JP2015098929A - トルクコンバータのロックアップ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用条件等が異なる場合でも、エンジンの広いトルク領域において効果的に回転速度変動を抑える。
【解決手段】この装置は、クラッチ部28と、ハブフランジ30と、ダンパ機構29と、ダイナミックダンパ装置31と、を備えている。ダンパ機構29は、外周側トーションスプリング53と、内周側トーションスプリング55と、中間部材54と、を有している。外周側トーションスプリング53は、入力されるトルクが低い低トルク領域及び入力されるトルクが低トルク領域より高い高トルク領域の全領域で作動する。内周側トーションスプリング55は、外周側トーションスプリン53の出力側に配置され、低トルク領域のみで作動する。中間部材54は外周側トーションスプリング53と内周側トーションスプリング55とを連結する。ダイナミックダンパ装置31は中間部材54に設けられている。
【選択図】図14

Description

本発明は、ロックアップ装置、特に、エンジン側の部材に連結されるフロントカバーとトルクコンバータ本体との間に配置され、フロントカバーからのトルクをトルクコンバータ本体のタービンに直接伝達するためのトルクコンバータのロックアップ装置に関する。
トルクコンバータにおいては、燃費低減のためにロックアップ装置が設けられている。ロックアップ装置は、タービンとフロントカバーとの間に配置されており、フロントカバーとタービンとを機械的に連結して両者の間でトルクを直接伝達するものである。
ロックアップ装置は、一般に、クラッチ部と、出力側の回転部材と、これらの間に設けられたダンパ機構と、を有している。クラッチ部は、ピストンに固定された摩擦部材や、複数のクラッチプレート及びこれらを押圧するピストンから構成されている。そして、油圧の作用によってクラッチ部が作動し、フロントカバーからダンパ機構側にトルクが伝達される。また、ダンパ機構は複数のトーションスプリングを有しており、フロントカバーに入力されたトルクは、クラッチ部から複数のトーションスプリングを介して出力側の回転部材に伝達され、さらにタービンに伝達される。
また、特許文献1には、出力側の回転部材にイナーシャ部材を装着することにより、出力側の回転速度変動を抑えるようにしたロックアップ装置が示されている。この特許文献1に示されたロックアップ装置は、タービンに固定された回転部材に相対回転可能にイナーシャ部材が装着されている。また、回転部材とイナーシャ部材との間には複数のコイルスプリングが設けられている。
この特許文献1のロックアップ装置では、回転部材にコイルスプリングを介してイナーシャ部材が連結されているため、イナーシャ部材及びコイルスプリングがダイナミックダンパとして機能し、これらによってタービンの回転速度変動が減衰される。
特開2009−293671号公報
ここで、トランスミッションの回転速度変動は、エンジンの全回転数域、あるいは全トルク領域で同じではない。駆動系における共振点がどの回転数領域に存在するかや、エンジンの燃焼制御、負荷の状況、さらには使用条件によって、回転速度変動は異なってくる。例えば、エンジントルクが低い低トルク時ではクランク1回転当たりの燃焼回数を少なくし、高トルク時には燃焼回数を多くする制御の場合は、低トルク時は高トルク時に比較してトルク変動が大きくなる。またこの場合は、駆動系の共振点が常用回転数域に現れ、振動が大きくなる。
特許文献1に示されたダイナミックダンパ装置では、一定の状況下ではタービン側の回転速度変動を有効に抑えることができる。しかし、エンジン制御によっては、回転速度変動を効果的に抑えることができない場合がある。
本発明の課題は、エンジン制御がトルク領域によって異なる場合でも、エンジンの広いトルク領域において効果的に回転速度変動を抑えることができるようにすることにある。
本発明の第1側面に係るトルクコンバータのロックアップ装置は、エンジン側の部材に連結されるフロントカバーとトルクコンバータ本体との間に配置され、フロントカバーからのトルクをトルクコンバータ本体のタービンに直接伝達するための装置である。このロックアップ装置は、クラッチ部と、出力回転部材と、ダンパ機構と、ダイナミックダンパ装置と、を備えている。クラッチ部はフロントカバーからのトルクを出力側に伝達する。出力回転部材は、クラッチ部と相対回転自在であり、タービンに連結される。ダンパ機構はクラッチ部と出力回転部材とを回転方向に弾性的に連結する。ダイナミックダンパ装置は、クラッチ部から出力回転部材に至る動力伝達経路に設けられ、回転速度変動を減衰する。
ダンパ機構は、入力側ダンパ部と、出力側ダンパ部と、中間部材と、を有している。入力側ダンパ部は、入力されるトルクが低い低トルク領域及び入力されるトルクが低トルク領域より高い高トルク領域の全領域で作動する。出力側ダンパ部は、入力側ダンパ部の出力側に配置され、低トルク領域のみで作動する。中間部材は入力側ダンパ部と出力側ダンパ部とを連結する。そして、ダイナミックダンパ装置は中間部材に設けられている。
ここでは、低トルク領域では入力側ダンパ部と出力側ダンパ部とが作動し、かつ両ダンパ部を連結する中間部材にダイナミックダンパ装置が設けられている。したがって、低トルク領域では、ダイナミックダンパ装置の出力側にダンパ部が配置されることになり、振動の大きい低トルク領域(低回転数領域)において効果的に回転速度変動を抑えることができる。
