JP2015108460A - 調湿庫 - Google Patents

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Abstract

【課題】湿度変動を穏やかにして庫内の湿度を安定させることができ、かつ消費電力を低減させることのできる調湿庫を提供する。
【解決手段】調湿庫1は、庫内10の湿度が第一のしきい値以上である場合に庫内10を除湿する除湿ユニット2Aと、庫内10の湿度が第一のしきい値より低い第二のしきい値以下である場合に庫内10を加湿する加湿ユニット2Bと、庫内10に貼り付けられた調湿シート5と、を備えている。調湿シート5は、例えばアクリレート系ポリマー繊維を含む織布あるいは不織布であり、高湿度の吸湿性が高く、かつ周囲湿度が高くなる方向に遷移する場合に吸湿し、低くなる方向に遷移する場合に放湿する特徴を有する。このため、庫内10の急激な湿度変動が抑制され、庫内10の湿度変化を緩やかにして、所定範囲(第二のしきい値〜第一のしきい値)内に安定させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、高度な湿度管理が要求される保管品を保管するための調湿庫に関する。
カメラ、電子部品等の精密機器、食品、薬品、弦楽器、掛け軸、古文書等の高度な湿度管理が要求される保管品を保管するための庫内の湿度を管理する調湿庫として、例えば、庫内を除湿する除湿ユニットを備え、庫内の湿度を所定値未満に維持する調湿庫、庫内を加湿する加湿ユニットを備え、庫内の湿度を所定値以上に維持する調湿庫、および、除湿ユニットと加湿ユニットとの両方を備え、庫内の湿度を所定範囲に維持する調湿庫が知られている。
ここで、除湿ユニットおよび加湿ユニットは、庫内に収容されたハウジングと、ハウジング内に収容された乾燥剤と、乾燥剤を加熱するヒータと、ハウジング内および庫内の空気循環を行うための庫内シャッタと、庫外およびハウジング内の空気循環を行うための庫外シャッタと、を備えている。そして、除湿ユニットは、庫内の湿度が所定値(第一のしきい値)以上の場合に、庫内シャッタを開いて庫外シャッタを閉じ、庫内の空気をハウジング内に取り込んで、ハウジング内に収容された乾燥剤で除湿する。また、除湿ユニットは、定期的に、庫内シャッタを閉じて庫外シャッタを開き、ヒータを動作させることにより、乾燥剤を加熱し放湿させて湿気を庫外に排出して、乾燥剤を乾燥させる。一方、加湿ユニットは、庫内の湿度が所定値(第二のしきい値)以下の場合に、庫内シャッタを開いて庫外シャッタを閉じ、ヒータを動作させることにより、乾燥剤を加熱して放湿させ、庫内の空気を加湿する。また、加湿ユニットは、定期的に、庫内シャッタを閉じて庫外シャッタを開き、庫外の空気をハウジング内に取り込んで、ハウジング内に収容された乾燥剤に吸湿させる。
例えば、庫内を除湿する除湿ユニットを備え、庫内の湿度を所定値未満に維持する調湿庫として、特許文献1に記載の自動低湿保管装置がある。
特開2002−106889号公報
ところで、従来の調湿庫には、つぎのような問題がある。すなわち、庫内を除湿する除湿ユニットを備え、庫内の湿度を所定値未満に維持する調湿庫においては、乾燥剤の乾燥直後に、庫内の除湿のために庫内シャッタを開いて庫外シャッタを閉じると、シャッタ切り換わりの際に庫外から庫内に湿気が侵入するとともに、ヒータの余熱によって乾燥剤が放湿し、これにより瞬間的に庫内の湿度が上昇して、庫内の湿度が安定しないという問題がある。また、庫内を加湿する加湿ユニットを備え、庫内の湿度を所定値以上に維持する調湿庫においては、乾燥剤の吸湿直後に、庫内の加湿のために庫内シャッタを開いて庫外シャッタを閉じると、シャッタ切り換わりの際に庫外から庫内に乾燥した空気が侵入するとともに、ヒータが十分に加熱されていないために乾燥剤が吸湿し、これにより瞬間的に庫内の湿度が低下して、庫内の湿度が安定しないという問題がある。また、除湿ユニットと加湿ユニットの両方を備え、庫内の湿度を所定範囲に維持する調湿庫においては、除湿ユニットの除湿能力および加湿ユニットの加湿能力が高すぎると、除湿ユニットの除湿により庫内の湿度が急激に低下する一方、加湿ユニットの加湿により庫内の湿度が急激に上昇し、その結果、除湿ユニットによる除湿と加湿ユニットによる加湿とが交互に繰り返され、庫内の湿度が所定範囲内で激しく変動して安定しないという問題がある。