JP2015097493A - セラミド生産性向上方法およびセラミド製造方法 - Google Patents

セラミド生産性向上方法およびセラミド製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】効率的なセラミド生産方法の提供。
【解決手段】特定のアミノ酸配列からなるポリペプチド;特定のアミノ酸配列と43%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるか、または特定のアミノ酸配列において、1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチド;特定のアミノ酸配列からなるポリペプチド;および特定のアミノ酸配列と55%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるか、または特定のアミノ酸配列において、1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、からなる群より選択されるポリペプチドと複合体を形成し、セリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性の発現を強化させることによる、スターメレラ・ボンビコーラにおけるセラミド生産性の向上させる方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、スターメレラ・ボンビコーラ(Starmerella bombicola)におけるセラミド生産性向上方法、および該方法を用いたセラミド製造方法に関する。
皮膚の最外層には、水分を保持する保湿機能と外部刺激から肌を保護するバリア機能を司る角質層という組織が存在する。角質層は角質細胞と天然保湿因子、そして細胞間脂質等から構成されているが、その中でも特に細胞間脂質の約半分を占めるセラミドが、それらの機能に極めて重要な役割を担っている。セラミドは脂肪酸とスフィンゴイド塩基がアミド結合した化合物群であり、脂肪酸として飽和脂肪酸(N)、2−ヒドロキシ脂肪酸(A)、エステル化−ω−ヒドロキシ脂肪酸(EO)の3種類、スフィンゴイド塩基としてジヒドロスフィンゴシン(DS)、スフィンゴシン(S)、フィトスフィンゴシン(P)、6−ヒドロキシスフィンゴシン(H)の4種類があること、それらの組み合わせによって多様な分子種が存在することが知られている(非特許文献1)。
セラミドは、皮膚からの水分蒸散を防止し、外界からの様々な刺激から人体を守る役割を担っている。加齢等によりセラミドが減少すると、皮膚の保湿機能やバリア機能が低下するが、セラミドやその前駆体を外的に補うことにより、これらの皮膚機能低下を改善させることができる。これまで、加齢やアトピー性皮膚炎、老人性乾皮症においてセラミド量が減少すること(非特許文献2および3)、特に健常な皮膚においてはNPタイプ(飽和脂肪酸とフィトスフィンゴシンで構成されるセラミド)とNHタイプ(飽和脂肪酸と6−ヒドロキシスフィンゴシンで構成されるセラミド)のセラミドが多いが、皮膚疾患においてこれらのセラミドが大幅に減少すること(非特許文献4)、セラミドを補うことによってバリア機能が回復し(非特許文献5)、メラニン生成が抑制される(非特許文献6)ことが知られている。
近年、セラミドは乾燥敏感肌を伴う皮膚疾患に対する治療薬あるいは化粧品・美容健康食品の素材として大変注目されている。実際、化粧品、食品・サプリメント等として、セラミドを配合した多くの製品がすでに市販されており、さらに、セラミド原料市場規模は拡大傾向が続いている。
これまで、セラミドの多くは動物組織(主に脳または脊髄)または植物体から抽出されていた。しかし、動物組織からの抽出物は、狂牛病の因子であるbovine spongiform encephalomyelitis(BSE)の感染の恐れがあることから、近年ではその使用が禁止されている。さらに、上記動物組織または植物由来のセラミド前駆体は、分離精製が困難なため、化粧品原料として求められる純度にするために手間と費用がかかる。そこで近年、酵母による発酵を用いた安価で安全なセラミド前駆体の生産法の開発が進められている(特許文献1)。
サッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)などの酵母、アスペルギルス・シドウィ(Aspergillus sydowi)、ペニシリウム・ノテータム(Penicillium notatum)などのカビ、およびスフィンゴバクテリウム・マルチボラム(Sphingobacterium multivorum)、デロビブリオ・ストルピー(Bdellovibrio stolpii)などのバクテリア等において、セラミドが産生されることが報告されている。しかし、上記微生物によるセラミドまたはセラミド前駆体の産生量は微量である。そのため、変異育種や遺伝子組換え等による上記微生物のセラミドの生産性向上が試みられている(特許文献2)。
セラミドは、L−セリンとパルミトイル−CoAとの縮合反応から始まる経路により生合成される。当該縮合反応は、セリンパルミトイルトランスフェラーゼ(EC2.3.1.50)により触媒されている。
真核生物のセリンパルミトイルトランスフェラーゼは、LCB1、LCB2、TSC3などのサブユニットから成る複合体で、LCB1、LCB2が複合体を形成し、セリンとパルミトイル−CoAとの縮合反応の中心的役割を担い、TSC3が酵素活性の調節に寄与することが知られている(非特許文献7および8)。
スターメレラ・ボンビコーラ(Starmerella bombicola)は、カンジダ・ボンビコーラ(Candida bombicola)またはトルロプシス・ボンビコーラ(Torulopsis bombicola)とも呼ばれ、ヒルガオ科植物やそれに寄生する昆虫などから分離される酵母である。スターメレラ・ボンビコーラは、バイオサーファクタントの一種であるソホロリピッドを著量生産することが知られている(非特許文献9)が、セラミドやその前駆体を生産することは知られておらず、またセラミド生合成に関わる遺伝子群も明らかにされていなかった。
米国特許第6194196号 特許第4737531号
J. Lipid. Res., 49:1466-1476 (2008) J. Invest. Dermatol., 96:523-526 (1991) Arch. Dermatol. Res., 283:219-223 (1991) J. Invest. Dermatol., 130:2511-2514 (2010) J. Invest. Dermatol., 106:1096-1101 (1996) Cell. Signal., 14:779-785 (2002) Biochim. Biophys. Acta, 1632:16-30 (2003) J. Biol. Chem., 275(11):7597-7603 (2000) Appl. Microbiol. Biotechnol., 38:6-11 (1992)
