JP2015110825A - 水酸化ニッケルの製造方法 - Google Patents

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弘樹 関塚
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一雄 河西
奈織美 鈴木
Naomi Suzuki
奈織美 鈴木
勇樹 村山
Yuuki Murayama
勇樹 村山
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Abstract

【課題】電解液の電導度低下を抑制して硝酸の追加投入量を削減し、アノード表面およびカソード表面に生成する水酸化ニッケルによるスケール付着による電極の絶縁化を抑制することで長時間安定して水酸化ニッケルを得ることができる製造方法を提供する。【解決手段】アノード2に金属ニッケルを用い、硝酸アンモニウムとハロゲン化アンモニウムとを含みpHが6以上の電解液4を用い、前記電解液4中に酸素を含む気体を供給しながら電解を行う水酸化ニッケルの製造方法である。気体の供給をバブリングで行うことが好ましく、気体の供給をアノードとカソードの間の電極下方から行うことがより好ましい。【選択図】図2

Description

本発明は、高純度の酸化ニッケルの原料となる水酸化ニッケルの製造方法に関し、より詳しくは、金属ニッケルをアノードに用いた電解法による水酸化ニッケルの製造方法に関する。
固体酸化物型燃料電池は、原子力発電に変わる新たな発電システムとして、火力発電と燃料電池を組み合わせた複合発電システムの実用化が進められている。電極材料には、酸化ニッケルが用いられており、今後、酸化ニッケルの需要が増すに連れて原料となる水酸化ニッケルの需要も増加していくものと予想される。このような用途において水酸化ニッケルや酸化ニッケルは、高純度であり、更には水酸化ニッケルから酸化ニッケルを得る焙焼工程で、排ガス中に含まれる大気汚染物質となる窒素酸化物が少ないものが求められている。
一般に、水酸化ニッケルは、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、硝酸ニッケルなどのニッケル塩を含む溶液に、水酸化ナトリウムなどを添加してアルカリ性として沈殿させて製造している(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1によれば、ニッケル塩を含む水溶液にアンモニアを加え、ニッケル−アンモニウム錯塩を形成し、これに苛性アルカリを作用させて、水酸化ニッケルを沈殿させている。
特許文献1の方法では、その原理は簡単であるが、実施には多くの工程を要し、反応液をアルカリ性にするために水酸化ナトリウムを用いることから、ナトリウムやイオウなどが残留不純物となるため洗浄工程で多量の水洗廃液が発生するだけでなく、反応後のナトリウムの硝酸塩や硫酸塩などを含む廃液などを処理する必要がある。
また、特許文献2では、硫酸ニッケル水溶液をアルカリで中和し、得られた水酸化ニッケルを所定の条件で熱処理することで、硫黄品位が400質量ppm以下に制御され、不純物品位、特に塩素品位が低い微細な酸化ニッケル微粉末を得る方法が提案されている。
一方、上記のような水酸化ニッケルを化学的に沈殿させて製造する方法の他、金属ニッケルから電解により水酸化ニッケルを作製する方法もある。
例えば、特許文献3では、ニッケル電極を陽極で溶解することにより球状の水酸化ニッケルを沈殿させる方法が提案されている。この方法では硫黄を不純物として含まないが、高いpH値、温度で電解を行い、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物でpH調整するため、この方法で製造された水酸化ニッケルを焙焼して得られる酸化ニッケル中にはNaが残留することも懸念される。また、電解中、カソード表面に水酸化ニッケルのスケールが付着・堆積することにより電極が絶縁化し、水酸化ニッケルの収率が低下する問題がある。このスケールを除去するためにメンテナンスが必要になるのでコストが増大する。
特開昭56−143671号公報 特開2011−225395号公報 特表2002−544382号公報
上記の問題を解決する方法として、硝酸アンモニウム水溶液で金属ニッケルをアノードとして電解し水酸化ニッケルを生成させ、得られた水酸化ニッケルを高温で焙焼することで高純度の酸化ニッケルを得る製造方法が考えられる。この方法によれば、電解液の成分が硝酸根やアンモニアのみであるため、焙焼後の残留不純物が極めて少ない高純度の酸化ニッケルが得られる。
