本発明に係るソーラーパネル配置構造の一実施例としての実施例1のソーラーパネル配置構造10の概略的な構成を図1から図6を用いて説明する。その図1は、ソーラーパネル配置構造10により各ソーラーパネル11が設置された様子を示す説明図である。図2は、図1に一点鎖線で示す円内を拡大して示す説明図である。図3は、対向方向となる東西方向Dewで対を為して配置された第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bと(山型パネル対Pp)を、整列方向となる南北方向Dnsの南側から見た様子で示す説明図である。図4は、ソーラーパネル配置構造10で設置された各ソーラーパネル11の様子を設置面Pに沿う方向で示す説明図であり、(a)は整列方向となる南北方向Dnsの南側から見た様子を示し、(b)は対向方向となる東西方向Dewの東側から見た様子を示し、(c)は対向方向となる東西方向Dewの西側から見た様子を示す。図5は、ソーラーパネル配置構造10で設置された各ソーラーパネル11が太陽光Sl3を受ける様子を説明するための説明図であり、対向方向で対向する両ソーラーパネル11の外側周辺部(11Ao、11Bo)の周辺(通路用間隔Psの周辺)を部分的に拡大して示している。図6は、ソーラーパネル11の表面11aに陰が生じる(遮蔽領域Asが形成される)様子を説明するための説明図である。
以下の説明では、設置面P上における東西南北の方向(方位)を用いており、各図で東を符号Eで、西を符号Wで、南を符号Sで、北を符号Nで、示している。そして、以下の説明では、その設置面P上における東西南北の方向(方位)における東西方向を符号Dewで示し、設置面P上における東西南北の方向(方位)における南北方向を符号Dnsで示す。実施例1のソーラーパネル配置構造10では、設置面Pを天頂方向(鉛直方向)に直交する平坦な面としている。なお、図4および図5では、ソーラーパネル配置構造10における各ソーラーパネル11が設置された方向および角度関係の理解を容易なものとするために、架台14を省略して示している。また、図5では、各第1ソーラーパネル11Aと各第2ソーラーパネル11Bとの間での反射成分を利用する作用の理解を容易なものとするために、各ソーラーパネル11の傾斜角度θを実施例1での設定(15度)よりも大きなものとして示している。ついで、図6では、陰の問題を強調するために、傾斜角度θをさらに大きなものとして示している。
実施例1のソーラーパネル配置構造10では、ソーラー発電システムを構成すべく設置する各ソーラーパネル11の配置の態様を規定する。このソーラー発電システムは、施主(所有者)自身が太陽エネルギーから創り出した電力を利用したり電力会社等に売ったりすることを可能とする。また、ソーラー発電システムは、太陽エネルギーから電力を創り出す場所および施設を提供するために設けられているものであってもよい。
このソーラー発電システムは、複数のソーラーパネル11がソーラーパネル配置構造10で設置されて設けられている。そのソーラーパネル配置構造10は、実施例1では、各ソーラーパネル11を互いに等しい構成としている。その各ソーラーパネル11は、図2に示すように、発電パネル部12が支持枠部13に支持されて構成されている。その発電パネル部12は、補強基板上に光エネルギーを直接電力に変換する電力機器である太陽電池(セル)が複数枚並べられつつそれらが接続され、その上に保護ガラスが設けられて構成されている。発電パネル部12は、この保護ガラスが設けられて太陽光を受ける(受光する)太陽電池(セル)が並べられた面でソーラーパネル11における表面11aを規定し、その裏側でソーラーパネル11における裏面11b(図3等参照)を規定する。この発電パネル部12は、実施例1では、矩形の板状とされている。各発電パネル部12(ソーラーパネル11)は、図示は略すが、ソーラー発電用のパワーコンディショナ(パワコン)を介して出力線に接続されている。その出力線は、例えば、ソーラー発電システムを電力供給源として利用する建物への配電路に接続されたり、既存の配電路を介して電力会社等に接続されたりする。このため、各ソーラーパネル11(発電パネル部12)すなわちソーラー発電システムは、発電した電力を建物や電力会社等に出力することができる。各ソーラーパネル11では、この発電パネル部12が支持枠部13に支持されている。
その支持枠部13は、矩形の板状とされた発電パネル部12の周辺を取り囲むように設けられており(図1参照)、発電パネル部12の周辺を全周に渡って支持している。この支持枠部13は、図示は略すがシール材を介在させつつ発電パネル部12の周辺部を挟んで支持している。このため、支持枠部13は、実施例1では、各ソーラーパネル11における周縁部を形成している。このように構成された各ソーラーパネル11は、支持枠部13が対応する架台14に裏面11b側から支持されて設置面Pに設置される。
その各架台14は、設置面Pに設けられる支柱部14aと、その支柱部14aに支持される取付枠部14bと、を有する。支柱部14aは、設置面Pに固定されて設けられており、実施例1では、設置面Pから鉛直方向に突出されている。取付枠部14bは、各支柱部14aの上端位置に設けられており、各ソーラーパネル11の支持枠部13が取り付けられる箇所を構成する。この取付枠部14bは、取り付けられた各ソーラーパネル11を後述する傾斜角度θ(第1傾斜角度θ1および第2傾斜角度θ2(図3等参照))とすべく、設置面Pに対する傾斜角度が設定されている。取付枠部14bは、実施例1では、自らが存在する面に沿って各ソーラーパネル11(その支持枠部13)が取り付けられて支持するものとされている。このため、取付枠部14bは、設置面Pに対する傾斜角度が、取り付けられるソーラーパネル11に設定された後述する傾斜角度θとされている。この取付枠部14bでは、各支柱部14aの長さ寸法の差異により、設置面Pに対する傾斜角度が設定されている。このような構成であることから、架台14に支持されたソーラーパネル11では、下方(裏面11b側(各支柱部14aの間))に風を通すことが可能とされている。なお、各架台14は、対応するソーラーパネル11を後述する傾斜角度θ(第1傾斜角度θ1および第2傾斜角度θ2)としつつ当該各ソーラーパネル11を設置面P上の任意の位置で支持するものであればよく、実施例1の構成に限定されるものではない。
実施例1のソーラーパネル配置構造10では、各架台14に支持された各ソーラーパネル11を、次のような位置関係として設置する。先ず、各ソーラーパネル11では、図1から図5に示すように、東西方向Dewで対を為すものとされている。以下では、一対のソーラーパネル11において、東西方向Dewで見て東側に存在するものを第1ソーラーパネル11Aとし、東西方向Dewで見て西側に存在するものを第2ソーラーパネル11Bとする。なお、実施例1では、各ソーラーパネル11が互いに等しい構成とされていることから、この第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとは、設置された態様(位置および傾斜される方向)が異なることを除くと、互いに等しく設置される。
