JP2015139926A - 積層体 - Google Patents

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義明 樋口
有賀 広志
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広志 有賀
卓也 中尾
Takuya Nakao
卓也 中尾
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Abstract

【課題】優れた耐候性を有する機能層を備えた積層体の提供。【解決手段】内側に機能層(印刷層10)を有する積層体であって、前記機能層が有機系添加剤を含有する層または印刷層10であり、前記機能層の一方の面側の最外層が、厚さ20μm以上の第1の含フッ素樹脂層1であり、前記機能層の他方の面側の最外層が、厚さ20μm以上の第2の含フッ素樹脂層2である積層体。【選択図】図1

Description

本発明は機能層を有する積層体に関する。
例えば運動施設(プール、体育館、テニスコート、サッカー場等)、園芸施設(園芸ハウス、農業用ハウス等)、アトリウム等の膜構造建築物に用いられる膜材(屋根材、外壁材等)に各種の機能を付与するために、該膜材に印刷層からなる機能層や、有機系添加剤を含有する機能層を設けることが知られている。
例えば特許文献1には、含フッ素樹脂とアルミペーストを溶剤に溶解させたグラビアインキを用いて、基材上に印刷層を形成した積層体が記載されている。
特許文献2には、無機系紫外線遮断材料と波長変換材料とを含む、波長変換機能を有するフィルムが記載されている。また、含フッ素樹脂および無機系紫外線遮断材料を含む層と、含フッ素樹脂および波長変換材料を含む層を積層した積層体も記載されている。
特開2012−076079号公報 国際公開第2008/126766号
機能層を有する積層体にあっては、太陽光線、気温(熱)、風雨等の原因によって機能層による機能の劣化が生じるという問題がある。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、優れた耐候性を有する機能層を備えた積層体の提供を目的とする。
本発明は、下記[1]〜[7]の構成を有する積層体である。
[1] 内側に機能層を有する積層体であって、前記機能層が有機系添加剤を含有する層または印刷層であり、前記機能層の一方の面側の最外層が、厚さ20μm以上の第1の含フッ素樹脂層であり、前記機能層の他方の面側の最外層が、厚さ20μm以上の第2の含フッ素樹脂層であることを特徴とする積層体。
[2] 前記第1の含フッ素樹脂層を構成する含フッ素樹脂および第2の含フッ素樹脂層を構成する含フッ素樹脂が、それぞれ、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)−ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオリド、ポリビニルフルオリド、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオリド共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体およびテトラフルオロエチレン−2,2−ビストリフルオロメチル−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソール共重合体からなる群から選ばれる1種以上である、[1]の積層体。
[3] 第1の含フッ素樹脂層を構成する含フッ素樹脂と、第2の含フッ素樹脂層を構成する含フッ素樹脂とが同種である、[1]または[2]の積層体。
[4] 前記機能層が含フッ素樹脂と有機系添加剤を含む層であり、第1の含フッ素樹脂層を構成する含フッ素樹脂と、第2の含フッ素樹脂層を構成する含フッ素樹脂と、機能層に含まれる含フッ素樹脂とが同種である、[1]または[2]の積層体。
[5] 前記機能層と、前記第1の含フッ素樹脂層および第2の含フッ素樹脂層の一方または両方とが、接着剤層を介して一体化されている、[1]〜[4]のいずれかの積層体。
[6] 前記第1の含フッ素樹脂層または第2の含フッ素樹脂層の少なくとも一方が添加剤を含み、該添加剤が無機系添加剤である、[1]〜[5]のいずれかの積層体。
[7] 膜構造建築物用膜材である、[1]〜[6]のいずれかの積層体。
本発明によれば、機能層を備え、耐候性に優れた積層体が得られる。
本発明の積層体は、機能層の機能が長期にわたって維持される。
本発明の積層体の実施形態を示した断面図である。 本発明の積層体の他の実施形態を示した断面図である。 本発明の積層体の他の実施形態を示した断面図である。 例3の積層体について分光光線透過率を測定した結果を示すグラフである。 例4の積層体について分光光線透過率を測定した結果を示すグラフである。 例5の積層体について分光光線透過率を測定した結果を示すグラフである。 例6の積層体について分光光線透過率を測定した結果を示すグラフである。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「含フッ素樹脂」とは、分子内にフッ素原子を有する高分子化合物を意味する。
「膜構造建築物」とは、屋根、外壁等の少なくとも一部を膜材で構成した建築物を意味する。
本発明の積層体は、少なくとも、2つの含フッ素樹脂層(第1の含フッ素樹脂層および第2の含フッ素樹脂層)と機能層とを含み、該2つの含フッ素樹脂層が積層体の最外層である。機能層は有機系添加剤を含む層または印刷層である。
(含フッ素樹脂層)
含フッ素樹脂層は含フッ素樹脂からなる層、または含フッ素樹脂に必要に応じて添加剤が添加された組成物からなる層である。
含フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン[PTFE]、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体[PFA]、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体[ETFE]、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)−ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)共重合体[MFA]、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体[FEP]、ポリビニリデンフルオリド[PVDF]、ポリビニルフルオリド[PVF]、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオリド共重合体[THV]、ポリクロロトリフルオロエチレン[PCTFE]、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体[ECTFE]およびテトラフルオロエチレン−2,2−ビストリフルオロメチル−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソール共重合体等が挙げられる。
含フッ素樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
含フッ素樹脂の分子量の指標となるメルトフローレート(以下、MFRとも記す。)は、1〜120g/10分が好ましく、3〜80g/10分が特に好ましい。前記範囲の下限値以上であると含フッ素樹脂が成形性に優れ、前記範囲の上限値以下であると含フッ素樹脂層の強度に優れる。
MFRの測定方法はASTMで定められており、例えば、以下のように樹脂の種類により測定温度と荷重が規定されている。
FEP;ASTM D2116、測定温度372℃、荷重5kg(約49N)。
PVDF;ASTM D1238、測定温度232℃、荷重10kg(約98N)。
ETFE;ASTM D3159、測定温度297℃、荷重5kg(約49N)。
含フッ素樹脂層を構成する含フッ素樹脂の融点は300℃以下が好ましい。含フッ素樹脂層を構成する含フッ素樹脂が2種以上である場合は、各含フッ素樹脂の融点がそれぞれ300℃以下であることが好ましい。
含フッ素樹脂の融点が300℃以下であると成形が容易であり、成形に要する装置の腐食等のトラブルが生じにくい。含フッ素樹脂の融点は290℃以下がより好ましく、280℃以下が特に好ましい。該融点の下限値は特に限定されないが、現実的には120℃以上が好ましく、160℃以上が特に好ましい。含フッ素樹脂の融点は、分子量や単量体組成によって調整可能である。
融点が300℃以下である含フッ素樹脂としては、ETFE、MFA、FEP、PVDF、PVF、THV、PCTFE、ECTFEおよびテトラフルオロエチレン−2,2−ビストリフルオロメチル−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソール共重合体が挙げられる。
含フッ素樹脂層の厚さは20μm以上であり、30μm以上が好ましく、50μm以上が特に好ましい。前記範囲の下限値以上であると含フッ素樹脂層の機械的強度に優れる。上限は特に限定されないが、質量およびコストの点からは500μm以下が好ましく、300μm以下が特に好ましい。
含フッ素樹脂層に含有させてもよい添加剤としては、公知のものを適宜用いることができる。具体例としては、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、赤外線吸収剤、難燃剤、難燃フィラー、有機顔料、無機顔料、染料等が挙げられる。耐候性が優れる点からは無機系添加剤が好ましい。
含フッ素樹脂層における添加剤の含有量は10質量%以下が好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
無機系紫外線吸収剤としては、無機化合物それ自体が持っている紫外線吸収能と粒子サイズの制御によって紫外線波長領域の散乱能(Mie散乱またはRayleigh散乱と呼ばれる)の2つの機能を発揮するものが主流である。
無機系紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄等が挙げられる。
特に、含フッ素樹脂層に含有させる無機系紫外線吸収剤として、特許第3711692号公報に記載されている、最外層から不定形シリカ−酸化セリウム−ベース顔料の3層構造を有する複合体粒子が好ましい。ベース顔料は、シリカ、タルク、マイカから選ばれる。
(印刷層)
印刷層を形成するインキ組成物および形成方法は、含フッ素樹脂層上に印刷を施す方法として公知のインキ組成物および印刷方法を用いることができる。印刷層における塗膜の形状(印刷パターン)は特に限定されない。例えば水玉、格子等が用いられる。
インキ組成物は、バインダー(膜形成成分)と、着色成分とを含み、必要に応じて溶剤を含む。バインダーとしては、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、含フッ素樹脂等を好適に用いることができる。
着色成分としては、有機顔料、無機顔料(例えば酸化チタン、カーボンブラック、酸化コバルト、アルミペースト、マイカ)等の着色顔料;染料を用いることができる。有機顔料または無機顔料は、シリコンオイル、ステアリン酸等の界面活性剤を被覆してもよい。アルミペーストは、架橋密度の高いアクリル樹脂等またはシリカを表面に被覆してもよい。
