JP2015132354A - 振り子式ダンパ装置及びトルクコンバータのロックアップ装置 - Google Patents

振り子式ダンパ装置及びトルクコンバータのロックアップ装置 Download PDF

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祥行 萩原
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Abstract

【課題】振り子式ダンパ装置において、軸方向スペースを短くする。【解決手段】この振り子式ダンパ装置は、ドリブンプレート30と、複数の振り子部材と、ストッパとしての突出部と、を備えている。ドリブンプレート30は回転軸線を中心に回転する。複数の振り子部材は、ドリブンプレート30と回転軸線に沿った方向で重なる位置に配置され、ドリブンプレート30の回転時にドリブンプレート30に対して回転方向に相対的に揺動する。突出部は振り子部材に当接して振り子部材の揺動範囲を規制する。【選択図】図1

Description

本発明は、振り子式ダンパ装置、及びそれを有するトルクコンバータのロックアップ装置に関する。
トルクコンバータには、トルクをフロントカバーからタービンに直接伝達するためのロックアップ装置が設けられている場合が多い。ロックアップ装置は、フロントカバーに摩擦連結可能なピストンと、ピストンに固定されるドライブプレートと、ドリブンプレートと、複数のトーションスプリングと、を有している。ドリブンプレートは、トルクコンバータのタービンに固定され、複数のトーションスプリングを介してドライブプレートに回転方向に弾性的に連結されている。
特許文献1及び2には、フロントカバーあるいはフロントカバーのエンジン側に振り子式ダンパを設け、振動を減衰するようにしたトルクコンバータが示されている。また、特許文献3及び4に示されたトルクコンバータでは、回転するプレートである振り子フランジの両側面に、振り子としての1対の質量体を設けた振り子式ダンパ装置が設けられている。ここでは、対向する1対の振り子は、振り子フランジを軸方向に貫通するピンによって接合されている。
特開平11−311309号公報 特開2011−208774号公報 特表2011−504986号公報 特表2012−523533号公報
振り子式ダンパを有するロックアップ装置では、振り子を揺動させることによって振動を減衰することが可能である。
しかし、特許文献1及び2の振り子式ダンパは、フロントカバーあるいはフロントカバーとエンジンとの間にダンパ機構が設けられることになるので、装置全体の軸方向長さが長くなる。また、特許文献3及び4に示された振り子式ダンパでは、回転するプレートの両側面に1対の振り子が設けられている。このため、特許文献1及び2と同様に、特許文献3及び4の振り子式ダンパにおいても、装置全体の軸方向長さが長くなる。
本発明の課題は、振り子式ダンパ装置の軸方向スペースを短くすることにある。
本発明の別の課題は、振り子式ダンパ装置の部品点数を削減することにある。
本発明の第1側面に係る振り子式ダンパ装置は、回転部材と、複数の振り子部材と、ストッパと、を備えている。回転部材は回転軸線を中心に回転する。複数の振り子部材は、回転軸線に沿った方向において回転部材と重なる位置に配置され、回転部材の回転時に回転部材に対して回転方向に相対的に揺動する。ストッパは振り子部材に当接して振り子部材の揺動範囲を規制する。
この装置では、回転部材の回転時に揺動する複数の振り子部材が設けられており、この振り子部材の揺動によって振動が減衰される。また、振り子部材の揺動範囲はストッパによって規制される。
ここでは、振り子部材が、回転軸線に沿った方向において回転部材と重なる位置に配置されているので、振り子部材のための特別な軸方向スペースが不要になる。したがって、従来の振り子式ダンパ装置に比較して装置の軸方向スペースを小型化できる。
本発明の第2側面の振り子式ダンパ装置では、回転部材は、円板状の本体部と、複数の突出部と、を有している。複数の突出部は、本体部の外周面から外周方向に突出して、かつ円周方向に等角度間隔で形成されている。複数の振り子部材は複数の突出部の間に形成された収容部に収容されており、ストッパは突出部である。
