以下、本発明に係る通知タイミング算出装置について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
通知タイミング算出装置10は、商品を購入した(又は所有する)ユーザ12に対し、商品に関連するアフターサービスを提供する際に用いられる。本明細書中においては、商品として自動車等の車両14を取りあげて、車両14のユーザ12に対するサービスを詳述していくが、商品について特に限定されないことは勿論である。
特に、この通知タイミング算出装置10は、車両点検、車両14に関わるイベント、販売店16のイベント等のように、販売店16やサービス店(修理工場等)に来店が必要となるサービスに関わる。以下では、来店イベントとして、重要度が高い車両点検を促す旨の通知(以下、来店案内通知18という)について代表的に述べるものとする。
具体的には、図1の左図に示すように、ユーザ12が車両14を購入した後のアフターサービスとして、販売店16(又はサービス店)は、点検が必要となる点検期限毎にユーザ12に来店案内通知18を送付する。車両点検としては、車検、法定点検、或いはメーカが推奨するタイミングでの点検等が挙げられる。例えば、車種やメーカにもよるが、新車を購入した場合には、納車してから1ヶ月後、次に3ヶ月後、以降6ヶ月(半年)毎に定期的に車両点検が行われる。
ユーザ12は、この来店案内通知18を受け取ることで、自身の車両14の点検期限を確認することが可能となる。そして、図1の右図に示すように、ユーザ12は、点検期限に基づき販売店16に赴く(来店する)ことにより、販売店16にて充分な車両点検を行うことができる。
一方、販売店16側は、ユーザ12の車両14の点検期限から逆算して上記の来店案内通知18を送付する。この点検期限を知らせる来店案内通知18も幾つかの通知手段が考えられ、例えば、ダイレクトメール18aをユーザ12に発送する、ユーザ12のメールアドレスに電子メール18bを送信する等が挙げられる。電子メール18bは、応答(メールでの返信又は専用ホームページにアクセス)可能な形態で送付し、ユーザ12が来店予約を容易に行えるようにすることが好ましい。
そして、来店案内通知18の送付タイミングを逆算する際に通知タイミング算出装置10が用いられる。通知タイミング算出装置10は、ユーザ12に来店案内通知18を送付する際に、ユーザ12の来店率が向上するように送付タイミングを算出する機能を有する。特に、通知タイミング算出装置10は、個々のユーザ12の情報(以下、ユーザ情報UIという)に基づき、ユーザ12毎に来店案内通知18の送付タイミングを算出することで、ユーザ12に応じた適切なタイミングで来店を促す。
以下では、図2A及び図2Bに示すグラフで表現した説明図に基づき、通知タイミング算出装置10の期間設定について述べていく。
ここで、図2A及び図2B中の「点検期限20」とは、車両点検の期限日であり、すなわち商品のサービスを受けるために設定される所定の期限である。この点検期限20は、例えば販売店16等により設定されるが、法律により定められている期限日がある場合は、その期限日を点検期限20としてよい。
「通知日22」とは、ユーザ12に車両点検を促す来店案内通知18を送付した日、すなわち送付タイミングである。なお、通知日22は、来店案内通知18の送付日だけに限定されるものではなく、ユーザ12が来店案内通知18を受け取った日が確認可能であれば、受取日を通知日22としてもよい。
「来店日24」とは、来店案内通知18の送付後にユーザ12が販売店16に来店した日である。なお「来店日24」は、ユーザ12が来店した日だけでなく、来店の予約をした日を含んでもよい。例えば、ユーザ12が点検期限20まで忙しいため、実際の来店日24が点検期限20を過ぎたとしても、先に来店予約がなされていれば来店とみなしてよい。
さらに、「通知後期間T」とは、来店案内通知18の通知日22から点検期限20までの期間であり、「来店期間Tα」とは、通知日22から来店日24までの期間であり、「余裕期間Tβ」とは、来店日24から点検期限20までの期間である。また、以降の説明では、1週間(1W)、2週間(2W)、3週間(3W)…等の週単位で期間を述べることもあるが、通知タイミング算出装置10内では週単位を日にち単位に換算して期間を管理してよい。