また、高トルク領域では、入力側ダンパ部のみが作動し、出力側ダンパ部は作動しない。したがって、駆動系モデルとしては、ダイナミックダンパ装置は出力回転部材に装着されたモデルとなる。この場合は、高トルク領域(高回転数領域)において効果的に回転速度変動を抑えることができる。
以上のように、本発明の装置では、広いトルク領域において、回転速度変動を抑えることができる。
本発明の第2側面に係るトルクコンバータのロックアップ装置では、中間部材は、クラッチ部及び出力回転部材と相対回転自在に配置され、入力側ダンパ部と出力側ダンパ部とが直列的に作用するように両ダンパ部を連結する。
本発明の第3側面に係るトルクコンバータのロックアップ装置では、入力側ダンパ部は、クラッチ部と中間部材とを回転方向に弾性的に連結する複数の外周側弾性部材を有している。また、出力側ダンパ部は、複数の外周側弾性部材の内周側に配置され中間部材と出力回転部材とを弾性的に連結する複数の内周側弾性部材を有している。
本発明の第4側面に係るトルクコンバータのロックアップ装置では、ダンパ機構は、高トルク領域において出力回転部材と中間部材との相対回転を禁止するストッパ機構をさらに有している。
ここでは、高トルク領域では、出力回転部材と中間部材との相対回転が禁止されるので、これらの間に設けられた出力側ダンパ部の作動を止めることができる。
本発明の第5側面に係るトルクコンバータのロックアップ装置では、ダイナミックダンパ装置は、ダンパプレートと、1対のイナーシャリングと、複数の弾性部材と、を有している。ダンパプレートは中間部材とともに回転する。1対のイナーシャリングは、ダンパプレートの外周部の軸方向両側に配置され、ダンパプレートと相対回転自在である。複数の弾性部材は、ダンパプレートの外周部と1対のイナーシャリングとを回転方向に弾性的に連結する。
以上のような本発明では、エンジンの広いトルク領域にわたって効果的に回転速度変動を抑えることができる。
本発明の一実施形態によるロックアップ装置を備えたトルクコンバータの断面構成図。 クラッチ部、ダンパ機構、及びダイナミックダンパ装置を抽出して示す図。 クラッチ部の断面図。 ダンパ機構及びダイナミックダンパ装置の断面図。 外周側トーションスプリング及び入力プレートの正面部分図。 ダンパ機構及びダイナミックダンパ装置の断面図。 サポートプレートの正面部分図。 ダンパ機構及びダイナミックダンパ装置の断面図。 ダンパ機構及びダイナミックダンパ装置の正面部分図。 イナーシャリングの正面部分図。 ダイナミックダンパ装置の拡大図。 ロックアップ装置のねじり特性線図。 エンジン回転数と回転速度変動の特性図。 低トルク領域及び高トルク領域における駆動系モデルを示す図。
図1は、本発明の一実施形態によるロックアップ装置を有するトルクコンバータ1の断面部分図である。図1の左側にはエンジン(図示せず)が配置され、図の右側にトランスミッション(図示せず)が配置されている。なお、図1に示すO−Oがトルクコンバータ及びロックアップ装置の回転軸線である。
[トルクコンバータ1の全体構成]
トルクコンバータ1は、エンジン側のクランクシャフト(図示せず)からトランスミッションの入力シャフトにトルクを伝達するための装置であり、入力側の部材に固定されるフロントカバー2と、3種の羽根車(インペラ3、タービン4、ステータ5)からなるトルクコンバータ本体6と、ロックアップ装置7と、から構成されている。
フロントカバー2は、円板状の部材であり、その外周部にはトランスミッション側に突出する外周筒状部10が形成されている。インペラ3は、フロントカバー2の外周筒状部10に溶接により固定されたインペラシェル12と、その内側に固定された複数のインペラブレード13と、インペラシェル12の内周側に設けられた筒状のインペラハブ14と、から構成されている。
タービン4は流体室内でインペラ3に対向して配置されている。タービン4は、タービンシェル15と、タービンシェル15に固定された複数のタービンブレード16と、タービンシェル15の内周側に固定されたタービンハブ17と、から構成されている。タービンハブ17は外周側に延びるフランジ17aと、軸方向においてフロントカバー2側に延びる筒状部17bと、を有している。フランジ17aにタービンシェル15の内周部が複数のリベット18によって固定されている。また、タービンハブ17の内周部には、図示しないトランスミッションの入力シャフトがスプライン係合している。なお、筒状部17bのエンジン側先端面とフロントカバー2との間には、スラストワッシャ19が配置されている。
ステータ5は、インペラ3とタービン4の内周部間に配置され、タービン4からインペラ3へと戻る作動油を整流するための機構である。ステータ5は主に、ステータキャリア20と、ステータキャリア20の外周面に設けられた複数のステータブレード21と、ステータブレード21の外周端に設けられた環状のステータコア22と、を有している。ステータキャリア20は、ワンウェイクラッチ23を介して図示しない固定シャフトに支持されている。なお、ステータキャリア20の軸方向両側には、スラストベアリング24,25が設けられている。
以上のようなトルクコンバータ本体6においては、インペラ3、タービン4、及びステータ5の各ブレード13,16,21によって形成される作動油の環状流路(トーラスT)が形成されている。
[ロックアップ装置7]