本発明は、スターメレラ・ボンビコーラにおいてセラミドの生産性を向上させる方法、および該方法によりセラミドの生産性が向上した該微生物を用いたセラミド製造方法に関する。
本発明者は、スターメレラ・ボンビコーラが、従来セラミドやその前駆体を生産することが知られていなかった微生物であるが、その能力を有することを見出し、さらにセリンパルミトイルトランスフェラーゼの発現を強化することにより、セラミドを高生産する能力が向上することを見出した。
すなわち本発明は、スターメレラ・ボンビコーラにおいて、以下の(A)〜(F)より選択されるポリペプチドの発現を強化することを特徴とする、スターメレラ・ボンビコーラにおけるセラミド生産性向上方法を提供する。
(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(B)配列番号2で示されるアミノ酸配列と43%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ(D)〜(F)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチド;
(C)配列番号2で示されるアミノ酸配列において、1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ(D)〜(F)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチド;
(D)配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(E)配列番号4で示されるアミノ酸配列と55%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ(A)〜(C)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチド;および
(F)配列番号4で示されるアミノ酸配列において、1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ(A)〜(C)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチド
さらに、本発明は、上記方法でセラミド生産性を向上させたスターメレラ・ボンビコーラを用いることを特徴とするセラミド製造方法を提供する。
本発明により、スターメレラ・ボンビコーラのセラミド生産性を向上させることができる。また、該セラミド生産性が向上したスターメレラ・ボンビコーラを用いることにより、セラミドを効率的に製造することができる。
本明細書において、塩基配列およびアミノ酸配列の同一性は、Lipman-Pearson法(Science, 1985, 227:1435-1441)によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Winのホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出される。
本明細書において、「1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列」としては、1〜200個、好ましくは1〜100個、より好ましくは1〜50個、さらに好ましくは1〜25個、さらにより好ましくは1〜10個、なお好ましくは1〜5個、なおさらに好ましくは1〜3個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列が挙げられる。
また本明細書において、「1〜複数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列」としては、1〜800個、好ましくは1〜400個、より好ましくは1〜200個、さらに好ましくは1〜100個、さらにより好ましくは1〜50個、なお好ましくは1〜20個、なおさらに好ましくは1〜10個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列が挙げられる。
本明細書において、上記「相当する位置」または「相当する領域」は、目的アミノ酸配列を参照配列(配列番号2または4で示されるアミノ酸配列)と比較し、各アミノ酸配列中に存在する保存アミノ酸残基に最大の相同性を与えるように配列を整列(アラインメント)させることにより決定することができる。アラインメントは、公知のアルゴリズムを用いて実行することができ、その手順は当業者に公知である。例えば、アラインメントは、上述のリップマン−パーソン法等に基づいて手作業で行うこともできるが、Clustal Wマルチプルアラインメントプログラム(Thompson, J. D. et al, 1994, Nucleic Acids Res. 22:4673-4680)をデフォルト設定で用いることにより行うことができる。Clustal Wは、例えば、欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics Institute: EBI [www.ebi.ac.uk/index.html])や、国立遺伝学研究所が運営する日本DNAデータバンク(DDBJ [www.ddbj.nig.ac.jp/Welcome-j.html])のウェブサイト上で利用することができる。
本明細書において、ポリペプチドまたは遺伝子の「発現強化」または「発現量の増加」とは、当該強化または増加前に比較して、目的のポリペプチドまたは遺伝子の発現を強くすること、または発現量を増加させることを意味する。
本明細書において、「セリンパルミトイルトランスフェラーゼ」とは、セリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質またはポリペプチドであり得る。本明細書における「セリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニット」とは、複数のサブユニットが複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現する限りにおいて、全長タンパク質、またはその部分ポリペプチドを含み得る。
