JP2015136383A - 中空糸膜外部血液灌流型人工肺 - Google Patents
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Abstract
【課題】血小板の粘着の抑制・防止効果を向上できる中空糸膜外部血液灌流型人工肺を提供する。
【解決手段】疎水性高分子材料からなるガス交換用多孔質中空糸膜3をハウジング内に収納し、前記中空糸膜の外面側に血液が流れ、該中空糸膜の内部に酸素含有ガスが流れる中空糸膜外部血液灌流型人工肺であって、血液接触部となる前記中空糸膜の外面または外面層3aが、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位を有する高分子18で被覆されてなり、前記高分子による被覆は、前記中空糸膜外部血液灌流型人工肺を組み立てた後、該人工肺の血液流通側に、溶解度パラメータ値が38〜47.9(MPa)1/2である溶媒に前記高分子を溶解させた高分子含有溶液および水を順次接触させることによって、前記中空糸膜の外面または外面層に形成される、中空糸膜外部血液灌流型人工肺。
【選択図】図2
【解決手段】疎水性高分子材料からなるガス交換用多孔質中空糸膜3をハウジング内に収納し、前記中空糸膜の外面側に血液が流れ、該中空糸膜の内部に酸素含有ガスが流れる中空糸膜外部血液灌流型人工肺であって、血液接触部となる前記中空糸膜の外面または外面層3aが、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位を有する高分子18で被覆されてなり、前記高分子による被覆は、前記中空糸膜外部血液灌流型人工肺を組み立てた後、該人工肺の血液流通側に、溶解度パラメータ値が38〜47.9(MPa)1/2である溶媒に前記高分子を溶解させた高分子含有溶液および水を順次接触させることによって、前記中空糸膜の外面または外面層に形成される、中空糸膜外部血液灌流型人工肺。
【選択図】図2
Description
本発明は、体外血液循環において、血液中の二酸化炭素を除去し、血液中に酸素を添加するための中空糸膜型人工肺、特に中空糸膜外部血液灌流型人工肺に関する。
多孔質膜を使用した中空糸膜型人工肺は、心臓疾患の開心術時における体外循環装置や循環補助用人工心肺装置として、一般に広く使用されている。膜型人工肺は主に中空糸膜を用い、その中空糸膜を介して血液のガス交換を行うものである。人工肺への血液の灌流方式として、中空糸膜の内側に血液を流し、中空糸膜の外側にガスを流す内部灌流方式と、逆に血液を中空糸膜の外側へ流し、ガスを中空糸膜の内側へ流す外部灌流方式とがある。
このうち、外部灌流型人工肺は、内部灌流型人工肺に比して、膜面積あたりのガス交換性能が高く、かつ圧力損失も小さいことから、主流になってきている。しかしながら、外部灌流型人工肺は、血液の流れに乱れを発生させるため、血小板系の粘着(付着)や活性化に影響を与えやすい。このため、この点については、内部灌流型人工肺の方が優れているといわれている。
このような課題を考慮して、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートの血小板系の粘着や活性化の抑制・防止効果を利用して、従来、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートを外部灌流型人工肺用中空糸膜にコーティングに使用していた。例えば、特許文献1では、中空糸膜の外面または外面層を、特定の溶媒にアルコキシアルキル(メタ)アクリレートを主成分としてなる高分子に溶解してなるコート液でコーティングした後、乾燥させることが記載されている。
たしかに、上記特許文献1に記載される方法によって製造される中空糸膜外部血液灌流型人工肺では、血小板の粘着や活性化が抑えられ、かつ、血漿成分の漏出も少ない。
しかしながら、膜型人工肺研究会の人工肺使用施設に対するアンケート調査によると、抗血栓性生体適合の向上が今後希望する改良・開発項目のトップとなっており、血小板の粘着(付着)及び活性化の抑制・防止効果をさらに向上できる方法が依然として希求されている。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、血小板の粘着(付着)の抑制・防止効果を向上できる中空糸膜外部血液灌流型人工肺を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、ポリ(アルコキシアルキル(メタ)アクリレート)などのコート液で中空糸膜の外面をコートした後、水でコート液残渣を洗い流すことによって、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、上記目的は、疎水性高分子材料からなるガス交換用多孔質中空糸膜をハウジング内に収納し、前記中空糸膜の外面側に血液が流れ、該中空糸膜の内部に酸素含有ガスが流れる中空糸膜外部血液灌流型人工肺であって、血液接触部となる前記中空糸膜の外面または外面層が、下記一般式1:
ただし、R1は、炭素原子数1〜4のアルキレン基を表わし、R2は、炭素原子数1〜4のアルキル基を表わし、およびR3は、水素原子またはメチル基を表わす、
で表される繰り返し単位を有する高分子で被覆されてなり、前記高分子による被覆は、前記中空糸膜外部血液灌流型人工肺を組み立てた後、該人工肺の血液流通側に、溶解度パラメータ値が38〜47.9(MPa)1/2である溶媒に前記高分子を溶解させた高分子含有溶液および水を順次接触させることによって、前記中空糸膜の外面または外面層に形成される、中空糸膜外部血液灌流型人工肺によって達成される。
で表される繰り返し単位を有する高分子で被覆されてなり、前記高分子による被覆は、前記中空糸膜外部血液灌流型人工肺を組み立てた後、該人工肺の血液流通側に、溶解度パラメータ値が38〜47.9(MPa)1/2である溶媒に前記高分子を溶解させた高分子含有溶液および水を順次接触させることによって、前記中空糸膜の外面または外面層に形成される、中空糸膜外部血液灌流型人工肺によって達成される。
本発明の中空糸膜外部血液灌流型人工肺によれば、血小板の粘着(付着)を抑制・防止できる。
本発明は、疎水性高分子材料からなるガス交換用多孔質中空糸膜をハウジング内に収納し、前記中空糸膜の外面側に血液が流れ、該中空糸膜の内部に酸素含有ガスが流れる中空糸膜外部血液灌流型人工肺であって、血液接触部となる前記中空糸膜の外面または外面層が、下記一般式1:
ただし、R1は、炭素原子数1〜4のアルキレン基を表わし、R2は、炭素原子数1〜4のアルキル基を表わし、およびR3は、水素原子またはメチル基を表わす、
で表される繰り返し単位(アルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位)を有する高分子(以下、「本発明に係る高分子」または「アルコキシアルキル(メタ)アクリレート系重合体」とも称する)で被覆されてなり、前記高分子による被覆は、前記中空糸膜外部血液灌流型人工肺を組み立てた後、該人工肺の血液流通側に、溶解度パラメータ値が38〜47.9(MPa)1/2である溶媒に前記高分子を溶解させた高分子含有溶液および水を順次接触させることによって、前記中空糸膜の外面または外面層に形成される、中空糸膜外部血液灌流型人工肺(以下、単に「人工肺」とも称する)に関する。
