JP2015139336A - 自動列車運転装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】列車を駅の定位置に自動的に停車させる自動列車運転装置は、所定のノッチに対応して、空気ブレーキが単独作動した時の減速度をもとにした第一走行パタン(407)と、所定のノッチに対応して、空気ブレーキと回生ブレーキが協調作動したときの減速度をもとにした第二走行パタン(404)を備えている。停車制御開始時は、第二走行パタン(404)に基づいて、空気ブレーキと回生ブレーキに対し、定位置に停車させるためのノッチ指令を行うとともに、その後、回生ブレーキが失効したとき、あるいは回生ブレーキの失効が予測されたときには、ノッチ指令を緩解し、列車のキロ程と速度が第一走行パタン(407)に交差したとき、この第一の走行パタン(407)に切り替えて、空気ブレーキにノッチ指令を行い、列車を前記定位置に停車させる。
【選択図】図4
Description
可能な限り制動エネルギを回収するとともに、空気ブレーキの負担を軽減することで保守点検負担を低減する観点から、走行パタン(101)は、次駅停車のための制動開始から停車するまでの間、回生ブレーキと空気ブレーキがともに出力可能であることを前提に、所定のブレーキ側ノッチ(以下、単に「ノッチ」という。)に対応する減速度に基づいて算出される。
走行パタン(101)は、列車の位置を表すキロ程とその地点における列車速度の組として規定されることが一般的であり、自動列車運転装置は、空気ブレーキ装置、回生ブレーキ装置に対し、この走行パタン(101)に追随するよう、必要な減速度を決定し、この減速度に対応するノッチ指令を出力する。その結果、列車は、(102)に示すように、減速を開始し、走行パタン(101)に追従するように減速させ、列車を所定の停止位置に停止させることができる。
このように回生ブレーキが失効した時は、列車を空気ブレーキ単独で減速させなければならないこととなるが、一般的に、空気ブレーキ単独作動の場合と、回生ブレーキと空気ブレーキの双方を協調作動させる場合とでは、同一の減速度に対応するノッチ指令に対し、空気ブレーキのみの場合の方が発生する減速度が高くなる。
その理由は次のとおりである。
すなわち、回生ブレーキに関しては、空気ブレーキより応答性が高く、得られる減速度を予め高い精度で予測することも可能である。しかし、空気ブレーキに関しては、制輪子と車輪踏面、または制輪子とブレーキディスク間の摩擦係数が条件(晴れ・雨、制輪子が新品であるか否か、)によって異なることから、実際に得られる減速度にバラツキが発生する。このため、空気ブレーキを調整する際に各ノッチに対する減速度に対して高めの減速度が発生するように調整することにより、安全サイドの停止を可能としているからである。
したがって、回生ブレーキが失効し、空気ブレーキ単独作動による制動となった場合に、両ブレーキ協調作動時の減速度に対応するノッチ指令を、そのまま空気ブレーキに出力すると、回生ブレーキと空気ブレーキ協調作動時を前提とした走行パタンで規定していた減速度より大きな減速度が発生してしまうこととなる。
特許文献2の要約書には、「ブレーキ指令信号の入力時において、フィルタコンデンサ電圧がしきい値電圧未満の場合には十分な回生ブレーキ力が得られるので、回生ブレーキ判定部32は、ハイレベルのダミー許可信号を出力してダミー信号生成部33にダミー信号を出力させる。フィルタコンデンサ電圧がしきい値電圧以上の場合には回生ブレーキ力が不足または失効するのでロウレベルのダミー許可信号を出力してダミー信号生成部33にダミー信号の出力を停止させる。重畳部34は、インバータ制御部29から出力される回生ブレーキ力信号とダミー信号とを重畳しブレーキ力等価信号として出力する。ブレーキ制御装置12は、ブレーキ力指令からブレーキ力等価信号を減算して空気ブレーキ力指令を生成する。」と記載されている。
さらに、特許文献3の要約書には、「本発明の電気車は、インバータ33により駆動される交流電動機13と、前記交流電動機のトルクを制御するトルク制御手段33と、前記インバータの直流側電圧が供給される負荷20と、前記電気車が前記トルク制御手段33を使用して減速する場合、前記インバータの直流側電圧に応じて前記負荷の負荷量を調整する負荷量調整手段42を具備する。」と記載されている。
そのため、自動列車運転装置は、走行パタンに追随するように、ノッチを緩減速側に緩解する指令が送出されることになる。しかし、ノッチが緩減速側に切り替えられたことにより、列車速度が再び走行パタンで規定された速度を上回ると、今度はノッチを急減速側に制御するというように、ノッチ指令にハンチング現象が発生してしまう。
