JP2015110239A - 摩擦接合方法、動翼の補修方法、摩擦接合装置、動翼及び拘束治具 - Google Patents

摩擦接合方法、動翼の補修方法、摩擦接合装置、動翼及び拘束治具 Download PDF

Info

Publication number
JP2015110239A
JP2015110239A JP2013253452A JP2013253452A JP2015110239A JP 2015110239 A JP2015110239 A JP 2015110239A JP 2013253452 A JP2013253452 A JP 2013253452A JP 2013253452 A JP2013253452 A JP 2013253452A JP 2015110239 A JP2015110239 A JP 2015110239A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
repair material
friction
base material
repair
moving blade
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013253452A
Other languages
English (en)
Inventor
月元 晃司
Koji Tsukimoto
晃司 月元
藤谷 泰之
Yasuyuki Fujitani
泰之 藤谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority to JP2013253452A priority Critical patent/JP2015110239A/ja
Publication of JP2015110239A publication Critical patent/JP2015110239A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Turbine Rotor Nozzle Sealing (AREA)
  • Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)

Abstract

【課題】補修作業を容易なものとし、母材と補修材とを好適に接合することができる摩擦接合方法等を提供する。【解決手段】摩擦接合方法は、補修対象となる動翼10のチップフィン24に対して補修材11を圧接させ、圧接させた補修材11をチップフィン24に対して直線往復運動させて、チップフィン24と補修材11との間に摩擦熱を発生させることで、チップフィン24及び補修材11を摩擦加熱して軟化させる摩擦加熱工程と、摩擦加熱工程後、チップフィン24に対して補修材11を摩擦加熱工程のときよりも圧接して、チップフィン24と補修材11とを接合する圧接工程とを備える。【選択図】図10