で表される繰り返し単位(アルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位)を有する高分子(以下、「本発明に係る高分子」または「アルコキシアルキル(メタ)アクリレート系重合体」とも称する)で被覆されてなり、前記高分子による被覆は、前記中空糸膜外部血液灌流型人工肺を組み立てた後、該人工肺の血液流通側に、溶解度パラメータ値が38〜47.9(MPa)1/2である溶媒に前記高分子を溶解させた高分子含有溶液および水を順次接触させることによって、前記中空糸膜の外面または外面層に形成される、中空糸膜外部血液灌流型人工肺(以下、単に「人工肺」とも称する)に関する。
本発明の中空糸膜外部血液灌流型人工肺は、特定の高分子含有溶液を中空糸膜表面に塗布した後、水で洗浄することによって形成された被覆(被膜)を中空糸膜の外面または外面層に有することを特徴とする。当該被覆を有する中空糸膜を利用してなる中空糸膜外部血液灌流型人工肺は、向上した血小板の粘着(付着)の抑制・防止効果を発揮できる。ここで、本発明の構成による上記作用効果の発揮のメカニズムは以下のように推測される。なお、本発明は下記メカニズムに限定されるものではない。
すなわち、特許文献1の実施例では、ポリメトキシエチルアクリレートを水・メタノール・エタノール混合溶媒に溶解した合成高分子溶液を人工肺の血液流通側に流して、人工肺の血液接触部全体に合成高分子を被覆して、中空糸膜外部血液灌流型人工肺を作製していた。このような方法によって作製された人工肺は、確かに血小板の粘着(付着)および活性化が少なく、かつ、血漿成分の漏出が少ない。しかし、本発明者らは、上記人工肺の抗血栓性生体適合のさらなる向上についてさらに検討を行ったところ、被覆を微視的に観察すると、被覆表面に合成高分子溶液の濃縮に起因する局所的なコートむらが存在することが観察された。さらにこのようなコートむらと抗血栓性との関係について検討を行ったところ、コートむらが血小板の粘着/付着を誘発する可能性が高いことを見出した。
このため、コートむらの低減方法について鋭意検討を行ったところ、人工肺をアルコキシアルキル(メタ)アクリレートを主成分としてなる合成高分子のコート液でコーティングした後、水を接触させることにより、局所的なコート液の濃縮に起因するコートむらを有効に低減できることを見出した。ゆえに、本発明の中空糸膜外部血液灌流型人工肺は、抗血栓性生体適合(血小板の粘着/付着の抑制・防止効果、および血小板の活性化の抑制・防止効果)、特に血小板の粘着/付着の抑制・防止効果に優れる。また、一般的に医療基材の被覆に凹凸があると、組織との接触や体液の流れ(例えば、血流)などにより凸部が剥離することがある。しかし、本発明の中空糸膜外部血液灌流型人工肺では、局所的なコート液の濃縮に起因する凹凸(コートむら)が少ない。このため、本発明の中空糸膜外部血液灌流型人工肺によれば、被覆(コート材)の剥離リスクを低減することも可能である。加えて、本発明の中空糸膜外部血液灌流型人工肺は、血液(例えば、血漿成分)の漏出も有効に抑制・防止できる。具体的には、ガス交換用多孔質中空糸膜の血液接触部全体に合成高分子のコート液を塗布した際、コート液は、ガス交換用多孔質中空糸膜の孔を通してガス交換用多孔質中空糸膜の内部層又は内面層まで浸透する虞がある。特に、ガス交換用多孔質中空糸膜の表面にコートむらが存在すると、コート液は、コート液の乾燥前に一部がガス交換用多孔質中空糸膜の内面層まで浸透する可能性がある。本発明では、コート液の乾燥前に水に接触させることにより不要なコート液を洗浄するため、ガス交換用多孔質中空糸膜の内部層までコート液が浸透するリスクを抑制できる。そのため、ガス交換用多孔質膜を薄くした場合やコート液を多く塗布した場合でも、ガス交換用多孔質中空糸膜の内面層は、形成素材の疎水性状態を維持しており、高い血漿の漏出防止作用を備えている。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味し、「重量」と「質量」、「重量%」と「質量%」及び「重量部」と「質量部」は同義語として扱う。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。
[中空糸膜外部血液灌流型人工肺]
本発明の中空糸膜外部血液灌流型人工肺を図面を参照しながら以下で説明する。
本発明の中空糸膜外部血液灌流型人工肺を図面を参照しながら以下で説明する。
図1は、本発明の中空糸膜外部血液灌流型人工肺の一実施形態の断面図である。図2は、本発明の中空糸膜外部血液灌流型人工肺に使用されているガス交換用多孔質中空糸膜の拡大断面図である。図3は、本発明の中空糸膜外部血液灌流型人工肺の他の実施形態の断面図である。
図1において、本発明の中空糸膜外部血液灌流型人工肺1は、多数のガス交換用多孔質中空糸膜3をハウジング2内に収納し、中空糸膜3の外面側に血液が流れ、中空糸膜3の内部に酸素含有ガスが流れるタイプの人工肺であり、さらに、血液接触部となる中空糸膜3の外面または外面層3aに本発明に係る高分子(アルコキシアルキル(メタ)アクリレート系重合体)18が被覆されている。ここで、「高分子が中空糸膜の外面を被覆する」とは、高分子の被覆(被膜)が中空糸膜表面(血液が流れる側の表面)上に形成されることを意図する。一方、「高分子が中空糸膜の外面層を被覆する」とは、高分子が一部中空糸膜の外面層内に浸透して全体として被覆(被膜)を形成することを意図する。なお、このような場合であっても、下記に詳述するように、高分子は中空糸膜の内面(酸素含有ガスが流れる側の表面)には実質的に存在しない。また、「外面または外面層」とは、中空糸膜の外面および外面層の少なくとも一方を指し、外面のみおよび外面層のみに加えて、中空糸膜の外面および外面層双方を包含する。すなわち、本発明に係る高分子の被覆(被膜)は、中空糸膜の血液接触部(外面および/または外面層;表層部)に形成される。本発明に係る高分子の被覆(被膜)は、中空糸膜の血液接触部(外面および/または外面層;表層部)の少なくとも一部に形成されればよいが、抗血栓性生体適合(血小板の粘着/付着の抑制・防止効果、および血小板の活性化の抑制・防止効果)などの観点から、中空糸膜の血液接触部(外面および/または外面層;表層部)全体に形成されることが好ましい。すなわち、本発明に係る高分子は、前記中空糸膜外部血液灌流型人工肺の血液接触部全体を被覆することが好ましい。
本発明に係る高分子は、中空糸膜3の内部層3bまたは中空糸膜の内面層3cに存在してもよいが、中空糸膜3の内部層3bまたは中空糸膜の内面層3cには実質的に存在していないことが好ましい。本明細書において、「本発明に係る高分子が中空糸膜3の内部層3bまたは中空糸膜の内面層3cには実質的に存在していない」とは、中空糸膜の内面(酸素含有ガスが流れる側の表面)付近に、本発明に係る高分子の浸透が観察されないことを意味する。
本実施形態に係る中空糸膜型人工肺1は、血液流入口6と血液流出口7とを有するハウジング2と、ハウジング2内に収納された多数のガス交換用多孔質中空糸膜3からなる中空糸膜束と、中空糸膜束の両端部をハウジング2に液密に支持する一対の隔壁4,5とを有し、隔壁4,5とハウジング2の内面および中空糸膜3の外面間に形成された血液室12と、中空糸膜3の内部に形成されたガス室と、ガス室と連通するガス流入口8およびガス流出口9とを有するものである。
具体的には、本実施形態の中空糸膜型人工肺1は、筒状ハウジング2と、筒状ハウジング2内に収納されたガス交換用中空糸膜3の集合体と、中空糸膜3の両端部をハウジング2に液密に保持する隔壁4,5とを有し、筒状ハウジング2内は、第1の流体室である血液室12と第2の流体室であるガス室とに区画され、筒状ハウジング2には血液室12と連通する血液流入口6および血液流出口7が設けられている。
そして、筒状ハウジング2の端部である隔壁4の上方には中空糸膜3の内部空間であるガス室に連通する第2の流体流入口であるガス流入口8を有するキャップ状のガス流入側ヘッダー10が取り付けられている。よって、隔壁4の外面とガス流入側ヘッダー10の内面により、ガス流入室13が形成されている。このガス流入室13は、中空糸膜3の内部空間により形成されるガス室と連通している。