図2に、図1のロックアップ装置7を抽出して示している。ロックアップ装置7は、フロントカバー2からタービン4に動力を直接伝達するものである。ロックアップ装置7は、フロントカバー2とタービン4との間に配置されたクラッチ部28と、クラッチ部28からのトルクをタービン4に伝達するダンパ機構29と、ハブフランジ30(出力回転部材)と、ダイナミックダンパ装置31と、を備えている。
<クラッチ部28>
クラッチ部28は、油圧作動式の多板型であり、フロントカバー2からのトルクをダンパ機構29に伝達し、あるいはフロントカバー2とダンパ機構29との間のトルク伝達を遮断する。このクラッチ部28は、図2に示すように、クラッチ入力部材35及びクラッチ出力部材36と、それぞれ2枚の第1及び第2クラッチプレート37,38と、ピストン40と、を有している。
−クラッチ入力部材35−
クラッチ入力部材35は、環状に形成されており、円板状の固定部35aと、固定部35aの外周端からトランスミッション側に延びて形成された外筒状部35bと、固定部35aの内周端からトランスミッション側に延びて形成された内筒状部35cと、を有している。固定部35aはフロントカバー2のトランスミッション側の面に溶接により固定されている。外筒状部35bの内周面には、軸方向に延びる複数の凹凸部が円周方向に所定の間隔で形成されている。
−クラッチ出力部材36−
クラッチ出力部材36は、環状に形成されており、円板状に形成された円板部36aと、円板部36aの外周端部からエンジン側に延びて形成された筒状部36bと、を有している。円板部36aの内周部は、ダンパ機構29を構成する部材に、リベット41により固定されている。円板部36aの外周部は、外周側に行くにしたがってフロントカバー2に近づくように傾斜している。筒状部36bには、軸方向に延びる複数の溝が円周方向に所定の間隔で形成されている。
−第1及び第2クラッチプレート37,38−
第1クラッチプレート37は環状に形成されている。第1クラッチプレート37の外周端には、クラッチ入力部材35の外筒状部35bの凹凸部に係合する複数の歯が形成されている。このような構成により、第1クラッチプレート37は、クラッチ入力部材35に対して軸方向に移動自在かつ相対回転不能である。
第2クラッチプレート38は環状に形成されている。第2クラッチプレート38の内周端には、クラッチ出力部材36の筒状部36bの複数の溝に係合する複数の歯が形成されている。このような構成により、第2クラッチプレート38は、クラッチ出力部材36に対して軸方向に移動自在かつ相対回転不能である。また、第2クラッチプレート38の両面には、環状の摩擦部材が固定されている。
第2クラッチプレート38のさらにトランスミッション側には、環状のバックアップリング43が設けられている。バックアップリング43の外周端には、クラッチ入力部材35の外筒状部35bの凹凸部に係合する複数の歯が形成されている。このような構成により、バックアップリング43は、クラッチ入力部材35に対して軸方向に移動自在かつ相対回転不能である。なお、バックアップリング43のタービン4側には、バックアップリング43のタービン4側への移動を規制するためのスナップリング44が設けられている。スナップリング44は、クラッチ入力部材35の外筒状部35bに形成された環状の溝に係合している。
−ピストン40−
図3に、ピストン40に関連する部分を拡大して示している。ピストン40は、クラッチ入力部材35の内周側で、フロントカバー2と第1及び第2クラッチプレート37,38との間に配置されている。ピストン40は、環状に形成されており、外周面がクラッチ入力部材35の内筒状部35cの内周面に摺動自在に支持されている。ピストン40の外周面にはシール部材46が設けられ、ピストン40とクラッチ入力部材35との間がシールされている。また、ピストン40の内周端部には、トランスミッション側に延びる筒状部40aが形成されている。このピストン40の筒状部40aの内周面が、ピストン支持部材48に摺動自在に支持されている。
ピストン支持部材48は、図1〜図3に示すように、環状に形成された円板状の部材である。ピストン支持部材48には、円周方向の複数箇所にエンジン側に突出する突起部48aが形成されており、この突起部48aが溶接によりフロントカバー2に固定されている。なお、図1〜図3では、ピストン支持部材48のフロントカバー2への固定部分を示しているが、ピストン支持部材48においてフロントカバー2に固定されていない部分は、径方向に貫通する溝48b(図3に破線で示している)が形成されている。この溝48bを介して、ピストン40とフロントカバー2との間に作動油が内周側から供給される。
ピストン支持部材48の外周端部にはエンジン側に延びる外筒状部48cが形成され、内周端部にはトランスミッション側に延びる内筒状部48dが形成されている。外筒状部48cは、前述のように、ピストン40の筒状部40aを支持する部分であり、シール部材49が設けられている。このシール部材49により、ピストン40とピストン支持部材48との間がシールされている。また、内筒状部48dは、タービンハブ17の筒状部17bの外周面に摺動自在に支持されている。そして、タービンハブ17の筒状部17bの外周面にはシール部材50が設けられている。これにより、ピストン支持部材48とタービンハブ17との間がシールされている。
以上のような構成により、ピストン40の背面、すなわちピストン40とフロントカバー2との間には、作動油の供給路を除いて、他の空間から独立した(密閉された)油圧室Pが形成されている。
