JP2015132192A - 排気弁駆動装置およびこれを備えた内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プランジャ11には、プランジャ11が作動油を加圧する加圧室29からプランジャ11の外周面に位置する外周面開口部11dまで連通する連通孔12が形成され、第2シリンダ27の内周面には、プランジャ11が往復動する行程の一部の期間にわたって外周面開口部11dに対して連通する溝部30が形成され、溝部30には、作動油を排出するための作動油排出経路31が接続され、作動油排出経路31には、排出量調整弁33が設けられている。
【選択図】図1
Description
さらに、電子制御油圧弁が開いた状態で固着してしまい、加圧作動油源から作動油管に作動油が常時供給され続ける場合には、排気弁を閉じることができなくなり、エンジンの運転継続ができなくなるおそれがある。
すなわち、本発明にかかる排気弁駆動装置は、内燃機関の排気弁を動作させるアクチュエータと、該アクチュエータを動作させる作動油を供給する油圧経路と、該油圧経路に接続されたプランジャと、該プランジャを収容するシリンダと、前記プランジャを往復動させるカムと、を備え、前記プランジャによって加圧された前記作動油によって前記アクチュエータが動作して前記排気弁を開とし、加圧された前記作動油を前記プランジャによって減圧することによって前記アクチュエータが動作して前記排気弁を閉とする排気弁駆動装置において、前記プランジャには、該プランジャが前記作動油を加圧する加圧空間から該プランジャの外周面に位置する外周面開口部まで連通する連通孔が形成され、前記シリンダの内周面には、前記プランジャが往復動する行程の一部の期間にわたって前記外周面開口部に対して連通する溝部が形成され、該溝部には、前記作動油を排出するための作動油排出経路が接続され、該作動油排出経路には、排出量調整弁が設けられていることを特徴とする。
本発明では、プランジャが作動油を加圧する加圧空間からプランジャ外周面の開口部へと作動油が流れる連通孔をプランジャに設けた。そして、この連通孔の外周面開口部に対して、プランジャが往復動する行程の一部の区間にわたって連通する溝部をシリンダ内周面に形成した。溝部からは、作動油排出経路を介して溝部内の作動油が排出されるようにした。これにより、プランジャの連通孔とシリンダの溝部とが連通している間は、プランジャによって作動油を加圧する加圧空間から作動油を排出することができる。したがって、プランジャが作動油を加圧する行程では、加圧途中の作動油がプランジャの連通孔を介して排出されるので作動油の圧力上昇が遅くなり、排気弁の開タイミングを遅らせることができる。一方、プランジャが加圧後の作動油を減圧する行程では、加圧途中で作動油が抜かれており作動油圧が低下しているため、排気弁の閉タイミングを早めることができる。
そして、本発明では、作動油排出経路に排出量調整弁を設け、加圧空間から作動油が排出される流量を調整することとしたので、プランジャによって作動油を加圧する際の圧力上昇の程度と、プランジャによって加圧された作動油の到達圧力の低下の程度を調整することができ、排気弁の開タイミング及び閉タイミングを任意に変更することができる。
また、本発明は、別に設けた加圧源によって加圧された作動油を油圧経路に供給する構成を採用せず、連通孔を介して作動油を排出することによって作動油の圧力変化を調整することとしているので、作動油の加圧源を別に設ける必要がない。したがって、本発明は、別に設けた加圧源が故障することによって内燃機関の運転に支障を来すといったリスクを負うことがなく、高い信頼性を実現することができる。
排出量調整弁としては、電子制御による比例制御弁や機械的機構を備えた可変オリフィス等が用いられる。
また、排出量調整弁を内燃機関の負荷が下がるに従い開方向に制御して、排気弁が開となるタイミングを遅くすると、燃焼ガスと新気とのガス交換を筒内で行う時間が短くなるおそれがあるが、負荷が下がった部分負荷状態では内燃機関の回転数が低いためガス交換のための時間を十分にとることができる。また、排気弁の開タイミングを遅らせることで、開タイミングを遅らせた時間分だけ燃焼後の筒内圧力を低下させずに維持することができるので、この燃焼後の筒内圧力に維持された筒内ガスから軸回転力をより多く取り出すことができ、燃料消費率がさらに改善される。
また、上記発明のように、排出量調整弁の最大開度にて内燃機関が高負荷であっても内燃機関の圧縮圧力および燃焼圧力が設計許容圧力以下となるように外周面開口部に対して溝部が連通する期間が決定されている場合には、何らかの原因で排出量調整弁が全閉のまま固着してしまった場合であっても、排気弁はカムプロファイルに従って動作するだけで、排気弁の閉タイミングは排出量調整弁の最大開度となる場合よりも遅いので、設計許容圧力を超えて圧縮圧力および燃焼圧力が高くなることはなく、内燃機関の損傷を回避することができる。
