JP2015098929A - トルクコンバータのロックアップ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この装置は、クラッチ部28と、ハブフランジ30と、ダンパ機構29と、ダイナミックダンパ装置31と、を備えている。ダンパ機構29は、外周側トーションスプリング53と、内周側トーションスプリング55と、中間部材54と、を有している。外周側トーションスプリング53は、入力されるトルクが低い低トルク領域及び入力されるトルクが低トルク領域より高い高トルク領域の全領域で作動する。内周側トーションスプリング55は、外周側トーションスプリン53の出力側に配置され、低トルク領域のみで作動する。中間部材54は外周側トーションスプリング53と内周側トーションスプリング55とを連結する。ダイナミックダンパ装置31は中間部材54に設けられている。
【選択図】図14
Description
トルクコンバータ1は、エンジン側のクランクシャフト(図示せず)からトランスミッションの入力シャフトにトルクを伝達するための装置であり、入力側の部材に固定されるフロントカバー2と、3種の羽根車(インペラ3、タービン4、ステータ5)からなるトルクコンバータ本体6と、ロックアップ装置7と、から構成されている。
図2に、図1のロックアップ装置7を抽出して示している。ロックアップ装置7は、フロントカバー2からタービン4に動力を直接伝達するものである。ロックアップ装置7は、フロントカバー2とタービン4との間に配置されたクラッチ部28と、クラッチ部28からのトルクをタービン4に伝達するダンパ機構29と、ハブフランジ30(出力回転部材)と、ダイナミックダンパ装置31と、を備えている。
クラッチ部28は、油圧作動式の多板型であり、フロントカバー2からのトルクをダンパ機構29に伝達し、あるいはフロントカバー2とダンパ機構29との間のトルク伝達を遮断する。このクラッチ部28は、図2に示すように、クラッチ入力部材35及びクラッチ出力部材36と、それぞれ2枚の第1及び第2クラッチプレート37,38と、ピストン40と、を有している。
クラッチ入力部材35は、環状に形成されており、円板状の固定部35aと、固定部35aの外周端からトランスミッション側に延びて形成された外筒状部35bと、固定部35aの内周端からトランスミッション側に延びて形成された内筒状部35cと、を有している。固定部35aはフロントカバー2のトランスミッション側の面に溶接により固定されている。外筒状部35bの内周面には、軸方向に延びる複数の凹凸部が円周方向に所定の間隔で形成されている。
クラッチ出力部材36は、環状に形成されており、円板状に形成された円板部36aと、円板部36aの外周端部からエンジン側に延びて形成された筒状部36bと、を有している。円板部36aの内周部は、ダンパ機構29を構成する部材に、リベット41により固定されている。円板部36aの外周部は、外周側に行くにしたがってフロントカバー2に近づくように傾斜している。筒状部36bには、軸方向に延びる複数の溝が円周方向に所定の間隔で形成されている。
第1クラッチプレート37は環状に形成されている。第1クラッチプレート37の外周端には、クラッチ入力部材35の外筒状部35bの凹凸部に係合する複数の歯が形成されている。このような構成により、第1クラッチプレート37は、クラッチ入力部材35に対して軸方向に移動自在かつ相対回転不能である。
図3に、ピストン40に関連する部分を拡大して示している。ピストン40は、クラッチ入力部材35の内周側で、フロントカバー2と第1及び第2クラッチプレート37,38との間に配置されている。ピストン40は、環状に形成されており、外周面がクラッチ入力部材35の内筒状部35cの内周面に摺動自在に支持されている。ピストン40の外周面にはシール部材46が設けられ、ピストン40とクラッチ入力部材35との間がシールされている。また、ピストン40の内周端部には、トランスミッション側に延びる筒状部40aが形成されている。このピストン40の筒状部40aの内周面が、ピストン支持部材48に摺動自在に支持されている。
図4及び図5に示すように、ダンパ機構29は、クラッチ部28のクラッチ出力部材36が固定された入力プレート52と、複数の外周側トーションスプリング(入力側ダンパ部)53と、中間部材54と、内周側トーションスプリング(出力側ダンパ部)55と、1対のサポートプレート56と、を有している。なお、図4は、ロックアップ装置7のうちのダンパ機構29及びそれに関連する構成のみを抽出して示したものである。また、図5は入力プレート52及び外周側トーションスプリング53をトランスミッション側から視た図である。
