JP2015120148A - ガスバリア性シートの製造方法及びガスバリア性シート - Google Patents

ガスバリア性シートの製造方法及びガスバリア性シート Download PDF

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Abstract

【課題】ガスバリア性に優れたガスバリア性シートの製造方法の提供を目的とする。【解決手段】本発明は、樹脂製の基材と、この基材の少なくとも一方の面側に積層され、セルロースナノファイバーを含有するガスバリア層を備えるガスバリア性シートの製造方法であって、パルプ繊維を機械的処理により解繊したセルロースナノファイバーを含有する塗工液を上記基材の少なくとも一方の面に塗工する工程、及び上記塗工液を自然乾燥する工程を備えることを特徴とするガスバリア性シートの製造方法である。上記自然乾燥工程での温度としては15℃以上45℃以下が好ましい。上記ガスバリア層の塗工量としては0.5g/m2以上100g/m2以下が好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、ガスバリア性シートの製造方法及びガスバリア性シートに関する。
現在、包装紙は食物等の被包装物を包装するための包装材として多く用いられるようになっている。このような包装紙は、被包装物に由来する臭気が外部に漂わないように、また外部から酸素等が侵入して被包装物の劣化を招かないように、酸素等に対する高いガスバリア性が求められている。
そのため、このような高いガスバリア性の要求に応じるべく、上記包装紙として変質の重要な起因物質とされている酸素の透過をバリアするガスバリア層を有するフィルムや複合紙が検討されている。このようなガスバリア層としては、アルミニウム等の金属箔や金属蒸着フィルム、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂フィルム、無機酸化物を蒸着したセラミック蒸着フィルム等が検討されている。
しかし、ガスバリア層としてアルミニウム等の金属箔や金属蒸着フィルムを用いる場合には、異物混入防止のための金属探知機を用いた検査を行うことが不可能であり、また廃棄時に不燃物処理をしなければならない等の問題がある。また、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂フィルムを用いる場合には、廃棄、焼却時に有害物質を発生する可能性がある。さらに、無機酸化物を蒸着したセラミック蒸着フィルムを用いる場合には、硬い蒸着層がフレキシビリティ(可撓性)に欠け、加工適正を損なうという問題がある。
上記の事情に鑑み、セルロースエーテルを含有するガスバリア性コーティング剤を基紙にコーティングしたガスバリア性材料が開発されている(特開2012−201785号公報参照)。しかし、製造方法等によってはガスバリア層内にクラック等が発生し、ガスバリア層のガスバリア性が低下するという不都合がある。
特開2012−201785号公報
本発明は、上記のような不都合に鑑みてなされたものであり、ガスバリア性、特に酸素透過バリア性に優れたガスバリア性シートの製造方法の提供を目的とする。
本発明者等は、上記不都合を解決するために鋭意検討を重ねた結果、化学的な変質処理を行わず、機械的処理のみにより製造されたセルロースナノファイバーを用い、特定の塗工工程及び自然乾燥工程を備えるガスバリア性シートの製造方法が、ガスバリア性に優れたガスバリア性シートの製造方法であることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するためになされた発明は、樹脂製の基材と、この基材の少なくとも一方の面側に積層され、セルロースナノファイバーを含有するガスバリア層を備えるガスバリア性シートの製造方法であって、パルプ繊維を機械的処理により解繊したセルロースナノファイバーを含有する塗工液を上記基材の少なくとも一方の面に塗工する工程(塗工工程)、及び上記塗工液を自然乾燥する工程(自然乾燥工程)を備えることを特徴とするガスバリア性シートの製造方法である。
化学的処理を施したものよりも繊維幅が大きい機械的処理で製造したセルロースナノファイバーであっても、当該ガスバリア性シートの製造方法によれば緻密な構造を有するガスバリア層を形成するため、ガスバリア性に優れたガスバリア性シートを得ることができる。また、当該ガスバリア性シートの製造方法によれば、上記塗工液を自然乾燥することでガスバリア層を均一に形成することができ、その結果ガスバリア性シートのガスバリア性を向上させることができると推測される。
