以下、本発明の詳細を説明する。
(導電性粒子)
本発明に係る導電性粒子は、基材粒子と、上記基材粒子の表面上に配置されており、かつ銀又は銅により形成された第1の導電層と、上記第1の導電層の外表面上に配置されており、かつニッケルにより形成された第2の導電層と、ニッケルを含まない無機物質により形成された複数の芯物質とを備える。上記第1の導電層は、銀により形成された銀層、又は、銅により形成された銅層である。上記第2の導電層は、ニッケルにより形成されたニッケル層である。
本発明に係る導電性粒子では、上記第2の導電層が外表面に複数の突起を有する。本発明に係る導電性粒子では、上記突起の内側に上記芯物質が配置されており、上記芯物質により上記第2の導電層の外表面が隆起されて、上記突起が形成されている。
本発明に係る導電性粒子における上述した構成の採用により、本発明に係る導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続して接続構造体を得た場合に、初期の接続抵抗を低くすることができる。さらに、得られた接続構造体が酸の存在下に晒されても、接続抵抗を低く維持することができる。特に、導電性粒子を電極間の電気的な接続に用いる場合に、導電性粒子は一般的に圧縮される。導電性粒子が圧縮されることによって、上記第2の導電層に割れが生じることがある。上記第2の導電層に割れが生じたとしても、上記第2の導電層における腐食が抑えられる結果、接続抵抗を効果的に低く維持できる。
また、導電性粒子の表面層がニッケル層である場合に、ニッケル層に酸化膜が形成されやすい。また、電極の表面にも酸化膜が形成されていることがある。本発明では、突起が上記酸化膜を良好に貫通することができるために、初期の接続抵抗を低くすることができる。
また、本発明に係る導電性粒子において、上記ニッケル層の内側に、銀層又は銅層が配置されており、該銀層及び銅層は比較的柔らかい。銀層又は銅層の外表面上にニッケル層が配置されている導電性粒子では、一般に、突起が酸化膜を十分に貫通することが困難であるという問題がある。これに対して、上記芯物質を用いて上記突起を形成することにより、ニッケル層の内側に銀層又は銅層が配置されていたとしても、突起が酸化膜を十分に貫通することができ、初期の接続抵抗を効果的に低くすることができる。銀層又は銅層の外表面上にニッケル層が形成されている場合に、突起を形成するために上記芯物質を用いることは、本発明の効果を得るために大きな役割を果たす。また、ニッケル層の内側の導電層が銀層又は銅層である場合に、ニッケル層の内側の導電層が銀層又は銅層以外の導電層である場合と比べて、接続抵抗の低減効果がかなり大きくなる。
また、銀層よりも銅層の方が比較的硬い。このため、上記ニッケル層の内側に、銀層よりも銅層がある方が、突起が酸化膜をより一層効果的に貫通し、初期の接続抵抗がより一層低くなる。
また、本発明に係る導電性粒子において、上記第1の導電層の内側に、樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子が配置されている場合に、該樹脂粒子及び有機無機ハイブリッド粒子は比較的柔らかい。基材粒子が樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である導電性粒子では、一般に、突起が酸化膜を十分に貫通することが困難であるという問題がある。これに対して、上記芯物質を用いて上記突起を形成することにより、基材粒子が樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であったとしても、突起が酸化膜を十分に貫通することができ、初期の接続抵抗を効果的に低くすることができる。基材粒子が樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合に、突起を形成するために上記芯物質を用いることは、本発明の効果を得るために大きな役割を果たす。また、基材粒子が樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合に、基材粒子が樹脂粒子及び有機無機ハイブリッド粒子ではない場合と比べて、接続抵抗の低減効果がかなり大きくなる。
上記突起の平均高さBは、上記第2の導電層の上記突起が無い部分の厚みAよりも大きいことが好ましい。但し、上記突起の平均高さBは、上記第2の導電層の上記突起が無い部分の厚みAと同等以下であってもよい。上記突起の平均高さBは、1つの導電性粒子あたりの複数の突起の高さの平均である。上記第2の導電層の上記突起が無い部分の厚みAは、1つの導電性粒子あたりの上記第2の導電層の上記突起が無い部分の厚みの平均である。
初期の接続抵抗をより一層低くし、かつ酸存在下での接続抵抗の上昇をより一層抑える観点からは、上記突起の平均高さBは、上記第2の導電層の上記突起が無い部分の厚みAの1.1倍以上であることがより好ましく、2.2倍以上であることが更に好ましい。突起が過度に折れるのを抑え、接続抵抗のばらつきをより一層少なくし、接続信頼性をより一層高める観点からは、上記突起の平均高さBは、上記第2の導電層の上記突起が無い部分の厚みAの6倍以下であることが好ましく、3倍以下であることがより好ましい。
上記突起の高さは、導電性粒子の中心と突起の先端とを結ぶ線(図1に示す破線L1)上における、突起が無いと想定した場合の導電部の仮想線(図1に示す破線L2)上(突起が無いと想定した場合の球状の導電性粒子の外表面上)から突起の先端までの距離を示す。すなわち、図1においては、破線L1と破線L2との交点から突起の先端までの距離を示す。
初期の接続抵抗をより一層低くし、かつ酸存在下での接続抵抗の上昇をより一層抑える観点からは、上記第2の導電層の厚みが、上記第1の導電層の厚みの0.1倍以上であることが好ましく、0.5倍以上であることがより好ましく、15倍以下であることが好ましく、10倍以下であることがより好ましい。
上記第1の導電層の厚みは、1つの導電性粒子あたりの上記第1の導電層全体の厚みの平均である。上記第2の導電層の厚みは、1つの導電性粒子あたりの上記第2の導電層全体の厚みの平均である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図1に示す導電性粒子1は、基材粒子11と、第1の導電層12と、第2の導電層13と、複数の芯物質14と、複数の絶縁物質15とを備える。第1の導電層12は、銀又は銅により形成されている。第2の導電層13は、ニッケルにより形成されている。導電性粒子1では、多層の導電層が形成されている。基材粒子11は、例えば、樹脂粒子である。
第1の導電層12は、基材粒子11の表面上に配置されている。第1の導電層12は、基材粒子11と接している。基材粒子11と第2の導電層13との間に、第1の導電層12が配置されている。第2の導電層13は、第1の導電層12の外表面上に配置されている。第2の導電層13は、第1の導電層12と接している。導電性粒子1は、基材粒子11の表面が第1の導電層12及び第2の導電層13により被覆された被覆粒子である。
導電性粒子1は、導電性の表面に複数の突起1aを有する。第1の導電層12及び第2の導電層13は外表面に、複数の突起12a,13aを有する。複数の芯物質14が、基材粒子11の表面上に配置されている。複数の芯物質14は、第1の導電層12及び第2の導電層13内に埋め込まれている。芯物質14は、突起1a,12a,13aの内側に配置されている。第1の導電層12及び第2の導電層13は、複数の芯物質14を被覆している。複数の芯物質14により第1の導電層12及び第2の導電層13の外表面が隆起されており、突起1a,12a,13aが形成されている。このように、本発明に係る導電性粒子は導電性の表面に突起を有する。また、本発明に係る導電性粒子は、第2の導電層の外表面に突起を有する。芯物質は、第2の導電層の内側又は内部に配置されていることが好ましい。芯物質は、第1の導電層の内側又は内部に配置されていてもよい。なお、芯物質が、第1の導電層の内側又は内部に配置されている場合に、芯物質は、第2の導電層の内側に配置されている。
