JP2015127445A - CuGa合金スパッタリングターゲットの製造方法 - Google Patents

CuGa合金スパッタリングターゲットの製造方法 Download PDF

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【課題】Ga含有率を高くしても切断(スライス)加工に対する強度を確保するとともに、スプラッシュの発生を効果的に抑制することができ、Cu及びGaの成分均一性を担保し、大型品も簡便に製造可能とするCuGa合金スパッタリングターゲットの製造方法を提供する。【解決手段】Cu板110上にそれぞれGa膜120を形成する。第1の熱処理を行うことによりCu板110の一部とGa膜120とを反応させて、Cu板110及びCuGa合金膜130を有する複合材140を複数形成する。複数の複合材140を重ね合せて固定した上で第2の熱処理を行うことにより複数の複合材を一体化して複合材ブロック160を形成する。そして、複合材ブロック160からCuGa合金のスパッタリングターゲット170を切り出す。【選択図】図1

Description

本発明は、CIGS太陽電池の製造に好適なCuGa合金スパッタリングターゲットの製造方法に関する。
近時、CIGS(Cu(In,Ga)Se2)太陽電池の製造方法として、CuGaInのプレカーサを形成した後に、このプレカーサをSe化処理して、CIGS合金を作製するというセレン化処理の方法が量産技術として利用されている。CuGaInのプレカーサを形成するための方法としては、例えば、Cu、Ga及びInを同時に蒸着するという方法、CuGa合金ターゲットを用いたスパッタリングを行った後にInターゲットを用いたスパッタリングを行うという方法が挙げられる。
CIGS型太陽電池については、非特許文献1に記載されているようにGa含有率が増すと太陽電池の効率が上昇することが知られている。その一方で、CuGa合金は、Ga含有率が高くなるほど脆く割れやすくなる。スパッタリングターゲットを作製する際の切削や切断の加工時に割れたり、加工できてもひび割れが入ってしまうとターゲットとして用いることができなくなる。そこで、Gaを高濃度で含有しながら割れにくいCuGa合金スパッタリングターゲットについて種々の検討が行われている。例えば、特許文献1には、Gaを高濃度で含有するCuGa合金の溶湯を作製した後、冷却速度を厳密に制御してインゴットを得ることが記載されている。また、特許文献2には、特定の組成の2種類の粉末のホットプレスを行うことにより、高Ga含有CuGa二元系合金粒を低Ga含有CuGa二元系合金の粒界相で包囲した組織のホットプレス体を作製するという方法が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載された方法を実行するためには煩雑な温度制御が必要となるため、特許文献1に記載された方法は工業的な量産に適さない。また、特許文献2に記載された方法では、切削時の割れを抑制できる可能性はあるものの、ホットプレス体からスパッタリングターゲットを得るための切断(スライス)加工に耐え得るほどの強度を得ることは困難である。
また、Cu多孔体にGaを含浸させた後に熱処理を施してCuGa合金を形成する際に、未反応部のCuを骨材として残存させて強度、靭性を確保するとともに、CuGaの合金相の層中のGaが傾斜組成となるようにすることが特許文献3に記載されている。
しかしながら、Cu多孔体にGaを含浸させる方法においては、大面積のターゲットを作製する際に大面積のCu多孔体が必要となる。大面積のCu多孔体では孔の分布が不均一になりやすく、Gaの分布が不均一になると、ターゲットとして使用する際にターゲットの場所や消耗度合いの違いによりGa比率が変化してしまう虞がある。
特開2000−073163号公報 特開2008−138232号公報 特開2013−155424号公報
化合物薄膜太陽電池の最新技術(和田隆博、2007、シーエムシー出版)
本発明は、Ga含有率を高くしても切断(スライス)加工に対する強度を確保するとともに、スプラッシュの発生を効果的に抑制することができ、Cu及びGaの成分均一性を担保し、大型品も簡便に製造可能とするCuGa合金スパッタリングターゲットの製造方法を提供することを目的とする。
本願発明者らは、鋭意検討の結果、以下の諸態様に想到した。
(1)
複数のCu板上にそれぞれGa膜を形成する工程と、
第1の熱処理を行うことにより前記複数のCu板の各々において当該Cu板の一部と前記Ga膜とを反応させて、Cu板及びCuGa合金膜を有する複合材を複数形成する工程と、
前記複数の複合材を重ね合せて固定した上で第2の熱処理を行うことにより前記複数の複合材を一体化する工程と、
を有することを特徴とするCuGa合金スパッタリングターゲットの製造方法。
(2)
前記Ga膜の厚さを0.02mm〜1mmとすることを特徴とする(1)に記載のCuGa合金スパッタリングターゲットの製造方法。
(3)
Ga融液中に複数のCu板を浸漬する工程と、
第1の熱処理を行うことにより前記複数のCu板の各々において当該Cu板の一部と前記Ga融液とを反応させて、Cu板及びCuGa合金膜を有する複合材を複数形成する工程と、
前記複数の複合材を重ね合せて固定した上で第2の熱処理を行うことにより前記複数の複合材を一体化する工程と、
を有することを特徴とするCuGa合金スパッタリングターゲットの製造方法。
(4)
前記第1の熱処理を、真空中又は不活性ガス雰囲気中において300℃以上600℃以下の温度で行うことを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載のCuGa合金スパッタリングターゲットの製造方法。
(5)