上記自然乾燥工程での温度としては、15℃以上45℃以下が好ましい。自然乾燥工程での温度が上記範囲であることで、ガスバリア性の高いガスバリア性シートをより確実かつ容易に得ることができる。
上記ガスバリア層の塗工量としては、0.5g/m以上100g/m以下が好ましい。上記ガスバリア層の塗工量が上記範囲であることで、ガスバリア層の均一性をより向上させることができる。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、当該ガスバリア性シートの製造方法により得られるガスバリア性シートである。当該ガスバリア性シートは、上述したようにガスバリア性に優れる。
上記ガスバリア性シートの酸素透過度としては、1.3cc/m・day・atm以下が好ましい。ガスバリア性シートの酸素透過度が上記範囲であることで、ガスバリア性シートのガスバリア性をより高めることができる。
ここで、「セルロースナノファイバー」とは、繊維幅がナノサイズのセルロース微細繊維を含むセルロース繊維をいう。
また、ガスバリア性シートの「酸素透過度」とは、JIS−K−7126−1:2006「プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−1部:差圧法」に準拠して測定される値をいう。
上述のように、当該ガスバリア性シートの製造方法はガスバリア性に優れたガスバリア性シートを容易かつ確実に得ることができる。従って、当該ガスバリア性シートの製造方法によって得られるガスバリア性シートはこのような特性が求められる用途、特に食品包装材として好適に用いることができる。
以下、本発明のガスバリア性シートの製造方法及びガスバリア性シートの実施形態について説明する。
<ガスバリア性シートの製造方法>
当該ガスバリア性シートの製造方法は、樹脂製の基材と、この基材の少なくとも一方の面側に積層され、セルロースナノファイバーを含有するガスバリア層を備えるガスバリア性シートの製造方法である。当該ガスバリア性シートの製造方法は、パルプ繊維を機械的処理により解繊したセルロースナノファイバーを含有する塗工液を上記基材の少なくとも一方の面に塗工する工程、及び上記塗工液を自然乾燥する工程を備える。以下、各工程について詳説する。
(塗工工程)
本工程ではパルプ繊維を機械的処理により解繊したセルロースナノファイバーを含有する塗工液を基材の少なくとも一方の面に塗工する。本工程を行うことで塗工液が塗工された基材を得ることができる。
他方、酸素処理、酸処理などの化学的処理により解繊する場合、煩雑な処理が必要で環境対策や製造コストが嵩む等の産業化に問題があると共に、得られたセルロースナノファイバーは化学的に変質してしまうので好ましくない。
原材料として用いるパルプ繊維としては、例えば、
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)等の広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)等の針葉樹クラフトパルプ(NKP)等の化学パルプ;
ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、晒サーモメカニカルパルプ(BTMP)等の機械パルプ;
茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙、更紙古紙等から製造される古紙パルプ;
古紙パルプを脱墨処理した脱墨パルプ(DIP)などが挙げられる。これらは、本発明の効果を損なわない限り、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
パルプ繊維としては、これらの中で、パルプ繊維を含有する塗工液の乾燥が容易となる観点から、化学パルプが好ましく、広葉樹クラフトパルプ(LKP)がより好ましい。
パルプ繊維は、本発明の効果を損なわない限り、その他の製紙用薬剤を任意に含有していてもよい。
その他の製紙用薬剤としては、例えば顔料、染料、填料、サイズ剤、耐摩耗性向上剤、耐水化剤、界面活性剤、ワックス、防錆剤、導電剤、紙粉脱落防止剤等が挙げられる。これらは、本発明の効果を損なわない限り、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
機械的処理による解繊方法としては、例えばパルプ繊維を回転する砥石間で磨砕するグラインダー法、ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル等を用いる粉砕法などが挙げられる。
機械的処理による解繊方法としては、これらの中でセルロースナノファイバーをより容易かつ確実に得ることができる観点から、パルプ繊維を回転する砥石間で磨砕するグラインダー法が好ましい。
