JP2015105941A - 物理量センサー、圧力センサー、高度計、電子機器および移動体 - Google Patents

物理量センサー、圧力センサー、高度計、電子機器および移動体 Download PDF

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Yoji Kitano
洋司 北野
四谷 真一
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Abstract

【課題】ダイヤフラム部に配置されている振動素子のQ値を高くすることができる物理量センサー、圧力センサー、高度計、電子機器および移動体を提供すること。【解決手段】本発明の物理量センサーは、受圧により撓み変形するダイヤフラム部64と、ダイヤフラム部64に配置されている振動素子7と、を備え、ダイヤフラム部64の厚さをtとし、ダイヤフラム部64の幅をwとしたとき、t/w≧0.06の関係を満たす。また、t/w≰0.39の関係を満たすことが好ましい。【選択図】図2

Description

本発明は、物理量センサー、圧力センサー、高度計、電子機器および移動体に関するものである。
受圧により撓み変形するダイヤフラムを備えた圧力センサーが広く用いられている。このような圧力センサーでは、ダイヤフラムの撓みを検出することにより、ダイヤフラムに加わった圧力を検出することができる。ダイヤフラムの撓みを検出する方式としては、例えば、ダイヤフラムに配置した歪みゲージの抵抗値変化に基づいて検出する方式や、ダイヤフラムに配置した振動素子の振動特性変化に基づいて検出する方式等が挙げられる。
このような圧力センサーでは、ダイヤフラムの厚さが薄くなるほど、ダイヤフラムに加わった圧力によりダイヤフラムが撓みやすくなるため、感度が高くなることが知られている。そのため、例えば、特許文献1に開示されているように、従来のダイヤフラムは、薄肉となっている。
しかし、特許文献1に係るダイヤフラムは、幅に対して厚さが薄すぎるため、ダイヤフラムに配置した振動素子の振動特性変化に基づいて検出する方式(いわゆるレゾナント型)を採用した圧力センサーに用いた場合、振動素子のQ値が低下し、振動素子の正常な発振が得られずに振動素子の動作不良を生じてしまうという問題があった。このような振動素子の動作不良が生じると、圧力センサーの歩留まりの低下や、圧力センサーの性能低下を招いてしまう。ここで、前述したような振動素子のQ値の低下の原因は、ダイヤフラムの厚さが幅に対して薄すぎるため、振動素子の振動に伴ってダイヤフラムが振動し、振動素子の振動がダイヤフラムに漏れてしまうという、いわゆる振動漏れと呼ばれる現象が起こるためと推察される。
特開平8−148697号公報
本発明の目的は、ダイヤフラム部に配置されている振動素子のQ値を高くすることができる物理量センサー、圧力センサー、高度計、電子機器および移動体を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
[適用例1]
本発明の物理量センサーは、受圧により撓み変形するダイヤフラム部と、
前記ダイヤフラム部に配置されている振動素子と、を備え、
前記ダイヤフラム部の厚さをtとし、前記ダイヤフラム部の幅をwとしたとき、
t/w≧0.06の関係を満たすことを特徴とする。
このような物理量センサーによれば、振動素子の振動に伴ってダイヤフラムが振動する振動漏れを低減し、その結果、Q値を高くすることができる。
[適用例2]
本発明の物理量センサーでは、t/w≦0.39の関係を満たすことが好ましい。
これにより、感度の低下を低減することができる。
[適用例3]
本発明の物理量センサーでは、20μm≦t≦50μmの関係を満たすことが好ましい。
これにより、小型な振動素子を用いる場合において、振動素子の振動に伴ってダイヤフラムが振動する振動漏れを低減するとともに、感度の低下を低減することができる。
[適用例4]
本発明の物理量センサーでは、100μm≦w≦300μmの関係を満たすことが好ましい。
これにより、小型な振動素子を用いる場合において、振動素子の振動に伴ってダイヤフラムが振動する振動漏れを低減するとともに、感度の低下を低減することができる。
[適用例5]
本発明の物理量センサーでは、前記振動素子は、
前記ダイヤフラム部に配置されている固定電極と、
前記固定電極と離間して対向配置されている可動部を有する可動電極と、
を備えていることが好ましい。
このような振動素子は、容易に小型化を図ることができる。そのため、振動素子の小型化に伴って、物理量センサーの小型化を図ることができる。また、このような振動素子は、ダイヤフラム部を有する基板上に一般的なCMOSプロセスを用いて比較的簡単かつ高精度に形成することができる。また、一般的なCMOSプロセスを用いて、ICの形成と同時に振動素子を一括して形成することができる。
[適用例6]
本発明の物理量センサーでは、前記可動電極は、
前記ダイヤフラム部に設けられている支持部と、
前記支持部と前記可動部とを連結する連結部と、
を備えていることが好ましい。
このように支持部がダイヤフラム部に設けられている場合、可動部の振動に追従してダイヤフラム部が振動しやすい。そのため、このような場合、本発明を適用することによる効果が顕著となる。
[適用例7]
本発明の物理量センサーでは、前記可動部の質量が5×10−11g以上5×10−10g以下の範囲内にあることが好ましい。
可動部の質量がこのような範囲内にある場合、ダイヤフラム部の厚さを50μm以下としたり、ダイヤフラム部の幅を300μm以下としたりすることができ、その結果、物理量センサーの小型化を図ることができる。
[適用例8]
本発明の物理量センサーでは、前記ダイヤフラム部がシリコンを含んでいることが好ましい。
これにより、比較的薄いダイヤフラム部をエッチングを用いて簡単かつ高精度に形成することができる。