本明細書において、「セリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性」とは、L−セリンとパルミトイル−CoAとの縮合反応を触媒する活性であり得る。また本明細書において、「セリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質またはポリペプチド」とは、L−セリンとパルミトイル−CoAとの縮合反応によるセラミド前駆体(例えば3−ケトスフィンガニン、スフィンガニンなど)の生産を触媒するタンパク質またはポリペプチド、あるいは複数のタンパク質またはポリペプチドからなる複合体であり得る。タンパク質、ポリペプチドまたはこれらの複合体のセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性は、それらにより生成されるセラミド前駆体を測定することで決定することができる。例えば、一定の条件においてL−セリンと、パルミトイル−CoAと、あるタンパク質との存在下で生成されるセラミド前駆体(例えば3−ケトスフィンガニン、スフィンガニンなど)を測定することにより、当該タンパク質がセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を有すると判断できる。
生成されるセラミド前駆体の量は、反応液からセラミド前駆体を抽出し、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーなどに供することによって測定することができる。また、基質に放射性同位体を使用すれば、生成物の放射性同位体量を定量することによって生成されるセラミド前駆体の量を測定することができる。例えば、細胞培養液からのセラミド前駆体の抽出には、クロロホルム、メタノール、アセトンなどの有機溶媒を使用することができる。
本発明の方法において製造される「セラミド」としては、セラミドNP:飽和脂肪酸(N)とフィトスフィンゴシン(P)から構成されるセラミド、セラミドAP:2−ヒドロキシ脂肪酸(A)とフィトスフィンゴシン(P)から構成されるセラミド、セラミドEOP:エステル化−ω−ヒドロキシ脂肪酸(EO)とフィトスフィンゴシン(P)から構成されるセラミド、セラミドNS:飽和脂肪酸(N)とスフィンゴシン(S)から構成されるセラミド、セラミドAS:2−ヒドロキシ脂肪酸(A)とスフィンゴシン(S)から構成されるセラミド、セラミドEOS:エステル化−ω−ヒドロキシ脂肪酸(EO)とスフィンゴシン(S)から構成されるセラミド、セラミドNH:飽和脂肪酸(N)と6−ヒドロキシスフィンゴシン(H)から構成されるセラミド、セラミドAH:2−ヒドロキシ脂肪酸(A)と6−ヒドロキシスフィンゴシン(H)から構成されるセラミド、セラミドEOH:エステル化−ω−ヒドロキシ脂肪酸(EO)と6−ヒドロキシスフィンゴシン(H)から構成されるセラミド、セラミドNDS:飽和脂肪酸(N)とジヒドロスフィンゴシン(DS)から構成されるセラミド、セラミドADS:2−ヒドロキシ脂肪酸(A)とジヒドロスフィンゴシン(DS)から構成されるセラミド、セラミドEODS:エステル化−ω−ヒドロキシ脂肪酸(EO)とジヒドロスフィンゴシン(DS)から構成されるセラミドが挙げられる。
本発明は、スターメレラ・ボンビコーラにおいて、スターメレラ・ボンビコーラ由来のセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニットまたはそれに相当するポリペプチドの発現を強化することによる、当該スターメレラ・ボンビコーラにおけるセラミド生産性を向上させる方法を提供する。
一実施形態において、本発明で発現強化されるスターメレラ・ボンビコーラ由来のセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニットとしては、(A):配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドが挙げられる。上記配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドは、公知のセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニットとの配列同一性は低いにもかかわらず、セリンパルミトイルトランスフェラーゼのサブユニットLCB1として機能するポリペプチドである。つまり、後述の(D)〜(F)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成してセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現することができる。配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドはスターメレラ・ボンビコーラ(Starmerella bombicola)、例えばStarmerella bombicola NBRC10243またはStarmerella bombicola KSM36株(FERM BP−799)などから取得することができる。
別の実施形態において、本発明で発現強化されるセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニットとしては、(B):配列番号2で示されるアミノ酸配列と43%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ後述の(D)〜(F)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチドが挙げられる。好ましい実施形態において、上記(B)のポリペプチドは、配列番号2で示されるアミノ酸配列と50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、さらにより好ましくは90%以上、なお好ましくは95%以上、なおさらに好ましくは98%以上の配列同一性を有する。
また別の実施形態において、本発明で発現強化されるセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニットとしては、(C):配列番号2で示されるアミノ酸配列において、1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ後述の(D)〜(F)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチドが挙げられる。ここで、当該複数個とは、前述で定義したとおりであるが、より具体的な例としては100個、好ましくは50個、より好ましくは25個、さらに好ましくは10個であり得る。
好ましくは、上記(A)〜(C)のポリペプチドにおいて、配列番号2の163位、またはそれに相当する位置のアミノ酸残基はシステインである。上記システイン残基は、上述した公知のセリンパルミトイルトランスフェラーゼLCB1サブユニットのポリペプチドにおいて高度に保存されているアミノ酸残基である。
