JP2015135010A - トンネル発破掘削用の飛石防護装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】飛石防護装置20は、トンネルTの坑口T1付近に設置された防音壁10を切羽面T2側で覆い、当該切羽面T2の発破掘削に伴う飛石を遮る遮蔽面43と、この遮蔽面43の全体に分散して形成され、かつ発破掘削に伴う爆風の通過を許容する多数の開口部44と、を有する遮蔽カーテン21を備えている。
【選択図】図1
Description
特許文献1に記載された防音壁は、坑口前に密接して配置される坑口壁部と、この坑口壁部のトンネル延長方向外側に離れて配置される正面壁部と、坑口壁部と正面壁部の外周縁同士を連結する連結壁部とを備えたものとなっている。そして、坑口壁部及び正面壁部の双方を遮音性を有する重量パネルで構成することによって防音効果を高め、坑口壁部と正面壁部とを連結壁部で連結することによって防音壁周辺からの音漏れを抑制している。
ところが、発破掘削によって飛散した石等が防音壁に衝突すると、重量パネルに凹みや亀裂等の損傷が生じ、防音効果が低下して耐久性を損なうおそれがある。また、防音壁に石等が衝突することによって、二次騒音が発生するという問題もある。そのため、特許文献1の防音壁は、通常、発破される切羽面から所定距離(例えば40m)以上を確保できる場合に限り使用されていた。そして、所定距離を確保できない場合は、機械掘削を行ったり、防音壁を用いずに薬量を減らしたうえで発破掘削を行っていた。
このような構成によって、飛石の衝突による遮蔽面の損傷を防止し、当該衝突に伴う音の発生を抑制することができる。
このような構成によって、緩衝部材内の内部空間によって衝撃を吸収することが可能となる。
このような構成により、簡素な構造の緩衝部材を用いて緩衝作用を有する遮蔽面を容易に構成することができる。
このような構成によって、遮蔽面の全体に多数の開口部を容易に形成することができる。
このような構成によって、飛石の衝突による衝撃を弾性シート材の弾性変形によって吸収することが可能となる。
このような構成によって、遮蔽カーテンが内扉の開閉の邪魔になるのを防止することができる。
トンネルの切羽面を発破掘削する場合、トンネル幅方向中央部に対して行う芯抜き発破の際に最も飛石が問題となるため、2枚の遮蔽カーテンをトンネル幅方向中央部で重複させることによって、芯抜き発破に伴う飛石をより確実に遮蔽することが可能となる。
このような構成によって、発破掘削に伴う爆風で遮蔽カーテンが揺動したとしてもその揺動を弾性的に制限することができ、遮蔽カーテンの損傷を防止しながら、遮蔽カーテンの揺動で飛石の遮蔽領域が減少するのを好適に抑制することができる。
このような構成によって、トンネル内における作業車両等の通行を容易に許容することができる。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る飛石防護装置を設置したトンネルを示す説明図である。図1に示されるように、トンネルTの坑口T1には、近隣集落に対する騒音対策のために防音壁(防音扉)10が設置されており、トンネルTの切羽面T2を発破掘削する際に生じる騒音の漏れを防音壁10によって抑制している。
以下、飛石防護装置20について詳細に説明する。
本実施形態の飛石防護装置20は、トンネルTの坑口T1と切羽面T2との間に配置され、切羽面T2側から防音壁10を覆う遮蔽カーテン21を備えている。そして、この遮蔽カーテン21は、発破掘削による飛石を遮蔽することによって防音壁10を防護し、防音壁10の損傷や、飛石の衝突に伴う二次騒音の発生を防止している。なお、遮蔽カーテン21自体の詳細な構造については後述する。
遮蔽カーテン21は、トンネルTの上部にワイヤー23などによって吊り下げられることによって設置されている。例えば、トンネルT内に鋼製の支保工24が施されている場合、遮蔽カーテン21は支保工24に吊り下げることによって設置することができる。また、飛石防護装置20は、遮蔽カーテン21を吊り下げるための専用の支持用アーチを別途備えていてもよい。