第1ソーラーパネル11Aは、表面11a(以下では区別のために表面11Aaとする)が鉛直方向上側であって東側を向くように設置面P上に設置される。詳細には、この第1ソーラーパネル11Aは、表面11Aaを設置面Pに平行としつつ周縁部の各辺を東西方向Dewおよび南北方向Dnsに沿わせて配置した姿勢から、南北方向Dnsを回転中心として表面11Aaが東側を向く方向へと第1傾斜角度θ1(図3等参照)だけ回転した状態とされて設置面P上に設置される。このため、第1ソーラーパネル11Aは、当該第1ソーラーパネル11Aが伸びる平面(実施例1では表面11Aa)と、設置面Pと、が第1傾斜角度θ1を為す状態とされて設置面P上に設置される。この第1ソーラーパネル11Aでは、東西方向Dewで見て東側の端部に存在する外側周辺部11Aoに対して、東西方向Dewで見て西側の端部に存在する内側周辺部11Aiが、鉛直方向上側に位置するものとされている(図3等参照)。このため、第1ソーラーパネル11Aでは、外側周辺部11Aoが全ての外周辺部において設置面Pに最も近付く第1近接辺部(近接辺部)となり、内側周辺部11Aiが全ての外周辺部において設置面Pから最も離れる第1離間辺部(離間辺部)となる。
この第1ソーラーパネル11Aでは、第1傾斜角度θ1の好適な設定範囲を3度から45度としている(3(°)≦θ≦45(°))。この第1傾斜角度θ1の範囲については後述する。この第1傾斜角度θ1は、実施例1では図3および図4(a)を正面視した時計回り方向を正側として、設置面Pに対して15度とされている。第1傾斜角度θ1は、東西方向Dewで対を為す一方のソーラーパネル11である第1ソーラーパネル11Aにおける、設置面Pに対する傾斜角度θとなる。
第2ソーラーパネル11Bは、表面11a(以下では区別のために表面11Baとする)が鉛直方向上側であって西側を向くように設置面P上に設置される。詳細には、この第2ソーラーパネル11Bは、表面11Baを水平面に平行としつつ周縁部の各辺を東西方向Dewおよび南北方向Dnsに沿わせて配置した姿勢から、南北方向Dnsを回転中心として表面11Baが西側を向く方向へと第2傾斜角度θ2(図3等参照)だけ回転した状態とされて設置面P上に設置される。このため、第2ソーラーパネル11Bは、当該第2ソーラーパネル11Bが伸びる平面(実施例1では表面11Ba)と、設置面Pと、が第2傾斜角度θ2を為す状態とされて設置面P上に設置される。第2ソーラーパネル11Bでは、東西方向Dewで見て西側の端部に存在する外側周辺部11Boに対して、東西方向Dewで見て東側の端部に存在する内側周辺部11Biが、鉛直方向上側に位置するものとされている(図3等参照)。このため、第2ソーラーパネル11Bでは、外側周辺部11Boが全ての外周辺部において設置面Pに最も近付く第2近接辺部(近接辺部)となり、内側周辺部11Biが全ての外周辺部において設置面Pから最も離れる第2離間辺部(離間辺部)となる。
この第2ソーラーパネル11Bでは、第2傾斜角度θ2の好適な設定範囲を3度から45度としている(3(°)≦θ≦45(°))。この第2傾斜角度θ2の範囲については後述する。この第2傾斜角度θ2は、実施例1では、各ソーラーパネル11が互いに等しい構成とされていることから第1傾斜角度θ1と等しい大きさであって当該第1傾斜角度θ1とは異なる向きとされており、実施例1では図3および図4(a)を正面視した時計回り方向を正側として、設置面Pに対して−15度とされている。第2傾斜角度θ2は、東西方向Dewで対を為す他方のソーラーパネル11である第2ソーラーパネル11Bにおける、設置面Pに対する傾斜角度θとなる。
この第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとは、それぞれが上記した姿勢とされつつ、第1離間辺部すなわち内側周辺部11Aiと、第2離間辺部すなわち内側周辺部11Biと、を東西方向Dewで付き合わせて配置されている。このとき、実施例1のソーラーパネル配置構造10では、内側周辺部11Ai(第1離間辺部)と内側周辺部11Bi(第2離間辺部)とを接触させており、対を為す第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとの間には隙間を設けないものとしている。この第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとは、内側周辺部11Ai(第1離間辺部)と内側周辺部11Bi(第2離間辺部)とで稜線(正確には各ソーラーパネル11の厚さ寸法に起因する溝状とされる)を形成するように逆V字状となる位置関係とされて東西方向Dewで対を為すものとされている。このことから、ソーラーパネル配置構造10では、東西方向Dewが、第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとが対を為す方向となる対向方向となる。この対向方向(東西方向Dew)で対を為す第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとを、以下では山型パネル対Ppとも言う。なお、ソーラーパネル配置構造10では、内側周辺部11Ai(第1離間辺部)と内側周辺部11Bi(第2離間辺部)とを完全には接触させずに、対を為す第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとの間に僅かな隙間を形成するものであってもよい。
ソーラーパネル配置構造10では、この山型パネル対Ppを複数個(図1等に示す例では5個)用いるものとして、各山型パネル対Ppを東西方向Dew(対向方向)に直交する南北方向Dnsで整列させる。この各山型パネル対Ppは、内側周辺部11Ai(第1離間辺部)と内側周辺部11Bi(第2離間辺部)とで形成する稜線が、南北方向Dnsに沿う単一の直線上に位置するものとされる。このため、ソーラーパネル配置構造10では、第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとにおける対向方向(東西方向Dew)で対を為す状態を維持しつつ、複数の第1ソーラーパネル11Aを南北方向Dnsに整列させるとともに複数の第2ソーラーパネル11Bが南北方向Dnsに整列させる。このことから、ソーラーパネル配置構造10では、南北方向Dnsが、複数の第1ソーラーパネル11Aと複数の第2ソーラーパネル11Bとが整列される整列方向となる。この整列方向(南北方向Dns)に整列された複数の山型パネル対Pp(複数の第1ソーラーパネル11Aおよび複数の第2ソーラーパネル11B)を、以下では山型パネルラインPlとも言う。
ソーラーパネル配置構造10では、この山型パネルラインPlを複数個(図1等に示す例では3個)用いるものとして、各山型パネルラインPlを対向方向(東西方向Dew)で並列させている。この各山型パネルラインPlでは、対向方向で互いに隣接する箇所の間、すなわち第1ソーラーパネル11Aの外側周辺部11Aoと第2ソーラーパネル11Bの外側周辺部11Boとの間に、通路用間隔Psが設けられている。この通路用間隔Psは、各ソーラーパネル11(各第1ソーラーパネル11Aおよび各第2ソーラーパネル11B)のメンテナンスを行うことを可能とすべく作業員が通れる最低限の幅寸法を確保するものとしている。