<ダンパ機構29>
図4及び図5に示すように、ダンパ機構29は、クラッチ部28のクラッチ出力部材36が固定された入力プレート52と、複数の外周側トーションスプリング(入力側ダンパ部)53と、中間部材54と、内周側トーションスプリング(出力側ダンパ部)55と、1対のサポートプレート56と、を有している。なお、図4は、ロックアップ装置7のうちのダンパ機構29及びそれに関連する構成のみを抽出して示したものである。また、図5は入力プレート52及び外周側トーションスプリング53をトランスミッション側から視た図である。
−入力プレート52−
入力プレート52は、環状に形成されており、円板部52aと、円板部52aの外周端に形成されたスプリング収納部52bと、円板部52aの内周端にトランスミッション側に延びて形成された支持部52cと、を有している。円板部52aには、前述のように、クラッチ出力部材36がリベット41により固定されている。スプリング収納部52bは、断面C形状であり、トーションスプリング53の内周側、フロントカバー2側の側部、及び外周側を支持している。また、スプリング収納部52bの円周方向の両端には、トーションスプリング53の端面に係合する係合部52eが形成されている。
−外周側トーションスプリング53−
外周側トーションスプリング53は、入力プレート52のスプリング収納部52bに収容されている。ここでは、3個のトーションスプリング53が設けられており、各トーションスプリング53は、自由状態で円弧形状となるアークスプリングである。すなわち、各トーションスプリング53は、スプリング収納部52bに収容されていない自由状態においても、図5で示すように回転方向に円弧状に延びる形状を維持している。
以上のように、外周側トーションスプリング53としてアークスプリングを採用することにより、作動時においてヒステリシストルク(スプリング収納部52bの外周側部分との摺動抵抗)が比較的大きくなるが、円周方向に長く形成でき、低剛性化を実現することが可能である。
−中間部材54−
図4に示すように、中間部材54は、第1プレート61と第2プレート62とから構成されており、入力プレート52及びハブフランジ30に対して相対回転自在である。第1及び第2プレート61,62は入力プレート52とタービンシェル15との間に配置された環状かつ円板状の部材である。第1プレート61と第2プレート62とは軸方向に間隔をあけて配置されている。第1プレート61がエンジン側に配置され、第2プレート62がトランスミッション側に配置されている。第1プレート61と第2プレート62とは、図1及び図2に示すように、外周部が複数のリベット63によって互いに相対回転不能でかつ軸方向に移動不能に連結されている。
図6は、中間部材54及び内周側トーションスプリング55に関連する部分を抽出して示した図である。図6に示すように、第1プレート61及び第2プレート62には、それぞれ軸方向に貫通する窓部61a,62aが形成されている。窓部61a,62aは、円周方向に延びて形成されており、内周部と外周部には、軸方向に切り起こされた切り起こし部が形成されている。
また、図4に示すように、第1プレート61の外周端には、外周側トーションスプリング53にまで延びる複数の係止部61bが形成されている。複数の係止部61bは第1プレート61の先端を軸方向エンジン側に折り曲げて形成されたものである。この複数の係止部61bは、円周方向に所定の間隔をあけて配置されており、2つの係止部61bの間に1個の外周側トーションスプリング53が配置されている。
以上のような中間部材54によって、外周側トーションスプリング53と内周側トーションスプリング55とを直列的に作用させることが可能となる。
−内周側トーションスプリング55−
内周側トーションスプリング55は、中間部材54の両プレート61,62の窓部61a,62a内に配置されている。内周側トーションスプリング55は、外周側トーションスプリング53とは異なり、回転方向に直線状に延びるコイルスプリングである。そして、内周側トーションスプリング55は窓部61a,62aによって円周方向両端及び径方向両側が支持されている。さらに、内周側トーションスプリング55は窓部61a,62aの切り起こし部によって軸方向への飛び出しが規制されている。
−1対のサポートプレート56−
1対のサポートプレート56は、複数の内周側トーションスプリング55のうちの1組2個を直列的に作用させるための部材である。すなわち、この実施形態では、6個の内周側トーションスプリング55(図9参照)が設けられているが、1対のサポートプレート56によって、それぞれ1組2個の内周側トーションスプリング55を直列的に作用させることができる。
1対のサポートプレート56はハブフランジ30の軸方向両側に配置されている。具体的には、一方のサポートプレート56はハブフランジ30と第1プレート61との間に配置されている。また、他方のサポートプレート56はハブフランジ30と第2プレート62との間に配置されている。両サポートプレート56は、図1,2,4に示すように、リベット65によって軸方向に一定の間隔を維持して互いに相対回転不能に固定されている。そして、両サポートプレート56は、第1及び第2プレート61,62とハブフランジ30とに対して相対回転自在である。
