以下、本発明に係るワーク位置決め装置について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るワーク位置決め装置10Aについて図1〜図5を参照しながら説明する。本実施形態に係るワーク位置決め装置10Aは、例えば、液晶ディスプレイの製造工程等のクリーンルームのような清浄性が要求される環境において使用されるものであって、ローラコンベア等の搬送装置で搬送されたワークWを所定位置に位置決めして固定する。そのため、このワーク位置決め装置10Aは、ローラコンベアを構成する隣接するローラ間に配設された昇降装置に取り付けられる。
ただし、ワーク位置決め装置10Aは、昇降装置に取り付けられて搬送装置で使用されるものに限定されない。すなわち、例えば、ワーク位置決め装置10Aは、ロボットで移送されたワークWを所定位置に位置決めして固定した後、ロボット等で次工程に移送するために使用されるものであってもよい。
図1〜図4に示すように、ワーク位置決め装置10Aは、ベース部12と、ベース部12に対してスライド可能に設けられた中間部14と、中間部14に対してスライド可能に設けられてワークW(図5参照)が載置されるテーブル部16と、テーブル部16をベース部12に対してロックする押さえ部18とを備える。
ベース部12は、平面視で略四角形状の板状部材であるベースフランジ20と、ベースフランジ20に設けられたロックシリンダ(シリンダ部)22と、ロックシリンダ22に設けられた円環状の第1ボール当て板24とを有する。
ベースフランジ20は、複数の固定孔26を挿通する図示しないボルトによって前記昇降装置に固定される。ベースフランジ20には、ロックシリンダ22を取り付けるためのボルト28が挿通する複数(図4では4つ)の挿通孔30が形成されている。
ベースフランジ20の一方の面(ロックシリンダ22を指向する面)の略中央には、円形凹部32が形成されている。円形凹部32を構成する内周面の一端部には、ガスケット34が装着される環状溝36が形成されている。
ロックシリンダ22は、円板状に形成されたロックシリンダ本体38と、ロックシリンダ本体38の略中央からベースフランジ20側に突出した突出部40とを有している。突出部40は、円形凹部32に嵌入(挿入)される。突出部40の内側には凹部42が形成されており、この凹部42の底面にはロックシリンダ本体38の一方の面に開口するロッド孔44が形成されている。ベースフランジ20の円形凹部32を構成する壁面とロックシリンダ22の凹部42を構成する壁面とでシリンダ室46が形成される。
このシリンダ室46には、ベースフランジ20に形成されて圧縮流体を供給・排出するための第1ポート48と、ロックシリンダ22に形成されて圧縮流体を供給・排出するための第2ポート50とが連通している。
シリンダ室46には、ベースフランジ20の厚み方向に沿って摺動可能(変位可能)にピストン52が配設されている。ピストン52の外周面に形成された環状溝54には、ピストンパッキン56が装着され、ピストン52の中央部に形成された貫通孔58には、ピストンロッド(軸部)60が挿通している。
ピストン52は、ピストンロッド60の他端部に形成されたフランジ部62と止め輪64とによってピストンロッド60に対して固定されている。また、ピストンロッド60のうちピストン52の貫通孔58を構成する壁面と対向する面には、ガスケット66が装着される環状溝68が形成されている。ピストンロッド60のうちロッド孔44を構成する壁面と対向する面には、ロッドパッキン70が装着される環状溝72が形成されている。ピストンロッド60の一端面には、押さえ部18の他端部が嵌入する嵌合孔74が形成されている。
また、ロックシリンダ22には、テーブル部16内の塵埃を図示しない塵埃除去装置に導くための吸引ポート76が形成されている。吸引ポート76は、ロックシリンダ22の外周面に開口する横孔78と、ロックシリンダ22の一方の面のうちロッド孔44の近傍に開口する縦孔80とで構成されている。なお、前記塵埃除去装置は、吸引ポンプとしても機能する。
ロックシリンダ22の一方の面には、第1ボール当て板24が配設される環状溝82が形成されている。ロックシリンダ22の一方の面のうち環状溝82よりも内側の部位は、第1ボール当て板24の一方の面25よりも低く形成されるとともに縦孔80が開口している。これにより、ベース部12に対して中間部14がスライドした際に当該中間部14によって縦孔80の開口部が閉塞されることはない。
中間部14は、複数のボール84と、各ボール84が転動可能な状態で配設される複数の保持孔86が形成された円環状のリテーナ88とを有している。各ボール84は金属材料で構成されており、リテーナ88は樹脂材料で構成されている。複数の保持孔86は、周方向に等間隔に位置している。リテーナ88は、各ボール84が第1ボール当て板24の一方の面25に接触するように配設されている。これにより、中間部14は、第1ボール当て板24の一方の面25に対してスライド可能となる。
リテーナ88とピストンロッド60との間には弾性部材90が介設されている。具体的には、リテーナ88の内周面に形成された環状溝とピストンロッド60の外周面に形成された環状溝とに弾性部材90が装着されている。このような環状溝に弾性部材90を装着しておくことで、弾性部材90の位置ずれを抑制できる。
本実施形態では、弾性部材90として渦巻ばねを用いている。このような渦巻ばねを用いると、中間部14が360°いずれの方向にスライドしても当該中間部14を効率的に所定の基準位置(センタリングポジション)に復帰させる(中間部14の中心線をピストンロッド60の軸線上に位置させる)ことができて好適である。また、渦巻ばねであるために、高さ方向の大きさを可及的に小さくすることができる。ただし、弾性部材90は、ベース部12に対してスライドした中間部14を所定の基準位置に復帰させることができるものであれば、その構成および材質を任意に設定することが可能である。つまり、弾性部材90は、円環状のゴム部材であっても構わない。
テーブル部16は、円筒状のカバー部92と、カバー部92に設けられた止め輪94によって支持された円環状の第2ボール当て板(板状部)96と、カバー部92の一端部に設けられたテーブル本体98とを有している。すなわち、テーブル部16には、カバー部92とテーブル本体98とにより押さえ部18が相対変位可能な可動空間Sが形成されている。
カバー部92の他端は、ベース部12の近傍かつリテーナ88の径方向外側に位置している。つまり、カバー部92とベース部12との間には、テーブル部16のスライド動作が干渉されない程度の微小な隙間が形成されている。このように、カバー部92とテーブル本体98とで中間部14および押さえ部18を囲繞しているため、テーブル部16内(可動空間S)で発塵した場合であっても、その塵埃がテーブル部16の外部に流出することが抑制される。
第2ボール当て板96の他方の面97は、第1ボール当て板24の一方の面25に対して略平行に設けられた状態で各ボール84に接触する。これにより、第2ボール当て板96(テーブル部16)が中間部14に対してスライド可能となる。
カバー部92と押さえ部18との間には、偏倚手段としての弾性部材100が介設されている。具体的には、カバー部92の内周面に形成された環状溝と押さえ部18の外周面に形成された環状溝とに弾性部材100が装着されている。このような環状溝に弾性部材100を装着しておくことで、弾性部材100の位置ずれを抑制できる。
本実施形態では、弾性部材100として渦巻ばねを用いている。このような渦巻ばねを用いると、テーブル部16が360°いずれの方向にスライドしても当該テーブル部16を効率的に所定の基準位置(センタリングポジション)に復帰させる(テーブル部16の中心線をピストンロッド60の軸線上に位置させる)ことができ、しかも、可及的に高さ方向の大きさを小さくできて好適である。ただし、弾性部材100は、ベース部12に対してスライドしたテーブル部16を所定の基準位置に復帰させることができるものであれば、その構成および材質を任意に設定することが可能である。つまり、弾性部材100は、円環状のゴム部材であっても構わない。
