JP2015106651A - 光電変換素子及び太陽電池 - Google Patents

光電変換素子及び太陽電池 Download PDF

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哲治 弓削
葵 酒井
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葵 酒井
弘也 樹神
Hiroya Kodama
弘也 樹神
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Abstract

【課題】本発明は、より高い変換効率を有する光電変換素子を提供することを課題とする。【解決手段】一対の電極と、該一対の電極間に活性層を有する光電変換素子であって、前記活性層はp型半導体化合物とn型半導体化合物とを有し、かつ、前記活性層が以下(1)〜(3)の条件を満たすことを特徴とする光電変換素子。(1)in−planeX線回折測定法において、ブラッグ角2θ=3〜6?の範囲に第1のピークを有する。(2)out−of−planeX線回折測定法において、ブラッグ角2θ=3〜6?の範囲に第2のピークを有し、かつ、ブラッグ角2θ=23〜26?の範囲に第3のピークを有する。(3)前記第1のピークの半値幅は、前記第2のピークの半値幅よりも小さい。【選択図】図1

Description

本発明は変換効率を有する光電変換素子及び該光変換素子を有する太陽電池に関する。
有機太陽電池、有機EL素子、有機薄膜トランジスタ、及び有機発光センサー等の有機電子デバイスの半導体材料として、p型半導体化合物が用いられている。特に有機太陽電池においては、太陽光の吸収効率を向上させることが望まれており、長波長(600nm以上)の光を吸収できるポリマーの開発が重要である。吸収波長の長波長化を達成するために、ドナー性モノマーとアクセプター性モノマーの共重合体をp型半導体化合物として、光電変換素子に用いた例が報告されている。
具体的には、非特許文献1にはイミドチオフェン骨格とジチエノシクロペンタジエン骨格を有するp型半導体化合物を使用した光電変換素子が記載されている。また、非特許文献1,2,3及び特許文献1には、イミドチオフェン骨格とジチエノシロール骨格を有するp型半導体化合物を使用した光電変換素子が記載されている。さらに非特許文献2には、イミドチオフェン骨格とジチエノゲルモール骨格を有するp型半導体化合物を使用した光電変換素子が記載されている。
国際公開第2011/028827号公報
J.Mater.Chem.,2011,21,3895−3902 J.Am.Chem.Soc.,2011,133,10062−10065 Chem.Commun.,2011,47,4920−4922
有機薄膜太陽電池の効率を向上させるためには、光吸収、電荷分離、電荷輸送、及び電極での電荷捕集の各過程における効率を向上させる必要がある。しかしながら、本発明者等の検討によると、引用文献1及び非特許文献1〜3に記載された光電変換素子は、太陽電池の実用化を目指す上で、その変換効率は十分ではなく、更なる変換効率の向上が求められる。本発明はこのような問題を解決するものであり、より高い変換効率を有する光電変換素子を提供することを課題とする。
本願発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の結晶配向性を有する活性層を用いることで、上記課題を解決し、本発明を達成するに至った。
すなわち本発明は以下を要旨とする。
[1] 一対の電極と、該一対の電極間に活性層を有する光電変換素子であって、前記活性層はp型半導体化合物とn型半導体化合物とを有し、かつ、前記活性層が以下(1)〜(3)の条件を満たすことを特徴とする光電変換素子。
(1)in−planeX線回折測定法において、ブラッグ角2θ=3〜6°の範囲に第
1のピークを有する。
(2)out−of−planeX線回折測定法において、ブラッグ角2θ=3〜6°の範囲に第2のピークを有し、かつ、ブラッグ角2θ=23〜26°の範囲に第3のピークを有する。
(3)前記第1のピークの半値幅は、前記第2のピークの半値幅よりも小さい。
[2] 前記p型半導体化合物の200℃におけるd−PCBMに対する相溶限界濃度が10質量%以下であることを特徴とする[1]に記載の光電変換素子。
[3] 前記p型半導体化合物の150℃、1Hzにおける貯蔵弾性率が7×10Pa以上であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の光電変換素子。
[4] 前記p型半導体化合物が下記式(1A)、(1B)及び(1C)を含む繰り返し単位を有するコポリマーである[1]〜[3]のいずれかに記載の光電変換素子。
Figure 2015106651
(式(1A)、式(1B)及び式(1C)中、Aは周期表第16族元素から選ばれる原子を表し、Q及びQはそれぞれ独立して周期表第14族元素から選ばれる原子を表し、Rはヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表し、Rは置換基を有していてもよい分岐アルキル基を表し、Rは置換基を有していてもよい直鎖アルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、R及びRはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい分岐アルキル基、置換基を有していてもよい直鎖アルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂肪族複素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、RとRとの組、及びRとRとの組の少なくとも一組は、互いに異なる基を表す。)
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の光電変換素子を有する太陽電池。
[6] [5]に記載の太陽電池を有する太陽電池モジュール。
本発明により、より高い変換効率を有する光電変換素子を提供することができる。
本発明の一実施形態としての光電変換素子の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池モジュールの構成を模式的に示す断面図である。 本発明の実施例3−1におけるin−planeX線回折法及びout−of−planeX線回折法におけるX線回折スペクトルである。 本発明の比較例3−1におけるin−planeX線回折法及びout−of−planeX線回折法におけるX線回折スペクトルである。 本発明の比較例3−2におけるin−planeX線回折法及びout−of−planeX線回折法におけるX線回折スペクトルである。
以下に、本発明の実施の形態を説明するが、記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同一部分、又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。以下、本発明に係る光電変換素子について説明する。
<1.光電変換素子>
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る光電変換素子は、基板106上に形成され、アノード101、正孔取り出し層102、活性層103(p型半導体化合物とn型半導体化合物混合層)、電子取り出し層104、カソード105が順次、形成された層構造を有する。なお、光電変換素子107は、基板106、カソード105、電子取り出し層104、活性層103、正孔取り出し層102、アノード101が順次、形成された層構造であってもよい。それぞれの各層の間には、各層機能に影響を与えない程度に、別の層が挿入されていてもよい。また、電子取り出し層102及び正孔取り出し層は、必須の構成ではなく、必要に応じて適宜設ければよい。
<1.1.活性層103>
本発明において、活性層103はp型半導体化合物とn型半導体化合物を含むバルクヘテロ型の層であり、光電変換が行われる層である。具体的には、光電変換素子107が光を受けると、光が活性層103に吸収され、p型半導体化合物とn型半導体化合物との界面で電気が発生し、発生した電気が電極101及び105から取り出される。
本発明において、活性層103はin−planeX線回折測定法において、ブラッグ角2θ=3〜6°の範囲に第1のピークを有する(条件(1))。また、活性層103はout−of−planeX線回折測定法において、ブラッグ角2θ=3〜6°の範囲に第2のピークを有し、かつ、ブラッグ角2θ=23〜26°の範囲に第3のピークを有する(条件(2))。また、第1のピークの半値幅が第2のピークの半値幅よりも小さい(条件(3))ことを特徴としている。
in−planeX線回折測定法及びout−of−planeX線回折測定法は、共に薄膜における結晶の配向性を特定するものであり、out−of−planeX線回折測定法とin−planeX線回折測定法との間でピークパターンに差がある場合には、サンプル表面に対して低角度で(すなわち水平に近い方向に)配向する結晶と、高角度で(すなわち垂直に近い方向に)配向する結晶との間で、成長度合いに差があることを意味しうる。例えばout−of−plane測定法によるX線回折スペクトルにおけるピークの半値幅が小さく、in−planeX線回折測定法におけるX線回折スペクトルのピークの半値幅が大きい場合、低角度配向の結晶成長が高角度配向と比較して弱いことが示唆される。
本発明において、活性層103は、上記条件(1)〜(3)、すなわちin−plan
eX線回折測定法においてブラッグ角2θ=3〜6°の範囲に第1のピークを有し、out−of−planeX線回折測定法において、ブラッグ角2θ=3〜6°の範囲に第2のピークを有しており、第1のピークの半値幅が第2のピークの半値幅よりも小さいことから、活性層103中のp型半導体化合物のπ平面が基板に対して平行となるface on配向となっているものと考えられる。本発明に係る活性層103は、このような結晶配向性を有していることから、高い輸送効率、及び高い電極への捕集効率を有するものと考えられる。なお、第2のピークの半値幅に対する第1のピークの半値幅の比率は、0.9以下が好ましく、0.8以下であることがさらに好ましく、0.7以下であることが特に好ましく、一方で、通常、0.1以上である。
また、out−of−planeX線回折法におけるブラッグ角2θ=23〜26°におけるピークは活性層103中のp型半導体化合物のπスタックに由来するものと考えられる。すなわち、当該ピークを有する本発明に係る活性層103は、p型半導体化合物のπ平面同士が規則正しく配列(重なり合い)、良好な結晶性を有していると考えることができ、π平面間での高い電荷輸送効率を有するものと考えられる。
以上の通り、本発明に係る活性層103は、p型半導体化合物のπ平面が基板に対して平行に、かつp型半導体化合物のπ平面同士が、規則正しく重なりあった結晶配向性を有しており、これらの相互作用により、高い電荷輸送効率を有すると考えられる。
なお、in−planeX線回折測定法、及びout−of−planeX線回折測定法は、通常のX線回折装置(例えば、リガク社製RINT2000)を用いて測定することができる。なお具体的には、表面が平坦になるように資料ステージに測定対象の試料に波長1.54ÅのX線(X線源Cu−Kα)を、入射角0.20°で照射し測定すればよ
い。また、本発明において、ピークの存在の有無を判断するには、活性層がp型半導体化合物を含まないサンプルを同様に測定して、その差により判断することもできる。また、半値幅はガウス関数を用いたフィッティングにより算出することができる。
なお、活性層103は、in−planeX線回折測定法及びout−of−planeX線回折測定法の測定スペクトルにおいて、上述の通り、第1のピーク、第2のピーク及び第3のピークを有するが、ピーク数はこれに限定されるものではない。例えば、本発明に係る効果を損なわない限りにおいて、他のブラッグ角2θおいて、第1〜3のピーク以外にもピークを有していてもよい。
なお、活性層103の結晶配向性を制御する手段としては、好適な例として、以下の手段が考えられ、これらの手段を用いることにより、上述の結晶配向性を有するような活性層を形成することができる。しかしながら、活性層103が上述の結晶配向性を有しさえすれば、活性層103の形成において、以下の手段を全て用いる必要はなく、適宜選択して用いればよい。また、活性層103が上述の結晶配向性を有しさえすれば、別の手段により活性層103の結晶配向性を制御してもよい。
結晶の配向性は、p型半導体化合物の主鎖(骨格)の平面性と側鎖(置換基)の嵩高さが影響しうるものと考えられる。具体的には、p型半導体化合物としては、後述するようにドナー性モノマー部位及びアクセプター性モノマー部位の繰り返し単位を有するコポリマーが挙げられるが、主鎖(骨格)の平面性が高いp型半導体化合物を使用すること、及び嵩高くない側鎖を有するコポリマーを用いることで、p型半導体化合物のπ平面が基板に対して平行方向に配置された結晶配向性(face on配向)を有する活性層が得られるものと考えられる。具体的には、後述するようなドナー性モノマー部位、及びアクセプター性モノマー部位を有するようなコポリマーをp型半導体化合物として使用することが好ましい。
また、本発明に係る活性層103は後述するように塗布方法で形成することができるが、塗布方法に使用する塗布溶媒によっても、活性層103の結晶配向性は制御できるものと考えられる。活性層103を塗布法により形成するためには、塗布溶媒として、p型半導体化合物が溶解される程度の溶解度を有する溶媒を用いる必要があるが、p型半導体化合物に対する溶解度が高すぎない溶媒を使用することによって、p型半導体化合物が塗布溶媒から析出する際に強固なネットワークを形成すると共に、p型半導体化合物のπ平面が基板に対して平行方向に配置される結晶配向性を有する活性層が得られるものと考えられる。このような溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン又はデカン等の脂肪族炭化水素類;テトラリン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール又はプロパノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン又はシクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル又は乳酸メチル等のエステル類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミド等のアミド類等の非ハロゲン溶媒が挙げられる。上記の中でも、活性層103中のp型半導体化合物が、よりface on配向となる傾向があるという観点から、トルエン、キシレン、テトラリン又はこれらの混合溶媒が特に好ましい。
また、p型半導体化合物の合成方法においても、活性層103の結晶の配向性に関連するものと考えられる。具体的には、多量のドナー性モノマー及びアクセプター性モノマーを用いて合成したp型半導体化合物を活性層103に用いることによって、活性層中のp型半導体化合物のπ平面がface on配向になりやすい傾向がある。この理由としては、多量のドナー性モノマー及びアクセプター性モノマーを合成することにより、反応溶液の撹拌が安定し、重合反応が速やかに反応し、ドナー性モノマー部位同士、又はアクセプター性モノマー部位同士のホモカップリング反応や、官能基が脱離するといった種々の副反応が抑えられ、得られるp型半導体化合物の純度が向上すると考えらえる。この結果、活性層103中のp型半導体化合物の結晶性が良好となり、上述のような結晶配向性を有する活性層が形成できると考えられる。具体的には、p型半導体化合物の製造に用いられるアクセプター性モノマー及びドナー性モノマーの量は、それぞれ1g以上であることが好ましく、3g以上であることがより好ましく、5g以上であることがさらに好ましく、10g以上であることが特に好ましい。
また、活性層103の下に設けられている下地層との相互作用を強めることでも活性層中の配向性は制御できると考えられる。
活性層103の膜厚は特に限定されないが、通常10nm以上、好ましくは50nm以上であり、一方通常1μm以下、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下である。活性層103の膜厚が10nm以上であることは、膜の均一性が保たれ、短絡を起こしにくくなるため、好ましい。また、活性層103の厚さが1μm以下であることは、内部抵抗が小さくなる点、及び電極(カノード101−アノード105)間が離れすぎず電荷の拡散が良好となる点で、好ましい。
活性層103の作成方法としては、特段に制限はないが、塗布法が好ましい。塗布法としては、任意の方法を用いることができるが、例えば、スピンコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法、カーテンコート法等が挙げられる。なお、上述の通り、塗布法に用いる塗布液は、p型半導体化合物とn型半導体化合物を含む溶媒に混合して作製することができる。なお、塗布液には、p型半導体化合物、n型半導体化合物、及び溶媒以外にも、添加剤や界面活性剤等を含んでいてもよい。
なお、本明細書において「半導体」とは、固体状態におけるキャリア移動度の大きさによって定義される。キャリア移動度とは、周知であるように、電荷(電子又は正孔)がどれだけ速く(又は多く)移動されうるかを示す指標となるものである。具体的には、本明細書における「半導体」は、室温におけるキャリア移動度が通常1.0x10−6cm/V・s以上、好ましくは1.0x10−5cm/V・s以上、より好ましくは5.0x10−5cm/V・s以上、さらに好ましくは1.0x10−4cm/V・s以上であることが望ましい。なお、キャリア移動度は、例えば電界効果トランジスタのIV特性の測定、又はタイムオブフライト法等により測定できる。また、本発明に係る半導体層の特性としては、室温におけるキャリア移動度が1.0x10−6cm/V・s以上、好ましくは1.0x10−5cm/V・s以上、より好ましくは5.0x10−5cm/V・s以上、さらに好ましくは1.0x10−4cm/V・s以上であることが望ましい。
<1.1.1.p型半導体化合物>
