JP2015129877A - 車両用表示部材、および車両用表示補助部材 - Google Patents

車両用表示部材、および車両用表示補助部材 Download PDF

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Abstract

【課題】フロントガラス10に反射した光によってユーザに画像を視認させるものにおいて、ユーザが視認する画像が2重像となることを抑制可能な領域を拡大する。【解決手段】フロントガラス10は、第1ガラスおよび第2ガラスの間に、光制御フィルムを挟んで構成される。光制御フィルムは、吸収体および透過体が交互に出現するフィルムである。光制御フィルムは、車室外からフロントガラス10に入射した光がシート50側に進行するのを妨げない。一方、光制御フィルムは、発光部42を光源とする入射光IRのうちフロントガラス10の最内面S1側で反射することなくフロントガラス10内部に入射した光(透過光)を吸収体によって吸収する。これにより、透過光がフロントガラス10の最外面S2によって反射される事態を抑制する。【選択図】図1

Description

本発明は、車室外から入射した光を透過させて且つ、車室内の画像出力部から出力される画像を表現する光を反射する車両用表示部材、および車両用表示部材を構成する車両用表示補助部材に関する。
たとえば特許文献1には、透明な反射板に画像を表現する光を照射し、反射板によって反射された光によって、ユーザに視覚可能な画像を形成するものが提案されている。ここでは、反射板の一方の面で反射した画像を表現する光と、一方の面で反射せず他方の面で反射した光とによって、ユーザにより視認される像が2重となる2重像の形成を、反射板を楔形状に加工することによって抑制している。すなわち、反射板を楔型とすることで、上記一方の面で反射した光と他方の面で反射した光とがユーザの目においてほぼ同一の位置から入射するようになり、これにより、2重像の形成が抑制される。
特開2006−064582号公報
ただし、上記の場合、2重像が認識されない位置は、上記一方の面で反射した光と他方の面で反射した光とが交わる点付近に限られるため、この点から大きく離間した位置においては、2重像が認識される。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車室外から入射した光を透過させて且つ、画像出力部から出力される画像を表現する光を反射するものにおいて、2重像の形成を抑制可能な領域を拡大することのできる車両用表示部材を提供することにある。また、本発明の目的は、同車両用表示部材を構成する車両用表示補助部材を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
技術的思想1:車室外から入射した光を透過させて且つ、車室内の画像出力部から出力される画像を表現する光を反射する車両用表示部材において、前記画像出力部から出力され当該車両用表示部材において最も車室外側に位置する面の反対側の面で反射されずに入射した光が、前記最も車室外側に位置する面で反射されることを抑制する反射抑制加工が施されたことを特徴とする車両用表示部材。
画像出力部から出力された光は、上記反対側の面で反射され、ユーザによって視認される。一方、画像出力部から出力された光に、上記反対側の面で反射されないものがある場合、これが上記最も車室外側に位置する面で反射されると、ユーザによって視認される画像が2重像となるおそれがある。この点、上記部材では、反射抑制加工が施されるため、上記反対側の面で反射されない光が最も車室外側に位置する面で反射されることを抑制することができる。このため、車両用表示部材を楔形状としたと仮定した場合における反対側の面と最車室外側の面とのそれぞれで反射される光の進行方向における交点付近以外においても、2重像が形成されることを抑制できることから、2重像の形成を抑制可能な領域を拡大することができる。
技術的思想2:前記反射抑制加工は、光を透過する透過部材と光の進行を妨げる透過障壁部材とを、前記車室外から前記車室内のシート側へと進む方向に入射した光を前記車室内のシート側に透過させる一方、前記反対側の面で反射されずに入射した光を遮断するように配置した加工である技術的思想1記載の車両用表示部材。