前記第2の熱処理を、真空中又は不活性ガス雰囲気中において254℃以上600℃以下の温度で行うことを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載のCuGa合金スパッタリングターゲットの製造方法。
本発明によれば、Ga含有率を高くしてもスパッタリングされるターゲット面に平行な切断に対する強度を十分に確保することができる。また、スプラッシュの発生を効果的に抑制することができる。更に、大型ターゲットの製造の際にもCu及びGaの成分均一性を担保することができる。
本発明の第1の実施形態に係るCuGa合金スパッタリングターゲットの製造方法を工程順に示す図である。 CuGa合金膜の構成を示す図である。 CuGa合金の二元系状態図である。 第1の実施形態の変形例を示す図である。 第1の実施形態の変形例における相の変化を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係るCuGa合金スパッタリングターゲットの製造方法を工程順に示す図である。
スパッタリングターゲットのうちで、成膜に寄与する部分はエロージョン部のみである。そして、スパッタリングターゲットが複合材料から構成されている場合には、各材料のエロージョン部における面積比によって、各材料のスパッタされる量が決まり、形成されるスパッタ膜中の成分の比が決まる。
従って、Ga含有率が高いCuGa合金のスパッタ膜を形成しようとする場合には、CuGa合金スパッタリングターゲットのエロージョン部全体が、どの部分もGa含有率が高い領域となっている必要はなく、エロージョン部の全体でGa含有率が高い部分の面積比が大きくなっていればよい。つまり、CuGa合金スパッタリングターゲット内にGaが存在しない領域とCuが存在しない領域とが混在していてもよい。
そこで、本願発明者らは、この点に着目し、鋭意検討を行った。そして、この結果、CuGa合金スパッタリングターゲットの構造を、Cu単体領域を骨材として、その間にGaを有するCuGa合金を分散させたものとすれば、Cu単体領域により高い強度を確保して良好な加工性を得ながら、Ga含有率が高いCu合金Gaスパッタ膜を形成することが可能になることを見出した。
この構造を具現化するため、Cu多孔体の孔部に空隙分のGaを含浸させた後、合金化熱処理を施して、強度を確保するための残存Cuの領域と合金化反応したCuGaとの領域を有するターゲット材を作製する方法を見出した。
しかしながら、大型ターゲット、例えば一辺の長さが16インチを超えるような大型ターゲットの場合、ハンドリングに注意が必要で生産性が悪くなる上、Ga不均一による歩留落ちも加わり、コストアップにつながってしまう。
本願発明者らは、この問題を解決すべく鋭意検討を行った結果、Cu多孔体等の空隙を含有したCu構造体にGaを含浸させるのではなく、Cu板及びCuGa合金膜を備えた複合材を用いることで、ハンドリングも容易で、かつGaの分布が均一になるようなCuGa合金のスパッタリングターゲットを製造することができることを見出した。Ga濃度を制御することで、異常放電をより効果的に抑制することもできる。
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るCuGa合金スパッタリングターゲットの製造方法を工程順に示す図である。
第1の実施形態では、先ず、図1(a)に示すように、Cu板110上にGa膜120を形成する。Ga膜120の形成方法は特に限定されず、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ドクターブレード法、ディップコート法等により形成することができる。スピンコート法によりGa膜120を形成する場合、例えば、Cu板110を回転吸着子に取り付け、Ga融液を所定量回転軸の中心付近に滴下し、回転させることで余分なGa融液を飛散させる。Gaの融点が29.8℃であるため、このような液体材料のコーティング方法と同様の方法を採用することができる。また、Ga膜120の厚さは、例えばGa融液の粘度及び回転速度により調整することができる。Ga融液の粘度は、例えばGa融液自体の温度で調整することができる。
次いで、Cu板110の一部とGa膜120とを合金化させて、図1(b)に示すように、Cu板110及びCuGa合金膜130を備えた複合材140を形成する。CuGa合金膜130には、例えば、図2(a)に示すように、Cu板110側のγ相領域131及びその外側のε相領域132が含まれる。Cu板110から離間する程Cuの拡散量が減るため、ε相領域132はγ相領域131より高い濃度でGaを含有する。このことは、図3に示すCuGa合金の二元系状態図(出典:BINARY ALLOY PHASE DIAGRAMS (ASM International))からも明らかである。そして、CuGa合金のε相はγ相よりも低温で溶融しやすい。なお、この合金化では、Ga膜120の全体を合金化させることが好ましい。これは、Ga膜120の一部が残存していると、後の工程のハンドリングの際にGaが冶具等に付着してスパッタリングターゲットの組成が所期のものからずれることがあるためである。
Cu板110の一部とGa膜120との合金化の際には、例えば真空中又は不活性ガス雰囲気中での熱処理を行う。この熱処理の温度は300℃〜600℃とすることが好ましい。この温度が300℃未満では、合金化に時間が掛かり過ぎる。このため、Ga膜120が多い場合には、数時間にも及ぶ熱処理を行ってもGa膜120の一部が残存しやすい。この温度が600℃超では、合金化が急速に進行するため、γ相領域131及びε相領域132を含むようにCuGa合金膜130を形成することが困難になりやすい。
