<第1の実施の形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の第1の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機本体12とを有する。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技ホールに設置される。
遊技機本体12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。遊技機本体12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。
内枠13には、図2に示すように、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、図2に示すように、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
図3に示すように、遊技機本体12の回動先端部には施錠装置16が設けられている。施錠装置16は、遊技機本体12を外枠11に対して開放不能に施錠する機能と、前扉枠14を内枠13に対して開放不能に施錠する機能とを有している。これらの施錠状態は、パチンコ機10前面にて露出させて設けられたシリンダ錠17に対して解錠キーを用いて解錠操作を行うことにより個別に解除される。
次に、遊技機本体12の前面側の構成について説明する。
内枠13は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース21を主体に構成されている。図1に示すように、前扉枠14は内枠13の前面側全体を覆うようにして設けられている。前扉枠14には後述する遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓部56が形成されている。窓部56は、略楕円形状をなし、透明性を有する窓パネル57が嵌め込まれている。窓部56の周囲には、各種ランプ部等の発光手段が設けられている。各種ランプ部の一部として発光部58が窓部56の上方に設けられている。また、発光部58の左右両側には、遊技状態に応じてBGM等の音声が出力されるスピーカ部59が設けられている。
前扉枠14における窓部56の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部61及び下側膨出部62が上下に並設されている。上側膨出部61には上方に開口した上皿61aが設けられており、下側膨出部62には同じく上方に開口した下皿62aが設けられている。上皿61aは、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿62aは、上皿61a内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
下側膨出部62の右方には、手前側へ突出するようにして発射ハンドル55が設けられている。発射ハンドル55が操作されることにより、内枠13の下方に搭載された遊技球発射機構51から遊技球が発射される。遊技球発射機構51には駆動部として発射ソレノイド54及び球送り装置53が設けられており、発射ハンドル55が操作されることに基づいて、当該発射ソレノイド54及び球送り装置53が駆動状態となり0.6sec毎に遊技球が発射される。
内枠13には、遊技盤ユニット100が着脱可能に取り付けられている。また、内枠13には、遊技盤ユニット100の後方に位置するようにして図柄表示装置が着脱可能に取り付けられている。以下、図4〜6を参照して遊技盤ユニット100及びそれに関連する構成(例えば図柄表示装置や演出ユニット)について説明する。図4は遊技盤ユニット100及びそれに関連する構成を示す斜視図、図5は遊技盤ユニット100の構成を示す正面図、図6は遊技盤ユニット100の構成を示す斜視図である。
図4に示すように、遊技盤ユニット100は、略矩形状をなすベース板110と、ベース板110の背面に取り付けられた化粧板111とにより構成された遊技盤を有してなる。ベース板110は透明性を有する合成樹脂材料(詳しくは無色透明のポリカーボネート樹脂)からなり、当該ベース板110を通じた化粧板111の視認性が担保されている。
ベース板110の前面には、遊技球発射機構51から発射された遊技球をベース板110(遊技盤ユニット100)の上部へ案内するレールが取り付けられている。レールは、内外に離間して設けられた内レール部材101及び外レール部材102によって構成されており、これら両レール部材101,102によって挟まれた領域が遊技球を案内する案内通路となっている。また、遊技盤ユニット100の前面はレール部材101,102により区画され、略円形状に区画された内側領域に遊技領域103が形成されている。この遊技領域103は、上述の如く窓パネル57を介してそのほぼ全域が前方から視認可能となっている。
遊技盤ユニット100の化粧板111は、ベース板110の背面に自身の前面が当接した状態で同ベース板110に固定され、ベース板110の下側略半分を後方から覆っている。化粧板111は、不透明部材により形成され、その前面に絵柄等の各種模様が付与されている。上述の如くベース板110が無色透明に形成されているため、化粧板111の前面に施された模様がベース板110を介して視認可能となっている。上記図柄表示装置161はベース板110において化粧板111により覆われていない部分の後方となる位置に配設されている。遊技盤ユニット100の厚さ方向(前後方向)における化粧板111と図柄表示装置161との重なりが回避されることで、図柄表示装置161の表示画面Gの視認性が担保されている。
図5に示すように、これらベース板110及び化粧板111には、それぞれ対応する位置に前後方向に貫通する大小複数の貫通孔が形成されており、各貫通孔には一般入賞口113、可変入賞装置114、作動口115、スルーゲート116及びセンターフレーム130がそれぞれ設けられている。
各部材の配置位置について詳細には、センターフレーム130が遊技領域103の略中央に配置され、その下方に作動口115が配置され、さらにその下方に可変入賞装置114が配置されている。また、センターフレーム130の左右両側にはスルーゲート116が配置され、遊技領域103の下部両側には一般入賞口113が配置されている(左側に3個配置され、右側に1個配置されている)。一般入賞口113、可変入賞装置114及び作動口115に遊技球が入ると検出スイッチにより検出され、その検出結果に基づいて上皿61a(場合によっては下皿62a)に対し所定数の賞品球が払い出される。
遊技盤ユニット100(遊技領域103)の下端部にはアウト口119が設けられている。各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口119を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。また、遊技領域103には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘120が植設されていると共に、風車121等が配設されている。この場合に、ベース板110を形成するポリカーボネート樹脂は比較的高い弾性を有しているため、表面に打ち込まれた釘120などに遊技球が衝突した場合や釘120の角度調整などが行われた場合に、ベース板110に割れなどが発生しにくい構成となっている。また、可変入賞装置114や作動口115などをベース板110に固定するためのねじの長さ寸法や、釘120のベース板110内に打ち込まれている長さ寸法はベース板110の厚み寸法よりも小さくなっており、これらねじ及び釘120はベース板110の背面までは達していない。
また、ベース板110には、レール部材101,102とともに遊技領域103を区画形成している遊技領域区画部材が取り付けられており、その上部には特図表示部117及び普図表示部118が設けられている。
特図表示部117には、その内側に赤、緑、青の3色発光タイプのLEDランプが配設されている。そして、作動口115への入賞をトリガとして、所定の順序で発光色の切り替えが行われる。具体的には、作動口115への入賞をトリガとして、赤色光が点灯され、その状態で所定時間が経過すると緑色光に発光色が切り替えられる。そして、緑色光が点灯された状態で前記所定時間が経過すると青色光に発光色が切り替えられる。その後、発光色の切り替え停止時期がくるまで、赤色、緑色、青色という順序で発光色の切り替えが繰り返し行われる。これにより、特図表示部117には、赤色、緑色、青色が、この順序で繰り返し表示されることとなる。そして、最終的に赤色又は緑色が停止表示された場合には、大当たりが発生し、青色が停止表示された場合には、大当たりが発生しない。また、最終的に赤色で停止表示された場合と、最終的に緑色で停止表示された場合とで、大当たりの種類が異なり、前者の方が遊技者に有利な大当たりが発生することとなる。
なお、特図表示部117の構成はこれに限定されることはなく、液晶表示装置、有機EL表示装置、CRT、ドットマトリックス等その他のタイプの表示装置によって構成されていてもよい。また、特図表示部117にて変動表示される絵柄としては、複数種の文字が変動表示される構成、複数種の記号が変動表示される構成、複数種のキャラクタが変動表示される構成又は複数のセグメント発光部が所定の態様で配列されてなるセグメント表示器による構成などが考えられる。
一方、普図表示部118には、その内側に赤、緑の2色発光タイプのLEDランプが配設されている。この普図表示部118は、スルーゲート116の遊技球の通過をトリガとして、所定の順序で発光色の切り替えが行われる。具体的には、遊技球がスルーゲート116を通過すると、赤色光の点灯と緑色光の点灯とが交互に行われる。これにより、普図表示部118には、赤色、緑色が交互に表示されることとなる。そして、赤色が停止表示された場合には、作動口115に付随する電動役物が所定時間だけ開放状態となるよう構成されている。
可変入賞装置114は、通常は遊技球が入賞できない閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞可能な所定の開放状態に切り替えられるようになっている。より詳しくは、大当たりが発生すると、可変入賞装置114が所定の開放状態となり、遊技球が入賞し易い状態となる。可変入賞装置114の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置114内の継続入賞口への入賞を条件として次ラウンドへの移行条件成立とし、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置114が繰り返し開放される。
なお、可変入賞装置114の閉状態については、必ずしも入賞が不可能である必要は必ずしもなく、開状態よりも入賞が困難な状態であればよい。このような事情を配慮すれば、上記開状態を「第1状態」、上記閉状態を第1状態よりも入球が困難な「第2状態」と称することも可能である。
センターフレーム130は、当該センターフレーム130の上部を構成する屋根フレーム131と、センターフレーム130の下部を構成するステージフレーム140とから構成されている。これら屋根フレーム131及びステージフレーム140は、アクリル樹脂などといった透明性を有する材料により形成されている。そして、これら各フレーム131,140が連結されることで、センターフレーム130は全体として枠状をなしている。
屋根フレーム131はその全体が後方に開放された溝形状をなしており、ベース板110に固定されることで後方への開放部分が塞がれ手前側球通路132が形成されている。手前側球通路132は、屋根フレーム131の上部に形成された開口133を入口として左右に形成されている。また、屋根フレーム131の左右の下端部134は後方へ延出しており、ベース板110に形成された貫通孔に通じている。これら下端部134はステージフレーム140に連結されており、これにより手前側球通路132がステージフレーム140に連通されている。
図5及び図6に示すように、ステージフレーム140は前側ステージ部材141と後側ステージ部材142とで構成されており、両者がベース板110及び化粧板111に形成された貫通孔を介して組み付けられている。前側ステージ部材141は前後に開口されているのに対して、後側ステージ部材142はその全体が前方に開放された溝形状をなしている。後側ステージ部材142における左右両側部の開放部分が遊技盤(ベース板110又は化粧板111)の背面により塞がれ奥側球通路143が形成されている。奥側球通路143は手前側球通路132に連通されている。また、前側ステージ部材141と後側ステージ部材142とにより、奥側球通路143を通過した遊技球が左右方向に転動するステージ144が形成されている。
図5に示すように、ステージ144の中央には後方案内部145が形成されており、さらに後方案内部145を挟むようにして前方案内部146が形成されている。十分に減速されて後方案内部145に到達した遊技球は後側ステージ部材142に形成された誘導通路147に案内され、誘導通路147から遊技領域103内に排出される。この場合に、誘導通路147の出口は作動口115の鉛直上方に位置しており、両者の間に釘120などの障害となる部材が配設されていない。よって、誘導通路147を通過した遊技球は作動口115に入球し易くなっている。
センターフレーム130における遊技球の動きを簡単に説明すると、屋根フレーム131の開口133に入った遊技球は左右いずれかの手前側球通路132を通過して、奥側球通路143に到達する。奥側球通路143に到達した遊技球は当該奥側球通路143を通過して、ステージ144に到達する。ステージ144に到達した遊技球は当該ステージ144上を左右に転動する。そして、転動の結果、後方案内部145に到達した遊技球は誘導通路147を通過することで作動口115に向けて誘導される。一方、前方案内部146に到達した遊技球は作動口115に向けて誘導されることなく、遊技領域103内に排出される。
遊技盤ユニット100の正面視にて、センターフレーム130に囲われた領域と重なる位置に図柄表示装置161が設けられている。当該図柄表示装置161は、遊技盤ユニット100の後方に所定の隙間を隔てて配置されている。図柄表示装置161は、液晶表示装置からなり、その表示画面Gにて図柄の可変表示や各種演出を表示が行われる。表示画面Gは遊技盤ユニット100を通じて遊技機前方から視認可能となっている。
図柄表示装置161は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。なお、図柄表示装置161は、液晶表示装置であることに限定されることはなく、プラズマディスプレイ装置、有機EL表示装置又はCRTといった他の表示装置であってもよい。
図柄表示装置161では、作動口115への入賞に基づいて図柄の変動表示が開始される。すなわち、特図表示部117において変動表示が行われる場合には、それに合わせて図柄表示装置161において変動表示が行われる。
ここで、図柄表示装置161の表示内容について、図7及び図8を参照して詳細に説明する。図7は図柄表示装置161にて変動表示される図柄を個々に示す図であり、図8は図柄表示装置161の表示画面Gを示す図である。
図7(a)〜(j)に示すように、絵柄の一種である図柄は、「1」〜「9」の数字が各々付された9種類の主図柄と、貝形状の絵図柄からなる副図柄とにより構成されている。より詳しくは、タコ等の9種類のキャラクタ図柄に「1」〜「9」の数字がそれぞれ付されて主図柄が構成されている。
図8(a)に示すように、図柄表示装置161の表示画面Gには、上段・中段・下段の3つの図柄列Z1,Z2,Z3が設定されている。各図柄列Z1〜Z3は、主図柄と副図柄が所定の順序で配列されて構成されている。詳細には、上図柄列Z1には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の降順に配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。下図柄列Z3には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の昇順に配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、上図柄列Z1と下図柄列Z3は18個の図柄により構成されている。これに対し、中図柄列Z2には、数字の昇順に「1」〜「9」の9種類の主図柄が配列された上で「9」の主図柄と「1」の主図柄との間に「4」の主図柄が付加的に配列され、これら各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、中図柄列Z2に限っては、10個の主図柄が配されて20個の図柄により構成されている。そして、表示画面Gでは、これら各図柄列Z1〜Z3の図柄が周期性をもって所定の向きにスクロールするように変動表示される。また、図8(b)に示すように、表示画面Gは、図柄列毎に3個の図柄が停止表示されるようになっており、結果として3×3の計9個の図柄が停止表示されるようになっている。
また、表示画面Gには、5つの有効ライン、すなわち左ラインL1、中ラインL2、右ラインL3、右下がりラインL4、右上がりラインL5が設定されている。そして、上図柄列Z1→下図柄列Z3→中図柄列Z2の順に変動表示が停止し、いずれかの有効ラインに同一の数字が付された図柄の組み合わせが形成された状態で全図柄列Z1〜Z3の変動表示が終了すれば、後述する通常大当たり結果、確変大当たり結果又は特殊確変大当たり結果の発生として大当たり動画が表示されるようになっている。
本パチンコ機10では、奇数番号(1,3,5,7,9)が付された主図柄は「特定図柄」に相当し、確変大当たり結果が発生する場合には、同一の特定図柄の組み合わせが停止表示される。また、偶数番号(2,4,6,8)が付された主図柄は「非特定図柄」に相当し、通常大当たり結果が発生する場合には、同一の非特定図柄の組み合わせが停止表示される。
なお、作動口115への入賞に基づいて、特図表示部117及び図柄表示装置161にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。
また、図柄表示装置161における図柄の変動表示の態様は上記のものに限定されることはなく任意であり、図柄列の数、図柄列における図柄の変動表示の方向、各図柄列の図柄数などは適宜変更可能である。また、図柄表示装置161にて変動表示される絵柄は上記のような図柄に限定されることはなく、例えば絵柄として数字のみが変動表示される構成としてもよく、数字が付されてない図柄が含まれる又は数字が付されていない図柄のみの構成としてもよい。
図柄表示装置161における図柄の変動表示の態様について更に説明すると、本パチンコ機10では、上記のように大当たり結果の報知に際して対応する図柄の組合せが停止表示される前段階として、リーチ表示が行われるように設定されている。リーチ表示(リーチ状態)とは、図柄(絵柄)の変動表示(又は可変表示)を行うことが可能な図柄表示装置161を備え、可変入賞装置114の開閉実行モードとなる遊技回では変動表示後の停止表示結果が特別表示結果となる遊技機において、図柄表示装置161における図柄(絵柄)の変動表示(又は可変表示)が開始されてから停止表示結果が導出表示される前段階で、前記特別表示結果となり易い変動表示状態であると遊技者に思わせるための表示状態をいう。
換言すれば、図柄表示装置161の表示画面Gに表示される複数の図柄列のうち一部の図柄列について図柄を停止表示させることで、開閉実行モードの発生に対応した大当たり図柄の組み合わせが成立する可能性があるリーチ図柄の組み合わせを表示し、その状態で残りの図柄列において図柄の変動表示を行う表示状態のことである。
より具体的には、図柄の変動表示を終了させる前段階として、図柄表示装置161の表示画面G内の予め設定された有効ライン上に、開閉実行モードの発生に対応した大当たり図柄の組み合わせが成立する可能性のあるリーチ図柄の組み合わせを停止表示させることによりリーチラインを形成させ、当該リーチラインが形成されている状況下において最終停止図柄列により図柄の変動表示を行うことである。
図8の表示内容について具体的に説明すると、最初に上段の図柄列Z1において図柄の変動表示が終了され、さらに下段の図柄列Z3において図柄の変動表示が終了された状態において、いずれかの有効ラインL1〜L5に同一の数字が付された主図柄が停止表示されることでリーチラインが形成され、当該リーチラインが形成されている状況化において中段の図柄列Z2において図柄の変動表示が行われることでリーチ表示となる。そして、開閉実行モードが発生する場合には、リーチラインを形成している主図柄と同一の数字が付された主図柄がリーチライン上に停止表示されるようにして中段の図柄列Z2における図柄の変動表示が終了される。
また、リーチ表示には、上記のようにリーチ図柄の組み合わせを表示した状態で、残りの図柄列において図柄の変動表示を行うとともに、その背景画面において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものや、リーチ図柄の組み合わせを縮小表示させる又は非表示とした上で、第1表示画面G1の略全体において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものが含まれる。
そして、本パチンコ機10では、上記のリーチ表示を行う際に、その後に大当たり結果が発生する期待度、すなわち当該リーチ表示においてリーチラインを形成している主図柄と同一の数字が付された主図柄がリーチライン上に停止表示される期待度を示す期待演出の1つとして特別演出が設定されている。特別演出においては、例えばキャラクタ等の多数の絵柄が表示画面Gを横切るようにして移動する演出が実行される。本実施の形態においては、上記絵柄として魚が採用され、その群れが移動する演出(以下、「魚群演出」という)が実行される構成となっている。
図9を参照して、魚群演出について補足説明する。魚群演出は、図9(a)に示すように上下の図柄列Z1,Z3によってリーチラインが形成されて中図柄列Z2が変動中の状態で、図9(b)に示すように、魚の群が表示画面Gを横切るように(例えば図柄列Z2のスクロール方向と同じ方向に移動するように)通過する演出である。この魚群演出はリーチ表示において所定の確率で発生する。そして大当たり結果(開閉実行モードが発生する遊技回の結果)の場合のリーチ表示のほうが、外れ結果(開閉実行モードが発生しない遊技回の結果)の場合のリーチ表示よりも、魚群演出の発生率が高く設定されている。すなわち、リーチ表示において魚群演出が発生することで、当該リーチ表示が大当たり結果に繋がる期待度が高くなる。
なお、魚群演出については、表示画面Gに表示される背景の一種として図柄の後方を通過するように表示されるものであってもよいし、図柄の前方を通過するように表示されるものであってもよい。また、魚群演出が発生するタイミングはリーチ表示に限定されず、各図柄列Z1〜Z3の変動開始から停止表示までのいずれかのタイミングであればよく、魚群演出が発生することで大当たり結果に繋がる期待度が高くなる構成であればよい。
さらに本パチンコ機10では、上記のような図柄表示装置161の表示画面Gにおける魚群演出を、可動役物によって実現する特徴ある構成を備えている。以下、かかる構成について説明する。
図4に示すように、遊技盤ユニット100と図柄表示装置161との間(上記隙間)には、可動役物ユニット162が配設されている。可動役物ユニット162は、一対の可動役物170,180を有している。これら各可動役物170,180は、半径が同一の円板状に形成され、片側の板面が遊技盤ユニット100側(遊技機前方)を向くようにして前後に並設されている。
以下の説明では、可動役物170,180のうち、遊技盤ユニット100の背面に対向する前側の可動役物170を「第1可動役物170」、当該第1可動役物170の後方に位置する可動役物180を「第2可動役物180」として区別する。
図10に示すように、可動役物170の中心部には第1軸部173の一端が固定されており、可動役物180の中心部には第2軸部183の一端が固定されている。より具体的には、第1軸部173は棒状をなし、その一端(前端)が第1可動役物170の背面に固定されている。一方、第2軸部183は筒状をなしその一端(前端)が第2可動役物180の背面に固定されている。第2可動役物180の中心には第2軸部183に連通する貫通孔が形成されている。そして、かかる貫通孔及び第2軸部183の内部に第1軸部173が挿通されている。これにより、各軸部173,183を同一軸線上に配置し、第1可動役物170の回転中心軸線と第2可動役物180の回転中心軸線とを一致させている。
ここで、これら軸部173,183を含む可動役物170,180の駆動機構について補足説明する。第1軸部173の後端は第2軸部183の後端よりも後方に突出しており、当該第1軸部173の後端には第1軸側ギア174が設けられている。第1軸側ギア174は、後述する演出制御装置に電気的に接続された第1駆動部175の出力軸(詳しくは第1駆動側ギア176)と係合している。演出制御装置によって第1駆動部175が駆動制御されることにより、その動力が第1駆動部175→第1駆動側ギア176→第1軸側ギア174→第1可動役物170に伝わり、第1可動役物170が回転する。
第2軸部183の後端には第2軸側ギア184が設けられている。第2軸側ギア184は、上記演出制御装置に電気的に接続された第2駆動部185の出力軸(詳しくは第2駆動側ギア186)と係合している。演出制御装置によって第2駆動部185が駆動制御されることによって、その動力が第2駆動部185→第2駆動側ギア186→第2軸側ギア184→第2可動役物180に伝わり、第2可動役物180が回転する。
このように可動役物ユニット162の駆動に係る構成を一方側(後側)に集約することにより、可動役物ユニット162の薄型化を実現し、遊技盤ユニット100と図柄表示装置161との隙間の拡がりを抑えている。これにより、図柄表示装置161の表示画面Gの視認性の低下を抑制することができる。
