JP2015067621A - 共役高分子、光電変換素子、及び太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】4×10−4質量%クロロホルム溶液の吸収スペクトルにおいて、550nm以上、650nm未満の範囲内に第1の吸収極大波長を有し、650nm以上、800nm以下の範囲内に第2の吸収極大波長を有し、前記第1の吸収極大波長のピーク成分面積に対する前記第2の吸収極大波長のピーク成分面積の比率が1.5以上、3.0以下である共役高分子。
【選択図】なし
Description
[1]4×10−4質量%クロロホルム溶液の吸収スペクトルにおいて、550nm以上
、650nm未満の範囲内に第1の吸収極大波長を有し、650nm以上、800nm以下の範囲内に第2の吸収極大波長を有し、前記第1の吸収極大波長のピーク成分面積に対する前記第2の吸収極大波長のピーク成分面積の比率が1.5以上、3.0以下である共役高分子。
[2]前記第2の吸収極大波長のグラム吸光係数が50以上である[1]に記載の共役高分子。
[3]前記第1の吸収極大波長のグラム吸光係数に対する前記第2の吸収極大波長のグラム吸光係数の比が1.1以上、5.0以下である[1]又は[2]に記載の共役高分子。[4]式(1)で表される繰り返し単位を有する[1]〜[3]のいずれか一項に記載の共役高分子。
[5][1]〜[4]のいずれか一項に記載の共役高分子を含む光電変換素子。
[6][5]に記載の光電変換素子を有する太陽電池。
[7][6]に記載の有機薄膜太陽電池を有する太陽電池モジュール。
、その繰り返しの説明は省略する。
本発明に係る共役高分子は、その濃度が4×10−4質量%クロロホルム溶液の吸収スペクトルにおいて、550nm以上、650nm未満の範囲内に第1の吸収極大を有し、650nm以上、800nm以下の範囲内に第2の吸収極大を有する。550nm以上、650nm未満の波長範囲で第1の吸収極大を持ち、650nm以上、800nm以下の波長範囲で第2の吸収極大を有することにより、広い波長範囲の太陽光を効率良く吸収することができる。
収スペクトルの第1の吸収極大波長のピーク成分面積、及び第2の吸収極大波長のピーク成分面積をそれぞれ算出して、求めることができる。
上記の方法により得られた該溶液の吸収スペクトルは、それぞれ異なる電子遷移に帰属される複数のピークの総和であると考えられる為、第1の吸収極大波長のピーク成分面積、及び第2の吸収極大波長のピーク成分面積を求めるためには、まず吸収スペクトルをピーク成分毎に波形分離し、それぞれのピーク成分面積を求める必要がある。波形分離する方法としては、特段の制限は無く、市販の表計算ソフトを用いることができる。表計算ソフトとしては、Microsoft(R) Office Excel(登録商標)等が挙
げられる。また、波形分離機能を備える市販あるいは無料で配布されているソフトウェアを使用することができる。ここでは、表計算ソフトを用いる例を以下に説明する。
まず、上述の吸収スペクトルのデータを縦軸に吸光度、横軸に波長をとり、プロットする。なお、予め、該溶液の吸収スペクトルからクロロホルム溶媒の吸収スペクトルは差し引いておく必要がある。
以下の方法により、得られた吸収スペクトルにフィットする近似曲線を作成する。
1)実測のスペクトルにおいて、極大ピーク数を参考に、いくつのピークに分離できるかを予測する。スペクトルが示す極大の数と同等、あるいはそれ以上の数のピークに分離できると予測することが好ましい。
2)横軸x, 縦軸yとした場合、各ピークを以下のガウス関数(式(6))で近似できるものと仮定し、任意のa, b, cを設定してピークの波形を求める。これを1)で分離した全
てのピークについてそれぞれ実施する。
ここで、吸収スペクトルの近似曲線が、実測の吸収スペクトルと良く一致するまで、2)における各ピークのa,b,cの値を変化させながら、2)→3)のサイクルを繰り返す。
この際、吸収スペクトルの近似曲線を実測の吸収スペクトルに近づける方法として、特段の制限は無いが、最小自乗法の考え方を用いることが好ましい。すなわち、全てのデータ点に対して、実測の吸光度の値と近似曲線の値との差の二乗を計算し、次にこれらの和を求め、この値が最小になるように、各ピークの近似曲線であるガウス関数の各パラメータa, b, cの値を調節する。最小になるようにa, b, cの値を調節する方法に特段の制限は無いが、Microsoft(R) Office Excel(登録商標)の機能であるソ
ルバーを用いることもできる。
吸収スペクトルの近似曲線を、実測の吸収スペクトル、及び分離した各成分の近似曲線と共に図4に示す。
特に、第2の吸収極大波長を示すピークは、分子間相互作用等が部分的に寄与することにより、長波長側に肩ピークを形成する場合も多く、このような場合には、第2の吸収極大波長を示すピークを構成する主成分であるピーク面積の大きな主ピーク(以下、成分Aと称す場合がある)の他に、より長波長側に、1つ以上の面積の小さな副ピーク(以下、成分Bと称す場合がある)を含むとみなす。
また、第1の吸収極大波長のグラム吸光係数に対する第2の吸収極大波長のグラム吸光係数の比が大きすぎると、550nm以上、650nm未満の波長領域の光を効率良く吸収できず変換効率が下がり、小さすぎると650nm以上、800nm以下の波長領域の光を効率良く吸収できず、変換効率が下がる傾向がある。そのため、第1の吸収極大波長のグラム吸光係数に対する第2の吸収極大波長のグラム吸光係数の比は1.1以上である
ことが好ましく、1.2以上であることがさらに好ましく、1.3以上であることが特に好ましく、一方で、5.0以下であることが好ましく、4.0以下であることがさらに好ましく、3.0以下であることが特に好ましい。なお、本発明において、グラム吸光係数(L/g−1・cm−1は、吸収極大における吸光度をAとし、これを溶液の濃度(g/