上記部材では、透過障壁部材によって、前記反対側の面で反射されずに入射した光を遮断することで、前記反対側の面で反射されない光が最も車室外側に位置する面で反射されることを抑制することができる。
技術的思想3:前記透過障壁部材のうち隣接する一方についての前記車室内側の端部および他方についての前記車室外側の端部を結ぶ線と前記透過障壁部材とのなす鋭角よりも、前記反射されず入射した光の進行方向と前記透過障壁部材とのなす鋭角の方が大きい技術的思想2記載の車両用表示部材。
上記部材では、反射されず入射した光は、その光の進行方向にある透過障壁部材の上記車室外側の端部よりも上記車室内側の端部側において、透過障壁部材に到達し、その進行が妨げられる。このため、上記反対側の面で反射されない光が最も車室外側に位置する面で反射されることを抑制することができる。
技術的思想4:前記反対側の面を構成する第1パーツと、前記最も車室外側に位置する面を構成する第2パーツとを備え、前記透過部材および前記透過障壁部材は、前記第1パーツおよび前記第2パーツ間に備えられる光制御部材を構成し、前記光制御部材の屈折率と前記第1パーツの屈折率との差の絶対値は、前記第2パーツの屈折率と空気の屈折率との差の絶対値よりも小さい技術的思想2または3記載の車両用表示部材。
屈折率の相違する2つの媒体の境界において、光は反射し、その反射率は、2つの媒体の屈折率の差が大きいほど高くなる。このため、上記部材では、光制御部材と第1パーツとの界面での反射率を、第2パーツと空気との界面での反射率よりも小さくすることができる。このため、上記反射されず入射した光の進行を妨げる目的で配置された光制御部材と第1パーツとの界面における光の反射に起因した2重像の形成を抑制することができる。
技術的思想5:前記反射抑制加工は、前記最も車室外側に位置する面に施されたモスアイ加工である技術的思想1記載の車両用表示部材。
上記部材では、前記反対側の面にモスアイ加工を施すことで、最も車室外側の面付近を通過する光にとって、屈折率の変化が緩和されたものとなる。このため、上記反対側の面で反射されない光が最も車室外側に位置する面で反射されることを抑制することができる。
技術的思想6:当該車両用表示部材は、フロントガラスである技術的思想1から5のいずれか1項に記載の車両用表示部材。
技術的思想7:技術的思想2〜4のいずれか1項に記載の車両用表示部材を構成する部材であり、該車両用表示部材における前記透過部材および前記透過障壁部材を備える車両用表示補助部材
第1の実施形態にかかるヘッドアップディスプレイシステムを示す図。 同実施形態にかかるフロントガラスの断面図。 (a)および(b)は、同実施形態にかかる光制御フィルムの設定を示す断面図。 同実施形態にかかるフロントガラスの視界を規定する図。 (a)および(b)は、同実施形態にかかる光制御フィルムの設定を示す断面図。 (a)および(b)は、同実施形態にかかる光制御フィルムの設定を示す断面図。 第2の実施形態にかかる車両用表示部材を示す図。 同実施形態にかかる光制御フィルムの配置を示す斜視図。 第3の実施形態にかかるヘッドアップディスプレイシステムを示す図。 第4の実施形態にかかるヘッドアップディスプレイシステムを示す図。
<第1の実施形態>
以下、車両用表示部材の第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態にかかるヘッドアップディスプレイシステムの構成を示す。図1に示されるように、車両のフロントガラス10およびルーフ30によって区画された車室内には、ダッシュボード40が設けられている。ダッシュボード40には、発光部42とミラー44とが備えられている。ここで、発光部42は、画像を表現する光を出力するものである。ここで、画像は、車両のユーザに提供する情報を表現したものである。一方、ミラー44は、発光部42から出力された光を反射し、フロントガラス10のうちの最も車室内側に位置する面(最内面S1)に照射させるように、上記光の進路を変更するためのものである。ミラー44によって反射された光はフロントガラス10への入射光IRとして、フロントガラス10の最内面S1に向かって進行し、最内面で反射された光(反射光RR)は、シート50に着座しているユーザに到達する。これにより、発光部42から出力された光が表現する画像がユーザに視認される。すなわち、ユーザは、ユーザから見て最内面S1側の方向に画像が表示されていることを視認する。
