JP2015098431A - 銅製錬スラグを原料とする高純度ケイ酸質材料及びその製造方法 - Google Patents

銅製錬スラグを原料とする高純度ケイ酸質材料及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】銅製錬工程で生じるスラグを再利用する方法を提供する。
【解決手段】銅製錬スラグを塩酸又は硝酸を含む水溶液で処理しヒドロゲルを生成させ、乾燥することにより、高純度のケイ酸を含む吸着材を製造する。さらに該吸着材を焼成することにより導電性を備えた吸着材や、酸浸出することにより表面積の高い吸着剤となる。
【選択図】図5

Description

本発明は、銅製錬スラグを原料とする高純度ケイ酸質材料及びその製造方法に関する。
スラグは金属製錬の過程で発生する副産物である。スラグには、鉄を製錬する過程で生じる製鋼スラグや製鉄スラグ、銅を製錬する過程で生じる銅製錬スラグ等がある。
製鋼スラグや製鉄スラグは、コンクリート原料やゼオライトの原料として再利用が進んでいる。特許文献1には鉄を生産する際に生じる高炉スラグを酸処理し、シリカゲルを分離した後、ゼオライトを製造する方法が記載されている。
また、特許文献2には、高炉スラグを混合した造粒処理材を地盤材料として用いることが開示されている。
一方、銅鉱石から粗銅を取り出す銅製錬工程において生じる銅スラグは、製鋼スラグや製鉄スラグと比較すると、鉄の含有量が多く、また密度が大きいため、サンドブラスターの研削材や高比重コンクリートの原料など、限定的な用途しかない(非特許文献1、2)。
銅スラグをコンクリートに混ぜ込むと重く丈夫なものができるという利点もあるが、それ以上に、フレッシュコンクリート等において、固体材料の沈降又は分離によって、混練水の一部が遊離して上昇するブリーディングの作用が大きくマイナスに働くことが知られている。ブリーディングが生じるとコンクリート内部に水みちを形成し、密実性を損なうため、コンクリートの強度が低下する。
そのため、全国で年間およそ250万トンの銅製錬スラグが排出されているにも関わらず、大部分は堆積保管されているのが現状である。
特開平8−259211号公報 特開2009−102518号公報
Banza, A.N. et al., Hydrometallurgy, 2002, Vol.67, pp63-69 Gorai, B. et al., Resources, Conservation and Recycling, 2003, Vol.39, pp.299-313 小名浜製錬株式会社公開データ、[平成25年7月8日検索]インターネット、URL:http://group.mmc.co.jp/osr/suragu2.html
銅製錬スラグは、再利用方法が限られているため、その大部分を堆積保管するか、産業廃棄物として処理するしかなく、有効で付加価値の高い再利用方法が検討されていた。
本発明は、鉄含量が多いことを活かした吸着材を銅製錬スラグから製造する方法を提供することを課題とする。
また、該方法により製造されたゲルの吸着材としての利用、及び銅製錬プロセスへ該ゲルを組み込むことにより再利用することを課題とする。
本発明の銅製錬スラグから製造する高純度にケイ酸を含むケイ酸質材料の製造方法は、銅スラグを塩酸又は硝酸を含む水溶液で処理することによって、ヒドロゲルを生成し、前記ヒドロゲルを乾燥することを特徴とする。
ここで、本発明で高純度にケイ酸を含むとは、最終生成物であるケイ酸質材料の70%以上がケイ酸である生成物をいう。本発明でいうケイ酸質材料では、ケイ素以外の構成元素も金属酸化物として存在するために、酸素の含量が非常に多く62%以上の重量を占めている。したがって、構成成分から酸素を除くと元素組成のうち、90%以上がケイ素となる。
製鋼スラグや製鉄スラグの再利用方法は、特許文献1に記載されているように、酸処理を行い生成したシリカゲルを分離し、その後、ゼオライトを製造することによる。
これに対し、本発明のケイ酸質材料の製造方法は、銅スラグを塩酸、又は硝酸で処理して得られたヒドロゲルをそのまま乾燥させることにより吸湿、吸着能を備えた乾燥ゲルを製造するものである。塩酸、又は硝酸で処理することにより、溶出したケイ酸成分が互いに結びつくため、水と鉄イオンを多く含んだケイ酸ヒドロゲルが生成され、したがって、少ない工程で非常に簡便に銅製錬スラグの再利用を図ることができる。
