JP2015099711A - センサ光回路並びにリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】電池の内部および外部の温度および歪量を、電気的短絡、電磁干渉および液漏れを生じさせることなく測定できるリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。【解決手段】本発明のリチウムイオン二次電池は、当該リチウムイオン二次電池の表面または内部にセンサ光回路を配置したことを特徴とする【選択図】 図1
Description
本発明は、温度および歪量を検知するためのセンサ光回路並びに、電池およびその他の機器に当該センサ光回路を実装したシステムに関するものである。
リチウムイオン二次電池を動作させると、発熱により温度が上昇する。高温になると劣化が加速される上、一定以上の温度では電池の故障の危険も生じる。このため、劣化予測や故障防止に向けて、動作時の正確な温度を測定することが望ましい。
また、動作時には充放電によって電池が膨らむため、電池に歪が生じる。この歪もリチウムイオン二次電池の特性に影響を与えると考えられている。このため、動作時には正確な歪も測定できることが望ましい。
一方でリチウムイオン二次電池の温度や歪量の測定には、熱電対や歪ゲージを用いた方法が知られている。特許文献1には電池セルの内部に熱電対を配置したリチウムイオン二次電池が記載されている。
しかし、特許文献1に記載のリチウムイオン二次電池では、熱電対の電気的短絡が問題となる。これは、熱電対が導体である金属で構成されていることによる。
また、電池内部の測定に用いる場合には、積層された正極と負極との間を熱電対が短絡し易い。リチウムイオン二次電池に電気的短絡が生じると大電流が流れるおそれがあるため、問題となる。
更に、熱電対は電気回路であるため、測定や制御に用いる他の電気回路との間で電磁干渉を生じさせ易い。電磁干渉が生じると、測定や制御に影響を及ぼすため問題となる。また、歪ゲージも金属を用いた電気回路なので、熱電対と同様に電気的短絡および電磁干渉され、測定精度低下の問題が生じる。
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであって、本発明の目的の1つは電気的短絡および電磁干渉を引き起こすことなく温度もしくは歪量を測定可能な小型かつ安価に大量生産可能なセンサを提供することである。
また、本発明の他の目的の1つは、上記光センサ回路をリチウムイオン二次電池に実装して、電気的短絡、電磁干渉および電解液漏れを生じさせることなく、電池の外側および内側の温度、並びに歪量の測定を可能にするシステムを安価かつ大量に生産可能にすることである。
また、本発明の他の目的の1つは、上記光センサ回路を測定対象物に実装して、電気的短絡および電磁干渉を引き起こすことなく温度もしくは歪量の測定を可能にするシステムを安価かつ大量に生産可能にすることである。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要は以下である。
リチウムイオン二次電池の表面または内部にセンサ光回路を配置したことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
本発明によればリチウムイオン二次電池の内部および外部の温度および歪量を、電気的短絡、電磁干渉および液漏れを生じさせることなく測定できる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施例で紹介する方法以外にも、材料や製造工程の組合せを変える等、多くの変更が可能である事は言うまでもない。
また、図面に記載された図は、必ずしも正確に縮尺を合せているわけではなく、論理が明確になるように重要な部分を強調して模式的に描画してある。
また、本実施例の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
また、特に説明が無い場合には、全図において光ファイバおよび光導波路についてはコアのみを示し、クラッドは省略してある。
図1に本発明の第1の実施例のセンサ光回路素子1の上面図を示す。本センサ光回路素子1はセンサ部22および入出力ポート部24より構成されている。
センサ部22は、導波路基板10の上に形成された光導波路よりなる光回路である。センサ部22の光回路の構成は、干渉型光回路20および、入出力シングルモード光導波路からなる。また、干渉型光回路20は本実施例では方向性結合器の例を示してあるが、例えばマッハツェンダ干渉計やマルチモード干渉光導波路やArrayed Waveguide Grating (AWG)等の他の干渉型光回路でも良い。干渉型光回路20の光入力はシングルモード導波路30から行い、光出力はシングルモード導波路40およびシングルモード導波路50から行う。
一方、光の入出力ポート部24はマルチモードファイバより構成される。ここで、センサ光回路では光通信用の光回路とは異なり、モード分散は問題とならない。このため、光入出力ポートにマルチモードファイバを用いることができる。
本実施例では、光入力ポートはマルチモードファイバ60であり、光出力ポートはマルチモードファイバ70およびマルチモードファイバ80である。これらの光入出力ポートと干渉型光回路20の光入出力はそれぞれ光学的に結合されている。すなわち、マルチモードファイバ60はシングルモード導波路30と、マルチモードファイバ70はシングルモード導波路40と、マルチモードファイバ80はシングルモード導波路50と、それぞれ光学的に結合されている。
ここで、本センサ光回路素子1を形成する光導波路、光ファイバおよびその他の部材は、全て絶縁性の部材で構成されている。このため、本センサ光回路素子1を用いたセンサには電気的短絡を生じさせないという利点がある。
なお、光導波路、光ファイバおよびその他の部材は、材質自体がガラスやポリマ樹脂の様な絶縁体でも良いし、シリコンや化合物半導体の様な半導体を絶縁体でコーティングしたものでも良い。また、導体を絶縁体でコーティングしても良い。
