JP2015115884A - 半導体装置 - Google Patents

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Isao Sakakida
勲 榊田
松野 典朗
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Abstract

【課題】従来のスイッチ回路では、挿入損失等の諸特性を十分に向上させることができない問題があった。
【解決手段】一実施の形態によれば、半導体装置は、第1のポートP1と第2のポートP2との間に直列に接続された複数のトランジスタTr1〜Trnを有するスイッチ回路を含む半導体装置であって、複数のトランジスタTr1〜Trnとして、異なるパラメータに基づき異なるブレークダウン電圧が設定されたトランジスタを用いる。
【選択図】図5

Description

本発明は半導体装置に関し、例えば高周波信号を伝達するか、遮断するかを切り替えるスイッチ回路を含む半導体装置に関する。
近年、通信分野、センサ分野等の技術分野では、高周波信号が多く利用されている。そして、高周波信号が利用される技術分野では、信号の伝達と遮断との切り替え、信号の経路の切り替え、インピーダンス調整等を行うスイッチ回路が多く利用されている。また、このスイッチ回路は、トランジスタによって形成されるが、トランジスタの製造プロセスは微細化が進んでいる。
そのため、スイッチ回路の両端には、1つのトランジスタの耐圧を超える電圧が印加されることがあり、スイッチ回路を1つのトランジスタで構成した場合、耐圧に起因する不良による不具合が生じることがある。そこで、この耐圧の課題を解消するために、複数のトランジスタを直列に接続したスイッチ回路が特許文献1、2に記載されている。
特開2010−178026号公報 特開2006−345398号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載された技術では、スイッチ回路の挿入損失等の諸特性を十分に向上させることができない問題がある。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
一実施の形態によれば、半導体装置は、第1のポートと第2のポートとの間に直列に接続された複数のトランジスタを有するスイッチ回路を含む半導体装置であって、複数のトランジスタとして、異なるパラメータに基づき異なるブレークダウン電圧が設定されたトランジスタを用いる。
前記一実施の形態によれば、スイッチ回路の挿入損失等の諸特性を改善することができる。
実施の形態1にかかる通信装置のブロック図である。 実施の形態1にかかる半導体装置のブロック図である。 実施の形態1にかかる半導体装置の別の形態を示すブロック図である。 実施の形態1にかかる経路切替回路のブロック図である。 実施の形態1にかかるスイッチ回路の回路図である。 実施の形態1にかかるスイッチ回路のレイアウトの概略図である。 実施の形態1にかかるスイッチ回路のレイアウトの一部を拡大した概略図である。 実施の形態1にかかるスイッチ回路のトランジスタ部分の断面図である。 実施の形態1にかかるスイッチ回路のトランジスタが遮断状態のときの等価回路図である。 実施の形態1にかかるスイッチ回路の各トランジスタのソースドレイン間に印加される電圧の相対電圧の周波数特性を示すグラフである。 実施の形態1にかかるスイッチ回路のトランジスタの耐圧評価条件を説明する図である。 実施の形態1にかかるスイッチ回路の各トランジスタの耐圧のゲート長依存性を示すグラフである。 実施の形態1にかかるスイッチ回路のトランジスタの相対電圧と耐圧との関係を示すテーブルである。 実施の形態1にかかるスイッチ回路のオフ容量のゲート長依存性を示すグラフである。 実施の形態1にかかるスイッチ回路のオン抵抗のゲート長依存性を示すグラフである。 実施の形態2にかかる経路切替回路のブロック図である。 実施の形態2にかかる経路切替回路のレイアウトの概略図である。 実施の形態2にかかるスイッチ回路の各トランジスタのソースドレイン間に印加される電圧の相対電圧の周波数特性を示すグラフである。 実施の形態3にかかる可変容量のブロック図である。 実施の形態3にかかる可変容量を含むインピーダンス可変回路のブロック図である。 実施の形態3にかかる可変容量に含まれるスイッチ回路の各トランジスタのソースドレイン間に印加される電圧の相対電圧の周波数特性を示すグラフである。 スイッチ回路のトランジスタのブレークダウン電圧と、トランジスタが遮断状態のときに与えるゲート電圧及びバックゲート電圧との関係を示すグラフである。 スイッチ回路のトランジスタの入力電力に対する、高調波歪及び挿入損失と、の関係を示すグラフである。 スイッチ回路のトランジスタのブレイクタウン耐圧と、高調波歪と、の関係を示すグラフである。
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。なお、説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
実施の形態で説明するスイッチ回路は、回路中の一素子として利用されるものである。そこで、まず、スイッチ回路が利用されるシステム及び半導体装置について説明する。図1に実施の形態1にかかる通信装置10のブロック図を示す。図1に示すように、通信装置10は、アンテナ11、フロントエンドモジュール12、復変調装置13、ベースバンド装置14を有する。
通信装置10は、マルチモード通信に対応しており、複数の無線通信方式により無線信号の送受信を行う。図1では、第1の通信方式に対応する送信信号及び受信信号を送信信号TX1及び受信信号RX1と示し、第2の通信方式に対応する送信信号及び受信信号を送信信号TX2及び受信信号RX2と示した。また、通信装置10の復変調装置13は、フロントエンドモジュール12が出力する信号を制御する制御信号CNTを出力する。
通信装置10は、ベースバンド装置14で送信データに符号化処理を施して送信信号TXを生成する。続いて、通信装置10は、復変調装置13で、ベースバンド装置14が生成した送信信号TXの周波数を無線信号の周波数に変換(周波数アップコンバージョン)して送信信号TX1又は送信信号TX2を生成する。そして、通信装置10は、フロントエンドモジュール12で送信信号TX1又は送信信号TX2に対してフィルタ処理すると共に、復変調装置13が出力する制御信号に応じてアンテナ11に出力する送信信号を選択する。
また、通信装置10は、アンテナ11を介して受信した受信信号に対してフィルタ処理を施すと共に、復変調装置13が出力する制御信号CNTに応じて受信信号RX1と受信信号RX2とのいずれか一方を出力する。そして、通信装置10は、復変調装置13でローカル信号を用いて受信信号RX1又は受信信号RX2をベースバンド信号の周波数に変換(周波数ダウンコンバージョン)して受信信号RXを出力する。そして、通信装置10は、ベースバンド装置14で受信信号RXに対する復号処理を行う。
ここで、実施の形態1にかかるスイッチ回路は、フロントエンドモジュール12内の経路切替回路に用いられる。そこで、フロントエンドモジュール12のブロック図を図2に示す。
図2に示すように、フロントエンドモジュール12は、デュプレクサ20、経路切替回路21、25、ローノイズアンプ22、23、送信信号増幅部24を有する。また、送信信号増幅部24は、パワーアンプ30、33、フィルタ回路31、32、34、35を有する。
デュプレクサ20は、通信装置10がLTE(Long Term Evolution)方式等の通信方式にて採用されている周波数分割復信(FDD:Frequency Division Duplex)に対応するために用いられているものである。デュプレクサ20は、アンテナ11に入力される送信信号と、アンテナ11から出力される受信信号と、の周波数分離を行う。