Cu板110の残りの部分はGa膜120と合金化させずにそのまま残存させる。これは、CuGa合金スパッタリングターゲットの強度を確保するためである。熱処理の温度を400℃〜500℃とすると、Cu板110の厚さ及びGa膜120の厚さの割合に拘わらず、時間を調整するだけで、Ga膜120の全体を合金化し、かつCu110の一部を残存させることが容易である。
このような複合材140を複数形成し、図1(c)に示すように、複合材140同士を重ね合わせる。このとき、CuGa合金膜130同士を接触させることが好ましい。複数の複合材140は型枠に入れて固定するか、又は重ね合わせた後に冶具を用いて固定することが好ましい。
その後、複数の複合材140を重ね合せたブロックの熱処理を行うことにより、図1(d)に示すように、CuGa合金膜130同士を一体化してCuGa合金膜150を形成し、Cu板110及びCuGa合金膜150を含む複合材ブロック160を形成する。図2(a)に示すようにCuGa合金膜130にγ相領域131及びε相領域132が含まれている場合、図2(b)に示すように、主として融点が低いε相領域132同士が一体化してε相領域133となる。この熱処理の温度は254℃以上とし、600℃以下とすることが好ましい。この温度が254℃未満では、ε相領域132が溶融しないため、複合材140同士を一体化させることができない。この温度が600℃超ではCu板110の全体も合金化して十分な強度を得ることが困難になることがある。
図2(b)に示すような構成が得られた場合、スパッタリングターゲットのスパッタ面における組織を、Cu単相、γ相(低Ga含有CuGa合金)、ε相(高Ga含有CuGa合金)、γ相(低Ga含有CuGa合金)、Cu単相とすることができる。このような組織では、Gaの含有量が傾斜的に変化することになり、スパッタされやすさが傾斜的に変化する。従って、CuとCuGa合金との界面での段差に伴う異常放電を抑制することができる。Cu単相とγ相(低Ga含有CuGa合金)との間に合金反応相が形成されてもよい。
なお、複合材140同士の一体化の際に、熱間等方圧加圧(HIP:hot isostatic press)法又はホットプレス(HP:hot press)法を採用してもよい。圧力の印加により、複合材140同士のずれを防止することができ、また、CuGa合金膜130が溶融しやすくなるため、一体化の信頼性を向上することができる。
続いて、複合材ブロック160を、複合材140の積層方向に平行な面が現れるように分割することにより、図1(e)に示すように、複数のCuGa合金のスパッタリングターゲット170を形成する。
なお、Ga膜120の厚さは特に限定されないが、組成ずれの原因となる未反応Gaが残存しないようにGa膜120の全体を合金化させることを考慮すると、Ga膜120の厚さは1mm以下とすることが好ましく、0.5mm以下とすることがより好ましい。Ga膜120が厚いほど、Ga膜の全体を合金化させるために必要な時間が長くなり、生産性が低下する。Ga含有率が30質量%〜50質量%のスパッタリングターゲットを製造する場合には、理論上、Cu板の厚さはGa膜の厚さの2/3倍〜1.5倍程度となるため、Cu板の厚さは1.5mm以下とすることが好ましく、0.75mm以下とすることがより好ましい。また、Ga膜120の厚さは0.02mm以上とすることが好ましい。Ga膜120の厚さが0.02mm未満では、後にγ相領域131及びε相領域132を含むようにCuGa合金膜130を形成することが困難となり、複合材140同士を結合させることが困難となることがある。また、Ga膜120の厚さが0.02mm未満では、CuGa合金スパッタリングターゲット中でのGa濃度の変化が急峻になりやすく、スパッタリング中に異常放電が生じやすくなる。
また、Ga膜120をスピンコート法により形成する場合、Ga膜120の厚さは0.5mm以下とすることが好ましい。Ga膜120の厚さを0.5mm超とするためには、コーティング時の回転速度を遅くすることとなるが、回転速度を遅くすると、飛散しきれない過剰なGaがCu板110の周縁部に残存しやすい。この場合、Ga膜120に、中央部で薄く周縁部で厚いという厚さのばらつきが生じる。このため、組成が均一なCuGa合金スパッタリングターゲットを得にくい。また、Ga膜120の厚さが0.5mm超では、Ga膜120の全体を合金化させるための時間が長くなる。Ga膜120の一部が合金化せずに残存すると、上述のように、後の工程のハンドリングの際にGaが治具等に付着してスパッタリングターゲットの組成が所期のものからずれることがあるためである。
CuGa合金スパッタリングターゲットの組成はCu板110の厚さ及びGa膜120の厚さの割合により調整される。例えば、厚さが0.3mmのCu板110上に厚さが0.2mmのGa膜120を形成した場合、CuGa合金スパッタリングターゲットにおけるCuとGaとの体積比は60:40となり、質量比に換算すると69.5:30.5となる。また、CuGa合金スパッタリングターゲットのGa含有量を35質量%としようとするならば、Gaの割合を45体積%とする必要がある。このため、厚さが0.2mmのCu板を用いる場合には、Ga膜120の厚さを0.164mmとすればよい。