同様に、隔壁5の下方に設けられ中空糸膜3の内部空間に連通する第2の流体流出口であるガス流出口9を有するキャップ状のガス流出側ヘッダー11が取り付けられている。よって、隔壁5の外面とガス流出側ヘッダー11の内面により、ガス流出室14が形成されている。
中空糸膜3は、疎水性高分子材料からなる多孔質膜であり、公知の人工肺に使用される中空糸膜と同様のものが使用され、特に制限されない。このように中空糸膜(特に中空糸膜の内面)が疎水性高分子材料からなることにより、血漿成分の漏出を抑制することができる。例えば、中空糸膜の内径は、好ましくは100〜1000μmである。また、中空糸膜の肉厚は、好ましくは5〜200μm、より好ましくは7〜100μm、さらにより好ましくは10〜50μm、特に好ましくは、10〜20μmである。中空糸膜の空孔率は、好ましくは5〜90体積%、より好ましくは10〜80体積%、特に好ましくは30〜60体積%である。中空糸膜の細孔径は、好ましくは0.01〜5μm、より好ましくは0.05〜1μmである。また、多孔質膜に使用される材質としては、公知の人工肺に使用される中空糸膜と同様の材料が使用できる。具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリテロラフルオロエチレン、セルロースアセテート等の疎水性高分子材料などが挙げられる。これらのうち、ポリオレフィン樹脂が好ましく使用され、ポリプロピレンがより好ましい。中空糸膜の製造方法は、特に制限されず、公知の中空糸膜の製造方法が同様にしてあるいは適宜修飾して適用できる。例えば、中空糸膜は、延伸法または固液相分離法により壁に微細孔が形成されてなることが好ましい。
筒状ハウジング2を構成する材料もまた、公知の人工肺のハウジングに使用されるのと同様の材料が使用できる。具体的には、ポリカーボネート、アクリル・スチレン共重合体、アクリル・ブチレン・スチレン共重合体などの疎水性合成樹脂が挙げられる。ハウジング2の形状は、特に制限されないが、例えば円筒状であり、透明体であることが好ましい。透明体で形成することにより、内部の確認を容易に行うことができる。
本実施形態における中空糸膜の収納量は、特に制限されず、公知の人工肺と同様の量が適用できる。例えば、ハウジング2内に、その軸方向に向けて並列に約5,000〜100,000本の多孔質中空糸膜3が収納されている。さらに、中空糸膜3は、ハウジング2の両端に中空糸膜3の両端がそれぞれ開口した状態で隔壁4,5により液密状態に固定されている。隔壁4,5は、ポリウレタン、シリコーンゴムなどのポッティング剤で形成される。ハウジング2内の上記隔壁4,5ではさまれた部分は、中空糸膜3の内部側のガス室と中空糸膜3の外側の血液室12とに仕切られている。
本実施形態では、ガス流入口8を有するガス流入側ヘッダー10およびガス流出口9を有するガス流出側ヘッダー11が、ハウジング2に液密に取り付けられている。これらヘッダーも、いずれの材料で形成されてもよいが、例えば、上述のハウジングに用いられる疎水性合成樹脂により形成されうる。ヘッダーはいずれの方法によって取り付けられてもよいが、例えば、ヘッダーは、超音波、高周波、誘導加熱などを用いた融着、接着剤を用いた接着または機械的に嵌合させることによって、ハウジング2に取り付けられる。また、締め付けリング(図示しない)を用いて行ってもよい。中空糸膜型人工肺1の血液接触部(ハウジング2の内面、中空糸膜3の外面)は、全て疎水性材料により形成されることが好ましい。
図2に示されるように、この中空糸膜型人工肺1の少なくとも血液接触部となる中空糸膜3の外面または外面層3aには、本発明に係る高分子18が被覆されている。上述したように、中空糸膜の内部層3bまたは中空糸膜の内面層3cには、この高分子が実質的存在していないことが好ましい。高分子が実質的存在していないため、中空糸膜の内部層または内面層が膜の基材自身が持つ疎水性の特性がそのまま保持され、血漿成分の漏出(リーク)を有効に防止できる。特に、中空糸膜の内部層3bおよび内面層3c双方に本発明に係る高分子が実質的存在していないことが好ましい。また、中空糸膜3は、中央にガス室を形成する通路3dを備えている。
本発明では、中空糸膜の外面/外面層に形成される高分子被覆は、局所的なコート液の濃縮に起因するコートむらが少ない。このため、中空糸膜の血液接触部での血小板の粘着/付着および活性化が少ない。また、被覆(特にコートむら部分)が中空糸膜から剥離するのも抑制・防止できる。さらに、中空糸膜よりの血液(特に血漿成分)の漏出も抑制・防止できる。すなわち、血液接触部である中空糸膜3の外面または外面層3a(図1では、外面層)が高分子により被覆されていることにより、血小板の粘着/付着および活性化をより有効に抑制・防止できる。また、本発明に係る高分子が中空糸膜の内部層3bおよび中空糸膜の内面層3cに実質的に存在しない場合には、中空糸膜の内部層3bおよび中空糸膜の内面層3cは、素材の疎水性状態を維持しているため、高い血液(特に血漿成分)の漏出(リーク)をも有効に抑制・防止できる。
また、本発明に係る高分子の被覆は、人工肺の中空糸膜の外面/外面層に必須に形成されるが、外面/外面層に加えて、他の構成部材(例えば、血液接触部全体)に形成されてもよい。当該構成をとることにより、人工肺の血液接触部全体において、血小板の粘着/付着および活性化をさらにより有効に抑制・防止できる。また、血液接触面の接触角が低くなるので、プライミング作業が容易となる。なお、この場合には、本発明に係る高分子の被覆は血液が接触する他の構成部材に形成されることは好ましいが、血液接触部以外の中空糸膜もしくは中空糸膜の他の部分(例えば、隔壁中に埋没する部分)には、高分子が被覆されていなくてもよい。このような部分は、血液と接触しないので、高分子を被覆しなくても特に問題とならない。
また、本発明の中空糸膜外部血液灌流型人工肺は、図3に示すようなタイプのものであってもよい。図3は、本発明の中空糸膜外部血液灌流型人工肺の他の実施形態を示す断面図である。また、図4は、図3のA−A線断面図である。
図3において、中空糸膜外部血液灌流型人工肺20は、側面に血液流通用開口32を有する内側筒状部材31と、内側筒状部材31の外面に巻き付けられた多数のガス交換用多孔質中空糸膜3からなる筒状中空糸膜束22と、筒状中空糸膜束22を内側筒状部材31とともに収納するハウジング23と、中空糸膜3の両端を開口した状態で、筒状中空糸膜束22の両端部をハウジングに固定する隔壁25,26と、ハウジング23内に形成された血液室17と連通する血液流入口28および血液流出口29a、29bと、中空糸膜3の内部と連通するガス流入口24およびガス流出口27とを有するものである。
本実施形態の中空糸膜外部血液灌流型人工肺20は、図3および図4に示されるように、ハウジング23は、内側筒状部材31を収納する外側筒状部材33を備え、筒状中空糸膜束22は内側筒状部材31と外側筒状部材33間に収納されており、さらに、ハウジング23は、内側筒状部材内と連通する血液流入口または血液流出口の一方と、外側筒状部材内部と連通する血液流入口または血液流出口の他方とを備えている。
具体的には、本実施形態の人工肺20では、ハウジング23は、外側筒状部材33、内側筒状部材内に収納され、先端が内側筒状部材31内で開口する内筒体35を備える。内筒体35の一端(下端)には、血液流入口28が形成されており、外側筒状部材の側面には、外方に延びる2つの血液流出口29a,29bが形成されている。なお、血液流出口は、一つであってもまたは複数であってもよい。