入力プレート52は、環状に形成されており、円板部52aと、円板部52aの外周端に形成されたスプリング収納部52bと、円板部52aの内周端にトランスミッション側に延びて形成された支持部52cと、を有している。円板部52aには、前述のように、クラッチ出力部材36がリベット41により固定されている。スプリング収納部52bは、断面C形状であり、トーションスプリング53の内周側、フロントカバー2側の側部、及び外周側を支持している。また、スプリング収納部52bの円周方向の両端には、トーションスプリング53の端面に係合する係合部52eが形成されている。
外周側トーションスプリング53は、入力プレート52のスプリング収納部52bに収容されている。ここでは、3個のトーションスプリング53が設けられており、各トーションスプリング53は、自由状態で円弧形状となるアークスプリングである。すなわち、各トーションスプリング53は、スプリング収納部52bに収容されていない自由状態においても、図5で示すように回転方向に円弧状に延びる形状を維持している。
図4に示すように、中間部材54は、第1プレート61と第2プレート62とから構成されており、入力プレート52及びハブフランジ30に対して相対回転自在である。第1及び第2プレート61,62は入力プレート52とタービンシェル15との間に配置された環状かつ円板状の部材である。第1プレート61と第2プレート62とは軸方向に間隔をあけて配置されている。第1プレート61がエンジン側に配置され、第2プレート62がトランスミッション側に配置されている。第1プレート61と第2プレート62とは、図1及び図2に示すように、外周部が複数のリベット63によって互いに相対回転不能でかつ軸方向に移動不能に連結されている。
内周側トーションスプリング55は、中間部材54の両プレート61,62の窓部61a,62a内に配置されている。内周側トーションスプリング55は、外周側トーションスプリング53とは異なり、回転方向に直線状に延びるコイルスプリングである。そして、内周側トーションスプリング55は窓部61a,62aによって円周方向両端及び径方向両側が支持されている。さらに、内周側トーションスプリング55は窓部61a,62aの切り起こし部によって軸方向への飛び出しが規制されている。
1対のサポートプレート56は、複数の内周側トーションスプリング55のうちの1組2個を直列的に作用させるための部材である。すなわち、この実施形態では、6個の内周側トーションスプリング55(図9参照)が設けられているが、1対のサポートプレート56によって、それぞれ1組2個の内周側トーションスプリング55を直列的に作用させることができる。
図4及び図5に示すように、入力プレート52の円板部52aには、円弧状のストッパ溝52fが形成されている。このストッパ溝52fは、入力プレート52に対するハブフランジ30及び中間部材54の相対回転角度を規制するための溝である。また、中間部材54の第1プレート61の径方向中間部には、エンジン側に切り起こされたストッパ爪61cが形成されている。このストッパ爪61cが入力プレート52のストッパ溝52fに係合している。
図4及び図6に示すように、ハブフランジ30は、環状かつ円板状の部材であり、内周部がタービンシェル15とともにリベット18によってタービンハブ17のフランジ17aに固定されている。ハブフランジ30は、1対のサポートプレート56の間に、サポートプレート56と第1及び第2プレート61,62とに対して相対回転可能に配置されている。ハブフランジ30の外周部には、第1及び第2プレート61,62の窓部61a,62aに対応して、窓孔30aが形成されている。窓孔30aは軸方向に貫通する孔であり、この窓孔30aに内周側トーションスプリング55が配置されている。
図8は中間部材54及びハブフランジ30に関連する部分を抽出して示した図であり、他の図とは異なる位置で断面している。また、図9は中間部材54、内周側トーションスプリング55、及びハブフランジ30に関連する部分を、トランスミッション側から視た図である。