次に本センサ光回路素子1のセンサシステムとしての動作を図1を用いて説明する。本センサ回路光素子1では、まず光源90から出射された入力光120がマルチモードファイバ60に入射される。光は更にシングルモード導波路30を経由して干渉型光回路20に到達する。ここで光は、温度もしくは歪量に応じた光強度比で、シングルモード導波路40およびシングルモード導波路50に配分されて、マルチモードファイバ70およびマルチモードファイバ80にそれぞれ進む。
マルチモードファイバ70およびマルチモードファイバ80の中を伝搬した光は、それぞれ出力光130および出力光140となって放射され、それぞれ受光器100および受光器110で受光される。
最後に、受光器100および受光器110で受光された光強度の比を求めれば、温度もしくは歪量を検知することができる。ここで、光源90は、半導体レーザや発光ダイオードでも良いし、その他の光素子でも良い。また、受光器100および受光器110はフォトダイオードやアバランシェフォトダイオードや電荷結合素子 (CCD : Charge Coupled Device)でも良いし、その他の光素子でも良い。
上記の様に、本センサ光回路1におけるセンサ信号は光である。このため、センサ部22および入出力ポート部24を伝搬するのは光のみで、電流は流れない。従って、本センサ光回路1には電磁干渉を生じさせ無いという利点がある。
また、上記の様に、本センサ光回路1は、構成する部材の数も少なく、それぞれの部材も小さい。このため、本センサ光回路1はリチウムイオン二次電池に実装して使用するのに十分なサイズに小型化することができる。
また、本センサ光回路1で温度を算出するために用いる光出力強度の比は、同一の干渉型光回路20からの2つの光出力の間の比である。このため、本センサ光回路素子1では干渉型光回路20への入力光の強度は不問である。なぜならば、どの様な比で入力光が分配されたかのみを知れば良いからである。
従って、本センサ光回路1では、光源90とマルチモードファイバ60との間の光結合損失が大きくても問題ないし、その光結合損失の量を知る必要も無い。また、マルチモードファイバ60とシングルモード導波路30との間の光結合損失についても同様である。更には、光源90の光出力強度も知る必要が無い。
このため、本素子では光部品間を光結合させる際に位置ずれが生じて損失が生じても問題が生じにくい。すなわち、許容位置ずれ量が大きい。このため、本センサ光回路1は組立ての際の位置合わせ精度が低くても良く、簡易な工程で組み立てが可能である。このため、作製コストも低く、大量生産も可能である。
また、光出力が不安定な安価な光源でも使用可能である。このため、部材コストも低くなる。更に、光源の光を分岐して複数の干渉型光回路20に分配する際も、分岐比は不問である。それぞれの干渉型光回路への入力光が不問だからである。従って、分岐回路の許容作製ずれも大きい。このため、回路自体の作製コストも低い。
一方、干渉型光回路20にマッハツェンダ干渉計を用いた光回路では、異なる干渉型光回路からの光出力の比を用いて温度を算出する。このため、この光回路では、それぞれの干渉型光回路への入力光の強度を正確に知る必要がある。
従って、この光回路では、まず光源の光出力を正確に把握する必要がある。このため、光出力が安定な光源が必要であり、部材コストが高い。
更に、干渉型光回路への入力光の強度を知るためには、光回路内の光損失量を正確に知る必要がある。このためには、光回路内の光損失を極力小さくする必要がある。これは、光損失量を知ることは困難であるため、光損失を生じない様にするしかないためである。
従って、干渉型光回路20にマッハツェンダ干渉計を用いた光回路では、光損失を生じさせない様に、部品を正確な位置に配置する必要がある。従って、許容位置ずれが小さい。このため、複雑な組み立て工程が必要になる。
また、光源からの光を分岐する回路がある場合には、設計通りの分岐比で回路を作製しなければならない。このため、作製工程も複雑になり、回路自体の作製コストも高い。以上の比較より、本発明は、干渉型光回路20にマッハツェンダ干渉計を用いた光回路に比べて、コストおよび量産性の点で有利である。但し、干渉型光回路20にマッハツェンダ干渉計を用いた光回路を用いたとしても、電気的短絡や電磁干渉の問題を生じさせる事無くリチウムイオン二次電池の温度を測定することが可能であるという利点は十分にある。
また、本センサ光回路1および本センサ光回路1を用いたシステムでは、入出力ポートに径の大きいマルチモードファイバ60、70及び80を用いることによっても、光結合部位の許容位置ずれを大きくしている。
以下、入出力ポートに径の大きいマルチモードファイバを用いる構成で光結合部位の許容位置ずれが大きくなる理由を、各部位について詳しく説明する。
まず、光源90とマルチモードファイバ60と間の光結合は、光源90からの光が、径の大きいマルチモードファイバ60に入射される構成となっている。このため、光源90とマルチモードファイバ60との間に位置ずれがあっても、光損失が生じにくい。従って、許容位置ずれが大きい。
次に、マルチモードファイバ60とシングルモード導波路30との間の光結合について説明する。ここでは、径の大きいマルチモードファイバ60から径の小さいシングルモード導波路30に光が入射されるため、たとえ両者の中心を正確に合わせて配置したとしても、ある一定値以上の光損失は必ず生じてしまう。しかし、その光損失量は、マルチモードファイバ60の径が大きいため、シングルモード導波路30との間に位置ずれが生じても大きく変化しない。すなわち、マルチモードファイバ60の半径の30ミクロン程度までの位置ずれであれば、ある一定値以上の光結合が確保される。従って、干渉型光回路20への光入力が全く無くなることは無い。
上述の様に、本センサ光回路1では干渉型光回路20へは光が入力されさえすれば良く、その入力光の強度は不問である。従って、光入力ポートをマルチモードファイバ60とすれば、位置ずれが大きくてもセンサとしての動作は確保される。一方、光入力ポートをシングルモードファイバとした場合には、シングルモード導波路30との合わせ位置ずれが無い場合には光損失を非常に小さくできるが、わずかな合わせ位置ずれによっても光損失が非常に大きくなってしまうという問題が生じる。すなわち、シングルモードファイバの半径の5ミクロン程度のわずかな位置ずれであったとしても、シングルモード導波路30とは光はほとんど結合しなくなってしまう。この場合、干渉型光回路20にも光が入力されなくなってしまい、センサとして動作しなくなってしまう。この様に、光入力ポートをマルチモードファイバ60とすれば、シングルモードファイバとした場合に比べて位置合わせ精度が低くても良く、組立ての簡易化が可能となる。
