JP2015117316A - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ジアミン構成単位としてキシリレンジアミンに由来する構成単位を有するポリアミド樹脂を含み、該ポリアミド樹脂が本来有する引張弾性率を維持しつつ、特に靱性に優れる成形体を作製しうるポリアミド樹脂組成物を提供する。【解決手段】キシリレンジアミンに由来する構成単位を50モル%以上含むジアミン構成単位とジカルボン酸構成単位とからなるポリアミド樹脂(A)、及びトリメシン酸を含むポリアミド樹脂組成物であって、前記ポリアミド樹脂(A)100質量部に対するトリメシン酸の含有量が0.001〜2質量部であるポリアミド樹脂組成物である。【選択図】なし

Description

本発明はポリアミド樹脂組成物に関する。
ポリアミド樹脂は、耐衝撃性、耐摩擦・摩耗性などの機械的強度に優れ、耐熱性、耐油性などにも優れたエンジニアリングプラスチックスとして、自動車部品、電子・電気機器部品、OA機器部品、機械部品、建材・住設関連部品などの分野で広く使用されている。
メタキシリレンジアミンとアジピン酸との反応により得られるポリメタキシリレンアジパミド樹脂(以下、「MXD6」ともいう。)は、主鎖に芳香環を有し、高剛性で、精密成形にも適しており、極めて優れたポリアミド樹脂として位置づけられている。そのためMXD6は、自動車等輸送機部品、一般機械部品、精密機械部品、電子・電気機器部品、レジャースポーツ用品、土木建築用部材等の様々な分野での成形材料、特に射出成形用材料として近年ますます広く利用されてきている。しかしながらMXD6等の剛性の高いポリアミド樹脂は靱性が低い傾向があり、用途や加工方法によっては靭性の向上が望まれる場合がある。
ポリアミド樹脂の各種物性を改良する方法として、ポリアミド樹脂と、該ポリアミド樹脂の末端アミノ基又は末端カルボキシル基と反応しうる成分とを反応させてポリアミド樹脂を変性する方法が知られている。例えば特許文献1には、特定の繰り返し単位を有する2種類のポリアミドと特定の多官能性化合物とを混合し、溶融相で反応させることにより得られる、優れた機械特性と表面性とを有する変性ポリアミドが開示されている。
ポリアミド樹脂を構成する主成分モノマーであるジアミン、ジカルボン酸の他に、少量の反応性化合物を反応又は共重合させてポリアミド樹脂を変性する方法も知られている。例えば特許文献2には、ジカルボン酸モノマー及びジアミンモノマー又はそれらの塩を、当該モノマーと反応しうる多官能性化合物及び一官能性化合物の存在下で重合させて得られる、流動性及び機械的強度に優れるポリアミドが開示されている。
また特許文献3には、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミンとジカルボン酸とを重縮合して得られたポリアミドと、アルカリ化合物とを含むポリアミド樹脂組成物において、溶融重合後に末端アミノ基濃度を減少させる目的で、さらに多価カルボン酸を含んでもよいことが開示されている。
しかしながら特許文献1〜3のいずれにおいても、ポリアミド樹脂の靭性向上については何ら言及されていない。例えば特許文献2の実施例(表1)によれば、前記多官能性化合物及び一官能性化合物を用いるとポリアミドの引張伸びが低下する傾向にあることが示されている。また特許文献1〜3には、いずれもポリアミド樹脂の末端基あるいはポリアミド樹脂を構成するモノマー成分と反応させることを目的として他の成分を添加することしか開示がない。
特表2004−503633号公報 特表2009−531506号公報 特開2011−140621号公報
本発明は、ジアミン構成単位としてキシリレンジアミンに由来する構成単位を有するポリアミド樹脂を含み、該ポリアミド樹脂が本来有する引張弾性率を維持しつつ、特に靱性に優れる成形体を作製しうるポリアミド樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、キシリレンジアミンに由来するジアミン構成単位を有するポリアミド樹脂と特定の多価カルボン酸化合物とを所定量含有するポリアミド樹脂組成物とすることにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、下記[1]及び[2]を提供する。
[1]キシリレンジアミンに由来する構成単位を50モル%以上含むジアミン構成単位とジカルボン酸構成単位とからなるポリアミド樹脂(A)、及びトリメシン酸を含むポリアミド樹脂組成物であって、前記ポリアミド樹脂(A)100質量部に対するトリメシン酸の含有量が0.001〜2質量部であるポリアミド樹脂組成物、
[2]上記[1]に記載のポリアミド樹脂組成物を含む成形品。
本発明のポリアミド樹脂組成物によれば、ジアミン構成単位としてキシリレンジアミンに由来する構成単位を有するポリアミド樹脂を用いても、当該ポリアミド樹脂が本来有する引張弾性率を維持しつつ、優れた靱性を有する成形体を作製することができる。本発明のポリアミド樹脂組成物は、自動車関連部品、OA機器部品、電子・電機部品、機械部品等の射出成形用材料、包装用フィルム、中空容器、パイプ、チューブ、ホース等の各種成形材料、繊維材料等に好適に用いられる。
[ポリアミド樹脂組成物]