[適用例9]
本発明の物理量センサーでは、前記振動素子を収納している圧力基準室を備えていることが好ましい。
これにより、圧力基準室内の圧力を基準として圧力を検出することができる。また、圧力基準室内を減圧状態(特に真空状態)とした場合、ダイヤフラム部が薄すぎると、ダイヤフラム部が自然状態であっても不本意に撓んでしまうが、t/wを前述したような関係とすることにより、このような不本意な撓みを小さくすることもできる。
[適用例10]
本発明の物理量センサーでは、前記ダイヤフラム部を有する基板と、
前記基板に配置されている回路部と、
を備えていることが好ましい。
これにより、ダイヤフラム部および振動素子を含む構造体と回路部とを一体化(1チップ化)した小型な物理量センサーを提供することができる。
[適用例11]
本発明の圧力センサーは、本発明の物理量センサーを有することを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を有する圧力センサーを提供することができる。
[適用例12]
本発明の高度計は、本発明の物理量センサーを有することを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を有する高度計を提供することができる。
[適用例13]
本発明の電子機器は、本発明の物理量センサーを有することを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を有する電子機器を提供することができる。
[適用例14]
本発明の移動体は、本発明の物理量センサーを有することを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を有する移動体を提供することができる。
本発明の物理量センサーの第1実施形態を示す断面図である。 図1に示す物理量センサーのダイヤフラム部およびその近傍部の拡大図であって、(a)は、図1中の一点鎖線で囲まれた領域[A]の断面図、(b)は、(a)中の矢印B方向から見た図である。 図1に示す物理量センサーの作用を説明するための図であって、(a)は自然状態を示す図、(b)は加圧状態を示す図である。 ダイヤフラム部の幅に対する厚さの比(t/w)とQ値、歩留まりおよび感度との関係を示すグラフである。 ダイヤフラム部の平面視形状の変形例を示す図である。 図1に示す物理量センサーの製造工程を示す図である。 図1に示す物理量センサーの製造工程を示す図である。 図1に示す物理量センサーの製造工程を示す図である。 図1に示す物理量センサーの製造工程を示す図である。 本発明の物理量センサーの第2実施形態を示す断面図である。 図10に示す物理量センサーの製造工程を示す図である。 本発明の圧力センサーの一例を示す断面図である。 本発明の高度計の一例を示す斜視図である。 本発明の電子機器の一例を示す正面図である。 本発明の移動体の一例を示す斜視図である。
以下、本発明の物理量センサー、圧力センサー、高度計、電子機器および移動体を添付図面に示す各実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
1.物理量センサー
図1は、本発明の物理量センサーの第1実施形態を示す断面図である。また、図2は、図1に示す物理量センサーのダイヤフラム部およびその近傍部の拡大図であって、図2(a)は、図1中の一点鎖線で囲まれた領域[A]の断面図、図2(b)は、図2(a)中の矢印B方向から見た図である。また、図3は、図1に示す物理量センサーの作用を説明するための図であって、図3(a)は自然状態を示す図、図3(b)は加圧状態を示す図である。
図1に示す物理量センサー1は、基板6と、振動素子7と、素子周囲構造体8と、空洞部5と、半導体回路9(IC)とを有している。以下これらの各部について順次説明する。
−基板6−
基板6は、板状をなしており、シリコン等の半導体で構成された半導体基板61と、半導体基板61の一方の面に設けられたシリコン酸化膜62と、シリコン酸化膜62上に設けられたシリコン窒化膜63とで構成されている。このような基板6の平面視形状は、特に限定されず、例えば略正方形または略長方形等の矩形や、円形とすることができる。ここで、シリコン酸化膜62およびシリコン窒化膜63は、いずれも、絶縁膜として用いることができる。なお、シリコン窒化膜63は、素子周囲構造体8の形成方法等によっては省略することができる。
また、基板6には、周囲の部分よりも薄肉であり、受圧によって撓み変形するダイヤフラム部64が設けられている。ダイヤフラム部64は、基板6の下面に有底の凹部65を設けることで形成されている。このようなダイヤフラム部64は、その下面が受圧面641となっている。図2(a)では、ダイヤフラム部64は、略長方形の平面視形状である。
本実施形態の基板6では、凹部65が半導体基板61を貫通しておらず、ダイヤフラム部64が半導体基板61の薄肉部分、シリコン酸化膜62およびシリコン窒化膜63の3層で構成されている。
−振動素子7−
振動素子7は、基板6のダイヤフラム部64上に設けられている固定電極71と、可動電極72とを有している。また、可動電極72は、基板6上に設けられている支持部721と、固定電極71と空隙を隔てて対向配置された可動部722と、支持部721と可動部722とを連結する弾性変形可能な連結部723とを有している。
また、固定電極71の膜厚は、特に限定されないが、例えば、0.1μm以上、1.0μm以下とすることができる。また、可動電極72の膜厚は、特に限定されないが、例えば、0.1μm以上、1.0μm以下とすることができる。
−素子周囲構造体8−