Description

本発明は、補修材を母材に摩擦圧接することで、補修材と母材とを接合する摩擦接合方法、動翼の補修方法、摩擦接合装置、動翼及び拘束治具に関するものである。
従来、金属材料の表面の欠損部に形成された溶射層に圧接させ、溶射層を摩擦することにより加熱して塑性流動させる回転工具と、回転工具を回転駆動させる駆動装置とから構成される金属材料の補修装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−311442号公報
しかしながら、特許文献1の補修装置では、金属材料の欠陥部に溶射層を形成するため、補修作業が煩雑となる。また、一般的な補修方法として、母材に形成される欠損部を肉盛溶接することで補修する場合がある。この場合、溶接によって母材が溶融することから、母材と肉盛溶接部との間で溶接割れが生じ易くなる。
そこで、本発明は、補修作業を容易なものとし、母材と補修材とを好適に接合することができる摩擦接合方法、動翼の補修方法、摩擦接合装置、動翼及び拘束治具を提供することを課題とする。
本発明の摩擦接合方法は、補修対象となる母材に対して補修材を圧接させ、圧接させた前記補修材を前記母材に対して直線往復運動させて、前記母材と前記補修材との間に摩擦熱を発生させることで、前記母材及び前記補修材を摩擦加熱して軟化させる摩擦加熱工程と、前記摩擦加熱工程後、前記母材に対して前記補修材を前記摩擦加熱工程のときよりも圧接して、前記母材と前記補修材とを接合する圧接工程と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、母材に対して補修材を直線往復運動させて、母材及び補修材を摩擦熱により加熱して軟化させることができる。このため、母材が融点に達する前に軟化させ、軟化した母材及び補修材を圧接して接合することができる。これにより、母材を溶融させることがないことから、溶接割れの発生を抑制することができる。また、従来のように母材に対して溶射を行う必要がないことから、補修作業を簡易なものとすることができる。
この場合、前記摩擦加熱工程では、軟化した前記母材及び前記補修材を圧接させることにより、前記母材及び前記補修材の一部を、前記母材と前記補修材との合わせ面となる接合界面の周囲にはみ出させることで、バリを形成することが好ましい。
この構成によれば、圧接工程において、接合界面の周囲にバリを形成した状態で、母材と補修材とを圧接することができる。このため、余剰部となるバリによって、母材と補修材との接合界面を広げることにより、接合界面における接合不良、特に接合界面の縁部における接合不良の発生を抑制できることから、母材と補修材とを好適に接合することができる。なお、バリは、摩擦接合後の後成形において除去される。
この場合、前記摩擦加熱工程では、前記母材に圧接される前記補修材の前記摩擦加熱工程の開始時における位置を基準位置とし、前記基準位置から前記補修材が前記母材へ近づく方向に所定の長さ分だけ移動するまで摩擦加熱を行うことで、前記バリを形成することが好ましい。
この構成によれば、基準位置に位置する補修材が所定の長さ分だけ母材側に近づく(移動する)ことで、接合界面の周囲のバリを好適に形成することができる。このとき、補修材の移動量を管理することで、バリを好適に形成することが可能となる。なお、好適なバリを形成するための最適な補修材の移動量(所定の長さ)は、予め実験等により求められる。
この場合、前記摩擦加熱工程では、前記接合界面が平坦になるまで摩擦加熱を行うことで、前記バリを形成することが好ましい。
この構成によれば、母材及び補修材の接触面が凹凸を有する場合であっても、母材に対して補修材を直線往復運動させることで、母材と補修材との接合界面を平坦にすることができ、また、接合界面が平坦となった状態でバリを形成することができる。
この場合、摩擦接合される前記母材及び前記補修材のうち、前記接合界面を挟んだ前記母材側には、摩擦加熱による熱影響部が形成されることが好ましい。
この構成によれば、接合界面を挟んだ母材に溶融部を形成することなく、母材に熱影響部を形成することができる。
この場合、前記母材及び前記補修材は、相互に接触するそれぞれの接触面が、平坦面となっていることが好ましい。
この構成によれば、母材及び補修材の相互の接触面を平坦面にすることができるため、母材及び補修材に複雑な加工を行う必要がなく、また、母材と補修材との接触面積を大きくすることができる。
この場合、前記母材及び前記補修材は、相互に接触するそれぞれの接触面の少なくとも一方が、凹凸形状となる摩擦面となっていることが好ましい。
この構成によれば、母材及び補修材の相互の接触面の少なくとも一方を摩擦面にすることができるため、摩擦加熱工程において、母材と補修材との間に摩擦熱を効率良く発生させることができる。なお、接触面の少なくとも一方を摩擦面とする場合、母材を平坦面に形成し、補修材を摩擦面に形成することがより好ましい。
この場合、前記摩擦加熱工程では、前記母材に対する前記補修材の圧力が、300MPaから400MPaの範囲内となっており、前記直線往復運動の周波数が、45Hzから75Hzの範囲内となっていることが好ましい。
この構成によれば、摩擦加熱工程において、母材に対して補修材を最適な圧力で圧接させ、また、母材に対して補修材を最適な周波数で直線往復運動を行うことができるため、母材及び補修材を効率良く摩擦加熱して軟化させることができる。
この場合、前記圧接工程では、前記母材に対する前記補修材の圧力が、300MPaから400MPaの範囲内となっていることが好ましい。
この構成によれば、圧接工程において、母材に対して補修材を最適な圧力で圧接させることができるため、母材に対して補修材を好適に接合することができる。
この場合、前記摩擦加熱工程では、開始時において、前記母材に対する前記補修材の前記直線往復運動による振幅を大きくし、前記母材に対する前記補修材の圧力を小さくし、前記直線往復運動の周波数を小さくする一方で、終了時において、前記母材に対する前記補修材の前記直線往復運動による振幅を小さくし、前記母材に対する前記補修材の圧力を大きくし、前記直線往復運動の周波数を大きくすることが好ましい。
この構成によれば、母材に対する補修材の直線往復運動が不安定となり易い、摩擦加熱工程の開始時においては、母材に対する補修材の直線往復運動による振幅を大きくすることで、摩擦熱の発生量(入熱量)を多くしつつ、母材に対する補修材の圧力を小さくし、直線往復運動の周波数を小さくすることで、母材に対する補修材の直線往復運動を安定させることができる。一方で、母材に対する補修材の直線往復運動が安定し易い、摩擦加熱工程の終了時においては、母材に対する補修材の直線往復運動による振幅を小さくすることで、母材に対する補修材の位置ずれを抑制しつつ、母材に対する補修材の圧力を大きくし、直線往復運動の周波数を大きくすることで、摩擦熱の発生量(入熱量)を多くすることができる。
この場合、前記補修材は、前記母材よりも強度が低いことが好ましい。
この構成によれば、母材と比べて補修材が軟化し易くなるため、摩擦加熱工程における母材の軟化による欠損を抑制することができる。
この場合、前記補修材は、前記母材側が低強度となる一方で、前記母材の反対側が高強度となることが好ましい。
この構成によれば、摩擦接合される補修材の母材の反対側を高強度にすることができるため、補修後の母材の経時的な欠損を抑制することができる。
本発明の動翼の補修方法は、上記の摩擦接合方法を用いた動翼の補修方法であって、欠損部が形成された前記母材となる前記動翼に対し、前記動翼の前記欠損部を成形加工して、前記補修材を接触させる接触面を形成する前成形工程と、成形後の前記動翼を固定すると共に、固定された前記動翼の前記接触面に対し、前記補修材が対向するように前記補修材を取り付ける取付工程と、取り付けた前記動翼と前記補修材とを前記摩擦接合方法によって摩擦接合する摩擦接合工程と、摩擦接合された前記動翼及び前記補修材の固定を解除して取り外す取外し工程と、前記動翼の前記欠損部を補修した形状となるように、摩擦接合された前記動翼及び前記補修材を成形する後成形工程と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、上記の摩擦接合方法を用いて動翼を補修することができるため、溶接割れの発生を抑制しつつ、動翼の補修作業を簡易なものとすることができる。