本実施の形態においては、各可動役物170,180が遊技機前方から見て反時計回りに回転する。そして、各可動役物170,180については、回転位置を別々に制御することが可能となっているため、両可動役物170,180の位置関係(位相差)を任意に変更することが可能である。
また、図10の拡大図に示すように、第1可動役物170及び第2可動役物180にはセンサカットバン177,187が取り付けられている。また、内枠13には、当該センサカットバン177,187の通過を検知するインデックスセンサ178,188が設けられており、当該インデックスセンサ178,188は演出制御装置に接続されている。そして、各可動役物170,180が1回転するごとにセンサカットバン177,187の通過をインデックスセンサ178,188がそれぞれ検知し、その検知信号が演出制御装置へ出力される。これにより、演出制御装置にて各可動役物170,180の回転位置を把握する構成となっている。
なお、各可動役物170,180の回転位置を演出制御装置にて把握可能な構成であれば足りる。例えば、上記インデックスセンサ178,188からの検知情報に基づいて可動役物170,180の位置を把握するのではなく、駆動部175,185をステッピングモータとし、その回転用の出力信号から回転角度を把握する構成してもよい。
ここで、図11を参照して、可動役物170,180の構成について補足説明する。図11(a)は第1可動役物170を正面から見た概略図、図11(b)は第2可動役物180を正面から見た概略図である。
可動役物170,180は、いずれも無色透明のポリカーボネート樹脂により形成されている。そして、その前面に上記回転中心軸線を基準とする所定の角度範囲(本実施形態では中心角が約200度)に「装飾領域」としての装飾部位171,181が形成されている。より具体的には、各可動役物170,180の前面は、上記所定の角度範囲に亘って多数の魚の装飾柄(絵柄)が付与された装飾部位171,181と、装飾が一切存在しない無色透明の非装飾部位172、182とで構成されている。本実施形態では、各可動役物170,180は、装飾部位171,181が形成されている所定の角度範囲を合算した場合に360度よりも大きくなるように形成されている。より具体的には、両可動役物170,180における上記所定の角度範囲が同一(詳しくは200度)となるように設定されている。
次に、図11(a)の概略図を参照して、可動役物170,180、図柄表示装置161及び遊技盤ユニット100の位置関係について説明する。各可動役物170,180は、上記特定演出(魚群演出)が実行されない場合には装飾部位171,181が下、非装飾部位172,182が上となるようにして待機している。この状態では、図柄表示装置161の表示画面Gの全体が非装飾部位172,182と前後方向に重なり、装飾部位171,181はその全体が遊技盤ユニット100の化粧板111と前後方向に重なっている。その結果、遊技機前方から見ると可動役物170,180の後方に位置する表示画面Gの視認性が担保され、装飾部位171,181が化粧板111の背後に隠れることによって当該装飾部位が視認不可又は困難となっている。
この状態では、第1可動役物170の装飾部位171(「第1装飾部位171」ともいう)全体と第2可動役物180の装飾部位181(「第2装飾部位181」ともいう)全体とが重なっており、第1可動役物170の非装飾部位172(「第1非装飾部位172」ともいう)全体と第2可動役物180の非装飾部位182(「第2非装飾部位182」ともいう)全体とが重なっている。以下の説明では、このような可動役物170,180の回転位置を、待機位置(第1位置、非演出位置)という。
ここで、図12(b)〜図12(c)の概略図を参照して、可動役物170,180の回転に伴う装飾部位171,181及び非装飾部位172,182と表示画面G及び化粧板111との位置関係の変化について例示する。
待機位置から可動役物170,180が回転すると、図12(b)に示すように、装飾部位171,181が化粧板111の上端から突出して、表示画面Gと前後方向に重なり、さらに回転することでその表示画面Gとの重なり量が増加する。そして、表示画面Gと装飾部位171,181との重なり量が最大となる位置まで回転すると、図12(c)に示すように、非装飾部位172,182はその全体が化粧板111と前後方向に重なり、回転方向における装飾部位171,181の両端部が化粧板111と前後方向に重なった状態となる。なお以下の説明では、図12(b)及び図12(c)に示すように、表示画面Gと装飾部位171,181とが重なる位置を、可動役物170,180の演出位置と称し、特に重なり量が最大となる位置(待機位置から180度回転した位置)を第2位置と称する。
図12(c)に示す演出位置から可動役物170,180がさらに回転すると、装飾部位171,181が化粧板111と重なる面積が増加するとともに表示画面Gと重なる面積が減少する。そして、可動役物170,180の回転角度が360に達すると、図12(d)に示すように、上記の待機位置へ復帰する。
このように、可動役物170,180を回動制御することで、装飾部位171,18と表示画面Gとが前後方向に重なる面積が変化する。そして本実施形態では、この重なる面積の変化を利用して表示画面Gにて実行される魚群演出に相当する演出が行われる。詳しくは、各可動役物170,180の装飾部位171,181には、上記の表示画面Gにおいて実施される魚群演出に同一又は類似となる絵柄として魚の群の装飾が施されている。この場合、可動役物170,180が回転に伴って装飾部位171,181が表示画面Gの前方を通過し、あたかも魚の群の装飾が表示画面Gの前方を通過したかのように見せることができる。以下の説明では、この演出を役物魚群演出と称し、表示画面Gによる魚群演出を上記の役物魚群演出と区別するため表示魚群演出と称する。役物魚群演出は、各遊技回において所定の確率で発生する。より詳しくは、表示魚群演出が発生する予定の遊技回において、所定の確率で当該表示魚群演出ではなく役物魚群演出が行われる。
図11に示したように、装飾部位171に付与された魚の群は、魚の絵柄の間に所定の隙間が生じるように構成され、装飾部位181に付与された魚の群についても、魚の絵柄の間に所定の隙間が生じるように構成されている。このため各装飾部位171,181が表示画面Gと重なる位置に配置されても、遊技者はその隙間から表示画面Gの表示内容を把握することができる。特に、本実施の形態における可動役物170,180については特別演出(役物魚群演出)を実行する際には回転することにより、絵柄が一箇所に留まることが回避されている。このため、表示画面Gの表示内容が極端に見づらくなることがない。更には、装飾部位171,181における魚の絵柄の描画部分の面積と絵柄の存在しないブランク部分の面積とを比較した場合には、後者のほうが大きく設定されている。これにより、上述した表示画面Gの視認性の低下が極力抑えられている。
なお、表示画面Gの表示内容の視認性を担保する点に鑑みた場合には、魚の絵柄を半透明とすることにより、当該絵柄を通じた背後の表示画面Gの表示内容の視認性を向上さえてもよい。
可動役物170,180を用いた役物魚群演出には大別して、2つの演出態様(第1種役物魚群演出/第2種役物魚群演出)が存在する。以下、第1種役物魚群演出に係る構成について補足ついて説明する。
この第1種役物魚群演出では、第1可動役物170→第2可動役物180の順に回転を開始する。具体的には、第1可動役物170と第2可動役物180との位相差が予め設定されたレベルに達した場合に第2可動役物180の回転が開始し、その後両可動役物170,180が同速度にて回転することによりその位相差が維持される。この場合、第1可動役物170の第1装飾部位171及び第2可動役物180の第2装飾部位181は、両端部に重なりの生じる位置関係(部分重複状態)を維持しながら両可動役物170,180が回転する。
すなわち、既に説明したとおり、各可動役物170,180の装飾部位171,181は、回転中心を基準とする所定の角度範囲(装飾範囲)の合計が360度以上(より詳しくはいずれも200度でその合計が400度)となるように設定されている。そのため、回転方向における両装飾部位171,181の両端部同士をそれぞれ重ねた状態とすることが可能となり、可動役物ユニット162として装飾部位があたかも一繋がりとなっているかのようにして周回させることが可能となっている(図13(a)参照)。つまり、第1種役物魚群演出では両可動役物170,180の位置関係が上述した状態となるように各可動役物170,180の回転制御を行うことにより、表示画面Gの前方を魚の群が絶え間なく通過するかのように見せることが可能となる。
より詳しくは、一方の装飾部位を他方の装飾部位に対して回転中心の反対側となる位置(位相差が最大となる位置)に回転させた場合に、両可動役物170,180の円弧の両端部同士が重なり合い、両装飾部位171,181において両端部同士がそれぞれ10度重なり合う。以下の説明では、第1装飾部位171側のこの重複する両端部を第1重複部位171aといい、第2装飾部位181側のこの重複する両端部を第2重複部位181aという。以下、両可動役物170,180において、両重複部位171a,181a同士が前後に重なり合った状態を部分重複状態という。
この両重複部位171a,181aの構成について、図11及び図13(a)を参照しながら詳細に説明する。図13(a)は両可動役物170,180の部分重複状態を示す概略図である。なお、図11及び図13(a)においては、第1装飾部位171に属する魚の群と、第2装飾部位181に属する魚の群とに便宜上異なるドットハッチングを付与して区別している。
図11及び図13(a)に示すように、両重複部位171a,181aでは、一方の可動役物の絵柄の一部によって他方の可動役物の装飾の一部が構成されるように絵柄の形状や配置が工夫されている。すなわち、第1装飾部位171には、正面視で右側となる第1重複部位171aに第2装飾部位181の魚の群の一部を構成する絵柄(魚)が付与されており、これに対して、第2装飾部位181には、正面視で右側の第2重複部位181aに第1装飾部位171の魚の群の一部を構成する絵柄(魚)が付与されている。
上述したように装飾部位171,181において魚の装飾が施されている部位以外(ブランク部分)は無色透明であり背後が視認可能となっている。そのため、両可動役物170,180が部分重複状態となって、両重複部位171a,181aが重なり合うことで、図13(a)に示すように、前側に配置された第1可動役物170の第1装飾部位171に描画された魚群の一部と、後側に配置された第2可動役物180の第2装飾部位181に描画された魚群の一部とが混在することとなる。
さらに、各重複部位171a,181aには、上記非装飾部位172,182との境界にてトリムされた魚の半身を模した絵柄が存在するが、重複状態となることにより、第1可動役物170に印刷されている半身の魚の絵柄を、第2可動役物180に印刷されている全身の魚の絵柄が補完し、逆に第2可動役物180に印刷されている半身の魚の絵柄を、第1可動役物170に印刷されている全身の魚の絵柄が補完する。このようにすることで、両可動役物170,180をつなぎ合わせた場合に、可動役物ユニット162として装飾柄の切れ目を生じさせないようにすることができる。更には、限られた範囲に途切れなく装飾柄を配列することが可能となる。
本パチンコ機10の可動役物170,180のように装飾部位171,181にできるだけ広域に亘って装飾柄を配設しようとした場合、装飾部位171,181の端部にて装飾柄の切れ目が存在し得る。そして、例えばこのように端部にて装飾柄の切れ目が生じる構成において、両装飾部位171,181の角度範囲の合計を360度に設定して両端部同士を重ね合わせずに連続させると、仮に少しでもその端部同士に隙間が生じると装飾柄の切れ目が際立ってしまい、見栄えが低下し得る。特に可動役物170,180の背後には表示画面Gが存在するため、その表示画面Gからの光によって、上記の隙間がより際立つことになる。これに対して、本構成のように両端部を重ね合わせることで、重ねあわせに多少のずれが生じても装飾柄に隙間が生じることを回避できる。つまり、多少の位相差(誤差)を好適に許容できることとなる。
次に、上述した第2種役物魚群演出にかかる構成について説明する。本実施形態では、役物魚群演出として上記のように両可動役物170,180の装飾部位171,181を周回させる演出の他、両可動役物170,180の装飾部位171,181全体を重ね合わせて表示画面Gを通過させる演出が設定されている。
図13(b)に示すように、第1装飾部位171に印刷された魚の群の装飾と、第2装飾部位181に印刷された魚の群の装飾とは、上記重複部位171a,181aを除いて互いの装飾柄が重ならないように印刷されている。そのため、両装飾部位171,181全体を重ね合わせた完全重複状態になると、一方の装飾柄が他方のブランク部分(装飾柄が施されていない部位)に配置され、可動役物ユニット162の装飾部位171,181によって表示される装飾柄が密になる。これにより、上記第1種役物魚群演出とは違ったインパクトを遊技者に与えることができる。
また、第1種役物魚群演出と比較して表示画面Gの視認性が低下することとなる。そこで、本実施形態では、例えばこの表示画面Gの視認性の変化を利用して、表示画面Gにおいて停止中の図柄組合せを変更する昇格演出等が行われる構成としている。
これら第1種役物魚群演出及び第2種役物魚群演出の様子について、図14及び図15を参照しながら説明する。図14は第1種役物魚群演出の流れを示す概略図、図15は第2種役物魚群演出の流れを示す概略図である。
先ず図14を参照して第1種役物魚群演出の様子について説明する。第1種役物魚群演出を実行するタイミングになった場合には、図14(a)→図14(b)に示すように先ず第1可動役物170が回転を開始する。この場合、第2可動役物180の回転は第1可動役物170が180度回転して上記部分重複状態となるまで遅延される。
図14(c)に示すように、第1可動役物170と第2可動役物180との位相差が最大になると、第2可動役物180の回転が開始され、図14(c)→図14(d)に示すように、両可動役物170,180が同期しながら回転する。そして、予め定められた回数に亘って可動役物170,180の周回が行われた後は、先ず第1可動役物170が待機位置に停止して、その後、単独で回転を続けた第2可動役物180が待機位置に到達した時点で当該第2可動役物180の回転が停止し、両可動役物170,180が待機状態に維持される。このように、第1種役物魚群演出においては、一連の絵柄を周回させる表示演出が実行される。
ここで、図12(a)に示すように、第1可動役物170の回転先端側(正面視で右側)の第1重複部位171aでは、第2可動役物180側の魚の群の一部として魚全身を模した絵柄が付与されている。これに対して、図12(b)に示すように、第2可動役物180の回転先端側(正面視で右側)の第2重複部位181aでは、第1可動役物170側の魚の群の一部として魚の半身を模した絵柄が付与されている。上記のとおり、このように一方の可動役物の模様の一部を他方の可動役物において補完する構成は、周回演出を行ううえで装飾の切れ目を目立たなくする工夫である。一方で、このような構成において、例えば第2可動役物180のみを回転させると、上記の半身の魚が回転先端となり、演出上好ましくない。そこで、重複演出においては、上記のように第2可動役物180を第1可動役物170と一緒に回転させる構成とすることで、半身の魚が回転先端となる不都合を回避することができる。
次に図14及び図15を参照して第2種役物魚群演出の様子について説明する。第2種役物魚群演出については、第1種役物魚群演出の分岐演出として実行される演出であり、演出開始〜途中までは上記第1種役物魚群演出と同様である。具定的には、第2種役物魚群演出を実行するタイミングになった場合には、図14(a)→図14(b)に示すように先ず第1可動役物170が回転を開始する。この場合、第2可動役物180の回転は第1可動役物170が180度回転して上記部分重複状態となるまで遅延される。
図14(c)に示すように、第1可動役物170と第2可動役物180との位相差が最大になると、第2可動役物180の回転が開始され、図14(c)→図14(d)に示すように、両可動役物170,180が同期しながら回転する。そして、図15(a)に示すように第2可動役物180が上記第2位置となる前に第2可動役物180が減速し、第1可動役物170が加速することにより、第2可動役物180が第2位置となるのに合わせて第1可動役物170も第2位置になり、図15(b)に示すように両可動役物170,180の装飾部位171,181が完全に重なった完全重複状態となる。この状態では、両可動役物170,180の装飾柄と表示画面Gが重なる面積が最大となる。
その後は、両可動役物170,180が定常速度に復帰して、図15(b)→図15(c)に示すように両可動役物170,180が同期しながら回転する。そして、両可動役物170,180が待機位置に復帰したタイミングで第2役物魚群演出が終了する(図15(d)参照)。
つまり、第1種役物魚群演出においては部分重複状態となった後は可動役物170,180が周回が継続されるのに対して、第2役物魚群演出においては部分重複状態となった後は視認可能となる魚の絵柄の密度が一時的に増加させて周回を継続することなく演出が終了することとなる。
次に、遊技機本体12の背面側の構成について説明する。
再び図3を参照して説明すれば、内枠13(具体的には、遊技盤ユニット100)の背面には、遊技の主たる制御を司る主制御装置81と、スピーカ部59,発光部58及び図柄表示装置161用の表示制御装置の制御を司る演出制御装置82とが搭載されている。
主制御装置81の基板ボックス71aには、その開放の痕跡を残すための痕跡手段(痕跡構造)が設けられている。当該痕跡手段としては、基板ボックス71aを構成する複数のケース体を分離不能に結合するとともにその分離に際して所定部位の破壊を要する結合部(カシメ部)の構成や、引き剥がしに際して粘着層が接着対象に残ることで剥がされたことの痕跡を残す封印シールを複数のケース体間の境界を跨ぐようにして貼り付ける構成が採用されている。なお、開放の痕跡を残すことができるのであれば足り、例えば痕跡手段として、基板ボックス71aを構成する複数のケース体間の境界に対して接着剤を塗布する構成を採用することも可能である。
主制御装置81や演出制御装置82を含めて内枠13の背面側を覆うようにして裏パックユニット15が設置されている。裏パックユニット15は、透明性を有する合成樹脂により形成された裏パック73を備えており、当該裏パック73に対して、払出機構部74及び制御装置集合ユニット75が取り付けられている。
払出機構部74は、遊技場の島設備から供給される遊技球が逐次補給されるタンク76と、当該タンク76に貯留された遊技球を払い出すための払出装置96と、を備えている。払出装置96より払い出された遊技球は、当該払出装置96の下流側に設けられた払出通路を通じて、上皿61a又は下皿62aに排出される。なお、払出機構部74には、例えば交流24ボルトの主電源が供給されるとともに、電源のON操作及びOFF操作を行うための電源スイッチを有する裏パック基板が搭載されている。
制御装置集合ユニット75は、払出装置96を制御する機能を有する払出制御装置97と、各種制御装置等で要する所定の電力が生成されて出力されるとともに遊技者による発射ハンドル55の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる電源・発射制御装置98と、を備えている。これら払出制御装置97と電源・発射制御装置98とは、払出制御装置97がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
<パチンコ機10の電気的構成>
次に、パチンコ機10の電気的構成を図16のブロック図に基づいて説明する。
主制御装置81に設けられた主制御基板201には、MPU202が搭載されている。MPU202は、当該MPU202により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM203と、そのROM203内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM204と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵された素子である。なお、MPU202が有する機能の一部、例えば、ROM203の機能やRAM204の機能などを別の素子として有する構成としてもよい。
MPU202には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU202の入力側には、主制御装置81に設けられた停電監視基板205、払出制御装置97及び各種検知センサ211a〜211dなどが接続されている。この場合に、停電監視基板205には電源・発射制御装置98が接続されており、MPU202には停電監視基板205を介して電力が供給される。また、各種検知センサ211a〜211dの一部として、一般入賞口113、可変入賞装置114、作動口115及びスルーゲート116などといった入賞対応入球部(払出対応入球部)に設けられた複数の検知センサが接続されており、主制御装置81のMPU202において各入球部への入賞判定(入球判定)が行われる。また、MPU202では、作動口115への入賞に基づいて大当たり発生抽選を実行するとともに、スルーゲート116への入賞に基づいてサポート発生抽選を実行する。
MPU202の出力側には、停電監視基板205、払出制御装置97及び演出制御装置82が接続されている。払出制御装置97には、例えば、上記入賞対応入球部への入賞判定結果に基づいて賞球コマンドが出力される。この場合、賞球コマンドの出力に際しては、ROM203のコマンド情報記憶エリア225が参照される。そして、一般入賞口113への入賞を特定した場合には、10個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、可変入賞装置114への入賞を特定した場合には、15個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、作動口115への入賞を特定した場合には、3個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力される。
演出制御装置82には、変動用コマンド、種別コマンド、変動終了コマンド、オープニングコマンド及びエンディングコマンドなどの各種コマンドが出力される。この場合、これら各種コマンドの出力に際しては、ROM203のコマンド情報記憶エリア225が参照される。これら各種コマンドの詳細については、後に説明する。なお、上記各コマンドは、所定のバイト数の情報として構成されており、当該所定のバイト数の情報として各種情報が含まれている。
また、MPU202の出力側には、可変入賞装置114の開閉扉を開閉動作させる可変入賞駆動部114a、作動口115の電動役物を開閉動作させる電動役物駆動部115a、特図表示部117、普図表示部118が接続されている。主制御基板201には各種ドライバ回路が設けられており、当該ドライバ回路を通じてMPU202は各種駆動部の駆動制御を実行する。
つまり、開閉実行モードにおいては可変入賞装置114が開閉されるように、MPU202において可変入賞駆動部114aの駆動制御が実行される。また、作動口115の電動役物の開放状態当選となった場合には、電動役物が開閉されるように、MPU202において電動役物駆動部115aの駆動制御が実行される。また、MPU202によって特図表示部117及び普図表示部118の表示制御が実行される。
停電監視基板205は、主制御基板201と電源・発射制御装置98とを中継し、また電源・発射制御装置98から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する。払出制御装置97は、主制御装置81から入力した賞球コマンドに基づいて、払出装置96により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。
電源・発射制御装置98は、例えば、遊技場等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御基板201や払出制御装置97等に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を所定の電力経路を通じて供給する。また、電源・発射制御装置98は、遊技球発射機構51の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構51は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
演出制御装置82に設けられた演出制御基板241には、MPU242が搭載されている。MPU242には、当該MPU242により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM243、そのROM243内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM244、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路などが内蔵されている。
MPU242は、主制御装置81から受信したコマンドに基づき、発光部58やスピーカ部59を駆動制御したり、表示制御装置212を制御したりする。また演出制御装置82では、可動役物ユニット162の各可動役物170,180における駆動部175,185を駆動制御する。
表示制御装置212は、プログラムROM253及びワークRAM254が複合的にチップ化された素子であるMPU252と、ビデオディスプレイプロセッサ(VDP)255と、キャラクタROM256と、ビデオRAM257とがそれぞれ搭載された表示制御基板251を備えている。なお、MPU252に対してプログラムROM253及びワークRAM254が1チップ化されていることは必須の構成ではなく、それぞれが個別にチップ化された構成としてもよい。