このため、ソーラーパネル配置構造10では、基本的に複数のソーラーパネル11(各第1ソーラーパネル11Aおよび各第2ソーラーパネル11B)を整列方向(南北方向Dns)に整列させて、その整列方向に伸びる複数のソーラーパネルラインを構成している。その各ソーラーパネルラインは、対向方向(東西方向Dew)で並列されている。そして、ソーラーパネル配置構造10では、各第1ソーラーパネル11Aによるソーラーパネルラインと各第2ソーラーパネル11Bによるソーラーパネルラインとで、稜線が整列方向に伸びる山型(山型パネルラインPl)を形成している。
このことから、ソーラーパネル配置構造10では、対向方向(東西方向Dew)で東側から見ると、各山型パネルラインPlのうちの最も東側に位置するものの東側の面(各ソーラーパネルラインのうちの最も東側に位置するもの)のみが見えることとなるので、図4(b)に示すように、各第1ソーラーパネル11Aの表面11Aaのみが見える。また、ソーラーパネル配置構造10では、対向方向で西側から見ると、各山型パネルラインPlのうちの最も西側に位置するものの西側の面(各ソーラーパネルラインのうちの最も西側に位置するもの)のみが見えることとなるので、図4(c)に示すように、各第2ソーラーパネル11Bの表面11Baのみが見える。さらに、ソーラーパネル配置構造10では、整列方向(南北方向Dns)で見ると、各山型パネルラインPl(各ソーラーパネルライン)の端部が見えることとなるので、図4(a)に示すように、一対の第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとにより形成された複数の山型(山型パネル対Pp)が、対向方向(東西方向Dew)に連続して並列する様子が見える。
これにより、ソーラーパネル配置構造10では、対向方向(東西方向Dew)で外側から見ると、各第1ソーラーパネル11A(その表面11Aa)もしくは各第2ソーラーパネル11B(その表面11Ba)で、内側へと向かうに連れて上方へと向かう傾斜面を形成している。また、ソーラーパネル配置構造10では、各山型(山型パネル対Pp(山型パネルラインPl))において、各第1ソーラーパネル11Aと各第2ソーラーパネル11Bとの下側に南北方向Dns(整列方向)に伸びる風道Awを形成している。そして、ソーラーパネル配置構造10では、各山型(山型パネル対Pp(山型パネルラインPl))の間において、各第1ソーラーパネル11A(その表面11Aa)と各第2ソーラーパネル11B(その表面11Ba)とを東西方向Dew(対向方向)で対向させている。
このソーラーパネル配置構造10では、図4(a)に示すように、南北方向Dnsに整列された各第1ソーラーパネル11Aが東側に傾けられており、同じく南北方向Dnsに整列された各第2ソーラーパネル11Bが西側に傾けられている。このため、ソーラーパネル配置構造10では、太陽の高度が低く東側に位置する朝方では、東側から照射する太陽光Sl1を東側に傾けられた各第1ソーラーパネル11A(その発電パネル部12)で効率良く受光することができる。この効率良くとは、太陽光(この場合は太陽光Sl1)の照射方向に対して正対した状態のソーラーパネル11(この場合は第1ソーラーパネル11A)により受光することのできる面積に対する実際にソーラーパネル11が受光することのできる面積の比が大きいことを言う。このとき、ソーラーパネル配置構造10では、効率は落ちるものの、西側に傾けられた各第2ソーラーパネル11B(その発電パネル部12)でも角度に応じて適宜太陽光Sl1を受光する。
また、ソーラーパネル配置構造10では、太陽の高度が高い位置となる昼間では、照射される太陽光Sl2を全てのソーラーパネル11(その発電パネル部12)すなわち各第1ソーラーパネル11A(その発電パネル部12)と各第2ソーラーパネル11B(その発電パネル部12)とで満遍無く受光することができる。
そして、ソーラーパネル配置構造10では、太陽の高度が低く西側に位置する夕刻では、西側から照射される太陽光Sl3を西側に傾けられた各第2ソーラーパネル11B(その発電パネル部12)で効率良く受光することができる。このとき、ソーラーパネル配置構造10では、効率は落ちるものの、東側に傾けられた各第1ソーラーパネル11A(その発電パネル部12)でも角度に応じて適宜太陽光Sl3を受光する。
このため、ソーラーパネル配置構造10では、太陽の日周運動に起因する受光量の変化を抑制することができ、一日を通して時間毎の受光量すなわち発電量の差異を抑制しつつ発電することができる。このような作用は、各第1ソーラーパネル11Aにおける第1傾斜角度θ1と各第2ソーラーパネル11Bにおける第2傾斜角度θ2とを太陽の日周運動に適合させて設定することで、より大きな効果を得ることができる。
また、ソーラーパネル配置構造10では、上述した構成であることから、並列された東西方向Dew(対向方向)で隣り合う2つの山型パネルラインPlにおいて、一方の山型パネルラインPlを構成する各第1ソーラーパネル11A(その表面11Aa)と他方の山型パネルラインPlを構成する各第2ソーラーパネル11B(その表面11Ba)とが、東西方向Dew(対向方向)で対向している。このため、ソーラーパネル配置構造10では、図5に示すように、西側から太陽光Sl3が照射されると、その一部(太陽光Sl3a)を上述したように西側に傾けられた各第2ソーラーパネル11B(その発電パネル部12)で効率良く受光する。また、ソーラーパネル配置構造10では、西側から照射された太陽光Sl3の他部(太陽光Sl3b)を上述したように東側に傾けられた各第1ソーラーパネル11A(その発電パネル部12)でも角度に応じて適宜を受光する。このとき、各第1ソーラーパネル11A(その発電パネル部12)では、照射された太陽光Sl3bの一部を反射させてしまい(太陽光Sl3b´参照)、発電に用いることができない。ところが、ソーラーパネル配置構造10では、上述した構成であることから、各第1ソーラーパネル11A(その発電パネル部12)で反射した太陽光Sl3b´を、東西方向Dew(対向方向)で対向する各第2ソーラーパネル11B(その表面11Ba)へと進行させることができる。このため、ソーラーパネル配置構造10では、各第1ソーラーパネル11A(その発電パネル部12)で反射されてしまった太陽光Sl3b´も、各第2ソーラーパネル11B(その表面11Ba)で受光することができるので、より受光効率を高めることができ、発電量を高めることができる。このことは、例えば、東側から照射される太陽光Sl1(図4参照)である場合には、各第1ソーラーパネル11Aと各第2ソーラーパネル11Bとの役割が入れ替わるだけで同様の作用を生じさせることができ、図5に示す例以外の太陽光であっても同様の効果を得ることができる。
この反射による受光効率を向上させる作用は、各第1ソーラーパネル11Aにおける第1傾斜角度θ1と各第2ソーラーパネル11Bにおける第2傾斜角度θ2とを大きくするほど、大きな効果を得ることができる。すなわち、各ソーラーパネル11の各傾斜角度θを大きくするほど、一方のソーラーパネル11(その表面11a)で反射してしまった太陽光を、他方のソーラーパネル11(その表面11a)へと進行させることができる。ところが、各ソーラーパネル11の各傾斜角度θを大きくすると、各ソーラーパネル11と対向するソーラーパネル11が形成する山型パネルラインPlによる陰の問題が生じてしまう。この一例を、図6を用いて説明する。