溶剤としてはキシレン、トルエン等の芳香族炭化水素;酢酸ブチル等のエステル類;メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類;n−ヘキサン、リグロイン等の飽和炭化水素類;HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)が挙げられる。溶剤は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
バインダーとして、特許第5120489号公報に記載されている、水酸基含有含フッ素共重合体を用いると耐候性に優れる印刷層が形成される点で好ましい。
該水酸基含有含フッ素共重合体は、エチレン性不飽和基を有する含フッ素モノマーに基づく単位の1種以上と、水酸基を有する重合性モノマーに基づく単位の1種以上を含有し、さらにフッ素原子を含有しない重合性モノマーに基づく単位の1種以上を有することが好ましい。
水酸基含有含フッ素共重合体の質量平均分子量(Mw)は塗膜の凝集破壊が生じ難い点で30,000以上が好ましく、35,000以上がより好ましく、40,000以上が特に好ましい。上限はインキ組成物の熱流動性に優れ、塗膜の接着性向上において重要な、界面での濡れ性を確保しやすい点で、60,000以下が好ましく、55,000以下がより好ましく、50,000以下が特に好ましい。
エチレン性不飽和基を有する含フッ素モノマーとしては、炭素数2〜3のフルオロオレフィン類が好ましく、特にテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン等のフルオロエチレン類が特に好ましい。
水酸基を有する重合性モノマーとしては、アリルアルコール;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類;2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、3−ヒドロキシプロピルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ヒドロキシ酢酸ビニル、ヒドロキシイソ酪酸ビニル、ヒドロキシプロピオン酸ビニル、ヒドロキシ酪酸ビニル、ヒドロキシ吉草酸ビニル、ヒドロキシシクロヘキシルカルボン酸ビニル等のヒドロキシアルキルカルボン酸とビニルアルコールとのエステル類;ヒドロキシエチルアリルエステル、ヒドロキシプロピルアリルエステル、ヒドロキシブチルアリルエステル、ヒドロキシイソブチルアリルエステル、ヒドロキシシクロヘキシルアリルエステル等のヒドロキシアルキルアリルエステル類等が挙げられる。
フッ素原子を含有しない重合性モノマーとしては、ビニル系単量体、すなわち、炭素−炭素二重結合を有する化合物が好ましい。ビニル系単量体は、フルオロオレフィンとの交互共重合性に優れ、重合収率を高くできる。ビニル系単量体としては、炭素数1〜15の直鎖状、分岐状または脂環状のアルキル基を有するビニルエーテル類が好ましい。具体例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテルが挙げられる。
(有機系添加剤を含有する層)
有機系添加剤を含有する層は、層形成成分中に有機系添加剤が含まれている層である。
有機系添加剤は、樹脂層に各種機能を付与できる有機系添加剤として公知のものを用いることができる。例えば、波長変換材料(紫外線領域または可視光線領域に吸収波長および発光波長を有する材料)、紫外線吸収剤、光安定剤、光拡散剤等が挙げられる。
有機系添加剤の具体例としては、ターフェニレン系色素、オキソザール系色素、クマリン系色素、インドール系色素、マラカイトグリーン系色素、ローダミン系色素、オキサジン系色素、π共役系芳香族色素(アントラセン系色素、ピレン系色素、ペリレン系色素等。)等の波長変換材料;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;トリアジン系紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系光安定剤;ヒンダードフェノール系光安定剤;ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等の微小粒子からなる光拡散剤等が挙げられる。
有機系添加剤を含有する層の層形成成分としては、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、含フッ素樹脂等を用いることができる。特に耐水性および耐薬品性に優れる点で含フッ素樹脂が好ましい。含フッ素樹脂としては、前記含フッ素樹脂層を構成する含フッ素樹脂として好ましいものが好適である。
(接着剤層)
機能層と含フッ素樹脂層とを接着する接着剤としてはアクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、エポキシ系、シリコーン系等の加熱硬化型接着剤または紫外線硬化型接着剤を用いることができる。
または、例えば国際公開第2012/118160号に記載されている、ポリカーボネートポリオール(a1)を原料とするポリウレタン樹脂(A)と、硬化剤(B)とを含有する接着剤を用いると、ポリウレタン樹脂(A)と硬化剤(B)の反応により硬化し、含フッ素樹脂層との優れた接着強度が得られやすい点で好ましい。
ポリウレタン樹脂(A)は、ポリカーボネートポリオール(a1)とアルキレンジオール鎖伸長剤(a2)(以下、鎖伸長剤(a2)ともいう。)と有機ジイソシアネート(a3)を反応させて得られるポリウレタン樹脂(A1)、またはポリカーボネートポリオール(a1)と有機ジイソシアネート(a3)を反応させて得られるポリウレタン樹脂(A2)が好ましい。