回転する砥石間で磨砕するグラインダー法としては、例えば石臼式磨砕機を使用する磨砕処理法を用いることができる。具体的には、石臼式磨砕機の擦り合わせ部にパルプ繊維を通過させることで、パルプ繊維が通過の際の衝撃、遠心力、剪断力等により次第に磨り潰され、化学的に変質することなく、均一なセルロースナノファイバーが得られる。そのため、上記セルロースナノファイバーを用いることで緻密な構造を有するガスバリア層を形成することができる。
また、パルプ繊維は解繊の前に予備叩解に付してもよい。
具体的には、段階的に解繊を進めることが好ましく、特に未叩解の原料パルプをナイヤガラビーター等のいわゆる粘状叩解設備にて予めろ水度(カナディアンフリーネス)を出発原料の30%以下まで予備叩解処理した後、回転する砥石間で磨砕するグラインダー法にてセルロースナノファイバーが得られるまで解繊処理することが、ナノセルロース化処理において効率的であり、ガスバリア性を付与できるセルロースナノファイバーが得られるため好ましい。
セルロースナノファイバーの保水度としては、400%以上が好ましく、430%以上がより好ましい。セルロースナノファイバーの保水度が上記下限未満であると、セルロースナノファイバーの水への分散性が不十分となるおそれがある。他方、セルロースナノファイバーの保水度としては、800%以下が好ましく、500%以下がより好ましい。セルロースナノファイバーの保水度が上記上限を超えると、自然乾燥工程で長時間を要するおそれがある。なお、セルロースナノファイバーの保水度(%)はJAPAN TAPPI No.26に準拠して測定される。
塗工液はセルロースナノファイバー及び水を含有するが、本発明の効果を損なわない限り、その他の塗工用薬剤を任意に含有していてもよい。
その他の塗工用薬剤としては、例えば顔料、染料、粘度調整剤、pH調整剤等が挙げられる。これらは、本発明の効果を損なわない限り、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
塗工液の製造方法としては、例えば水、セルロースナノファイバー及びその他の塗工用薬剤を混合後、混合液に撹拌を加えることで得ることができる。塗工液の状態としては、例えば分散液、ゲル状分散液等が挙げられる。
塗工液中のセルロースナノファイバーの含有量としては、0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましい。セルロースナノファイバーの含有量が上記下限未満であると、塗工液の乾燥に長時間を要するおそれがある。他方、塗工液中のセルロースナノファイバーの含有量としては、3.0質量%以下が好ましく、2.5質量%以下がより好ましい。セルロースナノファイバーの含有量が上記上限を超えると、塗工液の粘度が高くなるおそれがある。
上記樹脂製の基材に含有される樹脂としては、特に限定されないが、例えば、
ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアルコール等のアクリル系;
ポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトン等のポリエステル系;
ポリエチレングリコール等のポリエーテル系;
普通セロファン、防湿セロファン等のセロファン系;
フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリウレタン、ケイ素樹脂、ポリイミド等の熱硬化性樹脂などが挙げられる。これらは、本発明の効果を損なわない限り、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
基材に含有される樹脂としては、これらの中で取扱いが簡単で、セルロースナノファイバーとの親和性が高いという観点から、ポリエステル系、セロファン系が好ましく、ポリエチレンテレフタレート、普通セロファンがより好ましく、普通セロファンがさらに好ましい。
樹脂製の基材の平均厚さとしては、5μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましい。樹脂製の基材の平均厚さが上記下限未満であると、包装材としてのガスバリア性シートの取扱いが難しくなるおそれがある。他方、樹脂製の基材の平均厚さとしては、100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。樹脂製の基材の平均厚さが上記上限を超えると、ガスバリア性シートが可撓性を示し難く、包装材として用い得ないおそれがある。