具体的に、図2Aに示す説明図を参照すると、来店案内通知18を点検期限20の4週間前に送付し、ユーザ12は、来店案内通知18の通知日22から3週間目に来店したと見ることができる。図2Bに示す説明図を参照すると、来店案内通知18を点検期限20の2週間前に送付し、点検期限20までにユーザ12が来店しなかったと見ることができる。
通知タイミング算出装置10は、点検期限20に対する通知日22を通知後期間Tに基づき設定する。通知後期間Tは、通知タイミング算出装置10がユーザ情報UIをデータマイニングすること(ユーザ12のアクション情報を抽出し推定すること)により算出される。以下、通知タイミング算出装置10及びその周辺の構成について具体的に述べていく。
図1に示すように、通知タイミング算出装置10は、販売店16のクライアント端末30にLAN等のネットワーク32を介して接続され、複数のクライアント端末30からアクセス可能なサーバとして構成されている。この通知タイミング算出装置10は、演算処理部、記憶部、入出力部を有する公知のコンピュータを適用することができる。
来店案内通知18の送付前(図1の左図参照)に、通知タイミング算出装置10は、プログラムの動作により来店案内通知18の通知日22を管理し、クライアント端末30に来店案内通知18の作成又は送付を指示する。そして、来店案内通知18の送付後(図1の右図参照)に、通知タイミング算出装置10は、クライアント端末30からの入力によりユーザ12の来店の有無や来店日24を記憶し、来店案内通知18の次回の通知後期間Tn+1(図2参照)を算出する。
販売店16は、通知タイミング算出装置10に接続するクライアント端末30を少なくとも1台備えていればよい。販売店16の店員は、クライアント端末30からユーザ情報UIを入力して通知タイミング算出装置10に登録及び更新する。また、通知タイミング算出装置10から来店案内通知18の送付を指示された場合に、店員は、ユーザ12に送付するダイレクトメール18aや電子メール18bの作成及び送付を行う。
なお、クライアント端末30は、ユーザ12に送付する来店案内通知18を自動的に作成し、又は送付する機能を有していてもよい。例えば、クライアント端末30内に、来店案内通知18用のフォーマット情報を用意しておき、来店案内通知18の指示があった場合にユーザ情報UIをフォーマット情報に書き込むことでダイレクトメール18aや電子メール18bを作成する。特に、電子メール18bの場合は、作成後に、インターネット34を介してユーザ12のユーザ端末36に自動送信を行ってもよい(図3参照)。
通知タイミング算出装置10は、記憶部に記憶されたプログラムを演算処理部が実行することで、図3に示すように、ユーザ情報取得部40、通知制御部42(算出手段)、統計データ更新部44が設けられる。また、通知タイミング算出装置10は、複数のユーザ情報UIをまとめて記憶及び管理する顧客DB46(ユーザデータベース)と、複数のユーザ情報UIから全体の統計データをとり記憶及び管理する統計DB48(統計データベース)とを備える。
ユーザ情報取得部40は、通知タイミング算出装置10自体からの入力又はクライアント端末30からの入力によりユーザ情報UIを取得し、このユーザ情報UIを顧客DB46に記憶(登録又は更新)する。また、ユーザ情報取得部40は、クライアント端末30が通知タイミング算出装置10にアクセスした際に、ユーザ情報UIの書き込みを促す専用画面(ユーザ情報入力部50)をクライアント端末30に構築する。販売店16の店員は、このユーザ情報入力部50に基づきユーザ情報UIを入力していくことで、顧客DB46への登録又は更新作業を簡単に行うことができる。
通知制御部42は、通知タイミング算出装置10において、来店案内通知18の送付タイミング(通知後期間T、通知日22)を算出し設定する主要な機能部である。この通知制御部42は、ユーザ情報UIに基づき来店案内通知18の通知後期間Tを設定する際(図1の右図参照)に主に機能する期間設定部52と、来店案内通知18の通知を行う際(図1の左図参照)に主に機能する通知指示部54とを有する。
期間設定部52は、統計DB48で管理されている統計データを用いて来店案内通知18の最初の通知後期間T0(図2A参照)を設定する。また、期間設定部52は、顧客DB46で管理されているユーザ12毎のユーザ情報UIを用いて第2回以降の来店案内通知18の通知後期間Tを算出する。この通知後期間Tはユーザ12の来店状況に基づき算出される。例えば、期間設定部52は、来店案内通知18における今回の通知後期間Tnと、期間変更変数aとに基づき、来店案内通知18の次回の通知後期間Tn+1を以下の式(1)で算出するとよい。なお、期間設定部52及び通知制御部42の処理については、後述する動作の説明時に詳述する。
