JP2015122401A - 追尾型太陽光発電装置および追尾型太陽光発電システム - Google Patents

追尾型太陽光発電装置および追尾型太陽光発電システム Download PDF

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宏和 永井
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政也 鈴木
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大地 徳安
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健二 保浦
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Abstract

【課題】発電モジュールの回転を制限するソフトリミットをハードリミットに近接した回転角に設けることができるとともに、ソフトリミット作動中におけるハードリミットの作動頻度が抑制された追尾型太陽光発電装置および追尾型太陽光発電システムを提供すること。
【解決手段】発電モジュールの回転位置の変化を制限する駆動制限手段は、第一、第二、第三駆動制限手段を備える。第一駆動制限手段は、発電モジュールの回転位置を第一可動範囲の中に物理的に制限する。第二駆動制限手段は、駆動部を電気的に制御し、発電モジュールの回転位置が、第一可動範囲の内側に存在する第二可動範囲の外に出ると、回転位置の変化を停止する。第三駆動制限手段は、第二駆動制限手段が作動している状態で、発電モジュールの回転位置が第二可動範囲の外縁上の停止位置よりも外側にある時、可動範囲の外縁上または内側に設けられた復帰位置に移動させるように、制御を行う。
【選択図】図4a

Description

本発明は、追尾型太陽光発電装置および追尾型太陽光発電システムに関するものであり、さらに詳しくは、発電モジュールの回転位置の変化に制限が設けられた追尾型太陽光発電装置およびそのような追尾型太陽光発電装置を複数備えてなる追尾型太陽光発電システムに関するものである。
集光装置を備える太陽光発電装置においては、発電モジュールの受光面を太陽光の入射方向に垂直に向けることによって、高効率の発電を行うことができる。そこで、天球における太陽の運動に伴って、発電モジュールの受光面を常に太陽光の入射方向に垂直に向けられるように、太陽光発電装置には、太陽追尾架台がしばしば備えられる。太陽追尾架台が、発電モジュールを方位角方向および高度方向に回転可能に支持することにより、発電モジュールの受光面が太陽の位置を追尾することが可能とされる。この時、発電モジュールの受光面の回転位置は、例えば特許文献1に記載されるように、天球における太陽の位置を天文学的知見に基づいて算出することにより、決定することができる。
また、この種の追尾型太陽光発電装置においては、太陽追尾架台を利用して、通常の太陽追尾以外の制御が行われる場合も多い。例えば、特許文献2には強風発生時等の損傷を回避するために、退避動作を行うことが記載されている。
特開2009−186094号公報 特開2009−176842号公報
追尾型太陽光発電装置において、強風の発生等によって発電モジュールが回転可能な範囲を超えてしまうと、発電モジュールが太陽追尾架台や周囲の発電モジュールと衝突する等の事態が発生し、発電モジュールや太陽追尾架台が損傷を受ける可能性がある。特許文献2に記載されるような退避動作を行う追尾型太陽光発電装置であっても、強風が突然吹いた場合には退避動作を取ることができず、衝突等を起こす場合がある。このような事態を回避するため、太陽光発電モジュールが回転することができる可動範囲を設定し、この可動範囲の外縁に、駆動制限手段(ハードリミット)を設けて、ハードリミットを超える発電モジュールの回転を物理的に制限する場合がある。通常、ハードリミットは、衝突等、太陽光発電モジュールや太陽追尾架台に損傷を与える状態となる限界に近接して設けられる。ハードリミットが作動すると、安全のために、太陽追尾架台への電源供給を強制遮断するなど、自動復帰できない状態とされる。つまり、ハードリミットが一旦作動すると、追尾型太陽光発電装置の再起動のために、電源の復旧等の作業が必要となる。このような再起動のための操作を要する頻度を低くし、またメカニカルスイッチ等、ハードリミットを構成する部材の寿命を維持するために、ハードリミットの作動頻度は低い方が好ましい。そこで、ハードリミットが設けられた可動範囲よりも狭い別の可動範囲で作動するソフトリミットを設け、ソフトウェア上の処理によって発電モジュールの回転を制限する場合がある。ソフトリミットが作動した場合には、ソフトウェア上の操作によって、太陽追尾を再開させることができる。
ハードリミットに加え、ソフトリミットが設けられる場合、発電効率の低下を回避する観点から、ソフトリミットをハードリミットに近接した回転角に設ける場合がある。すると、ソフトリミットが作動して太陽追尾を停止している状態で強風が吹くと、発電モジュールが揺動し、ハードリミットを容易に作動させてしまう可能性がある。しかし、上記のように、ハードリミットが作動する頻度は、なるべく低減することが好ましい。
本発明が解決しようとする課題は、発電モジュールの限界を超える回転を制限するためのハードリミットとソフトリミットを備える追尾型太陽光発電装置において、ソフトリミットをハードリミットに近接した回転角に設けることができるとともに、ソフトリミットが作動している状態におけるハードリミットの作動頻度が抑制された追尾型太陽光発電装置を提供すること、そしてそのような追尾型太陽光発電装置を備えてなる追尾型太陽光発電システムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明にかかる追尾型太陽光発電装置は、受光面に入射された太陽光によって太陽光発電を行う発電モジュールと、前記発電モジュールの回転位置を変化させ、前記受光面を太陽光の入射方向に略垂直に向ける駆動部と、前記駆動部による前記発電モジュールの回転位置の変化を制御する制御部と、を有してなり、前記制御部は、前記発電モジュールの回転位置の変化を制限する駆動制限手段を備え、前記駆動制限手段は、前記発電モジュールの回転位置を第一可動範囲の中に物理的に制限する第一駆動制限手段と、前記駆動部を電気的に制御し、前記発電モジュールの回転位置が、前記第一可動範囲よりも狭く、前記第一可動範囲の中に含まれる第二可動範囲の外に出ると、前記駆動部による発電モジュールの回転位置の変化を停止する第二駆動制限手段と、前記第二駆動制限手段が前記発電モジュールの回転位置の変化を停止している状態で、前記発電モジュールの回転位置が、前記第二可動範囲の外縁に設けられた停止位置よりも前記第一可動範囲の外縁側にある時、前記発電モジュールを、前記第二可動範囲の外縁上または内側に設けられた復帰位置に移動させるように、前記駆動部を制御する第三駆動制限手段と、を有することを要旨とする。
また、前記第一可動範囲の外縁と前記第二可動範囲の外縁の間の差は、前記発電モジュールの回転中心に対して2度以上5度以下の範囲にあるとよい。
また、前記追尾型太陽光発電装置はさらに、風速を計測する風速計測部を有し、前記制御手段はさらに、前記風速計測部によって計測された風速が退避基準風速以上であると、前記発電モジュールに印加される風圧が小さくなる退避位置に、前記発電モジュールの回転位置を変化させる退避制御手段を有することが好ましい。
この場合に、前記退避位置は、前記受光面が水平に上方を向いた状態から5度以上20度以下の範囲で傾斜した回転位置であるとよい。
さらに、前記制御部は、前記退避位置から、前記受光面が太陽光の入射方向に略垂直に向いた追尾位置、あるいは日没時または日の出時の太陽光の入射方向に略垂直に向いた待機位置へと、前記発電モジュールの回転位置を変化させる退避解除手段をさらに有し、前記発電モジュールが前記退避位置にある状態で、前記風速計測部が前記退避基準風速以上の風速を検出した後、前記発電モジュールが前記退避位置から前記待機位置まで動くのに要する時間の2倍および前記風速の自己相関の二乗が0.5となる時間のうち長い方の時間が経過するまでの間に、再度前記風速計測部が前記退避基準風速以上の風速を検出しなかった時に、前記退避解除手段による前記駆動部の制御が実行されることが好ましい。
