JP2015123024A - 冷凍パン生地およびその製造方法 - Google Patents

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【課題】家庭で製パンする際に生ずる、多種類の材料の計量や、材料を混ぜこねる場所や労力を必要とせず、本格的なベーカリーのパンを安定して作成することができ、かつ、創作余地のある未発酵の冷凍パン生地を提供する。【解決手段】未発酵の冷凍パン生地であり、小分けして成形済とした、家庭用の加温可能な釜で焼成可能としたことを特徴とする、冷凍パン生地。【選択図】なし

Description

本発明は家庭用の製パン機、炊飯器などの、家庭に広くある加温可能な釜によって焼成できる冷凍パン生地およびその製造方法に関するものである。
現代の食生活において、パンは主食として朝食や昼食、おやつや間食にと、食卓に欠かせないものとなっている。そのため、手軽に美味しいパンを食べたいという需要が高まっている。
ここで、パンは原材料の準備から生地捏ね、成形、発酵、焼成まで様々な工程を要して製造されるために、通常家庭で食する場合はコンビニエンスストア、スーパーマーケットやベーカリーなどで焼成されたものを購入することが多い。しかし、店舗で販売されているパンの種類も限られており、購入したパンを食することに飽きるという傾向があった。
昨今では、計量した材料を投入すると、指定した時刻に自動でパン捏ねから発酵、焼成までできるホームベーカリーを利用して、焼きたてのパンを食する家庭も増えている。
特許文献1は混練、発酵、焼成の一連の工程を自動的に行なうようにしたパン製造機、特許文献2および特許文献3はパン生地の発酵を行うためのパン発酵モードとパン焼き上げモードとを備えた電気炊飯器に関するものであり、家庭で製パンを楽しむことができる。
特許文献4はジアセチル酒石酸モノグリセリドを含む製パン用の低温保存生地、特許文献5は低温域においてPH安定性を示すパン酵母及びそれを用いる製パンシステムに関するものであり、近年冷凍パン生地を購入し店舗で焼き上げ、販売・提供するフレッシュベーカリーや、レストランなどが、数多く出店されている。
特公平6−77549号公報(パン製造機) 特許3800191号公報(パン発酵モード付電気炊飯器) 特許3841057号公報(パン焼き上げモード付電気炊飯器) 特公平7−28643号公報(低温保存生地) 特許3055850公報(パン酵母)
前記特許文献1の示すパン製造機を家庭で使用する場合には、小麦粉や水、塩、イーストなどの原材料を計量して付属の容器にセットすることにより、生地捏ね・発酵・焼成工程がなされ、家庭でパンを作ることができる。しかし、原材料の質や気候等の条件が、その出来上がりに大きく影響を与え、さらに、計量に時間と手間がかかるため、常に一定水準を保ったおいしいパンを作ることは困難である。
また、主食としての米飯は欠かせないものであり、炊飯器は殆どの家庭に普及しているが、ホームベーカリーを置くスペースがないことや、性能の良いホームベーカリーは高価であるとの理由で購入をあきらめる家庭も多い。
前記特許文献2及び3は、パンの発酵や焼成ができる炊飯器について示すが、原材料の準備や計量と生地捏ねに時間と手間がかる上、前記パン製造機に比べ高温にならないため焼き色が付きにくく、パンのふくらみが悪いため、おいしいパンを焼くことは困難であった。
前記特許文献4および5は、低温での保存性が向上している冷凍パン生地や冷凍パン生地用の酵母について示すが、これら業務用のパン生地は、「家庭用の加温可能な釜」で焼くためには1個当たりの分量が合わないことや、包装単位が多いため家庭での品質の維持が難しいこと、オーブンなど家庭での焼き上げるための設備は無いこともあり、これらの技術を利用して家庭用のパン生地を作る試みはされていなかった
また、家庭の場合は、小型の家庭用の冷凍庫しかなく、庫内温度もばらつきが多く、安定した条件下での保存ができない場合が多い。通常冷凍パンは、イーストや膨張剤などにより変化するため不安定な状態にあり、業務用の冷凍庫で保管することが多く、家庭用の冷凍庫で保存した場合には、生地の劣化などが発生することが知られている。