Tn+1=Tn−a …(1)
通知指示部54は、通知制御部42内で設定されたユーザ12毎の通知日22を監視し、その通知日22に至る又は通知日22に近づくと、クライアント端末30に対し来店案内通知18の送付の指示を自動的に行う。通知指示部54による指示方法は、クライアント端末30にメールを送る、ポップアップ又は専用画面を強制的に表示する等の種々の方法が挙げられる。
統計データ更新部44は、顧客DB46で管理されている全てのユーザ情報UIを定期的に(又は管理者の操作により)読み出して、統計DB48で管理されている統計データを更新する。
顧客DB46は、車両14のユーザ12のユーザ情報UIを複数まとめたファイルとして管理したものである。顧客DB46は、図4に示すように1人のユーザ情報UIとして、例えば、管理番号、氏名、性別、年齢、住所、電話番号、メールアドレス、購入車種、販売店、納車日、車両点検履歴(ユーザのアクション情報)等の項目を有する。
顧客DB46の項目のうち「車両点検履歴AR」は、第1回点検AR1、第2回点検AR2、第3回点検AR3…等の車両点検毎に区分されている。そして、各区分に、点検期限ARa、通知後期間ARb、通知日ARc、来店日ARd、走行距離ARe、交換部品等ARfが記憶可能となっている。これらの項目のうち少なくとも「通知後期間ARb」及び「通知日ARc」は、通知制御部42が書き込むように構成される。
また、ユーザ情報UIの「来店日ARd」には、車両点検においてユーザ12が来店(又は来店予約)した日が入力され、点検期限20を過ぎてもユーザ12の来店がない場合に来店なしが自動入力される。従って、「来店日ARd」の項目は、ユーザ12の来店の有無を示す来店有無情報となる。通知タイミング算出装置10は、この「来店日ARd」を参照することによりユーザ12の来店の有無を確認することができる。また、図4中では省略するが、ユーザ情報UIには、通知後期間Tについて1週間、2週間…等の週間単位(又は日にち単位)の来店率、及び後述する延長フラグFが記憶されることが好ましい。
販売店16やサービス店の点検担当者は、ユーザ12が来店し車両点検や車両14の修理を行う際に、顧客DB46にアクセスし車両点検履歴ARを参照することで、車両14の状態を把握することが可能である。
また、統計DB48で管理される統計データとしては、例えば、性別、年齢、車種、地域、季節等のカテゴリに当てはまるユーザ12の来店率(カテゴリの区分に属する全ユーザを分母とし、該当ユーザの来店有りを分子とする統計値)が挙げられる。以下、図5に示す性別及び年齢のカテゴリの来店率の統計データのグラフを一例に説明する。
図5は、来店案内通知18の送付タイミングを1週間単位で変えたときの来店率の変動を示す折線グラフである。グラフにおいて、太い実線は男性・低年齢を区分とした場合の来店率であり、細い実線は女性・低年齢を区分とした場合の来店率であり、太い点線は男性・高年齢を区分とした場合の来店率であり、細い一点鎖線は女性・高年齢を区分とした場合の来店率である。なお、低年齢は40歳よりも低い年齢であり、高年齢は40歳以上の年齢である。勿論、カテゴリ(年齢)内における区分の境界は任意に設計し得る。
この統計データにより、女性・高年齢の区分に属する全ユーザの場合、最も来店率の高い通知後期間T(以下、ピーク通知後期間Tpという)が4週間前であることが分かる。また、男性・高年齢の区分に属する全ユーザのピーク通知後期間Tpが3週間前であることが分かる。さらに、低年齢(男性及び女性)の区分に属する全ユーザのピーク通知後期間Tpが2週間前であることが分かる。
統計DB48には、複数のカテゴリ毎の統計データ、又はカテゴリを組み合わせた統計データが記憶される。これにより通知制御部42は、統計DB48から使用する統計データを適宜読み出し、上記のカテゴリ毎のピーク通知後期間Tpを抽出して、通知後期間Tを簡単に設定することができる。
第1実施形態に係る通知タイミング算出装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、通知タイミング算出装置10の動作及び効果について具体的に説明していく。
