以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散されて用いられる。本発明に係る導電性粒子は、少なくとも表面が導電部である粒子と、該導電部の外表面上に配置された被膜とを有する。該被膜は、非極性基と極性基とを有する。
本発明に係る導電性粒子は、上述した構成を備えているので、特に非極性基と極性基とを有する被膜を備えているので、導電部に錆を生じ難くすることができる。さらに、本発明に係る導電性粒子は、バインダー樹脂中に良好に分散させることができる。
上記少なくとも表面が導電部である粒子は、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された導電部とを有する粒子であってもよく、全体が導電部である金属粒子であってもよい。上記導電部は導電層であることが好ましい。中でも、コストを低減したり、導電性粒子の柔軟性を高くして、電極間の導通信頼性をより一層高くしたりする観点からは、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された導電部とを有する粒子が好ましい。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
図1に、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
図1に示す導電性粒子1は、基材粒子2と、導電層3と、被膜4と、複数の絶縁物質5と、複数の芯物質6とを備える。導電性粒子1は、基材粒子2と、基材粒子2の表面上に配置された導電層3とを有する粒子とを備える。導電層3は導電部である。
導電層3は、基材粒子2の表面上に配置されている。導電層3は、基材粒子2の表面を覆っている。導電性粒子1は、基材粒子2の表面が導電層3により被覆された被覆粒子である。
被膜4は、非極性基と極性基とを有する。被膜4は、導電層3の外表面上に配置されている。被膜4は、導電層3の外表面と絶縁物質5の表面とを覆っている。
絶縁物質5は、導電層3の外表面上に配置されている。絶縁物質5が導電層3の表面に付着している。絶縁物質5は絶縁性を有する材料により形成されており、絶縁性粒子である。このように、本発明に係る導電性粒子は、導電部の外表面上に配置された絶縁物質を有していてもよい。但し、本発明に係る導電性粒子は、絶縁物質を必ずしも有していなくてもよい。
導電層3の外表面を覆っている被膜4部分と絶縁物質5の表面を覆っている被膜4部分とは連なっている。被膜4は、絶縁物質5が付着した導電層3の外表面を被覆している。被膜4は、導電層3の絶縁物質5と接している部分に配置されておらず、導電層3と絶縁物質5との間に配置されていない。被膜4は、導電層3の外表面の一部の領域に配置されていればよく、導電層3の外表面の全領域に配置されていなくてもよい。
導電性粒子1は導電性の表面に、複数の突起1aを有する。導電層3は外表面に、複数の突起3aを有する。複数の芯物質6が、基材粒子2の表面上に配置されている。複数の芯物質6は導電層3内に埋め込まれている。芯物質6は、突起1a,3aの内側に配置されている。導電層3は、複数の芯物質6を覆っている。複数の芯物質6により導電層3の外表面が隆起されており、突起1a,3aが形成されている。
図2に、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
図2に示す導電性粒子11は、基材粒子2と、導電層12と、被膜13とを備える。導電性粒子11は、基材粒子2と、基材粒子2の表面上に配置された導電層12とを有する粒子とを備える。導電層12は導電部である。導電性粒子1と導電性粒子11とでは、被膜の配置箇所及び芯物質の有無のみが異なる。
導電性粒子11は、芯物質を有さない。導電層12は、第1の部分と、該第1の部分よりも厚みが厚い第2の部分とを有する。導電性粒子11は導電性の表面に、複数の突起11aを有する。複数の突起11aを除く部分が、導電層12の上記第1の部分である。複数の突起11aは、導電層12の厚みが厚い上記第2の部分に位置している。導電層12は、外表面に、複数の突起12aを有する。
被膜13は、非極性基と極性基とを有する。被膜13は、導電層12の外表面上に配置されている。被膜13は、導電層12の外表面を覆っている。導電層12の外表面の全領域に、被膜13が配置されている。導電層12の外表面の全体が、被膜13により覆われている。
被膜13は、絶縁物質5の表面を覆っていない。被膜13は、絶縁物質5が付着する前の導電層12の外表面を被覆している。被膜13は、導電層12と絶縁物質5との間に配置されている。
図3に、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
図3に示す導電性粒子21は、基材粒子2と、導電層22と、被膜23と、複数の絶縁物質5とを備える。導電性粒子21は、基材粒子2と、基材粒子2の表面上に配置された導電層22とを有する粒子とを備える。導電層22は導電部である。
図3に示す導電性粒子21は、芯物質を有さない。導電層22の外表面は球状である。導電層22は表面に突起を有さない。このように、本発明に係る導電性粒子における絶縁物質を除く部分は突起を有していなくてもよく、球状であってもよい。
