JP2015138999A - レンズアンテナ装置 - Google Patents

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Hirokazu Kamoda
浩和 鴨田
北沢 祥一
Shoichi Kitazawa
祥一 北沢
伴 弘司
Koji Ban
弘司 伴
小林 聖
Kiyoshi Kobayashi
聖 小林
光範 中村
Mitsunori Nakamura
光範 中村
佐藤 宏
Hiroshi Sato
宏 佐藤
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Abstract

【課題】曲面形状を有するガラス基板上に設けられ、対象物からのミリ波帯の電磁波を所定位置に収束させるレンズアンテナ装置を提供する。
【解決手段】レンズアンテナ100は、曲面形状のフロントガラス10に設けられ、前方から入射した所定の周波数帯のミリ波を車両内部の所定位置(焦点)に収束させる。センサ装置200は、所定位置に設けられ、所定波長のミリ波の強度分布を2次元でセンシングして画像化する。
【選択図】図1

Description

この発明は、ミリ波を集光する機能を有するレンズアンテナ装置に関するものである。
特許文献1には、平板の熱線反射ガラス板の透明性を有する金属等の薄膜を除去することによって形成される、電波収束パターンと、それを囲むように熱線反射機能を有する領域を有する電波収束構造体、これを用いたアンテナ装置が開示されている。
特開2002−171120号公報
しかしながら、特許文献1の開示には、車両やデザイン製の高い建造物などのガラス面が湾曲かつ傾斜して設けられ、かつ電磁波の収束点を車内または室内に干渉されないために所定位置へ集光させるため電波の伝播方向を屈曲せしめる構造について具体的な言及がない。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、ガラス面が湾曲および/または傾斜して設けられる場合に、ミリ波などの電磁波を、このガラス面により隔てられた所定の位置に集光する機能を有するレンズアンテナ装置を提供することである。
本発明は、湾曲した車両用窓ガラスや建物用の屈曲した窓ガラスなどの表面の形状に対応して、導電層を含む電磁波収束構造体を設けたレンズアンテナ装置である。
この発明の1つの局面に従うと、可視光を透過させ、対象物から到達する所定の周波数領域の電磁波を焦点領域に収束させるレンズアンテナ装置であって、曲面形状を有するガラス基板と、ガラス基板上に形成された透過導電性薄膜とを備え、透過導電性薄膜には、複数の環状形状のスリットが形成され、各スリットの形状の要素パラメータとしてのエレメント長は、対象物から焦点領域に至る光路差による位相差に基づき設定される。
好ましくは、スリットの形成される位置は、対象物から焦点位置に至る経路に垂直な平面上の格子点をガラス基板に投影した位置である。
好ましくは、スリットの形状は、方形ループ形状である。
好ましくは、スリットの形状は、略同心円形状である。
好ましくは、スリットの大きさは、所定の周波数の電磁波の位相差が、−πからπの範囲の大きさである。
好ましくは、ガラス基板は、移動体の運転席前面に設けられる。
好ましくは、ガラス基板は、建物の窓に設けられ、湾曲または傾斜を有する形状である。
好ましくは、ガラス基板は、太陽電池パネルの表面ガラスであり、受信装置は、受信アンテナにより、人工衛星または宇宙、大気、雲から到来する電磁波を2次元的に受信する。
好ましくは、電磁波の周波数は、20GHz〜3THz帯を含む。
この発明によれば、ガラス面が湾曲している場合や伝播方向に対して任意の傾きを有している場合でも、電波収束を可能とする構造が、素子の形状および配置のパターンの変更で実現することが可能である。
実施の形態1のミリ波撮像システムが自動車に設置される態様を説明するための概念図である。 透明平板レンズ100の構成を説明するための図である。 受信・再放射素子110.iを構成するために設けられるスリットの設計の原理を説明するための図である。 受信・再放射素子110.iを構成するために設けられるスリットの形状の一例を説明するための図である。 スリットを配置する位置の設計手法を説明するための図である。 実施の形態1のセンサ装置200の構成を示す機能ブロック図である。 実施の形態2の透明平板レンズ100の構成を説明する図である。 実施の形態3のミリ波撮像システムが自動車に設置される態様を説明するための概念図である。 実施の形態4のミリ波センサシステムを説明するための図である。 実施の形態5のミリ波センサシステムを説明する概念図である。 太陽光モジュール310aの構造を説明するための図である。 実施の形態6のミリ波通信システムの構成を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態のミリ波撮像システムについて、図に従って説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素および処理工程は、同一または相当するものであり、必要でない場合は、その説明は繰り返さない。