製鋼スラグや製鉄スラグでは酸浸出を行うことが既に報告されているが、本発明者らは、銅製錬スラグを酸処理する際にどのような酸でも使用可能なわけではないことを明らかにした。銅製錬スラグでは、塩酸、又は硝酸を用いた場合に、ヒドロゲルが生成し、有効な再利用ができることを明らかにした。
また、本発明は前記ケイ酸質材料の製造方法において、前記ヒドロゲルを乾燥することにより得られた前記ケイ酸質材料を焼成することによってゲルを得ることを特徴とする。
ヒドロゲルを乾燥させた後に焼成すると、ゲル表面に主として鉄からなる金属皮膜が形成されるため、電気伝導性が付与されたゲルを製造することができる。電気伝導性を備えた焼成ゲルは軽量であり、電池材料や電極材料,LCDなどの導通材や異方性導電部材,帯電防止材,導電性塗料など、新たな用途を開拓することができる。
さらに、本発明は前記ケイ酸質材料の製造方法において、前記ヒドロゲルを乾燥することにより得られた前記ケイ酸質材料を酸浸出することによって吸着材を得ることを特徴とする。
ヒドロゲルを乾燥させたケイ酸質材料を酸で浸出すると、鉄を中心とした金属成分が溶出し、ゲル個体内部にメソ孔が生成し、高い比表面積を有するケイ酸質材料となることが明らかとなった。通常のシリカゲルに比べて比表面積が高いことから、高い吸着能力が期待される。
さらに、本発明は前記ケイ酸質材料の製造方法において、前記ヒドロゲルを乾燥することにより得られた前記ケイ酸質材料を塩酸浸出することによって、前記吸着材の副生成物として凝集剤を得ることを特徴とする。
ヒドロゲルを乾燥させたケイ酸質材料は、鉄を中心とした金属成分を含むので、塩酸で浸出すると、塩化鉄を主成分とする金属の塩化物が得られる。塩化鉄は廃水中の微粒子の凝集剤として用いることが知られており、前記塩化物は凝集剤として使用することが期待される。
さらに、本発明の銅製錬スラグから製造する高純度にケイ酸を含むケイ酸質材料を使用する方法は、前記いずれかのケイ酸質材料を銅製錬工程の融剤として再利用することを特徴とする。
銅製錬工程では、ケイ酸を融剤として用いている。本発明のケイ酸質材料はケイ酸を高
純度で含むことから、銅製錬工程で再利用することが可能である。銅スラグから生じたケイ酸質材料をそのまま再利用することは、銅製錬のコスト低減にもつながることから、非常に有用な利用方法である。
本発明の銅製錬スラグより製造する高純度にケイ酸を含むケイ酸質材料は、銅製錬スラグを塩酸又は硝酸を含む水溶液で処理し、乾燥することによって製造することを特徴とする。
硝酸、又は塩酸で処理することにより、溶出したケイ酸成分が互いに結びつくため、水と鉄イオンを多く含んだケイ酸ヒドロゲルが生成され、これをそのまま乾燥させることにより吸湿、吸着能を備えた乾燥ゲルを得ることができる。
本発明のケイ酸質材料は、乾燥ゲルを焼成することを特徴とする。
前記ケイ酸質材料を乾燥させた後に焼成すると、ゲル表面に主として鉄からなる金属皮膜が形成されるため、電気伝導性が付与されたゲルを得ることができる。軽量であり、さらに電気伝導性が付与されることにより、吸着材以外にも様々な用途が考えられる。
本発明のケイ酸質材料は、乾燥ゲルを酸浸出することを特徴とする。
ヒドロゲルを乾燥させた乾燥ゲルを酸で浸出すると、鉄を中心とした金属成分が溶出し、ゲル個体内部にメソ孔が生成し、高い比表面積を有する吸着材が得られる。通常のシリカゲルに比べて比表面積が高く、高い吸着能力を備えている。
本発明のケイ酸質材料の副生成物としての凝集剤は、乾燥ゲルを塩酸浸出することを特徴とする。
ヒドロゲルを乾燥させた乾燥ゲルを塩酸で浸出すると、塩化鉄を主成分とする金属の塩化物が得られ、該塩化物は凝集剤として使用することが期待される。
処理前の銅スラグ、アルカリ、酸処理後の銅スラグのSEM画像。 処理前、及び各処理後の銅スラグの外観を示す写真。 塩酸処理によって生成したゲルのEDXスペクトル、X線回折パターンを示す図。 酸処理後の乾燥ゲル、焼成ゲル、塩酸処理ゲルの外観を示す写真。 銅スラグから、高純度ケイ酸質材料を生成する方法を示すフローチャート。
