JP2015103670A - 電力変換装置およびその製造方法 - Google Patents

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久田 秀樹
Hideki Hisada
秀樹 久田
益永 孝幸
Takayuki Masunaga
孝幸 益永
上田 和宏
Kazuhiro Ueda
和宏 上田
栂嵜 隆
Takashi Togasaki
隆 栂嵜
将一郎 田中
Shoichiro Tanaka
将一郎 田中
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Abstract

【課題】半導体装置の接合部の剥離、熱抵抗の増大を防止し、信頼性の向上した電力変換装置、およびその製造方法を提供する。【解決手段】実施形態によれば、電力変換装置は、受熱面18aを有する冷却器12と、複数の接続端子24を支持し、受熱面上で冷却器に取り付けられた支持フレーム14と、接続端子に接続される電力端子46a、46bおよび半導体素子を含み、冷却器の受熱面上に設置された半導体装置16と、半導体装置と受熱面との間の隙間、および半導体装置と支持フレームとの間の隙間に充填され、半導体装置と受熱面および支持フレームとを接合する接着性、絶縁性および熱伝導性を有する高熱伝導樹脂55と、を備えている。【選択図】図7

Description

この発明の実施形態は、ハイブリッド自動車または電気自動車用の電力変換装置および電力変換装置の製造方法に関する。
近年、自動車の燃費向上を目的とし、内燃機関とモーターを併用したハイブリッド車の普及が急速に進んでいる。また一方で、モーターだけで走行可能な電気自動車の製品化も進んでいる。これら自動車を実現するためには、電池とモーター間に、直流電力から交流電力への変換および交流電力から直流電力への変換を行なう電力変換装置が必要となる。
このような電力変換装置には、IGBT素子を用いた半導体モジュールが使用されている。半導体モジュールは、電流を通電している時に発熱を生じるため、冷却器に伝熱材を介して固定することが良く知られている。半導体モジュールの冷却器への固定方法としては、半導体モジュールに貫通穴を設置し、ボルトで固定する方法が知られている。
また、ボルトにより直接固定する構造ではなく、樹脂を用いて半導体素子を接着して冷却器に固定する構造が提案されている。
近年では、低コストで高い熱性能を持ち、かつ小型な電力変換装置が求められている。
特開平7−221125号公報
しかしながら、従来使用されているボルト固定方法では、半導体モジュールにボルト挿通用の貫通孔を設置する必要があり、冷却器にもメネジを設ける必要があるなど、複雑な構造となり、小型化への障害となる。
樹脂を用いて接着する構成では、半導体素子と接着樹脂との間、および接着樹脂と冷却器との間、で線膨張率差が異なる。そのため、周囲温度の上下により、接着部の端部から剥離が生じ、熱抵抗の増加による出力の制限を受け、あるいは、過度の加熱による半導体素子の破損を生じる場合がある。
また、主回路バスバーの支持剛性が低い場合、あるいは、冷却器との固定部から半導体素子接合部への距離が長い場合、振動によってバスバーの荷重が接続部に印加され金属疲労による半導体素子の破損の原因となる事があった。
この発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その課題は、半導体素子の接合部の剥離、熱抵抗の増大を防止し、信頼性の向上した電力変換装置、およびその製造方法を提供することにある。
実施形態によれば、電力変換装置は、受熱面を有する冷却器と、複数の接続端子を支持し、受熱面上で前記冷却器に取り付けられた支持フレームと、前記接続端子に接続される電力端子および半導体素子を含み、前記冷却器の受熱面上に設置された半導体装置と、前記半導体装置と受熱面との間に隙間、および前記半導体装置と支持フレームとの間の隙間に充填され、前記半導体装置と受熱面および支持フレームとを接合する接着性、絶縁性および熱伝導性を有する熱伝導樹脂と、を備えている。