MPU252は、演出制御装置82を経由して主制御装置81から受信した各種コマンドを解析し又は受信した各種コマンドに基づき所定の演算処理を行ってVDP255の制御(具体的にはVDP255に対する内部コマンドの生成)を実施する。
プログラムROM253は、MPU252により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、背景画像用のJPEG形式画像データも併せて記憶保持されている。上記固定値データの一部は、プログラムROM253に予め記憶されている。ワークRAM254は、MPU252による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグ等を一時的に記憶するためのメモリである。これらワークデータやフラグ等はワークRAM254に記憶される。
VDP255は、図柄表示装置161に組み込まれた液晶表示部ドライバとしての画像処理デバイスを直接操作する一種の描画回路である。VDP255はICチップ化されているため「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は、描画処理専用のファームウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。VDP255は、MPU252、ビデオRAM257等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAM257に記憶させる画像データを、キャラクタROM256から所定のタイミングで読み出して図柄表示装置161に表示させる。
キャラクタROM256は、図柄表示装置161に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するための画像データライブラリとしての役割を担うものである。このキャラクタROM256には、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データ、ビットマップ画像の各ドットでの表現色を決定する際に参照する色パレットテーブル等が保持されている。これら画像データやテーブル等はキャラクタROM256に記憶されている。
なお、キャラクタROM256を複数設け、各キャラクタROM256に分担して画像データ等を記憶させておくことも可能である。また、前記プログラムROM253に記憶した背景画像用のJPEG形式画像データをキャラクタROM256に記憶する構成とすることも可能である。
ビデオRAM257は、図柄表示装置161に表示させる表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRAM257の内容を書き替えることにより図柄表示装置161の表示内容が変更される。
<各種カウンタについて>
次に、主制御装置81のMPU202にて各種抽選を行うための電気的な構成について図17を用いて説明する。
MPU202は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり発生抽選、特図表示部117の表示の設定、図柄表示装置161の図柄表示の設定、普図表示部118の表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図17に示すように、大当たり発生の抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置161が外れ変動する際のリーチ発生抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、特図表示部117及び図柄表示装置161における表示継続時間を決定する変動種別カウンタCSと、を用いることとしている。さらに、作動口115の電動役物を電役開放状態(サポート状態)とするか否かの抽選に使用する電動役物開放カウンタC4を用いることとしている。なお、上記各カウンタC1〜C3,CINI,CS,C4は、RAM204の各種カウンタエリア234に設けられている。
各カウンタC1〜C3,CINI,CS,C4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM204の所定領域に設定された抽選カウンタ用バッファ231に適宜格納される。このうち抽選カウンタ用バッファ231において、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3に対応した情報は、作動口115への入賞が発生した場合に、RAM204に取得情報記憶手段として設けられた保留球格納エリア232に格納される。
保留球格納エリア232は、保留用エリアREと、実行エリアAEとを備えている。保留用エリアREは、第1保留エリアRE1、第2保留エリアRE2、第3保留エリアRE3及び第4保留エリアRE4を備えており、作動口115への入賞履歴に合わせて、抽選カウンタ用バッファに格納されている大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報の組み合わせが保留情報として、いずれかの保留エリアRE1〜RE4に格納される。
この場合、第1保留エリアRE1〜第4保留エリアRE4には、作動口115への入賞が複数回連続して発生した場合に、第1保留エリアRE1→第2保留エリアRE2→第3保留エリアRE3→第4保留エリアRE4の順に各数値情報が時系列的に格納されていく。このように4つの保留エリアRE1〜RE4が設けられていることにより、作動口115への遊技球の入賞履歴が最大4個まで保留記憶されるようになっている。また、保留用エリアREは、保留数記憶エリアNAを備えており、当該保留数記憶エリアNAには作動口115への入賞履歴を保留記憶している数を特定するための情報が格納される。
なお、保留記憶可能な数は、4個に限定されることはなく任意であり、2個、3個又は5個以上といったように他の複数であってもよく、単数であってもよい。
実行エリアAEは、特図表示部117の変動表示を開始する際に、保留用エリアREの第1保留エリアRE1に格納された各数値情報を移動させるためのエリアであり、1遊技回の開始に際しては実行エリアAEに記憶されている各種数値情報に基づいて、当否判定などが行われる。
上記各カウンタについて詳細に説明する。
先ず、電動役物開放カウンタC4について説明する。電動役物開放カウンタC4は、例えば、0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。電動役物開放カウンタC4は定期的に更新され、スルーゲート116に遊技球が入賞したタイミングでRAM204の電役保留エリア233に格納される。そして、所定のタイミングにおいて、その格納された電動役物開放カウンタC4の値によって作動口115の電動役物を電役開放状態(サポート状態)に制御するか否かの抽選が行われる。
ここで、本パチンコ機10では、作動口115の電動役物によるサポートの態様が相互に異なるように複数種類のサポートモードが設定されている。詳細には、サポートモードには、遊技領域103に対して同様の態様で遊技球の発射が継続されている状況で比較した場合に、作動口115の電動役物が単位時間当たりに開放状態となる頻度が相対的に高低となるように、低頻度サポートモード(又は低頻度ガイド状態)と高頻度サポートモード(又は高頻度ガイド状態)とが設定されている。
低頻度サポートモードと高頻度サポートモードとでは、電動役物開放カウンタC4を用いた電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率は同一(例えば、共に4/5)となっているが、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、電役開放状態当選となった際に作動口115の電動役物が開放状態となる回数が多く設定されており、さらに1回の開放時間が長く設定されている。この場合、高頻度サポートモードにおいて電役開放状態当選となり作動口115の電動役物の開放状態が複数回発生する場合において、1回の開放状態が終了してから次の開放状態が開始されるまでの閉鎖時間は、1回の開放時間よりも短く設定されている。さらにまた、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で最低限確保される確保時間(すなわち、普図表示部118における1回の表示継続時間)が短く設定されている。
上記のとおり、高頻度サポートモードでは、低頻度サポートモードよりも作動口115への入賞が発生する確率が高くなる。そして、作動口115への入賞が発生した場合には、所定個数の遊技球の払出が実行されるため、高頻度サポートモードでは、遊技者は持ち球をあまり減らさないようにしながら遊技を行うことができる。
なお、高頻度サポートモードを低頻度サポートモードよりも単位時間当たりに電役開放状態となる頻度を高くする上での構成は、上記のものに限定されることはなく、例えば電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率を高くする構成としてもよい。また、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間(例えば、スルーゲート116への入賞に基づき普図表示部118にて実行される変動表示の時間)が複数種類用意されている構成においては、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、短い確保時間が選択され易い又は平均の確保時間が短くなるように設定されていてもよい。さらには、開放回数を多くする、開放時間を長くする、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間を短くする、係る確保時間の平均時間を短くする及び当選確率を高くする、のうち、いずれか1条件又は任意の組み合わせの条件を適用することで、低頻度サポートモードに対する高頻度サポートモードの有利性を高めてもよい。
次に、大当たり乱数カウンタC1について説明する。大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜599の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0〜599)。大当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、遊技球が作動口115に入賞したタイミングでRAM204の保留球格納エリア232に格納される。
大当たり当選となる乱数の値は、ROM203における当否情報群記憶手段としての当否テーブル記憶エリア221に当否テーブル(当否情報群)として記憶されている。ここで、当否テーブルの内容について図18を用いて説明する。図18に示すように、当否テーブルとしては、図18(a)の低確率モード用の当否テーブル(低確率用当否情報群)と、図18(b)の高確率モード用の当否テーブル(高確率用当否情報群)とが設定されている。つまり、本パチンコ機10は、当否抽選手段における抽選モードとして、低確率モード(低確率状態)と高確率モード(高確率状態)とが設定されている。
上記抽選に際して低確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、図18(a)に示すように、大当たり当選となる乱数の値は2個である。一方、上記抽選に際して高確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の値は21個である。この場合、低確率モードである状況において大当たり当選となる大当たり乱数カウンタC1の値群は、高確率モードである状況において大当たり当選となる大当たり乱数カウンタC1の値群に含まれている。なお、低確率モードよりも高確率モードの方の当選確率が高くなるのであれば、上記当選となる乱数の数及び値は任意である。
大当たり種別カウンタC2は、0〜29の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり29)に達した後0に戻る構成となっている。大当たり種別カウンタC2は定期的に更新され、遊技球が作動口115に入賞したタイミングでRAM204の保留球格納エリア232の保留用エリアREに格納される。
大当たり種別カウンタC2に対する遊技結果の振分先は、ROM203における振分情報群記憶手段としての振分テーブル記憶エリア222に振分テーブル(振分情報群)として記憶されている。振分テーブルでは、図18(b)に示すように、遊技結果の振分先として、通常大当たり結果(低確率対応特別遊技結果)、及び確変大当たり結果(高確率対応特別遊技結果)が設定されている。
通常大当たり結果は、開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが低確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。但し、この高頻度サポートモードは、移行後において遊技回数が終了基準回数(具体的には、100回)に達した場合に低頻度サポートモードに移行する。換言すれば、通常大当たり結果は、通常大当たり状態(低確率対応特別遊技状態)へ遊技状態を移行させる大当たり結果である。
確変大当たり結果は、開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。当該高頻度サポートモードは、当否抽選における抽選結果が大当たり状態当選となり、それによる大当たり状態に移行するまで継続する。換言すれば、確変大当たり結果は、確変大当たり状態(高確率対応特別遊技状態)へ遊技状態を移行させる大当たり結果である。
なお、上記各遊技状態との関係で通常遊技状態とは、当否抽選モードが低確率モードであり、サポートモードが低頻度サポートモードである状態をいう。
振分テーブルでは、「0〜29」の大当たり種別カウンタC2の値のうち、「0〜9」が通常大当たり結果に対応しており、「10〜29」が確変大当たり結果に対応している。
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。リーチ乱数カウンタC3は定期的に更新され、遊技球が作動口115に入賞したタイミングでRAM204の保留球格納エリア232に格納される。より詳しくは、作動口115に遊技球が入賞したタイミングでRAM204の保留用エリアREに格納される。そして、ROM203のリーチ用テーブル記憶エリアに記憶されたリーチ用テーブルに基づいてリーチを発生させるか否かを決定することとしている。但し、開閉実行モードに移行する遊技回においては、MPU202では、リーチ乱数カウンタC3の値に関係なくリーチ発生の決定を行う。なお、リーチ表示の発生に対応したリーチ乱数カウンタC3の数は、各遊技状態において同一となっているが、遊技状態に応じて各々個別に設定されるものであってもよい。例えば、サポートモードが高頻度サポートモードである場合の方が、低頻度サポートモードよりも、リーチ表示の発生に対応したリーチ乱数カウンタC3の数が多く設定された構成としてもよい。
変動種別カウンタCSは、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSは、特図表示部117における変動表示時間と、図柄表示装置161における図柄の変動表示時間とをMPU202において決定する上で用いられる。変動種別カウンタCSは、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、図柄表示装置161による図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCSのバッファ値が取得される。
電動役物開放カウンタC4は、例えば、0〜249の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり249)に達した後0に戻る構成となっている。電動役物開放カウンタC4は定期的に更新され、スルーゲート116に遊技球が入賞したタイミングでRAM204の電役保留エリア233に格納される。そして、所定のタイミングにおいて、その格納された電動役物開放カウンタC4の値によって作動口115の電動役物を開放状態に制御するか否かの抽選が行われる。例えば、C4=0〜199であれば、作動口115の電動役物を開放状態に制御し、C4=200〜249であれば、作動口115の電動役物を開放状態に制御しない。
既に説明したように、MPU202では、少なくとも変動種別カウンタCSのバッファ値を用いて、図柄表示装置161における変動表示時間が決定されるが、その決定に際してはROM203の変動表示時間テーブル記憶エリア223が用いられる。また、MPU202では、実行エリアAEに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値及び大当たり種別カウンタC2の値を用いて、特図表示部117における停止結果が決定されるが、その決定に際してはROM203の停止結果テーブル記憶エリア224が用いられる。
<主制御装置81にて実行される各種処理について>
次に、主制御装置81内のMPU202にて各遊技回での遊技を進行させる上で実行されるタイマ割込み処理及び通常処理を説明する。なお、MPU202では、上記タイマ割込み処理及び通常処理の他に、電源投入に伴い起動されるメイン処理及びNMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とが実行されるが、これらの処理については説明を省略する。
<タイマ割込み処理>
先ず、タイマ割込み処理について、図19のフローチャートを参照しながら説明する。本処理はMPU202により定期的に(例えば2msec周期で)起動される。
ステップS101では、各種入賞検知センサの読み込み処理を実行する。すなわち、主制御装置81に接続されている各種入賞検知センサの状態を読み込み、当該入賞検知センサの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
その後、ステップS102では、乱数初期値カウンタCINIの更新処理を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM204の該当するバッファ領域に格納する。続くステップS103では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4をそれぞれ1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C4の更新値を、RAM204の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS104においては、作動口115への入賞に伴う作動口用の入賞処理を実行する。作動口用の入賞処理では、遊技球が作動口115に入賞したことに基づいて、保留球格納エリア232の保留用エリアREに記憶されている始動保留数Nが上限値(本実施形態では「4」)未満であることを条件に、始動保留球数Nを1加算するとともに、直前のステップS103にて更新した各種カウンタ(大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3)を保留記憶する。
その後、ステップS105にて、スルーゲート116への入賞に伴うスルー用の入賞処理を実行した後に、本タイマ割込み処理を終了する。ステップS105のスルー用の入賞処理においては先ず、遊技球がスルーゲート116に入賞したか否かを判定する。遊技球がスルーゲート116に入賞したと判定した場合には、役物保留記憶数SNが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判定する。
遊技球がスルーゲート116に入賞し、且つ、役物保留記憶数SN<4であることを条件として、役物保留記憶数SNを1インクリメントする。その後、更新した電動役物開放カウンタC4の値をRAM204の電役保留エリア233の空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納する。そして、保留記憶数と対応する主表示部Dの保留数用発光部を点灯させた後、本入賞処理を終了する。
一方、スルーゲート116に遊技球が入賞したと判定されなかった場合又は役物保留記憶数SNの値が上限値以上と判定された場合には電動役物開放カウンタC4の値を格納することなく、本入賞処理を終了する。
<通常処理>
次に、通常処理の流れを図20のフローチャートを参照しながら説明する。通常処理は電源投入に伴い起動されるメイン処理が実行された後に開始される処理であり、通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS201〜S207の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS208,S209のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
通常処理において、ステップS201では、タイマ割込み処理又は前回の通常処理で設定したコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する。具体的には、賞球コマンドの有無を判定し、賞球コマンドが設定されていればそれを払出制御装置97に対して送信する。また、変動用コマンド、種別コマンド、変動終了コマンド、各種保留コマンド等の演出用コマンドが設定されている場合にはそれを演出制御装置82に対して送信する。
次に、ステップS202では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1インクリメントすると共に、カウンタ値が最大値に達した際にはカウンタ値を0にクリアする。そして、変動種別カウンタCSの更新値を、RAM204の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS203では、MPU202に接続された払出制御装置97からの各種信号を読み込む。その後、ステップS204では、各遊技回における遊技を制御するための遊技回制御処理を実行する。この遊技回制御処理では、大当たり判定、図柄表示装置161による図柄の変動表示の設定、特図表示部117の表示制御などを行う。遊技回制御処理の詳細は後述する。
その後、ステップS205では、遊技状態を移行させるための遊技状態移行処理を実行する。詳細は後述するが、この遊技状態移行処理により、遊技状態が開閉実行モード、高確率モード、高頻度サポートモードなどに移行する。
ステップS206では、作動口115に設けられた電動役物を駆動制御するための電役サポート用処理を実行する。この電役サポート用処理では、RAM204の電役保留エリア233に格納されている電動役物開放カウンタC4から取得した数値情報を用いて作動口115の電動役物を開放状態とするか否かの電役開放抽選を行うとともに、電役開放状態当選となった場合には作動口115の電動役物の開閉処理を実行する。また、電役開放抽選の抽選結果を教示するように、普図表示部118の表示制御を行う。
既に説明したとおり、作動口115の電動役物によるサポートの態様として、低頻度サポートモードと高頻度サポートモードとが設定されており、ステップS205の遊技状態移行処理にていずれかのサポートモードへの移行が行われる。この場合、RAM204に高頻度サポートフラグが格納されている場合は高頻度サポートモードとなり、当該フラグが格納されていない場合には低頻度サポートモードとなる。
ステップS206の電役サポート用処理では、RAM204に高頻度サポートフラグが格納されているか否かを判定することで、高頻度サポートモードであるか否かを判定する。そして、高頻度サポートモードである場合には低頻度サポートモードの場合よりも、電役開放状態当選となった際に、作動口115の電動役物が開放状態となる回数を多く設定するとともに、1回の開放時間を長く設定する。また、高頻度サポートモードである場合は、電役開放状態当選となり作動口115の電動役物の開放状態が複数回発生する場合において、1回の開放状態が終了してから次の開放状態が開始されるまでの閉鎖時間を、1回の開放時間よりも短くなるように設定する。
ちなみに、開閉実行モードに移行した場合には、RAM204に高頻度サポートフラグが格納されていたとしても、サポートモードは強制的に低頻度サポートモードに設定される。
続くステップS207では、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4msec)が経過したか否かを判定する。そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCSの更新を繰り返し実行する(ステップS208,S209)。つまり、ステップS208では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントするとともに、そのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM204の該当するバッファ領域に格納する。また、ステップS209では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1インクリメントするとともに、そのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。そして、変動種別カウンタCSの更新値を、RAM204の該当するバッファ領域に格納する。
ここで、ステップS201〜S206の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(すなわち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCSについてもランダムに更新することができる。
<遊技回制御処理>
次に、ステップS204の遊技回制御処理を図21のフローチャート等を参照して説明する。
図21のフローチャートに示すように、先ずステップS301にて、開閉実行モード中か否かを判定する。開閉実行モード中である場合には、ステップS302以降の処理、すなわちステップS303〜ステップS305の遊技回開始用処理及びステップS306〜ステップS309の遊技回進行処理のいずれも実行することなく、本遊技回制御処理を終了する。