ソーラーパネル配置構造10では、上述した構成であることから、各ソーラーパネル11の大きさ寸法とその各傾斜角度θとが大きくなるほど、東西方向Dew(対向方向)で対を為す各第1ソーラーパネル11Aと各第2ソーラーパネル11Bとが形成する山型(山型パネル対Pp(山型パネルラインPl))の高さ寸法が大きくなる。ここで、その山型は、図6に示すように、例えば、低い高度で西側から太陽光Sl4が照射されたものとすると、自らの東側の位置で西側に傾けられた各第2ソーラーパネル11B(その表面11Ba)へと太陽光Sl4の一部が到達することを阻害してしまい、陰を生じさせてしまう。すなわち、各第2ソーラーパネル11B(その表面11Ba)では、自らの西側に位置する山型(山型パネル対Pp(山型パネルラインPl))により、太陽光Sl4が照射されることのない遮蔽領域Asが形成されてしまう。この遮蔽領域Asは、その山型の高さ寸法が大きくなるほど、大きな面積となる。このため、各ソーラーパネル11(各第1ソーラーパネル11Aおよび各第2ソーラーパネル11B)における傾斜角度θ(第1傾斜角度θ1および第2傾斜角度θ2)を大きくするほど、遮蔽領域Asの増大を招いてしまい、各ソーラーパネル11の利用効率の低下を招いてしまう。
これらのことから、ソーラーパネル配置構造10では、各ソーラーパネル11の傾斜角度θを、大きな値とする要素としての反射による受光効率を向上させる観点と、小さな値とする要素としての陰の問題(遮蔽領域Asの増大)による利用効率の低下を抑制する観点と、を勘案して、太陽の日周運動に適合させて設定することが望ましい。ソーラーパネル配置構造10では、この傾斜角度θの好適な設定範囲を3度から45度としている。これは、傾斜角度θを3度とすることにより、陰の問題を殆どなくすことができる、すなわち太陽の日周運動に伴う高度の変化に拘わらず遮蔽領域Asが形成されることを防止することができることによる。また、傾斜角度θを45度とすることにより、反射による受光効率の向上を極めて高いものとすることができる、すなわち太陽の日周運動に伴って変化する太陽光の照射角度が設置面Pに対して45度から135度までの角度範囲において一方のソーラーパネル11(その表面11a)で反射された太陽光(その少なくとも一部)を、対向方向(東西方向Dew)で対向する他方のソーラーパネル11(その表面11a)へと進行させることができることによる。実施例1のソーラーパネル配置構造10では、これらのことを勘案して、第1傾斜角度θ1と第2傾斜角度θ2とを15度に設定している。
さらに、ソーラーパネル配置構造10では、上述したように第1傾斜角度θ1と第2傾斜角度θ2と設定して、対向方向(東西方向Dew)で対を為す第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとを整列方向(南北方向Dns)に整列させて、それらを対向方向(東西方向Dew)で並列させている。このため、ソーラーパネル配置構造10では、従来の配置構造30のように緯度に応じて角度を調整する必要がないので、緯度の変化に拘わらず同一の設定として各ソーラーパネル11を配置することができる。その従来の配置構造30とその問題点とについて、図7および図8を用いて説明する。
その図7は、従来の配置構造30で各ソーラーパネル11が設置された様子を示す説明図である。図8は、従来の配置構造30で設置された各ソーラーパネル11を、東西方向Dewの西側から見た様子を示す。なお、この従来の配置構造30では、各ソーラーパネル11の配置関係に起因して問題点が生じるものであって、設置面Pに各ソーラーパネル11を設置するための構成(各架台14)およびその各ソーラーパネル11の構成をソーラーパネル配置構造10と同様のものとしても当該問題点が生じるものであることから、ソーラーパネル配置構造10と同様のものとしている。このため、以下の従来の配置構造30の説明では、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
従来の配置構造30では、図7および図8に示すように、複数のソーラーパネル11が設置される設置面Pの緯度に応じた傾斜角度θ3(図8参照)とされて、東西方向Dewに整列される。これにより、従来の配置構造30では、東西方向Dewに伸びるパネルラインLを形成する。そして、従来の配置構造30では、複数のパネルラインL(整列された複数のソーラーパネル11)を、その整列された東西方向Dewに直交する南北方向Dnsに並列させる。このように、従来の配置構造30では、複数のソーラーパネル11を、東西方向Dewおよび南北方向Dnsに並べて配置する。加えて、従来の配置構造30では、図8に示すように、所定の時刻における太陽光Sl5を基準として、あるソーラーパネル11の表面11aにおいて当該ソーラーパネル11が設置された位置よりも南側に位置するソーラーパネル11(パネルラインL)により陰が形成されないように、各ソーラーパネル11(パネルラインL)の南北方向Dnsでの設置間隔Cを設定する。なお、この図7および図8に示す例は、北半球に設置するものとして、各ソーラーパネル11(その表面11a)が南側に向けられている。
このように、従来の配置構造30では、各ソーラーパネル11(その表面11a)が緯度に応じた傾斜角度θ3とされて設置面P上に配置されていることから、図8に示すように、各ソーラーパネル11の裏面11bが、設置面Pとの間で鋭角を形成しつつ当該設置面Pに対して傾斜した状態とされて当該設置面Pに対向されている。このため、従来の配置構造30では、設置面Pに沿って北側から風W1が吹いた場合、各ソーラーパネル11が裏面11bで風W1を受け止めることとなり、各ソーラーパネル11に設置面Pから浮き上がらせる力を作用させてしまう。このことは、各ソーラーパネル11を各架台14から当該各ソーラーパネル11を外そうとする力を作用させたり、その各架台14を設置面Pから外そうとする力を作用させたりしてしまう。
また、従来の配置構造30では、上述したように、所定の時刻における太陽光Sl5を基準として、あるソーラーパネル11が設置された位置よりも南側に位置するソーラーパネル11により陰が形成されないように、南北方向Dnsで見て各ソーラーパネル11の間に設置間隔Cを設定している。このため、従来の配置構造30では、各ソーラーパネル11の利用効率を増加させるべく陰が形成されない時間を長くするためには、上記した所定の時刻を太陽高度がそれほど高くない時間とする必要があり、設置間隔Cの増大を招いてしまう。このため、従来の配置構造30では、設置面Pの面積に対して実際に各ソーラーパネル11を設置することのできる面積の割合(土地の利用効率)が低下してしまう。