被膜23は、非極性基と極性基とを有する。被膜23は、導電層22の外表面上に配置されている。絶縁物質5は、導電層22の表面上に配置されている。絶縁物質5が導電層22の表面に付着している。被膜23は、導電層22の外表面と絶縁物質5の表面とを覆っている。
導電性粒子21は、芯物質を有さない。導電層22の外表面は球状である。被膜23は、導電層22の外表面上に配置されている。被膜23は、導電層22の外表面を覆っている。絶縁物質5は、導電層22の表面上に被膜32を介して配置されている。絶縁物質5は、被膜32の外表面上に配置されている。絶縁物質5は、被膜32の外表面に付着している。
図4に、本発明の第4の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
図4に示す導電性粒子31は、基材粒子2と、導電層22と、被膜32とを備える。導電性粒子31は、基材粒子2と、基材粒子2の表面上に配置された導電層22とを有する粒子とを備える。導電性粒子21と導電性粒子31とでは、被膜の配置箇所及び絶縁物質の有無のみが異なる。
被膜32は、非極性基と極性基とを有する。被膜32は、導電層22の外表面上に配置されている。被膜32は、導電層22の外表面を覆っている。導電層22の外表面の全領域に、被膜32が配置されている。導電層22の外表面の全体が、被膜32により覆われている。
導電性粒子31は、絶縁物質を有さない。絶縁物質が、導電層22の表面上に被膜32を介して配置されていてもよい。絶縁物質は、被膜32の外表面上に配置されていてもよい。絶縁物質は、被膜32の外表面に付着していてもよい。
以下、導電性粒子をより詳しく説明する。
(導電性粒子)
[被膜]
上記被膜は、非極性基と極性基とを有する。上記非極性基は、導電性粒子の表面の疎水性を高め、導電部に錆が生じるのを効果的に抑制する。従って、上記非極性基は、導電性粒子における導電性を高く維持し、電極間の接続抵抗の上昇を効果的に抑制することに寄与する。上記極性基は、バインダー樹脂中での導電性粒子の分散性を効果的に高めることに寄与する。
上記被膜は、非極性基を有する化合物と極性基を有する化合物とにより形成することができ、更に非極性基と極性基とを有する化合物により形成することができる。上記被膜は、非極性基を有する化合物と極性基を有する化合物とにより形成されていることが好ましい。上記非極性基と極性基とを有する化合物により形成するのではなく、上記非極性基を有する化合物と上記極性基を有する化合物とにより被膜を形成することにより、バインダー樹脂中での導電性粒子の分散性をより一層良好にすることができる。上記被膜は、上記非極性基と極性基とを有する化合物により形成されていてもよい。上記被膜における非極性基は、上記非極性基を有する化合物に由来して導入されていることが好ましい。上記被膜における上記極性基は、上記極性基を有する化合物に由来して導入されていることが好ましい。
上記非極性基は、電荷を持たない官能基である。上記非極性基としては、アルキル基及びフェニル基等が挙げられる。上記非極性基は、アルキル基又はフェニル基であることが好ましい。導電部に錆をより一層生じ難くし、電極間の接続抵抗をより一層低くする観点からは、上記非極性基はアルキル基であることが好ましい。上記アルキル基の炭素数は、好ましくは6以上、好ましくは22以下、より好ましくは16以下である。上記アルキル基の炭素数が上記下限以上であると、導電部に錆がより一層生じ難くなり、電極間の接続抵抗が効果的に低くなる。上記アルキル基の炭素数が上記上限以下であると、導電性粒子における導電率の低下が抑えられる。
上記非極性基の分子量は好ましくは100以上、より好ましくは200以上である。上記非極性基の分子量が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電部に錆がより一層生じ難くなり、導電性粒子における導電率の低下がより一層抑えられる。
上記非極性基を有する化合物としては、アルキル基又はフェニル基を有する化合物等が挙げられる。
上記アルキル基を有する化合物としては、アルキル基を有するリン酸エステル又はその塩、アルキル基を有するアルコキシシラン、アルキル基を有するアルキルチオール及びアルキル基を有するジアルキルジスルフィド等が挙げられる。
上記アルキル基を有するリン酸エステル又はその塩としては、例えば、リン酸ヘキシルエステル、リン酸ヘプチルエステル、リン酸モノオクチルエステル、リン酸モノノニルエステル、リン酸モノデシルエステル、リン酸モノウンデシルエステル、リン酸モノドデシルエステル、リン酸モノトリデシルエステル、リン酸モノテトラデシルエステル、リン酸モノペンタデシルエステル、リン酸モノヘキシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノヘプチルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノオクチルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノノニルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノウンデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノドデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノトリデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノテトラデシルエステルモノナトリウム塩、及びリン酸モノペンタデシルエステルモノナトリウム塩等が挙げられる。
