JP2015097713A - 睡眠状態推定装置及び睡眠状態推定方法 - Google Patents

睡眠状態推定装置及び睡眠状態推定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ウルトラディアンリズムのサイクル毎におけるδ波のパワーを推定することにより、使用者にとって少ない負担で使用者の睡眠の質を推定できる装置を提供する。
【解決手段】睡眠状態推定装置1は、使用者の睡眠時の生体情報を取得する生体情報取得部3と、生体情報に基づいて、使用者の睡眠段階を推定する睡眠段階推定部10と、睡眠段階の推定結果に基づいて、使用者の入眠からの睡眠時間をウルトラディアンリズムのサイクル毎に分ける睡眠時間分割部11と、睡眠段階の推定結果に基づいて、サイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間を推定するノンレム睡眠時間推定部12と、サイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間の推定結果に基づいて、サイクル毎における使用者のδ波のパワーを推定するパワー推定部13と、サイクル毎におけるパワーの推定結果に基づいて、使用者の睡眠の質を推定する質推定部14と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、使用者の睡眠の質を推定する睡眠状態推定装置及び睡眠状態推定方法に関する。
睡眠の質は、睡眠時の脳波と相関があることが知られている。脳波は、α波、β波、γ波、δ波に分類され、δ波は眠りの深い睡眠段階において現われる傾向がある。具体的に、睡眠段階は、脳が覚醒状態にあるレム睡眠と脳が休息している状態にあるノンレム睡眠とに分けられ、ノンレム睡眠においてδ波の出現確率が高くなる。そこで、睡眠時におけるδ波等の脳波の測定結果に基づいて睡眠の質を推定することが従来から行われている。
例えば、特開2013−121489号公報には、使用者の前額部に配置される複数個の電極を備え、これらの電極により測定した脳波に基づいて使用者の睡眠状態の検出を行う睡眠状態検出装置が示されている。
特開2013−121489号公報
しかしながら、上述した従来の睡眠状態検出装置のように使用者の頭部へ電極を配置することは、使用者にとって負担であり、使用者の睡眠を妨げるおそれがある。このため、従来の睡眠状態検出装置を日常的に使用することは現実的ではないという問題があった。
そこで、本発明は、ウルトラディアンリズムのサイクル毎におけるδ波のパワーを推定することにより、使用者にとって少ない負担で使用者の睡眠の質を推定できる睡眠状態推定装置及び睡眠状態推定方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、複数人の被験者の睡眠時の脳波(単位:μV)測定を十数日にわたって行う中で、睡眠時の脳活動の休息を意味するδ波が約90分のウルトラディアンリズムのサイクルに基づいて変化することに着目した。本発明者等は、研究の結果、ウルトラディアンリズムのサイクル毎におけるノンレム睡眠時のδ波のパワー(単位:μV/Hz)が人によらず同様のダイナミクスを示すことを新たに見いだし、このダイナミクスを利用してサイクル毎のノンレム睡眠の継続時間からδ波のパワーを推定することを想到した。
すなわち、本発明の一態様は、使用者の睡眠の質を推定する睡眠状態推定装置であって、使用者の睡眠時の生体情報を取得する生体情報取得部と、生体情報に基づいて、使用者の睡眠段階を推定する睡眠段階推定部と、睡眠段階の推定結果に基づいて、使用者の入眠からの睡眠時間をウルトラディアンリズムのサイクル毎に分ける睡眠時間分割部と、睡眠段階の推定結果に基づいて、サイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間を推定するノンレム睡眠時間推定部と、サイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間の推定結果に基づいて、サイクル毎における使用者のδ波のパワーを推定するパワー推定部と、サイクル毎におけるパワーの推定結果に基づいて、使用者の睡眠の質を推定する質推定部と、を備え、パワー推定部は、予め設定されたδ波のパワー最大値と、ノンレム睡眠の開始からδ波のパワーがパワー最大値に至るまでの時間に関して予め設定された開始時定数と、δ波のパワーがパワー最大値から減少してノンレム睡眠の終了に至るまでの時間に関して予め設定された終了時定数と、を用いて、サイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間の推定結果からサイクル毎における使用者のδ波のパワーを推定する。なお、上記生体情報に脳波は含まれない。