本発明にかかる追尾型太陽光発電システムは、上記のような追尾型太陽光発電装置を複数備えてなることを要旨とする。
ここで、前記複数の追尾型太陽光発電装置は、前記追尾型太陽光発電装置を少なくとも1台含んでなる複数のグループに分けられ、前記第三駆動制限手段、前記退避制御手段、および前記退避解除手段の少なくとも1つによる前記駆動部の制御は、前記グループごとに、時間間隔を設けて実行されることが好ましい。
上記追尾型太陽光発電装置は、ハードリミットとしての第一駆動制限手段と、ソフトリミットとしての第二駆動制限手段とを備え、第二駆動制限手段によって規定される第二可動範囲が、第一駆動制限手段によって規定される第一可動範囲よりも狭くなっている。そして、第二駆動制限手段によって発電モジュールの回転位置の変化が停止されている状態において、発電モジュールの回転位置が、第二可動範囲の外縁にある停止位置から外側に逸脱していれば、第三駆動制限手段によって、発電モジュールの回転位置が、第二可動範囲の外縁または内側に設けられた復帰位置へと戻される。つまり、第二駆動制限手段が作動し、発電モジュールの回転位置の変化が停止されている状況で、強風の発生による揺れ等によって、発電モジュールの回転位置が動いてしまった場合にも、第一駆動制限手段が作動される前に、発電モジュールの位置を内側にある前記復帰位置に戻すことができる。これにより、第二可動範囲を第一可動範囲に近接した角度範囲に設けたとしても、第一駆動制限手段が作動される機会を抑制しながら、発電モジュールおよび駆動部を周囲の物体との衝突等による損傷から保護することができる。
ここで、復帰位置が、第二可動範囲の外縁よりも内側に存在する場合には、復帰位置に復帰させた発電モジュールが強風による揺動等を起こすことで、第一駆動制限手段が作動される確率を、さらに低くすることができる。
また、第一可動範囲の外縁と第二可動範囲の外縁の間の差が、発電モジュールの回転中心に対して2度以上である場合には、第二駆動制限手段が作動した状態で強風による揺れ等のために発電モジュールの回転位置が第二可動範囲の外に出た場合に、第三駆動制限手段が作動して発電パネルが所定の復帰位置に移動される前に第一駆動制限手段が作動するようなことが起こりにくくなる。これにより、第一駆動制限手段が作動する機会をさらに減らすことができる。一方、上記角度差が5度以下である場合には、第二可動範囲が第一可動範囲に近接した広い範囲として設けられることになるので、第二駆動制限手段が作動して太陽追尾が停止される機会を減らすことができる。
また、追尾型太陽光発電装置がさらに、風速を計測する風速計測部を有し、制御手段がさらに、風速計測部によって計測された風速が退避基準風速以上であると、発電モジュールに印加される風圧が小さくなる退避位置に、発電モジュールの回転位置を変化させる退避制御手段を有する場合には、強風が吹いている状況で、発電モジュールが受ける風圧を軽減することができるので、発電モジュール等、追尾型太陽光発電装置の構成部材に風圧による損傷が発生するのを抑制することができる。
この場合に、退避位置が、受光面が水平に上方を向いた状態から5度以上20度以下の範囲で傾斜した回転位置であれば、受光面が水平に上方を向いている場合と比較して、強風を受けた発電モジュールが、固有振動数で共振することを避けやすく、損傷の発生を一層抑制することができる。また、発電モジュールの内部や周辺部等に溜まった雨水を傾斜によって排出することができる。
さらに、制御部が、退避位置から、受光面が太陽光の入射方向に略垂直に向いた追尾位置、あるいは日没時または日の出時の太陽光の入射方向に略垂直に向いた待機位置へと、発電モジュールの回転位置を変化させる退避解除手段をさらに有し、発電モジュールが退避位置にある状態で、風速計測部が退避基準風速以上の風速を検出した後、発電モジュールが退避位置から待機位置まで動くのに要する時間の2倍および風速の自己相関の二乗が0.5となる時間のうち長い方の時間が経過するまでの間に、再度風速計測部が退避基準風速以上の風速を検出しなかった時に、退避解除手段による駆動部の制御が実行される場合には、強風が継続して吹いている状況で、退避解除を行うことで、退避位置と追尾位置または待機位置との間を移動している状態で、発電モジュールが再度強風を受けて、発電モジュール等、追尾型太陽光発電装置の構成部材に損傷が加えられることを抑制することができる。
上記追尾型太陽光発電システムによれば、上記のような追尾型太陽光発電装置を備えてなるので、システム全体として、第二可動範囲を第一可動範囲に近接して設けるとともに、第一駆動制限手段が作動する機会を少なくすることができるので、高い発電効率と強風とによる損傷からの保護を両立しやすい。
ここで、複数の追尾型太陽光発電装置が、追尾型太陽光発電装置を少なくとも1台含んでなる複数のグループに分けられ、第三駆動制限手段、退避制御手段、および退避解除手段の少なくとも1つによる駆動部の制御が、グループごとに、時間間隔を設けて実行される場合には、発電モジュールを動かし始める際の起動トルクを賄うための駆動部への電源供給が、時間間隔を設けて行われることになるので、全ての追尾型太陽光発電装置の制御が一斉に行われる場合に比べて、過電流状態が発生しにくくなる。
本発明の一実施形態にかかる追尾型太陽光発電装置の一例を示す概略図である。 上記追尾型太陽光発電装置に使用される発電モジュールの斜視図である。 上記追尾型太陽光発電装置における制御方法を説明する概略斜視図である。 上記制御方法を示すフロー図である。 上記制御方法の変形例を示すフロー図である。 退避位置を示す概略側面図であり、(a)は発電モジュールが傾斜している場合、(b)は発電モジュールが水平になっている場合を示している。 風速の時間変化と発電モジュールの状態の関係を示す図である。 本発明の一実施形態にかかる追尾型太陽光発電システムの一例を示す概略図である。 上記追尾型太陽光発電システムの制御方法を示すフロー図である。
以下、本発明の一実施形態にかかる追尾型太陽光発電装置(以下、単に「太陽光発電装置」と称する場合がある)および追尾型太陽光発電システム(以下、単に「太陽光発電システム」と称する場合がある)について、図面を参照しながら説明する。
<追尾型太陽光発電装置>
(追尾型太陽光発電装置の構造)
最初に、本発明の一実施形態にかかる追尾型太陽光発電装置の構造について、図1および図2を参照しながら説明する。
図1に概略を示すように、太陽光発電装置1は、発電モジュール(発電パネル)10および太陽追尾架台20を有してなっている。発電モジュール10は、地盤に固定された太陽追尾架台20によって支持される。
発電モジュール10は、受光面10aに入射された太陽光の光エネルギーによって発電を行うものである。図2に示すように、発電モジュール10は、複数の集光レンズ(一次光学系)13と発電レシーバ11が、マトリクス状に支持板19上に配置されてなる。なお、発電モジュール10においては、昆虫や雨滴の侵入を避けるために外周部に壁面部材が設けられ、発電レシーバ11が集光レンズ13および支持板19と壁面部材によって形成された筐体に収容されてもよく、図2では壁面部材を除いて示している。
集光レンズ13は、発電レシーバ11に太陽光を集光する。発電レシーバ11は、半導体よりなる太陽光発電素子12を備え、集光された太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換して出力する。発電レシーバ11は、太陽光発電素子12に加え、集光した太陽光を空間的に均一にして太陽光発電素子12の表面に導く光学部材(二次光学系またはホモジナイザと称する;図略)、および太陽光発電素子12によって得られた電流の取り出し等に使用される回路系(図略)などを備える。発電レシーバ11で得られた電流は、適宜交流に変換されたうえで、商用電源等として利用に供される。