上記アルキル基を有するアルコキシシランとしては、例えば、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、トリデシルトリメトキシシラン、トリデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデシルトリメトキシシラン、及びペンタデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
上記アルキル基を有するアルキルチオールとしては、例えば、ヘキシルチオール、ヘプチルチオール、オクチルチオール、ノニルチオール、デシルチオール、ウンデシルチオール、ドデシルチオール、トリデシルチオール、テトラデシルチオール、ペンタデシルチオール、及びヘキサデシルチオール等が挙げられる。上記アルキルチオールは、アルキル基の末端にチオール基が存在することが好ましい。
上記アルキル基を有するジアルキルジスルフィドとしては、例えば、ジヘキシルジスルフィド、ジヘプチルジスルフィド、ジオクチルジスルフィド、ジノニルジスルフィド、ジデシルジスルフィド、ジウンデシルジスルフィド、ジドデシルジスルフィド、ジトリデシルジスルフィド、ジテトラデシルジスルフィド、ジペンタデシルジスルフィド、及びジヘキサデシルジスルフィド等が挙げられる。
上記極性基は電荷を持つ官能基である。好ましい上記極性基としては、アルキレンオキシド基、ヒドロキシル基及びカルボニル基等が挙げられる。バインダー樹脂中での導電性粒子の分散性をより一層高める観点からは、上記極性基は、アルキレンオキシド基であることが好ましい。該アルキレンオキシド基の炭素数は1以上、好ましくは12以下、より好ましくは8以下である。上記アルキレンオキシド基の炭素数が上記上限以下であると、導電性粒子における導電率の低下が抑えられる。上記アルキレンオキシド基はエチレンオキシド基であることが特に好ましい。
上記極性基の分子量は好ましくは80以上、より好ましくは100以上、更に好ましくは200以上である。上記極性基の分子量が上記下限以上及び上記上限以下であると、バインダー樹脂中での導電性粒子の分散性がより一層高くなり、導電性粒子における導電率の低下がより一層抑えられる。
上記極性基を有する化合物としては、アルキレンオキシド基を有する化合物、ヒドロキシル基を有する化合物及びカルボニル基を有する化合物等が挙げられる。上記極性基を有する化合物は、アルキレンオキシド基を有する化合物、ヒドロキシル基を有する化合物又はカルボニル基を有する化合物であることが好ましい。
電極間の導通信頼性及び導電性粒子の分散性をより一層高める観点からは、上記被膜において、上記非極性基の数と上記極性基の数との比(非極性基の数:極性基の数)は、好ましくは1:10〜50:1、より好ましくは1:1〜5:1である。
上記比(非極性基の数:極性基の数)は、例えば、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS分析)により求めることができる。上記非極性基に由来するスペクトル強度と上記極性基に由来するスペクトル強度とから、上記比(非極性基の数:極性基の数)を求めることができる。
上記非極性基を有する化合物及び上記極性基を有する化合物の内の少なくとも一方は、上記導電部と結合可能な官能基を有することが好ましい。上記非極性基を有する化合物及び上記極性基を有する化合物の内の少なくとも一方は、上記導電部と結合可能な官能基を有していてもよい。上記導電性粒子において、上記導電部と、上記導電部と結合可能な官能基とが結合していることが好ましい。該結合は化学結合であることが好ましい。該化学結合には、共有結合、水素結合、イオン結合及び配位結合等が含まれる。
好ましい上記導電部と結合可能な官能基としては、アルキレンオキシド基、ヒドロキシル基及びカルボニル基等が挙げられる。上記導電部と結合可能な官能基は、アルキレンオキシド基、ヒドロキシル基又はカルボニル基であることが好ましい。なかでも、導電部と被膜とをより一層強固に結合させて、被膜の剥離をより一層抑制する観点からは、上記導電部と結合可能な官能基は、アルキレンオキシド基であることが好ましい。
上記被膜の厚みは特に限定されない。上記被膜の厚みは、0nmを超え、好ましくは5nm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは1μm以下、特に好ましくは100nm以下、最も好ましくは10nm以下である。上記被膜の厚みが上記下限以上であると、導電部に錆がより一層生じ難くなり、バインダー樹脂中での導電性粒子の分散性がより一層高くなる。上記被膜の厚みが上記上限以下であると、導電性粒子における導電率の低下がより一層抑えられる。
[基材粒子]
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子、及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子はコアシェル粒子であってもよい。上記基材粒子は、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましい。