活性層103が、上記の結晶配向性を有する限りにおいて、用いられるp型半導体化合物に特段の制限はないが、p型半導体化合物のd−PCBMに対する相溶限界濃度が大きすぎると、活性層103中において、p型半導体化合物とn型半導体化合物とが混合されすぎて、良好な相分離構造が形成されず、電極までの電荷輸送経路が著しく減少する傾向がある。そのため、良好な相分離構造を形成するためには、p型半導体化合物のd−PCBMに対する相溶性限界濃度が10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることが好ましく、6質量%以下であることがさらに好ましく、4質量%以下であることが特に好ましい。また、p型半導体化合物のd−PCBMに対する相溶限界濃度が低すぎると、活性層内のpn接触面積が小さくなってしまい、電荷分離効率が低下する場合がある。そのため、p型半導体化合物のd−PCBMに対する相溶限界濃度は1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがさらに好ましい。また、p型半導体化合物がd−PCBMに対して上述の相溶限界濃度を有していれば、電荷輸送効率、及び電荷分離効率が向上すると共に、上述の活性層の結晶配向性との相乗効果により、極めて高い変換効率を有する光電変換素子を提供できると考えられる。
なお、p型半導体化合物のd−PCBMに対する相溶限界濃度とは、p型半導体化合物とd−PCBMが接している状態で、2つの相が平衡状態にあるときのp型半導体化合物中に存在しているd−PCBMの濃度を意味し、Macromolecules,2013,46(3),pp1002−1007に記載の方法で測定することができる。
また、p型半導体化合物の150℃、1Hzにおける貯蔵弾性率に特段の制限はないが、該貯蔵弾性率が小さすぎるとp型半導体化合物の構造が不安定になり、光電変換素子の変換効率が低下する可能性がある。一方で、該貯蔵弾性率が大きすぎると、溶媒への溶解性が著しく低下し、プロセス性が低下する可能性がある。以上の観点から、p型半導体化合物の、150℃、1Hzの貯蔵弾性率が7×10Pa以上であれば、光電変換素子の製造工程において、アニール処理工程を伴う場合、活性層103中において、効率的な電荷輸送に適したスケールの強固なネットワークを形成することが可能となり、製造される光電変換素子の変換効率を向上させることができる。さらに、上記の貯蔵弾性率を有するp型半導体化合物を用いることにより、光電変換素子が発熱しても、p型半導体化合物のネットワーク構造が安定に保たれ、高い電荷輸送効率を維持することが可能となるために、変換効率の低下が小さく、長期間の使用が可能な耐久性の高い光電変換素子を提供することができると考えられる。なお、p型半導体化合物の150℃、1Hzにおける貯蔵弾性率は、9×10Pa以上であることがより好ましく、1×10Pa以上であることがさらに好ましく、1.2×10Pa以上であることが特に好ましく、一方で、5×1011Pa以下であることがより好ましく、1×1011Pa以下であることがさらに好
ましく、1×1010Pa以下であることが特に好ましい。
また、p型半導体化合物の150℃、1Hzにおける損失正接(tanδ)は定義上、0以上であるが、損失正接が大きすぎるとp型半導体化合物の構造が安定に維持されず、素子の光電変換効率が低下しやすくなる傾向がある。そのため、損失正接が0.1以下であることが好ましく、0.09以下であることが更に好ましく、0.08以下であることが特に好ましい。なお、損失正接は、貯蔵弾性率に対する損失弾性率の比率を表す。
なお、p型半導体化合物の150℃、1Hzにおける貯蔵弾性率及び損失正接は、市販の動的粘弾性測定装置(例えば、SIIナノテクノロジー社製:DMS6100)を用い、150℃を含む温度領域で測定温度を変化させながら、試料片に周波数1Hzの正弦歪みを与え、発生する応力を検知することで行うことができる。なお、測定モードは引っ張り、ずり、圧縮、曲げなどから、使用する装置及び試料片の形状に応じて適宜選択することができる。具体的には、測定された貯蔵弾性率及び損失正接の温度分散から150℃における貯蔵弾性率及び損失正接を読み取り、p型半導体化合物の1Hzにおける貯蔵弾性率及び損失正接とする。
活性層103が有するp型半導体化合物としては特段の制限はなく、活性層103が上記の結晶配向性を有する限りにおいて、以下のようにドナー性モノマー部位、及びアクセプター性モノマー部位の、繰り返し単位を有するコポリマーが挙げられる。
ドナー性モノマー部位とは、電子供与体としての役割を有するものであり、例えば、複素環芳香族部分を有し、好ましくは、チオフェン部分を有するものであり、2以上の環構造を有する縮環チオフェン部分を有するものが主に挙げられる。
なお、これらの中でも、ベンゾチオフェン部分、イソチアナフテン部分、イミダゾロチオフェン部分、ピロロチオフェン部分、チアゾロチオフェン部分、チエノチオフェン部分、ジチエノチオフェン部分、ベンゾジチオフェン部分、シクロペンタジチオフェン部分、ジチエノシロール部分、ジチエノゲルモール部分、ジチエノピロール部分、ジチエノピラン、水素化ジチエノピラン、ジチエノナフタレン部分、ジチエノキノキサリン部分、ジチエノアントラセン部分、インダセノジチオフェン部分、ジチエノベンゾジチオフェン部分、ベンゾビスシロロジチオフェン部分が挙げられる。これらの中でも、組み合せるアクセプターモノマー部位との間で、より高い共平面性を形成するためには、チエノチオフェン部分、ベンゾジチオフェン部分、シクロペンタジチオフェン部分、ジチエノシロール部分、ジチエノゲルモール部分、ジチエノピロール部分、ジチエノピラン、水素化ジチエノピラン、インダセノジチオフェン部分、ジチエノベンゾジチオフェン部分、ベンゾビスシロロジチオフェン部分であることが好ましい。
アクセプター性モノマー部位としては、p型半導体化合物中において、電子受容体としての役割を有するものであり、具体的には、オキサゾール部分、チアゾール部分、オキサジアゾール部分、チアジアゾール部分、ケト基、エステル基、フルオロ基、クロロ基、シアノ基、ピロール部分、ピリジン部分、ピラジン部分、イミダゾール部分、トリアゾール部分、テトラジン部分、イミド部分を含む。これらの中でも好ましくは、ベンゾチアジアゾール部分、フルオロベンゾチアジアゾール部分、ジフルオロベンゾチアジアゾール部分、クロロベンゾチアジアゾール部分、ジクロロベンゾチアジアゾール部分、ピリジノチアジアゾール部分、ビスチアゾール部分、チアゾロチアゾール部分、ベンゾビスチアゾール部分、フタルイミド部分、イミドチオフェン部分、イミドジチオフェン部分、チエノピラジン部分、チエノピロール部分、チエノピリジン部分、チエノチアゾール部分、ベンゾオキサジアゾール部分、フルオロベンゾオキサジアゾール部分、ジフルオロベンゾオキサジアゾール部分、クロロベンゾオキサジアゾール部分、ジクロロベンゾオキサジアゾール部
分、ピリジノオキサジアゾール部分、ベンゾトリアゾール部分、ピリジノトリアゾール部分、チエノチアジアゾール部分、チエノオキサジアゾール部分、チエノトリアゾール部分、キノキサリン部分、フルオロチエノチオフェン部分、シアノチエノチオフェン部分、ジフルオロチオフェン部分、チアゾロチオフェン部分、ジケトチオフェン部分、イミダゾロチオフェン部分、ナフトビスチアジアゾール部分、ナフトビスオキサジアゾール部分、ナフトビストリアゾール部分が挙げられる。さらにこれらの中でも、ベンゾチアジアゾール部分、フルオロベンゾチアジアゾール部分、ジフルオロベンゾチアジアゾール部分、クロロベンゾチアジアゾール部分、ジクロロベンゾチアジアゾール部分、ピリジノチアジアゾール部分、イミドチオフェン部分、ベンゾオキサジアゾール部分、フルオロベンゾオキサジアゾール部分、ジフルオロベンゾオキサジアゾール部分、クロロベンゾオキサジアゾール部分、ジクロロベンゾオキサジアゾール部分、ピリジノオキサジアゾール部分、キノキサリン部分、フルオロチエノチオフェン部分、ナフトビスチアジアゾール部分、ナフトビスオキサジアゾール部分、ナフトビストリアゾール部分が好ましい。なお、組み合せるドナー性モノマー部位との間で高い共平面性を形成するためには、ベンゾビスチアゾール部分、イミドチオフェン部分、イミドジチオフェン部分、チエノピラジン部分、チエノトリアゾール部分、フルオロチエノチオフェン部分が好ましい。
なお、p型半導体化合物として用いるコポリマーは、2つ以上のドナー性モノマー部位を有していてもよいし、2つ以上のアクセプター性モノマー部位を有していてもよい。また、p型半導体化合物は、同じ骨格を有しつつも、互いに異なる置換基を有する、ドナー性モノマー部位又はアクセプター性モノマー部位を有していてもよい。
なお、上記相溶性限界濃度、150℃、1Hzにおける貯蔵弾性率及び損失正接は、ドナー性モノマー部位及びアクセプター性モノマー部位の主鎖(骨格)及び側鎖(モノマー部位が有する置換基)にも依存する。例えば、上記d−PCBMに対する相溶性限界濃度を小さくするためには、直鎖状の置換基、例えば、直鎖アルキル基、直鎖アルコキシ基であれば、d−PCBMに対する相溶限界濃度は下がる傾向にあり、側鎖が芳香族炭化水素基、又は芳香族複素環基である場合は、d−PCBMに対する相用限界濃度は大きくなる傾向がある。
なお、上記の中でも、下記式(1A)、(1B)及び(1C)を含む繰り返し単位を有するコポリマーは、溶解させた際にゲル化しにくいために、塗布成膜するために適しており、さらには光吸収波長領域がより長波長にあり、かつ光吸収性が高く、さらに高い移動度を有する点から好ましい。また、高分子量となりやすい点からも好ましい。
Figure 2015106651
式(1A)、式(1B)及び式(1C)中、Aは周期表第16族元素から選ばれる原子を表す。Aとして具体的には、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はテルル原子が挙げられる。なかでも、合成の容易性の点で好ましくは酸素原子、硫黄原子又はセレン原子であり、より好ましくは、硫黄原子又は酸素原子であり、特に好ましくは硫黄原子である。
式(1A)、式(1B)及び式(1C)中、Q及びQは、それぞれ独立して周期表第14族元素から選ばれる原子を表す。周期表第14族元素から選ばれる原子として具体的には、炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子及び鉛原子が挙げられる。Q及びQは、同一でも異なっていてもよい。
及びQとして好ましくは、炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子及びスズ原子であり、より好ましくは、炭素原子、ケイ素原子及びゲルマニウム原子である。さらに好ましくは、ケイ素原子又はゲルマニウム原子である。ケイ素原子及びゲルマニウム原子は炭素原子と比較して原子半径が大きいことから、π−πスタッキングを阻害するような置換基R〜Rによる立体障害が低減されうる。このことは、コポリマー間の分子間相互作用が適度に維持されうる点で好ましい。
はヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基とは、炭化水素基を構成する炭素原子と水素原子とのうちの少なくとも一部が、ヘテロ原子又はヘテロ原子を有する原子団で置換されていてもよい炭化水素基のことを指す。
ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基の例としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基が挙げられる。
アルキル基としては、直鎖アルキル基、分岐アルキル基又はシクロアルキル基が挙げられる。なかでも、コポリマーの溶解性が適度に向上しうる点で、直鎖アルキル基又は分岐アルキル基が好ましい。分岐アルキル基としては、分岐1級アルキル基、分岐2級アルキル基又は分岐3級アルキル基が挙げられる。分岐1級アルキル基とは、遊離原子価を有する炭素原子に結合する水素原子が2つである分岐アルキル基を意味する。分岐2級アルキル基とは、遊離原子価を有する炭素原子に結合する水素原子が1つである分岐アルキル基を意味する。また分岐3級アルキル基とは、遊離原子価を有する炭素原子に結合する水素
原子が無い分岐アルキル基を意味する。ここで、遊離原子価とは、有機化学・生化学命名法(上)(改訂第2版、南江堂、1992年発行)に記載のとおり、他の遊離原子価と結合を形成できるものをいう。
適度に分子間相互作用を強めて移動度を向上させる観点からは、直鎖アルキル基又は分岐1級アルキル基がより好ましく、溶解性を適度に向上させるためには、分岐2級アルキル基がより好ましい。さらに好ましくは、直鎖アルキル基及び分岐1級アルキル基であり、特に好ましくは、直鎖アルキル基である。
アルキル基の炭素数は、通常1以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、一方、通常30以下、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは12以下である。
直鎖アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基、n−ヘンイコシル基、n−ドコシル基、n−トリコシル基、n−テトラコシル基、n−ペンタコシル基、n−ヘキサコシル基、n−ヘプタコシル基、n−オクタコシル基、n−ノナコシル基又はn−トリアコンチル基等が挙げられる。
なかでも好ましくは、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基、n−ヘンイコシル基、n−ドコシル基、n−トリコシル基、n−テトラコシル基、n−ペンタコシル基、n−ヘキサコシル基、n−ヘプタコシル基、n−オクタコシル基、n−ノナコシル基又はn−トリアコンチル基であり、より好ましくは、コポリマーの溶解度を適度に維持しつつ、かつコポリマーの分子間距離を離し過ぎないことにより電荷移動を促進しうる点で、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、又はn−ドデシル基である。
分岐1級アルキル基としては、例えば、2−エチルヘキシル基、2−メチルプロピル基、2−エチルヘキシル基、2,2−ジメチルプロピル基、2−メチルブチル基、2−エチルブチル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2−メチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2,3−ジメチルブチル基、2,6−ジメチルへプチル基、2−ヘキシルデシル基、2,2−ジメチルブチル基、2−メチルヘプチル基、2−メチルヘキサデシル基、2−ブチルオクチル基、2−メチルノニル基、2−プロピルペンチル基、2−メチルウンデシル基、2−ヘキシルオクチル基、2−メチルオクチル基、2−メチルデシル基、2−メチルドデシル基又は2,5−ジメチルヘキシル基等が挙げられる。なかでも、2−エチルヘキシル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2,6−ジメチルへプチル基、2−ヘキシルデシル基、2−メチルヘプチル基、2−ブチルオクチル基、2−メチルノニル基、2−プロピルペンチル基、2−メチルウンデシル基、2−ヘキシルオクチル基、2−メチルオクチル基、2−メチルデシル基、2−メチルドデシル基又は2,5−ジメチルヘキシル基が好ましく、より好ましくは2−エチルヘキシル基、2−ヘキシルデシル基、2−ブチルオクチル基又は2−ヘキシルオクチル基である。
分岐2級アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、1−メチルプロピル基、1−
メチルブチル基、1−メチルヘプチル基、1−プロピルペンチル基、1−エチルヘキシル基、1−エチルプロピル基、1−メチルペンチル基、1−エチルペンチル基、1−ブチルペンチル基、1−メチルオクチル基、1−エチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1,5−ジメチルヘキシル基、1−ブチルヘプチル基、1−メチルウンデシル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,3−ジメチルブチル基、1−エチルオクチル基、1−プロピルヘキシル基、1,2−ジメチルペンチル基、4−エチル−1−メチルオクチル基、1−エチルウンデシル基、4−メチル−1−プロピルヘキシル基、1−ヘキシルヘプチル基、1,3−ジメチルペンチル基、1−エチル−2−メチルペンチル基、1,2−ジメチルペンチル基、1−ブチルヘキシル基、1−メチルトリデシル基、1−メチルペンタデシル基、1,3−ジメチルデシル基、1,3,5−トリメチルヘキシル基、3−エチル−1,5−ジメチルノニル基又は1−プロピルヘプチル基等が挙げられる。なかでも、1−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、1−メチルヘプチル基、1−プロピルペンチル基、1−エチルヘキシル基、1−メチルペンチル基、1−エチルペンチル基、1−メチルオクチル基、1−エチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1,5−ジメチルヘキシル基、1−ブチルヘプチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,3−ジメチルブチル基、1−エチルオクチル基、1−プロピルヘキシル基、1,2−ジメチルペンチル基、4−エチル−1−メチルオクチル基、4−メチル−1−プロピルヘキシル基、1,3−ジメチルペンチル基、1−エチル−2−メチルペンチル基、1,2−ジメチルペンチル基、1−ブチルヘキシル基、1,3,5−トリメチルヘキシル基、3−エチル−1,5−ジメチルノニル基又は1−プロピルヘプチル基が好ましく、より好ましくは1−プロピルペンチル基、1−エチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、1−エチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1−ブチルヘプチル基、1−エチルオクチル基、1−プロピルヘキシル基、4−エチル−1−メチルオクチル基、4−メチル−1−プロピルヘキシル基、1−エチル−2−メチルペンチル基、1−ブチルヘキシル基、3−エチル−1,5−ジメチルノニル基又は1−プロピルヘプチル基である。