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消すべく、通常の粉から焼き上げるパンに比べ、手間がかからず短時間で、仕上がりや味のばらつきの少ないおいしいパンを、家庭で手軽に焼くことが可能である冷凍パン生地及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決する為に鋭意努力した結果、日常的に家庭で炊飯器やホームベーカリー等を利用し、計量、生地捏ねを必要とせず簡単に焼きたてのパンを提供できる、冷凍パン生地及びその製造方法を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は、次のとおりである。
請求項1記載の本発明は、未発酵の冷凍パン生地であり、小分けして成形済とした、家庭用の加温可能な釜で焼成可能としたことを特徴とする、冷凍パン生地を要旨とするものである。
製パン工程は、生地を作る、生地を発酵させる、生地を焼く、という3段階からなる。「生地を作る」ためには、品質の良い原材料を購入し、正確に計量して、適正に捏ね上げ、分割、成形する必要がある。
ここで、小麦粉、水、塩、イースト、砂糖、牛乳、卵等の原材料は保存状態の良いものを選び、また、無駄が無いように、必要使用量以外の残った原材料を、後日の使用のために適正に保管する必要がある。また、使用する小麦粉によってもパンの仕上がりに微妙な違いが出る。次に、原材料は、正確に計量できるはかりを使用することにより、常に一定の状態の良いパンを作成することができる。特に、食塩等は原材料に対して使用する割合が少ないため、計量の仕方により、パンの出来具合が大きく異なる。さらに、原材料を混ぜ合わせ捏ね上げるには、気候や温度や湿度等室内環境の影響を考慮しながら、原材料を適時混ぜ合わせ、当初べたつく生地を、滑らかな均一に薄く伸びる状態になるよう、強さと速さを調整しながら捏ね上げる技術を要する。
捏ね上げた生地を家庭用の加温可能な釜で焼成可能な状態にするためには、捏ね上げ後にタイミングよく分割し、適正に成形する必要がある。成形に当たり、「まるめ」は適正な力で行うことで、発酵が適正に行われ、ふっくらと膨らんだパンが出来上がる
また、無駄なく製パンするために、1回あたり発酵、焼成できる単位で、適正量仕込み、管理することが重要である。
当該発明の冷凍パン生地は、発酵させていないため、冷凍保存における生地の損傷を受けにくく、冷凍状態で長期保存できるため、家庭の冷凍庫にストックして、必要なときに必要な分量を用いて製パンすることができる。
ここで、「家庭用の加温可能な釜」とは、フライパンや無水鍋等の調理道具、製パン機(ホームベーカリー)、炊飯器、オーブントースターやオーブンレンジ等の通常家庭にあり、日常使用される家庭用機器等をいう。使用する「釜」の大きさや容量にあわせてパン生地を適量使用するためには、少量に小分け分割し、成形されていることが望ましい。
以上より、請求項1記載の本発明によれば、本発明の冷凍パン生地は小分けして成形済であるため、家庭で、小麦粉や水、塩、イーストなどの原材料の購入、管理、計量の手間と時間を必要とせず、また、気候等の条件に大きく影響を受けずに、家庭用の加温可能な釜で、常に一定水準を保ったおいしいパンを焼きあげることができる。
請求項2記載の本発明は、冷凍パン生地は、糖と改良剤を調整して配合したことを特徴とする請求項1に記載の冷凍パン生地を要旨とするものである。
焼きあがったパンのおいしさは、外観から見たボリューム、形の均整、焼き色、表皮の美しさ、内面の気泡の状態を表すスダチ、輝きや明るさ、ソフト感等の内相色・内相質、食べたときの歯触り、舌触り等の食感、素材の味わい、発酵した風味等がもたらすものである。
「糖」は、イースト発酵の材料となるため、小麦粉中に含まれる澱粉が分解されて出来るグルコースの量を補填し、イーストとの働きにより、炭酸ガスとアルコールになり、炭酸ガスは生地を膨張させ、アルコールはパンに風味をつける。また、カラメル化やメイラード反応によりパンの色付きを良くしたり、パンに甘味を付けたり、澱粉質の老化を防ぎ柔らかさを保つ。ただし、糖の割合が多い場合には、浸透圧の上昇によるイースト活性や、グルテン結合の阻害など悪影響をおよぼすため、耐糖性のイーストを使用する必要がある。