さらに別の実施形態において、本発明で発現強化されるセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニットとしては、(D):配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドが挙げられる。上記配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドは、公知のセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニットとの配列同一性は低いにもかかわらず、セリンパルミトイルトランスフェラーゼのサブユニットLCB2として機能するポリペプチドである。つまり、前述の(A)〜(C)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成してセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現することができる。配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドは、Starmerella bombicola、例えばStarmerella bombicola NBRC10243またはStarmerella bombicola KSM36株(FERM BP−799)などから取得することができる。
さらにまた別の実施形態において、本発明で発現強化されるセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニットとしては、(E):配列番号4で示されるアミノ酸配列と55%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ上記(A)〜(C)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチドが挙げられる。好ましい実施形態において、上記(E)のポリペプチドは、配列番号4で示されるアミノ酸配列と60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、なお好ましくは98%以上の配列同一性を有する。
さらに別の実施形態において、本発明で発現強化されるセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニットとしては、(F):配列番号4で示されるアミノ酸配列において、1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ上記(A)〜(C)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチドが挙げられる。ここで、当該複数個とは、前述で定義したとおりであるが、より具体的な例としては115個、好ましくは58個、より好ましくは29個、さらに好ましくは12個であり得る。
好ましくは、上記(D)〜(F)のポリペプチドは、ピリドキサール−5’−リン酸結合モチーフ(GT(F/L)TKSFG)を有する。より好ましくは、当該(D)〜(F)のポリペプチドにおけるピリドキサール−5’−リン酸結合モチーフは、配列番号4の381位から388位、またはそれに相当する領域に存在する。当該ピリドキサール−5’−リン酸結合モチーフは、上述した公知のセリンパルミトイルトランスフェラーゼLCB2サブユニットのポリペプチドにおいて高度に保存されている。
本発明において発現を強化されるセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニットは、上記(A)〜(F)からなる群より選択されるポリペプチドのいずれか1つを含み得る。すなわち、本発明において発現を強化されるセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニットは、上記(A)〜(F)のポリペプチドのうちのいずれか1つであってもよく、または上記(A)〜(F)のポリペプチドのうちの2つ以上の組み合わせであってもよい。
組み合わせの例としては、上記(A)〜(C)のポリペプチドのうちのいずれか2つ以上の組み合わせ;上記(D)〜(F)のポリペプチドのうちのいずれか2つ以上の組み合わせ;上記(A)〜(C)のポリペプチドのうちのいずれか1つと、上記(D)〜(F)のポリペプチドのうちのいずれか1つとの組み合わせ;上記(A)〜(C)のポリペプチドのうちのいずれか1つ以上と、上記(D)〜(F)のポリペプチドのうちのいずれか1つ以上との組み合わせ、などが挙げられる。このうち、上記(A)〜(C)のポリペプチドのうちのいずれか1つと上記(D)〜(F)のポリペプチドのうちのいずれか1つとの組み合わせが好ましい。
本発明において発現を強化されるセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニットの好ましい例としては、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニット、配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニット、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
上記(A)〜(F)から選択されるポリペプチドの発現を、スターメレラ・ボンビコーラにおいて強化するためには、当該スターメレラ・ボンビコーラにおける当該ポリペプチドをコードする遺伝子の発現量を増加させればよい。該遺伝子の発現量を増加させる方法としては、例えば、高発現制御領域の制御下に配置した当該(A)〜(F)のポリペプチドをコードする遺伝子を含むベクターをスターメレラ・ボンビコーラに導入するか、当該(A)〜(F)のポリペプチドをコードする遺伝子の複数コピーをスターメレラ・ボンビコーラのゲノムに導入するか、または、スターメレラ・ボンビコーラに内在するセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニットをコードする遺伝子の発現制御領域を野生型に比較して高発現となる発現制御領域に改変して、該遺伝子の発現を高度に誘導させる方法、さらには上記方法を組み合わせる方法などを挙げることができる。
本発明において発現量を増加させるべき上記(A)〜(F)のポリペプチドをコードする遺伝子の例としては、(a):配列番号1で示される塩基配列からなる遺伝子、および(d):配列番号3で示される塩基配列からなる遺伝子が挙げられる。配列番号1で示される塩基配列からなる遺伝子、および配列番号3で示される塩基配列からなる遺伝子は、それぞれ、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニット(ポリペプチド(A))、および配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニット(ポリペプチド(D))をコードしている。