一般に銅スラグは、鉄を多く含み、酸化鉄(FeO)が45〜55%、二酸化ケイ素(SiO2)が30〜36%程度含まれ、酸化カルシウム(CaO)が2〜7%、酸化アルミニウム(Al)が3〜6%程度含まれている(非特許文献3)。
銅製錬スラグは、鉄を多く含む点で鉄鋼スラグとは大きく異なるものの、二酸化ケイ素、酸化カルシウムを多く含む点では、鉄鋼スラグと同様の化学組成となっている。そこで、銅製錬スラグも、鉄鋼スラグと同様にシリカゲルの製造や金属抽出に利用できないか検討を行った。
鉄やケイ素はpH1.0以下の低いpH条件で溶出することが知られている。そこで、硫酸、硝酸、塩酸、及び比較のために水酸化ナトリウムを用いて浸出試験を行った。
まず、スラグをエネルギー分散型X線分析装置(EDX)で分析し、元素の定量を行った。元素組成は表1のとおりであった。その後、スラグ2.0gを各溶液50mlに浸漬し、24時間振とうし、濾別した処理後のスラグを再度EDXにより分析を行い、元素の構成比率の変化を解析した。また、各試料について、走査型電子顕微鏡(SEM)とX線分析装置(XRD)により解析した。
6M、3M、1M 水酸化ナトリウム水溶液で処理を行ったが、各濃度で大きな差は見られなかった。6M 水酸化ナトリウム処理前後での組成を表2に、外観の変化を図1に示す。表2は、処理後の構成元素の比率(wt%)、それぞれの重量(wt)、処理前スラグからの重量変化(Δwt)、抽出率を示す。なお、抽出率が負の値であるということは、処理後の方がその元素の比率が増大したことを示している。また、処理前スラグの重さは2.012g、処理後のスラグの重さは1.939gであり、重量は3.6%減少したのみである。
水酸化ナトリウム処理によっては、カルシウムが若干抽出されただけで、濃度によらず外見・組成ともに大きい変化は見られなかった。図1(A)に処理前のSEM画像を、図1(B)に水酸化ナトリウム処理後のSEM画像を示す。
一方、酸処理した場合には、ほとんどの金属成分が抽出され、スラグは手でつぶせるほど軟らかくなっていた。6M 硫酸で処理した場合の処理後のスラグ組成を表3に示す。なお、処理前スラグの重さは1.99g、処理後スラグの重さは1.22gであり、重量は38.7%減少していた。アルカリ抽出に比べ、10倍程度の重量減少が生じており、銅スラグから多くの金属成分が抽出されていることを示す。
なお、ここではデータを示していないが、pH1.0以下、すなわち約0.1Mの酸であれば、いずれの酸を用いても酸浸出を行うことが可能であった。
酸処理を行うことにより、鉄、亜鉛は顕著に抽出され、いずれも90%以上、抽出できることが明らかとなった。また、上記で述べたように水酸化ナトリウムによる浸出に比べ、重量が顕著に減少していることも、酸を用いた場合に多くの金属が抽出されていることを示している。
上記で示すように、酸浸出によって銅スラグから多くの金属が抽出されることから、これら金属成分を分離し再利用することは技術的には可能である。しかしながら、銅スラグに含まれている金属成分が多様であり、単一の金属として精製することは、実用面、コスト面から現実的ではないと考えられる。そこで、酸浸出後のスラグをヒドロゲルとして再利用する可能性を検討した。
硫酸、硝酸、塩酸いずれの酸で処理した場合も、銅スラグから金属成分が抽出される点は同じだが、塩酸、硝酸で浸出を行うと、浸出後のスラグの形状には大きな差があることがわかった。図1(C)には硫酸処理後の乾燥ゲルのSEM画像を、図1(D)には塩酸処理後の乾燥ゲルのSEM画像を、図2(A)には処理前の銅スラグ、図2(B)には硫酸処理後、図2(C)には塩酸処理後、図2(D)には硝酸処理後のゲルの写真を示す。
図2に示すように、塩酸で処理すると、硫酸処理の場合と異なり、浸出液中にゲルが生成し、膨潤状態では添加したスラグの4〜5倍の質量となる。スラグ中の二酸化ケイ素が酸により溶出し、ゲル化したものと考えられる。なお、硝酸処理によっても塩酸処理と同様の結果が得られている。
また、図1に示したSEM画像においても、処理前、あるいは水酸化ナトリウム処理に比べ、酸処理した場合には、スラグが小さくなっていることが確認された。特に硫酸処理後の銅スラグ(図1(C))は、脆弱になっていることもあり、処理前の銅スラグ(図1(A))に比べ、大きさはかなり小さくなっている。
