JP2015124183A - 化粧料 - Google Patents
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Abstract
【課題】保湿性に優れた化粧料を提供する。
【解決手段】アセチル基総置換度が0.4〜1.2の酢酸セルロースを含む化粧料。前記酢酸セルロースは、アセチル基総置換度が0.5〜1.1の酢酸セルロースであることが好ましい。さらに、前記酢酸セルロースの下記で定義される組成分布指数(CDI)は、1.0〜2.0であることが好ましい。
CDI=(組成分布半値幅の実測値)/(組成分布半値幅の理論値)
組成分布半値幅の実測値:酢酸セルロース(試料)の残存水酸基をすべてプロピオニル化して得られるセルロースアセテートプロピオネートをHPLC分析して求めた組成分布半値幅
【数1】
DS:アセチル基総置換度
DPw:重量平均重合度(酢酸セルロース(試料)の残存水酸基をすべてプロピオニル化して得られるセルロースアセテートプロピオネートを用いてGPC−光散乱法により求めた値)
【選択図】なし
【解決手段】アセチル基総置換度が0.4〜1.2の酢酸セルロースを含む化粧料。前記酢酸セルロースは、アセチル基総置換度が0.5〜1.1の酢酸セルロースであることが好ましい。さらに、前記酢酸セルロースの下記で定義される組成分布指数(CDI)は、1.0〜2.0であることが好ましい。
CDI=(組成分布半値幅の実測値)/(組成分布半値幅の理論値)
組成分布半値幅の実測値:酢酸セルロース(試料)の残存水酸基をすべてプロピオニル化して得られるセルロースアセテートプロピオネートをHPLC分析して求めた組成分布半値幅
【数1】
DS:アセチル基総置換度
DPw:重量平均重合度(酢酸セルロース(試料)の残存水酸基をすべてプロピオニル化して得られるセルロースアセテートプロピオネートを用いてGPC−光散乱法により求めた値)
【選択図】なし
Description
本発明は、保湿性に優れた化粧料に関する。
体を清潔にしたり、見た目を美しくしたりすることを目的として、基礎化粧品、メーキャップ化粧品、シャンプーなどの様々な化粧料が使用されている。このような化粧料には、一般に、肌に潤いを与えて肌荒れを防ぐために、ヒアルロン酸、コラーゲン、セラミド、ローヤルゼリー、アミノ酸、ハマメリス、ビタミンなどの保湿成分が配合されている。
保湿成分を含む化粧料として、例えば、特許文献1には、皮膚に浸透しやすいとされる重量平均分子量70万以上150万以下のヒアルロン酸およびヒアルロン酸オリゴ糖を含有する組成物が開示されている。また、例えば、特許文献2には、さらに高い保湿効果を有するものとして、低分子である特定の修飾ヒアルロン酸および/又はその塩と高分子のヒアルロン酸類を含む化粧料が開示されている。
化粧料の保湿成分としてはヒアルロン酸が広く使用されているが、高分子量又は未修飾のヒアルロン酸は皮膚に浸透しにくいため、化粧料の保湿性を高めるためには、特許文献1および2に開示されているように、分子量を調整したり、修飾したりした上で使用する必要があり煩雑である。また、ヒアルロン酸およびその誘導体は比較的高価である。このため、保湿成分としてヒアルロン酸およびその誘導体以外の成分が使用され、かつヒアルロン酸又はその誘導体を使用したものと同等以上の保湿性を有する化粧料の開発が求められている。
従って、本発明の目的は、ヒアルロン酸以外の保湿成分を含む、保湿性に優れた化粧料を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定のアセチル基総置換度を有する酢酸セルロースを必須の保湿成分として含む化粧料が、ヒアルロン酸若しくはその誘導体を保湿成分として使用したものと同等又はそれ以上の保湿性を発現することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、アセチル基総置換度が0.4〜1.2の酢酸セルロースを含むことを特徴とする化粧料を提供する。
さらに、前記酢酸セルロースが、アセチル基総置換度が0.5〜1.1の酢酸セルロースである前記の化粧料を提供する。
本発明の化粧料は上記構成を有するため、保湿性に優れる。特に、ヒアルロン酸およびその誘導体以外の成分を必須の保湿成分として含むものであるにも関わらず、ヒアルロン酸若しくはその誘導体を使用した場合と同等又はそれ以上の保湿性を発現するため、低コストと高品質の両立が可能である。
<化粧料>
本発明の化粧料は、アセチル基総置換度(DS)が0.4〜1.2の酢酸セルロース(以下、「低置換度酢酸セルロース」と称する場合がある)を必須成分(保湿成分)として含む化粧料である。
本発明の化粧料は、アセチル基総置換度(DS)が0.4〜1.2の酢酸セルロース(以下、「低置換度酢酸セルロース」と称する場合がある)を必須成分(保湿成分)として含む化粧料である。
[アセチル基総置換度が0.4〜1.2の酢酸セルロース]
上記低置換度酢酸セルロースは、セルロースの酢酸エステル(セルロースアセテート)であって、アセチル基総置換度(DS)が0.4〜1.2である酢酸セルロースである。
上記低置換度酢酸セルロースは、セルロースの酢酸エステル(セルロースアセテート)であって、アセチル基総置換度(DS)が0.4〜1.2である酢酸セルロースである。
(アセチル基総置換度)
上記低置換度酢酸セルロースは、アセチル基総置換度(平均置換度;単に「置換度」や「DS」と称する場合がある)が0.4〜1.2であるため、水溶性が高く、化粧料に対して優れた保湿性を発現させることができる。中でも、上記低置換度酢酸セルロースは、化粧料に対してより高い保湿性を発現させる観点で、アセチル基総置換度が0.5〜1.1の酢酸セルロースであることが好ましく、アセチル基総置換度が0.6〜0.9の酢酸セルロースであることが特に好ましい。
上記低置換度酢酸セルロースは、アセチル基総置換度(平均置換度;単に「置換度」や「DS」と称する場合がある)が0.4〜1.2であるため、水溶性が高く、化粧料に対して優れた保湿性を発現させることができる。中でも、上記低置換度酢酸セルロースは、化粧料に対してより高い保湿性を発現させる観点で、アセチル基総置換度が0.5〜1.1の酢酸セルロースであることが好ましく、アセチル基総置換度が0.6〜0.9の酢酸セルロースであることが特に好ましい。
なお、上記低置換度酢酸セルロースのアセチル基総置換度は、酢酸セルロースを水に溶解させ、酢酸セルロースの置換度を求める公知の滴定法により測定できる。また、上記アセチル基総置換度は、低置換度酢酸セルロースの水酸基をプロピオニル化した上で(後述の方法参照)、重クロロホルムに溶解させ、NMRにより測定することもできる。
上記低置換度酢酸セルロースのアセチル基総置換度は、ASTM:D−817−96(セルロースアセテートなどの試験方法)における酢化度の測定法に準じて求めた酢化度を次式で換算することにより求められる。これは、最も一般的な酢酸セルロースの置換度の求め方である。
DS=162.14×AV×0.01/(60.052−42.037×AV×0.01)
DS:アセチル基総置換度
AV:酢化度(%)
まず、乾燥した低置換度酢酸セルロース(試料)500mgを精秤し、超純水とアセトンとの混合溶媒(容量比4:1)50mlに溶解させた後、0.2N−水酸化ナトリウム水溶液50mlを添加し、25℃で2時間ケン化する。次に、0.2N−塩酸50mlを添加し、フェノールフタレインを指示薬として、0.2N−水酸化ナトリウム水溶液(0.2N−水酸化ナトリウム規定液)で、脱離した酢酸量を滴定する。また、同様の方法によりブランク試験(試料を用いない試験)を行う。そして、下記式にしたがってAV(酢化度)(%)を算出する。
AV(%)=(A−B)×F×1.201/試料重量(g)
A:0.2N−水酸化ナトリウム規定液の滴定量(ml)
B:ブランクテストにおける0.2N−水酸化ナトリウム規定液の滴定量(ml)
F:0.2N−水酸化ナトリウム規定液のファクター
DS=162.14×AV×0.01/(60.052−42.037×AV×0.01)
DS:アセチル基総置換度
AV:酢化度(%)
まず、乾燥した低置換度酢酸セルロース(試料)500mgを精秤し、超純水とアセトンとの混合溶媒(容量比4:1)50mlに溶解させた後、0.2N−水酸化ナトリウム水溶液50mlを添加し、25℃で2時間ケン化する。次に、0.2N−塩酸50mlを添加し、フェノールフタレインを指示薬として、0.2N−水酸化ナトリウム水溶液(0.2N−水酸化ナトリウム規定液)で、脱離した酢酸量を滴定する。また、同様の方法によりブランク試験(試料を用いない試験)を行う。そして、下記式にしたがってAV(酢化度)(%)を算出する。
AV(%)=(A−B)×F×1.201/試料重量(g)
A:0.2N−水酸化ナトリウム規定液の滴定量(ml)
B:ブランクテストにおける0.2N−水酸化ナトリウム規定液の滴定量(ml)
F:0.2N−水酸化ナトリウム規定液のファクター
(組成分布指数:CDI)
上記低置換度酢酸セルロースの組成分布(分子間のアセチル基置換度の分布)は、特に限定されないが、例えば、その組成分布指数(CDI)としては、1.0〜2.0が好ましく、より好ましくは1.0〜1.8、さらに好ましくは1.0〜1.6、特に好ましくは1.0〜1.5である。低置換度酢酸セルロースの組成分布指数(CDI)が小さいほど(1.0に近づくほど)、組成分布(分子間アセチル基置換度分布)が均一となり、化粧料に対する保湿性発現効果がより高くなる傾向がある。これは、上記低置換度酢酸セルロースの組成分布が均一であることにより、その皮膜形成能力が向上するために奏される効果であると推測される。なお、上記低置換度酢酸セルロースの組成分布が均一であると、アセチル基総置換度が通常よりも広い範囲で水溶性を確保できる傾向があり、このことも保湿性発現効果の向上に寄与するものと推測される。