なお、以下では、レンズアンテナ装置をミリ波レーダ装置に使用した例について説明することとし、ミリ波レーダ装置が設置される移動体としては、自家用車を例として説明する。ただし、本発明はこのような場合に必ずしも制限されるものではなく、ミリ波レーダ装置は、人間が運転する際の視界の確保のために移動体の前方の運転席に透明なフロントガラスが設置される移動体であれば、他の移動体に設置されてもよい。たとえば、自動車としても自家用車の他、バス、トラックのような業務用の特殊車両でもよいし、所定の軌道を移動するトローリーバス、路面電車、列車のような移動体であってもよい。
レンズアンテナ装置は、可視光を透過させ、所定の周波数領域の電磁波を収束させる機能を有する「電波収束構造体」であって、ガラス基板上に、以下に説明するようなパターン形状を有する透過導電性薄膜を設けることにより形成される。
また、以下では、「ミリ波」とは、特に限定されないが、たとえば、20GHz〜3THz帯の電磁波を含む。
なお、本明細書では、可視光領域の電磁波に対してレンズが有する機能を「集光」と呼ぶことに対応して、ミリ波帯の電磁波については、レンズが電磁波をある領域に収束させることを「電磁波を収束する」と表現する。
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1のミリ波撮像システムが自動車に設置される態様を説明するための概念図である。
図1は、自動車の側面方向からの透視図である。
図1では、ミリ波撮像システム側からは、ミリ波を対象物に照射することを行わない、パッシブイメージング装置の例である。
すなわち、あらゆる物質は熱雑音として電磁波を放射している。このため、前方物体が放射するミリ波を受信し、これをパッシブに完全無侵襲で検知することが可能である。
ミリ波・サブミリ波帯は数百μm〜10mm程度の電磁波であり、赤外線・可視光に比べて画像の空間分解能が低いものの、赤外線・可視光領域では、見通しの障害となるようなもの、たとえば、霧に対する透過率が高い。しかも、物体から放射された微弱なミリ波を増幅するための低雑音増幅器を構成することが可能で、電磁波を能動的に照射しないパッシブ方式が実現できる。
図1に示すように、運転者2の運転する自動車の室内の天井に2次元の受信機アレーを含むセンサ装置200が設置される。フロントガラス10上に、センサ周波数ではミリ波を屈折させるレンズとして動作し、可視光では透明な透明平板レンズ100が配置される。
図2は、透明平板レンズ100の構成を説明するための図である。
透明平板レンズ100は、対象とするミリ波の周波数でレンズとして動作する。自動車の前方にある対象物から放射された所定の周波数のミリ波帯の電波は、フロントガラス10上に配置された透明平板レンズ100を通過すると、後述するセンサ装置200の受信機アレー上に焦点を結像する。
すなわち、対象物の画像を2次元で同時にとらえることができる。また、この透明平板レンズ100の大きさは、自動車のフロントガラスと同等の大きさにすることができるので、数十cmとすることができ、従来のレーダー装置の開口のおよそ10cm程度と比べて数倍以上大きくする事ができ、画像の角度分解能も数倍改善される。
具体的には透明平板レンズ100は、多数の受信・再放射素子110.iのアレーである。各素子は、例えば、ITO(In23、SnO2:インジウムスズ酸化物)などの導電性があり可視光で透明な材料を用いて、透明フィルム上にダイポールのような棒状や方形、ループなどの共振素子の形状をスリットとしてパターン形成したものである。
つまり、透明平板レンズ100は、このような素子をパターニングしたフィルムであって、フロントガラスに張りつけることで構成することができる。たとえば、ITO透明伝導性フィルムは、タッチパネル用途などで市販されている。あるいは、透明平板レンズ100は、フロントガラス上に直接、たとえば、電子ビーム蒸着法、物理気相成長法、スパッタ蒸着法などを用いて成膜した後に、パターニングしてもよい。あるいは、合せガラスとして形成されるフロントガラスにおいて、張り合わされるガラスの間に、透明電極材料のパターンを埋め込んだものであってもよい。
