JP2015113694A - 固体音低減性能に優れたコンクリート製部材 - Google Patents
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Abstract
Description
その固体音の低減を図る手段として、コンクリート製建設部材自体の質量を増やしたり、防振材を使用したりする、等の手段で振動を抑える方法があるが、建設物全体の質量が増したり、コスト高や工期が延長したり等の問題が生じる。
他方、従来から、所定位置に中空の円筒体や、発泡スチロール等のコンクリートより軽量な立方体を埋設した中空スラブ(ボイドスラブ)工法が知られている。この中空部を利用して新たな機能を付加するという着想が以前からあった。
また、他の着想として、中空部に発泡樹脂体を充填したプレキャスト板が提案されている。この発泡樹脂体を充填することにより、ほとんどプレキャスト板の質量を増加させず、床衝撃音の遮断性能を高めることができるとしている(特許文献3要約、図2参照)。
また、砂等の防音材をコンクリート板内に充填し、その防音材でもって振動を消滅(減衰)する技術も提案されている(特許文献1要約、図1〜図13参照)。
また、特許文献3のプレキャスト板は床衝撃音の遮断性能を高めているが、これは主に軽量床衝撃音に効果があり、重量床衝撃音で重要となる63Hz、125Hz帯域といった、比較的低い周波数帯域における低減効果が見られない。
特許文献4の技術は、重量が軽く剛性の低いセメント板を対象とした技術であり、これをコンクリート板に適用しても効果があるか不明である。また、天井下地材にダイナミックダンパーを分散配置しており、砂状無機材の効果は不明である。
このように、防振材を粒状体としたので、コンクリート製部材であっても、その粒状体が振動によって相互に関わり合って摩擦熱による高い振動低減作用を発揮する。
また、各防振材充填部は、中空部内に分断して形成したり、分散して形成したりして、その防振材充填部間が平面的に分断又は分散して配置することができる。
また、この質量比は、2〜14%、さらに3〜14%が好ましく、7〜11%がより好ましい。質量比3%以上とすれば、さらに、振動低減性能が向上し、同14%以下とすれば、特に低い周波数帯域の振動低減性能が向上する。また、質量比7%以上、同11%以下とすれば、その振動低減性能及び低い周波数帯域の振動低減性能がさらに向上する。
「断面方向充填パターン」は、例えば、中空部の両端をキャップで閉塞し、そのキャップ間(中空部全長)に防振材を充填し、その充填量を調整することによってその充填層の上に所要大きさの空隙部を形成することとなる。
なお、「断面を塞ぐ」とは、防振材充填部が中空部の上端に達するまで充填されていることを言い、気密又は水密であることを要しない。
この埋込材は、型枠内に均等に並べて配置して固定する。また、単に、防振材を充填する場合は、埋込材の中空部長さ方向を所定間隔で発泡スチロール等によって隔壁を形成し、その隔壁間に防振材を充填するようにする。このとき、防振材と隔壁は、埋込材の一端から他端に向かって順々に隔壁、防振材を装填する等の手段を採用する。
また、複数の中空の埋込材を建設部材に埋設するとき、隣接する埋込材同士が接するように配置して、防振材充填部が分断されるようにしてもよいし、各埋込材間に隙間を設けて配置して、防振材充填部が分散されるようにしてもよい(図8(a)、(b)参照)。
このように、複数の埋込材を埋設することにより、1つあたりの埋込材を軽量化し、運搬や施工を容易にできる。また、防振材が振動で移動しても、1つの埋込材内の移動で収まり、常に所定の振動低減性能を発揮できる。
このボイドスラブPは、工場内、又は建設現場で型枠を組み、上端筋、下端筋等を配筋するとともに、前記中空管Bを配置した後、型枠内にコンクリートCを打設し、コンクリート硬化後に型枠を取り外して製作する。
(1)試験用躯体
図1に示したコンクリート板Pにおいて、高さh:250mm、長さL:6,000mm、幅W:1,200mmのコンクリート躯体を使用した(図3(a)参照)。この躯体Pには、長さ:1,200mm、断面短径:125×同長径:225mmの断面楕円形の鋼管B(図3(a)参照、その図中の数字の単位はmm)が長さ方向335mmピッチtで埋設してあり、この鋼管でもって中空部Bを形成している。この中空部を有したコンクリート板の曲げ剛性は3.3×107Nm2、面密度は440kg/m2である。
「実施例1〜3」