また、除湿ユニットおよび加湿ユニットが交互に稼働することにより、調湿庫の運転率が上昇して、消費電力が増大するという問題もある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、湿度変動を穏やかにして庫内の湿度を安定させることができ、かつ消費電力を低減させることのできる調湿庫を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明では、除湿ユニットおよび加湿ユニットの少なくとも一方を備えた調湿庫において、庫内の湿度が高くなる方向に遷移する場合に吸湿し、低くなる方向に遷移する場合に放湿する調湿手段を庫内に配置した。この調湿手段は、アクリレート系ポリマー繊維を含む織布あるいは不織布等のシート状部材であることが好ましい。
例えば、本発明は、保管品を保管するための庫内の湿度を管理する調湿庫であって、
前記庫内を除湿する除湿手段および前記庫内を加湿する加湿手段の少なくとも一方と、
前記庫内に配置され、前記庫内の湿度が高くなる方向に遷移する場合に吸湿し、低くなる方向に遷移する場合に放湿する調湿手段と、を有する。
本発明によれば、庫内の湿度が高くなる方向に遷移する場合に吸湿し、低くなる方向に遷移する場合に放湿する調湿手段を庫内に配置しているので、除湿ユニットあるいは加湿ユニットでは対応できない庫内の湿度の急激な変動(例えば除湿ユニットあるいは加湿ユニットの動作を原因とする庫内の湿度の急激な変動)を抑制することができ、これにより、庫内の湿度をより安定させることが可能となる。
図1は、本発明の一実施の形態に係る調湿庫1の概略構成図である。 図2は、図1に示す除湿ユニット本体3Aおよび加湿ユニット本体3Bの概略断面図である。 図3は、アクリレート系ポリマーの等温吸湿特性を示す図である。 図4(A)は、本発明の一実施の形態に係る調湿庫1の湿度制御結果の一例を示す図であり、図4(B)は、本発明の一実施の形態に係る調湿庫1から調湿シート5を省略した調湿庫の湿度制御結果の一例を示す図である。 図5は、アクリレート系ポリマーの再生温度特性を示す図である。
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る調湿庫1の概略構成図である。
本実施の形態に係る調湿庫1は、例えばカメラ、電子部品等の精密機器、食品、薬品、弦楽器、掛け軸、古文書等の高度な湿度管理が要求される保管品を保管するための保管庫である。
図示するように、調湿庫1は、保管品が収容されるボックス型の筺体15と、保管品を筺体15の内部(庫内)10に出し入れするための開閉扉11と、を備えている。また、調湿庫1は、庫内10の湿度を、庫外の湿度変化によらず、所定の湿度範囲内で安定に維持するように、さらに、除湿ユニット2Aと、加湿ユニット2Bと、調湿シート5と、を備えている。
除湿ユニット2Aは、庫内10の湿度が第一のしきい値(例えば60%)以上である場合に庫内10を除湿するものであり、除湿ユニット本体3Aと、除湿制御盤4Aと、を有する。また、加湿ユニット2Bは、庫内10の湿度が第一のしきい値より低い第二のしきい値(例えば40%)以下である場合に庫内10を加湿するものであり、加湿ユニット本体3Bと、加湿制御盤4Bと、を有する。
図2は、図1に示す除湿ユニット本体3Aおよび加湿ユニット本体3Bの概略断面図である。
図示するように、除湿ユニット本体3Aおよび加湿ユニット本体3Bは、例えば筺体15の背面板12に形成された開口13を塞ぐように配置される。なお、図2では、除湿ユニット本体3Aおよび加湿ユニット本体3Bを、庫内10側から開口13を塞ぐように庫内10に配置しているが、庫外14側から開口13を塞ぐように庫外14に配置してもよい。除湿ユニット本体3Aおよび加湿ユニット本体3Bは、それぞれ、庫内10の空気を十分に除湿または加湿できるように庫内10のスペースに応じて定められた量の加熱再生可能な乾燥剤(例えばゼオライト、シリカゲル)31と、乾燥剤31を加熱するためのヒータ32と、ファン33と、これら31〜33を内部に収容するハウジング30と、を備えている。