導電性粒子1は、導電性の表面上に配置された絶縁物質15を有する。導電性粒子1は、第2の導電層13の外表面上に配置された絶縁物質15を有する。第2の導電層13の外表面の少なくとも一部の領域が、絶縁物質15により被覆されている。絶縁物質15は絶縁性を有する材料により形成されており、絶縁性粒子である。このように、本発明に係る導電性粒子は、第2の導電層の外表面上に配置された絶縁物質を有することが好ましい。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図2に示す導電性粒子1Bは、基材粒子11と、第1の導電層12Bと、第2の導電層13Bと、複数の芯物質14とを備える。第1の導電層12Bは、銀又は銅により形成されている。第2の導電層13Bは、ニッケルにより形成されている。
導電性粒子1Bは、導電性の表面に複数の突起1Baを有する。第1の導電層12Bは外表面に、突起を有さない。第1の導電層12Bの外形は球状である。第2の導電層13Bは外表面に、複数の突起13Baを有する。複数の芯物質14が、第1の導電層12Bの外表面上に配置されている。複数の芯物質14は第2の導電層13B内に埋め込まれている。芯物質14は、突起1Ba,13Baの内側に配置されている。第2の導電層13Bは、複数の芯物質14を被覆している。複数の芯物質14により第2の導電層13Bの外表面が隆起されており、突起1Ba,13Baが形成されている。
導電性粒子1Bのように、本発明に係る導電性粒子は、第1の導電層の外表面に突起を有していなくてもよい。
導電性粒子1Bは、第2の導電層13Bの外表面上に絶縁物質を有さない。本発明に係る導電性粒子は、第2の導電層の外表面上に配置された絶縁物質を必ずしも有していなくてもよい。
図3は、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図3に示す導電性粒子1Cは、基材粒子21と、第1の導電層12と、第2の導電層13と、複数の芯物質14と、複数の絶縁物質15とを備える。導電性粒子1Cは、導電性の表面に複数の突起1Caを有する。
図1に示す導電性粒子1では、基材粒子11が用いられているのに対し、図3に示す導電性粒子1Cでは、基材粒子21が用いられている。基材粒子21は、コア21Xと、コア21Xの表面上に配置されたシェル21Yとを有する。基材粒子21は、コアシェル粒子である。基材粒子21は、例えば、有機無機ハイブリッド粒子である。
このように、本発明に係る導電性粒子では、基材粒子を適宜変更することができる。
以下、導電性粒子の他の詳細を説明する。
[基材粒子]
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを有していてもよく、コアシェル粒子であってもよい。上記基材粒子は、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましい。
上記基材粒子は、樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることが更に好ましく、樹脂粒子であってもよく、有機無機ハイブリッド粒子であってもよい。これらの好ましい基材粒子の使用により、電極間の電気的な接続に、より一層適した導電性粒子が得られる。
上記導電性粒子を用いて電極間を接続する際には、上記導電性粒子を電極間に配置した後、圧着することにより上記導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であると、上記圧着の際に上記導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が挙げられる。導電材料に適した任意の圧縮時の物性を有する樹脂粒子を設計及び合成することができ、かつ基材粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を複数有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する単量体を重合させて得る場合、上記エチレン性不飽和基を有する単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合に、上記基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム、ジルコニア及びカーボンブラック等が挙げられる。上記無機物は金属ではないことが好ましい。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上持つケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記有機無機ハイブリッド粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを有するコアシェル型の有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。上記コアが有機コアであることが好ましい。上記シェルが無機シェルであることが好ましい。電極間の接続抵抗を効果的に低くする観点からは、上記基材粒子は、有機コアと上記有機コアの表面上に配置された無機シェルとを有する有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。
上記有機コアを形成するための材料としては、上述した樹脂粒子を形成するための樹脂等が挙げられる。
上記無機シェルを形成するための材料としては、上述した基材粒子を形成するための無機物が挙げられる。上記無機シェルを形成するための材料は、シリカであることが好ましい。上記無機シェルは、上記コアの表面上で、金属アルコキシドをゾルゲル法によりシェル状物とした後、該シェル状物を焼成させることにより形成されていることが好ましい。上記金属アルコキシドはシランアルコキシドであることが好ましい。上記無機シェルはシランアルコキシドにより形成されていることが好ましい。
上記コアの粒径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、特に好ましくは20μm以下、最も好ましくは10μm以下である。上記コアの粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の電気的な接続により一層適した導電性粒子が得られ、基材粒子を導電性粒子の用途に好適に使用可能になる。例えば、上記コアの粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が充分に大きくなり、かつ導電層を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電層が基材粒子の表面から剥離し難くなる。
上記コアの粒径は、上記コアが真球状である場合には直径を意味し、上記コアが真球状以外の形状である場合には、最大径を意味する。また、コアの粒径は、コアを任意の粒径測定装置により測定した平均粒径を意味する。例えば、レーザー光散乱、電気抵抗値変化、撮像後の画像解析などの原理を用いた粒度分布測定機が利用できる。
上記シェルの厚みは、好ましくは100nm以上、より好ましくは200nm以上、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下である。上記シェルの厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の電気的な接続により一層適した導電性粒子が得られ、基材粒子を導電性粒子の用途に好適に使用可能になる。上記シェルの厚みは、基材粒子1個あたりの平均厚みである。ゾルゲル法の制御によって、上記シェルの厚みを制御可能である。
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。但し、上記基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