なお、マルチモードファイバ60とシングルモード導波路30との間の光結合の際に漏れた光が、非導波モードとなってシングルモード導波路30に沿って伝搬する場合も考えられる。その場合、非導波モードの光が干渉型光回路20に入射すると、特性に影響を及ぼしてしまう。そこで図1の様に、シングルモード導波路30には干渉型光回路20に接続する前に曲がりを設けておくと良い。これは、導波モードよりも非導波モードの方が、曲がり損失が生じる曲率半径が大きいからである。従って、シングルモード導波路30内を伝搬する導波モードには損失が生じず、非導波モードには損失が生じる曲率半径の曲がりを設けておくと良い。なお、曲がりは一箇所だけである必要は無く、例えばシングルモード導波路30を蛇行させても良い。
次に、シングルモード導波路40とマルチモードファイバ70との間の光結合について説明する。ここでは、径の小さいシングルモード導波路40から大きいマルチモードファイバ70へ光が入射する。このため、シングルモード導波路40とマルチモードファイバ70との間に位置ずれがあっても、光損失が生じにくい。従って、許容位置ずれが大きくなる。シングルモード導波路50とマルチモードファイバ80との間の光結合についても同様である。
次にマルチモードファイバ70と受光器100との間の光結合について説明する。センサにおける光信号は光通信における光信号とは異なり、高速変調されていない。従って、受光器100の受光径も大きくできる。従って、本センサでは受光器100の受光径を十分大きくすることによって、径の大きなマルチモードファイバ70からの光を受光する際にも、受光器100とマルチモードファイバ70との間の位置ずれがあっても光損失を生じにくくできる。従って、許容位置ずれを大きくできる。マルチモードファイバ80と受光器110との間の光結合についても同様である。
この様に、本構成では光結合部位の許容位置ずれを大きくできる。従って、位置合わせ精度の低い簡易な組み立て方法が採用可能となり、本センサおよび本センサを用いたシステムは安価に大量生産できる。
以上説明した様に、本発明のセンサ光回路1は温度もしくは歪を、電気的短絡や電磁干渉を起こす事無く測定することが可能である。また、本発明のセンサ光回路1は小型であるため、リチウムイオン二次電池に実装して使用可能である。
また、本発明のセンサ光回路1および本発明のセンサ光回路1を用いたセンサシステムは安価に大量生産可能である。
なお、温度測定方法にはヘテロダイン干渉光学系を用いた温度測定方法もあるが、この方法では光学機器や光学部品が多く測定系が大型になる。
一方で本発明のセンサ光回路は小型であるため、をリチウムイオン二次電池への実装に非常に適している。
次に本実施例のセンサ光回路1の作製法を説明する。図2はセンサ部22の作製手順を説明するための図である。図2は図1中のA-A’を通る紙面に垂直な断面を示している。センサ部22の作製には、まず導波路基板10を用意する(図2(a))。次に導波路基板10の上にコア層12を形成する(図2(b))。更に、コア層12をパターニングして、シングルモード導波路30、40および50を形成する(図2(c))。最後にクラッド層14を形成して完成する(図2(d))。ここで、クラッド層14は上側クラッドとして機能する。また、導波路基板10は下側クラッドとして機能する。もし、導波路基板10を下側クラッドとしない場合には、導波路基板10の上に下側クラッド層を設けた後に、コア層12を形成すれば良い。本実施例のセンサ光回路1は、センサ部22と入出力ポート部のマルチモードファイバ60、70および80を組立てれば完成する。なお、図1および図1の説明ではクラッド層14は省略した。
次に本センサ光回路1の特性について説明する。図3に本センサ光回路1の特性を計算した結果を示す。図の横軸は温度、縦軸は受光器100での受光強度(PA)と受光器110での受光強度(PB)との比(PA/PB)のデシベル表示である。計算ではセンサ光回路1の材料にはポリマ樹脂を仮定し、単位温度当たりの屈折率変化(dn/dT)を-150ppm/Kとした。光波長は1.3ミクロンとし、干渉型光回路20は方向性結合器とした。方向性結合器の長さLは750ミクロンとした。この時、縦軸の値は100℃で0デシベルとなった。図より、本センサ光回路1によれば例えば100℃近傍において、約0.3(dB/℃)の精度で温度を測定することができることが分かる。ここで受光強度PAおよびPBは、以下の式1および式2で表すことができる。式中のχはモード結合係数である。χは屈折率に依存するため、温度により値が変化する。
式より、Lを長くすれば本発明の温度センサの精度を向上できることが分かる。図4はLを約2200ミクロンまで長くした場合の計算結果である。図より、100℃近傍の温度測定精度を約0.8(dB/℃)に向上できることが分かる。また、図および式から、Lを長くするとグラフの縦軸の値の温度変化に対する振動周期が短くなることがわかる。
この場合、測定温度範囲に縦軸の値が等しくなる温度が複数存在する様になるので、温度を一義的に決定できない。この様な場合は、図3に特性を示した様な、測定温度範囲で縦軸が振動しない程度にLが短い素子と併用して測定を行えば良い。両素子の縦軸値を比較すれば、温度を決定できる。すなわち、Lの異なる素子を併用して測定をすれば、Lが短い素子単独で測定した場合に比べて温度測定精度が向上し、また、Lが長い素子単独で測定した場合に比べて測定可能温度範囲が拡大する。なお、本測定においてLの異なる3個以上の素子を用いて温度を決定しても良い。
以上の説明では、干渉型光回路20が方向性結合器である例を示してきた。
しかし、本センサに用いる干渉型光回路20は方向性結合器には限られない。方向性結合器以外にも、マッハツェンダ型光導波路や多モード干渉光導波路(MMI: Multi Mode Interference Waveguide)やAWG (Arrayed Waveguide grating)および他の干渉型光回路を用いることができる。なお、今後説明する他の実施例についても、これと同様である。
図5に本センサに用いることのできる干渉型光回路20の一例として、非対称多モード干渉光導波路を示した。図の非対称多モード干渉光導波路による干渉型光回路20の動作は以下である。