塗工液の塗工機としては、例えば2ロールサイズプレスコーター、ゲートロールコーター、ブレードメタリングコーター、ロッドメタリングコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター(クリアランスバー)、グラビアコーター、ディップコーター、コンマコーター等が挙げられる。
塗工液の塗工機としては、これらの中で塗工がより容易となる観点から、バーコーター、コンマコーター、ダイコーターが好ましく、バーコーターがより好ましい。
塗工液は通常基材の少なくとも一方の面に塗布される。また、塗工液は、本発明の効果を損なわない限り、基材の両面に塗工してもよい。
(自然乾燥工程)
本工程では、塗工液を自然乾燥する。本工程を行うことで樹脂製の基材とこの基材の少なくとも一方の面側に積層されるガスバリア層を備えるガスバリア性シートを得ることができる。特に、自然乾燥工程に代えて、例えば80℃程度の高温乾燥工程を行った場合、ガスバリア層にクラック等が発生し易く、ガスバリア層は十分なガスバリア性を示さない傾向がある。
自然乾燥工程での温度としては、15℃以上が好ましく、18℃以上がより好ましい。自然乾燥工程での温度が上記下限未満であると、自然乾燥工程に長時間を要するおそれがある。他方、自然乾燥工程での温度としては、45℃以下が好ましく、42℃以下がより好ましい。自然乾燥工程での温度が上記上限を超えると、ガスバリア層にクラック等が発生し、その結果ガスバリア性シートのガスバリア性が不十分となるおそれがある。
自然乾燥方法は、45℃以下で水分を蒸発させる乾燥方法である限り特に限定されないが、例えば上記温度以下で風乾させる方法が挙げられる。
ガスバリア層の塗工量としては、固形分換算で、0.5g/m以上が好ましく、4.2g/m以上がより好ましく、4.7g/m以上がさらに好ましく、5g/m以上が特に好ましい。ガスバリア層の塗工量が上記下限未満であると、ガスバリア層内のガス拡散を十分に抑制できずガスバリア層をガスが透過してしまい、ガスバリア性を十分に発揮できなくなるおそれがあると共に、ガスバリア層の塗工厚みが不均一になり平面方向におけるガスバリア性にバラつきが生じるおそれがある。これに対し、ガスバリア層の塗工量が上記下限以上の場合、当該ガスバリア性シートの酸素透過度を低く抑えやすく、ガスバリア性を向上しやすい。他方、ガスバリア層の塗工量としては、100g/m以下が好ましく、50g/m以下がより好ましく、10g/m以下がさらに好ましい。ガスバリア層の塗工量が上記上限を超えると、ガスバリア層が可撓性に欠けることでガスバリア層にクラックが入り易くなり、ガスバリア性を損なうおそれがある。
<ガスバリア性シート>
当該ガスバリア性シートは、樹脂製の基材と、この基材の少なくとも一方の面側に積層される、上記セルロースナノファイバーを含有するガスバリア層を備えるため、ガスバリア性、特に変質の重要な起因物質とされている酸素バリア性に優れる。
当該ガスバリア性シートの酸素透過度としては、1.3cc/m・day・atm以下が好ましく、1.2cc/m・day・atm以下がより好ましい。ガスバリア性シートの酸素透過度が上記上限を超えると、当該ガスバリア性シートのガスバリア性が不十分となるおそれがある。なお、ガスバリア性シートの酸素透過度(cc/m・day・atm)はJIS−K−7126−1:2006「プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−1部:差圧法」に準拠して測定される。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<評価方法>
実施例及び比較例における各種物性は以下の評価方法に準じて測定した。
(セルロースナノファイバーの保水度(%))
セルロースナノファイバーの保水度(%)はJAPAN TAPPI No.26に準拠して測定した。
(ガスバリア性シートの酸素透過度(cc/m・day・atm))
ガスバリア性シートの酸素透過度(cc/m・day・atm)はJIS−K−7126−1:2006「プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−1部:差圧法」に準拠して、GTR社の「GTR−11AET」を用いて25℃で2時間測定した。
<実施例1>
(塗工工程)
広葉樹由来のパルプを摩砕機(増幸産業社の「マスコロイダー」)により解繊して保水度435%のセルロースナノファイバーを得て、このセルロースナノファイバーを含有する2質量%ゲル状分散液を作製した。次いで、得られたゲル状分散液をそのまま塗工液として使用し、平均厚さ20μmの普通セロファンの表面全面にクリアランスバーを用いて塗工した。
(自然乾燥工程)