1対のサポートプレート56は同形状であり、図7に示すように、環状に形成されている。サポートプレート56は、円弧状のスプリング収納用の開口56aと、開口56aの円周方向間に形成された貫通孔56bと、を有している。開口56aには2個の内周側トーションスプリング55が収容される。そして、隣接する2つの開口56aに収容された、互いに近い方のスプリング同士を直列的に作用させることが可能である。すなわち、貫通孔56bが形成された部分を挟んで配置された隣接する2つの内周側トーションスプリング55を直列的に作用させることが可能である。また、貫通孔56はリベット65が貫通する。
<最終ストッパ機構>
図4及び図5に示すように、入力プレート52の円板部52aには、円弧状のストッパ溝52fが形成されている。このストッパ溝52fは、入力プレート52に対するハブフランジ30及び中間部材54の相対回転角度を規制するための溝である。また、中間部材54の第1プレート61の径方向中間部には、エンジン側に切り起こされたストッパ爪61cが形成されている。このストッパ爪61cが入力プレート52のストッパ溝52fに係合している。
このような構成により、中間部材54、ダイナミックダンパ装置31、及びハブフランジ30は、ストッパ爪61cがストッパ溝52f内で移動可能な範囲で、入力プレート52に対して相対回転が可能である。
<ハブフランジ30>
図4及び図6に示すように、ハブフランジ30は、環状かつ円板状の部材であり、内周部がタービンシェル15とともにリベット18によってタービンハブ17のフランジ17aに固定されている。ハブフランジ30は、1対のサポートプレート56の間に、サポートプレート56と第1及び第2プレート61,62とに対して相対回転可能に配置されている。ハブフランジ30の外周部には、第1及び第2プレート61,62の窓部61a,62aに対応して、窓孔30aが形成されている。窓孔30aは軸方向に貫通する孔であり、この窓孔30aに内周側トーションスプリング55が配置されている。
図4に示すように、ハブフランジ30の内周部には、エンジン側に切り起こされて軸方向に延びる複数の突起部30bが形成されている。この突起部30bの外周面に中間部材54の第1プレート61の内周端面が当接している。このように、ハブフランジ30の突起部30bによって、中間部材54及びダイナミックダンパ装置31が径方向に位置決めされている。
<1段目ストッパ機構>
図8は中間部材54及びハブフランジ30に関連する部分を抽出して示した図であり、他の図とは異なる位置で断面している。また、図9は中間部材54、内周側トーションスプリング55、及びハブフランジ30に関連する部分を、トランスミッション側から視た図である。
これらの図に示すように、中間部材54の第2プレート62の径方向中間部には、外周側にいくにしたがって第1プレート61に近づく傾斜部62bが形成されている。この傾斜部62bには、円弧状のストッパ溝62cが形成されている。また、ハブフランジ30の外周部には、外周側に延びる複数のストッパ爪30cが形成されている。このストッパ爪30cが第2プレート62のストッパ溝62cに係合している。
このような構成により、中間部材54及びダイナミックダンパ装置31は、ストッパ爪30cがストッパ溝62c内で移動可能な範囲で、ハブフランジ30に対して相対回転が可能である。なお、この場合の相対回転可能な角度範囲は、最終段のストッパ機構(ストッパ爪61c+ストッパ溝52f)による相対回転可能な角度範囲より小さく設定されている。
−規制プレート67−
図4に示すように、タービンハブ17のフランジ17aには、タービンシェル15及びハブフランジ30とともに規制プレート67がリベット18により固定されている。規制プレート67は、フランジ17aに固定された固定部67aと、固定部67aからエンジン側に延びる筒状部67bと、筒状部67bの先端から外周側に延びる係合部67cと、を有している。筒状部67bの外周面には入力プレート52の支持部52cが当接している。また、係合部67cは入力プレート52の円板部52aの内周端部にエンジン側から当接している。なお、入力プレート52の支持部52cの先端はハブフランジ30に当接可能である。
以上のように、入力プレート52及び外周側トーションスプリング53は、規制プレート67の筒状部67bにより径方向に位置決めされ、係合部67c及びハブフランジ30によって軸方向に位置決めされている。
<ダイナミックダンパ装置31>
ダイナミックダンパ装置31は、図4及び図8に示すように、中間部材54の第2プレート62の外周延長部であるダンパプレート71と、1対のイナーシャリング72と、第1蓋部材73と、第2蓋部材74と、複数のコイルスプリング(第2弾性部材)75と、ストップピン76と、を有している。
−ダンパプレート71−
ダンパプレート71は、前述のように、中間部材54を構成する第2プレート62の外周部によって形成されている。すなわち、ダンパプレート71は第2プレート62と一体に形成されている。ダンパプレート71は、図9に示すように、円周方向に所定の間隔で、複数のスプリング収納部71aを有している。スプリング収納部71aは円周方向に所定の長さを有している。複数のスプリング収納部71aの円周方向間には、複数の長孔71bが形成されている。長孔71bは、円周方向に所定の長さを有し、スプリング収納部71aと同じ円周上に形成されている。
−イナーシャリング72−