各遮蔽カーテン21の幅方向外側の下部側はトンネルTの幅方向側部に揺動規制手段25を介して連結されている。この揺動規制手段25は、図4に示されるように、ダンパ(緩衝器)26と、このダンパ26と遮蔽カーテン21とを接続するワイヤー27と、ワイヤー27を巻き掛ける中継プーリ(滑車)28とを備えている。ダンパ26は、バネ、ゴム又はオイル等の弾性材を収容したシリンダ部26aと、このシリンダ部26aに挿入されたロッド部26bとを備えている。そして、ダンパ26を縮める方向の負荷がロッド部26bに付与されると、その負荷の伴う衝撃がシリンダ部26a内の弾性材によって吸収される。
また、飛石防護装置20は、2枚の遮蔽カーテン21を備えることによって、各遮蔽カーテン21を可及的に小さくし、軽量化することができる。そのため、各遮蔽カーテン21の運搬等の取り扱いや設置・撤去作業を容易に行うことができる。
遮蔽カーテン21は、上方へめくり上げることによって開放することができ、開放することによって作業車両M等(図6参照)の通行を許容することができる。本実施形態の飛石防護装置20には、遮蔽カーテン21を開放するための開放操作手段30が設けられている。この開放操作手段30は、図3に示されるように、各遮蔽カーテン21に接続されたワイヤー31を巻き取り装置32によって巻き取り、図6に示されるように、各遮蔽カーテン21をめくり上げて開放する。
開放操作手段30は、遮蔽カーテン21に一端が連結されたワイヤー31と、このワイヤー31の他端側を巻き上げる巻き取り装置32とを備えている。この巻き取り装置32は、遮蔽カーテン21よりも坑口T1側におけるトンネルTの上面、例えば、鋼製支保工に取り付けられている。また、巻き取り装置32の遮蔽カーテン21側には、巻き掛けプーリ33が配置されている。
また、遮蔽カーテン21は、坑口T1側へめくり上げて開放されるので、遮蔽カーテン21に遮られて遮蔽カーテン21の切羽面T2側に溜まった飛石が遮蔽カーテン21の開放の邪魔になるのを防止することができる。
次に遮蔽カーテン21の具体的構造について説明する。図7は、遮蔽カーテン21の一部を拡大して示す斜視図である。
遮蔽カーテン21は、金属製又は合成樹脂製のワイヤー等によって格子状(ネット状)に形成された基材41と、この基材41の表面全体に固定された多数のパイプ材(緩衝部材)42とから構成されている。パイプ材42は、ポリエチレン等の合成樹脂材料により円筒形状に形成されている。パイプ材42の直径Dは、例えば50mmとされ、長さL4は例えば500mmとされる。そして、このパイプ材42を基材41の表面に上下方向及び幅方向に並設することによって遮蔽カーテン21が構成されている。なお、上下方向又は幅方向に隣接する複数のパイプ材42は、相互にワイヤー等によって連結されていてもよいし、それぞれが基材41のみに固定されていてもよい。パイプ材42同士が連結されている場合には、その一部のパイプ材42が基材41に固定されていてもよいし、連結用のワイヤーが基材41に固定されていてもよい。
なお、上記の飛石の最小寸法とは、あくまで想定される最小寸法であり、実際の発破掘削では、開口部44よりも小さい飛石が生じ得る。しかしながら、開口部44を通過した小さい飛石が防音壁10に衝突したとしてもその衝撃は小さいため、防音壁10の損傷や二次騒音が問題となることはほとんど無い。
また、遮蔽カーテン21の遮蔽面43は、中空構造を有するパイプ材42により形成されているので、飛石の衝突による衝撃を内部空間によって吸収することができ、衝突による騒音も小さくすることができる。