これに対して、本願発明に係るソーラーパネル配置構造の一実施例としてのソーラーパネル配置構造10では、第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとを対向方向(東西方向Dew)で対を為すものとしている。また、ソーラーパネル配置構造10では、第1ソーラーパネル11Aを第1傾斜角度θ1とするとともに第2ソーラーパネル11Bを第2傾斜角度θ2として、第1ソーラーパネル11Aの内側周辺部11Ai(第1離間辺部)と第2ソーラーパネル11Bの内側周辺部11Bi(第2離間辺部)とを対向方向(東西方向Dew)で付き合わせて配置している。このため、ソーラーパネル配置構造10では、設置面Pに沿う方向で見ると、各ソーラーパネル11の裏面11bの前には必ず対を為すソーラーパネル11を存在させていることとなる。このことから、ソーラーパネル配置構造10では、例えば、図9に示すように、設置面Pに沿って西側から風W2が吹いた場合であっても、各第1ソーラーパネル11A(その裏面11b)の西側には当該第1ソーラーパネル11Aと対を為す第2ソーラーパネル11Bが存在することから、第2ソーラーパネル11B(その表面11Ba)に沿う風の流れFを形成することができる。これにより、ソーラーパネル配置構造10では、上記した風W2が吹いた場合であっても、その風W2が第1ソーラーパネル11Aの裏面11bに直接当たること(二点鎖線で示す風W3参照)を防止することができる。このことは、設置面Pに沿って東側から風が吹いた場合であっても同様である(風W2´、風の流れF´、風W3´参照)。よって、ソーラーパネル配置構造10では、設置面Pに沿って対向方向(東西方向Dew)の風が吹いた場合であっても、当該風によりソーラーパネル11に設置面Pから浮き上がらせる力が作用すること(風の影響)を防止することができる。
また、ソーラーパネル配置構造10では、対向方向(東西方向Dew)で対を為す第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとを、それぞれ設定した傾斜角度θ(第1傾斜角度θ1、第2傾斜角度θ2)としつつ内側周辺部11Ai(第1離間辺部)と内側周辺部11Bi(第2離間辺部)とを対向方向(東西方向Dew)で付き合わせて配置している。このため、ソーラーパネル配置構造10では、対を為す第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとで山型(山型パネル対Pp)を形成しており、その山型すなわち第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとの下側に対向方向(東西方向Dew)と直交する方向(整列方向(南北方向Dns))に伸びる風道Aw(図1から図3等参照)を形成している。このことから、ソーラーパネル配置構造10では、設置面Pに沿って(整列方向(南北方向Dns))の風が吹いた場合であっても、両ソーラーパネル11の下側では風道Awを通して当該風を逃がすことができるので、当該風により各ソーラーパネル11に設置面Pから浮き上がらせる力が作用すること(風の影響)を防止することができる。
さらに、ソーラーパネル配置構造10では、対向方向(東西方向Dew)で対を為す第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとで形成した複数の山型(山型パネル対Pp)を、その対向方向(東西方向Dew)に並列させている。また、ソーラーパネル配置構造10では、東西方向Dew(対向方向)で互いに隣接する箇所の間、すなわち第1ソーラーパネル11Aの外側周辺部11Aoと第2ソーラーパネル11Bの外側周辺部11Boとの間に、通路用間隔Psを設けている。ソーラーパネル配置構造10では、その通路用間隔Psを、各ソーラーパネル11(各第1ソーラーパネル11Aおよび各第2ソーラーパネル11B)のメンテナンスを行うことを可能とすべく作業員が通れる最低限の幅寸法を確保するものとしている。このため、ソーラーパネル配置構造10では、従来の配置構造30のように陰が形成されることを防止すべく設定した設置間隔Cを設けることと比較して、設ける通路用間隔Psの幅寸法を小さなものとすることができる。よって、ソーラーパネル配置構造10では、従来の配置構造30と比較して、設置面Pの面積に対して実際に各ソーラーパネル11を設置することのできる面積の割合(土地の利用効率)を向上させることができる。このため、ソーラーパネル配置構造10では、従来の配置構造30と比較して、設置面Pの面積が等しいものであっても、より多くの太陽エネルギーを利用して発電することができ、多くの電力を創り出すことができる。
ソーラーパネル配置構造10では、対向方向(東西方向Dew)で対を為す第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとで形成した複数の山型(山型パネル対Pp)を、その対向方向(東西方向Dew)と直交する方向(整列方向(南北方向Dns))に整列させている。このため、ソーラーパネル配置構造10では、上記した風の影響を防止する効果および土地の利用効率を向上させる効果を得ることを可能としつつ、設置するソーラーパネル11の個数を増加させることができ、全体としての発電量を増加させることができる。
ソーラーパネル配置構造10では、対向方向(東西方向Dew)で対を為す第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとで形成した複数の山型(山型パネル対Pp)を整列させる整列方向を、設置面P上における南北方向Dnsを含むものとしている。このため、ソーラーパネル配置構造10では、各第1ソーラーパネル11A(その表面11Aa)を東側に向けることができるとともに、各第2ソーラーパネル11B(その表面11Ba)を東側に向けることができる。このことから、ソーラーパネル配置構造10では、太陽の日周運動に起因する受光量の変化を抑制することができ、一日を通して時間による受光量すなわち発電量の差異を抑制しつつ発電することができる。特に、上記した実施例1では、整列方向を設置面P上において南北方向Dnsに一致するもの(南北方向Dnsに沿うもの)としていることから、太陽の日周運動に起因する受光量の変化をより効果的に抑制することができ、一日を通して時間による受光量すなわち発電量の差異をより効果的に抑制しつつ発電することができる。
ソーラーパネル配置構造10では、対向方向(東西方向Dew)で対を為す第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとで形成した複数の山型(山型パネル対Pp)を、その対向方向(東西方向Dew)に並列させている。また、ソーラーパネル配置構造10では、その第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとを、それぞれ設定した傾斜角度θ(第1傾斜角度θ1、第2傾斜角度θ2)としつつ内側周辺部11Ai(第1離間辺部)と内側周辺部11Bi(第2離間辺部)とを対向方向(東西方向Dew)で付き合わせて配置している。このため、ソーラーパネル配置構造10では、互いに傾斜された各第1ソーラーパネル11A(その表面11Aa)と各第2ソーラーパネル11B(その表面11Ba)とが対向方向(東西方向Dew)で対向されている。これにより、ソーラーパネル配置構造10では、対向方向(東西方向Dew)で対向する一方のソーラーパネル11(その表面11a)で反射された太陽光を、対向方向(東西方向Dew)で対向する他方のソーラーパネル11(その表面11a)へと進行させることができる。よって、ソーラーパネル配置構造10では、より受光効率を高めることができ、発電量を高めることができる。