図1は、第1の実施形態に係る半導体電力変換装置を、制御回路基板を取り外して示す斜視図。 図2は、前記半導体電力変換装置の支持フレームおよび冷却器を示す斜視図。 図3は、制御回路基板を含む半導体電力変換装置全体を示す斜視図。 図4は、前記半導体電力変換装置の半導体モジュールを示す斜視図。 図5は、前記半導体モジュールを底面側から見た斜視図。 図6は、前記半導体モジュールのモールド樹脂体を透視して内部構造を示す斜視図。 図7は、冷却器上に設置され接続端子に接続された状態の前記半導体モジュールを示す断面図。 図8は、第2の実施形態に係る電力変換装置において、半導体モジュールを冷却器の受熱面上に設置した状態を示す断面図。 図9は、第3の実施形態に係る電力変換装置において、半導体モジュールを冷却器の受熱面上に設置した状態を示す断面図。 図10は、第4の実施形態に係る電力変換装置において、半導体モジュールを冷却器の受熱面上に設置した状態を示す断面図。
以下に、図面を参照しながら、実施形態に係る半導体電力変換装置ついて詳細に説明する。なお、各図は実施形態とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
(第1の実施形態)
図1は、制御回路基板を取り外して示す第1の実施形態に係る半導体電力変換装置の斜視図、図2は、半導体電力変換装置の支持フレームおよび冷却器を示す斜視図、図3は、制御回路基板を含む半導体電力変換装置全体を示す斜視図である。
図1ないし図3に示すように、半導体電力変換装置10は、冷却器12、冷却器12上に固定された支持フレーム14、および、冷却器12上に載置され、支持フレームにより支持された複数の半導体モジュール(半導体装置)16を備えている。冷却器12は、平坦な矩形状の受熱面(冷却面)18aを有する扁平な直方体形状の冷却ブロック18を有している。冷却ブロック18は、例えば、アルミニウムで形成されている。また、冷却ブロック18内には、水等の冷却媒体を流す冷媒流路20が形成されている。
支持フレーム14は、受熱面18aに対応する大きさの矩形状の外枠と、外枠間を延びる互いに平行な複数の連結梁とを一体に有し、これら外枠および連結梁により例えば、4列に並んだ、それぞれ矩形状の設置空間部22を形成している。また、支持フレーム14には、後述する半導体モジュール16に電気的に接続される複数の接続端子24を有する複数の主回路バスバー(主回路導体)26、複数の入力端子28、および2組の3相の出力端子30が設けられている。主回路バスバー26の接続端子24は、各設置空間部22の各側縁に沿って、複数個ずつ間隔を置いて並んで配置されている。また、各接続端子24は、受熱面18aに対してほぼ垂直に延びている。接続端子24は、例えば、無酸素銅で形成される。支持フレーム14は、例えば、インサートモールドにより、主回路バスバー26および複数の端子と一体に樹脂、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等、により成形されている。また、支持フレーム14の外枠は、例えば、複数のねじにより冷却ブロック18にねじ止めされ、受熱面18a上に固定されている。これにより、支持フレーム14の外枠および連結梁は、受熱面18aに密に、あるいは、僅かな隙間をおいて、当接している。
図1に示すように、半導体モジュール16は、例えば、6個ずつ、4列に並んで支持フレーム14に設置されている。各列において、6個の半導体モジュール16は、支持フレーム14の設置空間部22内に配置され、各半導体モジュールの底面は、後述する高熱伝導材料(絶縁材料)を介して冷却器12の受熱面18a上に設置されている。各半導体モジュール16の電力端子は、バスバー26の接続端子24に接触し、主回路バスバー26に電気的に接続されている。また、各半導体モジュール16の複数の信号端子50は、上方へ突出している。
図3に示すように、半導体電力変換装置10は、半導体モジュール16および装置全体の入出力および動作を制御する制御回路基板32を備えている。制御回路基板32は、支持フレーム14とほぼ等しい大きさの矩形状に形成されている。制御回路基板32は、半導体モジュール16上に重ねて設置され、図示しない固定ねじ等により支持フレーム14に取り付けられている。各半導体モジュール16の信号端子50は、制御回路基板32に電気的に接続されている。