販売店16の店員は、車両14を購入したユーザ12のユーザ情報UI(図3参照)を登録するため、クライアント端末30から通知タイミング算出装置10にアクセスする。通知タイミング算出装置10は、クライアント端末30のアクセスに伴い通知制御部42が動作し、ユーザ情報UIを登録するための専用画面をクライアント端末30に表示し、店員の登録支援を行う。つまり、通知制御部42は、クライアント端末30にユーザ情報入力部50を構築し、店員が入力したユーザ情報UIを顧客DB46に登録する(ステップS1:図6参照)。
新規のユーザ情報UIが顧客DB46に登録されると、通知制御部42の期間設定部52は、統計DB48の統計データに基づき来店案内通知18を送付する最初の通知後期間T0を設定し、ユーザ情報UIに記録する(ステップS2)。すなわち、最初の来店案内通知18の送付では、ユーザ12個人の情報が充分ではないため、統計データに基づき週単位で最も来店率の高いピーク通知後期間Tpを最初の通知後期間T0に設定することが好ましい。
統計データとしては、例えば、上述した図5に示す性別及び年齢(高年齢、低年齢)に分類したものを用いる。そして例えば、ユーザ12が女性・高年齢に分類される場合は、最も来店率が高いピーク通知後期間Tpである4週間前を選択する。勿論、統計データとしては、他の分類を使用してよく、例えば、地域別、季節別等の分類を行い、通知後期間Tを適切に選択できるようにしてよい。
その後、通知制御部42は、顧客DB46に基づき、ユーザ12毎に来店案内通知18を送付するか否かを判別する(ステップS3)。そして、来店案内通知18を送付するユーザ12の場合はステップS4に進み、来店案内通知18を送付しないユーザ12の場合は処理を終了する。来店案内通知18を送付しないとの判別は、例えば、ユーザ12自身で点検する等の理由により送付不可が顧客DB46に登録されている場合、又はアフターサービスの実施期間が過ぎた場合等が挙げられる。或いは、通知制御部42が、ユーザ情報UIの車両点検履歴ARを参照し、来店案内通知18を所定回数送付して一度も来店したことがない(又は来店率が所定率以下)のユーザ12について自動的に送付を停止するように判別してもよい。
ステップS4において、通知制御部42は、店員等によるユーザ情報UIの入力に基づき、ユーザ12の点検期限20を設定する。或いは、通知タイミング算出装置10が車両14の納車日又は過去の点検日等に基づき点検期限20を自動的に設定してもよい。点検期限20が設定されると、通知制御部42はユーザ情報UIに記憶されている通知後期間Tに基づき通知日22を算出し、ユーザ情報UIに記憶する。
その後、通知制御部42の通知指示部54は、顧客DB46を監視し、顧客DB46に記憶されている通知日22に至る(又は近づく)と、ユーザ12が車両14を購入した販売店16に来店案内通知18を送付するように指示する(ステップS5)。
販売店16の店員は、通知タイミング算出装置10の指示に基づき、ユーザ12への来店案内通知18を作成及び送付する。勿論、来店案内通知18は、販売店16からの発送に限定されず、通知タイミング算出装置10を共有する任意の部署が行ってもよい。来店案内通知18を発送すると、店員の入力により来店案内通知18の通知日22がユーザ情報UIに記憶され、顧客DB46上で通知日22が管理される(ステップS6)。
そして、通知制御部42は、来店案内通知18の通知日22から点検期限20までの通知後期間Tにユーザ12の来店(又は来店予約)があったか否かを判別する(ステップS7)。ユーザ12の来店は、店員により入力される、予約メールの受け取りに伴い自動的に記録される、車両14のナンバープレートをカメラで読み取る等により、その有無が適宜判別される。来店があった場合には、ステップS8に進み、ユーザ12の来店がなかった場合には、ステップS10に進む。
ステップS8において、通知制御部42は、今回の通知後期間Tnでユーザ12が来店したこと(来店の日にち)をユーザ情報UIの来店日ARdに記憶すると共に、ユーザ情報UIとして通知後期間T毎(例えば週単位)の来店率を算出し、その来店率も記憶する。その後、通知制御部42は、来店案内通知18の次回の通知後期間Tn+1を設定する(ステップS9)。