分岐3級アルキル基としては、例えば、t−ブチル基、1−(1−メチルエチル)−1−メチルペンチル基、1−エチル−1,3,3−トリメチルブチル基、1−エチル−1,3−ジメチルペンチル基、3−エチル−1,1−ジメチルペンチル基、2−エチル−1,1−ジメチルペンチル基、1,1,3,4−テトラメチルペンチル基、1,1,3,3−テトラメチルペンチル基、1,1,4−トリメチルヘキシル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、1,1,2−トリメチルヘキシル基、1,1−ジエチル−2−メチルプロピル基、1−エチル−1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジプロピルペンチル基、1,1−ジメチルドデシル基、1,1,5−トリメチルヘキシル基、1,1−ジブチルドデシル基、1−ブチル−1−エチルヘキシル基、1,1,4−トリメチルペンチル基、1−(2−メチルプロピル)−1−メチルペンチル基、1,3−ジメチル−1−(2−メチルプロピル)ブチル基、3−メチル−1−(2−メチルプロピル)ブチル基、2,2−ジメチルテトラコシル基、1−エチル−1−プロピルペンチル基、1,3,3,5,5−ペンタメチルヘキシル基、1−エチル−1,2,2−トリメチルプロピル基、1,1,2,3,3−ペンタメチルヘキシル基、1,1−ジメチルノニル基、1−エチル−1,4−ジメチルペンチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,1−ジメチルヘプチル基、1−エチル−1−メチルペンチル基、1,1−ジメチルデシル基、1,1−ジメチルオクチル基、1,1−ビス(1−メチルエチル)−2−メチルプロピル基、1−(1−メチルエチル)−1,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルオクタデシル基、1−(2−メチルプロピル)−1,3,3−トリメチルブチル基、1−エチル−1,3−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルウンデシル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルペンチル基、1−プロピル−1,2−ジメチルブチル基、2−メチル−1−(1−メチルエチル)プロピル基、1,1−ジブチルペンチル基、1−ブチル−1−プロピルペンチル基、1,1−ジプロピルブチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1,1−ジメチルヘキサデシル基、1,1−ジブチル−4−メチルペンチル基、1,4−ジメチル−1−
(2−メチルプロピル)ペンチル基、1−ブチル−1,4−ジメチルペンチル基、1−ブチル−1−エチルペンチル基、1−ブチル−1−メチルペンチル基、1−エチル−1−メチルヘキシル基、1−メチル−1−プロピルペンチル基、1−ヘキシル−1−メチルノニル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−(2−エチルヘキシル)−1−メチルドデシル基、1,1−ビス(2−エチルヘキシル)−3−エチルヘプチル基、1,1−ジオクチルノニル基又は1,1,2,2−テトラメチルプロピル基等が挙げられる。なかでも、t−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基が好ましく、より好ましくはt−ブチル基である。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基又はシクロラウリル基等が挙げられる。なかでも、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基又はシクロオクチル基が好ましい。
アルケニル基の炭素数は、通常2以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、一方、通常20以下、好ましくは16以下、より好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下である。このようなアルケニル基としては、例えば、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基又はゲラニル基等が挙げられる。好ましくは、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基又はドデセニル基であり、より好ましくは、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基又はデセニル基である。
アルキニル基の炭素数は、通常2以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、一方、通常20以下、好ましくは16以下、より好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下である。このようなアルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基、トリデシニル基、テトラデシニル基、ペンタデシニル基、ヘキサデシニル基、ヘプタデシニル基、オクタデシニル基、ノナデシニル基、イコシニル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基の炭素数は、通常6以上、一方、通常30以下、好ましくは20以下、より好ましくは14以下である。このような芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、インダニル基、インデニル基、フルオレニル基、アントラセニル基又はアズレニル基等が挙げられる。なかでも、フェニル基又はナフチル基が好ましい。
複素環基としては、脂肪族複素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。脂肪族複素環基の炭素数は、通常2以上、一方、通常20以下、好ましくは14以下、より好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは6以下である。このような脂肪族複素環基としては、例えば、オキセタニル基、ピロリジニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチエニル基、ピペリジニル基、テトラヒドロピラニル基又はテトラヒドロチオピラニル基等が挙げられる。
芳香族複素環基の炭素数は、通常2以上、一方、通常30以下、好ましくは20以下、より好ましくは14以下である。このような芳香族複素環基としては、例えば、チエニル基、フラニル基、ピリジル基、ピリミジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、トリアゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基又はベンゾトリアゾリル基等が挙げられる。なかでも、チエニル基、ピリジル基、ピリミジル基、チアゾリル基又はオキサゾリル基が好ましい。
本明細書において、各基が「有していてもよい」置換基としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定はないが、好ましくは、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、カルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ボリル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、脂肪族複素環基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基等が挙げられる。なかでも好ましくは、コポリマーの分子内極性をコントロールしうる点で、アルコキシ基又はアルキルチオ基である。
として、好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基であり、より好ましくは、コポリマーの有機溶媒への溶解性を適度に高めることができ、塗布成膜プロセスにおいて有利となりうる点で、置換基を有していてもよいアルキル基である。置換基を有していてもよいアルキル基としては、炭素数が3以上であることが好ましく、炭素数が8以上であることがより好ましい。一方で、コポリマーが適度な分子間相互作用を有しうる観点から、炭素数が20以下であることが好ましく、炭素数が16以下であることがより好ましい。また、アルキル基は分岐鎖を持つアルキル基であってもよいが、溶解性を適度に向上させるという観点から、直鎖のアルキル基であることがより好ましい。アルキル基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子のようなハロゲン原子が好ましい例として挙げられる。
は置換基を有していてもよい分岐アルキル基を表す。分岐アルキル基の例としては、Rについて例示した分岐アルキル基が挙げられ、特に分岐1級アルキル基であることが好ましい。Rが分岐アルキル基であることは、コポリマーの有機溶媒への溶解度が適度に向上しうる点で好ましい。この観点から、Rの炭素数は3以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましく、一方で、Rの炭素数は20以下であることが好ましく、16以下であることがより好ましい。有していてもよい置換基として特に好ましくは、フッ素原子のようなハロゲン原子が挙げられる。Rとして特に好ましくは、2−エチルヘキシル基、2−ヘキシルデシル基、2−ブチルオクチル基又は2−ヘキシルオクチル基等が挙げられる。
は置換基を有していてもよい直鎖アルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。直鎖アルキル基、芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基の例としては、Rについて例示した直鎖アルキル基、芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が挙げられる。Rが直鎖アルキル基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基であることにより、式(1C)で表される繰り返し単位周辺の立体障害が抑えられ、分子間相互作用が適度に向上しうる。このことは、コポリマーの光吸収波長が長波長化しうる点、及びコポリマーの半導体特性が向上しうる点で好ましい。この観点から、Rの炭素数は3以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。一方で、立体障害をより軽減する観点から、Rは直鎖アルキル基であることがより好ましい。また、Rの炭素数は20以下であることが好ましく、16以下であることがより好ましい。有していてもよい置換基として特に好ましくは、フッ素原子のようなハロゲン原子が挙げられる。Rとして特に好ましくは、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基又はn−ドデシル基等が挙げられる。
及びRはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい分岐アルキル基、置換基を有していてもよい直鎖アルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂肪族複素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。分岐アルキル基、直鎖アルキル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基及び芳香族複素環基の例としては、
について例示した分岐アルキル基、直鎖アルキル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。有していてもよい置換基の好ましい例としては、フッ素原子のようなハロゲン原子が挙げられる。
及びRとして好ましくは、置換基を有していてもよい分岐アルキル基、置換基を有していてもよい直鎖アルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基である。分岐アルキル基として特に好ましくは、2−エチルヘキシル基、2−ブチルオクチル基又は2−ヘキシルオクチル基等が挙げられる。直鎖アルキル基として特に好ましくは、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基又はn−ドデシル基等が挙げられる。芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基の特に好ましい例としては、例えばフェニル基、チエニル基又はナフチル基等が挙げられる。芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基は、さらなる置換基として2−エチルヘキシル基のような置換基を有していてもよい分岐アルキル基、又はn−オクチル基のような置換基を有していてもよい直鎖アルキル基を有することが好ましい。
及びRの好ましい組合せについて説明する。Rが分岐アルキル基である場合には、Rが分岐アルキル基、直鎖アルキル基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基であることが、分子間相互作用を適度に大きくできる点で好ましい。さらに好ましくは、直鎖アルキル基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基であり、特に好ましくは直鎖アルキル基である。
が直鎖アルキルである場合には、Rが分岐アルキル基、シクロアルキル基、脂肪族複素環基又は芳香族複素環基であることが、コポリマーの溶解度が適度に向上し、さらにはゲル化が抑制されうる点で好ましい。コポリマーの分子間相互作用を適度に大きくできる点で、分岐アルキル基であることがより好ましく、分岐1級アルキル基であることが特に好ましい。
がシクロアルキル基である場合には、Rが直鎖アルキル基であることが、分子間相互作用を適度に大きくできる点で好ましい。
が芳香族炭化水素基である場合には、Rが分岐アルキル基、直鎖アルキル基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基であることが、コポリマーの分子間相互作用を適度に大きくできる点で好ましい。
が脂肪族複素環基である場合には、Rが直鎖アルキル基であることが、コポリマーの分子間相互作用を適度に大きくできる点で好ましい。
が芳香族複素環基である場合には、Rが分岐アルキル基、直鎖アルキル基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基であることが、コポリマーの分子間相互作用を適度に大きくできる点で好ましい。
とRとの組、及びRとRとの組のうち少なくとも一組は、互いに異なる基を表す。RとRとが互いに異なる基を表す場合、上述のようにRとRとは異なる基であるから、Rは、RとRとのどちらとも異なる。すなわち、R及びRで表される2つの基の組み合わせは、RとRで表される2つの基の組み合わせとは異なる。一方で、RとRとが互いに異なる基を表す場合であっても、上述のようにRとRとは異なる基であるから、Rは、RとRとのどちらとも異なる。すなわち、R及びRで表される2つの基の組み合わせは、RとRで表される2つの基の組み合わせとは異なる。このように、式(1B)及び(1C)において、R及びRで表される2つの基の組み合わせは、RとRで表される2つの基の組み合わせとは異なる。
式(1B)で表される繰り返し構造は、分岐アルキル基(R)のために、コポリマー
の溶媒への溶解性を適度に向上させ、溶液としたときの保存安定性を向上させうる。また、コポリマーの溶解性を適度に向上させることにより、コポリマーが重合反応中に析出することを防ぐことができるので、十分な分子量を有するコポリマーを得ることがより容易となりうる。一方で、式(1C)で表される繰り返し構造は、直鎖アルキル基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基(R)のために、分子間相互作用が部分的に強くなりうる。このために、コポリマーは、より長波長の光を吸収することが可能となり、より高い太陽光の吸収効率を有しうる。また、向上した分子間相互作用のために、コポリマー分子間における電荷輸送効率が向上しうる。このようにコポリマーは、式(1B)で表される繰り返し構造と式(1C)で表される繰り返し構造との双方を有することにより、式(1B)で表される繰り返し構造及び式(1C)で表される繰り返し構造による双方の利点を有することができる。
また、上述のようにRとRとの組、及びRとRとの組のうち少なくとも一方は、互いに異なる基を表す。式(1B)で表される繰り返し構造と式(1C)で表される繰り返し構造とが互いに異なる置換基を有することにより、コポリマーの配列に乱れが生じ、π−πスタッキング等の分子間相互作用に起因する著しい溶解度低下を抑制することができる。また、重合反応中の析出を抑制して高分子量のポリマーを得ることが可能となる。さらに、コポリマーの配列の乱れは、コポリマーの溶液のゲル化を抑制しうる。加えて、コポリマーの配列の乱れは、コポリマーの結晶性を適度に低下させ、コポリマーを含む薄膜を平坦化させたり、膜の欠陥を減少させる効果が得られうる。コポリマーを含むこのような膜は、有機電子デバイスの構成要素として用いるのに適している。また、コポリマーを太陽電池に用いる場合、耐熱性及び耐光性が向上し、長寿命の太陽電池素子が得られうる。
コポリマーは、式(1A)で表される繰り返し単位、式(1B)で表される繰り返し単位、及び(1C)で表される繰り返し単位のうち1以上のそれぞれを、2種以上含んでいてもよい。
コポリマーは、本発明の効果を損なわない範囲で、式(1A)、(1B)又は(1C)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。式(1A)で表される繰り返し単位、式(1B)で表される繰り返し単位、及び式(1C)で表される繰り返し単位の合計が、コポリマーを構成する繰り返し単位に占める比率は、特段の制限は無いが、通常3モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは25モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、よりさらに好ましくは90%以上である。特に好ましくは、コポリマーは、式(1A)で表される繰り返し単位、式(1B)で表される繰り返し単位、及び(1C)で表される繰り返し単位を含みかつこれらの繰り返し単位のみで構成されるか、又はこれらの繰り返し単位を含みかつこれらの繰り返し単位のみで構成されるポリマー鎖を含む。
コポリマーを構成する繰り返し単位に占める、式(1A)で表される繰り返し単位の比率は、特段の制限は無いが、通常1モル%以上、好ましくは2モル%以上、より好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上である。一方、通常98モル%以下、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。
