JP2015128931A - インホイールモータ駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車輪ハブを回転自在に支持する外輪部材の嵌合部と、モータユニット側のハウジングに設けた嵌合穴との芯出しが高精度に行え、半径方向のガタが生じ難くして、振動発生の防止と騒音発生の防止を図ったインホイールモータ駆動装置を提供する。
【解決手段】車輪ハブ32を回転自在に支持する外輪部材33の嵌合部33cと、モータユニット側のハウジング22bに設けた嵌合穴22fとの嵌合面を、回転軸線に対して傾斜するテーパ形状に形成し、嵌合面の半径方向のガタが生じ難いようにした。
【選択図】図1
【解決手段】車輪ハブ32を回転自在に支持する外輪部材33の嵌合部33cと、モータユニット側のハウジング22bに設けた嵌合穴22fとの嵌合面を、回転軸線に対して傾斜するテーパ形状に形成し、嵌合面の半径方向のガタが生じ難いようにした。
【選択図】図1
Description
この発明は、インホイールモータ駆動装置に関するものである。
従来のインホイールモータ駆動装置101は、例えば、特開2007−99106号公報(特許文献1)に記載されている。
図8に示すインホイールモータ駆動装置101は、モータ側回転部材106を回転駆動するモータ部103と、前記モータ側回転部材106の回転を減速して車輪側回転部材108に伝達する減速部105と、前記車輪側回転部材108に固定連結される車輪ハブ109を有する車輪ハブ軸受部104とを備えている。
等速ジョイントを使用しないインホイールモータ駆動装置101における駆動システムは、ハウジング107に収容されたモータ部103の回転が、直接又は減速部105を介して車輪ハブ軸受部104の車輪ハブ109に伝達される。
一般に、駆動部は部品精度又は機構のガタによって、軸心がズレ、駆動部内にアンバランスが生じ、振動の発生原因となる。
車輪ハブ109を回転支持する車輪ハブ軸受部104についても、車輪側回転部材108の回転中心と、車輪ハブ軸受部104の車輪ハブ109の回転中心との芯出しが必要である。
従来、インホイールモータ駆動装置101における車輪側回転部材108の回転中心と、車輪ハブ軸受部104の車輪ハブ109の回転中心との芯出しは、車輪ハブ109を転動体111を介して回転自在に支持する外輪部材110の端部に嵌合部(インロー部)112を設け、この嵌合部112を、前記モータ部103と減速部105を収容するハウジング107の車両アウター側の端部に設けた嵌合穴113にインロー結合することにより行っている(特許文献2)。
ところが、インロー結合による芯出し方法は、おおよその芯出し方法としては有力な方法であるが、嵌合部112と嵌合穴113との間はスキマ嵌めであるため、半径方向にガタがある。
車輪ハブ109を回転自在に支持する外輪部材110の端部に嵌合部(インロー部)112と、前記ハウジング107の車両アウター側の端部に設けた嵌合穴113との間のインロー結合部に、半径方向のガタがあるので、芯ズレを起こし易く、芯ズレが生じた場合は振動の発生原因になりやすい。
そこで、この発明は、車輪ハブを回転自在に支持する外輪部材の嵌合部と、モータユニット側のハウジングに設けた嵌合穴との芯出しが高精度に行え、半径方向のガタが生じ難くして、振動発生の防止と騒音発生の防止を図ったインホイールモータ駆動装置を提供することを課題とするものである。
前記の課題を解決するために、この発明は、モータ側回転部材を回転駆動するモータ部と、前記モータ側回転部材の回転を減速して車輪側回転部材に伝達する減速部と、前記車輪側回転部材に固定連結される車輪ハブを有する車輪ハブ軸受部とを備え、前記車輪ハブ軸受部の車輪ハブを回転自在に支持する外輪部材の車両インナー側の端部に嵌合部を設け、この嵌合部を、前記モータ部と減速部を収容するハウジングの車両アウター側の端部に直接又は間接的に設けた嵌合穴に嵌合して車輪ハブ軸受部を前記ハウジングに対して取り付けるインホイールモータ駆動装置において、前記嵌合部と嵌合穴との嵌合面を、回転軸線に対して傾斜するテーパ形状に形成したことを特徴とする。