開閉実行モード中でない場合には、ステップS302にて、特図表示部117が変動表示中であるか否かを判定する。特図表示部117が変動表示中でない場合には、ステップS303〜ステップS305の遊技回開始用処理に進む。遊技回開始用処理では、先ずステップS303にて、始動保留球数Nが「0」か否かを判定する。始動保留球数Nが「0」である場合とは、保留球格納エリア232に保留情報が記憶されていないことを意味する。したがって、そのまま本遊技回制御処理を終了する。
始動保留球数Nが「0」でない場合には、ステップS304にて保留球格納エリア232の保留用エリアREに記憶されているデータを変動表示用に設定するためのデータ設定処理を実行する。
データ設定処理では先ず始動保留球数Nを1減算する。また、保留球格納エリア232における保留用エリアREの第1保留エリアRE1に格納されているデータを実行エリアAEに移動する。その後、保留用エリアREの各保留エリアRE1〜RE4に格納されたデータをシフトさせる処理を実行する。
このデータシフト処理は、第1保留エリアRE1〜第4保留エリアRE4に格納されているデータを下位エリア側に順にシフトさせる処理であって、第1保留エリアRE1のデータをクリアするとともに、第2保留エリアRE2→第1保留エリアRE1、第3保留エリアRE3→第2保留エリアRE2、第4保留エリアRE4→第3保留エリアRE3といった具合に各エリア内のデータがシフトされる。
さらにデータ設定処理では、保留エリアのデータのシフトが行われたことをサブ側の制御装置である演出制御装置82に認識させるための情報であるシフト時コマンド(シフト発生情報)を設定する。当該シフト時コマンドは、通常処理の外部出力処理(ステップS201)にて演出制御装置82に送信される。演出制御装置82では、受信したシフト時コマンドに基づいて、保留個数の減少に対応する処理を実行する。
データ設定処理を実行した後は、ステップS305にて特図表示部117における変動表示及び図柄表示装置161における変動表示を開始させるための変動開始処理を実行した後に、本遊技回制御処理を終了する。
ここで、変動開始処理について、図22のフローチャートを参照しながら説明する。
変動開始処理では、先ずステップS401にて、今回の変動開始処理に対応した保留情報が大当たり当選に対応しているか否かを判定するための当否判定処理を実行する。具体的には、実行エリアAEに格納された情報のうち大当たり判定用の情報、すなわち大当たり乱数カウンタC1によって更新された情報から取得した情報を把握する。そして、当否抽選モードが低確率モードである場合には、ROM203における低確率モード用の当否テーブルを参照して、上記把握した情報が大当たり当選に対応した情報に含まれているかを特定し、当否抽選モードが高確率モードである場合には、ROM203における高確率モード用の当否テーブルを参照して、上記把握した情報が大当たり当選に対応した情報に含まれているかを特定する。
続くステップS402では、ステップS401における当否判定処理の結果が大当たり当選に対応した結果であるか否かを判定する。大当たり当選に対応した結果である場合には、ステップS403にて種別判定処理を実行する。
種別判定処理では、実行エリアAEに格納された情報のうち種別判定用の情報、すなわち大当たり種別カウンタC2によって更新された情報から取得した情報を把握する。また、ROM203における振分テーブルを参照して、上記把握した種別判定用の情報が確変大当たり結果に対応した情報に含まれているかを特定する。
続くステップS404では、ステップS403における種別判定処理において特定した情報に基づいて今回の大当たり当選の種別が確変大当たり結果であるか否かを判定する。確変大当たり結果である場合には、ステップS405にて確変大当たり用の停止結果設定処理を実行し、確変大当たり結果でない場合には、ステップS406にて通常大当たり用の停止結果設定処理を実行する。また、ステップS402にて大当たり当選ではないと判定した場合には、ステップS407にて外れ時用の停止結果設定処理を実行する。
ステップS405〜ステップS407の各停止結果設定処理では、特図表示部117に最終的に停止表示させる絵柄の態様の情報を、ROM203に予め記憶されている情報から特定し、その特定した情報をRAM204に記憶する。また、ステップS405及びステップS406では、今回の遊技回の当否判定結果が、確変大当たり結果又は通常大当たり結果であることをMPU202にて特定するための情報をRAM204のその他フラグ格納エリア235に格納する(対応するエリアに「1」の情報を記憶する)。具体的には、ステップS405では確変大当たりフラグを格納し、ステップS406では通常大当たりフラグを格納する。
ステップS405〜ステップS407のいずれかの処理を実行した後は、ステップS408にて、変動表示時間の設定処理を実行する。
変動表示時間の設定処理では、RAM204の抽選カウンタ用バッファ231における変動種別カウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCSの値を取得する。また、今回の遊技回において図柄表示装置161にてリーチ表示が発生するか否かを判定する。具体的には、今回の変動開始に係る遊技回がいずれかの大当たり結果である場合には、リーチ表示が発生すると判定する。また、いずれの大当たり結果でない場合であっても、実行エリアAEに格納されているリーチ乱数カウンタC3に係る数値情報がリーチ発生に対応した数値情報である場合には、リーチ表示が発生すると判定する。
リーチ表示が発生すると判定した場合には、ROM203に記憶されているリーチ発生用変動表示時間テーブルを参照して、今回の変動種別カウンタCSの値に対応した変動表示時間情報を取得し、その変動表示時間情報をRAM204の各種カウンタエリア234に設けられた変動表示時間カウンタに格納する。一方、リーチ表示が発生しないと判定した場合には、ROM203に記憶されているリーチ非発生用変動表示時間テーブルを参照して、今回の変動種別カウンタCSの値に対応した変動表示時間情報を取得し、その変動表示時間情報を上記変動表示時間カウンタに格納する。ちなみに、リーチ非発生用変動表示時間テーブルを参照して取得され得る変動表示時間は、リーチ発生用変動表示時間テーブルを参照して取得され得る変動表示時間と異なっている。
ここで、リーチ表示には、変動表示態様が互いに異なるノーマルリーチ表示と、スーパーリーチ表示と、が設けられている。リーチ発生用変動表示時間テーブルには、ノーマルリーチ表示及びスーパーリーチ表示それぞれに対応した変動表示時間情報が設定されており、当該テーブルを参照することによって、それぞれのリーチ表示に対応した変動表示時間情報が取得される。なお、リーチ表示の種類の決定に関しては、リーチ表示の種類と変動種別カウンタCSの値とが対応したテーブルが設けられており、当該テーブルを参照することで、今回の変動種別カウンタCSの値に対応したリーチ表示が決定される。
リーチ非発生時における変動表示時間情報は、始動保留球数Nの数が多いほど、変動表示時間が短くなるように設定されている。また、サポートモードが高頻度サポートモードである状況においては低頻度サポートモードである状況よりも、保留情報の数が同一である場合で比較して、短い変動表示時間が選択されるようにリーチ非発生用変動表示時間テーブルが設定されている。但し、これに限定されることはなく、始動保留球数Nやサポートモードに応じて変動表示時間が変動しない構成としてもよく、上記の関係とは逆であってもよい。さらには、リーチ発生時における変動表示時間に対して、上記構成を適用してもよい。また、各大当たり結果の場合、外れリーチ時の場合及びリーチ非発生の外れ結果の場合のそれぞれに対して個別に変動表示時間テーブルが設定されていてもよい。この場合、各遊技結果に応じた変動表示時間の振分が行われることとなる。
リーチ非発生時における変動表示時間情報は、リーチ発生時における変動表示時間よりも変動表示時間が短くなるように設定されている。また、ノーマルリーチ表示における変動表示時間情報は、スーパーリーチ表示における変動表示時間よりも短くなるように変動表示時間が設定されている。すなわち、上記の各変動表示時間情報は、リーチ非発生時、ノーマルリーチ表示、スーパーリーチ表示の順で変動表示時間が長くなるように設定されており、リーチ非発生時が最も短く、スーパーリーチ表示が最も長くなるように設定されている。
以上のとおり、各遊技回の変動表示時間は、リーチ発生の有無、リーチ表示の種類、保留情報の数及び変動種別カウンタCSの値をパラメータとして決定される。但し、各遊技回の変動表示時間は、他の保留情報の内容、具体的には、他の保留情報に含まれる大当たり判定用の情報、種別判定用の情報及びリーチ判定用の情報をパラメータとすることなく決定される。
ステップS408にて、変動表示時間の設定処理を実行した後は、ステップS409にて、変動用コマンド及び種別コマンドを設定する。変動用コマンドには、変動表示時間の情報が含まれる。ここで、上記のとおりリーチ非発生用変動表示時間テーブルを参照して取得される変動表示時間は、リーチ発生用変動表示時間テーブルを参照して取得される表示継続時間と異なっているため、変動用コマンドにリーチ発生の有無の情報が含まれていなかったとしても、サブ側の制御装置である演出制御装置82では変動表示時間の情報からリーチ発生の有無を特定することは可能である。この点、変動用コマンドには、リーチ発生の有無を示す情報が含まれているとも言える。なお、変動用コマンドにリーチ発生の有無を直接示す情報が含まれていてもよい。
また、種別コマンドには、遊技結果の情報が含まれる。つまり、種別コマンドには、遊技結果の情報として、通常大当たり結果の情報、確変大当たり結果の情報又は外れ結果の情報が含まれる。
ステップS409にて設定された変動用コマンド及び種別コマンドは、通常処理(図20)におけるステップS201にて、演出制御装置82に送信される。ステップS409の処理を実行した後は、ステップS410にて特図表示部117において絵柄の変動表示を開始させてから、本変動開始処理を終了する。
遊技回制御処理(図21)の説明に戻り、特図表示部117が変動表示中である場合には、ステップS306〜ステップS309の遊技回進行用処理を実行する。遊技回進行用処理では、先ずステップS306にて、今回の遊技回の変動表示時間が経過したか否かを判定する。具体的には、RAM204の変動表示時間カウンタエリアに格納されている変動表示時間情報の値が「0」となったか否かを判定する。当該変動表示時間情報の値は、上述したように、変動表示時間の設定処理(ステップS408)において格納される。また、この格納された変動表示時間情報の値は、タイマ割込み処理(図19)が起動される度に、1ディクリメント(減算)される。
変動表示時間が経過していない場合には、ステップS307にて変動表示用処理を実行する。変動表示用処理では、特図表示部117における表示態様を変更する。その後、本遊技回制御処理を終了する。
変動表示時間が経過している場合には、ステップS308にて変動終了処理を実行する。変動終了処理では、上記ステップS405〜ステップS407のいずれかの処理にてRAM204に記憶した情報を特定し、その情報に対応した絵柄の態様が特図表示部117にて表示されるように当該特図表示部117を表示制御する。
続くステップS309では、変動終了コマンドを設定する。その後、本遊技回制御処理を終了する。ステップS309にて設定された変動終了コマンドは、通常処理(図20)におけるステップS201にて、演出制御装置82に送信される。演出制御装置82では、受信した変動終了コマンドを受信することにより、図柄表示装置161による変動表示においてその遊技回の結果に対応する最終停止図柄の組合せを確定表示(最終停止表示)させる。
<遊技状態移行処理>
次に、ステップS205の遊技状態移行処理を図23のフローチャートを参照して説明する。
先ずステップS501にて、開閉実行モード中か否かを判定する。開閉実行モード中でない場合にはステップS502に進み、一の遊技回の特図表示部117における絵柄の変動表示が終了したタイミングか否かを判定する。変動表示が終了したタイミングでない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
変動表示が終了したタイミングである場合には、ステップS503にて、今回の遊技回の遊技結果が開閉実行モードへの移行に対応したものであるか否かを判定する。具体的には、RAM204に、通常大当たりフラグ又は確変大当たりフラグのいずれかが格納されているか否かを判定する。上記各フラグのいずれもが格納されていない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
上記各フラグのいずれかが格納されている場合には、ステップS504にて、RAM204の各種カウンタエリア234に設けられたラウンドカウンタエリアRCに、「15」を格納する。ラウンドカウンタエリアRCは、可変入賞装置114が開放された回数をカウントするためのカウンタエリアである。その後、本遊技状態移行処理を終了する。
一方、開閉実行モード中でない場合には、ステップS501にて肯定判定をし、ステップS505に進む。ステップS505では、大入賞口開閉処理を実行する。大入賞口開閉処理では、可変入賞装置114が閉鎖中である場合には、ラウンドカウンタエリアRCが「1」以上であることを条件として、可変入賞駆動部114aを駆動状態とすることで可変入賞装置114を開放させる。また、可変入賞装置114が開放中である場合には、当該可変入賞装置114の開放から所定時間が経過していること又は所定個数の遊技球が入賞していることを条件として、可変入賞駆動部114aの駆動状態を停止し、可変入賞装置114を閉鎖させる。
続くステップS506では、ラウンドカウンタエリアRCの値が「0」か否かを判定する。ラウンドカウンタエリアRCの値が「0」でない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。ラウンドカウンタエリアRCの値が「0」である場合には、ステップS507にて、開閉実行モード終了時の移行処理を実行する。
開閉実行モード終了時の移行処理では、RAM204に確変大当たりフラグが格納されている場合には、当否抽選モードを高確率モードに設定するとともに、サポートモードを高頻度サポートモードに設定する。なお、これら高確率モード及び高頻度サポートモードは少なくとも大当たり当選が次回発生するまで維持される。また、RAM204に通常大当たりフラグが格納されている場合には、当否抽選モードを低確率モードに設定するとともに、サポートモードを高頻度サポートモードに設定する。但し、高頻度サポートモードは遊技回が100回継続した場合に終了され、その後、当否抽選モードが低確率モードであり且つサポートモードが低頻度サポートモードである通常遊技状態に移行する。
その後、ステップS508にて、開閉実行モードの終了処理を実行した後に、本遊技状態移行処理を終了する。開閉実行モードの終了処理では、通常大当たりフラグ又は確変大当たりフラグのうち、格納されているフラグを消去する。
<演出用の処理>
次に、演出用の処理について説明する。本パチンコ機10では、上記のように主制御装置81のMPU202により遊技の主要な処理を行い、その処理に基づく演出用の各種コマンドが演出制御装置82へ出力される。そして演出制御装置82のMPU242では、受信した各種コマンドに基づいて発光部58及びスピーカ部59の制御を実行するとともに、表示制御装置212を表示制御して図柄表示装置161にて遊技回用の演出が行わせる。さらに演出制御装置82のMPU242では、上記受信した各種コマンドに基づいて可動役物ユニット162を駆動制御して各可動役物170,180を動作させる。ここでは、MPU242にて行われる各種処理のうち、可動役物ユニット162の動作に関連する特別演出用処理について、図24のフローチャートを参照しながら説明する。特別演出用処理は、所定周期(例えば2msec周期)で起動される処理である。
先ずステップS601では、特別演出として魚群演出が選択されているか否かを判定する。既に説明したとおり、魚群演出には、表示画面Gにて各図柄列Z1〜Z3の背景を魚の群が通過するよう表示する表示魚群演出と、可動役物ユニット162が回転制御されることで各可動役物170,180の装飾部位171,181に付与された装飾柄(魚の群)が表示画面Gの前方を通過する役物魚群演出と、が含まれている。そしてこの魚群演出は、各遊技回において所定の確率で発生する。より詳しくは、遊技回の開始に際して当該魚群演出を発生させるか否かの発生抽選が行われ、当該発生抽選に当選した場合に発生する。当該発生抽選では、遊技結果が大当たり結果である場合と外れ結果である場合とを比較した場合に前者のほうが発生抽選に当選する確率が高くなるように設定されている。さらに、この発生抽選に当選した場合は、魚群演出を上記の表示魚群演出とするか、役物魚群演出とするか、が選択される。この選択では、遊技結果が大当たり結果である場合と外れ結果である場合とを比較した場合に前者のほうが役物魚群演出が選択される確率が高くなるように設定されている。つまり、役物魚群演出が選択された場合の大当たり当選期待度が表示魚群演出が選択された場合の大当たり当選期待度が高くなるように設定されている。
なお、これら魚群演出の発生抽選や、発生させる魚群演出の種類の選択では、ROM243に記憶されている魚群演出用の発生テーブルや選択テーブルを取得するとともにRAM244から抽選用のカウンタや選択用のカウンタが取得されて、抽選又は選択が行われる。また、MPU242は、各遊技回の遊技結果を主制御装置81からの種別コマンドによって判定することができる。
ステップS601にて魚群演出が選択されていない場合には、そのまま本特別演出用処理を終了する。魚群演出が選択されている場合には、ステップS602にて、魚群演出の実行タイミングか否かを判定する。ちなみに、MPU242では、遊技回の開始に際してRAM244に設けられた経過カウンタに当該遊技回の変動表示時間の情報を入力する。この変動表示時間の情報は、主制御装置81からの変動用コマンドによって把握することができる。当該経過カウンタは、所定周期毎に減算され、遊技回の終了時に初期値(0)となる。そして、MPU242は、ROM243に記憶されている魚群演出用の経過時間テーブルを参照することで、現在の経過カウンタの情報が、魚群演出の実行タイミングに対応しているものか否かを判定することができる。ステップS602にて魚群演出の実行タイミングではない場合には、そのまま特別演出用処理を終了する。魚群演出の実行タイミングである場合には、ステップS603に進む。
ステップS603では、今回の魚群演出が役物魚群演出であるか否かを判定する。ちなみにMPU242では、上記の魚群演出の選択処理に際して役物魚群演出が選択された場合には、RAM244へ魚群演出が選択されたことを記憶するためのフラグを格納する。ステップS603では、かかるフラグが格納されているか否かを判定することで、今回の遊技回において選択されている魚群演出の種類を判定することができる。役物魚群演出ではなく表示魚群演出であると判定した場合には、ステップS604にて表示魚群演出用処理を実行してから、本特別演出用処理を終了する。表示魚群演出用処理では、発光部58及びスピーカ部59を駆動制御するとともに、表示制御装置212へ表示魚群演出用のコマンドを出力する。表示制御装置212では、表示画面Gにおいて図柄列Z1〜Z3の背景を魚の群が図柄列Z1〜Z3の変動方向に通過するよう(図9(b)参照)図柄表示装置161を表示制御する。
ステップS603にて役物魚群演出であると判定した場合には、ステップS605にて役物魚群演出用処理を実行してから、本特別演出用処理を終了する。ここで、役物魚群演出用処理について、図25のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS701では、表示制御装置212へ図柄変動方向変更コマンドを出力する。図柄変動方向変更コマンドの受信に基づいて実行される表示制御装置212側の処理については、後に説明する。続くステップS702では、今回の役物魚群演出が、第1種役物魚群演出であるか否かを判定する。既に説明したとおり、役物魚群演出には、演出態様の異なる第1種役物魚群演出と第2種役物魚群演出とが設定されている。そして、演出制御装置82のMPU242では、遊技回の演出として役物魚群演出を選択した場合には、いずれの役物魚群演出を実行するかを選択する。本実施の形態においては、外れ結果である場合には第1種役物魚群演出よりも第2種役物魚群演出のほうが選択されやすくなっており、当たり結果である場合には第2種役物魚群演出よりも第1種役物魚群演出のほうが選択されやすくなっている。つまり、第1種役物魚群演出が実行される際の大当たり当選期待度は、第2種役物魚群演出が実行される際の大当たり当選期待度よりも高くなるように設定されている。本実施の形態においては、魚群演出が実行される期間、すなわち魚群が連続して表示される期間を重視して上記各種役物魚群演出に優劣を設定したが、例えば魚群演出における魚の密度を重視する場合には上記優劣が逆となるように設定してもよい。
また、MPU242では魚群演出の抽選とは別途、遊技結果が確変大当たり結果である場合に昇格演出を実行するか否かの抽選を行う。かかる昇格演出は、図柄列Z1〜Z3の変動表示の結果として通常大当たり結果に対応する図柄組合せ(非特定図柄の組合せ)をいずれかの有効ラインL1〜L5に停止させた後、当該通常大当たり結果に対応する図柄組合せを再度変動させて確変大当たり結果に対応する図柄組合せ(特定図柄の組合せ)を停止させる演出である。そして、当該昇格演出を実行する遊技回にて、魚群演出として第2種役物魚群演出が選択された場合には、両可動役物170,180の装飾部位171,181(絵柄)によって表示画面Gの視認性が低下したタイミングにて上記昇格演出を行う。
なお、MPU242は、上記役物魚群演出の種類の決定に際して第1種役物魚群演出が選択された場合には、RAM244に第1種役物魚群演出が選択されたことを記憶するためのフラグを格納する。そしてステップS702では当該フラグが格納されているか否かを判定することで、役物魚群演出の種類を把握することができる。
ステップS702にて第1種役物魚群演出であると判定した場合には、ステップS703にて第1種役物魚群演出用の可動役物動作処理を実行してから、本特別演出用処理を終了する。第1種役物魚群演出用の可動役物動作処理では、可動役物170,180の動作タイミグであるか否かを判定して、動作タイミングである場合には、対応する可動役物170,180を動作させるべく駆動信号を出力する。すなわち、第1可動役物170の回転開始タイミングである場合には、第1駆動部175の駆動制御を開始して第1可動役物170の回転を開始させる。また、第1可動役物170の回転停止タイミングである場合には、第1駆動部175の駆動制御を停止して第1可動役物170の回転を停止させる。さらに、第2可動役物180の回転開始タイミングである場合には、第2駆動部185の駆動制御を開始して第2可動役物180の回転を開始させる。また、第2可動役物180の回転停止タイミングである場合には、第2駆動部185の駆動制御を停止して第2可動役物180の回転を停止させる。なお、これらの動作タイミングの判定には、上記の経過カウンタと魚群演出用の経過時間テーブルが参照される。当該魚群演出用の経過時間テーブルでは、周回演出が行われる場合の各可動役物170,180の動作の切替制御タイミングが予め記憶されている。
より具体的には、周回演出が行われる場合の各可動役物170,180の動作の切替制御タイミングとして、先ず第1可動役物170の回転を開始させ、当該第1可動役物170が第2位置まで回転させたタイミングで、第2可動役物180の回転を開始する。その結果、両可動役物170,180は、互いの装飾部位171,181の両端部(重複部位171a,181a)を重ね合わせた部分重複状態で回転する。そして、例えば第2可動役物180を3周させた後に待機位置まで回転した可動役物170,180を順次停止させる。
なお、周回演出において両可動役物170,180を3周させる構成に限定されず、1周又は2周であってもよく、4周以上であってもよい。また、周回の回数が抽選により決定される構成としてもよく、この場合、遊技結果が大当たり結果である場合には、多い回数が決定される構成としてもよい。
ちなみに両可動役物170,180を停止させる場合、第2可動役物180を先に停止させ、第1可動役物170を後に停止させる。これは、第2可動役物180における第2装飾部位181の回転先端側には、上記のとおり魚の半身を模した絵柄が付与されているのに対して、第1可動役物170における第1装飾部位171の回転先端側には魚の半身のを模した絵柄が付与されていないことに起因するものであり、第1可動役物170側の魚と重複させずに半身の魚の状態で表示画面Gの前方を通過することを防止するための工夫である。
ステップS702にて第1種役物魚群演出ではないと判定した場合、すなわち第2種役物魚群演出であると判定した場合には、ステップS704にて第2種役物魚群演出用の可動役物動作処理を実行してから、本特別演出用処理を終了する。第2種役物魚群演出用の可動役物動作処理は、上記第1種役物魚群演出用の可動役物動作処理と処理構成が基本的には同様であり、相違点は、参照される経過時間テーブルに記憶された各可動役物170,180の動作タイミングである。
すなわち、第2種役物魚群演出が行われる場合の各可動役物170,180の動作の切替制御タイミングとして、先ず第1可動役物170の回転を開始させ、当該第1可動役物170を第2位置まで回転させたタイミングで、第2可動役物180の回転を開始する。その結果、両可動役物170,180は、互いの装飾部位171,181の両端部(重複部位171a,181a)を重ね合わせた状態で回転する。すなわち、ここまでの両可動役物170,180の動作の切替制御タイミングは、上記の第1種役物魚群演出と同様となっている。