集光レンズ13としては、高い集光特性と軽量性が両立されるという点において、フレネルレンズが好適に使用される。太陽光発電素子12は、表面(受光面)の中心が集光レンズ13の焦点位置となるように、かつ表面が集光レンズ13の光軸に垂直になるように配置される。太陽光が集光レンズ13の光軸(回転対称軸)に平行に入射されると、太陽光発電素子12の表面上の焦点位置にスポット状に集光され、高い電流密度で発電が行われる。よって、集光レンズ13を備えない平板型の発電モジュールと比較して、小面積の太陽光発電素子12を用いて高効率の発電を行うことができる。ここで、集光レンズ13の光軸に垂直つまり太陽光発電素子12の表面に平行な、集光レンズ13の頂部を通る平面が、発電モジュール10の受光面10aとなっている。
太陽追尾架台20は、発電モジュール10の回転位置を変化させ、受光面10aを太陽光の入射方向に略垂直に向けさせる駆動部として、旋回駆動機構22と傾斜駆動機構23を備える。旋回駆動機構22および傾斜駆動機構23は、地盤に固定された支柱21の上部に設けられる。旋回駆動機構22は、発電モジュール10の方位角方向A1における回転位置を変化させ(発電モジュール10を旋回させる)、傾斜駆動機構23は、発電モジュール10の高度方向A2における回転位置を変化させる(発電モジュール10を傾斜させる)。
旋回駆動機構22は、支柱21の略先端(上端)に配設される。この旋回駆動機構22は例えば、モータと、モータの回転軸に結合されるウォームと、このウォームに噛合するウォームギアとを備える。モータは支柱21に固定されており、モータおよびウォームの回転軸は、水平方向を向くように配設される。そして、ウォームギアは、水平方向面内を回転できるように、すなわちウォームギアの回転軸が鉛直方向を向くように支持される。また、このウォームギアは、発電モジュール10の支持板19に結合されており、発電モジュール10は、ウォームギアの回転と一体的に回転する。したがって、モータの回転動力によりウォームギアが回転すると、発電モジュール10は、ウォームギアの回転に応じて、水平方向面内を旋回する(図1中のA1の方向に回転する)。
傾斜駆動機構23は、支柱21の上端に取り付けられた連結部材24の先端に配設される。この傾斜駆動機構23も、旋回駆動機構22と同様に、例えば、モータと、モータの回転軸に結合されるウォームと、このウォームに噛合するウォームギアとを備える。旋回駆動機構22とは異なり、発電モジュール10に結合されたウォームギアが鉛直方向面内を回転する。これにより、モータの回転動力によってウォームギアが回転すると、ウォームギアの回転に応じて、発電モジュール10の鉛直方向の傾斜角が変化する(図1中のA2の方向に回転する)。
旋回駆動機構22及び傾斜駆動機構23には、それぞれ旋回角計測手段25および傾斜角計測手段26が備えられる。これらは、例えばロータリーエンコーダよりなる。旋回角計測手段25および傾斜角計測手段26は、それぞれ発電モジュール10の旋回角(旋回運動の中心に対する方向A1への回転角)及び傾斜角(傾斜運動の中心に対する方向A2への回転角)を測定し、発電モジュール10の回転位置を示す情報として、測定値を処理部30に送る。
支柱21に取り付けられた処理部30は、旋回駆動機構22と傾斜駆動機構23を制御することにより、発電モジュール10の旋回角と傾斜角を制御する。処理部30は、CPU等の演算処理装置よりなり、追尾制御手段31、ソフトリミット手段(第二駆動制限手段)32、停止制御手段(第三駆動制限手段)33を備える。また、処理部30は、これらの手段に加え、退避制御手段34、退避解除手段35を備えてもよい。太陽追尾架台20は、これら処理部30に設けられた各手段に加え、処理部30とは独立して、ハードリミット手段(第一駆動制限手段)40を有しており、処理部30の各手段とともに、太陽光発電装置1の制御部として機能する。制御部を構成する各手段の機能については、順次説明する。
処理部30には、旋回角計測手段25および傾斜角計測手段26から発電モジュール10の回転位置に関する情報が入力されるのに加え、風速計測手段50から風速に関する情報が入力される。風速計測手段50は、太陽光発電装置1が設置されている場所の風速を計測するものであり、例えば風速計よりなる。あるいは、風速計測手段50は、風速風向計よりなり、この場合には、風速および風向に関する情報が処理部30に入力される。太陽光発電装置1が複数設置される場合に、風速計測手段50は、全太陽光発電装置1に対して1台備えられれば十分である。
(太陽光の追尾)
処理部30の追尾制御手段31は、旋回駆動機構22および傾斜駆動機構23を制御することで、発電モジュール10の受光面10aを太陽光の入射方向に向ける機能を果たす。発電モジュール10は、集光レンズ13を備え、太陽光を集光して発電を行うものであるので、発電モジュール10の受光面10aが、太陽光の入射方向に垂直に配置されている場合に、発電効率が最も高くなる。このため、発電モジュール10は方位角方向A1の回転角度(旋回角)および高度方向A2の回転角度(傾斜角)が変化されることで、太陽が天球上で移動しても、太陽追尾架台20によって、常に受光面10aが太陽光の入射方向に略垂直な方向を向くように制御される。これにより、太陽の天球上での位置が変化しても高効率での発電が持続される。
具体的には、追尾制御手段31は、旋回角計測手段25と傾斜角計測手段26から、その時点における発電モジュール10の回転位置(旋回角および傾斜角)の入力を受け、天文学的知見をもとにした天球上での太陽の位置の情報に基づいて、受光面10aを太陽光の入射方向に略垂直に向けるための発電モジュール10の回転位置として、その時点で取られるべき発電モジュールの回転位置である追尾位置を算出する。そして、その追尾位置に発電モジュール10を配置するために、旋回角と傾斜角をそれぞれ何度変化させるべきかを判断する。さらに、その変化させるべき角度に応じて旋回駆動機構22及び傾斜駆動機構23のモータを回転させる駆動指令を各モータに発する。このような追尾制御手段31による回転位置の読み取りと駆動制御は、発電効率に対する天球上での太陽の移動が無視できる程度に短い時間間隔を空けて、間歇的に行われる。具体的な追尾位置の算出は、上記のように、天文学的知見に基づいて行えばよく、特許文献1および特許文献2に示されているような公知の追尾方法におけるアルゴリズムを適用することができる。
太陽が天球上に観測される日の出から日没の間(日中)は、追尾制御手段31は、上記のように発電モジュール10の回転位置を太陽の位置に応じた所定の追尾位置とするように、間歇制御を行う。一方、太陽が天球上に観測されない日没から日の出までの間(夜間)は、追尾制御手段31は、発電モジュール10を所定の待機位置にて停止させたままとする。待機位置は、特に限定されないが、例えば、日没時または日の出時の追尾位置、つまり、日没時または日の出時の太陽光の入射方向に受光面10aを略垂直に向けた位置とすることができる。なお、本明細書において、発電モジュール10の回転位置について、「停止」させるとは、一定の回転位置のまま動かないように積極的に制御を行うことを意味するのではなく、所定の回転位置に移動させた後、処理部30から旋回・傾斜駆動機構22,23を駆動させるための駆動信号を送るのを停止することを意味し、風等の影響で、制御によらずにその所定の回転位置から変化してしまう状態も含むものである。
(発電モジュールの回転の制限)
ハードリミット手段40、ソフトリミット手段32、および停止制御手段33は、旋回駆動機構22および傾斜駆動機構23による発電モジュール10の回転位置の変化を制限する機能を果たす。ハードリミット手段40、ソフトリミット手段32および停止制御手段33は、それぞれ旋回駆動機構22による旋回方向の運動を制限するものと、傾斜駆動機構23による傾斜方向の運動を制限するものの2組が設けられ、それらは同様の構成と機能を有する。以下では、傾斜方向の運動を制限するものを例に、説明を行う。