この睡眠状態推定装置は、睡眠時の呼吸、心電(心拍)、血圧、皮膚電気活動などの生体情報に基づいて使用者の睡眠段階を推定することで、当該睡眠段階の推定結果から睡眠時間をウルトラディアンリズムのサイクル毎に分け、当該睡眠段階の推定結果からサイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間を推定することができる。そして、この睡眠状態推定装置は、サイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間とδ波のパワーとの関係性が人によらず同様の傾向を示すことから、この傾向を利用してサイクル毎のノンレム睡眠の継続時間からサイクル毎のδ波のパワーを推定することができる。すなわち、この睡眠状態推定装置は、サイクル毎におけるノンレム睡眠の開始からδ波のパワーが増加してδ波のパワー最大値に至り、その後にδ波のパワーが減少してノンレム睡眠が終了するという傾向を利用して、予め設定されたδ波のパワー最大値と、ノンレム睡眠の開始からδ波のパワーがパワー最大値に至るまでの時間に関して予め設定された開始時定数と、δ波のパワーがパワー最大値から減少してノンレム睡眠の終了に至るまでの時間に関して予め設定された終了時定数と、を用いて、サイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間の推定結果からサイクル毎における使用者のδ波のパワーを推定することができる。従って、この睡眠状態推定装置は、睡眠時の使用者の頭部に配置する電極等を用いてδ波を直接測定することなく、使用者にとって少ない負担で睡眠時のδ波のパワーを推定することができ、δ波のパワーの推定結果に基づいて使用者の睡眠の質を推定することができる。
一実施形態において、上記パワー推定部は、使用者の入眠からのサイクルの順番に応じて、それぞれ設定されたδ波のパワー最大値を用いて、当該サイクルにおける使用者のδ波のパワーを推定してもよい。
この実施形態に係る睡眠状態推定装置は、使用者の入眠からのサイクルの順番により、当該サイクルにおけるノンレム睡眠の継続時間とδ波のパワーの関係性が変化することから、サイクルの順番に応じてそれぞれ設定されたδ波のパワー最大値を用いることで、δ波のパワー最大値として全てのサイクルで一定値を用いる場合と比べて、サイクル毎におけるδ波のパワーの推定精度の向上を図ることができる。
一実施形態において、上記パワー推定部は、使用者の入眠からのサイクルの順番に応じて、それぞれ設定された開始時定数を用いて、当該サイクルにおける使用者のδ波のパワーを推定してもよい。
この実施形態に係る睡眠状態推定装置は、使用者の入眠からのサイクルの順番により、当該サイクルにおけるノンレム睡眠の継続時間とδ波のパワーの関係性が変化することから、サイクルの順番に応じてそれぞれ設定された開始時定数を用いることで、開始時定数として全てのサイクルで一定値を用いる場合と比べて、サイクル毎におけるδ波のパワーの推定精度の向上を図ることができる。
一実施形態において、上記パワー推定部は、使用者の入眠からのサイクルの順番に応じて、それぞれ設定された終了時定数を用いて、当該サイクルにおける使用者のδ波のパワーを推定してもよい。
この実施形態に係る睡眠状態推定装置は、使用者の入眠からのサイクルの順番により、当該サイクルにおけるノンレム睡眠の継続時間とδ波のパワーの関係性が変化することから、サイクルの順番に応じてそれぞれ設定された終了時定数を用いることで終了時定数として全てのサイクルで一定値を用いる場合と比べて、サイクル毎におけるδ波のパワーの推定精度の向上を図ることができる。
本発明の他の態様は、使用者の睡眠の質を推定する睡眠状態推定方法であって、使用者の睡眠時の生体情報を取得する生体情報取得工程と、生体情報に基づいて、使用者の睡眠段階を推定する睡眠段階推定工程と、睡眠段階の推定結果に基づいて、使用者の入眠からの睡眠時間をウルトラディアンリズムのサイクル毎に分ける睡眠時間分割工程と、睡眠段階の推定結果に基づいて、サイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間を推定するノンレム睡眠時間推定工程と、サイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間の推定結果に基づいて、サイクル毎における使用者のδ波のパワーを推定するパワー推定工程と、サイクル毎におけるパワーの推定結果に基づいて、使用者の睡眠の質を推定する質推定工程と、を備え、パワー推定工程は、予め設定されたδ波のパワー最大値と、ノンレム睡眠の開始からδ波のパワーがパワー最大値に至るまでの時間に関して予め設定された開始時定数と、δ波のパワーがパワー最大値から減少してノンレム睡眠の終了に至るまでの時間に関して予め設定された終了時定数と、を用いて、サイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間の推定結果からサイクル毎における使用者のδ波のパワーを推定する。