そして、筒状中空糸膜束22は、内側筒状部材31の外面に巻き付けられている。つまり、内側筒状部材31が筒状中空糸膜束22のコアとなっている。内側筒状部材31の内部に収納された内筒体35は、先端部が第1の隔壁25付近にて開口している。また、内側筒状部材31より、突出する下端部に血液流入口28が形成されている。
そして、内筒体35、中空糸膜束22が外面に巻き付けられた内側筒状部材31、さらに、外側筒状部材33は、それぞれがほぼ同心的に配置されている。そして、中空糸膜束22が外面に巻き付けられた内側筒状部材31の一端(上端)および外側筒状部材33の一端(上端)は、第1の隔壁25により、両者の同心的位置関係が維持されるとともに、内側筒状部材内部および外側筒状部材33と中空糸膜の外面との間により形成される空間が外部と連通しない液密状態となっている。
また、内筒体35の血液流入口28より若干上方となる部分、中空糸膜束22が外面に巻き付けられた内側筒状部材31の他端(下端)および外側筒状部材33の他端(下端)は、第2の隔壁26により、両者の同心的位置関係が維持されるとともに、内筒体35と内側筒状部材内部間に形成される空間および外側筒状部材33と中空糸膜の外面との間により形成される空間が外部と連通しない液密状態となっている。また、隔壁25,26は、ポリウレタン、シリコーンゴムなどのポッティング剤で形成される。
よって、本実施形態の人工肺20では、内筒体35の内部により形成される血液流入部17a、内筒体35と内側筒状部材間に形成される実質的に筒状空間となっている第1の血液室17b、中空糸膜束22と外側筒状部材33との間に形成される実質的に筒状空間となっている第2の血液室17cを備え、これらにより血液室17が形成されている。
そして、血液流入口28から流入した血液は、血液流入部17a内に流入し、内筒体35(血液流入部17a)内を上昇し、内筒体35の上端35a(開口端)より流出し、第1の血液室17b内に流入し、内側筒状部材31に形成された開口32を通過して、中空糸膜に接触し、ガス交換がなされた後、第2の血液室17cに流入し、血液流出口29a,29bより流出する。
また、外側筒状部材33の一端には、ガス流入口24を備えるガス流入用部材41が固定されており、同様に、外側筒状部材33の他端には、ガス流出口27を有するガス流出用部材42が固定されている。なお、内筒体35の血液流入口28は、このガス流出用部材42を貫通して外部に突出している。
外側筒状部材33としては、特に制限されないが、円筒体、多角筒、断面が楕円状のものなどが使用できる。好ましくは円筒体である。また、外側筒状部材の内径は、特に制限されず、公知の人工肺に使用される外側筒状部材の内径と同様でありうるが、32〜164mm程度が好適である。また、外側筒状部材の有効長(全長のうち隔壁に埋もれていない部分の長さ)もまた、特に制限されず、公知の人工肺に使用される外側筒状部材の有効長と同様でありうるが、10〜730mm程度が好適である。
また、内側筒状部材31の形状は、特に制限されないが、例えば、円筒体、多角筒、断面が楕円状のものなどが使用できる。好ましくは円筒体である。また、内側筒状部材の外径は、特に制限されず、公知の人工肺に使用される内側筒状部材の外径と同様でありうるが、20〜100mm程度が好適である。また、内側筒状部材の有効長(全長のうち隔壁に埋もれていない部分の長さ)もまた、特に制限されず、公知の人工肺に使用される内側筒状部材の有効長と同様でありうるが、10〜730mm程度が好適である。
内側筒状部材31は、側面に多数の血液流通用開口32を備えている。開口32の大きさは、筒状部材の必要強度を保持する限り、総面積が大きいことが好ましい。このような条件を満足するものとしては、例えば、正面図である図5、図5の中央縦断面図である図6、さらに図5のB−B線断面図である図7に示されるように、開口32を筒状部材の外周面に等角度間隔で複数(例えば、4〜24個、図では、長手方向に8個)設けた環状配置開口を、筒状部材の軸方向に等間隔で複数組(図では、8組/周)設けたものが好適である。さらに、開口形状は、丸、多角形、楕円形などでもよいが、図5に示すような、長円形状のものが好適である。
また、内筒体35の形状は、特に制限されないが、例えば、円筒体、多角筒、断面が楕円状のものなどが使用できる。好ましくは円筒体である。また、内筒体35の先端開口と第1の隔壁25との距離は、特に制限されず、公知の人工肺に使用されるのと同様の距離が適用できるが、20〜50mm程度が好適である。また、内筒体35の内径もまた、特に制限されず、公知の人工肺に使用される内筒体の内径と同様でありうるが、10〜30mm程度が好適である。
筒状中空糸膜束22の厚さは、特に制限されず、公知の人工肺に使用される筒状中空糸膜束の厚さと同様でありうるが、5〜35mmが好ましく、特に10mm〜28mmであることが好ましい。また、筒状中空糸膜束22の外側面と内側面間により形成される筒状空間に対する中空糸膜の充填率もまた、特に制限されず、公知の人工肺における充填率が同様にして適用できるが、40〜85%が好ましく、特に45〜80%が好ましい。また、中空糸膜束22の外径は、公知の人工肺に使用される中空糸膜束の外径と同様でありうるが、30〜170mmが好ましく、特に、70〜130mmが好ましい。ガス交換膜としては、上述したものが使用される。
そして、中空糸膜束22は、内側筒状部材31に中空糸膜を巻き付けること、具体的には、内側筒状部材31をコアとして、中空糸膜ボビンを形成させ、形成された中空糸膜ボビンの両端を、隔壁による固定の後、コアである内側筒状部材31とともに中空糸膜ボビンの両端を切断することにより、形成することができる。なお、この切断により、中空糸膜は、隔壁の外面において開口する。なお、中空糸膜の形成方法は、上記方法に限定されるものではなく、他の公知の中空糸膜の形成方法を同様にしてあるいは適宜修飾して使用してもよい。
特に、中空糸膜は、1本あるいは複数本同時に、実質的に平行でかつ隣り合う中空糸膜が実質的に一定の間隔となるように内側筒状部材31に巻きつけられることが好ましい。これにより、血液の偏流をより有効に抑制できる。また、中空糸膜は、隣り合う中空糸膜との距離が、以下に制限されないが、中空糸膜の外径の1/10〜1/1となっていることが好ましい。さらに、中空糸膜は、隣り合う中空糸膜との距離が、30〜200μmが好ましく、特に好ましくは50〜180μmである。
さらに、中空糸膜束22は、中空糸膜が、1本あるいは複数本(好ましくは、2〜16本)同時に、かつ隣り合うすべての中空糸膜が実質的に一定の間隔となるように内側筒状部材31に巻きつけられることによって、形成されたものであるとともに、中空糸膜を内側筒状部材上に巻き付ける際に、内側筒状部材31を回転させるための回転体と中空糸膜を編み込むためのワインダーとが、下記式(1)の条件で動くことによって内側筒状部材31に巻きつけられることにより形成されたものであることが好ましい。
上記条件とすることによって、血液偏流の形成をより少ないものとすることができる。このときの巻取り用回転体の回転数とワインダー往復数の関係であるnは、特に制限されないが、通常、1〜5であり、好ましくは2〜4である。
なお、上記他の実施形態に係る人工肺では、血液が筒状中空糸膜束22の内側より流入し、中空糸膜束22を通過した血液が中空糸膜束22の外側に流れた後、人工肺20より流出するタイプのものとなっているが、これに限られるものではない。上記他の実施形態とは逆に、血液が筒状中空糸膜束22の外側より流入し、中空糸膜束22を通過した血液が中空糸膜束22の内側に流れた後、人工肺20より流出するタイプのものであってもよい。