図3に、傾斜方向の回転の制限についての形態を模式的に示す。ハードリミット手段40は、発電モジュール10の傾斜方向の運動を、第一可動範囲R1内に制限するものである。第一可動範囲R1は、それ以上に発電モジュール10が傾斜すると、発電モジュール10が太陽追尾架台20や隣接する他の太陽光発電装置1の発電モジュール10に衝突したり、ギア等、傾斜駆動機構23の構成部材が破損したりして、発電モジュール10や太陽追尾架台20に不具合や損傷が起きるような、物理的な限界の間際の傾斜角に設けられている。ハードリミット手段40は、メカニカルスイッチ等、物理的な駆動制限手段として設けられる。ハードリミット手段40は、例えば傾斜駆動機構23の内部に設けられ、発電モジュール10の傾斜角が第一可動範囲R1の外縁HLに達すると、メカニカルスイッチの叩打等、物理的な接触によってハードリミット手段40が作動される。上記のように、ハードリミット手段40は、処理部30や傾斜角計測手段26とは独立して設けられ、処理部30によるソフトウェア的な処理とは無関係に作動される。ハードリミット手段40が作動されると、太陽追尾架台20を含む太陽光発電装置1への電源供給が強制的に遮断され、太陽光発電装置1の全機能が停止される。一旦ハードリミット手段40が作動されると、太陽光発電装置1の管理者等が、電源の復旧等の作業を行い、太陽光発電装置1を再起動しない限り、太陽光発電装置1の全機能は停止されたままの状態を維持する。このように、ハードリミット手段40は、傾斜運動の物理的な限界間際の最終保護手段として機能する。なお、第一可動範囲R1および後述する第二可動範囲R2について、外側とは、範囲の中央から外縁側に向かう方向を指し、内側とは、範囲の外縁から中央部に向かう方向を指すものとする。
ソフトリミット手段32は、発電モジュール10の傾斜方向の運動を、第二可動範囲R2内に制限するものである。第二可動範囲R2は、第一可動範囲R1よりも狭い角度範囲として設けられ、その全範囲が、第一可動範囲R1の中に含まれている。ソフトリミット手段32は、ハードリミット手段40とは異なり、発電モジュール10の傾斜運動を電気的に制限するものであり、ソフトリミット手段32の作動および解除は、ソフトウェア上で行われる。具体的には、処理部30に傾斜角計測手段26から入力される傾斜角の計測値が、一旦第二可動範囲R2の外縁SLに達すると、あるいは外縁SLを超えると、処理部30に含まれるソフトリミット手段32が作動され、追尾制御手段31による太陽追尾が停止される。具体的には、ソフトリミット手段32が作動されると、処理部30は、傾斜駆動機構23に発電モジュール10の傾斜角を変化させるための駆動信号を送るのを停止する。つまり、日中に発電モジュール10の追尾位置が間歇的に変化されている状態でソフトリミット手段32が作動されると、発電モジュール10がその時点の回転位置において停止される。ハードリミット手段40とは異なり、ソフトリミット手段32が作動されても、太陽光発電装置1への電源供給は継続され、処理部30は運転されたままの状態を維持する。再び太陽追尾を開始するためには、管理者等が、処理部30を操作し、復旧信号を入力することで、ソフトリミット手段32による制限をソフトウェア的に解除すればよい。
停止制御手段33は、ソフトリミット手段32が作動されている状態において、傾斜角計測手段26によって計測された発電モジュール10の傾斜角が、第二可動範囲R2の外縁SLである停止位置よりも外側にあれば、発電モジュール10の傾斜角を、復帰位置Sとするように、傾斜駆動機構23を制御する。復帰位置Sは、第二可動範囲R2の外縁SLまたはその内側に設けられる。
復帰位置Sは、第二可動範囲R2の外縁SLまたはその内側に設けられさえすれば、どのような位置に設けられてよい。また、復帰位置Sは常に同じである必要はなく、発電モジュール10の揺動の大きさ等に応じて、変化されてもよい。
図4aに、ソフトリミット手段32と停止制御手段33による制御の方法を、フロー図として示す。図4aに示す制御は、日中に発電モジュール10が所定の追尾位置に配置されている状態、および夜間に発電モジュール10が待機位置に停止されている状態において、傾斜角計測手段26が読み取った傾斜角が演算部30に入力されるたびに、実行される。
ステップS0において、傾斜角計測手段26から演算部30に発電モジュール10の傾斜角の値が入力されると、処理が開始される。まず、ステップS1において、処理部30が、読み取られた発電モジュール10の傾斜角が、第二可動範囲R2以上であるかどうか、つまり第二可動範囲R2の外側あるいは外縁SL上にあるかどうかを判定する。傾斜角が第二可動範囲R2の内側にあれば(ステップS1でNoならば)、ステップS3において、追尾制御手段31が、太陽追尾を継続する。つまり、日中であれば、発電モジュール10が太陽の入射方向に応じた追尾位置に配置され、夜間であれば、発電モジュール10が待機位置に停止される。
一方、ステップS1で発電モジュール10の傾斜角が第二可動範囲R2以上であれば(ステップS1でYesならば)、ステップS2において、ソフトリミット手段32が作動され、発電モジュール10の回転位置の変化が停止される。次いで、ステップS4において、ソフトリミット手段32を解除するための復旧信号が処理部30に入力されているかどうかが判定される。なお、復旧信号の入力は、管理者等によって任意のタイミングで割り込み処理としてなされるものであり、ステップS4は、その入力がなされていれば検出するためのものである。
復旧信号が入力されていなければ(ステップS4でNoならば)、ステップS6に移行し、停止制御手段33が、傾斜角計測手段26によって計測される発電モジュール10の傾斜角が第二可動範囲R2の外縁SLに設けられた停止位置よりも外側にあるかどうかを判定する。傾斜角が停止位置の外側になければ(ステップS6でNoならば)、つまり、傾斜角が停止位置上または停止位置よりも内側にあれば、傾斜角の変更は行われず、ステップS4に回帰する。例えば、ステップS2でソフトリミット手段32の作動によって回転位置の変化が停止された時の発電モジュール10の傾斜角が、停止位置における傾斜角に一致するかそれよりも内側にあれば、ステップS6でNoと判定される。
一方、ステップS6の判定において、発電モジュール10の傾斜角が、停止位置における傾斜角より外側にあれば(ステップS6においてYesならば)、ステップS7において、停止制御手段33が傾斜駆動機構23を制御し、発電モジュール10の傾斜角を、復帰位置Sにおける傾斜角まで変化させる。その後、ステップS4に回帰する。ステップS2でソフトリミット手段32の作動によって停止された時の発電モジュール10の傾斜角が、停止位置よりも外側にあれば、ステップS6でYesと判定され、ステップS7において、復帰位置Sまで移動される。また、ステップS6およびステップS7が繰り返されることで、一旦ステップS7において復帰位置Sに移動された発電モジュール10が、風による揺動等によって、停止位置よりも外側に動いてしまった場合には、再度発電モジュール10が復帰位置Sに戻される。これによって、ステップS2でソフトリミット手段32が作動した後、後述するように、ステップS8でソフトリミット手段32が解除されるまでの間は、発電モジュール10の回転位置が停止位置から外側に外れても、停止制御手段33によって、復帰位置Sに戻される状態が維持される。
ステップS4で復旧信号の入力の有無が判定された際、復旧信号の入力が検出された場合には、(ステップS4でYesならば)、ステップS5において、ステップS6と同様に、発電モジュール10の傾斜角が停止位置よりも外側にあるかどうかが判定される。傾斜角が停止位置よりも外側になければ(ステップS5でNoならば)、ステップS8でソフトリミット手段32が解除され、追尾制御手段31による太陽追尾が再開される。ステップS5において、発電モジュール10の傾斜角度が停止位置よりも外側にあると判断されれば(ステップS5でYesならば)、ステップS9で一旦発電モジュール10を復帰位置Sまで移動させたうえで、ステップS8でソフトリミットの解除と太陽追尾の再開が行われる。
