JP2015133265A - トンネル照明システム - Google Patents

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武 田中
裕己 荒川
Hiromi Arakawa
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Abstract

【課題】走行する車両及びトンネル内の環境状況に応じて制御可能なトンネル照明システムを提供する。【解決手段】トンネル照明システム1は、トンネル内を走行する車両を認識しトンネル内の交通情報を生成する交通情報生成部11と、トンネル内の環境状況を検出しトンネル内の環境情報を生成する環境情報生成部12と、交通情報生成部11からの交通情報と環境情報生成部12からの環境情報とに基いて複数の照明装置10の照光を調整するための制御情報を生成する制御情報生成部13と、制御情報生成部13から前記照明装置10に対する制御情報の変更があると当該照明装置10に対して変更後の情報を指令する指令制御部24と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、複数の照明装置をトンネル内の道路に沿って間隔をあけて設けて構成されたトンネル照明システムに関する。
道路や鉄道により交通機関のネットワークが形成され、それにより人間の行動範囲が飛躍的に広がり、経済活動、文化的交流活動など各種活動を円滑に行うことができる。交通機関のネットワークの形成にはトンネルは必要不可欠となっている。一方、震災、津波などにより、社会インフラの見直し、自然エネルギーや省エネルギーの推進が急がれている。
トンネル内の照明設備の技術について、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されている。トンネル内での無線通信技術及びそれに関連する技術は、例えば特許文献2乃至4に開示されている。
特許文献1に開示されたトンネル内を照明する照明設備では、照明灯を点灯−消灯させる点灯スイッチと、点灯スイッチの動作を制御する制御装置と、通行対象物のトンネル内への進入を検知する進入検知手段とを備え、制御装置が、進入検知手段から通行対象物のトンネル内への進入を検知した旨の信号を得ると、点灯スイッチに点灯信号を発して照明灯を点灯するように制御する。これにより、昼間、夜間の別を問わず、照明が必要なときのみにトンネル内の照明灯を点灯させ、トンネル内へ車両や通行人が進入しないときには照明灯が点灯せず、無駄な照明エネルギーの浪費をなくし、二酸化炭素の削減にも寄与する。
特許文献2に開示されたトンネル照明設備では、トンネル内に配置された複数の照明装置と、各々の照明装置に制御指令を出力する照明制御装置と、照明制御装置に設けられ各々の照明装置への制御指令を無線で送信出力すると共に各々の子局からの情報を受信する送受信器と、各々の照明装置に内蔵された送受信器とを備えている。各送受信器は、照明制御装置の送受信器からの無線による制御指令を受信し、自局への制御信号を取り込み他の子局への制御信号を中継して他の制御装置に無線で送信すると共に、自局の情報を無線で送信する。そして、親局である照明制御装置から子局である照明装置に無線で制御指令を伝送する。よって、制御線の敷設工事が不要となる。子局を中継して他の子局に制御指令が送信されるので、トンネルが長くてもすべての子局に制御指令を適切に送信することができる。また、子局の情報が他の子局を中継して親局に送信されるので、トンネルが長くても親局はすべての子局の情報を得ることができる。
また、特許文献2の技術では、照明制御装置である親局は、無線部及び制御表示部を備え、制御表示部には外部接続機器が接続される。外部接続機器は、トンネルの近傍の気象情報(温度、湿度、霧、雨)や周囲の明るさ(輝度や照度)を入力するための機器であり、外部接続機器から入力された気象信号及び調光信号が表示制御部に入力される。よって、親局が、輝度、照度、温度、湿度、霧、雨、雪などの外部気象情報に関するデータに基いて調光制御を行う。