ハウジング30には、ハウジング30の内部と庫内10とをつなぐ庫内側通気口として、庫内10の空気B1をハウジング30内に取り込むための庫内吸気口341、342と、ハウジング30内の空気B2を庫内10へ排出する庫内排気口343、344と、が形成されている。また、ハウジング30の内部と庫外14とをつなぐ庫外側通気口として、庫外14の空気A1をハウジング30内に取り込むための庫外吸気口345、346と、ハウジング30内の空気A2を庫外14へ排出するための庫外排気口347、348と、が形成されている。ファン33は、これらの通気口341〜348を介して、空気を、ハウジング30の内部と庫内10または庫外14との間で強制的に循環させるために駆動される。
また、除湿ユニット本体3Aおよび加湿ユニット本体3Bは、それぞれ、庫内吸気口341および庫外吸気口345を互いに排他的に開閉するシャッタ351と、庫内排気口343および庫外排気口347を互いに排他的に開閉するシャッタ352と、をさらに備えている。ここで、除湿ユニット本体3Aが非稼働状態の場合、除湿ユニット本体3Aのシャッタ351は、庫内吸気口341を開き、庫外吸気口345を閉じた状態で停止し、除湿ユニット本体3Aのシャッタ352は、庫内排気口343を開き、庫外排気口347を閉じた状態で停止するものとする。また、加湿ユニット本体3Bが非稼働状態の場合、加湿ユニット本体3Bのシャッタ351は、庫内排気口341を閉じ、庫外排気口345を開いた状態で停止し、加湿ユニット本体3Bのシャッタ352は、庫内排気口343を閉じ、庫外排気口347を開いた状態で停止するものとする。
除湿ユニット本体3Aは、後述する除湿制御盤4Aの制御に従い、ハウジング30の内部を庫内10にのみ開放した状態(庫内吸気口341:開、庫外吸気口345:閉、庫内排気口343:開、庫外排気口347:閉)で、必要に応じてファン33を回転させる。これにより、庫内10内の空気B1が、ハウジング30内に取り込まれ、乾燥剤31により除湿された後、乾いた空気B2として庫内10に排出されて、庫内10が除湿される。また、ハウジング30の内部を庫外14にのみ開放した状態(庫内吸気口341:閉、庫外吸気口345:開、庫内排気口343:閉、庫外排気口347:開)で、ヒータ32を動作させて乾燥剤31を加熱しつつ、必要に応じてファン33を回転させる。これにより、庫外14の空気A1が、ハウジング30内に取り込まれ、ヒータ32により加熱された乾燥剤31により加湿された後、湿った空気A2として庫外14に排出されて、乾燥剤31が乾燥する。
加湿ユニット本体3Bは、後述する加湿制御盤4Bの制御に従い、ハウジング30の内部を庫内10にのみ開放した状態(庫内吸気口341:開、庫外吸気口345:閉、庫内排気口343:開、庫外排気口347:閉)で、ヒータ32を動作させて乾燥剤31を加熱しつつ、必要に応じてファン33を回転させる。これにより、庫内10内の空気B1が、ハウジング30内に取り込まれ、ヒータ32により加熱された乾燥剤31により加湿された後、湿った空気B2として庫内10に排出されて、庫内10が加湿される。また、ハウジング30の内部を庫外14にのみ開放した状態(庫内吸気口341:閉、庫外吸気口345:開、庫内排気口343:閉、庫外排気口347:開)で、必要に応じてファン33を回転させる。これにより、庫外14の空気A1が、ハウジング30内に取り込まれ、乾燥剤31により除湿された後、乾いた空気A2として庫外14に排出されて、乾燥剤31が加湿される。
図1に戻って説明を続ける。
除湿制御盤4Aは、制御部40Aと、湿度センサ41Aと、シャッタ駆動部42Aと、ファン駆動部43Aと、ヒータ駆動部44Aと、を備えている。なお、図1では、除湿制御盤4Aを除湿ユニット本体3Aの外部に配置しているが、除湿ユニット本体3Aに内蔵してもよい。
湿度センサ41Aは、庫内10の湿度が第一のしきい値(例えば60%)以上である場合に、制御部40Aに電源6を接続し(オン状態)、第一のしきい値未満の場合に、後述する加湿制御盤4Bの湿度センサ41Bに電源6を接続する(オフ状態)。湿度センサ41Aには、例えばナイロンリボン式、毛髪式等のアナログ湿度センサが用いられる。なお、ナイロンリボン式、毛髪式等のアナログ湿度センサは、作動点にヒステリシス特性があり、低湿度から高湿度へ遷移するときの作動点(オフ状態からオン状態になるときの湿度)に比べて、高湿度から低湿度に遷移するときの作動点(オン状態からオフ状態になるときの湿度)が2%〜10数%程度低くなる。
シャッタ駆動部42Aは、制御部40Aの指示に従い、除湿ユニット本体3Aのシャッタ351、352の開閉を制御する。
ファン駆動部43Aは、制御部40Aの指示に従い、除湿ユニット本体3Aのファン33の動作を制御する。