上記低置換度酢酸セルロースの組成分布(分子間のアセチル基置換度の分布)は、特に限定されないが、例えば、その組成分布指数(CDI)としては、1.0〜2.0が好ましく、より好ましくは1.0〜1.8、さらに好ましくは1.0〜1.6、特に好ましくは1.0〜1.5である。低置換度酢酸セルロースの組成分布指数(CDI)が小さいほど(1.0に近づくほど)、組成分布(分子間アセチル基置換度分布)が均一となり、化粧料に対する保湿性発現効果がより高くなる傾向がある。これは、上記低置換度酢酸セルロースの組成分布が均一であることにより、その皮膜形成能力が向上するために奏される効果であると推測される。なお、上記低置換度酢酸セルロースの組成分布が均一であると、アセチル基総置換度が通常よりも広い範囲で水溶性を確保できる傾向があり、このことも保湿性発現効果の向上に寄与するものと推測される。
ここで、組成分布指数(Compositional Distribution Index, CDI)とは、組成分布半値幅の理論値に対する実測値の比率[(組成分布半値幅の実測値)/(組成分布半値幅の理論値)]で定義される。組成分布半値幅は「分子間アセチル基置換度分布半値幅」又は単に「置換度分布半値幅」ともいう。
上記低置換度酢酸セルロースのアセチル基置換度の分子間での均一性(分子間の置換度ゆらぎの程度)を評価するのに、酢酸セルロースの分子間アセチル基置換度分布曲線の最大ピークの半値幅(「半価幅」ともいう)の大きさを指標とすることができる。なお、半値幅は、アセチル基置換度を横軸(x軸)に、この置換度における存在量を縦軸(y軸)としたとき、チャートのピークの高さの半分の高さにおけるチャートの幅であり、分布のバラツキの目安を表す指標である。置換度分布半値幅は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析により求めることができる。なお、HPLCにおけるセルロースエステルの溶出曲線の横軸(溶出時間)を置換度(0〜3)に換算する方法については、特開2003−201301号公報(段落0037〜0040)に説明されている。
(組成分布半値幅の理論値)
組成分布半値幅(置換度分布半値幅)は確率論的に理論値を算出できる。すなわち、組成分布半値幅の理論値は以下の式(1)で求められる。
m:酢酸セルロース(低置換度酢酸セルロース)1分子中の水酸基とアセチル基の全数
p:酢酸セルロース(低置換度酢酸セルロース)1分子中の水酸基がアセチル置換されている確率
q=1−p
DPw:重量平均重合度(GPC−光散乱法による)
重量平均重合度(DPw)の測定法は後述する。
組成分布半値幅(置換度分布半値幅)は確率論的に理論値を算出できる。すなわち、組成分布半値幅の理論値は以下の式(1)で求められる。
p:酢酸セルロース(低置換度酢酸セルロース)1分子中の水酸基がアセチル置換されている確率
q=1−p
DPw:重量平均重合度(GPC−光散乱法による)
重量平均重合度(DPw)の測定法は後述する。
式(1)は、セルロースの全ての水酸基が同じ確率でアセチル化および脱アセチル化された際に必然的に生じる組成分布半値幅であり、所謂二項定理に従って導かれるものである。さらに、組成分布半値幅の理論値を置換度と重合度で表すと、以下のように表される。下記式(2)を組成分布半値幅の理論値を求める定義式とする。
DS:アセチル基総置換度
DPw:重量平均重合度(GPC−光散乱法による)
重量平均重合度(DPw)の測定法は後述する。
DPw:重量平均重合度(GPC−光散乱法による)
重量平均重合度(DPw)の測定法は後述する。
ところで、式(1)および式(2)においては、より厳密には重合度分布を考慮に入れるべきであり、この場合には式(1)および式(2)の「DPw」は、重合度分布関数に置き換え、式全体を重合度0から無限大までで積分すべきである。しかしながら、DPwを使う限り、式(1)および式(2)は近似的に十分な精度の理論値を与える。DPn(数平均重合度)を使うと、重合度分布の影響が無視できなくなるので、DPwを使うべきである。
(組成分布半値幅の実測値)
上述の組成分布半値幅の実測値とは、低置換度酢酸セルロース(試料)の残存水酸基(未置換水酸基)をすべてプロピオニル化して得られるセルロースアセテートプロピオネートをHPLC分析して求めた組成分布半値幅である。
上述の組成分布半値幅の実測値とは、低置換度酢酸セルロース(試料)の残存水酸基(未置換水酸基)をすべてプロピオニル化して得られるセルロースアセテートプロピオネートをHPLC分析して求めた組成分布半値幅である。
低置換度酢酸セルロースの組成分布半値幅(置換度分布半値幅)の実測値は、HPLC分析前に前処理として酢酸セルロースの分子内残存水酸基の誘導体化を行い、しかる後にHPLC分析を行って求める。この前処理の目的は、低置換度酢酸セルロースを有機溶剤に溶解しやすい誘導体に変換してHPLC分析を可能とすることである。すなわち、分子内の残存水酸基を完全にプロピオニル化し、その完全誘導体化セルロースアセテートプロピオネート(CAP)をHPLC分析して組成分布半値幅(実測値)を求める。ここで、誘導体化は完全に行われ、分子内に残存水酸基はなく、アセチル基とプロピオニル基のみ存在していなければいけない。すなわち、アセチル基総置換度(DSac)とプロピオニル基総置換度(DSpr)の和は3である。これは、CAPのHPLC溶出曲線の横軸(溶出時間)をアセチル基総置換度(0〜3)に変換するための較正曲線を作成するために関係式:DSac+DSpr=3を使用するためである。
低置換度酢酸セルロースの完全誘導体化は、ピリジン/N,N−ジメチルアセトアミド混合溶媒中でN,N−ジメチルアミノピリジンを触媒とし、無水プロピオン酸を作用させることにより行うことができる。より具体的には、溶媒として混合溶媒[ピリジン/N,N−ジメチルアセトアミド=1/1(v/v)]を低置換度酢酸セルロース(試料)に対して20重量部、プロピオニル化剤として無水プロピオン酸を該低置換度酢酸セルロースの水酸基に対して6.0〜7.5当量、触媒としてN,N−ジメチルアミノピリジンを該低置換度酢酸セルロースの水酸基に対して6.5〜8.0mol%使用し、温度100℃、反応時間1.5〜3.0時間の条件でプロピオニル化を行う。そして、反応後、沈殿溶媒としてメタノールを用い、沈殿させることにより、完全誘導体化セルロースアセテートプロピオネートを得る。より詳細には、例えば、室温で、反応混合物1重量部をメタノール10重量部に投入して沈澱させ、得られた沈殿物をメタノールで5回洗浄し、60℃で真空乾燥を3時間行うことにより、完全誘導体化セルロースアセテートプロピオネート(CAP)を得ることができる。なお、後述の多分散性(Mw/Mn)および重量平均重合度(DPw)も、低置換度酢酸セルロース(試料)をこの方法により完全誘導体化セルロースアセテートプロピオネート(CAP)とし、測定したものである。
上記HPLC分析では、異なるアセチル基総置換度を有する複数のセルロースアセテートプロピオネートを標準試料として用いて所定の測定装置および測定条件でHPLC分析を行い、これらの標準試料の分析値を用いて作成した較正曲線[セルロースアセテートプロピオネートの溶出時間とアセチル基総置換度(0〜3)との関係を示す曲線、通常、三次曲線]から、低置換度酢酸セルロース(試料)の組成分布半値幅(実測値)を求めることができる。HPLC分析で求められるのは溶出時間とセルロースアセテートプロピオネートのアセチル基置換度分布の関係である。これは、試料分子内の残存ヒドロキシ基のすべてがプロピオニルオキシ基に変換された物質の溶出時間とアセチル基置換度分布の関係であるから、上述の低置換度酢酸セルロースのアセチル基置換度分布を求めていることと本質的には変わらない。
上記HPLC分析の条件は以下の通りである。
装置: Agilent 1100 Series
カラム: Waters Nova−Pak phenyl 60Å 4μm(150mm×3.9mmΦ)+ガードカラム
カラム温度: 30℃
検出: Varian 380−LC
注入量: 5.0μL(試料濃度:0.1%(wt/vol))
溶離液: A液:MeOH/H2O=8/1(v/v),B液:CHCl3/MeOH=8/1(v/v)
グラジェント:A/B=80/20→0/100(28min);流量:0.7mL/min
装置: Agilent 1100 Series
カラム: Waters Nova−Pak phenyl 60Å 4μm(150mm×3.9mmΦ)+ガードカラム
カラム温度: 30℃
検出: Varian 380−LC
注入量: 5.0μL(試料濃度:0.1%(wt/vol))
溶離液: A液:MeOH/H2O=8/1(v/v),B液:CHCl3/MeOH=8/1(v/v)
グラジェント:A/B=80/20→0/100(28min);流量:0.7mL/min
較正曲線から求めた置換度分布曲線[セルロースアセテートプロピオネートの存在量を縦軸とし、アセチル基置換度を横軸とするセルロースアセテートプロピオネートの置換度分布曲線](「分子間置換度分布曲線」ともいう)において、アセチル基総置換度に対応する最大ピーク[E]に関し、以下のようにして置換度分布半値幅を求める。ピーク[E]の低置換度側の基部[A]と、高置換度側の基部[B]に接するベースライン[A−B]を引き、このベースラインに対して、最大ピーク[E]から横軸に垂線をおろす。垂線とベースライン[A−B]との交点[C]を決定し、最大ピーク[E]と交点[C]との中間点[D]を求める。中間点[D]を通って、ベースライン[A−B]と平行な直線を引き、分子間置換度分布曲線との二つの交点[A’、B’]を求める。二つの交点[A’、B’]から横軸まで垂線をおろして、横軸上の二つの交点間の幅を、最大ピークの半値幅(すなわち、置換度分布半値幅)とする。