特許文献3に開示された無軌道車両の自動運転システムでは、トンネル延長方向に沿って適宜の間隔で副固定局を配置し、これら副固定局群によりトンネル延長方向に双方向の無線伝送系統を構築し、各固定送受信器がそれぞれトンネル内を走行する無軌道車両に搭載された移動局と相互に無線通信可能とする。副固定局群による電波到達エリアの境界線がほぼトンネル延長方向に沿って構成され、無軌道車両を移動局と副固定局との間で相互通信可能である状態とそうでない状態とを短時間のサイクルで交互に繰り返す操蛇制御により、境界線に沿って走行させている。
特許文献4に開示されたトンネル防災システムでは、トンネル入口付近に防災受信盤を配置し、防災受信盤からトンネル出口まで漏洩導波管ケーブルを張設して5.8GHzの無線電波を送信する。走行車両が無線電波を受信すると、ヘッドランプやワイパーなどを作動させる。
特開2006−40904号公報 特開2005−116506号公報 特開2002−232345号公報 特開2000−99846号公報
特許文献1に開示された技術では、単にトンネルに車両が進入したかどうかを検知して照明装置を制御しているに過ぎず、トンネル内での走行車の状況やトンネル内の環境状況に応じて照明を制御するに至っていない。
特許文献2に開示された技術では、親局が、外部気象情報により得られるデータから子局の調光制御を、トンネル内無線通信により行うところ、トンネル内での走行車の状況やトンネル内の環境状況に応じて照明を制御するに至っていない。
そこで、本発明では、トンネル内を走行する車両及びトンネル内の環境状況に応じて制御可能なトンネル照明システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は次の構成を備える。
[1]複数の照明装置をトンネル内の道路に沿って間隔をあけて設けたトンネル照明システムにおいて、
トンネル内を走行する車両を認識しトンネル内の交通情報を生成する交通情報生成部と、
トンネル内の環境状況を検出しトンネル内の環境情報を生成する環境情報生成部と、
前記交通情報生成部からの交通情報と前記環境情報生成部からの環境情報とに基いて複数の照明装置の照光を調整するための制御情報を生成する制御情報生成部と、
前記制御情報生成部から前記照明装置に対する制御情報の変更があると当該照明装置に対して変更後の制御情報を指令する指令制御部と、
を備えることを特徴とする。
[2]さらに、走行する車両に関する統計情報が入力され、前記制御情報生成部において前記交通情報生成部からの交通情報及び前記環境情報生成部からの環境情報と噛み合うように統計情報を処理する統計情報処理部を、備える。
[3]さらに、トンネル間同士で情報のやり取りをするためのトンネル間通信部を備え、
前記交通情報生成部及び前記環境情報生成部によって生成された或るトンネル内での交通情報、環境情報の少なくとも一方の情報、前記制御情報生成部によって生成された当該或るトンネル内での制御情報の何れかが、前記トンネル間通信部によって伝送され、当該トンネルと隣り合う他のトンネルの照明装置の制御に利用される。
[4]前記照明装置は、発光素子からなる照明部と、前記指令制御部からの指令情報を無線で送受信する送受信部と、前記送受信部からの指令情報を受けて前記照明部を制御する制御部と、を備える。
[5]トンネルの長さ方向に沿って隣り合う前記照明装置は、前記送受信部により前記指令制御部からの指令情報を伝送する中継器として機能する。
〔6〕さらに、前記照明装置に給電する給電設備と、地震、津波その他の災害が発生したことを検知する検知部と、トンネル外から災害発生を知らせる警報の入力を受ける警報受付部とを備え、
前記指令制御部は、前記検知部が災害を検知するか又は前記警報受付部により警報の入力を受けると、前記照明装置への給電設備を通常時の給電モードから緊急時の給電モードに切り替える。
本発明によれば、走行する車両の状況及びトンネル内の環境状況に応じてトンネル内の照明装置を制御することができる。
本発明の実施形態に係るトンネル照明システムの構成図である。 図1に示すトンネル照明システムを構成する照明装置及び制御装置についての機能ブロックの構成を示す図である。 図2の制御装置を応用した構成を示すブロック図である。 図1に示すトンネル照明システムを応用した一形態を模式的に示す図である。 図1に示すトンネル照明システムを応用した別の形態を模式的に示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態について説明する。