上記基材粒子は、樹脂により形成された樹脂粒子であることが好ましい。上記導電性粒子を用いて電極間を接続する際には、上記導電性粒子を電極間に配置した後、圧着することにより上記導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子であると、上記圧着の際に上記導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の導通信頼性が高くなる。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート及びポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が挙げられる。基材粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を複数有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する単量体を重合させて得る場合には、該エチレン性不飽和基を有する単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレンジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合には、基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシル基を2つ以上有するケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。但し、上記基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
[導電部]
上記導電部を形成するための金属は特に限定されない。少なくとも表面が導電部である粒の全体が、導電部である金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属は特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、パラジウム、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、ケイ素及びこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びはんだ等が挙げられる。なかでも、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができるので、錫を含む合金、ニッケル、パラジウム、銅又は金が好ましく、ニッケル又はパラジウムが好ましい。上記導電部の融点は、好ましくは300℃以上、より好ましくは450℃以上である。上記導電部ははんだではないことが好ましい。はんだの融点は一般に300℃未満である。
上記導電部を構成する金属に錆が生じやすいほど、上記被膜による被覆効果が顕著に得られる。ニッケル、銅又は錫により形成された導電部では、導電部の表面に錆が比較的生じやすい。このような導電部の表面を被膜で被覆することにより、導電部の表面に錆が生じるのを効果的に抑制できる。上記被膜による被覆効果が効果的に得られるので、上記導電部は、ニッケル、銅又は錫を含んでいてもよい。
なお、導電部の表面には、酸化により水酸基が存在することが多い。一般的に、ニッケルにより形成された導電部の表面には、酸化により水酸基が存在する。このような水酸基を有する導電部は被膜と化学結合しやすい。
上記導電層は、1つの層により形成されていてもよく、複数の層により形成されていてもよい。すなわち、導電層は、2層以上の積層構造を有していてもよい。導電層が複数の層により形成されている場合には、最外層は、金層、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は錫と銀とを含む合金層であることが好ましく、金層であることがより好ましい。最外層がこれらの好ましい導電層である場合には、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、最外層が金層である場合には、耐腐食性がより一層高くなる。
上記基材粒子の表面に導電部を形成する方法は特に限定されない。導電部を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、導電部の形成が簡便であるので、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
上記導電性粒子の粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは20μm以下である。導電性粒子の粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が充分に大きくなり、かつ導電部を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電部が基材粒子の表面から剥離し難くなる。
上記導電性粒子の粒子径は、導電性粒子が真球状である場合には、直径を示し、導電性粒子が真球状ではない場合には、最大径を示す。
上記導電層の厚みは、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.3μm以下である。導電層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性が充分に高くなり、かつ導電性粒子が硬くなりすぎずに、電極間の接続の際に導電性粒子が充分に変形可能である。