L)で割った値を意味する。
Aとしては、共役高分子中において、電子受容体としての役割を有するものであれば、特段の制限はないが、具体的には、オキサゾール部分、チアゾール部分、オキサジアゾール部分、チアジアゾール部分、ケト基、エステル基、フルオロ基、クロロ基、シアノ基、ピロール部分、ピリジン部分、ピラジン部分、イミダゾール部分、トリアゾール部分、テトラジン部分、イミド部分を含む。これらの中でも好ましくは、ベンゾチアジアゾール部分、フルオロベンゾチアジアゾール部分、ジフルオロベンゾチアジアゾール部分、クロロベンゾチアジアゾール部分、ジクロロベンゾチアジアゾール部分、ピリジノチアジアゾール部分、ビスチアゾール部分、チアゾロチアゾール部分、ベンゾビスチアゾール部分、フタルイミド部分、イミドチオフェン部分、イミドジチオフェン部分、チエノピラジン部分、チエノピロール部分、チエノピリジン部分、チエノチアゾール部分、ベンゾオキサジアゾール部分、フルオロベンゾオキサジアゾール部分、ジフルオロベンゾオキサジアゾール部分、クロロベンゾオキサジアゾール部分、ジクロロベンゾオキサジアゾール部分、ピリジノオキサジアゾール部分、ベンゾトリアゾール部分、ピリジノトリアゾール部分、チエノチアジアゾール部分、チエノオキサジアゾール部分、チエノトリアゾール部分、キノキサリン部分、フルオロチエノチオフェン部分、シアノチエノチオフェン部分、ジフルオロチオフェン部分、チアゾロチオフェン部分、ジケトチオフェン部分、イミダゾロチオフェン部分、ナフトビスチアジアゾール部分、ナフトビスオキサジアゾール部分、ナフトビストリアゾール部分である。これらの中でも殊更好ましくは、ポリマーの吸収波長が適切になりやすいという観点から、ベンゾチアジアゾール部分、フルオロベンゾチアジアゾール部分、ジフルオロベンゾチアジアゾール部分、クロロベンゾチアジアゾール部分、ジクロロベンゾチアジアゾール部分、ピリジノチアジアゾール部分、イミドチオフェン部分、ベンゾオキサジアゾール部分、フルオロベンゾオキサジアゾール部分、ジフルオロベンゾオキサジアゾール部分、クロロベンゾオキサジアゾール部分、ジクロロベンゾオキサジアゾール部分、ピリジノオキサジアゾール部分、キノキサリン部分、フルオロチエノチオフェン部分、ナフトビスチアジアゾール部分、ナフトビスオキサジアゾール部分、ナフトビストリアゾール部分であり、組み合せるドナーとの間の高い共平面と置換基の導入による溶解性の向上が両立し易いという観点からは、ベンゾビスチアゾール部分、イミドチオフェン部分、イミドジチオフェン部分、チエノピラジン部分、チエノトリアゾール部分、フルオロチエノチオフェン部分である。
以下、本発明に係る共役高分子が有する繰り返し単位の例について記載するが、本発明に係る共役高分子は以下に限定されるものではない。
式(2)中、Qは、それぞれ独立して周期表第14族元素から選ばれる原子を表す。周期表第14族元素から選ばれる原子として具体的には、炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子及び鉛原子が挙げられる。Qとして好ましくは、炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子及びスズ原子であり、より好ましくは、炭素原子、ケイ素原子及びゲルマニウム原子である。さらに好ましくは、ケイ素原子又はゲルマニウム原子である。ケイ素原子及びゲルマニウム原子は炭素原子と比較して原子半径が大きいことから、π−πスタッキングを阻害するような置換基R2〜R3による立体障害が低減されうる。このことは、共役高分子間の分子間相互作用が適度に維持されうる点で好ましい。
炭化水素基を表す。ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基とは、炭化水素基を構成する炭素原子と水素原子とのうちの少なくとも一部が、ヘテロ原子又はヘテロ原子を有する原子団で置換されていてもよい炭化水素基のことを指す。
ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基の例としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基が挙げられる。
アルキル基の炭素数は、通常1以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、一方、通常30以下、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは12以下である。
ルブチル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2−メチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2,3−ジメチルブチル基、2,6−ジメチルへプチル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−ヘキシルデシル基、2,2−ジメチルブチル基、2−メチルヘプチル基、2−メチルヘキサデシル基、2−ブチルオクチル基、2−メチルノニル基、2−プロピルペンチル基、2−メチルウンデシル基、2−ヘキシルオクチル基、2−メチルオクチル基、2−メチルデシル基、2−メチルドデシル基又は2,5−ジメチルヘキシル基等が挙げられる。なかでも、2−エチルヘキシル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2,6−ジメチルへプチル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−ヘキシルデシル基、2−メチルヘプチル基、2−ブチルオクチル基、2−メチルノニル基、2−プロピルペンチル基、2−メチルウンデシル基、2−ヘキシルオクチル基、2−メチルオクチル基、2−メチルデシル基、2−メチルドデシル基又は2,5−ジメチルヘキシル基が好ましく、より好ましくは2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−ヘキシルデシル基、2−ブチルオクチル基又は2−ヘキシルオクチル基である。