上記入射光IRの一部は、最内面S1によって反射されることなく、フロントガラス10の内部に入射する。入射した光がフロントガラス10のうち最も車室外側に位置する面(最外面S2)において反射する場合には、ユーザが視認する画像が2重の輪郭を有する像(2重像)となるおそれがある。これは、入射光IRを反射するための面である最内面S1によって反射される光によって形成される画像と、最外面S2によって反射される光によって形成される画像とにずれが生じるためである。
そこで本実施形態では、上記入射光IRのうち最内面S1によって反射されずにフロントガラス10に入射した光が最外面S2によって反射されるのを抑制するために、フロントガラス10に、図2に示す加工を施した。
図2は、フロントガラス10の拡大断面図である。
図2に示すように、フロントガラス10は、最内面S1を形成する透明な第1ガラス12と、最外面S2を形成する透明な第2ガラス14と、第1ガラス12および第2ガラス14に挟まれた光制御フィルム20とを備えている。光制御フィルム20は、光の透過率および反射率が吸収率と比較して無視できるほど小さい吸収体22と、光の吸収率が吸収体22と比較して小さい透過体24とが交互に配置された部材である。吸収体22は、薄板状の部材であり、車幅方向を長手方向とする略長方形状の部材である。透過体24は、吸収体22の厚さよりも厚い部材である。
上記光制御フィルム20は、第1ガラス12および第2ガラスのそれぞれに密着するようにして配置されている。また、光制御フィルム20の屈折率n2と、第1ガラス12および第2ガラス14の屈折率n1との差の絶対値は、第1ガラス12および第2ガラス14の屈折率n1と空気の屈折率n0との差の絶対値よりも小さい。このため、第1ガラス12と光制御フィルム20との界面における光の反射率は、フロントガラス10が光制御フィルム20を備えないと仮定した場合の第2ガラス14と空気との界面(最外面S2)による光の反射率よりも小さくなる。これは、反射率が界面の両側の屈折率の差の絶対値と正の相関を有するためである。
また、光制御フィルム20の構成を図3に示すものとすることで、上記入射光IRのうち光制御フィルム20に入射したものは、ほとんどが第2ガラス14に到達することなく光制御フィルム20の吸収体22によって吸収される。
図3(a)に、隣接する吸収体22のうちの一方のうちの最内面S1側の端部P1と、他方のうちの最外面側の端部P2とを結ぶ線L1と吸収体22とのなす鋭角θ1を示す。詳しくは、入射光IRが入射する側(端部P1側)の吸収体22の面と線L1とのなす鋭角を、鋭角θ1とする。なお、吸収体22の表面が直線ではなく微妙に湾曲している場合には、端部P1において吸収体22に接する面と線L1とのなす鋭角を、鋭角θ1とすればよい。
図3(b)に、上記入射光IRのうち光制御フィルム20に入射したもの(透過光PR)の進行方向と吸収体22の面とのなす鋭角θ2を示す。詳しくは、入射光IRが入射する側(端部P1側)の吸収体22の面と上記進行方向とのなす鋭角を、鋭角θ2とする。なお、吸収体22の表面が直線ではなく微妙に湾曲している場合には、端部P1において吸収体22に接する面と上記進行方向とのなす鋭角を、鋭角θ1とすればよい。
図3に示す設定によれば、入射光IRのうち最内面S1で反射されずにフロントガラス10内部に入射した光(透過光PR)は、吸収体22に到達するため、吸収体22によってほとんど吸収される。このため、透過光PRのうち第2ガラス14に到達する割合を無視できる程度に小さい値とすることができる。ここで、無視できる程度とは、最外面S2によって反射される光による2重像がユーザに視認されなくなる程度の率とする。
ちなみに、最内面S1のうち入射光IRが照射される領域が大きい場合には、領域内の位置同士で、透過光PRの進行方向に大きな相違が生じるため、上記鋭角θ2は実際には一義的に定まるものではなく、上記領域内の位置に応じて変化する。
また、本実施形態では、光制御フィルム20を、以下において図4〜図6を用いて説明するように構成することで、光制御フィルム20を設けたことに起因して視界が制限される事態を抑制している。