前記テーパ形状は、車両インナー側に向かって径が小さくなる形状成することにより、車輪ハブ軸受部の脱着を容易に行うことができる。
前記嵌合穴は、前記モータ部と減速部を収容するハウジングに直接設けてもよいし、前記車輪ハブ軸受部との間に、サスペンション取付部を構成するハブ固定プレートに設けてもよい。
この発明によれば、以上のように、車輪ハブを回転自在に支持する外輪部材の嵌合部と、モータユニット側のハウジングに設けた嵌合穴との嵌合面を、回転軸線に対して傾斜するテーパ形状に形成しているので、車輪ハブを回転自在に支持する外輪部材の嵌合部と、モータユニット側のハウジングに設けた嵌合穴との芯出しが高精度に行え、半径方向のガタが生じ難い。
このため、この発明に係るインホイールモータ駆動装置は、振動発生の防止効果と騒音発生の防止効果が高い。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
この発明の一実施形態に係るインホイールモータ駆動装置を備えた電気自動車11は、図6に示すように、シャーシ12と、操舵輪としての車輪13と、駆動輪としての車輪14と、左右の車輪14それぞれに駆動力を伝達するインホイールモータ駆動装置21とを備える。車輪14は、図7に示すように、シャーシ12のホイールハウジング12aの内部に収容され、懸架装置(サスペンション)12bを介してシャーシ12の下部に固定されている。
この発明の一実施形態に係るインホイールモータ駆動装置を備えた電気自動車11は、図6に示すように、シャーシ12と、操舵輪としての車輪13と、駆動輪としての車輪14と、左右の車輪14それぞれに駆動力を伝達するインホイールモータ駆動装置21とを備える。車輪14は、図7に示すように、シャーシ12のホイールハウジング12aの内部に収容され、懸架装置(サスペンション)12bを介してシャーシ12の下部に固定されている。
懸架装置12bは、左右に伸びるサスペンションアームによって車輪14を支持すると共に、コイルスプリングとショックアブソーバとを含むストラットによって、車輪14が地面から受ける振動を吸収してシャーシ12の振動を抑制する。さらに、左右のサスペンションアームの連結部分には、旋回時等に車体の傾きを抑制するスタビライザーが設けられる。なお、懸架装置12bは、路面の凹凸に対する追従性を向上し、駆動輪の駆動力を効率良く路面に伝達するために、左右の車輪を独立して上下させることができる独立懸架式とするのが望ましい。
この電気自動車11は、ホイールハウジング12a内部に、左右の車輪14それぞれを駆動するインホイールモータ駆動装置21を設けることによって、シャーシ12上にモータ、ドライブシャフト、およびデファレンシャルギヤ機構等を設ける必要がなくなるので、客室スペースを広く確保でき、かつ、左右の駆動輪の回転をそれぞれ制御することができるという利点を備えている。
一方、この電気自動車11の走行安定性を向上するために、ばね下重量を抑える必要がある。また、さらに広い客室スペースを確保するために、インホイールモータ駆動装置21の小型・軽量化が求められる。
インホイールモータ駆動装置21は、図1に示すように、駆動力を発生させるモータ部Aと、モータ部Aの回転を減速して出力する減速部Bと、減速部Bからの出力を車輪14に伝える車輪ハブ軸受部Cとを備え、モータ部Aと減速部Bとは、モータ部ハウジング22aと減速部ハウジング22bに収納されて、図7に示すように電気自動車11のホイールハウジング12a内に取り付けられる。
モータ部Aは、モータ部ハウジング22aに固定されるステータ23と、ステータ23の内側に径方向の隙間を空けて対向する位置に配置されるロータ24と、ロータ24の内側に固定連結されてロータ24と一体回転するモータ側回転部材25とを備えるラジアルギャップモータである。ロータ24は、フランジ形状のロータ部24aと円筒形状の中空部24bとを有し、転がり軸受36a、36bによってモータ部ハウジング22aに対して回転自在に支持されている。
