JP2015105936A - 微量血液検査法 - Google Patents

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Abstract

【課題】微量の血液でも十分な検査が行える方法、および、微量の末梢血を試料として、血漿または血清中の成分を簡便に精度良く定量する方法を提供する。【解決手段】血液中の成分を定量する方法であって、ミクロヘマトクリット法を用いることにより、所定量の微量の血液を任意の量の緩衝液で希釈した場合であっても、血漿または血清の希釈率を容易に精度良く求めることができ、そして血液中の任意の成分の定量が可能である。【選択図】図2

Description

本発明は、微量血液検査方法に関し、より具体的には、微量の末梢血を用いた血清成分の定量方法に関する。
採血には、医師等の一定の有資格者が、注射器や採血管を用いて静脈から採取する一般採血と、それらの器具を用いないで、検査対象者本人でも行える、手の指等に採血針を刺して血液を採取する採血(例えば、自己採血)がある。臨床検査においては、医師や看護士、臨床検査技師等の一定の有資格者または専門の技術者が、静脈から採血して、分析用試料を調製し、診断に用いる生化学項目成分を血漿または血清濃度として定量する。このような採血には、有資格者または専門の技術者がいる病院等に出向くか、検査対象者が居る場所に有資格者が出向くことが必要なために不便であるとともに、注射器や採血管など、取扱いに注意を要する器具が必要となるため操作が煩雑である。
これに対し、指先末梢血検査では、医師等の有資格者がいなくても、自宅や健診スポット等で簡単に血液採取ができ、検体を輸送することで検査を行なうことが可能となる。加えて、取扱いに注意を要する専門器具が必要となくなるので、操作が容易となり、時間当たりに採取できる対象の検体数が格段に向上する。
さらに、最近では、自動分析装置の性能や分析技術の向上に伴い、従来のような多量の血液を採取する必要がなくなってきているので、指先末梢血程度の微量の試料でも、十分な検査が行える。また、社会的に健康指向が高まる中、血液を用いて健康状態をモニターすることが一般的になっている。このような背景のもと、簡易に、そして痛みを伴わないで採血ができ、それを用いて種々の生化学的検査を行うことが望まれている。
そこで、血液を直接希釈し、血漿または血清濃度として成分を定量する方法として、血球膜を通過する第一の成分を指示する第一の指示物質と、血球膜を通過しない第二の成分を指示する第二の指示物質を含む緩衝水溶液を用いて、第一の成分の希釈率と第二の成分の希釈率から、生体試料の血球膜を通過しない成分と通過する成分の量を算出する方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、この方法では、指示物質を用いるために定量結果に影響を及ぼすおそれがあるばかりか、微量末梢血を採取して精度良く血漿または血清中の成分を定量することは難しく、さらなる改良が求められていた。
特開2006−322829号公報
本発明は、上記の問題に鑑み、微量の血液でも十分な検査が行える方法を提供することを目的とする。本発明はまた、微量の末梢血を試料として、血漿または血清中の成分を簡便に精度良く定量する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ミクロヘマトクリット法を用いることにより、所定量の微量の血液を任意の量の緩衝液で希釈した場合であっても、血漿または血清の希釈率を容易に精度良く求めることができ、そして血液中の任意の成分の定量が可能であることを見いだし、本発明を完成した。本発明は、例示的な態様として以下の発明を含むものである。
(1)緩衝液で希釈した所定量の血液における血漿または血清の希釈率を決定する方法であって、
前記血液を、血液量の少なくとも5倍以上(好ましくは、5倍以上100倍以下)の容量である所定量の緩衝液(好ましくは等張の緩衝液)で希釈し、
得られた希釈液を、ミクロヘマトクリット測定用シリンダ部を備えた容器にて遠心分離し、(なお、遠心分離前に、該容器中に該希釈液をいれた状態で保存および/または輸送ができる)