ポリカーボネートポリオール(a1)としては、ジオールと短鎖ジアルキルカーボネートとの反応により得られるポリカーボネートポリオールが挙げられる。
ジオールとしては、分枝アルキル側鎖を有するジオール(例えば、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールおよび2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等)、および分岐アルキル側鎖を有しないジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等)からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
短鎖ジアルキルカーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の炭素数1〜4のアルキル基を有するジアルキルカーボネートが挙げられる。
ポリカーボネートポリオール(a1)の質量平均分子量は、400〜8,000が好ましく、700〜5,000が特に好ましい。
鎖伸長剤(a2)としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールおよび2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
鎖伸長剤(a2)の分子量は、62〜400が好ましい。
有機ジイソシアネート(a3)としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
芳香族ジイソシアネート(ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、および前記芳香族ジイソシアネートと低分子グリコール類とのプレポリマー等);
脂肪族ジイソシアネート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、および前記脂肪族ジイソシアネートと、エチレングリコール、プロピレングリコール等の低分子グリコール類とのプレポリマー等);
脂環族ジイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、水添化4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート、および前記脂環族ジイソシアネートと低分子グリコール類とのプレポリマー等);およびこれらの2種以上の混合物等。
有機ジイソシアネート(a3)としては、前記したもののなかでも、耐候性に優れる点から、水添化4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族または脂環族ジイソシアネートが好ましい。
ポリウレタン樹脂(A)は市販品を用いることができる。例えば、ロックペイント社製のHD−1013(製品名)、三井化学社製のタケラックA−1102(製品名)、東洋インキ製のAD−76P1(製品名)等が挙げられる。
硬化剤(B)としては、ポリイソシアネートが好ましい。ポリイソシアネートとしては、例えば、有機ジイソシアネート(a3)で挙げたジイソシアネートとポリオールとのアダクト体、有機ジイソシアネート(a3)で挙げたジイソシアネートのイソシアヌレート体、ビューレット体、アロファネート体等、1分子内にイソシアネート基を2個以上有する化合物が挙げられる。
具体的には、1モルのトリメチロールプロパンに3モルのジイソシアネートを付加して得られるアダクト体、3モルのジイソシアネートに1モルの水を反応させて得られるビューレット体、または3モルのジイソシアネートの重合で得られるイソシアヌレート体等の多官能の有機ポリイソシアネート等が挙げられる。
硬化剤(B)としては、イソシアヌレート環構造を含み、イソシアネート基の含有量が10〜28質量%のイソシアヌレート体が好ましい。
硬化剤(B)は、イソシアネート基がブロック化されたブロック化イソシアネートであってもよい。イソシアネート基のブロック化は、イプシロンカプロラクタム(E−CAP)、メチルエチルケトンオキシム(MEK−OX)、メチルイソブチルケトンオキシム(MIBK−OX)、ピラリジン、トリアジン(TA)等によって行える。
硬化剤(B)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
接着剤層は、前記有機系添加剤または無機系添加剤を含んでいてもよい。
ポリウレタン樹脂(A)と、硬化剤(B)とを含有する接着剤に紫外線吸収剤を含有させる場合は、トリアジン系の紫外線吸収剤が好ましく、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤が特に好ましい。
(積層体)
本発明の積層体の最外層は第1の含フッ素樹脂層と第2の含フッ素樹脂層とであり、これらの内側に機能層を有する。
第1の含フッ素樹脂層および第2の含フッ素樹脂層の一方または両方と機能層が直接接していてもよく、これらの間に他の層が介在してもよい。
第1の含フッ素樹脂層と機能層とが接着剤層を介して一体化されていてもよく、第2の含フッ素樹脂層と機能層とが接着剤層を介して一体化されていてもよく、それらの両方であってもよい。
図1〜3は本発明の積層体の好ましい実施形態の例を示したものである。
図1の積層体は、第1の含フッ素樹脂層1/印刷層10/接着剤層20/第2の含フッ素樹脂層2の順で積層一体化されている。
図2の積層体は、第1の含フッ素樹脂層1/有機系添加剤を含む層11/第2の含フッ素樹脂層2の順で積層一体化されている。