ステップS9において、通知制御部42の期間設定部52は、ユーザ情報UIの通知後期間Tのうち来店率が最も高い通知後期間Tを、来店案内通知18の次回の通知後期間Tn+1に設定する。例えば、最初の通知後期間T0が4週間であり、この4週間の通知後期間T内にユーザ12が来店した場合には、第2回目の通知後期間Tも4週間に設定する。
また例えば、あるユーザ12について、今回の通知後期間Tnが点検期限20の3週間前でありこれによりユーザ12が来店したとしても、来店率が最も高い通知後期間Tが4週間である場合には、次回の通知後期間Tn+1を点検期限20の4週間前に設定する。勿論、ステップS9では、今回の来店結果を反映して、次回の通知後期間Tn+1を今回の通知後期間Tnと同じにしてもよい。このステップS9の後、通知制御部42は、ステップS3に戻り以下同様の処理を繰り返す。
一方、ステップS7において、今回の通知後期間Tnにユーザ12の来店がなかった場合に、通知制御部42は、来店なしをユーザ情報UIの来店日ARdに記憶し、またユーザ12の来店率を更新して記憶する(ステップS10)。そして、次回の車両点検について来店案内通知18の送付タイミングの通知調整処理を実施する(ステップS11)。すなわち、今回の通知後期間Tnでユーザ12の来店がなかったことから、今回の通知後期間Tnがユーザ12にとって有効でないと判断することができるため、期間設定部52は次回の通知後期間Tn+1の短縮又は延長の処理を行う。
以下、図7の処理フローを参照して、来店案内通知18の通知調整サブルーチンについて説明する。
期間設定部52は、通知調整サブルーチンを開始すると、次回の通知後期間Tn+1の短縮又は延長を設定するため、ユーザ情報UIに付随する延長フラグFが0か1かを判別する(ステップS20)。つまり、延長フラグFが0の場合は、次回の通知後期間Tn+1を短縮する処理フローを行い、延長フラグFが1の場合は、次回の通知後期間Tn+1を延長する処理フローを行う。
期間設定部52は、延長フラグF=0を判別すると、次に今回の来店案内通知18の点検期限20と通知日22を確認し、今回の通知後期間Tnが短縮限界値b(本実施形態ではb=12日間)以上か否かを判別する(ステップS21)。この短縮限界値bは任意に設定してよい。そして、今回の通知後期間Tnが12日以上の場合はステップS22に進み、12日間以下の場合はステップS23に進む。
ステップS22において、期間設定部52は、今回の通知後期間Tnに対し1週間(7日間)短縮した期間を次回の通知後期間Tn+1に設定する。すなわち、期間設定部52は、式(1)のTn+1=Tn−aを用い、期間変更変数a=7とする。例えば、今回の通知後期間Tnが4週間(28日間)であった場合には、次回の通知後期間Tn+1が3週間(21日間)になる。このステップS22を終了すると、通知調整サブルーチンを終了し、図6のメイン処理フローに復帰する。
また、ステップS21において今回の通知後期間Tnを12日間以下と判別すると、延長フラグFを0から1に変更し(ステップS23)、ステップS20に戻る処理を行う。ここで、今回の通知後期間Tnが12日間以下の場合は、次回の通知後期間Tn+1を7日間短縮すると、次回の来店案内通知18を点検期限20の5日前以降に送付することになり、ユーザ12は来店案内通知18が送られても対応が困難となる。そのため、それまで次回の通知後期間Tn+1を段々短縮してきた処理を逆転させ、次回の通知後期間Tn+1を延長する処理に切り換える。
一方、ステップS20で延長フラグF=1を判別すると、期間設定部52は、次に今回の通知後期間Tnが15日間未満か否かを判別する(ステップS24)。そして、今回の通知後期間Tnが15日間未満の場合はステップS25に進み、15日以上の場合はステップS26に進む。
ステップS25において、期間設定部52は、今回の通知後期間Tnに対し1週間(7日間)延長した期間を次回の通知後期間Tn+1に設定する。すなわち、式(1)において期間変更変数a=−7とする。例えば、今回の通知後期間Tnが2週間(14日間)であった場合には、次回の通知後期間Tn+1が3週間(21日間)になる。このステップS25を終了すると、通知調整サブルーチンを終了し、図6のメイン処理フローに復帰する。