モータ側回転部材25は、モータ部Aの駆動力を減速部Bに伝達するためにモータ部Aから減速部Bにかけて配置され、減速部B内に偏心部25a、25bを有する。このモータ側回転部材25は、ロータ24の中空部24bにスプライ嵌合固定されて、ロータ24と一体回転する。さらに、2つの偏心部25a、25bは、偏心運動による遠心力を互いに打ち消し合うために、180°位相を変えて設けられている。
減速部Bは、偏心部25a、25bに回転自在に保持される公転部材としての曲線板26a、26bと、減速部ハウジング22b上の固定位置に保持され、曲線板26a、26bの外周部に係合する外周係合部材としての複数の外ピン27と、曲線板26a、26bの自転運動を車輪側回転部材28に伝達する運動変換機構と、偏心部25a、25bに隣接する位置にカウンタウェイト29とを備える。また、減速部Bには、減速部Bに潤滑油を供給する減速部潤滑機構が設けられている。
車輪側回転部材28は、フランジ部28aと軸部28bとを有する。フランジ部28aの端面には、車輪側回転部材28の回転軸心を中心とする円周上の等間隔に内ピン31を固定する穴が形成されている。また、軸部28bはハブ輪32に嵌合固定され、減速部Bの出力を車輪14に伝達する。車輪側回転部材28のフランジ部28aとモータ側回転部材25とは、転がり軸受36cによって回転自在に支持されている。
曲線板26a、26bは、図5に示すように、外周部にエピトロコイド等のトロコイド系曲線で構成される複数の波形を有し、一方側端面から他方側端面に貫通する複数の貫通孔30aを有する。貫通孔30aは、曲線板26a、26bの自転軸心を中心とする円周上に等間隔に複数個設けられており、後述する内ピン31を受入れる。また、貫通孔30bは、曲線板26a、26bの中心に設けられており、偏心部25a、25bに嵌合する。
曲線板26a、26bは、転がり軸受41によって偏心部25a、25bに対して回転自在に支持されている。この転がり軸受41は、偏心部25a、25bの外径面に嵌合し、その外径面に内側軌道面を有する内輪部材と、曲線板26a、26bの貫通孔30bの内径面に直接形成された外側軌道面と、内側軌道面および外側軌道面の間に配置される複数の円筒ころ44と、隣接する円筒ころ44の間隔を保持する保持器(図示省略)とを備える円筒ころ軸受である。
外ピン27は、モータ側回転部材25の回転軸心を中心とする円周軌道上に等間隔に設けられる。曲線板26a、26bが公転運動すると、曲線形状の波形と外ピン27とが係合して、曲線板26a、26bに自転運動を生じさせる。ここで、外ピン27は、針状ころ軸受によって減速部ハウジング22bに対して回転自在に支持されている。これにより、曲線板26a、26bとの間の接触抵抗を低減することができる。
カウンタウェイト29は、扇形状で、中心から外れた位置にモータ側回転部材25と嵌合する貫通孔を有し、曲線板26a、26bの回転によって生じる不釣合い慣性偶力を打ち消すために、各偏心部25a、25bに隣接する位置に偏心部と180°位相を変えて配置される。
運動変換機構は、車輪側回転部材28に保持された複数の内ピン31と、曲線板26a、26bに設けられた貫通孔30aとで構成される。内ピン31は、車輪側回転部材28の回転軸心を中心とする円周軌道上に等間隔に設けられており、その軸方向一方側端部が車輪側回転部材28に固定されている。また、曲線板26a、26bとの摩擦抵抗を低減するために、曲線板26a、26bの貫通孔30aの内壁面に当接する位置に針状ころ軸受が設けられている。
貫通孔30aは、複数の内ピン31それぞれに対応する位置に設けられ、貫通孔30aの内径寸法は、内ピン31の外径寸法(「針状ころ軸受を含む最大外径」を指す。以下同じ。)より所定分大きく設定されている。
減速部潤滑機構は、減速部Bに潤滑油を供給するものであって、潤滑油路25cと、潤滑油供給口25dと、潤滑油排出口22cと、潤滑油貯留部22dと、回転ポンプ51と、循環油路22gとを備える。
潤滑油路25cは、モータ側回転部材25の内部を軸線方向に沿って延びている。また、潤滑油供給口25dは、潤滑油路25cからモータ側回転部材25の外径面に向かって延びている。なお、この実施形態において、潤滑油供給口25dは、偏心部25a、25bに設けられている。