ここで、透明電極の材料であるITOなどは当該周波数での導電性ができるだけ高い方が、損失が少なく望ましい。透明電極材料としては、ITOの他、たとえば、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)をスパッタ法やイオンプレーティング法などで成膜したものを使用してもよい。ITOやGZOのような透明電極は、太陽電池、液晶のタッチパネルなどとして、ガラス基板上に通常形成されているものであるので、成膜条件等は周知であり、その説明は省略する。透明電極材料としては、さらに、たとえば、AZO(Al23、ZnO:アルミドープ酸化亜鉛)、SZO、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、SnO2(酸化スズ)、IZO(In23、ZnO:酸化インジウム亜鉛)などが挙げられる。
また、図2では、説明の簡単のために、受信・再放射素子110.iは同一形状の方形のスリットが等間隔に並んでいるものとして図示している。しかしながら、実際には、受信・再放射素子110.iは、当該周波数の電波の波長の半分〜1波長程度の間隔で配列される。受信・再放射素子110.iの形状、すなわち、ダイポールの長さや、方形の大きさ、向きなどを変化して再放射時の位相を調整できる。これにより、アレー上の位置によって長さや大きさを変化させることで、受信機アレー上に焦点が結ばれるようにすることができる。
また、受信・再放射素子110.iを構成するために設けられるスリットは、受信機アレー上に焦点が結ばれるように、到来する電磁波の周波数およびレンズアンテナの焦点距離と開口径に基づく位相遅延、平面ガラスの誘電率に基づき定める。
図3は、受信・再放射素子110.iを構成するために設けられるスリットの設計の原理を説明するための図である。
図3を参照して、より具体的には、ミリ波の発生源(または反射源)となる物体面上の焦点をO、結像面の焦点をFとする。点Oと点Fとを結ぶ直線の長さをrとする。
ガラス面は、平面を含む任意の曲面Sをもつとする。曲面S上のレンズを形成する領域内の任意の点sについて、光路O−s−Fの長さと光路O−Fの長さの差をΔrとする。なお、曲面Sは、光路O−s−Fにおいて、s以外で曲面S上の他の点と交わらず、曲面Sをもつガラスの厚みはほぼ一定(当該ミリ波波長に比べて大きく変動しない)とする。
当該ミリ波の波数をkとすると、光路差Δrによってもたらされる位相の差Δφ=kΔrを打ち消す透過位相特性を持ったスリットを点sに配置すればよい。なお、位相差Δφは、当該周波数のみで見ればΔφを2πで除算した剰余Δφmodを考えれば十分である。
さらに、計算の便宜上、剰余の値域を-π以上π未満にした以下の位相差Δφmodを、以後は、光路差に基づく位相差として説明を行う。
Δφmod=((Δφ+π)mod2π)-π
図4は、受信・再放射素子110.iを構成するために設けられるスリットの形状の一例を説明するための図である。
例えば、スリットの形状として図4(a)のような方形ループスロットを用いた場合を考える。ここで、正方形の中心位置を点Cとする。
この場合、図4(b)に示すように、方形ループの一辺の長さをlとして、lを変えた時の当該周波数の電波の透過位相φt(-π≦φt<π)の関係をあらかじめ電磁界シミュレーションによって求めておく。なお、この関係を求めるための電磁界シミュレーションの方法は、当業者には周知である。
図3および図4を参照すると、点sの位置においては、φt=-Δφmodの透過位相をもたらす一辺の長さlを上記関係からもとめ、一辺の長さlをもつ方形ループスロットを配置すればよい。なお、φtとlの関係において、φtの値域として-πからπまでのすべての値を取り得ない場合もあるが、その場合は、-Δφmodにもっとも近いφtを選択しlを決定する。
なお、以下では、「要素パラメータとしてのエレメント長」とは、スリットの形状が方形ループ形状であれば、上述した1辺の長さをいう。より一般に、スリットの形状が、他の形状である場合は、上述のように、透過位相を事前に算出する際に、スリットの大きさを特徴づけるためのパラメータをいう。
図5は、各スリットを配置する位置の設計手法を説明するための図である。