また、中空糸膜型人工肺20においても、図2に示すように、この中空糸膜型人工肺1の少なくとも中空糸膜3の外面または外面層3aに、本発明に係る高分子18が被覆されている。ここで、本発明に係る高分子は、中空糸膜3の内部層3bまたは中空糸膜の内面層3cに存在してもよいが、中空糸膜3の内部層3bまたは中空糸膜の内面層3cには実質的に存在していないことが好ましい。また、中空糸膜3は、中央にガス室を形成する通路3dを備えている。
本実施形態に係る人工肺20では、中空糸膜は互いに接触するとともに何重にも積み重ねられたいわゆるボビン状となっている。このため、血液流路が複雑でかつ狭い部分を多く備え、ガス交換能には優れるが、血小板の粘着/付着および活性化の点においては、ボビンタイプでない外部血液灌流型の人工肺より劣る場合がある。しかしながら、本発明では、中空糸膜の外面/外面層に形成される高分子被覆は、局所的なコート液の濃縮に起因するコートむらが少ない。このため、中空糸膜の血液接触部での血小板の粘着/付着および活性化が少ない。また、被覆(特にコートむら部分)が中空糸膜から剥離するのも抑制・防止できる。さらに、中空糸膜の内面層への血液(特に血漿成分)の漏出も抑制・防止できる。すなわち、血液接触部である中空糸膜3の外面または外面層3a(図1では、外面層)が高分子により被覆されていることにより、血小板の粘着/付着および活性化をより有効に抑制・防止できる。また、本発明に係る高分子が中空糸膜の内部層3bおよび中空糸膜の内面層3cに実質的に存在しない場合には、中空糸膜の内部層3bおよび中空糸膜の内面層3cは、素材の疎水性状態を維持しているため、高い血液(特に血漿成分)の漏出(リーク)をも有効に抑制・防止できる。
また、本発明に係る高分子の被覆は、人工肺の中空糸膜の外面/外面層に必須に形成されるが、外面/外面層に加えて、他の構成部材(例えば、血液接触部全体)に形成されてもよい。当該構成をとることにより、人工肺の血液接触部全体において、血小板の粘着/付着および活性化をさらにより有効に抑制・防止できる。また、血液接触面の接触角が低くなるので、プライミング作業が容易となる。なお、この場合には、本発明に係る高分子の被覆は血液が接触する他の構成部材に形成されることは好ましいが、血液接触部以外の中空糸膜もしくは中空糸膜の他の部分(例えば、隔壁中に埋没する部分、中空糸相互の接触部)には、高分子が被覆されていなくてもよい。このような部分は、血液と接触しないので、高分子を被覆しなくても特に問題とならない。
[本発明に係る高分子(アルコキシアルキル(メタ)アクリレート系重合体)]
本発明に係る高分子(アルコキシアルキル(メタ)アクリレート系重合体)は、下記一般式1:
本発明に係る高分子(アルコキシアルキル(メタ)アクリレート系重合体)は、下記一般式1:
で表される繰り返し単位(アルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位)を有する。本発明に係る高分子は、抗血栓性および生体適合性に優れる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味する。すなわち、「アルコキシアルキル(メタ)アクリレート」は、アルコキシアルキルアクリレートのみ、アルコキシアルキルメタアクリレートのみ、ならびにアルコキシアルキルアクリレートおよびアルコキシアルキルメタアクリレートすべての場合を包含する。
上記一般式1において、R1は、炭素原子数1〜4のアルキレン基を表わす。ここで、炭素原子数1〜4のアルキレン基としては、特に制限されず、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基の直鎖または分岐鎖のアルキレン基がある。これらのうち、エチレン基、プロピレン基が好ましく、抗血栓性および生体適合性のさらなる向上効果を考慮すると、エチレン基が特に好ましい。R2は、炭素原子数1〜4のアルキル基を表わす。ここで、炭素原子数1〜4のアルキル基としては、特に制限されず、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基の直鎖または分岐鎖のアルキル基がある。これらのうち、メチル基、エチル基が好ましく、抗血栓性および生体適合性のさらなる向上効果を考慮すると、メチル基が特に好ましい。R3は、水素原子またはメチル基を表わす。なお、本発明に係る高分子が2種以上のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位を有する場合には、各繰り返し単位は、同一であってもあるいが異なるものであってもよい。
アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、具体的には、メトキシメチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシプロピルアクリレート、エトキシメチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルアクリレート、エトキシブチルアクリレート、プロポキシメチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、メトキシブチルアクリレート、メトキシメチルメタアクリレート、メトキシエチルメタアクリレート、エトキシメチルメタアクリレート、エトキシエチルメタアクリレート、プロポキシメチルメタアクリレート、ブトキシエチルメタアクリレート等が挙げられる。これらのうち、抗血栓性および生体適合性のさらなる向上効果の観点から、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチルアクリレートが好ましく、メトキシエチルアクリレートが特に好ましい。すなわち、本発明に係る高分子がポリメトキシエチルアクリレートであることが好ましい。上記アルコキシアルキル(メタ)アクリレートは、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物として使用されてもよい。
本発明に係る高分子は、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位を必須に有するものであり、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位の1種または2種以上から構成される重合体(単独重合体)であってもまたは1種または2種以上のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位および当該アルコキシアルキル(メタ)アクリレートと共重合し得る1種または2種以上の単量体由来の繰り返し単位(他の繰り返し単位)から構成される重合体(共重合体)であってもよい。なお、本発明に係る高分子が2種以上の繰り返し単位から構成される場合には、高分子(共重合体)の構造は特に制限されず、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。また、重合体の末端は特に制限されず、使用される原料の種類によって適宜規定されるが、通常、水素原子である。