本発明のポリアミド樹脂組成物は、キシリレンジアミンに由来する構成単位を50モル%以上含むジアミン構成単位とジカルボン酸構成単位とからなるポリアミド樹脂(A)、及びトリメシン酸を含むポリアミド樹脂組成物であって、前記ポリアミド樹脂(A)100質量部に対するトリメシン酸の含有量が0.001〜2質量部であることを特徴とする。このような本発明のポリアミド樹脂組成物を用いると、ポリアミド樹脂(A)が本来有する引張弾性率を維持しつつ、優れた靱性を有する成形体を作製することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物により上記効果が得られる理由については定かではないが、所定量のトリメシン酸がポリアミド樹脂組成物中で可塑剤のように作用していると推察される。
ここで、本発明のポリアミド樹脂組成物には、上記ポリアミド樹脂(A)に所定量のトリメシン酸を配合した樹脂組成物のほか、上記ポリアミド樹脂(A)に所定量のトリメシン酸を配合し、かつ溶融混練して得られる樹脂組成物も含まれる。後述するように、ポリアミド樹脂(A)に所定量のトリメシン酸を配合し、かつ溶融混練して得られる樹脂組成物においても、ポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基とトリメシン酸のカルボキシル基とは実質的に反応していないことが本発明者らにより見出されたものである。
<ポリアミド樹脂(A)>
ポリアミド樹脂(A)は、キシリレンジアミンに由来する構成単位を50モル%以上含むジアミン構成単位とジカルボン酸構成単位とからなる。
(ジアミン構成単位)
本発明に用いられるポリアミド樹脂(A)は、該ポリアミド樹脂(A)を構成するジアミン構成単位がキシリレンジアミンに由来する構成単位を50モル%以上含む。このことにより、ポリアミド樹脂(A)は溶融成形性、機械的特性、及びガスバリア性に優れたものとなる。キシリレンジアミンに由来する構成単位の含有量は、溶融成形性、機械的特性、及びガスバリア性の観点から、全ジアミン構成単位に対し、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上である。
キシリレンジアミンは、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン又はこれらの混合物であることが好ましく、優れた靭性を得る観点からはメタキシリレンジアミン又はメタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物であることがより好ましく、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物であることが更に好ましい。
キシリレンジアミンがメタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物である場合には、優れた靭性を得る観点から、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物中のメタキシリレンジアミンの含有量は10〜99モル%であることが好ましく、40〜95モル%であることがより好ましく、60〜90モル%であることが更に好ましい。
ジアミン構成単位は、キシリレンジアミン以外のジアミンに由来する構成単位を含んでもよい。キシリレンジアミン以外のジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環族ジアミン;ビス(4−アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン類;等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。ポリアミド樹脂(A)は、これらのジアミンに由来する構成単位を1種又は2種以上含有することができる。
(ジカルボン酸構成単位)
本発明に用いられるポリアミド樹脂(A)を構成するジカルボン酸構成単位は、特に制限されないが、成形加工性、ガスバリア性、及び機械的特性の観点から、炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸及びイソフタル酸から選ばれる少なくとも1種に由来する構成単位であることが好ましく、炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位であることがより好ましく、炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位であることが更に好ましい。
炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等を例示できる。
上記の中でも、ポリアミド樹脂(A)の結晶性、高弾性の観点から、アジピン酸及びセバシン酸から選ばれる少なくとも1種に由来する構成単位が好ましく、セバシン酸に由来する構成単位がより好ましい。ポリアミド樹脂(A)は、これらのジカルボン酸構成単位を1種又は2種以上含有することができる。
その他のジカルボン酸構成単位としては、シュウ酸、マロン酸等の炭素数3以下の脂肪族ジカルボン酸;2,6−ナフタレンジカルボン酸等の、テレフタル酸及びイソフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位が挙げられる。