図5(a)は、平面S’と平面S’上の正方格子の格子点P(i,j)の座標位置を示す図であり、図5(b)は、図5(a)に示した平面S’の格子点P(i,j)を通る断面、ならびに、対象物Oおよび焦点領域F,ガラス面S、ガラス面S上において、格子点P(i,j)に対応するスリット配置点S(i,j)を示す断面図である。図5(b)においては、格子点P(i,j)が、直線OF上に存在するものとして断面を示している。
図5(b)に示すスリットの位置S(i,j)を決定する手順の一例を、以下、説明する。
まず、図5(b)に示すように、平面S’を直線OFに垂直な位置に想定する。平面S’上には、図5(a)に示すような、格子間隔が、例えば、0.5λ(λは収束させようとする電磁波の周波数の波長)の正方格子があるものとする。この正方格子の第i行第j列の格子点をP(i,j)(1≦i≦m,1≦j≦n)で表す。
次に、上述のとおり、直線OFと平面S’との交点に、平面S’上の第i行第j列の格子点P(i,j)が位置するようにしているので、スリットの位置S(i,j)は仮想的に想定した平面S’上の格子の格子点P(i,j)をガラス基板曲面Sに平行投影し、投影されたガラス基板曲面S上の投影点であると定められる。
他のスリットの位置S(i’,j’)についても、スリットの位置S(i,j)と同様の手順で、i’とj’とについて、(1≦i’≦m,1≦j’≦n)の範囲にわたって、正方格子の格子点P(i’,j’)のガラス面S上への投影点を求めることで、残りの全てのスリットの位置を決定する。
さらに、以上の手続きで決定されたスリット配置点S(i,j)に、上記の手順でスリットの大きさを決めて配置すればよい。なおスリットの配置は、特に、限定されないが、たとえば、図4(a)に示した中心Cが投影点の位置となるように位置決めをしてもよい。ただし、スリットの他の位置であっても、スリットの位置を一義に規定できる点であれば、他の点を基準として、各投影点に各スリットを配置することとしてもよい。また、2次元平面S’上の格子は、正方格子でなくても、正三角形格子など、規則的に2次元平面を埋め尽くせる格子点からなる格子であれば他の格子でもよい。
なお、直線OFは曲面Sとは交わるが、曲面S上のレンズを形成する領域と交わらなくてもよい。
以上のような手続により、湾曲したガラス面上に、所定の位置に焦点を結ぶような電磁波収束構造体を設けたレンズアンテナ装置を構成することが可能である。
このような設計のための演算処理は、上記のような原理の説明により当業者にとっては、実施可能であるので、詳細の説明は、省略する。
図6は、センサ装置200の構成を示す機能ブロック図である。
図6を参照して、センサ装置200は、2次元に配置された複数の受信機210.11〜210.mnを有する受信機アレーを含む。各受信機は、ミリ波による撮像の各画素に対応する。
受信機210.11〜210.mnの各々は、基本的に同様の構成を有する。
たとえば、受信機210.11は、小型アンテナ211と、一方入力に小型アンテナ211が接続されるスイッチ213と、スイッチ213の他方入力214に接続される基準負荷214と、スイッチ213の出力を受けて増幅する低雑音増幅器(LNA)215と、LNA215の出力のうち所定の周波数帯域の信号を選択的に通過させるためのバンドパスフィルタ(BPF)216と、BPF216の出力を検知するためのディテクタ217と、ディテクタ217の出力をデジタル信号に変換するアナログ・デジタル変換器(AD変換器)218とを含む。
小型アンテナ211は、たとえば、リング状の構造であって、透明平板レンズ全体から到来する電波を受信できるような指向性を持つ。スイッチ213は、その入力として、小型アンテナ213と基準負荷214を択一できる2:1スイッチである。スイッチ213の出力は、LNA215に接続され、受信した電波が増幅される。そしてBPF216によって必要な周波数のみを抽出して、ディテクタ217に入力する。ディテクタ217としては、特に限定されないが、たとえば、ショットキーバリアダイオードなどを用いることができる。
ディテクタ出力としては受信電力に応じたDC電圧が出てくるので、AD変換器218によってデジタル信号に変換される。
読み出し回路220は、各画素に対応する受信機210.11〜210.mnからの信号を1画素ごとに直接読み出しを行う。この点で、読み出し回路220の構成は、CMOS撮像センサの読み出し動作に類似である。
また、撮影を開始する前の校正時において、スイッチ213の切り替えにより、基準負荷からのノイズ信号の電力(基準電力)を予め取得しておくことで、小型アンテナ211で受信した信号に含まれるLNA215などの特性の時間変動成分を取り除くことが可能である。