本発明において発現量を増加させるべき遺伝子の別の例としては、(b):配列番号1で示される塩基配列と40%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、且つセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニットの機能を保持するポリペプチド(B)をコードする遺伝子が挙げられる。好ましい実施形態において、当該遺伝子(b)は、配列番号1で示される塩基配列と50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、さらにより好ましくは90%以上、なお好ましくは95%以上、なおさらに好ましくは98%以上の配列同一性を有する塩基配列からなる。
本発明において発現量を増加させるべき遺伝子のまた別の例としては、(c):配列番号1で示される塩基配列において1〜複数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、且つセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニットの機能を保持するポリペプチド(C)をコードする遺伝子が挙げられる。ここで、当該複数個とは、前述で定義したとおりであるが、より具体的な例としては305個、好ましくは152個、より好ましくは76個、さらに好ましくは31個であり得る。
本発明において発現量を増加させるべき遺伝子のさらなる例としては、(e):配列番号3で示される塩基配列と50%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、且つセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニットの機能を保持するポリペプチド(E)をコードする遺伝子が挙げられる。好ましい実施形態において、本発明の遺伝子はまた、配列番号3で示される塩基配列と60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、なお好ましくは98%以上の配列同一性を有する塩基配列からなる。
本発明において発現量を増加させるべき遺伝子のさらなる例としては、(f):配列番号3で示される塩基配列において1〜複数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、且つセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニットの機能を保持するポリペプチド(F)をコードする遺伝子が挙げられる。ここで、当該複数個とは、前述で定義したとおりであるが、より具体的な例としては346個、好ましくは173個、より好ましくは87個、さらに好ましくは35個であり得る。
上記(a)〜(c)の遺伝子は、好ましくは、配列番号2の163位、またはそれに相当する位置のアミノ酸残基がシステインであるポリペプチドをコードしている。
上記(d)〜(f)の遺伝子は、好ましくは、ピリドキサール−5’−リン酸結合モチーフ(GT(F/L)TKSFG)を有するポリペプチドをコードしている。より好ましくは、当該ピリドキサール−5’−リン酸結合モチーフが配列番号4の381位から388位、またはそれに相当する領域に存在するポリペプチドをコードしている。
本発明において上記(A)〜(F)から選択されるポリペプチドの発現を強化する場合、上記(a)〜(f)からなる群より選択される遺伝子のいずれか1つ、または上記(a)〜(f)の遺伝子のうちいずれか2つ以上の組み合わせの発現量を増加させればよい。
組み合わせの例としては、上記(a)〜(c)の遺伝子のうちのいずれか2つ以上の組み合わせ;上記(d)〜(f)の遺伝子のうちのいずれか2つ以上の組み合わせ;上記(a)〜(c)の遺伝子のうちのいずれか1つと、上記(d)〜(f)の遺伝子のうちのいずれか1つとの組み合わせ;上記(a)〜(c)の遺伝子のうちのいずれか1つ以上と、上記(d)〜(f)の遺伝子のうちのいずれか1つ以上との組み合わせ、などが挙げられる。このうち、上記(a)〜(c)の遺伝子のうちのいずれか1つと上記(d)〜(f)の遺伝子のうちのいずれか1つとの組み合わせが好ましい。
本発明において発現量を増加させるべき遺伝子の好ましい例としては、配列番号1で示される塩基配列からなるセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニットをコードする遺伝子、配列番号3で示される塩基配列からなるセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニットをコードする遺伝子、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
上記(A)〜(F)から選択されるポリペプチドをコードする遺伝子は、スターメレラ・ボンビコーラ(Starmerella bombicola)、例えばStarmerella bombicola(NBRC10243)またはStarmerella bombicola KSM36株(FERM BP−799)などから、当該分野で用いられる任意の方法を用いて単離することができる。例えば、上記(a)および(d)の遺伝子は、スターメレラ・ボンビコーラの全ゲノムDNAを抽出した後、配列番号1または3の塩基配列を元に設計したプライマーを用いたPCRにより標的遺伝子を選択的に増幅し、増幅した遺伝子を精製することで得ることができる。あるいは、上記(a)および(d)の遺伝子は、配列番号2または4で示されるセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニットのアミノ酸配列に基づいて、遺伝子工学的または化学的に合成することができる。
上記(b)、(c)、(e)、(f)の遺伝子は、上記の手順で単離または合成された遺伝子(a)または(d)の塩基配列に対して、紫外線照射や部位特異的変異導入のような公知の突然変異導入法により突然変異を導入することによって、作製することができる。例えば、当該遺伝子は、配列番号1または3で示される塩基配列に公知の方法で突然変異導入し、得られた塩基配列を発現させてセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を調べ、所望のセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を選択することによって、得ることができる。
上記(A)〜(F)から選択されるポリペプチドをコードする遺伝子(例えば、上記(a)〜(f)の遺伝子)を含むベクターは、当該遺伝子をベクターに導入することによって作製することができる。当該遺伝子を導入すべきベクターの種類としては、特に限定されず、タンパク質産生に通常用いられるベクター、例えばプラスミド、コスミド、ファージ、ウイルス、YAC、BACなどが挙げられる。このうち、プラスミドベクターが好ましく、タンパク質の高発現を誘導するプラスミドベクターがより好ましい。当業者は、宿主細胞の種類にあわせて、好適なベクターを選択することができる。タンパク質発現用プラスミドベクターは、宿主に応じて作製してもよいが、市販品を使用してもよい。