ここでは、回転部材の一部である突出部によって振り子部材の揺動範囲を規制するストッパを形成しているので、ストッパのための特別な部材や機構が不要になる。
本発明の第3側面に係る振り子式ダンパ装置では、複数の振り子部材の軸方向両側に設けられた1対の保持プレートと、振り子部材を1対の保持プレートに対して揺動自在に支持するための少なくとも1つのピンと、をさらに備えている。
ここでは、1対の保持プレートによって複数の振り子部材の軸方向の移動が規制され、また1対の保持プレート及びピンによって振り子部材が揺動自在に支持されている。
本発明の第4側面に係るトルクコンバータのロックアップ装置は、フロントカバーからのトルクをトルクコンバータのタービンに伝達するための装置である。このロックアップ装置は、入力回転部材と、クラッチ部と、出力回転部材と、複数の弾性部材と、複数の振り子部材と、ストッパと、を備えている。クラッチ部は、フロントカバーと入力回転部材との間に配置され、フロントカバーと入力回転部材との間でトルクを伝達、遮断する。出力回転部材は、タービンに連結されている。複数の弾性部材は入力回転部材と出力回転部材とを回転方向に弾性的に連結する。複数の振り子部材は、出力回転部材の回転軸線に沿った方向において出力回転部材と重なる位置に配置され、出力回転部材の回転時に出力回転部材に対して回転方向に相対的に揺動する。ストッパは、揺動する振り子部材に当接可能であり、振り子部材の揺動範囲を規制する。
本発明の第5側面に係るトルクコンバータのロックアップ装置では、出力回転部材は、円板状の本体部と、複数の突出部と、を有している。複数の突出部は、本体部の外周面から外周方向に突出して、かつ円周方向に等角度間隔で形成されている。複数の振り子部材は複数の突出部の間に形成された収容部に収容されている。
本発明の第6側面に係るトルクコンバータのロックアップ装置では、出力回転部材の複数の突出部は、複数の弾性部材に係合する係合部を先端に有する。
本発明の第7側面に係るトルクコンバータのロックアップ装置では、ストッパは出力回転部材の突出部である。
本発明の第8側面に係る振り子式ダンパ装置は、1対の回転プレートと、複数の振り子部材と、少なくとも1つのピンと、ストッパと、を備えている。1対の回転プレートは、互いに対向して設けられ、回転軸の回りに回転する。複数の振り子部材は、回転軸に沿った方向において1対の回転プレートに挟まれるように配置され、1対の回転プレートの回転時に回転プレートに対して回転方向に相対的に揺動する。ピンは振り子部材を1対の回転プレートに対して揺動自在に支持する。ストッパは振り子部材に当接して振り子部材の揺動範囲を規制する。
この装置によっても、前記同様に、従来の振り子式ダンパ装置に比較して装置の軸方向スペースを小型化できる。
本発明の第9側面に係る振り子式ダンパ装置では、1対の回転プレートは、環状に形成されており、回転プレートに支持された状態の振り子部材の外径よりも小さい外径である。
ここでは、振り子式ダンパ装置の外周部分に他の部材を配置でき、この振り子式ダンパ装置を含む装置全体を軸方向に小型化することができる。
本発明の第10側面に係る振り子式ダンパ装置では、1対の回転プレートを互いに固定する固定部材をさらに備えている。
本発明の一実施形態によるロックアップ装置を備えたトルクコンバータの断面図。 図1のロックアップ装置を抽出して示す図。 図1のクラッチ部を抽出して示す図。 図1のクラッチ部、ドライブプレート、及びトーションスプリングを抽出して示す図。 振り子ユニットの正面図。 図1のドリブンプレート及び振り子ユニットを抽出して示す図。
図1は、本発明の一実施形態によるロックアップ装置を有するトルクコンバータ1の断面部分図である。図1の左側にはエンジン(図示せず)が配置され、図の右側にトランスミッション(図示せず)が配置されている。なお、図1に示すO−Oがトルクコンバータ及びロックアップ装置の回転軸線である。
[トルクコンバータ1の全体構成]