前記シリンダ部に沈殿した血球の容積を測定し、
前記血球の容積値より、前記血漿または血清の希釈率を決定することを特徴とする希釈率の決定方法。
(2)前記緩衝液が前記血液量の5倍〜20倍の容量である、前記(1)に記載の希釈率の決定方法。
(3)前記血液の希釈が、前記血液を、予め所定量の緩衝液の入ったシリンダ部を備えた前記容器中に加えることにより行う、前記(1)または(2)に記載の決定方法。
(4)前記血液が末梢血である、前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の決定方法。
(5)前記所定量の血液が10〜30μLの容量である、前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の希釈率の決定方法。
(6)前記ミクロヘマトクリット測定用シリンダ部が、直径が0.5mm〜1.5mmであり、高さが15mm〜100mmのシリンダである、前記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の希釈率の決定方法。
(7)前記緩衝液が凝固防止剤を含む前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の希釈率の決定方法。
(8)前記緩衝液がグルコースを含む前記(1)〜(7)のいずれか一つに記載の希釈率の決定方法。
(9)血液中の成分を定量する方法であって、
採取した所定量の血液を、血液量の少なくとも5倍以上(好ましくは5倍以上100倍以下)の容量である所定量の緩衝液(好ましくは等張の緩衝液)で希釈し、
得られた希釈液を、ミクロヘマトクリット測定用シリンダ部を備えた容器にて遠心分離し(なお、遠心分離前に、該容器中に該希釈液をいれた状態で保存および/または輸送ができる)、
前記シリンダ部に沈殿した血球容積を測定して得られた血球の容積値より、血漿または血清の希釈率を決定し、
前記決定された希釈率に基づいて、血漿または血清に含まれる成分を定量することを特徴とする方法。
(10)前記緩衝液が前記生体試料の5倍〜20倍の容量である、前記(9)に記載の定量方法。
(11)前記血液の希釈が、前記血液を、予め所定量の緩衝液の入ったシリンダ部を備えた前記容器中に加えることにより行う、前記(9)または(10)に記載の定量方法。
(12)前記血液が末梢血である、前記(9)〜(11)のいずれか一つに記載の定量方法。
(13)前記所定量の血液が10〜30μLの容量である、前記(9)〜(12)のいずれか一つに記載の定量方法。
(14)前記ミクロヘマトクリット測定用シリンダ部が、直径が0.5mm〜1.5mmであり、高さが15mm〜100mmのシリンダである、前記(9)〜(13)のいずれか一つに記載の定量方法
(15)前記緩衝液が凝固防止剤を含む、前記(9)〜(14)のいずれか一つに記載の定量方法。
(16)前記緩衝液がグルコースを含む、前記(9)〜(15)のいずれか一つに記載の定量方法。
(17)血球成分分析と組み合わせて行う、前記(9)〜(16)のいずれか一つに記載の定量方法。
本発明の希釈率決定法を用いて、所定量の血液を緩衝液で希釈した際に、血漿または血清の希釈率を容易に決定できる。本発明の血液成分の定量方法は、緩衝液で希釈した所定量の血液の血漿または血清の希釈率を容易に決定できるため、分析した成分の定量を容易に精度良く行うことができる。
本発明で用いることができる採血具の一例を示している。採血具の先端のチップを交換することにより、血液の採取量を変更することができ、所定量の血液の採取が行える。 本発明で用いることができるミクロヘマトクリット測定用シリンダ部を有する生体試料採取用の容器の一部を例示している。容器の下部にミクロヘマトクリット測定用のシリンダ部が構成され、その先は封止されている。
本発明の希釈率決定方法および/または定量方法(以下、単に「本発明の方法」という場合がある)の対象となる血液は、血液中に含まれている血球が壊れていなければ良く、採取直後の新鮮な血液であっても、また、保存してある血液であってもよい。保存してある血液としては、EDTA血をあげることができる。