このような置換度分布半値幅は、試料中のセルロースアセテートプロピオネートの分子鎖について、その構成する高分子鎖一本一本のグルコース環の水酸基がどの程度アセチル化されているかにより、保持時間(リテンションタイム)が異なることを反映している。したがって、理想的には、保持時間の幅が、(置換度単位の)組成分布の幅を示すことになる。しかしながら、HPLCには分配に寄与しない管部(カラムを保護するためのガイドカラムなど)が存在する。それゆえ、測定装置の構成により、組成分布の幅に起因しない保持時間の幅が誤差として内包されることが多い。この誤差は、上記の通り、カラムの長さ、内径、カラムから検出器までの長さや取り回しなどに影響され、装置構成により異なる。このため、セルロースアセテートプロピオネートの置換度分布半値幅は、通常、下式で表される補正式に基づいて、補正値Zとして求めることができる。このような補正式を用いると、測定装置(および測定条件)が異なっても、同じ(ほぼ同じ)値として、より正確な置換度分布半値幅(実測値)を求めることができる。
Z=(X2−Y2)1/2
[式中、Xは所定の測定装置および測定条件で求めた置換度分布半値幅(未補正値)である。Y=(a−b)x/3+b(0≦x≦3)である。ここで、aは上記Xと同じ測定装置および測定条件で求めた総置換度3のセルロースアセテートの置換度分布半値幅、bは上記Xと同じ測定装置および測定条件で求めた総置換度3のセルロースプロピオネートの置換度分布半値幅である。xは測定試料のアセチル基総置換度(0≦x≦3)である]
Z=(X2−Y2)1/2
[式中、Xは所定の測定装置および測定条件で求めた置換度分布半値幅(未補正値)である。Y=(a−b)x/3+b(0≦x≦3)である。ここで、aは上記Xと同じ測定装置および測定条件で求めた総置換度3のセルロースアセテートの置換度分布半値幅、bは上記Xと同じ測定装置および測定条件で求めた総置換度3のセルロースプロピオネートの置換度分布半値幅である。xは測定試料のアセチル基総置換度(0≦x≦3)である]
なお、上記総置換度3のセルロースアセテート(もしくはセルロースプロピオネート)とは、セルロースのヒドロキシル基の全てがエステル化されたセルロースエステルを示し、実際には(理想的には)置換度分布半値幅を有しない(すなわち、置換度分布半値幅0の)セルロースエステルである。
本発明において、上記低置換度酢酸セルロースの組成分布半値幅(置換度分布半値幅)の実測値は、特に限定されないが、0.12〜0.34が好ましく、より好ましくは0.13〜0.25である。
先に説明した置換度分布理論式(組成分布半値幅の理論値を求める式)は、すべてのアセチル化と脱アセチル化が独立かつ均等に進行することを仮定した確率論的計算値である。すなわち、二項分布に従った計算値である。このような理想的な状況は現実的にはあり得ない。酢酸セルロースの加水分解反応あるいは反応後の後処理について特別な工夫(より詳しくは、酢酸セルロースの加水分解反応が理想的なランダム反応に近づくような、および/又は、反応後の後処理にについて組成について分画が生じるような特別な工夫)をしない限り、セルロースエステルの置換度分布は確率論的に二項分布で定まるものよりも大幅に広くなる。特に、低置換度酢酸セルロースは、その製造工程において部分脱アセチル化の反応数が大きいことから特に置換度分布が広くなりやすい傾向がある。
低置換度酢酸セルロースを製造するにあたり、反応の特別な工夫の一つとしては、例えば、脱アセチル化とアセチル化が平衡する条件で系を維持することが考えられる。しかし、この場合には酸触媒によりセルロースの分解が進行するので好ましくない。他の反応の特別な工夫としては、脱アセチル化速度が低置換度物について遅くなる反応条件を採用することである。しかし、従来、そのような具体的な方法は知られていない。つまり、セルロースエステルの置換度分布を反応確率論通り二項分布に従うよう制御するような反応の特別な工夫は知られていない。さらに、酢化過程(セルロースのアセチル化工程)の不均一性や、熟成過程(酢酸セルロースの加水分解工程)で段階的に添加する水による部分的、一時的な沈殿の発生などの様々な事情は、置換度分布を二項分布よりも広くする方向に働き、これらを全て回避し、理想条件を実現することは、現実的には不可能である。これは、理想気体があくまで理想の産物であり、実在する気体の挙動はそれとは多かれ少なかれ異なることと似ている。
従来の低置換度酢酸セルロースの合成と後処理においては、このような置換度分布の問題について殆ど関心が払われておらず、置換度分布の測定や検証、考察が行われていなかった。例えば、文献(繊維学会誌、42、p25 (1986))によれば、低置換度酢酸セルロースの溶解性は、グルコース残基2、3、6位へのアセチル基の分配で決まると論じられており、組成分布は全く考慮されていない。
本発明者らの検討によれば、後述するように、酢酸セルロースの置換度分布は、驚くべきことに酢酸セルロースの加水分解工程の後の後処理条件の工夫で制御することができる。文献(CiBment, L., and Rivibre, C., Bull. SOC. chim., (5) 1, 1075 (1934)、Sookne, A. M., Rutherford, H. A., Mark, H., and Harris, M. J . Research Natl. Bur. Standards, 29, 123 (1942)、A. J. Rosenthal , B. B. White Ind. Eng. Chem., 1952, 44 (11), pp 2693-2696.)によれば、アセチル基総置換度2.3の酢酸セルロースの沈澱分別では、分子量に依存した分画と置換度(化学組成)に伴う微々たる分画が起こるとされており、本発明者らが見出したような置換度(化学組成)で顕著な分画ができるとの報告はない。さらに、低置換度酢酸セルロースについて、溶解分別や沈澱分別で置換度分布(化学組成)を制御できることは検証されていなかった。
本発明者らが見出した置換度分布を狭くするもう1つの工夫は、酢酸セルロースの90℃以上の(又は90℃を超える)高温での加水分解反応(熟成反応)である。従来、高温反応で得られた生成物の重合度について詳細な分析や考察がなされて来なかったにもかかわらず、90℃以上の高温反応ではセルロースの分解が優先するとされてきた。この考えは、粘度に関する考察のみに基づいた思い込み(ステレオタイプ)と言える。本発明者らは、酢酸セルロースを加水分解して低置換度酢酸セルロースを得るに際し、90℃以上の(又は90℃を超える)高温下、好ましくは硫酸などの強酸の存在下、多量の酢酸中で反応させると、重合度の低下は見られない一方で、CDIの減少に伴い粘度が低下することを見出した。すなわち、高温反応に伴う粘度低下は、重合度の低下に起因するものではなく、置換度分布が狭くなることによる構造粘性の減少に基づくものであることを解明した。上記の条件で酢酸セルロースの加水分解を行うと、正反応だけでなく逆反応も起こるため、生成物(低置換度酢酸セルロース)のCDIが極めて小さい値となり、水に対する溶解性も著しく向上する。これに対し、逆反応が起こりにくい条件で酢酸セルロースの加水分解を行うと、置換度分布は様々な要因で広くなり、水に溶けにくいアセチル基総置換度0.4未満の酢酸セルロースおよびアセチル基総置換度1.2を超える酢酸セルロースの含有量が増大し、全体として水に対する溶解性が低下する。
(2,3,6位の置換度の標準偏差)
上記低置換度酢酸セルロースのグルコース環の2,3,6位の各アセチル基置換度は、手塚(Tezuka, Carbonydr. Res. 273, 83(1995))の方法に従いNMR法で測定できる。すなわち、低置換度酢酸セルロース試料の遊離水酸基をピリジン中で無水プロピオン酸によりプロピオニル化する。得られた試料を重クロロホルムに溶解し、13C−NMRスペクトルを測定する。アセチル基の炭素シグナルは169ppmから171ppmの領域に高磁場から2位、3位、6位の順序で、そして、プロピオニル基のカルボニル炭素のシグナルは、172ppmから174ppmの領域に同じ順序で現れる。それぞれ対応する位置でのアセチル基とプロピオニル基の存在比から、元の低置換度酢酸セルロースにおけるグルコース環の2,3,6位の各アセチル基置換度を求めることができる。なお、このように求めた2,3,6位の各アセチル基置換度の和はアセチル基総置換度であり、この方法でアセチル基総置換度を求めることもできる。なお、アセチル基総置換度は、13C−NMRのほか、1H−NMRで分析することもできる。
上記低置換度酢酸セルロースのグルコース環の2,3,6位の各アセチル基置換度は、手塚(Tezuka, Carbonydr. Res. 273, 83(1995))の方法に従いNMR法で測定できる。すなわち、低置換度酢酸セルロース試料の遊離水酸基をピリジン中で無水プロピオン酸によりプロピオニル化する。得られた試料を重クロロホルムに溶解し、13C−NMRスペクトルを測定する。アセチル基の炭素シグナルは169ppmから171ppmの領域に高磁場から2位、3位、6位の順序で、そして、プロピオニル基のカルボニル炭素のシグナルは、172ppmから174ppmの領域に同じ順序で現れる。それぞれ対応する位置でのアセチル基とプロピオニル基の存在比から、元の低置換度酢酸セルロースにおけるグルコース環の2,3,6位の各アセチル基置換度を求めることができる。なお、このように求めた2,3,6位の各アセチル基置換度の和はアセチル基総置換度であり、この方法でアセチル基総置換度を求めることもできる。なお、アセチル基総置換度は、13C−NMRのほか、1H−NMRで分析することもできる。