1対のイナーシャリング72は、板金部材をプレス加工して形成されたものであり、ダンパプレート71の軸方向両側に配置されている。2つのイナーシャリング72は同様の構成である。イナーシャリング72は、図10に示すように、円周方向に所定の間隔で複数のスプリング収納部72aを有している。このスプリング収納部72aはダンパプレート71のスプリング収納部71aに対応する位置に形成されている。また、イナーシャリング72は、ダンパプレート71の長孔71bの円周方向中央位置に対応する位置に貫通孔72bを有している。
−第1蓋部材73−
第1蓋部材73はエンジン側のイナーシャリング72のさらにエンジン側に配置されている。第1蓋部材73は、環状の部材であり、内径はイナーシャリング72の内径より小さい。すなわち、第1蓋部材73の内周端はイナーシャリング72の内周端よりさらに内周側に延びている。図11に拡大して示すように、第1蓋部材73には、イナーシャリング72の貫通孔72bに対応する位置に貫通孔73bが形成されている。また、貫通孔73bの軸方向外側の端部には、貫通孔73bより大径のかしめ用凹部73cが形成されている。
−第2蓋部材74−
第2蓋部材74はトランスミッション側のイナーシャリング72のさらにトランスミッション側に配置されている。第2蓋部材74は、環状の部材であり、内径はイナーシャリング72の内径より大きく、イナーシャリング72や第1蓋部材73の軸方向厚みよりも厚い。この第2蓋部材74の形状(内径及び厚みの設定)は、タービンシェル15との干渉を避け、しかも慣性量を大きくするためである。第2蓋部材74には、イナーシャリング72の貫通孔72bに対応する位置に貫通孔74bが形成されている。また、貫通孔74の軸方向外側の端部には、貫通孔74より大径のかしめ用凹部74cが形成されている。凹部74cは、図9及び図11から明らかなように、内径側に開放している。
−コイルスプリング75−
複数のコイルスプリング75は、それぞれダンパプレート71のスプリング収納部71a及びイナーシャリング72のスプリング収納部72aに収納されている。そして、コイルスプリング75の両端部はダンパプレート71及びイナーシャリング72のスプリング収納部71a,72aの円周方向端部に当接している。
−ストップピン76−
ストップピン76は、図11に示すように、軸方向の中央部に大径胴部76aを有し、その両側に小径胴部76bを有している。
大径胴部76aは、イナーシャリング72の貫通孔72bより大径で、かつダンパプレート71の長孔71bの径(径方向寸法)よりも小径である。また、大径胴部76aの厚みは、ダンパプレート71の厚みより若干厚く形成されている。
小径胴部76bはイナーシャリング72の貫通孔72b及び両蓋部材73,74の貫通孔73b,74bを挿通している。そして、小径胴部76bの頭部をかしめることによって、ダンパプレート71の軸方向両側にイナーシャリング72及び両蓋部材73,74が固定されている。
以上のような構成により、ダンパプレート71とイナーシャリング72及び2つの蓋部材73,74とは、ストップピン76がダンパプレート71の長孔71bで移動し得る範囲で相対回転が可能である。そして、ストップピン76の大径胴部76aが長孔71bの端部に当接することによって、両者の相対回転が禁止される。
[動作]
まず、トルクコンバータ本体の動作について簡単に説明する。フロントカバー2及びインペラ3が回転している状態では、インペラ3からタービン4へ作動油が流れ、作動油を介してインペラ3からタービン4へトルクが伝達される。タービン4に伝達されたトルクはタービンハブ17を介してトランスミッションの入力シャフト(図示せず)に伝達される。
次にピストン40とフロントカバー2との間に作動油が供給されると、ピストン40がトランスミッション側に移動させられる。この結果、ピストン40によって第1及び第2クラッチプレート37,38が互いに押圧され、クラッチ部28はオンになる。
以上のようなクラッチオン状態では、トルクは、クラッチ入力部材35→第1及び第2クラッチプレート37,38→クラッチ出力部材36→入力プレート52→外周側トーションスプリング53→中間部材54→内周側トーションスプリング55→ハブフランジ30の経路で伝達され、タービンハブ17に出力される。
ロックアップ装置7においては、トルクを伝達すると共にフロントカバー2から入力されるトルク変動を吸収・減衰する。具体的には、ロックアップ装置7において捩り振動が発生すると、外周側トーションスプリング53と内周側トーションスプリング55とが入力プレート52とハブフランジ30との間で直列に圧縮される。
ここで、伝達トルクが低い領域では、外周側トーションスプリング53及び内周側トーションスプリング55が圧縮されて、入力プレート52とハブフランジ30とが相対回転するとともに、中間部材54とハブフランジ30とが相対回転する。ここでは、図12に示すように、ダンパ機構29は低剛性のねじり特性を示す。
そして、入力プレート52とハブフランジ30との相対回転角度が大きくなると、1段目のストッパ機構によって両者の相対回転は禁止される。すなわち、図12に示すように、伝達トルク(ねじりトルク)がT1になり、入力プレート52とハブフランジ30との相対回転角度がθ1になった状態では、ハブフランジ30のストッパ爪30cが第2プレート62のストッパ溝62cの端面に当接している。すなわち、ロックアップ装置全体のねじり角度がθ1の状態では、中間部材54とハブフランジ30の相対回転は禁止されている。