ソーラーパネル配置構造10では、第1傾斜角度θ1と第2傾斜角度θ2とを設定し、対向方向(東西方向Dew)で対を為す第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとを整列方向(南北方向Dns)に整列させて、それらを対向方向(東西方向Dew)で並列させている。このため、ソーラーパネル配置構造10では、従来の配置構造30のように緯度に応じて角度を調整する必要がないので、緯度の変化に拘わらず同一の設定として用いることができる。
したがって、本発明に係る実施例1のソーラーパネル配置構造10では、設置面Pに設置したソーラーパネル11へ向けて吹く風による影響を低減することができる。
次に、本発明の実施例2のソーラーパネル配置構造102について、図10から図13を用いて説明する。この実施例2のソーラーパネル配置構造102は、各ソーラーパネル11が設置される設置面P2と、その設置面P2上における各ソーラーパネル11の配置の際の方向の設定と、が実施例1のソーラーパネル配置構造10とは異なる例である。この実施例2のソーラーパネル配置構造102は、基本的な構成および各工程は上記した実施例1のソーラーパネル配置構造10と同様であることから、等しい構成および工程の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図10は、ソーラーパネル配置構造102により各ソーラーパネル11が設置された様子を示す説明図である。図11は、ソーラーパネル配置構造102で設置された各ソーラーパネル11を設置面Pに沿う対向方向(水平方向Dl)で見た様子を示す説明図である。
実施例2のソーラーパネル配置構造102では、各ソーラーパネル11を設置する設置面P2を山や丘等の傾斜面に形成している。この設置面P2は、山や丘等における陽当たりが良好な斜面に設けることが望ましく、実施例2では当該山や丘等が北半球に位置するものとして南側の傾斜面に設けている。設置面P2は、山や丘等の傾斜面を、その傾斜面(その勾配)に沿って整地することで形成する。実施例2では、設置面P2上において、傾斜面の勾配を規定する方向(等高線に直交する方向)を勾配方向Dgとし、そこに直交し等高線が存在する方向を水平方向Dlとする。
ソーラーパネル配置構造102では、第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとが対を為す対向方向を水平方向Dlとする。このため、ソーラーパネル配置構造102では、対向方向(水平方向Dl)で対を為す各第1ソーラーパネル11Aと各第2ソーラーパネル11Bとにより形成される山型パネル対Ppを整列させる整列方向を勾配方向Dgとしている。
このソーラーパネル配置構造102では、設置面P2上で上記したように対向方向(水平方向Dl)および整列方向(勾配方向Dg)を設定して、実施例1のソーラーパネル配置構造10と同様に各ソーラーパネル11を配置している。すなわち、ソーラーパネル配置構造102では、第1ソーラーパネル11Aを第1傾斜角度θ1とするとともに第2ソーラーパネル11Bを第2傾斜角度θ2として、第1ソーラーパネル11Aの内側周辺部11Ai(第1離間辺部)と第2ソーラーパネル11Bの内側周辺部11Bi(第2離間辺部)とを水平方向Dl(対向方向)で付き合わせて配置している。また、ソーラーパネル配置構造102では、水平方向Dl(対向方向)で対を為す第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとにより複数の山型(山型パネル対Pp)を形成し、その複数の山型パネル対Ppを勾配方向Dg(整列方向)で整列させて、複数の山型パネルラインPlを形成している。さらに、ソーラーパネル配置構造102では、形成した複数の山型パネルラインPlを水平方向Dl(対向方向)に並列させることにより、各ソーラーパネル11を設置している。
このため、ソーラーパネル配置構造102では、南側の斜面に設けた設置面P2に各ソーラーパネル11を設置していることから、より効率良く太陽光を各ソーラーパネル11に受光させることができる。また、ソーラーパネル配置構造102では、その設置面P2において、第1ソーラーパネル11Aを第1傾斜角度θ1とするとともに第2ソーラーパネル11Bを第2傾斜角度θ2として、第1ソーラーパネル11Aの内側周辺部11Ai(第1離間辺部)と第2ソーラーパネル11Bの内側周辺部11Bi(第2離間辺部)とを水平方向Dl(対向方向)で付き合わせて配置しているので、太陽の日周運動に起因する受光量の変化を抑制することができ、一日を通して時間毎の受光量すなわち発電量の差異を抑制しつつより効率良く発電することができる。加えて、ソーラーパネル配置構造102では、設置面P2において、水平方向Dlを対向方向としかつ勾配方向Dgを整列方向として、各ソーラーパネル11を設置していることから、緯度に応じて角度を調整する必要がないので、緯度の変化に拘わらず同一の設定として各ソーラーパネル11を配置することができる。
次に、このような山や丘等の傾斜面に各ソーラーパネル11を設置するための従来の配置構造302とその問題点とについて、図12および図13を用いて説明する。その図12は、従来の配置構造302で各ソーラーパネル11が傾斜面に設置された様子を示す説明図である。図13は、従来の配置構造302で設置された各ソーラーパネル11を設置面P3に沿う水平方向Dlで見た様子を示す説明図である。なお、この従来の配置構造302では、各ソーラーパネル11の配置関係に起因して問題点が生じるものであって、設置面P3に各ソーラーパネル11を設置するための構成(各架台14)とその各ソーラーパネル11の構成とをソーラーパネル配置構造102と同様のものとしても当該問題点が生じるものであることから、ソーラーパネル配置構造102と同様のものとしている。このため、以下の従来の配置構造302の説明では、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
従来の配置構造302では、図12および図13に示すように、複数のソーラーパネル11を水平方向Dlに整列させて設置して、水平方向Dlに伸びる複数のパネルラインL2(図12参照)を形成する。このため、従来の配置構造302では、先ず、設置する傾斜面に、パネルラインL2に合わせた大きさ寸法の複数の設置面P3を、当該パネルラインL2を形成する数(図示の例では3つ)だけ形成する。これは、従来の配置構造302では、各ソーラーパネル11を傾斜角度θ3で設置するための基準面を形成する必要があることによる。この従来の配置構造302では、ソーラーパネル配置構造102と同様に、設置する傾斜面を南側の傾斜面として各設置面P3を形成している。この各設置面P3は、それぞれが互いに異なる高さ位置で水平方向Dlに伸びるものとする。この各設置面P3における高さ位置の差異は、それぞれに各ソーラーパネル11(パネルラインL2)を設置した際に、所定の時刻における太陽光を基準として、あるソーラーパネル11の表面11aにおいて当該ソーラーパネル11が設置された位置よりも下側に位置するソーラーパネル11(パネルラインL2)により陰が形成されないように設定する。このため、従来の配置構造302では、山や丘等の傾斜面を階段状に掘削し整地して各設置面P3を形成する。このことから、各設置面P3は、勾配方向Dgに並列されている。