図3の積層体は、第1の含フッ素樹脂層1/接着剤層21/有機系添加剤を含む層11/接着剤層21/第2の含フッ素樹脂層2の順で積層一体化されている。
第1の含フッ素樹脂層を構成する含フッ素樹脂と、第2の含フッ素樹脂層を構成する含フッ素樹脂は互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。構成が対称であり、カール等の曲がりがない積層体になりやすい点からは互いに同種であることが好ましい。
第1の含フッ素樹脂層を構成する含フッ素樹脂と、第2の含フッ素樹脂層を構成する含フッ素樹脂と、機能層に含まれる含フッ素樹脂は互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。構成が対称であり、カール等の曲がりがない積層体になりやすい点からは互いに同種であることが好ましい。
また隣接する2層に含まれる含フッ素樹脂が互いに同種であると、接着剤層を介さなくても優れた接着強度が得られやすい点で好ましい。
(製造方法)
本発明の積層体は、熱圧着法、ドライラミネート法、押出積層法、共押出し法等の公知の手法を用いて製造できる。
機能層が有機系添加剤を含む層である積層体は、例えば以下の(I)〜(IV)の方法で製造できる。
(I)含フッ素樹脂フィルムと、有機系添加剤を含むフィルムを熱圧着する工程を有する、積層体の製造方法。
(II)有機系添加剤を含むフィルムの表面上に、含フッ素樹脂の溶融物を積層して固化させる工程、または含フッ素樹脂フィルムの表面上に、有機系添加剤を含む樹脂組成物を積層して固化させる工程を有する、積層体の製造方法。
(III)含フッ素樹脂フィルムの表面上、または有機系添加剤を含むフィルムの表面上に接着剤を塗布後、これらを積層する工程を有する、積層体の製造方法。
(IV)含フッ素樹脂の溶融物および有機系添加剤を含む樹脂組成物を共押出する工程を有する、積層体の製造方法。
機能層が印刷層である積層体は、例えば以下の(V)または(VI)の方法で製造できる。
(V)第1の含フッ素樹脂フィルムの表面上に、印刷により印刷層を形成する工程と、該印刷層を有する面上、または第2の含フッ素樹脂フィルムの表面上に接着剤を塗布後、印刷層上に第2の含フッ素樹脂フィルムを積層する工程を有する、積層体の製造方法。
(VI)第1の含フッ素樹脂フィルムの表面上に、印刷により印刷層を形成する工程と、該印刷層を有する面上に、含フッ素樹脂の溶融物を積層して固化させる工程を有する、積層体の製造方法。
含フッ素樹脂フィルムまたは有機系添加剤を含むフィルムは、溶液製膜法、溶融製膜法等公知のフィルム製造方法を用いて製造することができる。
含フッ素樹脂フィルムの厚さと、積層体における含フッ素樹脂層の厚さとは等しいとみなすことができる。有機系添加剤を含むフィルムの厚さと積層体における有機系添加剤を含む層の厚さとは等しいとみなすことができる。
(I)の方法において熱圧着は、熱プレス法、熱ロール法等公知の手法を用いて行うことができる。
(II)、(VI)の方法は押出積層法等公知の手法を用いて行うことができる。
(III)、(VI)の方法は、接着剤溶液を、ロールコート法やスプレーコート法等で塗布後乾燥した後、所定の積層順に重ねた状態で該接着剤を硬化させることで一体化できる。接着剤の固形分量は2〜60g/mが好ましく、5〜30g/mが特に好ましい。
含フッ素樹脂フィルムと接着剤層の親和性を向上する目的で、含フッ素樹脂フィルム表面にコロナ放電処理、プラズマ放電処理、化学処理等により窒素や酸素官能基を形成することも好ましい。
(V)または(VI)の方法において、含フッ素樹脂層と印刷層との優れた接着性を得るために、含フッ素樹脂層の、印刷層が形成される面が、印刷層形成前に表面処理されていることが好ましい。表面処理方法としては、含フッ素樹脂層の密着性改善法として公知の方法を適宜採用できる。例えば、コロナ放電処理、金属ナトリウム処理、機械的粗面化処理、エキシマレーザー処理等が使用できる。特に、コロナ放電処理が好ましい。
(作用効果)
本発明の積層体は機能層が内側に設けられ、表裏両側の最外層が耐候性に優れる含フッ素樹脂層からなるため、太陽光線、気温(熱)、風雨等の原因による機能層の劣化が抑えられ、機能層の機能が長期にわたって維持される。
機能層に含まれる有機系添加剤は、無機系添加剤に比べて太陽光線、気温(熱)等による劣化が進行しやすいが、これを良好に抑えることができる。
また印刷層が露出していると、太陽光線または気温(熱)による劣化だけでなく、雨等水分と接触することによる劣化が進行しやすいが、これも良好に抑えることができる。
(用途)
本発明の積層体は、耐候性に優れることから、膜構造建築物(運動施設、園芸施設、アトリウム等)の膜材(屋根材、天井材、外壁材、内壁材、被覆材等)として好適である。
また、膜構造建築物の膜材だけではなく、例えば、屋外使用板材(防音壁、防風フェンス、越波柵、車庫天蓋、ショッピングモール、歩行路壁、屋根材)、ガラス飛散防止フィルム、耐熱・耐水シート、建材等(テント倉庫のテント材、日よけ用膜材、明かり取り用の部分屋根材、ガラスに替わる窓材、防炎仕切り用膜材、カーテン、外壁補強、防水膜、防煙膜、不燃透明仕切り、道路補強、インテリア(照明、壁面、ブランド等)、エクステリア(テント、看板等)等)、生活レジャー用品(釣りざお、ラケット、ゴルフクラブ、映写幕等)、自動車用材料(幌、制振材、ボディ等)、航空機材料、船舶材料、家電外装、タンク、容器内壁、フィルタ、工事用膜材、電子材料(プリント基板、配線基板、絶縁膜、離型膜等)、太陽電池モジュールの表面材料、太陽熱発電用のミラー保護材、ソーラー温水器の表面材等に有用である。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、例1、3、5は実施例、例2、4、6は比較例である。