ジカルボン酸構成単位は、炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を50モル%以上含むことが好ましい。ジカルボン酸構成単位中の炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位の含有量は、より好ましくは70〜100モル%、更に好ましくは85〜100モル%である。当該含有量が上記範囲内であれば、ポリアミド樹脂(A)は靭性のほか、成形加工性、ガスバリア性、及び機械的特性に優れたものとなる。
(ポリアミド樹脂(A)の製造)
ポリアミド樹脂(A)は、ジアミン構成単位及びジカルボン酸構成単位を形成する前述のジアミンとジカルボン酸とを重縮合して得ることができる。ジアミンとジカルボン酸との重縮合反応は、特に限定されるものではなく、加圧法や常圧滴下法など、いずれの方法も利用可能である。その一例として、溶融重縮合(溶融重合)を行う方法が挙げられる。
具体的には、ジアミンとジカルボン酸とからなる塩を、水の存在下、常圧又は加圧状態で加熱し、添加した水及び重縮合により生成する水を除きながら溶融状態で重縮合させる方法が挙げられる。また、ジアミンを溶融状態のジカルボン酸に直接加えて、常圧又は加圧下で重縮合する方法も挙げられる。この場合、反応系を均一な液状態で保つために、ジアミンをジカルボン酸に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミド樹脂(A)の融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
上記のうち、常圧又は加圧下で溶融させたジカルボン酸中にジアミンを滴下し、縮合水を除きながら溶融状態で重合させる溶融重合法を用いることが、ポリアミド樹脂(A)の分子量分布を小さくできることから好ましい。
ジアミンとジカルボン酸とのモル比(ジアミン/ジカルボン酸)は、好ましくは0.9〜1.1の範囲、より好ましくは0.93〜1.07の範囲、更に好ましくは0.95〜1.05の範囲、更に好ましくは0.97〜1.02の範囲である。モル比が上記範囲内であれば、高分子量化が進行しやすくなる。
また、アミド化反応促進、及び着色抑制のため、重縮合反応系内にリン原子含有化合物を添加してもよい。リン原子含有化合物としては、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸等のホスフィン酸化合物;次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸エチル等のジ亜リン酸化合物;ホスホン酸、ホスホン酸ナトリウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸リチウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸マグネシウム、ホスホン酸カルシウム、フェニルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム、フェニルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム等のホスホン酸化合物;亜ホスホン酸、亜ホスホン酸ナトリウム、亜ホスホン酸リチウム、亜ホスホン酸カリウム、亜ホスホン酸マグネシウム、亜ホスホン酸カルシウム、フェニル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸カリウム、フェニル亜ホスホン酸リチウム、フェニル亜ホスホン酸エチル等の亜ホスホン酸化合物;亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸リチウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ピロ亜リン酸等の亜リン酸化合物等が挙げられる。
これらの中でも、特に次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム等の次亜リン酸金属塩が、アミド化反応を促進するため好ましく用いられ、特に次亜リン酸ナトリウムが好ましい。なお、本発明で使用できるリン原子含有化合物はこれらの化合物に限定されない。
重縮合反応系内に添加されるリン原子含有化合物の添加量は、ポリアミド樹脂(A)中のリン原子濃度換算で0.1〜1,000ppmであることが好ましく、より好ましくは1〜600ppm、更に好ましくは5〜400ppmである。
また、重縮合反応速度の制御の観点から、重縮合反応系内に更にアルカリ金属化合物を共存させてもよい。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属酢酸塩が通常使用される。但し、アルカリ金属を含む上記リン原子含有化合物は除く。アルカリ金属化合物の具体例としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム等が挙げられ、水酸化ナトリウム及び酢酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種が好ましい。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、上記アルカリ金属化合物は、重縮合反応系内に添加してもよく、ポリアミド樹脂(A)の原料であるジカルボン酸成分由来であってもよい。