コポリマーを構成する繰り返し単位に占める、式(1B)で表される繰り返し単位の比率は、特段の制限は無いが、通常1モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは30モル%以上である。一方、通常98モル%以下、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。
コポリマーを構成する繰り返し単位に占める、式(1C)で表される繰り返し単位の比率は、特段の制限は無いが、通常1モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは30モル%以上である。一方、通常98モル%以下、好ましくは90モル%以下、よ
り好ましくは70モル%以下である。
コポリマーにおける、式(1B)で表される繰り返し単位の数に対する式(1C)で表される繰り返し単位の数の比率(1C/1B)は、特段の制限は無いが、通常0.01以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上である。一方、通常100以下、好ましくは10以下、より好ましくは5以下である。
コポリマーにおける、式(1A)で表される繰り返し単位の数に対する、式(1B)で表される繰り返し単位の数と式(1C)で表される繰り返し単位の数との合計の比((1B+1C)/1A)は、特段の制限は無いが、通常0.01以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上である。一方、通常100以下、好ましくは10以下、より好ましくは2以下である。
コポリマーにおける、式(1A)、式(1B)及び式(1C)で表される繰り返し単位の配列状態は、交互、ブロック又はランダムのいずれでもよい。すなわち、コポリマーは、交互コポリマー、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーのいずれでもよい。また、これらのコポリマーのうち中間的な構造を有するコポリマー、例えばブロック性を帯びたランダムコポリマーであってもよい。また、主鎖に枝分かれがあり末端部が3つ以上あるコポリマー、及びデンドリマーも含まれる。なかでも、合成が容易であり、規則性がより低下しうる点で、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーであることが好ましく、コポリマーの溶解性が適度に向上し、かつコポリマーを溶解させたインクの保存安定性がより向上しうる点で、ランダムコポリマーであることがより好ましい。
なかでも、コポリマーは、下記式(2A)及び式(2B)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。下記式(2A)及び式(2B)で表される繰り返し単位を有するコポリマーは、電荷分離状態をより容易に維持しうる点で好ましい。
Figure 2015106651
式(2A)及び式(2B)中、A及びAは各々独立して、周期表第16族元素から選ばれる原子を表す。A及びAは、式(1A)におけるAと同様のものである。A及びAは同一でも異なっていてもよく、コポリマーのπ共役が局在化しにくい点で、好ましくは同一である。A及びAとして好ましくは、酸素原子、硫黄原子又はセレン原
子であり、移動度が向上しうる点で、より好ましくは硫黄原子又はセレン原子であり、特に好ましくは硫黄原子である。
式(2A)及び式(2B)中、Q及びQは、それぞれ独立して周期表第14族元素から選ばれる原子を表す。Q及びQは、式(1B)及び(1C)におけるQ及びQと同様のものである。
及びRは、それぞれ独立して、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表し、Rは置換基を有していてもよい分岐アルキル基を表し、Rは置換基を有していてもよい直鎖アルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、R及びRはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい分岐アルキル基、置換基を有していてもよい直鎖アルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂肪族複素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。また、RとRとの組、及びRとRとの組のうち少なくとも一方は、互いに異なる基を表す。R〜Rは、式(1A)〜(1C)におけるR〜Rと同様である。また、Rは式(1A)におけるRと同様のものである。
コポリマーは、式(2A)で表される繰り返し単位及び(2B)で表される繰り返し単位のうち1以上のそれぞれを、それぞれ2種以上含んでいてもよい。
コポリマーは、本発明の効果を損なわない範囲で、式(2A)又は(2B)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。式(2A)で表される繰り返し単位及び式(2B)で表される繰り返し単位の合計が、コポリマーを構成する繰り返し単位に占める比率は、特段の制限は無いが、通常2モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは25モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、よりさらに好ましくは90%以上である。特に好ましくは、コポリマーは、式(2A)で表される繰り返し単位及び式(2B)で表される繰り返し単位を含みかつこれらの繰り返し単位のみで構成されるか、又はこれらの繰り返し単位を含みかつこれらの繰り返し単位のみで構成されるポリマー鎖を含む。
コポリマーを構成する繰り返し単位に占める、式(2A)で表される繰り返し単位の比率は、特段の制限は無いが、通常1モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上である。一方、通常99モル%以下、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。
コポリマーを構成する繰り返し単位に占める、式(2B)で表される繰り返し単位の比率は、特段の制限は無いが、通常1モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上である。一方、通常99モル%以下、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。
コポリマーにおける、式(2B)で表される繰り返し単位の数に対する式(2A)で表される繰り返し単位の数の比率(2A/2B)は、特段の制限は無いが、通常0.01以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上である。一方、通常100以下、好ましくは10以下、より好ましくは5以下である。
コポリマーにおける、式(2A)及び式(2B)で表される繰り返し単位の配列状態は、交互、ブロック又はランダムのいずれでもよい。すなわち、コポリマーは、交互コポリマー、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーのいずれでもよい。また、これらのコポリマーのうち中間的な構造を有するコポリマー、例えばブロック性を帯びたランダムコポリマーであってもよい。また、主鎖に枝分かれがあり末端部が3つ以上あるコポリマー、及びデンドリマーも含まれる。なかでも、合成が容易であり、規則性がより低下しうる点で、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーであることが好ましく、コポリマーの溶解性が適度に向上し、かつコポリマーを溶解させたインクの保存安定性が向上しうる点
で、ランダムコポリマーであることがより好ましい。
コポリマーの好ましい具体例を以下に示す。しかしながら、コポリマーが以下の例示に限られるわけではない。
Figure 2015106651
Figure 2015106651
Figure 2015106651
コポリマーのポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常2.0×10以上、好ましくは3.0×10以上、より好ましくは4.0×10以上、さらに好ましくは5.0×10以上、よりさらに好ましくは7.0×10以上、特に好ましくは1.0×10以上である。一方、好ましくは1.0×10以下、より好ましくは1.0×10以下、特に好ましくは5.0×10以下である。光吸収波長を長波長化するという観点、高い吸光度を実現するという観点、高いキャリア移動を実現できるという観点、及び有機溶媒への溶解度の観点から、重量平均分子量がこの範囲にあることが好ましい。
コポリマーのポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、通常5.0×10以上、好ましくは1.0×10以上、より好ましくは2.0×10以上、さらに好ましくは2.5×10以上、特に好ましくは3.0×10以上である。一方、好ましくは1.
0×10以下、より好ましくは1.0×10以下、さらに好ましくは5.0×10以下、殊更に好ましくは2.0×10以下、特に好ましくは1.0×10以下である。光吸収波長を長波長化するという観点、高い吸光度を実現するという観点、高いキャリア移動を実現できるという観点、及び有機溶媒への溶解度の観点から、数平均分子量がこの範囲にあることが好ましい。
コポリマーの分子量分布(PDI,(重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)))は、通常1.0以上、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.3以上である。一方、好ましくは20.0以下、より好ましくは15.0以下、さらに好ましくは10.0以下である。コポリマーの溶解度が塗布に適した範囲になりうるという点で、分子量分布がこの範囲にあることが好ましい。
コポリマーのポリスチレン換算の重量平均分子量、数平均分子量、及び分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。具体的には、カラムとして、PolymerLaboratories GPC用カラム(PLgel MIXED−B 10μm 内径7.5mm,長さ30cm)を2本直列に繋げて用い、ポンプとしてLC−10AT(島津製作所社製)、オーブンとしてCTO−10A(島津製作所社製)、検出器として示差屈折率検出器(島津製作所製:RID−10A)、及びUV−vis検出器(島津製作所製:SPD−10A)を用いることにより測定
できる。測定方法としては、測定対象のコポリマー(1mg)をクロロホルム(200mg)に溶解させ、得られた溶液1μLをカラムに注入する。移動相としてクロロホルムを用い、1.0mL/minの流速で測定を行う。解析にはLC−Solution(島津製作所製)を用いる。
コポリマーは、好ましくは光吸収極大波長(λmax)が通常470nm以上、好ましくは480nm以上にあり、一方、通常1200nm以下、好ましくは1000nm以下、より好ましくは900nm以下にある。また、350nmから850nmの範囲で最も長波長側にある吸収極大波長の半値幅が通常10nm以上、好ましくは20nm以上であり、一方、通常300nm以下である。また、コポリマーを太陽電池用途に用いる場合、コポリマーの吸収波長領域は太陽光の波長領域に近いほど望ましい。
コポリマーは、分子間で適度な相互作用が起こることが好ましい。本明細書において、分子間で相互作用するということは、分子間でのπ−πスタッキング等の相互作用によってポリマー鎖間の距離が短くなることを意味する。相互作用が強いほど、高い移動度及び/又は結晶性を示す傾向があるため、半導体材料として好適であるものと考えられる。すなわち、分子間で相互作用するコポリマーにおいては分子間での電子移動が起こりやすいため、例えば光電変換素子において活性層中にコポリマーを用いた場合に、活性層内のp型半導体化合物とn型半導体化合物との界面で生成した正孔(ホール)を効率よく電極(アノード)へ輸送できると考えられる。
コポリマーの正孔移動度(ホール移動度と記す場合がある)は、通常1.0×10−7cm/Vs以上、好ましくは1.0×10−6cm/Vs以上、より好ましくは1.0×10−5cm/Vs以上、特に好ましくは1.0×10−4cm/Vs以上である。一方、コポリマーの正孔移動度は通常1.0×10cm/Vs以下、好ましくは1.0×10cm/Vs以下であり、より好ましくは1.0×10cm/Vs以下であり、特に好ましくは1.0×10cm/Vs以下である。正孔移動度がこの範囲にあることにより、コポリマーは半導体材料として好適に用いられる。また、光電変換素子において高い変換効率を得るためには、n型半導体化合物の移動度と、p型半導体化合物の移動度とのバランスが重要である。コポリマーを光電変換素子においてp型半導体化合物として用いる場合、コポリマーの正孔移動度とn型半導体化合物の電子移動度とを近
づける観点から、コポリマーの正孔移動度がこの範囲にあることが好ましい。正孔移動度の測定方法としてはFET法が挙げられる。FET法は公知文献(特開2010−045186号公報)に記載の方法により行うことができる。
一方で、コポリマーは溶液状態での保存安定性が高いことが好ましい。保存安定性が高いとは、溶液とした時に凝集しにくいことを意味する。より具体的には、コポリマー2mgを2mLのスクリューバイアルに入れ、1.5質量%の濃度になるようにo−キシレンに加熱溶解させてから室温まで冷却した際に、冷却を開始してから5分間以上ゲル化しないことが好ましく、1時間以上ゲル化しないことがより好ましい。
コポリマー中の不純物は極力少ないほうが好ましい。特に、パラジウム、銅等の遷移金属触媒が残っていると、遷移金属の重原子効果による励起子トラップが生じるために電荷移動が阻害され、結果としてコポリマーを光電変換素子に用いた際に光電変換効率を低下させるおそれがある。遷移金属触媒の濃度は、コポリマー1gあたり、通常1000ppm以下、好ましくは500pm以下、より好ましくは100ppm以下である。一方、通常0ppmより大きく、1ppm以上であってもよく、3ppm以上であってもよい。
コポリマー中の、末端残基(例えば、後述する式(3A)〜(3C)におけるX及びY)を構成する原子の残存量は、特段の制限は無いが、コポリマー1gあたり、通常6000ppm以下、好ましくは4000ppm以下、より好ましくは3000ppm以下、さらに好ましくは2000ppm以下、よりさらに好ましくは1000ppm以下、特に好ましくは500ppm以下、最も好ましくは200ppm以下である。一方、通常0ppmより大きく、好ましくは1ppm以上、より好ましくは3ppm以上である。
特に、コポリマー中のSn原子の残存量としては、コポリマー1gあたり、通常5000ppm以下、好ましくは4000ppm以下、より好ましくは2500ppm以下、さらに好ましくは1000ppm以下、よりさらに好ましくは750ppm以下、特に好ましくは500ppm以下、最も好ましくは100ppm以下である。一方、通常0ppmより大きく、好ましくは1ppm以上、より好ましくは3ppm以上である。Sn原子の残存量が5000ppm以下であることは、熱分解しやすいアルキルスタニル基等が少ないことを意味し、安定性の点で高い性能を得ることができるために、好ましい。
また、コポリマー中のハロゲン原子の残存量は、コポリマー1gあたり、通常5000ppm以下、好ましくは4000ppm以下、より好ましくは2500ppm以下、さらに好ましくは1000ppm以下、よりさらに好ましくは750ppm以下、特に好ましくは500ppm以下、最も好ましくは100ppm以下である。一方、通常0ppmより大きく、好ましくは1ppm以上、より好ましくは3ppm以上である。ハロゲン原子の残存量を5000ppm以下にすることは、コポリマーの光電変換特性及び耐久性等の性能が向上する傾向にあるため、好ましい。
コポリマー中の、末端残基(例えば、後述する式(3A)〜(3C)におけるX及びY)を構成する原子の残存量は、元素量を測定することにより決定できる。コポリマーの元素分析は、例えばPd及びSnについてはICP質量分析法で実施することができ、臭素イオン(Br)及びヨウ素イオン(I)についても、ICP質量分析法で実施することができる。
ICP質量分析法は、公知文献(「プラズマイオン源質量分析」(学会出版センター))に記載されている方法により実施できる。具体的には、Pd及びSnについては、試料を湿式分解後、分解液中のPd,SnをICP質量分析装置(Agilent Technologies社製 ICP質量分析装置 7500ce型)を用いて検量線法により
定量することができる。又、Br及びIについては、試料を試料燃焼装置(三菱化学アナリテック社製 試料燃焼装置 QF−02型)にて燃焼し、燃焼ガスを還元剤入りのアルカリ吸収液に吸収させた後、吸収液中のBr及びIをICP質量分析装置(Agilent Technologies社製 ICP質量分析装置 7500ce型)を用いて検量線法により定量することができる。
コポリマーの製造方法には特に限定はなく、例えばジオキソピロール縮合環を有する化合物と、ジチエノ縮合環を有する化合物と、を用いて公知の方法で製造することができる。好ましい方法としては、下記一般式(3A)で表される化合物と、下記一般式(3B)で表される化合物と、下記一般式(3C)で表される化合物とを、必要であれば適当な触媒の存在下で、重合する方法が挙げられる。
Figure 2015106651
式(3A)中、R及びAは、式(1A)と同義である。式(3B)中、R、R、及びQは式(1B)と同義である。式(3C)中、R、R、及びQは式(1C)と同義である。
式(3A)〜(3C)中、X及びYは、重合反応の種類に応じて適宜選択できる。例えば、コポリマーは、カップリング反応を用いた重合反応により製造することができる。使用可能な反応としては、Suzuki−Miyauraクロスカップリング反応方法、Stilleカップリング反応方法、Yamamotoカップリング反応方法、Grignard反応方法、ヘック反応方法、薗頭反応方法、FeCl等の酸化剤を用いる反応方法、電気化学的な酸化反応を用いる方法、適当な脱離基を有する中間体化合物の分解による反応方法等が挙げられる。これらの中でも、Suzuki−Miyauraカップリング反応方法、Stilleカップリング反応方法、Yamamotoカップリング反応方法、Grignard反応方法が、構造制御がしやすい点で好ましい。特に、Suzuki−Miyauraクロスカップリング反応方法、Stilleカップリング反応方法、Grignard反応方法が、材料の入手しやすさ、反応操作の簡便さの点からも好ましい。これらの反応は、「クロスカップリング−基礎と産業応用−(CMC出版)」、「有機合成のための遷移金属触媒反応(辻二郎著:有機合成化学協会編)」、「有機合成のための触媒反応103(檜山為次郎:東京化学同人)」等の公知文献の記載の方法に従って行うことができる。