この状態では、図12に示すように、内周側トーションスプリング55は角度θAだけ圧縮されている。また、同様に、装置全体のねじり角度がθ1の範囲(内周側トーションスプリング55が角度θAだけ圧縮される範囲)では、外周側トーションスプリング53は角度θBだけ圧縮されている。
そして、入力プレート52とハブフランジ30との相対角度(ねじり角度)がθ1を超えると、中間部材54、ダイナミックダンパ装置31、及びハブフランジ30は一体となって回転する。
伝達トルクがT1以上の領域では、外周側トーションスプリング53のみが圧縮され、ダンパ機構29は、ねじり角度θ1までの特性よりは高剛性のねじり特性を示す。そして、伝達トルクがT2になって、入力プレート52と中間部材54との相対回転角度がθ2になると、最終ストッパ機構によって両者の相対回転は禁止される。すなわち、ねじり角度がθ2になると、第1プレート61のストッパ爪61cが入力プレート52のストッパ溝52fの端面に当接し、中間部材54及びハブフランジ30と入力プレート52との相対回転が禁止される。
[ダイナミックダンパ装置の動作]
中間部材54に伝達されたトルクは、内周側トーションスプリング55を介してハブフランジ30に伝達され、さらにタービンハブ17を介してトランスミッション側の部材に伝達される。このとき、中間部材54にはダイナミックダンパ装置31が設けられているので、タービンの回転速度変動を効果的に抑制することができる。すなわち、ダンパプレート71の回転と、イナーシャリング72及び2つの蓋部材73,74と、の回転は、コイルスプリング75の作用によって位相にズレが生じる。具体的には、所定のエンジン回転数においてイナーシャリング72及び蓋部材73,74はダンパプレート71の回転速度変動を打ち消す位相で変動する。この位相のズレによって、トランスミッションの回転速度変動を吸収することができる。
また、本実施形態では、ダイナミックダンパ装置31を中間部材54に固定し、ダイナミックダンパ装置31とタービンハブ17との間に振動を抑えるための内周側トーションスプリング55を配置している。この内周側トーションスプリング55の作用によって、低トルク領域(図12に示すねじりトルクT1=ねじり角度θ1までの領域)では、図13に示すように、より効果的に回転速度変動を抑えることができる。図13において、特性C1は、従来のロックアップ装置における回転速度変動を示している。特性C2はダイナミックダンパ装置をタービンハブに装着し、ダイナミックダンパ装置の出力側に弾性部材(トーションスプリング)がない場合の変動を示している。また、特性C3は本実施形態のように、ダイナミックダンパ装置を中間部材に装着し、ダイナミックダンパ装置の出力側に弾性部材(内周側トーションスプリング55)を設けた場合の変動を示している。さらに特性C4は、ダイナミックダンパ装置をタービンハブに装着し、ダイナミックダンパ装置の出力側に弾性部材(トーションスプリング)がない場合の変動(特性C2)において、高トルク領域でエンジンの燃焼回数を上げた場合を示している。
図13の特性C2と特性C3とを比較して明らかなように、ダイナミックダンパ装置の出力側に弾性部材を設けた場合は、回転速度変動のピークが低くなり、かつエンジン回転数の常用域においても回転速度変動が抑えることができる。
[駆動系モデルの切り替え]
以上のようなダイナミックダンパ装置31に関する動作を、図14に模式的に示している。まず、ねじり角度が0〜θ1の低トルク領域では、図14(a)に示すように、エンジンからのトルクは、外周側トーションスプリング53、中間部材54、内周側トーションスプリング55、及びハブフランジ30を介してタービン4に伝達される。そして、中間部材54に設けられたダイナミックダンパ装置31(イナーシャリング72及びコイルスプリング75等を含む)によって、回転速度変動が抑えられる。
一方で、ねじり角度がθ1を超えた領域では、前述のように、ストッパ機構によって中間部材54とハブフランジ30との相対回転が禁止され、中間部材54とハブフランジ30とは一体となって回転する。すなわち、この場合は、図14(b)に示すように、ダイナミックダンパ装置31はハブフランジ30に固定された状態で作動することになる。
ここで、エンジントルクに応じて燃焼回数を変えているエンジンの場合、エンジントルクが低い低トルク領域では、トルクが高い場合に比較して入力振動数を低くしているため、駆動系の共振点が常用域に現れ、振動が大きくなる。しかし、本実施形態のダイナミックダンパ装置31では、低トルク領域(低回転数領域でもある)においてダイナミックダンパ装置31が中間部材54に連結された駆動系モデルとなる(図14(a)に示すモデル)。このため、ダンパ全体のねじり剛性が低く、ダイナミックダンパ装置31が効果的に作用するため、低トルク領域における振動低減効果が大きくなる。
一方、低トルク領域よりもエンジントルクが大きい高トルク領域では、ダイナミックダンパ装置31がハブブランジ30に固定された駆動系モデル(図14(b)に示すモデル)となる。この場合は、高トルク領域(高回転数領域)において、入力される振動数が高いため、特性はC4となる。したがって、高回転数領域における振動低減効果が大きくなる。
[特徴]