この睡眠状態推定方法によれば、睡眠時の呼吸、心電(心拍)、血圧、皮膚電気活動などの生体情報に基づいて使用者の睡眠段階を推定することで、当該睡眠段階の推定結果から睡眠時間をウルトラディアンリズムのサイクル毎に分け、当該睡眠段階の推定結果からサイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間を推定することができる。そして、この睡眠状態推定方法では、サイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間とδ波のパワーとの関係性が人によらず同様のダイナミクスを示すことから、このダイナミクスを利用してサイクル毎のノンレム睡眠の継続時間からサイクル毎のδ波のパワーを推定することができる。すなわち、この睡眠状態推定方法では、サイクル毎におけるノンレム睡眠の開始からδ波のパワーが増加してδ波のパワー最大値に至り、その後にδ波のパワーが減少してノンレム睡眠が終了するという傾向を利用して、予め設定されたδ波のパワー最大値と、ノンレム睡眠の開始からδ波のパワーがパワー最大値に至るまでの時間に関して予め設定された開始時定数と、δ波のパワーがパワー最大値から減少してノンレム睡眠の終了に至るまでの時間に関して予め設定された終了時定数と、を用いて、サイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間の推定結果からサイクル毎における使用者のδ波のパワーを推定することができる。従って、この睡眠状態推定方法によれば、睡眠時の使用者の頭部に配置する電極等を用いてδ波を直接測定することなく、使用者にとって少ない負担で睡眠時のδ波のパワーを推定することができ、δ波のパワーの推定結果に基づいて使用者の睡眠の質を推定することができる。
本発明の一態様に係る睡眠状態推定装置及び睡眠状態推定方法によれば、ウルトラディアンリズムのサイクル毎におけるδ波のパワーを推定することにより、使用者にとって少ない負担で使用者の睡眠の質を推定できる。
本実施形態に係る睡眠状態推定装置を示すブロック図である。 使用者の睡眠段階の推移の一例を示す図である。 パワー推定部の入力及び出力を説明するためのブロック図である。 (a)サイクル毎におけるδ波のパワーの実測データを時間軸について正規化したグラフである。(b)図4(a)と異なる被験者について、サイクル毎におけるδ波のパワーの実測データを時間軸について正規化したグラフである。 (a)サイクル1におけるδ波のパワー実測値を示すグラフである。(b)図5(a)に示すフィルタ後のサイクル1のグラフである。 (a)サイクル毎におけるδ波のパワーの実測値にフィルタを掛けたグラフである。(b)サイクル毎のδ波のパワーモデルを示すグラフである。 本実施形態に係る睡眠状態推定方法を示すフローチャートである。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1に示す睡眠状態推定装置1は、睡眠時の使用者の生体情報を利用してウルトラディアンリズムのサイクル毎におけるδ波(脳波の一種)のパワーを推定することで、睡眠の質の推定を行うものである。使用者の生体情報には、呼吸、心電(心拍)、血圧、体温、皮膚電気活動に関する情報などが含まれる。なお、睡眠状態推定装置1は、使用者の脳波を直接測定するものではないため、使用者の生体情報に脳波は含まれない。
ウルトラディアンリズムとは、人体の生体リズムの一つであり、睡眠時におけるレム睡眠とノンレム睡眠のサイクルである。レム睡眠とは脳が覚醒状態にある浅い睡眠段階を意味し、ノンレム睡眠とは脳が休息している状態にある深い睡眠段階を意味する。ウルトラディアンリズムの周期は、個人差もあるが、一般的に約90分である。例えば、使用者の一晩の睡眠時間が6時間(360分)である場合には、90分周期のウルトラディアンリズムのサイクルが一晩で4回繰り返される。以後の説明において、特に断りがない限り、サイクルという言葉はウルトラディアンリズムのサイクルを意味する。
δ波は、約1〜3Hzの周波数を持つ脳波の一種であり、単位は電圧と同じμVである。δ波は、脳波のうち最もゆっくりした波であり、深い睡眠段階(ノンレム睡眠)において出現確率が高いことが知られている。
ウルトラディアンリズムのサイクル毎におけるδ波(脳波の一種)のパワーとは、サイクル毎におけるδ波のパワーの時間積分であるパワースペクトルに相当する。このパワーの単位は、μV/Hzである。
[睡眠状態推定装置の構成]
本実施形態における睡眠状態推定装置1は、装置全体を統括的に制御する演算部2を備えている。演算部2は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]などを含む電子制御ユニットである。この演算部2は、生体情報取得部3及び表示部4と接続されている。