本発明の摩擦接合装置は、補修対象となる母材に対して補修材を押圧する押圧機構と、前記母材に対して前記補修材を直線往復運動させる振動機構と、前記押圧機構及び前記振動機構を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記押圧機構を制御して、前記母材に対して前記補修材を圧接させ、前記振動機構を制御して、圧接させた前記補修材を前記母材に対して直線往復運動させる摩擦加熱制御を実行し、摩擦加熱制御の実行後、前記母材に対して前記補修材を前記摩擦加熱制御時よりも圧接する圧接制御を実行することを特徴とする。
この構成によれば、制御部が押圧機構及び振動機構を制御して、摩擦加熱制御及び圧接制御を実行することで、母材及び補修材を摩擦接合することができる。このため、溶接割れの発生を抑制しつつ、母材の補修作業を簡易なものとすることができる。
本発明の動翼は、上記の摩擦接合方法を用いて補修された動翼であって、欠損部が形成された前記母材となる前記動翼と、前記動翼の前記欠損部に摩擦接合された前記補修材との合わせ面となる前記接合界面は、平坦となっていることを特徴とする。
この構成によれば、母材となる動翼に溶融部が形成されることなく、補修材が好適に摩擦接合された動翼を得ることができる。
本発明の拘束治具は、上記の摩擦接合方法を用いて補修される動翼を固定するための拘束治具であって、前記動翼は、ロータに取り付けられる基端側の翼根部と、前記翼根部から前記ロータの反対側となる先端側へ向かって長手方向に延びる翼形部と、前記翼形部の先端側に設けられるシュラウドと、前記シュラウドから先端側に突出して設けられるチップフィンと、を有し、前記翼根部を拘束する翼根部拘束部と、長手方向に直交する面において前記翼形部の周囲に設けられ、前記翼形部の周囲を拘束する翼形部拘束部と、長手方向に直交する面において前記シュラウドの周囲に設けられ、前記シュラウドの周囲を拘束する第1シュラウド拘束部と、前記シュラウドの基端側に設けられ、前記シュラウドを基端側から拘束する第2シュラウド拘束部と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、動翼を強固に固定することができるため、摩擦接合によって動翼に与えられる応力を抑制することができる。このため、母材となる動翼に対し、補修材を好適に摩擦接合することができる。
図1は、実施例1に係る摩擦接合方法によって補修される動翼の斜視図である。 図2は、実施例1に係る摩擦接合方法で用いられる拘束治具の一部を示す模式図である。 図3は、実施例1に係る摩擦接合方法で用いられる拘束治具の一部を示す模式図である。 図4は、実施例1に係る摩擦接合方法で用いられる拘束治具の一部を示す模式図である。 図5は、実施例1に係る摩擦接合方法で用いられる拘束治具の一部を示す模式図である。 図6は、実施例1に係る摩擦接合装置を模式的に示す概略構成図である。 図7は、実施例1に係る摩擦接合装置の保持部を模式的に示す斜視図である。 図8は、実施例1に係る摩擦接合装置によって行われる直線往復運動を表す説明図である。 図9は、摩擦加熱された動翼及び補修材を示す模式図である。 図10は、実施例1に係る摩擦接合方法を用いた動翼の補修方法に関する説明図である。 図11は、実施例2に係る摩擦接合方法で用いられる補修材を示す模式図である。 図12は、実施例3に係る摩擦接合方法で用いられる補修材を示す模式図である。 図13は、実施例4に係る摩擦接合装置によって行われる直線往復運動を表す説明図である。
以下に、本発明に係る実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、実施例1に係る摩擦接合方法によって補修される動翼の斜視図である。図2から図5は、実施例1に係る摩擦接合方法で用いられる拘束治具の一部を示す模式図である。図6は、実施例1に係る摩擦接合装置を模式的に示す概略構成図である。図7は、実施例1に係る摩擦接合装置の保持部を模式的に示す斜視図である。図8は、実施例1に係る摩擦接合装置によって行われる直線往復運動を表す説明図である。図9は、摩擦加熱された動翼及び補修材を示す模式図である。図10は、実施例1に係る摩擦接合方法を用いた動翼の補修方法に関する説明図である。
実施例1の摩擦接合方法は、動翼10を補修する動翼10の補修方法に適用され、母材としての動翼10の欠損部に対して、補修材11を摩擦接合することで、動翼10の補修を行っている。先ず、実施例1の摩擦接合方法の説明に先立ち、図1を参照して、動翼10について説明する。
図1に示すように、動翼10は、例えば、ガスタービンのロータに取り付けられる動翼10であり、ニッケル基合金等を用いて構成されている。動翼10は、基端側であるロータ側から順に、翼根部21と、翼形部22と、シュラウド23と、チップフィン24とを含んで構成されている。翼根部21は、例えば、ツリー形状となっており、ロータに取り付けられる部位となっている。翼形部22は、翼根部21の先端側に設けられており、翼根部21から先端側へ向かって長手方向に延びて形成されている。翼形部22は、その周面が翼面となっており、この翼面に、ガスタービンで燃焼される燃焼ガスが吹き当たる。シュラウド23は、翼形部22の先端側に設けられ、ロータの回転方向(周方向)に延びて形成されており、隣接する他の動翼10のシュラウド23に連結可能となっている。チップフィン24は、シュラウド23から先端側に突出して設けられている。チップフィン24は、周方向に延びる薄板のフィン形状となっている。
上記の動翼10において、チップフィン24は、燃焼ガスが流通する図示しない分割環の内周面に対向して設けられている。このとき、動翼10は、燃焼ガスによって熱延びすることで、回転部材となる動翼10のチップフィン24が、固定部材となる分割環に対して摺接し、チップフィン24の先端が欠損する場合がある。この場合、動翼10のチップフィン24における欠損部を補修するために、摩擦接合方法を用いた動翼10の補修方法を行っている。
次に、図2から図5を参照して、摩擦接合方法で用いられる動翼10を固定するための拘束治具30について説明する。この拘束治具30は、補修材11の摩擦接合時において動翼10に与えられる荷重に抗するように動翼10を固定する。拘束治具30は、翼根部21を拘束する翼根部拘束部31と、翼形部22を拘束する翼形部拘束部32と、シュラウド23を拘束する第1シュラウド拘束部33及び第2シュラウド拘束部34と、を含んで構成されている。
図2に示すように、翼根部拘束部31は、ツリー形状に形成される翼根部21を、周方向の両側から挟み込むように設けられる一対の翼根部拘束部材31a,31bを有している。一対の翼根部拘束部材31a,31bは、その当接面が、翼根部21の形状と相補的形状となっている。つまり、一対の翼根部拘束部材31a,31bのうち、一方の翼根部拘束部材31aは、その当接面が、翼根部21の周方向の一方側の形状と相補的形状となっており、他方の翼根部拘束部材31bは、その当接面が、翼根部21の周方向の他方側の形状と相補的形状となっている。このため、一対の翼根部拘束部材31a,31bは、翼根部21の周方向の両側から、翼根部21の形状に合致させて挟み込むことで、翼根部21を拘束する。