素子周囲構造体8は、振動素子7が配置されている空洞部5を画成するように形成されている。この素子周囲構造体8は、基板6上に振動素子7を取り囲むように形成された層間絶縁膜81と、層間絶縁膜81上に形成された配線層82と、配線層82および層間絶縁膜81上に形成された層間絶縁膜83と、層間絶縁膜83上に形成され、複数の細孔(開孔)を備えた被覆層841を有する配線層84と、配線層84および層間絶縁膜83上に形成された表面保護膜85と、被覆層841上に設けられた封止層86とを有している。ここで、配線層82、84は、空洞部5を囲むように形成されている配線層82a、84aと、半導体回路9の配線を構成する配線層82b、84bとを含んでいる。
半導体基板61上およびその上方には、半導体回路9が作り込まれている。この半導体回路9は、MOSトランジスタ87等の能動素子、その他必要に応じて形成されたコンデンサ、インダクタ、抵抗、ダイオード、配線(固定電極71に接続されている配線や可動電極72に接続されている配線、配線層82、84を含む)等の回路要素を有している。
−空洞部5−
基板6と素子周囲構造体8とによって画成された空洞部5は、振動素子7を収容する収容部として機能している。また、空洞部5は、密閉された空間である。この空洞部5は、物理量センサー1が検出する圧力の基準値となる圧力基準室として機能する。本実施形態では、空洞部5が真空状態(300Pa以下)となっている。空洞部5を真空状態とすることによって、物理量センサー1を、真空状態を基準として圧力を検出する「絶対圧センサー」として用いることができ、その利便性が向上する。
ただし、空洞部5は、真空状態でなくてもよく、大気圧であってもよいし、大気圧よりも気圧が低い減圧状態であってもよいし、大気圧よりも気圧が高い加圧状態であってもよい。また、空洞部5には、窒素ガス、希ガス等の不活性ガスが封入されていてもよい。
以上、物理量センサー1の構成について簡単に説明した。
このような構成の物理量センサー1は、図3(a)および(b)に示すように、ダイヤフラム部64の受圧面641が受ける圧力に応じて、ダイヤフラム部64が変形し、これにより、可動電極72の可動部722と固定電極71とのギャップ(離間距離)Gが変化する。ここで、物理量センサー1は、受圧面641に圧力Pが加わると、ダイヤフラム部64が、空洞部5側に撓み変形する。なお、図3(a)では、ダイヤフラム部64と厚肉部66とが一直線状をなしているが、前述したように、空洞部5が真空状態となっているため、大気圧中では、ダイヤフラム部64は、空洞部5側(図3中上側)に突出するように若干撓むこととなる。
ギャップGが変化すると、固定電極71および可動電極72で構成される振動系の共振周波数が変化するため、この共振周波数の変化から、受圧面641で受けた圧力の大きさ(絶対圧)を求めることができる。
このような物理量センサー1では、ダイヤフラム部64の厚さが薄くなるほど、ダイヤフラム部64に加わった圧力によりダイヤフラム部64が撓みやすくなるため、感度が高くなる。
しかし、物理量センサー1では、ダイヤフラム部64に配置した振動素子7の振動特性変化に基づいて検出する方式(いわゆるレゾナント型)を採用しているため、ダイヤフラム部64の厚さを薄くし過ぎると、振動素子7のQ値が低下し、正常な発振が得られなくなり、その結果、圧力センサーの動作不良の原因となり歩留まりが低下してしまう。このような振動素子7のQ値の低下の原因は、ダイヤフラム部64の厚さを薄くし過ぎると、振動素子7の振動に伴って(追従して)ダイヤフラム部64が振動し、振動素子7の振動がダイヤフラム部に漏れてしまうという、いわゆる振動漏れと呼ばれる現象が起こるためと推察される。
そこで、物理量センサー1では、ダイヤフラム部64の厚さをtとし、ダイヤフラム部64の幅をwとしたとき、t/w≧0.06の関係を満たす。これにより、振動素子7の振動に伴ってダイヤフラム部64が振動する振動漏れを低減し、その結果、Q値を高くすることができる。
ここで、ダイヤフラム部64の厚さtは、図2(a)に示すように、ダイヤフラム部64の受圧により撓み変形する部分の厚さであって、本実施形態では、かかる部分における半導体基板61、シリコン酸化膜62およびシリコン窒化膜63の3層の合計の厚さである。また、ダイヤフラム部64の幅wは、図2(b)に示すように、ダイヤフラム部64を平面視したときの最大幅であって、本実施形態では、ダイヤフラム部64の平面視形状が四角形であるため、その四角形の対角線の長さである。
図4は、ダイヤフラム部の幅に対する厚さの比(t/w)とQ値、歩留まりおよび感度との関係を示すグラフである。
図4(a)に示すように、ダイヤフラム部の幅に対する厚さの比t/w(以下、単に「比t/w」ともいう)が大きくなるほど、振動素子7のQ値が高くなる。言い換えると、比t/wが小さくなるほど、振動素子7のQ値が低下する。ここで、比t/wが0.06未満となると、比t/wが0.06であるときのQ値の値Q1(約500)よりも小さくなるだけでなく、製品ごとのQ値のばらつきが大きくなってしまう。
そのため、図4(b)に示すように、比t/wが0.06よりも小さくなると、歩留まりが急激に低下してしまう。
そこで、物理量センサー1では、比t/wを0.06以上とすることにより、振動素子7のQ値の低下を低減し(より具体的にはQ値を約500以上とし)、その結果、物理量センサー1の歩留まりの低下を低減することができる。
また、比t/wが大きくなるほど、前述したように振動素子7のQ値が高くなるものの、図4(c)に示すように、物理量センサー1の感度が低下する。したがって、物理量センサー1の感度の低下を低減する観点から、t/w≦0.39の関係を満たすことが好ましく、t/w≦0.2の関係を満たすことがより好ましく、t/w≦0.15の関係を満たすことがさら好ましい。ここで、比t/wが0.06であるときの感度の値S1は、約400ppm/Paであり、比t/wが0.15であるときの感度の値S2は、約100ppm/kPaである。
