSG(配列番号53)、SDEVDGSL(配列番号54)、またはDEVDG(配列番号55)などの異なるリンカー配列を有するように生成した。CBS変異型は、HEK293細胞内で実施例Iと同様に評価した。例示のCBS変異型としては、限定されないが、図4に列挙されるものが挙げられる。次に、すべてのバイオセンサーデータを、実施例Iと同様に、レニラルシフェラーゼ発光を用いて形質転換効率について正規化した。図4は、「Linker」を含むリンカー配列によりクローンを識別し、TRAIL添加時、すなわち、時間(0)(「基底(t=0)」)、TRAIL添加から約10時間後(「誘導(10時間)」)および倍率誘導、すなわち基底活性に対する誘導活性の比率(「応答(10時間)」)におけるRLU内の発光を示す。2つの実験に共通するリンカークローンは、#2である(すなわち、SSGSDEVDGSLSSG)。数値の差は、実験間の典型的な変動である。リンカー#3は、「TL−CP358−DEVD:DD」と称されるものと同一のクローン内で見出されたリンカーである。
実験IV:カスパーゼ−8を検出するための変異体熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの評価
本発明の変異体熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーを細胞内のカスパーゼ−8活性を検出することができるか否かを評価するために、カスパーゼ−8切断部位LETDG(配列番号15)を含むバイオセンサーを生成した。2つの異なるバイオセンサーTL−CP358−カスパーゼ−8およびTL−CP233−カスパーゼ−8を用いた。対照として、ホタル(フォティナスピラリス、Ppy)ルシフェラーゼバイオセンサーFF−CP234−カスパーゼ−8(M/Ppy残基234−544/LETDG/Ppy残基4−230/V)、FF−CP359−カスパーゼ−8(M/Ppy残基359−544/LETDG/Ppy残基4−355/V)、およびTL−CP358−DEVDを用いた。表4は、バイオセンサーの配列詳細を提供する。
表4
すべてのバイオセンサーをHeLa細胞に形質転換した。細胞を(10,000
細胞/ウェル)で96−ウェル組織培養プレートに載置した。表4に記載されるように、細胞への形質転換のためにバイオセンサーDNAを調製した。各バイオセンサーについて30回の10μL 反応を設定した。1650μLのDMEMを49.5μLのLTIと混合することにより、TransIT(登録商標)LTI(LTI、Mirus)形質転換マスター混合物を調製した。マスター混合物を、室温で15分間インキュベートした。次に300μLのマスター混合物を各バイオセンサーDNAに添加し(30回の反応に十分な量、0.1μg/反応)および室温でさらに15分間インキュベートした(表5)。10μLのバイオセンサーDNA形質転換マスター混合溶液を、適切なウェル内の細胞に添加した。次に、細胞を37℃で一晩、5%CO
2でインキュベートした。
表5
一晩のインキュベーション後、媒質を細胞から除去し、CO2独立媒質(Invitrogen、カタログ番号18045088)および2mMルシフェリンEF(Promega、カタログ番号E6551)と置換した。細胞を、ルシフェリンEFで2時間、Varioskan発光計内で事前に平衡化し、20分毎に生物発光を読み取った。インキュベーション後、1μg/mLのTRAILを用いて、CO2 Independent Media+10%ウシ胎仔血清(FBS)内で、または化合物なし(対照、媒質+10%FBSのみ)のいずれかで細胞を誘導した。細胞を、Varioskan発光計内で500+分間37℃で再度インキュベートし、20分毎に生物発光を測定した。
図5〜8は、TL−CP233−カスパーゼ8およびTL−CP358−カスパーゼ8バイオセンサーが、TRAILによるカスパーゼ8の活性を検出できることを示す。図5および7は、37℃での経時的なTRAILによるカスパーゼ8活性化の動態プロファイルを識別する。図6および8は、経時的なTRAILによるカスパーゼ8活性化の倍率応答を識別する。活性化の倍率誘導は、TRAILを含むサンプルのシグナルを所定の時点でのTRAILを含まないシグナルで割ることによって算出した。図7および8は、TL−CP358−DEVDにより測定される、Trailによるカスパーゼ3の誘導ならびにカスパーゼ8の誘導を示す。
実施例V:TEVプロテアーゼ変異体熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの活性化
本発明の変異体熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーが、細胞内のTEVプロテアーゼ活性を検出することができるか否かを評価するために、TL−CP233バイオセンサー、TEVプロテアーゼ切断部位GSS−ENLYFQS−SSG(配列番号78)を含むTL−CP233−TEVを生成した。TL−CP233−TEVは、M/TL残基233〜544/GSS−ENLYFQS−SSG TL残基4〜233/V(配列番号61および62)として表すことができるアミノ酸配列を有する。対照として、ホタル(フォティナスピラリス、Ppy)ルシフェラーゼバイオセンサーFF−CP235−TEV(M/Ppy残基234〜544/GSS−ENLYFQS−SSG/Ppy残基4〜233/V、配列番号63および64)、FF−CP269−TEV(M/Ppy残基269〜544/GSS−ENLYFQS−SSG/Ppy残基4〜268/V、配列番号65および66)、ならびにFF−CP359−TEV(M/Ppy残基359〜544/GSS−ENLYFQS−SSG/Ppy残基4〜355/V、配列番号67および68)を用いた。すべての形質転換について、CMVプロモーターから構成的に発現したTEVプロテアーゼ(Genbank受入番号BFB754)を形質転換した(pF9a−BFB754)。この構築体は、形質転換の効率性制御として使用するためのレニラルシフェラーゼも共発現する。
バイオセンサーおよびTEVプロテアーゼ構築体のそれぞれは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞内で形質転換した。細胞を
、15,000
細胞/ウェ
ルで96−ウェル組織培養プレートに載置した。表6に従って形質転換溶液を調製した。各センサーを、TEVプロテアーゼまたは担体ベクター(pF9aヌル)のいずれかと共形質転換した。
表6
細胞を37℃で一晩24時間、5%CO2でインキュベートした。一晩のインキュベーション後、細胞を媒質および5mMルシフェリンEFで2時間平衡化した。次に生物発光を、Varioskan発光計内で37℃で測定した。形質転換の効率性の制御のために、結果をレニラに対して正規化した。
TEV認識配列(FF−CP233−リードスルー、FF−CP233−RT)を含まないバイオセンサーは、TEVプロテアーゼにより活性化されないが、他のバイオセンサーは、TEVプロテアーゼにより活性化された(図9)。
実施例VI:神経膠腫細胞内のアポトーシスの分子撮像
本発明の変異体熱安定性バイオセンサーを用いて細胞内の細胞死を検出することができることを実証するために、熱安定性カスパーゼ3バイオセンサー、TL−CP233−カスパーゼ3(「233」、配列番号17および18)、TL−CP358−カスパーゼ3(「358V2」配列番号5および6)、ならびに変異体熱安定性カスパーゼ3バイオセンサー1A5(「358V3」、配列番号7および8)、24(「358V4」、配列番号9および10)、43(「358V5」、配列番号11および12)、ならびに49(「358V6」、配列番号13および14)を、神経膠腫細胞株D54−MG内で安定して発現させ、細胞をTRAILで処理し、発光を測定してカスパーゼ3の活性を検出した。