また、ステップS24において今回の通知後期間Tnを15日間以上と判別すると、期間設定部52は今回の通知後期間Tnに対し3日間延長した期間を次回の通知後期間Tn+1に設定する(ステップS26)。すなわち、式(1)において期間変更変数a=−3とする。例えば、今回の通知後期間Tnが3週間(21日間)であった場合には、次回の通知後期間Tn+1が24日間になる。このステップS26を終了すると、通知調整サブルーチンを終了し、図6のメイン処理フローに復帰する。
なお、通知調整サブルーチンの上記延長フラグFは、ユーザ12の来店があった場合、又は所定の通知後期間T(例えば、8週間)以上となった場合にリセット(F=0)するとよい。
図6に示すように、通知制御部42は、ステップS11の通知調整サブルーチンが終了するとステップS3に戻り、以下同様の処理フローを繰り返す。
以上のとおり、通知タイミング算出装置10の通知制御部42は、過去の来店案内通知18に対するユーザ12の来店の有無(アクション情報)に基づいて、来店案内通知18の次回の通知後期間Tn+1を算出する。つまり、今回の来店案内通知18によりユーザ12の来店がなかった場合に、通知制御部42は、次回の通知後期間Tn+1を短縮又は延長することで、通知に対するユーザ12の意識を変えさせることができる。換言すれば、次回の来店案内通知18の送付タイミングがユーザ12に応じて設定されるので、ユーザ12単位で来店可能性が高められ、来店率を可及的に向上することができる。
この場合、通知制御部42は、通知後期間T毎のユーザ12の来店結果に基づいて次回の来店案内通知18の通知後期間Tを算出するので、来店がなかった通知後期間Tを避け、来店があった通知後期間Tに基づき次の通知を送付することができる。よって、ユーザ12の来店率を一層向上することができる。
また、通知タイミング算出装置10は、統計DB48を備えることで、所定のカテゴリ(例えば、性別と年齢)で分類された区分のユーザ12の一般的な傾向を認識することができる。これにより、通知制御部42は、ユーザ12に対し最初の来店案内通知18を送付する際に、所定のカテゴリのうちユーザ12が属する区分の統計情報に基づいて送付タイミングを設定することで、ユーザ12の最初の来店率を高めることができる。
なお、第1実施形態に係る通知タイミング算出装置10は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形例や応用例、又は他の実施形態を採用し得る。例えば、車両14(商品)のユーザに対して送付する来店案内通知18は、車両点検に限定されず、商品に関連するセール又は販売店が催すキャンペーン等のイベントでもよい。このようなイベントは、ユーザにとって車両点検とは異なる関心事項にあたるので、車両点検の通知の送付タイミングとは別に管理及び制御を行うとよい。勿論、イベントと車両点検を同時に管理してもよい。同時に管理する場合はイベントと車両点検で重要度パラメータを設け、仮に重要度が低いイベントの通知でユーザが来店しなかったとしても、重要度が高い車両点検の通知の送付タイミングに反映しないよう処理するとよい。
以下、本発明に係る通知タイミング算出装置10の応用例、第2及び第3実施形態について説明する。なお、以降の説明において、通知タイミング算出装置10と同じ構成又は同様の機能を奏する構成については同じ符号を付し、その詳細な説明については省略する。
〔最初の通知後期間の設定の応用例〕
通知制御部42は、図6のステップS2において、統計DB48の所定のカテゴリ(例えば、性別及び年齢)の中で最も来店率が高い期間を最初の通知後期間T0に設定した。通知制御部42は、統計DB48を用いて最初の通知後期間T0を設定する場合の応用例として、デシジョンツリー(決定木)を利用して最初の通知後期間T0を設定することができる。具体的には、カテゴリに優先順位を設定し、カテゴリのピーク通知後期間Tpを順次比較して、ピーク通知後期間Tpの来店率が、他の通知後期間Tの来店率よりも所定以上差があるときに、このピーク通知後期間Tpを最初の通知後期間T0に設定するとよい。
例えば、期間設定部52は、最初の通知後期間T0の設定時に、図8に示すように、最も高い優先順位のカテゴリ60(節点)として性別を抽出し、ユーザ情報UIの性別を当てはめる。仮にユーザ12が女性であると、女性の区分を参照する。そして、期間設定部52は、図8に示す女性のカテゴリを参照し、ピーク通知後期間Tpが4週間の来店率90%が、他の通知後期間Tの来店率と所定値(例えば10%)離れていることを判別することで、最初の通知後期間T0を4週間に設定する。