しかし、この方法では、電解中に電導度が低下する為、硝酸を補給する必要がある。さらに、電極表面に水酸化ニッケルが付着・堆積することにより電極が絶縁化するのを防ぐため、水酸化ニッケルを除去するためのメンテナンスが必要になるのでコストがかかることも見込まれている。
本発明の目的は、電解法で水酸化ニッケルを製造する際、電解浴中の硝酸イオンがアンモニアに還元されて硝酸イオンを消費することによる電導度の低下を抑制すること、及び、アノード表面およびカソード表面に生成する水酸化ニッケルによるスケール付着を防止して、電極の絶縁化を抑制することで安定して水酸化ニッケルを得る電解方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を進めた結果、電解液のpH値が6以上、電気ニッケルなどの金属ニッケル板をアノードとし、電解液として硝酸アンモニウムとハロゲン化アンモニウムの混合水溶液を用いて水酸化ニッケルを電解法で製造する際、電解液中の硝酸イオンが減少することで、電解時間とともに電導度が低下することがわかった。
このため、従来はこの電導度を戻すために硝酸を添加する浴管理が必要となっていたが、電解液中に酸素や空気などでバブリングを行うことで、液攪拌及び溶存酸素を供給することができるので、硝酸イオンの減少が抑えられ、添加する硝酸の消費量を低減できることが分かった。さらに、バブリングのエアーを電極に接触させることで電極表面に生成、付着する水酸化ニッケルのスケールを減少させ、電極の絶縁化を抑制し、これによって、通電した電気量に対して高い収率で水酸化ニッケルが得られることを見出して、本発明を完成させるに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
本発明の第1は、水酸化ニッケルを電解法で製造する方法であって、
アノードに金属ニッケルを用い、
硝酸アンモニウムとハロゲン化アンモニウムとを含みpHが6以上の電解液を用い、
前記電解液中に酸素を含む気体を供給しながら電解を行うことを特徴とする水酸化ニッケルの製造方法である。
本発明の第2は、第1の発明において、前記酸素を含む気体の供給をバブリングで行う水酸化ニッケルの製造方法である。
本発明の第3は、第1又は第2の発明において、
前記酸素を含む気体の供給を前記アノードとカソードの間の電極下方から行う水酸化ニッケルの製造方法である。
本発明の第4は、第1から第3のいずれかの発明において、
前記酸素を含む気体の供給量が、電解電流1Aあたり0.1L/min以上である水酸化ニッケルの製造方法である。
本発明の第5は、第1から第4の発明において、
前記電解液中の溶存酸素飽和度を90%以上とする水酸化ニッケルの製造方法である。
本発明の第6は、第2から第4のいずれかの発明において、
前記バブリングの気泡サイズは、1mm〜10mmφである水酸化ニッケルの製造方法である。
本発明によれば、アノードに金属ニッケルを用いた電解法で水酸化ニッケルを製造する際、電解液中に酸素を含む気体をバブリングなどで供給することで、溶存酸素濃度を増加させ、これによって、硝酸イオンがアンモニアに還元されて消費される量を減少させることができる。また、液面に上昇するバブリングの気泡がアノード表面およびカソード表面に当たって、生成する水酸化ニッケルによるスケール付着を防止し、電極の絶縁化を抑制することで、安定して水酸化ニッケルが得られる。さらに、電解液の電導度を戻すために硝酸を添加していたが、硝酸の添加量を削減し、装置メンテナンスも含めて効率的に水酸化ニッケルを製造することができる。
従来の電解装置の概略図である。 本発明の電解装置の一例を示す概略図である。 従来の電解における電解時間と電導度の変化を示すグラフである。 従来の電解における電導度と硝酸イオン濃度の変化を示すグラフである。 実施例1、比較例1の電解時間と硝酸イオン濃度の変化を示すグラフである。
本発明は、水酸化ニッケルの電解法において、電解液のpH値を6以上とし、電解槽内でバブリングによる液撹拌を行うことで、溶存酸素を供給して、硝酸イオンの消費量を低減させる。これにより、追加で投入する硝酸の量を削減し、バブリングの気泡がアノード表面およびカソード表面に当たって生成する水酸化ニッケルがスケールとして付着するのを防止して電極の絶縁化を抑制することで、安定的に水酸化ニッケルを得ることができる。以下、本発明の水酸化ニッケルの製造方法について説明する。