ル基、1−ブチル−1−エチルヘキシル基、1,1,4−トリメチルペンチル基、1−(2−メチルプロピル)−1−メチルペンチル基、1,3−ジメチル−1−(2−メチルプロピル)ブチル基、3−メチル−1−(2−メチルプロピル)ブチル基、2,2−ジメチルテトラコシル基、1−エチル−1−プロピルペンチル基、1,3,3,5,5−ペンタメチルヘキシル基、1−エチル−1,2,2−トリメチルプロピル基、1,1,2,3,3−ペンタメチルヘキシル基、1,1−ジメチルノニル基、1−エチル−1,4−ジメチルペンチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,1−ジメチルヘプチル基、1−エチル−1−メチルペンチル基、1,1−ジメチルデシル基、1,1−ジメチルオクチル基、1,1−ビス(1−メチルエチル)−2−メチルプロピル基、1−(1−メチルエチル)−1,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルオクタデシル基、1−(2−メチルプロピル)−1,3,3−トリメチルブチル基、1−エチル−1,3−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルウンデシル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルペンチル基、1−プロピル−1,2−ジメチルブチル基、2−メチル−1−(1−メチルエチル)プロピル基、1,1−ジブチルペンチル基、1−ブチル−1−プロピルペンチル基、1,1−ジプロピルブチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1,1−ジメチルヘキサデシル基、1,1−ジブチル−4−メチルペンチル基、1,4−ジメチル−1−(2−メチルプロピル)ペンチル基、1−ブチル−1,4−ジメチルペンチル基、1−ブチル−1−エチルペンチル基、1−ブチル−1−メチルペンチル基、1−エチル−1−メチルヘキシル基、1−メチル−1−プロピルペンチル基、1−ヘキシル−1−メチルノニル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−(2−エチルヘキシル)−1−メチルドデシル基、1,1−ビス(2−エチルヘキシル)−3−エチルヘプチル基、1,1−ジオクチルノニル基又は1,1,2,2−テトラメチルプロピル基等が挙げられる。なかでも、t−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基が好ましく、より好ましくはt−ブチル基である。
アルケニル基の炭素数は、通常2以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、一方、通常20以下、好ましくは16以下、より好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下である。このようなアルケニル基としては、例えば、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基等が挙げられる。好ましくは、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基又はドデセニル基であり、より好ましくは、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基又はデセニル基である。
直鎖アルケニル基としては、エテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基、8−ノネニル基、9−デセニル基、10−ウンデセニル基、11−ドデセニル基、12−トリデセニル基、13−テトラデセニル基、14−ペンタデセニル基、15−ヘキサデセニル基、16−ヘプタデセニル基、17−オクタデセニル基、18―ノナデセニル基、19−イコセニル基等が挙げられる。好ましくは、2−プロペニル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基、8−ノネニル基、9−デセニル基、10−ウンデセニル基又は11−ドデセニ
ル基であり、より好ましくは、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基、8−ノネニル基又は9−デセニル基]が挙げられ
る。
シクロアルケニル基としては、2−シクロプロペニル基、2−シクロブテニル基、2−シクロペンテニル基、3−シクロペンテニル基、2−シクロヘキセニル基、2−シクロヘプテニル基、2−シクロオクテニル基が挙げられる。
直鎖アルキニル基としては、エチニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、4−ペンチニル基、5−ヘキシニル基、6−ヘプチニル基、7−オクチニル基、8−ノニニル基、9−デシニル基、10−ウンデシニル基、11−ドデシニル基、12−トリデシニル基、13−テトラデシニル基、14−ペンタデシニル基、15−ヘキサデシニル基、16−ヘプタデシニル基、17−オクタデシニル基、18−ノナデシニル基、19−イコシニル基が挙げられる。