トルクコンバータ1は、エンジン側のクランクシャフト(図示せず)からトランスミッションの入力シャフトにトルクを伝達するための装置であり、入力側の部材に固定されるフロントカバー2と、3種の羽根車(インペラ3、タービン4、ステータ5)からなるトルクコンバータ本体6と、ロックアップ装置7と、から構成されている。
フロントカバー2は、円板状の部材であり、その外周部にはトランスミッション側に突出する外周筒状部10が形成されている。インペラ3は、フロントカバー2の外周筒状部10に溶接により固定されたインペラシェル12と、その内側に固定された複数のインペラブレード13と、インペラシェル12の内周側に形成された筒状のインペラハブ14と、から構成されている。
タービン4は流体室内でインペラ3に対向して配置されている。タービン4は、タービンシェル15と、タービンシェル15に固定された複数のタービンブレード16と、タービンシェル15の内周側に固定されたタービンハブ17と、から構成されている。タービンハブ17は外周側に延びるフランジ17aと、軸方向においてフロントカバー2側に延びる筒状部17bと、を有している。フランジ17aにタービンシェル15の内周部が複数のリベット18によって固定されている。また、タービンハブ17の内周部には、図示しないトランスミッションの入力シャフトがスプライン係合している。なお、筒状部17bのエンジン側先端面とフロントカバー2との間には、スラストワッシャ19が配置されている。
ステータ5は、インペラ3とタービン4の内周部間に配置され、タービン4からインペラ3へと戻る作動油を整流するための機構である。ステータ5は主に、ステータキャリア20と、ステータキャリア20の外周面に設けられた複数のステータブレード21と、ステータブレード21の外周端に設けられた環状のステータコア22と、を有している。ステータキャリア20は、ワンウェイクラッチ23を介して図示しない固定シャフトに支持されている。なお、ステータキャリア20の内周部において、軸方向両側には、スラストベアリング24,25が設けられている。
[ロックアップ装置7]
図2に、図1のロックアップ装置7を抽出して示している。ロックアップ装置7は、フロントカバー2からタービン4に動力を直接伝達するものである。ロックアップ装置7は、フロントカバー2とタービン4との間に配置されたクラッチ部28と、クラッチ部28からのトルクをタービン4に伝達するドライブプレート(入力回転部材)29と、ドリブンプレート30(出力回転部材)と、複数のトーションスプリング31と、振り子ユニット32と、を備えている。なお、ドリブンプレート30及び振り子ユニット32によって振り子式ダンパ装置が構成されている。
<クラッチ部28>
クラッチ部28は、油圧作動式の多板型であり、フロントカバー2からのトルクをドライブプレート29に伝達し、あるいはフロントカバー2とドライブプレート29との間のトルク伝達を遮断する。このクラッチ部28は、図2に示すように、クラッチ入力部材35と、クラッチ出力部材36と、それぞれ2枚の第1及び第2クラッチプレート37,38と、ピストン40と、を有している。
−クラッチ入力部材35−
クラッチ入力部材35は、環状に形成されており、円板状の固定部35aと、外筒状部35bと、内筒状部35cと、を有している。固定部35aはフロントカバー2のタービン4側の面に溶接により固定されている。外筒状部35bは固定部35aの外周端からタービン4側に延びて形成されており、外筒状部35bの内周面には、軸方向に延びる複数の凹凸部が円周方向に所定の間隔で形成されている。内筒状部35cは固定部35aの内周端からタービン4側に延びて形成されている。
−クラッチ出力部材36−
クラッチ出力部材36は、環状に形成されており、円板状に形成された円板部36aと、円板部36aの内周端部からフロントカバー2側に延びて形成された筒状部36bと、を有している。円板部36aは、ドライブプレート29の内周部に、リベット41により固定されている。筒状部36bには、軸方向に延びる複数の切欠きが円周方向に所定の間隔で形成されている。
−第1及び第2クラッチプレート37,38−
第1クラッチプレート37は環状に形成されている。第1クラッチプレート37の外周端には、クラッチ入力部材35の外筒状部35bの凹凸部に係合する複数の歯が形成されている。このような構成により、第1クラッチプレート37は、クラッチ入力部材35に対して軸方向に移動自在かつ相対回転不能である。