「改良剤」は、酸化剤、酵素剤等からなるもので、パン生地に使われる性質の異なった原材料に添加して、水の硬度を調節し、イーストの栄養源となり、さらに、アルカリ性の強い生地を酸化させ、酵素剤、界面活性剤等の働きでグルテンの安定化と生地の物理的性質を調節して、発酵促進や窯伸び増大を図ることができる。
以上より、請求項2記載の本発明によれば、「家庭用の加温可能な釜」で、手間や時間を必要とせずに、常に一定水準を保ち、ふっくらと膨らんだ、おいしそうな焼き色のついた芳ばしい香りのパンを焼きあげることができる。
請求項3記載の本発明は、釜は、炊飯器、製パン機などの家庭用機器である請求項1または請求項2に記載の冷凍パン生地を要旨とするものである。
「家庭用の製パン機」は、パン生地を発酵後焼成するための最適な温度と時間が設定されているため、おいしそうな焼き色のついた芳ばしい香りのパンを焼きあげることができる。
「家庭用の製パン機」や、パン発酵モードとパン焼き上げモードとを備えた電気炊飯器がない家庭でも、通常の「家庭用の炊飯器」を工夫して使用することにより、おいしそうな焼き色のついた芳ばしい香りのパンを焼きあげることができる。この場合、炊飯のために最適の温度設定がなされており、パンに十分な焼き色がつかない時点でも、設定の温度に到達すると炊飯工程が止まってしまうが、1回目約20分、2回目10分、3回目はパンを裏返して15分、総計約50分焼き色がつくまで炊飯工程を繰り返すことで、最適なパンを焼きあげることができる。
以上より、請求項3記載の本発明によれば、炊飯器、製パン機などの家庭用機器で、手間や時間を必要とせずに、常に一定水準を保ち、ふっくらと膨らんだ、おいしそうな焼き色のついた芳ばしい香りのパンを焼きあげることができる。
請求項4記載の本発明は、釜は、フライパンや無水鍋等の調理道具である請求項1または請求項2に記載の冷凍パン生地を要旨とするものである。
パン発酵モードとパン焼き上げモードとを備えた電気炊飯器がない家庭や、ホームベーカリーを置くスペースがないことや、性能の良いホームベーカリーは高価であるとの理由で購入をあきらめる多くの家庭においても、通常、家庭にはフライパンや無水鍋等の鍋類はあるため、これらの鍋に当該発明の冷凍パン生地を適宜並べて発酵した後、加熱することによりパンを焼成することができる。
以上より、請求項4記載の本発明によれば、家庭にあるフライパンや無水鍋等で手間や時間を必要とせずに、常に一定水準を保ち、ふっくらと膨らんだ、おいしそうな焼き色のついた芳ばしい香りのパンを焼きあげることができる。
請求項5記載の本発明は、焼成前に家庭用の炊飯器、製パン機等の家庭用機器で発酵させる請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の冷凍パン生地および製パン方法を要旨とするものである。
当該発明の冷凍パン生地は、丸められて成形されているが、発酵させていないため、冷凍保存における生地の損傷を受けにくい。そのため、冷凍状態で長期保存でき、家庭の冷凍庫にストックして、必要なときに必要な分量を、解凍後そのまま、あるいは、解凍後成形し、発酵させることにより、ふっくらと膨らんだ、おいしそうな焼き色のついた芳ばしい香りのパンを焼きあげることができる。
以上より、請求項5記載の本発明によれば、手間や時間を必要とせずに、常に一定水準を保ち、ふっくらと膨らんだ、おいしそうな焼き色のついた芳ばしい香りのパンを焼きあげることができる。
請求項6記載の本発明は、釜に入れ発酵後に焼成させる、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の冷凍パン生地および製パン方法を要旨とするものである。