シクロアルキニル基としては、2−シクロオクチニル基、3−シクロオクチニル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、炭素数が、通常6以上、一方、通常30以下、好ましくは20以下、より好ましくは14以下であるものが挙げられる。このような芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、インダニル基、インデニル基、フルオレニル基、アントラセニル基又はアズレニル基等が挙げられる。なかでも、フェニル基又はナフチル基が好ましい。
03、GPC−804(島津製作所製、内径8.0mm、長さ30cm)をそれぞれ1本ずつ直列に繋げて用い、ポンプとしてLC−10AT、オーブンとしてCTO−10A、検出器として示差屈折率検出器(島津製作所製:RID−10A)、及びUV−vis検出器(島津製作所製:SPD−10A)を用いることにより測定できる。測定対象の共役高分子をクロロホルムに溶解させ、得られた溶液5μLをカラムに注入する。移動相としてクロロホルムを用い、1.0mL/minの流速で測定を行なう。なお、測定温度は40℃とする。解析にはLC−Solution(島津製作所)を用いる。
ここで、後述する成膜に際して用いうる溶媒としては、共役高分子を均一に溶解又は分散できるものであれば特に限定されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、テトラリン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類などが挙げられる。その中でも好ましくは、トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類やクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン又はトリクロロエチレンなどのハロゲン炭化水素類である。
以下、本発明に係る共役高分子を製造する方法について説明する。本発明に係る共役高分子は、ドナー性モノマーとアクセプター性モノマーのカップリング反応を行うことにより製造することができる。
本発明の共役高分子は、上述したように、ドナー性モノマー及びアクセプター性モノマーのカップリング反応により製造することができる。なお、カップリング反応の例としては、特に限定するわけではないが、鈴木カップリング反応、Stilleカップリング反応、檜山カップリング反応、直接ヘテロアリールカップリング(非特許文献 Acc.Chem.Res.2013(DOI:10.1021/ar3003305、ウェブ公開日2013年4月1日))が挙げられる。高い分子量の共役高分子が得られやすいという理由からはStilleカップリング反応が好ましい。一方で、副生物が少なく、環境への負担が小さいという理由からは直接ヘテロアリールカップリングが好ましい。
本発明に係る共役高分子を製造するためのアクセプター性モノマー、及びドナー性モノマーに特段の制限はないが、上述した本発明に係る共役高分子を構成するアクセプター性モノマー部位、及びドナー性モノマー部位で列挙したような骨格を有するモノマーを使用することができる。なお、本発明に係る共役高分子を製造するために、アクセプター性モノマー、又はドナー性モノマーは、それぞれ2種以上用いてもよい。
モノマー部位への電荷移動相互作用により、ドナー性モノマー単独の吸収極大波長、又はアクセプター性モノマー単独の吸収極大波長と比較して、長波長側にシフトする傾向がある。一方で、長波長側に吸収極大波長がシフトした共役高分子が、第1の吸収極大と第2の吸収極大の2つの吸収極大を有する理由は、明らかではないが、第1の吸収極大又は第2の吸収極大のいずれか一方が、分子内の電荷移動由来であり、他方が分子間の電荷移動由来でよるものであるか、又は第1の吸収極大と第2の吸収極大が共に分子内の電荷由来であることが考えられる。なお、後者の理由の場合、共に分子内の電荷移動由来であるにも関わらず、波長の異なる2つの吸収極大が現れる理由としては、共役の大きさの程度の違いに起因して、エネルギーの異なる2種類の分子内電荷移動が起こっているためであると推測される。つまり、振動や回転などの分子運動に起因して、共平面の度合いが異なり、その共平面の違いに応じてドナー部位とアクセプター部位の共役度合いが異なるという可能性が挙げられる。
<2−3.反応条件>
本発明に係る共役高分子を製造する反応条件として、特段の限定は無いが、できるだけ多量のアクセプター性モノマー及びドナー性モノマーを用いて、合成することが好ましい。本発明によると、同じ骨格を有するアクセプター性モノマー及びドナー性モノマーを用いて合成しても、得られた共役高分子を含む溶液の吸収スペクトルにおける、第1の吸収極大波長のピーク成分面積に対する第2の吸収極大波長のピーク成分面積が異なることが判明した。この理由は明らかではないが、ピーク成分面積は共役高分子の純度に依存する可能性がある。そのため、多量のアクセプター性モノマー及びドナー性モノマーを用いて共役高分子を製造することで、反応溶液の撹拌が安定し、重合反応が速やかに反応し、ドナー部位同士、又はアクセプター部位同士のホモカップリング反応や、官能基が脱離するといった種々の副反応が抑えられるためであると考えられる。
<2−4.式(2)で表される共役高分子の製造方法>
上述のように、本発明に係る共役高分子は、アクセプター性モノマー及びドナー性モノマーを重合させて製造することができるが、以下、好ましい共役高分子の製造例として、式(2)で表される繰り返し単位を有する共役高分子の製造方法について詳細に説明する。