読み出し回路220は、すべての受信機からの信号を読み出し、画像処理回路230が、2次元画像化する。さらに、たとえば、画像処理回路230が、画像処理により対象物の判定等を行い、運転者2へ表示装置(図示せず)による画像の提示や、音声ガイド装置(図示せず)のような別のサブシステムを通して運転支援を行う構成とすることも可能である。
また、画像処理回路230は、透明平板レンズ100からセンサ装置200までの光路長の差により、画像に歪みが生じる場合に、このような歪みの補正を行う機能を備えていてもよい。
以上のような構成により、車両などのように設置場所に制限がある場合でも、ミリ波レーダのアンテナの等価的な開口面積を大きくして、対象物の検知位置の精度および対象物をとらえる解像度を向上することが可能である。
[実施の形態2]
実施の形態1においては、透明平板レンズ100は、受信・再放射素子100.iのアレーであるものとした。
ただし、透明平板レンズ100は、所定波長のミリ波を集光して結像できるものであれば、別の構成であってもよい。
図7は、実施の形態2の透明平板レンズ100の構成を説明する図である。
図7に示すように、実施の形態2の透明平板レンズ100は、フレネルゾーンプレートである。
すなわち、図7のように所定の周波数の電波のフレネルゾーンに合わせて、位相が180°変化するごとに遮蔽、透過が繰り返されるように、ITO膜などで遮蔽パターンを形成するものである。フレネルゾーンプレートは、規則的に間隔の変化する同心円帯をつくり、各輪帯からの光が同位相で焦点に集まるようにしたものである。
この場合のフレネルゾーンプレートの設計の手法も、原理的には、実施の形態1の場合と同様であるので、以下、図3〜図5を参照して、説明する。
すなわち、図3を参照して、ミリ波の発生源(または反射源)となる物体面上の焦点をO、結像面の焦点をFとする。点Oと点Fを結ぶ直線の長さをrとする。
任意の曲面Sをもつガラス上にフレネルゾーンプレートレンズを形成する場合、曲面S上のレンズを形成する領域内の任意の点sについて、光路O−s−Fの長さと光路O−Fの長さの差をΔrとする。なお、曲面Sは、光路O−s−Fにおいて、点s以外で曲面S上の他の点と交わらず、曲面Sをもつガラスの厚みはほぼ一定(使用ミリ波波長に比べて大きく変動しない)とする。
当該周波数のミリ波の波数をkとすると、光路差Δrによってもたらされる位相の差ΔφはkΔrである。
フレネルゾーンプレートを構成する場合は、Δφがπ×(2n+1/2)となる点sの集合が形成する閉曲線と、Δφがπ×(2n+3/4)となる点sの集合が形成する閉曲線に囲まれる曲面S上の領域を、当該周波数領域のミリ波について不透明とすればよい。ただし、nは0以上の整数とする。
任意の曲面形状をもつ曲面Sに対しては、フレネルゾーンプレートが厳密に同心円帯とはならず、不透明とする領域を解析的に求められない場合が一般的である。その場合は、直線OFに垂直な平面S’上の、格子間隔が0.1λ(λは当該周波数の波長)の正方格子を曲面Sに平行投影し、投影された格子点において、その点が不透明とするべき領域内に存在するか否かを上記の手法によって判定する。不透明とすべき領域に存在するならば、その格子点を中心とする一辺が0.1λの正方形領域(投影元S’上)を曲面S上に平行投影した領域を不透明として定める。レンズを形成する領域に対応するすべての格子点においてこれを繰り返せば、曲面S上のレンズを形成する領域内の全ての点において不透明と透明領域を定義することができ、近似的なフレネルゾーンプレートを形成できる。格子間隔を小さくすればするほど、精度の高いフレネルゾーンプレートを形成できることは言うまでもない。
なお、直線OFは曲面Sとは交わるが、曲面S上のレンズを形成する領域と交わらなくてもよい。
なお、このような所定の波長領域のミリ波について選択的に不透過とすることは、特に限定されないが、たとえば、ミリ波については反射し、可視光については、十分な透過性を有するITO膜を利用すれば、このようなフレネルゾーンプレートを実現することができる。
このような構成によっても、実施の形態1と同様の効果を奏することが可能である。
本明細書では、通常は平面上に形成される「フレネルゾーンプレート」の意義を拡大して、上述のようにして、曲面上に形成される透明領域および不透明領域により形成される電磁波収束構造体のことも、フレネルゾーンプレートと呼ぶことにする。
[実施の形態3]
実施の形態1〜2では、ミリ波撮像システムはいずれもパッシブ型の構成であるものとした。
実施の形態3では、アクティブ型のミリ波撮像システムとする。