次に、半導体電力変換装置を構成する半導体モジュール(半導体装置)16について詳細に説明する。
図4および図5は、半導体モジュールを示す斜視図、図6は、半導体モジュールのモールド樹脂体を透視して内部構造を示す斜視図である。
図4ないし図6に示すように、半導体モジュール16は、いわゆる両面放熱型および垂直実装型の電力変換装置として構成されている。すなわち、半導体モジュール16は、例えば、銅により形成された角柱形状の第1導電体(コレクタ)34と、同じく、銅により形成された角柱形状の第2導電体(エミッタ)36と、これら第1および第2導電体間に挟まれてこれらの導電体に接合された第1半導体素子38および第2半導体素子40と、を備えている。
第1導電体34は、1つの主面(側面)が矩形状の接合面(第1接合面)34aを構成し、更に、この接合面34aと直交する底面(第1底面)34bが放熱面を構成している。第2導電体36は、長さが第1導電体34とほぼ等しく、厚さ(幅)が第1導電体34よりも小さく、例えば、約3分の1程度に形成され、更に、高さが、第1導電体34の高さよりも低く形成されている。第2導電体36は、1つの主面(側面)が矩形状の接合面(第2接合面)36aを構成し、更に、この接合面と直交する底面(第2底面)36bが放熱面を構成している。第2導電体36は、その接合面36aが第1導電体34の接合面34aと平行に対向し、かつ、底面36bが第1導電体34の底面34bと同一平面上に位置するように配置されている。なお、第1および第2導電体34、36において、接合面と底面とは直交するように、すなわち、互いに垂直に形成されているが、これに限らず、直角以外の異なる角度で交差するように形成することも可能である。
第1半導体素子38は、パワー半導体素子、例えば、IGBT(insulated gate bipolar transistor)であり、第2半導体素子40は、ダイオードを用いている。第1半導体素子38は、矩形板状に形成され、表面および裏面に異なる電極を構成している。また、第1半導体素子38の一方の表面に、複数、例えば、4つの接続端子が形成されている。そして、第1半導体素子38の表面および裏面は、電極部分および接続端子部分を除いて、絶縁膜、例えば、ポリイミドのフィルムで覆われている。
第2半導体素子40は、矩形板状に形成され、表面および裏面に異なる電極を構成している。第2半導体素子38の表面および裏面は、矩形状の電極部分を除いて、絶縁膜、例えば、ポリイミドのフィルムで覆われている。
第1半導体素子38は、第1導電体34の接合面34aと平行に配置され、一方の電極が、例えば、矩形状の半田シートにより第1導電体34の接合面34aに接合されている。第2半導体素子40は、第1導電体34の接合面34aと平行に配置され、更に、第1導電体34の長手方向に隙間を置いて第1半導体素子38と並んで配置されている。第2半導体素子40は、一方の電極が、例えば、矩形状の半田シートにより第1導電体34の接合面34aに接合されている。
このように、第1半導体素子38および第2半導体素子40は、第1導電体34の接合面34aと平行に、かつ、第1導電体の底面34bに対して垂直に配置されている。
第1半導体素子38の他方の電極は、図示しない凸型導電体を介して、第2導電体36の接合面36aに電気的に接合されている。同様に、第2半導体素子40の他方の電極は、図示しない凸型導電体を介して、第2導電体36の接合面36aに電気的に接合されている。
図4ないし図6に示すように、半導体モジュール16は、導電性金属板でそれぞれ構成された第1電力端子46a、第2電力端子46b、および、複数、例えば、5本の信号端子50を備えている。第1電力端子46aは、独立して形成され、その基端部が半田シートにより第1導電体34の接合面34aに接合されている。第2電力端子46bは、その基端部が第2導電体36に連結されている。