ヒータ駆動部44Aは、制御部40Aの指示に従い、除湿ユニット本体3Aのヒータ32の動作を制御する。
制御部40Aは、湿度センサ41Aを介して電源6から電力が供給されることにより、除湿ユニット本体3Aを稼働させる。具体的には、シャッタ駆動部42Aに除湿ユニット本体3Aのシャッタ351、352の開閉を制御させ、ハウジング30の内部を庫内10にのみ開放した状態(庫内吸気口341:開、庫外吸気口345:閉、庫内排気口343:開、庫外排気口347:閉)にするとともに、ファン駆動部43Aに、必要に応じて除湿ユニット本体3Aのファン33を回転させる。また、定期的(例えば6時間毎)に、所定時間(例えば30分)、シャッタ駆動部42Aに除湿ユニット本体3Aのシャッタ351、352の開閉を制御させ、ハウジング30の内部を庫外14にのみ開放した状態(庫内吸気口341:閉、庫外吸気口345:開、庫内排気口343:閉、庫外排気口347:開)にするとともに、ヒータ駆動部44Aに除湿ユニット本体3Aのヒータ32を動作させて乾燥剤31を加熱しつつ、ファン駆動部43Aに、必要に応じて除湿ユニット本体3Aのファン33を回転させる。
加湿制御盤4Bは、制御部40Bと、湿度センサ41Bと、シャッタ駆動部42Bと、ファン駆動部43Bと、ヒータ駆動部44Bと、を備えている。なお、図1では、加湿制御盤4Bを加湿ユニット本体3Bの外部に配置しているが、加湿ユニット本体3Bに内蔵してもよい。
湿度センサ41Bは、庫内10の湿度が第二のしきい値(例えば40%)以下である場合に、除湿制御盤4Aの湿度センサ41Aを介して接続された電源6を制御部40Bに接続し(オン状態)、第二のしきい値より大きい場合に、電源6と制御部40Bとの接続を切断する(オフ状態)。湿度センサ41Bには、湿度センサ41Aと同様に、例えばナイロンリボン式、毛髪式等のアナログ湿度センサが用いられる。上述したように、ナイロンリボン式、毛髪式等のアナログ湿度センサは、作動点にヒステリシス特性があり、低湿度から高湿度へ遷移するときの作動点(オン状態からオフ状態になるときの湿度)に比べて、高湿度から低湿度に遷移するときの作動点(オフ状態からオン状態になるときの湿度)が2%〜10数%程度低くなる。
シャッタ駆動部42Bは、制御部40Bの指示に従い、加湿ユニット本体3Bのシャッタ351、352の開閉を制御する。
ファン駆動部43Bは、制御部40Bの指示に従い、加湿ユニット本体3Bのファン33の動作を制御する。
ヒータ駆動部44Bは、制御部40Bの指示に従い、加湿ユニット本体3Bのヒータ32の動作を制御する。
制御部40Bは、湿度センサ41Bを介して電源6から電力が供給されることにより、加湿ユニット本体3Bを稼働させる。具体的には、シャッタ駆動部42Bに、加湿ユニット本体3Bのシャッタ351、352の開閉を制御させ、ハウジング30の内部を庫内10にのみ開放した状態(庫内吸気口341:開、庫外吸気口345:閉、庫内排気口343:開、庫外排気口347:閉)にするとともに、ヒータ駆動部44Bに加湿ユニット本体3Bのヒータ32を動作させて乾燥剤31を加熱しつつ、ファン駆動部43Bに、必要に応じて加湿ユニット本体3Bのファン33を回転させる。また、定期的(例えば3時間毎)に、所定時間(例えば1時間)、シャッタ駆動部42Bに加湿ユニット本体3Bのシャッタ351、352の開閉を制御させて、ハウジング30の内部を庫外14にのみ開放した状態(庫内吸気口341:閉、庫外吸気口345:開、庫内排気口343:閉、庫外排気口347:開)にするとともに、ファン駆動部43Aに、必要に応じて加湿ユニット本体3Bのファン33を回転させる。
調湿シート5は、アクリレート系ポリマー繊維を含む織布あるいは不織布等のシート状部材であり、庫内10の内壁の少なくとも一部(天井、側壁、棚等の庫内の平面部)に貼り付けられている。アクリレート系ポリマー繊維は、周囲湿度が高くなる方向に遷移する場合に吸湿し、低くなる方向に遷移する場合に放湿する特徴を有する。
図3は、アクリレート系ポリマーの等温吸湿特性を示す図である。ここでは、比較対象としてゼオライトの等温吸湿特性を、アクリレート系ポリマーの等温吸湿特性とともに示しており、グラフ50がアクリレート系ポリマーの等温吸湿特性であり、グラフ51がゼオライトの等温吸湿特性である。また、図3において、横軸は相対湿度(%)であり、縦軸は吸湿率(%)である。吸湿率は、試験対象(アクリレート系ポリマー、ゼオライト)の乾燥重量に対する吸湿による増加重量の割合を表している。