上記基材粒子の粒子径は、0.1μm以上、5μm以下であることが特に好ましい。上記基材粒子の粒子径が0.1〜5μmの範囲内であると、電極間の間隔が小さくなり、かつ導電層の厚みを厚くしても、小さい導電性粒子が得られる。電極間の間隔をより一層小さくしたり、導電層の厚みを厚くしても、より一層小さい導電性粒子を得たりする観点からは、上記基材粒子の粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは2μm以上、好ましくは3μm以下である。
上記基材粒子の粒子径は、基材粒子が真球状である場合には、直径を示し、基材粒子が真球状ではない場合には、最大径を示す。
上記基材粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率(10%K値)は好ましくは2500mN/mm2以上、より好ましくは5000mN/mm2以上、好ましくは10000mN/mm2以下、より好ましくは7000mN/mm2以下である。上記10%K値が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
上記基材粒子における上記圧縮弾性率(10%K値)は、以下のようにして測定できる。
微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径100μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃、圧縮速度0.3mN/秒、及び最大試験荷重20mNの条件下で基材粒子を圧縮する。このときの荷重値(N)及び圧縮変位(mm)を測定する。得られた測定値から、上記圧縮弾性率を下記式により求めることができる。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」等が用いられる。
10%K値(N/mm2)=(3/21/2)・F・S−3/2・R−1/2
F:基材粒子が10%圧縮変形したときの荷重値(N)
S:基材粒子が10%圧縮変形したときの圧縮変位(mm)
R:基材粒子の半径(mm)
上記圧縮弾性率は、基材粒子の硬さを普遍的かつ定量的に表す。上記圧縮弾性率の使用により、基材粒子の硬さを定量的かつ一義的に表すことができる。
[導電層]
上記第1の導電層は、銀又は銅により形成されている。上記第1の導電層には、金属として、銀又は銅のみを用いた場合だけでなく、銀と他の金属を用いた場合、並びに銅と他の金属とを用いた場合も含まれる。上記第1の導電層は、銀合金層であってもよく、銅合金層であってもよい。
上記第1の導電層は、銀により形成された銀層であってもよく、銅により形成された銅層であってもよい。本発明の効果がより一層効果的に得られることから、上記第1の導電層は、銅により形成された銅層であることが好ましい。
上記銀層における銀以外の金属並びに上記銅層における銅以外の金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、パラジウム、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、ケイ素、タングステン、モリブデン、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びはんだ等が挙げられる。これらの金属は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記第1の導電層は銀又は銅を主金属として含むことが好ましい。上記第1の導電層100重量%中、銀又は銅の含有量(銀の含有量又は銅の含有量)は50重量%以上であることが好ましい。上記第1の導電層100重量%中、銀又は銅の含有量は好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、更に好ましくは99重量%以上である。銀又は銅の含有量が上記下限以上であると、電極と導電性粒子とがより一層適度に接触し、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
上記第1の導電層と上記第2の導電層との間に、他の導電層が配置されていてもよい。上記第1の導電層の外表面上に、上記第2の導電層が接するように、上記第2の導電層が積層されていることが好ましい。
上記第2の導電層はニッケルにより形成されている。上記第2の導電層には、金属として、ニッケルのみを用いた場合だけでなく、ニッケルと他の金属とを用いた場合も含まれる。上記第2の導電層は、ニッケル合金層であってもよい。
上記第2の導電層におけるニッケル以外の金属としては、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、パラジウム、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、ケイ素、タングステン、モリブデン、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びはんだ等が挙げられる。これらの金属は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記第2の導電層はニッケルを主金属として含むことが好ましい。上記第2の導電層100重量%中、ニッケルの含有量は50重量%以上であることが好ましい。上記第2の導電層100重量%中、ニッケルの含有量は好ましくは75重量%以上、より好ましくは85重量%以上、更に好ましくは95重量%以上である。ニッケルの含有量が上記下限以上であると、電極の表面の酸化膜がより一層効果的に除去され、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
上記第2の導電層はリン又はボロンを含んでいてもよい。上記第2の導電層はリンを含んでいてもよく、ボロンを含んでいてもよい。初期の接続抵抗をより一層低くする観点からは、上記第2の導電層はボロンを含むことが好ましい。上記第2の導電層100重量%中、リン又はボロンの含有量(リンの含有量又はボロンの含有量)は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。リン又はボロンの含有量が上記下限及び上記上限以下であると、上記第2の導電層の抵抗がより一層低くなり、上記第2の導電層が接続抵抗の低減により一層寄与する。
上記第2の導電層は、タングステン又はモリブデンを含むことが好ましい。上記第2の導電層は、タングステンを含んでいてもよく、モリブデンを含んでいてもよい。上記第2の導電層がニッケルとタングステン又はモリブデンとを含むと、上記第2の導電層及び突起をより一層硬くすることができ、初期の接続抵抗を効果的に低くすることができる。上記第2の導電層はボロンとタングステン又はモリブデンとを含むことが好ましい。上記第2の導電層がニッケルとボロンとタングステン又はモリブデンとを含むと、上記第2の導電層及び突起をより一層硬くすることができ、初期の接続抵抗を効果的に低くすることができる。
上記第2の導電層100重量%中、タングステン又はモリブデンの含有量(タングステンの含有量又はモリブデンの含有量)は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、好ましくは5.0重量%以下、より好ましくは2.5重量%以下である。タングステン又はモリブデンの含有量が上記下限及び上記上限以下であると、上記第2の導電層が効果的に硬くなり、上記第2の導電層が接続抵抗の低減により一層寄与する。
上記第2の導電層の外表面上に、他の導電層が配置されていてもよい。導電性粒子における導電層の最表面に第2の導電層が配置されていることが好ましい。導電性粒子の導電性の表面層が、第2の導電層であることが好ましい。
導電性粒子における導電層全体100重量%中並びに上記第1の導電層と上記第2の導電層との全体100重量%中、ニッケルの含有量は好ましくは40重量%以上、より好ましくは60重量%以上、好ましくは92重量%以下、より好ましくは80重量%以下である。ニッケルの含有量が上記下限以上であると、導電性粒子の表面及び電極の表面の酸化膜がより一層効果的に除去され、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