テーブル本体98は、天板部102と、天板部102の縁部から中間部14側に突出した取付部104とを有している。天板部102の一方の平面には、ワークWが載置される。天板部102の他方の面の略中央には、円形状のセンタリング凹部(凹部)106が形成されている。センタリング凹部106を構成する壁面は、その外縁部から天板部102の中心の底部に向かって徐々に天板部102の一方の面側に傾斜する湾曲面またはテーパ状の平面となっている。取付部104には、テーブル本体98をカバー部92に固定するためのビス108が挿通する複数のビス孔110が形成されている。
押さえ部18は、ピストンロッド60の嵌合孔74に嵌入される支軸112と、支軸112の軸線方向略中央から径方向外方に延出した円環状のロック部114とを含む。支軸112は、ピストンロッド60と同軸に設けられている。ロック部114は、第2ボール当て板96の内径よりも大きい外径を有しており、ロック部114の他方の面が第2ボール当て板96の一方の面99に対して略平行になっている。
支軸112の一端面には、テーブル本体98を基準位置に復帰させるためのセンタリング機構116が配設される配設穴118が形成されている。センタリング機構116は、天板部102の他方の面(内面)を転動するセンタリングボール120と、センタリングボール120を回転自在に支持するボール支持部122と、ボール支持部122を天板部102側に付勢する付勢部材124とを有している。
センタリングボール120は、センタリング凹部106の外径よりも小さい直径を有している。すなわち、センタリングボール120は、テーブル部16が基準位置に復帰した状態で、天板部102に形成されたセンタリング凹部106内に位置することとなる。付勢部材124は、配設穴118を構成する底面とボール支持部122との間に介設されている。本実施形態において、付勢部材124は、圧縮コイルばね(ばね部材)で構成されているが、ゴム等の弾性部材で構成しても構わない。
本実施形態に係るワーク位置決め装置10Aは、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、その作用および効果について説明する。
まず、初期状態において、ワーク位置決め装置10Aは、テーブル部16をアンロック状態にしておく。すなわち、第2ポート50を大気開放した状態で第1ポート48に圧縮流体を供給することにより、ピストン52をシリンダ室46の一端側に配置させてロック部114を第2ボール当て板96から離間させる。このとき、ピストン52は、ロックシリンダ22の凹部42の底面に接触している。また、テーブル部16内の塵埃を吸引ポート76により塵埃除去装置に導き除去する。
そして、ローラコンベアによって搬送されたワークWがワーク位置決め装置10Aの上方に停止すると、昇降装置がワーク位置決め装置10Aを上昇する。これにより、ワークWは、ローラコンベアから離間してテーブル本体98の天板部102に載置されることとなる。
続いて、図5に示すように、図示しないエアシリンダによりワークWを所定方向(図5の右側)に押すことによって、ワークWの位置決めがなされる。このとき、中間部14の複数のボール84が第1ボール当て板24の一方の面25を転動することにより、リテーナ88が弾性部材90を圧縮させながらスライドする。これにより、中間部14がベース部12に対して所定距離だけスライドすることとなる。
また、第2ボール当て板96の他方の面97が複数のボール84を転動することにより、テーブル部16が弾性部材100を圧縮させながらスライドする。これにより、テーブル部16が中間部14に対して所定距離だけスライドすることとなる。なお、このとき、テーブル部16に形成された可動空間Sを押さえ部18が相対変位する。
すなわち、本実施形態では、ベース部12に対する中間部14のスライド量と中間部14に対するテーブル部16のスライド量との合計がベース部12に対するテーブル部16の変位量となる。なお、本実施形態において、ベース部12に対する中間部14のスライド量は、ベース部12に対するテーブル部16のスライド量の略半分となっている。
そして、ワークWが最大位置調整幅だけ変位した場合には、第2ボール当て板96の内周面が支軸112の外周面に当接する。これにより、テーブル部16が中間部14から離脱することが防止される。
ワークWの位置決めが完了すると、第1ポート48を大気開放した状態で第2ポート50に圧縮流体を供給する。そうすると、ピストン52がピストンロッド60の軸線方向に沿ってシリンダ室46の他端側に変位するため、ロック部114が第2ボール当て板96側に変位して第2ボール当て板96の一方の面99に接触して当該第2ボール当て板96を中間部14側に押圧する。これにより、ロック部114と第2ボール当て板96の一方の面99との間に摩擦力が発生するため、テーブル部16がベース部12に対して直接的にロックされ、位置決めされたワークWが固定される。
このように、テーブル部16を構成する第2ボール当て板96をロック部114で中間部14側に押さえ付けているので、テーブル部16のスライド方向に沿ってワークW等に外力が作用した場合であっても、テーブル部16がベース部12に対して変位することを抑制できる。また、リテーナ88の各保持孔86を構成する壁面とボール84との間にクリアランスが形成されていても、テーブル部16をベース部12に対して直接的にロックするので、テーブル部16が中間部14に対してガタツクこともない。
その後、例えば、位置決めされたワークWをロボット等によって所定位置に移送し、ワーク位置決め装置10Aのテーブル部16を基準位置に復帰させる。すなわち、第2ポート50を大気開放した状態で第1ポート48に圧縮流体を供給する。そうすると、ピストン52がピストンロッド60の軸線方向に沿ってシリンダ室46の一端側に変位するため、ロック部114が第2ボール当て板96から離間する。これにより、ロック部114によるテーブル部16のロックが解除されることになる。
テーブル部16のロックが解除されると、中間部14が弾性部材90の復元力によって基準位置に復帰するとともにテーブル部16が弾性部材100の復元力によって基準位置に復帰する。このとき、センタリングボール120がセンタリング凹部106の底部(天板部102の中心)に向かってセンタリング凹部106を構成する壁面を転がるようにテーブル部16が変位するため、テーブル部16は、基準位置に精度よく復帰することとなる。
本実施形態に係るワーク位置決め装置10Aによれば、押さえ部18とテーブル部16との間に弾性部材100を介設するとともに押さえ部18が相対変位可能な可動空間Sをテーブル部16に形成しているので、テーブル部16のスライド方向に沿った外形寸法を大きくすることなく当該テーブル部16の可動スペースを確保することができる。これにより、ケーシングを設ける構成と比較して、ワークWの最大位置調整幅を小さくすることなく、ワーク位置決め装置10Aの小型化を図ることができる。
また、ピストン52を中間部14とは反対側に変位させることにより、第2ボール当て板96の一方の面99にロック部114を押し付けることができる。すなわち、第2ボール当て板96の一方の面99とロック部114との間に生じる摩擦力によって、テーブル部16をベース部12に対して直接的にロックすることができる。これにより、テーブル部16のスライド方向に沿ってワークW等に外力が作用した場合であっても、テーブル部16がベース部12に対して変位することを抑制できる。したがって、ワークWを所定位置に確実に固定することができる。
さらに、テーブル本体98を保持するカバー部92がリテーナ88の径方向外側まで延在しているので、テーブル部16内(可動空間S)で発塵した場合であっても、塵埃がワーク位置決め装置10Aの外部に流出することを抑制できる。よって、清浄性が要求される環境(クリーンルーム等)においてワーク位置決め装置10Aを好適に使用することができる。
本実施形態では、リテーナ88の各保持孔86に転動可能に配設された各ボール84が第1ボール当て板24の一方の面25と第2ボール当て板96の他方の面97とに接触するため、中間部14およびテーブル部16のスライド動作を円滑に行うことができる。この場合、各保持孔86を構成する壁面と各ボール84との間に所定のクリアランスが形成される。しかしながら、テーブル部16をベース部12に対して直接的にロックするので、前記クリアランスに起因するテーブル部16のガタツキを抑制できる。よって、ワークWを所定位置に一層確実に固定することができる。
また、ロックシリンダ22に形成された吸引ポート76を介してテーブル部16内の塵埃を塵埃除去装置に導くことができるので、ワーク位置決め装置10Aの外部に塵埃が流出することを一層抑制できる。