パイプ材42は、円筒形状に形成されているので、発破掘削に伴う飛石を曲面で受けることができ、飛石の衝突による力を分散させて衝撃を緩和することができる。ただし、パイプ材42は、円筒形状ではなく四角形断面や三角形断面等の角筒形状に形成されていてもよい。また、開口部44は、上下方向及び幅方向の間隔S1,S2によって形成されているが、いずれか一方のみ(好ましくは間隔S1)によって形成されていてもよい。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る飛石防護装置20の遮蔽カーテン21の一部を拡大して示す斜視図である。図9は、同遮蔽カーテン21の断面図である。
本実施形態の遮蔽カーテン21は、金属製又は合成樹脂製のワイヤー等により格子状(ネット状)に形成された基材51と、この基材51に取り付けられた弾性シート材(緩衝部材)52とから構成されている。この弾性シート材52は、弾性変形可能な素材、例えばゴムや可撓性を有する合成樹脂材から形成することができる。また、弾性シート材52には、多数の開口部53が形成されており、基材51を構成する一部のワイヤーは開口部53を通過している。したがって、本実施形態の遮蔽カーテン21は、弾性シート材52の表面が遮蔽面となり、この遮蔽面に多数の開口部53が形成されている。
また、弾性シート材52に形成された開口部53を利用して基材51と弾性シート材52とを連結することができるので、遮蔽カーテン21を容易に作製することができる。
例えば、本発明の遮蔽カーテンの具体的構成は、上記第1,第2実施形態で説明したものに限らず、遮蔽面に多数の開口部が形成されたものであれば、適宜変更することができる。
また、上記実施形態の遮蔽カーテン21は、正面視四角形状に形成されていたが、トンネルの横断面形状に倣った形状に形成されていてもよい。また、上記実施形態の飛石防護装置20は、2枚の遮蔽カーテン21を備えていたが、1枚又は3枚以上の遮蔽カーテン21を備えてもよい。
11A:内扉
20 :飛石防護装置
21 :遮蔽カーテン
25 :揺動規制手段
30 :開放操作手段
42 :パイプ材
43 :遮蔽面
44 :開口部
52 :弾性シート材
53 :開口部
T :トンネル
T1 :坑口
T2 :切羽面
Claims (10)
- トンネルの坑口付近に設置された防音壁を切羽面側で覆い、当該切羽面の発破掘削に伴う飛石を遮る遮蔽面と、この遮蔽面の全体に分散して形成され、かつ発破掘削に伴う爆風の通過を許容する多数の開口部と、を有する遮蔽カーテンを備えていることを特徴とするトンネル発破掘削用の飛石防護装置。
- 前記遮蔽面が、飛石の衝突による衝撃を吸収する緩衝部材により形成されている、請求項1に記載のトンネル発破掘削用の飛石防護装置。
- 前記緩衝部材が中空構造に形成されている、請求項2に記載のトンネル発破掘削用の飛石防護装置。
- 前記緩衝部材がパイプ材からなり、このパイプ材を多数並設することによって前記遮蔽面が形成されている、請求項3に記載のトンネル発破掘削用の飛石防護装置。
- 前記開口部が、前記パイプ材を間隔をあけて並設することによって各パイプ材の間に形成されている、請求項4に記載のトンネル発破掘削用の飛石防護装置。
- 前記緩衝部材が、弾性変形可能な弾性シート材により形成されている、請求項2に記載のトンネル発破掘削用の飛石防護装置。
- 前記防音壁に、トンネルの内部側へ開く内扉が設けられ、前記遮蔽カーテンは、前記内扉の開閉領域よりも切羽面側に設置されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のトンネル発破掘削用の飛石防護装置。
- トンネル幅方向中央部において重複する2枚の遮蔽カーテンを備えている、請求項1〜7のいずれか1項に記載のトンネル発破掘削用の飛石防護装置。
- 切羽面から坑口へ向かう方向の前記遮蔽カーテンの揺動を弾性的に制限する、揺動規制手段を備えている、請求項1〜8のいずれか1項に記載のトンネル発破掘削用の飛石防護装置。
- 前記遮蔽カーテンを下部側をめくり上げて開放するための開放操作手段を備えている、請求項1〜9のいずれか1項に記載のトンネル発破掘削用の飛石防護装置。
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