信号端子50は、モジュールから上方に突出し、第1導電体34の接合面34aと平行に延びている。4本の信号端子50の基端は、ボンディングワイヤ53により、第1半導体素子38の接続端子に接続されている。
図4ないし図6に示すように、半導体モジュール16は、上述した構成部材を被覆した絶縁材、例えば、モールド樹脂体(絶縁体)52を備えている。モールド樹脂は、例えば、シリカを混合したエポキシ樹脂を用いることができる。モールド樹脂体52は、ほぼ直方体形状に形成されている。モールド樹脂体52は、第1および第2半導体素子38、40対して垂直に延びているとともに第1導電体34の底面34bおよび第2導電体36の底面36bが露出した平坦な底面52cと、底面52cに対して垂直に延びる平坦な第1側面52aと、底面52cに対して垂直に延びているとともに第1側面52aと平行に対向する第2側面52bと、第1側面および第2側面間に位置し底面52cと対向する天井面52dと、底面52cおよび第1、第2側面の一端と交差して延びる第1端面52eと、底面52cおよび第1、第2側面の他端と交差して延びる第2端面52eと、を有している。本実施形態において、第1および第2側面52a、52bは、第1および第2導電体34、36の接合面23a、36aと平行に位置している。
モールド樹脂体52は、成形型を型抜きする際に形成されるパーティングライン54を有している。このパーティングライン54は、モールド樹脂体52の第1端面52e、天井面52d、第2端面52eに亘って形成され、第1および第2側面52a、52bと平行に延びている。また、パーティングライン54は、第1および第2電力端子46a、46bの基端部(本体)を含む平面内に位置している。
図4ないし図6に示すように、第1電力端子46aは、パーティングライン54の位置でモールド樹脂体52の一方の端面52eからモールド樹脂体の長手方向外方に突出し、第1側面52aと平行に位置する本体と、本体から延出する平坦な矩形板状の接触部47aと、を一体に有している。接触部47aは、本体に対して第1側面52a側へ所定角度、例えば、直角に折曲げられ、モールド樹脂体52の第1端面52eと隙間をおいて対向している。すなわち、接触部47aは、モールド樹脂体52の底面52cに対して(冷却器12の受熱面18aに対して)ほぼ垂直方向に延びている。
第2電力端子46bは、パーティングライン54の位置でモールド樹脂体52の第2端面52eからモールド樹脂体の長手方向外方に突出し、第1側面52aと平行に位置する本体と、本体から延出する平坦な矩形板状の接触部47bと、を一体に有している。接触部47bは、本体に対して第1側面52a側へ角度、例えば、直角に第1側面52a側に折曲げられ、モールド樹脂体52の第2端面52eと隙間をおいて対向している。すなわち、接触部47bは、モールド樹脂体52の底面52cに対して(冷却器12の受熱面18aに対して)ほぼ垂直に延びている。
第1および第2電力端子46a、46bは、導電性に優れた材料、例えば無酸素銅で構成される。
5本の信号端子50は、細長い棒状に形成され、パーティングライン54の位置でモールド樹脂体52の天井面52dから上方に突出している。5本の信号端子50は、互いに平行に延びている。各信号端子50は、天井面52d上においてパーティングライン54の位置から第1側面52aと平行に延出する基端部と、基端部に対して長手方向に離間した2箇所で折曲げられ折曲げ部と、折曲げ部から延出する接続端部50aとを有している。信号端子50の少なくとも接続端部50aの外面に、図示しない導電膜が形成されている。
図7は、半導体モジュール16を冷却器12の受熱面18a上に設置した状態を示す断面図である。以上のように構成された半導体モジュール16は、図1、図2および図7に示すように、支持フレーム14の設置空間部22内に配置され、半導体モジュール16の底面52cは、接着性を有する高熱伝導樹脂(絶縁材料)55を介して冷却器12の受熱面18a上に接着されている。これにより、第1および第2導電体34、36は、冷却器12に熱的に接続され、第1および第2半導体素子38、40で発生した熱を第1および第2導電体34、36を介して冷却器12に放熱することができる。高熱伝導樹脂55は、例えば、アルミナフィラーを含有するエポキシ樹脂等を用いることができる。