アルカリ金属化合物の使用量は、ポリアミド樹脂(A)中のアルカリ金属原子濃度換算で0.05〜1,000ppmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜600ppm、更に好ましくは2.5〜400ppmである。該使用量は、重縮合系内に添加したアルカリ金属化合物と、ポリアミド樹脂(A)の原料であるジカルボン酸成分由来のアルカリ金属化合物の合計量である。
また、アルカリ金属化合物の使用量は、アルカリ金属化合物のモル数を前述のリン原子含有化合物のモル数で除した値が、通常0.5〜1.0の範囲となる量であり、好ましくは0.55〜0.95、より好ましくは0.6〜0.9の範囲となる量である。上記範囲内であると、アミド化反応が適度な速度で進行する。
ポリアミド樹脂(A)中のリン原子濃度、アルカリ金属原子濃度は、ICP発光分光分析、ICP質量分析、X線光電子分光分析等の公知の方法により測定できる。
重縮合反応の温度は、好ましくは150〜300℃、より好ましくは160〜280℃、更に好ましくは170〜270℃である。重合温度が上記範囲内であれば、重合反応が速やかに進行する。また、モノマーや重合途中のオリゴマー、ポリマー等の熱分解が起こりにくいため、得られるポリアミド樹脂(A)の性状が良好なものとなる。
重縮合反応の時間は、ジアミン成分を滴下し始めてから通常1〜5時間である。重縮合反応時間を上記範囲内とすることにより、ポリアミド樹脂(A)の分子量を十分に上げることができ、得られるポリアミド樹脂(A)の着色を抑制することができる。
上記のようにして得られたポリアミド樹脂(A)は、重合槽より取り出され、ペレット化された後、必要に応じて乾燥・結晶化処理して使用される。
また、ポリアミド樹脂(A)の重合度を高めるために、更に固相重合を行ってもよい。固相重合は公知の方法により行うことができ、例えば、窒素雰囲気下、100℃以上でかつポリアミド樹脂(A)の融点を下回る温度で1〜24時間加熱する方法が挙げられる。
乾燥ないし固相重合で用いられる加熱装置としては、連続式の加熱乾燥装置やタンブルドライヤー、コニカルドライヤー、ロータリードライヤー等と称される回転ドラム式の加熱装置及びナウタミキサーと称される内部に回転翼を備えた円錐型の加熱装置が好適に使用できるが、これらに限定されることなく公知の装置を使用することができる。
ポリアミド樹脂(A)の相対粘度は、成形性及び機械的特性の観点から、好ましくは1.0〜5.0の範囲、より好ましくは1.5〜4.0の範囲である。ポリアミド樹脂(A)の相対粘度は、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
ポリアミド樹脂(A)の数平均分子量(Mn)は、溶融成形性及び機械的特性の観点から、好ましくは10,000〜50,000、より好ましくは12,000〜40,000の範囲である。なお、ポリアミド樹脂(A)の数平均分子量は、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
本発明のポリアミド樹脂組成物中のポリアミド樹脂(A)の含有量は、好ましくは50質量%超であり、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。
<トリメシン酸>
本発明のポリアミド樹脂組成物は、トリメシン酸を所定量含むことを特徴とする。トリメシン酸は下記構造式で示される多価カルボン酸化合物である。
Figure 2015117316
前述したように、本発明のポリアミド樹脂組成物には、ポリアミド樹脂(A)に所定量のトリメシン酸を配合した樹脂組成物のほか、ポリアミド樹脂(A)に所定量のトリメシン酸等を配合し、かつ溶融混練して得られる樹脂組成物も含まれる。ポリアミド樹脂(A)に所定量のトリメシン酸を配合し、かつ溶融混練して得られるポリアミド樹脂組成物においても、ポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基とトリメシン酸のカルボキシル基とは実質的に反応していない。そのため、所定量のトリメシン酸がポリアミド樹脂組成物中で可塑剤のように作用し、靭性向上効果が得られると推察される。
トリメシン酸以外の多価カルボン酸化合物(例えば無水トリメリット酸等)は、通常ポリアミド樹脂に配合して溶融混練すると該ポリアミド樹脂の末端アミノ基と反応する。そのため、本発明のポリアミド樹脂組成物のような靭性向上効果は得られないものと考えられる。これに対しトリメシン酸は、ポリアミド樹脂(A)に配合し、かつ溶融混練しても、予想に反してポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基と反応せず、かつ、靭性が向上するという効果を本発明者らは見出したものである。
ポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基とトリメシン酸のカルボキシル基とが実質的に反応していないことは、ポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基濃度と、ポリアミド樹脂組成物中のアミノ基濃度とを比較することにより確認できる。すなわち、ポリアミド樹脂組成物中のアミノ基濃度がポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基濃度より低くなっていなければ、トリメシン酸のカルボキシル基がポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基と反応していないと認定できる。
ポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基濃度及び末端カルボキシル基濃度、並びにポリアミド樹脂組成物のアミノ基濃度及びカルボキシル基濃度は、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、前記ポリアミド樹脂(A)100質量部に対し、トリメシン酸0.001〜2質量部を含む。これにより、ポリアミド樹脂(A)が本来有する引張弾性率を維持しつつ、優れた靱性を有する成形体を作製することができる。トリメシン酸の含有量がポリアミド樹脂(A)100質量部に対し0.001質量部未満であると靭性向上効果が得られない。またトリメシン酸の含有量が2質量部を超えると、ポリアミド樹脂組成物の溶融粘度が低くなりすぎて成形加工性が低下するとともに、着色(YI値)が増加する傾向がある。
ポリアミド樹脂組成物中のトリメシン酸の含有量は、靭性向上効果、成形加工性、及び着色抑制の点から、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対し、好ましくは0.01〜1.5質量部、より好ましくは0.05〜1.0質量部、更に好ましくは0.1〜0.8質量部である。
なお、本発明のポリアミド樹脂組成物は、その特性が阻害されない範囲で、艶消剤、耐熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤等の添加剤、層状珪酸塩等のクレイ、マイカ、タルク、ナノフィラー、炭素繊維、ガラス繊維等の無機充填剤、有機合成粒子、有機合成繊維、天然繊維等の有機充填剤を含有することができる。
[ポリアミド樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法には特に制限はない。例えば、ポリアミド樹脂(A)に所定量のトリメシン酸、及び必要に応じて用いられる添加剤を配合してドライブレンドする方法;ポリアミド樹脂(A)を予め溶融混練し、ここに所定量のトリメシン酸、及び必要に応じ添加剤を配合する方法;並びに、ポリアミド樹脂(A)に所定量のトリメシン酸、及び必要に応じ各種添加剤を配合した後に溶融混練する方法;等が挙げられる。ポリアミド樹脂(A)とトリメシン酸とを均一に混合する観点から、ポリアミド樹脂(A)に所定量のトリメシン酸を配合して溶融混練する工程を有することが好ましい。例えば、ポリアミド樹脂(A)に所定量のトリメシン酸、及び必要に応じ添加剤を配合し、溶融混練して得られたポリアミド樹脂組成物をそのまま成形加工に供することができる。あるいは、ポリアミド樹脂(A)に所定量のトリメシン酸、及び必要に応じ添加剤を配合し、溶融混練した後にペレット化し、ポリアミド樹脂組成物ペレットを作製して、これを成形加工に供してもよい。また上記ペレットを作製した後に更に固相重合を行い、そのまま成形加工に供してもよい。
溶融混練するための装置としては、バッチ式混練機、ニーダー、コニーダー、プラネタリ押出機、単軸もしくは二軸押出機等、公知の種々の押出機が挙げられるが、これらのなかでも混練能力や、生産性に優れる点から単軸押出機や二軸押出機が好ましく用いられる。
トリメシン酸は、樹脂組成物中に均一に分散できるのであれば配合時の形態に制限はなく、固体状(粉体)で添加してもよく、有機溶剤等の任意の溶剤に溶解してから添加してもよい。
溶融混練時の温度は、通常190〜310℃の範囲であり、ポリアミド樹脂(A)の劣化防止、及び成形性の観点から、好ましくは210〜280℃である。
ポリアミド樹脂組成物の溶融粘度は、成形性の観点から、温度250℃、せん断速度121.6s-1において、好ましくは200〜1000Pa・s、より好ましくは250〜800Pa・sである。また、温度250℃、せん断速度1216s-1において、好ましくは100〜750Pa・s、より好ましくは120〜400Pa・sである。溶融粘度は、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
上記本発明のポリアミド樹脂組成物によれば、優れた靭性及び引張弾性率を有する成形品を作製することができる。当該靭性は、JIS K7161及びK7162に準拠した引張試験法による引張破断歪測定、及びJIS K7111−1に準拠したシャルピー衝撃試験により評価することができる。靭性及び引張弾性率の評価は、具体的には実施例に記載の方法で行うことができる。
[成形品]
本発明の成形品は、上記本発明のポリアミド樹脂組成物を含むものである。本発明のポリアミド樹脂組成物は、当該成形品の少なくとも一部に用いられていればよい。