導電性粒子における導電層全体100重量%中並びに上記第1の導電層と上記第2の導電層との全体100重量%中、銀又は銅の含有量(銀の含有量又は銅の含有量)は好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、好ましくは60重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。銀又は銅の含有量が上記下限以上であると、電極と導電性粒子とがより一層適度に接触し、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
上記導電層を形成する方法は特に限定されない。上記導電層を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、上記導電層の形成が簡便であるので、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
上記第1の導電層の厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは15nm以上、好ましくは100nm以下、より好ましくは40nm以下である。上記第1の導電層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、電極と導電性粒子とがより一層適度に接触し、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
上記第2の導電層の厚みは、好ましくは36nm以上、より好ましくは60nm以上、好ましくは295nm以下、より好ましくは130nm以下である。上記第2の導電層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、電極の表面の酸化膜がより一層効果的に除去され、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
上記導電層全体の厚み及び上記第1の導電層と上記第2の導電層との合計の厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは20nm以上、特に好ましくは41nm以上、最も好ましくは50nm以上、好ましくは1000nm以下、より好ましくは800nm以下、より一層好ましくは500nm以下、更に好ましくは400nm以下、特に好ましくは395nm以下、最も好ましくは300nm以下である。上記導電層全体の厚み及び上記第1の導電層と上記第2の導電層との合計の厚みが上記下限以上であると、導電性粒子の導電性がより一層良好になる。上記導電層全体の厚み及び上記第1の導電層と上記第2の導電層との合計の厚みが上記上限以下であると、基材粒子と導電層との熱膨張率の差が小さくなり、基材粒子から導電層が剥離し難くなる。
上記導電層の厚みは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、導電性粒子の断面を観察することにより測定できる。
上記導電性粒子の粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは5μm以下である。導電性粒子の粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が充分に大きくなり、かつ導電層を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電層が基材粒子の表面から剥離し難くなる。
上記導電性粒子の粒子径は、導電性粒子が真球状である場合には、直径を示し、導電性粒子が真球状ではない場合には、最大径を示す。
本発明に係る導電性粒子は、導電性の表面に複数の突起を有する。上記第2の導電層は、外表面に複数の突起を有する。上記第1の導電層は、外表面に複数の突起を有することが好ましい。導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化膜が形成されていることが多い。導電性の突起を有する導電性粒子の使用により、電極間に導電性粒子を配置した後、圧着させることにより、突起により酸化膜が効果的に排除される。このため、電極と導電性粒子とをより一層確実に接触させることができ、電極間の接続抵抗を低くすることができる。さらに、導電性粒子が表面に絶縁物質を有する場合、又は導電性粒子が樹脂中に分散されて導電材料として用いられる場合に、導電性粒子の突起によって、導電性粒子と電極との間の絶縁物質又は樹脂を効果的に排除できる。このため、電極間の導通信頼性を高めることができる。
本発明の効果に優れることから、上記導電性粒子1個当たりの上記第2の導電層の外表面の突起(突起個数)は、好ましくは3個以上、より好ましくは5個以上、より好ましくは10個以上、更に好ましくは20個以上である。上記突起の数の上限は特に限定されない。本発明の効果に優れることから、上記導電性粒子1個当たりの上記導電層の外表面の突起は、好ましくは1000個以下、より好ましくは500個以下、更に好ましくは300個以下である。
上記第2の導電層における複数の上記突起の平均高さは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。上記突起の平均高さが上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗が効果的に低くなる。
[芯物質]
上記芯物質が上記導電層中に埋め込まれていることによって、上記導電層が外表面に複数の突起を有するようにすることが容易である。
上記突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電層を形成する方法、基材粒子の表面に無電解めっきにより導電層を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電層を形成する方法、並びに無電解めっきの途中で芯物質を添加し、無電解めっきにより導電層を形成する方法等が挙げられる。
上記芯物質を配置する方法としては、例えば、基材粒子等の分散液中に、芯物質を添加し、基材粒子の表面に芯物質を、例えば、ファンデルワールス力により集積させ、付着させる方法、並びに基材粒子等を入れた容器に、芯物質を添加し、容器の回転等による機械的な作用により基材粒子等の表面に芯物質を付着させる方法等が挙げられる。なかでも、付着させる芯物質の量を制御しやすいため、分散液中の基材粒子等の表面に芯物質を集積させ、付着させる方法が好ましい。
上記芯物質の材料は、ニッケルを含まない無機物質である。上記芯物質の材料の具体例としては、酸化チタン(モース硬度4)、チタン酸バリウム(モース硬度4.5)、シリカ(二酸化珪素、モース硬度6〜7)、ジルコニア(モース硬度8〜9)、アルミナ(モース硬度9)、炭化タングステン(モース硬度9)及びダイヤモンド(モース硬度10)等が挙げられる。上記芯物質の材料は、酸化チタン、チタン酸バリウム、シリカ、ジルコニア、アルミナ、炭化タングステン又はダイヤモンドであることが好ましく、シリカ、ジルコニア、アルミナ、炭化タングステン又はダイヤモンドであることがより好ましく、ジルコニア、アルミナ、炭化タングステン又はダイヤモンドであることが更に好ましい。初期の接続抵抗をより一層低くする観点からは、上記芯物質の材料のモース硬度は銀のモース硬度よりも大きいことが好ましく、銅のモース硬度よりも大きいことがより好ましい。上記第1の導電層が銀層である場合に、上記芯物質の材料のモース硬度は銀のモース硬度よりも大きいことが好ましく、上記第1の導電層が銅層である場合に、上記芯物質の材料のモース硬度は銅のモース硬度よりも大きいことがより好ましい。初期の接続抵抗をより一層低くする観点からは、上記芯物質の材料のモース硬度は好ましくは4以上、より好ましくは5.5以上、更に好ましくは6以上、特に好ましくは7.5以上である。酸の存在下で接続抵抗の上昇をより一層抑える観点からは、上記芯物質は、金属を含まない無機物質により形成されていることが好ましい。