また本発明の方法の対象となる血液は、その起源は特に制限なく、生体のいずれの場所から採取したものでもよく、例えば、静脈血、動脈血、末梢血のいずれであっても良いが、好ましくは、末梢血液をあげることができる。
本発明の方法の対象となる所定量の血液は、少量で十分であり、例えば、100μL以下、さらには50μL以下、特には、10μL〜30μLという極少量でも、十分に測定および定量が可能となる。従って、本発明の方法は、微量血液、特には、微量の末梢血液の測定および定量に適している。本発明の方法の対象となる血液は、その採取方法は特に限定されないが、例えば、ランセットや採血針などを用いて指先に小さな傷をつけてその傷から出た少量の血液でもよい。
また、所定量の血液を採取する方法は特に制限されず、例えば、所定量の血液を採取できる採血具を用いて行うことができる。採血具としては、これに限定されないが、例えば、特開平11−318871に記載の採血具や、図2に例示されているような交換可能な先端チップが取り付けられている採血具を用いることができる。これらの採血具を用いることにより、微量血液を所定の量で容易に採取できる。
本発明の方法で用いる緩衝液は、特に制限されず任意の緩衝液を用いることができるが、例えば、血球内容液の出入りを防ぐために、生体試料と等張に調製された緩衝液が用いられる。例えば、緩衝液としては、生理食塩水(PBS)やHEPESをあげることができる。
本発明の方法で用いる緩衝液は、その目的に応じて凝固防止剤を含んでもよい。凝固防止剤としては、任意の凝固防止剤、例えば、EDTAやヘパリン・リチウムを用いることができる。
本発明の方法で用いる緩衝液はグルコースを含むことが好ましい。グルコースは赤血球の唯一のエネルギー源であるので、緩衝液中に十分量を添加することにより、赤血球内M−E回路等を生かしATPを産生することにより形態、機能を維持することができ、測定や定量の精度が向上する。例えば、グルコースを含有する緩衝液を用いた場合は、希釈液の5日間の室温保存でも溶血は見られず、容器の下部に付着する赤血球残分も認められず、混和するとさらさら状態である。なお、グルコースの解糖過程でピルビン酸、乳酸が赤血球膜から出てくるので、グルコースを添加した場合は、緩衝液はHEPESが好ましい。
本発明の方法で用いる緩衝液はまた、目的に応じて、その他の任意に成分を含むことができる。任意の成分としては、例えば、細菌による汚染を防ぐための抗生物質や試料を安定的に輸送するための分離剤をあげることができる。
本発明の方法で用いる緩衝液の量は、血液の少なくとも5倍以上の所定量であれば特に制限がないが、好ましくは、5倍〜100倍、さらに好ましくは、5〜20倍の容量である。所定量の血液の量が10〜30μLであった場合を想定すると、本発明の方法で用いる緩衝液の所定量は、例えば、100μL〜10mlの範囲であるが、好ましく用いられる例としては、所定量の血液(約10〜30μL)に対して、緩衝液が約150〜300μL加えられる。このような少量であれば、小さな容器に入れることができ、小型の遠心分離機で遠心分離が可能である。
本発明の方法における遠心分離は、血液中の血球が遠心分離によりシリンダ部に蓄積する限り任意の条件で行うことができる。遠心分離は、高速遠心(約12,000回転)でも通常遠心(約3,000回転)であってもよいが、短時間で確実に沈殿させられるので高速遠心が好ましい。通常遠心の場合は、例えば、血球の容積は、実際に得られた血球の容積値に条件に応じた一定の率を乗じることによって算出可能である。
高速遠心分離を用いる場合の例としては、例えば、マイクロヘマトクリット法H7−Aで用いられる条件(例えば、10,000〜15,000xgの遠心力で数分間)をあげることができる。
本発明の方法で用いるシリンダ部は、棒状の構造であり下部が封止されている構造であれば特に制限がないが、本発明の目的から、好ましくは、直径が0.5mm〜1.5mmであり、高さが15mm〜100mm、より好ましくは直径が0.5mm〜1.2mmであり、高さが15mm〜60mm、の棒状構造(シリンダ)である。シリンダ部の形状(内径や長さ等)は、採血容量に応じて調整することができる。本発明で用いるシリンダ部は、予め目盛りが付けられていて目視により遠沈した赤血球の容積を確認してもよく、あるいは、シリンダ部を備えた容器をセットして遠沈した赤血球の容積を測定する計測器を用いても良い。本発明の方法で用いることができるシリンダ部をもつ容器の一例を図2に示す。左図が容器全体の図であり、右図がシリンダ部を拡大した図である。