当該発明の冷凍パン生地は、丸められて成形されているが、発酵・焼成させておらず、生地の損傷を受けにくいため、解凍後そのまま、あるいは、解凍後成形し、焼成するための容器に入れて発酵・焼成することにより、常に一定水準を保ち、おいしそうな焼き色のついた芳ばしい香りのパンを焼きあげることができる。
以上より、請求項6記載の本発明によれば、手間や時間を必要とせずに、常に一定水準を保ち、ふっくらと膨らんだ、おいしそうな焼き色のついた芳ばしい香りのパンを焼きあげることができる。
請求項7記載の本発明は、冷凍パン生地は、小分け包装としたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の冷凍パン生地を要旨とするものである。
無駄なく製パンするために、1回あたり発酵、焼成できる単位で、適正に保管することが重要であり、そのためには冷凍パン生地を必要なときに必要な分量を製パンすることができる少数個単位の包装であり、冷凍状態で、より長期間保存できるトレーシール包装や、深絞り包装等の包装形態が望ましい。
以上より、請求項7記載の本発明によれば、一度に使用・保管できる単位に、小分け包装することで、流通過程や家庭での品質の維持がより長期間保存可能となり、手間や時間を必要とせずに、常に一定水準を保ち、ふっくらと膨らんだ、おいしそうな焼き色のついた芳ばしい香りのパンを焼きあげることができる。
請求項8記載の本発明は、未発酵の冷凍パン生地であり、小分けして成形済とした、家庭用の加温可能な釜で焼成可能としたことを特徴とする、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の冷凍パン生地の製造方法を要旨とするものである。
請求項8記載の本発明によれば、家庭で手間や時間を必要とせずに、常に一定水準を保ち、ふっくらと膨らんだ、おいしそうな焼き色のついた芳ばしい香りのパンを焼くことができる冷凍パン生地を製造できる。
以上述べたように本発明の冷凍パン生地は、家庭の冷凍庫で良い状態で保管できるため、必要なときに必要なだけ使用して、炊飯器やホームベーカリー等を用い、手間と時間をかけずに、本格的な職人仕様のレシピと材料と技術で作成されたパン生地で、常に一定水準を保ったおいしい焼き立てのパンを作ることができる。さらに好みの材料を加えて、自分好みのオリジナルのパンを焼くこともできる。本発明によれば、当該冷凍パン生地及びその製造方法を提供することができる。
以下本発明を実施するための形態について説明するが、本発明はこれに限定されたものでないことは、言うまでもない。
1.冷凍パン生地の製造について
本発明により製造される冷凍パン生地には、リーンな食パンタイプ、リッチなブリオッシュタイプの他、さまざまな原材料の配合により作られるパン生地がある。
[パン生地のタイプ]
「リーン」とは、「簡素な」「脂肪のない」という意味があり、「リーン」タイプのパンとは、パン作りに最低限必要な、粉、水、塩、イーストの4つの主原料に近い配合により作られた、粉の味を楽しむフランスパンや食パン等のパンをいう。
「リッチ」とは「豊富な」「こくのある」という意味があり、「リッチ」タイプのパンとは、粉、水、塩、イーストの4つの主原料に加え、卵やバター、砂糖、乳製品などの副材料が多い配合で作られた、原材料による風味の良い、ブリオッシュやバターロール、菓子パン等のパンをいう。
バター等「油脂」は、パン生地の伸展性を高め、パンの容積を大きくすることにより良く膨らみ火通りが良くなるため、出来上がったパンがふっくらと香ばしくなり、スダチを均一で細かくし、ツヤを出し、クラスト(焼き色のついた外皮の部分)を薄く柔らかくし、パンの水分の蒸発を防ぎ老化を遅らせ、油脂特有の味・香り・風味をパンに加え、さらに栄養価を高める。
[パンの製造工程]
製パンには、ミキシング(捏ね)−1次発酵−分割−成形−2次発酵(ホイロ)−焼成の、各工程を要する。
「直捏法」は、パン生地を1回のミキシング(捏ね)で行う製法で、利点は、配合された材料を一度に捏ねるため作り方がシンプルでわかりやすく、発酵時間が比較的短く原材料の風味を出しやすい。欠点は、発酵時間が短いため小麦粉と水の調和が不充分で生地の伸展性が悪く、パンの硬化も早くなりやすく、各工程を確実に行わないと焼きあがりにばらつきが出るため、技術を要する。