そして、従来の配置構造302では、設置される傾斜面の緯度に応じた傾斜角度θ3として、各設置面P3上で複数のソーラーパネル11を整列させて設置する。この各設置面P3は、水平方向Dlに伸びるものであることから、各設置面P3上において水平方向Dlに伸びるパネルラインL2が形成されることとなる。また、各設置面P3は、勾配方向Dgに並列されていることから、複数のパネルラインL2(整列された複数のソーラーパネル11)が、その整列された水平方向Dlに直交する勾配方向Dgに並列されることとなる。このように、従来の配置構造302では、複数のソーラーパネル11を水平方向Dlおよび勾配方向Dgに並べて配置する。そして、従来の配置構造302では、上述したように各設置面P3が勾配方向Dgで階段状とされつつ高さ位置の差異が設定されていることから、図7および図8に示す例とは異なり設置間隔Cを設けないものとしている。なお、従来の配置構造302では、明確な図示は略すが、各設置面P3において、各ソーラーパネル11を設置した状態において当該各ソーラーパネル11のメンテナンスを行うことを可能とすべく作業員が通れるだけの幅寸法の通路を確保している。
このように、従来の配置構造302では、各ソーラーパネル11(その表面11a)を緯度に応じた傾斜角度θ3で設置するために、水平方向Dlに伸びる各設置面P3を設けている。このため、従来の配置構造302では、山や丘等の傾斜面を階段状に掘削し整地して各設置面P3を形成する必要がある。特に、従来の配置構造302では、従来の配置構造30(図7および図8参照)のように、傾斜されていない設置面に各ソーラーパネル11を設置する構成と等しい構成で各ソーラーパネル11を設置しようとすると、各設置面P3を水平面と平行なものとする必要があり、山や丘等の傾斜面の掘削量の増加を招いてしまう。
加えて、従来の配置構造302では、各ソーラーパネル11(その表面11a)が傾斜されて対応する各設置面P3上に配置されていることから、図13に示すように、各ソーラーパネル11の裏面11bが、設置面P3に対して鋭角を形成しつつ傾斜した状態とされて当該設置面P3に対向されている。このため、従来の配置構造302では、下から1段目および2段目の設置面P3のように、各設置面P3の高さ位置の差異を、自らの1つ上の段となる設置面P3よりも各ソーラーパネル11の上端部を下方に位置させるように設定しないと、当該傾斜面に沿って勾配方向Dgで上側から風W4が吹いた場合、最上段(下から3段目)のように各ソーラーパネル11が裏面11bで風W4を受け止めることとなる。これにより、従来の配置構造302では、当該風W4が吹いた場合、各ソーラーパネル11に設置面P3から浮き上がらせる力を作用させてしまう。このことは、各ソーラーパネル11を各架台14から当該各ソーラーパネル11を外そうとする力を作用させたり、その各架台14を設置面P3から外そうとする力を作用させたりしてしまう。なお、上述したように、各設置面P3の高さ位置の差異を、自らの1つ上の段となる設置面P3よりも各ソーラーパネル11の上端部を下方に位置させるように設定しようとすると、山や丘等の傾斜面の掘削量の増加を招いてしまうとともに、当該傾斜面の面積に対して実際に各ソーラーパネル11を設置することのできる面積の割合(土地の利用効率)の低下を招いてしまう。
これに対して、本願発明に係る実施例2のソーラーパネル配置構造102では、山や丘等の傾斜面をその傾斜面(その勾配)に沿って整地することで設置面P2を形成することができるので、設置面P2を形成するための作業を大幅に容易なものとすることができる。これは、ソーラーパネル配置構造102では、従来の配置構造302のように各ソーラーパネル11(その表面11a)を緯度に応じた傾斜角度θ3で設置するものではないことから、傾斜角度θ3で設置するための基準面(設置面P3)を形成する必要がないことによる。換言すると、ソーラーパネル配置構造102では、各ソーラーパネル11(その表面11a)を緯度に応じた傾斜角度とするものではないことから、設置される山や丘等の傾斜面を活かして各ソーラーパネル11を設置することができるので、設置面P2を形成するための作業を大幅に容易なものとすることができる。
また、ソーラーパネル配置構造102では、各ソーラーパネル11を設置する設置面P2が、第1ソーラーパネル11Aの内側周辺部11Ai(第1離間辺部)と第2ソーラーパネル11Bの内側周辺部11Bi(第2離間辺部)とを対向方向(水平方向Dl)で付き合わせて配置することで、第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとを対向方向(水平方向Dl)で対を為すものとすることを可能とするものであればよい。このため、ソーラーパネル配置構造102では、従来の配置構造302と比較して、各ソーラーパネル11を設置すべく設置面P2を形成する傾斜面に求める条件を大幅に緩和することができる。これは、従来の配置構造302では、各ソーラーパネル11(その表面11a)を緯度に応じた傾斜角度θ3で設置することを可能とすべく、傾斜面を階段状に掘削し整地して基準面としての各設置面P3を形成する必要があることによる。
さらに、ソーラーパネル配置構造102では、設置面P2上において、第1ソーラーパネル11Aを第1傾斜角度θ1とするとともに第2ソーラーパネル11Bを第2傾斜角度θ2として、第1ソーラーパネル11Aの内側周辺部11Ai(第1離間辺部)と第2ソーラーパネル11Bの内側周辺部11Bi(第2離間辺部)とを対向方向(水平方向Dl)で付き合わせて配置している。このため、ソーラーパネル配置構造102では、設置面P2に沿う方向で見ると、各ソーラーパネル11の裏面11bの前には必ず対を為すソーラーパネル11を存在させていることとなる。このことから、ソーラーパネル配置構造102では、設置面P2に沿って水平方向Dlに風が吹いた場合であっても、対を為す一方のソーラーパネル11(その表面11a)に沿う風の流れを形成することができ、他方のソーラーパネル11の裏面(裏面11b)に直接当たることを防止することができる。よって、ソーラーパネル配置構造102では、設置面P2に沿って対向方向(水平方向Dl)の風が吹いた場合であっても、当該風によりソーラーパネル11に設置面P2から浮き上がらせる力が作用すること(風の影響)を防止することができる。