図示するように、ゼオライトは、相対湿度20%以上では、相対湿度に関わらず略一定の吸湿率(22%前後)を有している。一方、アクリレート系ポリマーは、相対湿度20%で吸湿率10%程度であるのに対し、相対湿度70%で吸湿率50%以上であり、相対湿度が高くなるほど吸湿率も高くなる。このため、相対湿度が高くなる方向に遷移する場合に吸湿し、低くなる方向に遷移する場合に放湿する。
このようなアクリレート系ポリマー繊維として、東洋紡株式会社のモイスファイン(登録商標)、帝人株式会社のベルアオシス(登録商標)等がある。
上記構成の調湿庫1において、除湿制御盤4Aは、庫内10の湿度が第一のしきい値以上になると、湿度センサ41Aがオン状態となり、電源6が制御部40Aに接続される。これにより、除湿ユニット本体3Aが稼働して、庫内10を除湿する。このとき、庫内10に貼り付けられた調湿シート5の放湿により庫内10の急激な湿度変化(湿度低下)が抑制され、庫内10の湿度が緩やかに低減される。また、ヒータ32の余熱が残る乾燥剤31の乾燥直後に庫内10の除湿を開始した場合であっても、ヒータ32の余熱による乾燥剤31の放湿に伴う瞬間的な湿度上昇は、庫内10に貼り付けられた調湿シート5の吸湿により抑制される。
また、除湿制御盤4Aは、庫内10の湿度が第一のしきい値(湿度センサ41Aとしてナイロンリボン、毛髪式等のアナログ湿度センサを用いている場合は、作動点のヒステリシス特性により第一のしきい値より2%〜10数%程度低い値となる)未満になると、湿度センサ41Aがオフ状態となり、電源6が加湿制御盤4Bの湿度センサ41Bに接続される。この状態において、加湿制御盤4Bは、庫内10の湿度が第二のしきい値以下になると、湿度センサ41Bがオン状態となり、電源6が制御部40Bに接続される。これにより、加湿ユニット本体3Bが稼働して、庫内10を加湿する。このとき、庫内10に貼り付けられた調湿シート5の吸湿により庫内10の急激な湿度変化(湿度上昇)が抑制され、庫内10の湿度が緩やかに増加する。また、乾燥剤31の吸湿直後に庫内10の加湿を開始したためにヒータ32の加熱が十分でない状態であっても、継続する乾燥剤31の吸湿に伴う瞬間的な湿度低下は、庫内10に貼り付けられた調湿シート5の放湿により抑制される。
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
本実施の形態では、庫内10の湿度が高くなる方向に遷移する場合に、湿度の増加量に応じた量の水分を吸湿し、低くなる方向に遷移する場合に、湿度の低下量に応じた量の水分を放湿する調湿シート5を、庫内10の内壁の適切な箇所(天井、側壁、棚等の庫内の平面部)に貼り付けている。この調湿シート5による吸湿は、乾燥剤31に用いているゼオライト、シリカゲル等より遥かに素早く作用する(図3参照)。このため、庫内10の急激な湿度変化が抑制され、庫内10の湿度を緩やかに調整して、所定の範囲(第二のしきい値〜第一のしきい値)に安定させることができる。この効果は、定湿保存が必要な重要文化財、古文書等、およびバイオリン等の湿度管理にデリケートな楽器の長期保存に特に有用である。
図4(A)は、本実施の形態に係る調湿庫1の湿度制御結果の一例を示す図であり、図4(B)は、本実施の形態に係る調湿庫1から調湿シート5を省略した調湿庫の湿度制御結果の一例を示す図である。ここで、乾燥剤31にはゼオライト、シリカゲル等を用い、湿度センサ41A、41Bには、ナイロンリボン式アナログ湿度センサを用いている。また、第一のしきい値および第二のしきい値は、それぞれ60%、40%に設定している(符号62、63)。
図4(A)および図4(B)に示すように、庫内10の湿度が上昇して第一のしきい値62以上になると、除湿制御盤4Aの湿度センサ41Aがオフ状態からオン状態に移行して除湿ユニット本体3Aが稼働する。これにより庫内10の除湿が開始され、庫内10の湿度が低下しはじめる。そして、湿度センサ41Aとして用いているナイロンリボン式アナログ湿度センサの作動点のヒステリシス特性により、湿度センサ41Aがオン状態からオフ状態に移行する作動点が第一のしきい値62より低くなるため、庫内10の湿度が第一のしきい値62より低くなっても、暫く庫内10の除湿が続行され、その後、湿度センサ41Aがオン状態からオフ状態に移行して庫内10の除湿が終了する。その結果、庫内10の湿度が第一のしきい値62未満となった後も、庫内10の湿度の低下が続く。