ここで、通信方式毎のフロントエンドモジュール12の動作について説明する。まず、第1の通信方式では、送信信号増幅部24は、復変調装置13が出力した送信信号TX1をパワーアンプ30で増幅した後、フィルタ31、32を介して送信信号TXの周波数分離を行う。そして、経路切替回路25は、制御信号CNTに含まれる制御信号CNT2に応じて、第4の端子T4に与えられた送信信号TXと、第5の端子T5に与えられた送信信号TXと、のいずれか一方を選択して第1の端子T1から出力する。
また、第2の通信方式では、送信信号増幅部24は、復変調装置13が出力した送信信号TX2をパワーアンプ33で増幅した後、フィルタ34、35を介して送信信号TXの周波数分離を行う。そして、経路切替回路25は、第3の端子T3に与えられた送信信号TXと、第2の端子T2に与えられた送信信号TXと、のいずれか一方を選択して第1の端子T1から出力する。そして、第1の端子から出力された送信信号は、デュプレクサ20を介してアンテナ11から送出される。
続いて、フロントエンドモジュール12の受信動作について説明する。フロントエンドモジュール12の経路切替回路21は、制御信号CNTに含まれる制御信号CNT1に応じて、アンテナ11及びデュプレクサ20を介して第1の端子T1に与えられる受信信号を第2の端子T2と第3の端子T3のいずれか一方に振り分ける。ローノイズアンプ22は、第1の通信方式に対応したものであり、経路切替回路21の第2の端子T2から出力される受信信号を増幅して受信信号RX1を出力する。ローノイズアンプ23は、第2の通信方式に対応したものであり、経路切替回路21の第3の端子T3から出力される受信信号を増幅して受信信号RX2を出力する。
経路切替回路21は、1つのポール(Pole)端子と2つのスロー(Throw)端子とを備えるため、SPDT(Single Pole Double Throw)型のアンテナスイッチと呼ばれる。また、経路切替回路25は、1つのポール端子と4つのスロー端子とを備えるため、SP4T(Single Pole 4 Throw)型のアンテナスイッチと呼ばれる。
フロントエンドモジュール12では、FDD方式に対応するため、経路切替回路21及び経路切替回路25を用いたが、通信装置10が周波数分割復信方式に対応せずGSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)のような時分割復信(TDD:Time Division Duplex)に対応する場合、フロントエンドモジュール12の構成は、図2に示した例よりも簡略化する事ができる。そこで、フロントエンドモジュール12の別の形態(例えば、TDDに対応するフロントエンドモジュール12)のブロック図を図3に示す。
図3に示すフロントエンドモジュール12は、第1の端子T1にアンテナ11が接続され、第2の端子T2に送信信号が入力され、第3の端子T3へ受信信号を出力する経路切替回路26を備える。そして、経路切替回路26は、制御信号CNTに応じて、時分割で送信状態と受信状態とを切り替える。
なお、図2及び図3に示したフロントエンドモジュール12の例は、フロントエンドモジュール12の構成の一例を示すものであり、フロントエンドモジュール12の構成は、要求される通信方式によって適宜変更されるものである。
続いて、フロントエンドモジュール12で利用されていた経路切替回路21、25、26で利用する実施の形態1にかかる経路切替回路の構成について説明する。そこで、経路切替回路21、25、26等の経路切替回路の基本的構成となるSPDT(Single Pole Double Throw)型の経路切替回路のブロック図を図4に示す。経路切替回路は、経路に対し直列に挿入されるシリーズ部と、経路に対し並列に挿入されるシャント部と、で構成される。
図4に示すように、実施の形態1にかかる経路切替回路は、第1の端子T1、第2の端子T2、第3の端子T3、制御部40、第1のシリーズ部(例えば、シリーズ部41a)、第2のシリーズ部(例えば、シリーズ部41b)、第1のシャント部(例えば、シャント部42a)、及び、第2のシャント部(例えば、シャント部42b)を有する。
シリーズ部41aは、第1の端子T1と第2の端子T2との間に接続される。シリーズ部41bは、第1の端子T1と第3の端子T3との間に接続される。シャント部42aは、第2の端子T2と接地端子との間に接続される。シャント部42bは、第3の端子T3と接地端子との間に接続される。
経路切替回路は、上記したように、シャント部を備えることで、導通しない非選択の端子をグランドに接地して、信号をグランドに逃がす経路が形成される。そのため、シャント部を備える経路切替回路は、第1の端子と非選択端子との間のアイソレーション特性を向上させることができる。
制御部40は、電源回路と、ドライバ回路と、を有する。電源回路は、電源入力端子から入力される電源に基づいて、昇圧電圧及び降圧電圧を生成する。昇圧電圧は、電源電圧よりも高い電圧値を有する電圧であって、例えば、3.0V程度の電圧である。降圧電圧は、電源電圧よりも低い電圧値を有する電圧であって、−3.0V程度の負電圧である。これらの昇圧電圧或いは降圧電圧は、ドライバ回路を通して、シリーズ部41a、41b、シャント部42a、42bを構成するトランジスタのゲート端子及びバックゲート端子に与えられる。
ドライバ回路は、制御信号入力端子から入力される制御信号に基づき、シリーズ部41a、41b、シャント部42a、42bの導通状態を個別に制御する制御信号CNTa1、CNTa2、CNTb1、CNTb2を生成する。制御信号CNTa1、CNTa2、CNTb1、CNTb2は、それぞれトランジスタのゲート端子とバックゲート端子を制御する2種類の制御ラインを含んでいる。
ここで、シリーズ部41a、41b、シャント部42a、42bを構成するトランジスタを導通状態とする場合のゲート電圧及びバックゲート電圧と、導通状態とする場合のゲート電圧及びバックゲート電圧と、について説明する。実施の形態1では、トランジスタを導通状態とする場合、ゲート電圧として昇圧電圧(例えば、3.0V程度)を与え、バックゲート電圧として接地電圧(例えば、0V)を与える。一方、トランジスタを遮断状態とする場合、ゲート電圧及びバックゲート電圧として降圧電圧(例えば、−3.0V程度)を与える。トランジスタをこのようなゲート電圧及びバックゲート電圧を与えることで、挿入損失及び歪みを改善し、また、耐圧を向上させることができる。
ここで、図4に示した経路切替回路では、シリーズ部41a及びシャント部42bが同じ導通状態となるように制御され、シリーズ部41b及びシャント部42aがシリーズ部41a及びシャント部42bとは排他的に導通状態となるように制御される。
そして、図4に示した経路切替回路では、シリーズ部41a、41b、シャント部42a、42bとして、実施の形態1にかかるスイッチ回路を用いる。このスイッチ回路は、第1のポートP1と第2のポートP2とを有し、第1のポートP1と第2のポートP2との間を導通状態とするか、遮断状態とするか、を制御信号に応じて切り替える。つまり、シリーズ部41a、41b、シャント部42a、42bは同じ回路構成を有する。ただし、シリーズ部とシャント部とで、トランジスタのゲート幅は異なる値を有する。そこで、以下では、シリーズ部41aを例に実施の形態1にかかるスイッチ回路について詳細に説明する。
図5に実施の形態1にかかるスイッチ回路(例えば、シリーズ部41a)の回路図を示す。図5に示すように、実施の形態1にかかるスイッチ回路は、第1のポートP1と第2のポートP2との間に直列に接続された複数のトランジスタ(例えば、トランジスタTr1〜Trn、nはトランジスタの個数を示す整数)を有する。また、トランジスタTr1〜Trnには、それぞれ、ゲート抵抗Rg、ジャンパ抵抗Rj、バックゲート抵抗Rbを有する。図5では、ゲート抵抗、ジャンパ抵抗、バックゲート抵抗の符号の末尾に対応するトランジスタの末尾の数字と同じ数字を付した。実施の形態1にかかるスイッチ回路では、トランジスタTr1〜Trnは、異なるパラメータに基づき異なるブレークダウン電圧を有する。実施の形態1では、設定するブレークダウン電圧に応じて変化させるパラメータとしてトランジスタのゲート長Lg1〜Lgnを用いる。このゲート長Lg1〜Lgnの設定方法につては後述する。