本発明の方法を用いた定量できる血液の成分は特に制限されない。例えば、血清分離デバイスによる採血時の膜透過血清分離において定量される生化学13項目をあげることができる。本発明の方法においては、全血中の成分を測定できるという特徴を有する。例えば、これに限定されないが、好ましい対象成分としては、生化学指標である、TC,LDLmTP,ALB,AST,ATPなど、感染症の指標である、HIV,HBs抗原,HCV抗体,IgE(アレルギー),他のウイルス抗体など、腫瘍マーカーであるCEA,AFP,PSA,CA19−9,CA124など、内分泌指標であるTSH,NT−proBNP,E2(エストラジオール:女性ホルモン),テストロステロン(男性ホルモン),インスリン,心筋トロポニンTなど、をあげることができる。
本発明の方法の特徴は、微量の血液を用いて、血液を緩衝液で希釈した場合でも、測定に用いた血漿または血清の希釈率が判り、各生体成分の定量が可能となることである。さらに本発明の生体試料の成分の定量分析方法においては、膜分離を用いていないので、デッドボリュームがなく、遠心して取り除いた血球以外は全て試料となるので非常の多種の成分の分析が可能となる。さらには、膜分離による溶血がないので、より精度の良い分析が可能となる。
本発明の方法の一つの態様として、以下の手順をあげることができる。
(1)ランセットまたは採血針などを使い、指先に小さな傷を付け、その傷からでた少量の血液を、定量採血具を用いて、予め定めた量を採取する。
(2)採取した定量全血を、所定量の緩衝液(目的に応じて凝固防止剤を含む)が入ったミクロヘマトクリット測定用のシリンダ部を有する採血容器に入れて混和して希釈する。
(3)希釈された全血が入った採血容器を遠心分離機にかけて遠心分離し、血球と、血漿または血清に分離した後、採血容器に入った試料を分析センター等へ輸送する。
但し、遠心分離前に、希釈された全血が入った採血容器の状態で試料を分析センター等へ輸送し、分析センターにて遠心分離して、血球と、血漿または血清に分離することも可能である。
(4)ヘマトクリット値を測定し、全血量との差分から血漿または血清量を算出し、算出された血漿または血清量から希釈倍数を算出する。
(5)希釈された血漿または血清を用いて、生体成分の目的の項目を測定する。
(6)測定結果に上記希釈倍率を乗じて項目値を得る。
このようにして、自宅などで自己採血した微量血液であっても、必要な血液検査を行うことができる。また、健診スポットや検査施設で行う場合は、注射器や採血管等の専門の器具を用いなくて良いので、非常に簡易に短時間で行うことができ、大量の検体を効率よく検査できる。
(分析試料量と希釈倍数)
全血量を10〜20μlの末梢血とする場合、希釈用の緩衝液量は、分析側の測定可能濃度域と必要量によって決定される。
採取された全血が10μlの場合を想定する、例えば、Ht(ヘマトクリット値)=45%とすると、全血10μlの血漿(または血清)量は5.5μlとなる。生化学項目の測定可能濃度域<40倍希釈と考えられるので、(5.5+x)/5.5=40、x=214.5μlとなり、緩衝液の最大使用量は約210μlとなる。生化学項目の測定にための必要量は>100μlと推定できるので、十分な余裕がある。例えば、所定量の緩衝液量を150μlとすると、(5.5+150)/5.5=28.3倍、希釈血漿(または血清)量=155.5μlとなり、十分な測定可能な範囲となる。
全血20μlの採取が可能であれば、血漿(または血清)量=11μlであり、所定量の緩衝液量を150μlとすると希釈倍数=(11+150)/11で14.6倍、希釈血漿(または血清)量=11+150=161μlとなり、現行試薬群を使用した精度面でもより安定的な測定が可能である。
(希釈倍率の算定)
希釈倍率の算定は、血液の希釈液を遠心分離した後、シリンダ内の血球部の高さを読み取ることにより行うことができる。希釈しても血球量は変わらず、血球量は全血量のみによって増減するので、血球の容積値から採血された血液の血漿または血清量を求めることができ、さらに、用いた緩衝液の量から希釈倍率が算定できる。