図1に示すように、一般の電解では、アノード側の酸化反応により金属がイオンとして電解液中に溶解し、ニッケルイオンの一部が水酸化ニッケルとなりアノードに付着する。カソード側は、電解液中に溶解した金属イオンが還元されて金属が析出される。また、近傍のニッケルイオンが増大することで電極表面に徐々に水酸化ニッケルの結晶が晶出し、スケールとして付着することで電極の絶縁化を招く。そのために、電解を中断してスケール除去などのメンテナンスを行わなければならず水酸化ニッケルの製造効率は低下していた。
ここで本発明においては、電解液のpH値が6以上になると、金属の析出に消費される電気エネルギーは非常に少なくなり、殆どが水素発生に消費されていることに着目した。すなわち、アノードに金属ニッケルを用いて、電解液のpH値を6以上にして電解する電解方法である。この方法で電解を行うとアノードの金属ニッケルがイオンとして電解液中に溶解(式1)し、液中のアンモニウムイオンとアンミン錯体を形成する(式3)。そして、飽和したアンミン錯体から水酸化ニッケルが生成される(式4)。電解浴中では、カソード側で水素還元(式2)と硝酸イオンがアンモニアに還元(式5)される為、電解時間に比例して電導度が低下していく(図3、図4参照)。そこで、別途硝酸を添加して電解浴の維持をしていた。しかし、本発明においては、バブリングを行うことで電解浴中の溶存酸素量が増えることで、アンモニアから亜硝酸イオン(式6)となり、さらに亜硝酸イオンから硝酸イオン(式7)となるので、硝酸イオンの消費を低減させることができる。
このことから、電解浴の電導度の調整に要する硝酸の消費量が削減できる。さらに、本発明によれば、スケール付着による電極の絶縁化が回避可能となる。
Ni→Ni2++2e(アノード)・・・(式1)
2H+2e→H↑(カソード)・・・(式2)
Ni2++6NH→[Ni(NH2+・・・(式3)
[Ni(NH2++2OH→Ni(OH)+6NH・・・(式4)
NO +10H+8e→NH +3HO(カソード)・・・(式5)
2NH+3O→2HNO +2HO+e・・・(式6)
2NO +O→2NO +e・・・(式7)
具体的には、電解中の電解液のpH値が6以上になる電解液として、硝酸アンモニウムと塩化アンモニウムの混合水溶液を電解液として使用する。電解してもpH値が6以上にならない電解液では水酸化ニッケルが生成しないため適さない。また、pHが9より高くなると、電解槽中のアンモニアが揮散しやすくなり、アンモニア濃度の制御が難しくなり、さらに、作業環境が悪化することがあり、好ましくない。
電解液濃度は特に限定するものではないが、硝酸アンモニウムの濃度は、0.1〜5.0mol/Lの範囲であることが好ましい。硝酸アンモニウムを用いるのは、電解反応後に生成した水酸化ニッケル中に残留する硝酸根を比較的低温で除去するためである。0.1mol/L以上であると、生成する水酸化ニッケルの二次粒子が大きくなり、ろ過で回収するときの作業性が向上する。ただし、濃度が5.0mol/Lを超えると水酸化ニッケルの晶析開始に時間がかかるため、好ましくない。より好ましい濃度は、0.4〜1.0mol/Lの範囲である。ハロゲン化アンモニウム(塩化アンモニウム)濃度はニッケル溶解に有効である。添加量が少なすぎると、金属ニッケルの溶解速度が低下し、添加量が多いと水酸化ニッケルに含まれる不純物ハロゲンの濃度が高くなるため、好ましくない。そのため、ハロゲン化アンモニウムの濃度は、1.0mol/L以下であることが好ましく、0.1〜0.5mol/Lがより好ましい。電解槽内に配置する電極として、アノードに金属ニッケルを配置する。カソードとしてチタン、ニッケル、ステンレス、白金、チタンに白金めっきしたもの、チタンと白金をクラッドしたものなどが使用できる。
次に、電解を開始する。図2は本発明の電解装置の一例を示す概略図であり、電解槽1中の電解液4内に、金属ニッケルのアノード2と、アノードから所定の間隔をおいて配置される2枚のカソード3が配置されている。本発明における気体を発生させるためのエアノズル5は、アノードとカソードの間であって電極下方に配置され、それぞれの電極板と平行になるように、この実施形態においては2本配置されている。
電解条件である電流密度、電解温度、撹拌方法などは、通常の電解条件で良いので本発明では特に限定されない。
バブリングは電解液の攪拌と溶存酸素の供給をする他に、液面に上昇するバブリングの気泡が電極表面に接触することで、そこに生成する水酸化ニッケルの付着が抑制される。