さらに、天板部102の中心をセンタリングボール120に案内するセンタリング凹部106を天板部102の他方の面に形成しているので、テーブル部16のセンタリング精度を高めることができる。
本実施形態では、リテーナ88とピストンロッド60との間に弾性部材90を介設しているので、ベース部12に対してスライドした中間部14を弾性部材90の復元力によって基準位置に確実に復帰させることができる。
また、弾性部材90および弾性部材100の各々を渦巻ばねで構成しているので、スライドした中間部14およびテーブル部16を効率的に基準位置に復帰させることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るワーク位置決め装置10Bについて図6〜図10を参照しながら説明する。なお、本実施形態に係るワーク位置決め装置10Bにおいて、上述したワーク位置決め装置10Aと同一または同様の機能および効果を奏する構成要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。後述する第3実施形態についても同様である。
図6〜図10に示すように、ワーク位置決め装置10Bは、ベース部12に換えてベース部130を備える。ベース部130を構成するベースフランジ132の外周面には、第1ポート48の両側に切欠部134、136が形成されている。
ベース部130を構成するロックシリンダ138の凹部42の底面には、ロッド孔44に連通する円形穴140が形成されている。円形穴140の孔径は、ロッド孔44の孔径よりも大きく形成されている。すなわち、本実施形態では、ベースフランジ132の円形凹部32を構成する壁面、ロックシリンダ138の凹部42を構成する壁面および円形穴140を構成する壁面とでシリンダ室142が形成される。
シリンダ室142には、リング状のマグネット144が装着される環状溝146が外周面に形成されたピストン148が配設されている。ピストン148は、ピストンロッド150に対してその軸線方向に摺動可能(変位可能)に設けられている。ピストンロッド150には、当該ピストンロッド150に対するピストン148の一方の側への変位を規制する円環状のストッパ部(第1規制部)152が一対の止め輪154、156によって固定されている。ストッパ部152の厚み(軸線方向の寸法)は、円形穴140の深さよりも大きく形成されている。
なお、ピストンロッド150に対するピストン148の他方の側への変位は、ピストンロッド150の他端部に形成されたフランジ部(第2規制部)62によって規制される。すなわち、本実施形態では、ピストン148は、フランジ部62とストッパ部152との間の範囲内でピストンロッド150に対して変位可能となっている。
ロックシリンダ138の外周面には、ピストンロッド150の軸線方向に並設された第2ポート50および吸引ポート76の両側に切欠部158、160が形成されている。ベースフランジ132の切欠部134とロックシリンダ138の切欠部158とは、連通して1つの配設孔162を構成し、ベースフランジ132の切欠部136とロックシリンダ138の切欠部160とは、連通して1つの配設孔164を構成する。各配設孔162、164には、ピストン148に装着されたマグネット144の磁界に基づいてピストン148の軸線方向の位置を検出する位置検出センサ166、168が配設される(図9参照)。
本実施形態では、各位置検出センサ166、168の出力信号が図示しない制御部に出力され、制御部は、ピストン148がシリンダ室142の一端側に位置している場合にはテーブル部16がアンロック状態であると判定し、ピストン148がシリンダ室142の他端側に位置している場合にはテーブル部16がロック状態であると判定する。
本実施形態に係るワーク位置決め装置10Bでは、初期状態において、第2ポート50を大気開放した状態で第1ポート48に圧縮流体を供給することにより、ピストン148をシリンダ室142の一端側に配置させてロック部114を第2ボール当て板96から離間させている。このとき、ピストン148がストッパ部152に接触するとともにストッパ部152が円形穴140を構成する底面に接触する。
本実施形態において、テーブル部16をアンロック状態からロック状態に切り替える場合には、第1ポート48を大気開放した状態で第2ポート50に圧縮流体を供給する。そうすると、ピストン148は、ストッパ部152から離間してシリンダ室142の他端側にピストンロッド150に対して相対的に変位する。このとき、ピストンロッド150は、その軸線方向に変位しない。
そして、ピストン148がフランジ部62に接触すると、ピストン148、ピストンロッド150およびストッパ部152がシリンダ室142の他端側に一緒に変位し、ロック部114が第2ボール当て板96の一方の面99に接触して当該第2ボール当て板96を中間部14側に押圧する。これにより、ロック部114と第2ボール当て板96の一方の面99との間に摩擦力が発生するため、テーブル部16がベース部130に対して直接的にロックされる(図10参照)。
このとき、一対の位置検出センサ166、168は、ピストン148のマグネット144の磁界に基づいてピストン148がシリンダ室142の他端に位置していることを検出し、制御部は、テーブル部16がロック状態であると判定する。これにより、テーブル部16がロック状態になったことを容易に知ることができる。
一方、テーブル部16をロック状態からアンロック状態に切り替える場合には、第2ポート50を大気開放した状態で第1ポート48に圧縮流体を供給する。そうすると、ピストン148は、フランジ部62から離間してシリンダ室142の一端側にピストンロッド150に対して相対的に変位する。このとき、ピストンロッド150は、その軸線方向に変位しない。
そして、ピストン148がストッパ部152に接触すると、ピストン148、ピストンロッド150およびストッパ部152がシリンダ室142の一端側に一緒に変位し、ロック部114が第2ボール当て板96から離間してテーブル部16がベース部130に対してスライド可能な状態となる。
このとき、一対の位置検出センサ166、168は、ピストン148に装着されたマグネット144の磁界に基づいてピストン148がシリンダ室142の一端に位置していることを検出し、制御部は、テーブル部16がアンロック状態であると判定する。これにより、テーブル部16がアンロック状態になったことを容易に知ることができる。
本実施形態によれば、シリンダ室142におけるピストン148の軸線方向の位置を一対の位置検出センサ166、168で検出することにより、ロック部114の軸線方向の位置を検出することができる。これにより、簡易な構成でロック部114によるテーブル部16のロック状態およびアンロック状態を検出することができる。
また、ピストン148がピストンロッド150に対して軸線方向に沿ってストッパ部152とフランジ部62との間の範囲内でピストンロッド150に対して相対的に変位するので、ピストンロッド150(押さえ部18)のストローク長に対してピストン148のストローク長を大きくすることができる。これにより、ワーク位置決め装置10Bが軸線方向に大型化することを抑えつつ、ピストン148の変位に伴うマグネット144の磁界の変化を一対の位置検出センサ166、168で確実に検出することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るワーク位置決め装置10Cについて図11〜図15を参照して説明する。図11〜図15に示すように、ワーク位置決め装置10Cは、ベース部12に換えてベース部170を備える。ベース部170を構成するベースフランジ172は、その外周縁部が他方の側に突出している。
ベースフランジ172の円形凹部32の底面には、ピストンロッド174のフランジ部62が挿入可能な挿入穴176が中央に形成された円環状の突出部178が設けられている。挿入穴176を構成する底面には、ピストンロッド174の他端面から突出した凸部180が挿通する挿通孔182が形成され、挿通孔182を構成する壁面には、ガスケット184が装着される環状溝186が形成されている。
また、ワーク位置決め装置10Cは、ベースフランジ172に設けられてテーブル部16のロック状態およびアンロック状態を検出するための検出部(検出手段)188をさらに備える。検出部188は、ピストンロッド174の軸線方向と交差する一方向に延在した検出体(検出片)190と、検出体190の位置を検出するためのフォトセンサ192と、検出体190を保護するための保護部材194とを有している。