(1)低トルク領域と高トルク領域とで、駆動系モデルを切り替えることができ、広いトルク領域にわたってタービンの回転速度変動を抑えることができる。具体的には、低トルク領域では、中間部材54にダイナミックダンパ装置31を連結した状態とし、ダイナミックダンパ装置31の出力側に内周側トーションスプリング55が存在する駆動系モデルとなる。一方で、高トルク領域では、ダイナミックダンパ装置31をハブフランジ30(すなわちタービン4)に連結した状態として、ダイナミックダンパ装置31の出力側にダンパ部が存在しない駆動系モデルとなる。このため、低トルク領域及び高トルク領域の両方において、振動低減効果を得ることができる。
(2)1対のイナーシャリング53をダンパプレート52の両側に配置してダイナミックダンパ装置31を構成しているので、1対のイナーシャリング53をプレート部材で形成することができる。したがって、イナーシャリングを鋳造品や鍛造品で形成する場合に比較して製造コストを抑えることができる。
(3)第1及び第2蓋部材73,74によってコイルスプリング75がイナーシャリング72のスプリング収納部72aから飛び出るのを禁止している。このため、イナーシャリング72にコイルスプリング75の飛び出しを規制するための突起等を設ける必要がない。また、2つの蓋部材73,74をイナーシャとして利用することができる。
(4)ダンパプレート71及びイナーシャリング72の内部にコイルスプリング75を収容しているので、特に、軸方向におけるダイナミックダンパ装置31の占有スペースをコンパクトにすることができる。
(5)イナーシャリング72を軸方向に分割しているので、ダンパプレート71の差し込み、及びコイルスプリング75の組付が容易になる。
[他の実施形態]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
(a)入力プレートと中間部材との間のストッパ機構、及び中間部材とハブフランジとのストッパ機構は、前記実施形態の構成に限定されない。例えば、ストップピン等によってストッパ機構を構成してもよい。また、トーションスプリングを密着させることによってストッパ機構を構成してもよい。
(b)前記実施形態では、1対のイナーシャリングの形状を同じにしたが、それぞれ別の形状にしてもよい。
(c)前記実施形態では、ダンパプレートを中間部材の第2プレートの外周部に形成したが、ダンパプレートを別部材として設けてもよい。
(d)前記実施形態では、クラッチ部を多板型のクラッチとしたが、クラッチ部の構成はこれに限定されない。
1 トルクコンバータ
2 フロントカバー
4 タービン
6 トルクコンバータ本体
7 ロックアップ装置
28 クラッチ部
29 ダンパ機構
30 ハブフランジ
31 ダイナミックダンパ装置
53 外周側トーションスプリング
54 中間部材
55 内周側トーションスプリング
71 ダンパプレート
72 イナーシャリング
75 コイルスプリング

Claims (5)

  1. エンジン側の部材に連結されるフロントカバーとトルクコンバータ本体との間に配置され、前記フロントカバーからのトルクを前記トルクコンバータ本体のタービンに直接伝達するためのロックアップ装置であって、
    前記フロントカバーからのトルクを出力側に伝達するクラッチ部と、
    前記クラッチ部と相対回転自在であり、前記タービンに連結される出力回転部材と、
    前記クラッチ部と前記出力回転部材とを回転方向に弾性的に連結するダンパ機構と、
    前記クラッチ部から前記出力回転部材に至る動力伝達経路に設けられ、回転速度変動を減衰するダイナミックダンパ装置と、
    を備え、
    前記ダンパ機構は、
    入力されるトルクが低い低トルク領域及び入力されるトルクが前記低トルク領域より高い高トルク領域の全領域で作動する入力側ダンパ部と、
    前記入力側ダンパ部の出力側に配置され、前記低トルク領域のみで作動する出力側ダンパ部と、
    前記入力側ダンパ部と前記出力側ダンパ部とを連結する中間部材と、
    を有し、
    前記ダイナミックダンパ装置は前記中間部材に設けられている、
    トルクコンバータのロックアップ装置。
  2. 前記中間部材は、前記クラッチ部及び前記出力回転部材と相対回転自在に配置され、前記入力側ダンパ部と前記出力側ダンパ部とが直列的に作用するように前記両ダンパ部を連結する、
    請求項1に記載のトルクコンバータのロックアップ装置。
  3. 前記入力側ダンパ部は、前記クラッチ部と前記中間部材とを回転方向に弾性的に連結する複数の外周側弾性部材を有し、
    前記出力側ダンパ部は、複数の前記外周側弾性部材の内周側に配置され前記中間部材と前記出力回転部材とを弾性的に連結する複数の内周側弾性部材を有する、
    請求項2に記載のトルクコンバータのロックアップ装置。
  4. 前記ダンパ機構は、前記高トルク領域において前記出力回転部材と前記中間部材との相対回転を禁止するストッパ機構をさらに有している、請求項1から3のいずれかに記載のトルクコンバータのロックアップ装置。
  5. 前記ダイナミックダンパ装置は、
    前記中間部材とともに回転するダンパプレートと、
    前記ダンパプレートの外周部の軸方向両側に配置され、前記ダンパプレートと相対回転自在な1対のイナーシャリングと、
    前記ダンパプレートの外周部と前記1対のイナーシャリングとを回転方向に弾性的に連結する複数の弾性部材と、
    を有している、
    請求項1から4のいずれかに記載のトルクコンバータのロックアップ装置。
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