生体情報取得部3は、睡眠時の使用者の生体情報を取得可能なバイタルセンサから構成されている。具体的に、生体情報取得部3は、リストバンド型や貼付け型のウェアラブルセンサを含んでもよい。ウェアラブルセンサは、使用者の負担軽減の観点からワイヤレスとすることができる。ウェアラブルセンサは、使用者の呼吸、心電(心拍)、血圧、体温、皮膚電気活動等の生体情報を検出する。なお、本実施形態に係る生体情報取得部3は、使用者の脳波を直接測定する脳波計を含まない。
表示部4は、睡眠状態推定装置1における各種の検出結果及び推定結果を表示するためのディスプレイである。表示部4に表示される内容としては、使用者の入眠から起床までの睡眠時間、中途覚醒の回数及び合計時間、寝返り回数、レム睡眠の合計時間、ノンレム睡眠の合計時間、ウルトラディアンリズムのサイクル数等が挙げられる。
続いて、演算部2の構成について説明する。演算部2は、睡眠段階推定部10、睡眠時間分割部11、ノンレム睡眠時間推定部12、パワー推定部13、質推定部14、及び記憶部15を有している。記憶部15は、過去の睡眠段階の比率や過去の睡眠時間などの睡眠履歴を個人別に記憶しているデータベースである。また、記憶部15は、後述するサイクル毎のδ波のパワーモデル等の推定に用いるデータを記憶している。
睡眠段階推定部10は、生体情報取得部3が取得した睡眠時の使用者の生体情報に基づいて、現在の使用者の睡眠段階の推定を行う。睡眠段階は、レム睡眠とノンレム睡眠に大きく分けられる。睡眠段階推定部10は、ノンレム睡眠を更に複数の段階に分けて推定を行ってもよい。
睡眠段階推定部10は、例えば、使用者の生体情報から特徴量を算出し、当該特徴量に基づいて睡眠段階を推定する。特徴量とは、例えば生体情報としての心拍の検出データから抽出される単位時間当たりの心拍数、心拍の周期のゆらぎ、心拍の強さなどである。睡眠段階推定部10は、使用者の生体情報から様々な観点の特徴量を算出し、これらの特徴量に基づいて使用者の睡眠段階を多元的に推定する。
睡眠時間分割部11は、睡眠段階推定部10による睡眠段階の推定結果に基づいて、使用者の入眠からの睡眠時間をウルトラディアンリズムのサイクル毎に分割する。ここで、図2は、使用者の睡眠段階の推定結果の一例を示す図である。
図2に示されるように、使用者は、入眠によってレム睡眠に入った後、周期的にレム睡眠とノンレム睡眠とを繰り返す。睡眠時間分割部11は、例えば、睡眠段階の推定結果からレム睡眠とノンレム睡眠との繰り返しを検出することで、睡眠時間をウルトラディアンリズムのサイクル毎に分ける。使用者の入眠から起床までの睡眠時間は、3〜4のサイクルに分けられることが通常である。図2では、使用者の入眠から起床までの睡眠時間が4つのサイクルに分けられている。
以下、図2に示されるように、使用者の入眠から1番目のサイクルをサイクル1、2番目のサイクルをサイクル2、3番目のサイクルをサイクル3、4番目のサイクルをサイクル4として説明に用いる。
なお、睡眠時間分割部11は、ウルトラディアンリズムのサイクルを90分と仮定して睡眠時間を90分毎に分割した後、レム睡眠とノンレム睡眠との繰り返しを検出して睡眠時間の分割位置を補正する態様であってもよい。
図1に示すノンレム睡眠時間推定部12は、睡眠段階推定部10による睡眠段階の推定結果に基づいて、睡眠時間分割部11によって分けられたサイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間を推定する。具体的に、図2において、ノンレム睡眠時間推定部12は、睡眠段階の推定結果からサイクル1におけるノンレム睡眠の継続時間Tを推定する。同様に、ノンレム睡眠時間推定部12は、サイクル2におけるノンレム睡眠の継続時間Tを推定し、サイクル3におけるノンレム睡眠の継続時間Tを推定する。また、ノンレム睡眠時間推定部12は、サイクル4におけるノンレム睡眠の継続時間Tを推定する。
図1及び図3に示すパワー推定部13は、サイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間の推定結果に基づいて、サイクル毎における使用者のδ波のパワーを推定する。パワー推定部13は、予め設定されたδ波のパワーモデルを利用して、サイクル毎における使用者のδ波のパワーを推定する。
以下、δ波のパワーモデルについて説明する。δ波のパワーモデルとは、サイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間とδ波のパワーとの関係性が人によらず共通する傾向を示すことに着目して作成されたものである。このようなδ波のパワーモデルを用いることで、あるサイクルにおけるノンレム睡眠の継続時間から当該サイクルにおけるδ波のパワーを推定することができる。δ波のパワーモデルのデータは、例えば記憶部15に記憶されている。
また、δ波のパワーモデルは、使用者の入眠からのサイクルの順番に応じて複数のモデルが予め設定されている。これは、サイクルの順番が同じ場合にノンレム睡眠の継続時間とδ波のパワーとの関係性が人によらずに同様のダイナミクスを示すためである。なお、図3には、サイクル1〜4の各々のδ波のパワーモデルが示されているが、サイクル5以降のパワーモデルについて予め用意していてもよい。