また、減速部Bの位置における減速部ハウジング22bの下部の少なくとも1箇所には、減速部B内部の潤滑油を排出する潤滑油排出口22cが設けられている。また、潤滑油排出口22cと潤滑油路25cとを接続する循環油路22gがモータ部ハウジング22aの内部に設けられている。そして、潤滑油排出口22cから排出された潤滑油は、循環油路22gを経由して潤滑油路25cに還流する。
車輪ハブ軸受部Cは、図2に示すように、車輪側回転部材28に固定連結された車輪14を取付けるハブ輪32と、ハブ輪32を減速部ハウジング22bに対して回転自在に保持する外輪部材33とを備える。ハブ輪32は、円筒形状の中空部32aと車輪取付けフランジ32bとを有する。車輪取付けフランジ32bには車輪取付けボルト32cによって車輪14が固定連結される。また、車輪側回転部材28の軸部28bの外径面にはスプラインおよび雄ねじが形成されている。また、ハブ輪32の中空部32aの内径面にはスプライン穴が形成されている。そして、ハブ輪32の内径面に車輪側回転部材28を嵌合し、先端をナット32dでとめることによって、両者を締結している。
ハブ輪32は、中空部32aの外面に車輪取付けフランジ32bが一体形成されている。中空部32aの車両アウター側の外径面には、アウター側軌道面が一体に形成され、中空部32aの車両インナー側の外径面に、外面にインナー側軌道面を有する内輪32eを嵌合している。
外輪部材33は、内周面に、ハブ輪32のアウター側軌道面とインナー側軌道面に対向するアウター側軌道面とインナー側軌道面を有し、外周面に、固定フランジ33aを有する。
ハブ輪32と外輪部材33の対向するアウター側軌道面とインナー側軌道面間には、複列の玉34が収容されている。
外輪部材33の車両インナー側の端部には、減速部ハウジング22bの車両アウター側の端部の嵌合穴22fに嵌め入れられる嵌合部33cが形成されている。
この嵌合部33cと嵌合穴22fとの嵌合面は、回転軸線に対して傾斜するテーパ形状に形成されている。
この嵌合部33cのテーパ形状は、車両インナー側に向かって径が小さくなるように形成され、減速部ハウジング22bの嵌合穴22fに対して外輪部材33を嵌合しやすくしている。嵌合部33cと嵌合穴22fとの嵌合面は、ともにテーパ形状にするために機械加工しても良いが、外輪部材33の嵌合部33cテーパ形状は、鍛造加工時に型から引き抜くために形成している抜き勾配を利用してもよい。また、ハウジングの嵌合穴22fテーパ形状においては、鋳型の抜き勾配をそのまま利用しても良い。この両テーパ形状の角度、つまり抜き勾配の角度を合わせることで嵌合できて芯出しが高精度に行える。また、抜き勾配を有する嵌合部は研磨を施すが、抜き勾配を利用することで、研磨時間を短縮することができるため低コスト化が可能となる。
この図1の実施形態では、外輪部材33の嵌合部33cを、減速部ハウジング22bの車両アウター側の端部に直接形成した嵌合穴22fに嵌め入れている。
外輪部材33の嵌合部33cを、減速部ハウジング22bの車両アウター側の端部に直接形成した嵌合穴22fに嵌め入れる図1の実施形態のインホイールモータ駆動装置21を、図3に示すように、シャーシ12とモータ部ハウジング22aの外面とをサスペンションアーム12cを介して独立懸架式に固定している。
また、図4に示す実施形態は、減速部ハウジング22bの車両アウター側にサスペンション取付部を構成するハブ固定プレート62を取付け、このハブ固定プレート62に、外輪部材33の嵌合部33cを嵌め入れる嵌合穴22fを設けた例である。
図3の実施形態では、外輪部材33の固定フランジ33aと減速部ハウジング22bとは、締結ボルト61によって締結されている。また、図4の実施形態では、外輪部材33の固定フランジ33aとハブ固定プレート61とが、締結ボルト61によって締結されている。
モータ部ハウジング22aと減速部ハウジング22bは、軽量化のために軽量合金であるアルミ合金によって形成することが好ましい。また、嵌合部33cと嵌合穴22fとの嵌合面は、ともにテーパ形状にするために機械加工しても良いが、外輪部材33の嵌合部33cテーパ形状は、鍛造加工時の抜き勾配を利用してもよい。また、ハウジングの嵌合穴22fテーパ形状においては、鋳型の抜き勾配をそのまま利用しても良い。