第2クラッチプレート38は環状に形成されている。第2クラッチプレート38の内周端には、クラッチ出力部材36の筒状部36bの複数の切欠きに係合する複数の歯が形成されている。このような構成により、第2クラッチプレート38は、クラッチ出力部材36に対して軸方向に移動自在かつ相対回転不能である。また、第2クラッチプレート38の両面には、環状の摩擦部材が固定されている。
2枚の第2クラッチプレート38のうちのタービン4側の第2クラッチプレート38のさらにタービン4側には、環状のバックアップリング43が設けられている。バックアップリング43の外周端には、クラッチ入力部材35の外筒状部35bの凹凸部に係合する複数の歯が形成されている。このような構成により、バックアップリング43は、クラッチ入力部材35に対して軸方向に移動自在かつ相対回転不能である。なお、バックアップリング43のタービン4側には、バックアップリング43のタービン4側への移動を規制するためのスナップリング44が設けられている。スナップリング44は、クラッチ入力部材35の外筒状部35bに形成された環状の溝に係合している。
−ピストン40−
図3に、ピストン40に関連する部分を拡大して示している。ピストン40は、クラッチ入力部材35の内周側で、フロントカバー2と第1及び第2クラッチプレート37,38との間に配置されている。ピストン40は、環状に形成されており、外周面がクラッチ入力部材35の内筒状部35cの内周面に摺動自在に支持されている。ピストン40の外周面にはシール部材46が設けられ、ピストン40とクラッチ入力部材35との間がシールされている。また、ピストン40の内周端部には、タービン4側に延びる筒状部40aが形成されている。このピストン40の筒状部40aの内周面が、ピストン支持部材48に摺動自在に支持されている。
ピストン支持部材48は、図1〜図3に示すように、環状に形成された円板状の部材である。ピストン支持部材48には、円周方向の複数箇所にフロントカバー2側に突出し、かつ径方向に延びる突起部48aが形成されている。突起部48aは溶接によりフロントカバー2に固定されている。なお、図1〜図3では、ピストン支持部材48のフロントカバー2への固定部分を示しているが、ピストン支持部材48においてフロントカバー2に固定されていない部分は、径方向に貫通する溝48b(図3に破線で示している)を形成している。この溝48bを介して、ピストン40とフロントカバー2との間に作動油が内周側から供給される。
ピストン支持部材48の外周端部にはフロントカバー2側に延びる外筒状部48cが形成され、内周端部にはタービン4側に延びる内筒状部48dが形成されている。外筒状部48cは、前述のように、ピストン40の筒状部40aを支持する部分であり、外筒状部48cの外周面にはシール部材49が設けられている。このシール部材49により、ピストン40とピストン支持部材48との間がシールされている。また、内筒状部48dは、タービンハブ17の筒状部17bの外周面に摺動自在に支持されている。そして、タービンハブ17の筒状部17bの外周面にはシール部材50が設けられている。これにより、ピストン支持部材48とタービンハブ17との間がシールされている。
<ドライブプレート29>
図4等に示すように、ドライブプレート29は、環状に形成されており、円板部29aと、円板部29aの外周端に形成されたスプリング収納部29bと、円板部29aの内周端にフロントカバー2側に延びて形成された支持部29cと、を有している。円板部29aには、前述のように、クラッチ出力部材36がリベット41により固定されている。スプリング収納部29bは、断面C形状であり、内部にトーションスプリング31が収納され、トーションスプリング31の内周側、フロントカバー2側の側部、及び外周側を支持している。また、スプリング収納部29bの円周方向の両端には、トーションスプリング31の端面に係合する係合部29dが形成されている。
また、図4等に示すように、ドライブプレート29の内周側には、ドライブプレート支持部材52が設けられている。ドライブプレート支持部材52は、環状に形成され、内周端部がリベット18によってタービンシェル15とともにタービンハブ17のフランジ17aに固定されている。