図4に示す想定領域SVは、シート50の上下方向の可動範囲と、ユーザの座高として想定する範囲とによって定まるユーザの目の位置の範囲を示す。また、上方側境界ベクトルLV1は、フロントガラス10のうちルーフ30側の端部E1と、想定領域SVのうちの下方側の端部e1とを結ぶ線によって定まるベクトルを示す。さらに、下方側境界ベクトルLV2は、フロントガラス10のうちの下方側の端部E2と、想定領域SVのうちの上方側の端部e2とを結ぶ線によって定まるベクトルを示す。
図5(a)には、隣接する吸収体22のうちの一方のうちの最内面S1側の端部P1と、他方のうちの最外面側の端部P2とを結ぶ線L1と吸収体22とのなす鋭角θ3を示す。詳しくは、端部P2側の吸収体22の面と線L1とのなす鋭角を、鋭角θ3とする。ここで、吸収体22の表面が直線ではなく微妙に湾曲している場合には、端部P2において吸収体22に接する面と線L1とのなす鋭角を、鋭角θ3とすればよい。
図5(b)には、吸収体22の面と上方側境界ベクトルLV1とのなす鋭角θ4を示す。詳しくは、端部P2側の吸収体22の面と上方側境界ベクトルLV1とのなす鋭角を、鋭角θ4とする。ここで、吸収体22の表面が直線ではなく微妙に湾曲している場合には、端部P2において吸収体22に接する面と上方側境界ベクトルLV1とのなす鋭角を、鋭角θ4とすればよい。
本実施形態では、上記鋭角θ3よりも鋭角θ4の方が小さくなるように吸収体22を配置する。これにより、車室外上方から入射した光であって光制御フィルム20がない場合にユーザの目に届く光が、吸収体22によって吸収される事態を好適に抑制することができる。これにより、ユーザがフロントガラス10を介して車両の上方を見る際に光制御フィルム20によって視界に影響が及ぶことを抑制することができる。
図6(a)には、隣接する吸収体22のうちの一方のうちの最外面S2側の端部P3と、他方のうちの最内面S1側の端部P4とを結ぶ線L2と吸収体22とのなす鋭角θ5を示す。詳しくは、車室外側に近い方の端部(端部P3)側の吸収体22の面と線L2とのなす鋭角を、鋭角θ5とする。ここで、吸収体22の表面が直線ではなく微妙に湾曲している場合には、端部P3において吸収体22に接する面と線L2とのなす鋭角を、鋭角θ5とすればよい。
図6(b)には、吸収体22の面と下方側境界ベクトルLV2とのなす鋭角θ6を示す。詳しくは、車室外側に近い方の端部(端部P3)側の吸収体22の面と下方側境界ベクトルLV2とのなす鋭角を、鋭角θ6とする。ここで、吸収体22の表面が直線ではなく微妙に湾曲している場合には、端部P3において吸収体22に接する面と下方側境界ベクトルLV2とのなす鋭角を、鋭角θ6とすればよい。
本実施形態では、上記鋭角θ5よりも鋭角θ6の方が小さくなるように吸収体22を配置する。これにより、車室外下方から入射した光であって光制御フィルム20がない場合にユーザの目に届く光が、吸収体22によって吸収される事態を好適に抑制することができる。これにより、ユーザがフロントガラス10を介して車両の下方を見る際に光制御フィルム20によって視界に影響が及ぶことを抑制することができる。
上記構成によれば、車室外からシート50側へと進む方向を入射方向としてフロントガラス10に入射した光は、光制御フィルム20によって妨げられることなく、車室内に入射する。これに対し、発光部42を光源とする入射光IRのうち、最内面S1によって反射されなかった透過光PR(図3(b)参照)は、光制御フィルム20の吸収体22によって吸収される。
以上説明した本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)フロントガラス10内に光制御フィルム20を備えた。これにより、フロントガラス10の最内面S1で反射されずに入射した光がフロントガラス10の最外面S2に到達する以前に、吸収体22によって吸収される。このため、最内面S1で反射されない光が最外面S2で反射されることを抑制することができる。
(2)図3に示すように、鋭角θ1よりも鋭角θ2の方が大きくなるようにした。これにより、入射光IRのうち最内面S1で反射されない透過光PRが、第2ガラス14へと到達することを好適に抑制することができる。
(3)図5に示すように、鋭角θ3が鋭角θ4よりも大きくなるようにした。これにより、光制御フィルム20によって上方の視界が妨げられる事態を抑制することができる。
(4)図6に示すように、鋭角θ5が鋭角θ6よりも大きくなるようにした。これにより、光制御フィルム20によって下方の視界が妨げられる事態を抑制することができる。