電極間の接続抵抗を効果的に低くする観点からは、上記芯物質の材料のモース硬度は、ニッケルのモース硬度(5)と同等以上であることが好ましく、ニッケルのモース硬度よりも大きいことが好ましい。上記芯物質の材料のモース硬度と上記ニッケルのモース硬度との差の絶対値は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.5以上、特に好ましくは1以上、最も好ましくは2以上である。上記芯物質の材料は、上記芯物質を構成する主材料(50重量%以上)であり、上記芯物質に最も多く含まれている材料である。
上記芯物質の形状は特に限定されない。芯物質の形状は塊状であることが好ましい。芯物質としては、例えば、粒子状の塊、複数の微小粒子が凝集した凝集塊、及び不定形の塊等が挙げられる。
上記芯物質の平均径(平均粒子径)は、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。上記芯物質の平均径が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗が効果的に低くなる。
上記芯物質の「平均径(平均粒子径)」は、数平均径(数平均粒子径)を示す。芯物質の平均径は、任意の芯物質50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
[絶縁物質]
本発明に係る導電性粒子は、上記導電層の外表面上に配置された絶縁物質を備えることが好ましい。この場合には、導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁物質が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子の導電層と電極との間の絶縁物質を容易に排除できる。導電性粒子が導電層の外表面に複数の突起を有するので、導電性粒子の導電層と電極との間の絶縁物質を容易に排除できる。
電極間の圧着時に上記絶縁物質をより一層容易に排除できることから、上記絶縁物質は、絶縁性粒子であることが好ましい。
上記絶縁物質の材料である絶縁性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン類、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。
上記ポリオレフィン類としては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート及びポリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。なかでも、水溶性樹脂が好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。
上記導電層の表面上に絶縁物質を配置する方法としては、化学的方法、及び物理的もしくは機械的方法等が挙げられる。上記化学的方法としては、例えば、界面重合法、粒子存在下での懸濁重合法及び乳化重合法等が挙げられる。上記物理的もしくは機械的方法としては、スプレードライ、ハイブリダイゼーション、静電付着法、噴霧法、ディッピング及び真空蒸着による方法等が挙げられる。なかでも、絶縁物質が脱離し難いことから、上記導電層の表面に、化学結合を介して上記絶縁物質を配置する方法が好ましい。
上記導電層の外表面、及び絶縁性粒子の表面はそれぞれ、反応性官能基を有する化合物によって被覆されていてもよい。導電層の外表面と絶縁性粒子の表面とは、直接化学結合していなくてもよく、反応性官能基を有する化合物によって間接的に化学結合していてもよい。導電層の外表面にカルボキシル基を導入した後、該カルボキシル基がポリエチレンイミンなどの高分子電解質を介して絶縁性粒子の表面の官能基と化学結合していても構わない。
上記絶縁物質の平均径(平均粒子径)は、導電性粒子の粒子径及び導電性粒子の用途等によって適宜選択できる。上記絶縁物質の平均径(平均粒子径)は好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。絶縁物質の平均径が上記下限以上であると、導電性粒子がバインダー樹脂中に分散されたときに、複数の導電性粒子における導電層同士が接触し難くなる。絶縁性粒子の平均径が上記上限以下であると、電極間の接続の際に、電極と導電性粒子との間の絶縁物質を排除するために、圧力を高くしすぎる必要がなくなり、高温に加熱する必要もなくなる。
上記絶縁物質の「平均径(平均粒子径)」は、数平均径(数平均粒子径)を示す。絶縁物質の平均径は、粒度分布測定装置等を用いて求められる。
[防錆処理]
導電性粒子の腐食を抑え、電極間の接続抵抗をより一層低くする観点からは、上記第2の導電層の外表面は防錆処理されていることが好ましい。
導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第2の導電層の外表面は、炭素数6〜22のアルキル基を有する化合物により、防錆処理されていることが好ましい。導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第2の導電層の外表面は、アルキルリン酸化合物又はアルキルチオールにより、防錆処理されていることが好ましい。防錆処理により、第2の導電層の表面に、防錆膜を形成できる。
上記防錆膜は、炭素数6〜22のアルキル基を有する化合物(以下、化合物Aともいう)により形成されていることが好ましい。上記第2の導電層の外表面は、上記化合物Aにより表面処理されていることが好ましい。上記アルキル基の炭素数が6以上であると、第2の導電層の外表面に錆がより一層生じ難くなる。上記アルキル基の炭素数が22以下であると、導電性粒子の導電性が高くなる。導電性粒子の導電性をより一層高める観点からは、上記化合物Aにおける上記アルキル基の炭素数は16以下であることが好ましい。上記アルキル基は直鎖構造を有していてもよく、分岐構造を有していてもよい。上記アルキル基は、直鎖構造を有することが好ましい。
上記化合物Aは、炭素数6〜22のアルキル基を有していれば特に限定されない。上記化合物Aは、炭素数6〜22のアルキル基を有するリン酸エステル又はその塩、炭素数6〜22のアルキル基を有する亜リン酸エステル又はその塩、炭素数6〜22のアルキル基を有するアルコキシシラン、炭素数6〜22のアルキル基を有するアルキルチオール、及び炭素数6〜22のアルキル基を有するジアルキルジスルフィドからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。すなわち、上記炭素数6〜22のアルキル基を有する化合物Aは、リン酸エステル又はその塩、亜リン酸エステル又はその塩、アルコキシシラン、アルキルチオール及びジアルキルジスルフィドからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの好ましい化合物Aの使用により、第2の導電層に錆をより一層生じ難くすることができる。錆をより一層生じ難くする観点からは、上記化合物Aは、上記リン酸エステルもしくはその塩、亜リン酸エステルもしくはその塩、又は、アルキルチオールであることが好ましく、上記リン酸エステルもしくはその塩、又は、亜リン酸エステルもしくはその塩であることがより好ましい。上記化合物Aは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記化合物Aは、第2の導電層の外表面と反応可能な反応性官能基を有することが好ましい。上記化合物Aは、上記絶縁物質と反応可能な反応性官能基を有することが好ましい。上記防錆膜は、第2の導電層と化学結合していることが好ましい。上記防錆膜は、上記絶縁物質と化学結合していることが好ましい。上記防錆膜は、上記第2の導電層及び上記絶縁物質の双方と化学結合していることがより好ましい。