(トンネル照明システムの構成)
図1は、本発明の実施形態に係るトンネル照明システムの構成図であり、図2は図1に示すトンネル照明システムを構成する照明装置及び制御装置についての機能ブロックの構成を示す図である。本発明の実施形態に係るトンネル照明システム1は、図1に示すように、トンネル構造物2において複数の照明装置10をトンネル内の道路3に沿って間隔をあけて設けて構成される。トンネル照明システム1は、トンネル内の道路に沿って間隔をあけて配置される照明装置10と、照明装置10をトンネル内の車両の走行状況とトンネル内の環境状況とに応じて制御する制御装置20と、を備える。照明装置10及び制御装置20はそれぞれ電源ラインに接続され、電力が供給されている。
制御装置20は、図2に示すように、交通情報生成部21と環境情報生成部22と制御情報生成部23と指令制御部24とを備える。図1及び図2に示す形態では、交通情報生成部21と環境情報生成部22と制御情報生成部23と指令制御部24とは、照明装置10とは別の制御装置20に備えられている。照明装置10はトンネル構造物2の左右各側壁部に道路に沿って間隔をあけて設けられている。制御装置20はトンネル構造物2の天井部に道路に沿って間隔をあけて設けられている。照明装置10の設置位置はトンネル照明の基準に則っていればよい。制御装置20の設置位置は、使用する電波の周波数、トンネル構造物2の断面形状や寸法などに応じて適宜設定される。もっとも、照明装置10と制御装置20とは一つのモジュールで構成されてもよい。
照明装置10は、LED(Light Emitting Diode)などの発光素子からなる照明部11と、指令制御部24からの指令情報を有線又は無線で送受信する送受信部12と、送受信部12からの指令情報を受けて照明部11を制御する制御部13と、を備える。LEDは無機半導体をベースとして構成されていても、有機半導体をベースに構成されていてもよい。
交通情報生成部21は、トンネル内を走行する車両を認識しトンネル内の交通情報を生成する。車両の認識、交通情報の生成の際には、そのときの時間に関する情報が付加される。車両の認識の仕方については幾つか考えられる。例えば、車両には乗員が携帯電話や携帯情報端末機器などの各種の無線通信機を所持して乗車するため、車両には無線通信機器があたかも搭載されていることになる。よって、交通情報生成部21は、トンネル内を走行する車両から各種の無線通信機器から送信される電波状況をモニターする。そして、交通情報生成部21は、走行する車両から受信した電波の時間的変化を解析する。解析としては、受信電波の大小の時間的変化や受信電波の空間的な位置関係の推移を追跡することが挙げられる。よって、その推移や時間的変化が車両の移動速度に応じた範囲に含まれている場合には、トンネル内を走行する車両の有無、台数、移動速度などを容易に認識することができる。そこで、交通情報生成部21は、その認識結果から、例えば、交通量の大小を何段階かに分けてランク付けすることで、交通情報を生成する。
車両の認識の仕方について別例を挙げると、超音波、光、電磁波などを発生する発生器と、その発生器から出された超音波、光、電磁波などを受ける検知器と、を対とし、検知器では波を受けたか否かにより、車両の有無を認識する方法がある。光や電波による認識法はレーダーと呼ばれる。車両が通行すると、検知器によって発生器からの超音波、光、電磁波を受けないように発生器と検知器とが配置される。発生器と検知器はトンネル構造物の入口、出口に設置してもよいし、さらに入口と出口の間に間隔をあけて設置してもよい。その間隔は、トンネル構造物2の全長の長短、交通量の大小、トンネル照明の空間的な制御のレベルに応じて設定される。交通情報生成部21が発生器と検知器の対からデータを受け、データ受けの時間的間隔により、例えば、交通量の大小を何段階かに分けてランク付けすることで、交通情報を生成する。