そして、第2可動役物180が第2位置、第1可動役物170が第1位置(待機位置)となる前のタイミングで、第2可動役物180を減速させるとともに第1可動役物170を加速させる。その結果、第1可動役物170が第2位置まで回転すると、両可動役物170,180の装飾部位171,181同士が前後方向に重なる面積が最大となり、表示画面Gの前方を通過する装飾柄(魚群)が密になる。そして、両可動役物170,180が第2位置となるタイミングで各可動役物170,180を定常速度に戻して、同期回転させる。その後、各可動役物170,180が第1位置(待機位置)に復帰したタイミングで、両可動役物170,180の回転を停止させる。
なお、モータを用いて可動役物170,180を駆動させる場合には、駆動信号の出力を停止した場合であっても、モータの個体差や可動役物170,180に付与された慣性力によって可動役物170,180の停止位置等を管理することが難しくなると想定される。確かに、本実施の形態に示すように、可動役物170,180の装飾領域と化粧板111の上端縁との間にはある程度の余裕代が付与されており、可動役物170,180を用いた演出を行うタイミングでないにも関わらず、装飾領域が表示画面Gの前方(視認可能となる位置)へはみ出すことを抑制している。ここで、上述した不都合を一層好適に払拭しようとすれば、モータとしてステッピングモータを採用し、パルス制御によって各可動役物170,180の位置を管理する構成とすればよい。
ちなみに、遊技結果が確変大当たり結果であって上記の昇格演出が選択された場合、演出制御装置82から表示制御装置212へ昇格演出用のコマンドが出力される。表示制御装置212のMPU252では、当該昇格演出用のコマンドを受信したことに基づいて、図柄列Z1〜Z3の変動表示の結果として停止させる図柄を確変大当たり結果に対応する図柄組合せから通常大当たり結果に対応する図柄組合せに変更する処理を実行する。そして、上記の両可動役物170,180において両可動役物170,180の装飾部位171,181同士が前後方向に重なる面積が最大となったタイミングで、既に停止している通常大当たり結果に対応する図柄組合せを確変大当たり結果に対応する図柄組合せに変更するよう図柄表示装置161を表示制御する。
既に説明したとおり、装飾部位171,181同士が前後方向に重なる面積が最大になることで、両装飾部位171,181に印刷された魚の群が重なり合って表示画面Gの視認性が最も低下する。このような状況で上記の昇格演出を行うことで、可動役物170,180がさらに回転して表示画面Gの視認性が向上した際の意外性を高め、可動役物170,180の動作とともに表示画面Gへの注目度を高めることができる。
次に、表示制御装置212のMPU252にて実行される変動方向変更処理について説明する。変動方向変更処理は、演出制御装置82からのコマンドを受信するたびに起動されるコマンド対応処理の一部として、図柄変動方向変更コマンドを受信した場合に実行される処理である。以下、図26及び図27を参照して変動方向変更処理について説明する。図26は変動方向変更処理を示すフローチャート、図27は変動方向変更処理に伴う表示態様の変化を示す表示画面Gの概略図である。
図26に示すように、変動方向変更処理では、先ずステップS801にて背景変更処理を実行する。背景変更処理では、VDP255に内部コマンドを出力して、図27(a1)→図27(a2)に示すように、表示画面Gにて水平方向にスクロール表示されている背景のスクロール表示方向を可動役物170,180の回転方向と同じ方向となるように修正させる。続くステップS802では、図柄修正処理を実行する。図柄修正処理では、VDP255に内部コマンドを出力して、図27(b1)→図27(b2)に示すように、変動図柄を両可動役物170,180の回転方向、すなわち装飾柄の移動方向に沿うようにして湾曲させるよう歪ませる。
そして、ステップS803にて変動方向修正処理を実行してから、本変動方向変更処理を終了する。変動方向修正処理では、VDP255に内部コマンドを出力して、図27(c1)→図27(c2)に示すように、以後の図柄列Z1〜Z3のスクロール表示方向を両可動役物170,180の回転方向と同じ方向となるように修正させる。すなわち、可動役物170,180が回転する際には、図柄表示装置161側の図柄の変動表示の態様も、可動役物170,180の回転に対応させた態様に変更される。
これらの処理の結果、図27(d1)→図27(d2)に示すように、表示画面Gにおける背景、変動図柄等の全ての表示対象が、可動役物170,180の回転方向に対させて変化することとなる。かかる構成とすることで、表示画面Gによる図柄の変動表示による演出と可動役物170,180の動作による演出とを関連付けることが可能となる。故に、図柄表示装置161及び可動役物ユニット162による一体的な演出によって遊技への注目度を好適に高めることができる。なお、上記の変動方向修正処理が行われるタイミングを可動役物170,180の回転開始タイミング(より詳しくは、第1可動役物170の回転開始タイミング)よりも前に設定することで、表示画面Gに注視している遊技者に対して可動役物170,180が動作することを事前に把握させることも可能である。
次に、役物魚群演出が行われる様子について、図28のタイミングチャートを参照しながら説明する。
先ず第1種役物魚群演出が実行される場合について説明する。表示画面Gにて図柄の変動表示が開始された後、t1のタイミングにて上下の図柄列Z1,Z3によるリーチラインが形成されると、中図柄列Z2の変動中のタイミングであるt2のタイミングにて上記変動方向変更(修正)処理等が実行される。その結果、表示画面Gの背景画像、図柄、及び図柄列Z2の変動方向の修正が行われる。そして、t3のタイミングにて第1可動役物170が回転開始する。
t4のタイミングで第1可動役物170が第2位置まで回転すると、第2可動役物180が回転開始する。この場合、第1可動役物170は継続して回転し、第2可動役物180は第1可動役物170の回転速度と同速度にて回転制御される。この状態(上記部分重複状態)を維持したままでの周回は予め設定された回数となるまで継続される。
その後、上記設定された回数に亘って可動役物170,180が周回した後であって、第2可動役物180が第1位置まで回転したt5のタイミングでは、当該第2可動役物180の回転が停止する。続くt6のタイミングで第1可動役物170が第1位置まで回転すると、当該第1可動役物170の回転が停止する。この場合、両可動役物170,180が停止するタイミングにおいては、中図柄列Z2は変動表示が継続されている。すなわち、リーチ表示の中途において周回演出が実行され、当該周回演出が終了後のt7のタイミングにてリーチ表示(図柄の変動表示)が終了する。
次に第2種役物魚群演出が実行される場合について説明する。t8のタイミングで非特定図柄によってリーチラインが形成されてt9のタイミングで変動方向変更処理が行われると、可動役物170,180による周回演出が実行される。そして、可動役物170,180の回転中(周回演出の実行中)のt10のタイミングにて、中図柄列Z2にてリーチラインを形成する図柄に対応するリーチ図柄がリーチライン上に停止して、各図柄列Z1〜Z3の変動表示が終了する。すなわち、第2種役物魚群演出が実行される場合には、リーチ表示が役物魚群演出中に終了する。役物魚群演出が実行される場合には、両可動役物170,180の装飾部位171,181に印刷された魚の群の隙間から、表示画面Gを視認することが可能となっており、このような状態でリーチ表示を行うことで、表示画面Gでの変動表示及び可動役物170,180による周回演出のいずれに対しても注目させることが可能となる。
中図柄列Z2のリーチ図柄が停止後であって、周回中の第2可動役物180が第2位置となる前のt11のタイミングでは、第2可動役物180の回転を減速させるとともに、第1可動役物170の回転を加速させる。そして、t12のタイミングにて第1可動役物170及び第2可動役物180の両方が同時に第2位置となり、両装飾部位171,181の全域が表示画面Gの正面にて重ね合わせた状態(上記完全重複状態)となる。このようにして、両装飾部位171,181の重なる面積が最大となることで表示画面Gの視認性が最も低下することとなる。この状況にて、表示画面Gでは昇格演出が実行され、通常大当たり結果に対応する図柄組合せが確変大当たり結果に対応する図柄組合せに変更される。
t12のタイミングで完全重複状態となった後は、両可動役物170,180の回転速度が減速/加速前の速度に戻り、可動役物170,180が同速度にて回転する。そして、両可動役物170,180が第1位置まで回転したt13のタイミングにてそれら可動役物170,180の回転が停止する。遊技者としては、リーチライン上に停止表示されていた図柄組合せが変更された状態で表示画面Gの視認性が向上し、遊技回の結果として通常大当たり結果ではなく確変大当たり結果であったことを把握することができる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果を奏することができる。
可動役物170,180を周回可能に構成していることから、図柄表示装置161(表示画面G)の前方を装飾部位171,181が通り過ぎるような演出(特定演出)を実現することができる。ここで、表示画面Gにおける表示内容とと可動役物170,180の動作による演出とには関連付けがなされており、図柄表示装置161及び可動役物ユニット162による一体的な演出が実現でき、遊技への注目度の向上に貢献できる。
可動役物170,180が前後に重なるようにして周回する構成にてそれぞれの可動役物170,180の所定の角度範囲に装飾部位171,181を設け、特別演出実行時には表示画面Gに重なる領域にてそれら可動役物170,180の回転角度位置を調整することにより、例えば装飾部位171,181同士を重ねて見せたり、装飾部位171,181が一連となるようにずらして見せたりすることが可能となり、特別演出の態様を多様化が実現されている。
可動役物170,180を周回させることにより特別演出を行う構成であるため、例えば視認可能な位置に到達した装飾部位171,181を特別演出終了時に待機位置(第1位置)に復帰させる際に各可動役物170,180を逆戻りさせる必要がない。故に、従来周知の遊技機に搭載された可動役物のように演出終了の際に可動役物が逆戻りして遊技者を興醒めさせてしまうことを好適に回避できる。
第1種役物魚群演出が実行時には、各装飾部位171,181が繋がっていると認識されるようにして各可動役物170,180の位相差が調整された上でそれら可動役物170,180を周回させることにより途切れのない(例えば概観上一連であると認識されるような)演出を実現することが可能となる。つまり、可動役物170,180(装飾部位171,181)が組み合わされることにより各装飾部位171,181が一体となって一連の周回演出が可能となる。
可動役物170,180は同軸となるように配置されており、各装飾部位171,181はそれぞれの角度範囲を合算した場合に360度よりも大きくなるように形成されている。このため、複数の可動役物170,180を互いに重ね合わせて設置することができ、可動役物170,180の占有領域の拡がりを抑えて遊技盤や図柄表示装置161との共存を促進できる。
また、第1種役物魚群演出を行う場合に、各可動役物170,180における装飾部位171,181の端部同士を重ね合わせることができる。係る構成によれば、周回時に概観上一連となる装飾部位171,181において切れ目が目立つことを好適に抑制できる。
特に各装飾部位171,181の重複部位171a,181aにおいては、一方の装飾が他方の装飾を補完するようにした。これにより、重複部位171a,181a同士を重ね合わせる場合に、多少のズレが生じても装飾に切れ目があるかのように見える(魚群が途切れているように見える)ことを抑制できる。
各可動役物170,180は、各々の回転中心を中心とする円板状をなしている。このため、可動役物170,180の周回運動に基づく遠心力が回動軸に均一に伝わるようにウェイトバランスの偏りを抑えることが容易となり、特別演出(周回演出)に伴って発生する負荷を軽減し可動役物ユニット162の耐久性の向上や動作精度の向上に貢献できる。
また、各可動役物170,180は、それら可動役物170,180の板面が前後方向を向いた状態で当該方向に並べて配置されている。これにより、特別演出を実行するための構成の薄型化を実現できる。故に、図柄表示装置161と遊技盤との間に可動役物ユニット162を収容する構成であっても、それに起因した遊技盤と図柄表示装置161との離れを抑制し、表示画面Gが遊技者から遠ざかって見えづらくなること好適に回避できる。
可動役物170,180を回転中心を中心とする円板状に形成した場合には、上述した各種効果が期待できる反面、特別演出を実行しない状況下における可動役物170,180と表示画面Gとの重なりを回避することが困難になる。ここで、本実施の形態においては、可動役物170,180に非装飾部位172,182を設け、この非装飾172,182を通じた表示画面Gの視認性を担保している。特別演出の非実行時には非装飾部位172,182を表示画面Gに重ねておいたとして、表示画面Gの視認性が損なわれることを回避でき、当該表示画面Gにおける表示演出が上手く機能しなくなることを回避できる。
また、特別演出を実行する場合には、非装飾部位172,182と装飾部位171,182とが重なるようにして各可動役物170,180を周回させたとしても、前側の第1非装飾部位172を通じて後側の第2装飾部位181の視認性が担保されるため、同特別演出を好適に実行させることが可能となる。
各可動役物170,180の装飾部位171,181を重ね合せたり、重ね合わせを回避したりすることにより、特別演出実行時に表示画面Gの前方にて装飾柄の粗/密を変化させることが可能となる。これにより、特別演出の見栄えを多様なものとすることができる。
装飾柄(模様)の粗/密を変化させる構成においては、本実施の形態に示すように1の可動役物(装飾部)における描画部分と他の可動役物(装飾部)におけるブランク部分とを重ねることにより、すなわち描画部分同士の重なりを抑えることにより、装飾の見栄えを好適に変化させることが可能となる。
可動式の役物を用いて演出を行う構成においては、同可動役物170,180が遊技領域103を流下する遊技球に衝突することは好ましくない。一方、そのような事情に鑑みて、遊技領域103を減縮して可動役物170,180の動作領域の確保を優先しようとすれば、遊技球の流下パターンが単調になって遊技球の動きを目で追うという遊技機本来の楽しみが損なわれる。この点、本実施の形態によれば、遊技盤において表示画面G(可動役物170,180の動作領域)と対峙する部分を透明として、当該対峙する部分における遊技球の移動を許容する構成とした。これにより、遊技領域103への制約を抑えつつ可動役物170,180の動作領域を確保することができ、遊技機の興趣向上に貢献できる。
可動役物170,180の装飾部位171,181に魚の群を示す装飾を付与し、可動役物170,180を回転させることにより、表示画面Gの前方を魚の群が通過するように見せる役物魚群演出が実行される構成を採用した。表示画面Gにおいては、図柄の背景を魚の群が通過する表示魚群演出が設定されており、かかる役物魚群演出はこれに対応するものである。すなわち、表示魚群演出が表示画面G上にて行われる表示演出なのに対して、役物魚群演出は表示画面Gにおける表示演出に加え可動役物170,180の動作を伴うものである。そのため、役物魚群演出が表示魚群演出と比較して立体感あるよりダイナミックな演出となり、遊技への注目度を好適に高めることができる。
<第2の実施の形態>
上記第1の実施の形態においては、円板状の可動役物170,180を表示画面Gの前方に配置し、それら可動役物170,180を表示画面Gと平行となるように回転させることにより、可動役物170,180に付与された装飾部位171,181(魚を模した絵柄)が表示画面Gの前方を横切るようにして移動する構成とした。これらの装飾は表示画面Gと平行に移動するため、可動役物ユニット162(可動役物170,180)による演出は平面的なものとなっていた。本実施の形態においては、可動役物ユニット及びそれに関連する構成を工夫することにより可動役物ユニット162Aによる演出を立体的なものとしたことを特徴の1つとしている。
以下、図29を参照して、当該工夫について説明する。図29(a)は本実施の形態における遊技盤ユニット100Aの正面図、図29(b)は遊技盤ユニット100A,可動役物ユニット162A,図柄表示装置161等の位置関係を示す図29(a)の部分断面図である。なお、パチンコ機10の主要な構成については、上記第1の実施の形態と共通であるため説明を援用する。
先ず、図29(a)を参照して、遊技盤ユニット100Aについて説明する。遊技盤ユニット100Aを構成するベース板110の背面部分には、化粧板111Aが取り付けられている。化粧板111Aはその外形がベース板110の外形に合わせて形成されている。これにより、ベース板110において化粧板111Aにより覆われる領域が上記第1の実施の形態とは異なっている。
化粧板111Aにおいて表示画面Gの前方に位置する部分には、表示画面Gよりもひと回り小さくなるようにして形成された矩形状の中央開口111aAが形成されている。中央開口111aAは化粧板111Aの厚さ方向に貫通しており、この中央開口111aAを通じて遊技機前方から表示画面Gを視認可能となっている。
図29(b)に示すように、化粧板111Aの背面側には、表示画面Gを有する図柄表示装置161、演出制御装置82、表示制御装置212を枠体150Aに搭載してなる表示ブロック300Aが配設されている。表示ブロック300Aは、枠体150Aが遊技盤ユニット100Aに固定されることにより当該遊技盤ユニット100Aと一体化されている。
図柄表示装置161等の各種構成は、遊技機前方から図柄表示装置161→表示制御装置212→演出制御装置82の順に並べて配置されている。詳細には、図柄表示装置161と表示制御装置212とが1ユニット化されており、その背後に演出制御装置82が配置されている。以下の説明においては、これら各種構成のうち図柄表示装置161及び表示制御装置212を表示ユニット301Aと称する。
本実施の形態における可動役物ユニット162Aは、枠体150Aによって回動可能な状態で保持されており、表示ユニット301A等とともに表示ブロック300Aを構成している。ここで、図29(b)、図30(a)を参照して可動役物ユニット162A及びその取付構造について説明する。図30(a)は可動役物ユニット162Aの取付構造等を示す概略図である。
図29(b)に示すように、可動役物ユニット162Aを構成する各可動役物170A,180Aは、透明な合成樹脂からなるシート材を円筒状となるように丸めて形成された円筒状部材371A,381Aを有している。これら円筒状部材371A,381Aに上記第1の実施の形態に示した装飾部位及び非装飾部位が設けられている。
円筒状部材371A,381Aは、中心軸線が上下に延びるように構成されており、内外二重(二層)且つ同軸となるようにして重ねて配置されている。より詳しくは、内側の円筒状部材381Aの全長が外側の円筒状部材371Aの全長がよりも短く設定されており、内側の円筒状部材381A全体が外側の円筒状部材371A内に収容されている。以下説明の便宜上、外側の円筒状部材371Aを有する可動役物170Aを「第1可動役物170A」又は「外側可動役物170A」、内側に円筒状部材381Aを有する可動役物180Aを「第2可動役物180A」又は「内側可動役物180A」と称する。また、同軸となるように設定された可動役物170,180の中心軸線を「中心軸線CL」と称する。
図30(a)に示すように、外側の円筒状部材371Aの上端部は内側の円筒状部材381Aの上端部よりも上方に延出しており、これら上端部に1対1で対応させて上側フレーム部材372A,382Aが配設されている。両円筒状部材371A,381Aの上端部を上下にずらすことにより上側フレーム部材372A,382A同士の干渉が回避されている。
また、外側の円筒状部材371Aの下端部は内側の円筒状部材381Aの下端部よりも下方に延出しており、これら下端部に1対1で対応させて下側フレーム部材373A,383Aが配設されている。下側フレーム部材373A,383Aは、配設対象である円筒状部材371A,381Aの下端縁に沿うように形成された円環状をなしており、円筒状部材371A,381Aの内周面に固定されている。両円筒状部材371A,381Aの下端部を上下にずらすことによ下側フレーム部材373A,383A同士の干渉が回避されている。
これら各フレーム部材372A,373A,382A,383Aによって円筒状部材371A,381Aが補強され、円筒状部材371A,381Aの変形(例えば撓み変形等の歪の発生)が抑制されている。
上側フレーム部材372A,382Aについては補強機能に加えて枠体150Aへの取付機能が付与されている。以下の説明では先ず第1可動役物170Aに配設された上側フレーム部材372Aについて説明し、その後、当該上側フレーム部材372Aとの関係を踏まえて、第2可動役物180Aに配設された上側フレーム部材382Aについて説明する。
第1可動役物170Aに属する上側フレーム部材372Aは円筒状部材371Aの上側開口部分に合わせて形成された円板状をなしており、当該上側開口部が上側フレーム部材372Aによって覆われている。上側フレーム部材372Aの中央部分には、円筒状部材371Aの外側(上方)に突出するようにして円筒状の第1軸部374Aが設けられている。第1軸部374Aは、円筒状部材371Aと同軸となるように形成されており、その外周面が枠体150Aの上枠部151Aに設けられた第1軸受け部155Aに係合している。
第1軸部374Aの先端(上端)は第1軸受け部155Aから上方に突出しており、この突出部分には第1軸部374Aの放射方向へ拡がるようにしてフランジ部375Aが形成されている。一方、第1軸受け部155Aには、フランジ部375Aに下側から当接することにより第1可動役物170Aの下方への移動を阻止するストッパ156Aが形成されている。
第1可動役物170Aは、当該第1可動役物170A(詳しくは円筒状部材371A)の中心軸線(上記中心軸線CL)を中心とした回転が許容される一方、中心軸線CLと交差する方向への変位が規制されるようにして第1軸受け部155Aと係合しており、フランジ部375Aがストッパ156Aに引っ掛かることによって枠体150Aからの脱落が回避されている。
フランジ部375Aは円環状をなしており、その外周部分には複数の歯部が周方向(すなわち第1可動役物170Aの回転方向)に並ぶように形成されている。これにより、フランジ部375Aが第1軸側ギアとして機能している。以下、このフランジ部375Aを第1軸側ギア375Aと称する。
枠体150Aの上枠部151Aには、第1可動役物170Aを駆動させる第1駆動部376A(詳しくはモータ)が搭載されている。第1駆動部376Aの出力軸には、第1軸側ギア375Aに係合する第1駆動側ギア377Aが設けられている。第1駆動部376Aは、演出制御装置82に接続されており、当該演出制御装置82からの駆動信号に基づいて動作(回転)する。第1駆動部376Aが動作することにより、その動力が第1駆動側ギア377A→第1軸側ギア375A→第1軸部374Aに伝わって第1可動役物170Aが上記中心軸線CLを中心として回転することとなる。
第2可動役物180Aに属する上側フレーム部材382Aは、円筒状部材381Aの上側開口部分に合わせて形成された円板状をなしている。上側フレーム部材382Aは第1可動役物170Aの上側フレーム部材372Aの下方に位置し、当該上側フレーム部材372Aに隙間を隔てて対向している。この上側フレーム部材382Aによって当該上側開口部が覆われている。
上側フレーム部材382Aの中央には、上下に延びる棒状(詳しくは円柱状)の第2軸部384Aが固定されている。第2軸部384Aは、円筒状部材381Aと同軸となるように形成されており、その上側部分が筒状をなす第1軸部374Aに挿通されている。なお、第2軸部384Aの直径寸法(外径寸法)は第1軸部374Aの内径寸法よりも小さく設定されており、軸部374A,384A同士の干渉が回避されている。
第2軸部384Aは、第1軸部374Aよりも上方へ突出している。この突出部分の周面に、枠体150Aの上枠部151Aに設けられた第2軸受け部157Aが係合している。第2軸受け部157Aには、第2軸部384Aの先端(上端)に形成された円板部385Aに下側から当接することにより第2可動役物180Aの下方への移動を阻止するストッパ158Aが形成されている。
第2可動役物180Aは、当該第2可動役物180A(詳しくは円筒状部材381A)の中心軸線(上記中心軸線CL)を中心とした回転が許容される一方、中心軸線CLと交差する方向への変位が規制されるようにして第2軸受け部157Aと係合しており、円板部385Aがストッパ158Aに引っ掛かることよって枠体150Aからの脱落が回避されている。
円板部385Aは、第2軸部384Aと同軸となるように形成されており、その外周部分には複数の歯部が周方向(第2可動役物180Aの回転方向)に並ぶように形成されている。これにより、円板部385Aが第2軸側ギア385Aとして機能している。以下、この円板部385Aを第2軸側ギア385Aと称する。
枠体150Aの上枠部151Aには、第2可動役物180Aを駆動させる第2駆動部386A(詳しくはモータ)が搭載されている。第2駆動部386Aの出力軸には、第2軸側ギア385Aに係合する第2駆動側ギア387Aが設けられている第2駆動部386Aは、演出制御装置82に接続されており、当該演出制御装置82からの駆動信号に基づいて動作(回転)する。第2駆動部386Aが動作することにより、その動力が第2駆動側ギア387A→第2軸側ギア385A→第2軸部384Aに伝わって第2可動役物180Aが上記中心軸線CLを中心として回転することとなる。
なお、第1可動役物170Aの高さ位置がストッパ156Aによって規定され且つ第2可動役物180Aの高さ位置がストッパ158Aによって規定された状態、すなわち枠体150Aへの可動役物170A,180Aの取り付けが完了した状態では、両上側フレーム部材372A,382Aの間に隙間が確保されることとなる。このようにして両上側フレーム部材372A,382A間に摩擦が生じることを回避することにより、両可動役物170A,180Aのうち一方が回転した場合に、他方がそれに追従するようにして回転することを抑制している。