熱安定性バイオセンサーを安定して発現する細胞を導出するために、D54−MG細胞をバイオセンサーで形質転換させた。バイオセンサーを、PCR増幅を介して、ネオマイシン耐性遺伝子(Invitrogen)を含むpEFベクターにサブクローン化し、SalIおよびEcoRI制限部位における複数のクローニング部位に挿入した。形質転換は、6−ウェル組織培養皿内で、3μLのFugene6形質転換試薬(Roche)および1μgのプラスミドDNAを用いて行った。10%FBS(Gibco)、Pen/Strepグルタミン(100X、Gibco)、および200μg/mLジェネチシン(G418)を含むRPMI媒質(Gibco)内に48時間載置した。当該技術分野において既知の標準技術を用いて、形質転換から約10日後に単一クローンを選択した。つまり、媒質を細胞から除去し、細胞をPBSで丁寧に洗浄した。丸いフィルター紙をトリプシンに浸し、単一コロニー上に載置した。添付の細胞を含むフィルター紙を除去し、24−ウェル組織培養皿中に載置した。ルシフェラーゼ抗体(Promega、カタログ番号G7451)を用いるウェスタンブロット法、および生物発光(PBS中で再構築された100μg/mLのD−ルシフェリンを媒質に直接添加して検出した)によりレポーター発現について、選択から約2〜3週間後に各個別のクローンを試験した。細胞死を検出する際に用いるために、同様の生物発光活性(最高倍率)およびレポーター発現(ウェスタンブロットにより決定)を持つクローンを選択した。
細胞死を検出するために、安定したD54−MG細胞を、10,000細胞/ウェルで96−ウェルアッセイプレート中に播種し、37℃で24時間、5%CO2でインキュベートした。一晩インキュベートした後、細胞を200ng/mLのTRAILおよび100μg/mLのD−ルシフェリン(Promega)で処理した。生細胞生物発光を2、4、および6時間で撮像した。Envision照度計(Perkin Elmer)を用いて、TRAIL処理前後の異なる時点で光子数を計測した。レポーター発現およびTRAIL誘導性アポトーシスを、ルシフェラーゼおよびカスパーゼ−3に対して、ウェスタンブロット法によりさらに検出した。
図10は、TRAILにより処理時に、様々な熱安定性バイオセンサーを安定した発現するD54−MG細胞が、生物発光活性において100〜200倍の誘導をもたらしたことを実証する。熱安定性バイオセンサーの異なるバージョンを発現するD54−MG細胞は、未処理であるか、または200ng/mLのTRAILで処理して、指示された時点で撮像し、光子数/秒を指定された時点で記録した(図10A)。未処理または200ng/mL TRAILで処理された熱安定性バイオセンサーの異なるバージョンを発現するD54−MG細胞の倍率誘導は、値(光子/秒)をベースライン(時間、0時間)に対して正規化することにより算出した(図10B)。異なるバイオセンサーバージョンにより達成された倍率変化に加えて、ベースライン、処理後2時間、4時間、および6時間の平均光子数/秒を図10Cに示す。図10Dは、ルシフェラーゼおよびカスパーゼ−3に対する、ウェスタンブロット法によるレポーター発現およびTRAIL誘導性アポトーシスの検出を示す。
実施例VII:変異体熱安定性バイオセンサーの使用
細胞死をインビボで検出するための変異体熱安定性バイオセンサーの使用を実証するために、TL−CP233−カスパーゼ3(「233」、配列番号17および18)、TL−CP358−カスパーゼ3(「358V2」配列番号5および6)、1A5(「358V3」、「3−S」、配列番号7および8)、43(「358V5」、「5−R」、配列番号11および12)、または49(「358V6」、「6−A]、配列番号13および14)のいずれかを安定して発現するD54−MG細胞をヌードマウスに移植した。
フランク異種移植マウスモデルを確立するために、上に列挙した(実施例VIに記載されるように)バイオセンサーのうちの1つを安定して発現する2×106D54−MG細胞をヌードマウスに皮下的に移植した。8mg/kg TRAILによる処理は、電子デジタルキャリパー測定により測定されるように、腫瘍が約100mm3 に到達したときに開始した。インビボ生物発光検出の場合、2%イソフルオラン/空気混合物を用いてマウスを麻酔にかけ、単回投与(150mg/kg)のD−ルシフェリンを腹腔内注入した。IVIS撮像システム(Caliper Life Sciences)を用いて、TRAIL処理前および6時間後(図11A)に光子数/秒を取得した。処理後の値をマウス当たりの処理前の値に対して正規化することにより、倍率誘導(図11B)を算出した。
データは、TRAIL処理時に、マウス異種移植モデルにおいて、100倍の生物発光活性化が見られたことから、本発明の変異体熱安定性バイオセンサーが、極めて敏感であることを実証する。D54−MGレポーター異種移植されたヌードマウスを、8mg/kgのTRAILで処理した。光子数/秒を、処理の前後に取得した(図11)。倍率誘導は、処理後の値をマウス当たりの処理前の値に対して正規化することにより算出した(図11B)。図11Cは、異なるバイオセンサーバージョンにより達成された倍率変化に加えて、ベースラインおよび処理後6時間における平均光子数/秒を表す表を示す。
実施例VIII:胸骨転移における細胞死の撮像
動物内の細胞死を検出するための熱安定性カスパーゼ−3バイオセンサーの使用を実証するために、TL−CP233−カスパーゼ−3バイオセンサー(グリオーマ細胞について実施例VIに記載されるように導出された)を安定して発現する100,000MDA−MB231/1833細胞(「1833」、乳癌細胞株)を、ヌードマウスの脛骨に移植した。MRIにより腫瘍増殖を追跡し、腫瘍が5〜15mm3に達したときにTRAIL処理を開始した。
インビボ生物発光検出の場合、2%イソフルオラン/空気混合物を用いてマウスを麻酔にかけ、単回投与(150mg/kg)のD−ルシフェリンを腹腔内注入した。IVIS撮像システム(Caliper Life Sciences)を用いて、TRAIL処理前および6時間後、または図12A〜Dに示されるように光子数/秒を取得した。処理後の値をマウス当たりの処理前の値に対して正規化することにより、倍率誘導(図11B)を算出した。
図12Aにおいて、TL−CP233−カスパーゼ−3を安定して発現する脛骨内移植されたMDA−MB231/1833細胞を、TRAIL(200ng/mL)で処理し、毎時間10分間連続して撮像した。倍率誘導は、データを処理前の値に対して正規化することにより算出した。図12Bにおいて、Z因子は、Zhang et al(Biomol Screen.4:67−73.1999)に記載されるように、すべての時点について算出し、0.82の平均Z因子が高スループットスクリーニングのためのアッセイ適合性に十分であった。図12Cは、指定された時点で撮られた光子/秒でMDA−MB231/1833細胞を安定して発現する脛骨内移植されたTL−CP233−カスパーゼ−3の代表的な画像を示す。図12Dは、TRAILで処理された試験した異種移植動物の倍率誘導を示す。このデータは、マウスモデル内で動的かつ経時的に細胞死を撮像するための熱安定性バイオセンサーの有用性を強調する。
実施例IX:高スループットスクリーニングにおける熱安定性カスパーゼバイオセンサーの実用性
高スループットスクリーニングのための熱安定性バイオセンサーの実用性を実証するために、実施例VIIIからのTL−CP233−カスパーゼ−3を安定して発現するMDA−MB231/1833(「1833」)細胞を用いて、NIH Clinical Collection BiofocusおよびTim Tecキナーゼ阻害剤ライブラリ内の化合物をスクリーニングした。