上記ベクターにおいては、上記(A)〜(F)から選択されるポリペプチドをコードする遺伝子の上流に、当該遺伝子の転写を開始させるためのプロモーター領域などの制御配列が作動可能に連結されていてもよい。あるいは、当該ベクターが適切に導入された細胞を選択するためのマーカー(薬剤耐性遺伝子や栄養要求性相補遺伝子など)がさらに組み込まれていてもよい。本明細書において、遺伝子と制御配列が「作動可能に連結されている」とは、当該制御領域による制御の下に発現し得るように当該遺伝子が配置されていることをいう。当該制御配列の例としては、グリセルアルデヒドデヒドロゲナーゼ(GAPDH)のプロモーターpGAPDH、酸性ホスファターゼのプロモーターpPHO1、ガラクトキナーゼのプロモーターpGAL1、アルドース1−エピメラーゼのプロモーターpGAL10、アルコールデヒドロゲナーゼのプロモーターpADH1などの、後述する宿主細胞において発現量の多い遺伝子のプロモーターが挙げられる。上記各プロモーターは酵母由来のプロモーターが好ましく、スターメレラ・ボンビコーラ、ピヒア・シフェリイ(Pichia ciferrii)、およびサッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来のプロモーターがより好ましく、スターメレラ・ボンビコーラ由来のプロモーターがさらに好ましい。
上記宿主細胞において発現量の多い遺伝子のプロモーターとしては、上述した制御配列の例に挙げたプロモーターpGAPDH、pPHO1、pGAL1、pGAL10およびpADH1に加えて、トリオースリン酸デヒドロゲナーゼ(TDH3)のプロモーター、3−ホスホグリセレートキナーゼ(PGK1)のプロモーター、トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI1)のプロモーター、翻訳伸長因子(TEF1)、ピルビン酸キナーゼ(PYK1)のプロモーターなどが挙げられる。上記各プロモーターは酵母由来のプロモーターが好ましく、スターメレラ・ボンビコーラ、ピヒア・シフェリイ、およびサッカロマイセス・セルビシエ由来のプロモーターがより好ましく、スターメレラ・ボンビコーラ由来のプロモーターがさらに好ましい。
上記(A)〜(F)から選択されるポリペプチドをコードする遺伝子(例えば、上記(a)〜(f)の遺伝子)を宿主細胞のゲノムに導入する方法としては、特に限定されないが、例えば、SOE(splicing by overhang extension)−PCR法(Gene, 77, 61, 1989)等により調製された当該遺伝子を含むDNA断片を用いた2重交差法が挙げられる。当該遺伝子を含むDNA断片は、上述する宿主細胞において発現量の多い遺伝子のプロモーター配列の下流に導入されてもよく、あるいは、予め当該遺伝子を含むDNA断片と当該プロモーター配列とを作動可能に連結した断片を作製し、当該断片を宿主のゲノムに導入してもよい。さらに、当該遺伝子を含むDNA断片はまた、当該遺伝子が適切に導入された細胞を選択するためのマーカー(薬剤耐性遺伝子や栄養要求性相補遺伝子など)と予め連結されていてもよい。
上記(A)〜(F)から選択されるポリペプチドをコードする遺伝子またはそれを含むベクターをスターメレラ・ボンビコーラに導入する手段としては、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法、酢酸リチウム法、熱処理法など、通常使用されるいずれの方法でも用いることができる。
セリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニットをコードする遺伝子を内在的に有するスターメレラ・ボンビコーラにおいては、当該遺伝子(例えば、上記(a)または(d)の遺伝子)の上流に、野生型または発現強化前に比較して発現量を多くできるプロモーター、例えば上述した宿主細胞において発現量の多い遺伝子のプロモーター、を導入し、該遺伝子と作動可能に連結することにより、当該内在的遺伝子の発現量を増加させることもできる。これに加えて、さらに上述したように、上記(A)〜(F)から選択されるポリペプチドをコードする遺伝子を外部から導入してもよい。
上記(A)〜(F)から選択されるポリペプチドをコードする遺伝子の発現を増加させ方法の好ましい例としては、上記(a)〜(c)として例示した遺伝子または上記(d)〜(f)として例示した遺伝子を上記GAPDHのプロモーターの下流に連結する方法、当該(a)〜(c)の遺伝子と当該(d)〜(f)の遺伝子を両方とも上記GAPDHのプロモーターの下流に連結する方法、当該(a)〜(c)の遺伝子と当該(d)〜(f)の遺伝子のぞれぞれの上流にGAPDHプロモーターを連結する方法、当該(a)〜(c)の遺伝子を上記GAPDHのプロモーターの下流に連結し、且つ当該(d)〜(f)の遺伝子を上記TDH3のプロモーターの下流に連結する方法などにより、これらの遺伝子を過剰発現させるベクターを構築するか、またはこれらの遺伝子が過剰発現するようにゲノムを改変する方法を挙げることができる。遺伝子の種類とプロモーターの組み合わせは、上記(A)〜(F)から選択されるポリペプチドの発現が強化できればどのような組み合わせでも良い。また上記(a)〜(c)の遺伝子を含むベクターと、上記(d)〜(f)の遺伝子を含む別のベクターは、それぞれ別個に構築してもよく、1つのベクターとして構築してもよい。
上記(A)〜(F)から選択されるセリンパルミトイルトランスフェラーゼをコードする遺伝子が適切に導入されたスターメレラ・ボンビコーラは、当該遺伝子とともに薬剤耐性遺伝子や栄養要求性相補遺伝子などのマーカー遺伝子を導入すれば、当該マーカー遺伝子の発現を指標として選択することができ、あるいは、当該遺伝子の機能を欠損したスターメレラ・ボンビコーラに当該遺伝子を導入すれば、フィトスフィンゴシンを添加しない培地での生育を指標として選抜することができる。
これらの方法により、スターメレラ・ボンビコーラ由来のセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニットを発現強化したスターメレラ・ボンビコーラを得ることができる。当該発現強化した株を培養すれば、当該株内でセリンパルミトイルトランスフェラーゼが高発現され、それらの働きでL−セリンとパルミトイル−CoAとの縮合反応が促進されて、セラミドが高生産される。したがって、スターメレラ・ボンビコーラにおいて当該スターメレラ・ボンビコーラ由来セリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニットまたはそれに相当するポリペプチドの発現を強化することによって、該スターメレラ・ボンビコーラにおけるセラミドの生産性を向上させることができる。特に、発現強化前に比較して、セラミドNPおよびセラミドAPの生産性を向上させることができる。