なお、ヘマトクリット値(hematocrit)は、血液中に占める血球の体積の割合を示す数値である。ほぼ赤血球の体積比と等しく、成人男性で40−50%、成人女性で35−45%程度が正常値であるとされる。
(実用例)
実用例の一つとしては以下の態様が考えられる。
全血の希釈緩衝液100μlを予め採血容器に入れ密閉する。採血具で採血した微量の全血(例えば10μl)を採血容器に滴下して、希釈液と混和し、蓋を密閉する。輸送用の容器に採血容器を入れ、輸送容器の蓋を密閉し、血液検査センターに常温輸送する。
検査センターでは、輸送用容器から採血容器を取り出し、遠心分離処理を行ない、専用測定機にかける。装置は、Ht%測定(例えば、内径0.5mmシリンダ高で20mmとなれば、Ht%=39%となる)を行った後、上部血漿(または血清)(例えば、100+6.1=106.1μl、希釈倍率=17.4倍)試料を取り出し、必要に応じて定量事後希釈(例えば、採血容器から100μlを抽出し2倍希釈をすると、34.8倍希釈血漿(または血清)を200μl得る)を行い、分析専用試験管に測定用試料を作成する。該当分析器に置いて項目測定を行う。分析結果は、コンピュータに転送され、バーコード情報をもとに試料番号毎に統合管理される。
また、自己採血の場合などには、試料の取扱いの適否を判断するために、分離血漿または血清の希釈倍率を、マーカー成分を使って事後測定する方法と組み合わせることもできる。マーカー成分として塩化コリン等を用いることができる。これにより、ヘマトクリット値(Ht%)が、例えば30%以下などの異常値を示した場合のチェックに利用できる。
さらに本発明の方法は、血球成分分析と組み合わせて用いることもできる。血算分析を行なう場合は、全血希釈のまま輸送して、遠心前に希釈全血試料の一部を抜取り分析し、この分析結果に全血希釈倍率(定率)を乗じる(遠心は行なわない)。また、HbA1C等の成分分析は、遠心後の下部血球を抜取り、溶血させて分析することにより行うことができる。
以下、実施例をもとに本発明を説明するが、本発明は実施例で記載の態様に限定されない。
(実施例1)緩衝液
採取した血液を希釈する緩衝液組成として以下の緩衝液(HEPES 2.0M pH7.4(0.4770g/l))を調製した。
Figure 2015105936
抗生物質は落下細菌などによる汚染を防ぐために添加している。グルコースは赤血球を生かすために添加してあり、グルコースを添加した上記緩衝液で成人男女5名の全血を5.4倍希釈し、室温で横にした状態において、5日後にグルコースの84%が残存していた。
(実施例2)希釈時の測定精度の確認
容積による希釈倍数を理論倍数として各希釈系列の理論総コレステロール値を算出した。この時の一致率は、94.9〜100.2%であり良好である。更に、理論総コレステロール値/各希釈系列の総コレステロール値を算出し補正値を導いた。その補正値は、1.000〜1.054となり、明らかに実測総コレステロール値と関連を認めた。ただし低値にシフトする程、補正値は上昇することが認められた。
(実施例3)希釈時の測定精度(CV)および希釈全血の安定性(経時分析)の確認
緩衝液、血漿、血清などの定量を行なう場合は、オートピペットまたはメスピペットを使用し、その容量で〔血清(血漿)量+溶液量〕/血清(血漿)量の式を用い理論希釈倍数とする。しかし、全血検体は粘性を有しておりオートピペットでの100ml以下のレンジ(6.5〜32.5ml)では、正確な量より5.4〜8.4%も低値傾向である。
そのため、血清(血漿)の成分の1つである総コレステロールを理論希釈倍数の指示物質とした。理由は、1に血中に比較的多く存在し安定である事、2に測定法に問題が無く感度が良好である事が上げられる。理論希釈倍数は、原コレステロール/濃度勾配較正をした希釈された実測値として示される(TC希釈倍率)。