図3に示すように、翼形部拘束部32は、翼形部22(動翼10)の長手方向に直交する断面において翼形部22の周囲に設けられている。具体的に、翼形部拘束部32は、翼形部22の湾曲する表裏の翼面に当接して、翼形部22の表側及び裏側から挟み込むように設けられる一対の翼形部拘束部材32a,32bを有している。一対の翼形部拘束部材32a,32bは、その当接面が、翼形部22の形状と相補的形状となっている。つまり、一対の翼形部拘束部材32a,32bのうち、一方の翼形部拘束部材32aは、その当接面が、翼形部22の湾曲する表側(腹側)の形状と相補的形状となっており、他方の翼形部拘束部材32bは、その当接面が、翼形部22の湾曲する裏側(背側)の形状と相補的形状となっている。このため、一対の翼形部拘束部材32a,32bは、翼形部22の表側及び裏側から、翼形部22の形状に合致させて挟み込むことで、翼形部22を拘束する。
図4に示すように、第1シュラウド拘束部33は、動翼10の長手方向に直交する平面において、シュラウド23の周囲に設けられている。具体的に、第1シュラウド拘束部33は、平面において、シュラウド23の周方向における左右両側面に当接する一対の左右側当接部材33a,33bと、シュラウド23の周方向に直交する前後方向における前後両側面に当接する一対の前後側当接部材33c,33dとを有している。一対の左右側当接部材33a,33bは、その当接面が、シュラウド23の左右両側面の形状と相補的形状となっている。つまり、一対の左右側当接部材33a,33bのうち、左側当接部材33aは、その当接面が、シュラウド23の湾曲(または傾斜)する左側面の形状と相補的形状となっており、右側当接部材33bは、その当接面が、シュラウド23の湾曲(または傾斜)する右側面の形状と相補的形状となっている。
一対の前後側当接部材33c,33dは、シュラウド23の前側面及び後側面に対して当接する複数の接触子を有し、複数の接触子は、シュラウド23の前後両側面の形状に応じた高さとなっており、シュラウド23の前後両側面に沿って並べて設けられている。つまり、一対の前後側当接部材33c,33dのうち、前側当接部材33cは、複数の接触子が、シュラウド23の前側面に当接することで、シュラウド23の湾曲する前側面の形状に倣って当接し、後側当接部材33dは、複数の接触子が、シュラウド23の後側面に当接することで、シュラウド23の湾曲する後側面の形状に倣って当接する。
このため、一対の左右側当接部材33a,33b及び一対の前後側当接部材33c,33dは、平面において、シュラウド23の前後左右の四方から挟み込むことで、シュラウド23を拘束する。
図5に示すように、第2シュラウド拘束部34は、シュラウド23の基端側に設けられ、圧接される補修材からの圧力に抗して設けられている。具体的に、第2シュラウド拘束部34は、シュラウド23の基端側の面に当接して、翼形部22の表側及び裏側からシュラウド23を支持するように設けられる一対の支持部材34a,34bを有している。一対の支持部材34a,34bのうち、一方の支持部材34aは、シュラウド23の基端側の前面に当接し、他方の支持部材34bは、シュラウド23の基端側の後面に当接する。このため、一対の支持部材34a,34bは、シュラウド23の基端側の前面及び後面を支持することで、シュラウド23を拘束する。
拘束治具30によって拘束された動翼10は、そのチップフィン24の先端側に補修材11が圧接され、圧接した補修材11が直線往復運動させられることで、補修材11が摩擦接合される。
次に、図6及び図7を参照して、動翼10に補修材11を摩擦接合する摩擦接合装置50について説明する。摩擦接合装置50は、保持部51と、振動機構52と、三軸移動機構53と、制御部54とを備えている。補修材11は、動翼10のチップフィン24に沿って延在する長方体形状に形成されている。なお、補修材11は、動翼10と同じ材料を用いて構成されており、例えば、ニッケル基合金で構成されている。
保持部51は、補修材11を保持可能となっており、保持部51により保持された補修材11は、動翼10のチップフィン24に対向するように配置される。図7に示すように、保持部51は、補修材11の長手方向の両端側から挟持する挟持部材56と、挟持部材56によって挟持された補修材11の両側に設けられる一対の支持板57a,57bとを含んで構成されている。
挟持部材56は、動翼10のチップフィン24と対向する面に、凹状の窪みが形成されており、この窪みに、補修材11が収容される。そして、挟持部材56は、その窪みに補修材11を収容した状態で、補修材11の長手方向の両側を挟み込んでいる。一対の支持板57a,57bは、挟持部材56によって挟み込まれた補修材11の両側面をそれぞれ支持する部材であり、補修材11の両側面に当接された状態で、補修材11と共に挟持部材56によって挟持される。これにより、補修材11は、挟持部材56及び一対の支持板57a,57bによって、チップフィン24と対向する面以外の面が覆われた状態で、保持される。
再び、図6を参照し、振動機構52は、保持部51と連結可能となっており、保持部51に保持された補修材11が、対向する動翼10のチップフィン24上で、直線往復運動が可能な機構となっている。この振動機構53は、例えば、アクチュエータにより振動する振動軸を含む構成となっており、制御部54に接続されている。このため、制御部54は、振動機構52を制御することで、動翼10に対する補修材11の直線往復運動を制御することが可能となっている。
三軸移動機構53は、X軸移動機構53a、Y軸移動機構53b及びZ軸移動機構53cを含む移動機構となっている。Y軸移動機構53bは、基台59上に立設した一対の脚部58上をY方向に移動可能な機構となっている。X軸移動機構53aは、Y軸移動機構53b上をX方向に移動可能な機構となっている。Z軸移動機構53cは、X軸移動機構53aの一端に連結され、Z方向に移動可能な構成となっている。このZ軸移動機構53cには、振動機構52が連結されており、振動機構52をZ方向に移動可能となっている。このため、Z軸移動機構53cは、振動機構52を押圧する押圧機構として機能することから、保持部51に保持された補修材11を、対向する動翼10のチップフィン24に対して押圧可能となっている。また、三軸移動機構53のX軸移動機構53a、Y軸移動機構53b及びZ軸移動機構53cは、制御部54にそれぞれ接続されており、制御部54は、X軸移動機構53a及びY軸移動機構53bを制御することで、動翼10のチップフィン24に対する補修材11の位置を制御することが可能となっている。また、制御部54は、Z軸移動機構53cを制御することで、動翼10のチップフィン24に対する補修材11の押圧を制御することが可能となっている。
制御部54は、振動機構52及び三軸移動機構53にそれぞれ接続され、振動機構52及び三軸移動機構53をそれぞれ制御している。制御部54は、振動機構52及び三軸移動機構53をそれぞれ制御することで、摩擦加熱制御及び圧接制御を実行可能となっている。そして、制御部54は、摩擦加熱制御及び圧接制御を実行することで、動翼10のチップフィン24に補修材11を摩擦接合している。
具体的に、制御部54は、摩擦加熱制御を実行すると、Z軸移動機構53cを制御して、保持部51に保持された補修材11をチップフィン24に圧接し、振動機構52を制御して、保持部51に保持された補修材11をチップフィン24に対して直線往復運動させる。このとき、制御部54は、摩擦加熱制御の開始時においてチップフィン24と補修材11とが接触する位置を基準位置とし、基準位置から補修材11が動翼10に近づく方向に所定の長さ分だけ移動したら、摩擦加熱制御の実行を停止し、圧接制御へ移行する。
制御部54は、圧接制御を実行すると、振動機構52を制御して、保持部51に保持された補修材11の直線往復運動を停止させ、Z軸移動機構53cを制御して、保持部51に保持された補修材11をチップフィン24に圧接する。このとき、制御部54は、圧接制御時における補修材11の圧接が、摩擦加熱制御時における圧接よりも大きな圧力となるように制御する。