一方、仮にユーザ12が男性であると、男性の区分を参照する。そして、図8に示す男性のカテゴリを参照することで、次のカテゴリ62(節点)に移動する。つまり、男性の区分では、ピーク通知後期間Tpが3週間の来店率が65%で最も高いものの、通知後期間Tが4週間の来店率も60%でピーク通知後期間Tpに近い値(所定値以下)を示している。このように来店率が近い場合は、最初の通知後期間T0を設定する充分な根拠とならないため、次の優先順位(節点)である年齢の判別に移行する。
年齢のカテゴリの判別において、仮にユーザ12が高年齢であると、高年齢の区分を参照する。そして、図8に示す高年齢の区分では、ピーク通知後期間Tpが4週間の来店率が75%で他の通知後期間Tの来店率と所定値以上離れているため、最初の通知後期間T0を4週間に設定する。
このように、期間設定部52は、統計DB48を用い、統計DB48の分類カテゴリに優先順位を設けて最初の通知後期間T0を設定することで、来店率の高い通知後期間Tを適宜選択することができる。また、2つめのカテゴリ62でも最初の通知後期間T0を設定できない場合は、さらに地域、季節等の節点を加味していけばよい。なお、所定の節点まで比較してもピーク通知後期間Tpの来店率と他の通知後期間Tの来店率が近い場合は、所定の節点における来店率が最も高い期間を選択してよい。また、節点の優先順位は、店員、管理者又は通知タイミング算出装置10により適宜設計可能なことは勿論である。さらに、統計DB48の利用は、最初の通知後期間T0に設定に限定されるものではなく、短縮限界値bの設定に利用してもよい。
〔第2実施形態〕
第2実施形態に係る通知タイミング算出装置10Aは、図3中に点線で示す変数設定部56が通知制御部42に設けられ、変数設定部56により期間変更変数aを適宜変更する構成となっている。上述したように、期間設定部52は、ステップS9にて次回の通知後期間Tn+1を設定する際に、上述した式(1)を用いて通知後期間Tn+1を算出する。この際に、変数設定部56は、図2に示す来店期間Tα及び余裕期間Tβに基づき期間変更変数aを変更するように処理を行う。これにより、通知制御部42は、次回の通知後期間Tn+1をより詳細に設定することが可能となる。
以下、変数設定部56の処理の一例について、図9A〜図9Cを参照して具体的に説明していく。点検期限20に対し所定の通知後期間Tで通知日22を設定した場合にユーザ12の来店がなされると、店員等の入力によりユーザ12の来店日24がユーザ情報UIに記憶される。変数設定部56は、このユーザ情報UIに記憶された通知日22と来店日24に基づき来店期間Tαを算出すると共に、来店日24と点検期限20に基づき余裕期間Tβを算出する。
その後、変数設定部56は、来店期間Tα又は余裕期間Tβの割合を比較判別する。例えば、図9Aに示すように、来店期間Tαが充分に短い場合、ユーザ12は来店案内通知18を受け取って、その来店案内通知18の影響を大きく受けたと想定することができる。つまり、来店案内通知18の送付タイミングに拘らないユーザ12と見ることができるので、通知後期間Tを特に変更しなくてもよいと言える。
よって、変数設定部56は、今回の通知後期間Tnに対する来店期間Tαの比率が第1閾値以下であることを判別すると、期間変更変数aを変更しない処理を実施するとよい。比率の第1閾値としては、例えば0〜40%程度が挙げられる。これにより、期間設定部52は、次回の通知後期間Tn+1を今回の通知後期間Tnと同じ設定にすることができ、ユーザ12が今回と同様のアクションを行うことが期待できる。
一方、図9Bに示すように、ユーザ12の来店日24が今回の通知後期間Tnの中間付近である場合、ユーザ12は来店案内通知18を受け取って、その来店案内通知18の影響をある程度受けたと想定することができる。つまり、来店案内通知18により車両点検の意識付けがある程度なされるユーザ12と見ることができ、次回の通知後期間Tn+1を多少変更して動向を探るのがよいと言える。
この場合、変数設定部56は、今回の通知後期間Tnに対する来店期間Tαの比率が第1閾値以上且つ第2閾値以下であることを判別すると、統計DB48の統計データに基づき期間変更変数aを変更する処理を行うとよい。比率の第2閾値としては、例えば30〜70%程度が挙げられる。統計データに基づく期間変更変数aの変更では、図5に示すような統計データを用い、ユーザ12の区分(性別・年齢)の週間毎の通知後期間Tのうち最も来店率が高いピーク通知後期間Tpを参照するとよい。