車両の認識については、走行する車両の種類、つまり、軽自動車、普通自動車、大型自動車の区分けをして認識することが好ましい。車種により必要とする照明の強度や範囲が異なるからである。このような車種については、区分けの基準となるパラメータとして、例えば、車両の高さ、車両の長さ、重量の少なくとも何れか又は組合せを用い、そのパラメータの実測をセンサや監視カメラなどの計測機器で行い、交通情報生成部21が計測機器からのデータ類の入力を受けて車両の認識を行う。この認識は、全ての交通情報生成部21で行う必要はなく、例えばトンネル構造物2の入口に近くに設置したユニットにおいて行い、その結果をトンネル構造物2の進む方向にある交通情報生成部21に送信することで行うと、設備投資額を抑えることができる。
このように、交通情報生成部21において、交通情報は各車両の走行を認識するだけでなく、複数の車両走行について認識し、車両の数、車両の速度、車間距離などの走行車両データを認識してもよい。走行車両データは、トンネル照明を制御するだけでなく、車両自動運転支援、或いは事故防止のための支援に利用することもできる。なお、交通情報生成部21は、車両の認識の仕方について、上述に限らず、例えば特定の場所だけにカメラを設置してカメラからの画像データを解析することにより行ってもよいし、車両のナンバープレートを認識することにより行ってもよい。また、車両の認識については一つの手法に限らず複数の手法を併用して複合的に用いても良い。その際、車両の認識の仕方については手法に優先順位を付けてもよい。
環境情報生成部22は、トンネル内の環境状況を検知し、トンネル内の環境情報を生成する。環境状況の検知、環境情報の生成の際には、そのときの時間に関する情報が付加される。トンネルの入口付近、出口付近、入口と出口の間の一又は複数の場所に一又は複数の種類のセンサ(図1には示さず)が取り付けられる。環境情報生成部22は、センサが検知したトンネル内の状況に関するデータが入力される。例えば、天候、気温、湿度などの気候データが入力される。路面状況に関するデータとして、例えば水溜り、路上での雪の有無などの路面が正常であるか否かに関するデータが入力される。よって、環境情報生成部22が照明のON/OFF、出力強度、照明の範囲、色調の何れか又は複数を調整するための判定情報を備えておき、判定情報に従ってセンサからのデータに基いてランク付けすることで、環境情報を生成する。環境情報の生成の際には、どのデータについて優先してランク付けするかについて順位を設けるとよい。
制御情報生成部23は、交通情報生成部21から入力された交通情報と環境情報生成部22から入力された環境情報とから、複数の照明装置10の照光の強度や範囲を調整するための制御情報を生成する。制御情報の生成の際には、そのときの時間に関する情報が付加される。
制御情報は、例えば照明コードと制御コードとを含んでいる。照明装置10はトンネルの延長方向に沿ってナンバリングが制御コードとして付与されているとする。左右各側壁部の照明装置10には同じ照明コードが付与されてもよい。照明コードは、どの照明装置10に対する制御情報であるかを特定するために用いられる。制御コードは、照明装置10のON/OFFを含めた照光の強度や範囲を示す複数の段階で設定される。
制御情報生成部23はメモリ機能を備えており、照明装置10毎の或る時点での制御情報を蓄積するようにし、交通情報生成部21からの交通情報、環境情報生成部22からの環境情報として新しい各情報が入力されると、照明装置10毎の制御情報を変更する。
指令制御部24は、制御情報生成部23において照明装置10毎の制御情報に変更があると、その変更情報が入力される。そこで、指令制御部24は、変更情報に関し、制御情報が入力されると、変更の対象となる照明装置10に対して変更後の情報として、照明コードを含んだ制御情報を出力する。
(トンネル照明システムによる照明方法)
図1及び図2に示すようなトンネル照明システム1による照明方法について具体的に説明する。
本発明の実施形態に係るトンネル照明システム1では、交通情報生成部21がトンネル内を走行する車両又は車両群を認識してトンネル内の交通情報を生成し、環境情報生成部22がトンネル内の環境状況を検知してトンネル内の環境情報を生成する。これら生成された交通情報と環境情報とは、制御情報生成部23において、どの照明装置10の照光の強度、範囲の何れか一方又は双方について制御するかに関する制御情報として統合される。そして、制御情報生成部23が新たな交通情報や環境情報の入力を交通情報生成部21や環境情報生成部22から受けると、照明装置10における制御情報を作成し、一つ前の制御情報と異なる場合には、指令制御部24が当該照明装置10に対して変更後の制御情報を送信する。