そして、実施の形態1にかかるスイッチ回路では、トランジスタのゲート端子にゲート抵抗Rgを介して制御信号となるゲート電圧Vgが与えられる。このゲート電圧Vgは、トランジスタTr1〜Trnに対して共通に与えられる。つまり、トランジスタTr1〜Trnには、共通ラインを介して制御信号が与えられる。また、トランジスタのバックゲート端子にバックゲート抵抗Rbを介してバックゲート電圧Vbが与えられる。このバックゲート電圧Vbは、トランジスタTr1〜Trnに対して共通に与えられる。つまり、実施の形態1にかかるスイッチ回路は、複数のトランジスタが制御信号に基づき導通状態と遮断状態とを切り替える1つのスイッチ回路として機能する。これにより、実施の形態1にかかるスイッチ回路は、複数のトランジスタが導通した状態で第1のポートP1から第2のポートP2に交流信号を伝達する。
ここで、ゲート抵抗Rg及びバックゲート抵抗Rbについてさらに詳細に説明する。ゲート抵抗Rg及びバックゲート抵抗Rbは、数100kΩ程度の高い抵抗値を有する。このような高い抵抗値の抵抗をゲート端子及びバックゲート端子に設けることで、以下の2つの効果がある。第1の効果は、ゲート抵抗とゲート酸化膜容量で形成されるRC時定数を、無線信号の周波数帯の信号(以下、RF信号と称す)の周期より十分大きく取ることで、ゲート抵抗Rgを介した信号ロスが低減されることである。第2の効果は、高周波スイッチ製品にて要求される歪特性の改善である。例えば、携帯端末では、送受信機のGHz帯の信号において、アンテナ端からの比較的低い周波数(数10MHz)の妨害波に対する相互変調歪の特性が要求される。低周波の場合、ゲート抵抗Rgの抵抗値に対しゲートとソースドレイン間容量のインピーダンスが相対的に上がり、ゲート抵抗RgのRFチョークの効果が弱まる。従って、相互変調歪の劣化を抑えるのには、ゲート抵抗Rgに高い抵抗値が必要となる。ただし、ゲート抵抗Rgは、トランジスタのゲート酸化膜容量との組合せにより時定数を持ち、ゲート電圧Vg(またはバックゲート電圧Vb)の電圧のスイッチング時間に影響する。従って、ゲート抵抗Rgの抵抗値は、上記のロス、歪特性を満たし、かつスイッチング時間に影響しないよう値が決定される。また、各段のゲート抵抗Rg、バックゲート抵抗Rbの値は同一の値とする。
次いで、ジャンパ抵抗についても詳細に説明する。ジャンパ抵抗は、直列に接続した複数のトランジスタを導通状態から遮断状態に切り替えたときに、トランジスタのチャネルにたまった電荷の放電経路を形成するために設けられる。このジャンパ抵抗Rj1〜Rjnの抵抗値は、同一の値とする。このように、ジャンパ抵抗を介して電荷を放電することで、直列に接続したトランジスタが遮断状態のときに、各段のトランジスタのソースドレイン間で第1のポートP1と第2のポートP2との間に印加されている電圧を分圧することができる。ただし、詳しくは後述するが、ある周波数における分圧の状態は、遮断状態のトランジスタのインピーダンスとジャンパ抵抗Rj、及び、トランジスタの各端子に形成される寄生成分により決定される。
続いて、実施の形態1にかかるスイッチ回路に対する耐入力電力特性について説明する。携帯電話等の通信用途では、扱われる信号の周波数が高周波帯域であり、一般に経路の特性インピーダンスは50Ω系で定義される。一方、スイッチ回路は、導通状態で直列接続された複数のトランジスタのオン抵抗は数Ω程度となり、系のインピーダンスに対し小さくなる。直列接続された複数のトランジスタが遮断状態のときは、複数のトランジスタのインピーダンスは動作周波数にて数キロΩ程度と系のインピーダンスに対して高くなる。従って、経路切替回路内では、導通状態より遮断状態にあるスイッチ回路の方が高い交流電圧が印加されることになる。このような理由により、遮断状態のトランジスタのソースドレイン間に高い電圧が印加されるため、遮断状態にあるスイッチ回路の特性が経路切替回路全体としての耐入力電力特性を決定することになる。
一例を示すとGSM(登録商標)用途では、スイッチ回路には、ポートから入力される35dBmの電力を有する信号に対して特性を劣化させずにアンテナに伝達することが要求される。アンテナでのインピーダンス整合が不十分な場合、信号は反射されて更に大きな電圧がスイッチ回路に印加されることになる。このような、高い電力の信号に対しは、直列接続するトランジスタの段数を増すことで、信号を分圧することが可能となる。実施の形態1にかかるスイッチ回路では、直列接続するトランジスタの段数を10段とすることで、耐入力電力の向上を図っている。
ここで、スイッチ回路が、同一のパラメータ、同一のレイアウトとなる形状を有するトランジスタを使用し、印加された信号が各段のトランジスタにて均一に分圧される場合、直列接続するトランジスタの段数の違いによる耐入力電力の変化は、次のように表される。段数D1で耐入力電力がPa[dBm]である場合に、段数をD2に変更すると段数変更後の耐入力電力PbはPb[dBm]=Pa+20*log(D2/D1)となる。
続いて、実施の形態1にかかるスイッチ回路を構成するトランジスタのゲート長の設定について説明する。以下では、まず、実施の形態1にかかるスイッチ回路を構成するトランジスタの構造について説明し、その後、ゲート長の設定について説明する。
図6に実施の形態1にかかるスイッチ回路のレイアウトの一例の概略図を示す。図6の例では、1つのトランジスタが形成されるトランジスタ配置領域が、図面上縦に並ぶように配置されている。このトランジスタ領域のトランジスタのゲート電極は、H型のゲート電極であり、図6では、トランジスタ領域上下に配置され、図面左右方向に延在するゲート電極を図面上下方向に延在するゲート電極で接続する形状となる。そして、図6において、トランジスタ配置領域の右側の領域には、ジャンパ抵抗Rjが配置される。また、図6において、トランジスタ配置領域の左側の領域に、ゲート抵抗Rg及びバックゲート抵抗Rbが配置される。そして、トランジスタ配置領域の間の領域には、トランジスタのゲート端子、ソース端子、ドレイン端子、及びバックゲート端子に接続される配線が配置される配線領域が設けられる。
次いで、図6に示したトランジスタ配置領域の一つを拡大した図を図7に示す。図7に示す例では、各レイアウト層間の接続を示すコンタクトは省略している。図7に示すように、実施の形態1にかかるスイッチ回路のトランジスタは、一つのトランジスタ形成領域において分割されたゲート電極Gが複数本配置されるように形成される。この分割されたゲート電極Gは全て根本で共通に接続され、一つのゲート電極となるように形成される。ゲート電極Gにはゲート配線Wgを介してゲート電圧Vgが与えられる。また、ゲート配線Wgには経路上にゲート抵抗Rgが分割して配置される。
そして、分割されたゲート電極Gの間に、トランジスタのソース端子又はドレイン端子となる領域が設けられる。ソース端子及びドレイン配線にはソースドレイン配線が配置される。ソースドレイン配線は、図面上に向かって引き出される配線と、図面下に向かって引き出される配線と、がある。そして、トランジスタ配置領域の右側に配置されるジャンパ抵抗を介して2つのソースドレイン配線は接続される。また、ソースドレイン配線のうちトランジスタ配置領域の上下に配置される配線は、上下に配置されるトランジスタのソースドレイン配線としても利用される。
また、ゲート電極Gとソースドレイン配線との間にはバックゲート電極Wbが設けられる。このバックゲート電極Wbは、トランジスタのゲート電極の下層に形成されるチャネル領域にバックゲート電圧Vbを与える電極である。バックゲート電極Wgには、経路上にバックゲート抵抗Rbが分割して配置される。
次いで、図7のVIII−VIII線で示した部分のトランジスタの断面図を図8に示す。なお、図8に示した断面図は、トランジスタ配置領域の一部を示したものである。図8に示すように、実施の形態1にかかるスイッチ回路のトランジスタは、高抵抗シリコン基板(Si基板)50の上層に酸化シリコンで形成されるBOX(Buried Oxide)層51が形成される。そして、BOX層51の上層にSOI(Silicon On Insulator)層が形成される。SOI層には、ソース又はドレインとなるN型半導体領域52、及び、チャネル領域となるP型半導体領域53が形成される。