なお、これら駆動部376A,386Aについても上記第1の実施の形態と同様にステッピングモータを採用することが好ましい。ステッピングモータを採用して、演出制御装置82によるパルス制御を行うことにより、可動役物170A,180Aの回転位置や停止位置等の位置精度を好適に向上させることが可能となる。
本実施の形態においては、可動役物ユニット162Aの配置に係る構成が特徴的なものとなっている。そこで以下、図29及び図30(b)を参照して、可動役物ユニット162Aの配置に係る構成について説明する。図30(b)は、可動役物ユニット162Aと表示ユニット301Aとの位置関係及び取付関係を示す概略図である。
表示ブロック300Aの固定構造について補足説明すると、図示は省略しているが、枠体150Aの上枠部151A、下枠部152A,左枠部153A,右枠部154Aが固定具(例えばネジ)を用いてそれぞれ遊技盤ユニット100に固定されることにより、表示ブロック300Aが遊技盤ユニット100に一体化されている。上述したように枠体150Aの上枠部151Aに取り付けられた可動役物ユニット162Aは、図30(b)に示すように、上枠部151Aから吊り下げられた状態で当該上枠部151Aによって保持され、可動役物ユニット162Aの保持機能は専ら上枠部151Aに依存している。
図29(b)に示すように、本実施の形態に示す可動役物ユニット162A(可動役物170A,180A)は、表示ユニット301A及び演出制御装置82を取り囲むようにして配置されている。すなわち、可動役物ユニット162A(詳しくは第2可動役物180A)の内部領域に、表示ユニット301A及び演出制御装置82が収容されている。
枠体150Aの左枠部153A及び右枠部154Aにおいて図柄表示装置161よりも前側に位置する部分、すなわち図柄表示装置161とベース板110との間に位置する部分には、円筒状部材371A,381Aが挿通される縦スリット159aAが形成されている。また、枠体150Aにおいて図柄表示装置161よりも上側となる上枠部151Aには、図29(a)に示すように上側フレーム部材372A,382Aが挿通される横スリット159bAが形成されている。縦スリット159aAは、図柄表示装置161の左右両側にそれぞれ設けられており、上側の端部が横スリット159bAと連通している。これらスリット159aA,159bAにより可動役物170A,180A用の通過部159Aが構成され、表示ユニット301A等を囲む位置に可動役物ユニット162Aの動作領域が確保されている。
図30(b)に示すように、可動役物ユニット162Aの下端部は枠体150Aによる保持対象から外れており、可動役物ユニット162A(可動役物170A,180A)の下端部は自由端となっている。つまり、可動役物ユニット162Aの動作及び保持機能を担保しようとすることで、上記通過部159Aが環状になることを回避している。
枠体150Aの下枠部152Aにおいて可動役物ユニット162Aと対峙している部分には、表示ユニット301A及び演出制御装置82が搭載される台座165Aが形成されている。この台座165Aに表示ユニット301A及び演出制御装置82が固定されることで、枠体150Aと表示ユニット301A及び演出制御装置82とが一体化されている。
上述の如く下枠部152Aは遊技盤ユニット100Aに固定されており、この下枠部152Aによって表示ユニット301A及び演出制御装置82が下側から支えられた状態となっている。通過部159Aが下枠部152Aに跨ることを回避し、当該下枠部152Aに表示ユニット301A及び演出制御装置82の保持機能を付与することにより、可動役物ユニット162Aと表示ユニット301A及び演出制御装置82とを好適に共存させることが可能となっている。
因みに、枠体150Aに対する各種構成の取付機能を確保する点にのみ着目した場合には、可動役物ユニット162Aの取付対象(上枠部151A)と、表示ユニット301A及び演出制御装置82の取付対象(下枠部152A)とを逆にすることも可能である。但し、このような場合には、円筒状部材371A,381Aに自重等の影響による歪み等の変形が生じる可能性が高くなると想定される。確かに、円筒状部材371A,381Aの厚さを増やす等して円筒状部材371A,381Aを補強することにより、そのような不都合の発生を抑制することが可能である。但し、このような対策は、可動役物ユニット162Aの占有領域が増大する要因になる。
この点、可動役物ユニット162Aを吊り下げ式とすることにより、円筒状部材371A,381Aに過度の補強を行うことなく上記変形等の発生を抑制できる。また、下側フレーム部材373A,383Aを円筒状部材371A,381Aを下方へ引っ張る重りとして機能させることができ、当該抑制効果の更なる向上に貢献できる。以上の理由から、本実施の形態に示した可動役物ユニット162A及び表示ユニット301A等の位置関係については、可動役物ユニット162Aの見栄えや安定した動作の担保更には表示ユニット301A等の周辺構成との共存を図る上で好ましい効果が期待できるという技術的意義を有する。
既に説明したように、両可動役物170A,180Aは同軸となるように配置されている。外側の円筒状部材371Aの直径寸法(詳しくは内径寸法)は内側の円筒状部材381Aの直径寸法(詳しくは外径寸法)よりも僅かに大きく形成されており、両円筒状部材371A,381Aとの間に隙間が形成されている。このような隙間の確保は、円筒状部材371A,381Aの一方が回転した際に、両円筒状部材371A,381Aの間に摩擦が生じて当該摩擦により他方が回転することを回避するための工夫である。
ここで、枠体150Aによる可動役物ユニット162Aの保持部分が可動役物170A,180Aの上端部に限定され、それら可動役物170A,180Aの下端部が自由端となっていることにより、以下の不都合が生じ得る。すなわち、回転に伴って発生するモーメントにより可動役物170A,180Aの下端部が回転中心軸線と交差する方向へぶれる(振れる)可能性がある。このようなぶれは、可動役物ユニット162Aの回転機能を安定して発揮させる上での妨げになるだけでなく、可動役物170A,180A同士の干渉を招来し、両可動役物170A,180Aの間に上記隙間を設けたことによる効果が上手く発揮されなくなる要因になり得る。
但し、このような不都合の発生を回避すべく、単に下枠部152A及び下側フレーム部材373A,383Aに、上枠部151A及び上側フレーム部材372A,382Aと同様の保持機能を付与した場合には、当該保持機能の付与が上記台座165Aの設置を困難にする要因になると想定される。これでは、表示ユニット301A等の保持強度の確保が難しくなるため好ましくない。
本実施の形態では、このような事情に鑑みて、台座165Aの設置を許容しつつ、上記ぶれを規制する規制手段が設けられている。以下、図30(a),(c)を参照して当該規制手段について説明する。図30(c)は、可動役物ユニット162A用のガイド機構を示す概略図である。
規制手段は、大別して上記規制に間接的に寄与する構成と直接的に寄与する構成とを有している。そこで先ず、図30(a)を参照して、間接的に寄与する構成について説明する。既に説明したように、第2可動役物180Aの第2軸部384Aは上下に延びており、その下端部が下枠部152Aに到達している。
下枠部152Aには、第2軸部384Aと係合する有底の係合穴が形成されている。この係合穴によって第2軸部384Aの上記中心軸線CLと交差する方向への変位を抑えられている。このように、第2軸部384Aの両端にて回転中心軸線と交差する方向への変位が規制される構成として、軸受け位置間の距離を大きくすることにより、第2軸部384Aに生じる上記モーメントを軽減している。故に、第2軸部384Aが上記ぶれの発生元になることを抑制している。
但し、このような構成については、あくまで間接的にぶれを規制するものであり、より効率よく影響を抑えるには直接的に円筒状部材371A,381Aに作用する構成を有することが好ましい。図30(a)に示すように、可動役物ユニット162A内には、第1可動役物170A(詳しくは下側フレーム部材373Aの内周面)に内側から当接する第1当接部としてローラ378Aと、第2可動役物180A(詳しくは下側フレーム部材383Aの内周面)に内側から当接する第2当接部としてローラ388Aとが設けられている。
各ローラ378A,388Aは、下枠部152Aに設けられた軸ピンによって回転可能に保持されており、その回転中心軸線が両可動役物170A,180Aの中心軸線CLと同じ方向となるように構成されている。
可動役物170A,180Aが回動した際には、下側フレーム部材373A,383Aに内接した状態でローラ378A,388Aが回転することとなる。このように、規制手段を回転式とすることにより、規制手段(ローラ378A,388A)の存在が可動役物170A,180Aの回転を妨げる抗力の発生要因となることを抑制していいる。
図30(c)に示すように、ローラ378Aは、第1可動役物170Aの回転方向にて等間隔(中心軸線CLを中心とする角度が同程度)となるようにして複数(本実施の形態においては3つ)配置されている。ローラ388Aについても、第2可動役物180Aの回転方向にて等間隔(中心軸線CLを中心とする角度が同程度)となるようにして複数(本実施の形態においては3つ)配置されている。このような配置とすることにより、円筒状部材371A,381Aの回転に伴って発生するぶれを好適に抑えることが可能となっている。
なお、ローラ378A,388Aについては、表示画面Gの側方(具体的には斜め後方)であって図柄表示装置161や化粧板111A等によって遊技機前方からの視認が不可となる位置、詳しくは枠体150Aにおいて縦スリット159aAが形成された左右の枠部153A,154Aよりも外側及び図柄表示装置161の背後となる位置に配置されている。このような配置とすることにより、ローラ378A,388Aの存在が表示画面G等の視認性を低下させる要因となったり遊技機の見栄えを低下させる要因になったりすることを回避している。
以上詳述した可動役物170A,180Aは、上記第1の実施の形態に示した可動役物170,180と比較してサイズ及び重量が大きくなっており、回転時に生じる慣性力が増大している。このような事情を配慮すると、可動役物170A,180Aを回転→停止させるべく駆動部376A,386Aへの駆動信号の出力を停止した場合の応答性が低下し得る。詳しくは、演出制御装置82により可動役物ユニット162Aの停止制御が行われた場合であっても、可動役物170A,180Aが慣性力の影響によって即時停止せずオーバーランが発生する可能性が高くなる。このような事象が発生した場合には、遊技者が上記装飾部位を視認不可となるように隠すべき状況にて当該装飾部位が表示画面Gの前方へはみ出す等して、可動役物ユニット162Aの演出機能が上手く発揮されなくなるといった不都合が生じる。本実施の形態においては、このような事情に配慮して、上記不都合の発生を回避するための各種工夫がなされている。
当該工夫については、ある程度のオーバーランを許容することにより上記不都合の発生を回避するもの(詳しくは上記スリット159aAによって規定された視認可能範囲と可動役物170A,180Aの装飾部位及び非装飾部位との位置関係)と、オーバーランそのものを抑えることにより同不都合の発生を抑えるもの(詳しくは制動装置)とに大別される。以下、先ず図29(b)を参照して前者について説明する。
既に説明したように可動役物170A,180Aの円筒状部材371A,381Aは、いずれも無色透明の合成樹脂により形成されている。円筒状部材371Aの外面(表面)に第1可動役物170Aの回転中心軸線を基準とする所定の角度範囲(本実施形態では中心角が約200度)に「装飾領域」としての装飾部位171Aが形成され、円筒状部材381Aの内面(裏面)に上記中心軸線CLを基準とする所定の角度範囲(本実施形態では中心角が約200度)に「装飾領域」としての装飾部位181Aが形成されている。
より具体的には、円筒状部材371A,381Aの前面は、上記所定の角度範囲に亘って多数の魚の装飾柄(絵柄)が付与された装飾部位171A,181Aと、装飾が一切存在しない無色透明の非装飾部位172A、182Aとで構成されている。本実施形態では、各円筒状部材371A,381Aは、装飾部位171A,181Aが形成されている所定の角度範囲を合算した場合に360度よりも大きくなるように形成されている。より詳しくは、両可動役物170A,180Aにおける上記所定の角度範囲が同一(詳しくは200度)となるように設定されている。
各可動役物170A,180Bは、上記特定演出(魚群演出)が実行されない場合には装飾部位171A,181Aが奥側、非装飾部位172A,182Aが手前側となるようにして待機している。この状態では、図柄表示装置161の表示画面Gの全体が非装飾部位172A,182Aと前後方向に重なり、装飾部位171A,181Aはその全体が図柄表示装置161の背後に位置している。これにより、非装飾部位172A,182Aを通じた表示画面Gの視認性が担保され、表示ユニット301A(枠体150A)の背後に装飾部位171A,181Aが隠れることによって装飾部位171A,181Aが視認不可となっている。
この状態では、第1可動役物170の装飾部位171(「第1装飾部位171」ともいう)全体と第2可動役物180の装飾部位181(「第2装飾部位181」ともいう)全体とが重なっており、第1可動役物170の非装飾部位172(「第1非装飾部位172」ともいう)全体と第2可動役物180の非装飾部位182(「第2非装飾部位182」ともいう)全体とが重なっている。以下の説明では、このような可動役物170,180の回転位置を、待機位置(第1位置、非演出位置)という。
本実施の形態では、可動役物170A,180Aにおいて化粧板111Aの中央開口111aAを通じて視認可能となる範囲(以下、表示範囲VAという)が90度程度に抑えられるように左右の縦スリット159aAの位置が決定されている。つまり、表示範囲VAについては、非装飾部位172A,182Aが設けられている範囲(180度)よりも大きくなっている(凡そ2倍となっている)。一見するとこのように非装飾部位172A,182Aを表示範囲VAに対して十分に大きくすることは無駄であるかのように見えるが、このような余裕のある構成とすることにより、駆動部376A,386Aへの駆動信号の出力が停止してから実際に可動役物170A,180Aが停止するタイミングが遅れて上記オーバーランが発生したとしても、それにより装飾部位171A,181Aが表示範囲VAへ到達することを好適に抑制することができる。
また、枠体150Aの上枠部151Aには、上述した上側フレーム部材372A,382Aに当接することにより制動力発揮する制動装置としてソレノイド379A,389Aが各可動役物170A,180Aに1対1で対応して設けられている。
ソレノイド379Aは、上側フレーム部材372Aの第1軸側ギア375Aに上記第1駆動部376Aとは反対側から当接することにより抵抗を発生させる作用部379aAと、作用部379aAを当接位置に向けて付勢する付勢部材と、電力の供給に基づいて励磁状態となることにより作用部379aAを付勢部材の付勢力に抗して当接位置から非当接位置に移動させる駆動力発生部とを有している。
ソレノイド389Aについても同様に、上側フレーム部材372Aの第2軸側ギア385Aに上記第2駆動部386Aとは反対側から当接することにより抵抗(例えば摩擦抵抗)を発生させる作用部389aAと、作用部389aAを当接位置に向けて付勢する付勢部材と、電力の供給に基づいて励磁状態となることにより作用部389aAを付勢部材の付勢力に抗して当接位置から非当接位置に移動させる駆動力発生部とを有している。
ソレノイド379A,389A(詳しくは駆動力発生部)は演出制御装置82に電気的に接続されており、演出制御装置82からの駆動信号に基づいて動作する。具体的には可動役物ユニット162Aによる演出が実行される場合には演出制御装置82からソレノイド379A,389Aに駆動信号が出力され、これに基づいて作用部379aA,389aAが当接位置から非当接位置に移動する。可動役物ユニット162Aによる演出が終了する際には、駆動信号の出力が停止することで作用部379aA,389aAが当接位置に復帰し、制動力が発生することとなる。
なお、制動装置の配置については上記のものに限定されるものではない。例えば作用部が上下方向に移動可能な構成として、励磁状態となることでフランジ部375A及び円板部385Aを下方に向けて押圧することにより、ストッパ156A,158Aとの間にフランジ部375A及び円板部385Aを挟み込んで制動力(摩擦抵抗)を発生させる構成とすることも可能である。
これら可動役物170A,180Aを用いた演出の概要については、上記第1の実施の形態と同様であるため説明を援用する。
以上詳述した第2の実施の形態によれば以下の優れた効果が期待できる。
可動役物170A,180A(詳しくは円筒状部材371A,381A)は、図柄表示装置161を囲っており、表示画面Gよりも前方に位置する部分については、前方へ凸となるように湾曲している。このため、可動役物ユニット162Aによって上記特別演出(詳しくは役物魚群演)を行う場合には、可動役物170A,180Aの回転によって左右の縦スリット159aAを通過した魚の絵柄(装飾)が奥側→手前側→奥側へと移動することとなる。これにより、魚の絵柄が左右へスクロールしながら前後に移動しているように見せることができる。
例えば、絵柄を左右に移動させるための駆動部と絵柄を前後に移動させるための駆動部とを併用すれば、本実施の形態に示すように絵柄の動きを実現することが可能であるが、これでは演出効果の向上に起因して可動役物ユニットの駆動機構等が過度に複雑になると想定される。これは、可動役物ユニットの配置に係る制約を強くしたり、耐久性の担保が困難になったりする要因になり得る。この点、本実施の形態に示すように円筒状部材371A,381Aを用いて可動役物170A,180Aを構成し、同円筒状部材371A,381Aを装飾等の付与対象とすることにより、可動役物170A,180Aを回転させるだけで上述した装飾の動きが実現されることとなる。故に、上記各種不都合の発生を好適に回避できる。
円筒状部材371A,381A内に表示ユニット301Aを収容する構成においては、表示ユニット301Aの背後に装飾部位171A,181Aを配置させることにより、表示ユニット301A自体を装飾部位171A,181Aの視認を妨げる遮蔽手段(視認を規制する規制手段)として機能させることができる。このように既存の構成を利用して、装飾部位171A,181Aの視認が困難な領域を確保することにより、当該領域を確保するための専用の構成が不要となる。
可動役物170A,180Aは、筒状部材371A,381Aの中心軸線を中心として回動する構成となっている。係る構成によれば、可動役物170A,180Aの設置領域と動作領域との差を小さくすることができ、無駄に占有領域が嵩むことを抑制できる。これにより、可動役物ユニット162Aと表示ユニット301A等とを好適に共存させることができる。これは、可動役物ユニット162A内に表示ユニット301A等を収容する場合に、表示ユニット301Aの大きさ等に係る制約を軽減する上で好ましい構成である。
可動役物170A,180Aに固定端と自由端とを設けることにより、可動役物ユニット162Aの保持機能と、枠体150Aによる表示ユニット301A及び演出制御装置82の保持機能とを好適に担保している。
枠体150Aには筒状部材371A,381Aが通過する通過部159Aが形成されている。筒状部材371A,381Aは、環状をなしており、回転方向に露出する端部を有していない。このため、可動役物170A,180Aが回転する際に、同筒状部材371A,381Aと通過部159Aを構成する縦スリット159aAとが引っ掛かることを抑制することができる。また、上側フレーム部材372A,382Aについては平板状をなしており、回転方向に露出する端部を有していない。このため、可動役物170A,180Aが回転する際に、筒状部材371A,381Aと通過部159Aを構成する縦スリット159aAとが引っ掛かることを抑制することができる。これにより、可動役物170A,180Aの動作を円滑なものとすることができる。
なお、上側フレーム部材を軸部と環状部とを放射状に繋ぐ複数の連結部からなる骨組み構造とすることも可能であるが、この場合には上述した引っ掛かりが生じやすくなり、可動役物ユニット162Aの円滑な動作が妨げられる可能性が高くなると想定される。故に本実施の形態に示したように可動役物170A,180Aについては枠体150Aの通過部159Aと引っ掛かる要因になるエッジを排除することが好ましい。これにより、通過部159Aと可動役物170A,180Aとの引っ掛かりを好適に回避でき、通過部159Aに付与される動作隙が無駄に大きくなることを抑制できる。
本実施の形態においては、表示画面Gにおける図柄のスクロール方向と可動役物170A,180Aの回転方向とを揃える構成としたが、これらの方向を揃える必要は必ずしもなく、可動役物170A,180Aの回転方向をそのままに図柄の変動表示態様を横スクロールから縦スクロールに変更することも可能である。
また、可動役物ユニット162Aを可動役物170A,180Aの回転中心軸線が上下に延びるように配置したが(可動役物170A,180Aが横回転となる構成としたが)、これに限定されるものではなく可動役物170A,180Aをその回転中止が左右に延びるように配置することも可能である。この変更に併せて表示画面Gにおける図柄の変動表示態様を横スクロールから縦スクロールに変更してもよい。
但し、このような構成では、重量が嵩む表示ブロック300Aを枠体150Aの左右の枠部153A,154Aのどちらかで支える必要が生じ、保持強度の担保が困難になり得る。更には、可動役物170A,180Aが自重等によって歪むことを抑制すべく可動役物170A,180Aの強度を向上させる必要がある。特に、表示ユニット301Aを内部に収容しようとした場合には、必然的に可動役物170A,180Aのサイズが大きくなるため、上記対応の必要性が高くなる。故に、表示ユニット301Aによる図柄の変動表示と可動役物ユニット162Aによる演出機能との関係性を高めつつ、表示ブロック300Aの保持強度を担保する点に鑑みれば、本実施の形態に示したように可動役物ユニット162Aを横回転させつつ、上下の枠部151A,152Aにて可動役物ユニット162Aと表示ユニット301Aとを保持する構成とすることが好ましい。
<第3の実施の形態>
上記第2の実施の形態においては、筒状部材371A,381Bに付与された装飾が可動役物170A,180Aの回転方向(詳しくは横方向)に伴って水平方向にスクロールされる構成としたが、本実施の形態では装飾の移動方向を多様化させる工夫が施されていることを特徴の1つとしている。具体的には、可動役物170B,180Bをそれら可動役物170B,180Bの回転に伴って上記中心軸線CL方向に変位させる(昇降させる)可変機構を備えていることを特徴の1つとしている。以下、図31の概略図を参照して、この可変機構について説明する。なお、本実施の形態における主要な構成については、上記第2の実施の形態と同様であるため説明を援用する。
可変機構は、第1可動役物170B及び第2可動役物180Bを昇降させる機能を有しており、その駆動方式については、両可動役物170B,180Bで共通となっている。図31においては、第1可動役物170Bに係る構成について例示されている。
第1可動役物170Bは、上記第2の実施の形態と同様に、枠体150Bの上枠部151Bによって保持されている。具体的には、第1可動役物170Bの上側フレーム部材372Bに形成された第1軸部374B(詳しくはフランジ部375B)が上枠部151Bのストッパ156Bに上側から当接することにより第1可動役物170Bの下方への変位が規制されている。ストッパ156Bは、第1可動役物170Bの上方への変位については規制しているわけではなく、あくまで第1可動役物170Bの下限位置を規定しているに過ぎない。
上側フレーム部材372Bの円板部分(ベース部分)と上枠部151Bとの間には隙間が形成されおり、可動役物170Bは当該隙間の範囲内で上方への変位が許容されている。この隙間には、可動役物170Bを下方へと付勢する板状の付勢部材391B(本実施の形態においてはウレタンパッド)が挿入されている。付勢部材391Bの厚さ寸法は上記隙間寸法よりも僅かに大きい程度に抑えられており、僅かに圧縮された状態で上記隙間に収容されている。このように、付勢部材391Bを配置した状態での圧縮率を小さくしたのは、可動役物170Bの回転に伴って上側フレーム部材372Bと上枠部151Bとの間に生じる摩擦抵抗(回転を妨げる抗力)を軽減するための工夫である。
可動役物170Bは、付勢部材391Bの付勢力及び自重によってストッパ156Bに当接する下限位置に待機しており、上方へ向けた外力が加わった場合に当該外力が付勢力及び自重を上回ることで下限位置から上方へ変位する(上昇する)構成となっている。
枠体150Bの下枠部152Bには、可変機構を構成するソレノイド395Bが取り付けられている。ソレノイド395Bの出力軸には、可動役物170Bの下側フレーム部材373Bを押圧する押圧部396Bが設けられている。ソレノイド395Bは、押圧部396Bが上側、本体部分が下側となるように立てた状態で配置され、当該本体部分が下枠部152Bに固定されることで枠体150Bと一体化されている。
ソレノイド395Bは演出制御装置82に電気的に接続されており、演出制御装置82からの駆動信号が入力されることにより励磁される。ソレノイド395Bが励磁されることにより、出力軸が上方へ持ち上げられ、押圧部396Bが下側フレーム部材373Bを押圧しない待機位置から押圧位置へと変位することとなる。
ソレノイド395Bによる押圧力は、可動役物170Bの自重及び付勢部材391Bの付勢力の和よりも大きく設定されている。このため、ソレノイド395Bが励磁されて押圧部396Bが上方に変位することにより、押圧部396Bに押された可動役物170Bが上昇することとなる。
なお、本実施の形態に示す第1駆動部376Bの第1駆動側ギア377Bについては、そのような高さ位置の変化が生じた場合であっても、第1軸側ギア375Bとの係合状態が維持可能となるように余裕代が付与されている。つまり、駆動力の伝達経路が維持されたまま可動役物170Bの高さ位置が変更可能となっている。