環境情報として、環境情報生成部21が、トンネルの入口・出口や各付近、トンネルの中間付近といったトンネル構造物2の各位置に応じて、環境状況を反映する。よって、トンネル内の各位置にある照明装置10毎に、時々刻々変化する環境状況を反映させることができる。
従って、制御情報生成部23が、照明装置10の付近の交通情報及び環境情報から、制御情報を生成する。そのため、例えば図1に示すようなトンネルに沿って制御装置20が配置されている形態では、各制御装置20がどの照明装置10の制御情報、ひいては指令情報を生成するかについて予め定めておく。よって、制御情報は、交通情報及び環境情報に応じて、照明装置10毎に生成される。例えば、トンネルの入口側と出口側とで気象状況が大きく異なり、トンネルの入口側に近いトンネル内の環境状況と、トンネルの出口側に近いトンネル内の環境状況とが異なっていても、照明装置10が設置されている環境に応じて制御情報が生成される。例えば、トンネル内の照明装置10が、トンネルの入口側から順に、照明装置10a,10b,10c,・・・と並んでいる場合に、その照明コードcode1,code2,code3,・・・のそれぞれに対してその設置場所の交通情報及び環状情報とに合わせて照明度合いをランク付けする情報が生成される。ランク付けは、照明の強度、照明の範囲など複数のパラメータでなされる。
制御情報生成部23が制御情報を生成する毎に、指令制御部24が各照明装置10の制御情報に変化があるか否かを判断し、制御情報が変更ありと判断されると、照明装置10に対して変更後の制御情報を無線により送信する。
照明装置10はトンネル内の道路に沿って間隔をあけて設置される。よって、指令制御部24が、指令情報を伝達したい或る照明装置10に対して直接送信することが容易である場合には、指令制御部24は或る照明装置10に送信する。その指令情報を受信した或る照明装置10において送受信部12によってその指令情報が受信され、指令情報に含まれる照明コードから当該照明装置10への指令であることが分かるので、制御部13を経由して照明部11が制御される。
他方、指令制御部24が、指令情報を伝達したい或る照明装置10に対して直接送信することが難しい場合には、指令制御部24から無線で伝達できる範囲に存在する別の照明装置10の送受信部12を経由して、或る照明装置10の送受信部12に伝達することができる。つまり、照明装置10は、送受信部12により指令制御部24からの指令を伝送する中継器としての機能を有してもよい。前述したように、指令情報が、照明装置10を特定するための照明コードを含んでいるため、照明装置10の送受信部12が当該照明装置10に対する指令であるのか、それとも、他の照明装置10に対する指令であるのかを区別することができる。
各照明装置10の送受信部12は、他の照明装置10に対する指令情報であれば、当該指令情報を隣の他の照明装置10に向けて転送する。よって、指令制御部24は、指令情報を特定の照明装置10に対して送信した場合には、その特定の照明装置10の送受信部12がその指令情報を受信した際に、指令制御部24に対して指令情報を受信した旨の回答を送信するようにして、指令制御部24と特定の照明装置10との間で、指令情報が送受信されたことを確認することができる。なお、確認がとれるまで、指令制御部24は時間をあけて同じ指令情報を送信し続ける。
このように、各照明装置10は、交通情報、環境情報を組み合わせて生成された制御情報、さらには指令情報により制御される。よって、照明装置10の周りの環境に応じてON/OFF制御、さらには照光の強度や範囲などの調整がなされる。
調整の種類はその適用される現場に応じて選択される。例えば車両の運転席から見て見える範囲に存在する照明装置10をONとし、それよりも遠くに存在する照明装置10をOFFにすることもできる。例えば車両の運転席から近くに存在する照明装置10は明るく広く照明し、運転席から遠くになるに従い徐々に照明の強度を小さく狭い範囲で照明するなど、グラディエーションを付けて照明してもよい。例えば、交通情報生成部21で生成された交通情報として走行車両データによる情報、環境情報生成部22で生成された環境情報として気候データや路面データによる情報を統合してその統合された情報に基いて照明してもよい。