上記低置換度酢酸セルロースのグルコース環の2,3および6位のアセチル基置換度の標準偏差は、特に限定されないが、0.08以下(0〜0.08)であることが好ましい。該標準偏差が0.08以下である低置換度酢酸セルロースは、グルコース環の2,3,6位が均等に置換されており、より水溶性に優れ、なおかついっそう高い保湿性を発現する傾向がある。
(多分散性(Mw/Mn))
本発明において、上記低置換度酢酸セルロースの多分散性(分散度、Mw/Mn)は、低置換度酢酸セルロース(試料)の残存水酸基をすべてプロピオニル化して得られるセルロースアセテートプロピオネートを用いてGPC−光散乱法により求めた値である。
本発明において、上記低置換度酢酸セルロースの多分散性(分散度、Mw/Mn)は、低置換度酢酸セルロース(試料)の残存水酸基をすべてプロピオニル化して得られるセルロースアセテートプロピオネートを用いてGPC−光散乱法により求めた値である。
上記低置換度酢酸セルロースの多分散性(分散度、Mw/Mn)は、特に限定されないが、1.2〜2.5の範囲であることが好ましい。多分散性Mw/Mnが上記の範囲にある低置換度酢酸セルロースは、より水溶性に優れ、なおかついっそう高い保湿性を発現する傾向がある。
上記低置換度酢酸セルロースの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および多分散性(Mw/Mn)は、HPLCを用いた公知の方法で求めることができる。本発明において、低置換度酢酸セルロースの多分散性(Mw/Mn)は、測定試料を有機溶媒に可溶とするため、上記組成分布半値幅の実測値を求める場合と同様の方法で、酢酸セルロース(試料)を完全誘導体化セルロースアセテートプロピオネート(CAP)とした後、以下の条件でサイズ排除クロマトグラフィー分析を行うことにより決定される(GPC−光散乱法)。
装置:Shodex製 GPC 「SYSTEM−21H」
溶媒:アセトン
カラム:GMHxl(東ソー)2本、同ガードカラム
流速:0.8ml/min
温度:29℃
試料濃度:0.25%(wt/vol)
注入量:100μl
検出:MALLS(多角度光散乱検出器)(Wyatt製、「DAWN−EOS」)
MALLS補正用標準物質:PMMA(分子量27600)
装置:Shodex製 GPC 「SYSTEM−21H」
溶媒:アセトン
カラム:GMHxl(東ソー)2本、同ガードカラム
流速:0.8ml/min
温度:29℃
試料濃度:0.25%(wt/vol)
注入量:100μl
検出:MALLS(多角度光散乱検出器)(Wyatt製、「DAWN−EOS」)
MALLS補正用標準物質:PMMA(分子量27600)
(重量平均重合度(DPw))
本発明において、上記低置換度酢酸セルロースの重量平均重合度(DPw)は、低置換度酢酸セルロース(試料)の残存水酸基をすべてプロピオニル化して得られるセルロースアセテートプロピオネートを用いてGPC−光散乱法により求めた値である。
本発明において、上記低置換度酢酸セルロースの重量平均重合度(DPw)は、低置換度酢酸セルロース(試料)の残存水酸基をすべてプロピオニル化して得られるセルロースアセテートプロピオネートを用いてGPC−光散乱法により求めた値である。
本発明における上記低置換度酢酸セルロースの重量平均重合度(DPw)は、50〜800の範囲であることが好ましい。重量平均重合度(DPw)が低すぎると、皮膜形成能力が低下して、化粧料の種類によっては十分な保湿性を発現できない場合がある。また、重量平均重合度(DPw)が高すぎると、濾過性が悪くなる傾向がある。上記重量平均重合度(DPw)は、好ましくは55〜700、さらに好ましくは60〜600である。
上記重量平均重合度(DPw)は、上記多分散性(Mw/Mn)と同じく、上記組成分布半値幅の実測値を求める場合と同様の方法で、低置換度酢酸セルロース(試料)を完全誘導体化セルロースアセテートプロピオネート(CAP)とした後、サイズ排除クロマトグラフィー分析を行うことにより求められる(GPC−光散乱法)。
上述のように、水溶性に優れた上記低置換度酢酸セルロースの分子量(重合度)、多分散性(Mw/Mn)はGPC−光散乱法(GPC−MALLS、GPC−LALLSなど)により測定される。なお、光散乱の検出は、一般に水系溶媒では困難である。これは水系溶媒には一般的に異物が多く、一旦精製しても二次汚染されやすいことによる。また、水系溶媒では、微量に存在するイオン性解離基の影響のため分子鎖の広がりが安定しない場合があり、それを抑えるために水溶性無機塩(例えば塩化ナトリウム)を添加したりすると、溶解状態が不安定になり、水溶液中で会合体を形成したりすることがある。この問題を回避するための有効な方法の一つは、低置換度酢酸セルロースを誘導体化し、異物が少なく、二次汚染されにくい有機溶媒に溶解するようにし、有機溶媒でGPC−光散乱測定を行うことである。この目的の低置換度酢酸セルロースの誘導体化としてはプロピオニル化が有効であり、具体的な反応条件および後処理は上記組成分布半値幅の実測値の説明箇所で記載した通りである。
(6%粘度)
上記低置換度酢酸セルロースの6%粘度は、特に限定されないが、5〜500mPa・sが好ましく、より好ましくは6〜300mPa・sである。6%粘度が高すぎると濾過性が悪くなる場合がある。また、6%粘度が低すぎると、皮膜形成能力が低下して、化粧料の種類によっては十分な保湿性を発現できない場合がある。
上記低置換度酢酸セルロースの6%粘度は、特に限定されないが、5〜500mPa・sが好ましく、より好ましくは6〜300mPa・sである。6%粘度が高すぎると濾過性が悪くなる場合がある。また、6%粘度が低すぎると、皮膜形成能力が低下して、化粧料の種類によっては十分な保湿性を発現できない場合がある。
上記低置換度酢酸セルロースの6%粘度は、下記の方法で測定できる。
50mlのメスフラスコに乾燥試料3.00gを入れ、蒸留水を加え溶解させる。得られた6wt/vol%の溶液を所定のオストワルド粘度計の標線まで移し、25±1℃で約15分間整温する。計時標線間の流下時間を測定し、次式により6%粘度を算出する。
6%粘度(mPa・s)=C×P×t
C:試料溶液恒数
P:試料溶液密度(0.997g/cm3)
t:試料溶液の流下秒数
試料溶液恒数は、粘度計校正用標準液[昭和石油社製、商品名「JS−200」(JIS Z 8809に準拠)]を用いて上記と同様の操作で流下時間を測定し、次式より求める。
試料溶液恒数={標準液絶対粘度(mPa・s)}/{標準液の密度(g/cm3)×標準液の流下秒数}
50mlのメスフラスコに乾燥試料3.00gを入れ、蒸留水を加え溶解させる。得られた6wt/vol%の溶液を所定のオストワルド粘度計の標線まで移し、25±1℃で約15分間整温する。計時標線間の流下時間を測定し、次式により6%粘度を算出する。
6%粘度(mPa・s)=C×P×t
C:試料溶液恒数
P:試料溶液密度(0.997g/cm3)
t:試料溶液の流下秒数
試料溶液恒数は、粘度計校正用標準液[昭和石油社製、商品名「JS−200」(JIS Z 8809に準拠)]を用いて上記と同様の操作で流下時間を測定し、次式より求める。
試料溶液恒数={標準液絶対粘度(mPa・s)}/{標準液の密度(g/cm3)×標準液の流下秒数}
(低置換度酢酸セルロースの製造)
上記低置換度酢酸セルロースは、例えば、(a)中乃至高置換度酢酸セルロースの加水分解工程(熟成工程)、(b)沈殿工程、および、必要に応じて行う(c)洗浄、中和工程を含む方法により製造できる。
上記低置換度酢酸セルロースは、例えば、(a)中乃至高置換度酢酸セルロースの加水分解工程(熟成工程)、(b)沈殿工程、および、必要に応じて行う(c)洗浄、中和工程を含む方法により製造できる。
[(a)加水分解工程(熟成工程)]
この工程では、中乃至高置換度酢酸セルロース(以下、「原料酢酸セルロース」と称する場合がある)を加水分解する。原料として用いる中乃至高置換度酢酸セルロースのアセチル基総置換度は、特に限定されないが、1.5〜3が好ましく、より好ましくは2〜3である。原料酢酸セルロースとしては、市販のセルロースジアセテート(例えば、アセチル基総置換度が2.27〜2.56の酢酸セルロース)やセルローストリアセテート(例えば、アセチル基総置換度が2.56超〜3の酢酸セルロース)を用いることができる。
この工程では、中乃至高置換度酢酸セルロース(以下、「原料酢酸セルロース」と称する場合がある)を加水分解する。原料として用いる中乃至高置換度酢酸セルロースのアセチル基総置換度は、特に限定されないが、1.5〜3が好ましく、より好ましくは2〜3である。原料酢酸セルロースとしては、市販のセルロースジアセテート(例えば、アセチル基総置換度が2.27〜2.56の酢酸セルロース)やセルローストリアセテート(例えば、アセチル基総置換度が2.56超〜3の酢酸セルロース)を用いることができる。
加水分解反応は、有機溶媒中、触媒(熟成触媒)の存在下、原料酢酸セルロースと水とを反応させることにより行うことができる。有機溶媒としては、例えば、酢酸、アセトン、アルコール(メタノールなど)、これらの混合溶媒などが挙げられる。これらの中でも、酢酸を少なくとも含む溶媒が好ましい。触媒としては、一般に脱アセチル化触媒として用いられる触媒を使用できる。触媒としては、特に硫酸が好ましい。
有機溶媒(例えば、酢酸)の使用量は、特に限定されないが、原料酢酸セルロース1重量部に対して、0.5〜50重量部が好ましく、より好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは3〜10重量部である。
触媒(例えば、硫酸)の使用量は、原料酢酸セルロース1重量部に対して、0.005〜1重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.02〜0.3重量部である。触媒の量が少なすぎると、加水分解の時間が長くなりすぎ、低置換度酢酸セルロースの分子量の低下を引き起こすことがある。一方、触媒の量が多すぎると、加水分解温度に対する解重合速度の変化の度合いが大きくなり、加水分解温度がある程度低くても解重合速度が大きくなり、分子量がある程度大きい低置換度酢酸セルロースが得られにくくなる。