X及びYの例としては、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキルスタニル基、アルキルスルホ基、アリールスルホ基、アリールアルキルスルホ基、ホウ酸エステル残基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、モノハロゲン化メチル基、ホウ酸残基(−B(OH))、ホルミル基、シリル基、アルケニル基又はアルキニル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、臭素原子又はヨウ素原子が好ましい。アルケニル基としては、例えば炭素数2以上12以下のアルケニル基が挙げられる。
ホウ酸エステル残基としては、例えば、下式で示されるものが挙げられる。下式において、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
Figure 2015106651
アルキルスタニル基としては、例えば、下式で示されるものが挙げられる。下式において、Meはメチル基を表し、Buはn−ブチル基を表す。
Figure 2015106651
式(3A)〜(3C)で表される化合物の合成上の観点及び反応のし易さの観点から、XとYとの一方がハロゲン原子であり、他方がアルキルスタニル基、ホウ酸エステル残基、又はホウ酸残基(−B(OH))であることが好ましい。
重合反応は公知の方法に従って行うことができる。例えば、X又はYがアルキルスタニル基である場合には公知のStilleカップリング反応の条件に従って反応を行えばよい。また、X又はYがホウ酸エステル残基又はホウ酸残基である場合には公知のSuzuki−Miyauraカップリング反応の条件に従って反応を行えばよい。さらに、X又はYがシリル基である場合には公知のHiyamaカップリング反応の条件に従って反応を行えばよい。カップリング反応の触媒としては例えば、パラジウム等の遷移金属と、配位子(例えばトリフェニルホスフィン等のホスフィン配位子)との組み合わせを用いることができる。
以下では、Stilleカップリング反応方法を用いてコポリマーを製造する方法について述べる。Stilleカップリング反応方法を用いる場合、式(3A)〜(3C)において、Xがハロゲン原子でありかつYがアルキルスタニル基であるか、Xがアルキルスタニル基でありかつYがハロゲン原子であることが好ましい。
重合反応において用いられる、式(3A)で表される化合物の量に対する、式(3B)で表される化合物の量と式(3C)で表される化合物の量との合計の比((3B+3C)/3A)は、モル比換算にして、通常0.90以上、好ましくは0.95以上であり、一方、通常1.3以下、好ましくは1.2以下である。比率がこのような範囲内にあることは、より高い収率で高分子量体を取得しうる点で好ましい。
重合反応において用いられる、式(3B)で表される化合物の量に対する、式(3C)で表される化合物の量の比(3C/3B)は、特段の制限は無く目的に応じて適宜設定しうるが、モル比換算にして、通常0.01以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上である。一方、通常100以下、好ましくは10以下、より好ましくは2以下である。
コポリマーが高純度であることが望ましい場合には、重合前のモノマー(式(3A)〜(3C)で表される化合物)を精製した後に、重合反応を行うことが好ましい。精製方法としては、例えば、蒸留、昇華精製、カラムクロマトグラフィー又は再結晶等が挙げられる。
例えばコポリマーを有機光電変換素子用の材料として用いる場合、その純度が高いこと
により素子特性が向上しうるため、コポリマーが高純度であることが望ましい。コポリマーを有機光電変換素子用の材料として用いる場合、式(3A)〜(3C)で表される化合物のそれぞれの純度は通常90%以上、好ましくは95%以上である。
重合反応において重合促進のために用いる触媒としては、遷移金属触媒等が挙げられる。遷移金属触媒は、重合の種類に応じて選択すればよい。遷移金属触媒としては、均一系遷移金属触媒と不均一系遷移金属触媒とが挙げられる。
均一系遷移金属触媒としては、重合反応に用いる溶媒に十分に溶解するものが好ましい。好ましい例としては、特に、パラジウム、ニッケル、鉄、又は銅を含む、後周期遷移金属錯体触媒が挙げられる。具体的な例としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)又はトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd(dba))等の0価のパラジウム触媒;ビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(PdCl((PPh)))又は酢酸パラジウム等の2価のパラジウム触媒等のパラジウム(Pd)触媒;Ni(dppp)Cl又はNi(dppe)Cl等のニッケル触媒;塩化鉄等の鉄触媒;ヨウ化銅等の銅触媒等が挙げられる。ここで、dbaはジベンジリデンアセトンを表し、dpppは1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンを表し、dppeは1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンを表す。
0価のPd触媒として具体的には、Pd(PPh、Pd(P(o−tolyl)、Pd(PCy、Pd(dba)3、PdCl(PPh))等が挙げられる。PdCl((PPh))又は酢酸パラジウム等の2価のPd触媒を用いる場合には、PPhやP(o−tolyl)等の有機配位子と併せて使用することが好ましい。ここで、Phはフェニル基を表し、Cyはシクロヘキシル基を表し、o−tolylは2−トリル基を表す。
不均一系遷移金属触媒としては、上述のような均一系遷移金属触媒を、担体に担持させることによって得られる触媒が挙げられる。不均一系遷移金属触媒が含む遷移金属の好ましい例としては、パラジウム、ニッケル、鉄、又は銅を含む、後周期遷移金属が挙げられる。不均一系遷移金属錯体触媒が有する有機配位子としては、均一系遷移金属錯体触媒について挙げたものと同様のものを用いることができる。また、公知文献(Strem社,”Heterogeneous Catalysts”(2011年))記載の有機配位子を用いることもできる。担体の例としては、金属、ナノコロイド、ナノ粒子、磁性化合物、金属酸化物、多孔質物質、粘土、例えば尿素樹脂のようなポリマー、及びデンドリマー等が挙げられる。多孔質物質の具体的な例としては、ミクロ孔物質、メソ孔物質、活性炭、シリカゲル、アルミナ、及びゼオライト等が挙げられる。特に、ポリマーに担持された不均一系遷移金属錯体触媒を用いることは、不均一系遷移金属錯体触媒の回収が容易であるために好ましい。また、ポリマーが多孔性であることは、反応を促進する点でより好ましい。
重合反応においては、2種以上の遷移金属錯体触媒を用いることが、高分子量のコポリマーが得られうる点で好ましい。例えば、2種以上の均一系遷移金属錯体を用いてもよいし、2種以上の不均一系遷移金属錯体を用いてもよいし、均一系遷移金属錯体と不均一系遷移金属錯体とを組み合わせて用いてもよい。この2種以上の遷移金属錯体触媒のうち、少なくとも1種は不均一系金属錯体触媒であることが、カップリング反応条件下でモノマーをすばやくオリゴマーに変換することができる点で好ましい。また、オリゴマーになると不均一系金属触媒による重合反応速度が落ちる傾向にあるため、オリゴマーからポリマーへの誘導を均一系金属触媒で行う方が、高分子量体を得るために好ましい。この観点から、2種以上の遷移金属錯体触媒のうち、少なくとも1種が不均一系金属錯体触媒であり、かつ少なくとも1種が均一系金属錯体触媒であることがより好ましい。
式(3A)〜(3C)で表される化合物の量の合計に対する遷移金属錯体の使用量は、通常1×10−4mol%以上、好ましくは1×10−3mol%以上、より好ましくは1×10−2mol%以上であり、一方、通常1×10mol%以下、より好ましくは5mol%以下である。触媒の使用量がこの範囲にあることは、より低コストかつ高い収率で、より高分子量のコポリマーが得られる傾向にある点で好ましい。
遷移金属触媒を使用する場合に、アルカリ、補触媒又は相間移動触媒を併用してもよい。
アルカリとしては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム等の無機塩基;トリエチルアミン等の有機塩基;等が挙げられる。
補触媒としては、例えば、フッ化セシウム、酸化銅又はハロゲン化銅等の無機塩が挙げられる。補触媒の使用量は、式(3A)〜(3C)で表される化合物の量の合計に対して、通常1×10−4mol%以上、好ましくは1×10−3mol%以上、より好ましくは1×10−2mol%以上であり、一方、通常1×10mol%以下、好ましくは1×10mol%以下、より好ましくは1.5×10mol%以下である。補触媒の使用量がこの範囲にあることは、より低コストかつ高い収率でコポリマーが得られる傾向にある点で好ましい。
相間移動触媒としては、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド又はAliquat336(アルドリッチ社製)のような四級アンモニウム塩等が挙げられる。相間移動触媒の使用量は、式(3A)〜(3C)で表される化合物の量の合計に対して、通常1×10−4mol%以上、好ましくは1×10−3mol%以上、より好ましくは1×10−2mol%以上であり、一方、通常5mol%以下、より好ましくは3mol%以下である。相間移動触媒の使用量がこの範囲にあることは、より低コストかつ高い収率でコポリマーが得られる傾向にある点で好ましい。
重合反応に用いられる溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン又はシクロヘキサン等の飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン又はキシレン等の芳香族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン又はトリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール又はt−ブチルアルコール等のアルコール類;水;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン又はジオキサン等のエーテル類;DMF等の非プロトン性極性有機溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、一種を単独で用いても二種以上を併用してもよい。
溶媒の使用量は、式(3A)〜(3C)で表される化合物の合計1gに対して、通常、1×10−2mL以上、好ましくは1×10−1mL以上、より好ましくは1mL以上であり、一方、通常1×10mL以下、好ましくは1×10mL以下、より好ましくは2×10mL以下である。溶媒の使用量がこの範囲にあることは、反応の制御がより容易となる点で好ましい。
重合反応の反応温度は、通常0℃以上、好ましくは20℃以上、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは60℃以上である。一方、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは180℃以下、特に好ましくは160℃以下である。加熱方法としては特段の制限は無いが、オイルバス加熱、熱電対加熱、赤外線加熱、マイクロウェーブ加熱の他、IHヒーターを用いた接触による加熱等が挙げられる。重合反応の時間は、通常1分間以上、好ましくは10分間以上、一方、通常160時間以下、好ましくは120時間以下、より好ましくは100時間以下である。また重合反応は窒素(N)又はアルゴン(Ar)雰囲気下で行うことが好ましい。これらの反応条件で反応を行うことにより、より短時間かつ高い収率でコポリマーが得られうる
重合反応により得られたコポリマーに対しては、さらに末端処理を行うことが好ましい。コポリマーの末端処理を行うことにより、コポリマーの末端残基(上述のX及びY)の残存量を減らすことができる。例えば、Stilleカップリング反応によってコポリマーを重合した場合には、コポリマーの末端に存在する臭素(Br)やヨウ素(I)等のハロゲン原子及びアルキルスタニル基を、末端処理によって減らすことができる。この末端処理を行うことは、効率及び耐久性の点でよりよい性能のコポリマーを得ることができるために、好ましい。
重合反応後に行うコポリマーの末端処理方法としては、特段の制限は無いが、例えば末端残基を芳香族基のような他の置換基で置換する方法が挙げられる。
例えば、Stilleカップリング反応によってコポリマーを重合した場合の末端処理方法としては、以下の方法が挙げられる。コポリマーのハロゲン原子の末端処理方法としては、重合反応後の精製前の反応系中に、末端処理剤としてアリールトリアルキルスズを加えた後、加熱攪拌を行うことにより行うことができる。アリールトリアルキルスズの例としてはフェニルトリメチルスズ又はチエニルトリメチルスズ等が挙げられる。コポリマーの末端のハロゲン原子を芳香族基に置換することは、共役安定効果により、コポリマーがより安定になるために、好ましい。
末端処理剤の添加量としては、特段の制限は無いが、重合反応に用いたハロゲン原子を末端に有するモノマー(3A、又は3B及び3C)の量に対して、通常1.0×10−2モル当量以上、好ましくは0.1モル当量以上、より好ましくは1モル当量以上であり、一方、通常50モル当量以下、好ましくは20モル当量以下、より好ましくは10モル当量以下である。ハロゲン原子の末端処理の反応温度は、通常0℃以上、好ましくは20℃以上、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは60℃以上である。一方、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは180℃以下、特に好ましくは160℃以下である。加熱方法としては、特段の制限は無いが、オイルバス加熱、熱電対加熱、赤外線加熱、マイクロウェーブ加熱の他、IHヒーターを用いた接触による加熱等が挙げられる。コポリマーのハロゲン原子の末端処理の反応時間は、特段の制限は無いが、通常30分以上、好ましくは1時間以上であり、一方、通常50時間以下、好ましくは20時間以下である。これらの反応条件で反応を行うことにより、より短時間かつ高い変換率で末端処理を行うことができる。
また、コポリマーのアルキルスタニル基の末端処理方法としては、重合反応後の精製前の反応系中に、末端処理剤としてアリールハライドを加えたのち、加熱攪拌を行うことにより行うことができる。アリールハライドの例としてはヨードチオフェン、ヨードベンゼン、ブロモチオフェン又はブロモベンゼン等が挙げられる。コポリマーの末端のアルキルスタニル基を別の置換基へと置換することにより、熱分解しやすいアルキルスタニル基中のSn原子がコポリマー中に存在しなくなり、コポリマーの経時劣化が抑えられうる。また、コポリマーの末端のアルキルスタニル基をアリール基に置換することは、共役安定効果によりコポリマーがより安定になりうる点においても好ましい。
末端処理剤の添加量としては、特段の制限は無いが、重合に用いたアルキルスタニル基を末端に有するモノマー(3B及び3C、又は3A)の量に対して、通常1.0×10−2モル当量以上、好ましくは0.1モル当量以上、より好ましくは1モル当量以上であり、一方、通常50モル当量以下、好ましくは20モル当量以下、より好ましくは10モル当量以下である。アルキルスタニル基の末端処理の反応温度及び反応条件としては、コポリマーのハロゲン原子の末端処理と同様のものを用いることができる。これらの反応条件で反応を行うことにより、より短時間かつ高い変換率で末端処理を行うことができる。
また、Suzuki−Miyauraクロスカップリング反応によりコポリマーを重合した場合の末端処理の方法としては、以下の方法が挙げられる。コポリマーのハロゲン原子の末端処理方法としては、アリールボロン酸を加えたのち、加熱攪拌を行う方法が挙げられる。コポリマーのホウ素原子含有基の末端処理方法としては、末端処理剤としてアリールハライドを加えたのち、加熱攪拌を行う方法が挙げられる。
末端残基Xの末端処理方法及び末端残基Yの末端処理方法に特段の制限はないが、それぞれ独立に行うことが好ましい。なお、それぞれの末端処理の順序に特段の制限は無く、適宜選択できる。
また、末端処理は、コポリマーの精製前に行ってもよいが、コポリマーの精製後に行ってもよい。末端処理をコポリマー精製後に行う場合には、コポリマーと片方の末端処理剤(例えばアリールハライド又はアリールトリアルキルスズ)とを有機溶剤に溶解した後、パラジウム触媒等の遷移金属触媒を加えて反応を行い、さらにもう片方の末端処理剤(アリールトリアルキルスズ又はアリールハライド)を加えて反応を行えばよい。反応を促進する観点から、末端処理をコポリマー精製前に行う場合と同様に、末端処理時には加熱攪拌を行うことか好ましい。また、収率を向上させる観点から、反応を窒素条件下で行うことも好ましい。反応時間は、特段の制限は無いが、通常30分以上、好ましくは1時間以上であり、一方、通常25時間以下、好ましくは10時間以下である。
遷移金属触媒の添加量としては、特段の制限は無いが、式(3A)〜(3C)で表される化合物の量の合計に対して、通常5.0×10−3モル当量以上、好ましくは1.0×10−2モル当量以上であり、一方、通常1.0×10−1モル当量以下、好ましくは5.0×10−2モル当量以下である。触媒の添加量がこの範囲にあることにより、より低コストかつ高い変換率で末端処理を行うことができる。
コポリマー精製後の末端処理時における、アルキルスタニル基の末端処理剤の添加量としては、特段の制限は無いが、重合に用いたアルキルスタニル基を末端に有するモノマー(3B及び3C、又は3A)の量に対して、通常1.0×10−2モル当量以上、好ましくは1.0×10−1モル当量以上、より好ましくは1モル当量以上であり、一方、通常50モル当量以下、好ましくは20モル当量以下、より好ましくは10モル当量以下である。末端処理剤の添加量がこの範囲にあることにより、より低コストかつ高い変換率で末端処理を行うことができる。
コポリマー生成後の末端処理時における、ハロゲン原子の末端処理剤の添加量としては、特段の制限は無いが、重合に用いたハロゲン原子を末端に有するモノマー(3A、又は3B及び3C)の量に対して、通常1.0×10−2モル当量以上、好ましくは1.0×10−1モル当量以上、より好ましくは1モル当量以上であり、一方、通常50モル当量以下、好ましくは20モル当量以下、より好ましくは10モル当量以下である。末端処理剤の添加量がこの範囲にあることにより、より低コストかつ高い変換率で末端処理を行うことができる。