なお、第1の実施形態では、2つの複合材140を用いてCuGa合金スパッタリングターゲットを製造しているが、3つ以上の複合材140を用いてCuGa合金スパッタリングターゲットを製造してもよい。この場合、例えば、図4(a)及び図5(a)に示すように、CuGa合金膜130とCu板110とを接触させながら、複数の複合材140を重ね合せる。そして、複数の複合材140を重ね合せたブロックの熱処理を行う。この結果、CuGa合金膜130中のGaが、特にε相領域132中のGaが、重ね合せにより接触することとなったCu板110中に拡散し、図5(b)に示すように、新たにγ相領域134が生じる。従って、図4(b)及び図5(b)に示すように、γ相領域131、ε相領域132及びγ相領域134を含むCuGa合金膜180が形成される。このようにして、Cu板110、CuGa合金膜130及びCuGa合金膜180を含む複合材ブロック190を形成する。そして、複合材ブロック190を、複合材140の積層方向に平行な面が現れるように分割することにより、CuGa合金のスパッタリングターゲットを形成する。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。図6は、本発明の第2の実施形態に係るCuGa合金スパッタリングターゲットの製造方法を工程順に示す図である。
第2の実施形態では、先ず、図6(a)に示すように、Ga融液220を準備し、その内部にCu板210を浸漬させる。次いで、図6(b)に示すように、Cu板210の一部をGa融液220と合金化させて、図6(b)に示すように、Cu板210及びCuGa合金膜230を備えた複合材240を形成する。CuGa合金膜130と同様に、CuGa合金膜230にも、例えば、Cu板210側のγ相領域及びその外側のε相領域が含まれる。この合金化の際には、例えば、Cu板210をGa融液220に浸漬させた状態で、真空又は不活性ガス雰囲気の加熱炉内で熱処理を行う。第1の実施形態と同様に、この熱処理の温度は300℃〜600℃とすることが好ましく、400℃〜500℃とすることがより好ましい。
Cu板210の残りの部分はGa融液220と合金化させずにそのまま残存させる。これは、CuGa合金スパッタリングターゲットの強度を確保するためである。CuGa合金膜130の厚さは、Ga融液220の温度及び熱処理の時間により調整することができる。
このような複合材240を複数形成し、図6(c)に示すように、複合材240同士を重ね合わせる。複数の複合材240は型枠に入れて固定するか、又は重ね合わせた後に冶具を用いて固定することが好ましい。
その後、複数の複合材240を重ね合せたブロックの熱処理を行うことにより、図6(d)に示すように、CuGa合金膜230同士を一体化してCuGa合金膜250を形成し、Cu板210及びCuGa合金膜250を含む複合材ブロック260を形成する。複合材ブロック260の形成は、第1の実施形態における複合材ブロック160の形成と同様の方法で行うことができる。
続いて、複合材ブロック260を、複合材240の積層方向に平行な面が現れるように分割することにより、図6(e)に示すように、複数のCuGa合金のスパッタリングターゲット270を形成する。
なお、複数の複合材240は、例えば、Ga融液220の内部に複数のCu板210を浸漬し、熱処理を行うことにより同時に形成することができる。また、複数の容器にGa融液220を入れ、複数の容器の各々においてCu板210を浸漬してもよい。
次に、本発明者らが行った実験について説明する。これらの実験における条件等は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した例であり、本発明は、これらの例に限定されるものではない。
Figure 2015127445
(実施例1−1)
純度が99.99%のGaペレット300gをガラス容器に入れ、ホットプレート上で80℃で10分間加熱してGa融液を作製し、その後、ホットプレートの温度を60℃まで低下させた。次いで、スピンコータの吸着子に420mm(幅)×15mm(奥行)×0.3mm(厚さ)のCu板を真空吸着させ、Cu板上にGa融液を50g滴下し、200rpmで30秒回転させて、厚さが0.25mmのGa膜を形成した。CuとGaとの体積比は厚さの比である0.3:0.25と一致するので、Cuの割合は54.5体積%、Gaの割合は45.5体積%であった。これを質量比に換算すると、Cuの割合は64.5質量%、Gaの割合は35.5質量%であった。
続いて、真空中450℃で1時間の熱処理を行った。この結果、CuGa合金膜が形成され、単体のGaは残存していなかった。また、Cu板の厚さは0.15mmになっていた。つまり、Cu板及びCuGa合金膜を備えた複合材が得られた。更に、この複合材の厚さ方向における各部位の相を観察したところ、残存したCu板側から順に、Cu単相、γ相(低Ga含有CuGa合金)、ε相(高Ga含有CuGa合金)となっていた。なお、Cuは合金化により色が変化するため光学顕微鏡で観察可能であるが、Ga及びCuGa合金は光学顕微鏡では判別できない。このため、単体Ga、CuGa合金の相の判別では、電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いたエネルギー分散型X線分光法(EDX)による元素分析を行った。
次いで、Cu板及びCuGa合金膜の複合材を220枚重ね合わせ、この積層体をクランプで挟持して位置ずれが生じないようにした。この積層体の総厚さは121.5mmであった。そして、クランプで挟んだまま電気炉に入れ、真空中350℃で3時間の熱処理を行った。熱処理後に観察したところ、接触していたCu板とCuGa合金膜とが結合し、220枚の複合材が一体化して全体は灰色の金属状のブロックになっていた。また、その厚さは108.6mmになっていた。
このようにして、420mm(幅)×108.6mm(高さ)×15mm(奥行)の複合材ブロックが得られた。この複合材ブロックには多少の凹凸が存在していたが、研削により凹凸を消滅させることができた。次いで、複合材ブロックを加工し、そのサイズを420mm(幅)×100mm(高さ)×15mm(奥行)とした。この複合材ブロックの高さ方向における各部位の相をFE−SEMで観察したところ、残存したCu板側から順に、Cu単相、γ相(低Ga含有CuGa合金)、ε相(高Ga含有CuGa合金)、γ相(低Ga含有CuGa合金)、Cu単相の組み合わせが繰り返された周期的な配列が存在した。また、複合材ブロック内に空隙は存在しなかった。