「中種法」は、原材料のうち、小麦粉、イースト、水の一部を混ぜ合わせて中種を作り発酵させた後に、残りの原材料を混ぜ合わせて生地を作る方法をいう。利点は、イースト使用量を少なく、小麦粉の水和促進が期待でき、パンの味の点では発酵時間が長くなることにより発酵副産物が増えるため風味豊かなパンになるとともに、パンの硬化もおそく比較的長持ちするパンが出来、工程では生地の伸展性が増し成形が容易で生地の膨張も良くなりさらに、時間的なずれにも対応性があり製パンしやすいことである。一方、欠点は、時間が長くかかり製法が複雑になること、クラムが柔らかく歯ごたえがないこと等ある。
本発明においては直捏法でも、中種法でもよく、特に限定されるものではない。
「捏ね上げ温度」は、捏ね上がり時の生地の温度をいい、生地の温度は発酵時間やパンの焼きあがりに影響する。発酵過程で生地温度が上昇するため、24℃〜30℃に捏ね上げ、焼成時に生地の温度が最もイーストが活動する32℃〜35℃になるように設定する。イーストは45℃以上になると死滅しはじめる。このため、原材料や器具を冷却・保温、ミキシング時間を調節等することにより、生地温度や生地状態を確認しながら工程を進める。
「まるめ(成形)」は、分割の後、表面に張りをもたせ、球状にすることをいい、生地に刺激を与えることによって、中の気泡は均一になり、生地の抗張力が高まり、ボリュームがでる。適正な力でまるめることで、発酵がスムースに行われ、ふっくらと膨らんだおいしいパンが出来上がる。
「窯のび」は、焼成工程においてオーブン内でパン生地が膨らむことをいい、釜に入ったパン生地の発酵は、生地温度が60℃くらいになるまで続き、発酵により産生される炭酸ガスの気泡が加熱されてさらに膨張するのにともない、それを包んでいるグルテンの膜も伸びてパンのボリュームを大きくする。使用する釜により、同じ生地であってもパンの出来栄えは大きく異なる。
(1)冷凍パン生地(食パンタイプ)について
[配合]
下記表1の配合により、リーンタイプのパンである食パンタイプの冷凍パン生地を調整した。配合は、小麦粉を100%と固定し、他の材料はその割合を示す、製パン独特の表示方法である「ベーカーズパーセント」で表す。
[製造工程]
以下表2のとおり、ミキサーに強力粉、生イースト、上白糖、食塩、脱脂粉乳、発酵種、改良剤、水を投入し、低速3分、高速5分攪拌した後、クリームチーズ、ショートニング、マーガリンを投入し、低速3分、高速6分攪拌する直捏法により製造した。捏ね上げ温度は22℃であった。その後フロアータイムを10分取り、1個当たり45gに分割して、丸めた後、冷凍生地ラインのスパイラルフリーザーで凍結した。
ここで、ショートニング、マーガリンの油脂は、他の原材料を攪拌後に投入することにより、グルテンのつながりが強くなり、捏ね時間の短縮を図ることができる。ホームベーカリーでパン生地を捏ねる場合、通常はすべての原材料を一度に容器に投入して攪拌をはじめる。
この発明において「フロアータイム」とは、捏ね上げ後弾力が強く伸ばしにくくなった生地を、膨張により弾力を低下させ、伸展性良く、分割・成形時に扱いやすい生地にするために、5分から10分の短い時間、生地を休ませることをいう。
(2)冷凍パン生地(ブリオッシュタイプ)について
[配合]
下記表3の配合により、ブリオッシュタイプの冷凍パン生地を調整した。当配合は、生地そのままでも、また、生地にチョコレートチップなどの他の材料を加えて成形し焼成できるように、市販のブリオッシュに比べ、糖分(主に上白糖)と油脂分(主にマーガリン、ショートニング)を減らした。これにより、当該冷凍パン生地を用いて、幅広い多種類のパンを作ることができる。
[製造工程]
以下表4のとおり、ミキサーに、強力粉、上白糖、食塩、脱脂粉乳、生イースト、卵黄、全卵、牛乳、改良剤、水を投入し、低速3分、高速6分攪拌した後、ショートニング、マーガリンを投入し、低速3分、高速8分攪拌する直捏法により製造した。捏ね上げ温度は22℃であった。その後フロアータイムを10分取り、1個当たり50gに分割して、丸めた後、冷凍生地ラインのスパイラルフリーザーで凍結した。