図1には、本実施形態にかかる排気弁駆動装置1が示されている。排気弁駆動装置1は、船舶主機用ディーゼルエンジン(内燃機関)に設けられている。船舶主機用ディーゼルエンジン(以下「ディーゼルエンジン」という。)は、例えば低速2ストロークサイクル機関とされており、下方から給気して上方へ排気するように1方向に掃気されるユニフロー型が採用されている。ディーゼルエンジンからの出力は、図示しないプロペラ軸を介してスクリュープロペラに直接的または間接的に接続されている。
油圧経路9内の圧力が所定値以上となった場合に、オリフィス21から所定量の作動油が油圧経路9の外部へと排出されるようになっている。これにより、プランジャ11による加圧時に所定量の作動油を油圧経路9外へ排出し、プランジャ11による減圧時に油圧経路9に残存する油量を少なくしておくことで、ピストン7と排気弁5は加圧時に比べて上方(排気弁閉止方向)に保持される。そして、プランジャ11を押し下げて作動油を吸い込む際には加圧時と同量の油量を吸い込むことになるので、ピストン7はプランジャ11による減圧が完了するより前に確実に上方へ吸い上げられて排気弁5が安定的に閉とされるようになっている。
カム13は、カム軸39に固定されており、カム軸39とともに回転する。カム軸39は、ディーゼルエンジンのクランク軸と同期して回転するようになっている。
先ず、排出量調整弁33が全閉の場合について説明し、次に排出量調整弁33が開となった場合について説明する。
排出量調整弁33が全閉とされた場合は、加圧室29から作動油が排出されることがないので、カム13のプロファイルに従った排気弁5の開閉が行われる。主として、排出量調整弁13が全閉とされる場合は、ディーゼルエンジンの負荷が高負荷側の場合である。
時刻t0にてカム13のプロファイルに従いカムリフト量が増大してプランジャ11が押し上げられ始めると、加圧室29すなわち油圧経路9の作動油圧が上昇し始める。そして、時刻t1にてカムリフト量が最大値に達してプランジャ11が上死点まで押し上げられ、作動油圧が最大値に達すると、時刻t2にて、ピストン7側の油圧室17における油圧が作用し、図示しない空気ばねの付勢力および筒内圧力に打ち勝ってピストン7を押し下げる。これにより、排気弁リフトが増大して、排気弁5が開となる。このとき、ピストン7が押し下げられるに伴い、作動油が油圧室17に取り込まれるので、作動油圧は急激に減少する。
そして、カム13のプロファイルに従いプランジャ11が上死点に維持されている時刻t3までの期間は、排気弁リフト量も最大で維持されており、排気弁5は開のままとされる。
つぎに、ディーゼルエンジンの負荷が減少し、低負荷側となった場合には、図示しない制御部からの指示に従い、排出量調整弁33を所定量だけ開とする場合について説明する。図2(b)に破線で示すように、排出量調整弁33の開度は、カムリフト量が上昇して低下する1サイクルにわたって所定開度にて一定とされている。
そして、時刻t0’を過ぎると、連通孔12と溝部30とが連通しなくなるので、作動油圧が上昇し始める。このように、排出量調整弁33の全閉時(実線)に比べて、破線で示すように作動油の圧力上昇のタイミングが時刻t0から時刻t0’まで遅れるので、排気弁5が開となるタイミングも遅れることになる。すなわち、排気弁リフト量は、時刻t2から所定時間遅れた時刻t2’から上昇し始める。
プランジャ11の端面11aの開口部11bからプランジャ11の外周面開口部11dへと作動油が流れる連通孔12をプランジャ11に設けた。そして、この連通孔12の外周面開口部11dに対して、プランジャ11が往復動する行程の一部の区間にわたって連通する溝部30を第2シリンダ27の内周面に形成した。また、溝部30からは、作動油排出経路31を介して溝部30内の作動油が排出されるようにした。これにより、プランジャ11の連通孔12と第2シリンダ27の溝部30とが連通している間は、プランジャ11によって作動油を加圧する加圧室39から作動油を排出することができる。したがって、プランジャ11が作動油を加圧する行程では、加圧途中の作動油がプランジャ11の連通孔12を介して排出されるので作動油の圧力上昇が遅くなり、排気弁5の開タイミングを遅らせることができる。一方、プランジャ11が加圧後の作動油を減圧する行程では、加圧途中で作動油が抜かれており作動油圧が低下しているため、排気弁5の閉タイミングを早めることができる。