式(3a)及び(3b)中、X及びYは、重合反応の種類に応じて適宜選択できる。例えば、カップリング反応を用いた重合反応により製造することができる。使用可能な反応としては、Suzuki−Miyauraクロスカップリング反応方法、Stilleカップリング反応方法、Yamamotoカップリング反応方法、Grignard反応方法、ヘック反応方法、薗頭反応方法、FeCl3等の酸化剤を用いる反応方法、電気化学的な酸化反応を用いる方法、適当な脱離基を有する中間体化合物の分解による反応方法等が挙げられる。これらの中でも、Suzuki−Miyauraカップリング反応方法、Stilleカップリング反応方法、Yamamotoカップリング反応方法、Grignard反応方法が、構造制御がしやすい点で好ましい。特に、Suzuki−Miyauraクロスカップリング反応方法、Stilleカップリング反応方法、Grignard反応方法が、材料の入手しやすさ、反応操作の簡便さの点からも好ましい。これらの反応は、「クロスカップリング−基礎と産業応用−(CMC出版)」、「有機合成のための遷移金属触媒反応(辻二郎著:有機合成化学協会編)」、「有機合成のための触媒反応103(檜山為次郎:東京化学同人)」等の公知文献の記載の方法に従って行うことができる。
ホウ酸エステル残基としては、例えば、下式で示されるものが挙げられる。下式において、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
重合反応は公知の方法に従って行うことができる。例えば、X又はYがアルキルスタニル基である場合には公知のStilleカップリング反応の条件に従って反応を行えばよい。また、X又はYがホウ酸エステル残基又はホウ酸残基である場合には公知のSuzuki−Miyauraカップリング反応の条件に従って反応を行えばよい。さらに、X又はYがシリル基である場合には公知のHiyamaカップリング反応の条件に従って反応を行えばよい。カップリング反応の触媒としては例えば、パラジウム等の遷移金属と、配位子(例えばトリフェニルホスフィン等のホスフィン配位子)との組み合わせを用いることができる。
重合反応において用いられる、式(3a)で表される化合物の量に対する、式(3b)で表される化合物の量の比(3b/3a)は、モル比換算にして、通常0.90以上、好ましくは0.95以上であり、一方、通常1.3以下、好ましくは1.2以下である。比率がこのような範囲内にあることは、より高い収率で高分子量体を取得しうる点で好ましい。
例えば本発明に係る共役高分子を有機光電変換素子用の材料として用いる場合、その純度が高いことにより素子特性が向上しうるため、共役高分子が高純度であることが望ましい。本発明に係る共役高分子を有機光電変換素子用の材料として用いる場合、式(3a)及び(3b)で表される化合物のそれぞれの純度は通常90%以上、好ましくは95%以上である。
均一系遷移金属触媒としては、重合反応に用いる溶媒に十分に溶解するものが好ましい
。好ましい例としては、特に、パラジウム、ニッケル、鉄、又は銅を含む、後周期遷移金属錯体触媒が挙げられる。具体的な例としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh3)4)又はトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd2(dba)3)等の0価のパラジウム触媒;ビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(PdCl2((PPh3))2)又は酢酸パラジウム等の2価のパラジウム触媒等のパラジウム(Pd)触媒;Ni(dppp)Cl2又はNi(dppe)Cl2等のニッケル触媒;塩化鉄等の鉄触媒;ヨウ化銅等の銅触媒等が挙げられる。ここで、dbaはジベンジリデンアセトンを表し、dpppは1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンを表し、dppeは1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンを表す。
アルカリとしては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム等の無機塩基;トリエチルアミン等の有機塩基;等が挙げられる。
補触媒としては、例えば、フッ化セシウム、酸化銅又はハロゲン化銅等の無機塩が挙げられる。補触媒の使用量は、式(3a)及び(3b)で表される化合物の量の合計に対して、通常1×10−4mol%以上、好ましくは1×10−3mol%以上、より好ましくは1×10−2mol%以上であり、一方、通常1×104mol%以下、好ましくは1×103mol%以下、より好ましくは1.5×102mol%以下である。補触媒の使用量がこの範囲にあることは、より低コストかつ高い収率で共役高分子が得られる傾向にある点で好ましい。
ために、好ましい。
例えば、Stilleカップリング反応によって共役高分子を重合した場合の末端処理方法としては、以下の方法が挙げられる。共役高分子のハロゲン原子の末端処理方法としては、重合反応後の精製前の反応系中に、末端処理剤としてアリールトリアルキルスズを加えた後、加熱攪拌を行うことにより行うことができる。アリールトリアルキルスズの例としてはフェニルトリメチルスズ又はチエニルトリメチルスズ等が挙げられる。共役高分子の末端のハロゲン原子を芳香族基に置換することは、共役安定効果により、共役高分子がより安定になるために、好ましい。
ぞれ独立に行うことが好ましい。なお、それぞれの末端処理の順序に特段の制限は無く、適宜選択できる。