次に、図8を参照して、摩擦加熱制御及び圧接制御の実行時における摩擦接合装置50の運転について説明する。ここで、図8に示す上方のグラフは、振動機構52により直線往復運動する補修材11の振幅に関するグラフであり、縦軸が振幅、横軸が時間となっている。補修材11の振幅とは、チップフィン24上に沿って移動する補修材11の移動量である。このため、補修材11の振幅が大きければ、補修材11がチップフィン24に対して大きくスライドする一方で、補修材11の振幅が小さければ、補修材11がチップフィン24に対して小さくスライドする。図8に示す中央のグラフは、振動機構52により直線往復運動する補修材11の周波数に関するグラフであり、縦軸が周波数、横軸が時間となっている。補修材11の周波数とは、チップフィン24上に沿って移動する補修材11の単位時間あたりにおける往復回数である。このため、補修材11の周波数が大きければ、補修材11の往復回数が多くなる一方で、補修材11の周波数が小さければ、補修材11の往復回数が少なくなる。図8に示す下方のグラフは、Z軸移動機構53cにより押圧される補修材11の動翼10への圧力に関するグラフであり、縦軸が圧力、横軸が時間となっている。このため、補修材11の動翼10への圧力が大きければ、チップフィン24に対する補修材11の荷重が大きくなる一方で、補修材11の動翼10への圧力が小さければ、チップフィン24に対する補修材11の荷重が小さくなる。
摩擦接合装置50において、制御部54は、先ず、摩擦加熱制御を実行した後、圧接制御を実行する。ここで、摩擦加熱制御は、時間T1から時間T2までの間に実行され、圧接制御は、時間T2から時間T3までの間に実行される。なお、時間T1までの間は、摩擦加熱制御を行うまでの起動時間となっている。制御部54は、摩擦加熱制御を実行すると、Z軸移動機構53cによる補修材11の圧力を、所定の圧力Paとなるように制御する。所定の圧力Paは、例えば、150MPaから250MPaの範囲内となっている。また、制御部54は、摩擦加熱制御を実行すると、振動機構52による補修材11の振幅を、所定の振幅となるように制御すると共に、所定の周波数となるように制御する。所定の周波数は、例えば、45Hzから75Hzの範囲内となっている。さらに、制御部54は、摩擦加熱制御の実行時間を所定の時間としている。所定の時間は、すなわち時間T1から時間T2までの時間は、10秒から25秒の範囲内となっている。上記の圧力、周波数、振幅及び時間は、動翼10及び補修材11が、ニッケル基合金を用いた同じ材料のときに、効率良く材料を軟化させるための最適な値となっている。
この後、制御部54は、圧接制御を実行すると、振動機構52による補修材11の直線往復運動の実行を停止することから、補修材11の振幅及び周波数は0となる。一方で、制御部54は、圧接制御を実行すると、Z軸移動機構53cによる補修材11の圧力を、摩擦加熱制御時の圧力よりも大きな所定の圧力Pbとなるように制御する。所定の圧力Pbは、例えば、300MPaから400MPaの範囲内となっている。また、制御部54は、圧接制御の実行時間を所定の時間としている。所定の時間は、すなわち時間T2から時間T3までの時間は、15秒から25秒の範囲内となっている。
ここで、図9を参照して、摩擦加熱制御を実行することで摩擦加熱された動翼10及び補修材11について説明する。図9に示すように、摩擦加熱された動翼10のチップフィン24及び補修材11は、融点に達する前に軟化する。軟化したチップフィン24及び補修材11の一部は、チップフィン24と補修材11との合わせ面となる接合界面F内において周囲にはみ出ることで、バリBが形成される。つまり、バリBは、軟化したチップフィン24の一部(先端部)が接合界面Fからはみ出ることで形成されるフィン側バリBaと、軟化した補修材11の一部(基端部)が接合界面Fからはみ出ることで形成される補修材側バリBbとを含むものとなっている。このフィン側バリBa及び補修材側バリBbは、チップフィン24の厚みDよりも両外側に延在するように形成され、つまり、チップフィン24の厚みDを覆うように広がって形成される。このように、フィン側バリBa及び補修材側バリBbを形成することで、接合界面Fをチップフィン24の厚みDよりも両外側に広げて形成することができる。
上記のバリBを形成する場合、摩擦加熱制御の開始時においてチップフィン24と補修材11とが接触する位置を基準位置P1とし、基準位置P1から補修材11が動翼10に近づく方向に所定の長さL分だけ移動させることで、所定のバリBを形成している。また、上記のバリBを形成する場合、摩擦加熱制御の実行時において、接合界面Fが平坦になるまで摩擦加熱を行っている。このため、好適なバリBを形成すると共に接合界面Fを平坦に形成するための最適な長さL(補修材11の移動量)は、予め実験等により求められる。そして、補修材11の移動量(長さL)を管理しながら、補修材11を圧接しつつ直線往復運動させることで、バリBを好適に形成することができる。このとき、摩擦接合される動翼10及び補修材11のうち、接合界面Fを挟んで動翼10のチップフィン24側と補修材11側とには、摩擦加熱による熱影響部Hが形成される。
次に、図10を参照して、摩擦接合装置50を用いた摩擦接合方法を含む動翼10の補修方法について説明する。ここで、補修対象となる動翼10のチップフィン24には、欠損部24aが形成されている(ステップS1)。この動翼10に対し、動翼10の欠損部24aを成形加工する前成形工程を行う(ステップS2)。前成形工程S2では、チップフィン24の先端側に形成された欠損部24aを、放電加工等によって平坦面に成形する。この成形された平坦面が、補修材11が接触する接触面となる。続いて、成形加工された動翼10は、拘束治具30を用いて拘束すると共に、拘束された動翼10の接触面に対して補修材11が対向するように、摩擦接合装置50の保持部51に補修材11を取り付ける(ステップS3:取付工程)。
取付工程S3後、摩擦接合装置50によって、補修材11をチップフィン24の接触面に圧接し、圧接した補修材11をチップフィン24の接触面に、直線往復運動させて摺動させることで、チップフィン24及び補修材11を摩擦加熱し(摩擦加熱工程)、この後、軟化したチップフィン24及び補修材11を圧接する(圧接工程)ことで、チップフィン24及び補修材11を摩擦接合する(ステップS4:摩擦接合工程)。そして、摩擦接合された動翼10及び補修材11は、摩擦接合装置50の保持部51による補修材11の保持が解除されると共に、拘束治具30による動翼10の拘束が解除された後、摩擦接合装置50及び拘束治具30から取り外される(ステップS5:取外し工程)。この後、取り外された動翼10及び補修材11は、欠損部24aを補修した所定の形状に成形される(ステップS6:後成形工程)。
上記の動翼10の補修方法によって補修された動翼10は、その接合界面Fが平坦面となる。また、補修された動翼10は、接合界面Fを挟んでチップフィン24側と補修材11側とに、熱影響部Hが形成される。
以上のように、実施例1の構成によれば、動翼10に対して補修材11を直線往復運動させて、動翼10及び補修材11を摩擦熱により加熱して軟化させることができる。このため、動翼10が融点に達する前に軟化させ、軟化した動翼10及び補修材11を圧接して接合することができる。これにより、動翼10を溶融させることがないことから、溶接割れの発生を抑制することができる。また、動翼10及び補修材11を摩擦加熱して圧接することで、動翼10及び補修材11を摩擦接合することができるため、動翼10の補修作業を簡易なものとすることができる。
また、実施例1の構成によれば、圧接工程において、接合界面Fの周囲にバリBを形成した状態で、動翼10と補修材11とを圧接することができる。このため、余剰部となるバリBによって、動翼10と補修材11との接合界面Fを広くすることができ、接合界面Fの縁部における接合不良の発生を抑制できることから、動翼10と補修材11とを好適に接合することができる。
また、実施例1の構成によれば、基準位置P1に位置する補修材11を、所定の長さL分だけ動翼10側へ移動させることで、接合界面Fの周囲のバリBを好適に形成することができる。このとき、補修材11の移動量を管理することで、バリBを好適に形成することができる。
また、実施例1の構成によれば、動翼10及び補修材11の接合界面Fを平坦にしつつ、バリBを形成することができるため、接合界面Fの周囲にバリBを好適に形成することができる。