以上で説明した図4aの制御方法においては、ソフトリミットを解除するための復旧信号の入力の有無を判定してから(ステップS4)、傾斜角の判定を行った(ステップS5、S6)。しかし、ソフトリミットを実際に解除する前に、傾斜角の判定によって発電モジュール10が停止位置よりも外側にないことを保証することができれば、各判定を実行する順番は、図4aのものに限られない。例えば、図4bに示したように、傾斜角の判定を行い(ステップS’4)、発電モジュールが停止位置よりも外側にないことを確認したうえで、復旧信号の入力の有無を判定し(ステップS’6)、ソフトリミットを解除する(ステップS’7)ようにしてもよい。
追尾制御手段31による通常の太陽追尾において使用される傾斜角の最大範囲である第二可動範囲R2は、太陽光発電装置1が設置される地域によって異なるが、図3に示すように、この第二可動範囲R2が、発電モジュール10の回転の物理的な限界である第一可動範囲R1よりも十分小さい角度となるように、太陽光発電装置1が設計されていれば、理想的には、追尾制御手段31による太陽追尾の過程で、ハードリミット手段40が作動されることはない。しかし、発電モジュール10が風圧の影響を受けやすいパネル状の構造を有しており、また可動部を有する旋回駆動機構22および傾斜駆動機構23によって支持されているため、強風を受けた際等に、処理部30からの駆動信号によらず、発電モジュール10が揺動し、第二可動範囲R2の外側の回転位置をとってしまう場合がある。このような場合に、発電モジュール10の回転位置が第一可動範囲R1の外縁HLに達してしまうと、ハードリミット手段40が作動されることで、発電モジュール10をはじめとする太陽追尾架台20の構成部材が、損傷から保護される。ハードリミット手段40が作動されると、電源の復旧等の操作を行わないかぎり太陽追尾架台20が自動的に再起動されることはないので、管理者等は、強風や機器の故障等、ハードリミット手段40を作動させた原因が除かれていることを十分に確認した安全な状態で、太陽追尾架台20を再起動することができる。このように、ハードリミット手段40は、太陽光発電装置1の損傷を防ぐ最終保護手段として機能する。特に、ソフトリミット手段32が傾斜角計測手段26の故障等の要因によって機能しなくなった時に、ハードリミット手段40が有効に機能する。
上記のように、ハードリミット手段40が一旦作動されると、電源の復旧等を行わないかぎり、太陽光発電装置1が再起動されないので、一時的な突風等、長時間継続しないような原因によって発電モジュール10の回転位置が第二可動範囲R2を出てしまった場合に、以降再起動のための操作が行われるまで、太陽光発電装置1が停止したままとなり、発電効率に支障をきたす。また、上記のように、ハードリミット手段40は、メカニカルスイッチ等、機械的接触によって作動する部材を有してなることから、作動の機会が頻繁になると、ハードリミット手段40の寿命が短くなってしまう可能性がある。これらに鑑み、ハードリミット手段40の作動頻度を低くするために、ソフトリミット手段32が設けられている。ソフトリミット手段32は、ハードリミット手段40とは異なり、ソフトウェア上で解除することができるため、作動して太陽追尾が停止されたとしても、簡単な操作で太陽追尾を再開することができ、発電効率に与える影響が少なくて済む。ソフトリミット手段32は、強風を受けることで発電モジュール10が第二可動範囲R2の外に出てしまった場合の他、追尾パラメータの設定ミスや、試運転時やメンテナンス時の誤動作等の原因で、発電モジュール10を第二可動範囲R2を超えて回転させてしまった場合の保護手段としても有用である。
ソフトリミット手段32は、ハードリミット手段40よりも容易に解除できるとはいえ、太陽追尾を停止するものであるので、解除されるまでの間は太陽追尾が停止された状態が維持され、その間に太陽が天球上で移動すると、発電モジュール10による発電が実質的に行われなくなる。よって、発電効率を確保する観点から、ソフトリミット手段32が容易には作動しないようにするために、ソフトリミット手段32が作動する第二可動範囲R2の外縁SLを、ハードリミット手段40が作動する第一可動範囲R1の外縁HLに近接させて設けることが望ましい。しかし、その場合に、もし停止制御手段33がなければ、ソフトリミット手段32が作動して、第二可動範囲R2の外縁SL上、または第二可動範囲R2の外縁SLと第一可動範囲R1の外縁HLの間で停止している状態の発電モジュール10が、風を受けて揺動した際などに、発電モジュール10の回転位置が容易に第一可動範囲R1の外縁HLに達し、ハードリミット手段40を作動させてしまうことになる。特に日の出付近および日没付近の時間において、発電モジュール10が鉛直に近い角度で立っている状態においては、このようなことが起こりやすい。しかし、上記のように、ハードリミット手段40の作動は、極力低減すべきである。
そこで、本太陽光発電装置1においては、停止制御手段33を備えることで、このような事態を避けながら、第二可動範囲R2の外縁SLを、第一可動範囲R1の外縁HLに近接させて設けることができる。つまり、ソフトリミット手段32が作動され、発電モジュール10の回転位置の変化が停止された後、発電モジュール10が、第二可動範囲R2の外縁SLである停止位置よりも外側にあることが検出されれば、停止制御手段33によって、第二可動範囲R2の外縁または内側に設けられた復帰位置Sに移動される。そして、風等を受けて、発電モジュール10が停止位置(外縁SL)から外側に動いてしまったとしても、停止制御手段33によって、復帰位置Sに戻される。このように、ソフトリミット手段32が作動している間は、停止制御手段33によって、発電モジュール10の回転位置が復帰位置Sに戻される状態が維持される。よって、停止制御手段33が作動できないほど急に突風が発生し、ハードリミット手段40が瞬時に作動されることがないかぎり、第二可動範囲R2の外縁または内側に設けられた復帰位置S上に戻るように発電モジュール10の回転位置が制御されるので、ハードリミット手段40を作動させることがない。
第一可動範囲R1の外縁HLと第二可動範囲R2の外縁SLの差r1は、発電モジュール10の傾斜運動の中心軸に対する角度で、2度以上かつ5度以下であることが好ましい。この角度を2度以上とすることで、停止位置と第一可動範囲R1の外縁HLとの間に余裕をもたせ、ソフトリミット手段32作動中にハードリミット手段40が作動される確率を効果的に低減することができる。また、この角度を5度以下とすることで、第二可動範囲R2を十分に第一可動範囲R1に近接して設けて、ソフトリミット手段32が作動する確率を低くすることができる。これにより、ソフトリミット手段32の作動による太陽追尾の停止のために発電効率が低下することを抑制することができる。また、復帰位置Sが第二可動範囲R2の外縁SLよりも内側にある場合、当該復帰位置Sと当該外縁SLの差は、特に限定されないが、発電モジュール10の傾斜運動の中心軸に対する角度で、1度以上5度以下であることが好ましい。
既に述べたように、復帰位置Sは、第二可動範囲R2の外縁SL上またはその内側であれば、どこに設けてもよい。復帰位置Sを第二可動範囲R2の外縁上よりも、第二可動範囲R2の内側に設ける方が、復帰位置Sに移動させた発電モジュール10が強風による揺動等を起こすことで、ハードリミット手段40が作動される確率を、低くすることができる。特に、傾斜角計測手段26によって読み取られる揺動等による発電モジュール10の回転位置の変化量に等しい角度だけ、第二可動範囲R2の外縁SLよりも内側に復帰位置Sを設けるようにすれば、揺動等によって発電モジュール10の回転位置が変化した際に、第二可動範囲R2の外側に出にくくなる。なお、復帰位置Sを第二可動範囲R2の内側に定めすぎることも好ましくない。発電モジュール10の回転位置を第二可動範囲R2の外側に出させるような要因があるためにソフトリミット手段32が作動されるのであり、過剰に第二可動範囲R2の内側において停止させることで、ソフトリミット手段32の作動要因によっては、太陽光発電装置1に無理な負荷や安全上の不具合を与える可能性があるからである。これらの観点からも、復帰位置Sと第二可動範囲R2の外縁SLとの差は、1度以上5度以下であることが好ましい。