上記塗工液が表面全面に塗工された普通セロファンを温度20℃で一定に保ちつつ24時間風乾させた。この乾燥によって、普通セロファンの表面に固形分換算の塗工量が8.0g/mのガスバリア層を備える実施例1のガスバリア性シートを得た。
<実施例2〜5>
(塗工工程)
セルロースナノファイバーの保水度を表1の値とした以外、実施例1と同様にしてゲル状分散液を作製した。得られたゲル状分散液をそのまま塗工液として使用し、実施例1と同様平均厚さ20μmの普通セロファンの表面全面にクリアランスバーを用いて塗工した。
(自然乾燥工程)
上記塗工液が表面全面に塗工された普通セロファンを表1に記載の温度で一定に保ちつつ風乾させて、普通セロファンの表面に表1の塗工量(固形分換算)のガスバリア層を備える実施例2〜5のガスバリア性シートを得た。また、風乾時間については、実施例2〜4は24時間とし、実施例5は72時間とした。
<実施例6>
(塗工工程)
セルロースナノファイバーの保水度を表1の値とした以外、実施例1と同様にしてゲル状分散液を作製した。得られたゲル状分散液をそのまま塗工液として使用し、平均厚さ20μmのポリプロピレンフィルムの表面全面にクリアランスバーを用いて塗工した。
(自然乾燥工程)
上記塗工液が表面全面に塗工されたポリプロピレンフィルムを表1の温度で一定に保ちつつ24時間風乾させた。この乾燥によって、ポリプロピレンフィルムの表面に表1の塗工量(固形分換算)のガスバリア層を備える実施例6のガスバリア性シートを得た。
<実施例7>
(塗工工程)
セルロースナノファイバーの保水度を表1の値とした以外、実施例1と同様にしてゲル状分散液を作製した。得られたゲル状分散液をそのまま塗工液として使用し、平均厚さ15μmのポリ乳酸フィルムの表面全面にクリアランスバーを用いて塗工した。
(自然乾燥工程)
上記塗工液が表面全面に塗工されたポリ乳酸フィルムを表1の温度で一定に保ちつつ24時間風乾させた。この乾燥によって、ポリ乳酸フィルムの表面に表1の塗工量(固形分換算)のガスバリア層を備える実施例7のガスバリア性シートを得た。
<比較例1〜3>
実施例1〜5と同様の普通セロファンからなるフィルムを比較例1のシートとした。また、実施例6と同様のポリプロピレンフィルムからなるフィルムを比較例2のシートとした。さらに、実施例7と同様のポリ乳酸フィルムからなるフィルムを比較例3のシートとした。
各実施例及び各比較例での製造工程、使用原料等を表1に示す。なお、表1中の「−」は、項目に対応する値が存在しないこと又は評価を行わなかったことを示す。
Figure 2015120148
表1より、実施例1〜7のガスバリア性シートは、酸素透過度が1.3cc/m・day・atm以下と低く、優れたガスバリア性を有することが分かった。これに対し、比較例1〜3のシートは、実施例1〜7のようなガスバリア層を有しないため、十分なガスバリア性が得られないことが分かった。
上述のように、当該ガスバリア性シートの製造方法はガスバリア性に優れたガスバリア性シートを容易かつ確実に得ることができる。従って、当該ガスバリア性シートの製造方法によって得られるガスバリア性シートはこのような特性が求められる用途、特に食品包装材として好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 樹脂製の基材と、この基材の少なくとも一方の面側に積層され、セルロースナノファイバーを含有するガスバリア層を備えるガスバリア性シートの製造方法であって、
    パルプ繊維を機械的処理により解繊したセルロースナノファイバーを含有する塗工液を上記基材の少なくとも一方の面に塗工する工程、及び
    上記塗工液を自然乾燥する工程
    を備えることを特徴とするガスバリア性シートの製造方法。
  2. 上記自然乾燥工程での温度が15℃以上45℃以下である請求項1に記載のガスバリア性シートの製造方法。
  3. 上記ガスバリア層の塗工量が0.5g/m以上100g/m以下である請求項1又は請求項2に記載のガスバリア性シートの製造方法。
  4. 請求項1、請求項2又は請求項3に記載のガスバリア性シートの製造方法により得られるガスバリア性シート。
  5. 酸素透過度が1.3cc/m・day・atm以下である請求項4に記載のガスバリア性シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018180277A1 (ja) * 2017-03-29 2018-10-04 第一工業製薬株式会社 水性塗工液組成物及びそれを用いた塗膜

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