上記反応性官能基の存在により、及び上記化学結合により、上記防錆膜の剥離が生じ難くなり、この結果、第2の導電層に錆がより一層生じ難くなり、かつ導電性粒子の表面から絶縁物質が意図せずにより一層脱離し難くなる。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有するリン酸エステル又はその塩としては、例えば、リン酸ヘキシルエステル、リン酸ヘプチルエステル、リン酸モノオクチルエステル、リン酸モノノニルエステル、リン酸モノデシルエステル、リン酸モノウンデシルエステル、リン酸モノドデシルエステル、リン酸モノトリデシルエステル、リン酸モノテトラデシルエステル、リン酸モノペンタデシルエステル、リン酸モノヘキシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノヘプチルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノオクチルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノノニルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノウンデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノドデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノトリデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノテトラデシルエステルモノナトリウム塩及びリン酸モノペンタデシルエステルモノナトリウム塩等が挙げられる。上記リン酸エステルのカリウム塩を用いてもよい。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有する亜リン酸エステル又はその塩としては、例えば、亜リン酸ヘキシルエステル、亜リン酸ヘプチルエステル、亜リン酸モノオクチルエステル、亜リン酸モノノニルエステル、亜リン酸モノデシルエステル、亜リン酸モノウンデシルエステル、亜リン酸モノドデシルエステル、亜リン酸モノトリデシルエステル、亜リン酸モノテトラデシルエステル、亜リン酸モノペンタデシルエステル、亜リン酸モノヘキシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノヘプチルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノオクチルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノノニルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノデシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノウンデシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノドデシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノトリデシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノテトラデシルエステルモノナトリウム塩及び亜リン酸モノペンタデシルエステルモノナトリウム塩等が挙げられる。上記亜リン酸エステルのカリウム塩を用いてもよい。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有するアルコキシシランとしては、例えば、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、トリデシルトリメトキシシラン、トリデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデシルトリメトキシシラン及びペンタデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有するアルキルチオールとしては、例えば、ヘキシルチオール、ヘプチルチオール、オクチルチオール、ノニルチオール、デシルチオール、ウンデシルチオール、ドデシルチオール、トリデシルチオール、テトラデシルチオール、ペンタデシルチオール及びヘキサデシルチオール等が挙げられる。上記アルキルチオールは、アルキル鎖の末端にチオール基を有することが好ましい。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有するジアルキルジスルフィドとしては、例えば、ジヘキシルジスルフィド、ジヘプチルジスルフィド、ジオクチルジスルフィド、ジノニルジスルフィド、ジデシルジスルフィド、ジウンデシルジスルフィド、ジドデシルジスルフィド、ジトリデシルジスルフィド、ジテトラデシルジスルフィド、ジペンタデシルジスルフィド及びジヘキサデシルジスルフィド等が挙げられる。
(導電材料)
本発明に係る導電材料は、上述した導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。上記導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散され、導電材料として用いられることが好ましい。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。上記導電性粒子及び導電材料はそれぞれ、回路接続材料であることが好ましい。
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、公知の絶縁性の樹脂が用いられる。
上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
上記導電材料は、上記導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
本発明に係る導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。本発明に係る導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは、異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは、異方性導電フィルムであることが好ましい。
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性がより一層高くなる。
上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、より一層好ましくは40重量%以下、更に好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
(接続構造体)
上記導電性粒子を用いて、又は上記導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
上記接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、第1,第2の接続対象部材を接続している接続部とを備え、該接続部が上述した導電性粒子により形成されているか、又は上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている接続構造体であることが好ましい。導電性粒子が用いられた場合には、接続部自体が導電性粒子である。すなわち、第1,第2の接続対象部材が導電性粒子により接続される。
図4に、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を用いた接続構造体を模式的に断面図で示す。