また、末端処理は、共役高分子の精製前に行ってもよいが、共役高分子の精製後に行ってもよい。末端処理を共役高分子精製後に行う場合には、共役高分子と片方の末端処理剤(例えばアリールハライド又はアリールトリアルキルスズ)とを有機溶剤に溶解した後、パラジウム触媒等の遷移金属触媒を加えて反応を行い、さらにもう片方の末端処理剤(アリールトリアルキルスズ又はアリールハライド)を加えて反応を行えばよい。反応を促進する観点から、末端処理を共役高分子精製前に行う場合と同様に、末端処理時には加熱攪拌を行うことか好ましい。また、収率を向上させる観点から、反応を窒素条件下で行うことも好ましい。反応時間は、特段の制限は無いが、通常30分以上、好ましくは1時間以上であり、一方、通常25時間以下、好ましくは10時間以下である。
共役高分子の精製方法としては、再沈精製、ソックスレー抽出器を用いた抽出、ゲル浸透クロマトグラフィー、又はスキャベンジャーを用いた金属除去等の、公知の方法が挙げられる。
重合反応の原料として用いられる式(3a)で表される化合物は、J.Am.Chem
.Soc.,2010,132(22),7595−7597に記載の方法に準じて製造することができる。また、式(3b)で表される化合物は、J.Mater.Chem.,2011,21,3895、及びJ.Am.Chem.Soc.2008,130,16144−16145に記載の方法に準じて製造することができる。
非求核性塩基の例としては、金属水素化物、嵩高い置換基を有する金属アルコキシド、アミン類、ホスファゼン塩基、嵩高い置換基を有する金属マグネシウム試薬(Grignard試薬)、又は金属アミド等が挙げられる。非求核性の塩基を用いることは、式(4b)で表される化合物が有する縮合環への求核攻撃を効果的に抑制することでき、副生物の生成を抑えることができる点で好ましい。塩基性の高さ及び求核性の低さの点から、非求核性塩基として好ましくは金属アミドであり、特に好ましくは嵩高い置換基を有する金属アミドである。
置換基Yが、アルキルスタニル基である場合には、求電子剤としては、特段の限定は無いが、例えばハロゲン化トリアルキルスズ化合物が挙げられる。置換基Yが、ホウ酸残基又はホウ酸エステル残基である場合には、求電子剤としては、特段の限定は無いが、ホウ酸トリエステルが好ましく用いられる。ホウ酸トリエステルとの反応によって得られたホウ酸エステル残基を有する化合物をそのまま単離することもできるし、ホウ酸エステル残基を加水分解してホウ酸残基に導いた後に化合物を単離してもよい。
式(4b)で表される化合物に対して加える非求核性塩基の量に特段の制限はなく、通常は式(4b)で表される化合物に対して2モル当量以上の非求核性塩基が用いられる。一方で、使用する試薬の量を減らすために、非求核性塩基の量は通常20モル当量以下、好ましくは10モル当量以下、さらに好ましくは5モル当量以下である。式(4b)で表される化合物に対して加える求電子試薬の量に特段の制限はなく、通常は式(4b)で表される化合物に対して2モル当量以上の求電子試薬が用いられる。一方で、使用する試薬の量を減らすために、求電子試薬の量は通常モル20当量以下、好ましくは10モル当量以下、さらに好ましくは5モル当量以下である。
例えば、式(4b)で表される化合物は、下式(5b)で表される化合物の、酸を用いた脱シリル化反応により製造することができる。
本発明に係る共役高分子は、溶媒に対する溶解性、及び長波長領域における光吸収性を
持ち、有機半導体材料として好適である。以下、「本発明に係る有機半導体材料」ともいう。
本発明に係る有機半導体材料は、少なくとも本発明に係る共役高分子を含む。本発明に係る有機半導体材料は、本発明に係る共役高分子のうち一種を含有していてもよく、二種以上を任意の組み合わせで含有していてもよい。また、本発明に係る有機半導体材料は、本発明に係る共役高分子のみからなるものであってもよいが、その他の成分(例えば、その他の高分子、モノマー、各種の添加剤等)を含有していてもよい。
素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。その中でも好ましくは、トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類やクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン又はトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類である。
以下に、本発明に係る共役高分子を用いて作製した光電変換素子(以下、本発明に係る光電変換素子と称する)について説明する。本発明に係る光電変換素子は、少なくとも一対の電極と、該電極間に配置された活性層とを備え、前記共役高分子はこの活性層に含まれる。
活性層103の形成方法、膜厚等は、国際公開第2011/016430号又は特開2012−191194号公報に開示された通りである。
本発明の光電変換素子107は、太陽電池素子として、薄膜太陽電池において使用されてもよい。
図2は本発明の一実施形態としての薄膜太陽電池の構成を模式的に示す断面図である。図2に示すように、本実施形態の薄膜太陽電池14は、耐候性保護フィルム1と、紫外線カットフィルム2と、ガスバリアフィルム3と、ゲッター材フィルム4と、封止材5と、太陽電池素子6と、封止材7と、ゲッター材フィルム8と、ガスバリアフィルム9と、バックシート10とをこの順に備える。そして、耐候性保護フィルム1が形成された側(図中下方)から光が照射されて、太陽電池素子6が発電するようになっている。なお、後述するバックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシートな
どの防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及び/又はガスバリアフィルム9を用いなくてもよい。