ここで、本発明に係る高分子がアルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位に加えて他の繰り返し単位を有する場合の、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートと共重合し得る単量体(共重合性単量体)としては、特に制限されにない。例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタアクリレート、エチレン、プロピレン、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、アミノメチルアクリレート、アミノエチルアクリレート、アミノイソプロピルアクリレート、ジアミノメチルアクリレート、ジアミノエチルアクリレート、ジアミノブチルアクリレート、メタアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、アミノメチルメタクリレート、アミノエチルメタクリレート、ジアミノメチルメタクリレート、ジアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。これらのうち、共重合性単量体としては、分子内にヒドロキシル基やカチオン性基を有しないものが好ましい。共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれでもよく、ラジカル重合やイオン重合、マクロマーを利用した重合等の公知の方法により合成することができる。ここで、共重合体の全構成単位中、共重合性単量体に由来する繰り返し単位の割合は、特に制限されないが、抗血栓性および生体適合性などを考慮すると、共重合性単量体に由来する繰り返し単位(他の繰り返し単位)が、共重合体の全構成単位中、0モル%を超えて50モル%以下であることが好ましい。50モル%を超えると、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートによる効果が低下してしまうからである。
また、本発明に係る高分子の重量平均分子量は、特に制限されないが、好ましくは10,000〜1,000,000、より好ましくは20,000〜100,000である。上記範囲に含まれる場合には抗血栓性および生体適合性の点から好ましい。本明細書において、「重量平均分子量」は、標準物質としてポリスチレンを、移動相としてテトラヒドロフラン(THF)をそれぞれ使用するゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography、GPC)により測定した値を採用するものとする。
(中空糸膜外部血液灌流型人工肺の製造方法)
本発明の中空糸膜外部血液灌流型人工肺の製造方法について以下に説明する。
本発明の中空糸膜外部血液灌流型人工肺の製造方法について以下に説明する。
まず、人工肺(例えば、図1または図3のような構造のもの)を組み立てた後、人工肺の血液流通側に、溶解度パラメータ値が38〜47.9(MPa)1/2である溶媒に本発明に係る高分子を溶解させた高分子含有溶液および水を順次接触させる(流通させる)ことによって、中空糸膜の外面または外面層(血液接触部)に本発明に係る高分子を被覆する。なお、溶媒の溶解度パラメータ値については、高分子含有溶液の調製に使用される溶媒が1種である場合には、その溶媒の溶解度パラメータ値が採用される。また、高分子含有溶液の調製に使用される溶媒が2種以上の混合溶媒である場合には、各溶媒の溶解度パラメータ値に各溶媒の体積比をかけた値の合計がその混合溶媒の溶解度パラメータ値として採用される。すなわち、高分子含有溶液の調製に使用される溶媒が2種である場合には、下記式(2)に従って算出される値がその混合溶媒の溶解度パラメータ値として採用される。高分子含有溶液の調製に使用される溶媒が3種である場合には、下記式(3)に従って算出される値がその混合溶媒の溶解度パラメータ値として採用される。
ここで、高分子含有溶液の調製に使用される溶媒の溶解度パラメータ値が38〜47.9(MPa)1/2であり、好ましくは39〜47(MPa)1/2である。このような範囲の溶媒は、高分子含有溶液が中空糸膜の細孔の中央部まで浸透するのを有効に抑制・防止する。ここで、溶媒は、中空糸膜の細孔の中央部までの高分子含有溶液の浸透をより有効に防止する観点から、溶媒が水(溶解度パラメータ値=47.9(MPa)1/2)であるまたは水を含むことが好ましく、水を含むことがより好ましい。また、本発明に係る高分子の溶解性を考慮すると、溶媒は、アルコールを含むことが好ましい。ここで、アルコールとしては、特に制限されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられる。なお、上記アルコールは、1種単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。これらのうち、溶解度パラメータ値や本発明に係る高分子の溶解性などを考慮すると、炭素原子数1〜3のアルコールであることが好ましい。すなわち、溶媒は、水と炭素原子数1〜3のアルコールとの混合液であることがより好ましい。水と炭素原子数1〜3のアルコールとの混合液としては、溶媒(混合溶媒)の溶解度パラメータ値が38〜47.9(MPa)1/2である限り特に制限されないが、水とメタノールとの2成分系混合溶媒、水とエタノールとの2成分系混合溶媒、水とプロパノールとの2成分系混合溶媒、水とメタノールとエタノールとの3成分系混合溶媒、水とメタノールとプロパノールとの3成分系混合溶媒、水とエタノールとプロパノールとの3成分系混合溶媒などが挙げられる。これらのうち、水とメタノールとの2成分系混合溶媒、水とエタノールとの2成分系混合溶媒、水とメタノールとエタノールとの3成分系混合溶媒が好ましい。なお、混合溶媒を使用する場合の各成分の混合比は、上記したような溶解度パラメータ値になるような比であれば特に制限されず、所望の溶解度パラメータ値によって適切に選択されうる。
また、高分子含有溶液中の本発明に係る高分子の濃度は、特に制限されない。被覆の形成しやすさ、コートむらの低減効果などを考慮すると、好ましくは0.01〜5.0重量%、より好ましくは0.05〜1.0重量%である。なお、高分子含有溶液による中空糸膜の被覆は、人工肺組立前に行ってもよい。
本発明では、中空糸膜の外面または外面層を高分子含有溶液と接触(高分子含有溶液の人工肺の血液流通側への流通)させて、中空糸膜の外面または外面層に高分子の塗膜を形成する。ここで、高分子の被覆方法は、特に制限されないが、ディップコーティング(浸漬法)、噴霧、スピンコーティング、滴下、ドクターブレード、刷毛塗り、ロールコーター、エアーナイフコート、カーテンコート、ワイヤーバーコート、グラビアコート、混合溶液含浸スポンジコート等、従来公知の方法を適用することができる。
また、高分子の塗膜の形成条件は、特に制限されない。例えば、高分子含有溶液と中空糸膜との接触時間(高分子含有溶液の人工肺の血液流通側への流通時間)は、塗膜の形成しやすさ、コートむらの低減効果などを考慮すると、1〜5分が好ましく、1〜3分がより好ましい。また、高分子含有溶液と中空糸膜との接触温度(高分子含有溶液の人工肺の血液流通側への流通温度)は、塗膜の形成しやすさ、コートむらの低減効果などを考慮すると、5〜40℃が好ましく、15〜30℃がより好ましい。
次に、中空糸膜の外面または外面層に形成された高分子の塗膜を水と接触(高分子含有溶液の人工肺の血液流通側への流通)させて、塗膜の局所的なコートむらを低減する。ここで、水との接触方法は、特に制限されないが、ディップコーティング(浸漬法)、噴霧、スピンコーティング、滴下、ドクターブレード、刷毛塗り、ロールコーター、エアーナイフコート、カーテンコート、ワイヤーバーコート、グラビアコート、混合溶液含浸スポンジコート等、従来公知の方法を適用することができる。