まず、干渉型光回路20への入力光500がシングルモード導波路510に入射する。
次に、光はマルチモード導波路520に進み、シングルモード導波路512およびシングルモード導波路514に分配された後、干渉型光回路20からの出力光502および干渉型光回路20からの出力光504となる。
なお、図中の破線A-A’はマルチモード導波路520の幅方向の中心線である。ここで幅方向は紙面の上下方向である。本発明のセンサ光回路1の干渉型光回路20として用いるためには、多モード干渉光導波路は非対称型にする必要がある。
図の例では、シングルモード導波路とマルチモード導波路との位置関係を非対称にすることによって非対称多モード干渉光導波路を構成している。すなわち、図5(a)ではシングルモード導波路510をマルチモード導波路520の幅方向の中心から外した位置に配置し、また、図5(b)および(c)では、シングルモード導波路512および514をマルチモード導波路520の幅方向の中心に対して非対称に配置している。
図6に本センサ光回路1に用いることのできる干渉型光回路20の一例として、マッハツェンダ型光導波路を示した。図のマッハツェンダ型光導波路による干渉型光回路20の動作は以下である。まず、干渉型光回路20への入力光500がシングルモード導波路510に入射する。次に、光はマルチモード導波路522に進み、シングルモード導波路530およびシングルモード導波路532に分配された後、更にマルチモード導波路524に進み、シングルモード導波路512およびシングルモード導波路514に分配された後、干渉型光回路20からの出力光502および干渉型光回路20からの出力光504となる。
これまでの説明では、干渉型光回路20への光入力および光出力は、それぞれ1および2としていたが、これに限る必要は無い。すなわち、干渉型光回路20への光入力および光出力は、それぞれ2以上および3以上でも良い。なお、今後説明する他の実施例についても、これと同様である。
また、これまでの説明では、主に温度センサについて述べてきたが、歪センサについても同様である。なお、今後説明する他の実施例についても同様である。
図7に本発明の第2の実施例のセンサ光回路2の上面図を示す。本実施形例と第一の実施例が異なる点は入出力ポート部24が導波路基板16の上に形成された本実施例では、センサ部22は上記実施例と同じであるが、入出力ポート部24は導波路基板16の上に形成されたマルチモード導波路62、72および82で構成されている。マルチモード導波路も径が大きいためシングルモード導波路との間の許容位置ずれが大きい。
このため、本実施例のセンサ光回路およびセンサ光回路システムも、マルチモードファイバを用いた実施例1と同様に安価に大量生産可能である。
図8に本発明の第3の実施例のセンサ光回路3の上面図を示す。本実施例でもセンサ22部は実施例1と同じであるが、入出力ポート部26もセンサ部22と同一の導波路基板10の上に一体で形成されている。ここで、入出力ポート部26における入力ポートはマルチモード導波路64である。本構成ではセンサ部22および入出力ポート部26はパターニングで同時に一体として作製される。このため、センサ部22および入出力ポート部26の間の位置ずれは生じない。従って、入出力ポート部26における出力ポートは干渉型光回路20の出力導波路であるシングルモード導波路40および50をポート端まで延長すれば良い。シングルモード導波路40と受光器100との間の光結合における許容位置ずれは、マルチモード導波路やマルチモードファイバと受光器との間の場合よりも大きくできる。これは、径の小さいシングルモード導波路からの光を受光器が受ける様になるからである。
図9に本発明の第4の実施例のセンサ光回路4の上面図を示す。本実施例は上記実施例3において入出力ポート部24における入力ポートを干渉型光回路20の入力導波路であるシングルモード導波路30を延長して形成したものである。本実施例では上記実施例3において、マルチモード導波路64とシングルモード導波路30との間で生じる光損失は生じない。従って、光源90とシングルモード導波路30との間の位置ずれを小さくできる様な組み立てを採用した場合には、光源からの光出力を実施例3に比べて小さくできるという利点がある。
図10に本発明の第5の実施例のセンサ光回路5の上面図を示す。本実施例は上記実施例1において入力ポートをシングルモードファイバ66としたものである。本実施例では、光源90、シングルモードファイバ66およびシングルモード導波路30との間の位置ずれを小さくできる様な組み立てを採用した場合には、光源からの光出力を実施例1に比べて小さくできるという利点がある。
図11に本発明の第6の実施例のセンサ光回路6の上面図を示す。本実施例は上記実施例2の素子を2個集積した素子である。図には干渉型光回路20および23が方向性結合器である例を示してある。ここで、集積した2個の素子では干渉型光回路20の方向性結合器よりも干渉型光回路23の方向性結合器を長くしてある。これにより本実施例では、実施例1の説明の際に述べた様に、干渉型光回路20単独で測定した場合に比べて温度測定精度が向上し、また、干渉型光回路23単独で測定した場合に比べて測定可能温度範囲が拡大する。本実施例の動作は以下の通りである。本素子では、まず光源90から出射された入力光120がマルチモード導波路67に入射される。光は更にシングルモード導波路68を経由してマルチモード導波路69に到達し、シングルモード導波路30およびシングルモード導波路33へ分配される。
シングルモード導波路33に進んだ光は更に干渉型光回路23に到達する。ここで光は、温度もしくは歪量に応じた光強度比で、シングルモード導波路43およびシングルモード導波路53に配分されて、マルチモード導波路73およびマルチモード導波路83にそれぞれ進む。
マルチモード導波路73およびマルチモード導波路83の中を伝搬した光は、それぞれ出力光133および出力光143となって放射され、それぞれ受光器103および受光器113で受光される。
また、シングルモード導波路30に進んだ光も同様に受光器100および受光器110で受光される。
最後に、受光器100と受光器110とで受光された光強度の比および受光器103と受光器113とで受光された光強度の比を求めて比較すれば、温度もしくは歪量を検知することができる。