加水分解工程における水の量は、特に限定されないが、原料酢酸セルロース1重量部に対して、0.5〜20重量部が好ましく、より好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは2〜7重量部である。また、該水の量は、有機溶媒(例えば、酢酸)1重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.3〜2重量部、さらに好ましくは0.5〜1.5重量部である。水は、反応開始時において全ての量を系内に存在させてもよいが、酢酸セルロースの沈殿を防止するため、使用する水の一部を反応開始時に系内に存在させ、残りの水を1〜数回に分けて系内に添加してもよい。
加水分解工程における反応温度は、特に限定されないが、40〜130℃が好ましく、より好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜110℃である。特に、反応温度を90℃以上(或いは90℃を超える温度)とし、好ましくは、触媒として硫酸などの強酸を用い、且つ反応溶媒として酢酸を過剰に用いる場合には、正反応(加水分解反応)だけでなく逆反応(アセチル化反応)も起こり、その結果、置換度分布が狭くなり、後処理条件を特に工夫しなくとも、組成分布指数CDIの極めて小さい低置換度酢酸セルロースを得ることができる。また、反応温度を90℃以下とする場合であっても、後述するように、沈殿工程において、沈殿溶媒として二種以上の溶媒を含む混合溶媒を用いて沈殿させたり、沈殿分別および/又は溶解分別を行うことにより、組成分布指数CDIが非常に小さい低置換度酢酸セルロースを得ることができる。
[(b)沈殿工程]
この工程では、加水分解反応終了後、反応系の温度を室温まで冷却し、沈殿溶媒を加えて低置換度酢酸セルロースを沈殿させる。沈殿溶媒としては、水と混和する有機溶剤又は水に対する溶解度の大きい有機溶剤を使用できる。例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール;酢酸エチルなどのエステル;アセトニトリルなどの含窒素化合物;テトラヒドロフランなどのエーテル;これらの混合溶媒などが挙げられる。
この工程では、加水分解反応終了後、反応系の温度を室温まで冷却し、沈殿溶媒を加えて低置換度酢酸セルロースを沈殿させる。沈殿溶媒としては、水と混和する有機溶剤又は水に対する溶解度の大きい有機溶剤を使用できる。例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール;酢酸エチルなどのエステル;アセトニトリルなどの含窒素化合物;テトラヒドロフランなどのエーテル;これらの混合溶媒などが挙げられる。
沈殿溶媒として二種以上の溶媒を含む混合溶媒を用いると、後述する沈殿分別と同様の効果が得られ、組成分布(分子間置換度分布)が狭く、組成分布指数(CDI)が小さい低置換度酢酸セルロースを得ることができる。好ましい混合溶媒として、例えば、アセトンとメタノールの混合溶媒、イソプロピルアルコールとメタノールの混合溶媒などが挙げられる。
また、沈殿させて得られた低置換度酢酸セルロースに対して、さらに沈殿分別(分別沈殿)および/又は溶解分別(分別溶解)を行うことにより、組成分布(分子間置換度分布)が狭く、組成分布指数(CDI)が非常に小さい低置換度酢酸セルロースを得ることができる。
沈殿分別は、例えば、沈殿して得られた低置換度酢酸セルロース(固形物)を水に溶解させ、適当な濃度(例えば、2〜10重量%、好ましくは3〜8重量%)の水溶液とし、この水溶液に貧溶媒を加え(又は、貧溶媒に上記水溶液を加え)、適宜な温度(例えば、30℃以下、好ましくは20℃以下)に保持して、低置換度酢酸セルロースを沈殿させ、沈殿物を回収することにより行うことができる。貧溶媒としては、例えば、メタノールなどのアルコール、アセトンなどのケトンなどが挙げられる。貧溶媒の使用量は、上記水溶液1重量部に対して、例えば1〜10重量部が好ましく、より好ましくは2〜7重量部である。
溶解分別は、例えば、上記沈殿させて得られた低置換度酢酸セルロース(固形物)或いは上記沈殿分別で得られた低置換度酢酸セルロース(固形物)に、水と有機溶媒(例えば、アセトンなどのケトン、エタノールなどのアルコールなど)の混合溶媒を加え、適宜な温度(例えば、20〜80℃、好ましくは25〜60℃)で撹拌後、遠心分離により濃厚相と希薄相とに分離し、希薄相に沈殿溶剤(例えば、アセトンなどのケトン、メタノールなどのアルコールなど)を加え、沈殿物(固形物)を回収することにより行うことができる。上記水と有機溶媒の混合溶媒における有機溶媒の濃度は、例えば、5〜50重量%が好ましく、より好ましくは10〜40重量%である。
[(c)洗浄、中和工程]
上述の(b)沈殿工程で得られた沈殿物(固形物)は、メタノールなどのアルコール、アセトンなどのケトンなどの有機溶媒(貧溶媒)で洗浄することが好ましい。また、塩基性物質を含む有機溶媒(例えば、メタノールなどのアルコール、アセトンなどのケトンなど)で洗浄、中和することも好ましい。なお、中和工程は加水分解工程の直後に設けてもよく、その場合には塩基性物質またはその水溶液を加水分解反応浴に添加するのが好ましい。
上述の(b)沈殿工程で得られた沈殿物(固形物)は、メタノールなどのアルコール、アセトンなどのケトンなどの有機溶媒(貧溶媒)で洗浄することが好ましい。また、塩基性物質を含む有機溶媒(例えば、メタノールなどのアルコール、アセトンなどのケトンなど)で洗浄、中和することも好ましい。なお、中和工程は加水分解工程の直後に設けてもよく、その場合には塩基性物質またはその水溶液を加水分解反応浴に添加するのが好ましい。
上記塩基性物質としては、例えば、アルカリ金属化合物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどのアルカリ金属カルボン酸塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどのナトリウムアルコキシドなど)、アルカリ土類金属化合物(例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金属炭酸塩;酢酸マグネシウム、酢酸カルシウムなどのアルカリ土類金属カルボン酸塩;マグネシウムエトキシドなどのアルカリ土類金属アルコキシドなど)などを使用できる。これらの中でも、特に、酢酸カリウムなどのアルカリ金属化合物が好ましい。
洗浄、中和により、加水分解工程で用いた触媒(硫酸など)などの不純物を効率よく除去することができる。
本発明の化粧料において上記低置換度酢酸セルロースは、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の化粧料における上記低置換度酢酸セルロースの含有量(配合量)は、特に限定されないが、化粧料の全量(100重量%)に対して、0.001〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜5重量%、さらに好ましくは0.05〜1重量%である。低置換度酢酸セルロースの含有量を0.001重量%以上とすることにより、より優れた保湿性を発現できる傾向がある。一方、低置換度酢酸セルロースの含有量を10重量%以下とすることにより、化粧料の粘度が高くなり過ぎず、皮膚全体に伸ばしやすいなど、使用感がより向上する傾向がある。
本発明の化粧料は、公知乃至慣用の方法により製造することができる。また、本発明の化粧料の剤型は特に限定されず、該化粧料は、例えば、水性化粧料、油性化粧料、固形化粧料、液状化粧料、練状化粧料、スティック状化粧料、揮発性油型化粧料、粉状化粧料、ゼリー状化粧料、ジェル状化粧料、ペースト状化粧料、乳化高分子型化粧料、シート状化粧料、ミスト状化粧料、スプレー型化粧料、エマルション型化粧料[例えば、水中油(O/W)型、油中水(W/O)型、W/O/W型、O/W/O型等]等として使用できる。
本発明の化粧料は種々の化粧料として使用でき、特に限定されないが、皮膚用化粧料として好ましく使用できる。本発明の化粧料を皮膚用化粧料として使用することにより、皮膚に対して潤いを長期間付与し、皮膚のかさつき感などを改善することができる。上記皮膚用化粧料としては、例えば、クレンジングクリーム、クレンジングミルク、クレンジングローション、クレンジングリキッド、洗顔クリーム、洗顔フォーム、マッサージクリーム、コールドクリーム、バニシングクリーム、スキンクリーム、スキンジェル、乳液、化粧水(例えば、美白化粧水など)、パック(例えば、ゼリー状ピールオフタイプ、ペースト状拭き取りタイプ、粉末状洗い流しタイプなど)、美容液、シェービングローション、アフターシェービングローション、アフターサンローション、リップクリームなどのスキンケア化粧料;日焼け止め料;ボディシャンプー、石鹸、ボディローション(例えば、ハンドケアローション、フットケアローションなど)、ボディクリーム、ボディオイル、デオドラントローション、浴用剤、ハンドクリームなどのボディケア化粧料;口紅、リップグロス、リップライナー、ファンデーション、化粧下地、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、頬紅、おしろい、眉墨などのメイク化粧料;ヘアシャンプー、ヘアリンス、コンディショナー、トリートメント、ヘアリキッド、ヘアトニック、ヘアローション、ヘアクリーム、染毛料、整髪料などの毛髪化粧料などの公知乃至慣用の皮膚用化粧料が挙げられる。