サイクル1〜4のδ波のパワーモデルは、下記の式(1)〜(4)に示すモデルパラメータとして表すことができる。式(1)は、サイクル1に対応するモデルパラメータであり、式(2)はサイクル1に対応するモデルパラメータである。式(3)は、サイクル3に対応するモデルパラメータであり、式(4)はサイクル4に対応するモデルパラメータである。
上記の式(1)において、Pは、サイクル1におけるδ波のパワーである。Pmaxは、サイクル1において予め設定されたδ波のパワー最大値である。τsは、サイクル1において予め設定された開始時定数である。τeは、サイクル1において予め設定された終了時定数である。Tは、サイクル1におけるノンレム睡眠の継続時間である。tは、サイクル1が始まってからの時間である。
同様に、式(2)〜式(4)において、P〜Pは、サイクル2〜4のそれぞれにおけるδ波のパワーである。Pmax〜Pmaxは、サイクル2〜4のそれぞれにおいて予め設定されたδ波のパワー最大値である。τs〜τsは、サイクル2〜4のそれぞれにおいて予め設定された開始時定数である。τe〜τeは、サイクル2〜4のそれぞれにおいて予め設定された終了時定数である。T〜Tは、サイクル2〜4のそれぞれにおけるノンレム睡眠の継続時間である。t2〜t4は、サイクル2〜4のそれぞれにおいてサイクルが始まってからの時間である。
以下、サイクル1におけるδ波のパワー最大値Pmax、開始時定数τs、終了時定数τeについて説明する。
まず、図4(a)は、サイクル毎におけるδ波のパワーの実測値をサイクルの時間的長さについて正規化したグラフである。図4(b)は、図4(a)と異なる被験者について、サイクル毎におけるδ波のパワーの実測データを時間軸について正規化したグラフである。
図4(a)及び図4(b)において、縦軸はδ波のパワー、横軸は時間を示している。図4(a)及び図4(b)に示すδ波のパワーの実測値は、被験者のδ波を脳波計で直接測定して得たものである。サイクル毎の時間的長さのバラツキを無くすため、時間軸について正規化を行った後、サイクル毎におけるδ波のパワーの実測値を重ねて表している。
図4(a)及び図4(b)に示されるように、δ波のパワーのダイナミクスは被験者ごとに差異はあるがパワーの最大値(上記の式(1)〜式(4)におけるPmax〜Pmax)がサイクル1からサイクル4にかけて徐々に小さくなること、δ波のパワーの立ち上がり(上記の式(1)〜式(4)におけるτs〜τs)がサイクル1からサイクル4にかけて遅くなることに関して共通していることが分かる。このような特徴は、ここでは示していない他の被験者でも確認されたことから、δ波のパワー最大値とδ波のパワーの立ち上がり等をパラメータとする式(1)〜式(4)により、ある程度の精度でδ波のダイナミクスを推定できると考えられる。
図5(a)は、サイクル1におけるδ波のパワーの実測値を示すグラフである。なお、図5(a)に示す実測値は、図4(a)又は図4(b)に示すサイクル1のδ波のパワーの実測値と同一ではない。図5(a)において、サイクル1の実測値をフィルタにより鈍らせたグラフを太線で示す。
図5(b)に、図5(a)に示すフィルタ後のサイクル1のグラフを示す。図5(b)では、図5(a)よりも縦軸の寸法を拡大している。図5(b)において、予め設定されたδ波のパワー最大値Pmaxを示す。
まず、δ波のパワー最大値Pmaxについて説明する。δ波のパワー最大値Pmaxは、例えば、実験により統計的に求められた値であり、睡眠状態推定装置1に予め設定された設定値である。δ波のパワー最大値Pmaxは、例えば、被験者ごとに十数日以上にわたって測定された睡眠時のサイクル1におけるδ波のパワーの実測値の最大値の平均とすることができる。同様に、他のサイクル2〜4におけるδ波のパワー最大値Pmax〜Pmaxも、被験者ごとに測定されたサイクル2〜4におけるδ波のパワーの実測値の最大値の平均とすることができる。
なお、δ波のパワー最大値Pmaxは、予め設定された複数の設定値の中から性別や年齢等に応じて使用者が選択する態様であってもよい。また、δ波のパワー最大値Pmaxは、使用者の過去の睡眠履歴等の個人データを利用して予め設定された値を次第に補正する態様であってもよい。サイクル2〜4におけるδ波のパワー最大値Pmax〜Pmaxにおいても同様である。
ここで、図4(a)及び図4(b)に示されるように、使用者の入眠からのサイクルの順番が早いほどδ波のパワーが大きく現われ、サイクルの順番が遅いほどδ波のパワーが小さくなることが経験的に認められる。このようにサイクルの順番に応じて、ノンレム睡眠の継続時間とδ波のパワーとの関係性が変化することから、δ波のパワー最大値Pmax〜Pmaxをそれぞれ適切な設定値とすることができる。例えば、δ波のパワー最大値Pmax〜Pmaxは、サイクルの順番が遅いほど小さな値とすることができる。この場合、サイクルの順番に応じてそれぞれ設定されたδ波のパワー最大値Pmax〜Pmaxを用いることで、δ波のパワー最大値として全てのサイクルで一定値を用いる場合と比べて、サイクル毎におけるδ波のパワーP〜Pの推定精度を向上させることができる。