これらのように照明を制御して、省エネルギーの照明システムを提供することができる。また、交通情報や環境情報の各段階分けを精密にすることにより、単にセンサによる検知によってON/OFF制御、照度調整がなされるだけではないので、トンネル照明のインテリジェント化、すなわち、知能的な制御を行える。車両が走行していないときは照明装置10をOFFとすることで、交通量が極めて少ないトンネルにおける照明システムにとってより優れており、省エネルギー化を果たすことができる。
照明装置10の送受信部12と制御装置20の指令制御部24との間、各照明装置10の送受信部12同士の間、応用形態その1で詳説する各制御装置20の送受信部25同士の間、制御装置20の交通情報生成部21や環境情報生成部22とセンサとの間は、無線によるデータや情報の送受信であれば、WiFiによる相互通信、可視光通信、zegbeeのようなセンサーネットワークを主目的とする近距離無線通信などの各種の通信接続の手段を用いてもよい。また、特定の一又は複数の照明装置10と特定の一又は複数の制御装置25との間は、部分的に有線であってもよい。
(応用形態その1)
図1に示すように、トンネル構造物2内に道路に沿って制御装置20が間隔をあけて配置されている形態では、制御装置20のトンネル内での位置、具体的にはトンネルの長さ方向に対して位置が決められる。よって、交通情報としてどの位置の情報であるかを特定し、交通情報生成部21同士で連携を取り合ってトンネル内の車両の空間的な分布として示すことができる。そのためには、図2に示す制御装置20には、相互連携のための送受信部25が設けられる。送受信部25が当該制御装置20のコードと交通情報とを組として送受信することにより、他の制御装置20がどの制御装置からの交通情報であるかについて特定することができ、制御装置20同士で他の制御装置20で生成した交通情報を利用することができる。
また、どの制御装置20で生成した環境情報であるかについて、当該制御装置20のコードと環境情報とを組として送受信することにより、トンネル内のどの位置での環境情報であるかを特定することができる。すなわち、環境情報としてどの位置の情報であるかを特定し、環境情報生成部22同士で連携を取り合ってトンネル内の環境情報の空間的な分布として示すことができる。そのためには、図2に示す制御装置20には、相互連携のための送受信部25が設けられる。送受信部25が当該制御装置20のコードと環境情報とを組として送受信することにより、他の制御装置20がどの制御装置からの環境情報であるかについて特定することができ、制御装置20同士で他の制御措置20で生成した環境情報を利用することができる。
これらのように、制御装置20同士が交通情報や環境情報を利用し合うことで、各制御情報生成部23は、制御装置20が配置されている領域及びその近接領域だけの交通情報や環境情報に基いて制御情報を生成せず、他の領域やトンネル全体の交通情報や環境情報を加味して制御情報を生成することができる。このようにすれば、交通情報として、トンネル内の長さやトンネルの三次元的な形状、つまり、カーブしているのか、交差点があるなどの情報を加味することで、トンネルの入口から出口に至るまでの全体の車両走行状況を反映し、トンネル内の各位置にある照明装置10毎に、時々刻々変化する交通量を反映させることができる。また、車両の走行スピードを求めることができるので、照明装置10に対する指令制御を、トンネル入口側の照明装置10から、トンネル内の照明装置10、トンネル出口側の照明装置10の順に制御装置20を経由して送信してもよい。
(応用形態その2)
図3は、図2の制御装置を応用した構成を示すブロック図である。制御装置20Aは、交通情報生成部21、環境情報生成部22、制御情報生成部23及び指令制御部24、送受信部25の他に、統計情報処理部26を備える。