検出体190は、板状に形成されており、一対のボルト196によってベースフランジ172の他方の面に固定された基端部からピストンロッド174とは反対側に屈曲した屈曲部200を介して先端部まで直線状に延在している。検出体190の先端部には、フォトセンサ192の光が照射されるべき遮光部202が形成されている。検出体190には、ピストンロッド174に形成された凸部180が当接している。すなわち、検出体190は、その基端部のみがベースフランジ172に固定されているため、ピストンロッド174の軸線方向の変位に伴って屈曲部200が撓曲し、遮光部202の位置が変位するようになっている。
また、検出体190は、その延在方向において、支点(屈曲部200)と作用点(凸部180との接触部)との間隔が、前記支点と照射点(遮光部202)との間隔よりも小さくなるように設けられている。これにより、遮光部202の変位量が作用点の変位量(ピストンロッド174のストローク)よりも大きくなる。
フォトセンサ192は、一対のボルト204によってベースフランジ172の他方の面に固定されている。フォトセンサ192は、発光部206と受光部208とが互いに対向した状態で離間して設けられている。発光部206と受光部208との間には、検出体190の先端部に設けられた遮光部202が配置可能となっている。
本実施形態では、受光部208の出力信号が図示しない制御部に出力され、制御部は、発光部206からの光が遮光部202で遮光されて受光部208で受光できなかった場合にはテーブル部16がアンロック状態であると判定し、発光部206からの光を受光部208で受光した場合にはテーブル部16がロック状態であると判定する。
フォトセンサ192は、任意に構成することができ、例えば、発光部206からの光の遮光部202での反射光を受光部208で検出するように構成してもよい。保護部材194は、複数(図14では4つ)のボルト210によってベースフランジ172に固定されている。
本実施形態に係るワーク位置決め装置10Cでは、初期状態において、第2ポート50を大気開放した状態で第1ポート48に圧縮流体を供給することにより、ピストン52をシリンダ室46の一端側に配置させてロック部114を第2ボール当て板96から離間させている。このとき、ピストンロッド174の凸部180が検出体190に接触した状態で、遮光部202は、発光部206と受光部208の間に位置して発光部206からの光を遮光する。
本実施形態において、テーブル部16をアンロック状態からロック状態に切り替える場合には、第1ポート48を大気開放した状態で第2ポート50に圧縮流体を供給する。そうすると、ピストン52がシリンダ室46の他端側に変位し、ロック部114が第2ボール当て板96の一方の面99に接触して当該第2ボール当て板96を中間部14側に押圧する。これにより、ロック部114と第2ボール当て板96の一方の面99との間に摩擦力が作用するため、テーブル部16がベース部170に対して直接的にロックされる(図15参照)。
このとき、ピストンロッド174の凸部180は、検出体190をロックシリンダ22とは反対側に押し下げる。そうすると、検出体190の屈曲部200が弾性変形し、遮光部202がロックシリンダ22とは反対側に変位する。これにより、発光部206からの光が受光部208に導かれるため、前記制御部は、テーブル部16がロック状態であると判定する。よって、テーブル部16がアンロック状態からロック状態になったことを容易に知ることができる。
一方、テーブル部16をロック状態からアンロック状態に切り替える場合には、第2ポート50を大気開放した状態で第1ポート48に圧縮流体を供給する。そうすると、ピストン52がシリンダ室46の一端側に変位し、ロック部114が第2ボール当て板96から離間してテーブル部16がベース部170に対してスライド可能な状態となる。
このとき、ピストンロッド174の凸部180は、検出体190に接触した状態でロックシリンダ22側に変位する。そうすると、弾性変形している屈曲部200が復帰し、遮光部202がロックシリンダ22側に変位して発光部206と受光部208との間に位置する。これにより、発光部206からの光が遮光部202で遮光されるため、前記制御部は、テーブル部16がアンロック状態であると判定する。よって、テーブル部16がロック状態からアンロック状態になったことを容易に知ることができる。
本実施形態によれば、ピストンロッド174とともに変位する検出体190の遮光部202の位置をフォトセンサ192で検出するので、ピストンロッド174の一端側に設けられた押さえ部18(ロック部114)の軸線方向の位置を検出することができる。これにより、簡易な構成でロック部114によるテーブル部16のロック状態およびアンロック状態を検出することができる。
また、検出体190の延出方向において、支点と作用点との間隔が支点と照射点との間隔よりも小さくなるように検出体190を設けているので、照射点の変位量を作用点の変位量(ピストンロッド174のストローク)よりも大きくすることができる。これにより、ワーク位置決め装置10Cが軸線方向に大型化することを抑えつつ、ロック部114によるテーブル部16のロック状態およびアンロック状態を確実に検出することができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係るワーク位置決め装置10Dについて、図16〜図21を参照して説明する。
ワーク位置決め装置10Dは、ベース部212と、ベース部212に対してスライド可能に設けられた第1中間部214と、第1中間部214に対してスライド可能に設けられた第2中間部216と、第2中間部216に対してスライド可能に設けられた第3中間部218と、第3中間部218に対してスライド可能に設けられてワークが載置されるテーブル部220と、テーブル部220をロックする押さえ部222とを備える。
ベース部212は、平面視で略四角形状の板状部材であるベースフランジ224と、ベースフランジ224に設けられたロックシリンダ226と、ロックシリンダ226に設けられた円環状の第1ボール当て板228とを有する。
ベースフランジ224の一方の面には、ロックシリンダ226側に向けて突出する円環状突出部230が形成され、その内側に円形凹部232が形成されている。円環状突出部230の外周面には、環状溝が形成されてベースパッキン234が装着されており、ベースフランジ224の円形凹部232の中央には、センタリングプレート236が設けられている。センタリングプレート236の中央には、外縁部から中心に向かって傾斜する湾曲面またはテーパ状の平面によって構成される円形状の第1センタリング凹部238が形成されている。また、ベースフランジ224には、テーブル部220内の塵埃を図示しない塵埃除去装置に導くための吸引ポート240が形成されている。
ロックシリンダ226は、大径の内周面と小径の内周面を有する円筒状の外筒部242と、小径の内周面の軸方向端部から径方向内向きに突出する円板状部244と、円板状部244の内径側端部から軸方向下方に突出する内筒部246から構成される。第1ボール当て板228は、中央に開口部248を有し、円板状部244の一方の面(上面)と当接するように大径の内周面に嵌合されて固定され、外筒部242は第1ボール当て板228の一方の面から所定距離だけ上方に突出している。ロックシリンダ226には、小径の内周面と円板状部244の他方の面と内筒部246の外周面とにより、ベース部212に向かう円環状凹部250が形成されている。
中央に開口部252を有し、外周面および内周面にそれぞれ段付部が形成されたピストン340が、ロックシリンダ226の円環状凹部250およびベースフランジ224の円形凹部232に嵌合して配設され、一方、ベースフランジ224の円環状突出部230がロックシリンダ226の小径の内周面に嵌合される。これにより、ピストン340の一方の面とロックシリンダ226の円環状凹部250とで画成される第1圧力室254が形成されるとともに、ピストン340の外周側段付部、ロックシリンダ226の小径の内周面およびベースフランジ224の円環状突出部230とで画成される第2圧力室256が形成される。第1圧力室254に圧縮流体を供給・排出するための第1ポート258と第2圧力室256に圧縮流体を供給・排出するための第2ポート260がロックシリンダ226に形成されている(図16参照)。