図4に示すように、タービンハブ17のフランジ17aには、タービンシェル15及びハブフランジ30とともに規制プレート67がリベット18により固定されている。規制プレート67は、フランジ17aに固定された固定部67aと、固定部67aからエンジン側に延びる筒状部67bと、筒状部67bの先端から外周側に延びる係合部67cと、を有している。筒状部67bの外周面には入力プレート52の支持部52cが当接している。また、係合部67cは入力プレート52の円板部52aの内周端部にエンジン側から当接している。なお、入力プレート52の支持部52cの先端はハブフランジ30に当接可能である。
ダイナミックダンパ装置31は、図4及び図8に示すように、中間部材54の第2プレート62の外周延長部であるダンパプレート71と、1対のイナーシャリング72と、第1蓋部材73と、第2蓋部材74と、複数のコイルスプリング(第2弾性部材)75と、ストップピン76と、を有している。
ダンパプレート71は、前述のように、中間部材54を構成する第2プレート62の外周部によって形成されている。すなわち、ダンパプレート71は第2プレート62と一体に形成されている。ダンパプレート71は、図9に示すように、円周方向に所定の間隔で、複数のスプリング収納部71aを有している。スプリング収納部71aは円周方向に所定の長さを有している。複数のスプリング収納部71aの円周方向間には、複数の長孔71bが形成されている。長孔71bは、円周方向に所定の長さを有し、スプリング収納部71aと同じ円周上に形成されている。
1対のイナーシャリング72は、板金部材をプレス加工して形成されたものであり、ダンパプレート71の軸方向両側に配置されている。2つのイナーシャリング72は同様の構成である。イナーシャリング72は、図10に示すように、円周方向に所定の間隔で複数のスプリング収納部72aを有している。このスプリング収納部72aはダンパプレート71のスプリング収納部71aに対応する位置に形成されている。また、イナーシャリング72は、ダンパプレート71の長孔71bの円周方向中央位置に対応する位置に貫通孔72bを有している。
第1蓋部材73はエンジン側のイナーシャリング72のさらにエンジン側に配置されている。第1蓋部材73は、環状の部材であり、内径はイナーシャリング72の内径より小さい。すなわち、第1蓋部材73の内周端はイナーシャリング72の内周端よりさらに内周側に延びている。図11に拡大して示すように、第1蓋部材73には、イナーシャリング72の貫通孔72bに対応する位置に貫通孔73bが形成されている。また、貫通孔73bの軸方向外側の端部には、貫通孔73bより大径のかしめ用凹部73cが形成されている。
第2蓋部材74はトランスミッション側のイナーシャリング72のさらにトランスミッション側に配置されている。第2蓋部材74は、環状の部材であり、内径はイナーシャリング72の内径より大きく、イナーシャリング72や第1蓋部材73の軸方向厚みよりも厚い。この第2蓋部材74の形状(内径及び厚みの設定)は、タービンシェル15との干渉を避け、しかも慣性量を大きくするためである。第2蓋部材74には、イナーシャリング72の貫通孔72bに対応する位置に貫通孔74bが形成されている。また、貫通孔74の軸方向外側の端部には、貫通孔74より大径のかしめ用凹部74cが形成されている。凹部74cは、図9及び図11から明らかなように、内径側に開放している。
複数のコイルスプリング75は、それぞれダンパプレート71のスプリング収納部71a及びイナーシャリング72のスプリング収納部72aに収納されている。そして、コイルスプリング75の両端部はダンパプレート71及びイナーシャリング72のスプリング収納部71a,72aの円周方向端部に当接している。
ストップピン76は、図11に示すように、軸方向の中央部に大径胴部76aを有し、その両側に小径胴部76bを有している。
まず、トルクコンバータ本体の動作について簡単に説明する。フロントカバー2及びインペラ3が回転している状態では、インペラ3からタービン4へ作動油が流れ、作動油を介してインペラ3からタービン4へトルクが伝達される。タービン4に伝達されたトルクはタービンハブ17を介してトランスミッションの入力シャフト(図示せず)に伝達される。
中間部材54に伝達されたトルクは、内周側トーションスプリング55を介してハブフランジ30に伝達され、さらにタービンハブ17を介してトランスミッション側の部材に伝達される。このとき、中間部材54にはダイナミックダンパ装置31が設けられているので、タービンの回転速度変動を効果的に抑制することができる。すなわち、ダンパプレート71の回転と、イナーシャリング72及び2つの蓋部材73,74と、の回転は、コイルスプリング75の作用によって位相にズレが生じる。具体的には、所定のエンジン回転数においてイナーシャリング72及び蓋部材73,74はダンパプレート71の回転速度変動を打ち消す位相で変動する。この位相のズレによって、トランスミッションの回転速度変動を吸収することができる。