上記導電層が複数の層により形成されている場合に、最外層の導電層の厚みは、特に最外層が金層である場合の金層の厚みは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.01μm以上、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。上記最外層の導電層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、最外層の導電層による被覆を均一にでき、耐腐食性が充分に高くなり、かつ電極間の接続抵抗が充分に低くなる。また、上記最外層が金層である場合の金層の厚みが薄いほど、コストが低くなる。
上記導電層の厚みは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、導電性粒子の断面を観察することにより測定可能である。
[芯物質]
導電性粒子は、導電性の表面に突起を有することが好ましく、導電部の表面に突起を有することが好ましく、該突起は複数であることが好ましい。導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。導電部の表面に突起を有する導電性粒子を用いた場合には、電極間に導電性粒子を配置して圧着させることにより、突起により上記酸化被膜を効果的に排除できる。このため、電極と導電部とがより一層確実に接触し、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。さらに、電極間の接続時に、導電性粒子の突起によって、導電性粒子と電極との間の絶縁物質を効果的に排除できる。このため、電極間の導通信頼性が高くなる。
上記芯物質が上記導電部中に埋め込まれていることによって、上記導電部が外表面に複数の突起を有するようにすることが容易である。但し、導電性粒子及び導電部の表面に突起を形成するために、芯物質を必ずしも用いなくてもよい。すなわち、芯物質を用いる方法以外の方法で、導電性粒子及び導電部の表面に突起を形成してもよい。
上記突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電層を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより導電層を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電層を形成する方法等が挙げられる。上記突起を形成する他の方法としては、基材粒子の表面上に、第1の導電層を形成した後、該第1の導電層上に芯物質を配置し、次に第2の導電層を形成する方法、並びに基材粒子の表面上に導電層を形成する途中段階で、芯物質を添加する方法等が挙げられる。
上記基材粒子の表面上に芯物質を配置する方法としては、例えば、基材粒子の分散液中に、芯物質を添加し、基材粒子の表面に芯物質を、例えば、ファンデルワールス力により集積させ、付着させる方法、並びに基材粒子を入れた容器に、芯物質を添加し、容器の回転等による機械的な作用により基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法等が挙げられる。なかでも、付着させる芯物質の量を制御しやすいため、分散液中の基材粒子の表面に芯物質を集積させ、付着させる方法が好ましい。
上記導電性粒子は、基材粒子の表面上に第1の導電層を有し、かつ該第1の導電層上に第2の導電層を有していてもよい。この場合に、第1の導電層の表面に芯物質を付着させてもよい。芯物質は第2の導電層により被覆されていること好ましい。上記第1の導電層の厚みは、好ましくは0.05μm以上、好ましくは0.5μm以下である。導電性粒子は、基材粒子の表面上に第1の導電層を形成し、次に該第1の導電層の表面上に芯物質を付着させた後、第1の導電層及び芯物質の表面上に第2の導電層を形成することにより得られていることが好ましい。
上記芯物質を構成する物質としては、導電性物質及び非導電性物質が挙げられる。上記導電性物質としては、例えば、金属、金属の酸化物、黒鉛等の導電性非金属及び導電性ポリマー等が挙げられる。上記導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン等が挙げられる。上記非導電性物質としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。なかでも、導電性を高めることができ、更に接続抵抗を効果的に低くすることができるので、金属が好ましい。上記芯物質は金属粒子であることが好ましい。
上記金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム等の金属、並びに錫−鉛合金、錫−銅合金、錫−銀合金、錫−鉛−銀合金及び炭化タングステン等の2種類以上の金属で構成される合金等が挙げられる。なかでも、ニッケル、銅、銀又は金が好ましい。上記芯物質を構成する金属は、上記導電部を構成する金属と同じであってもよく、異なっていてもよい。上記芯物質を構成する金属は、上記導電部を構成する金属を含むことが好ましい。上記芯物質を構成する金属は、ニッケルを含むことが好ましい。上記芯物質を構成する金属は、ニッケルを含むことが好ましい。