また、ダイヤフラム部64の具体的な厚さtおよび幅wは、振動素子7が有する振動系の質量や振動素子7の設置面積等に応じて決められ、特に限定されないが、本実施形態のような固定電極71および可動電極72を有する振動素子7は水晶振動子やMEMS振動子等の他の振動子よりも小型にすることができることから、比較的小さく設定することが好ましい。
具体的には、20[μm]≦t≦50[μm]であることが好ましく、20[μm]≦t≦40[μm]であることがより好ましく、20[μm]≦t≦30[μm]であることがさらに好ましい。また、100[μm]≦w≦300[μm]であることが好ましく、120[μm]≦w≦280[μm]であることがより好ましく、150[μm]≦w≦250[μm]であることがさらに好ましい。このような範囲内にtまたはwを設定することにより、小型な振動素子7を用いる場合において、振動素子7の振動に伴ってダイヤフラム部64が振動する振動漏れを低減するとともに、感度の低下を低減することができる。
また、前述したように、振動素子7は、ダイヤフラム部64に設けられている固定電極71と、固定電極71と離間して対向配置されている可動部722を有する可動電極72とを有している。このような振動素子7は、容易に小型化を図ることができる。そのため、振動素子7の小型化に伴って、物理量センサー1の小型化を図ることができる。また、このような振動素子7は、ダイヤフラム部64を有する基板6上に一般的なCMOSプロセスを用いて比較的簡単かつ高精度に形成することができる。また、一般的なCMOSプロセスを用いて、半導体回路9の形成と同時に振動素子7を一括して形成することができる。
また、前述したように、可動電極72は、ダイヤフラム部64に設けられている支持部721と、支持部721と可動部722とを連結する連結部723と有している。このように支持部721がダイヤフラム部64に設けられている場合、可動部722の振動に追従してダイヤフラム部64が振動しやすい。そのため、このような場合、本発明を適用することによる効果が顕著となる。
また、図2(a)および(b)に示すように、振動素子7は、ダイヤフラム部64の中央部に配置されている。また、図2(b)に示すダイヤフラム部64の平面視形状は、長方形であり、固定電極71と支持部721とは、ダイヤフラム部64の短手方向(短辺に沿った方向)に沿って並んで設置されている。そして、固定電極71および支持部721は、ダイヤフラム部64の中心(対角線の交点)Oを挟むように配置されている。これにより、ダイヤフラム部64が撓むと、ギャップGは増大する。
しかも、前述したように、固定電極71と支持部721とは、ダイヤフラム部64の短手方向に沿って並んで設置されているため、ダイヤフラム部64が撓んだときの支持部721と固定電極71との変位量の差を、より大きくすることができる。これは、ダイヤフラム部64が撓み変形した際に、ダイヤフラム部64の長手方向よりも、ダイヤフラム部64の短手方向の方が、基板6に対して急峻な角度で変位するためである。
また、振動素子7が設けられている中央部、特に中心Oは、圧力が加わることで大きく撓む部分である。このため、支持部721をより大きく変位させることができるため、ギャップ変動量(離間距離Gの変動量)をより大きくすることができる。
また、ダイヤフラム部64の中央部、特に中心Oは、ダイヤフラム部64の長手方向の長さL1が、短手方向の長さL2に対して長くなるほど、より大きく撓む傾向がある。したがって、長さL2に対して長さL1をより長くすることで、ギャップ変動量をより大きくすることができ、よって、特に感度のよい物理量センサー1を得ることができる。
ダイヤフラム部64の短手方向の長さL2と、長手方向の長さL1との関係は、特に限定されないが、L1/L2は、1.5以上、3.0以下であることが好ましく、1.7以上、2.8以下であることがより好ましく、1.8以上、2.5以下であることがさらに好ましい。これにより、ギャップ変動量を特に大きくすることができ、物理量センサー1の小型化と高感度化の両立を図ることができる。なお、図2(a)では、L1/L2は、略2.0となっている。
また、ダイヤフラム部64の長手方向の長さL1としては、50μm以上、110μm以下であることが好ましく、ダイヤフラム部64の短手方向の長さL2としては、特に限定されないが、10μm以上、70μm以下であることが好ましい。
固定電極71の平面視における面積としては、特に限定されないが、100μm以上、800μm以下であることが好ましい。また、ダイヤフラム部64の平面視における面積としては、特に限定されないが、1000μm以上、7000μm以下であることが好ましい。これにより、物理量センサー1の小型化を図ることができる。
また、可動部722と固定電極71とのギャップGは、ダイヤフラム部64が撓み変形していない状態にて、0.3μm以上、1.0μm以下であることが好ましい。これにより、振動素子7をより効率的に起動させることができ、かつ、ダイヤフラム部64が撓んだときに、固定電極71と可動部722とが接触することを回避できるため、固定電極71および可動部722の破損を防止することができる。
また、可動部722の質量は、5×10−11g以上5×10−10g以下の範囲内にあることが好ましい。可動部722の質量がこのような範囲内にある場合、ダイヤフラム部64の厚さを50μm以下としたり、ダイヤフラム部64の幅を300μm以下としたりすることができ、その結果、物理量センサー1の小型化を図ることができる。これに対し、可動部722の質量が小さすぎると、可動部722の形成することが難しく、一方、可動部722の質量が大きすぎると、振動素子7の振動に伴ってダイヤフラム部64が振動しやすくなる傾向を示す。
また、振動素子7においては、ダイヤフラム部64がシリコンを含んでいる。これにより、後述するように、比較的薄いダイヤフラム部64をエッチングを用いて簡単かつ高精度に形成することができる。