ドライブプレート支持部材52の外周部には、プレート支持部52aと、ストッパ部52bと、が形成されている。プレート支持部52aはフロントカバー2側に延びる筒状に形成され、ドライブプレート29の支持部29cの内周面を支持している。ストッパ部52bはプレート支持部52aの先端を外周側に折り曲げて形成されている。ストッパ部52bは、ドライブプレート29の支持部29cの軸方向先端が当接可能であり、ドライブプレート29及びドライブプレート29に固定あるいは支持された部材がフロントカバー2側に移動するのを規制している。
<ドリブンプレート30>
ドリブンプレート30は、ドライブプレート29から複数のトーションスプリング31を介して伝達されたトルクをタービンハブ17に伝達する。ドリブンプレート30は、図5及び図6に示すように、円板状でかつ環状に形成された本体部30aと、複数の突出部30bと、を有している。なお、図5はドリブンプレート30及び振り子ユニット32をフロントカバー2側から視た図である。そして、図5の左半分は一部の部材を取り外して示している。
本体部30aの内周端部は、タービンシェル15及びドライブプレート支持部材52とともにリベット18によりタービンハブ17に固定されている。複数の突出部30bは、本体部30aの外周面からさらに外周に突出して形成されており、円周方向に等角度間隔で配置されている。このため、隣り合う突出部30bの円周方向間に収容部30cが形成されている。また、各突出部30bの外周端には、フロントカバー2側に折り曲げて形成された係合部30dが形成されている。この係合部30dが、トーションスプリング31の回転方向の両端面に係合可能である。
<振り子ユニット32>
振り子ユニット32は、ドリブンプレート30の回転時に回転方向に揺動することにより振動を減衰するものである。振り子ユニット32は、複数の振り子部材55と、1対の保持プレート56と、複数のピン57と、を有している。
振り子部材55は、図5に示すように、外周面が外周側に膨らむように形成された扇形状であり、ドリブンプレート30の収容部30cに回転方向に揺動自在に収容されている。すなわち、振り子部材55は、ドリブンプレート30の回転軸線に沿った方向において、ドリブンプレート30と重なる位置に配置されている。なお、振り子部材55の回転方向の両端面55aは、ドリブンプレート30の突出部30bに当接可能である。このため、突出部30bが、振り子部材55の揺動範囲を規制するストッパとして機能している。
また、振り子部材55には、円周方向に並べて2つの溝55bが形成されている。2つの溝55bは線対称に形成されている。また、2つの溝55bは、円弧状であって、円周方向の中央部が内周側に凹むように形成されている。
図5及び図6に示すように、1対の保持プレート56は、環状に形成されており、ドリブンプレート30及び振り子部材55を軸方向の両側から挟むようにして対向して配置されている。そして、1対の保持プレート56は複数のリベット59によってドリブンプレート30の突出部30bに固定されている。この1対の保持プレート56によって、振り子部材55の軸方向の移動が規制されている。
また、1対の保持プレート56には、円周方向に並べて複数の溝56aが形成されている。複数の溝56aは、振り子部材55が中立位置に位置しているときの溝55bの位置に対応する位置に形成されている。各振り子部材55に対応して形成された2つの溝56aは線対称に形成されている。また、各溝56aは、円弧状であって、円周方向の中央部が外周側に膨らむように形成されている。
図5及び図6に示すように、複数のピン57は、各振り子部材55に2つずつ割り当てられている。ピン57は、大径部57aと、大径部57aの両端に設けられた2つの小径部57bと、を有している。ピン57の大径部57aは、振り子部材55の溝55bに、溝55bに沿って移動可能に挿入されている。また小径部57bは、1対の保持プレート56の溝56aに、溝56aに沿って移動可能に挿入されている。