そして、SOI層のP型半導体領域53の上部には、ゲート酸化膜54を介してゲート電極55が形成される。ゲート酸化膜54及びゲート電極55の両側にはサイドウォール56が形成される。また、SOI層のN型半導体領域52の上部には、コンタクト57を介してソースドレイン配線58aが形成され、ソースドレイン配線58aの上層には、ビア59を介してソースドレイン配線58bが形成される。
ここで、トランジスタのゲート長Lgは、ゲート電極55の両側に位置するN型半導体領域52の間の距離である。また、別の観点では、トランジスタのゲート長Lgは、P型半導体領域53の両側に位置するN型半導体領域52の間の距離である。
なお、図8に示した例では、ソースドレイン配線を2層の配線としたが、配線の層数は配線中の電流密度、配線同士の容量結合等を考慮して決定される。また、同様な観点から、ソースドレイン配線の幅及び厚みが決められる。さらに、ゲート電極に挟まれる領域に配置されるゲートソース配線をフィンガーと称す。一つのフィンガーにおいて、配線中の電流密度、配線同士の容量結合等を考慮して総数、幅の設定を複数使用しても良い。一方、一つのトランジスタ内において、ソースドレイン間のピッチは同一に設定される。また、複数のトランジスタ間においても、ソースドレイン間のピッチは同一に設定される。
また、実施の形態1では、後述するように、直列接続される複数のトランジスタにおいて、異なるゲート長のトランジスタが含まれる。ただし、一つのトランジスタ形成領域内のゲート長は同一の値に設定される。実施の形態1では、直列接続される複数のトランジスタにおいて、トランジスタのゲート長を0.20μmから0.32μmの範囲で設定する例について説明する。
図8では、トランジスタとしてSOI基板上に形成される場合について説明したが、SOI層を含まないバルク基板上に形成される場合や、BOX層51とSi基板50との間にポリシリコン層が追加されたTrap-Rich基板上に形成された場合も本手法を適用することができる。
続いて、実施の形態1にかかるスイッチ回路のトランジスタに印加される電圧について説明する。実施の形態1にかかるスイッチ回路を構成するトランジスタのそれぞれには、第1のポートP1と第2のポートP2との間に印加される電圧を分圧した電圧が印加される。そこで、トランジスタ毎の印加電圧の周波数依存性を検討するために、シミュレーションを行う。このシミュレーションでは、トランジスタが遮断状態となったときのトランジスタの等価回路を用いる。そこで、トランジスタが遮断状態のときの等価回路図を図9に示す。
図9に示すように、トランジスタが遮断状態のときの等価回路は、オフ容量Coff、Cbox、Csub、Chi、抵抗Rlo、Rhiで示すことができる。また、この等価回路では、トランジスタの端子は、ソース、ドレイン、Si基板の3つの端子を有する。トランジスタが遮断状態のとき、ゲート端子、バックゲート端子には電圧が印加されているが、遮断状態のスイッチ動作を記述するのに必要ないため図9に示した等価回路では省略している。また、Si基板端子は、リードフレームを使用したパッケージでは最終的にチップ内グランドに接地される。一方、フリップチップの場合は、Si基板端子は、チップSi基板裏面で共通に束ねられオープン状態となる。
オフ容量Coffは、トランジスタが遮断状態のときのソースドレイン間容量を表す。このオフ容量Coffには、PN接合の接合容量、ゲート酸化膜容量、配線間容量が含まれる。容量Cboxは、ソースドレイン端子とSi基板間のBOX層による容量を表す。容量Csubは、Si基板の容量を表す。容量Chi、抵抗Rlo、Rhiは、上部の電極に電圧が印加された際のSi基板の抵抗の周波数特性を表すための素子である。
そして、等価回路では、オフ容量Coffがソース端子とドレイン端子との間に接続される。ソース端子とSi基板端子との間には、容量Cboxと容量Csubが直列に接続される。ドレイン端子とSi基板端子との間にも、容量Cboxと容量Csubが直列に接続される。容量Chiと抵抗Rhiは直列に接続されると共に、容量Csubと並列に接続される。抵抗Rloは、容量Csubと並列に接続される。なお、容量Chi、抵抗Rlo、Rhiにより構成される回路は、ソース側の容量Csubとドレイン側の容量Csubとのそれぞれに対して並列に接続される。
図9に示した等価回路は、遮断状態のトランジスタの等価回路を簡易的に表したものであり、モデル精度を向上させるために素子がさらに追加、修正されること場合がある。また、各抵抗、容量素子の値はトランジスタのサイズ及びレイアウト形状に依存する。図9に示した等価回路の各素子の値を決定するに当たりその手法は、電磁界解析やモデル式による見積もり手法等が考えられるが、実施の形態1ではデバイスのSパラメータを測定し、ディエンベットすることにより求めるものとする。
続いて、図9に示した等価回路を用いた実施の形態1にかかるスイッチ回路のシミュレーション結果について説明する。そこで、図10に実施の形態1にかかるスイッチ回路の各段のトランジスタのソースドレイン間に印加される電圧の相対電圧の周波数特性を示すグラフを示す。図10に示すグラフは、図9に示した等価回路を10個直列接続し、ジャンパ抵抗を付加した状態で、直列接続した等価回路の一端に交流信号を印加し、他端を接地させたときの特性である。図10では、トランジスタが接地側から何段目に位置するかを括弧内の数字で示した。10段目が交流信号源側であり、1段目が接地側となる。
図10に示すように、各段のトランジスタのソースドレイン間に印加される電圧の大きさは、周波数依存性を有するが、ある周波数以上の周波数帯域ではほぼ一定になる。実施の形態1にかかるスイッチ回路は、高周波の信号を扱うが、その周波数帯域ではトランジスタのソースドレイン間に印加される電圧の周波数依存性が比較的小さい。また、図10に示すように、実施の形態1にかかるスイッチ回路では、交流信号源に近い第1のポート側に位置する10段目のトランジスタTr10の両端に印加される電圧が最も大きい。また、接地側に近い第2のポート側になるほどトランジスタの両端に印加される電圧が小さくなっていることが分かる。例えば、全てのトランジスタに均等に電圧が印加される場合の各段のソースドレイン間に印加される電圧を1と規格化すると、扱う高周波信号の帯域では、10段目のトランジスタTr10の両端に印加される電圧の相対値は1.3程度の大きさとなる。一方、最も印加される電圧が小さな1段目のトランジスタの両端に印加される電圧の相対値は0.8程度になる。
寄生成分が十分小さく無視出来る場合、即ち遮断状態のトランジスタがオフ容量Coffのみで表される場合、周波数依存、及び、段数における電圧の不均一は発生しない。しかし、オフ容量Coff以外の寄生成分を考慮して、相対電圧の周波数特性を求めると図10のような分布を得る。低周波領域では、オフ容量Coffやその他寄生成分に比べてジャンパ抵抗のインピーダンスの大きさが低く、分圧状態はジャンパ抵抗により支配的に決められる。実施の形態1にかかるスイッチ回路、各段のジャンパ抵抗は同一の値を使用しているので、低周波では均一に分圧される。
相対電圧の不均一の程度は、直列接続されるトランジスタの個数nが増すにつれ大きくなり、個数nが減るにつれ小さくなる。また、オフ容量Coffに対するソースドレイン端に付く寄生容量が相対的に大きくなるほど、不均一の程度が増す。
実施の形態1にかかるスイッチ回路では、図10に示した特性を考慮して、トランジスタの両端に印加される電圧に応じて、ゲート長Lgを変化させ、トランジスタのブレークダウンを回避しながら、スイッチ回路としての特性を向上させる。そこで、ブレークダウン電圧のゲート長依存性について説明する。
まず、トランジスタのブレークダウン電圧の定義について説明する。実施の形態1にかかるスイッチ回路のブレークダウン電圧は、交流電圧に対するものであり、直流電圧に対するブレークダウン電圧とは異なる。そこで、トランジスタの交流電圧に対する動作と、直流電圧に対する動作との違いについて説明する。
そこで、図11に実施の形態1にかかるスイッチ回路のトランジスタの耐圧評価条件を説明する図を示す。図11の上段に示した条件が直流電圧に対するトランジスタ耐圧評価条件である。また、図11の下段に示した条件が交流電圧に対するトランジスタ耐圧評価条件である。以下の説明では、トランジスタの閾値電圧をVtと称す。