(5)第1ガラス12および第2ガラス14の屈折率n1と光制御フィルム20の屈折率n2との差の絶対値よりも、第1ガラス12および第2ガラス14の屈折率n1と空気の屈折率n0との差の絶対値の方が大きくなるようにした(図2参照)。これにより、第1ガラス12と光制御フィルム20との界面における光の反射率を、第2ガラス14と空気との界面における光の反射率よりも小さくすることができる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図7に、本実施形態にかかるフロントガラス10および光制御フィルム20の断面構成を示す。なお、図7において、図1に示した部材に対応するものについては、便宜上、同一の符号を付している。図7に示すように、フロントガラス10は、一枚の透明なガラスからなり、そのうちの車室外側の面に光制御フィルム20が密着固定されている。詳しくは、図8に示すように、光制御フィルム20は、フロントガラス10の表面形状を模擬した形状を有して且つ、フロントガラス10の寸法と同一とされている。このため、光制御フィルム20は、フロントガラス10の表面を過不足なく覆っている。
こうした構成において、図1に示した発光部42を光源とする入射光IRのうちフロントガラス10の車室内側の面で反射されなかった光(透過光PR)は、光制御フィルム20の吸収体22によって吸収される。このため、透過光PRが、光制御フィルム20のうちフロントガラス10に接触する面に対向する側の面に到達する事態を好適に抑制することができる。したがって、反射率が大きくなる界面のうち車室内側の面以外の面である光制御フィルム20と空気との界面において、上記透過光PRが反射される事態を好適に抑制することができる。
なお、本実施形態にかかる光制御フィルム20の構成も、図3ならびに図5および図6に記載した構成に準じたものとなっている。
以上説明した本実施形態によれば、第1の実施形態の上記効果に準じた効果に加えて、さらに以下の効果が得られるよう。
(6)光制御フィルム20をフロントガラス10に外部から貼り付ける構成とした。これにより、ヘッドアップディスプレイシステムの製造を簡素化することができる。
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図9に、本実施形態にかかるヘッドアップディスプレイシステムの構成を示す。なお、図9において、図1に示した部材に対応するものについては、便宜上、同一の符号を付している。
本実施形態では、フロントガラス10を1枚の透明なガラスにて構成し、フロントガラス10の最外面S2にモスアイ加工(図の下方において、MIPと表記)を施す。図9の下方に記載したモスアイ加工MIPの拡大図は、フロントガラス10の最外面S2側を図の上方としており、また、フロントガラス10の一部を仮想的に正方形状に切り取った形で記載している。この拡大図に示すモスアイ加工MIPは、フロントガラス10の最外面S2に、透過光PRの波長以下の周期で凹凸を形成したものである。これにより、フロントガラス10と空気との界面において、透過光PRにとって、屈折率が緩やかに変化するものとなる。このため、最外面S2による反射率を低減することができる。
<第4の実施形態>
以下、第4の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図10に、本実施形態にかかるヘッドアップディスプレイシステムの構成を示す。なお、図10において、図1に示した部材に対応するものについては、便宜上、同一の符号を付している。
本実施形態では、フロントガラスを1枚の透明なガラスとする。そして、発光部42を光源とする入射光IRを反射させる部材を、フロントガラス10とする代わりに、専用の透明板60とする。透明板60は、フロントガラス10やルーフ30によって区画された車室内に配置される。詳しくは、本実施形態において透明板60は、ダッシュボード40上に載置される。これにより、フロントガラス10から入射した光は、透明板60を透過してシート50側に進行する。
一方、発光部42を光源とする入射光IRのうち、透明板60のシート50側の面(最内面S1)によって反射された反射光RRは、シート50側に進行する。この反射光RRによって、ユーザは、画像を視認することができる。