また、ピン57の大径部57aの軸方向長さによって1対の保持プレート56の軸方向の間隔が設定されている。この大径部57aの軸方向長さは、振り子部材55の厚み(軸方向長さ)より若干大きく設定されている。
以上のような構成では、振り子部材55、1対の保持部材56、及びピン57が溝55b及び溝56aに沿って相対的に移動することにより、振り子部材55は図5の二点鎖線で示すように揺動することが可能である。
[動作]
エンジン回転数が低回転数領域では、クラッチ部28はオフであり、ロックアップが解除されている。このロックアップ解除時には、フロントカバー2からのトルクはインペラ3から作動油を介してタービン4に伝達される。
トルクコンバータ1の速度比が上がり、エンジン回転数が一定の回転数に達すると、ピストン40とフロントカバー2との間に作動油が供給される。この結果、ピストン40がタービン4側に移動させられ、第1クラッチプレート37及び第2クラッチプレート38が互いに圧接される。これにより、クラッチ部28はオンとなり、ロックアップ状態になる。ロックアップ状態では、フロントカバー2のトルクは、クラッチ入力部材35から両クラッチプレート37,38及びクラッチ出力部材36を介してドライブプレート29に伝達される。さらに、トルクは、トーションスプリング31を介してドライブプレート29からドリブンプレート30に伝達されて、タービンハブ17に伝達される。すなわち、フロントカバー2が機械的にタービンハブ17に連結され、フロントカバー2のトルクがタービン4を介して直接トランスミッションの入力シャフトに出力される。
ここで、エンジントルクに変動が生じると、トーションスプリング31の伸縮及び各部のヒステリシストルクによって振動が吸収される。また、トルク変動が生じたときには、振り子部材55がドリブンプレート30の収容部30c内で回転方向に揺動することになる。このとき、振り子部材55には遠心力が作用しているので、振り子部材55には、円周方向の中心位置に戻ろうとする力が作用する。この振り子部材55の作用によって、さらに振動を抑えることができる。
なお、振り子部材55の動作時に、トルク変動が大きい場合は、振り子部材55の揺動範囲も大きくなる。この場合は、振り子部材55の円周方向の端面55aがドリブンプレート30の突出部30bの端面に当接し、振り子部材55の揺動範囲が規制される。
[特徴]
(1)振り子部材55が、回転軸線に沿った方向でドリブンプレート30と重なる位置に配置されている。具体的には、ドリブンプレート30の2つの突出部30bの間に形成された収容部30cに振り子部材55が収容されている。このため、振り子ユニット32のための軸方向スペースが短くなり、装置全体を軸方向に小型化することができる。
(2)従来の振り子式ダンパに比較して、部品点数を削減することができる。
(3)ドリブンプレート30の突出部30bを、振り子部材55の揺動範囲を規制するストッパとして機能させている。このため、ストッパのための特別な部材や機構が不要になる。
[他の実施形態]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
(a)前記実施形態では、本発明をロックアップ装置に適用し、ドリブンプレート30と振り子部材55とを回転軸に沿った方向において重なる位置に配置したが、本発明は他の装置にも適用が可能である。すなわち、回転する部材に収容部を設け、この回転部材の収容部に振り子部材を配置して、回転部材と振り子部材とを回転軸線に沿った方向で重なる位置に配置することにより、前記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(b)前記実施形態では、ロックアップ装置のクラッチ部として多板型のクラッチを例にとって説明したが、ピストンのフロントカバー側の側面に摩擦部材が固定されているような単板型のクラッチにも本発明を同様に適用することができる。
(c)前記実施形態では、ストッパをドリブンプレートの一部で構成したが、ストッパをドリブンプレートとは別に設けてもよい。
(d)前記実施形態では、振り子部材を1対の保持プレートの軸方向間に配置したが、例えば、ドリブンプレートの側方に、ドリブンプレートに軸方向に対向してかつドリブンプレートに固定された別のプレートを配置し、これらのプレートの間に振り子部材を揺動自在に配置するようにしてもよい。