図11の上段に示すように、直流電圧に対するトランジスタの耐圧評価条件の場合、一例としてソース端子を基準となる0Vとし、ゲート端子及びバックゲート端子に0Vのバイアスを与えて、トランジスタを遮断状態とする。このとき、トランジスタに直流電圧Vdsを印加した場合、チャネルのオフ具合を示す指標であるVgs−Vtは、−Vtとなる。従って、一般的な傾向として、閾値電圧Vtを大きくするほど、チャネルはより深い遮断状態となり、トランジスタの耐圧は向上する。
このトランジスタの耐圧の向上について補足する。閾値電圧Vtは典型的には数百mV程度である。この閾値電圧Vtは、デバイス設計により数百mVのオーダーで変化させることができる。すなわち、閾値電圧Vtの値は、デバイス設計により数十%以上のオーダーで変化させることができる。例えば、閾値電圧Vtが400mVのデバイスと閾値電圧Vtが600mVのデバイスがあった場合、ゲートソース間電圧Vgsが0Vの状態におけるチャネルのオフ具合を示す指標Vgs−Vtの値は、前者は−400mV、後者は−600mVであり、前者に対して後者の数値が1.5倍大きい。このため耐圧は、閾値電圧Vtが大きい後者の方が優位になる。
続いて、図11の下段の交流電圧に対する評価条件を説明する。一例として、交流電圧を印加する場合、トランジスタを遮断状態とするために、ソースを接地(0V)し、ゲート端子とバックゲート端子にバイアス電圧として−3.0V程度の電圧を与えた場合を説明する。ゲート端子とバックゲート端子に与えるバイアス電圧は、RFチョークのための高抵抗を介して供給されている。そのため、ソースゲート間、ドレインゲート間の容量の作用により、ソースドレイン間の瞬時電圧がVdsとなったときには、ゲート電位はVds/2[V]だけ元のバイアス条件からずれる。即ち、ゲート端子の瞬時電圧は、−3+Vds/2[V]となる。バックゲート電圧についても同様に−3+Vds/2[V]となる。トランジスタをスイッチ回路に用いる場合の耐圧は、図11の下段に示すバイアス条件で、印加電圧Vdsを上昇させてゆくことにより求まる。
具体例として、トランジスタをスイッチ回路に用いる場合の耐圧が3Vであったとする。このときの各端子の電位は、ドレイン端子が3V、ゲート端子が−3+3/2=−1.5[V]、バックゲート端子が−3+3/2=−1.5[V]となる。この状態でのチャネルのオフ具合を示す指標であるVgs−Vtは、−1.5V−Vt[V]となる。ここで、閾値電圧Vtが400mVのデバイスと閾値電圧Vtが600mVのデバイスについて考える。前者ではVgs−Vt=−1.5−0.4=−1.9[V]、後者ではVgs−Vt=−1.5−0.6=−2.1[V]となる。両者の差は、10%程度と小さくなる。このため閾値電圧Vtが耐圧に及ぼす影響も、トランジスタに直流電圧を印加した図11の上段の例に比べると数分の一に小さくなる。それどころか、閾値電圧Vtを大きくすることで耐圧が劣化することもごく普通に生じる。
一例として、チャネル不純物濃度を高くして閾値電圧Vtを高くするケースを考える。この場合、ソースドレイン間に耐圧近傍の電圧が掛かった際に、ドレイン近傍でインパクトイオン化により発生するホールが、チャネルの中性領域に蓄積しやすくなる。これは、トランジスタに構造上形成される寄生NPNバイポーラトランジスタがオンしやすくなることを意味する。即ち、耐圧面ではむしろ不利に働く。
この様に、交流信号を伝達するスイッチ回路をトランジスタにより構成する場合の耐圧は図11の下段に示したようなバイアス条件を念頭に置いて考えるべきである。具体的な耐圧の制御要素としては、ゲート長、チャネル不純物濃度、ソース、チャネル、ドレインの不純物プロファイル、などが考えられる。そこで、実施の形態1にかかるスイッチ回路では、ゲート長によりトランジスタの耐圧を制御する。
そこで、図12に実施の形態1にかかるスイッチ回路の各トランジスタの耐圧のゲート長依存性を示すグラフを示す。このブレークダウン電圧は、図11の下段の評価条件で測定したものである。図12に示すように、トランジスタのブレークダウン電圧は、ある一定の範囲において、ゲート長Lgに対して単調増加する。この図12に示すグラフから、ゲート長とブレークダウン電圧との間に一定の関数を導き出すことができる。なお、バイアス条件が異なれば、ゲート長Lgに対する依存性が異なる。例えば、単調増加だったものが、変曲点を持つような場合がある。
実施の形態1にかかるスイッチ回路では、図12に示したゲート長依存性に着目して、トランジスタ毎に耐圧を設定する。より具体的には、実施の形態1にかかるスイッチ回路では、図10のグラフで判明したトランジスタの両端に印加される電圧を満たすブレークダウン電圧をトランジスタ毎に設定する。
そこで、実施の形態1にかかるスイッチ回路のトランジスタの相対電圧と耐圧との関係を示すテーブルを図13に示す。図13に示すテーブルは、トランジスタの相対電圧を示す行に、直列に接続される複数のトランジスタに印加される電圧を、各トランジスタに印加される電圧のうち最も大きな電圧を1.00とする規格化した相対電圧をトランジスタ毎に示した。具体的には、図10において、本スイッチ回路が使用される所定の周波数帯域における各段の相対値を抜き出し、最大値(この場合10段目)を1.00とし再度規格化した。また、図13に示すテーブルでは、ゲート長Lgの列にトランジスタが取り得るゲート長を示し、耐圧の列にトランジスタの耐圧をトランジスタの耐圧の最大値を1.00とする規格化した値で示した。具体的には、図12のゲート長Lgに対するトランジスタの耐圧の値を0.02μmステップで抜き出し、最大値(この場合0.32μm)を1.00と再度規格化した。
そして、図13に示したテーブルでは、ゲート長Lgに対応する耐圧からトランジスタに印加される相対電圧を引くことで算出される余裕度をトランジスタ毎の相対電圧の列とゲート長Lgの行との交点に示した。ゲート長Lgが0.32μmと最上段(10段目)の交差点は、それぞれ相対値が1.00なので差分は正確に0になる。差分が0となるトランジスタの耐圧と各段の相対電圧の関係を基準にすると、差分が正の値となるテーブルの左下部分では、電圧負荷に対しトランジスタの耐圧に余裕があることを示す。またその値が大きいほど耐圧に余裕があることを意味する。一方、右上部分が負の値となる部分は逆に余裕がないことを意味する。
ここで、全てのトランジスタのゲート長を同一と設定する場合には、最も余裕度の小さなトランジスタによりスイッチ回路としての耐圧が決まる。ゲート長をこのような設定とした場合、上段に配置されるトランジスタに対し、下段に配置されるトランジスタの余裕度が大きく、スイッチ回路全体のゲート長が無駄に大きくなり、挿入損失の劣化等の問題が生じる。より具体的に、全段数においてゲート長Lgを0.32μmと設定した場合、余裕度の最小のトランジスタは10段目となり、一方、下の段数目になるほど余裕度は大きくなる。即ち、余剰があることを示す。
しかし、図13に示すように、実施の形態1にかかるスイッチ回路では、図13中の太枠で囲った余裕度が正の値かつ0に近いゲート長を各トランジスタのゲート長として選択する。具体的には、1段目から5段目は0.20μm、6段目は0.22μm、7、8段目は0.24μm、9段目は0.28μm、10段目は0.32μmを選択する。これにより、実施の形態1にかかるスイッチ回路では、直列接続されるトランジスタのトータルでのゲート長を抑制することができる。一方、この場合のスイッチ回路の余裕度の最小のトランジスタは10段目となり、全てのトランジスタのゲート長を0.32μmと設定した場合と同等の耐入力電力特性を満たすことができる。ここでは、ゲート長Lgに対応する耐圧とトランジスタに印加される相対電圧との差分により余裕度を算出したが、割合(割り算)を計算しデシベル表示することで、余裕度を見積もることも可能である。