ここで、マルチモード導波路69は多モード干渉光導波路として機能して分岐回路になる様に設計しておく。また、マルチモード導波路69を多モード干渉光導波路として機能させるために、マルチモード導波路69への光入力はシングルモード導波路とする。
光源90との光結合にマルチモード導波路67を用いるのは、実施例1の説明で述べた様に、許容位置ずれを大きくするためである。なお、温度もしくは歪量の測定で重要なのは、同じ干渉型光回路から出力された光強度の比である。このため、実施例1の説明で述べた様に、干渉型光回路20及び23に入力される光の強度は把握する必要は無く任意で良い。
従って、マルチモード導波路69が必ずしも設計通りの分岐比で光をシングルモード導波路30およびシングルモード導波路33に分岐していなくても、本センサ素子は設計通り機能する。従って、このため、本素子には分岐回路の許容作製ずれが大きいという長所がある。なお、図には入力光の分岐が1つの例を示したが、分岐を2つ以上にして干渉型光回路の数を増やしても良い。また、図には1つの光源からの入力光を分岐して用いる例を示したが、複数の光源からの光を用いても良い。また、図には実施例2の素子を複数集積する例を示したが、他の実施例の素子を複数集積しても良い。
図12に本発明の第7の実施例を示す。本実施例はリチウムイオン二次電池210のセル外側の表面に本発明のセンサ光回路1を実装したシステムである。
従来のリチウムイオン二次電池では熱電対を用いてリチウムイオン二次電池の温度を測定していた。この場合電気的短絡が問題となる。これは、熱電対が導体である金属で構成されていることによる。例えば、電池の外側の温度を測定する場合には、取り出し電極と熱電対との接触による電気的短絡が生じ易い。更に、リチウムイオン二次電池をモジュールに格納する場合には、多くの電池が密集して配置されるため、個々の電池に取り付けた熱電対同士の接触による電気的短絡も生じ易い。
また、電池内部の測定に用いる場合には、積層された正極と負極との間を熱電対が短絡させ易い。リチウムイオン二次電池に電気的短絡が生じると大電流が流れるため危険であり、問題となる。
更に、熱電対は電気回路であるため、測定や制御に用いる他の電気回路との間で電磁干渉を生じさせ易い。電磁干渉が生じると、測定や制御に影響を及ぼすため問題となる。また、歪ゲージも金属を用いた電気回路なので、熱電対と同様に電気的短絡および電磁干渉の問題が生じる。
一方で本センサは絶縁体でかつ電流を流さないので、図の様にリチウムイオン二次電池をモジュール内に密集させて配置しても、電気的短絡や電磁干渉を引き起こさない。
なお、本実施形態ではセル外側の表面にセンサ光回路1を配置した構造となっているが、センサ光回路1は実施例2〜6までに記載のセンサ光回路2〜6でも良い。
図13、14および15に本発明の第8の実施例を示す。本実施例は実施例2のセンサ光回路2を実装したリチウムイオン二次電池システムである。また、本システムに用いるリチウムイオン二次電池はラミネートセル型リチウムイオン二次電池600である。
ここで、図13は上面図である。また、図14および図15は、それぞれ図13中のA-A’およびB-B’での紙面に垂直な方向の断面図である。なお、図中の片側矢印は当該部位における光の進行方向を示す。
また、図では光源および受光器は省略してある。本構成によれば、リチウムイオン二次電池600のセル内部の温度もしくは歪量を直接測定することができる。
以下、本実施例の構造を説明する。まず、ラミネートセル型リチウムイオン二次電池600では、正極および負極の2つの電極端子214が上下に配置した熱溶着シートに包み込む様にされて外装されている。熱溶着シートは透明樹脂シート218およびアルミラミネートシート216の積層構造となっている。ここで、熱溶着シートには更に他のシートを積層しても良い。
また、リチウムイオン二次電池600では、正極、セパレータおよび負極を交互に多数積層した電極体212が、上下の熱溶着シートによって密閉された領域213の中に配置されている。熱溶着シートによる密閉は、上下に配置した熱溶着シートを熱溶着部610で熱溶着することによって行われる。このとき、上下の熱溶着シートは透明樹脂シート218同士が接する様に対向させて熱溶着する。
従って、ラミネートセル型リチウムイオン二次電池600の表面にはアルミラミネートシート216が配置される。また、熱溶着シートによって密閉された領域213の内部には電解液が満たされている。
本実施例では、本発明のセンサ光回路2のセンサ部22を前記上下の熱溶着シートの間に挿入する。この際、干渉型光回路20が上記熱溶着シートによって密閉された領域213の内部に配置される様にする。特に干渉型光回路22が電極体212の積層構造の中に配置された場合、ラミネート型リチウムイオン二次電池600の内部の温度をより精度よく検知するが可能になるので、より好ましい配置となる。
一方、センサ部22の入出力導波路の端部230(図13中には不図示)、すなわち干渉型光回路20が無い方の端部は、熱溶着部610の内部に配置される。また、センサ部22の入出力導波路の端部230の上方には透明窓220が形成されている。この透明窓220は熱溶着部610に形成されている。このようにすることによって、センサ光回路の入出力ポート部24をラミネートセルの薄い部分に配置することが可能となる。そのため、組電池にした場合であっても、入出力ポート部24を配置することによる大型化を避けることができる。なお、この透明窓220は光の損失が小さなものであることが好ましいが、光を通過させることが可能なものならばどのようなものでも構わない。
更に、図15に示すように、本発明の実施例2のセンサ光回路2の入出力ポート部24をラミネートセル型リチウムイオン二次電池600の表面に配置する。この際、入出力ポート部24のマルチモード導波路62、72および82の端部240(図13中には不図示)を透明窓220の上側に配置する。また、入出力ポート部24のマルチモード導波路62、72および82が、センサ部22のシングルモード導波路30、40および50とそれぞれ対向する様に配置する。
ここで、センサ部22の入出力導波路の端部230および入出力ポート部24のマルチモード導波路62、72および82の端部240には45度ミラー等の光路変換構造を設ける。この光路変換構造は、図14において図示するように、水平方向に進む光の進路を垂直方向に変換する様な機能を有する。なお、上記透明窓220は例えばアルミラミネートシート216を当該部位のみ除去することによって作製できる。また、他の方法で作製しても良い。また、熱溶着シートによって密閉された領域213の気密は、熱溶着部610内に、透明窓220を開かない領域で確保されている。