前記外輪部材33の車両インナー側の端部の嵌合部33cと、この嵌合部33cが嵌め入れられる減速部ハウジング22bの車両アウター側の端部の嵌合穴22fとの間には、図2に示すように、油漏れを防止するために、オイルシール63を設けることが望ましい。オイルシール63としては、Oリングを用いることができる。
次に、モータ部Aは、例えば、ステータ23のコイルに交流電流を供給することによって生じる電磁力を受けて、永久磁石または磁性体によって構成されるロータ24が回転する。これにより、ロータ24に接続されたモータ側回転部材25が回転すると、曲線板26a、26bはモータ側回転部材25の回転軸心を中心として公転運動する。このとき、外ピン27が、曲線板26a、26bの曲線形状の波形と係合して、曲線板26a、26bをモータ側回転部材25の回転とは逆向きに自転運動させる。
貫通孔30aに挿通する内ピン31は、曲線板26a、26bの自転運動に伴って貫通孔30aの内壁面と当接する。これにより、曲線板26a、26bの公転運動が内ピン31に伝わらず、曲線板26a、26bの自転運動のみが車輪側回転部材28を介して車輪ハブ軸受部Cに伝達される。
このとき、モータ側回転部材25の回転が減速部Bによって減速されて車輪側回転部材28に伝達されるので、低トルク、高回転型のモータ部Aを採用した場合でも、車輪14に必要なトルクを伝達することが可能となる。
なお、上記構成の減速部Bの減速比は、外ピン27の数をZA、曲線板26a、26bの波形の数をZBとすると、(ZA−ZB)/ZBで算出される。図8に示す実施形態では、ZA=12、ZB=11であるので、減速比は1/11と、非常に大きな減速比を得ることができる。
このように、多段構成とすることなく大きな減速比を得ることができる減速部Bを採用することにより、コンパクトで高減速比のインホイールモータ駆動装置21を得ることができる。また、外ピン27および内ピン31に針状ころ軸受を設けたことにより、曲線板26a、26bとの間の摩擦抵抗が低減されるので、減速部Bの伝達効率が向上する。
上記の実施形態に係るインホイールモータ駆動装置21を電気自動車11に採用することにより、ばね下重量を抑えることができる。その結果、走行安定性に優れた電気自動車11を得ることができる。
また、上記の実施形態においては、潤滑油供給口25dを偏心部25a、25bに設けた例を示したが、これに限ることなく、モータ側回転部材25の任意の位置に設けることができる。ただし、転がり軸受41に安定して潤滑油を供給する観点からは、潤滑油供給口25dは偏心部25a、25bに設けるのが望ましい。
また、上記の実施形態においては、減速部Bの曲線板26a、26bを180°位相を変えて2枚設けたが、この曲線板の枚数は任意に設定することができ、例えば、曲線板を3枚設ける場合は、120°位相を変えて設けるとよい。
また、上記の実施形態における運動変換機構は、車輪側回転部材28に固定された内ピン31と、曲線板26a、26bに設けられた貫通孔30aとで構成される例を示したが、これに限ることなく、減速部Bの回転をハブ輪32に伝達可能な任意の構成とすることができる。例えば、曲線板に固定された内ピンと、車輪側回転部材に形成された穴とで構成される運動変換機構であってもよい。
なお、上記の実施形態における作動の説明は、各部材の回転に着目して行ったが、実際にはトルクを含む動力がモータ部Aから駆動輪に伝達される。したがって、上述のように減速された動力は高トルクに変換されたものとなっている。
また、上記の実施形態では、モータ部Aに電力を供給してモータ部Aを駆動させ、モータ部Aからの動力を車輪14に伝達させたが、これとは逆に、車両が減速したり坂を下ったりするようなときは、車輪14側からの動力を減速部Bで高回転低トルクの回転に変換してモータ部Aに伝達し、モータ部Aで発電しても良い。さらに、ここで発電した電力は、バッテリーに蓄電しておき、後でモータ部Aを駆動させたり、車両に備えられた他の電動機器等の作動に用いたりしてもよい。