その後、庫内10の湿度が第二のしきい値63以下になると、加湿制御盤4Bの湿度センサ41Bがオフ状態からオン状態に移行して加湿ユニット本体3Bが稼働する。これにより庫内10の加湿が開始され、庫内10の湿度が上昇しはじめる。そして、湿度センサ41Bとして用いているナイロンリボン式アナログ湿度センサの作動点のヒステリシス特性により、湿度センサ41Bがオン状態からオフ状態に移行する作動点が第二のしきい値63より高くなるため、庫内10の湿度が第二のしきい値63より高くなっても、暫く加湿が続行されてから、その後、湿度センサ41Bがオン状態からオフ状態に移行して庫内10の加湿が終了する。その結果、庫内10の湿度が第二のしきい値63より高くなった後も、庫内10の湿度の上昇が続く。
一方、本実施の形態に係る調湿庫1から調湿シート5を省略した調湿庫の場合、除湿ユニット2Aの除湿および加湿ユニット2Bの加湿が庫内10の湿度に直接影響するため、これらの能力が高いと、図4(B)に示すように、庫内10の湿度が所定の範囲(第二のしきい値63〜第一のしきい値62)内において急激に上下変動を繰り返して安定しない。また、除湿ユニット2Aおよび加湿ユニット2Bの稼働が短いインターバルで交互に繰り返されるため、調湿庫の運転率が上昇して、消費電力が増大する。
上述したように、本実施の形態に係る調湿庫1の場合、庫内10の内壁に貼り付けられた調湿シート5が、庫内10の湿度が高くなる方向に遷移する場合に吸湿し、低くなる方向に遷移する場合に放湿するため、除湿ユニット2Aの除湿および加湿ユニット2Bの加湿による庫内10の急激な湿度変化が抑制され、図4(A)に示すように、庫内10の湿度が所定の範囲(第二のしきい値63〜第一のしきい値62)内において緩やかに調整される。このため、本実施の形態に係る調湿庫1から調湿シート5を省略した調湿庫とは異なり、除湿ユニット2Aおよび加湿ユニット2Bの稼働が短いインターバルで交互に繰り返されることもないため、調湿庫の運転率が低下し、消費電力が減少する。
また、本実施の形態では、調湿シート5としてアクリレート系ポリマー繊維を含む織布あるいは不織布等のシート状部材を用い、これを庫内10の内壁の少なくとも一部(天井、側壁、棚等の庫内の平面部)に貼り付けている。このようにすることで、調湿シート5と庫内10の空気との接触面積を広くすることができ、これにより、庫内10の急激な湿度変化をより効率的に抑制することができる。なお、調湿シート5と庫内10の空気との接触面積がさらに広くなるように、調湿シート5を、例えば蛇腹状態に折り曲げて用いてもよい。
また、本実施の形態において、除湿制御盤4Aの湿度センサ41Aは、電源6を制御部40Aに接続していないオフ状態の場合にのみ、電源6を加湿制御盤4Bの湿度センサ41Bに接続する。このため、除湿ユニット本体3Aおよび加湿ユニット本体3Bが互いに排他的に稼働し、同時に稼働することはない。
上述したように、湿度センサ41A、41Bとしてナイロンリボン式アナログ湿度センサを用いた場合、ナイロンリボン式アナログ湿度センサの作動点のヒステリシス特性により、低湿度から高湿度へ遷移するときの作動点に比べて、高湿度から低湿度に遷移するときの作動点が2%〜10数%程度低くなる(高湿度から低湿度に遷移するときの作動点に比べて、低湿度から高湿度へ遷移するときの作動点が2%〜10数%程度高くなる)。このため、湿度センサ41A、41Bに対して個別に(独立して)電源6を接続した場合、第一のしきい値と第二のしきい値とを近づけ過ぎると、湿度センサ41A、41Bの両方がオン状態となって、除湿ユニット本体3Aおよび加湿ユニット本体3Bが同時に稼働して、電力が無駄に消費される可能性がある。しかしながら、本実施の形態では、上記の構成により、除湿ユニット本体3Aおよび加湿ユニット本体3Bが互いに排他的に稼働しているので、そのような事態の発生を防止することができる。その結果、第一のしきい値と第二のしきい値とをより近づけることが可能となり、湿度変動幅を狭くして庫内10の湿度をより安定させることができる。
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