2.冷凍パン生地の包装単位および包装方法
パン生地を冷凍保存する場合、パン生地を乾燥させると、生地が損傷してパンが膨らみにくくなり、外観やおいしさが損なわれる。また、包装されたパン生地の周りに空気が多く存在すると、空気中の水分が霜となりパン生地の表面に付着し、解凍時に付着した霜が水となりべたつくため、作業性が悪くなり、出来上がったパンの外観やおいしさが損なわれる。そこで、冷凍パン生地を、必要なときに必要な分量を製パンすることができるように、少数個単位で、かつ、空気を排除し密封可能な包装形態および包装材料によることが望ましい。包装形態としては、深絞り包装、トレーシール包装、ピロー包装、ガス充てん包装、脱酸素剤封入包装等の包装形態が考えられる。また、包装材料としては、引張強伸度、破裂強度、引裂強度、耐衝撃性、耐ピンホール性、ガスバリヤー性、低透湿度性、保香性、ヒートシール強度、耐寒性の高い積層フィルムが考えられる。これにより、冷凍パン生地の保存性が高まり、衛生上の問題のない、かつ、生地の劣化・損傷を防ぎ、常に一定水準を保った、おいしいパンを作ることができる。
3.冷凍パン生地の使用について
冷凍パン生地による製パン工程は、解凍工程→発酵工程→加熱(焼成)工程をとる。解凍工程は、冷蔵解凍、常温解凍でもよいが、電子レンジで解凍することにより時間を短縮できる。発酵工程および加熱(焼成)工程は、家庭用の加温可能な釜ででき、炊飯器、ホームベーカリーで行うと簡便である。
(1)冷凍パン生地の解凍工程
電子レンジでの解凍は、ブリオッシュタイプの冷凍パン生地6個を、それぞれ付着しないように耐熱性の丸平皿に同心円状に並べ、レンジの解凍モードで約8分行う。生地の温度が上がりすぎると、生地中のイーストが弱まり、低いと発酵が不足して膨らみにくくなるため、生地温度は10℃以上30℃以下の、指で押して生地が少しへこむ状態とする。まだ生地温度が低く硬い場合は、釜にセットしてから、10分〜20分後に、スタートする(下記表5)。
(2)冷凍パン生地の発酵・焼成工程
発酵・焼成工程は、炊飯器、ホームベーカリーを利用すると工程を連続して行えるため、簡便に常に一定水準を保ったおいしい焼き立てのパンを作ることができる。
当該発明による冷凍パン生地は、リーンタイプとリッチタイプのシンプルな生地のため、食パン、アンパン、クリームパン、ピザ、ピタ、ラップ、チャパティ、プーリ、グリッシーニ、トルタ、タラッリ、ベーグル、肉まん、あんまん、花巻、飲茶、お焼き、ブリオッシュ、サバラン、ボストック、モンキーブレッド、編みパン、シュトーレン、ワッフル(リエージュタイプ)、揚げパン、イーストドーナッツ、ツイストドーナッツ、カレーパン(揚げ、焼)、ピロシキ等、様々なパンを作ることができる。
そのうちピザ、ピタ、ラップ、チャパティ、プーリ、グリッシーニ、トルタ等は、常温でのベンチタイムの後、成形後加熱・焼成可能なものである。さらに、焼成については、オーブントースターや、フライパンでの焼成、ベーグル、タラッリ等茹でた後に焼成、カレーパン、ピロシキ等油で揚げる等の加熱方法も可能である。
また、当該冷凍パン生地を、様々な形状に成形したり、材料を混ぜたり、包んだりすることで、常に一定水準を保った自分好みのオリジナルのおいしい様々なパンを作ることができる。
[炊飯器による発酵・焼成]
炊飯器(シャープ製)を利用し、家庭で簡単に焼きたてのパンを食することができる。炊飯器では焼成温度が低いが、当該発明の冷凍パン生地は、糖や改良剤の調整により焼き色が付きやすく、膨らみの良いパンとなっている。さらに糖分が多く焼き色が付きやすいリッチタイプのパン生地は良好であった。
当該発明の食パンタイプおよびブリオッシュタイプの冷凍パン生地について、レンジ解凍(約8分、温度ムラ有り)後のパン生地を釜の底部壁面に沿って均等に6個並べ、炊飯器保温工程(発酵:約30分〜50分)、炊飯器炊飯工程(焼成1回目:約20分できれる)、再度炊飯工程(焼成2回目:約10分できれる)、裏返して再度炊飯工程(焼成3回目:約15分できれる)をした。焼成合計45分、総工程約100分を要した(下記表7)。ホイロ(2次発酵)機能を有し、釜の6〜8割程度膨らんだ。保温工程には炊飯器にタイマーが無い為、時間管理が必要である。