次に本素子のセンサシステムとしての動作を図14を用いて説明する。本素子では、まず光源から出射された入力光が図14の右端からマルチモード導波路62に入射され、入出力ポート部24の端部240に到達する。次に、光は端部240に設けられた光路変換構造により図14の下向きに進み、透明窓220を通過してセンサ部22の端部230に配置されているシングルモード導波路30に到達する。
更に、光はセンサ部22の端部230に設けられた光路変換構造により図14の左向きに進み、干渉型光回路2222に到達する。ここで光は、温度もしくは歪量に応じた光強度比で、シングルモード導波路40およびシングルモード導波路50に配分されて進み、センサ部22の端部230に到達する。
そして、光はセンサ部22の端部230の端部に配置された光路変換構造により図14の上向きに進み、透明窓20を通過して入出力ポート部24の端部240に到達する。
更に、光は入出力ポート部24の端部240に設けられた光路変換構造により図14の右向きに進行方向を変えて、マルチモード導波路72および82の中をそれぞれ伝搬した後、それぞれ別の受光器で受光される。
最後に、それぞれの受光器で受光された光強度の比を求めれば、センサ部22での温度もしくは歪量を検知することができる。この様に、本素子ではラミネートセル型リチウムイオン二次電池600の内部の温度もしくは歪を直接測定することができるため、従来の熱電対などによる測定よりも測定精度が向上する。
次に、センサ部22の入出力導波路の端部230に設ける光路変換構造について説明する。図16は図14と同じ断面で示した光路変換構造部の一例である。本図の様に、シングルモード導波路30、40および50のコア層の端面を45度に傾斜させることによって45度ミラー400として、光路変換構造を形成することができる。コア層の端面を45度に傾斜させるのは、例えばダイシングブレードを斜めに配置してダイシングを行う等の工程によって可能である。
また、45度ミラーによる光路変換は図17の様な構造でも可能である。図17も図14と同じ断面を示している。図17ではシングルモード導波路30、40および50から光の進行方向にわずか離れた位置に別のコア層410を設ける。コア層410の端面を45度に傾斜させることによって45度ミラー400を形成すれば、光路変換が可能になる。
また、光路変換は図18の様な構造でも可能である。図18も図14と同じ断面を示している。図18ではシングルモード導波路30、40および50の入出力ポート部24と対向する面に回折格子420を設けている。折格子420回格子間隔を調整することによって光路変換が可能になる。なお、本素子の光路変換構造は他の構造によっても良い。また、マルチモード導波路62、72および82の端部240における光路変換構造も上記と同様である。
また、センサ部22の入出力導波路の端部230にはSpot Size Converter(SSC)を設けても良い。SSCは導波路を伝搬する光の放射角度を狭めることによって光学結合を容易にするための構造である。光の放射角度を狭めるためには、光のSpot Sizeを拡大すれば良い。また、光のSpot Sizeを拡大するためには、例えば光導波路のコア厚やコア幅を変調すれば良い。
図19にはシングルモード導波路30、40および50のコアを薄くしたSSCの例を示す。図19は図14と同じ方向の断面図である。コアを薄くするとコアから漏れ出す光が増大するのでSpot Sizeを拡大することができる。
図20にシングルモード導波路30、40および50のコア幅を狭くしたSSCの例を示す。図20は上面図である。コア幅を狭めた場合もコアから漏れ出す光が増大するのでSpot Sizeを拡大することができる。
図21にコアを厚くしたSSCの例を示す。図21は図14と同じ方向の断面図である。コアを厚くするとコア内に光が広がるのでSpot Sizeを拡大することができる。
図22にシングルモード導波路30、40および50のコア幅を広くしたSSCの例を示す。図22は上面図である。コア幅を広げた場合もコア内に光が広がるのでSpot Sizeを拡大することができる。
これらのSSCを設けることによって、シングルモード導波路30、40および50と、マルチモード導波路62、72および82との間の光結合において、光結合効率を向上させたり、もしくは合わせ位置ずれが生じた場合の損失を低減したりすることが可能になる。また、これらのSSCは前記の他の実施例および以後説明する実施例に用いても有効である。また、図19、20、21および22では、光路変換に45度ミラーを用いた場合を示したが、SSCは他の光路変換構造と併用しても有効であるし、また、光路変換を用いない構造に適用しても有効である。
また、図23および24に、シングルモード導波路30、40および50と、マルチモード導波路62、72および82との間の光結合において、レンズ360を用いた変形例を示す。図23は図14と同じ断面を示し、図24は図15と同じ断面を示す。センサ部22及び入出力ポート部24にレンズ360を設けることによって、シングルモード導波路30、40および50と、マルチモード導波路62、72および82との間の光結合において、光結合効率を向上させたり、もしくは合わせ位置ずれが生じた場合の損失を低減したりすることが可能になる。
また、従来のように熱電対もしくは歪ゲージを用いてリチウムイオン二次電池の内部の温度もしくは歪量を測定する場合には、電解液漏れも問題となっていた。これは、熱電対や歪ゲージからの信号を外部に取り出すための配線によって、缶やラミネートフィルムによる液封止構造が損なわれるからである。しかし、本実施例によれば、電解液漏れを招くことなく、ラミネートセル型リチウムイオン二次電池600の内部の温度もしくは歪量を直接測定することが可能である。また、電気的短絡や電磁干渉を引き起こさないのは、前記の実施例と同様である。なお、本実施例に用いる光源の波長は、透明樹脂シート218で吸収されにくい光の波長が望ましい。