例えば、男性で高年齢のユーザ12であるとすると、図5に示す男性・高年齢の通知後期間Tのうちピーク通知後期間Tpは3週間(21日)となっている。そのため、変数設定部56は、このピーク通知後期間Tpに近づくように期間変更変数aを変更する処理を行う。例えば、今回の通知後期間Tnが21日より多く28日以下の場合は、期間変更変数aを3とし、次回の通知後期間Tn+1を3日間短縮する。また、今回の通知後期間Tnが14日より多く21日以下の場合は、期間変更変数を0とし、次回の通知後期間Tn+1を今回の通知後期間Tnと同じにする。さらに、今回の通知後期間Tnが7日より多く14日以下の場合は、期間変更変数aを−3とし、次回の通知後期間Tn+1を3日間延長する。これにより、期間設定部52は、次回の通知後期間Tn+1を統計データに沿うように変更することができ、ユーザ12が来店し易いタイミングで来店案内通知18を送付することが可能となる。
或いは、図9Cに示すように、余裕期間Tβが充分に短い(来店期間Tαが長い)場合、来店案内通知18の影響をあまり受けないものの、点検期限20を気にするユーザ12と想定することができる。つまり、このユーザ12には、点検期限20を知らせることが重要になると言える。
よって、変数設定部56は、今回の通知後期間Tnに対する来店期間Tαの比率が第2閾値以上であることを判別すると、期間変更変数aを無視して、次回の通知後期間Tn+1を一義的に所定期間にする処理を実施するとよい。例えば、所定期間として14日(2週間)を設定する。これにより、期間設定部52は、次回の通知後期間Tn+1を点検期限20の近くに設定することができ、点検期限20の意識付けを高めることが可能となる。
このように、第2実施形態に係る通知タイミング算出装置10Aは、ユーザ12の動向(来店期間Tαや余裕期間Tβ)に応じて来店案内通知18を適宜送付する。すなわち、ユーザ12にとって一層意識しやすいタイミングで次回の来店案内通知18を送付することができるので、ユーザ12の来店率の向上をより期待することができる。
〔第3実施形態〕
第3実施形態に係る通知タイミング算出装置10Bは、図10に示すように、期間設定部52がユーザ12の複数の来店結果を用いて、次回の通知後期間Tn+1を設定する構成となっている。例えば、期間設定部52は、前回の通知後期間Tn-1の来店結果と、今回の通知後期間Tnの来店結果を論理演算することで、その処理動作を適切に変更する。
図10を参照すると、前回と今回の車両点検の両方とも来店しなかった場合は、来店案内通知18による来店促進が上手になされていないと見ることができる。このため、通知制御部42は、クライアント端末30(販売店16)に来店案内通知18の内容変更するように指示するとよい。この指示により、販売店16の店員は点検の重要性を一層アピールした来店案内通知18を作成するように行動することができる。
一方、前回の車両点検に来店せず、今回の車両点検に来店した場合は、ユーザ12が今回の来店案内通知18に影響を受けたと見ることができる。この場合、期間設定部52は、次回の通知後期間Tn+1を微調整する処理を行うとよい。この処理内容としては、例えば図9Bを参照して説明した処理が挙げられる。
また、前回の車両点検に来店し、今回の車両点検に来店しなかった場合は、ユーザ12の都合により来店しなかったとみることができる。この場合、期間設定部52は、次回の通知後期間Tn+1を大幅に変更するとよい。特に、今回の通知後期間Tnが前回の通知後期間Tn-1に対し期間cだけ変更を行っている場合は、期間−cに変更する処理を行うことが好ましい。これによりユーザ12の来店再開を期待することができる。
或いは、前回と今回の車両点検に共に来店した場合は、来店案内通知18の影響をユーザ12が充分に受けていると見ることができる。よって、期間設定部52は、今回の通知後期間Tnをそのまま次回の通知後期間Tn+1に転用する処理を行うとよい。
このように、第3実施形態に係る通知タイミング算出装置10Bによる来店案内通知18の通知後期間Tの設定でも、通知タイミング算出装置10、10Aと同様に、ユーザ12の来店率の向上が期待できる通知を行うことができる。
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。