例えば、上記の実施の形態では、調湿シート5を庫内10の内壁の少なくとも一部(天井、側壁、棚等の庫内の平面部)に貼り付けているが、本発明はこれに限定されない。調湿シート5を庫内10に配置したものであればよい。例えば、調湿シート5を庫内10の天井から吊り下げてもよい。また、除湿ユニット本体3Aおよび加湿ユニット本体3Bの少なくとも一方のハウジング30内に調湿シート5を配置してもよい。
除湿ユニット2Aにおいて、ヒータ32の加熱による乾燥剤31の乾燥直後に、庫内10の除湿のためにハウジング30の内部を庫内10にのみ開放した状態(庫内吸気口341:開、庫外吸気口345:閉、庫内排気口343:開、庫外排気口347:閉)にすると、ヒータ32の余熱によって乾燥剤31が放湿し続ける場合がある。このような場合、除湿ユニット本体3Aのハウジング30の内壁に調湿シート5を貼り付けるなどして、除湿ユニット本体3Aのハウジング30内に配置することにより、ヒータ32の余熱によって乾燥剤31が放湿した水分を、除湿ユニット本体3Aのハウジング30内に配置された調湿シート5が吸湿し、乾燥剤31の放湿による庫内10の湿度への影響を効果的に抑制することができる。
また、加湿ユニット本体3Bにおいて、乾燥剤31の吸湿直後に、庫内10の加湿のためにハウジング30の内部を庫内10にのみ開放した状態(庫内吸気口341:開、庫外吸気口345:閉、庫内排気口343:開、庫外排気口347:閉)にすると、ヒータ32が十分に加熱されていないために乾燥剤31が吸湿し続ける場合がある。このような場合、加湿ユニット本体3Bのハウジング30の内壁に調湿シート5を貼り付けるなどして、加湿ユニット本体3Bのハウジング30内に配置することにより、加湿ユニット本体3Bのハウジング30内に配置された調湿シート5が放湿し、乾燥剤31の吸湿による庫内10の湿度への影響を効果的に抑制することができる。
また、除湿ユニット本体3Aあるいは加湿ユニット本体3Bハウジング30の内壁に調湿シート5を貼り付けることにより、ヒータ32により加熱された乾燥剤31の余熱を利用して、調湿シート5を効率的に再生(乾燥)することができる。
図5は、アクリレート系ポリマーの再生温度特性を示す図である。ここでは、比較対象としてゼオライトおよびシリカゲルの再生温度特性を、アクリレート系ポリマーの再生温度特性とともに示しており、グラフ52がアクリレート系ポリマーの再生温度特性であり、グラフ53がゼオライトの再生温度特性である。また、図5において、縦軸は再生温度(℃)である。
図示するように、アクリレート系ポリマーは、乾燥剤31として使用されるゼオライトに比べて、再生温度が低い。このため、ヒータ32により加熱された乾燥剤31の余熱を利用して、調湿シート5を効率的に再生することができる。
また、上記の実施の形態では、調湿シート5として、アクリレート系ポリマー繊維を含む織布あるいは不織布等のシート状部材を用いているが、本発明はこれに限定されない。周囲湿度が高くなる方向に遷移する場合に吸湿し、低くなる方向に遷移する場合に放湿する特徴を有するシート状、あるいはその他の形状の部材であればよい。
また、上記の実施の形態では、除湿制御盤4Aの湿度センサ41Aが、電源6を制御部40Aに接続していないオフ状態の場合に、電源6を加湿制御盤4Bの湿度センサ41Bに接続している。しかし、本発明はこれに限定されない。加湿制御盤4Bの湿度センサ41Bが、電源6を制御部40Bに接続していないオフ状態の場合に、電源6を除湿制御盤4Aの湿度センサ41Aに接続するようにしてもよい。この場合でも、除湿ユニット本体3Aおよび加湿ユニット本体3Bが互いに排他的に稼働し、同時に稼働することはない。
また、上記の実施の形態では、湿度センサ41A、41Bとして、ナイロンリボン式、毛髪式等のアナログ湿度センサを用いた場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限定されない。湿度センサ41A、41Bとして、静電容量式の湿度センサ、抵抗変化式の湿度センサ等を用いてもよい。
また、上記の実施の形態では、除湿ユニット2Aおよび加湿ユニット2Bの両方を備え、庫内10の湿度を所定範囲(第二のしきい値〜第一のしきい値)に維持する調湿庫1を例にとり説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、除湿ユニット2Aのみを備え、庫内10の湿度を所定値以下に維持する調湿庫にも適用可能であり、また、加湿ユニット2Bのみを備え、庫内10の湿度を所定値以上に維持する調湿庫にも適用可能である。