その後、スライサーを用いて、複合材ブロックから420mm×100mm×5mmのスパッタリングターゲットを2枚切り出した。この切り出しでは、複合材の積層方向と平行な面が現れるようにした。すなわち、スパッタ面とする切り出し面において、上記の周期的な配列が現れるように切り出しを行った。このようにして得られたスパッタリングターゲットでは、スパッタ面上に周期的な配列が存在し、深さ方向では組成が均一であった。このような切り出しを5個の複合材ブロックについて行うことによって10枚のスパッタリングターゲットを作製したところ、10枚のスパッタリングターゲットのいずれにおいてもひび割れは生じておらず、所望の形状となっていた。つまり、90%以上の歩留まりが望まれるところ、100%の歩留まりが得られた。
続いて、スパッタリングターゲットの中央部から直径が100mmの円盤状ターゲット(厚さ:5mm)を切り出した。そして、スパッタ装置に設けられている銅製のバッキングプレートに円盤状ターゲットを貼り付け、高周波スパッタリング装置(キヤノンアネルバ製SPF−430HS)にて、ダミースパッタによりスパッタリングターゲットの表面の吸着水及び酸化物層を飛散させ、その後に、500Wで10分間の成膜を行った。異常放電の回数は10回以下であることが望まれるところ、10分間の成膜中の異常放電は1回のみであった。
(実施例1−2)
実施例1−1と同様にGa融液を作製し、予め恒温器で40℃に加熱しておいた塗料カップに入れて平噴きスプレーガンに装填し、420mm(幅)×15mm(奥行)×0.3mm(厚さ)のCu板に均等になるように吹き付けることにより、厚さが0.3mmのGa膜を形成した。CuとGaとの体積比は厚みの比である0.3:0.3と一致するので、Cuの割合は50体積%、Gaの割合は50体積%であった。これを質量比に換算すると、Cuの割合は60.3質量%、Gaの割合は39.7質量%であった。
続いて、真空中450℃で1時間の熱処理を行った。この結果、CuGa合金膜が形成され、単体のGaは残存していなかった。また、Cu板の厚さは0.12mmになっていた。つまり、Cu板及びCuGa合金膜を備えた複合材が得られた。更に、この複合材の厚さ方向における各部位の相を観察したところ、残存したCu板側から順に、Cu単相、γ相(低Ga含有CuGa合金)、ε相(高Ga含有CuGa合金)となっていた。
次いで、Cu板及びCuGa合金膜の複合材を200枚重ね合わせ、この積層体をクランプで挟持して位置ずれが生じないようにした。この積層体の総厚さは133.3mmであった。そして、クランプで挟んだまま電気炉に入れ、真空中350℃で3時間の熱処理を行った。熱処理後に観察したところ、接触していたCu板とCuGa合金膜とが結合し、200枚の複合材が一体化して全体は灰色の金属状のブロックになっていた。また、その厚さは109.8mmになっていた。
このようにして得られた複合材ブロックの高さ方向における各部位の相をFE−SEMで観察したところ、残存したCu板側から順に、Cu単相、γ相(低Ga含有CuGa合金)、ε相(高Ga含有CuGa合金)、γ相(低Ga含有CuGa合金)、Cu単相の組み合わせが繰り返された周期的な配列が存在した。また、複合材ブロック内に空隙は存在しなかった。
次いで、複合材ブロックを加工し、そのサイズを420mm(幅)×100mm(高さ)×15mm(奥行)とした。その後、スライサーを用いて、複合材ブロックから420mm×100mm×5mmのスパッタリングターゲットを2枚切り出した。この切り出しでは、複合材の積層方向と平行な面が現れるようにした。すなわち、スパッタ面とする切り出し面において、上記の周期的な配列が現れるように切り出しを行った。このようにして得られたスパッタリングターゲットでは、スパッタ面上に周期的な配列が存在し、深さ方向では組成が均一であった。このような切り出しを5個の複合材ブロックについて行うことによって10枚のスパッタリングターゲットを作製したところ、10枚のスパッタリングターゲットのいずれにおいてもひび割れは生じておらず、所望の形状となっていた。つまり、100%の歩留まりが得られた。
続いて、スパッタリングターゲットの中央部から直径が100mmの円盤状ターゲット(厚さ:5mm)を切り出した。そして、実施例1−1と同様の成膜を行ったところ、10分間の成膜中の異常放電は1回のみであった。
(実施例1−3)
純度が99.99%のGaペレット800gをガラス容器に入れ、ホットプレート上で80℃で10分間加熱し、Ga融液を作製した。その後、このガラス容器内に420mm(幅)×15mm(奥行)×0.3mm(厚さ)のCu板を浸漬し、そのままの状態で、電気炉に入れ、真空中450℃で1時間の熱処理を行った。その後、Cu板をガラス容器から取り出して観察したところ、Cu板の両面に厚さが0.6mmのCuGa合金膜が形成されていた。また、Cu板の厚さは0.1mmになっていた。更に、この複合材の厚さ方向における各部位の相を観察したところ、残存したCu板の両側にこのCu板から順に、γ相(低Ga含有CuGa合金)、ε相(高Ga含有CuGa合金)となっていた。
次いで、Cu板及びCuGa合金膜の複合材を200枚重ね合わせ、この積層体をクランプで挟持して位置ずれが生じないようにした。この積層体の総厚さは120mmであった。そして、クランプで挟んだまま電気炉に入れ、真空中350℃で3時間の熱処理を行った。熱処理後に観察したところ、接触していたCu板とCuGa合金膜とが結合し、200枚の複合材が一体化して全体は灰色の金属状のブロックになっていた。また、その厚さは107mmになっていた。