元素組成等の解析を行うために、塩酸処理後のゲルを80℃で24時間乾燥し、EDX及びX線回折により解析を行った。EDXスペクトルを図3(A)に、X線回折パターンを図3(B)に示す。
図3(A)に示すように、ゲルの組成は酸素、及びケイ素に富んだ組成となっており、スラグ中の二酸化ケイ素が酸により溶出し、ゲル化したものと考えられる。また、図3(B)に示すX線回折パターンにブロードなピークが22°付近に現れていることから、非晶質のシリカが存在することが確認された。また、ピークの位置より、その内部にはクリストバライトの結晶構造を有している部分が存在しているものと考えられる。
二酸化ケイ素は温度、圧力などの条件により多様な結晶構造が存在するが、クリストバライトは、立方晶系、八面体の結晶で密度が小さいことから水分を含む様々な物質を吸着する性質があるため、汚水の浄化、土壌改良及び改善、セシウム等有害物質の吸着等の効果が望める。
塩酸処理によって得られたゲルを乾燥後、再度塩酸処理を行うか、又はそのまま500℃で5時間焼成したゲルを作成し、さらに物性を解析した。以後、銅スラグを塩酸処理して得られたゲルを銅スラグゲル、1回目の塩酸処理により得られたゲルを乾燥したものを乾燥ゲル、再度塩酸処理して得られたゲルを塩酸処理ゲル、乾燥ゲルを焼成して得られたゲルを焼成ゲルという。
塩酸処理ゲルは、乾燥ゲル(図4(A))1gに対して、20〜200ml程度の割合で1〜6 Mの塩酸を添加し,室温で0.5〜3時間撹拌して得た。白い粒子の塩酸処理ゲルが生成した(図4(B))。
次に、銅スラグ、銅スラグゲル、乾燥ゲル、塩酸処理ゲル、焼成ゲルの組成を蛍光X線分析により解析した。結果を表4に示す。なお、表4中の数値は全体に対する重量%である。
表4から、塩酸処理ゲルは、残存していた鉄等の金属がほとんど再抽出され、二酸化ケイ素(SiO2)が全体の99.2質量%を占めていた。
一方、再抽出された金属は塩酸と反応して塩化物を形成しており、その主成分は塩化鉄(FeCl)であった。上記塩化鉄は、大気中に放置することにより酸化されFeClとなる。
前記FeClは、銅の精錬の際に排出される排水中の微粒子に対して優れた凝集性を示すので、該排水の処理における凝集剤としての用途が期待できる。このとき、凝集剤としては高い純度は不要であり、上記塩化物をそのまま塩化鉄(FeCl)として使用できるので好都合である。
また、焼成ゲル(図4(C))は、乾燥ゲル(図4(A))と比較して、粒子サイズや色調については大きな変化はなかったものの、表面に金属光沢が発現していることが目視によっても明らかに確認される。導電性を確認したところ、導電性を備えていることも確認できた。焼成ゲルには鉄が残存していることから、導電性を備えているものと考えられる。
塩酸処理によって得られた乾燥ゲルを再度塩酸処理することによって、元素構成がほぼOとSiであるゲルが得られたことや、焼成によって導電性ゲルが得られたので、次にこれらの物性解析を行った。
まず、メチレンブルー吸着実験を行い、これらゲルの吸着性能の評価を行った。メチレンブルーの吸着量は、比較的分子量の大きな物質の吸着量を評価する方法として用いられている。
1/15M、pH7.0のリン酸緩衝液にメチレンブルーを1200mg/Lとなるように溶解し、各試料1gとメチレンブルー溶液25mlとを30分間振とうし、吸引濾過した後、濾液の吸光を測定し、メチレンブルーと吸光度との相関から、濾液中に残存しているメチレンブルーの残存濃度を算出した。表5にメチレンブルーの残存濃度及び吸着量を示す。コントロールとして市販のシリカゲルを用いた。
いずれのゲルもメチレンブルーの吸着量は、市販のシリカゲルと同程度であった。特に塩酸処置ゲルはメチレンブルーの残留濃度が低く、吸着性が良いことが示された。
さらに、これらゲルで吸湿実験を行い、吸湿性能の評価行った。湿度50%のもとで実験を行い、以下の式を用いて吸湿率を算出した。
吸湿率(%)=(W−W)/W×100
(W:乾燥した試料の質量(g)、W:吸湿後の試料の質量)
結果を表6に示す。
表6に示すように、吸湿率は市販のシリカゲルと比較すると、焼成ゲルで同定度、乾燥ゲル、塩酸処理ゲルではシリカゲルよりも高い吸湿率であることが示された。