1 トルクコンバータ
2 フロントカバー
4 タービン
7 ロックアップ装置
28 クラッチ部
29 ドライブプレート
30 ドリブンプレート
30a 本体部
30b 突出部
30c 収容部
30d 係合部
31 トーションスプリング
32 振り子ユニット
35 クラッチ入力部材
36 クラッチ出力部材
55 振り子部材
56 保持プレート
57 ピン

Claims (10)

  1. 回転軸線を中心に回転する回転部材と、
    前記回転軸線に沿った方向において前記回転部材と重なる位置に配置され、前記回転部材の回転時に前記回転部材に対して回転方向に相対的に揺動する複数の振り子部材と、
    前記振り子部材に当接して前記振り子部材の揺動範囲を規制するストッパと、
    を備えた振り子式ダンパ装置。
  2. 前記回転部材は、
    円板状の本体部と、
    前記本体部の外周面から外周方向に突出して、かつ円周方向に等角度間隔で形成された複数の突出部と、
    を有し、
    前記複数の振り子部材は前記複数の突出部の間に形成された収容部に収容されており、
    前記ストッパは前記突出部である、
    請求項1に記載の振り子式ダンパ装置。
  3. 前記振り子部材の軸方向両側に設けられた1対の保持プレートと、
    前記振り子部材を前記1対の保持プレートに対して揺動自在に支持するための少なくとも1つのピンと、
    をさらに備えた、請求項1又は2に記載の振り子式ダンパ装置。
  4. フロントカバーからのトルクをトルクコンバータのタービンに伝達するためのロックアップ装置であって、
    入力回転部材と、
    前記フロントカバーと前記入力回転部材との間に配置され、前記フロントカバーと前記入力回転部材との間でトルクを伝達、遮断するクラッチ部と、
    前記タービンに連結された出力回転部材と、
    前記入力回転部材と前記出力回転部材とを回転方向に弾性的に連結する複数の弾性部材と、
    前記出力回転部材の回転軸線に沿った方向において前記出力回転部材と重なる位置に配置され、前記出力回転部材の回転時に前記出力回転部材に対して回転方向に相対的に揺動する複数の振り子部材と、
    揺動する前記振り子部材に当接可能であり、前記振り子部材の揺動範囲を規制するストッパと、
    を備えたトルクコンバータのロックアップ装置。
  5. 前記出力回転部材は、
    円板状の本体部と、
    前記本体部の外周面から外周方向に突出して、かつ円周方向に等角度間隔で形成された複数の突出部と、
    を有し、
    前記複数の振り子部材は前記複数の突出部の間に形成された収容部に収容されている、
    請求項4に記載のトルクコンバータのロックアップ装置。
  6. 前記出力回転部材の複数の突出部は、前記複数の弾性部材に係合する係合部を先端に有する、請求項5に記載のトルクコンバータのロックアップ装置。
  7. 前記ストッパは前記出力回転部材の突出部である、請求項5又は6に記載のトルクコンバータのロックアップ装置。
  8. 互いに対向して設けられ、回転軸の回りに回転する1対の回転プレートと、
    前記回転軸に沿った方向において前記1対の回転プレートに挟まれるように配置され、前記1対の回転プレートの回転時に前記回転プレートに対して回転方向に相対的に揺動する複数の振り子部材と、
    前記振り子部材を前記1対の回転プレートに対して揺動自在に支持するための少なくとも1つのピンと、
    前記振り子部材に当接して前記振り子部材の揺動範囲を規制するストッパと、
    を備えた振り子式ダンパ装置。
  9. 前記1対の回転プレートは、環状に形成されており、前記回転プレートに支持された状態の振り子部材の外径よりも小さい外径である、
    請求項8に記載の振り子式ダンパ装置。
  10. 前記1対の回転プレートを互いに固定する固定部材をさらに備えた、請求項8又は9に記載の振り子式ダンパ装置。
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