また、前述したように、振動素子7が圧力基準室となる空洞部5に収納されている。これにより、空洞部5内の圧力を基準として圧力を検出することができる。また、空洞部5内を減圧状態(特に真空状態)とした場合、ダイヤフラム部64が薄すぎると、ダイヤフラム部64が自然状態であっても不本意に撓んでしまうが、t/wを前述したような関係とすることにより、このような不本意な撓みを小さくすることもできる。
また、ダイヤフラム部64を有する基板6に半導体回路9(回路部)が配置されているため、ダイヤフラム部64および振動素子7を含む構造体と半導体回路9とを一体化(1チップ化)した小型な物理量センサー1を提供することができる。
(変形例)
前述したダイヤフラム部64の平面視形状は長方形であるが、ダイヤフラム部64の平面視形状は、これに限定されず、例えば、正方形であってもよく、また、六角形等の他の多角形や、円形、楕円(長円)形等であってもよい。
図5は、ダイヤフラム部の平面視形状の変形例を示す図である。
図5に示すダイヤフラム部64の平面視形状は、楕円形である。このような平面視形状のダイヤフラム部64を用いる場合であっても、ダイヤフラム部64の厚さをtとし、ダイヤフラム部64の幅をwとしたとき、t/w≧0.06の関係を満たすことにより、前述したのと同様、振動素子7の振動に伴ってダイヤフラム部64が振動する振動漏れを低減し、その結果、Q値を高くすることができる。
ここで、図5に示す例では、ダイヤフラム部64の平面視形状が楕円形であるため、ダイヤフラム部64の長軸方向の長さが長手方向の長さL1であり、短軸方向の長さが短手方向の長さL2である。また、図5に示すように、長さL1(長軸方向の長さ)がダイヤフラム部64の最大幅である幅wとなる。なお、ダイヤフラム部の平面視形状が円形である場合、その直径がダイヤフラム部の最大幅である幅wとなり、ダイヤフラム部の平面視形状が正方形である場合、対角線の長さがダイヤフラム部の最大幅である幅wとなる。
次に、物理量センサー1の製造方法を簡単に説明する。
図6〜図9は、物理量センサーの製造工程を示す図である。以下、これらの図に基づいて説明する。なお、図6〜9では、説明の便宜上、半導体回路9の図示を省略している。
[振動素子形成工程]
まず、図6(a)に示すように、シリコン基板等の半導体基板61を用意する。次に、用意した半導体基板61の上面を熱酸化することによりシリコン酸化膜62を形成し、さらに、シリコン酸化膜62上にシリコン窒化膜63をスパッタリング法、CVD法等により形成する。
シリコン酸化膜62は、半導体基板61およびその上方に半導体回路9を形成する際の素子間分離膜として機能する。また、シリコン窒化膜63は、後に行われるリリース工程において実施されるエッチングに対する耐性を有しており、いわゆるエッチングストップ層として機能する。なお、シリコン窒化膜63は、パターニング処理によって、振動素子7を形成する平面範囲を含む範囲と半導体回路9内の一部の素子(コンデンサ)などの範囲に限定して形成する。これにより、半導体基板61およびその上方に半導体回路9を形成する際の障害となることがなくなる。
また、図示しないが、半導体基板61の上面のうちシリコン酸化膜62およびシリコン窒化膜63が形成されていない部分には、半導体回路9のMOSトランジスタ87のソースおよびドレインをイオンドープして形成する。
次に、図6(b)に示すように、シリコン窒化膜63上に、固定電極71を形成するための多結晶(またはアモルファス)シリコン膜20をスパッタリング法、CVD法等により形成し、この多結晶(またはアモルファス)シリコン膜20にリンイオン等の不純物イオンをドープして導電性を付与する。そして、多結晶(またはアモルファス)シリコン膜20上からフォトレジストを塗布し、固定電極71の形状(平面視形状)にパターニングしフォトレジスト膜21を形成する。
次に、図6(c)に示すように、パターニングしたフォトレジスト膜21をマスクとして多結晶(またはアモルファス)シリコン膜20をエッチングした後、フォトレジスト膜21を除去する。これにより、固定電極71が形成される。
次に、図6(d)に示すように、固定電極71を覆うようにシリコン酸化膜やPSG(リンドープガラス)等からなる犠牲層22を、熱酸化法、スパッタリング法またはCVD法等により形成する。
次に、図6(e)に示すように、シリコン窒化膜63および犠牲層22上に、可動電極72を形成するための多結晶(またはアモルファス)シリコン膜23をスパッタリング法、CVD法等により形成し、形成した多結晶(またはアモルファス)シリコン膜23にリンイオン等の不純物イオンをドープして導電性を付与する。そして、多結晶(またはアモルファス)シリコン膜23上からフォトレジストを塗布し、可動電極72の形状(平面視形状)にパターニングしフォトレジスト膜24を形成する。
次いで、図6(f)に示すように、フォトレジスト膜24をマスクとして多結晶(またはアモルファス)シリコン膜23をエッチングした後、フォトレジスト膜24を除去する。これにより、可動電極72が形成され、固定電極71と可動電極72とを有する振動素子7が形成される。
また、前述したように固定電極71および可動電極72を形成する際、図示しないが、半導体基板61の上面のうちシリコン酸化膜62およびシリコン窒化膜63が形成されていない部分にも、多結晶シリコン膜20または23を形成し、固定電極71または可動電極72のパターンニングと同時にパターンニングして、半導体回路9のMOSトランジスタ87のゲート電極を形成する。これにより、半導体回路9のMOSトランジスタ87が形成される。ただし、多結晶シリコン膜20または23のうちこのゲート電極となる部分には、イオンドープを行わない。
[絶縁膜形成工程]