ロックシリンダ226の円環状凹部250と接するピストン340の外周面および内周面、さらに、ベースフランジ224の円形凹部232と接するピストン340の外周面には、それぞれ環状溝が形成されてピストンパッキン262、264、266が装着されている。ピストン340における小径の内周面、ロックシリンダ226の内筒部246の内周面および第1ボール当て板228の開口部248の内周面は、概ね連続する一様な円筒状開口部268を形成している。
第1中間部214は、複数の第1ボール270と、各第1ボール270が転動可能な状態で配設される複数の保持孔が形成された円環状の第1リテーナ272とを有する。第1リテーナ272は、各第1ボール270が第1ボール当て板228の一方の面に接触するように配設され、これにより、第1中間部214は、第1ボール当て板228の一方の面に対してスライド可能となる。
第2中間部216は、薄肉円筒状のカバー筒274と、中央に貫通穴276が形成された円環状の第2ボール当て板278とを有する。第2ボール当て板278は、カバー筒274の内周面に設けられた一対の止め輪280、282によりカバー筒274に固定され、第2ボール当て板278の外周端部において、その一方の面(第1中間部214とは反対側の面)および他方の面からそれぞれ所定距離だけカバー筒274が垂直に突出している。第2ボール当て板278の他方の面は、第1ボール当て板228の一方の面に対して略平行に設けられた状態で各第1ボール270に接触する。これにより、第2中間部216は、第1ボール当て板228と平行にスライド可能となる。
第3中間部218は、複数の第2ボール284と、各第2ボール284が転動可能な状態で配設される複数の保持孔が形成された円環状の第2リテーナ286とを有する。第2リテーナ286は、各第2ボール284が第2ボール当て板278の一方の面に接触するように配設され、これにより、第3中間部218は、第2ボール当て板278の一方の面に対してスライド可能となる。第2リテーナ286の外径は、第1リテーナ272の外径と略同一である。
テーブル部220は、テーブル本体としての天板部288と、天板部288の縁部から第3中間部218に向けて突出する円筒状のカバー部290と、カバー部290の内周に設けられた止め輪294によって支持された円環状の第3ボール当て板296とを有する。第3ボール当て板296は、中央に開口部298を有し、第3ボール当て板296の一方の面は、天板部288の他方の面と隙間を隔てて対向し、第3ボール当て板296の他方の面は、第2ボール当て板278の一方の面に対して略平行に設けられた状態で各第2ボール284に接触する。これにより、テーブル部220は、第2ボール当て板278と平行にスライド可能となる。
カバー部290は、第3ボール当て板296の外周端部において、第3ボール当て板296の他方の面から第3中間部218に向けて所定距離だけ突出している。天板部288の一方の平面には、ワークが載置される。天板部288の他方の面の略中央には、円形状の第2センタリング凹部300が形成されており、第2センタリング凹部300を形成する壁面は、その外縁部から天板部288の中心の底部に向かって徐々に天板部288の一方の面側に傾斜する湾曲面またはテーパ状の平面となっている。カバー部290の外径は、第2中間部216のカバー筒274の外径と略同一である。
押さえ部222は、円筒状開口部268の内側に配設される第1軸体302と、第2ボール当て板278の貫通穴276に略隙間なく挿通される第2軸体304を含む。
第1軸体302の一方側の端部には、嵌合穴306が形成されており、第1軸体302の他方側の端部には、ベースフランジ224の円形凹部232に位置してピストン340の他方の面に当接可能な第1ロックフランジ部308が設けられるとともに、第1配設穴310が形成されている。第1配設穴310を利用して、第2中間部216を基準位置に復帰させるための第1センタリング機構312が配設されている。
第2軸体304の一方側の端部には、天板部288と第3ボール当て板296との間に配設されて第3ボール当て板296の一方の面に当接可能な第2ロックフランジ部314が設けられるとともに、第2配設穴316が形成されている。第2配設穴316を利用して、テーブル部220を第2中間部216に対して基準位置に復帰させるための第2センタリング機構318が配設されている。第2軸体304の他方側の端部には、第1軸体302の嵌合穴306に嵌入する支軸320が設けられている。第2軸体304は、支軸320が嵌合穴306に嵌入することにより、ワッシャ322を介して第1軸体302に固定される。
第1ロックフランジ部308は、円筒状開口部268よりも大きい外径を有しており、第1ロックフランジ部308の一方の面がピストン340の他方の面に対して略平行になっている。第2ロックフランジ部314は、第3ボール当て板296の開口部298よりも大きい外径を有しており、第2ロックフランジ部314の他方の面が第3ボール当て板296の一方の面に対して略平行になっている。
第1センタリング機構312は、センタリングプレート236に形成された第1センタリング凹部238を転動する第1センタリングボール324と、第1センタリングボール324を回転自在に支持する第1ボール支持部326と、第1ボール支持部326をベースフランジ224側に付勢するコイルスプリングからなる第1付勢部材328とを有している。第1センタリングボール324は、第2中間部216が基準位置に復帰した状態で、第1センタリング凹部238の中央に位置する。第1付勢部材328は、第1配設穴310の底面と第1ボール支持部326との間に介設されている。
第2センタリング機構318は、天板部288に形成された第2センタリング凹部300を転動する第2センタリングボール330と、第2センタリングボール330を回転自在に支持する第2ボール支持部332と、第2ボール支持部332を天板部288側に付勢するコイルスプリングからなる第2付勢部材334とを有している。第2センタリングボール330は、テーブル部220が第2中間部216に対して基準位置に復帰した状態で、第2センタリング凹部300の中央に位置する。第2付勢部材334は、第2配設穴316の底面と第2ボール支持部332との間に介設されている。
第1リテーナ272と第1軸体302との間には第1弾性部材336が介設されている。具体的には、第1リテーナ272の内周面に形成された環状溝と第1軸体302の外周面に形成された環状溝とに渦巻ばねからなる第1弾性部材336が装着されている。このため、第1中間部214が360°いずれの方向にスライドしても第1中間部214を効率的に所定の基準位置に復帰させることができる。第2リテーナ286と第2軸体304との間にも同様に第2弾性部材338が介設され、第3中間部218が360°いずれの方向にスライドしても第3中間部218を効率的に所定の基準位置に復帰させることができる。
本実施形態に係るワーク位置決め装置10Dは、以上のように構成されるものであり、以下、その作用および効果について説明する。
まず、初期状態において、ワーク位置決め装置10Dは、テーブル部220をアンロック状態にしておく。すなわち、第1ポート258を大気開放した状態で、第2ポート260に圧縮流体を供給することにより、ピストン340を第1軸体302の第1ロックフランジ部308から離間させる。このため、第1ロックフランジ部308は、ピストン340およびベースフランジ224のいずれからも摩擦による拘束力を受けず、第2軸体304の第2ロックフランジ部314も、第3ボール当て板296および天板部288のいずれからも摩擦による拘束力を受けない。
この初期状態において、第1軸体302は、第1センタリング機構312の作用により、第1センタリング凹部238の中央に位置し、第2軸体304は、第2センタリング機構318の作用により、第2センタリング凹部300の中央に位置する。これにより、ベース部212、押さえ部222およびテーブル部220は、図17に示すように、中心が一致する状態にあり、第2軸体304が略隙間なく挿通された第2ボール当て板278を備える第2中間部216も、ベース部212およびテーブル部220と中心が一致する状態にあるから、図16および図17に示すように、テーブル部220と第2中間部216はベース部212のちょうど中央に位置し、カバー部290の外周面とカバー筒274の外周面は略面一となっている。