バブリングの流量が少ないと、液中の溶存酸素量が低減してしまい、硝酸イオンの消費低減の効果が少なくなる。電解液温度によって飽和溶存酸素量が変化するので、電解液中の溶存酸素量と、電解液温度における飽和溶解量との比を溶存酸素飽和度として百分率%で表すと、溶存酸素飽和度を90%以上に維持することが好ましい。また、バブリングの流量が少ないと、電極に付着する水酸化ニッケルも抑制が難しくなる。また、バブリングの流量が大きいと、電解液の蒸発量が増えるため補充する電解液が増え、また、温度が下がり加温にコストがかかる。硝酸添加量削減のためには、電解電流1Aに対してバブリングの流量は、0.1L/minから10L/minが好ましい。また、水酸化ニッケル付着防止のためには、アノードとカソードの間に電極幅1cmあたり0.5L/min以上、好ましくは10L/min以下のバブリングの流量とすることが望ましい。
気泡のサイズが小さいと気泡の上昇速度が遅くなり、撹拌能力が低下する。また、同じ流量で気泡を大きくしようとすると、吹き出し穴の数を減らさざるを得ないので、電極横方向で気泡の当たらないところができ、スケール付着が増える可能性がある。その為、吹き出し穴のサイズは1mmφから10mmφが好ましい。
電流密度は特に限定するものではないが、電流密度が3A/dmより低いと水酸化ニッケルの生成量が少なくなり、20A/dmより高くすると水酸化ニッケルの生成量は増加するが、その中の残留不純物量も増加する。また、アノードが不働態化を起こしやすくなるため、電流密度は、3〜20A/dm、より好ましくは5〜15A/dmとすることが望ましい。また、電解液温度は、特に制限されるわけではないが、低すぎるとニッケルアンミン錯体の分解反応が低下して水酸化ニッケルの生成量が減少する。また、高すぎると液中溶存酸素濃度が低下し、電解液が蒸発しやすくなる。そのため、10〜70℃で電解することが望ましく、15〜65℃の範囲がより好ましい。
上記の電解条件で電解後、生成した水酸化ニッケルと電解液は、図1に示すように、ろ過分離し、水洗後、水酸化ニッケルを回収する。ろ過分離、水洗の条件は特に制限されないが、遠心ろ過分離あるいは吸引ろ過分離すれば簡単で好ましい。前述の通り、硝酸アンモニウム濃度が0.1〜5.0mol/Lになると、生成する水酸化ニッケルの一次粒子が凝集しあって二次粒子が大きくなり、沈降性が良く、二次粒子間に細孔が形成された状態になるので、ろ過洗浄が容易となる。これは、作業効率が高められ、経済的に水酸化ニッケルが回収できるということである。ろ過の方法は特に限定されないが、フィルタープレス、遠心分離などを用いると効率的である。ろ過分離後の電解液及び水酸化ニッケルを水洗ろ過した水洗水は、電解液に戻して再利用することができる。これにより無駄な排水や廃棄物がなくなり、クローズドな工程となる。このようにして得られた水酸化ニッケルは、水酸化ニッケルの一次粒子が多数凝集しあって、水酸化ニッケルの二次粒子となる。
水酸化ニッケルの一次粒子は、球状、鱗片状、角柱状の形状をしたものもあるが、特に一定していない。二次粒子の粒径をSEM観察で確認すると、3〜200μmと大きく、BET法で求めた比表面積は10〜200m/gとなる。しかも、ナトリウムなどの不純物金属の含有量は非常に少なく、高純度である。具体的にはCr、Fe、Si、Co、Ca、Na、Zr、P、Mnの各元素の含有量は、分析定量下限値の10質量ppm未満、Clの含有量は0.5質量%未満、Sの含有量は1質量ppm未満であり、これらの元素が定量下限値を超えて含有することはない。本発明では、二次粒子の粒径が、5〜100μm、比表面積が20〜180m/gのものが好ましい。
ろ過後に得られた水酸化ニッケルは、乾燥後、酸化性雰囲気下、焙焼し酸化ニッケルとする。乾燥条件は、水分が蒸発できれば特に制限されず、80℃以上に加熱することが効率的である。その際、窒素ガスなどの不活性ガスを流通したり、減圧してもよい。また、酸化性雰囲気とは、酸素を5%以上含む気体であり、酸素のほかに窒素、炭酸ガスなどが含まれた混合ガス、例えば大気などが挙げられる。