図8は、実施の形態3のミリ波撮像システムが自動車に設置される態様を説明するための概念図である。
図8も、自動車の側面方向からの透視図である。
図8では、ミリ波撮像システム側からは、ミリ波照射装置300によりミリ波を対象物に照射するアクティブイメージング装置の構成となっている。
ミリ波照射装置300は、特に限定されないが、たとえば、フロントグリル部に設けることが可能である。このような構成により、ミリ波照射装置300が、イメージング装置の視野角程度の範囲を照射できるようにする。ただし、ミリ波照射装置300の設置する場所は、このような構成に限定されるものではない。
ミリ波照射装置300から積極的にミリ波を対象に照射することにしたので、より鮮明な画像を撮像することが可能となる。
その他の構成は、実施の形態1〜2では、ミリ波撮像システムの構成と同様であるので、説明は繰り返さない。
[実施の形態4]
図9は、実施の形態4のミリ波センサシステムを説明するための図である。
図9に示すように、実施の形態1〜3において、センサ装置を天井の代わりに、ダッシュボードに配置する。センサ装置の位置に応じて、透明平板レンズの設計を変更して焦点を形成する位置を変えることで、実施の形態1〜3と同様の効果を奏することが可能である。
[実施の形態5]
図10は、実施の形態5のミリ波センサシステムを説明する概念図である。
図10に示すように、実施の形態5では、ミリ波センサシステムは、太陽光発電のシステムの中に組み込まれている。
なお、図10では、簡単のために、太陽光発電システムの受光面は、平面であるものとしているが、受光面は、曲面でもよい。
たとえば、建物300の屋上に、南東方向を向いて、太陽電池パネル310が設置され、南西方向を向いて、太陽電池パネル320が設置されているものとする。
太陽電池パネル310は、たとえば、4つの太陽光モジュール310a〜310dから構成される。太陽電池パネル320についても同様である。
また、各太陽光モジュール310a〜310dの表面のガラスには、実施の形態1や実施の形態3等と同様に、透明電極により、透明平板レンズ302a〜302dが設けられる。太陽電池パネル320についても同様である。
後に説明するように、太陽電池パネル310または320は、いわゆるシースルー型の太陽電池パネルであって、可視光およびミリ波が透過できる構造を有しているものとする。
このようにして透過したミリ波は、太陽電池パネル310または320中に設置されたミリ波受信装置により、その強度が検出される。
なお、このようなミリ波受信装置の構成は、たとえば、受信機210.11が単体で設置される構成であってもよいし、あるいは、2次元に配置された複数の受信機210.11〜210.mnを有する受信機アレーであってもよい。この場合は、パッシブなミリ波レーダ装置として機能する。
また、図8に示したように、ミリ波のミリ波照射装置を備えて、アクティブなミリ波レーダ装置として機能させることも可能である。
さらに、受信機を2次元アレーとした場合は、ミリ波での撮像も可能となる。
このとき、ミリ波により観測される対象は、たとえば、雲330がある。
このようなレーダは、従来、ミリ波雲レーダとして知られており、衛星に搭載されるものについては、たとえば、以下の文献に開示がある。
文献:特開2005−10046号公報
ただし、ミリ波雲レーダとしては、航空機に搭載されるものとして、以下の文献に開示されている。
文献:堀江宏昭、黒岩博司、大野裕一著、「航空機からの地球環境計測技術:航空機搭載雲レーダ(SPIDER)の観測」通信総合研究所季報、ReviewoftheCommunicationsResearchLaboratory、第48巻(第2号)、Volume48(No.2),pp.71-80、2002
このように、ミリ波により雲を観測することで、雲の高さだけでなく、雲に含まれている水・氷の量の高さ分布、構成粒子の大きさの分布なども取得することが可能である。
また、このようなミリ波レーダ装置の観測対象としては、雲に限らず、人工衛星または宇宙、大気から到来する電磁波を2次元的に観測する目的にも使用することが可能である。
図11は、このような太陽光モジュール310aの構造を説明するための図である。また、他の太陽光モジュールについても同様の構造を有するものとする。
以下では、特に限定されないが、特開2002−299663号公報に記載されたシースルー型太陽電池モジュールに対して、透明平板レンズ302aが設けられた場合を例として説明する。もちろん、他の構成のシースルー型太陽電池モジュールに対して、透明平板レンズ302aを設けることも可能である。