また、上記の各実施形態においては、モータ部Aにラジアルギャップモータを採用した例を示したが、これに限ることなく、任意の構成のモータを適用可能である。例えばハウジングに固定されるステータと、ステータの内側に軸方向の隙間を空けて対向する位置に配置されるロータとを備えるアキシアルギャップモータであってもよい。
また、上記の各実施形態においては、減速部Bにサイクロイド減速機構を採用したインホイールモータ駆動装置21の例を示したが、これに限ることなく、任意の減速機構を採用することができる。例えば、遊星歯車減速機構や平行軸歯車減速機構等が該当する。また、この発明は、減速機がいないインホイールモータユニット(モータダイレクト駆動)においても適用可能である。
さらに、図6に示した電気自動車11は、後輪の車輪14を駆動輪とした例を示したが、これに限ることなく、前輪の車輪13を駆動輪としてもよく、4輪駆動車であってもよい。なお、本明細書中で「電気自動車」とは、電力から駆動力を得る全ての自動車を含む概念であり、例えば、ハイブリッドカー等をも含むものとして理解すべきである。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
11 :電気自動車
12 :シャーシ
12a :ホイールハウジング
12b :懸架装置
12c :サスペンションアーム
13 :車輪
14 :車輪
21 :インホイールモータ駆動装置
22a :モータ部ハウジング
22b :減速部ハウジング
22c :潤滑油排出口
22d :潤滑油貯留部
22f :嵌合穴
22g :循環油路
23 :ステータ
24 :ロータ
24a :ロータ部
24b :中空部
25 :モータ側回転部材
25a :偏心部
25b :偏心部
25c :潤滑油路
25d :潤滑油供給口
26a :曲線板
26b :曲線板
27 :外ピン
28 :車輪側回転部材
28a :フランジ部
28b :軸部
29 :カウンタウェイト
30a :貫通孔
30b :貫通孔
31 :内ピン
32 :ハブ輪
32a :中空部
32b :車輪取付けフランジ
32c :車輪取付けボルト
32d :ナット
32e :内輪
33 :外輪部材
33a :固定フランジ
33c :嵌合部
34 :玉
36a :転がり軸受
36b :転がり軸受
36c :転がり軸受
41 :転がり軸受
51 :回転ポンプ
61 :締結ボルト
62 :ハブ固定プレート
63 :オイルシール
A :モータ部
B :減速部
C :車輪ハブ軸受部
12 :シャーシ
12a :ホイールハウジング
12b :懸架装置
12c :サスペンションアーム
13 :車輪
14 :車輪
21 :インホイールモータ駆動装置
22a :モータ部ハウジング
22b :減速部ハウジング
22c :潤滑油排出口
22d :潤滑油貯留部
22f :嵌合穴
22g :循環油路
23 :ステータ
24 :ロータ
24a :ロータ部
24b :中空部
25 :モータ側回転部材
25a :偏心部
25b :偏心部
25c :潤滑油路
25d :潤滑油供給口
26a :曲線板
26b :曲線板
27 :外ピン
28 :車輪側回転部材
28a :フランジ部
28b :軸部
29 :カウンタウェイト
30a :貫通孔
30b :貫通孔
31 :内ピン
32 :ハブ輪
32a :中空部
32b :車輪取付けフランジ
32c :車輪取付けボルト
32d :ナット
32e :内輪
33 :外輪部材
33a :固定フランジ
33c :嵌合部
34 :玉
36a :転がり軸受
36b :転がり軸受
36c :転がり軸受
41 :転がり軸受
51 :回転ポンプ
61 :締結ボルト
62 :ハブ固定プレート
63 :オイルシール
A :モータ部
B :減速部
C :車輪ハブ軸受部
Claims (7)