なお、必ずしもδ波のパワー最大値Pmax〜Pmaxの全てを異なる値とする必要はない。例えば、サイクル1,2におけるδ波のパワーのグラフは、サイクル3,4と比べて、統計的に同様のダイナミクスが認められるため、δ波のパワーの最大値Pmax及びδ波のパワー最大値Pmaxを同じ値としてもよい。同様に、δ波のパワーの最大値Pmax及びδ波のパワー最大値Pmaxを同じ値としてもよい。また、δ波のパワー最大値Pmax〜Pmaxの全てを同じ値とすることもできる。
次に、開始時定数τs及び終了時定数τeについて説明する。開始時定数τs及び終了時定数τeは、δ波のパワー最大値Pmaxと同様に、睡眠状態推定装置1に予め設定された設定値である。
開始時定数τsは、図5(b)において、予め設定されたδ波のパワー最大値Pmaxに1−exp−1を乗じた値(Pmax×(1−exp−1))に対応する線Lpとフィルタ後のサイクル1のグラフとの交点のうち、サイクル1の開始側の交点Cに対応する時間に相当する。開始時定数τsは、サイクル1において、ノンレム睡眠の開始からδ波のパワーがパワー最大値Pmaxに至るまでの時間に関する統計結果に基づいて予め設定された値である。具体的には、開始時定数τsは、複数人の被験者から十数日以上にわたって測定された睡眠時のサイクル1において、ノンレム睡眠の開始からδ波のパワーがパワー最大値Pmaxに至るまでの時間の平均とすることができる。
一方、終了時定数τeは、図5(b)において、線Lpとフィルタ後のサイクル1のグラフとの交点のうち、サイクル1の終了側の交点Cに対応する時間に相当する。終了時定数τeは、サイクル1において、δ波のパワーがパワー最大値Pmaxから減少してノンレム睡眠の終了に至るまでの時間に関する統計結果に基づいて予め設定された値である。具体的には、終了時定数τeは、複数人の被験者から十数日以上にわたって測定された睡眠時のサイクル1において、ノンレム睡眠の開始からδ波のパワーがパワー最大値Pmaxに至るまでの時間の平均とすることができる。
なお、開始時定数τs及び終了時定数τeも、予め設定された複数の設定値の中から性別や年齢等に応じて使用者が選択する態様であってもよい。また、開始時定数τs及び終了時定数τeは、使用者の過去の睡眠履歴等の個人データを利用して予め設定された値を次第に補正する態様であってもよい。以上、サイクル1における開始時定数τs及び終了時定数τeについて説明したが、他のサイクル2〜4における開始時定数τs〜τs及び終了時定数τe〜τeについても同様である。
また、開始時定数τs〜τs及び終了時定数τe〜τeにおいても、使用者の入眠からのサイクルの順番に応じてそれぞれ適切な設定値とすることで、全てのサイクルで一定値を用いる場合と比べて、サイクル毎におけるδ波のパワーP〜Pの推定精度を向上させることができる。
例えば、図4に示されるように、サイクル1,2においてδ波のパワーが最大値付近に至るまでの時間は、サイクル3,4においてδ波のパワーが最大値付近に至るまでの時間より短いことが経験的に認められる。このため、開始時定数τs,τsを開始時定数τs,τsより小さな値として予め設定することができる。なお、必ずしも開始時定数τs〜τsの全てを異なる値とする必要はない。例えば、開始時定数τs,τsを同じ値としてもよく、開始時定数τs,τsを同じ値としてもよい。また、開始時定数τs〜τsの全てを同じ値とすることもできる。
同様に、図4に示されるように、サイクル1,2においてδ波のパワーが減少を始めてノンレム睡眠が終了するまでの時間は、サイクル3,4においてδ波のパワーが減少を始めてノンレム睡眠が終了するまでの時間より長いことが経験的に認められる。このため、終了時定数τe,τeを終了時定数τe,τeより大きな値として予め設定することができる。なお、必ずしも終了時定数τe〜τeの全てを異なる値とする必要はない。例えば、終了時定数τe,τeを同じ値としてもよく、開始時定数τe,τeを同じ値としてもよい。また、終了時定数τe〜τeの全てを同じ値とすることもできる。
パワー推定部13は、ノンレム睡眠時間推定部12におけるサイクル毎のノンレム睡眠の継続時間T〜Tと、上述したδ波のパワー最大値Pmax〜Pmax、開始時定数τs〜τs4、及び終了時定数τe〜τeとを用いて、上記の式(1)〜式(4)からサイクル毎のδ波のパワーP〜Pを推定する。
ここで、図6(a)は、サイクル毎におけるδ波のパワーの実測値にフィルタを掛けたグラフである。図6(b)は、サイクル毎のδ波のパワーモデルを示すグラフである。図6(a)及び図6(b)に示されるように、上記式(1)〜式(4)をモデルパラメータとするサイクル毎のδ波のパワーモデルは、実測値と近い傾向を再現している。パワー推定部13は、これらのδ波のパワーモデルを用いることにより、サイクル毎のノンレム睡眠の継続時間からサイクル毎のδ波のパワーを十分な精度で推定することができる。