このようにして、複合材ブロックが得られた。この複合材ブロックには多少の凹凸が存在していたが、研削により凹凸を消滅させることができた。この複合材ブロックの高さ方向における各部位の相をFE−SEMで観察したところ、残存したCu板側から順に、Cu単相、γ相(低Ga含有CuGa合金)、ε相(高Ga含有CuGa合金)、γ相(低Ga含有CuGa合金)、Cu単相の組み合わせが繰り返された周期的な配列が存在した。また、複合材ブロック内に空隙は存在しなかった。
次いで、複合材ブロックを加工し、そのサイズを420mm(幅)×100mm(高さ)×15mm(奥行)とした。その後、スライサーを用いて、複合材ブロックから420mm×100mm×5mmのスパッタリングターゲットを2枚切り出した。この切り出しでは、複合材の積層方向と平行な面が現れるようにした。すなわち、スパッタ面とする切り出し面において、上記の周期的な配列が現れるように切り出しを行った。このようにして得られたスパッタリングターゲットでは、スパッタ面上に周期的な配列が存在し、深さ方向では組成が均一であった。このような切り出しを5個の複合材ブロックについて行うことによって10枚のスパッタリングターゲットを作製したところ、10枚のスパッタリングターゲットのいずれにおいてもひび割れは生じておらず、所望の形状となっていた。つまり、100%の歩留まりが得られた。
続いて、スパッタリングターゲットの中央部から直径が100mmの円盤状ターゲット(厚さ:5mm)を切り出した。そして、実施例1−1と同様の成膜を行ったところ、10分間の成膜中の異常放電は1回のみであった。
(比較例1)
実施例1−1と同様にスピンコート法により420mm(幅)×15mm(奥行)×0.3mm(厚さ)のCu板上に厚さが0.25mmのGa膜を形成した。この直後の熱処理は行わなかった。その後、熱処理を行うことなく、Cu板及びGa膜の複合材を200枚重ね合わせ、この積層体をクランプで挟持して位置ずれが生じないようにした。そして、クランプで挟んだまま電気炉に入れ、真空中350℃で3時間の熱処理を行った。この結果、CuGa合金膜が形成され、単体のGaは残存していなかった。しかし、200枚の複合材が一体化して全体が灰色の金属状のブロックになっていたものの、一部では、接触していたCu板とCuGa合金膜との結合が生じておらず、複合材ブロック中に空隙が存在した。
このようにして得られた複合材ブロックの高さ方向における各部位の相を観察したところ、残存したCu板側から順に、Cu単相、γ相(低Ga含有CuGa合金)、Cu単相の組み合わせが繰り返された周期的な配列が存在した。また、複合材ブロック内に空隙が存在した。
次いで、複合材ブロックを加工し、そのサイズを420mm(幅)×100mm(高さ)×15mm(奥行)とした。その後、スライサーを用いて、複合材ブロックから420mm×100mm×5mmのスパッタリングターゲットを2枚切り出した。この切り出しでは、複合材の積層方向と平行な面が現れるようにした。すなわち、スパッタ面とする切り出し面において、上記の周期的な配列が現れるように切り出しを行った。このような切り出しを5個の複合材ブロックについて行うことによって10枚のスパッタリングターゲットを作製したところ、5枚のスパッタリングターゲットが割れた。また、残りの5枚のスパッタリングターゲットにひび割れが生じていた。つまり、80%の歩留まりが望まれるところ、歩留まりは50%であった。
続いて、スパッタリングターゲットの中央部から直径が100mmの円盤状ターゲット(厚さ:5mm)を切り出した。そして、実施例1−1と同様の成膜を行ったところ、異常放電の回数は10回以下であることが望まれるところ、10分間の成膜中に異常放電が47回生じた。
(実施例2−1〜2−4)
実施例1−1と同様にスピンコート法により420mm(幅)×15mm(奥行)×0.3mm(厚さ)のCu板上にGa膜を形成した。このとき、スピンコータの回転速度を変化させ、表1に示すように、Ga膜の厚さを0.015mm〜0.55mmの範囲内で変化させた。その後、実施例1−1と同様に、真空中450℃で1時間の熱処理を行うことにより、Cu板及びCuGa合金膜を備えた複合材を形成した。続いて、この複合材を140枚〜350枚重ね合せ、実施例1−1と同様に固定した上で真空中350℃で3時間の熱処理を行うことにより、複合材ブロックを形成した。
実施例2−2及び2−3において、複合材ブロックの高さ方向における各部位の相をFE−SEMで観察したところ、残存したCu板側から順に、Cu単相、γ相(低Ga含有CuGa合金)、ε相(高Ga含有CuGa合金)、γ相(低Ga含有CuGa合金)、Cu単相の組み合わせが繰り返された周期的な配列が存在した。また、複合材ブロック内に空隙は存在しなかった。次いで、実施例1−1と同様に、5個の複合材ブロックから420mm×100mm×5mmのスパッタリングターゲットを総計で10枚作製したところ、歩留まりは90%又は100%であった。このようにして得られたスパッタリングターゲットでは、スパッタ面上に周期的な配列が存在し、深さ方向では組成が均一であった。更に、実施例1−1と同様に、スパッタリングターゲットの中央部から直径が100mmの円盤状ターゲット(厚さ:5mm)を切り出し、成膜を行ったところ、10分間の成膜中の異常放電は0回又は1回であった。
実施例2−1では、複合材ブロック中に空隙が存在した。これは、Ga膜が薄く、十分な厚さのCuGa合金膜が形成されなかったためである。また、実施例1−1と同様に、5個の複合材ブロックからスパッタリングターゲットを総計で10枚作製したところ、空隙の存在に起因して、8枚でひび割れが生じた。ただし、ひび割れが生じたものの、加工することはできた。更に、実施例1−1と同様に成膜を行ったところ、10分間の成膜中に30回を超える異常放電が生じた。