以上の説明は、傾斜方向における回転の制御を例にして行ったが、上記のように、旋回方向の回転についても、同様の構成および制御が適用される。ただし、日の出付近および日没付近の時間において、発電モジュール10が鉛直に近い角度で立ち上がった状態で風を受け、傾斜方向に揺動する際に、傾斜方向のハードスイッチ手段HLを作動させないようにする停止制御手段33の役割が最も大きい。よって、旋回方向よりも傾斜方向に上記のような停止制御手段33が設けられる意義が大きい。また、傾斜方向および旋回方向の両方にソフトリミット手段32が設けられる場合に、傾斜方向および旋回方向のいずれか一方でのみソフトリミット手段32が作動された場合に、他方のソフトリミット手段32も自動的に作動されることが好ましい。
(退避動作)
処理部30が退避制御手段34と退避解除手段35を備える場合、これらはそれぞれ、発電モジュール10を所定の退避位置に移動させて退避状態とし、またその退避状態を解除する役割を果たす。上記のハードリミット手段40、ソフトリミット手段32、停止制御手段33を用いた発電モジュール10の回転位置の制限は、突発的な強風から太陽光発電装置1を保護するのに特に有効である。これに対し、退避制御手段34および退避解除手段35を用いた退避動作は、ある程度の時間持続する強風から太陽光発電装置1を保護するのに特に有効である。両者を合わせて用いることで、強風に対する太陽光発電装置1の保護を強力に行うことができる。
風速計測手段50によって所定の退避基準風速以上の風速値が観測され、処理部30に入力されると、退避制御手段34が、旋回駆動機構22および傾斜駆動機構23を制御し、発電モジュール10を所定の退避位置へと移動させる。退避位置は、発電モジュール10に印加される風圧が小さくなるような、発電モジュール10の回転位置として規定される。具体的な退避位置としては、図5(a)のように、発電モジュール10の受光面10aが水平に上方を向いた水平退避位置と、図5(b)のように、水平退避位置から発電モジュール10が角度θで傾斜した傾斜退避位置を、例示することができる。
図5(a)の水平退避位置においては、発電モジュール10が受ける風圧荷重が最小となる。しかし、図中に模式的に示したように、水平になっている発電モジュール10の上下において、渦状の風W1が発生しやすくなっている。発電モジュール10上面および下面におけるこの渦状の風W1のバランスの状態によっては、発電モジュール10を回転させようとするモーメントが働く。これにより、図中点線で示したように、発電モジュール10が傾斜する。すると、傾斜によって、発電モジュール10における受風面積が増大し、風圧荷重が高まる。発電モジュール10自体や、ギア等、旋回・傾斜駆動機構22,23の構成部材が弾性を有するため、傾斜した発電モジュール10は、このように風圧荷重を受けた状態で、水平位置に戻ろうとする。すると、反動により、発電モジュール10は水平位置を通り越して、反対側に傾斜し、反対向きの高い風圧荷重を再度受けるようになる。これを繰り返すことで、発電モジュール10は、固有振動数における共振を起こしやすい状態となる。このような共振が起こると、発電モジュール10や太陽追尾架台20の各部に損傷が発生しやすくなる。
一方、図5(b)の傾斜退避位置においては、発電モジュール10の上下に渦状の風の流れが発生しにくく、発電モジュール10の上下で風量に差がある状態で、風W2が停滞することなく流れやすい。発電モジュール10が傾斜していることで、水平である場合よりも、風圧荷重を印加され、風圧荷重の方向に発電モジュール10を回転させようとするモーメントMが発生しやすくなっている。しかし、風速および風向が一定であれば、モーメントMの大きさは、発電モジュール10の傾斜角θと風速、風向の関係によって決まる値にて安定する。よって、風圧を受けた状態で発電モジュール10の姿勢が安定し、水平退避位置において起こるような共振が起こりにくくなっている。このように、共振を避けることで、強風による発電モジュール10や太陽追尾架台20への損傷が避けられ、安全性が増す。このような観点から、退避制御手段34は、発電モジュール10を、図5(a)の水平退避位置ではなく、図5(b)の傾斜退避位置とするものであることが好ましい。
傾斜退避位置における発電モジュール10の傾斜角θは、5度以上かつ20度以下であることが好ましい。傾斜角θが大きくなるほど風圧荷重が大きくなるが、おおむね、θを5度以上とすることで、発電モジュール10の共振を避け、退避位置における姿勢を安定化させやすくなる。一方、20度を超えて傾斜角θを大きくすると、風圧荷重が大きくなりすぎることによって、静的な回転モーメントMが大きくなりすぎる。すると、ギア等、旋回・傾斜駆動機構22,23の構成部材への負担が大きくなり、強風の影響を避けるために退避位置をとることの効果が薄くなってしまう。なお、風速計測装置が、風速に加え、風向まで検出するものであれば、図5(b)のように、風下側を上げ、風上側を下げるように、発電モジュール10を傾斜させることが好ましい
図5(a)のような水平退避位置ではなく図5(b)のような傾斜退避位置を採用することの効果は、上記のように退避位置における発電モジュール10の姿勢を安定させること以外にもある。台風時など、強風は豪雨を伴うことが多く、発電モジュール10において、発電レシーバ11および集光レンズ13、支持板19と壁面部材によって形成された筐体の内部や、筐体の周囲に配置されたフレーム部分に、各部材の間の空隙や破損部から雨水が侵入し、蓄積されやすい。このような雨水の蓄積は、漏電につながる可能性がある。図5(b)のように発電モジュール10が傾斜退避位置をとっていれば、その傾斜により、雨水が自然に排出されやすくなる。上記のように、傾斜角θが5度以上であれば、雨水の排出を効果的に行うことができる。
以上のように、日中に発電モジュール10が追尾位置に配置されている状態、または夜間に待機位置に停止されている状態で、退避基準風速以上の風速値が観測された際には、退避制御手段34は、退避位置へと発電モジュール10を移動させる。一方、突風等によってソフトリミット手段32が作動され、太陽追尾が停止されている状態で退避基準風速以上の風速値が観測された場合には、処理部30は、ソフトリミット手段32を自動的に解除して、発電モジュール10を退避位置に移動させることができる。なお、ハードリミット手段40が作動された状態では、太陽追尾架台20への電源供給が停止されているため、退避位置への移動を行うことはできない。
上記のように、退避基準風速以上の風速が観測されて退避状態とされた後、強風が止むと、退避解除手段35によって、退避状態が解除される。退避状態が解除されると、発電モジュール10は、退避解除位置に移動される。退避解除位置は、太陽が天球上に観測される日中であれば、太陽の位置に応じた追尾位置であり、太陽が天球上に観測されない夜間であれば、所定の待機位置である。
退避状態の解除のタイミングとてして、風速計測手段50によって計測される風速値が、退避動作を行わせる基準値である退避基準風速を下回ると、即座に退避解除を行う形態を例示することができる。しかし、図6に示すように、一般に、風速には経時変動があり、一旦退避基準風速を下回っても、退避基準風速を上回る強風が再度吹くことが多い。特に、日本において観測される春一番や季節風、台風等の気象現象においては、一度突風が止んだ後、しばらく再度突風が吹きやすい状態が継続されることが多い。退避解除のために、追尾位置または待機位置に向かって発電モジュール10の回転位置が動かされている最中に再度退避基準風速を上回る風が吹くと、発電モジュール10や太陽追尾架台20に損傷が加えられる可能性がある。また、一旦追尾位置または待機位置に戻っても、直後に退避基準風速以上の風が観測されれば、すぐに再度退避位置まで移動しなければならないことになる。これは、不要なエネルギー消費につながる。