ソーラーパネル配置構造102では、設置面P2上において、対向方向(水平方向Dl)で対を為す第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとを、それぞれ設定した傾斜角度θ(第1傾斜角度θ1、第2傾斜角度θ2)としつつ内側周辺部11Ai(第1離間辺部)と内側周辺部11Bi(第2離間辺部)とを対向方向(水平方向Dl)で付き合わせて配置している。このため、ソーラーパネル配置構造102では、設置面P2上において、対を為す第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとで山型(山型パネル対Pp)を形成しており、その山型すなわち第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとの下側に対向方向(水平方向Dl)と直交する方向(整列方向(勾配方向Dg))に伸びる風道(風道Aw)を形成している。このことから、ソーラーパネル配置構造102では、傾斜面に沿って勾配方向Dgで風が吹いた場合であっても、両ソーラーパネル11の下側で風道(風道Aw)を通して当該風を逃がすことができるので、当該風により各ソーラーパネル11に設置面P2から浮き上がらせる力が作用すること(風の影響)を防止することができる。
ソーラーパネル配置構造102では、設置面P2上において、第1傾斜角度θ1と第2傾斜角度θ2と設定して、対向方向(水平方向Dl)で対を為す第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとを整列方向(勾配方向Dg)に整列させて、それらを対向方向(水平方向Dl)で並列させている。このため、ソーラーパネル配置構造102では、必要であれば傾斜に起因する荷重の変化等の対策を施す必要はあるが、従来の配置構造302のように緯度に応じて角度を調整する必要がなく、実施例1の設置面Pのように傾斜されていない設置面に各ソーラーパネル11を設置する構成と等しい構成で各ソーラーパネル11を設置することができる。
加えて、実施例2のソーラーパネル配置構造102では、基本的に実施例1のソーラーパネル配置構造10と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
したがって、本発明に係る実施例2のソーラーパネル配置構造102では、設置面P2に設置したソーラーパネル11へ向けて吹く風による影響を低減することができる。
なお、実施例2のソーラーパネル配置構造102では、各ソーラーパネル11を単一の設置面P2に設置していたが、水平方向Dl(対向方向)で対を為して第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとを設置して山型パネル対Ppを形成することを可能とするものであれば、勾配方向Dg(整列方向)で整列される各山型パネル対Ppが互いに異なる設置面に設置されるものであってもよく、上記した実施例2の構成に限定されるものではない。
また、実施例2のソーラーパネル配置構造102では、各ソーラーパネル11を単一の設置面P2に設置していたが、水平方向Dl(対向方向)で対を為す第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとを勾配方向Dg(整列方向)で整列させて山型パネルラインPlを形成することを可能とするものであれば、水平方向Dl(対向方向)で並列される各山型パネルラインPlが互いに異なる設置面に設置されるものであってもよく、上記した実施例2の構成に限定されるものではない。
なお、上記した各実施例では、本発明に係るソーラーパネル配置構造について説明したが、太陽エネルギーから電力を創り出す複数のソーラーパネルを設置面に設置して配置するためのソーラーパネル配置構造であって、前記ソーラーパネルは、対向方向で対を為す第1ソーラーパネルと第2ソーラーパネルとを備え、前記第1ソーラーパネルは、前記対向方向で見た一方の端部を前記設置面に最も近づく第1近接辺部としかつ前記対向方向で見た他方の端部を前記設置面から最も離れる第1離間辺部とすべく、前記第1近接辺部から前記第1離間辺部へ向かうに連れて前記設置面から漸次的に離れるように前記設置面に対して第1傾斜角度の傾斜を為して設けられ、前記第2ソーラーパネルは、前記対向方向で見た一方の端部を設置される設置面に最も近づく第2近接辺部としかつ前記対向方向で見た他方の端部を前記設置面から最も離れる第2離間辺部とすべく、前記第2近接辺部から前記第2離間辺部へ向かうに連れて前記設置面から漸次的に離れるように前記設置面に対して第2傾斜角度の傾斜を為して設けられ、前記第1ソーラーパネルと前記第2ソーラーパネルとは、前記第1離間辺部と前記第2離間辺部とを前記対向方向で付き合わせることで対を為して配置されるソーラーパネル配置構造であればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
また、上記した各実施例では、ソーラーパネル11が光エネルギーを直接電力に変換する電力機器である太陽電池(セル)で構成されているものとしていたが、太陽エネルギーを電力に変換するものであれば、他の方法により太陽光を電力に変換するものであってもよく、太陽光と併せて太陽からの熱エネルギーを電力に変換するものであってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
さらに、上記した各実施例では、図1や図10に示す個数(30個)のソーラーパネル11を用いるものとしていたが、ソーラーパネル11の個数、すなわち整列方向で整列される数や対向方向で並列される数は適宜設定すればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
上記した各実施例では、架台14を用いてソーラーパネル11を設置面(P、P2)に設置して配置していたが、本願発明に係るソーラーパネル配置構造で設置面(P、P2)上に設置して配置することを可能とするものであればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
上記した各実施例では、対向方向で対を為す第1ソーラーパネル11Aと第2ソーラーパネル11Bとが等しい構成とされて、その第1ソーラーパネル11Aの第1傾斜角度θ1と第2ソーラーパネル11Bの第2傾斜角度θ2とが互いに等しい大きさとされていたが、第1離間辺部(内側周辺部11Ai)と第2離間辺部(内側周辺部11Bi)とを対向方向で付き合わせて配置されて対向方向で対を為すものとされていれば、第1ソーラーパネルと第2ソーラーパネルとが互いに異なる構成とされてもよく、その第1ソーラーパネルの第1傾斜角度と第2ソーラーパネルの第2傾斜角度とが互いに異なる大きさとされていてもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
以上、本願発明のソーラーパネル配置構造を各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については各実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。また、前記構成部材の数、位置、形状等は各実施例に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。