[ホームベーカリーによる発酵・焼成]
当該発明のブリオッシュタイプの冷凍パン生地について、レンジ解凍(約8分、温度ムラ有り)後のパン生地を、羽を外した釜の底部壁面に沿って中心の棒に触れないように均等に6個並べ、(下記表6)、ホームベーカリーの「早焼きモード」で発酵・焼成した(下記表7)。「早焼きモード」とは、ねり・こね・ねかし・一次発酵(機種により表記が違う)を60分〜90分、(二次)発酵を30分〜60分、焼成を30分〜45分となる設定が可能で、標準の製パンには全工程約4時間必要とするところ、機種により異なるが、焼成工程になるまでに約1時間30分、合計約2時間で焼きあがる製パンモードをいう。
下記表8は、ブリオッシュタイプの冷凍パン生地の解凍、発酵、焼成のポイントを示す。
解凍したパン生地を釜に入れる場合、まっすぐに高さを揃えておくことにより、形の良いパンに焼きあがる(下記表9)。
(3)当該冷凍パン生地を使用した応用パン
[ホームベーカリーによる「チョコナッツブリオッシュ」の発酵・焼成]
ブリオッシュタイプの冷凍パン生地の使用応用例として、「チョコナッツブリオッシュ」を作成した。下記表10は、材料と道具であり、チョコチップ、くるみ八割、手粉、ブリオッシュタイプの冷凍パン生地、麺棒(生地を伸ばす)、耐熱容器(皿等)を示す。
下記表11、表12は、冷凍パン生地(ブリオッシュタイプ「チョコナッツブリオッシュ」)の解凍、発酵、焼成のポイントを示す。

当該発明の冷凍パン生地は本格的な職人仕様のレシピと材料と技術で作成され、状態よく保存可能なため、手間と時間をかけずに、常に一定水準を保ったおいしいアンパン、クリームパン、ピザ、ピタ、ラップ、チャパティ、プーリ、グリッシーニ、タラッリ、トルタ、ベーグル、肉まん、あんまん、花巻、飲茶、お焼き、ブリオッシュ、サバラン、ボストック、モンキーブレッド、編みパン、シュトーレン、ワッフル(リエージュタイプ)、揚げパン、イーストドーナッツ、ツイストドーナッツ、カレーパン、ピロシキ等多種多様のアレンジパンを作ることができる。
日常の家庭においても、また、ホームパーティでのコミュニケーションのツールとして、さらに家庭外では、保育園や幼稚園での体験学習、学校の児童・生徒の調理実習や、育成室のおやつ作成、公共施設での体験学習、老人施設でのレクリーエーション等でも使用できる有用な冷凍パン生地である。

Claims (8)

  1. 未発酵の冷凍パン生地であり、小分けして成形済とした、家庭用の加温可能な釜で焼成可能としたことを特徴とする、冷凍パン生地。
  2. 冷凍パン生地は、糖と改良剤を調整して配合したことを特徴とする、請求項1に記載の冷凍パン生地。
  3. 釜は、炊飯器、製パン機等の家庭用機器である、請求項1または請求項2に記載の冷凍パン生地。
  4. 釜は、フライパンや無水鍋等の調理道具である、請求項1または請求項2に記載の冷凍パン生地。
  5. 冷凍パン生地は、焼成前に家庭用の炊飯器、製パン機等の家庭用機器で発酵させる、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の冷凍パン生地および製パン方法。
  6. 冷凍パン生地は、釜に入れ発酵後に焼成させる、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の冷凍パン生地および製パン方法。
  7. 冷凍パン生地は、小分け包装としたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の冷凍パン生地。
  8. 未発酵の冷凍パン生地であり、小分けして成形済とした、家庭用の加温可能な釜で焼成可能としたことを特徴とする、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の冷凍パン生地の製造方法。
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