本発明の成形品は、例えば、前述したポリアミド樹脂組成物を従来公知の成形方法により各種形態に成形し、製造することができる。当該成形方法としては、例えば、射出成形、ブロー成形、押出成形、圧縮成形、真空成形、プレス成形、ダイレクトブロー成形、回転成形、サンドイッチ成形及び二色成形等の成形法を例示することができる。
射出成形法を用いる場合には、金型温度は特に制限はなく、使用するポリアミド樹脂(A)の種類や溶融粘度等により適宜選択できるが、30℃以上が好ましい。
射出成形時の成形温度(樹脂温度)は、使用するポリアミド樹脂(A)の種類や溶融粘度等により適宜選択できるが、好ましくは190〜300℃、より好ましくは200〜260℃の範囲である。
また、射出成形後に、更にアニール工程を行ってもよい。アニール工程を行うことにより、射出成形時の金型温度が100℃未満の場合であってもポリアミド樹脂(A)を安定して結晶化させることができるため、得られる成形体の物性がより安定したものとなる。
アニール条件には特に制限はないが、ポリアミド樹脂(A)を安定して結晶化させる観点、及び製造効率の観点から、温度120〜200℃で0.5〜3時間行うことが好ましい。
フィルム又はシート状の成形品を製造する場合には、例えばTダイを備えた押出法や、インフレーションフィルム製法等を好ましく用いることができる。さらに得られたフィルム又はシートを延伸加工することで、延伸フィルムや熱収縮フィルムが得られる。また、押出ラミネートや共押出等の方法を用いて、本発明のポリアミド樹脂組成物を含むフィルム層と、他の樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル樹脂等からなるフィルム層とを有する多層構造のフィルムに加工することもできる。
本発明のポリアミド樹脂組成物を含む成形品は、自動車関連部品、OA機器部品、電子・電機部品、機械部品等の射出成形品、包装用フィルム、中空容器、パイプ、チューブ、ホース等の各種成形品、繊維等として好適である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、本実施例において各種測定は以下の方法により行った。
<ポリアミド樹脂(A)の相対粘度>
ポリアミド樹脂(A)0.2gを精秤し、96%硫酸20mLに20〜30℃で攪拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mLを取り、25℃の恒温槽中で10分間放置後、落下時間(t)を測定した。また、96%硫酸そのものの落下時間(t0)も同様に測定した。t及びt0から次式により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0
<アミノ基濃度及びカルボキシル基濃度>
ポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基濃度及び末端カルボキシル基濃度は、下記の方法により測定した。
(a)末端アミノ基濃度([NH2]μeq/g)
ポリアミド樹脂(A)0.5gを精秤し、フェノール/エタノール=4/1容量溶液30mLにポリアミドを撹拌下に溶解した。ポリアミド樹脂が完全に溶解した後、N/100塩酸で中和滴定して求めた。
(b)末端カルボキシル基濃度([COOH]μeq/g)
ポリアミド樹脂(A)0.5gを精秤し、ベンジルアルコール30mLに窒素気流下160〜180℃でポリアミド樹脂を撹拌下に溶解した。ポリアミド樹脂が完全に溶解した後、窒素気流下80℃まで冷却し、撹拌しながらメタノール10mLを加え、N/100水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定して求めた。
なお、ポリアミド樹脂組成物中のアミノ基濃度及びカルボキシル基濃度は、上記において「ポリアミド樹脂(A)」を「ポリアミド樹脂組成物」に変更したこと以外は同様の方法で測定した。
<ポリアミド樹脂及びポリアミド樹脂組成物の数平均分子量(Mn)>
製造例で得られたポリアミド樹脂及び実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物の数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。GPC測定は東ソー株式会社製のGPC装置「HLC−8320GPC EcoSEC」にて行った。溶媒にはヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を用い、サンプル1mgを5gのHFIPに溶解させて測定に用いた。測定条件は、測定カラムとして東ソー株式会社製、「TSKgelSuperHM−H」を用い、カラム温度40℃、溶媒流量0.3mL/minとした。標準試料にはポリメチルメタクリレート(PMMA)を使用し、データ処理ソフトは東ソー株式会社製、「EcoSEC−WorkStation 」を使用して数平均分子量(Mn)を算出した。
<溶融粘度>
ポリアミド樹脂組成物の溶融粘度は、キャピラリーレオメーター(東洋精機(株)製「キャピログラフ1C」(キャピラリはL/D=10))を使用し、樹脂温度250℃、せん断速度121.6s-1、1216s-1において測定した。測定において樹脂組成物の予熱時間は6分とした。