(MFRの測定方法)
ETFEのMFRは、ASTM D3159の規格に準処し、測定温度:297℃、荷重:5kg(約49N)の条件で測定した値である。
(融点の測定方法)
示差熱分析装置(セイコーインスツルメンツ社製、装置名:DSC7020)で流量200cc/分の空気中、10℃/分で昇温した時の第一スキャンで示す吸熱ピークから求めた温度を融点とした。
各例で用いた材料は以下の通りである。
・ETFE(1):エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、融点(測定値):263℃、MFR:4.9g/10分、旭硝子社製、フルオンETFE C−55AXP(製品名)。
・ETFE(2):エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、融点(測定値):265℃、MFR:11.2g/10分、旭硝子社製、フルオンETFE C−88AXP(製品名)。
・有機系紫外線吸収剤(1):TINUVIN 479(製品名、BASF社製、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤)。
(調製例1:銀色インキ組成物(1)の調製)
内容積2,500mLのステンレス製撹拌機付き耐圧反応器にキシレンの620g、エチルビニルエーテル(EVE)の330g、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)の133g、バッファーとして炭酸カリウムの10gおよび重合開始剤としてペルブチルペルピバレート(PBPV)の3.5gを仕込み、液体窒素による固化・脱気により液中の溶存酸素を除去した。
次いで、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)の690gを導入して徐々に昇温し、温度を65℃に維持しながら反応を続けた。10時間後、反応器を水冷して反応を停止し反応液を得た。この反応液を室温まで冷却した後、未反応モノマーをパージし、得られた反応液を珪藻土で濾過して固形物を除去して、固形分濃度:50質量%、数平均分子量(Mn):16,000、質量平均分子量(Mw):50,000、水酸基価:57mgKOH/gの固形の水酸基含有含フッ素共重合体(1)を得た。また、水酸基含有含フッ素共重合体(1)の1モル当たりの、水酸基の平均モル数は51モルであった。
次いで、水酸基含有含フッ素共重合体(1)の100質量部と、アルミペースト(旭化成ケミカルズ社製、製品名;HR7000、固形分濃度:50質量%)の20質量部を、溶剤(トルエンとメチルエチルケトンを質量比1:1で混合した混合溶液)の20質量部に溶解させて、銀色インキ組成物(1)を得た。
(調製例2:接着剤組成物(1)の調製)
主剤のポリウレタン樹脂(A)である下記HD−1013の100質量部(固形分)と、硬化剤(B)である下記H−62の18.8質量部(固形分)と、紫外線吸収剤(C)であるTINUVIN 479(製品名、BASF社製、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤)の7質量部と、光安定剤(D)であるHALS 123(BASF社製、製品名:TINUVIN 123、ヒンダードアミン系光安定剤)の1.5質量部とを混合して、接着剤組成物(1)を調製した。
HD−1013:製品名、ロックペイント社製。固形分濃度:60質量%。ポリカーボネートポリオール(a1)である、3−メチル−1,5−ペンタンジオールを原料とするポリカーボネートジオールに、鎖伸長剤(a2)である1,6−ペンタンジオールと有機ジイソシアネート(a3)であるイソホロンジイソシアネート(IPDI)を反応させて得られるポリウレタン樹脂である。また、接着付与剤としてγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを有する。
H−62:製品名、ロックペイント社製。固形分濃度:75質量%。溶媒は酢酸エチルであり、主成分はIPDIとヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体である。
(調製例3:波長変換材料(1)の調製)
ペリレン系色素(BASF社製、製品名:ルモゲンFレッド305)の12g、エタノールの100gをビーズミルに仕込み、色素をエタノールに分散させ、色素分散液(1)を得た。
テトラエトキシシランの10g、イソプロパノールの60gを反応器に仕込み、室温で撹拌しながら、反応器内に色素分散液(1)の56gを10分間かけて滴下し、さらに撹拌を続けて、均一な分散液とした。次いで、反応器内を室温で撹拌しながら、反応器内に触媒であるジエタノールアミン水溶液を30分間かけて滴下し、さらに40分撹拌を続けて、分散液をゾル化させ、次いで60℃まで加温し、ゲル化させた。反応器内を冷却した後、反応物をろ別し、エタノールおよび水で洗浄して溶媒、分散剤、触媒を取り除き、120℃で1時間乾燥した。得られた粉体を衝撃式粉砕機で10秒間粉砕し、平均粒子径が1.5μmの粉体(1)を得た。
原料であるペリレン系色素は、100cmのトルエンに7g溶解し、1Lの蒸留水に0.4g溶解したのに対し、得られた粉体(1)は、トルエンおよび蒸留水に全く溶解しなかった。よって、粉体(1)は、シリカで被覆されていることが確認された。ペリレン系色素とシリカ(SiO換算)との質量比(ペリレン系色素/シリカ)は、100/45であった。
粉体(1)の10gを、フェニルメチルシリコーンオイルが5質量%溶解したイソプロパノール溶液の30gに分散させた。次いで、70℃でイソプロパノールを揮発させた後、170℃で1時間乾燥させ、シリカの表面が疎水化された粉体を得た。該粉体を衝撃式粉砕機にて粉砕し、波長変換材料(1)を得た。