図7(a)に示すように、シリコン窒化膜63および振動素子7上に、シリコン酸化膜からなる層間絶縁膜81をスパッタリング法、CVD法等により形成する。また、層間絶縁膜81に、半導体基板61の平面視にて振動素子7を取り巻く環状の開口部30をパターニング処理等により形成する。また、図示しないが、開口部30と同様にして、MOSトランジスタ87に対応して配置された柱状の開口部も形成する。
次に、図7(b)に示すように、層間絶縁膜81上に、例えばアルミニウムよりなる層をスパッタリング法、CVD法等により形成した後、パターニング処理することにより配線層82aを形成する。また、このとき、図示しないが、配線層82aと同様に、配線層82bも形成される。
配線層82aは、開口部30に対応するように、半導体基板61の平面視にて環状をなしている。また、配線層82aの一部は、開口部30を通して半導体基板61上およびその上方に形成された配線(例えば、図示しない半導体回路9の一部を構成する配線)に電気的に接続される。なお、配線層82aは、シリコン窒化膜63および振動素子7を取り巻く部分にのみ存在するように形成されているが、一般的には、図示しない半導体回路9の一部を構成する配線層の一部が、配線層82aを構成している。
次に、図7(c)に示すように、層間絶縁膜81および配線層82上に、シリコン酸化膜等からなる層間絶縁膜83をスパッタリング法、CVD法等により形成する。また、層間絶縁膜81に、半導体基板61の平面視にて振動素子7を取り巻く環状の開口部32をパターニング処理等により形成する。また、図示しないが、開口部32と同様にして、MOSトランジスタ87に対応して配置された柱状の開口部も形成する。なお、開口部32は、開口部30と同様に、半導体基板61の平面視にて、環状をなしてなくてもよく、その一部が欠損していてもよい。
このような層間絶縁膜と配線層との積層構造は、通常のCMOSプロセスにより形成され、その積層数は、必要に応じて適宜に設定される。すなわち、必要に応じてさらに多くの配線層が層間絶縁膜を介して積層される場合もある。
[被覆層形成工程]
まず、図8(a)に示すように、層間絶縁膜83上に、例えばアルミニウムよりなる層をスパッタリング法、CVD法等により形成した後、パターニング処理することにより配線層84を形成する。この配線層84の一部は、開口部32を通して配線層82に電気的に接続される。また、配線層84の一部は、シリコン窒化膜63および振動素子7の上方に位置し、複数の細孔842が形成された被覆層841を構成している。このような配線層84も、前述した配線層82と同様に、一般的には、図示しない半導体回路9の一部を構成する配線層の一部で構成されている。
次に、図8(b)に示すように、配線層84および層間絶縁膜83上に、例えばシリコン窒化膜、レジストその他の樹脂材料よりなる表面保護膜85をスパッタリング法、CVD法等により形成する。また、この表面保護膜85は、一種類以上の材料を含む複数の膜層で構成され、被覆層841の細孔842を封止してしまわないように形成する。なお、表面保護膜85の構成材料としては、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、ポリイミド膜、エポキシ樹脂膜など、素子を水分、ゴミ、傷などから保護するための耐性を有するもので形成される。
[リリース工程]
図8(c)に示すように、リリースエッチング用のフォトレジストなどの保護膜形成工程を行なった後に、被覆層841に形成された複数の細孔842を通して、振動素子7上にある層間絶縁膜81、83を除去するとともに、固定電極71と可動部722との間にある犠牲層22を除去する。これにより、振動素子7が配置された空洞部5が形成されるとともに、固定電極71と可動部722とが離間し、振動素子7が駆動し得る状態となる。
層間絶縁膜81、83および犠牲層22の除去は、例えば、複数の細孔842からエッチング液としてのフッ酸、緩衝フッ酸等を供給するウェットエッチングや、複数の細孔842からエッチングガスとしてフッ化水素酸ガス等を供給するドライエッチングにより行うことができる。
[封止工程]
次に、図9(a)に示すように、被覆層841上に、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、AL、Cu、W、Ti、TiN等の金属膜等からなる封止層86をスパッタリング法、CVD法等により形成し、各細孔842を封止する。
[ダイヤフラム形成工程]
最後に、図9(b)に示すように、半導体基板61の空洞部5と反対側の面から、例えば、ドライエッチングを行い、半導体基板61の一部を除去する。これにより、周囲よりも薄肉なダイヤフラム部64が形成される。また、半導体基板61のダイヤフラム部64以外の部分が厚肉部66となる。
なお、半導体基板61の一部を除去する方法としては、ドライエッチングに限らず、ウェットエッチング等であってもよい。
以上のような工程により、物理量センサー1を製造することができる。なお、半導体回路9が有するMOSトランジスタ87以外の能動素子、コンデンサ、インダクタ、抵抗、ダイオード、配線等の回路要素は、上述した適宜の工程中(例えば、振動素子形成工程、絶縁膜形成工程、被覆層形成工程、封止層形成工程)途中において作り込んでおくことができる。例えば、シリコン酸化膜62とともに回路素子間分離膜を形成したり、固定電極71や可動電極72とともにゲート電極、容量電極、配線等を形成したり、犠牲層22、層間絶縁膜81、83とともにゲート絶縁膜、容量誘電体層、層間絶縁膜を形成したり、配線層82、84とともに回路内配線を形成したりすることができる。
<第2実施形態>
次に本発明の物理量センサーの第2実施形態について説明する。
図10は、本発明の物理量センサーの第2実施形態を示す断面図、図11は、図10に示す物理量センサーの製造工程を示す図である。
以下、本発明の物理量センサーの第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