<YI値>
ポリアミド樹脂組成物のYI値の測定は、実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを用いて、JIS K7373に準拠して測定した。当該測定には、色差測定装置(日本電色工業(株)製、「Z−Σ80 Color Measuring System」)を使用した。
<引張試験(引張弾性率及び引張破断歪)>
引張試験機((株)東洋精機製作所製、「STROGRAPH APIII」)を用い、JIS K7161、JIS K7162に準拠して引張試験を行い、引張弾性率及び引張破断歪を測定した。試験片(全長167mmの1A型)は、各実施例及び比較例記載の成形方法を用いて、各ポリアミド樹脂組成物を成形することにより作製し、測定温度23℃、湿度50%RH、チャック間距離115.0mm、引張速度5mm/minの条件で引張試験を実施した。試験片の数は5個とし、その結果の平均値を算出した。
<シャルピー衝撃強度>
シャルピー衝撃強度は、JIS K7111−1に準拠して測定した。測定装置は、(株)上島製作所製の「UF IMPACT TESTER」を用いた。試験片(80mm×10mm×4mm)は、各実施例及び比較例記載の成形方法を用いて各ポリアミド樹脂組成物を成形することにより作製し、ノッチの有るものとないものについて、測定温度23℃にてそれぞれ測定を行った。試験片の数は10個とし、その結果の平均値を算出した。
製造例1(ポリアミド樹脂(A1)の製造)
撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた反応容器に、セバシン酸(伊藤製油(株)製TAグレード)10kg(49.4mol)及び酢酸ナトリウム/次亜リン酸ナトリウム・一水和物(モル比=1/1.5)11.66gを仕込み、十分に窒素置換した後、更に少量の窒素気流下で系内を撹搾しながら170℃まで加熱溶融した。
メタキシリレンジアミン(三菱ガス化学(株)製)とパラキシリレンジアミン(三菱ガス化学(株)製)の質量比が70/30である混合キシリレンジアミン6.680kg(メタキシリレンジアミン34.33mol、パラキシリレンジアミン14.71mol)を溶融したセバシン酸に攪拌下で滴下し、生成する縮合水を系外に排出しながら、内温を連続的に2.5時間かけて240℃まで昇温した。
滴下終了後、内温を上昇させ、250℃に達した時点で反応容器内を減圧にし、更に内温を上昇させて255℃で20分間、溶融重縮合反応を継続した。その後、系内を窒素で加圧し、得られた重合物をストランドダイから取り出して、これをペレット化することにより、ポリアミド樹脂(A1)を得た。得られたポリアミド樹脂(A1)について、前記評価を行った。
ポリアミド樹脂(A1)の相対粘度=2.29、末端アミノ基濃度=28μeq/g、末端カルボキシル基濃度=100μeq/g、数平均分子量=15668であった。
製造例2(ポリアミド樹脂(A2)の製造)
製造例1において、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの混合キシリレンジアミン6.680kgを、メタキシリレンジアミン6.680kg(49.04mol)に変更したこと以外は、製造例1と同様の方法でポリアミド樹脂(A2)を得た。
ポリアミド樹脂(A2)の相対粘度=2.38、末端アミノ基濃度=29μeq/g、末端カルボキシル基濃度=83μeq/g、数平均分子量=17021であった。
実施例1
製造例1で得られたポリアミド樹脂(A1)9980gに対し、トリメシン酸20gを添加してドライブレンドした後、押出成形機(東芝機械(株)製、型式「TEM37BS」)を用いて260℃で溶融混練し、ペレット化してポリアミド樹脂組成物1のペレットを得た。
また当該ペレットを、射出成形機(住友重機械工業(株)製、型式「SE130DU−HP」)を用いて下記成形条件Aの条件にて射出成形し、前記評価に用いる各形状の成形体を作製した。
上記ポリアミド樹脂組成物1及び成形体を用いて前記評価を行った。結果を表1に示す。
<成形条件A>
金型温度;30℃
射出成形温度;230℃
射出成形後のアニール;なし
実施例2
実施例1において、成形条件Aの替わりに下記成形条件Bを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で成形体を作製し、前記評価を行った。結果を表1に示す。
<成形条件B>
金型温度;30℃
射出成形温度;230℃
射出成形後のアニール;熱風乾燥機中、150℃1時間
実施例3
製造例1で得られたポリアミド樹脂(A1)9900gに対し、トリメシン酸100gを添加してドライブレンドした後、押出成形機(東芝機械(株)製、型式「TEM37BS」)を用いて260℃で溶融混練し、ペレット化してポリアミド樹脂組成物2のペレットを得た。また当該ペレットを用いて、実施例1と同様の方法で成形体を作製した。
上記ポリアミド樹脂組成物2及び成形体を用いて前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例4