本実施形態において、図7に示すように、支持フレーム14の連結梁および外枠は、半導体モジュール16の電力端子46a、46bと冷却器12との間に延出するオーバーハング部(突出部)23を一体に有している。これらのオーバーハング部23は、それぞれ半導体モジュール16の端面52eと隙間、例えば、0.2〜0.3mm程度、をおいて対向している。更に、各オーバーハング部は、冷却器12の受熱面18aと所定の隙間、例えば、0.2〜0.3mm程度、を置いて対向している。同様に、半導体モジュール16の底面52cと冷却器12の受熱面18aとの隙間は、例えば、0.2〜0.3mm程度に設定されている。
半導体モジュール16を冷却器12の受熱面18aに接着する際、(要望される樹脂の厚さ)×(半導体モジュールの底面積)以上となる体積の、絶縁性、高熱導電性を有する樹脂55を受熱面18a上に充填した後、樹脂55の上に半導体モジュール16を載置する。そして、半導体モジュール16の自重により、あるいは、外部から印加する圧力により、半導体モジュール16の底面52cで樹脂55を所定の厚さに押し潰す。これにより、樹脂55の一部は周囲に押出され、オーバーハング部23と受熱面18aとの隙間、および、支持フレーム14と半導体モジュール16との間の隙間、すなわち、オーバーハング部23と半導体モジュール16の端面52eとの間の隙間に充填される。
この時、高熱伝導樹脂55の厚さは、所定の温度下における粘弾性、流動性等の物性値と圧力とによって制御し、あるいは、フィラーとして混合されるソーダ石灰ガラス、アルミナ、窒化ホウ素の粒径で制御してもよい。
また、高熱伝導樹脂材55は、液状に限らず、加熱硬化前に固形やゲル状のシートの形態であってもよい。この場合、高熱伝導樹脂材55を溶融させるため、加熱させながら、半導体モジュール16を自重あるいは外部からの荷重によって高熱伝導樹脂材55を加圧し接着する。
これにより、半導体モジュール16は、高熱伝導樹脂材55によって受熱面18aおよび支持フレーム14のオーバーハング部23に接合される。同時に、オーバーハング部23は、高熱伝導樹脂材55により、冷却器12の受熱面18aに接着固定される。
図7に示すように、半導体モジュール16の第1および第2電力端子46a、46bの接触部47a、47bは、それぞれ主回路バスバー26の接続端子24に面接触し、更に、各電力端子の先端および接続端子の先端の接合部60が溶接により互いに接合されている。これにより、半導体モジュール16は、第1および第2電力端子46a、46bおよび接続端子24を介して主回路バスバー26に電気的に接続されている。前記溶接には、TIG溶接やレーザ溶接が用いられる。
図1に示すように、一列に並んだ複数の半導体モジュール16において、隣合う2つの半導体モジュールは、モールド樹脂体52の側面同志が隣接対向して、あるいは、互いに当接した状態で配置されている。隣合う2つの半導体モジュール16の内、一方は、他方に対して180度反転した向きで配置してもよい。いずれの向きで配置した場合でも、半導体モジュールの第1および第2電力端子46a、46bは、主回路バスバー26の接続端子24に確実に係合する。また、各半導体モジュール16の複数の信号端子50は、上方へ突出している。
いずれの向きで配置した場合でも、半導体モジュール16の信号端子50は、モールド樹脂体52の厚さ方向中央部に位置し、制御回路基板32に対して所定位置に配置される。図3に示すように、制御回路基板32を半導体モジュール16上に設置することにより、各半導体モジュール16の信号端子50の端部は、制御回路基板32に形成されたスルーホールに挿通され、図示しない半田等により制御回路基板に電気的に接続される。