図4に示す接続構造体51は、第1の接続対象部材52と、第2の接続対象部材53と、第1,第2の接続対象部材52,53を接続している接続部54とを備える。接続部54は、導電性粒子1を含む導電材料を硬化させることにより形成されている。なお、図4では、導電性粒子1は、図示の便宜上、略図的に示されている。導電性粒子1にかえて、導電性粒子1B,1C等を用いてもよい。
第1の接続対象部材52は表面(上面)に、複数の第1の電極52aを有する。第2の接続対象部材53は表面(下面)に、複数の第2の電極53aを有する。第1の電極52aと第2の電極53aとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材52,53が導電性粒子1により電気的に接続されている。
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例としては、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記加圧の圧力は9.8×104〜4.9×106Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記接続対象部材は電子部品であることが好ましい。上記導電性粒子は、電子部品における電極の電気的な接続に用いられることが好ましい。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、銀電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
粒子径が3.0μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−203」)の表面を、ゾルゲル反応による縮合反応を用いてシリカ(無機シェル、厚み250nm)により被覆したコアシェル型の有機無機ハイブリッド粒子(基材粒子A、10%K値:8500mN/mm2)を用意した。
上記有機無機ハイブリッド粒子をエッチングし、水洗した。次に、パラジウム触媒を8重量%含むパラジウム触媒化液100mL中に有機無機ハイブリッド粒子を添加し、攪拌した。その後、ろ過し、洗浄した。pH6の0.5重量%ジメチルアミンボラン液に有機無機ハイブリッド粒子を添加し、パラジウムが付着された有機無機ハイブリッド粒子を得た。
パラジウムが付着された有機無機ハイブリッド粒子をイオン交換水300mL中で3分間攪拌し、分散させ、分散液を得た。次に、シリカ粒子スラリー(芯物質であるシリカの平均粒子径100nm)1gを3分間かけて上記分散液に添加し、芯物質が付着された有機無機ハイブリッド粒子を得た。
芯物質が付着された有機無機ハイブリッド粒子を用いて、無電解銅めっき処理することにより、有機無機ハイブリッド粒子の表面上に銅層(厚みX40nm)を形成した。
次に、硫酸ニッケルと還元剤であるジメチルアミンボランとを含む無機電解ニッケルめっき液を用いて、無電解ニッケルめっき処理を行うことにより、銅層の外表面上にニッケル層(厚みY80nm)を形成した。このようにして、導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における突起が無い部分のニッケル層の厚みAは80nm、突起の平均高さBは100nmであった。突起個数は75個であった。
(実施例2)
粒子径が3.5μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子(基材粒子B、積水化学工業社製「ミクロパールSP−203」、10%K値:7000mN/mm2)を用意した。
基材粒子を上記樹脂粒子に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。突起個数は75個であった。
(実施例3)
ニッケル層を形成する際に、還元剤であるジメチルアミンボランを次亜リン酸ナトリウムに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例4)
銅層を形成する際に、無電解銅めっき処理に用いる銅めっき液をチタン酸ナトリウムを含む銅めっき液に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例5)
ニッケル層を形成する際に、硫酸ニッケルとタングステン酸ナトリウムと還元剤であるジメチルアミンボランとを含む無電解ニッケルめっき液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例6)
ニッケル層を形成する際に、硫酸ニッケルとモリブデン酸ナトリウムと還元剤であるジメチルアミンボランとを含む無電解ニッケルめっき液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例7)
ニッケル層の厚みY及び突起が無い部分のニッケル層の厚みAを50nmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例8)
ニッケル層の厚みY及び突起が無い部分のニッケル層の厚みAを95nmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例9)
銅層の厚みXを5nmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例10)
銅層の厚みXを10nmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例11)
銅層の厚みXを300nmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例12)
シリカ粒子スラリーに含まれる芯物質の平均粒子径を240nmに変更し、突起の平均高さBを240nmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例13)
シリカ粒子スラリーに含まれる芯物質の平均粒子径を300nmに変更し、突起の平均高さBを300nmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例14)
シリカ粒子スラリーを、ジルコニア粒子スラリー(芯物質であるジルコニアの平均粒子径100nm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例15)
シリカ粒子スラリーを、アルミナ粒子スラリー(芯物質であるアルミナの平均粒子径100nm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例16)
シリカ粒子スラリーを、炭化タングステン粒子スラリー(芯物質である炭化タングステンの平均粒子径100nm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例17)
シリカ粒子スラリーを、ダイヤモンド粒子スラリー(芯物質であるダイヤモンドの平均粒子径100nm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例18)
シリカ粒子スラリーを、二酸化チタン粒子スラリー(芯物質である二酸化チタンの平均粒子径100nm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例19)
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブが取り付けられた1000mLのセパラブルフラスコに、メタクリル酸メチル100mmolと、N,N,N−トリメチル−N−2−メタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド1mmolと、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩1mmolとを含むモノマー組成物を固形分率が5重量%となるようにイオン交換水に秤取した後、200rpmで攪拌し、窒素雰囲気下70℃で24時間重合を行った。反応終了後、凍結乾燥して、表面にアンモニウム基を有し、平均粒子径220nm及びCV値10%の絶縁性粒子を得た。