実施例2−4では、スピンコート法により形成されたGa膜の厚さが中心部において0.55mmであったものの、周縁部では0.8mmにも及んだ。このため、複合材においても、周縁部と中央部との間に0.1mm程度の厚さの差が生じていた。従って、複合材ブロック中に空隙が存在し、また、厚さのばらつきも存在していた。つまり、スパッタ面におけるCuGa合金の組成が不均一であった。そのため、加工性や異常放電の評価は行わなかった。
(実施例3−1〜3−6)
実施例1−1と同様にスピンコート法により420mm(幅)×15mm(奥行)×0.3mm(厚さ)のCu板上に厚さが0.25mmのGa膜を形成した。その後、真空中で表1に示す温度で1時間の熱処理を行うことにより、Cu板及びCuGa合金膜を備えた複合材を形成した。続いて、この複合材を220枚重ね合せ、実施例1−1と同様に固定した上で真空中450℃で3時間の熱処理を行うことにより、複合材ブロックを形成した。
実施例3−2〜3−5において、複合材ブロックの高さ方向における各部位の相をFE−SEMで観察したところ、残存したCu板側から順に、Cu単相、γ相(低Ga含有CuGa合金)、ε相(高Ga含有CuGa合金)、γ相(低Ga含有CuGa合金)、Cu単相の組み合わせが繰り返された周期的な配列が存在した。また、複合材ブロック内に空隙は存在しなかった。次いで、実施例1−1と同様に、5個の複合材ブロックから420mm×100mm×5mmのスパッタリングターゲットを総計で10枚作製したところ、歩留まりは100%又は90%であった。このようにして得られたスパッタリングターゲットでは、スパッタ面上に周期的な配列が存在し、深さ方向では組成が均一であった。更に、実施例1−1と同様に、スパッタリングターゲットの中央部から直径が100mmの円盤状ターゲット(厚さ:5mm)を切り出し、成膜を行ったところ、10分間の成膜中の異常放電は1回以下であった。
実施例3−1においては、複合材の形成後にもGa膜の一部が残存していた。これは、熱処理の温度が低かったためである。そして、Ga膜の一部が残存していたため、その後の工程でのハンドリングの際に、冶具にGaが付着して複合材から離脱してしまい、所期の組成が得られなかった。
実施例3−6においては、複合材ブロック中に空隙が存在した。これは、複合材を形成する際の熱処理の温度が高く、CuGa合金膜の相がCu9Ga4単相となり、複合材同士が結合されにくかったためである。複合材ブロックにおいてもCu9Ga4単相がそのまま残存していた。また、実施例1−1と同様に、5個の複合材ブロックからスパッタリングターゲットを総計で10枚作製したところ、空隙の存在に起因して、3枚でひび割れが生じた。更に、実施例1−1と同様に成膜を行ったところ、10分間の成膜中に10回程度の異常放電が生じた。Cu板とCu9Ga4単相のCuGa合金膜との間に段差が存在したためである。
(実施例4、比較例4)
実施例1−1と同様にスピンコート法により420mm(幅)×15mm(奥行)×0.3mm(厚さ)のCu板上に厚さが0.25mmのGa膜を形成した。その後、実施例1−1と同様に、真空中450℃で1時間の熱処理を行うことにより、Cu板及びCuGa合金膜を備えた複合材を形成した。
次いで、実施例4ではCu板及びCuGa合金膜の複合材を220枚、内寸が420mm×15mmの型枠に重ねて入れて、その上に重石を乗せた。また、比較例4では、クランプ又は型枠を用いた固定を行うことなく、Cu板及びCuGa合金膜の複合材を220枚重ね合わせた。そして、電気炉に入れ、真空中350℃で3時間の熱処理を行うことにより、複合材ブロックを形成した。
このようにして得られた複合材ブロックの高さ方向における各部位の相をFE−SEMで観察したところ、実施例4では、実施例1−1と同様の周期的な配列が存在し、空隙は存在しなかった。一方、比較例4では、実施例1−1と同様の周期的な配列は部分的に存在し、全体的に均一にはなっていなかった。これは、熱処理中に複合材間に隙間が生じたためである。
次いで、実施例1−1と同様に、5個の複合材ブロックから420mm×100mm×5mmのスパッタリングターゲットを総計で10枚作製したところ、歩留まりは、実施例4では90%、比較例4では40%であった。実施例4で得られたスパッタリングターゲットでは、スパッタ面上に周期的な配列が存在し、深さ方向では組成が均一であった。更に、実施例1−1と同様に、スパッタリングターゲットの中央部から直径が100mmの円盤状ターゲット(厚さ:5mm)を切り出し、成膜を行ったところ、10分間の成膜中の異常放電は、実施例4では1回、比較例4では30回以上であった。
(実施例5−1〜5−2、比較例5−1〜5−2)
実施例1−1と同様にスピンコート法により420mm(幅)×15mm(奥行)×0.3mm(厚さ)のCu板上に厚さが0.25mmのGa膜を形成した。その後、真空中450℃で1時間の熱処理を行うことにより、Cu板及びCuGa合金膜を備えた複合材を形成した。続いて、この複合材を220枚重ね合せ、実施例1−1と同様に固定した上で真空中で表1に示す温度で3時間の熱処理を行った。
実施例5−1及び5−2においては、複合材ブロックが得られ、この複合材ブロックの高さ方向における各部位の相をFE−SEMで観察したところ、残存したCu板側から順に、Cu単相、γ相(低Ga含有CuGa合金)、ε相(高Ga含有CuGa合金)、γ相(低Ga含有CuGa合金)、Cu単相の組み合わせが繰り返された周期的な配列が存在した。また、複合材ブロック内に空隙は存在しなかった。次いで、実施例1−1と同様に、5個の複合材ブロックから420mm×100mm×5mmのスパッタリングターゲットを総計で10枚作製したところ、歩留まりは100%又は90%であった。このようにして得られたスパッタリングターゲットでは、スパッタ面上に周期的な配列が存在し、深さ方向では組成が均一であった。更に、実施例1−1と同様に、スパッタリングターゲットの中央部から直径が100mmの円盤状ターゲット(厚さ:5mm)を切り出し、成膜を行ったところ、10分間の成膜中の異常放電は1回以下であった。