また、水との接触(流通)条件は、特に制限されない。例えば、水と塗膜との接触時間(水の人工肺の血液流通側への流通時間)は、塗膜の局所的なコートむらを低減効果などを考慮すると、0.1〜2分が好ましく、0.2〜1分がより好ましい。また、水と塗膜との接触温度(水の人工肺の血液流通側への流通温度)は、塗膜の局所的なコートむらを低減効果などを考慮すると、5〜40℃が好ましく、15〜30℃がより好ましい。水との接触後に、塗膜を乾燥させることによって、本発明に係る高分子による被覆(被膜)を中空糸膜の外面または外面層に形成する。ここで、乾燥条件は、本発明に係る高分子による被覆(被膜)が中空糸膜の外面または外面層に形成できる条件であれば特に制限されない。具体的には、乾燥温度は、5〜50℃が好ましく、15〜40℃がより好ましい。また、乾燥時間は、60〜300分が好ましく、120〜240分がより好ましい。
このようにして形成された被覆(被膜)は局所的なコートむらが少ない。このため、本発明の中空糸膜外部血液灌流型人工肺は、抗血栓性生体適合(血小板の粘着/付着の抑制・防止効果、および血小板の活性化の抑制・防止効果)、特に血小板の粘着/付着の抑制・防止効果に優れる。また、本発明の中空糸膜外部血液灌流型人工肺は、局所的なコート液の濃縮に起因する凹凸(コートむら)が少ないため、被覆(コート材)の剥離リスクを低減できる。加えて、本発明の中空糸膜外部血液灌流型人工肺は、均一な被覆(被膜)が形成されるため、血液(例えば、血漿成分)の漏出も有効に抑制・防止できる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「重量%」および「重量部」を意味する。
実施例1
ポリ(2−メトキシエチルアクリレート)(重量平均分子量:85000)を、水・メタノール・エタノールの混合溶媒(水、メタノール及びエタノールの混合比=6:1:3(体積比);溶解度パラメータ値=39(MPa)1/2)に濃度が0.05重量%となるように溶解し、濃度0.05重量%の高分子含有溶液(1)を調製した。
ポリ(2−メトキシエチルアクリレート)(重量平均分子量:85000)を、水・メタノール・エタノールの混合溶媒(水、メタノール及びエタノールの混合比=6:1:3(体積比);溶解度パラメータ値=39(MPa)1/2)に濃度が0.05重量%となるように溶解し、濃度0.05重量%の高分子含有溶液(1)を調製した。
次に、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(FOP50、フタムラ化学(株)製)を、上記で調製された高分子含有溶液(1)中に室温(25℃)で2分間浸漬した後、蒸留水に室温(25℃)で30秒間浸漬し、室温(25℃)で120分間乾燥して、医療用具(1)を得た。
得られた医療用具(1)について、表面を電子顕微鏡によって観察し、その結果を図8に示す。
実施例2
ポリ(2−メトキシエチルアクリレート)(重量平均分子量:85000)を、水・メタノールの混合溶媒(水及びメタノールの混合比=9.5:0.5(体積比);溶解度パラメータ値=47(MPa)1/2)に濃度が0.05重量%となるように溶解し、濃度0.05重量%の高分子含有溶液(2)を調製した。
ポリ(2−メトキシエチルアクリレート)(重量平均分子量:85000)を、水・メタノールの混合溶媒(水及びメタノールの混合比=9.5:0.5(体積比);溶解度パラメータ値=47(MPa)1/2)に濃度が0.05重量%となるように溶解し、濃度0.05重量%の高分子含有溶液(2)を調製した。
次に、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(FOP50、フタムラ化学(株)製)を、上記で調製された高分子含有溶液(2)中に室温(25℃)で2分間浸漬した後、蒸留水に室温(25℃)で30秒間浸漬し、室温(25℃)で120分間乾燥して、医療用具(2)を得た。
比較例1
ポリ(2−メトキシエチルアクリレート)(重量平均分子量:85000)を、水・メタノール・エタノールの混合溶媒(水、メタノール及びエタノールの混合比=6:1:3(体積比);溶解度パラメータ値=39(MPa)1/2)に濃度が0.05重量%となるように溶解し、濃度0.05重量%の高分子含有溶液(3)を調製した。
ポリ(2−メトキシエチルアクリレート)(重量平均分子量:85000)を、水・メタノール・エタノールの混合溶媒(水、メタノール及びエタノールの混合比=6:1:3(体積比);溶解度パラメータ値=39(MPa)1/2)に濃度が0.05重量%となるように溶解し、濃度0.05重量%の高分子含有溶液(3)を調製した。
次に、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(FOP50、フタムラ化学(株)製)を、上記で調製された高分子含有溶液(3)中に室温(25℃)で2分間浸漬した後、室温(25℃)で120分間乾燥して、医療用具(3)を得た。
比較例2
ポリ(2−メトキシエチルアクリレート)(重量平均分子量:85000)を、水・メタノールの混合溶媒(水及びメタノールの混合比=9.5:0.5(体積比);溶解度パラメータ値=47(MPa)1/2)に濃度が0.05重量%となるように溶解し、濃度0.05重量%の高分子含有溶液(4)を調製した。
ポリ(2−メトキシエチルアクリレート)(重量平均分子量:85000)を、水・メタノールの混合溶媒(水及びメタノールの混合比=9.5:0.5(体積比);溶解度パラメータ値=47(MPa)1/2)に濃度が0.05重量%となるように溶解し、濃度0.05重量%の高分子含有溶液(4)を調製した。
次に、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(FOP50、フタムラ化学(株)製)を、上記で調製された高分子含有溶液(4)中に室温(25℃)で2分間浸漬した後、室温(25℃)で120分間乾燥して、医療用具(4)を得た。
得られた医療用具(4)について、表面を電子顕微鏡によって観察し、その結果を図9に示す。
図8及び9の比較により、本発明の医療用具(1)は、水洗浄を行わなかった比較例2の医療用具(4)に比して、表面に付着(吸着)するポリマー(凹凸)が有意に少なく、局所的なコート液の濃縮に起因するコートむらの発生を有効に抑制・防止できることが分かる。上記結果から、本発明の医療用具では、被覆の基材(ポリプロピレンフィルム)の剥離を有意に抑制・防止できると、考察される。なお、本実施例及び比較例では、高分子(ポリ(2−メトキシエチルアクリレート))濃度を0.05重量%としたが、濃度がより高い(例えば、特許文献1の実施例における0.5重量%である)場合には、高分子濃度が高いため、高分子含有溶液(コート液)の局所的な濃縮によつコートむらがより顕著に現れるため、コートむら(凹凸の形成具合)の差は図8及び9との差より顕著に現れると考えられる。
比較例3
コートを行っていない二軸延伸ポリプロピレンフィルム(FOP50、フタムラ化学(株)製)(医療用具(5))を比較例3として用いた。
コートを行っていない二軸延伸ポリプロピレンフィルム(FOP50、フタムラ化学(株)製)(医療用具(5))を比較例3として用いた。
上記実施例及び比較例で作製された医療用具(1)〜(5)をについて、下記方法に従って、血小板粘着/付着試験を行い、抗血栓性を評価した。その結果を下記表1に示す。
(血小板粘着/付着試験)