また、該セラミドの生産性が向上したスターメレラ・ボンビコーラを用いることにより、セラミドを効率的に製造することができる。特に、セラミドNPおよびセラミドAPを効率的に製造することができる。
上記セラミドの生産性が向上したスターメレラ・ボンビコーラは、一般的な当該株(生産性が向上前の株)の培養条件と同様の条件で培養することができる。生産されたセラミドは、公知の方法で回収した菌体から抽出、精製することにより回収できる。例えば、細胞培養液からのセラミド前駆体の抽出には、クロロホルム、メタノール、アセトンなどの有機溶媒を使用することができる。本発明のセラミドの製造方法は、セラミドの生産性が向上したスターメレラ・ボンビコーラを使用するため、大量の培養およびセラミドの簡便な回収・精製が可能である。さらに、本発明のスターメレラ・ボンビコーラを用いたセラミドの製造方法は、ソホロリピッドとの併産も可能であり、工業的に有利である。
上述した実施形態に関し、本発明においては以下の態様が開示される。
<1>スターメレラ・ボンビコーラにおいて、以下の(A)〜(F)から選択されるポリペプチドの発現を強化することを特徴とする、スターメレラ・ボンビコーラにおけるセラミド生産性向上方法。
(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(B)配列番号2で示されるアミノ酸配列と43%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ(D)〜(F)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチド;
(C)配列番号2で示されるアミノ酸配列において、1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ(D)〜(F)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチド;
(D)配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(E)配列番号4で示されるアミノ酸配列と55%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ(A)〜(C)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチド;および
(F)配列番号4で示されるアミノ酸配列において、1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ(A)〜(C)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチド
<2>好ましくは、上記(A)〜(C)のポリペプチドが、配列番号2の163位、またはそれに相当する位置にシステイン残基を有する<1>記載のセラミド生産性向上方法。
<3>好ましくは、上記(D)〜(F)のポリペプチドが、ピリドキサール−5’−リン酸結合モチーフ(GT(F/L)TKSFG)を有する<1>又は<2>記載のセラミド生産性向上方法。
<4>上記(B)のポリペプチドは、配列番号2で示されるアミノ酸配列と、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらにり好ましくは70%以上、さらにより好ましくは80%以上、なお好ましくは90%以上、なおより好ましくは95%以上、なおさらに好ましくは98%以上の配列同一性を有し、上記(E)のポリペプチドは配列番号4で示されるアミノ酸配列と、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、さらにより好ましくは90%以上、なお好ましくは95%以上、なおより好ましくは98%以上の配列同一性を有する、<1>〜<3>ののいずれか1に記載のセラミド生産性向上方法。
<5>好ましくは、上記(A)〜(C)からなる群より選択されるポリペプチドと、上記(D)〜(F)からなる群より選択されるポリペプチドとを発現強化する、<1>〜<4>のいずれか1に記載のセラミド生産性向上方法。
<6>好ましくは、上記(A)〜(F)から選択されるポリペプチドの発現の強化が、上記スターメレラ・ボンビコーラにおいて、該(A)〜(F)から選択されるポリペプチドをコードする遺伝子の発現量を増加させることである、<1>〜<5>のいずれか1に記載のセラミド生産性向上方法。
<7>好ましくは、上記(A)〜(C)からなる群より選択されるポリペプチドをコードする遺伝子と、上記(D)〜(F)からなる群より選択されるポリペプチドをコードする遺伝子の発現量を増加させる、<5>又は<6>記載のセラミド生産性向上方法。
<8>好ましくは、配列番号1で示される塩基配列からなる遺伝子と、配列番号3で示される塩基配列からなる遺伝子の発現量を増加させる、<5>〜<7>のいずれか1に記載のセラミド生産性向上方法。
<9>好ましくは、GAPDH、PHO、GAL1、ADH1、TDH3、PGK1、TPI1、又はTEF1のプロモーターのいずれか1以上と連結された上記遺伝子を含むベクターまたは該遺伝子の断片を、上記スターメレラ・ボンビコーラに導入する、<6>〜<8>のいずれか1に記載のセラミド生産性向上方法。
<10>好ましくは、GAPDHのプロモーターと連結された上記遺伝子を含むベクターまたは該遺伝子の断片を、上記スターメレラ・ボンビコーラに導入する、<6>〜<9>のいずれか1に記載のセラミド生産性向上方法。
<11>好ましくは、セラミドがセラミドNPまたはセラミドAPである<1>〜<10>のいずれか1に記載のセラミド生産性向上方法。
<12>好ましくは、上記スターメレラ・ボンビコーラがStarmerella bombicola NBRC10243またはStarmerella bombicola KSM36株である、<1>〜<11>のいずれか1に記載の項記載のセラミド生産性向上方法。
<13>好ましくは、セラミドの生産がソホロリピッドとの併産である、<1>〜<12>のいずれか1に記載のセラミド生産性向上方法。
<14><1>〜<13>のいずれか1に記載の方法でセラミド生産性を向上させたスターメレラ・ボンビコーラを用いることを特徴とするセラミド製造方法。
<15>好ましくは、セラミドがセラミドNPまたはセラミドAPである<14>記載のセラミド製造方法。
<16>好ましくは、セラミドをソホロリピッドと併産させる、<14>又は<15>記載のセラミド製造方法。
以下、実験例を示し、本発明をより具体的に説明する。
実施例1 Starmerella bombicola由来セリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子の探索