このような事態を避けるため、図6に示すように、退避基準風速以上の風速が一度観測された後、所定の待機時間δが経過する間に、退避基準風速以上の風速が再度観測されなければ、退避解除手段35が発電モジュール10を追尾位置または待機位置に移動させるようにすればよい。つまり、図6では、時刻T1において、最初に退避基準風速以上の風速が観測され、退避制御手段34によって、発電モジュール10が退避位置へと移動される。この時刻T1から、待機時間δの計測が開始される。時刻T1’において、風速は一旦退避基準風速を下回る。しかし、時刻T1’においては、まだ待機時間δが経過していないので、退避解除手段35は退避状態の解除を行わない。そして、再度時刻T2において、再度退避基準風速以上の風速が観測され、待機時間δの計測がリセットされる。つまり、時刻T2から新たに待機時間δの計測が開始される。このようにして、時刻Tnまで、退避基準風速以上の風速の観測と待機時間δの更新が繰り返され、発電モジュール10は退避位置に配置されたままとなる。風は、強弱の変動を繰り返しながら徐々に弱くなり、時刻Tnを最後に、退避基準風速以上の風速が観測されなくなる。そして、最後に退避基準風速以上の風速が観測された時刻Tnから待機時間δが経過する間に退避基準風速以上の風速が一度も検出されなかったことをもって、時刻(Tn+δ)において、退避解除手段35が退避状態を解除する。
待機時間δは、発電モジュール10が退避位置から待機位置に戻り、再度退避位置に戻るまでに要する時間δ1と、風速の自己相関(R)の二乗が0.5になる時間(ラグ)δ2のうち、長い方とするとよい(δ=max(δ1,δ2))。
待機時間δを、時間δ1と同じかそれよりも長く設定することで、待機時間δを経過した後に、続く時間δ1において、発電モジュール10を待機位置に戻し、さらに必要があれば再度退避位置へと動かす間に、再度退避基準風速以上の風が吹く確率は低いとみなすことができる。発電モジュール10が退避位置から待機位置まで移動する時間と、待機位置から退避位置まで移動する時間が同じとみなせる場合には、時間δ1は、片道の移動に要する時間(δ1’)の2倍とすればよい(δ1=2δ1’)。また、退避解除制御が行われ際に発電モジュール10が移動する退避解除位置は、追尾位置である場合と待機位置である場合があるが、待機位置は、追尾位置の端にあり、より長い時間を移動に要するため、時間δ1を上記のように待機位置までの移動に要する時間に基づいて定めておけばよい。一方、風速の自己相関Rの二乗(R)は、所定時間が経過した後に、当初と同じ風速の風が吹いている確率に対応する。時間δ2は、R=0.5、つまりR=0.707となるように設定される。このことは、時間δ2が経過した時に、当初と同じ風速の風が吹いている確率が0.5となっていることを示している。待機時間δを、時間δ2と同じかそれよりも長く設定することで、発電モジュール10を退避位置から退避解除位置に向かって動かし始める時に、退避基準風速を有する風が吹いている確率が0.5以下となることを示している。具体的なδ2の値は、太陽光発電装置1が設置された土地における気象観測データの統計に基づいて見積もればよい。
このように、待機時間δを、時間δ1と時間δ2のうちの長い方(max(δ1,δ2))として設定することで、退避位置と退避解除位置の間での移動中に、発電モジュール10が強風を受け、発電モジュール10や太陽追尾架台20に損傷等が発生することが回避される。待機時間δをそれよりも短くすると、この移動中に発電モジュール10が強風を受ける確率が高まる。一方、退避時間をmax(δ1,δ2)よりも長くすると、強風が発生する確率が十分に低くなってからも太陽光の追尾が再開されない時間が長くなり、発電効率の観点から好ましくない。待機時間δを厳密にmax(δ1,δ2)とすることは難しいが、max(δ1,δ2)からの逸脱は、±50%程度とすることが好ましい。なお、典型的には、δ1は10分程度であり、日本における台風等の強風時にはδ2が2時間程度であるので、max(δ1,δ2)=δ2となることが多い。
<追尾型太陽光発電システム>
次に、本発明の一実施形態にかかる追尾型太陽光発電システム100について説明する。追尾型太陽光発電システム100は、上記本発明の実施形態にかかる追尾型太陽光発電装置1を複数配列した構造を有する。そして、それら複数の太陽光発電装置1がN個のグループに分かれて制御される(Nは1以上の自然数)。
図7に、太陽光発電システム100の一例を示す。ここでは、太陽光発電システム100が、6台の太陽光発電装置1a〜1fを有している。そして、N=3とされ、6台の太陽光発電装置1a〜1fが、2台ずつ、3つのグループG1〜G3に分けられている。太陽光発電システム100は他に、総制御部130と、1台の風速計測手段50を有する。総制御部130は、CPU等の演算処置装置よりなり、各太陽光発電装置1a〜1fの処理部30に接続されている。総制御部130は、各太陽光発電装置1a〜1fの処理部30に制御信号を出力することで、各太陽光発電装置1a〜1fを統括して制御する。風速計測手段50の出力部は、総制御部130に接続されており、総制御部130は、風速計測手段50によって計測された風速の情報をもとに各太陽光発電装置1a〜1fを制御する。
本太陽光発電システム100においては、ソフトリミット手段32作動時における停止制御手段33による制御、強風検出時における退避制御手段34による制御、退避解除時の退避解除手段35による制御のうちの少なくとも1つが、全太陽光発電装置1a〜1fにおいて一斉に実行されるのではなく、総制御手段によって、グループG1〜G3ごとに、時間間隔tを空けて、順次実行される。
また、所定の停滞基準風速よりも、実際に観測された風速が大きい場合には、各グループG1〜G3の太陽光発電装置1a〜1fの制御を行わずに待機することが望ましい。停滞基準風速は、それよりも風速が大きい状態で発電モジュール10の回転角度を変化させると、発電モジュール10や太陽追尾架台20に損傷が生じる可能性がある風速として規定され、退避基準風速よりも大きい値を有する。
図8に、上記のような時間間隔tを設けた太陽光発電システム100の制御方法を、退避制御手段34による追尾位置または待機位置から退避位置への移動を例として、フロー図として示す。太陽光発電システム100が、日中の太陽追尾位置または夜間の待機位置にある状態において、ステップS10において、風速計測手段50が退避基準風速以上の風速を観測し、総制御部130に入力すると、退避動作が開始される。
そして、ステップS12において、総制御部130は、風速計測手段50によって計測された風速が、停滞基準風速よりも大きいかどうかを判定する。計測された風速が停滞基準風速よりも大きい場合には(ステップS12でYes)、ステップS11において、タイマーを用いて所定の時間間隔tを計測し、時間間隔tが経過した後、再度ステップS12において、風速の計測と判定を行う。ステップS12で計測された風速が停滞基準風速以下である場合には(ステップS12でNo)、ステップS13において、総制御部130は、第一グループG1の太陽光発電装置1a,1bの処理部30を制御し、退避制御手段34によって、各発電モジュール10を退避位置へと移動させる。
その後、ステップS14において、タイマーを用いて所定の時間間隔tを計測し、時間間隔tが経過した後、ステップS15において風速を計測し、停滞基準風速より大きいかどうかの判定を行う。計測された風速が停滞基準風速よりも大きい場合には(ステップS15でYes)、ステップS14に回帰する。ステップS15で計測された風速が停滞基準風速以下である場合には(ステップS15でNo)、ステップS16において、総制御部130は、第二グループG2の太陽光発電装置1c,1dの処理部30を制御し、退避制御手段34によって、各発電モジュール10を退避位置へと移動させる。
さらに、ステップS17での時間間隔tの計測を経て、ステップS18およびS19において、ステップS12およびS13、ステップS15およびS16と同様に、第三グループG3の太陽光発電装置1e,1fが、退避位置へと移動される。このようにして、全グループG1〜G3の太陽光発電装置が退避位置へ順次移動され、太陽光発電システム100全体として、退避状態への移行が完了する。