本発明の化粧料は、上述の低置換度酢酸セルロース以外にも、さらに、本発明の効果を損なわない範囲でその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、化粧料に使用される公知乃至慣用の成分を使用でき、特に限定されないが、例えば、水;グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなど)、ソルビタン脂肪酸エステル、糖脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油誘導体(例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステルなどのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステルなど)、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールと1価又は多価アルコールとのエステル、ポリオキシアルキレン糖エーテル、脂肪酸アミドとポリオキシアルキレングリコールとの縮合物、脂肪酸アミンとポリオキシアルキレングリコールとの縮合物、アルキル又はアルケニルポリグリコシドなどの非イオン界面活性剤;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩など)、アルキル硫酸エステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、オレフィンスルホン酸塩類(例えば、α−オレフィンスルホン酸塩など)、脂肪酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アミノ酸系界面活性剤(例えば、グルタミン酸など)、N−アシルメチルタウリン酸塩、アルキルリン酸塩などのアニオン性界面活性剤;アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、イミダゾリニウムベタイン、卵黄レシチン、大豆レシチンなどの両性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムなどの陽イオン界面活性剤;シリコーン、シリコーン誘導体、流動パラフィン、スクワラン、ミツロウ、カルナバロウ、オレンジラフィー油、牛脂、馬油、タートル油、ミンク油、卵黄油、ラノリン、鯨ロウ、キャンデリラロウ、モンタンロウ、ライスワックス、ラノリンワックス、セラック、オリーブ油、アボガド油、ツバキ油、ホホバ油、水添ホホバ油、アマニ油、アルモンド油、カカオ脂、カロット油、キューカンバー油、ククイナッツ油、グレープシード油、ゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シア脂、ダイズ油、茶油、月見草油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、ハトムギ油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマワリ油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、綿実油、モクロウ、ヤシ油、ラッカセイ油、ローズヒップ油、サザンカ油、ナタネ油、ハトムギ油、ヤシ硬化油、チョウジ油、ラベンダー油、ローズマリー油、テレビン油、ユーカリ油などの油分;カチオン化セルロース、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化グアーガム、カチオン化デンプン、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化デキストラン、カチオン化キトサン、カチオン化ハチミツなどのカチオン化多糖類;トリメチルグリシン、尿素、ヒアルロン酸誘導体(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ジメチルシラノールなど)、多価アルコール(例えば、グリセリン、ジグリセリン、マルチトール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、ソルビトール、ソルビタン、トレハロース、プロピレングリコールなど)、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸、ピロリドンカルボン酸誘導体、セラミド、ラウロイルグルタミン酸ジフィトステリルオクチルドデシル、フィトグリコーゲン、コンドロイチン硫酸、加水分解卵殻膜、アテロコラーゲンなどの保湿剤;イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、オクチルアルコール、デシルアルコール、アラキルアルコール、ヘキシルデカノール、キミルアルコール、β−グルカン、コレステロール、シトステロール、ジヒドロコレステロール、ステアリルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール、フィトステロール、ヘキシルデカノール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール、ラノリンアルコール、ミリスチルアルコールなどの高級アルコール;エタノール、プロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどの低級アルコール;多価アルコール;ラウリン酸、ベヘニン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸などの高級脂肪酸;セルロースエーテル、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースおよびその塩、パルミチン酸デキストリンなどの増粘剤;ベタイン化ジアルキルアミドアルキルアクリレート共重合体などの両性高分子化合物;ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体のカチオン化物、ポリジメチルジアリルアンモニウムハライド型カチオン性ポリマーなどのカチオン性高分子化合物;安息香酸塩、感光素、パラベン類(例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンなど)、フェノキシエタノール、サリチル酸、ソルビン酸、イソプロピルメチルフェノールなどの防腐剤;クエン酸、クエン酸ナトリウム、ビタミンE(トコフェロール)、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類などの酸化防止剤;アスコルビン酸、フィチン酸、ケファリン、マレイン酸などの酸化防止助剤;エデト酸塩、エチドロン酸塩などの金属封鎖剤;ベンゾフェノン誘導体(例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンなど)、パラアミノ安息香酸誘導体(例えば、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチルなど)、メトキシ桂皮酸誘導体(例えば、パラメトキシ桂皮酸エチル、パラメトキシ桂皮酸イソプロピル、パラメトキシ桂皮酸オクチル、パラメトキシ桂皮酸エチルヘキシルなど)、サリチル酸誘導体(例えば、サリチル酸オクチル、サリチル酸エチルヘキシル、サリチル酸フェニルなど)、ウロカニン酸、ウロカニン酸誘導体、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−(ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、アントラニル酸メチル、ホモサレート、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾンなどの紫外線吸収剤;酸化チタン、酸化亜鉛などの紫外線反射剤;ケラチンペプチド、コラーゲンペプチド、大豆ペプチド、コムギペプチド、ミルクペプチド、シルクペプチド、卵白ペプチドなどのタンパク質加水分解物;アルギニン、グルタミン酸、グリシン、アラニン、ヒドロキシプロリン、システイン、セリン、L−テアニンなどのアミノ酸;クジンエキス、カジルエキス、テンチカエキス、海草エキス、ユーカリエキス、ローヤルゼリーエキス、ローズマリーエキス、ブナの木エキス、茶エキス、アロエエキス、イチョウエキス、センブリエキス、ヨモギエキス、ニンニクエキス、オウゴンエキス、ヘチマエキス、胎盤抽出物、乳酸菌培養抽出物などの天然物エキス;グリチルリチン酸およびその誘導体、グリチルレチン酸およびその誘導体、アラントイン、酢酸ヒドロコーチ、コエンザイムQ10、アルブチン、ポリクオタニウム51、エラスチン、白金ナノコロイド、パルミチン酸レチノール、パンテノール、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム、L−アスコルビン酸2−グルコシド、エラグ酸、コウジ酸、リノール酸、トラネキサム酸、酢酸ヒドロコーチゾン、アズレンなどのその他の機能性成分;機能性ビーズ;カプセル類;粉体;リン脂質ポリマー;香料;色素などが挙げられる。本発明の化粧料におけるその他の成分の含有量は特に限定されず、化粧料の種類などに応じて適宜調整可能である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(合成例1)