重合反応後に行う工程として特に限定はないが、通常はコポリマーを分離する工程が行われる。コポリマーの末端処理を行う場合には、末端処理後にコポリマーを分離する工程を行うことが好ましい。必要に応じて、コポリマーの末端処理前に、さらにコポリマーの分離及び精製を行なってもよい。より短い処理工程でコポリマーを得る観点からは、重合反応後に、コポリマーの末端処理、コポリマーの分離及びコポリマーの精製をこの順に行うことが好ましい。
コポリマーの分離方法としては、例えば、反応溶液と貧溶媒とを混合してコポリマーを
析出させる方法、又は、水若しくは塩酸で反応溶液中の活性種をクエンチした後にコポリマーを有機溶媒で抽出し、この有機溶媒を留去する方法等が挙げられる。
コポリマーの精製方法としては、再沈精製、ソックスレー抽出器を用いた抽出、ゲル浸透クロマトグラフィー、又はスキャベンジャーを用いた金属除去等の、公知の方法が挙げられる。
[2−1.式(3A)〜(3C)で表される化合物の製造方法]
重合反応の原料として用いられる式(3A)で表される化合物は、J.Am.Chem.Soc.,2010,132(22),7595−7597に記載の方法に準じて製造することができる。また、式(3B)及び(3C)で表される化合物は、J.Mater.Chem.,2011,21,3895、及びJ.Am.Chem.Soc.2008,130,16144−16145に記載の方法に準じて製造することができる。
式(3B)又は(3C)で表される化合物の特に好ましい製造方法としては、下式(4B)又は(4C)で表される化合物を原料として用いる方法が挙げられる。より具体的には、式(4B)又は(4C)で表される化合物に非求核性塩基を反応させた後に、求電子剤を反応させることにより、式(3B)又は(3C)で表される化合物を得ることができる。この方法によれば、式(3B)又は(3C)で表される化合物を製造する際に生じる、例えば置換基Yを1つしか有さない副生物の量を減らすことができる。副生物の量が少ないことは、重合反応により得られるコポリマーがより大きい分子量のものとなりうる点で好ましい。
Figure 2015106651
式(4B)及び(4C)において、Q〜Q及びR〜Rは、式(3B)及び(3C)と同様である。
非求核性塩基の例としては、金属水素化物、嵩高い置換基を有する金属アルコキシド、アミン類、ホスファゼン塩基、嵩高い置換基を有する金属マグネシウム試薬(Grignard試薬)、又は金属アミド等が挙げられる。非求核性の塩基を用いることは、式(4B)又は(4C)で表される化合物が有する縮合環への求核攻撃を効果的に抑制することでき、副生物の生成を抑えることができる点で好ましい。塩基性の高さ及び求核性の低さの点から、非求核性塩基として好ましくは金属アミドであり、特に好ましくは嵩高い置換基を有する金属アミドである。
非求核性塩基を用いて一般式(4B)又は(4C)で表される化合物を脱プロトン化した後、発生したアニオン種と求電子剤とを反応させることで、一般式(3B)又は(3C)で表される化合物を得ることができる。
置換基Yが、アルキルスタニル基である場合には、求電子剤としては、特段の限定は無いが、例えばハロゲン化トリアルキルスズ化合物が挙げられる。置換基Yが、ホウ酸残基又はホウ酸エステル残基である場合には、求電子剤としては、特段の限定は無いが、ホウ酸トリエステルが好ましく用いられる。ホウ酸トリエステルとの反応によって得られたホウ酸エステル残基を有する化合物をそのまま単離することもできるし、ホウ酸エステル残基を加水分解してホウ酸残基に導いた後に化合物を単離してもよい。
式(3B)又は(3C)で表される化合物の、反応後の精製方法としては、特に限定さ
れず、公知の方法を用いることができる。特に好ましい方法としては、ゼオライトを用いる方法が挙げられる。より具体的には、得られた化合物をゼオライトと接触させればよい。この方法は、式(3B)又は(3C)で表される化合物の分解を防ぎながら、より簡便に化合物を精製できるために好ましい。ゼオライトとしては、アルミノケイ酸塩、メタロケイ酸塩若しくはシリカライト等のアルミノケイ酸塩系ゼオライト;又は、アルミノリン酸塩、ガロリン酸塩若しくはベリロリン酸塩等のリン酸塩系ゼオライトが好ましい。
式(3B)又は(3C)で表される得られた化合物をゼオライトと接触させる方法としては、(1)ゼオライトを含む層を用意し、化合物を通過させる方法、(2)組成物中にゼオライトを投入し、その後ゼオライトを除去する方法、等が挙げられる。
式(4B)又は(4C)で表される化合物に対して加える非求核性塩基の量に特段の制限はなく、通常は式(4B)又は(4C)で表される化合物に対して2モル当量以上の非求核性塩基が用いられる。一方で、使用する試薬の量を減らすために、非求核性塩基の量は通常20モル当量以下、好ましくは10モル当量以下、さらに好ましくは5モル当量以下である。式(4B)又は(4C)で表される化合物に対して加える求電子試薬の量に特段の制限はなく、通常は式(4B)又は(4C)で表される化合物に対して2モル当量以上の求電子試薬が用いられる。一方で、使用する試薬の量を減らすために、求電子試薬の量は通常モル20当量以下、好ましくは10モル当量以下、さらに好ましくは5モル当量以下である。
式(4B)又は(4C)で表される化合物は、公知の方法を用いて製造することができるが、以下に示す方法を用いて製造することが特に好ましい。すなわち、式(4B)又は(4C)で表される化合物にシリル基が付加した化合物から、シリル基を脱離させることにより、式(4B)又は(4C)で表される化合物を得ることができる。この方法は、より高収率で式(4B)又は(4C)で表される化合物を得ることができる点で好ましい。
例えば、式(4B)又は(4C)で表される化合物は、下式(5B)又は(5C)で表される化合物の、酸を用いた脱シリル化反応により製造することができる。
Figure 2015106651
式(5B)及び(5C)において、Q〜Q及びR〜Rは、式(3B)及び(3C)と同様である。式(5B)及び(5C)において、Rは置換基を有していてもよいシリル基を表す。2つの置換基Rは互いに異なっていてもよい。置換基を有していてもよいシリル基としては、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、又はトリアリールシリル基等が挙げられる。脱シリル化反応において用いる酸としては特に限定はなく、無機酸又は有機酸を用いることができる。無機酸の種類に特に限定は無く、塩酸、硫酸、硝酸、又はリン酸等を用いることができる。有機酸の種類に特に限定は無く、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、クロロ安息香酸、又はp−トルエンスルホン酸等を用いることができる。
式(5B)で表される化合物は、Qがケイ素原子又はゲルマニウム原子である場合、例えば、ビチオフェン化合物を塩基で処理し、シリルハライド又はゲルミルハライドと反応させることによって得ることができる。より具体的な例としては、5,5’−ビス(トリメチルシリル)−3,3’−ジブロモ−2,2’−ビチオフェンをn−ブチルリチウムで処理し、RSiCl、RSiBr、RGeCl、又はR
GeBrを反応させることにより、式(5B)で表される化合物が得られうる。また、式(3B)又は(4B)で表される化合物も、RSiCl、RSiBr、RGeCl、又はRGeBrを用いて合成しうる。この場合、RSiCl、RSiBr、RGeCl、又はRGeBrは、減圧蒸留で精製することが好ましい。容易に達成可能な減圧度かつより低い温度で減圧蒸留を行うためには、R及びRの炭素数は、15以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。式(3C)〜(5C)で表される化合物、並びにR及びRについても同様である。
<1.1.2.n型半導体化合物>
n型半導体化合物としては、n型半導体材料としては、特段の制限はないが、具体的にはフラーレン化合物;8−ヒドロキシキノリンアルミニウムに代表されるキノリノール誘導体金属錯体;ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド又はペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類;ペリレンジイミド誘導体、ターピリジン金属錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体、ペリノン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジン誘導体、ボラン誘導体;アントラセン、ピレン、ナフタセン又はペンタセン等の縮合多環芳香族炭化水素の全フッ化物;単層カーボンナノチューブ、n型ポリマー(n型高分子半導体材料)等が挙げられる。
これらの中でも、フラーレン化合物、ボラン誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体又はn型高分子半導体材料が好ましく、フラーレン化合物がより好ましい。使用できるフラーレンに特段の制限はなく、例えば、国際公開第2011/016430号又は日本国特開2012−191194号公報等の公知文献に記載されたフラーレン化合物を用いることができる。なお、これらのフラーレン化合物の中でも、PC60BM、PC70BM、又はPC60BM及びPC70BMを混合したものをn型半導体化合物として用いると、上述のp型半導体化合物と組み合わせにより高い変換効率が得られるために好ましい。
また、n型半導体化合物は上記のうち一種の化合物を用いてもよいし、複数種の化合物の混合物を用いてもよい。
なお、活性層中におけるp型半導体化合物に対するn型半導体化合物の質量比が小さすぎると、n型半導体化合物の導電パスが十分に形成されず、電荷分離した電荷を電極で十分に捕集することが出来なくなる傾向がある。一方で、該質量比が大きすぎると、導電パスの形成が困難になり、光吸収量が低下してしまい、効率が低下してしまう傾向がある。そのため、活性層中におけるp型半導体化合物に対するn型半導体化合物の質量比は、1.5以上であることが好ましく、2上であることがさらに好ましく、2.5以上であることが特に好ましく、一方で、10以下であることが好ましく、9以下であることがさらに好ましく、7以下であることが特に好ましい。該質量比が上記の範囲であれば、p型半導体とn型半導体の接触面積が大きくなり、かつn型半導体の導電パスが十分に形成され変換効率を向上させることができる。
<1.2.電極(101,105)>
電極101,105は、光吸収により生じた正孔及び電子を捕集する機能を有する。したがって、一対の電極には、正孔の捕集に適したアノード105と、電子の捕集に適した
カソード101とを用いることが好ましい。一対の電極は、いずれか一方が透光性であればよく、両方が透光性であっても構わない。透光性があるとは、可視光が40%以上透過することを指す。また、透明電極の可視光線透過率は70%以上であることが、透明電極を透過させて活性層に光を到達させるために好ましい。光の透過率は、分光光度計(例えば、日立ハイテク社製U−4100)で測定できる。
アノード105とは、一般には仕事関数がカソードよりも高い導電性材料で構成され、活性層で発生した正孔をスムーズに取り出す機能を有する電極である。カソード105は、正孔取り出し層104と隣接している。
アノード105の材料を挙げると、例えば、酸化ニッケル、酸化スズ、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化チタン、又は酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;金、白金、銀、クロム又はコバルト等の金属あるいはその合金、等が挙げられる。これらの物質は高い仕事関数を有するため、好ましく、さらに、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングしたPEDOT:PSSで代表されるような導電性高分子材料を積層することができるため、好ましい。このような導電性高分子を積層する場合には、この導電性高分子材料の仕事関数が高いことから、上記のような高い仕事関数の材料でなくとも、アルミニウムやマグネシウム等のカソードに適した金属も広く用いることが可能である。ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングしたPEDOT:PSSや、ポリピロール又はポリアニリン等にヨウ素等をドーピングした導電性高分子材料を、アノードの材料として使用することもできる。アノードが透明電極である場合には、ITO、酸化亜鉛又は酸化スズ等の透光性がある導電性金属酸化物を用いることが好ましく、特にITOが好ましい。
アノード105の膜厚は特に制限は無いが、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、さらに好ましくは、50nm以上である。一方、通常10μm以下、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは500nm以下である。アノード105の膜厚が10nm以上であることにより、シート抵抗が抑えられ、アノード105の膜厚が10μm以下であることにより、光透過率を低下させずに効率よく光を電気に変換することができる。アノード105が透明電極である場合には、光透過率とシート抵抗とを両立できる膜厚を選ぶ必要がある。
アノード105のシート抵抗は、特段の制限はないが、通常1Ω/□以上、一方、1000Ω/□以下、好ましくは500Ω/□以下、さらに好ましくは100Ω/□以下である。シート抵抗は、抵抗率計(例えば、三菱化学アナリテック社製ロレスタGP)を用いて求めることができる。
アノード105の形成方法としては、真空蒸着法若しくはスパッタリング法等の乾式成膜法、又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布して成膜する湿式成膜法が挙げられる。
カソード101は、一般には仕事関数がアノードよりも高い値を有する導電性材料で構成され、活性層で発生した電子をスムーズに取り出す機能を有する電極である。カソード101は、電子取り出し層102と隣接している。
カソード101の材料を挙げると、例えば、白金、金、銀、銅、鉄、スズ、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム又はマグネシウム等の金属及びその合金;フッ化リチウムやフッ化セシウム等の無機塩;酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化リチウム又は酸化セシウムのような金属酸化物等が挙げられる。これらの材料は低い仕事関数を有する材料であるため、好ましい。カソード101についてもアノード105と同様に、電子取り出し層102としてチタニアのようなn型半導体で導電性を有するものを用いることにより、カソード101に適した高い仕事関数を有する材料を用いることもできる。電極保護の観点から、カソード101の
材料として好ましくは、白金、金、銀、銅、鉄、スズ、アルミニウム、カルシウム若しくはインジウム等の金属、又は酸化インジウムスズ等のこれらの金属を用いた合金である。
カソード101の膜厚は特に制限は無いが、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは50nm以上である。一方、通常10μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは500nm以下である。カソード101の膜厚が10nm以上であることにより、シート抵抗が抑えられ、カソード101の膜厚が10μm以下であることにより、光透過率を低下させずに効率よく光を電気に変換することができる。カソード101が透明電極である場合には、光透過率とシート抵抗を両立する膜厚を選ぶ必要がある。
カソード101のシート抵抗は、特に制限は無いが、通常1000Ω/□以下、好ましくは500Ω/□以下、さらに好ましくは100Ω/□以下である。下限に制限は無いが、通常は1Ω/□以上である。
カソード101の形成方法としては、真空蒸着法若しくはスパッタリング法等の乾式成膜法、又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布して成膜する湿式成膜等がある。
さらに、アノード105及びカソード101は、2層以上の積層構造を有していてもよい。また、アノード105及びカソード101に対して表面処理を行うことにより、特性(電気特性やぬれ特性等)を改良してもよい。
表面処理としては、ヘキサメチルジシラザン、シクロヘキセン、オクタデシルトリクロロシラン等を用いた疎水化処理;塩酸、硫酸、酢酸等の酸を用いた酸処理;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等を用いたアルカリ処理;オゾン処理;フッ素化処理;酸素、アルゴン等を用いたプラズマ処理等が挙げられる。
<1.3.バッファ層(102,104)>
バッファ層は通常、電子取り出し層と正孔取り出し層とに分類することができる。よって、光電変換素子107は、カソード101と活性層103との間に電子取り出し層102を有し、また光電変換素子107は、活性層103とアノード105との間に正孔取り出し層104を有する。もっとも、本発明に係る光電変換素子が、電子取り出し層102、正孔取り出し層104の両方を必ずしも有する必要はない。
電子取り出し層102と正孔取り出し層104とは、一対の電極(101,105)間に、活性層を挟むように配置されることが好ましい。すなわち、光電変換素子107が電子取り出し層102と正孔取り出し層104の両者を含む場合、アノード(電極)105、正孔取り出し層104、活性層103、電子取り出し層102、及びカソード(電極)101をこの順に配置することができる。光電変換素子107が電子取り出し層102を含み正孔取り出し層104を含まない場合は、アノード(電極)105、活性層103、電子取り出し層102、及びカソード(電極)101をこの順に配置することができる。電子取り出し層102と正孔取り出し層104とは積層順序が逆であってもよいし、また電子取り出し層102と正孔取り出し層104の少なくとも一方が異なる複数の膜により構成されていてもよい。
<1.3.1.電子取り出し層(102)>