以上のように構成された半導体電力変換装置によれば、特に、振動によって生じる変位が問題となる半導体モジュール16近傍において、主回路バスバーを保持している支持フレーム14と冷却器12との間に高熱伝導樹脂55を充填することにより、この高熱伝導樹脂55の接着力と剛性によって支持フレームおよびバスバーの変位を抑えることができる。これにより、接続端子(バスバー)と半導体モジュールの電力端子との接合部に作用し疲労破壊の原因となる応力を低減することができる。また、高熱伝導樹脂55は、半導体モジュール16の底面52cの端縁から半導体モジュールの端面52eまで回り込んで充填され、底面52cの端縁を覆っている。そのため、半導体モジュール16の底面52cと高熱伝導樹脂55との界面での剥離が生じにくく、半導体モジュールの固定状態を安定して維持することが可能となる。これにより、半導体モジュール16と冷却器12との熱抵抗を低減し、半導体モジュールの冷却性能を向上する。
万が一、半導体モジュールの底面に樹脂55の全面剥離が生じた場合でも、半導体モジュールと支持フレーム14との間に高熱伝導樹脂55が介在することで、また、高熱伝導樹脂55の凹凸によるアンカー効果により、半導体モジュール16が支持フレーム14に固定され、脱落を防止することができる。
更に、半導体モジュールの電力端子と冷却器の受熱面との間に、支持フレームのオーバーハング部を設けることにより、これらの間の電気的絶縁性を向上することができる。
以上のことから、半導体装置の接合部の剥離、熱抵抗の増大を防止し、信頼性の向上した電力変換装置が得られる。
次に、他の実施形態に係る電力変換装置について説明する。以下に述べる実施形態において、上述した第1の実施形態と同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略し、異なる部分を中心に詳細に説明する。
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態に係る電力変換装置において、半導体モジュールを冷却器の受熱面上に設置した状態を示す断面図である。
本実施形態によれば、図8に示すように、半導体モジュール16は、2種類の合成樹脂を用いて、冷却器12の受熱面18aに接合されている。すなわち、半導体モジュール16の底面52cに、この底面とほぼ同等寸法の第1樹脂55aを塗布し、その後、受熱面18a上に第2樹脂55bを充填する。そして、第1樹脂55aが形成された半導体モジュール16を第2樹脂55bの上に載置する。半導体モジュール16の自重により、あるいは、外部から印加する圧力により、半導体モジュール16の底面52cで第2樹脂55bを所定の厚さに押し潰す。これにより、第2樹脂55bの一部は周囲に押出され、オーバーハング部23と受熱面18aとの隙間、および、支持フレーム14と半導体モジュール16との間の隙間、すなわち、オーバーハング部23と半導体モジュール16の端面52eとの間の隙間に充填される。
これにより、半導体モジュール16は、第1および第2樹脂55a、55bによって受熱面18aおよび支持フレーム14のオーバーハング部23に接合される。同時に、オーバーハング部23は、第2樹脂55bにより、冷却器12の受熱面18aに接着固定される。
第1樹脂55aとしては、絶縁性および高熱伝導性を有する樹脂、例えば、アルミナフィラーを混合したエポキシ樹脂を用いることができる。第1樹脂55aは、第2樹脂よりも流動性が高く、充填時に気泡の発生が少なく、高い絶縁性を確保することができる。第2樹脂55bとしては、絶縁性および高熱伝導性を有する樹脂、例えば、アルミナフィラーを混合したシリコン樹脂を用いることができる。
第1および第2樹脂は、液状に限らず、加熱硬化前に固形やゲル状のシートの形態であってもよい。この場合、高熱伝導樹脂材55を溶融させるため、加熱させながら、半導体モジュール16を自重あるいは外部からの荷重によって高熱伝導樹脂材55を加圧し接着する。
以上のように構成された第2の実施形態においても、半導体装置の接合部の剥離、熱抵抗の増大を防止し、信頼性の向上した電力変換装置が得られる。また、2種類の樹脂を用いて半導体モジュールを固定することにより、半導体モジュールと冷却器との間の絶縁性を向上することが可能となる。
(第3の実施形態)
図9は、第3の実施形態に係る電力変換装置において、半導体モジュールを冷却器の受熱面上に設置した状態を示す断面図である。