酢酸セルロース(ダイセル社製、商品名「L−50」、アセチル基総置換度2.43、6%粘度:110mPa・s)1重量部に対して、5.1重量部の酢酸および2.0重量部の水を加え、40℃で5時間撹拌して外観均一な溶液を得た。この溶液に0.13重量部の硫酸を加え、得られた溶液を70℃に保持し、加水分解(部分脱アセチル化反応;熟成)を行った。なお、この熟成過程においては、途中で2回、水を系に添加した。すなわち、反応を開始して1時間後に0.67重量部の水を加え、さらに2時間後、1.67重量部の水を加え、さらに3時間反応させた。合計の加水分解時間は6時間である。なお、反応開始時から1回目の水の添加までを第1熟成、1回目の水の添加から2回目の水の添加までを第2熟成、2回目の水の添加から反応終了(熟成完了)までを第3熟成という。
加水分解を実施した後、系の温度を室温(約25℃)まで冷却し、反応混合物に15重量部のアセトン/メタノール=1/2(重量比)混合溶媒(沈殿化剤)を加えて沈殿を生成させた。
固形分15重量%のウェットケーキとして沈殿を回収し、8重量部のメタノールを加え、固形分15重量%まで脱液することにより洗浄した。これを3回繰り返した。洗浄した沈殿物を、酢酸カリウムを0.004重量%含有するメタノール8重量部でさらに2回洗浄して中和し、乾燥して、酢酸セルロース(低置換度酢酸セルロース)を得た。
酢酸セルロース(ダイセル社製、商品名「L−50」、アセチル基総置換度2.43、6%粘度:110mPa・s)1重量部に対して、5.1重量部の酢酸および2.0重量部の水を加え、40℃で5時間撹拌して外観均一な溶液を得た。この溶液に0.13重量部の硫酸を加え、得られた溶液を70℃に保持し、加水分解(部分脱アセチル化反応;熟成)を行った。なお、この熟成過程においては、途中で2回、水を系に添加した。すなわち、反応を開始して1時間後に0.67重量部の水を加え、さらに2時間後、1.67重量部の水を加え、さらに3時間反応させた。合計の加水分解時間は6時間である。なお、反応開始時から1回目の水の添加までを第1熟成、1回目の水の添加から2回目の水の添加までを第2熟成、2回目の水の添加から反応終了(熟成完了)までを第3熟成という。
加水分解を実施した後、系の温度を室温(約25℃)まで冷却し、反応混合物に15重量部のアセトン/メタノール=1/2(重量比)混合溶媒(沈殿化剤)を加えて沈殿を生成させた。
固形分15重量%のウェットケーキとして沈殿を回収し、8重量部のメタノールを加え、固形分15重量%まで脱液することにより洗浄した。これを3回繰り返した。洗浄した沈殿物を、酢酸カリウムを0.004重量%含有するメタノール8重量部でさらに2回洗浄して中和し、乾燥して、酢酸セルロース(低置換度酢酸セルロース)を得た。
(合成例2〜12)
反応温度、第1熟成時間、第2熟成時間、第3熟成時間、沈殿化剤を表1に示すように変更したこと以外は、合成例1と同様にして酢酸セルロース(低置換度酢酸セルロース)を得た。
反応温度、第1熟成時間、第2熟成時間、第3熟成時間、沈殿化剤を表1に示すように変更したこと以外は、合成例1と同様にして酢酸セルロース(低置換度酢酸セルロース)を得た。
各合成例で得られた低置換度酢酸セルロースのアセチル基総置換度(DS)、重量平均重合度(DPw)、多分散性(分散度)(Mw/Mn)、および組成分布指数(CDI)を下記の方法で測定した。製造条件および得られた低置換度酢酸セルロースの物性の測定結果(分析値)を表1に示す。なお、表1の「サンプル番号」は、得られた低置換度酢酸セルロースのサンプル番号を意味する。
(置換度(DS)の測定)
手塚の方法(Carbohydr. Res. 273, 83(1995))に準じて低置換度酢酸セルロース試料の未置換水酸基をプロピオニル化した。プロピオニル化低置換度酢酸セルロースのアセチル基総置換度は、手塚の方法(同)に準じて13C−NMRにおける169〜171ppmのアセチルカルボニルのシグナルおよび172〜174ppmのプロピオニルカルボニルのシグナルから決定した。
手塚の方法(Carbohydr. Res. 273, 83(1995))に準じて低置換度酢酸セルロース試料の未置換水酸基をプロピオニル化した。プロピオニル化低置換度酢酸セルロースのアセチル基総置換度は、手塚の方法(同)に準じて13C−NMRにおける169〜171ppmのアセチルカルボニルのシグナルおよび172〜174ppmのプロピオニルカルボニルのシグナルから決定した。
(重量平均重合度(DPw)、分散度(Mw/Mn)の測定)
低置換度酢酸セルロースの重量平均重合度および分散度は、プロピオニル化低置換度酢酸セルロースに導いた後に次の条件でGPC−光散乱測定を行うことで決定した。
装置:Shodex製 GPC 「SYSTEM−21H」
溶媒:アセトン
カラム:GMHxl(東ソー)2本、同ガードカラム
流速:0.8ml/min
温度:29℃
試料濃度:0.25%(wt/vol)
注入量:100μl
検出:MALLS(多角度光散乱検出器)(Wyatt製、「DAWN−EOS」)
MALLS補正用標準物質:PMMA(分子量27600)
低置換度酢酸セルロースの重量平均重合度および分散度は、プロピオニル化低置換度酢酸セルロースに導いた後に次の条件でGPC−光散乱測定を行うことで決定した。
装置:Shodex製 GPC 「SYSTEM−21H」
溶媒:アセトン
カラム:GMHxl(東ソー)2本、同ガードカラム
流速:0.8ml/min
温度:29℃
試料濃度:0.25%(wt/vol)
注入量:100μl
検出:MALLS(多角度光散乱検出器)(Wyatt製、「DAWN−EOS」)
MALLS補正用標準物質:PMMA(分子量27600)
(組成分布指数(CDI)の測定)
低置換度酢酸セルロースのCDIは、プロピオニル化低置換度酢酸セルロースに導いた後に次の条件でHPLC分析を行うことで決定した。
装置: Agilent 1100 Series
カラム: Waters Nova−Pak phenyl 60Å 4μm(150mm×3.9mmΦ)+ガードカラム
カラム温度: 30℃
検出: Varian 380−LC
注入量: 5.0μL(試料濃度:0.1%(wt/vol))
溶離液: A液:MeOH/H2O=8/1(v/v),B液:CHCl3/MeOH=8/1(v/v)
グラジェント:A/B=80/20→0/100(28min);流量:0.7mL/min
まず、アセチルDS(アセチル基総置換度)が0〜3の範囲でDS既知の標品をHPLC分析することで、溶出時間対DSの較正曲線を作成した。較正曲線に基づき、未知試料の溶出曲線(時間対検出強度曲線)をDS対検出強度曲線(組成分布曲線)に変換し、この組成分布曲線の未補正半値幅Xを決定し、次式により組成分布の補正半値幅Zを決定した。
Z=(X2−Y2)1/2
なお、Yは次式で定義される装置定数である。
Y=(a−b)x/3+b
a: アセチルDS=3の標品のX値
b: アセチルDS=0の標品のX値
x: 未知試料のアセチルDS
補正半値幅Zから、次式により組成分布指数(CDI)を決定した。
CDI=Z/Z0
ここに、Z0は全ての部分置換酢酸セルロースの調製におけるアセチル化および部分脱アセチル化が全ての分子の全ての水酸基(又はアセチル基)に対して等しい確率で生じた場合に生成する組成分布であり、次式で定義される。
低置換度酢酸セルロースのCDIは、プロピオニル化低置換度酢酸セルロースに導いた後に次の条件でHPLC分析を行うことで決定した。
装置: Agilent 1100 Series
カラム: Waters Nova−Pak phenyl 60Å 4μm(150mm×3.9mmΦ)+ガードカラム
カラム温度: 30℃
検出: Varian 380−LC
注入量: 5.0μL(試料濃度:0.1%(wt/vol))
溶離液: A液:MeOH/H2O=8/1(v/v),B液:CHCl3/MeOH=8/1(v/v)
グラジェント:A/B=80/20→0/100(28min);流量:0.7mL/min
まず、アセチルDS(アセチル基総置換度)が0〜3の範囲でDS既知の標品をHPLC分析することで、溶出時間対DSの較正曲線を作成した。較正曲線に基づき、未知試料の溶出曲線(時間対検出強度曲線)をDS対検出強度曲線(組成分布曲線)に変換し、この組成分布曲線の未補正半値幅Xを決定し、次式により組成分布の補正半値幅Zを決定した。
Z=(X2−Y2)1/2
なお、Yは次式で定義される装置定数である。
Y=(a−b)x/3+b
a: アセチルDS=3の標品のX値
b: アセチルDS=0の標品のX値
x: 未知試料のアセチルDS
補正半値幅Zから、次式により組成分布指数(CDI)を決定した。
CDI=Z/Z0
ここに、Z0は全ての部分置換酢酸セルロースの調製におけるアセチル化および部分脱アセチル化が全ての分子の全ての水酸基(又はアセチル基)に対して等しい確率で生じた場合に生成する組成分布であり、次式で定義される。
なお、下記におけるDSが2.14の酢酸セルロースとしては、商品名「LM−80」(置換度2.14、ダイセル社製)をそのまま使用した。
(合成例13)ヒアルロン酸−1の製造
1Lビーカー中でヒアルロン酸(分子量8000、キューピー(株)製)5.0gを水500mLに溶解させ、さらに40%水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液を撹拌しながら加えて、pHを7.2に調整した。pHを調整した後、凍結乾燥させ、ヒアルロン酸のテトラブチルアンモニウム塩を10.2g得た。
30mLサンプル瓶に、上記で得られたヒアルロン酸のテトラブチルアンモニウム塩1.0g、C12〜13アルキルグリシジルエーテル(反応試薬、四日市合成(株)製)2.0g、およびジメチルスルホキシド(DMSO)10mLを入れ、撹拌しながら70℃の水浴上で8時間反応させた。反応終了後、12.5%塩化ナトリウム水溶液を10mL加え、8%塩酸にてpH1.0に調整した。次いで、エタノール50mLを撹拌しながらゆっくり加え、ヒアルロン酸を沈殿させた。次いで、25%水酸化ナトリウムでpHを7.0に調整し、沈殿物をろ過にて回収し、80%エタノール50mLで3回洗浄した。その後、得られた沈殿物を60℃で真空乾燥させて、修飾ヒアルロン酸0.45gを得た。この修飾ヒアルロン酸を「ヒアルロン酸−1」と称する。