TL−CP233−カスパーゼ−3 MDA−MB231/1833細胞を、96−ウェルプレート内に10,000細胞/ウェルで播種した。播種から48時間後、媒質を、1%GloSensor cAMP試薬(Promega、カタログ番号E1290)を含むCO2独立媒質に変え、0〜23時間、最終濃度10μMの化合物とともにインキュベートした。合計でNIH Clinical Collection内の483化合物およびTim Tecコレクションから80キナーゼ阻害剤を試験した。媒質および化合物ライブラリの添加は、Titertek Multidrop Microplate Dispensor(ThermoFisher Scientific)を用いて行った。相対発光は、化合物処理されたウェルの値を未処理のウェルに対して正規化することにより算出した。(図13Aおよび13C)図13Aは、NIH Clinical Collection Biofocus Library内の化合物からの化合物処理(最大)時の相対発光を示す。図13Cは、Tim Tecキナーゼ阻害剤ライブラリ内の化合物からの化合物処理(最大)時の相対発光を示す。4以上に達する最大値は、有意と見なした。Matlabソフトウェアの生物情報ツールボックスを用いてヒートマップを生成し、経時的なバイオセンサー活性化の相関を示す。(図13Bおよび13D)Z因子は、実施例VIIIに前述されるように算出した。
熱安定性バイオセンサーの繰り返し撮像能力に起因して、様々な薬物に応答するアポトーシスの動態を撮像することができる。これにより、それ以外は化学療法抵抗性の1833乳癌細胞株内の興味深い細胞死誘導化合物の識別を可能にした。
実施例X:MMP−2センサーの精製
マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)は、細胞外マトリックスの主要タンパク質化合物の分解に関与する、亜鉛酵素の同種群である。5つの主要MMPは、ヒトにおいて識別され、結合組織の代謝および破壊に関与している。これらは、マトリックスの大部分を形成するI型、II型、およびIII型コラーゲンを加水分解する線維芽細胞型および好中球型間質コラゲナーゼを含む。線維芽細胞コラゲナーゼは、天然のVII型およびX型コラーゲンも加水分解する。MMPは、線維芽細胞型および好中球型コラゲナーゼが、それぞれMMP−1およびMMP−8として指定される数値コードにより参照される場合がある。72−kDaゼラチナーゼ(MMP−2)は、線維芽細胞および腫瘍細胞を増殖させることにより生産されるが、別個の92−kDaゼラチナーゼ(MMP−9)は、好中球、マクロファージ、およびある形質転換細胞により生産される。
本明細書で用いられるMMP−2センサー(配列番号69および70)は、1A5変異型骨格およびヒトMMP−2認識部位、PLGMWSR(配列番号75)を含む。さらに、MMP−2センサーは、2つの精製タグ:TEVプロテアーゼ部位(精製されたMMP−2センサーからGSTタグを除去するための)によりセンサー領域から分離されたセンサーのN末端上のGSTタグ、およびセンサーのC末端上の5xHQ(HQHQHQHQHQ、配列番号79)タグを含む。
MMP−2センサーの精製は、HisおよびGST精製を用いて、以下のように行った。
1.MMP−2センサーを含む大腸菌 KRX細胞(Promega)の2〜5mL培養物を、37℃で攪拌しながらLB/アンピシリン内で増殖させた。
2.各培養物を、0.05%ラムノースおよび0.05%グルコースを用いて、1LのLB中で1:100に希釈した。
3.25℃で18〜20時間インキュベートした。
4.細胞を5000gで5分間の遠心分離により採取し(1Lを2つの500mL分割量に分ける)、細胞ペースト重量を決定して、−20℃で一晩載置した。
5.2つの細胞ペーストのうちの1つを、30mL溶解緩衝液で再懸濁した(8.5mL/g細胞ペースト、50mM NaH2PO4、300mM NaCl、10mMイニダゾール、およびNaOHによりpH8.0)。1mg/mLのリゾチームを添加し、再懸濁液を氷上で、定期的に反転させながら30分間インキュベートした。
6.溶解液をパワー6.0で2分間音波処理した(5秒オン、5秒オフ)。100μlのサンプルを「合計」サンプルとして保存した。
7.溶解液を16,000gで20分間回転させた。100μlのサンプルを「可溶性」サンプルとして保存した。
8.6mLの溶解物当たり1mLの50%Ni−NTA樹脂(Qiagen、溶解緩衝液中で前洗浄)(合計5mL)を添加し、4℃で1時間混合した。
9.サンプルを700rpmの卓上遠心分離器で2分間回転させた。100μlのサンプルを、上清を破棄した「フロースルー」サンプルとして保存した。
10.樹脂を40mL溶解緩衝液中で洗浄して、4℃で5分間混合し、700rpmの卓上遠心分離器で2分間回転させて、上清を破棄した。
11.次に樹脂を40mLの洗浄緩衝液(20mMイミダゾールを含む溶解緩衝液)中で洗浄し、700rpmの卓上遠心分離器で2分間回転させて、上清を破棄した。
12.10mLの洗浄緩衝液を添加および混合し、上清を空のカラムに添加した。
13.カラムを50mLの洗浄緩衝液で洗浄し、100μLの樹脂を除去して保存した。
14.センサーを、10mL溶出緩衝液(250mMイミダゾールを含む溶解緩衝液)を用いてカラムから溶出し、0.5mLの分画を回収して、Bradfordアッセイを用いて直接測定した。
15.100μLの樹脂を除去して保存し、溶出分画を複合して、複合された分画を溶解緩衝液中で10mLに希釈した。
16.複合された分画を、GST結合/洗浄緩衝液(1×PBS)中で透析した(1Lで1時間、2回)。
17.透析されたタンパク質を、GST結合/洗浄緩衝液中で前洗浄した5mLのグルタチオン−セファロース樹脂スラリー(GE、カタログ番号17−0756−01)に添加し、4℃で1時間インキュベートした。
18.樹脂混合物を700rpmの卓上遠心分離器で2分間回転させ、100μLを「フロースルー」として保存して、上清を破棄した。
19.樹脂を空のカラムに添加し、50mLのGST結合/洗浄緩衝液で洗浄して、100μLを除去した。
20.溶出緩衝液を用いてタンパク質を溶出した(10mM還元グルタチオンを含む1×PBS緩衝液)。0.5mL分画を回収し、Bradfordアッセイを用いて直接測定した。100μLの樹脂を除去および保存した。
21.保存された分画(「合計」、「可溶性」、「フロースルー」(his)、溶出前のHis樹脂、溶出後のHis樹脂、透析後のサンプル、フロースルー(GST)、溶出前のGST樹脂、溶出後のGST樹脂、およびGST分画)を、SDS−PAGEゲル上で分析した(図14)。
22.GST分画を複合し、ストレージ緩衝液中で透析した(50mM HEPES pH7.5、150mM NaCl、1mM DTT、50%グリセロール)。
精製されたMMP−2センサーがMMP−2を検出できることを実証するために、精製されたMMP−2センサー(1.3mg/mL)を、図15に記載されるように、緩衝液中で希釈した(50mM Tris−HCl、pH7.5、150mM NaCl、10mM CaCl2、および0.05% Brij35)。活性化されたMMP−2(10ng/μL、Anaspec)を、図15に記載されるように、希釈されたMMP−2センサーに添加した。最終反応混合物の総容積は、50μLであった。混合物を37℃で1時間インキュベートした。Bright−Gloアッセイ試薬(Promega)を製造者の指示に従って調製し、50μLを混合物に添加した。発光をGloMax MultiPlus発光計上で即時に読み取った。
図15は、対照(MMP−2センサーからのバックグラウンド)を超える倍率増加を示す。結果は、本発明による精製されたMMP−2センサーを用いて、わずか0.75ngのタンパク質を検出できることを実証する。
精製されたMMP−2センサーの感度をさらに実証するために、蛍光性SensoLyte 520MMP−2アッセイ(Anaspec)もちいて、MMP−2タンパク質を検出した。アッセイは、製造者の指示に従って行った。蛍光は、Tecan蛍光計上でEx490nm/Em520nmで検出した。図16A〜Bは、SensoLyteアッセイを用いて、1.5ng MMP−2タンパク質の検出を報告する。
実施例XI:CBSの無細胞発現