(調製例4:無機系紫外線吸収剤(1)の調製)
不定形シリカ−酸化セリウム−タルク複合体粒子(日本無機化学製、製品名:セリガードT−3018−02、平均粒径:1.8μm)の200gを小型ヘンシェルミキサーに投入し、次いで、イソブチルトリメトキシシランの14gを水:メタノール=1:9(質量比)に溶解した溶液の40gをゆっくり投入し、10分間撹拌した。次いで、この湿った粒子を120℃で1時間乾燥し、再度小型ヘンシェルミキサーで2分間充分にほぐして無機系紫外線吸収剤(1)を得た。なお、セリガードT−3018−02は、ベース顔料のタルク量が59質量%、酸化セリウム量が21質量%、不定形シリカ量が19質量%、アルミナ量が1質量%からなる。
なお、無機系紫外線吸収剤(1)のメタノール疎水化度は50%である。
(例1)
図1に示す構成の積層体を製造した。
予め、ETFE(1)を310℃で押出成形して、厚さが200μmであるETFEフィルム(1−1)を製造した。該ETFEフィルム(1−1)の片面をコロナ放電処理した。
これとは別にETFE(1)を330℃で押出成形して、厚さが50μmであるETFEフィルム(1−2)を製造した。該ETFEフィルム(1−2)の片面をコロナ放電処理した。
まず、ETFEフィルム(1−1)を第1の含フッ素樹脂層1とした。ETFEフィルム(1−1)のコロナ放電処理した面上に、調整例1で得た銀色インキ組成物(1)を用いて、グラビア印刷し、印刷層10を形成した。印刷層10には、直径15mmの水玉の塗膜を印刷面積比率25%になるように規則的に配置した。
次いで、印刷層10上に調整例2で得た接着剤組成物(1)を、水玉の塗膜が存在しない領域における乾燥後の接着剤層20の厚さが15μmになるように塗布した。その後、乾燥機により80℃で1分間乾燥し、ETFEフィルム(1−2)をドライラミネート法で積層した。なお、ETFEフィルム(1−2)は、コロナ放電処理した面が、接着剤層20と接するように積層した。該ETFEフィルム(1−2)は第2の含フッ素樹脂層2である。
こうして、第1の含フッ素樹脂層1/印刷層10/接着剤層20/第2の含フッ素樹脂層2の順で積層一体化された積層体を得た。
得られた積層体について、下記の方法で流滴試験を行って耐候性を評価した。5日間の流滴試験の前後での、銀色の水玉(塗膜)における反射率を下記の方法で測定した。
試験前の反射率(初期反射率)および流滴試験後の反射率の測定結果と、下記式(I)で求められる反射率の増加率を表1に示す。反射率の増加率が小さいほど耐候性に優れることを示す。
反射率の増加率[%]={(流滴試験後の反射率)−(流滴試験前の反射率)}/(流滴試験前の反射率)×100 ・・・(I)
<流滴試験>
室温23℃の部屋の中で、80℃に保温された温浴槽を積層体で覆うと、積層体の温浴槽側の面に結露(流滴)が生じる。積層体は、第2のETFEフィルム(第2の含フッ素樹脂層2)が温浴槽側となるように用いた。この状態で5日間保持して、流滴による印刷層への影響を試験した。
<銀色の水玉(塗膜)における反射率の測定方法>
島津製作所製の分光光線分析装置(製品名:UVPC3600)を用い、直径15mmの水玉(塗膜)中心が測定窓の中心と一致するように配置して、200〜2,500nmの波長域で反射率を測定した。得られたデータを用いてJIS R3106に規定される方法に従って可視光線反射率を算出し、銀色の水玉(塗膜)における反射率とした。
(例2)
例1において、接着剤層20および第2の含フッ素樹脂層2を設けないで耐候性を評価した。
すなわち、第1の含フッ素樹脂層1/印刷層10からなる積層体を製造し、例1と同様にして流滴試験(5日間)を行い、該試験前後の銀色の水玉(塗膜)における反射率を測定した。積層体は、印刷層10が温浴槽側となるように用いた。結果を表1に示す。
Figure 2015139926
表1の結果に示されるように、例1の積層体は、流滴試験前後の反射率の変化が小さく、反射率の増加率は約1.8%であった。
これに対して例2の積層体は、反射率の増加率が約15.8%であった。
例1において、流滴試験前後の反射率の変化が小さく抑えられた理由は、印刷層10上に積層したフィルム(第1の含フッ素樹脂層1)により、水玉の塗膜中のアルミ顔料が溶出することを防いだ結果と考えられる。
(例3)
図2に示す積層体を製造した。
予め、ETFE(2)の100質量部と調整例3で得た波長変換材料(1)の0.05質量部を含む組成物を300℃で押出成形して、厚さ60μmの波長変換材料含有ETFEフィルム(2−1)を製造した。該波長変換材料含有ETFEフィルム(2−1)が有機系添加剤を含む層11である。
これとは別にETFE(2)の100質量部と調整例4で得た無機系紫外線吸収剤(1)の1.5質量部を混合して無機系紫外線吸収剤含有ETFE組成物(2−2)を調製した。
前記波長変換材料含有ETFEフィルム(2−1)の一方の面上に、押出機から、前記無機系紫外線吸収剤含有ETFE組成物(2−2)を厚さが50μmのフィルム状となるように吐出し、表面材が金属であるロールと表面材がゴムであるロールからなる一対の圧着ロールで一体化した。次いで、得られた一体化物の、波長変換材料含有ETFEフィルム(2−1)の他方の面上に、同様にして、前記紫外線吸収剤含有ETFE組成物(2−2)を厚さが50μmのフィルム状となるように吐出し、圧着ロールで一体化した。無機系紫外線吸収剤含有ETFE組成物(2−2)からなる2つの層が、それぞれ第1の含フッ素樹脂層1と第2の含フッ素樹脂層2である。こうして、第1の含フッ素樹脂層1/有機系添加剤を含む層11/第2の含フッ素樹脂層2の順で積層一体化された積層体を得た。