また、以上の説明ではリチウムイオン二次電池としてラミネートセル型に関して述べたが、缶型等の他の型のリチウムイオン二次電池でも、ガラス等で透明窓を作成すれば、本実施例の構成が作製可能である。
実施例8では、本発明の実施例2のセンサ部22を上下の熱溶着シートの間に挿入する場合について述べたが、他の実施例のセンサ部や、他の実施例のセンサ部と入出力ポート部が一体となった導波路やファイバを挿入しても良い。
また、実施例8では実施例2の入出力ポート部24をラミネートセル型リチウムイオン二次電池600の表面に配置していたが、他の実施例の入出力ポート部を用いても良い。
図25に本発明の第9の実施例の上面図を示す。本実施例では、実施例8において、実施例2のセンサ部22に代えて、センサ部22と入出力ポート部26とが一体となった本発明の実施例3の導波路を上下の熱溶着シートの間に挿入した構成になっている。また、ラミネートセル型リチウムイオン二次電池600の表面に配置するのは、実施例8と同様に実施例2の入出力ポート部24である。上下の熱溶着シートに挟まれた導波路の入出力ポート部26の端部には、実施例8と同様の光路変換構造が設けられる。
すなわち、マルチモード導波路64、シングルモード導波路40およびシングルモード導波路50の端面に光路変換構造が設けられる。その他の部位の構造および動作は実施例8と同様である。本構造によれば、ラミネートセル型リチウムイオン二次電池の表面に配置された入力導波路から熱溶着シートに挟まれた入力導波路に光が結合する際の損失が、実施例8に比べて少なくなる。
これは、いずれもマルチモード導波路である、マルチモード導波路62からマルチモード64への光結合となるからである。
図26、27および28に本発明の第10の実施例を示す。本実施例もセンサ光回路を実装したリチウムイオン二次電池システムである。また、本システムに用いるリチウムイオン二次電池もラミネートセル型リチウムイオン二次電池600である。ここで、図26は上面図である。また、図27および図28は、それぞれ図26中のA-A’およびB-B’での紙面に垂直な方向の断面図である。なお、図中の片側矢印は当該部位における光の進行方向を示す。
本実施例は実施例9における入出力ポート部26の代わりに、光源および受光器をラミネートセル型リチウムイオン二次電池600の表面に配置した入出力ポート部28になっている。光源310、受光器320および受光器322は、例えばサブアセンブリ300上にそれぞれ配線されて配置されている。
また、サブアセンブリ300は支持部材340を介してラミネートセル型リチウムイオン二次電池600の表面に配置されている。支持部材340は例えば接着剤やソルダバンプでも良いし、他の部材でも良い。
本実施例の素子の動作は、実施例9における入出力ポート部26への光の入出力に代わって、受光器320および受光器322へ光が入出力される。すなわち、光源310から図27の下方向に出射された光は透明窓220を透過してマルチモード導波路64の端部に形成された光路変換部で進路を図27の左方向に変えて進行する。また、シングルモード導波路40およびシングルモード導波路50内を図27の右方向に進んだ光は、それぞれのシングルモード導波路の端部に形成された光路変換部で進路を上方に変えて、それぞれ受光器320および322で受光される。他の部位での光の進行および温度もしくは歪量の検知方法は実施例9と同様である。
また、本実施例では無線信号を発信もしくは受信もしくは発受信できる無線素子330を、例えばサブアセンブリ300上もしくは他の部位に配置して、例えば制御装置と通信しても良い。
本実施例に用いる光源310は、例えば面発光型半導体レーザでも良いし、LISEL(Lens-Integrated Surface Emitting Laser)でも良いし、端面発光型半導体レーザの共振方向を図27の上下方向に配置したものでも良いし、端面発光型半導体レーザの共振方向を図27の左右方向に配置して光路変換素子と組み合わせたものでも良いし、発光ダイオードでも良いし、その他の素子でも良い。
また、本実施例に用いる受光器320および322は、例えば表面入射型フォトダイオードでも良いし、裏面入射型フォトダイオードでも良いし、導波路型フォトダイオードの導波方向を図27の上下方向に配置したものでも良いし、導波路型フォトダイオードの導波方向を図27の左右方向に配置して光路変換素子と組み合わせたものでも良いし、電荷結合素子でも良いし、その他の素子でも良い。
本実施例によれば、センサ信号を伝送する光回路もしくは電気回路を長く引き回す必要がなくなる。
図29に本発明の第11の実施例の上面図を示す。本実施例もセンサ光回路を実装したリチウムイオン二次電池システムである。また、本システムに用いるリチウムイオン二次電池もラミネートセル型リチウムイオン二次電池600である。なお、図中の片側矢印は当該部位における光の進行方向を示す。
本実施例は実施例3の導波路を上下の熱溶着シートの間に挿入した構成になっている。ここで、干渉型光回路20は熱溶着シートによって密閉された領域213の内部に配置されている。
また、入出力ポート部26の端面側が、電極端子214と併せてラミネートシートに包みこむ様にしてラミネートシートの外側に取り出されている。ここで、本光回路の導波路はこの様な取り出しをしても、厚さが薄いため電解液漏れを招きにくい。
本構成によれば、ラミネートセル型リチウムイオン二次電池600内部の温度もしくは歪量を、電気的短絡や電磁干渉や液漏れを招くことなく、直接測定することができる。図では、電極端子214と併せて入出力ポート部26の端面側をラミネートシートの外側に取り出しているが、電極端子214の無い部位から取り出しても良い。
図30に本発明の第12の実施例の上面図を示す。本実施例もセンサ光回路素子を実装したリチウムイオン二次電池システムである。また、本システムに用いるリチウムイオン二次電池もラミネートセル型リチウムイオン二次電池600である。なお、図中の片側矢印は当該部位における光の進行方向を示す。
本実施例は実施例11の入出力ポート部26の上に、光源310、受光器320および受光器322の光素子を配置した構成になっている。光素子の配置方法および、入出力ポート部26の端面に光路変換構造を設ける事等は、実施例10と同様である。また、本実施例においても、無線素子330を配置しても良い。