続いて、図1及び図3に示す質推定部14は、パワー推定部13によるサイクル毎のδ波のパワーに基づいて、使用者の睡眠の質を推定する。質推定部14は、例えば、サイクル毎のδ波のパワーP〜Pの積算値を用いて使用者の睡眠の質を段階的に推定する。
また、質推定部14は、使用者の生体情報から得られる使用者の睡眠時間及び寝返り回数等の情報を睡眠の質の推定に用いることができる。更に、質推定部14は、睡眠段階の推定結果から得られる中途覚醒の回数、中途覚醒の合計時間、睡眠時間に占めるレム睡眠の合計時間、睡眠時間に含まれるウルトラディアンリズムのサイクル数等に基づいて、使用者の睡眠の質を推定することができる。質推定部14は、例えば、睡眠時間におけるレム睡眠とノンレム睡眠の比率に応じて、当該比率が予め設定された最適値に近いほど睡眠の質が高いと推定する。
[睡眠状態推定方法]
次に、本実施形態に係る睡眠状態推定装置1を用いた睡眠状態推定方法について図面を参照して説明する。図7は、本実施形態に係る睡眠状態推定方法を示すフローチャートである。
図7に示されるように、睡眠状態推定装置1は、ステップS1において生体情報取得部3による使用者の生体情報の取得を行う。生体情報取得部3は、使用者の各種の生体情報を所定のサンプリング周期で取得する(生体情報取得工程)。
次に、ステップS2において、睡眠段階推定部10は、生体情報取得部3が取得した睡眠時の使用者の生体情報に基づいて現在の使用者の睡眠段階の推定を行う(睡眠段階推定工程)。その後、ステップS3において、睡眠段階推定部10は、使用者の生体情報に基づいて使用者が起床したか否かの判定を行う。使用者が起床したか否かの判定には、周知の様々な方法を採用することができる。睡眠段階推定部10は、使用者が起床していないと判定した場合、再びステップS1に戻り、新たな生体情報に基づいて睡眠段階の推定を行う。睡眠段階推定部10は、使用者が起床したと判定した場合、ステップS4に移行する。
ステップS4において、睡眠時間分割部11は、睡眠段階推定部10による睡眠段階の推定結果に基づいて、使用者の入眠からの睡眠時間をウルトラディアンリズムのサイクル毎に分割する(睡眠時間分割工程)。
その後、ステップS5において、ノンレム睡眠時間推定部12は、睡眠段階推定部10による睡眠段階の推定結果に基づいて、睡眠時間分割部11によって分けられたサイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間を推定する(ノンレム睡眠時間推定工程)。
続いて、ステップS6において、パワー推定部13は、サイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間の推定結果に基づいて、サイクル毎における使用者のδ波のパワーを推定する(パワー推定工程)。パワー推定部13は、予め設定されたδ波のパワーモデルを利用して、サイクル毎における使用者のδ波のパワーを推定する。
その後、ステップS7において、質推定部14は、パワー推定部13によるサイクル毎のδ波のパワーに基づいて、使用者の睡眠の質を推定する(質推定工程)。δ波のパワーに基づく睡眠の質の推定には、周知の方法を採用することができる。
以上説明した睡眠状態推定装置1によれば、睡眠時の呼吸、心電(心拍)、血圧、皮膚電気活動などの生体情報に基づいて使用者の睡眠段階を推定することで、当該睡眠段階の推定結果から睡眠時間をウルトラディアンリズムのサイクル毎に分け、当該睡眠段階の推定結果からサイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間を推定することができる。そして、この睡眠状態推定装置1は、サイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間とδ波のパワーとの関係性が人によらず同様の傾向を示すことから、この傾向を利用してサイクル毎のノンレム睡眠の継続時間からサイクル毎のδ波のパワーを推定することができる。すなわち、この睡眠状態推定装置1は、サイクル毎におけるノンレム睡眠の開始からδ波のパワーが増加してδ波のパワー最大値に至り、その後にδ波のパワーが減少してノンレム睡眠が終了するという傾向を利用して、予め設定されたδ波のパワー最大値Pmax〜Pmax、開始時定数τs〜τs、及び終了時定数τe〜τeを用いて、サイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間の推定結果T〜Tからサイクル毎における使用者のδ波のパワーを推定することができる。従って、この睡眠状態推定装置1は、睡眠時の使用者の頭部に配置する電極等を用いてδ波を直接測定することなく、使用者にとって少ない負担で睡眠時のδ波のパワーを推定することができ、δ波のパワーの推定結果に基づいて使用者の睡眠の質を推定することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態に係る睡眠状態推定方法では、使用者が起床した後に、睡眠時間をウルトラディアンリズムのサイクル毎に分割して、サイクル毎のδ波のパワーを推定したが、入眠からの睡眠時間をサイクルに分割できる場合には睡眠中であってもサイクルにおけるδ波のパワーを推定してもよい。また、睡眠時間のサイクル毎の分割数は、4である場合に限られず、1以上であれば本発明を適用可能である。