塩化コリン(マーカー)含有溶液をサンプルとして希釈精度および経時分析の指標として用いた。コリンオキシダーゼーペルオキシダーゼ系の酵素法を用いた反応は、約3分間で反応が終結し完全なend pointとなるので、これらの測定においてその反応性に問題は認められない。また、自動分析装置Bio Majesty(日本電子)を用いたコリン検量線は、0点を通る負の直線性を有する検量線が得られ、吸光度差も認められなかった。
TC濃度から算出した理論倍率と、経過日毎にコリン検量線から得られる測定倍率との一致率を算出した。20のサンプルについて試験を行った。結果を以下の表2に示す。
Figure 2015105936
希釈時のTC濃度から算出した理論倍率と理論吸光度との一致率平均は、97.3〜98.5%と安定しており、希釈倍率算定値は十分信頼できことが判った。また、TC濃度から算出した理論倍率と理論吸光度との一致率は、各日平均値で98%〜99%と非常に高く、バラツキは1.5〜2.2と非常に低い。これによって、全血希釈サンプルを4日間維持しても、本発明の方法による希釈倍率が適用できることが判った。
(実施例4)希釈率における希釈精度の確認
へマットクリット値が既知であるEDTA全血(2.0ml)6サンプルを用いて、一定倍率(5倍、10倍、20倍)に希釈後、各項目(TCおよびLDL)の測定をおこなった。各サンプルの希釈は以下のようにして行った。希釈倍率5倍(全血量100μl+希釈緩衝液400μl);希釈倍率10倍(全血量50μl+希釈緩衝液450μl);希釈倍率20倍(全血量30μl+希釈緩衝液570μl)。
各サンプルの原血漿のTCおよびLDLの測定値、およびヘマトクリット値は、以下の表に示す通りである。
Figure 2015105936
それぞれの全血の希釈液を遠心分離し、上清を回収して、TC値およびLDL値を測定し、上記のヘマトクリット値を用いて得られる希釈倍率を乗じて、血漿中のTC値およびLDL値を求めた。本発明を用いて得られた測定値(表においては計算値として示す。「計算値=希釈血漿実測値xヘマトクリット%より得られた希釈倍率」)と元のEDTA血の原血漿値を以下の表に示す。以下の表に示されるように、20倍希釈でも、精度良く測定が行われていることが判る。
Figure 2015105936
上記の記載は、本発明の目的及び対象を単に説明するものであり、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。添付の特許請求の範囲から離れることなしに、記載された実施態様に対しての、種々の変更及び置換は、本明細書に記載された教示より当業者にとって明らかである。
本発明の方法を用いることにより、微量の血液でも簡便に精度良く血液検査をすることができる。

Claims (9)

  1. 血液中の成分を定量する方法であって、
    採取した所定量の血液を、血液量の少なくとも5倍以上の容量である所定量の緩衝液で希釈し、
    得られた希釈液を、ミクロヘマトクリット測定用シリンダ部を備えた容器にて遠心分離し、
    前記シリンダ部に沈殿した血球容積を測定して得られた血球の容積値より、血漿または血清の希釈率を決定し、
    前記決定された希釈率に基づいて、血漿または血清に含まれる成分を定量することを特徴とする方法。
  2. 前記緩衝液が前記生体試料の5倍〜20倍の容量である、請求項1に記載の定量方法。
  3. 前記血液の希釈が、前記血液を、予め所定量の緩衝液の入ったシリンダ部を備えた前記容器中に加えることにより行う、請求項1または2に記載の定量方法。
  4. 前記血液が末梢血である、請求項1〜3のいずれか一つに記載の定量方法。
  5. 前記所定量の血液が10〜30μLの容量である、請求項1〜4のいずれか一つに記載の定量方法。
  6. 前記ミクロヘマトクリット測定用シリンダ部が、直径が0.5mm〜1.5mmであり、高さが15mm〜100mmのシリンダである、請求項1〜5のいずれか一つに記載の定量方法
  7. 前記緩衝液が凝固防止剤を含む、請求項1〜6のいずれか一つに記載の定量方法。
  8. 前記緩衝液がグルコースを含む、請求項1〜7のいずれか一つに記載の定量方法。
  9. 血球成分分析と組み合わせて行う、請求項1〜8のいずれか一つに記載の定量方法。
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