本発明のプロテアーゼバイオセンサーが、無細胞環境内で外因性プロテアーゼにより効果的かつ効率的に切断され得ることを実証するために、CBS変異型1A5を小麦胚芽抽出物内で発現させ、それを用いてカスパーゼ−3を検出した。
CBS変異型1A5を、ベクターpFN19K Halo Tag(登録商標)(Promega、カタログ番号G1841)にクローン化して、CBS−Halo Tag(登録商標)(CBS−HT)融合タンパク質を生成した(配列番号71および72)。20μL(8μg)のCBS−HTベクターを、30μlのTnT(登録商標)SP6高収率小麦胚芽発現系(Promega、カタログ番号L3261)に添加し、25℃で90分間インキュベートした。
CBS−HTカスパーゼ−3切断反応の場合、ある容量の発現反応を、カスパーゼ−3を含む等容量の大腸菌溶解物またはC(3)溶解緩衝液(0.8X FastBreak(Promega、カタログ番号V857A)10mM DTT、0.1% CHAPS、0.8mg/mLリゾチーム、3U/μL RQ1 DNase(Promega、カタログ番号M610A))のいずれかを用いてインキュベートし、室温で60分間インキュベートした。カスパーゼ−3を含む大腸菌溶解物を、組み換えカスパーゼ−3を過剰発現するKRX細胞から調製した。つまり、KRX細胞をpTS1k:カスパーゼ−3(T/S)で形質転換させた。スターター培養物(50mL、LBブロス)を単一コロニーから接種し、攪拌しながら(275rpm)37℃で17〜22時間増殖させた。スターター培養物を、新鮮な媒質中に希釈し(1:50)、さらに3時間増殖を継続した。次に、インキュベーション温度を25℃に下げ、15分後、カスパーゼ−3の発現をラムノースの添加により開始した(0.2%最終濃度)。2時間後、細胞を遠心分離により回収し、50mL C(3)溶解緩衝液中に再懸濁し、周囲温度(すなわち、22〜24℃)で10分間インキュベートした。溶解物を遠心分離により除去し(20,000×g、4℃で20分間)、カスパーゼ−3ソースとして使用した。
カスパーゼ−3によるCBS−HTの切断は、2つの異なる方法:SDS−PAGE解析および発光検出により検出された。SDS−PAGE解析の場合、切断反応サンプルを、最初に発光マーカーCA−TAMを用いて標識した(クロロアルカン−TAMRAリガンド(Promega、カタログ番号G825A)。20μlのサンプルを(1:100で緩衝液(1×PBS、0.05%)中に希釈した)20μLのCA−TAMに添加し、室温で30分間インキュベートした。このサンプルに、40μLのSDS−PAGE負荷緩衝液(120mMトリス緩衝液(pH7.4)、1% SDS、25.2%グリセロール、1.5mMブロモフェノールブルー、100mM DTT)を添加した。得られた溶液を65℃で30分間インキュベートした。10μLをSDS−PAGEゲルの上に負荷した。対照として、0.60、0.15、および0.03mg/mLのHT:GST(Halo Tag(登録商標)−GST(Promega、カタログ番号G449A)融合もゲルの上に負荷した(図17)。電気泳動後、CA−TAM標識された種を、蛍光撮像により検出した(ex:532、Em:580、図17)。発光を介した検出の場合、40μLの切断反応サンプルを60μL緩衝液(50mM HEPES(pH7.5))および100μLのBright−Gloアッセイ試薬に添加した。発光を前述されるように検出した(表7)。
表7
実施例XII:CBSの固定化
無細胞環境内で発現したときの本発明のプロテアーゼバイオセンサーが、固体支持体上に固定化されたときに活性を維持することを実証するために、小麦胚芽抽出液(実施例XI)中で発現したCBS−HT融合を、固体支持体(樹脂およびプレート)に固定化し、カスパーゼ−3を検出するために用いた。
樹脂への固定化の場合(図18A)、HaloLink樹脂(25%スラリー、Promega、カタログ番号G1912)を最初に、HTPB緩衝液で平衡化した(50mM HEPES(pH7.5)、150mM NaCl、1mM DTT、および0.5mM EDTA)。1容量のスラリーからの樹脂を遠心分離により回収し(1000xgで5分)、ストレージ緩衝液を除去した。樹脂ペレットを2容量のHTPB中に再懸濁し、混合した。合計3回のHTPB洗浄のためにこの過程を繰り返した。実施例XI(無細胞発現反応)からの100μLのCBS−HT融合を、25μLの洗浄された樹脂(HTPB中の50%スラリー)と混合し、4℃で混合しながら一晩インキュベートした。インキュベーションは、周囲温度で2時間継続させた。インキュベーション後、樹脂を洗浄して結合されていないCBSを除去した。樹脂を2つの50μL分割量に分け、各分割量をHTPBで3回洗浄した。最終樹脂ペレットを50μLのHTPB中に再懸濁した。
CBSカスパーゼ−3切断反応の場合、20μlの洗浄された樹脂を、カスパーゼ−3を含む20μLの大腸菌溶解物、またはC(3)溶解緩衝液(実施例XIと同様)のいずれかと混合し、周囲温度で30分間インキュベートした。60μlのHEPES(pH7.5)をサンプルに添加した後、100μlのBright Gloアッセイ試薬を添加した。発光を前述されるように検出した(表8および図19)。
表8
プレートに固定化するために(図18B)、CBS−HT融合タンパク質を固定化するためのHalo Tag(登録商標)リガンドを含むマイクロタイタープレートを調製した。つまり、アミン−PEG2000−ClアルカンHalo Tag(登録商標)リガンド(0.25mM(最終濃度を含有する重炭酸塩緩衝液pH8.5(100μL)、PBI3961、およびメトキシ−PEG−NH
2(0.75mM最終濃度)を、NHSマイクロタイタープレートのウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。次に、ウェルを0.05% Tween−20を含むPBSで3回洗浄した。洗浄後、50mMのエタノールアミンを添加し、プレートを室温で30分間インキュベートして、0.05% Tween−20を含むPBSで再度3回洗浄した。次に、0.05% Tween−20を含むPBSを各ウェルに含むプレートを4℃で保管した。アッセイのために、ウェルを200μl HPTBで3回洗浄した。50μl CBS−HT無細胞発現反応(実施例XI)をウェルに添加し、4℃で一晩インキュベートした。インキュベーション後、プレートを200μl PBSI(0.05%IGEPALを含む1xPBS)で3回洗浄した。カスパーゼ−3を含む100μLの大腸菌溶解物、またはC(3)溶解緩衝液(上記)を添加し、プレートを室温で混合しながら60分間インキュベートした。次にウェルを100μl PBSIで洗浄した。100μLのHEPES(pH7.5)および100μlのBright−Gloアッセイ試薬を添加し、発光を前述のように検出した(表9)。
表9
実施例XIII:大腸菌内のCBS発現
本発明のプロテアーゼバイオセンサーが、大腸菌内で発現および機能可能であることを実証するために、CBS変異型1A5を大腸菌内で発現させ、それを用いてカスパーゼ−3を検出した。