また、図17に示すように、第1リテーナ272は、第1弾性部材336の作用により、第1軸体302と略同心の位置にあり、第2リテーナ286は、第2弾性部材338の作用により、第2軸体304と略同心の位置にある。
ワークが天板部288に載置された後、図示しないエアシリンダによりワークを所定方向に押すことによって、ワークの位置決めがなされる。
このとき、第1中間部214は、複数の第1ボール270が第1ボール当て板228の一方の面を転動することにより、第1リテーナ272が第1弾性部材336を圧縮させながらスライドする。ベース部212に対する第1中間部214のスライドは、第1リテーナ272の外周がロックシリンダ226の外筒部242の内周面に当接することにより規制される。
また、第2中間部216は、第2ボール当て板278が複数の第1ボール270を転動させながら、押さえ部222と一体となって、第1ボール当て板228と平行にスライドする。第1中間部214に対する第2中間部216のスライドは、カバー筒274の第2ボール当て板278の他方の面から突出する部位が第1リテーナ272の外周に当接することにより規制される。
また、第3中間部218は、複数の第2ボール284が第2ボール当て板278の一方の面を転動することにより、第2リテーナ286が第2弾性部材338を圧縮させながらスライドする。第2中間部216に対する第3中間部218のスライドは、第2リテーナ286の外周がカバー筒274の第2ボール当て板278の一方の面から突出する部位に当接することにより規制される。
また、テーブル部220は、第3ボール当て板296が複数の第2ボール284を転動させながら、第2ボール当て板278と平行にスライドする。第3中間部218に対するテーブル部220のスライドは、第3ボール当て板296の他方の面から突出するカバー部290の部位が第2リテーナ286の外周に当接することにより規制される。
したがって、ベース部212に対する第1中間部214のスライド量、第1中間部214に対する第2中間部216のスライド量、第2中間部216に対する第3中間部218のスライド量および第3中間部218に対するテーブル部220のスライド量の合計が、ベース部212に対するテーブル部220の変位量となる。本実施形態では、これら4つのスライド量は略同一となっている。
なお、第1リテーナ272の外周がロックシリンダ226の外筒部242の内周面に当接し、かつ、カバー筒274の第2ボール当て板278の他方の面から突出する部位が第1リテーナ272の外周に当接するとき、第1軸体302の外周面が円筒状開口部268に当接するようになっている。
ワークの位置決めが完了すると、第2ポート260を大気開放した状態で、第1ポート258に圧縮流体を供給する。そうすると、ピストン340が第1軸体302の第1ロックフランジ部308をベースフランジ224の円形凹部232の底面に向けて押圧するとともに、第1軸体302に固定された第2軸体304もベースフランジ224側に移動して、第2軸体304の第2ロックフランジ部314がテーブル部220の第3ボール当て板296に向けて押圧される。このため、テーブル部220は、第3ボール当て板296と第2ロックフランジ部314との摩擦係合、および、第1ロックフランジ部308とピストン340またはベースフランジ224との摩擦係合を介して、ベース部212に固定されることになり、位置決めされたワークの固定がなされる。
本実施形態によれば、第2中間部216と一体的にスライドする押さえ部222の可動空間は、円筒状開口部268の内側を含むベース部212の内部に形成されるとともに、第2中間部216に対するテーブル部220の可動空間はテーブル部220の内部に形成されるので、ベース部212に対するテーブル部220のスライド量を大きくしながら、スライド方向に広がる可動空間を小さくすることができ、ワーク位置決め装置の一層の小型化を図ることができる。
また、ベース部212の第1ボール当て板228に接触する第1ボール270と第1ボール270を転動可能に保持する第1リテーナ272とを有する第1中間部214と、テーブル部220の第3ボール当て板296に接触する第2ボール284と第2ボール284を転動可能に保持する第2リテーナ286とを有する第3中間部218と、第1ボール270および第2ボール284に接触する第2ボール当て板278を有する第2中間部216とを備えるので、第1中間部214、第2中間部216および第3中間部218のスライド動作を円滑に行うことができる。
さらに、第1リテーナ272の外周面および第2リテーナ286の外周面に当接可能なカバー筒274が第2ボール当て板278に設けられ、第1ボール当て板228から突出して第1リテーナ272の外周面に当接可能な突出部(外筒部242の一部)がベース部212に設けられ、カバー部290は第2リテーナ286の外周面に当接可能であるので、ベース部212に対する第1中間部214のスライド動作、第1中間部214に対する第2中間部216のスライド動作、第2中間部216に対する第3中間部218のスライド動作および第3中間部218に対するテーブル部220のスライド動作をそれぞれ所定量に容易に規制することができる。
さらにまた、第1軸体302をベース部212にロックする第1ロックフランジ部308が第1軸体302に設けられているので、テーブル部220が、第2ロックフランジ部314(板状部)における摩擦係合および第1ロックフランジ部308における摩擦係合により、ベース部212に直接的にロックされる。
しかも、第2軸体304は第2ボール当て板278に略隙間なく挿通され、第1軸体302をベース部212に対して基準位置に復帰させる第2センタリング機構318を備えているので、押さえ部222および第2中間部216を基準位置に精度よく復帰させることができる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係るワーク位置決め装置10Eについて、図22および図23を参照しながら説明する。なお、本実施形態に係るワーク位置決め装置10Eにおいて、上述したワーク位置決め装置10Dと同一または同様の機能および効果を奏する構成要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
吸引ポートを含むベースフランジ224の開口部241には、ピストン340に当接するスライダ342が摺動可能に設けられている。スライダ342に形成された凹部の底面とベースフランジ224との間に複数の圧縮ばね344が配設され、スライダ342をピストン340に向けて付勢する。
第1リテーナ272は、カバー筒274の内周面と対向する領域において、外方に突出する水平フランジ部273を備える。カバー筒274は、内方に突出する水平フランジ部275を備え、第2ボール当て板278は、カバー筒274の内周面に設けられた止め輪282と水平フランジ部275との間で挟持されて、カバー筒274に固定される。第2ボール当て板278は、スリーブ213を介して第2軸体304に取り付けられる。第2リテーナ286は、カバー部290の内周面と対向する領域において、外方に突出する水平フランジ部287を備える。
ベース部212と第1リテーナ272との間には、第1ボール当て板228と平行にスライド可能な円環状の第1L型カバー215が設けられる。第1L型カバー215は、垂直円筒部345と水平フランジ部346からなり、垂直円筒部345の内周面は、第1リテーナ272の水平フランジ部273が形成されていない部位の外周面と対向し、垂直円筒部345の外周面は、第1ボール当て板228の一方の面から突出するロックシリンダ226の外筒部242の内周面と対向する。第1L型カバー215の水平フランジ部346は、外筒部242の上に載置され、第1リテーナ272の水平フランジ部273およびカバー筒274の縁部とは僅かな隙間を有する。
第2中間部216と第2リテーナ286との間には、第2ボール当て板278と平行にスライド可能な円環状の第2L型カバー217が設けられる。第2L型カバー217は、垂直円筒部347と水平フランジ部348からなり、垂直円筒部347の内周面は、第2リテーナ286の水平フランジ部287が形成されていない部位の外周面と対向し、垂直円筒部347の外周面は、カバー筒274の水平フランジ部275の内周面と対向する。第2L型カバー217の水平フランジ部348は、カバー筒274の水平フランジ部275の上に載置され、第2リテーナ286の水平フランジ部287およびカバー部290の縁部とは僅かな隙間を有する。