その結果、減速度の変化が繰り返され、乗り心地が悪化するばかりでなく、次駅停車までの時間が延び、列車運行に支障を来す原因ともなる。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、本発明の自動列車運転装置は、列車を駅の定位置に自動的に停車させる自動列車運転装置において、前記自動列車運転装置は、所定のノッチに対応して空気ブレーキが単独作動した時の減速度をもとにした第一走行パタンと、所定のノッチに対応して空気ブレーキと回生ブレーキが協調作動したときの減速度をもとにした第二走行パタンとを備え、前記第二走行パタンは、前記第一走行パタンより、同一キロ程に対する列車速度が低く設定されたものであり、前記第二走行パタンに基づいて、前記空気ブレーキ及び回生ブレーキに対し、定位置に停車させるためのノッチ指令を開始するとともに、その後、前記回生ブレーキが失効したとき、あるいは前記回生ブレーキの失効が予測されたときには、前記ノッチ指令を緩解し、列車のキロ程と速度が、前記第一走行パタンに交差したとき、当該第一の走行パタンに切り替えて、前記空気ブレーキにノッチ指令を行うことにより、前記列車を前記定位置に停車させるようにした。
上記した以外の課題、解決手段及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
図2は、実施例1の機器構成図であり、この図を用いて本実施例のシステム構成を説明する。
自動列車運転装置(201)は、列車の制御を司る編成制御装置(202)から架線電圧(203)、そして、回生ブレーキが有効かどうかを示す信号である回生有効信号(204)を受信する。回生失効予測部(205)は編成制御装置(202)からの架線電圧(203)に基づいて、回生失効が発生しそうであるかを予測する。回生失効予測部(205)は、架線電圧が所定の架線電圧を超えた場合に回生失効を予測してもよいし、架線電圧の単位時間当たりの上昇率から予測してもよい。さらに、架線電圧が、所定の架線電圧を超えた場合に、架線電圧の単位時間当たりの上昇率から予測してもよい。本実施例では、架線電圧から回生失効が予測できれば、いずれの方法を用いてもよく、手段は問わない。
こうして、回生失効が予測された場合には、回生失効予測部(205)は、回生失効予測信号(206)を使用走行パタン判定部(207)に送信する。
現時点でのブレーキの作用状態を確認するために回生有効信号(204)を編成制御装置(202)から取得する。回生有効信号(204)は、回生ブレーキが有効に作用しているか否かを通知する信号であり、一般的にはVVVF制御装置(214)が生成していることが多い。回生有効信号(204)は、このようにVVVF制御装置から直接取得してもよいし、本実施例のように編成制御装置(202)経由で取得してもよい。要は回生有効信号(204)が取得できればよく、経路は問わない。使用走行パタン判定部(207)は、まず、この回生有効信号(204)を取得し、ステップ302に進む。
回生有効信号(204)が回生有効か回生無効(回生ブレーキが出力されていない)かを判断する。回生有効の場合はステップ303に進む。回生無効の場合はステップ305に進む。
回生失効予測信号(206)を回生失効予測部(205)から取得し、ステップ304に進む。
回生失効予測信号(206)が回生失効を予測しているか否かを判定する。回生失効を予測している場合はステップ305に進み、回生失効が予測されていない場合はステップ307に進む。
回生有効信号(204)が取得されず、回生が無効である場合や、回生失効予測部(205)により、回生失効が予測されている場合は、空気ブレーキのみで減速した場合に発生する減速度をもとにした走行パタンである第一走行パタンを定位置停止制御に使用する。本実施例の場合、走行パタンは、例えば、キロ程・車両速度という組み合わせで保持される。ステップ306に進む。
空気ブレーキの減速度をもとにした第一走行パタンを採用した場合、空気ブレーキのみで減速させれば、走行パタンで想定した減速度と実際の列車が出力する減速度に乖離が少なく定位置停止制御の安定性が増し、停止精度の向上が期待できる。このため第一走行パタン採用時は空気ブレーキのみで減速するように回生ブレーキの出力をカットさせる回生ブレーキカット指令を編成制御装置(202)に出力する。なお、回生ブレーキカット指令は回生ブレーキの制御を行っているVVVF制御装置に直接送信してもよい。要は、空気ブレーキのみで減速するようになればよく、指令の形態及び出力先は問わない。