また、図10に示したグラフから分かるように、実施の形態1にかかるスイッチ回路では、上段に配置されるトランジスタには、下段に配置されるトランジスタよりも高い電圧が印加される傾向がある。そのため、図13に示すように、実施の形態1にかかるスイッチ回路では、上段に配置されるトランジスタのゲート長Lgは、下段に配置されるトランジスタのゲート長Lgよりも長い傾向がある。
ここで、上記ゲート長の傾向をまとめる。そこで、実施の形態1にかかるスイッチ回路を構成する複数のトランジスタを、略中央に配置されるトランジスタよりも第1のポートP1側に配置される第1のトランジスタ群(例えば、6段目から10段目のトランジスタ)と、略中央に配置されるトランジスタよりも第2のポートP2側に配置される第2のトランジスタ群(例えば、1段目から5段目のトランジスタ)と、に分類する。このような分類をした場合、実施の形態1にかかるスイッチ回路では、第1のトランジスタ群のゲート長Lgの平均値は、第2のトランジスタ群のゲート長Lgの平均値よりも高く設定される。これにより、実施の形態1にかかるスイッチ回路では、第1のトランジスタ群のブレークダウン電圧の平均値は、第2のトランジスタ群のブレークダウン電圧の平均値よりも高く設定される。
また、別の観点では、高電圧が印加される側を上段とした場合、複数のトランジスタに含まれる第1のトランジスタのブレークダウン電圧は、第1のトランジスタの1段下に配置される第2のトランジスタのブレークダウン電圧以上に設定され、かつ、複数のトランジスタのうち最下段に配置されるトランジスタのブレークダウン電圧は、複数のトランジスタのうち最上段に配置されるトランジスタのブレークダウン電圧よりも小さい。また、別の観点では、複数のトランジスタのブレークダウン電圧は、複数のトランジスタに交流電圧を印加したときのトランジスタ毎の電圧負荷に応じて設定される。
実施の形態1にかかるスイッチ回路では、上述したように、トランジスタ毎にブレークダウン電圧を満たす最小のゲート長Lgを選択する。しかし、ゲート長Lgの変更前後で、遮断状態時のゲートソース間のオフ容量Coff等が変化する。そこで、図14に実施の形態1にかかるスイッチ回路のオフ容量Coffのゲート長依存性を示すグラフを示す。図14に示すように、ゲート長Lgが長くなるとオフ容量Coffが減少する傾向にある。
オフ容量Coffが変化した場合、図10に示した各段における電圧の周波数特性に変化が生じ、図13の各ゲート長Lgにおける耐圧と各段の相対電圧との関係が異なる。すなわち、余裕度の数値が変化する。そこで、上述したゲート長Lgの変更を行う場合には、変更後に再度図10のグラフを作成するシミュレーションを実施し、図13における余裕度に問題がないことを確認することが好ましい。そして、再度作成した図13のテーブルにより、余裕度に問題があることは判明した場合は、選択したゲート長Lgを修正することが好ましい。
上記説明より、実施の形態1にかかるスイッチ回路では、第1のポートP1と第2のポートP2の間に直列に接続した複数のトランジスタに設定するブレークダウン電圧を、トランジスタ毎に印加されると想定される電圧に基づき設定する。また、実施の形態1にかかるスイッチ回路では、ブレークダウン電圧をゲート長Lgにより制御する。これにより、実施の形態1にかかるスイッチ回路では、スイッチ回路を構成するトランジスタのゲート長が不要に大きくなることを防止することができる。
このように、スイッチ回路内の直列接続されたトランジスタについて、トータルでのゲート長を短くすることで、実施の形態1にかかるスイッチ回路は、導通状態での抵抗(以下、オン抵抗と称す)を小さくすることができる。そこで、ゲート長とオン抵抗との関係を示すグラフを図15に示す。図15に示すように、トランジスタは、ゲート長が短いほどオン抵抗が小さくなる傾向がある。なお、スイッチ回路のオン抵抗は、主にゲート長に比例するチャネル部分と、ゲート長に比例しない配線の寄生抵抗及びコンタクトの寄生抵抗(切片)に分解できる。高周波信号を扱うスイッチ回路では、オン抵抗を低減させるために、寄生抵抗を十分小さく抑えられるレイアウト或いは断面構造を採用しており、オン抵抗はゲート長に比例するチャネル部分が支配的となる。従って、トータルのゲート長を削減することで同程度のオン抵抗の削減効果が得られる。
このように、スイッチ回路のオン抵抗を小さくすることで、実施の形態1にかかるスイッチ回路は、スイッチ回路を挿入することによって生じる挿入損失を低減することができる。
実施の形態2
実施の形態2では、経路切替回路について、レイアウトや半導体パッケージの影響を考慮した場合について説明する。実施の形態2では、経路切替回路としてSP4T型を例に経路切替回路のレイアウトについて説明する。
そこで、SP4T型の経路切替回路のブロック図を図16に示す。図16に示したSP4T型の経路切替回路は、第1の端子T1がポール端子であり、第2の端子T2〜第5の端子T5がスロー端子となるものである。そのため、SP4T型の経路切替回路は、シリーズ部61とシャント部62との組をポール端子と各スロー端子間それぞれに有する。図16では、組を示す記号として、符号の末尾にa〜dを付した。また、図16に示すように、SP4T型の経路切替回路においても、図4に示したSPDT型の経路切替回路と同様に、制御部60を有する。制御部60は、制御信号の出力数が異なるのみで、基本的機能は制御部40と同じであるため、ここでは説明を省略する。
続いて、図16に示したSP4T型経路切替回路のレイアウトの概略図を図17に示す。図17に示すレイアウトは、半導体パッケージのレイアウトも含まれたものである。図17に示す例では、半導体パッケージとしてBGA(Ball Grid Array)を採用している。図17に示すように、実施の形態2にかかるSP4T型経路切替回路は、図面上で左右が対称になるようなレイアウトとなるように形成される。また、経路切替回路内における各スイッチ回路間は、図16に示したブロック図の接続に従って、配線で接続される。このとき、第1の端子T1と、シリーズ部61a〜61dを接続する配線は、シリーズ部の一部を覆うように形成される。このようなレイアウトとすることで、第1の端子T1と、シリーズ部61a〜61dを接続する配線幅を確保しながら、チップ面積を削減することができる。また、外部との接続を担うBGA端子についても、シリーズ部61a〜61dやシャント部62a〜62dと重ならないようにレイアウト配置することも可能だが、チップ面積削減のために、図17の様に一部が覆うように形成される。
続いて、図17に示すようなレイアウトを採用した場合にスイッチ回路のトランジスタに印加される電圧について説明する。そこで、図17に示したレイアウトを考慮して、図10に示したグラフを作成したときと同じシミュレーションを行った結果得られたグラフを図18に示す。ただし、シリーズ部とシャント部でレイアウト形状や、配線やBGAとの重なり方が異なるので、ここではシリーズ部でのシミュレーション結果を示し、シャント部については省略する。
図18に示したシミュレーション結果は、図10に示したシミュレーション結果とは異なる。最も第1のポートP1に近い10段目のトランジスタと、9段目のトランジスタと、に印加される電圧が、8段目及び7段目に配置されるトランジスタに印加される電圧よりも小さくなっている。これは、実際のレイアウトの配線及び半導体パッケージに付随する寄生容量の影響である。
このように、実際のレイアウト形状・配置・形状や半導体パッケージの影響を考慮した場合、スイッチ回路単体で得られた各段での相対電圧の結果との間で異なる振る舞いを示す。しかしながら、上述したように、実際のレイアウト形状や実装状態により近い状態で、スイッチ回路を構成するトランジスタに印加される電圧をシミュレーションすることで、実際の製品で生じる問題を回避することができる。また、このような検証を予め行い、それに応じたゲート長を設定しておくことで、トランジスタ以外の任意の寄生成分により引き起こされる不均一な電圧分布に対しても、又は、相対電圧の大きさの順序が変化した場合に対しても、ゲート長の最適化により、トータルのゲート長の削減が可能である。
実施の形態3
実施の形態3では、実施の形態1で説明したスイッチ回路を容量選択スイッチ回路として利用する可変容量について説明する。そこで、実施の形態3にかかる可変容量70のブロック図を図19に示す。