本太陽光発電システム100においては、1台の風速計測手段50によって得られた単一の風速情報に基づいて、全太陽光発電装置1a〜1fのソフトリミット手段32の作動、追尾位置または待機位置から退避位置への移動、退避解除による退避位置から追尾位置または待機位置への移動が実行される。また、全太陽光発電装置1a〜1fのソフトリミット手段32が作動している状況で、一斉に風の影響を受けて、発電モジュール10が停止位置から外側に動いてしまうと、全太陽光発電装置1a〜1fの停止制御手段33が一斉に発電モジュール10を復帰位置Sに戻そうとする。もし総制御部130が各太陽光発電装置1a〜1fを統括して制御していなければ、退避制御手段34による退避位置への移動、退避解除手段35による退避位置からの移動、そしてソフトリミット手段32作動時における停止制御手段33による復帰位置Sへの移動が、ほぼ一斉に駆動されることになる。発電パネルの回転位置を変化させる際、変化の初期には、大きな起動トルクが必要であり、全太陽光発電装置1a〜1fを一斉に駆動することで、非常に大きな起動トルクを供給するための電力が一時に必要となる。上記3種の制御のうち、退避位置への移動および復帰位置Sへの移動は、強風が吹いている状況で行われることが多く、起動トルクがとりわけ大きくなる。また、上記3種いずれの制御についても、夜間に気温が下がっている状態で行われる場合には、旋回・傾斜駆動機構22,23の可動部に使用されているグリースや潤滑油が固化したり粘度が低下したりしており、可動部での摩擦のために、起動トルクが大きくなる。このように、上記3種の制御における発電モジュール10の回転運動の起動時に、急激に多くの電力が太陽光発電システム100において必要となる。これにより、過電流状態が発生すると、発電モジュール10の移動が途中で停止してしまう等の不具合が発生する可能性がある。ところが、上記のように、グループ単位で時間間隔tを設けてこれらの制御を行うことで、起動時の電力消費を一時に集中させず、分散することができる。これにより、過電流状態の発生による太陽追尾架台20の損傷等、各太陽光発電装置1a〜1fに過剰な負荷や不具合を発生させることなく、安定して太陽光発電システム100を運転することができる。
時間間隔tは、5秒以上とすることが好ましい。これにより、回転運動を起動する際の電力を効果的に分散させることができる。一方、時間間隔tにグループ数Nを乗じた時間(Nt)は、10分以下であることが好ましい。これにより、停止制御手段33による制御および退避制御手段34による制御において、発電モジュール10の回転角度を変化させることで強風の影響を低減する効果、そして退避解除手段35による制御において、強風が止んだ後に太陽追尾を速やかに再開する効果を、十分に享受することができる。
各グループの太陽光発電装置1を制御する順序は、特に強風の発生下で行われる停止制御手段33による制御と退避制御手段34による制御については、強風の影響を最も大きく受けるグループから開始し、順次影響の少ないグループに移行すればよい。このようにすることで、太陽光発電システム100全体として、強風による影響を小さくすることができる。具体的には、風速計測手段50が風速のみを与えるものである場合、全太陽光発電装置1の配列において、外側に位置するグループを先に制御し、内側に位置するグループを後から制御すればよい。図7の例では、第一グループG1および第三グループG3を先に制御し、最後に第二グループG2を制御すればよい。また、風速計測手段50が、風速に加え、風向の情報を与える風速風向計である場合には、風上に位置するグループを先に制御し、風下に位置するグループを後から制御すればよい。図7の例において、風が図中の上方から下方に向けて吹いた場合には、第一グループG1→第二グループG2→第三グループG3の順に制御を行えばよい。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1 (追尾型)太陽光発電装置
10 発電モジュール
10a 受光面
11 発電レシーバ
12 太陽光発電素子
13 集光レンズ
20 太陽追尾架台
21 支柱
22 旋回駆動機構
23 傾斜駆動機構
25 旋回角計測手段
26 傾斜角計測手段
30 処理部
31 追尾制御手段
32 ソフトリミット手段(第二駆動制限手段)
33 停止制御手段(第三駆動制限手段)
34 退避制御手段
35 退避解除手段
40 ハードリミット手段(第一駆動制限手段)
50 風速計測手段
100 (追尾型)太陽光発電システム
130 総制御部
R1 第一可動範囲
R2 第二可動範囲
S 復帰位置
HL 第一可動範囲の外縁
SL 第二可動範囲の外縁

Claims (7)

  1. 受光面に入射された太陽光によって太陽光発電を行う発電モジュールと、前記発電モジュールの回転位置を変化させ、前記受光面を太陽光の入射方向に略垂直に向ける駆動部と、前記駆動部による前記発電モジュールの回転位置の変化を制御する制御部と、を有してなり、
    前記制御部は、前記発電モジュールの回転位置の変化を制限する駆動制限手段を備え、
    前記駆動制限手段は、前記発電モジュールの回転位置を第一可動範囲の中に物理的に制限する第一駆動制限手段と、
    前記駆動部を電気的に制御し、前記発電モジュールの回転位置が、前記第一可動範囲よりも狭く、前記第一可動範囲の中に含まれる第二可動範囲の外に出ると、前記駆動部による発電モジュールの回転位置の変化を停止する第二駆動制限手段と、
    前記第二駆動制限手段が前記発電モジュールの回転位置の変化を停止している状態で、前記発電モジュールの回転位置が、前記第二可動範囲の外縁に設けられた停止位置よりも前記第一可動範囲の外縁側にある時、前記発電モジュールを、前記第二可動範囲の外縁上または内側に設けられた復帰位置に移動させるように、前記駆動部を制御する第三駆動制限手段と、を有することを特徴とする追尾型太陽光発電装置。
  2. 前記第一可動範囲の外縁と前記第二可動範囲の外縁の間の差は、前記発電モジュールの回転中心に対して2度以上5度以下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の追尾型太陽光発電装置。
  3. 前記追尾型太陽光発電装置はさらに、風速を計測する風速計測部を有し、
    前記制御手段はさらに、前記風速計測部によって計測された風速が退避基準風速以上であると、前記発電モジュールに印加される風圧が小さくなる退避位置に、前記発電モジュールの回転位置を変化させる退避制御手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の追尾型太陽光発電装置。
  4. 前記退避位置は、前記受光面が水平に上方を向いた状態から5度以上20度以下の範囲で傾斜した回転位置であることを特徴とする請求項3に記載の追尾型太陽光発電装置。
  5. 前記制御部は、前記退避位置から、前記受光面が太陽光の入射方向に略垂直に向いた追尾位置、あるいは日没時または日の出時の太陽光の入射方向に略垂直に向いた待機位置へと、前記発電モジュールの回転位置を変化させる退避解除手段をさらに有し、
    前記発電モジュールが前記退避位置にある状態で、前記風速計測部が前記退避基準風速以上の風速を検出した後、前記発電モジュールが前記退避位置から前記待機位置まで動くのに要する時間の2倍および前記風速の自己相関の二乗が0.5となる時間のうち長い方の時間が経過するまでの間に、再度前記風速計測部が前記退避基準風速以上の風速を検出しなかった時に、前記退避解除手段による前記駆動部の制御が実行されることを特徴とする請求項3または4に記載の追尾型太陽光発電装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の追尾型太陽光発電装置を複数備えてなることを特徴とする追尾型太陽光発電システム。
  7. 前記複数の追尾型太陽光発電装置は、前記追尾型太陽光発電装置を少なくとも1台含んでなる複数のグループに分けられ、
    前記第三駆動制限手段、前記退避制御手段、および前記退避解除手段の少なくとも1つによる前記駆動部の制御は、前記グループごとに、時間間隔を設けて実行されることを特徴とする請求項6に記載の追尾型太陽光発電システム。
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