上記透明板60のうち最内面S1に対向する面(最外面S2)には、モスアイ加工が施されている。このため、上記入射光IRのうち最内面S1によって反射されず透明板60内部に進入した光が、最外面S2において反射される率を低減することができる。
<技術的思想と実施形態との対応>
以下、上記「課題を解決するための手段」に記載された技術的思想と、実施形態との代表的な対応関係を記載する。
[技術的思想1:画像出力部…42,44、車両用表示部材…10,60(ただし、第2の実施形態においては、10および20)、前記反対側の面…S1、最も車室外側に位置する面…S2、反射抑制加工…「光制御フィルム20を備える点(第1、第2の実施形態)」、「モスアイ加工がなされている点(第3、第4の実施形態)」][技術的思想2:透過部材…24、透過障壁部材…22][技術的思想3:図3][技術的思想4:第1パーツ…12、第2パーツ…14、光制御部材…20、屈折率については図2参照][技術的思想5:図9および図10][技術的思想6:フロントガラス…10、第1〜第3の実施形態参照][技術的思想7:車両用表示補助部材…20]
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・「透過障壁部材について」
上記実施形態では、1個の吸収体22による光の透過率が無視しうるほど小さいものとしたが、これに限らない。たとえば、1つの吸収体22による光の透過率はさほど小さくなくても、1つの吸収体22を透過した光がさらに別の吸収体22を透過する透過率等、光が複数の吸収体22を透過する透過率が無視しうるほど小さくなるようにしてもよい。この場合、たとえば、図3に示す例において、透過光PRがフロントガラス10を透過するには、透過光PRが複数の吸収体22を透過することが条件となるように、入射光IRの角度や、光制御フィルム20の構造を設定することで、上記第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
透過障壁部材としては、光の透過率や反射率を無視しうるものに限らない。たとえば、反射率が低くない部材であっても、反射角が定まらない乱反射をさせるものであるなら、乱反射された光によって2重像が形成されることを抑制することができる。
・「光制御部材について」
上記第1の実施形態(図1)や第2の実施形態(図3)においては、可撓性を有する膜体(フィルム)としたがこれに限らない。たとえば、ガラスと同程度に可撓性の低いものを用いてもよい。
上記第1の実施形態において、透過体24を、第1ガラス12や第2ガラス14と同一の材質にて形成してもよい。
上記第2の実施形態において、光制御フィルム20を、フロントガラス10の形状と同一とする代わりに、その一部を覆う形状としてもよい。この場合であっても、吸収体22の配置を、図5および図6に示した条件に基づき行うことで、視界を妨げることを抑制することができる。なお、視界を妨げない設定をすることは、必ずしも車両の種類毎に光制御フィルム20を各別に設計することを要求するものではない。たとえば、フロントガラス10の傾斜角や発光部42を光源とする入射光IRの入射角度についての幅を設け、その幅に入る車両に適用することで視界を妨げないものとすることは可能である。これにより、光制御フィルム20に汎用性を持たせることができる。
・「透過障壁部材の配置手法について」
上記第1の実施形態では、図3に示したように、透過光PRと吸収体22とのなす鋭角θ2の方が、線L1と吸収体22とのなす鋭角θ1よりも必ず大きくなるようにしたがこれに限らない。たとえば、隣接する一対の吸収体22間に入射する透過光PRの所定割合(80%以上であることが望ましい)について、吸収体22とのなす鋭角θ2の方が、線L1と吸収体22とのなす鋭角θ1よりも大きくなるようにしてもよい。
吸収体22を、車幅方向に延びるようにして配置するものに限らない。たとえば、中央から両端に移行することで、徐々に垂直方向(車両の高さ方向)の下方に移行するものであってもよい。