第1センタリング機構313は、第1センタリングボール324と、第1センタリングボール324をベースフランジ224側に付勢する第1付勢部材328とを有する。センタリングプレート236の中央には、中心に向かって比較的大きな角度で傾斜する湾曲面またはテーパ状の平面によって構成される円形状の第1センタリング凹部239が形成されている。第1センタリングボール324は、第2中間部216が基準位置に復帰した状態で、第1センタリング凹部239のちょうど中央に位置する。第1付勢部材328は、第1配設穴310の底面と第1センタリングボール324との間に介設される。
第2センタリング機構319は、第2センタリングボール330と、第2センタリングボール330を天板部288側に付勢する第2付勢部材334とを有する。天板部288の中央には、中心に向かって比較的大きな角度で傾斜する湾曲面またはテーパ状の平面によって構成される円形状の第2センタリング凹部301が形成されている。第2センタリングボール330は、テーブル部220が第2中間部216に対して基準位置に復帰した状態で、第2センタリング凹部301のちょうど中央に位置する。第2付勢部材334は、第2配設穴316の底面と第2センタリングボール330との間に介設される。
ロックシリンダ226と第1軸体302との間には、渦巻ばねからなる第3弾性部材219が装着され、テーブル部220と第2ロックフランジ部314との間には、渦巻ばねからなる第4弾性部材221が装着される。このため、第2中間部216およびテーブル部220が360°いずれの方向にスライドしても、第2中間部216およびテーブル部220を効率的に所定の基準位置に復帰させることができる。
本実施形態に係るワーク位置決め装置10Eでは、ワークの位置決めがなされるとき、以下のように動作する。
第1ボール270が第1ボール当て板228の面を転動するのにしたがって、第1中間部214がスライドする。このとき、第1中間部214の第1リテーナ272が第1L型カバー215の垂直円筒部345に当接するため、第1L型カバー215も一体的にスライドする。第1中間部214と押さえ部222とが相対変位すると、第1弾性部材336が弾性変形する。ベース部212に対する第1中間部214のスライドは、第1リテーナ272が第1L型カバー215の垂直円筒部345を間に挟んでロックシリンダ226の外筒部242に当接することにより規制される。
第1ボール270が第2ボール当て板278の面を転動するのにしたがって、第2中間部216は、押さえ部222と一体となって、第1ボール当て板228と平行にスライドする。このとき、第3弾性部材219が弾性変形する。第1中間部214に対する第2中間部216のスライドは、カバー筒274が第1リテーナ272の水平フランジ部273に当接することにより規制される。
第2ボール284が第2ボール当て板278の面を転動するのにしたがって、第3中間部218がスライドする。このとき、第2リテーナ286が第2L型カバー217の垂直円筒部347に当接するため、第2L型カバー217も一体的にスライドする。第3中間部218と押さえ部222とが相対変位すると、第2弾性部材338が弾性変形する。第2中間部216に対する第3中間部218のスライドは、第2リテーナ286が第2L型カバー217の垂直円筒部347を間に挟んでカバー筒274の水平フランジ部275に当接することにより規制される。
第2ボール284が第3ボール当て板296の面を転動するのにしたがって、テーブル部220が第2ボール当て板278と平行にスライドする。このとき、テーブル部220と押さえ部222とが相対変位すると、第4弾性部材221が弾性変形する。第3中間部218に対するテーブル部220のスライドは、カバー部290が第2リテーナ286の水平フランジ部287に当接することにより規制される。
第2中間部216がスライドしても、第1L型カバー215が存在するため、第1ボール当て板228の上面が露出することがない。また、テーブル部220がスライドしても、第2L型カバー217が存在するため、第2ボール当て板278の上面が露出することがない。これにより、ワーク位置決め装置10Eの内部に塵埃が侵入するのを可及的に抑制することができる。
なお、第1中間部214および第2中間部216が最大にスライドしたときでも、第1ロックフランジ部308および第1軸体302は、ベース部212またはピストン340に対して、スライド方向に当接しない。また、第1中間部214、第2中間部216、第3中間部218およびテーブル部220がそれぞれ最大にスライドしたときでも、第2ロックフランジ部314および第2軸体304は、テーブル部220に対して、スライド方向に当接しない。
本実施形態では、位置決めされたテーブル部220をアンロック状態に戻すとき、第2中間部216は、第3弾性部材219と第1センタリング機構313の作用により、速やかに、かつ、精度よく初期位置に復帰する。また、テーブル部220は、第4弾性部材221および第2センタリング機構319の作用により、速やかに、かつ、精度よく初期位置に復帰する。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態に係るワーク位置決め装置10Fについて、図24および図25を参照しながら説明する。
ワーク位置決め装置10Fは、ベース部350と、ベース部350に対してスライド可能に設けられる中間部352と、中間部352に対してスライド可能に設けられるテーブル部354と、テーブル部354をベース部350に対してロックする押さえ部356とを備える。
ベース部350は、ベースフランジ358と、ロックシリンダ360と、円環状の第1ボール当て板362とを有する。
ベースフランジ358の一方の面には、ロックシリンダ360側に向けて突出する円環状突出部364が形成され、その内側に円形凹部366が形成されている。円形凹部366の中央にはセンタリングプレート368が設けられ、センタリングプレート368の中央には、中心に向かって比較的大きな角度で傾斜する湾曲面またはテーパ状の平面によって構成される円形状の第1センタリング凹部370が形成されている。ベースフランジ358には、テーブル部354内の塵埃を図示しない塵埃除去装置に導くための吸引ポートが形成され、吸引ポートを含むベースフランジ358の開口部372には、ピストン374に当接するスライダ376が摺動可能に設けられている。スライダ376に形成された凹部の底面とベースフランジ358との間に複数の圧縮ばね378が配設され、スライダ376をピストン374に向けて押圧する。
ロックシリンダ360は、円筒状の外筒部380と、外筒部380の軸方向端部から径方向内向きに突出する円板状部382と、円板状部382の内径側端部から軸方向下方に突出する内筒部384とから構成される。外筒部380の一方の面には、中間部352に向けて突出する円環状突出部386が形成されている。第1ボール当て板362は、中央に開口部を有し、円環状突出部386の内周面に嵌合固定されて円板状部382の一方の面と当接する。ロックシリンダ360には、外筒部380の内周面と円板状部382の他方の面と内筒部384の外周面とにより、ベースフランジ358に向かう円環状凹部が形成されている。
ピストン374は、中央に開口部を有し、外周面と内周面にそれぞれ段付部が形成されている。ピストン374がロックシリンダ360の円環状凹部およびベースフランジ358の円形凹部366に嵌合して配設される一方、ベースフランジ358の円環状突出部364がロックシリンダ360の外筒部380の内周面に嵌合される。これにより、ピストン374の一方の面とロックシリンダ360の円環状凹部とで画成される第1圧力室388が形成されるとともに、ピストン374の外周側段付部と、ロックシリンダ360の外筒部380の内周面と、ベースフランジ358の円環状突出部364とで画成される第2圧力室390が形成される。
ロックシリンダ360の円環状凹部と接するピストン374の外周面と内周面、さらに、ベースフランジ358の円形凹部366と接するピストン374の外周面には、それぞれ環状溝が形成され、パッキン392a、392b、392cが装着されている。ベースフランジ358の円環状突出部364に隣接するロックシリンダ360の外筒部380端部には、段付溝が形成され、パッキン392dが装着されている。