また、実施例1の構成によれば、接合界面Fを挟んだ動翼10に溶融部を形成することなく、動翼10と補修材11とに熱影響部Hを形成することができる。
また、実施例1の構成によれば、動翼10及び補修材11の相互の接触面を平坦面にすることができるため、動翼10及び補修材11に複雑な加工を行う必要がなく、また、動翼10と補修材11との接触面積を大きくすることができる。
また、実施例1の構成によれば、摩擦加熱工程(摩擦加熱制御)において、動翼10に対する補修材11の圧力を、150MPaから250MPaの範囲内とし、直線往復運動の周波数を、45Hzから75Hzの範囲内とすることができる。このため、動翼10に対して補修材11を最適な圧力で圧接させることができる。また、動翼10に対して補修材11を最適な周波数で直線往復運動を行うことができる。このため、動翼10及び補修材を効率良く摩擦加熱して軟化させることができる。
なお、実施例1では、補修材11を、動翼10と同じ材料となるニッケル基合金を用いて構成したが、この構成に限定されない。補修材11は、動翼10よりも強度が低いものを適用してもよく、例えば、動翼10よりも強度の低い異なる種類のニッケル基合金を用いてもよい。具体的に、例えば、動翼10が、MGA1400の材料である場合には、補修材11は、例えば、MGA2400、IN939等の材料が用いられる。この構成によれば、動翼10と比べて補修材11が軟化し易くなるため、摩擦加熱工程において、動翼10のチップフィン24が軟化して突出方向における長さが短くなってしまうことを抑制することができる。
次に、図11を参照して、実施例2に係る摩擦接合方法について説明する。図11は、実施例2に係る摩擦接合方法で用いられる補修材を示す模式図である。なお、実施例2では、重複した記載を避けるべく、実施例1と異なる部分について説明し、実施例1と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。実施例2に係る摩擦接合方法では、使用する補修材11が、実施例1と異なる構成となっている。
図11に示すように、実施例2の摩擦接合方法で用いられる補修材61は、動翼10側(基端側)における部位が動翼10よりも低強度となる一方で、動翼10の反対側(先端側)の部位が動翼10よりも高強度となっている。具体的に、補修材61は、長方体形状の本体62と、本体62の先端側の面に形成される硬質層体63とを含んで構成されている。本体62は、動翼10よりも低強度の材料を用いて構成され、その基端側の面が動翼10のチップフィン24に接触する面となっている。硬質層体63は、動翼10及び本体62よりも高強度の材料を用いて構成され、その先端側の面が、対向する分割環に対向する面となる。硬質層体63は、例えば、厚さがほぼ0.3mm〜2.0mmとなっており、CBN焼結体を用いて、ロウ付等によって本体62に接合される。なお、補修材61は、後成形工程S6において硬質層体63が残存するような大きさとなっている。
以上のように、実施例2の構成によれば、摩擦接合される補修材61の先端側を高強度の硬質層体63にすることができるため、補修後の動翼10においてチップフィン24の経時的な欠損を抑制することができる。
次に、図12を参照して、実施例3に係る摩擦接合方法について説明する。図12は、実施例3に係る摩擦接合方法で用いられる補修材を示す模式図である。実施例3でも、重複した記載を避けるべく、実施例1及び2と異なる部分について説明し、実施例1及び2と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。実施例3に係る摩擦接合方法では、使用する補修材71が、実施例1及び実施例2と異なる構成となっている。
図12に示すように、実施例3の摩擦接合方法で用いられる補修材71は、動翼10側(基端側)の面が摩擦面となっている。具体的に、補修材71は、動翼10のチップフィン24と接触する接触面が凹凸形状となる摩擦面となっている。一方で、動翼10のチップフィン24は、補修材71と接触する接触面が平坦面となっている。
以上のように、実施例3の構成によれば、補修材71の接触面を摩擦面にすることができるため、摩擦加熱工程(摩擦加熱制御時)において、動翼10と補修材71との間に摩擦熱を効率良く発生させることができる。
なお、実施例3では、補修材71の接触面を摩擦面としたが、動翼10のチップフィン24の接触面を摩擦面としてもよい。つまり、動翼10及び補修材71の相互の接触面の少なくとも一方を摩擦面にすれば、特に実施例3の構成に限定されない。
次に、図13を参照して、実施例4に係る摩擦接合方法について説明する。図13は、実施例4に係る摩擦接合装置によって行われる直線往復運動を表す説明図である。実施例4でも、重複した記載を避けるべく、実施例1から3と異なる部分について説明し、実施例1から3と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。実施例4に係る摩擦接合方法では、摩擦接合装置50による運転が、実施例1と異なる運転となっている。
ここで、図13に示す上方、中央及び下方のグラフは、図8と同様であるため、説明を省略する。摩擦接合装置50の制御部54は、時間T1から時間T2までの間に実行される摩擦加熱制御において、時間T1における補修材11の圧力を、所定の圧力の範囲内で小さくする一方で、時間T2へ向かうにつれて、所定の圧力の範囲内で大きくする。また、制御部54は、摩擦加熱制御において、時間T1における補修材11の振幅を大きくする一方で、時間T2へ向かうにつれて所定の振幅となるように、補修材11の振幅を小さくする。さらに、制御部54は、摩擦加熱制御において、時間T1における補修材11の周波数を、所定の周波数の範囲内で小さくする一方で、時間T2へ向かうにつれて、所定の周波数の範囲内で大きくする。
なお、制御部54は、時間T2から時間T3までの間に実行される圧接制御を実施例1と同様としている。つまり、制御部54は、圧接制御において、振動機構52による補修材11の直線往復運動の実行を停止することから、補修材11の振幅及び周波数は0となる。一方で、制御部54は、圧接制御において、Z軸移動機構53cによる補修材11の圧力を、摩擦加熱制御時の圧力よりも大きな所定の圧力となるように制御する。
以上のように、実施例4の構成によれば、動翼10に対する補修材11の直線往復運動が不安定となり易い、摩擦加熱工程(摩擦加熱制御)の開始時においては、動翼10に対する補修材11の直線往復運動による振幅を大きくすることで、摩擦熱の発生量(入熱量)を多くしつつ、動翼10に対する補修材11の圧力を小さくし、直線往復運動の周波数を小さくすることで、動翼10に対する補修材11の直線往復運動を安定させることができる。一方で、動翼10に対する補修材11の直線往復運動が安定し易い、摩擦加熱工程(摩擦加熱制御)の終了時においては、動翼10に対する補修材11の直線往復運動による振幅を小さくすることで、動翼10に対する補修材11の位置ずれを抑制しつつ、動翼10に対する補修材11の圧力を大きくし、直線往復運動の周波数を大きくすることで、摩擦熱の発生量(入熱量)を多くすることができる。
なお、実施例1から4では、摩擦接合方法を、動翼10の補修方法の摩擦接合工程に適用したが、動翼10以外の母材に対し補修材11,61,71を摩擦接合する方法(工程)であれば、特に限定されない。
10 動翼
11 補修材
21 翼根部
22 翼形部
23 シュラウド
24 チップフィン
24a 欠損部
30 拘束治具
31 翼根部拘束部
32 翼形部拘束部
33 第1シュラウド拘束部
34 第2シュラウド拘束部
50 摩擦接合装置
51 保持部
52 振動機構
53 三軸移動機構
54 制御部
61 補修材(実施例2)
62 本体
63 硬質層体
71 補修材(実施例3)
F 接合界面
B バリ
Ba フィン側バリ
Bb 補修材側バリ
D チップフィンの厚み
P1 基準位置
L 長さ
H 熱影響部