なお、図11の構成については、特開2002−299663号公報の説明に詳しいので、以下では、本実施の形態の構成を説明するための必要部分について、簡単に説明する。
図11(a)は、シースルー型薄膜太陽電池モジュールの平面図であり、図11(b)は、図11(a)に示すシースルー型薄膜太陽電池モジュールの断面の一部を拡大して示す断面図である。
図11(a)および図11(b)に示す本発明のシースルー型薄膜太陽電池モジュール310aは、矩形の平面形状を有する透光性(透明)基板(例えばガラス基板)400の周縁領域411を除く全面領域に、集積型薄膜太陽電池構造412を備える。
集積型薄膜太陽電池構造412は、太陽電池単位セル(ストリングともいう)が集積されたタイプのものである。すなわち、集積型太陽電池構造412は、透光性基板400上に集積された複数の太陽電池単位セル421からなる。各単位セル421は、透光性基板400から順に、透明前面電極層421a、アモルファスシリコン系光電変換ユニット421bおよび裏面電極層421cを備える。
ガラス基板11上に形成される透明前面電極層421aは、実施の形態1で説明したような透明導電性酸化物で形成することができる。
透明前面電極層421aの上に形成されるアモルファスシリコン系光電変換ユニット421bは、それぞれ図示しないが、透明前面電極層421a上にp型アモルファスシリコン系半導体層、アモルファスシリコン系薄膜光電変換層、およびn型シリコン系半導体層を順次積層した構造を有する。
光電変換ユニット上421b上に形成される裏面電極層421cは、蒸着法やスパッタリング法等により、銀、アルミニウム、クロム、チタン等の金属材料で形成することができる。
以上説明した透明前面電極層421a、光電変換ユニット421b、裏面電極層はレーザスクライブ等により分割され、複数の個別単位セル421を構成する。すなわち、透明前面電極層421aは分離溝SV1により、光電変換ユニット421bは分離溝SV2により、裏面電極層421cは分離溝SV3により分離されている。これら複数の単位セル121は、電気的に直列接続または並列接続される。
なお、図11に示されているように、ガラス基板11の周縁領域111はサンドブラスト等の手段により、セル121の作製のために被着された裏面電極層、光電変換ユニット、透明前面電極層が除去され、ガラス面が露出されている。このように、ガラス基板11の周縁領域111においてガラス面が露出していることにより、以後述べる封止樹脂との接着力が向上する。
さて、かかる集積型薄膜太陽電池構造において、特定のストリング相当領域(図11(b)においては、2つの領域421で挟まれる領域)では透明前面電極層421a’に対して、開口部431が形成されている。この領域には、光電変換ユニット421bおよび裏面電極層421cは、形成されておらず、従って透明基板400が露出している。この露出した領域が、光透過窓部を構成する。
透明基板400において、透明前面電極層421a’が形成されるのとは反対側の主面には、レンズとして機能するための透明電極層430が形成されている。たとえば、実施の形態1等同様に、この透明電極層430には、レンズとして機能するためのスリット432が設けられる。なお、透明電極層430に形成されるパターンとしては、このような構成に限られず、フレネルゾーンプレートであってもよい。
このような構成により、太陽電池パネルにミリ波センサシステムを組みこむことが可能となり、上述のとおり、雲の観測だけでなく、人工衛星または宇宙、大気から到来する電磁波を2次元的に観測する目的にも使用することが可能となる。
[実施の形態6]
図12は、実施の形態6のミリ波通信システムの構成を説明するための図である。
図12では、一例として、川を挟んで、2つの建屋500aと500bとが向き合って建設されているような状況を示す。たとえば、山間部の谷合に建設された旅館などの建物が想定される。
このような建物の場合、一方の建物500aと他方の建物500bとの間で、高速な伝送レートで通信するような通信路を敷設する必要がある場合において、通信路の設置コストが大きくなる場合がある。
しかしながら、たとえば、実施の形態1や実施の形態3で説明したような透明平板レンズ510aや510bを、建物の窓ガラス上に設けることとすれば、このようなレンズ同士を介したミリ波520aや520bにより、2つの建屋500aと500b間で通信をすることができる。
なお、図12でも、簡単のために、窓ガラスの表面は、平面であるものとしているが、ガラス面は、曲面でもよく、窓ガラスが傾斜して設置されていてもよい。