以上のようなダイナミックダンパ装置31に関する動作を、図14に模式的に示している。まず、ねじり角度が0〜θ1の低トルク領域では、図14(a)に示すように、エンジンからのトルクは、外周側トーションスプリング53、中間部材54、内周側トーションスプリング55、及びハブフランジ30を介してタービン4に伝達される。そして、中間部材54に設けられたダイナミックダンパ装置31(イナーシャリング72及びコイルスプリング75等を含む)によって、回転速度変動が抑えられる。
(1)低トルク領域と高トルク領域とで、駆動系モデルを切り替えることができ、広いトルク領域にわたってタービンの回転速度変動を抑えることができる。具体的には、低トルク領域では、中間部材54にダイナミックダンパ装置31を連結した状態とし、ダイナミックダンパ装置31の出力側に内周側トーションスプリング55が存在する駆動系モデルとなる。一方で、高トルク領域では、ダイナミックダンパ装置31をハブフランジ30(すなわちタービン4)に連結した状態として、ダイナミックダンパ装置31の出力側にダンパ部が存在しない駆動系モデルとなる。このため、低トルク領域及び高トルク領域の両方において、振動低減効果を得ることができる。
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
2 フロントカバー
4 タービン
6 トルクコンバータ本体
7 ロックアップ装置
28 クラッチ部
29 ダンパ機構
30 ハブフランジ
31 ダイナミックダンパ装置
53 外周側トーションスプリング
54 中間部材
55 内周側トーションスプリング
71 ダンパプレート
72 イナーシャリング
75 コイルスプリング
Claims (5)
- エンジン側の部材に連結されるフロントカバーとトルクコンバータ本体との間に配置され、前記フロントカバーからのトルクを前記トルクコンバータ本体のタービンに直接伝達するためのロックアップ装置であって、
前記フロントカバーからのトルクを出力側に伝達するクラッチ部と、
前記クラッチ部と相対回転自在であり、前記タービンに連結される出力回転部材と、
前記クラッチ部と前記出力回転部材とを回転方向に弾性的に連結するダンパ機構と、
前記クラッチ部から前記出力回転部材に至る動力伝達経路に設けられ、回転速度変動を減衰するダイナミックダンパ装置と、
を備え、
前記ダンパ機構は、
入力されるトルクが低い低トルク領域及び入力されるトルクが前記低トルク領域より高い高トルク領域の全領域で作動する入力側ダンパ部と、
前記入力側ダンパ部の出力側に配置され、前記低トルク領域のみで作動する出力側ダンパ部と、
前記入力側ダンパ部と前記出力側ダンパ部とを連結する中間部材と、
を有し、
前記ダイナミックダンパ装置は前記中間部材に設けられている、
トルクコンバータのロックアップ装置。 - 前記中間部材は、前記クラッチ部及び前記出力回転部材と相対回転自在に配置され、前記入力側ダンパ部と前記出力側ダンパ部とが直列的に作用するように前記両ダンパ部を連結する、
請求項1に記載のトルクコンバータのロックアップ装置。 - 前記入力側ダンパ部は、前記クラッチ部と前記中間部材とを回転方向に弾性的に連結する複数の外周側弾性部材を有し、
前記出力側ダンパ部は、複数の前記外周側弾性部材の内周側に配置され前記中間部材と前記出力回転部材とを弾性的に連結する複数の内周側弾性部材を有する、
請求項2に記載のトルクコンバータのロックアップ装置。 - 前記ダンパ機構は、前記高トルク領域において前記出力回転部材と前記中間部材との相対回転を禁止するストッパ機構をさらに有している、請求項1から3のいずれかに記載のトルクコンバータのロックアップ装置。
- 前記ダイナミックダンパ装置は、
前記中間部材とともに回転するダンパプレートと、
前記ダンパプレートの外周部の軸方向両側に配置され、前記ダンパプレートと相対回転自在な1対のイナーシャリングと、
前記ダンパプレートの外周部と前記1対のイナーシャリングとを回転方向に弾性的に連結する複数の弾性部材と、
を有している、
請求項1から4のいずれかに記載のトルクコンバータのロックアップ装置。
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