図1、図3のコンクリート躯体Pにおいて、幅が約200mmの砂を充填した袋を、表1で示す各実施例の質量比率に応じて各中空部Bに装填して、粒状体部(防振材充填部)Fを形成した。粒状体部Fは、建設部材に均等に配置した(図2(a)〜同(c)参照)。砂は中目砂(粒径1.0〜2.5mm、単位容積質量1.6kg/L)を使用した。
「実施例4〜7」
同コンクリート躯体Pにおいて、各中空部(鋼管)Bとほぼ同一長さの袋Fに砂を充填し、この袋Fを各中空部Bに挿入して、中空部全長(全体)を粒状体部(防振材充填部)Fとした(図1鎖線参照)。このとき、砂充填量が所定の比率になるよう、袋の高さを調節し、各粒状体部Fの上方に所要大きさの空隙部aを有するものとした(図2(d)参照)。
「比較例1」
コンクリート躯体Pにおいて、中空部Bに砂を充填せず、粒状体部Fを形成しなかった。すなわち、コンクリート躯体Pそのものとした。
各実施例、比較例において、図3(b)に示すように、そのコンクリート躯体Pの長手両端部及び中央部を防振材bで防振支持し、その各実施例、比較例の躯体PをハンマーHで加振し、試験体全体に設定した各計測点への伝達のインピーダンスを平均して、振動低減量を算出した。加振点は長手側端部の中央、計測点は、平面視500mmピッチ格子の各交点として、加振時の各計測点における振動のし難さ(伝達のインピーダンス:dB)を計測した。
全計測点の伝達のインピーダンスを平均した値を比較した。比較例1の振動を基準量(dB=0)としたときの、各実施例の振動低減効果(dB)を下記表1に示す。なお、評価基準は以下のとおり。
◎◎:63Hzの帯域で低減効果が約10dB以上
◎:63Hzの帯域で低減効果が9dB以下、63Hz、125Hz、250Hzのいずれかの帯域(オクターブ)で低減効果が5dB以上
○:63Hz、125Hz、250Hzのいずれかの帯域(オクターブ)で低減効果が3dB以上で、いずれの帯域でも5dB以下
×:63Hz、125Hz、250Hzのいずれの帯域(オクターブ)でも低減効果が3dB未満
また、各実施例1〜7から、断面方向充填パターンと平面方向充填パターンを適宜に組み合わせれば、広い周波数範囲で有効な振動低減効果が得られることが理解できる。
埋込材として、所定長さの鋼管に防振材を充填し、両端を発泡スチロール製のキャップで閉塞したものが使用できる。この埋込材を長手方向に連続して配置すれば、必要な長さの埋込材を得ることができる。また、埋込材を長手方向に若干間隔をあけて断続的に配置して、各埋込材の間にコンクリート製の隔壁が形成されるようにしてもよい。この他、コンクリートより軽量な発泡スチロール製埋込材を併用してもよい。
また、防振材が湿気や雨等の水分を含まないよう、袋Fには通水性の無い素材を使用することが好ましく、袋Fは、2枚の四角片を重ねてその周囲を縫合したり、矩形体の六面をそれぞれ片で構成し、その各片の周囲を縫合したりして製作し、その断面形状は、円形(図6(a)参照)、楕円形(同図(b)参照)、矩形(同図(c)参照)及びそれらに属しない不整形なもの等を使用する。
さらに、各実施形態において、砂質量の比率調整のため、砂を充填しない鋼管や軽量な発泡スチロール製の埋込材を併用して埋設してもよい。
B 中空埋込材(鋼管、容器)
C コンクリート
F 防振材充填部(砂入り袋)
a 空隙部
Claims (8)
- 内部に複数の中空部を有し、その中空部の一部又は全部に防振材充填部が形成され 、その防振材が粒状体であるコンクリート製部材。
- 前記防振材充填部間が平面的に分断又は分散して配置されている請求項1に記載のコンクリート製部材。
- 前記防振材充填部の質量が、防振材を除く部材全体質量の2〜35%である請求項1又は2に記載のコンクリート製部材。
- 前記防振材充填部の質量が、防振材を除く部材全体質量の2〜14%である請求項1又は2に記載のコンクリート製部材。
- 前記防振材充填部の質量が、防振材を除く部材全体質量の7〜11%である請求項1又は2に記載のコンクリート製部材。
- 前記中空部の下部に防振材充填部が形成され、上部に空隙部が形成された請求項1乃至5の何れか1つに記載のコンクリート製部材。
- 前記防振材充填部が、前記中空部の一部の縦断面を塞ぐように形成された請求項1乃至6の何れか1つに記載のコンクリート製部材。
- 前記中空部が中空の埋込材を埋設して形成されている請求項1乃至7の何れか1つに記載のコンクリート製部材 。
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