Claims (16)

  1. 補修対象となる母材に対して補修材を圧接させ、圧接させた前記補修材を前記母材に対して直線往復運動させて、前記母材と前記補修材との間に摩擦熱を発生させることで、前記母材及び前記補修材を摩擦加熱して軟化させる摩擦加熱工程と、
    前記摩擦加熱工程後、前記母材に対して前記補修材を前記摩擦加熱工程のときよりも圧接して、前記母材と前記補修材とを接合する圧接工程と、を備えることを特徴とする摩擦接合方法。
  2. 前記摩擦加熱工程では、軟化した前記母材及び前記補修材を圧接させることにより、前記母材及び前記補修材の一部を、前記母材と前記補修材との合わせ面となる接合界面の周囲にはみ出させることで、バリを形成することを特徴とする請求項1に記載の摩擦接合方法。
  3. 前記摩擦加熱工程では、前記母材に圧接される前記補修材の前記摩擦加熱工程の開始時における位置を基準位置とし、前記基準位置から前記補修材が前記母材へ近づく方向に所定の長さ分だけ移動するまで摩擦加熱を行うことで、前記バリを形成することを特徴とする請求項2に記載の摩擦接合方法。
  4. 前記摩擦加熱工程では、前記接合界面が平坦になるまで摩擦加熱を行うことで、前記バリを形成することを特徴とする請求項2または3に記載の摩擦接合方法。
  5. 摩擦接合される前記母材及び前記補修材のうち、前記接合界面を挟んだ前記母材側及び前記補修材側には、摩擦加熱による熱影響部が形成されることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の摩擦接合方法。
  6. 前記母材及び前記補修材は、相互に接触するそれぞれの接触面が、平坦面となっていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の摩擦接合方法。
  7. 前記母材及び前記補修材は、相互に接触するそれぞれの接触面の少なくとも一方が、凹凸形状となる摩擦面となっていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の摩擦接合方法。
  8. 前記摩擦加熱工程では、前記母材に対する前記補修材の圧力が、150MPaから250MPaの範囲内となっており、前記直線往復運動の周波数が、45Hzから75Hzの範囲内となっていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の摩擦接合方法。
  9. 前記圧接工程では、前記母材に対する前記補修材の圧力が、300MPaから400MPaの範囲内となっていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の摩擦接合方法。
  10. 前記摩擦加熱工程では、開始時において、前記母材に対する前記補修材の前記直線往復運動による振幅を大きくし、前記母材に対する前記補修材の圧力を小さくし、前記直線往復運動の周波数を小さくする一方で、終了時において、前記母材に対する前記補修材の前記直線往復運動による振幅を小さくし、前記母材に対する前記補修材の圧力を大きくし、前記直線往復運動の周波数を大きくすることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の摩擦接合方法。
  11. 前記補修材は、前記母材よりも強度が低いことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の摩擦接合方法。
  12. 前記補修材は、前記母材側が低強度となる一方で、前記母材の反対側が高強度となることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の摩擦接合方法。
  13. 請求項1から12のいずれか1項に記載の摩擦接合方法を用いた動翼の補修方法であって、
    欠損部が形成された前記母材となる前記動翼に対し、前記動翼の前記欠損部を成形加工して、前記補修材を接触させる接触面を形成する前成形工程と、
    成形後の前記動翼を固定すると共に、固定された前記動翼の前記接触面に対し、前記補修材が対向するように前記補修材を取り付ける取付工程と、
    取り付けた前記動翼と前記補修材とを前記摩擦接合方法によって摩擦接合する摩擦接合工程と、
    摩擦接合された前記動翼及び前記補修材の固定を解除して取り外す取外し工程と、
    前記動翼の前記欠損部を補修した状態となるように、摩擦接合された前記動翼及び前記補修材を成形する後成形工程と、を備えることを特徴とする動翼の補修方法。
  14. 補修対象となる母材に対して補修材を押圧する押圧機構と、
    前記母材に対して前記補修材を直線往復運動させる振動機構と、
    前記押圧機構及び前記振動機構を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記押圧機構を制御して、前記母材に対して前記補修材を圧接させ、前記振動機構を制御して、圧接させた前記補修材を前記母材に対して直線往復運動させる摩擦加熱制御を実行し、摩擦加熱制御の実行後、前記母材に対して前記補修材を前記摩擦加熱制御時よりも圧接する圧接制御を実行することを特徴とする摩擦接合装置。
  15. 請求項1から12のいずれか1項に記載の摩擦接合方法を用いて補修された動翼であって、
    欠損部が形成された前記母材となる前記動翼と、前記動翼の前記欠損部に摩擦接合された前記補修材との合わせ面となる前記接合界面は、平坦となっていることを特徴とする動翼。
  16. 請求項1から12のいずれか1項に記載の摩擦接合方法を用いて補修される動翼を固定するための拘束治具であって、
    前記動翼は、
    ロータに取り付けられる基端側の翼根部と、
    前記翼根部から前記ロータの反対側となる先端側へ向かって長手方向に延びる翼形部と、
    前記翼形部の先端側に設けられるシュラウドと、
    前記シュラウドから先端側に突出して設けられるチップフィンと、を有し、
    前記翼根部を拘束する翼根部拘束部と、
    長手方向に直交する面において前記翼形部の周囲に設けられ、前記翼形部の周囲を拘束する翼形部拘束部と、
    長手方向に直交する面において前記シュラウドの周囲に設けられ、前記シュラウドの周囲を拘束する第1シュラウド拘束部と、
    前記シュラウドの基端側に設けられ、前記シュラウドを基端側から拘束する第2シュラウド拘束部と、を備えることを特徴とする拘束治具。
JP2013253452A 2013-12-06 2013-12-06 摩擦接合方法、動翼の補修方法、摩擦接合装置、動翼及び拘束治具 Pending JP2015110239A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013253452A JP2015110239A (ja) 2013-12-06 2013-12-06 摩擦接合方法、動翼の補修方法、摩擦接合装置、動翼及び拘束治具