本実施形態によれば、図9に示すように、半導体モジュール16は、2種類の合成樹脂を用いて、冷却器12の受熱面18aに接合されている。すなわち、冷却器12の受熱面18aに、半導体モジュール16の底面52cよりも大きな寸法、例えば、オーバーハング部23と受熱面18aとの隙間に入り込む大きさの第1樹脂55aを所定の厚さで塗布し、その後、第1樹脂55a上に第2樹脂55bを充填する。そして、半導体モジュール16を第2樹脂55bの上に載置し、半導体モジュール16の自重により、あるいは、外部から印加する圧力により、半導体モジュール16の底面52cで第2樹脂55bを所定の厚さに押し潰す。これにより、第2樹脂55bの一部は周囲に押出され、オーバーハング部23と受熱面18aとの隙間、および、支持フレーム14と半導体モジュール16との間の隙間、すなわち、オーバーハング部23と半導体モジュール16の端面52eとの間の隙間に充填される。
これにより、半導体モジュール16は、第1および第2樹脂55a、55bによって受熱面18aおよび支持フレーム14のオーバーハング部23に接合される。同時に、オーバーハング部23は、第2樹脂55bにより、冷却器12の受熱面18aに接着固定される。
第1樹脂55aとしては、絶縁性および高熱伝導性を有する樹脂、例えば、アルミナフィラーを混合したエポキシ樹脂を用いることができる。第1樹脂55aは、第2樹脂よりも流動性が高く、充填時に気泡の発生が少なく、高い絶縁性を確保することができる。第2樹脂55bとしては、絶縁性および高熱伝導性を有する樹脂、例えば、アルミナフィラーを混合したシリコン樹脂を用いることができる。
第1および第2樹脂は、液状に限らず、加熱硬化前に固形やゲル状のシートの形態であってもよい。この場合、高熱伝導樹脂材55を溶融させるため、加熱させながら、半導体モジュール16を自重あるいは外部からの荷重によって高熱伝導樹脂材55を加圧し接着する。
以上のように構成された第3の実施形態においても、半導体装置の接合部の剥離、熱抵抗の増大を防止し、信頼性の向上した電力変換装置が得られる。また、2種類の樹脂を用いて半導体モジュールを固定することにより、半導体モジュールと冷却器との間の絶縁性を向上することが可能となる。
(第4の実施形態)
図10は、第4の実施形態に係る電力変換装置において、半導体モジュールを冷却器の受熱面上に設置した状態を示す断面図である。
本実施形態によれば、図10に示すように、半導体モジュール16を冷却器12の受熱面18aに接着固定している高熱伝導樹脂55内に、絶縁層あるは絶縁板57が埋め込まれている。絶縁板57は、半導体モジュール16の底面52cよりも大きな寸法、例えば、オーバーハング部23と受熱面18aとの隙間に入り込む大きさに形成されている。絶縁板57は、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等を用いることができる。
半導体モジュール16を設置する際、高熱伝導樹脂55の一部を冷却器12の受熱面18a上に充填し、その上に、絶縁板57を載置し、所定の加圧で高熱伝導樹脂55を押し潰し、所定の厚さとする。次いで、絶縁板57上に高熱伝導樹脂55を充填した後、その上に、半導体モジュール16を載置し、半導体モジュール16の自重により、あるいは、外部から印加する圧力により、半導体モジュール16の底面52cで高熱伝導樹脂55を所定の厚さに押し潰す。これにより、高熱伝導樹脂55の一部は周囲に押出され、オーバーハング部23と受熱面18aとの隙間、および、支持フレーム14と半導体モジュール16との間の隙間、すなわち、オーバーハング部23と半導体モジュール16の端面52eとの間の隙間に充填される。
これにより、半導体モジュール16は、高熱伝導樹脂55によって受熱面18aおよび支持フレーム14のオーバーハング部23に接合される。同時に、オーバーハング部23は、第2樹脂55bにより、冷却器12の受熱面18aに接着固定される。
高熱伝導樹脂55は、液状に限らず、加熱硬化前に固形やゲル状のシートの形態であってもよい。この場合、高熱伝導樹脂材55を溶融させるため、加熱させながら、半導体モジュール16を自重あるいは外部からの荷重によって高熱伝導樹脂材55を加圧し接着する。