ここで、例えばソレノイド395Bに加える電圧を細かく制御することにより(すなわち励磁状態を細かく制御することにより)、中心軸線CL方向にて可動役物170Bの位置を細かく変化させることが可能となる。しかしながら、このような構成では駆動制御に係る負荷が大きくなる。そこで、本実施の形態においては、構造的側面から中心軸線CL方向における可動役物170Bの位置(高さ)を細かく変化させる工夫が施されている。
具体的には、下側フレーム部材383Bにおいて押圧部396Bの押圧対象となる部分(下面部373aB)については、その高さ位置が連続的に変化するように形成されている。具体的には、下面部373aBは可動役物170Bの回転方向にて高さ位置が周期的に変化する波状をなすように形成されている。
可動役物170Bが下限位置に配置されている状態では、下面部373aBの凸状部分が押圧部396Bの上端部(上限位置)よりも下側に位置し、下面部373aBの凹状部分が押圧部396Bの上端部(上限位置)と同じ高さ位置となるように構成されている。
ソレノイド395Bが押圧状態となっている状況下にて可動役物170Bが回転した場合には、下面部373aBの形状に合わせて可動役物170Bの高さ位置が変化することとなる。具体的には、下面部373aBの凹状部分の底部から凸状部分の頂部に向けて傾斜している部分に押圧部396Bが当る場合に可動役物170Bが上記付勢部材391Bの付勢力及び自重に抗して上昇し、凸状部分の頂部から凹状部分の底部に向けて傾斜している部分が押圧部396Bに当たる場合に、当該傾斜に沿って可動役物170Bが付勢部材391Bの付勢力及び自重によって降下することとなる。
既に説明したように下面部373aBは周期的に変化する波状をなしている。このため、可動役物170Bが回転することにより、可動役物170Bに付与された装飾は(魚の絵柄)は中心軸線CLと直交する方向に蛇行しながら横方向に変位することなる。この際に、装飾が描く軌道については下面部373aBの形状に依存する。
なお、凸状部分の頂部と凹状部分の底部との高低差は上記隙間よりも小さく設定されている。これは、可動役物170Bが上限位置に達した場合であっても、付勢部材391Bの配設領域を確保するための工夫である。因みに、可動役物ユニット162Bの個体差等によっては上記配設領域が十分に確保されない可能性が生じる。このような場合には、付勢部材391Bが圧縮限界に到達することにより、ソレノイド395Bの出力軸(押圧部396B)が後退する。これにより、位置可変機能を付与したことが可動役物170Bに過剰な負荷を発生させる要因になることを抑制することが可能となっている。
第1可動役物170Bは、上記第2の実施の形態と同様に、上下方向にて化粧板111Bの中央開口111aBよりも十分に大きく形成されており、可動役物170Bの高さ位置が変化した場合であっても、可動役物170Bの上端部又は下端部が中央開口111aBと前後に重なる位置(表示範囲VA:図29(b)参照)へ到達することが回避されている。可動役物170Bには、非装飾部位が形成されており、回転開始時にはこの非装飾部位が遊技機正面側を向いている。非装飾部位については透明であり模様が付与されていない。このため、非装飾部位の動きから可動役物170Bが昇降を伴いながら回転したとしても、模様や端部等の昇降を見極める手がかりが存在しない。これにより、装飾の動きがどのようであるかを装飾部位が表示範囲VAに到達する前に遊技者によって把握されにくくなっている。
以上詳述したように、本実施の形態においては、主として可動役物170Bの下面部373aB及びソレノイド395Bによって上記中心軸線CL方向における可動役物170Bの位置が変更される。つまり、それら各構成によって上記可変機構が構成されている。因みに、可動役物170Bの位置を変更する機能に着目すれば、可変機構を位置変更手段(上下位置変更手段)又は昇降手段と称することも可能である。
なお、図31においては、第1可動役物170Bについて例示したが、第2可動役物180Bについても同様の構成となっている。つまり、第2可動役物180Bにおける下側フレーム部材383Bの下面部383aBについては波状をなしており、この下面部383aを押圧するソレノイド397Bが配設されている。ソレノイド397Bが励磁されて押圧状態となることにより、ソレノイド397Bの押圧部398Bによって下面部383aが押され、第2可動役物180Bが中心軸線CL方向へ変位する。因みに、下側フレーム部材383Bの下面部383aBについては、下側フレーム部材373Bの下面部373aBに対して相似となるように構成されている。
可動役物ユニット162Bを用いた特別演出としては、可動役物170B,180Bに付与された装飾が遊技機正面視にて水平にスクロールする第1特別演出と、可動役物170B,180Bに付与された装飾が上下に蛇行しながらスクロールする第2特別演出とが設けられている。演出態様を決定する際に参照される選択テーブルは、大当たり結果である場合には第1特別演出よりも第2特別演出のほうが選択されやすくなるように、且つ外れ結果である場合には第2特別演出よりも第1特別演出のほうが選択されやすくなるように設定されている。これにより、第2特別演出が実行される遊技回にて大当たりに当選する期待度は、第1特別演出が実行される遊技回にて大当たりに当選する期待度よりも高くなっている。
以下、図32を参照して、各特別演出について説明する。図32(a1)は第1特別演出を実行する際の可動役物ユニット162Bの動作態様を示す概略図、図32(a2)は第1特別演出の概要を示す概略図、図32(b1)は第2特別演出を実行する際の可動役物ユニット162Bの動作態様を示す概略図、図32(b2)は第2特別演出の概要を示す概略図である。なお、既に説明したように、図32(1)群においては、第1可動役物170Bとソレノイド395Bとの関係を例示しているが、第2可動役物180Bとソレノイド397Bとの関係についても同様である。
先ず、図32(a)群を参照して第1特別演出について説明する。第1特別演出が実行される場合には、演出制御装置82から駆動部376B,386Bに駆動信号が出力されて、図32(a1)に示すように第1可動役物170B及び第2可動役物180Bが回転する。この際、ソレノイド395B,397Bに駆動信号が出力されず非励磁のままとなる。つまり、ソレノイド395B,397Bの押圧部396B,398Bは待機位置に留まり、下面部373aB,383aBを押圧することがない。故に、可動役物170B,180Bの上下位置に変化は生じない。
この結果、図32(a2)に示すように、表示画面Gの前方を通過する装飾は水平方向にスクロールすることとなる。
一方、第2特別演出が実行される場合には、演出制御装置82からソレノイド395B,397Bに駆動信号が出力され、ソレノイド395B,397Bが励磁される。これにより、ソレノイド395B,397Bの押圧部396B,398Bは押圧位置に移動し、各可動役物170B,180Bの下面部373aB,383aBを押圧することとなる。この状態(押圧状態)にて演出制御装置82から駆動部376B,386Bに駆動信号が出力され、第1可動役物170B及び第2可動役物180Bが回転することにより、当該回転に伴ってそれら可動役物170B,180Bの上下位置が変化することとなる。
この結果、図32(b2)に示すように、表示画面Gの前方を通過する装飾は水平方向にスクロールしながら上下位置が変化して蛇行することとなる。
以上詳述した第3の実施の形態によれば、可動役物170B,180Bの回転に伴ってそれら可動役物170B,180Bの上下位置を変化させることにより、装飾の動きが単なる横スクロールではなく上下方向の変位が加味され、装飾の動きが単調になることを抑制できる。
ソレノイド395B,397Bを励磁/非励磁に切り替えることにより、可動役物170B,180Bの動きを差別化して特別演出の多様化に貢献できる。ソレノイド395B,397Bを励磁させて第2特別演出を行う場合には、ソレノイド395B,397Bの状態(押圧力)を細かく制御する必要はなく、装飾の動きすなわち可動役物170B,180Bの動きは下面部373aB,383aBによって規定される。故に、演出の多様化に伴う制御負荷の増大を抑制できる。
特に、ソレノイド395B,397Bについては、装飾部位が表示範囲VAに到達するタイミングに合わせて励磁状態とする必要はなく、回転開始前又は回転開始と同時に励磁状態とれば、上記第2特別演出がじっこうされるため、回転タイミングを見計らう必要もない。これは上述したオーバーランへの対応(位置に多少のばらつきが生じ得る点)に鑑みても好ましい構成である。
また、回転中の可動役物170B,180Bに向けて押圧部396B,398Bを押し込む必要がない。つまり、回転開始時には押圧部396B,398Bが下面部373aB,383aBに押し当てられた状態とすることが可能である。故に、両者が勢いよく衝突することを回避できる。これにより、ソレノイド395B,397Bや可動役物170B,180Bを保護することができる。
回転開始時から押圧部396B,398Bが下面部373aB,383aBに押し当てられた状態とするとしても、表示範囲VAに装飾部位が到達する前に可動役物170B,180Bが昇降していること、すなわち第2特別演出が実行されることを遊技者に察知されにくくすることができる。故に、第1特別演出及び第2特別演出のいずれが行われるかを分かりにくくして、遊技者の第2特別演出への期待が早期に低下することを抑制できる。
第1特別演出の途中にて第2特別演出に移行する第3特別演出を設定してもよい。この場合であっても、単にソレノイド395B,397Bを非励磁状態→励磁状態に切り替えるだけでよいため、演出の多様化に伴う制御負荷の増加を抑制できる。
なお、本実施の形態においては、付勢部材として弾性変形可能なウレタンパッドを設けたが、少なくとも可動役物170B,180Bは自重によって下方へ付勢された状態で取り付けられているため、当該付勢部材を省略することも可能である。また、付勢部材としてウレタンパッドではなくゴムクッションやバネ等を用いてもよい。
また、可動役物170B,180Bをその回転動作に基づいて中心軸線CL方向へ移動させることができるのであれば、可変機構の配置や当該可変機構を構成するソレノイド395B,397B及びその押圧対象を任意に変更してもよい。例えば、本実施の形態ではソレノイド395B,397Bによる押圧対象を下側フレーム部材373B,383Bとしたが押圧対象を上側フレーム部材に変更することも可能である。可動役物170B,180Bが上向きに付勢された状態で取り付ける場合には、ソレノイド395B,397Bが押圧状態になることで可動役物170B,180Bが押し下げられる構成としてもよい。
本実施の形態ではソレノイド395B,397Bによる押圧対象として機能する下側フレーム部材373B,383Bの下面部373aB,383aBを中心軸線CLを基準に相似状をなすように形成することにより、2つの可動役物170B,180Bの上下動を同期させる構成としたが、これに限定されるものではない。下面部373aB,383aBの形状を両可動役物170B,180Bの上下動が非同期となるように変更してもよい。
更には、上下動の対象を2つの可動役物170B,180Bのうち一方のみとすることも可能である。例えば、上述した第2特殊演出(2つの可動役物170B,180Bの装飾部位全体が重なるようにして回転させる演出)を行う場合には、一方の可動役物に描かれた装飾は上下動が抑えられたまま横スクロールし、他方の可動役物に付与された装飾は上下動を伴いながら横スクロールする構成とすれば、可動役物ユニット162Bを用いた演出の更なる多様化を実現できる。
可変機構については、各可動役物170B,180Bに1対1で対応するソレノイド395B,397Bを有している必要は必ずしもなく、1のソレノイドによって両可動役物170B,180Bを動作させてもよい。
本実施の形態においては、ソレノイド395Bが表示ユニットの裏側に配置されている。より具体的には、表示領域VB(図29(b)参照)に対して中心軸線CLを挟んで反対側となる位置にソレノイド395Bが配置されている。このため、可動役物170Bにおいて表示領域VBを通過する部分と、ソレノイド395Bによる押圧部分とには180度の位相差が存在する。本実施の形態においては、下側フレーム部材373B(下面部373aB)の全周を波状となるように形成したが、装飾部位が限られた範囲に存在している点(すなわち非装飾部位が存在している点)に鑑みれば可動役物170Bを昇降させるための形状は、下側フレーム部材373Bの全周に形成されている必要はない。
少なくとも、装飾部位が上記表示領域VBを通過する期間に押圧部396Bに当接し得る部分に形成されていれば足り、それ以外の部分については上記第2の実施の形態と同様に平坦となるように形成してもよい。これにより、押圧部396Bに生じる負荷を軽減し、可動役物ユニット162Bの耐久性向上に貢献できる。
<第4の実施の形態>
上記第2及び第3の実施の形態では、各可動役物に回転中心部を構成する軸部を設け、この軸部に駆動部からの動力を伝達する動力伝達経路としての機能を付与する構成とした。係る構成では、動力を軸部から筒状部材に伝達するための手段として例えば軸部と筒状部材とを繋ぐ繋ぎ部が必要になる。この繋ぎ部の存在は表示ブロックを上下両側にて保持することを困難にする要因になり得る。このような事情に配慮した場合、表示ブロックの保持機能を強化する上で上記動力伝達経路の確保に改善の余地がある。
本実施の形態においては、可動役物の回転中心部として機能する軸部を排除することにより、表示ブロックの保持機能を強化していることを特徴の一つとしている。以下、図33及び図34を参照して、本実施の形態における表示ブロック300Cについて説明する。図33は表示ブロック300Cを主要な構成毎に分解した状態を示す分解斜視図、図34は表示ブロック300Cの縦断面図である。なお、表示ブロック300Cを構成する枠体150Cは、上記各実施の形態と同様に上枠部151C、下枠部152C、左枠部、右枠部を有しているが、これら各枠部のうち左右の枠部については表示を省略している。
図33に示すように、可動役物170C,180Cを構成する上側フレーム部材372C,382C及び下側フレーム部材373C,383Cは、円環状をなしており、筒状部材371C,381Cの上端部及び下端部が挿入される溝部を有している。フレーム部材372C,373C,382C,383Cは、それら溝部に各端部が係合した状態で同筒状部材371C,381Cに固定されている。
下枠部152Cは平板状のベース部421Cを有しており、このベース部421Cには各可動役物170C,180Cの下側フレーム部材373C,383Cが挿入される有底溝状の挿入部422C,423Cが形成されている。挿入部422C,423Cは円環状をなしている。下側フレーム部材373C,383Cが挿入部422C,423Cに挿入されることにより、可動役物170C,180Cが下枠部152Cによって回転可能に保持されている。つまり、上記実施の形態では上枠部によって可動役物を吊り下げる構成としたのに対して、本実施の形態では下枠部152Cによって可動役物を下側かた支える構成としている。
上枠部151Cには、各可動役物170C,180Cの上側フレーム部材372C,382Cが挿入される挿入部413C,414Cが形成されている(図34参照)。挿入部413C,414Cは円環状をなしており、上側フレーム部材372C,382Cが挿入部413C,413Cに挿入されることにより、枠体150Cからの可動役物170C,180Cの脱落が回避されている。
このように、可動役物170C,180Cを上枠部151C及び下枠部152Cによって挟み、各挿入部413C,414C,422C,423Cをガイド用の溝部として機能させることにより、可動役物170C,180Cを回転させる際のガイド機能を安定して発揮させることが可能となっている。
但し、このような構成においては、筒状部材371C,381Cに歪等の変形が生じないようにある程度の強度を付与する必要があり、筒状部材371C,381Cについては、上記各実施の形態と比較して厚さが大きくなるようにして対策が施されている(図34参照)。
本実施の形態においては、可動役物ユニット162C(詳しくは第2可動役物180C)の内部領域を表示ユニット301C等の収容領域として活用するにあたり、駆動機構及びその配置が工夫されている。先ず、第1可動役物170Cの駆動構造について説明する。
第1可動役物170Cの上側フレーム部材372Cは、上下方向における幅寸法が挿入部413Cの深さ寸法よりも大きく設定されており、その下側半分が上記挿入部413Cから下方に突出している(図34参照)。上側フレーム部材372Cの外周面であって挿入部413Cから突出している部分には、周方向に並べて複数の歯部が形成されている。つまり、上側フレーム部材372C自体にギア部材としての機能が付与され、当該上側フレーム部材372Cによって動力伝達経路の一部が構成されている。
上側フレーム部材372Cには、当該上側フレーム部材372Cを囲むようにして環状のベルト部材452Cが取り付けられている。ベルト部材452Cの内径は上側フレーム部材372Cの外径よりも大きくなっており、その内面には上側フレーム部材372Cの歯部に係合する歯部が配列されている。
第1可動役物170C用の駆動部376Cの出力軸に設けられた駆動側ギア377Cはベルト部材452Cの歯部に係合している。駆動部376Cからの動力が駆動側ギア377C→ベルト部材452C→上側フレーム部材372Cを経て筒状部材371Cに伝わることにより、第1可動役物170Cが挿入部413C,422Cに沿って回転することとなる。
第2可動役物180Cについても第1可動役物170Cと同様にベルト駆動機構が採用されている。ここで、第2可動役物180Cに係るベルト駆動機構と第1可動役物170Cに係るベルト駆動機構との干渉を回避するための構成について説明する。
上枠部151Cは、上側構成体151aCと下側構成体151bCとが固定具を用いて一体化されてなる。上側構成体151aC及び下側構成体151bCには隙間を隔てて相対向する平板部401C,411Cが設けられている。下側構成体151bCの平板部411Cの下面部には上述した挿入部413Cが形成されている。
挿入部413Cよりも内側には平板部411Cの厚さ方向に貫通する開口部412Cが形成され、この開口部412Cには、上側構成体151aCの平板部401Cから下方に突出する円柱状の突出部402Cが挿入されている。開口部412Cの内径は突出部402Cの外径よりも大きく設定されており、両者の間に環状の隙間が形成されている。この隙間が上側フレーム部材382Cを挿入する上記挿入部414Cとなっている。
図34に示すように、第2可動役物180Cの高さ寸法は第1可動役物170Cの高さ寸法よりも大きく設定されており、第2可動役物180C(詳しくは上側フレーム部材382C)の上部は、挿入部414Cを通じて両構成体151aC,151bCの隙間に到達している。
上側フレーム部材382Cの外周面であって挿入部414Cから突出している部分には、周方向に並べて複数の歯部が形成されている。つまり、上側フレーム部材382C自体にギア部材としての機能が付与され、当該上側フレーム部材382Cによって動力伝達経路の一部が構成されている。
上側フレーム部材382Cには、当該上側フレーム部材382Cを囲むようにして環状のベルト部材451Cが取り付けられている。ベルト部材451Cの内径は上側フレーム部材382Cの外径よりも大きくなっており、その内面には上側フレーム部材382Cの歯部に係合する歯部が配列されている。
第2可動役物180C用の駆動部386Cの出力軸に設けられた駆動側ギア387Cはベルト部材451Cの歯部に係合している。駆動部386Cからの動力が駆動側ギア387C→ベルト部材451C→上側フレーム部材382Cを経て筒状部材381Cに伝わることにより、第2可動役物180Cが挿入部413C,414Cに沿って回転することとなる。
このような駆動機構を採用することにより、第2可動役物180Cの内部領域が上枠部151C及び下枠部152Cの両方に開放されている。本実施の形態においては、上枠部151Cの突出部402Cに表示ユニット301C及び演出制御装置を保持する保持部材165aCが固定され、下枠部152Cのベース部421Cに表示ユニット301C及び演出制御装置を保持する保持部材165bCが固定されている。つまり、表示ユニット301C及び演出制御装置は、上枠部151C及び下枠部152Cの両方によって保持されている。これにより、表示ユニット301及び演出制御装置の保持強度が飛躍的に向上されている。
<第5の実施の形態>
上記第4の実施の形態においては、可動役物を回転させる手段としてベルト駆動機構を有する構成としたが、可動役物を回転させることができるのであれば、具体的な構成については任意に変更してよい。例えば、第1〜第3の実施の形態に示したようなベルトを介さないギア駆動機構を有する構成とすることも可能である。以下、図35の概略図を参照し、本実施の形態における駆動機能について説明する。なお、上記第4の実施の形態と同様の構成については説明を援用する。
図35に示すように、第1可動役物170Dを構成する下側フレーム部材373Dは、下枠部152Dに形成された挿入部422Dよりも上方に突出している。下側フレーム部材373Dの外周面であって挿入部422Dから突出している部分には、周方向に並べて複数の歯部が形成されている。つまり、下側フレーム部材373D自体にギア部材としての機能が付与され、当該下側フレーム部材373Dによって動力伝達経路の一部が構成されている。
これら歯部に対して、駆動部376Dの駆動側ギア377Dが係合している。駆動部376Dからの動力が駆動側ギア377D→下側フレーム部材373Dを経て筒状部材371Dに伝わることにより、第1可動役物170Dが上枠部151Dに形成された挿入部405D及び下枠部152Dの挿入部422Dに沿って回転することとなる。
第2可動役物180Dを構成する下側フレーム部材383Dは、下枠部152Dに形成された挿入部423Dよりも上方に突出している。下側フレーム部材383Dの内周面であって挿入部423Dから突出している部分には、周方向に並べて複数の歯部が形成されている。つまり、下側フレーム部材383D自体にギア部材としての機能が付与され、当該下側フレーム部材383Dによって動力伝達経路の一部が構成されている。
これら歯部に対して、駆動部386Dの駆動側ギア387Dが係合している。駆動部386Dからの動力が駆動側ギア387D→下側フレーム部材383Dを経て筒状部材381Dに伝わることにより、第2可動役物180Dが上枠部151Dに形成された挿入部406D及び下枠部152Dの挿入部423Dに沿って回転することとなる。
上記第4の実施の形態では、表示ユニット及び演出制御装置を枠体の上枠部及び下枠部によって保持する構成とすることにより表示ユニット等の保持強度の向上を図ったが、可動役物を回転させるための構成を工夫することにより、保持強度の向上を実現しつつ、可動役物ユニットの占有領域の減縮(省スペース化)を実現することができる。
なお、ギア駆動構造についての詳細な構成については、上述した構成に限定されるものではない。可動役物170D,180Dが大型であり且つ挿入部405D,406D,422D,423Dに沿って同可動役物170D,180Dを摺動させる場合には、大きなトルクが必要になり得る。このような事情に鑑みれば、駆動機構としてネジ歯車(ウォーム)とはす歯車(ウォームホイール)とからなるウォームギアを採用してもよい。
<他の実施の形態>
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず例えば次のように実施してもよい。ちなみに、以下の各構成を単独で上記実施形態の構成に適用してもよく、所定の組み合わせで上記実施形態の構成に適用してもよい。
(1)上記各実施形態において、可動役物170,180の配置は上記のものに限定されない。例えば、図36(a)及び図36(b)に示す配置としてもよい。
図36(a)では、第1可動役物170Xと第2可動役物180Xとを表示画面Gの上下に配置し、これら両可動役物170X,180Xによって図柄表示装置161の表示画面Gが挟まれる配置としている。そして、可動役物170X,180Xをそれぞれ回転させることで、それぞれの装飾部位171X,181Xが表示画面Gと前後方向に重なるとともに、装飾部位171X,181X同士も表示画面Gの前方にて重なる。この場合、表示画面Gの上下に化粧板111を配設し、それぞれの可動役物170,180が待機位置に配置される状況において、遊技機前方から装飾部位171X,181Xを視認不可とするとよい。
また、図36(b)では、第1可動役物170Yと第2可動役物180Yとを左右に並設している。この場合も、可動役物170Y,180Yをそれぞれ回転させることで、それぞれの装飾部位171Y,181Yが表示画面Gと前後方向に重なるとともに、装飾部位171Y,181Y同士も表示画面Gの前方にて重なる。さらにこの構成においては、両可動役物170Y,180Yのうち第1可動役物170Yのみが表示画面Gと前後方向に重なる領域と、第2可動役物180Yのみが表示画面Gと前後方向に重なる領域とが生じ、演出の幅が広がる。
これらの構成においては、装飾部位171X,181Xを連続させて周回させたり、装飾部位171Y,181Yを連続させて周回させたりして周回演出に係る効果を奏することはできないが、少なくとも複数の可動役物170,180を表示画面Gの前方にて周回させることによる効果は期待できる。特に、このような構成においては、装飾部位171X,181Xや装飾部位171Y,181Yが表示画面Gを通過する軌道が複数となるため、これら装飾部位171X,181Xや装飾部位171Y,181Yが通過することによる演出態様の多様化に貢献できる。
(2)可動役物ユニット162、遊技盤ユニット100及び図柄表示装置161の位置関係は上記のものに限定されない。すなわち、遊技機前方から、図柄表示装置161、可動役物ユニット162、遊技盤ユニット100と配置してもよく、図柄表示装置161、遊技盤ユニット100、可動役物ユニット162と配置してもよく、可動役物ユニット162、図柄表示装置161、遊技盤ユニット100と配置してもよく、可動役物ユニット162、遊技盤ユニット100、図柄表示装置161と配置してもよく、遊技盤ユニット100、図柄表示装置161、可動役物ユニット162と配置してもよい。