CBS変異型1A5を、Halo Tag(登録商標)(CBSに対するC末端)および5xHQタグ(CBSに対するN末端)を含む、細菌発現ベクター(pFNA:HQ(5x):CBS:HT(7)、配列番号73および74)中にクローン化した。融合タンパク質は、大腸菌内で以下のように発現した。大腸菌(KRX)をベクターで形質転換した。スターター培養物(50mL、LBブロス)を単一コロニーから接種し、攪拌しながら(275rpm)37℃で17〜22時間増殖させた。スターター培養物を誘導媒質(500mL、0.05%グルコースおよび0.02%ラムノースを含むLBブロス)中に希釈し(1:50)、攪拌しながら(275rpm)25℃でさらに17〜22時間増殖を継続させた。培養物を2つの250mL分割量に分け、細胞を遠心分離により回収した(5,000xg、4℃で20分間)。1つの細胞ペレットを溶解緩衝液(25mL、50mM HEPES(pH7.5)、0.2XFastBreak、2mM DTT、0.05% CHAPS、50mMアルギニン、50mMグルタミン酸、0.2mg/mLリゾチーム、10U/mL RQ1 DNase、およびプロテアーゼ阻害剤(Beckton/Dickenson、カタログ番号544779))中に再懸濁し、氷上で30分間インキュベートした。インキュベーション後、サンプルを音波処理した(Misonix Sonicator−3000、合計4分、5秒オン、5秒休止、パワー設定5)。粗溶解物を遠心分離により除去し(20,000xg、4℃で20分間)、上清(除去された溶解物)をCBS源として用いた。カスパーゼ−3切断反応の場合、20μlの除去された溶解物を、カスパーゼ−3を発現する20μLの大腸菌溶解物(実施例XII)と混合し、室温で30分間インキュベートした。60μL HEPES(pH7.5)を添加した後、100μLのBright−Gloアッセイ試薬を添加した。発光を前述されるように検出した(図20)。
実施例XIV:大腸菌からのCBSの精製
大腸菌から本発明の機能的プロテアーゼバイオセンサーを精製する能力を実証するために、実施例XIII内で発現したCBSを、HisLink(Promega、カタログ番号V8821))カラムクロマトグラフィーを、製造者の指示に従って用いて精製した。つまり、25mLの除去された溶解物を、NaCl中で0.5M(最終濃度)にし、結合緩衝液(100mM HEPES(pH7.5)、10mMイミダゾール、500mM NaCl)で平衡化された2mLの沈降したHisLink樹脂に適用した。樹脂を12mLの結合緩衝液で洗浄した後、溶出緩衝液(100mM HEPES(pH7.5)、1000mMイミダゾール)で洗浄した。1.75mLの分画を回収した。
SDS−PAGEゲル解析の場合、サンプルをCA−TAMで標識し、前述のように解析した(図21A)。カスパーゼ−3切断反応の場合、20μlの各サンプルを、カスパーゼ−3を発現する20μLの大腸菌溶解物(実施例XII)と混合し、室温で30分間インキュベートした。60μLのHEPES(pH7.5)を添加した後、100μLのBright−Gloアッセイ試薬を添加した。発光を前述されるように検出した(表10および図21B)。
表10
実施例XV:CBSを発現した大腸菌の固定化
大腸菌内で発現したプロテアーゼバイオセンサーが、固体支持体に固定化され得る一方で、プロテアーゼを検出する能力を維持できることを実証するために、精製されたHQ:CBS:HT(5xHQタグ:CBS:Haloタグ)をHaloLink樹脂およびHaloLinkプレート上に固定化し、カスパーゼ−3による活性化について解析した。HaloLink樹脂上の固定化の場合、100μLの精製されたHQ:CBS:HTを30μLの沈降したHaloLink樹脂(前述されるようにHTPBで事前に平衡化された)に添加し、周囲温度で2時間インキュベートした。樹脂を300μLのHTPBで3回洗浄し、最終樹脂ペレットを300μLのHTPB中で再懸濁した。50μLの洗浄樹脂を、カスパーゼ−3を含む50μLの大腸菌溶解物、または50μLのC(3)溶解緩衝液に添加し、周囲温度で30分間インキュベートした。100μLのBright−Gloアッセイ試薬を添加し、発光を前述のように検出した(表11および図22)。
HaloLinkプレート上の固定化の場合、100μLの精製されたHQ:CBS:HTを、固定化されたHalo Tag(登録商標)リガンド(実施例XII)を含むμタイタープレートに添加した。プレートを室温で2時間混合しながらインキュベートした。次にプレートを1X PBSI(0.05% IGEPALを含む1X PBS)中で3回洗浄し、(前述のように調整された)カスパーゼ−3を含む100μLの大腸菌を用いて室温で30分間インキュベートした。100μLのBright−Gloアッセイ試薬を添加し、発光を前述されるように検出した(表11および図22)。
表11
実施例XVI−異なる標的細胞を有するNK92細胞の動態研究
本発明のグランザイムBバイオセンサーを用いて細胞媒介性細胞傷害を検出できることを実証するために、3つのグランザイムB認識部位のうちの1つ、または4つの対照認識部位のうちの1つを含むプロテアーゼバイオセンサーを生成した。
グランザイムB切断部位の設計:
1.既知のグランザイムB標的タンパク質に対するプロテアーゼ部位の検索
2.対応する非切断性対照配列を同様に形成する。
部位B(BID):GRIEADSE(配列番号80)および負の対照IEAA(配列番号83)(grBおよびカスパーゼ10)
部位C(Casp3):GIETDSG(配列番号82)および負の対照IETA(配列番号84)(grBおよびカスパーゼ8)
部位D(DDPK):KSVGPDFG(配列番号81)および負の対照VGPA(配列番号85)(grB特異的)
構築体を標的細胞(K562細胞)内で発現させ、NKエフェクター細胞を用いて共インキュベートした。発光を検出した。K562標的細胞を以下のベクターのうちの1つで形質導入した。
i)pGloSensor(商標)−30F−GRIEADSE:グランザイムBセンサーB(「B+」)
ii)pGloSensor(商標)−30F−IEAA:負の対照センサーB(「B−」)
iii)pGloSensor(商標)−30F−GIETSDG:グランザイムBセンサーC(「C+」)
iv)pGloSensor(商標)−30F−IETA:負の対照センサーC(「C−」)
v)pGloSensor(商標)−30F−KSVGPDFG:グランザイムBセンサーD(「D+」)
vi)pGloSensor(商標)−30F−IVGPA:負の対照センサーD(「D−」)または
vii)pGloSensor(商標)−30F−DEVD:正の対照センサー(「DEVD」)
グランザイムBセンサーまたは対照のセンサーを発現する細胞は、G418を用いて選択した。一旦選択されると、グランザイムBセンサーまたは対照センサー標的細胞を、NK92エフェクター細胞を用いてインキュベートした。次に、細胞を共インキュベートし、ルシフェラーゼ検出試薬を添加した、Veritas照度計上で発光を検出した。DEVD構築体は、アポトーシスのすべての誘導剤により活性化するため、正の対照として、カスパーゼ3/7のアポトーシス基質として用いた。
正の対照が対照エフェクター細胞株NK92と共働する能力を確立するために、K562細胞を、カスパーゼ3/7切断されたホタル(「DEVD」)バイオセンサー構築体により形質転換した。G418中の希釈を限定することにより、安定した形質転換体が得られた。ルシフェリン(2%)で30分間インキュベートした後、K562細胞を96−ウェル丸底白色プレートのウェルに30,000細胞/ウェルで添加した。次に、NK92細胞を、漸減するエフェクター/標的(E/T)比率(50:1〜0.1:1)でウェルに添加した。プレートを200xgで5分間遠心分離した後、37℃で3分毎に合計60分間、Biotek照度計上で発光を測定した。図23は、インキュベーションから6分後の発光シグナルの増加、および約40〜45分におけるシグナルの平坦域を示す。発光シグナルの増加は、0.75:1程度に低いE/T比で確認することができる。対照K562標的単独では、低い基底シグナルを有した。DEVDバイオセンサー構築体を発現するNK92およびK562細胞を、5% CO2インキュベーター内で37℃で、それぞれ90分、140分、および180分間共インキュベートした。プレートを室温で10分間冷却し、Veritasプレートリーダー上で発光を測定した。図24は、標的単独と比較して、すべての異なるE/T皮質で発光シグナルの誘導を示す。37℃でより長い(180分)インキュベーションほど、より高い発光シグナルを生じた。図23および24は、正の対照が対照エフェクター細胞株NK92と共働する能力を示す。