以上のように構成された第4の実施形態においても、半導体装置の接合部の剥離、熱抵抗の増大を防止し、信頼性の向上した電力変換装置が得られる。また、絶縁板57を介在させることにより、半導体モジュールと冷却器との間の絶縁性を向上することが可能となる。
この発明は上記実施形態および変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、半導体装置の構成部材の寸法、形状、材質等は、前述した実施形態に限定されることなく、設計に応じて種々変更可能である。
10…半導体電力変換装置、12…冷却器、14…支持フレーム、
16…半導体モジュール、18…冷却ブロック、18a…受熱面(冷却面)、
23…オーバーハング部、24…接続端子、26…主回路バスバー、
38…第1半導体素子、40…第2半導体素子、46a…第1電力端子、
46b…第2電力端子、47a、47b…接触部、52…モールド樹脂体、
52c…底面、55…高熱伝導樹脂、55a…第1樹脂、55b…第2樹脂、
57…絶縁板

Claims (5)

  1. 受熱面を有する冷却器と、
    複数の接続端子を支持し、受熱面上で前記冷却器に取り付けられた支持フレームと、
    前記接続端子に接続される電力端子および半導体素子を含み、前記冷却器の受熱面上に設置された半導体装置と、
    前記半導体装置と受熱面との間の隙間、および前記半導体装置と支持フレームとの間の隙間に充填され、前記半導体装置と受熱面および支持フレームとを接合する接着性、絶縁性および熱伝導性を有する熱伝導樹脂と、
    を備える電力変換装置。
  2. 前記熱導電樹脂は、特性の異なる第1樹脂および第2樹脂を含み、
    前記第1樹脂は、前記半導体装置の底面に形成され、前記第2樹脂は、前記受熱面上に充填され、前記第1樹脂および半導体装置により押圧されて、前記第1樹脂と受熱面との間に隙間、および前記半導体装置と支持フレームとの間の隙間に充填されている請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記第1樹脂は、前記受熱面上に充填され、前記半導体装置の底面よりも大きな寸法に形成され、前記第2樹脂は、前記第1樹脂に重ねて充填され、前記半導体装置の底面により押圧されて、前記第1樹脂と半導体装置との間に隙間、および前記半導体装置と支持フレームとの間の隙間に充填されている請求項2に記載の電力変換装置。
  4. 前記支持フレームは、前記冷却器にねじ止めされた外枠と、前記半導体装置の電力端子と受熱面との間に突出し、前記半導体装置の端面と隙間を置いて対向しているとともに、前記受熱面と隙間を置いて対向するオーバーハング部と、を有し、
    前記熱導電樹脂は、前記半導体装置の端面とオーバーハング部との隙間、および前記オーバーハング部と受熱面との隙間に充填されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  5. 電力変換装置の製造方法であって、
    複数の接続端子を支持する支持フレームを、冷却器の受熱面上に載置し、
    前記支持フレームの複数個所を前記冷却器にねじ止めし、
    前記受熱面上に接着性、絶縁性および熱伝導性を有する熱伝導樹脂を充填し、
    半導体素子および前記接続端子に接続される電力端子を有する半導体装置を、前記熱伝導樹脂上に載置し、
    前記半導体装置の自重あるいは印加荷重により、半導体装置により前記熱伝導樹脂を押し潰し、前記半導体装置の底面と受熱面との隙間、前記半導体装置の端面と前記支持フレームのオーバーハング部との間の隙間、および、前記オーバーハング部と受熱面との隙間に、前記熱伝導樹脂を充填し、この熱伝導樹脂により、半導体装置と受熱面、半導体装置とオーバーハング部、およびオーバーハング部と受熱面を接着する
    電力変換装置の製造方法。
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