焙焼時の温度条件は特に限定されないが、600℃以上とすることで、水酸化ニッケル二次粒子からHO、CO、NO、NOが生成し排出される。さらに高温とし800℃〜1000℃で水酸化ニッケルを焙焼すると、残存した塩素成分が蒸発し、高純度な酸化ニッケルを得やすい。800℃未満では残留塩素が多く、結晶性も低くなることがある。また、1000℃を超えると焙焼時間を短縮できる可能性はあるが、一般的に一次粒子が粗大化する問題があり、より好ましいのは850℃以上、950℃以下である。また、焙焼時間は、特に限定されないが、1〜5時間とすることができ、1〜3時間とすることが好ましい。焙焼工程から発生するNOxは、電解槽から出る水素により還元され無害化される。
得られる酸化ニッケルの粒径は、水酸化ニッケルの形態や焙焼条件などによって異なるので一概に規定できないが、一次粒子の平均粒径は0.1〜2.0μmとなる。好ましい酸化ニッケルの平均粒径は、0.3〜1.5μmである。粒子径が大きすぎる場合は、粉砕装置を用いた解砕工程を経ることで酸化ニッケルの微粉とすることができる。
このようにして得られた酸化ニッケルは、結晶性が高く、不純物金属や硫黄が非常に少なく、塩素も300質量ppm以下とすることができる。不純物金属や硫黄が非常に少なく、塩素が50質量ppm以下であれば、例えば固体酸化物燃料電池(SOFC)など燃料電池用の電極材料として好ましく使用される。
以下、実施例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
図2のような装置を用い、硝酸アンモニウム(0.6mol/L)と塩化アンモニウム(0.11mol/L)を含む電解液30LでpH値8、室温でアノードに電気ニッケル板(160mm×150mm×15mmt)をカソードにTi板(160mm×150mm×3mmt)2枚を用い、カソードをアノードの両側に50mm間隔で設置し、5A/dm(通電電流24A)で電解した。バブリングの条件は、吹き出し穴(2mmφ)から、カソードとアノードの間にそれぞれエアー(7.5L/min)を流して14時間電解した(電解電流1Aに対するバブリングの流量で約0.3L/min、電極幅1cmあたりのバブリングの流量で約0.5L/min)。この結果を図5の「エア撹拌」として示す。スタート時の電解液は、硝酸イオン濃度35000mg/L、溶存酸素量8.1mg/L、温度24.7℃であった。そして、14時間電解後は硝酸イオン濃度32000mg/L、溶存酸素量6.6mg/L、温度39.1℃であった。溶存酸素飽和度は98%とスタート時の高い状態を維持していた。また、水酸化ニッケル付着量は、アノードは19g、カソードには14g付着していた。
<比較例1>
バブリングをしない以外は実施例1と同様にして14時間電解した。この結果を図5の「通常撹拌」として示す。スタート時の電解液は、硝酸イオン35000mg/L、溶存酸素量8.1mg/L、温度24.6℃であった。一方、14時間電解後は硝酸イオン26071mg/L、溶存酸素量5.5mg/L、温度40.0℃と減少し、溶存酸素飽和度も85%まで低下していた。また、水酸化ニッケル付着量は、アノードは60g、カソードには56g付着していた。
本発明によって、電解槽の電導度を調整するための硝酸投入量を大きく削減でき、電極への水酸化ニッケルのスケール付着が回避され電解電圧の安定化およびカソードのメンテナンスが不要となり、効率的に水酸化ニッケルの電解製造が可能となる。また、本発明は、電解法による水酸化銅の製造にも水酸化銅が生成するpH条件下であれば応用が可能である。
1 電解槽
2 アノード
3 カソード
4 電解液
5 エアノズル

Claims (6)

  1. 水酸化ニッケルを電解法で製造する方法であって、
    アノードに金属ニッケルを用い、
    硝酸アンモニウムとハロゲン化アンモニウムとを含みpHが6以上の電解液を用い、
    前記電解液中に酸素を含む気体を供給しながら電解を行うことを特徴とする水酸化ニッケルの製造方法。
  2. 前記酸素を含む気体の供給をバブリングで行う請求項1に記載の水酸化ニッケルの製造方法。
  3. 前記酸素を含む気体の供給を前記アノードとカソードの間の電極下方から行う請求項1又は2に記載の水酸化ニッケルの製造方法。
  4. 前記酸素を含む気体の供給量が、電解電流1Aあたり0.1L/min以上である請求項1から3のいずれかに記載の水酸化ニッケルの製造方法。
  5. 前記電解液中の溶存酸素飽和度を90%以上とする請求項1から4のいずれかに記載の水酸化ニッケルの製造方法。
  6. 前記バブリングの気泡サイズは、1mm〜10mmφである請求項2から4のいずれかに記載の水酸化ニッケルの製造方法。
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