上記芯物質の形状は特に限定されない。芯物質の形状は塊状であることが好ましい。芯物質としては、例えば、粒子状の塊、複数の微小粒子が凝集した凝集塊、及び不定形の塊等が挙げられる。
上記芯物質の平均径(平均粒子径)は、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。上記芯物質の平均径が上記下限以上及び上限以下であると、電極間の接続抵抗が効果的に低くなる。
上記芯物質の「平均径(平均粒子径)」は、数平均径(数平均粒子径)を示す。芯物質の平均径は、任意の芯物質50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
[絶縁物質]
本発明に係る導電性粒子は、上記導電部の表面上に配置された絶縁物質を備えることが好ましい。この場合には、導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁物質が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電部と電極との間の絶縁物質を容易に排除できる。導電性粒子が導電部の外表面に複数の突起を有する場合には、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁物質をより一層容易に排除できる。
電極間の圧着時に上記絶縁物質をより一層容易に排除できることから、上記絶縁物質は、絶縁性粒子であることが好ましい。
上記絶縁物質の材料である絶縁性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン類、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。
上記ポリオレフィン類としては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート及びポリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。なかでも、水溶性樹脂が好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。
熱圧着時の絶縁性粒子の脱離性をより一層高める観点からは、絶縁性粒子は、無機粒子であることが好ましく、シリカ粒子であることが好ましい。上記無機粒子としては、シラス粒子、ハイドロキシアパタイト粒子、マグネシア粒子、酸化ジルコニウム粒子及びシリカ粒子等が挙げられる。上記シリカ粒子としては、粉砕シリカ、球状シリカが挙げられ、球状シリカを用いることが好ましい。
上記導電部の表面上に絶縁物質を配置する方法としては、化学的方法、及び物理的もしくは機械的方法等が挙げられる。上記化学的方法としては、例えば、界面重合法、粒子存在下での懸濁重合法及び乳化重合法等が挙げられる。上記物理的もしくは機械的方法としては、スプレードライ、ハイブリダイゼーション、静電付着法、噴霧法、ディッピング及び真空蒸着による方法等が挙げられる。なかでも、絶縁物質が脱離し難いことから、上記導電部の表面又は上記被膜の表面に、化学結合を介して上記絶縁物質を配置する方法が好ましい。
上記絶縁物質の平均径(平均粒子径)は、導電性粒子の粒子径及び導電性粒子の用途等によって適宜選択可能である。上記絶縁物質の平均径(平均粒子径)は好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。絶縁物質の平均径が上記下限以上であると、導電性粒子がバインダー樹脂中に分散されたときに、複数の導電性粒子における導電部同士が接触し難くなる。絶縁性粒子の平均径が上記上限以下であると、電極間の接続の際に、電極と導電性粒子との間の絶縁物質を排除するために、圧力を高くしすぎる必要がなくなり、高温に加熱する必要もなくなる。
上記絶縁物質の「平均径(平均粒子径)」は、数平均径(数平均粒子径)を示す。絶縁物質の平均径は、粒度分布測定装置等を用いて求められる。
(導電材料)
本発明に係る導電材料は、上述した導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。上記導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散され、導電材料として用いられることが好ましい。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、公知の絶縁性の樹脂が用いられる。
上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂又は湿気硬化性樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
上記導電材料は、上記導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ特に限定されない。上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法としては、例えば、上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、上記導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、上記バインダー樹脂中に添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、並びに上記バインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、上記導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法等が挙げられる。