中間部352は、複数のボール394と、各ボール394が転動可能な状態で配設される複数の保持孔が形成されるとともに中央に貫通孔を備えた円板状のリテーナ396と、リテーナ396の外周面に嵌合されるL型カバー398とを有する。L型カバー398は、環状の円板の外周縁にベース部350に向けて突出する筒状部400が形成されてなるものである。リテーナ396は、各ボール394が第1ボール当て板362の一方の面に接触するように配設され、これにより、中間部352は、第1ボール当て板362に対してスライド可能となる。
ロックシリンダ360とL型カバー398との間に、第1ボール当て板362と平行にスライド可能な環状のS型カバー402が設けられる。S型カバー402は、環状の円板の外周縁にベース部350に向けて突出する第1筒状部404が形成されるとともに、内周縁にL型カバー398に向けて突出する第2筒状部406が形成されてなるものである。S型カバー402は、第1筒状部404の内周においてロックシリンダ360の円環状突出部386の外周に当接可能であり、また、第2筒状部406の内周においてリテーナ396の外周に当接可能である。
テーブル部354は、天板部408と、天板部408の縁部から中間部352に向けて突出する円筒状のカバー部410と、カバー部410の内周に止め輪412によって支持される円環状の第2ボール当て板414とを有する。第2ボール当て板414は中央に開口部を有し、第2ボール当て板414の一方の面は、天板部408の他方の面と隙間を隔てて対向し、第2ボール当て板414の他方の面は、第1ボール当て板362の一方の面に略平行な状態で各ボール394に接触する。これにより、テーブル部354は第1ボール当て板362と平行にスライド可能となる。カバー部410は、第2ボール当て板414の外周端部において、第2ボール当て板414の他方の面から中間部352に向けて所定距離だけ突出している。天板部408の一方の面には図示しないワークが載置される。天板部408の他方の面の略中央には、中心に向かって比較的大きな角度で傾斜する湾曲面またはテーパ状の平面によって構成される円形状の第2センタリング凹部416が形成されている。
押さえ部356は、ピストン374の開口部と第1ボール当て板362の開口部を通ってベース部350の内部に配設される第1軸体418と、第2ボール当て板414の開口部を通る第2軸体420を含む。第1軸体418の一方側の端部には嵌合穴422が形成され、第1軸体418の他方側の端部には、ベースフランジ358の円形凹部366に位置してピストン374の他方の面に当接可能な第1ロックフランジ部424が設けられるとともに、第1配設穴426が形成される。第1配設穴426を利用して、中間部352を基準位置に復帰させる第1センタリング機構428が配設される。第2軸体420の一方側の端部には、天板部408と第2ボール当て板414との間に配設されて第2ボール当て板414の一方の面に当接可能な第2ロックフランジ部430が設けられるとともに、第2配設穴432が形成される。第2配設穴432を利用して、テーブル部354を中間部352に対して基準位置に復帰させる第2センタリング機構434が配設される。第2軸体420の他方側の端部には支軸436が設けられる。第2軸体420はリテーナ396の貫通孔に隙間なく挿通され、第2軸体420の支軸436が第1軸体418の嵌合穴422に嵌入して固定される。
第1センタリング機構428は、第1センタリングボール438と、第1センタリングボール438をベースフランジ358側に付勢する第1付勢部材440とを有する。第1センタリングボール438は、中間部352が基準位置に復帰した状態で、第1センタリング凹部370のちょうど中央に位置する。第2センタリング機構434は、第2センタリングボール442と、第2センタリングボール442を天板部408側に付勢する第2付勢部材444とを有する。第2センタリングボール442は、テーブル部354が中間部352に対して基準位置に復帰した状態で、第2センタリング凹部416のちょうど中央に位置する。
ロックシリンダ360と第1軸体418との間に、渦巻ばねからなる第1弾性部材446が装着され、テーブル部354と第2ロックフランジ部430との間に、渦巻ばねからなる第2弾性部材448が装着される。また、S型カバー402とL型カバー398との間に形成される環状空間に、渦巻ばねからなる第3弾性部材450が装着される。
本実施形態に係るワーク位置決め装置10Fは、以上のように構成されるものであり、以下、その作用および効果について説明する。
まず、初期状態において、ワーク位置決め装置10Fは、テーブル部354をアンロック状態にしておく。すなわち、第1圧力室388を大気開放し、第2圧力室390に圧縮流体を供給すると、圧縮ばね378の作用によりスライダ376から受ける押圧力とともに流体圧が作用し、ピストン374が第1ロックフランジ部424から確実に離間する。
このとき、第1軸体418は、第1弾性部材446および第1センタリング機構428の作用により、第1センタリング凹部370の中央に位置し、第2軸体420は、第2弾性部材448および第2センタリング機構434の作用により、第2センタリング凹部416の中央に位置する。これにより、図24に示すように、テーブル部354と中間部352はベース部350のちょうど中央に位置する。また、S型カバー402は、第3弾性部材450の作用によりL型カバー398と同心位置を保持し、L型カバー398、S型カバー402およびロックシリンダ360の各外周面は略面一となっている。
ワークが天板部408に載置された後、図示しないエアシリンダによりワークを所定方向に押すことによって、ワークの位置決めがなされる。
このとき、各ボール394が第1ボール当て板362の面を転動するのにしたがって、中間部352が押さえ部356とともにスライドし、第1弾性部材446が弾性変形する。ベース部350に対する中間部352のスライドは、リテーナ396のスライド方向前進端がS型カバー402の第2筒状部406に当接し、かつ、その反対側においてS型カバー402の第1筒状部404がロックシリンダ360の円環状突出部386に当接することにより規制される。
また、各ボール394が第2ボール当て板414の面を転動するのにしたがって、テーブル部354が第1ボール当て板362と平行にスライドする。テーブル部354と押さえ部356とが相対変位すると、第2弾性部材448が弾性変形する。中間部352に対するテーブル部354のスライドは、カバー部410がリテーナ396に当接することにより規制される。
図25に示すように、中間部352とテーブル部354が最大にスライドしたとき、第3弾性部材450は所定量弾性変形し、L型カバー398はS型カバー402に対してスライド方向に偏心する。テーブル部354が最大にスライドしても、L型カバー398とS型カバー402が存在するため、第1ボール当て板362の上面が露出することがなく、ワーク位置決め装置10Fの内部に塵埃が侵入するのを可及的に抑制することができる。
なお、本実施形態では、中間部352が最大にスライドしたときでも、第1ロックフランジ部424および第1軸体418は、ベース部350またはピストン374に対して、スライド方向に当接しない。また、中間部352およびテーブル部354が最大にスライドしたときでも、第2ロックフランジ部430および第2軸体420は、テーブル部354に対して、スライド方向に当接しない。
ワークの位置決め完了後に、第2圧力室390を大気開放し、第1圧力室388に圧縮流体を供給すると、ピストン374が第1ロックフランジ部424をベースフランジ358に向けて押圧し、第2ロックフランジ部430は第2ボール当て板414に向けて押圧される。このため、テーブル部354は、第2ボール当て板414と第2ロックフランジ部430との摩擦係合、および、第1ロックフランジ部424とピストン374またはベースフランジ358との摩擦係合を介して、ベース部350に固定される。
その後、ワークが天板部408から移送され、テーブル部354をアンロック状態に戻すと、中間部352は、第1弾性部材446と第1センタリング機構428の作用により、速やかに、かつ、精度よく初期位置に復帰する。また、テーブル部354は、第2弾性部材448と第2センタリング機構434の作用により、速やかに、かつ、精度よく初期位置に復帰する。
本発明に係るワーク位置決め装置は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。