1Lビーカー中でヒアルロン酸(分子量8000、キューピー(株)製)5.0gを水500mLに溶解させ、さらに40%水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液を撹拌しながら加えて、pHを7.2に調整した。pHを調整した後、凍結乾燥させ、ヒアルロン酸のテトラブチルアンモニウム塩を10.2g得た。
30mLサンプル瓶に、上記で得られたヒアルロン酸のテトラブチルアンモニウム塩1.0g、C12〜13アルキルグリシジルエーテル(反応試薬、四日市合成(株)製)2.0g、およびジメチルスルホキシド(DMSO)10mLを入れ、撹拌しながら70℃の水浴上で8時間反応させた。反応終了後、12.5%塩化ナトリウム水溶液を10mL加え、8%塩酸にてpH1.0に調整した。次いで、エタノール50mLを撹拌しながらゆっくり加え、ヒアルロン酸を沈殿させた。次いで、25%水酸化ナトリウムでpHを7.0に調整し、沈殿物をろ過にて回収し、80%エタノール50mLで3回洗浄した。その後、得られた沈殿物を60℃で真空乾燥させて、修飾ヒアルロン酸0.45gを得た。この修飾ヒアルロン酸を「ヒアルロン酸−1」と称する。
なお、キューピー(株)製の分子量1,275,000のヒアルロン酸を、下記における「ヒアルロン酸−2」として、そのまま使用した。
(実施例1)
表2に示すように、合成例1で得た酢酸セルロース(WSCA−70−1.2)を表2に記載の濃度となるように水に分散(ほぼ溶解)させた。このようにして得られた分散液(酢酸セルロースがほぼ溶解した分散液)には、その他、濃度が0.15%となるように防腐剤(メチルパラベン)を加え、化粧料を調製した。
上記で得られた化粧料40μlを被験者の上腕部に均一に塗布した。塗布の直前、塗布後45分、塗布後60分の角質層の水分量(皮膚水分量;単位μS)を皮膚水分量測定装置「SKICON−200」(I.B.S.Co.,LTD製)を用いて測定した。塗布後45分(45分経過時)、塗布後60分(60分経過時)における皮膚水分量から塗布直前の皮膚水分量を差し引き、それぞれ塗布後45分、60分における皮膚水分変化量(単位μS)とした。このような評価を各水準について被験者6名(いずれも成人;男性3名、女性3名)について行い、得られた皮膚水分変化量の平均値を求めた。結果を表2に示す。
表2に示すように、合成例1で得た酢酸セルロース(WSCA−70−1.2)を表2に記載の濃度となるように水に分散(ほぼ溶解)させた。このようにして得られた分散液(酢酸セルロースがほぼ溶解した分散液)には、その他、濃度が0.15%となるように防腐剤(メチルパラベン)を加え、化粧料を調製した。
上記で得られた化粧料40μlを被験者の上腕部に均一に塗布した。塗布の直前、塗布後45分、塗布後60分の角質層の水分量(皮膚水分量;単位μS)を皮膚水分量測定装置「SKICON−200」(I.B.S.Co.,LTD製)を用いて測定した。塗布後45分(45分経過時)、塗布後60分(60分経過時)における皮膚水分量から塗布直前の皮膚水分量を差し引き、それぞれ塗布後45分、60分における皮膚水分変化量(単位μS)とした。このような評価を各水準について被験者6名(いずれも成人;男性3名、女性3名)について行い、得られた皮膚水分変化量の平均値を求めた。結果を表2に示す。
(実施例2〜12、比較例1、2、参考例1)
酢酸セルロース(WSCA−70−1.2)を表2に示すポリマーに変更するか、ポリマーを使用しなかった(比較例1)こと以外は実施例1と同様にして、化粧料の調製と、皮膚水分変化量の測定を実施した。得られた皮膚水分変化量(平均値)の結果を表2に示す。
酢酸セルロース(WSCA−70−1.2)を表2に示すポリマーに変更するか、ポリマーを使用しなかった(比較例1)こと以外は実施例1と同様にして、化粧料の調製と、皮膚水分変化量の測定を実施した。得られた皮膚水分変化量(平均値)の結果を表2に示す。
なお、参考例1においては、ヒアルロン酸−1とヒアルロン酸−2の両方を、それぞれの濃度が0.05重量%となるように使用した(即ち、ヒアルロン酸−1とヒアルロン酸−2の合計の濃度は0.1重量%である)。
また、表2には、得られた化粧料におけるポリマーの溶解状態(水溶性)を目視で確認した結果を示した。
表2に示すように、本発明の化粧料は皮膚に塗布することによって皮膚水分量を増加させることができ、なおかつその水分量を長時間保持することができ、保湿性に優れていた。なお、本発明の化粧料は、ヒアルロン酸および修飾ヒアルロン酸を含むもの(参考例1)と同等又はそれ以上の保湿性を有することが確認された。一方、低置換度酢酸セルロースを含まない場合(比較例1)、および、上記低置換度酢酸セルロースの代わりにアセチル基総置換度が2.14の酢酸セルロースを含む場合(比較例2)には、有効な保湿性は発現されなかった。
(実施例13)
合成例4で得た酢酸セルロース(WSCA−70−0.9)を、濃度が0.1重量%となるようにイオン交換水に溶解させ、酢酸セルロースを0.1重量%含有する化粧料(「サンプルA」と称する場合がある)を調製した。
上記で得た化粧料(サンプルA)を、2cm角に切断した豚(Yucatan Micropig)の皮膚(部位:腹部)に0.5mL塗布し、塗布してから10分後、30分後、及び60分後に、サンプルAを塗布した部分の角質層水分量(皮膚表面から高水分域までの水分量;単位μS)を、角層膜厚・水分計「ASA−M3」(アサヒバイオメソッド製)を使用して測定した。なお、サンプルAを塗布する前に、サンプルAの塗布部分の角質層水分量も同様に測定しておいた。サンプル数(N数)は6(水準1〜6)とした。結果を表3に示す。
サンプルAの塗布前、塗布後10分、塗布後30分、塗布後60分の角質層水分量のそれぞれについて平均値を算出し、表3に示した。このようにして得られた角質層水分量の平均値を図1に示すグラフにプロットした。
合成例4で得た酢酸セルロース(WSCA−70−0.9)を、濃度が0.1重量%となるようにイオン交換水に溶解させ、酢酸セルロースを0.1重量%含有する化粧料(「サンプルA」と称する場合がある)を調製した。
上記で得た化粧料(サンプルA)を、2cm角に切断した豚(Yucatan Micropig)の皮膚(部位:腹部)に0.5mL塗布し、塗布してから10分後、30分後、及び60分後に、サンプルAを塗布した部分の角質層水分量(皮膚表面から高水分域までの水分量;単位μS)を、角層膜厚・水分計「ASA−M3」(アサヒバイオメソッド製)を使用して測定した。なお、サンプルAを塗布する前に、サンプルAの塗布部分の角質層水分量も同様に測定しておいた。サンプル数(N数)は6(水準1〜6)とした。結果を表3に示す。
サンプルAの塗布前、塗布後10分、塗布後30分、塗布後60分の角質層水分量のそれぞれについて平均値を算出し、表3に示した。このようにして得られた角質層水分量の平均値を図1に示すグラフにプロットした。
(参考例2)
加水分解ヒアルロン酸(キューピー(株)製:平均分子量8000〜10000)を、濃度が0.1重量%となるように水に溶解させ、加水分解ヒアルロン酸を0.1重量%含有する化粧料(「サンプルB」と称する場合がある)を調製した。
上記で得た化粧料(サンプルB)を用いたこと以外は実施例13と同様にして、サンプルBの塗布前、塗布後10分、塗布後30分、塗布後60分の角質層水分量を測定した[サンプル数:6(水準1〜6)]。結果を表3に示す。また、実施例13と同様にして、角質層水分量の平均値を算出し、表3に示した。また、実施例13で得られた結果とともに、上記角質層水分量の平均値を図1に示すグラフにプロットした。
加水分解ヒアルロン酸(キューピー(株)製:平均分子量8000〜10000)を、濃度が0.1重量%となるように水に溶解させ、加水分解ヒアルロン酸を0.1重量%含有する化粧料(「サンプルB」と称する場合がある)を調製した。
上記で得た化粧料(サンプルB)を用いたこと以外は実施例13と同様にして、サンプルBの塗布前、塗布後10分、塗布後30分、塗布後60分の角質層水分量を測定した[サンプル数:6(水準1〜6)]。結果を表3に示す。また、実施例13と同様にして、角質層水分量の平均値を算出し、表3に示した。また、実施例13で得られた結果とともに、上記角質層水分量の平均値を図1に示すグラフにプロットした。
表3及び図1に示すように、本発明の化粧料(実施例13)は、加水分解ヒアルロン酸を含む化粧料(参考例2)と同様に高い保湿性を有することが確認された。
本発明の化粧料は、例えば、スキンケア化粧料、日焼け止め料、ボディケア化粧料、メイク化粧料、毛髪化粧料などの公知乃至慣用の各種皮膚用化粧料などとして好ましく使用できる。
Claims (3)
- アセチル基総置換度が0.4〜1.2の酢酸セルロースを含むことを特徴とする化粧料。
- 前記酢酸セルロースが、アセチル基総置換度が0.5〜1.1の酢酸セルロースである請求項1に記載の化粧料。
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CN115701981A (zh) * | 2020-07-13 | 2023-02-14 | 株式会社大赛璐 | 乙酸纤维素粒子、化妆品组合物以及乙酸纤维素粒子的制造方法 |
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- 2013-12-26 JP JP2013269696A patent/JP2015124183A/ja active Pending
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