上述した薄膜太陽電池14の用途に制限はなく任意である。例えば、図3に模式的に示すように、何らかの基材12上に薄膜太陽電池14を設けた太陽電池モジュール13を用意し、これを使用場所に設置して用いればよい。具定例を挙げると、基材12として建材用板材を使用した場合、この板材の表面に薄膜太陽電池14を設けて太陽電池モジュール13として太陽電池パネルを作製し、この太陽電池パネルを建物の外壁などに設置して使用すればよい。
<合成例1:化合物E2の合成>
約2時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機層をヘプタンで
抽出、水洗後、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧濃縮を行った。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン)に供することで、4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール(化合物E2)を淡黄色の油状物として得た(118g)。
<合成例2:化合物E3の合成>
<合成例3:化合物E5の合成>
た後、水(1.17L)を加え、生成物をヘプタンで抽出した。有機層を水洗後、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して濃縮した。得られた赤黒色の油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン)に供し、黄色の油状物を227g得た。このうち
の225gを10Lナスフラスコ中に入れ、窒素雰囲気下、クロロホルム(3.39L)
に溶解させ、氷冷した。ここにトリフルオロ酢酸(91.4g)を加えて、約75分間攪
拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機層をヘプタンで抽出、水洗後、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過後、減圧濃縮した。得られた淡黄色の油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン)に供することで、目的とする4,4−ジ−n−オクチル−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール(化合物E5,168g)を得た。
<合成例4:化合物E6の合成>
化合物E6:1H−NMR(400MHz,溶媒:重クロロホルム):δ7.08(s,2H),1.45−1.38(m,4H),1.33−1.19(m,20H),0.90−0.85(m,10H),0.38(s,18H).
<合成例5:共役高分子1の合成>
ジメチルホルムアミド(0.240L)を入れ、90℃で1時間、続いて100℃で12時間攪拌した。トルエン(2.96L)を加え、100℃でさらに0.5時間加熱攪拌した後、末端処理として、トリメチル(フェニル)スズ(Aldrich社製,9.1g)
を加えて100℃で10時間加熱攪拌し、ブロモベンゼン(694g)を加えてさらに1
00℃で10時間加熱攪拌した。70℃まで降温後、反応溶液をメタノール(2.8L)中に注ぎ、析出した沈殿をろ取した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、ジアミンシリカゲル(Fujiシリシア化学製)を加えて2時間室温で攪拌し、酸性シリカゲルのショートカラムを通した。溶液を濃縮し、クロロホルム/酢酸エチルを溶媒として再沈殿を行い、析出した沈殿を濾別することで、目的とする共役高分子11(32.4g)を得た。得られた共役高分子1の重量平均分子量Mwは1.35×105であり、PDIは3.0であった。
<合成例6:共役高分子2の合成>
,テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)に対し、1.3倍重量)、トルエン(6.192L)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(1.238L)を入れ、90℃で1時間、続いて100℃で12時間攪拌した。トルエン(2.96L)を加え、100℃でさらに0.5時間加熱攪拌した後、末端処理として、トリメチル(フェニル)スズ(Aldrich社製,25.2mL)を加えて100℃で10時間加熱攪拌し、ブロモ
ベンゼン(1.691L)を加えてさらに100℃で10時間加熱攪拌した。70℃まで降温後、反応溶液をメタノール(10.3L)中に注ぎ、析出した沈殿をろ取した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、ジアミンシリカゲル(Fujiシリシア化学製)を加えて2時間室温で攪拌し、酸性シリカゲルのショートカラムを通した。溶液を濃縮し、クロロホルム/酢酸エチルを溶媒として再沈殿を行い、析出した沈殿を濾別することで、目的とする共役高分子2(127g)を得た。得られた共役高分子2の重量平均分子量Mwは2.34×105であり、PDIは4.2であった。
<合成例7:共役高分子3の合成>
<合成例8:共役高分子4の合成>