グランザイムBバイオセンサー、B+、C+、C−、D+、およびD−を、K562細胞中に形質転換し、G418選択を用いて選択した。カスパーゼ3/7バイオセンサー形質転換細胞(K562−DEVDクローン#6、「K562−DEVD#6」)を、上記と同じ方法で処理し、比較とした。細胞を採取し、2%ルシフェリン基質中で再懸濁して、96−ウェル丸底白色プレートのウェルに、1ウェル当たりそれぞれ2x105、1x105、および5x104 個の細胞を等分した。プレートを37℃で30分間インキュベートし、室温で10分間冷却した。発光をVeritasプレートリーダー上で読み取った。図25は、K562−DEVD#6およびK562−D−(K562−D+構築体細胞の負の対照)標的細胞が、他のグランザイムB構築体標的細胞よりも高い基底発光を有する(すなわち、エフェクターを含まない)ことを示す。図25は、NK92エフェクター細胞を含むグランザイムBセンサーを発現する標的細胞の共インキュベーションは、NK細胞シグナル伝達が起こるときに発光の生成をもたらすことも示す。さらに、データは、生成された発光が、わずか30,000標的細胞/ウェル内で容易に検出され、96ウェルプレート内の標的細胞に対するエフェクターの比が6:1であることを実証する。
K562−DEVD#6、グランザイムB切断可能な(D+)構築体、およびグランザイムB負の対照(D−)構築体標的細胞を検討した。形質転換K562標的細胞(図26Aおよび26EのK562−DEVDクローン#6、図26Bおよび26DのK562−D+親株、図26CのK562−D−親株)を、2%ルシフェリン基質を用いて、37℃で5%CO2インキュベーター内で30分間インキュベートした。細胞を96−ウェル丸底白色プレートのウェルに30,000細胞/ウェルで等分した。次に、エフェクターNK92細胞の滴定を、様々なエフェクター/標的(E/T)比(12:1〜0.75:1)でウェルに添加した。プレートを200xgで5分間遠心分離し、Biotek照度計内で37℃でインキュベートした。発光を3分毎に合計120分間測定した。図26A〜Cは、エフェクターNK92細胞が添加されたときのK562−DEVD#6(図26A)およびK562−D+標的細胞(図26B)内の発光シグナルの誘導を示すが、K562−D−標的細胞内の発光シグナルの誘導はなかった(図26C)図26Dおよび26Eは、図23に示される結果と同様に、インキュベーションから6分後に発光シグナルの増加を示し、約40〜45分でシグナルの平坦域を示す。また図26Dおよび26Eは、発光シグナルの増加が、わずか0.75:1という低いE/T比および対照で見られ得ることを示す。K562標的細胞単独は、低い基底シグナルを有した。
実施例XVII
上記のグランザイムBバイオセンサーを、EL4標的細胞(ATCC Manassas,VA)を用いて、マウス細胞傷害T細胞(CTL)をエフェクターとして使用して試験し、センサーが異なる標的細胞およびエフェクター細胞と共働するか否かを決定した。T細胞受容体(TCR)トランスジェニックP14マウス(A.T.C.C.を通じて入手可能)からの脾臓細胞を、インビトロで、リンパ球性脈絡髄膜炎(LCMV)gp33ペプチドを用いて、3日間(図27A)または2日間(図27B)刺激した後、それぞれIL−2内で2日または3日間拡張させた。CTLエフェクター細胞を単離し、2% GloSensor cAMP試薬を用いて事前にインキュベートされたEL4標的細胞を1ウェル当たり20,000個含むプレートに、12:1のエフェクター/標的比で添加した。プレートを200xgで5分間遠心分離し、発光をBiotek照度計で37℃で60分間測定した。図27Aおよび27Bに示されるように、P14マウスからの活性化されたCTL細胞は、マウスEL4細胞内で抗原特異的認識を通じて、カスパーゼ3/7(DEVD)およびグランザイムB(C+)バイオセンサーを誘起した。
実施例XVIII
上記のグランザイムBセンサーを試験して、センサーがグランザイムおよび/またはパーフォリン依存性であるか否かを決定した。グランザイムBノックアウト、パーフォリンノックアウト、およびJinxマウスを用い、それらはLykens et al,Blood 118:618−626(2011)に記載されている。マウス(3匹のグランザイムBノックアウトマウス、3匹のパーフォリンノックアウトマウス、3匹のJinxマウス、および5匹の野生型マウス)を、LCMVに感染させた(Lykens et al,Blood 118:618−626(2011)を参照)。感染後7日目に、脾臓細胞を採取し、上記のように形質転換されたgp33−パルスされたEL4標的細胞を、カスパーゼ3/7バイオセンサーまたはグランザイムBバイオセンサーを用いて12:1の比で共インキュベートした。gp33ペプチドは、優勢LCMVエピトープであり、それを用いて抗原をエフェクターT細胞に提示した。発光を37℃でGlomax照度計を用いて90分間測定した。図28Aおよび28Bは、カスパーゼ3/7バイオセンサーが、グランザイムBの標的細胞への送達およびパーフォリンに依存することを示す。図29は、グランザイムBバイオセンサー(C+)が、グランザイムBの標的細胞への送達に依存することを示す。
グランザイムBセンサー(D+)を発現するNK92およびK562細胞を用いて、パーフォリン依存性殺傷の阻害が、グランザイムBシグナルを遮断するか否かを決定した。NK92細胞を、コンカナマイシンA(CMA)、ブレフェルジン(BFA)、または対照(DMSO)を用いてインキュベートした。発光シグナルを、Veritas照度計上で、60分の共インキュベーション後に、様々なE/T比で37℃で測定した。図33は、シグナルの分泌顆粒/パーフォリン依存が生成されたことを示す。
実施例XIX
活性化および特異性を確認するために、GRIEADSE(「GzB1」)、KSVGPDFG(「GzB5」)、GIETDSG(「GzB3」)、またはDEVDG(「GLS−DEVD」)認識および切断部位をコードするバイオセンサー構築体は、GRIEAASE(「GzB2」)、KSVPPAFG(「GzB6」)、GIETASG(「GzB4」)をコードする非切断性対照構築体と一緒に、インビトロで発現させ、マウスまたはヒトグランザイムBで処理した(表12を参照)。バイオセンサー構築体は、小麦胚芽抽出物(Promega、カタログ番号L4140)およびFluorotect(Promega、カタログ番号L5001)内で、製造者の推奨するプロトコルに従って30℃で2時間転写および翻訳した。ヒトグランザイムB(Enzo BML−SE238)またはマウスグランザイムB(Sigma G9278)を、アッセイ緩衝液中で連続的に希釈した(100mM HEPES、pH=7.4、200mM NaCl、0.2% CHAPS、2mM EDTA、20%グリセロール、1mM DTT)。連続的に希釈した酵素を、1:1で無細胞発現抽出物と混合し、サンプルを37℃で1時間インキュベートさせた。1時間後、10μLの反応混合物を、新しいプレートに3重に移した後、100μLのルシフェラーゼアッセイ試薬(Promega、カタログ番号E1500)を注入し、GloMax Multi Plus照度計上で発光を測定した(Promega、0.5秒積分時間)。図30Aおよび30Bは、グランザイムB切断部位を持つ構築体が、酵素濃度の増加に伴って用量依存性の発光の増加を示したが、P1アスパラギン酸残基を欠失するか、またはカスパーゼ−3/7切断部位(DEVDG)を含む対照構築体は、用量依存性の発光の増加を示さなかったことを示す。
表12
実施例XX
健常な対照患者(WT/WT)および両アレルパーフォリン変異(Mut/Mut)を有する患者から得たヘルペスサイミリウイルス(HSV)変換されたIL−2活性化NK細胞を、様々なE/T比で、グランザイムBバイオセンサーB+、C+、C−、D+、およびD−を含むK562標的細胞と共インキュベートし、G418を用いて選択した。細胞を採取し、2%ルシフェリン基質中で再懸濁して、96−ウェル底プレートのウェルに、1ウェル当たりそれぞれ2x105、1x105、および5x104個の細胞を等分した。プレートを37℃で30分間インキュベートし、室温で10分間冷却した。発光をVeritas照度計プレートリーダー上で読み取った。図31は、グランザイムB送達が、健常な対照患者(WT/WT)および両アレルパーフォリン変異(MUT/MUT)を有する患者から得たIL−2活性化NK細胞株内の発光を誘導したことを示す。図31は、生成された発光シグナルのパーフォリン依存を示す。