実施例3において、成形条件Aの替わりに前記成形条件Bを用いたこと以外は、実施例3と同様の方法で成形体を作製し、前記評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1
実施例2において、トリメシン酸を用いなかったこと以外は、実施例2と同様にして成形体を作製し、前記評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2
実施例2において、トリメシン酸の替わりに無水トリメリット酸を用いたこと以外は、実施例2と同様にして比較ポリアミド樹脂組成物1及びその成形体を作製し、前記評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2015117316
実施例5
実施例1において、ポリアミド樹脂(A1)の替わりにポリアミド樹脂(A2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物3のペレットを得た。また当該ペレットを、射出成形機(住友重機械工業(株)製、型式「SE130DU−HP」)を用いて、下記成形条件Cの条件にて射出成形し、前記評価に用いる各形状の成形体を作製した。
上記ポリアミド樹脂組成物3及び成形体を用いて前記評価を行った。結果を表2に示す。
<成形条件C>
金型温度;30℃
射出成形温度;210℃
射出成形後のアニール;熱風乾燥機中、150℃1時間
比較例3
実施例5において、トリメシン酸を用いなかったこと以外は、実施例5と同様にして成形体を作製し、前記評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2015117316
表1,2の結果より、実施例1〜5のポリアミド樹脂組成物を用いた成形品は、該組成物に用いたポリアミド樹脂単独の引張弾性率(比較例1又は比較例3に相当する)を維持しつつ、靭性が向上していることがわかる。また、溶融混練して得られた実施例1〜5のポリアミド樹脂組成物のアミノ基濃度は、該組成物に用いたポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度(比較例1又は比較例3のアミノ基濃度に相当する)と同等であり、さらに、該組成物のカルボキシル基濃度は、配合したトリメシン酸の量に応じて増加している。このことから、当該組成物中のポリアミド樹脂の末端アミノ基と、トリメシン酸のカルボキシル基とは実質的に反応していないことがわかる。
これに対し、トリメシン酸以外の多価カルボン酸化合物(無水トリメリット酸)を配合した比較例2のポリアミド樹脂組成物を用いた成形品は、本願実施例と比べて靭性の向上効果が小さいことがわかる。また比較例2のポリアミド樹脂組成物のアミノ基濃度は、該組成物に用いたポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度(比較例1のアミノ基濃度)よりも低下している。このことから、ポリアミド樹脂の末端アミノ基と、多価カルボン酸化合物のカルボキシル基とが反応していると考えられる。
本発明のポリアミド樹脂組成物によれば、ジアミン構成単位としてキシリレンジアミンに由来する構成単位を有するポリアミド樹脂を用いても、当該ポリアミド樹脂が本来有する引張弾性率を維持しつつ、優れた靱性を有する成形体を作製することができる。本発明のポリアミド樹脂組成物は、自動車関連部品、OA機器部品、電子・電機部品、機械部品等の射出成形用材料、包装用フィルム、中空容器、パイプ、チューブ、ホース等の各種成形材料、繊維材料等に好適に用いられる。

Claims (6)

  1. キシリレンジアミンに由来する構成単位を50モル%以上含むジアミン構成単位とジカルボン酸構成単位とからなるポリアミド樹脂(A)、及びトリメシン酸を含むポリアミド樹脂組成物であって、前記ポリアミド樹脂(A)100質量部に対するトリメシン酸の含有量が0.001〜2質量部であるポリアミド樹脂組成物。
  2. 前記キシリレンジアミンがメタキシリレンジアミン、又はメタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物である、請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 前記ジカルボン酸構成単位が炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を50モル%以上含む、請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. 前記脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位がアジピン酸及びセバシン酸から選ばれる少なくとも1種に由来する構成単位である、請求項3に記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. 前記ポリアミド樹脂組成物が前記ポリアミド樹脂(A)にトリメシン酸を配合し、かつ溶融混練して得られたものである、請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を含む成形品。
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