絶縁性粒子を超音波照射下でイオン交換水に分散させ、絶縁性粒子の10重量%水分散液を得た。
実施例1で得られた導電性粒子10gをイオン交換水500mLに分散させ、絶縁性粒子の水分散液4gを添加し、室温で6時間攪拌した。3μmのメッシュフィルターでろ過した後、更にメタノールで洗浄し、乾燥し、絶縁性粒子が付着した導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、導電性粒子の表面に絶縁性粒子による被覆層が1層のみ形成されていた。画像解析により導電性粒子の中心より2.5μmの面積に対する絶縁性粒子の被覆面積(即ち絶縁性粒子の粒子径の投影面積)を算出したところ、被覆率は30%であった。
(比較例1)
ニッケル層を形成しなかったこと、すなわち有機無機ハイブリッド粒子の表面上に銅層のみを形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(比較例2)
銅層を形成しなかったこと、すなわち有機無機ハイブリッド粒子の表面上にニッケル層のみを形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(比較例3)
ニッケル層を形成しなかったこと、すなわち樹脂粒子の表面上に銅層のみを形成したこと以外は実施例2と同様にして、導電性粒子を得た。
(比較例4)
銅層を形成しなかったこと、すなわち樹脂粒子の表面上にニッケル層のみを形成したこと以外は実施例2と同様にして、導電性粒子を得た。
(比較例5)
実施例1の有機無機ハイブリッド粒子を用いた。シリカ粒子スラリーを付着させていない有機無機ハイブリッド粒子を用いて、ニッケル層を形成する際に部分的にニッケルを多く析出させ、析出により突起を形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(比較例6)
実施例2の樹脂粒子を用いた。シリカ粒子スラリーを付着させていない樹脂粒子を用いて、ニッケル層を形成する際に部分的にニッケルを多く析出させ、析出により突起を形成したこと以外は実施例2と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例20)
基材粒子Aのかわりに、粒子径が1.75μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子の表面を、ゾルゲル反応による縮合反応を用いてシリカ(無機シェル、厚み250nm)により被覆したコアシェル型の有機無機ハイブリッド粒子(基材粒子C、10%K値:6000mN/mm2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして導電性粒子を得た。突起個数は40個であった。
(実施例21)
基材粒子Aのかわりに、粒子径が9.5μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子の表面を、ゾルゲル反応による縮合反応を用いてシリカ(無機シェル、厚み250nm)により被覆したコアシェル型の有機無機ハイブリッド粒子(基材粒子D、10%K値:4500mN/mm2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして導電性粒子を得た。突起個数は750個であった。
(実施例22)
2−エチルヘキシルアジッドホスフェイト中に、実施例1で得られた導電性粒子(防錆処理前)を分散させた後に、導電性粒子を取り出すことにより、外表面が防錆処理された導電性粒子を得た。
(評価)
(0)突起の状態
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、画像倍率を粒子径が4μm未満の粒子の場合には25000倍、粒子径が4μm以上8μm未満の粒子の場合には8000倍、粒子径が8μm以上の粒子の場合には3000倍に設定し、10個の導電性粒子を無作為に選択し、それぞれの導電性粒子の突起を観察した。突起の個数を計測した。
(1)銅層100重量%中の銅の含有量及びニッケル層100重量%中のニッケル、ボロン又はリン、及びタングステン又はモリブデンの含有量
SII社製「FIB(SMI500)」を用いて粒子断面を切り出し、日本電子社製「FE−TEM(JEM−2010FEF)」を用いてEDS線分析して、銅、ニッケル、ボロン又はリン、及びタングステン又はモリブデンの各含有量を測定した。
(2)初期の接続抵抗A
接続構造体の作製:
熱硬化性化合物であるエポキシ化合物(ナガセケムテックス社製「EP−3300P」)20重量部と、熱硬化性化合物であるエポキシ化合物(DIC社製「EPICLON HP−4032D」)15重量部と、熱硬化剤である熱カチオン発生剤(三新化学社製サンエイド「SI−60」)5重量部と、フィラーであるシリカ(平均粒子径0.25μm)20重量部とを配合し、さらに得られた導電性粒子を配合物100重量%中での含有量が10重量%となるように添加した後、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、異方性導電ペーストを得た。
L/Sが20μm/20μmのAl−Ti4%電極パターン(Al−Ti4%電極厚み1μm)を上面に有するガラス基板を用意した。また、L/Sが20μm/20μmの金電極パターン(金電極厚み20μm)を下面に有する半導体チップを用意した。
上記ガラス基板の上面に、作製直後の異方性導電ペーストを厚さ20μmとなるように塗工し、異方性導電材料層を形成した。次に、異方性導電材料層の上面に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電材料層の温度が170℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、2.5MPaの圧力をかけて、異方性導電材料層を170℃で硬化させ、接続構造体を得た。
接続抵抗の測定:
得られた接続構造体の対向する電極間の接続抵抗を4端子法により測定した。また、初期の接続抵抗Aを下記の基準で判定した。
[初期の接続抵抗Aの評価基準]
○○○:接続抵抗が2.0Ω以下
○○:接続抵抗が2.0Ωを超え、3.0Ω以下
○:接続抵抗が3.0Ωを超え、5.0Ω以下
△:接続抵抗が5.0Ωを超え、10Ω以下
△△:接続抵抗が10Ωを超え、15Ω以下
×:接続抵抗が15Ωを超える
(3)酸の存在下に晒された後の接続抵抗B
上記(2)初期の接続抵抗Aの評価で得られた接続構造体を85℃及び湿度85%の恒温恒湿槽で、100時間放置した。接続構造体を上記条件で放置したことによって、バインダー樹脂中に浸入した水とバインダー樹脂中に含まれる酸との反応によって、接続構造体における電極間の接続部分が酸の存在下に一定期間晒された。放置後の接続構造体において、接続構造体の対向する電極間の接続抵抗を4端子法により測定した。また、酸の存在下に晒された後の接続抵抗Bを下記の基準で判定した。
[酸の存在下に晒された後の接続抵抗Bの評価基準]
○○○:接続抵抗Bが接続抵抗Aの1倍未満
○○:接続抵抗Bが接続抵抗Aの1倍以上、1.5倍未満
○:接続抵抗Bが接続抵抗Aの1.5倍以上、2倍未満
△:接続抵抗Bが接続抵抗Aの2倍以上、5倍未満
△△:接続抵抗Bが接続抵抗Aの5倍以上、10倍未満
×:接続抵抗Bが接続抵抗Aの10倍以上
結果を下記の表1に示す。
複数の接続構造体における接続抵抗のばらつきに関しては、実施例1〜12,14〜22の導電性粒子を用いた接続構造体の方が、実施例13の導電性粒子を用いた接続構造体よりも小さかった。これは、実施例13では、平均高さB/厚みAが比較的大きいため、接続抵抗のばらつきが生じたと考えられる。
なお、銅層を形成した具体的な実施例を示したが、銅層にかえて銀層を形成した場合でも、初期の接続抵抗の低減効果及び酸の存在下での接続抵抗の上昇抑制効果が得られることを確認した。但し、銅層を形成した場合には、銀層を形成した場合と比べて、初期の接続抵抗の低減効果及び酸の存在下での接続抵抗の上昇抑制効果は大きかった。