実施例XXI
健常なドナー(n=5)からのPBMC細胞を、高用量IL−2(1000U/mL)を用いて4〜8日間培養した。4、5、6、および8日目に、細胞を様々なE/T比で、グランザイムBバイオセンサーD+で形質転換されたK562標的細胞と、37℃で60分間共インキュベートした。図34は、IL−2への長期曝露後のグランザイムBバイオセンサーからの発光を活性化できることを示す。
実施例XXII
ヒトCD34細胞を臍帯血(健常ドナー)から単離し、IL−15および幹細胞因子(SCF)内の間質細胞(MS5)上で5週間培養した後、グランザイムBバイオセンサーD+を発現するK562細胞に対する細胞傷害性を試験した。発光を、上述のようにBiotek照度計で37℃で測定した。図35は、臍帯由来のIL−15刺激細胞が、グランザイムBを放出して、それをグランザイムBバイオセンサーを含む標的細胞に送達し、バイオセンサーからの発光を活性化することが可能であることを示す。
実施例XXIII
図32A〜Bは、一次NKおよびNK92細胞を有する、カスパーゼ3/7バイオセンサーおよびグランザイムBバイオセンサーの使用を示す。図36A〜Bは、Jurkat標的細胞内のカスパーゼ3/7バイオセンサーおよびグランザイムBバイオセンサーの使用を示す。
すべての発行物、特許、および特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。前述の明細書において、本発明は、その所定の実施形態に関連して説明したが、多くの詳細は、例示の目的で記載されており、本発明は、追加の実施形態の影響を受け易いこと、および本明細書の詳細の一部は、本発明の基本原理から逸脱することなく大幅に変動し得ることは、当業者に明らかとなるであろう。
したがって、本発明は、特に、標的分子に対して強化された応答を有する、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーを提供する。本発明の様々な特徴および利益は、以下の請求項に記載されている。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕円順列置換熱安定性ルシフェラーゼをコードするポリヌクレオチドであって、
前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼが、非順列置換熱安定性ルシフェラーゼの本来のN末端およびC末端を連結するペプチドリンカーを含み、
前記ペプチドリンカーが、グランザイムB認識部位を含み、
前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼが、切断されていない円順列置換熱安定性ルシフェラーゼと比較したときに、グランザイムBによる切断後に発光が増加する、ポリヌクレオチド。
〔2〕前記グランザイムB認識部位には、ペプチドリンカーが隣接する、前記〔1〕に記載のポリヌクレオチド。
〔3〕前記グランザイムB認識部位が、GRIEADSE(配列番号80)、KSVGPDFG(配列番号81)、またはGIETDSG(配列番号82)である、前記〔1〕または〔2〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
〔4〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
〔5〕前記ポリヌクレオチドが、プロモーターに操作可能に連結される、前記〔4〕に記載のベクター。
〔6〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、または前記〔4〕もしくは〔5〕に記載のベクターを含む、細胞。
〔7〕前記〔6〕に記載の細胞を含む、非ヒトトランスジェニック動物。
〔8〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドによりコードされた円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー。
〔9〕細胞またはサンプル中の活性グランザイムBの存在または量のうちの少なくとも1つを検出するための方法であって、
a)前記細胞またはサンプルを、
i)円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーをコードする、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、または前記〔4〕もしくは〔5〕に記載のベクター、または前記〔8〕に記載の円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー、および
ii)前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの基質と接触させることと、および
b)前記細胞またはサンプル内の発光を検出することであって、前記グランザイムBが、前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー内の前記ペプチドリンカーを切断することができ、それにより前記活性グランザイムBの存在または量を検出する、発光を検出することと、を含む、方法。
〔10〕細胞またはサンプル中の活性グランザイムBの存在または量のうちの少なくとも1つを検出するための方法であって、
a)前記細胞またはサンプルを、
i)円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーをコードする、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、または前記〔4〕もしくは〔5〕に記載のベクター、または前記〔8〕に記載の円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー、
ii)前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの基質、および
iii)細胞傷害性リンパ球と接触させることと、
b)前記細胞またはサンプル内の発光を検出することであって、前記グランザイムBが、前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの前記ペプチドリンカーを切断することができ、それにより細胞傷害性リンパ球から放出された前記活性グランザイムBの存在または量を検出する、発光を検出することと、を含む、方法。
〔11〕前記細胞傷害性リンパ球が、患者もしくは患者由来の細胞傷害性Tリンパ球またはサイトカインで活性化されたナチュラルキラー細胞である、前記〔10〕に記載の方法。
〔12〕前記グランザイムBの検出が、前記細胞傷害性リンパ球の前記細胞傷害機能を決定する、前記〔10〕または〔11〕に記載の方法。
〔13〕前記グランザイムB活性の検出が、細胞媒介性細胞傷害を示す、前記〔1〕〜〔12〕のいずれか1項に記載の方法。
〔14〕グランザイムB活性の1つ以上の調節因子についてスクリーニングする方法であって、 a)細胞またはサンプルを、
i)1つ以上の試験薬、
ii)円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーをコードする、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、または前記〔4〕もしくは〔5〕に記載のベクター、または前記〔8〕に記載の円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー、および