なお、紫外線吸収剤含有ETFE組成物(2−2)からなる厚さ50μmの層の、波長300nmにおける紫外線透過率は7.5%であった。
得られた積層体について下記の方法で促進耐候試験を行って耐候性を評価した。試験前(初期)と試験後(暴露後)の分光光線透過率の測定結果を図4に示す。
<促進耐候試験>
促進耐候性試験機(スガ試験機社製、装置名:Eye Super UV Tester)を用いて促進耐候性試験を行った。
試験前、および200時間暴露後の積層体の分光光線透過率を、島津製作所製の分光光線分析装置(装置名:UVPC3600)を用いて測定した。
(例4)
例3で使用した、厚さ60μmの波長変換材料含有ETFEフィルム(2−1)のみについて、例3と同様にして200時間の促進耐候試験を行い、試験前(初期)と試験後(暴露後)の分光光線透過率を測定した。測定結果を図5に示す。
図4と図5とを比較すると、例4に比べて、例3は促進耐候試験前後での分光光線透過率の差が小さく、耐候性に優れることがわかる。
(例5)
図2に示す積層体を製造した。
ETFE(2)の100質量部と有機系紫外線吸収剤(1)の2質量部を混合して、有機系紫外線吸収剤含有ETFE組成物(2−3)を調製した。
これとは別に、ETFE(2)の100質量部と調整例4で得た無機系紫外線吸収剤(1)の0.5質量部を混合して、無機系紫外線吸収剤含有ETFE組成物(2−4)を調製した。
有機系紫外線吸収剤含有ETFE組成物(2−3)を、厚さ50μmの中間層(有機系添加剤を含む層11)となるように、かつ該中間層の両方の面上に、無機系紫外線吸収剤含有ETFE組成物(2−4)からなる厚さ50μmの層がそれぞれ積層されるように、三層共押出機で積層体を製造した。無機系紫外線吸収剤含有ETFE組成物(2−4)からなる2つの層が、それぞれ第1の含フッ素樹脂層1と第2の含フッ素樹脂層2である。こうして、第1の含フッ素樹脂層1/有機系添加剤を含む層11/第2の含フッ素樹脂層2の順で積層一体化された積層体を得た。
なお、紫外線吸収剤含有ETFE組成物(2−4)からなる厚さ50μmの層の、波長300nmにおける紫外線透過率は19.5%であった。
得られた積層体につい例3と同様にして200時間の促進耐候試験を行い、試験前(初期)と試験後(暴露後)の分光光線透過率を測定した。測定結果を図6に示す。
(例6)
例5で使用した、有機系紫外線吸収剤含有ETFE組成物を300℃で押出成形して、厚さ60μmの有機系紫外線吸収剤含有ETFEフィルムを製造した。
得られた有機系紫外線吸収剤含有ETFEフィルムのみについて、例3と同様にして200時間の促進耐候試験を行い、試験前(初期)と試験後(暴露後)の分光光線透過率を測定した。測定結果を図7に示す。
図6と図7とを比較すると、例6に比べて、例5は促進耐候試験前後での分光光線透過率の差が非常に小さく、耐候性に優れることがわかる。
1 第1の含フッ素樹脂層
2 第2の含フッ素樹脂層
10 印刷層(機能層)
11 有機系添加剤を含む層(機能層)
20、21 接着剤層

Claims (7)

  1. 内側に機能層を有する積層体であって、
    前記機能層が有機系添加剤を含有する層または印刷層であり、
    前記機能層の一方の面側の最外層が、厚さ20μm以上の第1の含フッ素樹脂層であり、
    前記機能層の他方の面側の最外層が、厚さ20μm以上の第2の含フッ素樹脂層であることを特徴とする積層体。
  2. 前記第1の含フッ素樹脂層を構成する含フッ素樹脂および第2の含フッ素樹脂層を構成する含フッ素樹脂が、それぞれ、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)−ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオリド、ポリビニルフルオリド、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオリド共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体およびテトラフルオロエチレン−2,2−ビストリフルオロメチル−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソール共重合体からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の積層体。
  3. 第1の含フッ素樹脂層を構成する含フッ素樹脂と、第2の含フッ素樹脂層を構成する含フッ素樹脂とが同種である、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記機能層が含フッ素樹脂と有機系添加剤を含む層であり、第1の含フッ素樹脂層を構成する含フッ素樹脂と、第2の含フッ素樹脂層を構成する含フッ素樹脂と、機能層に含まれる含フッ素樹脂とが同種である、請求項1または2に記載の積層体。
  5. 前記機能層と、前記第1の含フッ素樹脂層および第2の含フッ素樹脂層の一方または両方とが、接着剤層を介して一体化されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
  6. 前記第1の含フッ素樹脂層または第2の含フッ素樹脂層の少なくとも一方が添加剤を含み、該添加剤が無機系添加剤である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体。
  7. 膜構造建築物用膜材である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層体。
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