図19に示すように、実施の形態3にかかる可変容量70は、固定容量C1〜C4、容量選択スイッチ回路71〜74、制御部75、静電破壊保護回路76、77を有する。また、可変容量70は、第1の端子RF+と第2の端子RF−を有する。
固定容量C1と容量選択スイッチ回路71は、直列に接続される。固定容量C2と容量選択スイッチ回路72は、直列に接続される。固定容量C3と容量選択スイッチ回路73は、直列に接続される。固定容量C4と容量選択スイッチ回路74は、直列に接続される。可変容量70では、直列に接続された固定容量と容量選択スイッチ回路との組を単位容量とする。図19で示す例では、4つの単位容量が第1の端子RF+と第2の端子RF−との間に並列に接続される。
また、第1の端子RF+と接地端子との間には静電破壊保護回路76が接続される。第2の端子RF−と接地端子との間には静電破壊保護回路77が接続される。制御部75は、制御信号の制御方法を可変容量70に対応させたものであり実施の形態1にかかる制御部40と実施的な機能は同じであるため、ここでは説明を省略する。
実施の形態3にかかる可変容量70は、制御部75が出力する制御信号CNT11〜CNT14により、容量選択スイッチ回路71〜74の導通状態を制御することで、固定容量を有効とするか無効とするかを切り替える。そして、可変容量70は、固定容量C1〜C4の組み合わせを変化させることにより全体の容量値を変化させるものである。
ここで、可変容量70では、固定容量C1〜C4の容量値の目安として、C4=2×C3=4×C2=8×C1となるように設定する。これにより、可変容量70では、4種類の固定容量で16通りの容量値の組み合わせが可能になる。
この可変容量70は、例えば、アンテナでのインピーダンス可変回路として適用することで、インピーダンスを調整し、広い周波数帯域でのインピーダンス整合を実現することができる。そこで、可変容量70を適用したインピーダンス可変回路の一例を図20に示す。
図20に示すインピーダンス可変回路80は、可変容量81、82、インダクタL1、L2を有する。インピーダンス可変回路80は、第1の端子T1と第2の端子T2との間に可変容量81を接続する。第1の端子T1と接地端子との間には可変容量82とインダクタL2とが並列に接続される。また、第2の端子T2と接地端子との間には、インダクタL1が接続される。つまり、インピーダンス可変回路80では、可変容量81を直列容量として利用し、可変容量82を並列容量として利用する。ここで、インピーダンス可変回路80では、可変容量81、82として可変容量70を利用する。これにより、インピーダンス可変回路80は、インダクタL1、L2の固定値と可変容量81、82の可変容量値に応じてインピーダンスを可変させることができる。
図20に示したインピーダンス可変回路80は、例えば、携帯端末のアンテナの直下に配置される。そして、第1の端子T1にアンテナが接続され、第2の端子に経路切替回路等が接続される。このような構成で可変容量70が適用される場合、特に接地端子に並列接続される可変容量82での耐圧が問題となる。一方、第1の端子T1と第2の端子T2との間に直列に接続された可変容量81の耐圧に関しては、第1の端子T1及び第2の端子T2の外部のインピーダンスに依存するものの、可変容量82と比べて問題とはなりにくい。
そこで、並列容量として利用される可変容量82の内に設けられるスイッチ回路が遮断状態である場合のトランジスタ間の相対電圧の分布を示すグラフを図21に示す。図21に示すグラフは、10段のトランジスタに加えて11段目に固定容量を1つ加えた回路で図10と同様のシミュレーションにより得られたものである。
図21に示すように、可変容量70では、固定容量に最大の電圧負荷が加わり、それ以降は固定容量側のトランジスタから順に印加電圧が大きくなる。なお、トランジスタ間で分圧される相対電圧の関係は、固定容量値とトランジスタが遮断状態であるときのオフ容量Coffとの相対的な関係により変化する。具体的には、オフ容量Coffに対して固定容量の容量値が大きくなると、固定容量の負荷は軽くなり、各トランジスタで分圧される電圧が増加する。
固定容量は、例えば、MIM(Metal-Insulator-Metal)容量により形成されることから、耐圧はトランジスタより十分高く、図19に示した可変容量70の場合の耐入力電力特性は、各トランジスタに印加される電圧とトランジスタのブレークダウン電圧の関係で決定される。
上記説明より、実施の形態1にかかるスイッチ回路は、実施の形態3にかかる可変容量70のような用途に適用しても、各トランジスタに印加される電圧に応じてトランジスタのゲート長を設定することで、必要なブレークダウン電圧を維持しながら、トータルのゲート長を削減することが可能である。また、実施の形態1にかかるスイッチ回路を可変容量に適用した場合、トータルのゲート長を削減することによりオン抵抗を削減することが可能なため、Q値の向上を図ることができる。特に、可変容量の場合、経路切替回路で要求される特性に加えて、高いQ値を要求されることから、効果は大きい。
実施の形態4
実施の形態4では、トランジスタのブレークダウン電圧の制御方法の別の形態について説明する。具体的には、実施の形態4では、実施の形態1で説明したゲート長によるブレークダウン電圧の制御方法に加えて、バイアス電圧の制御によるブレークダウン電圧の制御を行う。
そこで、スイッチ回路のトランジスタのブレークダウン電圧と、トランジスタが遮断状態のときに与えるゲート電圧Vg及びバックゲート電圧Vbとの関係を示すグラフを図22に示す。図22は、ゲート電圧Vg及びバックゲート電圧Vbとして与える電圧として、−Vbias1>−Vbias2の関係を有する2つの電圧を用い、バイアス電圧の違いによるトランジスタのブレークダウン電圧のゲート長依存性の違いを示すものである
図22に示すように、ゲート電圧Vg及びバックゲート電圧Vbとして−Vbias1(例えば、−3.0V程度の電圧)を与えた場合、トランジスタのブレークダウン電圧はある一定の範囲にて単調増加となる。一方、ゲート電圧Vg及びバックゲート電圧Vbとして−Vbias2(例えば、−3.3V程度の電圧)を与えた場合、トランジスタのブレークダウン電圧は単調増加とはならず、あるゲート長で減少に転じる。そのため、ブレークダウン電圧を示す2つの曲線は、図22に示す交点を持つ。
そこで、実施の形態4では、交点よりもゲート長が小さなトランジスタについては、遮断状態で与えるゲート電圧Vg及びバックゲート電圧Vbとして−Vbias2を与える。一方、交点よりもゲート長が大きなトランジスタについては、遮断状態で与えるゲート電圧Vg及びバックゲート電圧Vbとして−Vbias1を与える。
上述のように、ゲート長によるブレークダウン電圧の制御に加えて、バイアス電圧によるブレークダウン電圧の制御を行うことで、実施の形態1と同等の耐入力電力特性を維持しながら、トランジスタのゲート長を更に小さくすることができる。これにより、実施の形態4にかかるブレークダウン電圧の制御方法を適用したスイッチ回路は、よりオン抵抗を小さくし、挿入損失を削減することができる。
実施の形態5
実施の形態5では、トランジスタのゲート長の設定方法の別の形態について説明する。具体的には、実施の形態5では、トランジスタの高調波歪特性の劣化度合いに応じてゲート長を設定する。
そこで、スイッチ回路のトランジスタに対する入力電力と、高調波歪及び挿入損失と、の関係を示すグラフを図23に示す。トランジスタは、遮断状態において、ソース及びドレインの一端に高周波信号を印加すると、オフ容量Coffと配線等の実効抵抗により、一定の挿入損失を生じさせる。入力信号の電力を大きくして、入力信号の電力がソースドレイン間のブレークダウン電圧を超えると、この挿入損失は急激に劣化する(図23のA点)。
一方、トランジスタが発生させる高調波歪に関しては、入力信号の電力に対して、2次の高調波成分であれば傾き2、3次の高調波成分で傾き3を持った依存性を有する。高調波歪は、入力信号の電力が一定の値を超えると急激に劣化する(図23のB点)。この高調波歪の劣化点は、ソースドレイン間の電圧に依存するだけでなく、トランジスタのバッグゲートを介して流れる電流等のその他の要因にも依存する。また高調波歪の劣化点は、一般的に挿入損失の劣化点と同じ入力信号の電力か、それより低い入力信号の電力にて発生する。