iii)前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの基質と接触させることと、および
b)前記細胞またはサンプル内の発光を検出することであって、前記グランザイムBが、前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの前記ペプチドリンカーを切断することができ、それによりグランザイムBの調節因子を識別する、発光を検出することと、を含む、方法。
〔15〕前記調節因子が、グランザイムBの阻害剤である、前記〔14〕に記載の方法。
〔16〕前記阻害剤が、siRNAである、前記〔15〕に記載の方法。
〔17〕前記調節因子が、グランザイムBのエンハンサーである、前記〔14〕に記載の方法。
〔18〕前記エンハンサーまたは阻害剤が、小分子、ペプチドまたはタンパク質である、前記〔15〕および〔17〕に記載の方法。
〔19〕細胞の細胞傷害機能の1つ以上の調節因子についてスクリーニングする方法であって、 a)標的細胞集団を、
i)円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーをコードする、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、または前記〔4〕もしくは〔5〕に記載のベクター、または前記〔8〕に記載の円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー、および
ii)前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの基質と接触させることと、
b)前記標的細胞集団および/または細胞傷害を媒介する細胞を1つ以上の試験薬と接触させることと、および
c)前記標的細胞集団内の発光を検出することであって、前記細胞傷害を媒介する細胞から放出された前記グランザイムBが、前記標的細胞内で前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの前記ペプチドリンカーを切断することができ、それにより前記細胞傷害機能の調節因子を識別する、発光を検出することと、を含む、方法。
〔20〕前記調節因子が、前記細胞傷害機能の阻害剤である、前記〔19〕に記載の方法。
〔21〕前記阻害剤が、siRNAである、前記〔20〕に記載の方法。
〔22〕前記調節因子が、前記細胞傷害機能のエンハンサーである、前記〔15〕に記載の方法。
〔23〕前記エンハンサーまたは阻害剤が、小分子、ペプチドまたはタンパク質である、前記〔20〕および〔22〕に記載の方法。
〔24〕前記スクリーニングが、多重ウェル形式で行われる、前記〔14〕〜〔23〕のいずれか1項に記載の方法。
〔25〕細胞過程内のグランザイムB活性を検出する方法であって、
a)細胞またはサンプルを、
i)1つ以上の試験薬、
ii)円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーをコードする、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、または前記〔4〕もしくは〔5〕に記載のベクター、または前記〔8〕に記載の円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー、および
iii)前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの基質と接触させることと、および
b)前記細胞またはサンプル内の発光を検出することであって、前記グランザイムBが、前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー中の前記ペプチドリンカーを切断することができ、それによりグランザイムB活性を検出する、発光を検出することと、を含む、方法。
〔26〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドによりコードされる、ポリペプチド。
〔27〕前記〔26〕に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
〔28〕前記〔26〕に記載のポリペプチドを含む、融合タンパク質。
〔29〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、または前記〔4〕もしくは〔5〕に記載のベクターを含む、キット。
〔30〕非順列置換熱安定性ルシフェラーゼの本来のN末端およびC末端を連結するペプチドリンカーを含む、円順列置換熱安定性ルシフェラーゼをコードする、ポリヌクレオチドであって、
前記ペプチドリンカーが、カスパーゼ−3またはカスパーゼ−7アイソフォームのうちの少なくとも1つにより認識および切断される、カスパーゼ−3またはカスパーゼ−7認識部位を含み、
前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼが、切断されていない円順列置換熱安定性ルシフェラーゼと比較して、カスパーゼ−3またはカスパーゼ−7による切断後に発光が増加する、ポリヌクレオチド。
〔31〕前記カスパーゼ−3またはカスパーゼ−7認識部位には、ペプチドリンカーが隣接する、前記〔30〕に記載のポリヌクレオチド。
〔32〕前記カスパーゼ−3またはカスパーゼ−7認識部位が、DEVDGである、前記〔30〕および〔31〕に記載のポリヌクレオチド。
〔33〕前記〔30〕〜〔32〕に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
〔34〕前記ポリヌクレオチドが、プロモーターに操作可能に連結される、前記〔33〕に記載のベクター。
〔35〕細胞傷害機能の1つ以上の調節因子についてスクリーニングする方法であって、
a)標的細胞集団を、
i)円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーをコードする、前記〔30〕〜〔32〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、または前記〔33〕もしくは〔34〕に記載のベクター、または前記〔30〕〜〔32〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド、または前記〔33〕もしくは〔34〕に記載のベクター、および
ii)前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの基質と接触させることと、
b)前記標的細胞集団および/または細胞傷害を媒介する細胞を1つ以上の試験薬と接触させることと、および
b)前記標的細胞集団内の発光を検出することであって、前記細胞傷害を媒介する細胞が、カスパーゼ−3またはカスパーゼ−7のうちの少なくとも1つを活性化することができ、前記少なくとも1つの活性化されたカスパーゼ−3またはカスパーゼ−7が、前記標的細胞集団内の前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーを切断および活性化し、それにより前記細胞傷害機能の調節因子を識別する、発光を検出することと、を含む、方法。
〔36〕前記調節因子が、前記細胞傷害機能の阻害剤である、前記〔35〕に記載の方法。
〔37〕前記阻害剤が、siRNAである、前記〔35〕に記載の方法。
〔38〕前記調節因子が、前記細胞傷害機能のエンハンサーである、前記〔35〕に記載の方法。
〔39〕前記エンハンサーまたは阻害剤が、小分子、ペプチドまたはタンパク質である、前記〔36〕および〔38〕に記載の方法。
〔40〕前記スクリーニングが、多重ウェル形式で行われる、前記〔35〕〜〔39〕のいずれか1項に記載の方法。