このとき、送信側も受信側もともに透明平板レンズ510aや510bを用いることで、ミリ波の伝搬方向を制限できるので、2つのミリ波520aと520bとが、比較的に近接している場合でも、空間的に良好に分離した通信を行うことができる。
なお、ミリ波での高速通信における送信および受信の構成については、たとえば、以下の文献に開示があるので、このような従来の送信機および受信機を用いることができる。
文献:特開2010−272900号公報
なお、本実施の形態のようなミリ波伝送を用いる局面としては、たとえば、広い駐車場における監視カメラからの画像データを、ビルの窓に透明平板レンズを設けることで、伝送を受ける、というような用途でもよく、図12のような構成に限定されるわけではない。
以上説明したように、実施の形態1〜6のミリ波レーダシステムによれば、インフラや移動体、車両などのように設置場所に制限がある場合でも、ミリ波レーダのアンテナの等価的な開口面積を大きくして、対象物の検知位置の精度および対象物をとらえる解像度を向上することが可能である。
また、実施の形態5のミリ波センサシステムによれば、設置面積を有効に利用して、雲の観測だけでなく、人工衛星または宇宙、大気から到来する電磁波を2次元的に観測することが可能となる。
また、実施の形態6のミリ波通信システムによれば、ケーブルなどを敷設することが困難、または、コストがかかるような環境においても、ミリ波による高速伝送が可能となる。
今回開示された実施の形態は、本発明を具体的に実施するための構成の例示であって、本発明の技術的範囲を制限するものではない。本発明の技術的範囲は、実施の形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲の文言上の範囲および均等の意味の範囲内での変更が含まれることが意図される。
2 運転者、10 フロントガラス、100 透明平板レンズ、200,200´,200´´ センサ装置、210.11〜210.mn 受信機、211,212 小型アンテナ、213 スイッチ、214 基準負荷、215 LNA、216 BPF、217 ディテクタ、218 AD変換器、220 読み出し回路、230 画像処理回路、300 ミリ波照射装置。

Claims (9)

  1. 可視光を透過させ、対象物から到達する所定の周波数領域の電磁波を焦点領域に収束させるレンズアンテナ装置であって、
    曲面形状を有するガラス基板と、
    前記ガラス基板上に形成された透過導電性薄膜とを備え、前記透過導電性薄膜には、複数の環状形状のスリットが形成され、
    各前記スリットの形状の要素パラメータとしてのエレメント長は、前記対象物から前記焦点領域に至る光路差による位相差に基づき設定される、レンズアンテナ装置。
  2. 前記スリットの形成される位置は、前記対象物から前記焦点位置に至る直線経路に垂直な平面上の所定の辺長さを有する格子の各格子点を前記ガラス基板に投影した位置に対応する、請求項1記載のレンズアンテナ装置。
  3. 前記スリットの形状は、方形ループ形状である、請求項1記載のレンズアンテナ装置。
  4. 前記スリットの形状は、略同心円形状である、請求項1記載のレンズアンテナ装置。
  5. 前記スリットの形状は、前記所定の周波数の電磁波の位相差が、−πからπの範囲の大きさである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレンズアンテナ装置。
  6. 前記ガラス基板は、移動体の運転席前面に設けられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のレンズアンテナ装置。
  7. 前記ガラス基板は、建物の湾曲または傾斜した窓に設けられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のレンズアンテナ装置。
  8. 前記ガラス基板は、太陽電池パネルの表面ガラスであり、
    前記受信装置は、受信アンテナにより、人工衛星または宇宙、大気、雲から到来する電磁波を2次元的に受信する、請求項7記載のレンズアンテナ装置。
  9. 前記電磁波の周波数は、20GHz〜3THz帯を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のレンズアンテナ装置。
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