ここで、スイッチ回路のトランジスタのブレイクタウン耐圧と、高調波歪と、の関係を示すグラフを図24に示す。図24に示したグラフでは、ゲート長に対する高調波歪の劣化点をトレースした曲線と、ゲート長に対すブレークダウン電圧をトレースした曲線とを示した。図24に示すように、高調波歪の劣化点はトランジスタのブレークダウン電圧より低い。すなわち、トランジスタがブレークダウンを引き起こす電圧より低い電圧点で、トランジスタの歪の劣化がはじまる。また、その差は一般にゲート長が短くなるほど大きくなる傾向を示す。
そこで、実施の形態5では、この高調波歪の劣化点に基づきトランジスタのゲート長を決定する。この高調波歪の劣化点は、複数のゲート長のトランジスタに対し、トランジスタに交流信号を入力し、その入力電力をスイープし高調波歪を測定することにより導き出すことができる。
上記説明より、実施の形態5では、各トランジスタのゲート長を、高調波歪の劣化点に基づき設定する。実際の高周波スイッチ製品では、高い入力信号の電力において挿入損失や高調波歪、その他の諸特性が同時に要求される。そのため、実施の形態5にかかるゲート長の設定方法を採用する。つまり、実施の形態5にかかるゲート長の設定方法では、入力信号の電力に対してより感度の高い(先に劣化する)高調波歪を基準としてゲート長を設定する。これにより、より実際の製品で要求される条件に近づけることが可能である。
その他の実施の形態
上記実施の形態では、トランジスタの変更パラメータとしてゲート長を用いた例について説明した。しかし、ブレークダウン電圧及び高調波歪等の特性に影響するパラメータは、その他のプロセスパラメータにより設定することもできる。例えば、ソースゲート間の物理的距離、ゲートドレイン間の物理的距離、ソースドレイン間の物理的距離及びゲート酸化膜の厚さ等素子パラメータは、ブレークダウン電圧に影響を与えるものである。そのため、上記素子パラメータを、ブレークダウン電圧に応じて変化させることもできる。
また、直列に接続されたトランジスタの間で生じる印加電圧の不均一は、ソースドレイン間に補正用の容量を挿入することで緩和することも可能である。従って、補正用の容量と上記実施の形態で説明したゲート長の調整による組合せも考えられる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
例えば、上記の実施の形態に係る半導体装置では、半導体基板、半導体層、拡散層(拡散領域)などの導電型(p型もしくはn型)を反転させた構成としてもよい。そのため、n型、及びp型の一方の導電型を第1の導電型とし、他方の導電型を第2の導電型とした場合、第1の導電型をp型、第2の導電型をn型とすることもできるし、反対に第1の導電型をn型、第2の導電型をp型とすることもできる。
10 通信装置
11 アンテナ
12 フロントエンドモジュール
13 復変調装置
14 ベースバンド装置
20 デュプレクサ
21、25、26 経路切替回路
22、23 ローノイズアンプ
24 送信信号増幅部
30、33 パワーアンプ
31、32、34、35 フィルタ回路
40、60、75 制御部
41a、41b、61a〜61d シリーズ部
42a、42b、62a〜62d シャント部
50 Si基板
51 BOX層
52 N型半導体領域
53 P型半導体領域
54 ゲート酸化膜
55 ゲート電極
56 サイドウォール
57 コンタクト
58 ソースドレイン配線
59 ビア
70 可変容量
71〜74 容量選択スイッチ回路
76、77 静電破壊保護回路
80 インピーダンス可変回路
81、82 可変容量
Rb バックゲート抵抗
Rg ゲート抵抗
Rj ジャンパ抵抗
G ゲート電極
Wg ゲート配線
Wsd ソースドレイン配線
Wb バックゲート配線

Claims (13)

  1. 第1のポートと第2のポートとの間に直列に接続された複数のトランジスタと、
    前記複数のトランジスタのうち対応するトランジスタのゲートに接続される複数のゲート抵抗と、を有し、
    前記複数のトランジスタは、異なるパラメータに基づき異なるブレークダウン電圧を有する半導体装置。
  2. 前記複数のトランジスタは、導通した状態で前記第1のポートから前記第2のポートに交流信号を伝達する請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記複数のトランジスタを、略中央に配置されるトランジスタよりも前記第1のポート側に配置される第1のトランジスタ群と、略中央に配置されるトランジスタよりも前記第2のポート側に配置される第2のトランジスタ群と、に分類した場合、前記第1のトランジスタ群の前記ブレークダウン電圧の平均値は、前記第2のトランジスタ群のブレークダウン電圧の平均値よりも高く設定される請求項1に記載の半導体装置。
  4. 高電圧が印加される側を上段とした場合、前記複数のトランジスタに含まれる第1のトランジスタのブレークダウン電圧は、前記第1のトランジスタの1段下の第2のトランジスタのブレークダウン電圧以上の耐圧を有し、かつ、前記複数のトランジスタのうち最下段に配置されるトランジスタのブレークダウン電圧は、前記複数のトランジスタのうち最上段に配置されるトランジスタのブレークダウン電圧よりも小さい請求項1に記載の半導体装置。
  5. 前記複数のトランジスタの前記ブレークダウン電圧は、前記複数のトランジスタに交流電圧を印加したときの前記トランジスタ毎の電圧負荷に応じて設定される請求項1に記載の半導体装置。
  6. 前記複数のトランジスタは、ゲート長の長さ、ソースゲート間の物理的距離、ゲートドレイン間の物理的距離、ソースドレイン間の物理的距離及びゲート酸化膜の厚さ、の少なくとも1つの素子パラメータが、前記ブレークダウン電圧に応じて異なる請求項1に記載の半導体装置。
  7. 前記複数のトランジスタは、高い前記ブレークダウン電圧が設定されたトランジスタほど長いゲート長のゲート電極を有する請求項1に記載の半導体装置。
  8. 前記複数のトランジスタは、遮断状態のときに与えられるゲート電圧及びバックゲート電圧の大小により異なる前記ブレークダウン電圧が設定される請求項1に記載の半導体装置。
  9. 前記複数のトランジスタのゲートには、共通ラインを介して制御信号が与えられ、前記複数のトランジスタは、1つのスイッチ回路として機能する請求項1に記載の半導体装置。
  10. 第1の端子と第2の端子の間に接続される第1のシリーズ部と、
    前記第2の端子と接地端子との間に接続され、前記第1のシリーズ部と排他的に導通状態となる第1のシャント部と、
    前記第1の端子と第3の端子の間に接続され、前記第1のシリーズ部と排他的に導通状態となる第2のシリーズ部と、
    前記第3の端子と接地端子との間に接続され、前記第2のシリーズ部と排他的に導通状態となる第2のシャント部と、を備え、
    前記第1のシリーズ部、前記第2のシリーズ部、前記第1のシャント部及び前記第2のシャント部として前記スイッチ回路を用いる請求項7に記載の半導体装置。
  11. 前記第1の端子の外部には送受信信号を送受信するアンテナが接続され、
    前記第1の端子から前記第1のシリーズ部及び前記第2のシリーズ部に前記送受信信号を伝達する配線は、前記第1のシリーズ部及び前記第2のシリーズ部の一部を覆うように配置される請求項8に記載の半導体装置。
  12. 容量値が予め決定された固定容量と、前記固定容量と直列に接続され、前記固定容量の有効と無効とを切り替える容量選択スイッチ回路と、をそれぞれ有する複数の単位容量が、第1の端子と第2の端子との間に並列に接続される可変容量を有し、
    前記容量選択スイッチ回路として前記スイッチ回路を用いる請求項7に記載の半導体装置。
  13. 前記可変容量により、インピーダンス特性が切り替えられるインピーダンス可変回路を含む請求項10に記載の半導体装置。
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