本実施例によれば、センサ信号を伝送する光回路もしくは電気回路を長く引き回す必要がなくなる。図では、光素子が電極端子214の上に配置されているが、他の部位に配置しても良い。また、図では、電極端子214と併せて入出力ポート部26の端面側をラミネートシートの外側に取り出しているが、電極端子214の無い部位から取り出しても良い。
本発明のセンサ光回路は、リチウムイオン二次電池以外にも適用可能であることは言うまでも無い。
図31は本発明のセンサ光回路をタービンに適用した場合の、本発明の第12の実施例の上面図を示す。タービン240の外側もしくは内部に本発明のセンサ光回路200を配置すれば、タービン240の温度もしくは歪量を、電気的短絡や電磁干渉を招くことなく、低コストに測定できる。
また、本センサ光回路および本センサ光回路を動作させるためのシステムは小型であるため、タービン240の配置や動作に支障をきたすことは無い。ここで、本発明のセンサ光回路200には、例えば本発明の第1乃至は第6の実施例のセンサ光回路を用いれば良い。
図32は本発明のセンサ光回路を例えば車載機器、列車搭載機器、航空機搭載機器、発電機用機器、電子計算機、通信機器、データストレージ機器、医療機器およびその他の機器部品に適用した場合の、本発明の第12の実施例の上面図を示す。
機器部品260の外側もしくは内部に本発明のセンサ光回路200を配置すれば、機器部品260の温度もしくは歪量を、電気的短絡や電磁干渉を招くことなく、低コストに測定できる。
また、本センサ光回路および本センサ光回路を動作させるためのシステムは小型であるため、機器部品260の配置や動作に支障をきたすことは無い。ここで、本発明のセンサ光回路200には、例えば本発明の第1乃至は第6の実施例のセンサ光回路を用いれば良い。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
Claims (14)
- リチウムイオン二次電池の表面または内部にセンサ光回路を配置したことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
- 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記センサ光回路は、センサ部と、光の入出力を行う入出力ポート部を有し、
前記センサ部は、前記リチウムイオン二次電池の内部に配置されたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。 - 請求項2に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記リチウムイオン二次電池内部には、正極及び負極がセパレータを介して積層された電極体を有し、
前記センサ部には干渉型光回路が設けられ、
前記干渉型光回路は積層体の内部に配置されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。 - 請求項2または3に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記リチウムイオン二次電池は外装体を有するラミネートセル型であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。 - 請求項4に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記外装体には光を通過させる窓を有し、
前記センサ部と前記入出力ポートとは前記窓を介して光の授受を行うことを特徴とするリチウムイオン二次電池。 - 請求項5に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記窓は、前記外装体の熱溶着部に設けられていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。 - 請求項3乃至6のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池において、
前記干渉型光回路は少なくも一つの入力光回路と、少なくとも2つの出力光回路を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池。 - 請求項7に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記入力光回路または前記出力光回路のうち、少なくとも一つの少なくとも一部がマルチモードであることを特徴とするリチウムイオン二次電池。 - 請求項7または8に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記干渉型光回路は、方向性結合器、マッハツェンダ干渉計、マルチモード干渉光導波路、またはArrayed Waveguide Gratingのうちのいずれかであることを特徴とするリチウムイオン二次電池。 - 請求項4に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記リチウムイオン二次電池は外装体の内部から外部に導出される電極端子を有し、
前記入出力ポート部は、前記電極端子と重ねて導出されることを特徴とするリチウムイオン二次電池。 - 光導波路もしくは光ファイバで構成されたセンサ光回路であって、
前記センサ光回路は少なくとも1個の干渉型光回路を有し、
前記各干渉型光回路はそれぞれ少なくとも1個の入力光回路と少なくとも2個の出力光回路を有し、
同一の干渉型光回路の光出力の間の強度の比を計算することによって温度もしくは歪量を測定することを特徴とするセンサ光回路。 - 請求項11に記載のセンサ光回路において、
前記センサ光回路は絶縁性を有する部材で形成されていることを特徴とするセンサ光回路。 - 請求項11または12に記載のセンサ光回路において、
前記干渉型光回路の入力光回路または出力光回路のうち、少なくとも1つの少なくとも一部がマルチモードであることを特徴とするセンサ光回路。 - 請求項11乃至13のいずれかに記載のセンサ光回路において、
前記干渉型光回路は、方向性結合器、マッハツェンダ干渉計、マルチモード干渉光導波路、またはArrayed Waveguide Gratingのうちのいずれかであることを特徴とするセンサ光回路。
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