上記第1の実施形態(図5)では、上方側境界ベクトルLV1と吸収体22とのなす鋭角θ4よりも、隣接する吸収体22の一方の端部P2と他方の端部P1とを結ぶ線L1と吸収体22とのなす鋭角θ3の方が、光制御フィルム20の全領域で大きくなることを想定したがこれに限らない。たとえば、フロントガラス10の端部E1よりも端部E2側の領域においては、「θ3>θ4」の条件を満たさなくても光制御フィルム20が視界を妨げるとは限らなくなる。このため、たとえば光制御フィルム20のうち、フロントガラス10の端部E1側の所定領域に限って、この条件を課してもよい。同様に、下方側境界ベクトルLV2と吸収体22とのなす鋭角θ6よりも、図6に示した線L2と吸収体22とのなす鋭角θ5を大きくする条件については、光制御フィルム20のうちフロントガラス10の端部E2側の所定領域に限って課してもよい。これにより、吸収体22の配置間隔の不均一性を向上させることができるため、光制御フィルム20の設計の自由度を向上させることができると考えられる。
透過障壁部材(吸収体22)の配置としては、上記実施形態で例示した視界を確保することができるものに限らない。たとえば、上方側境界ベクトルLV1に代えて、車両が信号機や標識よりも所定距離手前で、信号機や標識が視界に含まれることを条件に、上方側の境界ベクトルを任意に定めてもよい。
また、たとえば、下方側境界ベクトルLV2に代えて、ボンネットによって遮られない車両の前方を全て視界とすることができることを条件に、下限側の境界ベクトルを任意に定めてもよい。
なお、入射光IRを車両の横方向から照射することができる場合等にあっては、吸収体22を、垂直方向(車両の高さ方向)に延びるものとしてもよい。
・「反射抑制加工について」
たとえば、上記第1の実施形態(図2)において、第1ガラス12のうち室外側の面にモスアイ加工を施してもよい。これにより、第1ガラス12と光制御フィルム20との間の界面での反射をいっそう抑制することができる。同様に、上記第2の実施形態において、フロントガラス10のうち室外側の面にモスアイ加工を施してもよい。
・「車両用表示部材について」
上記第2の実施形態(図7)や第3の実施形態(図9)では、フロントガラス10を一枚のガラスによって形成することを例示したがこれに限らない。フロントガラス10内部において屈折率の変化が大きくならないようにする範囲で、複数のガラスを重ねたものとしたり、一対のガラスの間に何らかのフィルムを挟んだりして構成してもよい。
10…フロントガラス、12…第1ガラス、14…第2ガラス、20…光制御フィルム、22…吸収体、24…透過体、30…ルーフ、40…ダッシュボード、42…発光部、44…ミラー、50…シート、60…透明板

Claims (7)

  1. 車室外から入射した光を透過させて且つ、車室内の画像出力部から出力される画像を表現する光を反射する車両用表示部材において、
    前記画像出力部から出力され当該車両用表示部材において最も車室外側に位置する面の反対側の面で反射されずに入射した光が、前記最も車室外側に位置する面で反射されることを抑制する反射抑制加工が施されたことを特徴とする車両用表示部材。
  2. 前記反射抑制加工は、光を透過する透過部材と光の進行を妨げる透過障壁部材とを、前記車室外から前記車室内のシート側へと進む方向に入射した光を前記車室内のシート側に透過させる一方、前記反対側の面で反射されずに入射した光を遮断するように配置した加工である請求項1記載の車両用表示部材。
  3. 前記透過障壁部材のうち隣接する一方についての前記車室内側の端部および他方についての前記車室外側の端部を結ぶ線と前記透過障壁部材とのなす鋭角よりも、前記反射されず入射した光の進行方向と前記透過障壁部材とのなす鋭角の方が大きい請求項2記載の車両用表示部材。
  4. 前記反対側の面を構成する第1パーツと、前記最も車室外側に位置する面を構成する第2パーツとを備え、
    前記透過部材および前記透過障壁部材は、前記第1パーツおよび前記第2パーツ間に備えられる光制御部材を構成し、
    前記光制御部材の屈折率と前記第1パーツの屈折率との差の絶対値は、前記第2パーツの屈折率と空気の屈折率との差の絶対値よりも小さい請求項2または3記載の車両用表示部材。
  5. 前記反射抑制加工は、前記最も車室外側に位置する面に施されたモスアイ加工である請求項1記載の車両用表示部材。
  6. 当該車両用表示部材は、フロントガラスである請求項1から5のいずれか1項に記載の車両用表示部材。
  7. 請求項2〜4のいずれか1項に記載の車両用表示部材を構成する部材であり、該車両用表示部材における前記透過部材および前記透過障壁部材を備える車両用表示補助部材。
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