人肘静脈から血液を採血し、その血液に抗凝固剤である3.8%クエン酸ナトリウムを加えた。その際、血液と3.8%クエン酸ナトリウムの体積比が9対1の割合になるように混合した。1200rpmで5分間遠心分離を行い、PRP(多血小板血漿)を分離し、多項目自動血球分析装置(シスメックス株式会社製、品番:Sysmex XE−2100)にて血小板数を測定した。PRPを分離後、さらに3000rpmで10分間遠心分離を行い、PPP(乏血小板血漿)を分離した。PRPをPPPで希釈し、血小板数を105個に調整した。0.2mLの希釈PRPを、実施例1および2、比較例1〜3のフィルムに滴下した。室温(23℃)で30分間放置し、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)により、2回軽く洗浄した。1質量%グルタールアルデヒド含有PBS溶液中で、4℃で一昼夜固定した。PBSで洗浄後、乾燥した。イオンスパッタリングを行い、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察および写真撮影(1000倍、5視野)を行った。その写真から、付着(粘着)した血小板の粘着/付着数の算定を行った。
人肘静脈から血液を採血し、その血液に抗凝固剤である3.8%クエン酸ナトリウムを加えた。その際、血液と3.8%クエン酸ナトリウムの体積比が9対1の割合になるように混合した。1200rpmで5分間遠心分離を行い、PRP(多血小板血漿)を分離し、多項目自動血球分析装置(シスメックス株式会社製、品番:Sysmex XE−2100)にて血小板数を測定した。PRPを分離後、さらに3000rpmで10分間遠心分離を行い、PPP(乏血小板血漿)を分離した。PRPをPPPで希釈し、血小板数を105個に調整した。0.2mLの希釈PRPを、実施例1および2、比較例1〜3のフィルムに滴下した。室温(23℃)で30分間放置し、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)により、2回軽く洗浄した。1質量%グルタールアルデヒド含有PBS溶液中で、4℃で一昼夜固定した。PBSで洗浄後、乾燥した。イオンスパッタリングを行い、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察および写真撮影(1000倍、5視野)を行った。その写真から、付着(粘着)した血小板の粘着/付着数の算定を行った。
上記表1の結果から、実施例1および2の医療用具(ポリ(2−メトキシエチルアクリレート)被膜)は、比較例に比して、血小板を粘着/付着し難いことが示される。
1…中空糸膜外部血液灌流型人工肺、
2…ハウジング、
3…中空糸膜、
3a…外面層、
3b…内部層、
3c…内面層、
4,5…隔壁、
12…血液室、
6…血液流入口、
7…血液流出口、
18…高分子、
17…血液室、
20…中空糸膜外部血液灌流型人工肺、
32…血液流通用開口、
31…内側筒状部材、
22…筒状中空糸膜束、
23…ハウジング、
25,26…隔壁、
28…血液流入口、
29…血液流出口、
24…ガス流入口、
27…ガス流出口。
2…ハウジング、
3…中空糸膜、
3a…外面層、
3b…内部層、
3c…内面層、
4,5…隔壁、
12…血液室、
6…血液流入口、
7…血液流出口、
18…高分子、
17…血液室、
20…中空糸膜外部血液灌流型人工肺、
32…血液流通用開口、
31…内側筒状部材、
22…筒状中空糸膜束、
23…ハウジング、
25,26…隔壁、
28…血液流入口、
29…血液流出口、
24…ガス流入口、
27…ガス流出口。
Claims (6)
- 疎水性高分子材料からなるガス交換用多孔質中空糸膜をハウジング内に収納し、前記中空糸膜の外面側に血液が流れ、該中空糸膜の内部に酸素含有ガスが流れる中空糸膜外部血液灌流型人工肺であって、
血液接触部となる前記中空糸膜の外面または外面層が、下記一般式1:
ただし、R1は、炭素原子数1〜4のアルキレン基を表わし、R2は、炭素原子数1〜4のアルキル基を表わし、およびR3は、水素原子またはメチル基を表わす、
で表される繰り返し単位を有する高分子で被覆されてなり、
前記高分子による被覆は、前記中空糸膜外部血液灌流型人工肺を組み立てた後、該人工肺の血液流通側に、溶解度パラメータ値が38〜47.9(MPa)1/2である溶媒に前記高分子を溶解させた高分子含有溶液および水を順次接触させることによって、前記中空糸膜の外面または外面層に形成される、中空糸膜外部血液灌流型人工肺。 - 前記溶媒が、水と炭素原子数1〜3のアルコールとの混合液である、請求項1に記載の中空糸膜外部血液灌流型人工肺。
- 前記高分子がポリメトキシエチルアクリレートである、請求項1または2に記載の中空糸膜外部血液灌流型人工肺。
- 前記中空糸膜外部血液灌流型人工肺は、血液流入口と血液流出口とを有するハウジングと、該ハウジング内に収納された多数のガス交換用多孔質中空糸膜からなる中空糸膜束と、該中空糸膜束の両端部を上記ハウジングに液密に支持する一対の隔壁と、該隔壁と上記ハウジング内面および上記中空糸膜外面間に形成された血液室と、前記中空糸膜内部に形成されたガス室と、該ガス室と連通するガス流入口およびガス流出口とを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の中空糸膜外部血液灌流型人工肺。
- 前記中空糸膜外部血液灌流型人工肺は、側面に血液流通用開口を有する内側筒状部材と、該内側筒状部材の外面に巻き付けられた多数のガス交換用多孔質中空糸膜からなる筒状中空糸膜束と、該筒状中空糸膜束を前記内側筒状部材とともに収納するハウジングと、前記中空糸膜の両端を開口した状態で、前記筒状中空糸膜束の両端部を前記ハウジングに固定する隔壁と、前記ハウジング内に形成された血液室と連通する血液流入口および血液流出口と、前記中空糸膜内部と連通するガス流入口およびガス流出口とを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の中空糸膜外部血液灌流型人工肺。
- 前記高分子は、前記中空糸膜外部血液灌流型人工肺の血液接触部全体を被覆する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の中空糸膜外部血液灌流型人工肺。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014007919A JP2015136383A (ja) | 2014-01-20 | 2014-01-20 | 中空糸膜外部血液灌流型人工肺 |
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JP (1) | JP2015136383A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017080263A (ja) * | 2015-10-30 | 2017-05-18 | 株式会社パイオラックスメディカルデバイス | 消化器系ステント |
CN111556765A (zh) * | 2018-02-05 | 2020-08-18 | 泰尔茂株式会社 | 人工肺及其制造方法 |
JP2021142163A (ja) * | 2020-03-12 | 2021-09-24 | テルモ株式会社 | 人工肺およびその製造方法 |
WO2022185962A1 (ja) * | 2021-03-05 | 2022-09-09 | テルモ株式会社 | 人工肺の製造方法 |
-
2014
- 2014-01-20 JP JP2014007919A patent/JP2015136383A/ja active Pending
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JP7424873B2 (ja) | 2020-03-12 | 2024-01-30 | テルモ株式会社 | 人工肺およびその製造方法 |
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