本発明に係る導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。本発明に係る導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは、異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは、異方性導電フィルムであることが好ましい。
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性がより一層高くなる。
上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは40重量%以下、より好ましくは20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
(接続構造体)
本発明に係る導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
上記接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、第1,第2の接続対象部材を接続している接続部とを備え、該接続部が本発明に係る導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料(異方性導電材料など)により形成されている接続構造体であることが好ましい。
図5に、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を用いた接続構造体を模式的に正面断面図で示す。
図5に示す接続構造体51は、第1の接続対象部材52と、第2の接続対象部材53と、第1,第2の接続対象部材52,53を接続している接続部54とを備える。接続部54は、導電性粒子1とバインダー樹脂(硬化したバインダー樹脂など)とを含む。接続部54は、導電性粒子1を含む導電材料を硬化させることにより形成されている。なお、図5では、導電性粒子1は、図示の便宜上、略図的に示されている。導電性粒子1にかえて、導電性粒子11,21,31などを用いてもよい。
第1の接続対象部材52は表面52a(上面)に、複数の電極52bを有する。第2の接続対象部材53は表面53a(下面)に、複数の電極53bを有する。電極52bと電極53bとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材52,53が導電性粒子1により電気的に接続されている。
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例としては、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記加圧の圧力は9.8×104〜4.9×106Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板である電子部品等が挙げられる。上記接続対象部材は電子部品であることが好ましい。上記導電性粒子は、電子部品における電極の電気的な接続に用いられることが好ましい。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
粒子径が3.0μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−203」)を用意した。
パラジウム触媒液を5重量%含むアルカリ溶液100重量部に、上記樹脂粒子10重量部を、超音波分散器を用いて分散させた後、溶液をろ過することにより、樹脂粒子を取り出した。次いで、樹脂粒子をジメチルアミンボラン1重量%溶液100重量部に添加し、樹脂粒子の表面を活性化させた。表面が活性化された樹脂粒子を十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、懸濁液を得た。
また、硫酸ニッケル0.23mol/L、ジメチルアミンボラン0.92mol/L及びクエン酸ナトリウム0.5mol/Lを含むニッケルめっき液(pH8.5)を用意した。
得られた懸濁液を60℃にて攪拌しながら、上記ニッケルめっき液を懸濁液に徐々に滴下し、無電解ニッケルめっきを行った。その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、樹脂粒子の表面にニッケル−ボロン導電層(厚み0.1μm)が配置された表面が導電層である粒子を得た。
純水25gとエタノール25gとの混合液中に上記導電性粒子本体10重量部とリン酸モノヘキシルエステル(非極性基を有する化合物)0.5重量部とリン酸ポリオキシエチレントリドデシルエーテル(エチレンオキシド鎖長:5)(極性基を有する化合物)0.5重量部とを入れ、50℃で1時間攪拌した。その後、ろ過し、真空乾燥機により100℃で8時間乾燥させ、表面が導電層である粒子の導電層の外表面上に、上記リン酸モノヘキシルエステルと上記リン酸ポリオキシエチレントリドデシルエーテルとにより形成された被膜を有する導電性粒子を得た。