次に、比表面積、細孔分布及び細孔体積を測定した結果を表7に示す。試料の前処理として真空下で緩やかに加熱,排気することにより吸着水を除いた。比表面積は,吸着質を窒素とし,吸着温度77 Kにおける窒素吸着量から比表面積を求める、ガス吸着BET法により測定した。また、吸着質が脱離するときの相対圧と吸着量の関係である脱着等温線から細孔径を求めるBJH法により、細孔径分布を測定した。
乾燥ゲルに比べ、さらに塩酸で処理することにより、比表面積が大きくなっていることが示された。塩酸で処理することにより、残存していた金属成分が抽出されるため、表面積が大きくなるものと考えられる。
図5に、銅スラグを塩酸、又は硝酸で処理し、乾燥ゲル、焼成ゲル、又は再度塩酸処理した塩酸処理ゲル及び塩化鉄の製造方法及びその物性をまとめた。乾燥ゲル、焼成ゲル、塩酸処理ゲルはいずれも吸着性、吸湿性ともに、シリカゲルと同等以上の性質を示すことから、吸着ゲル、吸湿ゲルとして再利用できる。
また、焼成ゲルは導電性も付与されているため、新たな再利用方法も考えられる。軽質で、導電性があることから、例えば、電池材料や電極材料,LCDなどの導通材や異方性導電部材,帯電防止材,導電性塗料などに利用することが考えられる。
また、本発明により生成されたケイ酸質材料は、酸素を除く元素組成は90%以上がケイ素であり、高純度にケイ素を含有するものである。銅製錬工程には融剤としてケイ酸を使用するが、本発明のケイ酸質材料は高純度にケイ酸を含むことから、融剤として銅製錬工程での再利用も可能である。
また、塩化鉄は排水処理における凝集剤として再利用できる。
以上示してきたように、本発明は、再利用が進まなかった銅スラグをシリカゲルと同等の、あるいは導電性を備えたゲルとして使用する新しい再利用方法を示すものである。これにより、今まで限られた利用方法しかなく、再利用が進まず堆積保管されていた銅スラグを有効に再利用することが可能となる。特に銅製錬工程での再利用は、銅製錬プロセスから出た銅スラグを再度製錬プロセスに組み入れるものであるとともに、比較的多量の再利用が見込まれることから、有効な再利用方法である。

Claims (9)

  1. 銅製錬スラグから製造する高純度にケイ酸を含むケイ酸質材料の製造方法であって、
    銅スラグを塩酸又は硝酸を含む水溶液で処理することによって、ヒドロゲルを生成し、
    前記ヒドロゲルを乾燥することを特徴とするケイ酸質材料の製造方法。
  2. 請求項1記載のケイ酸質材料の製造方法において、前記ヒドロゲルを乾燥することにより得られた前記ケイ酸質材料を焼成することによってゲルを得ることを特徴とするケイ酸質材料の製造方法。
  3. 請求項1記載のケイ酸質材料の製造方法において、前記ヒドロゲルを乾燥することにより得られた前記ケイ酸質材料を酸浸出することによって吸着材を得ることを特徴とするケイ酸質材料の製造方法。
  4. 請求項3記載のケイ酸質材料の製造方法において、前記ヒドロゲルを乾燥することにより得られた前記ケイ酸質材料を塩酸浸出することによって、前記吸着材の副生成物として凝集剤を得ることを特徴とするケイ酸質材料の製造方法。
  5. 銅製錬スラグから製造する高純度にケイ酸を含むケイ酸質材料を使用する方法であって、
    請求項1〜3のいずれか1項記載のケイ酸質材料を銅製錬工程の融剤として再利用することを特徴とするケイ酸質材料の使用方法。
  6. 銅製錬スラグより製造する高純度にケイ酸を含むケイ酸質材料であって、
    銅製錬スラグを塩酸又は硝酸を含む水溶液で処理し、乾燥することによって製造することを特徴とするケイ酸質材料。
  7. 銅製錬スラグより製造する高純度にケイ酸を含むケイ酸質材料であって、
    請求項6記載のケイ酸質材料を焼成することによって製造することを特徴とするケイ酸質材料。
  8. 銅製錬スラグより製造する高純度にケイ酸を含むケイ酸質材料であって、
    請求項6記載のケイ酸質材料を酸浸出することによって製造することを特徴とするケイ酸質材料。
  9. 銅製錬スラグより製造する高純度にケイ酸を含むケイ酸質材料の副生成物としての凝集剤であって、
    請求項6記載のケイ酸質材料を塩酸浸出することによって製造することを特徴とする凝集剤。
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