1…睡眠状態推定装置 2…演算部 3…生体情報取得部 …表示部 10…睡眠段階推定部 11…睡眠時間分割部 12…ノンレム睡眠時間推定部 13…パワー推定部 14…質推定部 15…記憶部 P-P…δ波のパワー Pmax-Pmax…δ波のパワー最大値 T-T…継続時間 τs-τs…開始時定数 τe-τe…終了時定数

Claims (5)

  1. 使用者の睡眠の質を推定する睡眠状態推定装置であって、
    前記使用者の睡眠時の生体情報を取得する生体情報取得部と、
    前記生体情報に基づいて、前記使用者の睡眠段階を推定する睡眠段階推定部と、
    前記睡眠段階の推定結果に基づいて、前記使用者の入眠からの睡眠時間をウルトラディアンリズムのサイクル毎に分ける睡眠時間分割部と、
    前記睡眠段階の推定結果に基づいて、前記サイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間を推定するノンレム睡眠時間推定部と、
    前記サイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間の推定結果に基づいて、前記サイクル毎における前記使用者のδ波のパワーを推定するパワー推定部と、
    前記サイクル毎における前記パワーの推定結果に基づいて、前記使用者の睡眠の質を推定する質推定部と、
    を備え、
    前記パワー推定部は、予め設定されたδ波のパワー最大値と、ノンレム睡眠の開始からδ波のパワーが前記パワー最大値に至るまでの時間に関して予め設定された開始時定数と、δ波のパワーが前記パワー最大値から減少してノンレム睡眠の終了に至るまでの時間に関して予め設定された終了時定数と、を用いて、前記サイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間の推定結果から前記サイクル毎における前記使用者のδ波のパワーを推定する、睡眠状態推定装置。
  2. 前記パワー推定部は、前記使用者の入眠からの前記サイクルの順番に応じて、それぞれ設定された前記δ波のパワー最大値を用いて、当該サイクルにおける前記使用者のδ波のパワーを推定する、請求項1に記載の睡眠状態推定装置。
  3. 前記パワー推定部は、前記使用者の入眠からの前記サイクルの順番に応じて、それぞれ設定された前記開始時定数を用いて、当該サイクルにおける前記使用者のδ波のパワーを推定する、請求項1又は2に記載の睡眠状態推定装置。
  4. 前記パワー推定部は、前記使用者の入眠からの前記サイクルの順番に応じて、それぞれ設定された前記終了時定数を用いて、当該サイクルにおける前記使用者のδ波のパワーを推定する、請求項1〜3のうち何れか一項に記載の睡眠状態推定装置。
  5. 使用者の睡眠の質を推定する睡眠状態推定方法であって、
    前記使用者の睡眠時の生体情報を取得する生体情報取得工程と、
    前記生体情報に基づいて、前記使用者の睡眠段階を推定する睡眠段階推定工程と、
    前記睡眠段階の推定結果に基づいて、前記使用者の入眠からの睡眠時間をウルトラディアンリズムのサイクル毎に分ける睡眠時間分割工程と、
    前記睡眠段階の推定結果に基づいて、前記サイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間を推定するノンレム睡眠時間推定工程と、
    前記サイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間の推定結果に基づいて、前記サイクル毎における前記使用者のδ波のパワーを推定するパワー推定工程と、
    前記サイクル毎における前記パワーの推定結果に基づいて、前記使用者の睡眠の質を推定する質推定工程と、
    を備え、
    前記パワー推定工程は、予め設定されたδ波のパワー最大値と、ノンレム睡眠の開始からδ波のパワーが前記パワー最大値に至るまでの時間に関して予め設定された開始時定数と、δ波のパワーが前記パワー最大値から減少してノンレム睡眠の終了に至るまでの時間に関して予め設定された終了時定数と、を用いて、前記サイクル毎におけるノンレム睡眠の継続時間の推定結果から前記サイクル毎における前記使用者のδ波のパワーを推定する、睡眠状態推定方法。
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