第2実施形態は、ダイヤフラム部を有する基板の構成が異なること以外は、前記第1実施形態と同様である。
図10に示す物理量センサー1Aは、基板6Aと、振動素子7と、素子周囲構造体8と、空洞部5と、半導体回路9(IC)とを有している。
基板6Aは、SOI基板61Aと、SOI基板61Aの一方の面に設けられたシリコン酸化膜62と、シリコン酸化膜62上に設けられたシリコン窒化膜63とで構成されている。
SOI基板61Aは、第1のSi層611(ハンドル層)と、SiO層612(ボックス層)と、第2のSi層613(デバイス層)とがこの順に積層されて構成されている。
このような基板6Aには、第1のSi層611を貫通し、かつ、SiO層612を貫通しない有底の凹部65が形成され、これにより、周囲の部分よりも薄肉なダイヤフラム部64が設けられている。このダイヤフラム部64は、SiO層612、第2のSi層613、シリコン酸化膜62およびシリコン窒化膜63の3層で構成されている。すなわち、ダイヤフラム部64の厚さtは、SiO層612、第2のSi層613、シリコン酸化膜62およびシリコン窒化膜63の3層の合計厚さで規定されている。したがって、これら3層のそれぞれの厚さを高精度に設定しておくことにより、比較的簡単に、ダイヤフラム部64の厚さの製品ごとのバラツキを小さくすることができる。
このようなダイヤフラム部64を有する物理量センサー1Aは、以下に説明するようにして形成することができる。
まず、SOI基板61Aを用意し、前述した第1実施形態と同様、振動素子形成工程、絶縁膜形成工程、被覆層形成工程、リリース工程、封止工程を順次行って、図11(a)に示す構造体を得る。
次いで、図11(b)に示すように、SOI基板61Aの第1のSi層611の一部をエッチングにより除去する。このとき、SiO層612をエッチングストップ層として用いることができる。これにより、製品ごとの厚さのバラツキが小さいダイヤフラム部64が形成される。
2.圧力センサー
次に、本発明の物理量センサーを備える圧力センサー(本発明の圧力センサー)ついて説明する。図12は、本発明の圧力センサーの一例を示す断面図である。
図12に示すように、本発明の圧力センサー100は、物理量センサー1と、物理量センサー1を収納する筐体101と、物理量センサー1から得た信号を圧力データに演算する演算部102とを備えている。物理量センサー1は、配線103を介して演算部102と電気的に接続されている。
物理量センサー1は、筐体101の内側に、図示しない固定手段により固定されている。また、筐体101には、物理量センサー1のダイヤフラム部64が、例えば大気(筐体101の外側)と連通するための貫通孔104を有している。
このような圧力センサー100によれば、貫通孔104を介してダイヤフラム部64が圧力を受ける。この受圧した信号を配線103を介して演算部に送信し、圧力データに演算する。この演算された圧力データは、図示しない表示部(例えば、パーソナルコンピューターのモニター等)を介して表示することができる。
3.高度計
次に、本発明の物理量センサーを備える高度計(本発明の高度計)の一例について説明する。図13は、本発明の高度計の一例を示す斜視図である。
高度計200は、腕時計のように、手首に装着することができる。また、高度計200の内部には、物理量センサー1(圧力センサー100)が搭載されており、表示部201に現在地の海抜からの高度、または、現在地の気圧等を表示することができる。
なお、この表示部201には、現在時刻、使用者の心拍数、天候等、様々な情報を表示することができる。
4.電子機器
次に、本発明の物理量センサーを備える電子機器を適用したナビゲーションシステムについて説明する。図14は、本発明の電子機器の一例を示す正面図である。
ナビゲーションシステム300には、図示しない地図情報と、GPS(全地球測位システム:Global Positioning System)からの位置情報取得手段と、ジャイロセンサーおよび加速度センサーと車速データとによる自立航法手段と、物理量センサー1と、所定の位置情報または進路情報を表示する表示部301とを備えている。
このナビゲーションシステムによれば、取得した位置情報に加えて高度情報を取得することができる。高度情報を得ることにより、例えば、一般道路と位置情報上は略同一の位置を示す高架道路を走行する場合、高度情報を持たない場合には、一般道路を走行しているのか高架道路を走行しているのかナビゲーションシステムでは判断できず、優先情報として一般道路の情報を使用者に提供してしまっていた。そこで、本実施形態に係るナビゲーションシステム300では、高度情報を物理量センサー1によって取得することができ、一般道路から高架道路へ進入することによる高度変化を検出し、高架道路の走行状態におけるナビゲーション情報を使用者に提供することができる。
なお、表示部301は、例えば液晶パネルディスプレイや、有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなど、小型かつ薄型化が可能な構成となっている。
なお、本発明の物理量センサーを備える電子機器は、上記のものに限定されず、例えば、パーソナルコンピューター、携帯電話、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレーター等に適用することができる。
5.移動体
次いで、本発明の物理量センサーを適用した移動体(本発明の移動体)について説明する。図15は、本発明の移動体の一例を示す斜視図である。
図15に示すように、移動体400は、車体401と、4つの車輪402とを有しており、車体401に設けられた図示しない動力源(エンジン)によって車輪402を回転させるように構成されている。このような移動体400には、ナビゲーションシステム300(物理量センサー1)が内蔵されている。