統計情報処理部25は、トンネル内を走行する車両に関する統計情報が入力され、制御情報生成部23において交通情報生成部21からの交通情報及び環境情報生成部22からの環境情報と噛み合うように統計情報を処理する。統計情報としては、トンネル外から無線電波によって送信されている渋滞予測情報などが挙げられる。トンネル内においても無線LANが構築されているので、無線LANを経由してトンネル外からの渋滞予測情報がトンネル内でも受信できる。
照明装置10の指令情報は、ON/OFF、照光の強度や範囲などの調整に関する指令が含まれるので、例えば、統計情報によって交通量が或る閾値よりも大きい場合には、交通情報によるランクが低くても統計情報を優先し、指令情報としては照明装置10をONとする。一方、統計情報によって交通量が少ない場合には、統計情報を利用せずに、交通情報と環境情報との組で指令情報を生成する。これにより、よりきめ細やかな制御をすることができる。
(応用形態その3)
図4は、図1に示すトンネル照明システムを応用した一形態を模式的に示す図である。図4に示すように、トンネル構造物2同士が或る距離を離れて設けられている場合であって、トンネル構造物2の出入口近辺で、トンネル内又はトンネル外に、各種情報をやり取りするトンネル間通信部30を備える。
トンネル間通信部30は、或るトンネルに設置された図2に示す制御装置20の送受信部25と、他のトンネルに設置された制御装置20との間で交通情報や環境情報を送受信する。よって、トンネル間通信部30はトンネル間同士で情報をやり取りすることができる。そのため、交通情報生成部21及び環境情報生成部22によって生成された或るトンネル内での交通情報、環境情報の少なくとも一方の情報、制御情報生成部23によって生成された当該或るトンネル内での制御情報の何れかが、トンネル間通信部30によって伝送され、当該トンネルと隣り合う他のトンネルの照明装置10の制御に利用される。従って、より高度なインテリジェントな制御をすることができる。
(応用形態その4)
図5は、図1に示すトンネル照明システムを応用した別の形態を模式的に示す図である。このトンネル照明システムは、図5に示すように、さらに、各照明装置10に給電する給電設備41と、検知部42と、警報受付部43とを備える。検知部42は、一又は複数の種類の検知機能を備えたセンサを備えており、地震、津波その他の災害が発生したことを検知する。警報受付部43は、ラジオ放送やテレビ放送を受信したり、インターネットにより各種サイトから受け付け、トンネル外から災害発生を知らせる警報の入力を受ける。
このような形態では、指令制御部24は、検知部42が災害を検知したか、又は、警報受付部43により警報の入力を受け、照明装置10への給電設備41を通常時の給電モードから緊急時の給電モードに切り替える。よって、トンネル照明を通常の照明から災害時の緊急時の照明に切り替え、図1に示すシステムによる照明制御ではなく、非常時の照明とすることができる。
トンネル構造物2は、例えばその出入口のトンネル内の領域を災害緊急時の避難場所として利用することもできる。
本発明の実施形態は、図1に示すように、照明装置10と制御装置20とが別々に構成されてもよいが、照明装置10内に、交通情報生成部21、環境情報生成部22、制御情報生成部23及び指令制御部24を設けることで、照明装置10と制御装置20とを一つのモジュールで構成してもよい。この場合には、図1の照明装置10の送受信部12と制御装置20の指令制御部24とは、図1に示すものとは別の指令制御部として設けておけばよい。この別の指令制御部は、照明装置に組み込んだ制御装置同士を無線で通信して相互の情報を利用し合うことができる。
本発明の実施形態は、特許請求の範囲の記載した範囲において、適宜変更して実施することができることは言うまでもない。
応用形態その2において、例えば、統計情報処理部26の代わりに外部情報処理部を設けたり又は統計情報処理部26と共に外部情報処理部を設けたりすることにより、外部情報として、インターネット上に配信されている交通情報やイベント情報を取得し、これらの情報をビックデータとしてデータマイニングを行い、トンネルを走行する車両の増減に寄与するデータを取得する。このようにして取得したデータは、単に一般的なセンサ等からのデータの類ではなく情報性を有するデータであり、制御情報生成部23に送信される。制御情報生成部23は、受信した情報性を有するデータと、交通情報生成部21からの交通情報と、環境情報生成部22からの環境情報と、から制御情報を生成してもよい。これにより、一層高度な照明を制御することができる。