- モータ側回転部材を回転駆動するモータ部と、前記モータ側回転部材の回転を減速して車輪側回転部材に伝達する減速部と、前記車輪側回転部材に固定連結される車輪ハブを有する車輪ハブ軸受部とを備え、前記車輪ハブ軸受部の車輪ハブを回転自在に支持する外輪部材の車両インナー側の端部に嵌合部を設け、この嵌合部を、前記モータ部と減速部を収容するハウジングの車両アウター側の端部に直接又は間接的に設けた嵌合穴に嵌合して車輪ハブ軸受部を前記ハウジングに対して取り付けるインホイールモータ駆動装置において、前記嵌合部と嵌合穴との嵌合面を、回転軸線に対して傾斜するテーパ形状に形成したことを特徴とするインホイールモータ駆動装置。
- 前記テーパ形状が車両インナー側に向かって径が小さくなる形状である請求項1記載のインホイールモータ駆動装置。
- 前記嵌合穴が、前記モータ部と減速部を収容するハウジングに設けられている請求項1又は2記載のインホイールモータ駆動装置。
- 前記モータ部と減速部を収容するハウジングと、前記車輪ハブ軸受部との間にハブ固定プレートを設け、このハブ固定プレートに前記嵌合穴を設けた請求項1又は2記載のインホイールモータ駆動装置。
- 前記ハブ固定プレートがサスペンション取付部を構成する請求項4記載のインホイールモータ駆動装置。
- 前記嵌合穴と車輪ハブ軸受部の嵌合部との間にオイルシールを設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインホイールモータ駆動装置。
- 前記テーパ形状が鍛造加工時の抜き勾配であることを特徴とする請求項2〜6のいずれにかに記載のインホイールモータ駆動装置。
Priority Applications (1)
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JP2014000967A JP2015128931A (ja) | 2014-01-07 | 2014-01-07 | インホイールモータ駆動装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2014000967A JP2015128931A (ja) | 2014-01-07 | 2014-01-07 | インホイールモータ駆動装置 |
Publications (1)
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JP2015128931A true JP2015128931A (ja) | 2015-07-16 |
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ID=53760060
Family Applications (1)
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JP2014000967A Pending JP2015128931A (ja) | 2014-01-07 | 2014-01-07 | インホイールモータ駆動装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2015128931A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN108136891A (zh) * | 2016-09-30 | 2018-06-08 | Ntn株式会社 | 轮内电动机驱动装置 |
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2014
- 2014-01-07 JP JP2014000967A patent/JP2015128931A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN108136891A (zh) * | 2016-09-30 | 2018-06-08 | Ntn株式会社 | 轮内电动机驱动装置 |
US11548337B2 (en) | 2016-09-30 | 2023-01-10 | Ntn Corporation | In-wheel motor drive device |
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