電子取り出し層102は、特に限定は無く、活性層からカソード101へ電子の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、無機化合物又は有機化合物が挙げられる。無機化合物の材料としては、リチウム、ナトリウム、カリウム又はセシウム等のアルカリ金属の塩;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、又は酸化インジウム等のn型半導体特性金属酸化物が挙げられる。n型半導体特性金属酸化物として好ましくは、酸化亜鉛、酸化チタン又は酸化インジウムが良く、特に好ましくは、酸化亜鉛である。有機化合物の材料としては、具体的には、バソキュプロイン(BC
P)、バソフェナントレン(Bphen)、(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)、ホウ素化合物、オキサジアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)、ペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)、又はホスフィンオキシド化合物若しくはホスフィンスルフィド化合物等の周期表第16族元素と二重結合を有するホスフィン化合物が挙げられる。
電子取り出し層102の形成方法としては、形成方法に制限はない。例えば、昇華性を有する材料を用いる場合は真空蒸着法等の乾式成膜法により形成することができる。また、例えば、溶媒に可溶な材料を用いる場合は、スピンコート法やインクジェット法等の湿式成膜法により形成することができる。
電子取り出し層102の全体の膜厚は特に限定はないが、通常0.5nm以上、好ましくは1nm以上、より好ましくは5nm以上、特に好ましくは10nm以上である。一方、通常1μm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは400nm以下、特に好ましくは200nm以下である。電子取り出し層102の膜厚が上記の範囲内にあることで、均一な塗布が容易となり、電子取り出し機能もよく発揮されうる。
<1.3.2.正孔取り出し層(104)>
正孔取り出し層104の材料に特に限定は無く、活性層からアノード105への正孔の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミン又はポリアニリン等に、スルホン酸及びヨウ素のうち少なくとも一方等がドーピングされた導電性ポリマー、スルホニル基を置換基に有するポリチオフェン誘導体、アリールアミン等の導電性有機化合物、ナフィオン、後述のp型半導体化合物、酸化銅、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化モリブデン、又は酸化バナジウム又は酸化タングステン等の金属酸化物等が挙げられる。
その中でも好ましくは、スルホン酸をドーピングした導電性ポリマーであり、より好ましくは、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングした(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)である。また、金、インジウム、銀又はパラジウム等の金属等の薄膜も使用することができる。金属等の薄膜は、単独で形成してもよいし、上記の有機材料と組み合わせて用いることもできる。
正孔取り出し層104の全体の膜厚は特に限定はないが、通常0.5nm以上である。一方、通常400nm以下、好ましくは200nm以下である。正孔取り出し層104の膜厚が0.5nm以上であることでバッファ材料としての機能を果たすことになり、正孔取り出し層104の膜厚が400nm以下であることで、正孔が取り出し易くなり、光電変換効率が向上しうる。
正孔取り出し層104の形成方法に制限はない。例えば、昇華性を有する材料を用いる場合は真空蒸着法等の乾式成膜法により形成することができる。また、例えば、溶媒に可溶な材料を用いる場合は、スピンコート法やインクジェット法等の湿式成膜法により形成することができる。正孔取り出し層104に半導体材料を用いる場合は、後述の有機活性層の低分子有機半導体化合物と同様に、前駆体を用いて層を形成した後に前駆体を半導体化合物に変換してもよい。
なかでも、正孔取り出し層104の材料としてPEDOT:PSSを用いる場合、分散液を塗布する方法によって正孔取り出し層104を形成することが好ましい。PEDOT:PSSの分散液としては、ヘレウス社製のCLEVIOS(登録商標)シリーズや、アグファ社製のORGACON(登録商標)シリーズ等が挙げられる。
塗布法により正孔取り出し層104を形成する場合は、塗布液にさらに界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤の使用により、微小な泡若しくは異物等の付着による凹み及び乾燥工程での塗布むらのうち少なくとも一方等の発生が抑制される。界面活性剤としては、公知の界面活性剤(カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤)を用いることができる。なかでも、ケイ素系界面活性剤、アセチレンジオール系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤が好ましい。なお、界面活性剤としては1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
<2.基材(106)>
光電変換素子107は、通常は支持体となる基材106に形成される。
基材106の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されない。基材106の材料の好適な例としては、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料、及びフレキシブル基材等が挙げられる。フレキシブル基材の具体例としては、限定されるわけではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル又はポリエチレン等のポリオレフィン;セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン又はエポキシ樹脂等の有機材料(樹脂基材);紙又は合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン又はアルミニウム等の金属箔に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料が挙げられる。
ガラスとしてはソーダガラス、青板ガラス又は無アルカリガラス等が挙げられる。ガラスからの溶出イオンが少ない点で、これらの中でも無アルカリガラスが好ましい。
基材106の形状に制限はなく、例えば、板状、フィルム状又はシート状等のものを用いることができる。
また、基材106の膜厚に制限はないが、通常5μm以上、好ましくは20μm以上であり、一方、通常20mm以下、好ましくは10mm以下である。基材の膜厚が5μm以上であることは、光電変換素子の強度が不足する可能性が低くなるために好ましい。基材の膜厚が20mm以下であることは、コストが抑えられ、かつ質量が重くならないために好ましい。基材108の材料がガラスである場合の膜厚は、通常0.01mm以上、好ましくは0.1mm以上であり、一方、通常1cm以下、好ましくは0.5cm以下である。ガラス基材108の膜厚が0.01mm以上であることは、機械的強度が増加し、割れにくくなるために、好ましい。また、ガラス基材106の膜厚が0.5cm以下であることは、質量が重くならないために好ましい。
<3.太陽電池>
上述の各実施形態に係る光電変換素子は、太陽電池、なかでも薄膜太陽電池の太陽電池素子として使用されることが好ましい。図2は本発明の一実施形態としての薄膜太陽電池の構成を模式的に示す断面図である。図2に示すように、本実施形態の薄膜太陽電池14は、耐候性保護フィルム1と、紫外線カットフィルム2と、ガスバリアフィルム3と、ゲッター材フィルム4と、封止材5と、太陽電池素子6と、封止材7と、ゲッター材フィルム8と、ガスバリアフィルム9と、バックシート10とをこの順に備える。そして、耐候性保護フィルム1が形成された側(図中下方)から光が照射されて、太陽電池素子6が発電するようになっている。
なお、後述するバックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシート等の防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及び/又はガスバリアフィルム9を用いなくてもよい。
上記構成及びその製造方法については、周知技術を用いることができ、具体的には国際
公開第2011/016430号又は日本国特開2012−191194号公報等の公知文献に記載のものを採用することができる。
本発明に係る太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池14の用途に制限はなく、任意の用途に用いることができる。本発明に係る薄膜太陽電池を適用する分野の例を挙げると、建材用太陽電池、自動車用太陽電池、インテリア用太陽電池、鉄道用太陽電池、船舶用太陽電池、飛行機用太陽電池、宇宙機用太陽電池、家電用太陽電池、携帯電話用太陽電池又は玩具用太陽電池等である。
本発明に係る太陽電池、特に薄膜太陽電池はそのまま用いても、基材上に太陽電池を設置して太陽電池モジュールとして用いてもよい。例えば、図3に模式的に示すように、基材12上に薄膜太陽電池14を備えた太陽電池モジュール13を用意し、これを使用場所に設置して用いればよい。基材12については、周知技術を用いることができ、具体的には国際公開第2011/016430号又は日本国特開2012−191194号公報等の公知文献に記載のものを採用することができる。
具体例を挙げると、基材12として建材用板材を使用する場合、この板材の表面に薄膜太陽電池14を設けることにより、太陽電池モジュール13として太陽電池パネルを作製することができる。
以下に、実施例により本発明の実施形態を説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらに限定されるものではない。なお、本実施例に記載の項目は以下の方法によって測定した。
[重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(PDI)測定]
コポリマーの重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(PDI)は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により求めた。具体的には、カラムとして、Shim−pac GPC−803、GPC−804(島津製作所製,内径8.0mm,長さ30cm)をそれぞれ1本ずつ直列に繋げて用い、ポンプとしてLC−10AT、オーブンとしてCTO−10A、検出器として示差屈折率検出器(島津製作所製:RID−10A)、及びUV−vis検出器(島津製作所製:SPD−10A)を用いた。測定のために、測定対象のコポリマーをクロロホルムに溶解させ、得られた溶液5μLをカラムに注入した。移動相としてクロロホルムを用い、1.0mL/minの流速で測定を行った。解析にはLC−Solution(島津製作所)を用いた。
[光電変換素子の評価]
光電変換素子に4mm角のメタルマスクを付け、照射光源としてエアマス(AM)1.5G、放射照度100mW/cmのソーラシミュレータを用い、ソースメーター(ケイスレー社製,2400型)により、ITO電極とアルミニウム電極との間における電流−電圧特性を測定した。この測定結果から、開放電圧Voc(V)、短絡電流密度Jsc(mA/cm)、形状因子FF、及び光電変換効率PCE(%)を算出した。
ここで、開放電圧Vocとは電流値=0(mA/cm)の際の電圧値であり、短絡電流密度Jscとは電圧値=0(V)の際の電流密度である。形状因子FFとは内部抵抗を表すファクターであり、最大出力をPmaxとすると次式で表される。
FF=Pmax/(Voc×Jsc)
また、光電変換効率PCEは、入射エネルギーをPinとすると次式で与えられる。
PCE = (Pmax/Pin)×100
= (Voc×Jsc×FF/Pin)×100
<合成例1:化合物E2の合成>
Figure 2015106651
窒素雰囲気下、10Lのナスフラスコ中に、4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−2,6−ビス(トリメチルシリル)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール(化合物E1,非特許文献J.Am.Chem.Soc.2008,130,16144−16145に従って合成,289g)を入れ、ヘプタン(2.9L)およびクロロホルム(1.45L)の混合溶媒に溶解させた。さらにトリフルオロ酢酸(90g)を滴下後、
約2時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機層をヘプタンで抽出、水洗後、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧濃縮を行った。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン)に供することで、4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール(化合物E2)を淡黄色の油状物として得た(118g)。
化合物E2:H−NMR(400MHz,溶媒:重クロロホルム):δ7.18(d,2H,J=4.8Hz),7.08(d,2H,J=4.8Hz),1.43−1.35(m,2H),1.28−1.09(m,16H),0.98−0.80(m,10H),0.75(d,6H,J=7.3Hz).
<合成例2:化合物E3の合成>
Figure 2015106651
窒素雰囲気下、2Lナスフラスコ中に、合成例1で得られた化合物E2(27.0g,0.064mol)を入れ、テトラヒドロフラン(THF,0.46L)に溶解させ、−75℃に冷却した。さらにリチウムジイソプロピルアミド(LDA)のテトラヒドロフラン/ヘキサン溶液(関東化学社製,濃度1.11M,0.070L,1.2eq)を滴下し、約40分間攪拌した。さらに塩化トリメチルスズのテトラヒドロフラン溶液(Aldrich社製,1.0M,0.077L,1.2eq)を滴下後、約40分間攪拌した。さらにリチウムジイソプロピルアミド(LDA)のテトラヒドロフラン/ヘキサン溶液(関東化学社製,濃度1.11M,0.070L,1.2eq)を滴下し、約40分間攪拌
した。さらに塩化トリメチルスズのテトラヒドロフラン溶液(Aldrich社製,1.0M,0.077L,1.2eq)を滴下後、約40分間攪拌した。徐々に室温まで昇温した。さらにリチウムジイソプロピルアミド(LDA)のテトラヒドロフラン/ヘキサン溶液(関東化学社製,濃度1.11M,0.070L,1.2eq)を滴下し、約40分間攪拌した。さらに塩化トリメチルスズのテトラヒドロフラン溶液(Aldrich社製,1.0M,0.084L,1.3eq)を滴下後、約40分間攪拌した。約1時間かけて10℃まで昇温した後、反応液に水を加え、ヘキサンで抽出後、有機層を水洗した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過して減圧濃縮後、真空下で乾燥することにより、4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−2,6−ビス(トリメチルスズ)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール(化合物E3)を黄緑色油状物として定量的に得た。
化合物E3:H−NMR(400MHz,溶媒:重クロロホルム):δ7.07(s,2H),1.45−1.37(m,2H),1.32−1.08(m,16H),0.99−0.80(m,10H),0.77(t,6H,J=7.3Hz),0.36(s,18H).
<合成例3:化合物E5の合成>
Figure 2015106651
窒素雰囲気下、10Lナスフラスコ中に、3,3’−ジブロモ−5,5’−ビス(トリメチルシリル)−2,2’−ビチオフェン(化合物E4,国際公開第2010/136353号に従って合成,234g)を入れ、テトラヒドロフラン(3.98L)に溶解させた。−75℃に冷却し、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(関東化学社製,1.65M,658mL)を滴下した。約1.5時間攪拌後、ジクロロジ−n−オクチルシラン(Fluorochem製,195g)を滴下した。約1時間かけて徐々に10℃まで昇温し
た後、水(1.17L)を加え、生成物をヘプタンで抽出した。有機層を水洗後、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して濃縮した。得られた赤黒色の油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン)に供し、黄色の油状物を227g得た。このうち
の225gを10Lナスフラスコ中に入れ、窒素雰囲気下、クロロホルム(3.39L)
に溶解させ、氷冷した。ここにトリフルオロ酢酸(91.4g)を加えて、約75分間攪
拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機層をヘプタンで抽出、水洗後、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過後、減圧濃縮した。得られた淡黄色の油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン)に供することで、目的とする4,4−ジ−n−オクチル−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール(化合物E5,168g)を得た。
化合物E5:H−NMR(400MHz,溶媒:重クロロホルム):δ7.05(d
,2H,J=4.8Hz),7.19(d,2H,J=4.8Hz),1.42−1.33(m,4H),1.31−1.18(m,20H),0.91−0.85(m,10H).
<合成例4:化合物E6の合成>
Figure 2015106651
化合物E2の代わりに化合物E5(65g,0.155mol)を用いたこと以外は合成例2と同様に反応を行い、4,4−ジ−n−オクチル−2,6−ビス(トリメチルスズ)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール(化合物E6)を定量的に得た。
化合物E6:H−NMR(400MHz,溶媒:重クロロホルム):δ7.08(s,2H),1.45−1.38(m,4H),1.33−1.19(m,20H),0.90−0.85(m,10H),0.38(s,18H).