6−(5H)−ジオン(化合物F1(イミドチオフェンジブロミド),163mg,0.385mmol)及び合成例2で得られた化合物E3(302mg,0.405mmol)を入れ、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(14mg,3mol%)、トリフェニルホスフィン含有不均一系パラジウム錯体触媒Pd−EnCatTPP30(Aldrich社製,31mg,3mol%)、トルエン(6.3mL)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(1.5mL)を入れ、90℃で1時間、続いて100℃で11時間攪拌した。反応液をトルエンで4倍に希釈して100℃でさらに0.5時間加熱攪拌した後、末端処理として、トリメチル(フェニル)スズ(0.040mL)を加えて100℃で8時間加熱攪拌し、さらにブロモベンゼン(3.0mL)を加えて100℃で8時間加熱攪拌して、反応溶液をメタノール中に注ぎ、析出した沈殿をろ取した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、ジアミンシリカゲル(Fujiシリシア化学製)を加えて1時間室温で攪拌し、酸性シリカゲルのショートカラムを通した。溶液を濃縮し、クロロホルム/酢酸エチルを溶媒として再沈殿を行い、析出した沈殿を濾別することで、目的とする共役高分子4(175mg)を得た。得られた共役高分子4の重量平均分子量Mwは1.60×105であり、PDIは3.5であった。
合成例5〜8で得られた共役高分子1〜4の吸収スペクトル測定を行った。なお、吸収スペクトルは、得られた共役高分子をクロロホルム溶媒に溶解し、4.0×10−4質量%溶液を作成し、分光光度計(日立製作所製、U−3500)を用いて、該溶液の紫外可視吸収スペクトルを測定した。得られた吸収スペクトルを図6〜9に示す。
なお、吸収スペクトルに関する上記の結果をまとめて表1に示す。
(実施例1)
p型半導体化合物として合成例5で得られた共役高分子1、及びn型半導体化合物とし
てフラーレン化合物であるPC61BM(フェニルC61酪酸メチルエステル)とPC71BM(フェニルC71酪酸メチルエステル)との混合物(フロンティアカーボン社,nanom spectra E123)を、重量比が1:2.5となるように混合し、混合物が1.8重量%の濃度となるように窒素雰囲気中でo−キシレンとテトラリンとの混合溶媒(体積比9:1)に溶解させた。この溶液をホットスターラー上で80℃の温度にて1時間攪拌混合した。攪拌混合後の溶液を1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過することにより、活性層塗布液インクを得た。
次に、酢酸亜鉛(II)二水和物(和光純薬社製)を、濃度105mg/mLとなるように2−メトキシエタノール(Aldrich社製)とエタノールアミン(Aldrich社製)との混合溶媒(体積比100:3)に溶解した溶液(約0.1mL)を、ガラス基板上に3000rpmの速度にてスピンコートし、UV−オゾン処理した後、200℃のオーブンで15分間加熱することで、電子取り出し層を形成した。
さらに、活性層上に、正孔取り出し層として厚さ1.5nmの三酸化モリブデン(MoO3)膜を、次いで電極層として厚さ100nmの銀膜を、抵抗加熱型真空蒸着法により順次成膜し、5mm角の光電変換素子を作製した。
なお作成された光電電池素子の変換効率は以下に示す評価法に従って算出した。その結果を表1に示す。
光電変換素子に4mm角のメタルマスクを付け、照射光源としてエアマス(AM)1.5G、放射照度100mW/cm2のソーラシミュレータを用い、ソースメーター(ケイスレー社製,2400型)により、ITO電極と銀電極との間における電流−電圧特性を測定した。この測定結果から、開放電圧Voc(V)、短絡電流密度Jsc(mA/cm2)、形状因子FF、光電変換効率PCE(%)を算出した。
FF = Pmax/(Voc×Jsc)
また、光電変換効率PCEは、入射エネルギーをPinとすると次式で与えられる。
PCE=(Pmax/Pin)×100= (Voc×Jsc×FF/Pin)×100
有機活性層に合成例5で得られた共役高分子1の代わりに、合成例6で得られた共役高分子2を使用した以外は、実施例1と同じ方法で光電変換素子を作製した。得られた光電変換素子の変換効率を表1に示す。
有機活性層に合成例5で得られた共役高分子1の代わりに、合成例7で得られた共役高分子3を使用した以外は、実施例1と同じ方法で光電変換素子を作製した。得られた光電変換素子の変換効率を表1に示す。
有機活性層に合成例5で得られた共役高分子1の代わりに、合成例8で得られた共役高分子4を使用した以外は、実施例1と同じ方法で光電変換素子を作製した。得られた光電変換素子の変換効率を表1に示す。
2 紫外線カットフィルム
3,9 ガスバリアフィルム
4,8 ゲッター材フィルム
5,7 封止材
6 太陽電池素子
10 バックシート
12 基材
13 太陽電池モジュール
14 薄膜太陽電池
101 アノード
102 正孔取り出し層
103 活性層
104 電子取り出し層
105 カソード
106 基材107 光電変換素子
Claims (7)
- 4×10−4質量%クロロホルム溶液の吸収スペクトルにおいて、550nm以上、650nm未満の範囲内に第1の吸収極大波長を有し、650nm以上、800nm以下の範囲内に第2の吸収極大波長を有し、前記第1の吸収極大波長のピーク成分面積に対する前記第2の吸収極大波長のピーク成分面積の比率が1.5以上、3.0以下である共役高分子。
- 前記第2の吸収極大波長のグラム吸光係数が50以上である請求項1に記載の共役高分子。
- 前記第1の吸収極大波長のグラム吸光係数に対する前記第2の吸収極大波長のグラム吸光係数の比が1.1以上、5.0以下である請求項1又は2に記載の共役高分子。
- 式(1)で表される繰り返し単位を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の共役高分子。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の共役高分子を含む光電変換素子。
- 請求項5に記載の光電変換素子を有する太陽電池。
- 請求項6に記載の有機薄膜太陽電池を有する太陽電池モジュール。
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