比較例5−1においては、複合材ブロックが得られなかった。すなわち、接触していたCu板とCuGa合金膜とが結合しなかった。これは熱処理の温度が低かったためである。
比較例5−2においては、Cu板及びCuGa合金膜を備えた複合材ブロックは得られなかった。すなわち、Cu板が残存せず、結果物のほとんどの部位がCu9Ga4単相となっていた。これは熱処理の温度が高かったためである。また、実施例1−1と同様に、5個の複合材ブロックからスパッタリングターゲットを総計で10枚作製したところ、8枚でひび割れが生じた。
(実施例5−3)
実施例1−1と同様にスピンコート法により420mm(幅)×15mm(奥行)×0.3mm(厚さ)のCu板上に厚さが0.25mmのGa膜を形成した。その後、真空中450℃で1時間の熱処理を行うことにより、Cu板及びCuGa合金膜を備えた複合材を形成した。続いて、この複合材を220枚重ね合せ、実施例1−1と同様に固定した。この積層体の総厚さは121.5mmであった。そして、クランプで挟んだままHIP装置に入れ、550℃で118MPaのArの圧力を印加しながら3時間のHIP処理を行うことにより、複合材ブロックを形成した。HIP処理後に観察したところ、接触していたCu板とCuGa合金膜とが結合し、220枚の複合材が一体化して全体は灰色の金属状のブロックになっていた。また、その厚さは102.1mmになっていた。
このようにして、複合材ブロックが得られた。この複合材ブロックには多少の凹凸が存在していたが、研削により凹凸を消滅させることができた。この複合材ブロックの高さ方向における各部位の相をFE−SEMで観察したところ、残存したCu板側から順に、Cu単相、γ相(低Ga含有CuGa合金)、ε相(高Ga含有CuGa合金)、γ相(低Ga含有CuGa合金)、Cu単相の組み合わせが繰り返された周期的な配列が存在した。また、複合材ブロック内に空隙は存在しなかった。
次いで、複合材ブロックを加工し、そのサイズを420mm(幅)×100mm(高さ)×15mm(奥行)とした。その後、スライサーを用いて、複合材ブロックから420mm×100mm×5mmのスパッタリングターゲットを2枚切り出した。この切り出しでは、複合材の積層方向と平行な面が現れるようにした。すなわち、切り出し面(スパッタ面)において、上記の周期的な配列が現れるように切り出しを行った。このようにして得られたスパッタリングターゲットでは、スパッタ面上に周期的な配列が存在し、深さ方向では組成が均一であった。このような切り出しを5個の複合材ブロックについて行うことによって10枚のスパッタリングターゲットを作製したところ、10枚のスパッタリングターゲットのいずれにおいてもひび割れは生じておらず、所望の形状となっていた。つまり、100%の歩留まりが得られた。
続いて、スパッタリングターゲットの中央部から直径が100mmの円盤状ターゲット(厚さ:5mm)を切り出した。そして、実施例1−1と同様の成膜を行ったところ、10分間の成膜中に異常放電は発生しなかった。
110:Cu板
120:Ga膜
130、150、180:CuGa合金膜
131、134:γ相領域
132、133:ε相領域
140:複合材
160、190:複合材ブロック
170:スパッタリングターゲット
210:Cu板
220:Ga融液
230、250:CuGa合金膜
240:複合材
260:複合材ブロック
270:スパッタリングターゲット

Claims (5)

  1. 複数のCu板上にそれぞれGa膜を形成する工程と、
    第1の熱処理を行うことにより前記複数のCu板の各々において当該Cu板の一部と前記Ga膜とを反応させて、Cu板及びCuGa合金膜を有する複合材を複数形成する工程と、
    前記複数の複合材を重ね合せて固定した上で第2の熱処理を行うことにより前記複数の複合材を一体化する工程と、
    を有することを特徴とするCuGa合金スパッタリングターゲットの製造方法。
  2. 前記Ga膜の厚さを0.02mm〜1mmとすることを特徴とする請求項1に記載のCuGa合金スパッタリングターゲットの製造方法。
  3. Ga融液中に複数のCu板を浸漬する工程と、
    第1の熱処理を行うことにより前記複数のCu板の各々において当該Cu板の一部と前記Ga融液とを反応させて、Cu板及びCuGa合金膜を有する複合材を複数形成する工程と、
    前記複数の複合材を重ね合せて固定した上で第2の熱処理を行うことにより前記複数の複合材を一体化する工程と、
    を有することを特徴とするCuGa合金スパッタリングターゲットの製造方法。
  4. 前記第1の熱処理を、真空中又は不活性ガス雰囲気中において300℃以上600℃以下の温度で行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のCuGa合金スパッタリングターゲットの製造方法。
  5. 前記第2の熱処理を、真空中又は不活性ガス雰囲気中において254℃以上600℃以下の温度で行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のCuGa合金スパッタリングターゲットの製造方法。
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