<合成例5:コポリマー1の合成>
Figure 2015106651
窒素雰囲気下、10Lナスフラスコに、モノマーとして、公知文献(Organic Letters 2004,6,3381−3384)に記載の方法を参考にして得られた1,3−ジブロモ−5−オクチル−4H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−(5H)−ジオン(化合物F1(イミドチオフェンジブロミド),95.82g)、合成例2で得られた化合物E3(87.72g)及び合成例4で得られた化合物E6:(84.28g)を入れ、トルエン(3.096L)、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィ
ン)パラジウム(0)(8.01g,3mol%)、トリフェニルホスフィン含有不均一系パラジウム錯体触媒Pd−EnCatTPP30(Aldrich社製,10.41g
,テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)に対し、1.3倍重量)、トルエン(6.192L)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(1.238L)を入れ、90℃で1時間、続いて100℃で12時間攪拌した。トルエン(2.96L)を加え、100℃でさらに0.5時間加熱攪拌した後、末端処理として、トリメチル(フェニル)スズ(Aldrich社製,25.2mL)を加えて100℃で10時間加熱攪拌し、ブロモ
ベンゼン(1.691L)を加えてさらに100℃で10時間加熱攪拌した。70℃まで降温後、反応溶液をメタノール(10.3L)中に注ぎ、析出した沈殿をろ取した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、ジアミンシリカゲル(Fujiシリシア化学製)を加えて2時間室温で攪拌し、酸性シリカゲルのショートカラムを通した。溶液を濃縮し、クロロホルム/酢酸エチルを溶媒として再沈殿を行い、析出した沈殿を濾別することで、目的とするコポリマー1(127g)を得た。得られたコポリマー1の重量平均分子量Mwは2.34×10であり、PDIは4.2であった。
<合成例6:コポリマー2の合成>
Figure 2015106651
窒素雰囲気下、50mL二口ナスフラスコに、モノマーとして、公知文献(Organic Letters 2004,6,3381−3384)に記載の方法を参考にして得られた1,3−ジブロモ−5−オクチル−4H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−(5H)−ジオン(化合物F1(イミドチオフェンジブロミド),135mg,0.319mmol)及び合成例2で得られた化合物E3(250mg,0.336mmol)を入れ、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(12mg,3mol%)、トリフェニルホスフィン含有不均一系パラジウム錯体触媒Pd−EnCatTPP30(Aldrich社製,25mg,3mol%)、トルエン(5.2mL)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(1.3mL)を入れ、90℃で1時間、続いて100℃で11時間攪拌した。反応液をトルエンで4倍に希釈して100℃でさらに0.5時間加熱攪拌した後、末端処理として、トリメチル(フェニル)スズ(0.033mL)を加えて100℃で8時間加熱攪拌し、さらにブロモベンゼン(2.5mL)を加えて100℃で8時間加熱攪拌して、反応溶液をメタノール中に注ぎ、析出した沈殿をろ取した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、ジアミンシリカゲル(Fujiシリシア化学製)を加えて1時間室温で攪拌し、酸性シリカゲルのショートカラムを通した。溶液を濃縮し、クロロホルム/酢酸エチルを溶媒として再沈殿を行い、析出した沈殿を濾別することで、目的とするコポリマー2(135mg)を得た。得られたコポリマー2の重量平均分子量Mwは1.36×10であり、PDIは3.7であった。
<比較例3−2>
レジオレギュラーポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT,Rieke Metals社製)と、C60(Ind)2並びにC70(Ind)2とを重量比1:0.67:0.28で、合計濃度が2.4質量%となるように、o−キシレン(和光純薬工業社製)に溶解して、活性層塗布液インクを作製した以外は、実施例3−1と同様の方法で、サンプルを作製し、同様の評価を行った。得られたX線回折スペクトルを図5、及び結果を表3に示す。
<実施例1−1>
合成例5で得られたコポリマー1の温度毎のd−PCBMに対する相溶限界濃度を以下の方法で測定した。
コポリマー1をクロロベンゼンに溶解して20mg/mlの溶液を調製し、150nmの酸化膜を有するシリコンウェハー上に、2000rpm、45秒の条件でスピンコートにより製膜し(以下、p型半導体膜と称す)、サンプル1を作製した。
また、ポリスチレンをトルエンに溶解して20mg/mlの溶液を調製し、150nmの酸化膜を有するシリコンウェハー上に、1000rpm、60秒の条件でスピンコートにより製膜し、サンプル2を作製した。なお、サンプル1及びサンプル2は、窒素雰囲気下で一晩乾燥した。
次に、d−PCBM(Aldrich社製)を150nmの酸化膜を有するシリコンウェハー上に10−6Torr以下の真空化にて蒸着し、サンプル3を作製した。
次に、サンプル1を5%のフッ化水素水に数秒浸漬し、水浴上にシリコンウェハーをゆっくり浸漬することで、水面にp型半導体膜を剥離し、剥離した膜をサンプル3で掬い取った後、真空下で20分乾燥し、d−PCBM膜上にp型半導体膜を積層し、サンプル4を作製した。次に、得られたサンプル4をグローブボックス中の200℃に熱したホットプレート上で3秒加熱した。その後、サンプル2を5%のフッ化水素水に数秒浸漬し、水浴上にシリコンウェハーをゆっくり浸漬することで、水面にポリスチレン膜を剥離し、剥離したポリスチレン膜を加熱したサンプル4で掬い取った後、真空下で20分乾燥し、p型半導体膜上にポリスチレン膜を積層した。
積層したサンプルをDSIMS(Physical Electronics社製:Physical Electronics 6650)を用いて深さ方向の分布を測定した。条件としては、Macromolecules,2013,46(3),pp1002−1007に記載の方法に準じて行った。具体的には、一次イオン種として0を一次加速電圧2kV、45nAで、電子銃で中和しながら300μm四方に照射し、中央部15%の面積の分析を行った。得られたDSIMSプロファイルにおいて、S(34)が最も高い値を示す領域をポリマー膜の領域とし、D(2)のプロファイルにおいて最も高い値を1と規格化した場合のポリマー領域のD(2)の値の平均値から、相溶限界濃度を算出した。得られた結果を表1に示す。
<比較例1−1>
コポリマー1の替わりに合成例6で得られたコポリマー2を用いた以外は、実施例1−1と同様の方法で、コポリマー2のd−PCBMに対する相用限界濃度を測定した。得られた結果を表1に示す。
<比較例1−2>
コポリマー1の替わりにレジオレギュラーポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT,Rieke Metals社製)を用いた以外は、実施例1−1と同様の方法でサンプルを作成し、レジオレギュラーポリ−3−ヘキシルチオフェンのd−PCBMに対する相用限界濃度を測定した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2015106651
<実施例2−1>
合成例5で得られたコポリマー1の150℃、1Hzにおける貯蔵弾性率を以下の方法により測定した。コポリマー1をo-キシレンに溶解して5〜16mg/mlの溶液を調製し、PTFE製モールドに溶液を流し込んで乾固し、縦35mm×横8mm×厚さ30〜60μmの短冊状の試料片(サンプル5)を作製した。作製したサンプル5を150℃で30分間アニールした。その後、SIIナノテクノロジー社製、DMS6100を用いて、−100〜250℃の温度領域で毎分4℃で測定温度を変化させながら、引っ張りモードで、試料片に周波数1Hz、大きさ0.1%の正弦歪みを与え、発生する応力を検知することで貯蔵弾性率及び損失正接の温度分散を得た。測定された貯蔵弾性率及び損失正接の温度分散から150℃における貯蔵弾性率及び損失正接を読み取り、p型半導体化合物1の1Hzにおける貯蔵弾性率及び損失正接とした。得られた結果を表2に示す。
<比較例2−1>
合成例5で得られたコポリマー1の代わりに合成例6で得られたコポリマー2を用いた以外は、実施例1と同様の方法でサンプルを形成し、コポリマー2の貯蔵弾性率を測定した。得られた結果を表2に示す。
<比較例2−2>
合成例5で得られたコポリマー1の代わりにレジオレギュラーポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT,Rieke Metals社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法でサンプルを形成し、レジオレギュラーポリ−3−ヘキシルチオフェンの貯蔵弾性率を測定した。得られた結果を表2に示す。
Figure 2015106651
<実施例3−1>
p型半導体化合物として合成例5で得られたコポリマー1、及びn型半導体化合物としてPC61BM(フェニルC61酪酸メチルエステル)とPC71BM(フェニルC71酪酸メチルエステル)との混合物(フロンティアカーボン社,nanom spectra E123)を、重量比が1:2.5となるように混合し、混合物が1.8質量%の濃度となるように窒素雰囲気中でo−キシレンとテトラリンとの混合溶媒(体積比9:1)に溶解させた。この溶液をホットスターラー上で80℃の温度にて1時間攪拌混合した。攪拌混合後の溶液を1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過することにより、活性層塗布液インクを得た。
インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜がパターニングされたガラス基板(ジオマテック社製)を、アセトンによる超音波洗浄、ついでイソプロパノールによる超音波洗浄の後、窒素ブローでの乾燥及びUV−オゾン処理を行った。
次に、酢酸亜鉛(II)二水和物(和光純薬社製)を、濃度105mg/mLとなるように2−メトキシエタノール(Aldrich社製)とエタノールアミン(Aldrich社製)との混合溶媒(体積比100:3)に溶解した溶液(約0.1mL)を、ガラス基板上に3000rpmの速度にてスピンコートし、UV−オゾン処理した後、200℃のオーブンで15分間加熱することで、電子取り出し層を形成した。
電子取り出し層が形成された基板をグローブボックスに持ち込み、窒素雰囲気下150℃で3分間加熱処理し、冷却後に上述のように作製した活性層塗布液インク(0.12mL)を用いてスピンコートすることにより厚さ約0.2μmの活性層を形成しサンプル6を作製した。
上記サンプル6を、リガク社製RINT2000を用いて、X線源:Cu/Kα、管電圧:50kV、管電流:250mA、測定範囲:ブラッグ角2θ=2〜30°にて、out−of−planeX線回折法はスキャンスピード:3°/min、読み込み幅:0.0
5°、in−planeX線回折法はステップ幅:0.05°、計数時間:4secで測定した。得られたX線回折スペクトルを図4に示す。また、得られた結果に関して、ブラッグ角2θ=3〜6°及びブラッグ角2θ=23〜26°の範囲にある各ピークに対してガウス関数を用いたフィッティングから半値幅を求めた。得られた結果を表3に示す。
<比較例3−1>
p型半導体化合物として合成例5で得られたコポリマー1の代わりに合成例6で得られたコポリマー2を用いた以外は、実施例3−1と同様の方法で、サンプルを作製し、同様の評価を行った。得られたX線回折スペクトル、及び結果を図5及び表3に示す。
<比較例3−2>
p型半導体化合物として合成例5で得られたコポリマー1の代わりに、実施例3−1と同様の方法でサンプルを作製し、同様の評価を行った。得られたX線回折スペクトルを図6及び表3に示す。
Figure 2015106651
<実施例4−1>
p型半導体化合物として合成例5で得られたコポリマー1、及びn型半導体化合物としてフラーレン化合物であるPC61BM(フェニルC61酪酸メチルエステル)とPC71BM(フェニルC71酪酸メチルエステル)との混合物(フロンティアカーボン社,nanom spectra E123)を、重量比が1:2.5となるように混合し、混合物が1.8質量%の濃度となるように窒素雰囲気中でo−キシレンとテトラリンとの混合溶媒(体積比9:1)に溶解させた。この溶液をホットスターラー上で80℃の温度にて1時間攪拌混合した。攪拌混合後の溶液を1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過することにより、活性層塗布液インクを得た。
Figure 2015106651
インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜がパターニングされたガラス基板(ジオマテック社製)を、アセトンによる超音波洗浄、ついでイソプロパノールによる超音波洗浄の後、窒素ブローでの乾燥及びUV−オゾン処理を行った。
次に、酢酸亜鉛(II)二水和物(和光純薬社製)を、濃度105mg/mLとなるように2−メトキシエタノール(Aldrich社製)とエタノールアミン(Aldrich社製)との混合溶媒(体積比100:3)に溶解した溶液(約0.1mL)を、ガラス基板上に3000rpmの速度にてスピンコートし、UV−オゾン処理した後、200℃のオーブンで15分間加熱することで、電子取り出し層を形成した。電子取り出し層を成膜した基板をグローブボックスに持ち込み、窒素雰囲気下150℃で3分間加熱処理し、冷却後に上述のように作製した活性層塗布液インク(0.12mL)を用いてスピンコートすることにより厚さ約0.2μmの活性層を形成した。
活性層上に、正孔取り出し層として厚さ1.5nmの三酸化モリブデン(MoO3)膜を、次いで電極層として厚さ100nmの銀膜を、抵抗加熱型真空蒸着法により順次成膜し、5mm角の光電変換素子を作製した。なお作製された光電変換素子の変換効率は上述の評価法に従って算出した。その結果を表3に示す。
<比較例4−1>
合成例5で得られたコポリマー1の代わりに合成例6で得られたコポリマー2を用いた以外は、実施例4−1と同様の方法で光電変換素子を作製し、変換効率を測定した。得られた結果を表4に示す。
<比較例4−2>
レジオレギュラーポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT,Rieke Metals社製)と、C60(Ind)並びにC70(Ind)とを重量比1:0.67:0.28で、合計濃度が2.4質量%となるように、o−キシレン(和光純薬工業社製)に溶解して、活性層塗布液インクを作製した以外は、実施例4−1と同様の方法で光電変換素子を作製し、変換効率を測定した。得られた結果を表4に示す。
Figure 2015106651
表1〜表4より、特定の結晶配向性を有する活性層を有する本発明に係る光電変換素子(実施例4−1)は、従来の光電変換素子(比較例4−1及び4−2)と比較して極めて高い変換効率を示すことが分かった。これは本発明に係る光電変換素子が有する活性層が
、良好な結晶の配向性を有していることで、電荷輸送効率及び電荷分離効率に優れており、さらには高い電荷捕集効率を有するために極めて高い変換効率が得られたものと考えられる。
1 耐候性保護フィルム
2 紫外線カットフィルム
3,9 ガスバリアフィルム
4,8 ゲッター材フィルム
5,7 封止材
6 太陽電池素子
10 バックシート
12 基材
13 太陽電池モジュール
14 薄膜太陽電池
101 アノード
102 正孔取り出し層
103 活性層
104 電子取り出し層
105 カソード
106 基材
107 光電変換素子

Claims (6)

  1. 一対の電極と、該一対の電極間に活性層を有する光電変換素子であって、前記活性層はp型半導体化合物とn型半導体化合物とを有し、かつ、前記活性層が以下(1)〜(3)の条件を満たすことを特徴とする光電変換素子。
    (1)in−planeX線回折測定法において、ブラッグ角2θ=3〜6°の範囲に第1のピークを有する。
    (2)out−of−planeX線回折測定法において、ブラッグ角2θ=3〜6°の範囲に第2のピークを有し、かつ、ブラッグ角2θ=23〜26°の範囲に第3のピークを有する。
    (3)前記第1のピークの半値幅は、前記第2のピークの半値幅よりも小さい。
  2. 前記p型半導体化合物の200℃におけるd−PCBMに対する相溶限界濃度が10質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記p型半導体化合物の150℃、1Hzにおける貯蔵弾性率が7×10Pa以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  4. 前記p型半導体化合物が下記式(1A)、(1B)及び(1C)を含む繰り返し単位を有するコポリマーである請求項1〜3のいずれか一項に記載の光電変換素子。
    Figure 2015106651
    (式(1A)、式(1B)及び式(1C)中、Aは周期表第16族元素から選ばれる原子を表し、Q及びQはそれぞれ独立して周期表第14族元素から選ばれる原子を表し、Rはヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表し、Rは置換基を有していてもよい分岐アルキル基を表し、Rは置換基を有していてもよい直鎖アルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、R及びRはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい分岐アルキル基、置換基を有していてもよい直鎖アルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂肪族複素環基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、RとRの組、及びRとRとの組の少なくとも一組は、互いに異なる基を表す。)
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の光電変換素子を有する太陽電池。
  6. 請求項5に記載の太陽電池を有する太陽電池モジュール。
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