回生が有効であり、かつ、回生失効が予想されていない場合は、回生ブレーキでの減速を継続する。このため走行パタンは回生ブレーキと空気ブレーキが出力可能な場合に発生する減速度をもとにした走行パタンである第二走行パタンを採用する。
列車は省エネの観点から可能な限り回生ブレーキを用いて減速を行う。従ってVVVF制御装置が故障等により開放されている場合を除いて、ブレーキの初期段階は、省エネ効果の観点や、空気ブレーキ装置の保守負担を低減する観点から、回生ブレーキと空気ブレーキを協調させて減速を行う。そのため、定位置停止制御に用いる最初の走行パタンとして、回生ブレーキと空気ブレーキが出力可能な場合に発生する減速度をもとにした走行パタンである第二走行パタン(404)を使用する。列車は第二走行パタンに沿って制御が行われるため、車両速度の挙動は図4の(405)のようになる。
そのため、車両速度は第二走行パタンから第一走行パタン(407)に円滑に移行することができる。また、回生失効が予測されたときに、回生カット指令が出力され空気ブレーキのみで減速を行うことにより、列車の挙を第一走行パタンに高精度に追従させることができる。
なお、この実施例では、回生失効の可能性が判定された(403)のキロ程でブレーキノッチ指令を解除しているが、ブレーキノッチ指令を緩減速側に切り替えることで、第一走行パタン(407)に交差させるようにしてもよい。
実施例1では、回生失効の予測を架線電圧を用いて実施したが、実施例2では回生失効の予測を周辺の他車からの情報をもとに判断する。図5に構成を示す。
実施例1、2では回生ブレーキが動作していることをVVVF制御装置の回生有効信号から判断したが、実施例3では列車の減速度やVVVF制御装置からの回生ブレーキ力、ブレーキゲートスタート信号、電機子電流などを用いる。本実施例により回生有効指令が出力されない場合においても、回生ブレーキの動作を確認することが可能となる。
102 車両速度
201 自動列車制御装置
202 編成制御装置
203 架線電圧
204 回生有効信号
205 回生失効予測部
206 回生失効予測信号
207 使用走行パタン判定部
208 使用走行パタン
209 定位置停止制御部
210 回生ブレーキカット指令
211 車両速度
212 現在位置
213 ブレーキ指令
214 VVVF制御装置
215 空気ブレーキ制御装置
401 架線電圧
402 回生失効予測閾値
404 第二走行パタン
405 車両速度
407 第一走行パタン
501 自列車
502 他車
503 ネットワーク
504 操作予想データ
505 操作予想データ
Claims (6)
- 列車を駅の定位置に自動的に停車させる自動列車運転装置において、
前記自動列車運転装置は、所定のノッチに対応して、空気ブレーキが単独作動した時の減速度をもとにした第一走行パタンと、所定のノッチに対応して、空気ブレーキと回生ブレーキが協調作動したときの減速度をもとにした第二走行パタンとを備え、
前記第二走行パタンは、前記第一走行パタンより、同一キロ程に対する列車速度が低く設定されたものであり、
前記第二走行パタンに基づいて、前記空気ブレーキ及び回生ブレーキに対し、定位置に停車させるためのノッチ指令を開始するとともに、その後、前記回生ブレーキが失効したとき、あるいは前記回生ブレーキの失効が予測されたときには、前記ノッチ指令を緩解し、列車のキロ程と速度が、前記第一走行パタンに交差したとき、当該第一の走行パタンに切り替えて、前記空気ブレーキにノッチ指令を行うことにより、前記列車を前記定位置に停車させることを特徴とする自動列車運転装置。 - 請求項1の自動列車運転装置において、
前記回生ブレーキの失効を、架線電圧を用いて予測することを特徴とする自動列車運転装置。 - 請求項1の自動列車運転装置において、
前記回生ブレーキの失効を、他車の力行・ブレーキ操作の予定情報に基づいて予測することを特徴とする自動列車運転装置。 - 請求項1の自動列車運転装置において、
前記回生ブレーキの失効を、当該列車の減速度に基づく回生ブレーキの動作状況により判断することを特徴とする自動列車運転装置。 - 請求項4の自動列車運転装置において、
前記回生ブレーキの動作状況を、当該列車が出力している回生ブレーキ力により判断することを特徴とする自動列車運転装置。 - 請求項4の自動列車運転装置において、
前記回生ブレーキの動作状況を、当該列車の電機子電流により判断することを特徴とする自動列車運転装置。
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