また、排出量調整弁33をディーゼルエンジンの負荷が下がるに従い閉方向に制御して、排気弁5が開となるタイミングを遅くすると、燃焼ガスと新気とのガス交換を筒内で行う時間が短くなるおそれがあるが、負荷が下がった部分負荷状態ではディーゼルエンジンの回転数が低いためガス交換のための時間を十分にとることができる。また、排気弁5の閉タイミングを遅らせることで、閉タイミングを遅らせた時間分だけ燃焼後の筒内圧力を低下させずに維持することができるので、この燃焼後の筒内圧力に維持された筒内ガスから軸回転力をより多く取り出すことができ、燃料消費率をさらに改善することができる。
また、上述のように、排出量調整弁33の最大開度にてディーゼルエンジンが高負荷であっても筒内の圧縮圧力および燃焼圧力が設計許容圧力以下となるように外周面開口部11dに対して溝部30が連通する期間が決定されているので、何らかの原因で排出量調整弁33が全閉のまま固着してしまった場合であっても、排気弁5はカムプロファイルに従って動作するだけで、排気弁5の閉タイミングは排出量調整弁33の最大開度となる場合よりも遅いので、設計許容圧力を超えて圧縮圧力および燃焼圧力が高くなることはなく、ディーゼルエンジンの損傷を回避することができる。
3 シリンダカバー
5 排気弁
7 ピストン
9 油圧経路
11 プランジャ
11d 外周面開口部
12 連通孔
13 カム
15 第1シリンダ
17 油圧室
19 オリフィス用経路
21 オリフィス
23 低圧作動油供給経路
25 逆止弁
27 第2シリンダ
29 加圧室
30 溝部
31 作動油排出経路
33 排出量調整弁
35 接続軸
37 カムローラ
すなわち、本発明にかかる排気弁駆動装置は、内燃機関の排気弁を動作させるアクチュエータと、該アクチュエータを動作させる作動油を供給する油圧経路と、該油圧経路に接続されたプランジャと、該プランジャを収容するシリンダと、前記プランジャを往復動させるカムと、を備え、前記プランジャによって加圧された前記作動油によって前記アクチュエータが動作して前記排気弁を開とし、加圧された前記作動油を前記プランジャによって減圧することによって前記アクチュエータが動作して前記排気弁を閉とする排気弁駆動装置において、前記プランジャには、該プランジャが前記作動油を加圧する加圧空間から該プランジャの外周面に位置する外周面開口部まで連通する連通孔が形成され、前記シリンダの内周面には、前記プランジャが往復動する行程の一部の期間にわたって前記外周面開口部に対して連通する溝部が形成され、該溝部には、前記作動油を排出するための作動油排出経路が接続され、該作動油排出経路には、開度が制御される排出量調整弁が設けられていることを特徴とする。
Claims (5)
- 内燃機関の排気弁を動作させるアクチュエータと、
該アクチュエータに作動油を供給する油圧経路と、
該油圧経路に接続されたプランジャと、
該プランジャを収容するシリンダと、
前記プランジャを往復動させるカムと、
を備え、
前記プランジャによって加圧された前記作動油によって前記アクチュエータが動作して前記排気弁を開とする排気弁駆動装置において、
前記プランジャには、該プランジャが前記作動油を加圧する加圧空間から該プランジャの外周面に位置する外周面開口部まで連通する連通孔が形成され、
前記シリンダの内周面には、前記プランジャが往復動する行程の一部の期間にわたって前記外周面開口部と連通する溝部が形成され、
該溝部には、前記作動油を排出するための作動油排出経路が接続され、
該作動油排出経路には、排出量調整弁が設けられていることを特徴とする排気弁駆動装置。 - 前記排出量調整弁は、前記内燃機関の負荷が下がるに従い開度が大きくなるように制御されることを特徴とする請求項1に記載の排気弁駆動装置。
- 前記排出量調整弁が最大開度とされた場合に前記排気弁が閉となるタイミングにて、前記内燃機関が高負荷であっても該内燃機関の圧縮圧力および燃焼圧力が設計許容圧力以下となるように、前記外周面開口部に対して前記溝部が連通する期間が設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の排気弁駆動装置。
- 前記排出量調整弁は、全閉可能とされていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の排気弁駆動装置。
- 請求項1から4のいずれかに記載の排気弁駆動装置と、
該排気弁駆動装置によって駆動される前記排気弁と、
該排気弁を収容する燃焼室と、
を備えていることを特徴とする内燃機関。
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