上述した各種形態において、データや情報を逐一処理して制御するのではなく、複数の制御装置20に学習機能を持たせ、一又は複数のある特定の制御装置20における交通情報生成部21、環境情報生成部22のみを作動させ、過去に生成した交通情報、環境情報の何れか又は双方を活用することができる。例えば、一又は複数のある特定の制御装置20を取り出して、それらの制御装置20の取付位置や交通情報、環境情報のランク付けでパターンが生じると、そのパターンのときの制御情報を利用して照明装置10を制御するようにしてもよい。このようにシステムに学習機能を持たせることにより情報処理をより迅速にすることができる。
1:トンネル照明システム
2:トンネル構造物
3:道路
10:照明装置
11:照明部
12:送受信部
13:制御部
20,20A:制御装置
21:交通情報生成部
22:環境情報生成部
23:制御情報生成部
24:指令制御部
25:送受信部
26:統計情報処理部
30:トンネル間通信部

Claims (6)

  1. 複数の照明装置をトンネル内の道路に沿って間隔をあけて設けたトンネル照明システムにおいて、
    走行する車両を認識しトンネル内の交通情報を生成する交通情報生成部と、
    トンネル内の環境状況を検出しトンネル内の環境情報を生成する環境情報生成部と、
    前記交通情報生成部からの交通情報と前記環境情報生成部からの環境情報とに基いて複数の照明装置の照光を調整するための制御情報を生成する制御情報生成部と、
    前記制御情報生成部から前記照明装置に対する制御情報の変更があると当該照明装置に対して変更後の制御情報を指令する指令制御部と、
    を備えることを特徴とする、トンネル照明システム。
  2. さらに、走行する車両に関する統計情報が入力され、前記制御情報生成部において前記交通情報生成部からの交通情報及び前記環境情報生成部からの環境情報と噛み合うように統計情報を処理する統計情報処理部を備える、請求項1に記載のトンネル照明システム。
  3. さらに、トンネル間同士で情報のやり取りをするためのトンネル間通信部を備え、
    前記交通情報生成部及び前記環境情報生成部によって生成された或るトンネル内での交通情報、環境情報の少なくとも一方の情報、前記制御情報生成部によって生成された当該或るトンネル内での制御情報の何れかが、前記トンネル間通信部によって伝送され、当該トンネルと隣り合う他のトンネルの照明装置の制御に利用される、請求項1又は2に記載のトンネル照明システム。
  4. 前記照明装置は、
    発光素子からなる照明部と、
    前記指令制御部からの指令情報を無線で送受信する送受信部と、
    前記送受信部からの指令情報を受けて前記照明部を制御する制御部と、
    を備える、請求項1乃至3の何れかに記載のトンネル照明システム。
  5. トンネルの長さ方向に沿って隣り合う前記照明装置は、前記送受信部により前記指令制御部からの指令情報を伝送する中継器として機能する、請求項4に記載のトンネル照明システム。
  6. さらに、前記照明装置に給電する給電設備と、地震、津波その他の災害が発生したことを検知する検知部と、トンネル外から災害発生を知らせる警報の入力を受ける警報受付部とを備え、
    前記指令制御部は、前記検知部が災害を検知するか又は前記警報受付部により警報の入力を受けると、前記照明装置への給電設備を通常時の給電モードから緊急時の給電モードに切り替える、請求項1乃至5の何れかに記載のトンネル照明システム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6001203B1 (ja) * 2016-04-06 2016-10-05 阪神高速技研株式会社 道路照明装置
KR101948797B1 (ko) * 2018-01-03 2019-02-15 한국도로공사 조명 제어 시스템 및 방법
JP7535416B2 (ja) 2020-08-28 2024-08-16 コイト電工株式会社 防災システム

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