(実施例2)
リン酸モノヘキシルエステル(非極性基を有する化合物)の使用量を0.5重量部から2.5重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例3)
リン酸モノヘキシルエステル(非極性基を有する化合物)をリン酸モノオクチルエステルに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例4)
リン酸モノヘキシルエステル(非極性基を有する化合物)の使用量を0.5重量部から5.0重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(比較例1)
純水25gとエタノール25gとの混合液中に、実施例1で得られた表面が導電層である粒子10重量部とリン酸モノヘキシルエステル(非極性基を有する化合物)0.5重量部とを入れ、50℃で1時間攪拌した。その後、ろ過し、真空乾燥機により100℃で8時間乾燥させ、表面が導電層である粒子の導電層の外表面上に、上記リン酸モノヘキシルエステルにより形成された被膜を有する導電性粒子を得た。
(実施例5)
リン酸モノヘキシルエステル(非極性基を有する化合物)をリン酸モノドデシルエステルに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例6)
リン酸ポリオキシエチレントリドデシルエーテル(エチレンオキシド鎖長:5)(極性基を有する化合物)をリン酸ポリオキシエチレントリドデシルエーテル(エチレンオキシド鎖長:10)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例7)
リン酸ポリオキシエチレントリドデシルエーテル(エチレンオキシド鎖長:5)(極性基を有する化合物)をリン酸ポリオキシエチレントリドデシルエーテル(エチレンオキシド鎖長:20)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(評価)
(1)飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS分析)
飛行時間型二次イオン質量分析TOF−SIMS(ION−TOF社製 TOF−SIMS 5型)により、導電層の表面上に配置された被膜において、上記非極性基に由来するスペクトル強度と上記極性基に由来するスペクトル強度とを測定した。上記比(非極性基の数:極性基の数)を求めた。
(2)バインダー樹脂中での導電性粒子の分散性
得られた導電性粒子を含有量が10重量%となるように、三井化学社製「ストラクトボンドXN−5A」)に添加し、分散させて、異方性導電ペーストを作製した。
作製直後の異方性導電ペーストを150℃で10秒放置した。放置後の異方性導電ペーストを観察して、バインダー樹脂中での導電性粒子の分散性を下記の基準で判定した。
[バインダー樹脂中での導電性粒子の分散性の判定基準]
○○:粒子1000個中の5個以上凝集物がない
○:粒子1000個中の5個以上凝集物が1〜5個
△:粒子1000個中の5個以上凝集物が6〜10個
×:粒子1000個中の5個以上凝集物が11個以上
(3)導通評価(上下の電極間)
得られた導電性粒子を含有量が10重量%となるように、三井化学社製「ストラクトボンドXN−5A」)に添加し、分散させて、異方性導電ペーストを作製した。
L/Sが30μm/30μmであるITO電極パターンを上面に有する透明ガラス基板を用意した。また、L/Sが30μm/30μmである銅電極パターンを下面に有する半導体チップを用意した。
上記透明ガラス基板上に、作製直後の異方性導電ペーストを厚さ30μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層上に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、1MPaの圧力をかけて異方性導電ペースト層を185℃で硬化させて、接続構造体を得た。
得られた接続構造体の上下の電極間の接続抵抗を、4端子法により測定した。2つの接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。導通評価を下記の基準で判定した。
[導通評価の判定基準]
○:接続抵抗の平均値が2Ω以下である
×:接続抵抗の平均値が2Ωを超える
(4)絶縁評価(横方向に隣り合う電極間)
上記導通評価で作製した接続構造体において、隣接する電極間のリークの有無を、テスターで抵抗を測定することにより評価した。絶縁評価を下記の基準で判定した。
[絶縁評価の判定基準]
○:抵抗が500MΩを超える(リーク無し)
△:抵抗が500MΩ以下(リーク有り)
(5)防錆評価
上記絶縁評価で作製した接続構造体を、85℃及び相対湿度85%の条件で放置した。放置開始から100時間後に、上記導通評価と同様に電極間の接続抵抗を4端子法により測定した。上記の導通評価と同様にして接続抵抗を測定した。防錆評価を下記の基準で判定した。
[防錆評価の判定基準]
○:接続抵抗(放置前)の平均値に比べ、接続抵抗(放置後)の平均値が150%未満
×:接続抵抗(放置前)の平均値に比べ、続抵抗(放置後)の平均値が150%以上上昇
結果を下記の表1に示す。