これらの場合において、図柄表示装置161の後方に遊技盤ユニット100又は可動役物ユニット162が配置される場合には、図柄表示装置161を透過液晶にて構成し、後方を視認可能とするとよい。
また、上記実施形態においては、遊技盤を所謂透明遊技盤としたが、例えば遊技盤においてセンターフレームに対応する位置に貫通孔を設け、センターフレーム内部(すなわち表示画面Gと対峙する部分)を開放させてもよい。
(3)両可動役物170,180の動作態様は上記実施形態のものに限定されない。すなわち、周回可能であれば、所定のタイミングで反転する構成としてもよい。
(4)装飾部位171,181の装飾柄の配置を互い違いにすることで、両装飾部位171,181を重ね合わせた場合の表示画面Gの視認性を低下させる構成としたが、例えば以下のように変更してもよい。すなわち、装飾部位171,181において透過する波をそれぞれ異ならせて限定し、両装飾部位171,181を重ね合わせることで、表示画面Gの視認性を低下させてもよい。また、表示画面Gの視認性が低下するだけでなく、両可動役物170,180を重ね合わせることで視認不可となる構成としてもよい。
(5)両可動役物170,180を別々の駆動部175,185により回転制御する構成としたが、共通の駆動部によって回転制御する構成としてもよい。例えば、所定の回転範囲においては第1軸側ギア174と第2軸側ギア184とにいずれも接続され、それ以外の回転範囲においてはいずれか一方の軸側ギア174,184と接続されるギアを上記共通の駆動部に設け、当該ギアを回転制御することで、それぞれの軸側ギア174,184を位相をずらして回転させる構成としてもよい。この場合、はじめに第1軸側ギア174と当該ギアとを接続し、第2軸側ギア184とは接続しない。第1装飾部位171が演出位置まで回転したタイミングで、第2軸側ギア184とも接続する。そして、第2装飾部位181が演出位置を経て収納位置まで回転したタイミングで、第2軸側ギア184との接続を途切れさせる。このようにすることで、少なくとも上記周回演出を共通の駆動部によって実現することができる。
(6)上記各実施の形態においては、各装飾部位171,181の端部に魚の絵柄(装飾柄)の半分のみを付与する構成としたが、これに限定されるものではなく、少なくとも重複領域171aZ,181aZを重ねた状態にて装飾に切れ目が存在しないように見せることができのであれば、上記構成を必須としない。つまり、図37の概略図に示すように、各装飾部位171Z,181Zが重なることで、装飾の切れ目が分かりにくくなれば足り、上述した半端な絵柄を排除してもよい。
(7)上記各実施形態において、作動口115を複数備える構成としてもよい。この場合、この複数の作動口において、役物魚群演出の実行頻度や期待度に優劣を設ける構成としてもよい。すなわち、一方の作動口への入賞に基づく保留情報よりも他方の作動口への入賞に基づく保留情報のほうが、演出制御装置82による役物魚群演出の発生抽選に当選しやすい構成としてもよい。この構成において、一方の作動口に対して電動役物を設ける構成とすると、高頻度サポートモード時においては当該電動役物が設けられた作動口への入賞が発生し易くなることから、役物魚群演出が実行され易くなり、役物魚群演出の発生抽選の当選確率を変えずに、これら役物魚群演出の実行頻度を変化させることができる。これにより演出に抑揚をつけ、興趣向上を図ることができる。なお、遊技状態によって役物魚群演出の実行頻度を変化させるという観点からすると、サポートモードや当否モードの高低によって役物魚群演出の当選確率を変更する構成としてもよい。
(8)図柄表示装置161における各図柄の種類、図柄配列、変動表示の態様、リーチ表示の態様、保留予告の実行態様等は上記各実施形態のものに限定されず、各発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能なことは言うまでもない。
(9)主制御装置81側で決定した変動表示時間を変更しない範囲で演出制御装置82側で役物魚群演出を実行する構成としてもよい。この場合、例えば周回演出における周回数を変動表示時間に対応させて変更する構成としてもよい。
(10)上記各実施の形態においては、可動役物170,180を円板状としたが、これを変更してドーナツ状又は円環状に形成することも可能である。また、非装飾部172,182を通じて表示画面Gを視認可能とするのではなく、可動役物170,180を扇状に形成して、少なくとも待機状態においては表示画面Gの前方に可動役物170,180が重ならない構成とすることも可能である。
(11)上記各実施の形態に示す可動役物170,180を有する構成においては、各可動役物170,180の動作タイミングを様々に設定することで更なる演出の多様化を実現できる。例えば、両可動役物170,180が待機位置に配置されている状態にて、一方の可動役物170,180のみを周回させるモードと、両可動役物170,180の装飾部位171、181が待機位置にて重なっている状態(完全重複状態)を維持するようにしてそれら可動役物170,180を同期回転させるモードとを有することにより、役物魚群演出において装飾柄の粗/密を変化させることが可能となる。
また、一方の可動役物が周回している最中(2回転目移行)であって、第1位置に復帰したタイミングにて他の可動役物が同期回転を開始することで、周回演出中に装飾柄の粗/密を変化させてもよい。
(12)上記各実施の形態では、両可動役物170,180において装飾領域が設けられている範囲を共通(約200度)となるように構成したが、これに限定されるものではない。可動役物170において装飾領域が設けられている範囲と、可動役物180において装飾領域が設けられている範囲とを相違させる構成とすることも可能である。
但し、このような変更を行う場合であっても、各装飾領域が設けられている所定の角度範囲を合算した場合に360度よりも大きくなるように構成することが好ましい。例えば、一方の可動役物にて装飾領域が設けられている範囲を200度、他方の可動役物にて装飾領域が設けられている範囲を180度とすることも可能である。
(13)上記各実施の形態では、図柄表示装置161の表示画面Gにおける図柄列のスクロール方向を横方向とし、表示画面Gの前方において可動役物170,180の装飾の移動する方向を横方向としたが、このように各方向を揃える必要は必ずしもない。例えば、可動役物170,180を装飾の移動向が縦方向となるように構成し、図柄のスクロール方向と可動役物170,180の装飾が移動する方向とを相違させてもよい。
また、図柄表示装置161の表示画面Gにおける図柄列のスクロール方向を縦方向とすることも可能であり、更には表示画面Gの前方において可動役物170,180の装飾の移動する方向についても縦方向とすることも可能である。
なお、図柄列が停止し得る有効ラインの数については5つに限定されるものではなく、任意に変更してもよい。例えば、有効ラインの数が1〜4つであってもよいし、5つ以上であってもよい。更には、遊技状態に応じて有効ラインの数を変更することも可能である。
因みに、表示画面Gにおいては、図柄列を所定の方向にスクロール表示させる必要は必ずしもなく、所定の位置に表示されている図柄消えて次の図柄が表示されることにより図柄が入れ替わるような可変表示態様とすることも可能である。この場合には、図柄の移動方向という概念はなくなるものの、可動役物170,180による装飾の移動方向については可変表示態様とは関係なく任意に設定してよい。
(14)上記各実施形態では、主制御装置81から出力されるコマンドに基づいて、演出制御装置82により可動役物170,180及び表示制御装置212が制御される構成としたが、これに代えて、主制御装置81から出力されるコマンドに基づいて、表示制御装置212が演出制御装置82や可動役物170,180を制御する構成としてもよい。また、演出制御装置82と表示制御装置212とが別々に設けられた構成に代えて、両制御装置82,212が一のサブ側の制御装置として設けられた構成としてもよい。また、演出制御装置82又は表示制御装置212の機能が主制御装置81に集約された構成としてもよく、演出制御装置82及び表示制御装置212の両方の機能が主制御装置81に集約された構成としてもよい。
(15)上記第2〜第5の実施の形態においては、円筒状の2つの可動役物170,180(装飾部位171,181)により一連となるの表示演出を行う構成としたが、円筒状の可動役物の数は2つに限定されるものではない。例えばN個の可動役物によって装飾をN等分してもよい。この場合、各可動役物の装飾部位に重複部位を設けることで、全体として、装飾部位の配設角度が360度よりも大きくすることにより、一連の表示演出を行う際の可動役物の動きが複雑になることを好適に抑制できる。
可動役物の数を増やすことにより、1の可動役物あたりの装飾部位の占有領域を小さくすることが可能である。これは、演出を行っていない状況下にて装飾部位が遊技機前方から見えやすくなることを回避する上で好ましい構成であり、例えば、図柄表示装置の背後に装飾部位を隠すことが容易となる。
(17)上記第2〜第5の実施の形態においては、上記第1の実施の形態に示した連動演出と同様に、可動役物170,180に連動させて表示画面Gにて実行される図柄の変動表示態様を以下のように切り替える構成とすることも可能である。すなわち、可動役物170,180の装飾部位171,181は、奥側から手前側に移動して更に奥側へと移動する。つまり、遊技者に一旦近づいた後に遠ざかるようにして移動する。このような奥行き方向での変化を表示画面Gにおける図柄の変動表示態様に適用し、図柄が奥行き方向にて移動しているかのような変動表示態様に切り替える構成とすることも可能である。これにより、可動役物170,180による演出と表示画面Gによる演出との関連性を更に高めることができる。
(18)上記各実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも本発明を適用できる。
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されるか所定時間が経過することでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも本発明を適用できる。
更には、取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも本発明を適用できる。
<上記各実施形態から抽出される発明群について>
以下、上述した各実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
なお、下記の各特徴に記載された発明は、「例えばパチンコ遊技機等の遊技機においては、遊技領域に設けられた入球部への入球を契機として絵柄の変動表示を行う絵柄表示装置を備え、この絵柄表示装置の表示画面にて各種演出を行うことにより、遊技に対する注目度の向上が図られているものがある。また、例えば表示画面の周辺に可動役物を設け、絵柄の変動表示による演出と可動役物による演出とに所定の対応関係をもたせることにより、更なる注目度の向上を図った遊技機が提案されている(例えば特開2002−78904号公報参照)。」という背景・技術について、「近年では上記表示画面が大型化する傾向にあり、このような表示画面の大型化によって、上記可動役物の配置領域や動作領域等の確保が難しくなっている。このような空間的な制約は可動役物を用いた演出を陳腐化させる要因となり得る。これは、可動役物を設けた主旨に逆行するものであるとも考えられ、演出に係る構成には遊技への注目度を高める上で未だ改良の余地がある。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
特徴1.所定の表示演出を実行する演出実行手段(表示画面G)と、
前記演出実行手段と前後方向に重なる位置を含む範囲にて周回可能な複数の可動役物(可動役物170,180)と
を備え、
前記各可動役物においてそれぞれの回転中心を基準とする所定の角度範囲は、装飾柄が付与された装飾部(装飾部位171,181)となっており、
前記複数の可動役物について互いの回転角度位置を調整することにより特定演出を行う回転制御手段(演出制御装置82による役物魚群演出用処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴1によれば、可動役物を周回可能に構成していることから、演出実行手段の前方又は後方を装飾部が通り過ぎるような演出(特定演出)を実現することができる。例えば、演出実行手段による表示演出と可動役物の動作による特定演出との関連付けることにより、演出実行手段と可動役物とによる一体的な演出が実現でき、遊技への注目度の向上に貢献できる。
可動役物が前後に重なるようにして周回する構成にてそれぞれの可動役物の所定の角度範囲に装飾部を設け、特定演出実行時には演出実行手段に前後に重なる領域にて複数の可動役物の回転角度位置を調整することにより、特定演出の態様を多様化できる。例えば装飾部同士を重ねて見せたり、装飾部が一連となるようにずらして見せたりすることが可能となる。
なお、可動役物を周回させることにより特定演出を行う構成であるため、例えば視認可能な位置に到達した装飾部を特定演出終了時に退避位置に復帰させる際に可動役物を逆戻りさせる必要がない。故に、従来周知の遊技機に搭載された可動役物のように演出終了の際に可動役物が逆戻りして遊技者を興醒めさせてしまうことを好適に回避できる。
特徴2.前記回転制御手段は、前記各可動役物の前記装飾部が少なくとも前記演出実行手段と前後方向に重なる位置にて周回方向にて繋がっていると認識されるようにしてそれら可動役物を回転させる手段(演出制御装置82による周回演出用の可動役物動作用処理を実行する機能)を有していることを特徴とする特徴1に記載の遊技機。
特徴2によれば、各装飾部が繋がっていると認識されるようにして各可動役物が周回することにより途切れのない(例えば概観上一連であると認識されるような)演出を実現することができる。複数の可動役物(装飾部)の組合せにより各装飾部が一体となって広域での演出が可能となる。
特徴3.前記複数の可動役物は同軸となるように配置されており、
前記複数の装飾部は、前記所定の角度範囲を合算した場合に360度よりも大きくなるように形成されていることを特徴とする特徴2に記載の遊技機。
特徴3によれば、複数の可動役物を互いに重ね合わせて設置することができ、可動役物の占有領域の拡がりを抑えて演出実行手段との共存を促進できる。
また、特徴2に示した第1制御手段によって特定演出を行う場合に、各可動役物における装飾部の端部同士を重ね合わせることができる。これにより、周回時に概観上一連となる装飾部において切れ目が目立つことを好適に抑制できる。
特徴4.前記複数の可動役物として第1可動役物及び第2可動役物を備え、
前記第1可動役物及び前記第2可動役物は、前記所定の角度範囲が180度よりも大きく且つ互いの位相差が最大となった場合に、周方向における前記第1可動役物に設けられた装飾部の両端部と周方向における第2可動役物に設けられた装飾部の両端部とがそれぞれ重なるように構成されていることを特徴とする特徴3に記載の遊技機。
演出実行手段と装飾部(可動役物)とを共存させる場合には、特定演出を行わない場合の演出実行手段と装飾部との重なりをできるだけ抑えることが好ましく、装飾部の存在によって演出実行手段の配置領域が圧迫されることは好ましくない。
この点、本特徴によれば、2つの可動役物の装飾部について所定の角度範囲を180度よりも大きくすることにより特徴3に示した効果を享受しつつ、同角度範囲を各装飾部の端部同士が重なる程度に抑えることにより演出実行手段の配置領域の圧迫を好適に抑制することが可能となる。これにより、演出実行手段と可動役物とを好適に共存させることができる。
特徴5.前記各可動役物は、各々の回転中心を中心とする円板状又は円環状をなしており、その一部に前記装飾部が設けられていることを特徴とする特徴2乃至特徴4のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴5によれば、可動役物の周回運動に基づく遠心力が回動軸に均一に伝わるようにウェイトバランスの偏りを抑えることが容易となり、特定演出(周回)に伴って発生する負荷を軽減し可動役物の耐久性の向上や動作精度の向上に貢献できる。
特徴6.前記各可動役物において遊技機前方から視認可能となる部分であって、前記装飾の付与された前記装飾部以外の部分は装飾の付与されていない非装飾部となっており、
これら非装飾部は、透明性を有し同非装飾部の後方を視認可能となるように形成されていることを特徴とする特徴2乃至特徴5のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴2等に示した特定演出を実行する場合には、非装飾部と装飾部とが重なるようにして各可動役物を周回させたとしても、前側の非装飾部を通じて後側の装飾部の視認性が担保されるため、同特定演出を好適に実行させることが可能となる。
特徴7.前記各可動役物において遊技機前方から視認可能となる部分であって、前記装飾の付与された前記装飾部以外の部分は装飾の付与されていない非装飾部となっており、
これら非装飾部は、透明性を有し同非装飾部の後方を視認可能となるように形成されており、
前記各可動役物は、前記特定演出が実行されない状況下においては、前記非装飾部が前記演出実行手段と重なる状態となるように構成されていることを特徴とする特徴5に記載の遊技機。
特徴5に示したように可動役物を回転中心を中心とする円板状又は円環状に形成した場合には、上述した各種効果が期待できる反面、特定演出を実行しない状況下における可動役物と演出実行手段との重なりを回避することが困難になる。ここで、可動役物に非装飾部を設け、この非装飾部を通じた後方の視認性を担保することにより、特定演出の非実行時には非装飾部を演出実行手段に重ねておくで演出実行手段の視認性が損なわれることを回避でき、当該演出実行手段による表示演出が上手く機能しなくなることを回避できる。
また、特徴2等に示した特定演出を実行する場合には、非装飾部と装飾部とが重なるようにして各可動役物を周回させたとしても、前側の非装飾部を通じて後側の装飾部の視認性が担保されるため、同特定演出を好適に実行させることが可能となる。
なお、特徴1〜特徴7においては「前記周回に伴って当該演出実行手段と重なる位置に到達した前記装飾柄が他の前記可動役物を介して遊技機前方から視認可能」となるように構成することにより、装飾部同士を重ねた場合の装飾柄の繋がりの円滑化や、各可動役物の装飾部を利用した演出多様化を好適に実現できる。
特徴8.前記装飾部は、当該装飾部を通じてその後方を視認可能となるように形成されており、
前記回転制御手段は、
少なくとも前記演出実行手段と前後方向に重なる位置にて前記各可動役物の前記装飾部同士が重なるようにしてそれら可動役物の回転制御を行う第1制御手段(演出制御装置82による重複演出用の可動役物動作用処理を実行する機能)と、
少なくとも前記演出実行手段と前後方向に重なる位置にて前記各可動役物の前記装飾部同士の重なりが回避されるようにしてそれら可動役物の回転制御を行う第2制御手段と
を有していることを特徴とする特徴1乃至特徴7のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴8によれば、装飾部を重ね合せたり、重ね合わせを回避したりすることにより、演出実行手段の前後において装飾柄の粗/密を変化させて特定演出の多様化を実現することができる。
また、個々の可動役物に1対1で対応させて駆動手段を設けることにより、各可動役物の位相調整の幅を好適に広げることができ、上述した特定演出の多様化に貢献できる。
特徴9.前記各可動役物に設けられた前記装飾部は、装飾柄が描画された描画部分と装飾柄が描画されていないブランク部分とによって構成されており、
それら描画部分及びブランク部分は、前記第1制御手段により装飾部の重ね合わされた状態においては、1の可動役物における前記描画部分と、他の可動役物の前記ブランク部分とが重なるように形成されていることを特徴とする特徴8に記載の遊技機。
特徴8に示したように装飾柄(模様)の粗/密を変化させる構成においては、1の可動役物(装飾部)における描画部分と他の可動役物(装飾部)におけるブランク部分とを重ねることにより、すなわち描画部分同士の重なりを抑えることにより、装飾の見栄えを好適に変化させることが可能となる。
例えば、「前記ブランク部分は、複数の可動役物の装飾部を重ねた場合に、当該ブランク部分を有する前記可動役物の前記装飾柄と、他の可動役物の描画部分の装飾柄との重なり回避される大きさ(他の可動役物の描画部分の装飾柄を配置可能な大きさ)に形成されている」構成とするとよい。
特徴10.前記演出実行手段は、表示画面(表示画面G)を有し、当該表示画面にて絵柄列をその配列方向にスクロール表示させる絵柄表示手段であり、
前記スクロール表示の方向として、第1方向と前記第1方向とは異なる第2方向とが設定されており、
前記回転制御手段によって前記特定演出が実行される場合に、前記絵柄列のスクロール方向を前記第1方向から前記第2方向に変更するスクロール方向変更手段(表示制御装置212による変動方向変更処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴1乃至特徴9のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴10によれば、表示画面における絵柄のスクロール表示と可動役物による特定演出(回転演出)とを関連付けて両者による一体的な演出を行うことができ、遊技への注目度の向上に貢献できる。
特徴11.前記第2方向は、前記装飾部の移動方向と同じ方向となるように設定されていることを特徴とする特徴10に記載の遊技機。
特徴11によれば、特定演出と絵柄のスクロール表示との関連性の更なる向上が期待できる。
なお、可動役物が周回することで特定演出が実行される点に着目すれば、第1方向への移動によって絵柄列が描く軌跡が直線状、第2方向への移動によって絵柄列が描く軌跡が円弧状をなす構成とするとよい。
特徴12.前記演出実行手段の前方に設けられ、前面に遊技球が流下する遊技領域が形成された遊技盤(遊技盤ユニット100)を備え、
前記遊技盤と前記演出実行手段と間に形成された隙間が、前記各可動役物の動作領域となっており、
前記遊技盤において前記演出実行手段と対峙している部分は透明性を有し、当該対峙している部分を通じて前記装飾部及び前記演出実行手段が視認可能となっていることを特徴とする特徴1乃至特徴11のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴1に示したような可動式の役物を用いて演出を行う構成においては、同可動役物が遊技領域を流下する遊技球に衝突することは好ましくない。一方、そのような事情に鑑みて、遊技領域を減縮して可動役物の動作領域の確保を優先しようとすれば、遊技球の流下パターンが単調になって遊技球の動きを目で追うという遊技機本来の楽しみが損なわれる。この点、本特徴によれば、遊技領域への制約を抑えつつ可動役物の動作領域を確保することができ、遊技機の興趣向上に貢献できる。
特徴13.前記各可動役物は平板状をなし、それら可動役物の板面が前後方向を向いた状態で当該方向に並べて配置されていることを特徴とする特徴12に記載の遊技機。
可動役物の形状及び配置を上述した構成とすることにより、特定演出を実行するための構成の薄型化を実現できる。これにより、特徴12に示した配置とした場合であっても、それに起因した遊技盤と演出実行手段との離れを抑制し、演出実行手段が遊技者から遠ざかって見えづらくなること好適に回避できる。
特徴14.前記各可動役物は、円筒状をなし、同軸となるようにして内外に重ねて配置されており、且つ1の可動役物の中心軸線を中心に周回可能となっており、
前記演出実行手段は、前記複数の可動役物のうち最も内側に配置されたものの内部領域に収容されていることを特徴とする特徴1に記載の遊技機。
特徴14によれば、円筒状をなす可動役物が回転することにより、演出実行手段の前方を装飾部が通り過ぎる際に奥行き方向にて装飾部の位置が変化するような演出(特定演出)を実現することができる。また、装飾部を用いた演出を行わない場合には、当該装飾部を演出実行手段の背後に配置させることにより、演出実行手段によって可動役物の視認を妨げることができる。
特徴15.前記各可動役物は、前記中心軸線が上下に延びるようにして配置されていることを特徴とする特徴14に記載の遊技機。
特徴15によれば、中心軸線が横向きである場合には、可動役物において保持位置から遠い部分では自重による変形に起因した歪が大きくなる可能性がある。これでは、保持方法や可動役物自体の強度に関する制約が強くなると懸念される。この点、本特徴に示すように中心軸線が上下に延びる配置とすれば、自重の影響を抑え、上記制約を弱めることが可能となる。これにより、例えば可動役物の薄型化によって可動役物間の隙間を小さくして視差を減らすことができる。これは、複数の可動役物をあたかも一体であるかのように見せる上で有利である。
特徴16.前記可動役物の周回に伴って当該可動役物を前記中心軸線方向に変位させる変位手段を備えていることを特徴とする特徴14又は特徴15に記載の遊技機。
特徴16によれば、装飾部が可動役物の周回方向と交差する方向への動きを伴いながらスクロール表示される。構造的側面から注目度の向上を実現する場合には、動作に対する制約が強くなることで装飾部の動きが単調になりやすいと想定される。この点、本特徴によれば、装飾部の動きが単調になることを抑制し、可動役物を用いた演出への注目度向上に貢献できる。
なお、特徴14乃至特徴16に特徴2等に示した技術的思想を適用してもよい。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにした遊技機。
球使用ベルト式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにし、さらに、球受皿を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機。