また、上記の実施の形態において、除湿ユニット本体3Aおよび加湿ユニット本体3Bは、ファン33を用いてユニット内と庫内10あるいは庫外14との間における空気循環を行っているが、本発明はこれに限定されない。自然対流によってユニット内と庫内10あるいは庫外14との間における空気循環を行うようにしてもよい。あるいは、ユニット内に酸化金属皮膜抵抗に設けて、これに電流を流して熱を生じさせ、この熱による対流によってユニット内と庫内10あるいは庫外14との間における空気循環を行うようにしてもよい。
1:調湿庫、 2A:除湿ユニット、 2B:加湿ユニット、 3A:除湿ユニット本体、 3B:加湿ユニット本体、 4A:除湿制御盤、 4B:加湿制御盤、 5:調湿シート、 6:電源、 10:庫内、 11:開閉扉、 12:背面板、 13:開口、 14:庫外、 15:筺体、 30:ハウジング、 31:乾燥剤、 32:ヒータ、 33:ファン、 40A、40B:制御部、 41A、41B:湿度センサ、 42A、42B:シャッタ駆動部、 43A、43B:ファン駆動部、 44A、44B:ヒータ駆動部、 341、342:庫内吸気口、 343、344:庫内排気口、 345、346:庫外吸気口、 347、348:庫外排気口、 351、352:シャッタ

Claims (6)

  1. 保管品を保管するための庫内の湿度を管理する調湿庫であって、
    前記庫内を除湿する除湿手段および前記庫内を加湿する加湿手段の少なくとも一方と、
    前記庫内に配置され、前記庫内の湿度が高くなる方向に遷移する場合に吸湿し、低くなる方向に遷移する場合に放湿する調湿手段と、を有する
    ことを特徴とする調湿庫。
  2. 請求項1に記載の調湿庫であって、
    前記調湿手段は、アクリレート系ポリマー繊維を含むシート状部材である
    ことを特徴とする調湿庫。
  3. 請求項2に記載の調湿庫であって、
    前記シート状部材は、前記庫内に貼り付けられている
    ことを特徴とする調湿庫。
  4. 請求項2または3に記載の調湿庫であって、
    前記除湿手段を少なくとも有し
    前記除湿手段は、
    前記庫内に配置され、内部を前記庫内につなぐ通気口が形成されたハウジングと、
    前記ハウジングの内部に収容された除湿剤と、
    前記庫内を除湿する場合に前記通気口を開き、前記庫内を除湿しない場合は前記通気口を閉じるシャッタと、を有し、
    前記シート状部材は、前記ハウジング内に貼り付けられている
    ことを特徴とする調湿庫。
  5. 請求項2または3に記載の調湿庫であって
    前記加湿手段を少なくとも有し、
    前記加湿手段は、
    前記庫内に配置され、内部を前記庫内につなぐ通気口が形成されたハウジングと、
    前記ハウジングの内部に収容された加湿剤と、
    前記庫内を加湿する場合に前記通気口を開き、前記庫内を加湿しない場合は前記通気口を閉じるシャッタと、を有し、
    前記シート状部材は、前記ハウジング内に貼り付けられている
    ことを特徴とする調湿庫。
  6. 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の調湿庫であって、
    前記除湿手段および前記加湿手段の両方を有し、
    前記除湿手段による前記庫内の除湿および前記加湿手段による前記庫内の加湿を互いに排他的に実施させる排他制御手段をさらに有し、
    前記除湿手段は、
    前記庫内の湿度が第一のしきい値以上である場合に前記庫内を除湿し、
    前記加湿手段は、
    前記庫内の湿度が、前記第一のしきい値より低い第二のしきい値以下である場合に前記庫内を加湿する
    ことを特徴とする調湿庫。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017009274A (ja) * 2015-06-17 2017-01-12 伸興テクノ株式会社 鮮度保持装置及びそれを備えたコンテナ
JP2018105609A (ja) * 2016-12-28 2018-07-05 東洋リビング株式会社 保管庫
WO2022045029A1 (ja) * 2020-08-26 2022-03-03 シャープ株式会社 食品用保温調湿装置

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