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013253452A JP2015110239A (ja) 2013-12-06 2013-12-06 摩擦接合方法、動翼の補修方法、摩擦接合装置、動翼及び拘束治具

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015110239A true JP2015110239A (ja) 2015-06-18

Family

ID=53525565

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013253452A Pending JP2015110239A (ja) 2013-12-06 2013-12-06 摩擦接合方法、動翼の補修方法、摩擦接合装置、動翼及び拘束治具

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015110239A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021003714A (ja) * 2019-06-26 2021-01-14 国立大学法人 東京大学 線形摩擦接合方法
CN114918527A (zh) * 2022-05-20 2022-08-19 中国航空制造技术研究院 一种长叶片的线性摩擦焊接夹紧装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021003714A (ja) * 2019-06-26 2021-01-14 国立大学法人 東京大学 線形摩擦接合方法
CN114918527A (zh) * 2022-05-20 2022-08-19 中国航空制造技术研究院 一种长叶片的线性摩擦焊接夹紧装置
CN114918527B (zh) * 2022-05-20 2023-04-14 中国航空制造技术研究院 一种长叶片的线性摩擦焊接夹紧装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5853405B2 (ja) 摩擦接合方法及び接合構造体
US8393522B2 (en) Joining method and joining tool
US7353978B2 (en) Method of making tailored blanks using linear friction welding
CA3042636C (en) Linear friction welding apparatus and method
US20090113708A1 (en) Method for joining components
JP2014532566A (ja) 超合金のプロジェクション抵抗溶接
JP2015108338A (ja) 一体型翼車の線形摩擦接合装置用治具ユニット
US9085042B2 (en) Stud welding repair of superalloy components
JP2015110239A (ja) 摩擦接合方法、動翼の補修方法、摩擦接合装置、動翼及び拘束治具
US8651361B1 (en) Method for angular oscillation friction welding to an axially symmetric weld surface
JP6065925B2 (ja) ヒートシンクの製造方法及びヒートシンク
JP6724711B2 (ja) 金型の造形方法
KR101266256B1 (ko) 레이저 접합방법
JP6984418B2 (ja) ブリスクの製作方法及び装置
US7410089B2 (en) Method of making aerofoil blisks
JP2022538804A (ja) 長さに沿って溶接を形成するためのシステム及び方法
JP6677902B2 (ja) タービンブレード用素材の製造方法
US9333589B2 (en) Component and method for joining metal elements
JP2014083584A (ja) 摩擦圧接装置
RU2756958C1 (ru) Сварная конструкция и способ получения нахлесточного сварного соединения точечной лазерной сваркой
KR102231825B1 (ko) 웨이브 스프링
RU2401727C2 (ru) Способ изготовления облегченной лопатки для газотурбинных двигателей
JP2017001139A (ja) チップ接合方法及び鋸刃
KR20130027343A (ko) 이종 재료의 마찰 용접 방법 및 장치
JP2014083564A (ja) 摩擦接合方法及び接合構造体