以上、本発明の物理量センサー、圧力センサー、高度計、電子機器および移動体を図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や、工程が付加されていてもよい。
また、前記実施形態では、固定電極および可動電極の平面視形状がそれぞれ長方形である場合について説明したが、固定電極および可動電極の平面視形状はこれに限定されない。例えば、正方形、六角形等の多角形、真円、楕円形等の円形等であってもよい。また、多角形とは、角部が丸みを帯びたもの、外縁が直線状でなく湾曲しているものも含む。また、固定電極の平面視形状と可動電極の平面視形状とが異なっていてもよい。
また、前記第1実施形態では、支持部の端がダイヤフラム部の中心上に配置されている場合について説明したが、支持部の端は、ダイヤフラム部の中心から外れた位置に設けられていてもよい。すなわち、振動素子は、ダイヤフラム部の中央部に設けられていてもよいし、ダイヤフラム部の外周部側に偏在して設けられていてもよい。
また、前記実施形態では、支持部がダイヤフラム部に設けられている場合について説明したが、支持部がダイヤフラム部と厚肉部とに跨って設けられていてもよいし、支持部がその全域にわたって厚肉部に設けられていてもよい。
また、前記実施形態では、固定電極の平面視における面積が、可動電極の可動部の面積よりも大きい場合について説明したが、固定電極の平面視における面積は、可動電極の可動部の面積と同じであってもよいし、可動電極の可動部の面積よりも小さくてもよい。
また、前記実施形態では、振動素子の可動部が片持ち支持されている構成について説明したが、これに限定されず、可動部が両端固定された構成の振動素子を用いることもできる。
また、前記実施形態では、固定電極および可動電極(平行平板電極)を有するいわゆるフラップ型の振動素子を用いた場合を説明したが、これに限定されず、振動素子は、例えば、櫛歯電極等の他のMEMS振動子や、水晶振動子であってもよい。
1‥‥物理量センサー 1A‥‥物理量センサー 5‥‥空洞部 6‥‥基板 6A‥‥基板 7‥‥振動素子 8‥‥素子周囲構造体 9‥‥半導体回路 20‥‥多結晶シリコン膜 21‥‥フォトレジスト膜 22‥‥犠牲層 23‥‥シリコン膜 24‥‥フォトレジスト膜 30‥‥開口部 32‥‥開口部 61‥‥半導体基板 61A‥‥SOI基板 62‥‥シリコン酸化膜 63‥‥シリコン窒化膜 64‥‥ダイヤフラム部 65‥‥凹部 66‥‥厚肉部 71‥‥固定電極 72‥‥可動電極 81‥‥層間絶縁膜 82‥‥配線層 82a‥‥配線層 82b‥‥配線層 83‥‥層間絶縁膜 84‥‥配線層 84a‥‥配線層 84b‥‥配線層 85‥‥表面保護膜 86‥‥封止層 87‥‥MOSトランジスタ 100‥‥圧力センサー 101‥‥筐体 102‥‥演算部 103‥‥配線 104‥‥貫通孔 200‥‥高度計 201‥‥表示部 300‥‥ナビゲーションシステム 301‥‥表示部 400‥‥移動体 401‥‥車体 402‥‥車輪 611‥‥第1のSi層 612‥‥SiO層 613‥‥第2のSi層 641‥‥受圧面 721‥‥支持部 722‥‥可動部 723‥‥連結部 841‥‥被覆層 842‥‥細孔 G‥‥ギャップ O‥‥中心 P‥‥圧力 t‥‥厚さ w‥‥幅 L1‥‥長さ L2‥‥長さ

Claims (14)

  1. 受圧により撓み変形するダイヤフラム部と、
    前記ダイヤフラム部に配置されている振動素子と、を備え、
    前記ダイヤフラム部の厚さをtとし、前記ダイヤフラム部の幅をwとしたとき、
    t/w≧0.06の関係を満たすことを特徴とする物理量センサー。
  2. t/w≦0.39の関係を満たす請求項1に記載の物理量センサー。
  3. 20μm≦t≦50μmの関係を満たす請求項1または2に記載の物理量センサー。
  4. 100μm≦w≦300μmの関係を満たす請求項1ないし3のいずれか1項に記載の物理量センサー。
  5. 前記振動素子は、
    前記ダイヤフラム部に配置されている固定電極と、
    前記固定電極と離間して対向配置されている可動部を有する可動電極と、
    を備えている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の物理量センサー。
  6. 前記可動電極は、
    前記ダイヤフラム部に設けられている支持部と、
    前記支持部と前記可動部とを連結する連結部と、
    を備えている請求項5に記載の物理量センサー。
  7. 前記可動部の質量が5×10−11g以上5×10−10g以下の範囲内にある請求項5または6に記載の物理量センサー。
  8. 前記ダイヤフラム部がシリコンを含んでいる請求項1ないし7のいずれか1項に記載の物理量センサー。
  9. 前記振動素子を収納している圧力基準室を備えている請求項1ないし8のいずれか1項に記載の物理量センサー。
  10. 前記ダイヤフラム部を有する基板と、
    前記基板に配置されている回路部と、
    を備えている請求項1ないし9のいずれか1項に記載の物理量センサー。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1項に記載の物理量センサーを有することを特徴とする圧力センサー。
  12. 請求項1ないし10のいずれか1項に記載の物理量センサーを有することを特徴とする高度計。
  13. 請求項1ないし10のいずれか1項に記載の物理量センサーを有することを特徴とする電子機器。
  14. 請求項1ないし10のいずれか1項に記載の物理量センサーを有することを特徴とする移動体。
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