S.bombicola NBRC10243株を、50g/LのYPD Broth(日本BD製)5mLを含む100mL容試験管に一白金耳植菌し、30℃、250rpmで48時間培養した。得られた培養液を、SL培地(10%(D)−グルコース、1%尿素、0.5%BactoTMYeast Extract、10%パルミチン酸エチル(東京化成工業)、塩酸にてpH5.0となるよう調整)5mLに2%植菌した。培養器は100mL容試験管を用い、30℃、250rpmで48時間培養し、菌体を回収した。
回収した菌体のTotal RNAを抽出した。RNAの抽出にはRNeasy Mini Kit(キアゲン)を用い、方法は添付のプロトコールを一部改変した。すなわち、回収した菌体にBuffer Y1(1mL)を添加し、30℃で30分振とうする際に、バッファーにザイモリエイス−20Tを100U/mLとなるよう添加し、細胞壁を溶解させた。得られたTotal RNAよりSMARTer cDNA synthesis Kit(クロンテック)を用いて、完全長cDNAライブラリを合成した。遺伝子発現解析は株式会社ジナリスに委託し、cDNA配列情報、およびアノテーションデータを得た。
遺伝子発現解析により取得した配列を、BLAST解析することにより、セリンパルミトイルトランスフェラーゼの候補遺伝子として2種類の配列を見出した(配列番号1および3)。これらの配列は、それぞれ、配列番号2および4に示すアミノ酸配列をコードすると推定された。配列番号2は、セリンパルミトイルトランスフェラーゼのサブユニットとして知られるLCB1と低い配列同一性を示した。例えば、Saccharomayces cerevisiae由来LCB1と42%、Pichia ciferrii由来LCB1と35%の同一性であった。一方、配列番号2の配列にLCB1の機能発現に関与するシステイン残基(163位)が保存されていることを確認した(Gableら、Journal of Biological Chemistry Vol.277, No.12, pp.10194-10200, 2002)。配列番号4はセリンパルミトイルトランスフェラーゼのサブユニットとして知られるLCB2と低い配列同一性を示した。例えば、S.cerevisiae由来LCB2と52%、P.ciferrii由来LCB2と50%の同一性であった。一方、配列番号4の配列において、LCB2の機能発現に関与するピリドキサール−5’−リン酸結合モチーフ(GT(F/L)TKSFG)を381位から388位に確認した(Gableら、 Journal of Biological Chemistry Vol.277, No.12, pp.10194-10200, 2002、Tamuraら、Plant Cell Physiology Vol.42, No.11, pp.1274-1281, 2001)。
なお、S.cerevisiae由来LCBの191位に相当するアミノ酸残基はバリンであることがセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性に必要であるとされているが、配列番号2および4に示すアミノ酸配列ではバリンではなくアラニンであった。
さらに、配列番号1示される遺伝子および配列番号3で示される遺伝子は、S.bombicola KSM36株ゲノムにも存在することが分かった。以後の実施例において、配列番号1および配列番号3で示されるセリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子を、それぞれ本発明のLCB1遺伝子およびLCB2遺伝子と称する。
実施例2
(1)ウラシル要求性株の取得
S.bombicola KSM36株(FERM BP−799)を0.68% Yeast Nitrogen Base w/o amino acids、2% グルコース、0.03%ウラシルおよび1.5%Agarを含むSD−U寒天培地に接種したのち、30℃で1ヶ月間培養し、得られた菌体を1mLの0.8%食塩水に一白金耳懸濁し、0.68%Yeast Nitrogen Base w/o amino acids、2%グルコース、0.03%ウラシル、および5−フルオロオロチン酸、1.5%Agarを含むSD-UF寒天培地に100μL塗抹し30℃で2週間培養した。生育したコロニーを再度SD−UF寒天培地で培養した後、それぞれについてウラシル要求性、5−フルオロオロチン酸耐性を確認し、ウラシル要求性株を取得した。
S.bombicola KSM36株および得られたウラシル要求性株を50g/LのYPD Broth(日本BD製)5mLを含む100mL容試験管に一白金耳植菌し、30℃、250rpmで48時間培養した。培養液1mLを5000rpm、4℃で5分間遠心して集めた菌体からGenとるくんTM(TAKARAバイオ)を用い、添付のマニュアルに従ってゲノムDNAを抽出した。表1記載のプライマー(配列番号5,6)およびKOD−plus.ver2(TOYOBO)を用いてウラシル生合成に関わるオロチジンでカルボキシラーゼをコードするURA3遺伝子を増幅し、PCR産物を鋳型としてURA3遺伝子の配列をシーケンス解析し、S.bombicola NBRC10243株の配列(GenBank accession No.DQ916828)と比較した。その結果、S.bombicola KSM36株はS.bombicola NBRC10243株のURA3遺伝子と同じ配列を有すること、ウラシル要求性株は皆54位のシステインがチロシンに変異していることが確認された。得られた変異体をS.bombicola KSM36−ura3株として取得した。
Figure 2015097493
(2)ウラシル要求性株の取得方法
実施例2において、ウラシル要求性株の変異位置が確定されたので、例えば下記の遺伝子組換え手段を用いて容易にウラシル要求性株の調製が可能である。
S.bombicolaのゲノムをテンプレートとしてUra3遺伝子を配列番号5、6のプライマーを用いて増幅する。増幅した遺伝子断片を適当なベクターに導入し、54位のシステインをチロシンに点変異を導入する。点変異を導入したベクターを配列番号5,6のプライマーを用いて増幅し、Ura3遺伝子に変異の導入された形質転換断片を得る。S.bombicola KSM36を、5mLのYPD Brothを含む100mL形試験管に位置白金耳植菌し、30度、250rpmで24時間培養する。得られた培養液を、YPD Broth50mLを含む坂口フラスコに1%植菌し、30℃、120rpmでOD600=1〜2になるまで培養する。増殖した菌体を3000rpm、4℃で5分間遠心して集菌した後、氷上で冷やした滅菌水20mLで2回洗浄する。菌体を氷冷した1mLの1Mソルビトール溶液に懸濁し、5000rpm、4℃で5分間遠心し、上清を捨てたのち、400μLの1Mソルビトール溶液を加えて氷上におき、ピペッティングで懸濁する。この酵母懸濁液を50μLずつ分注し、形質転換用のDNA溶液を1μg加える。酵母懸濁液を氷冷した0.2cmギャップのチャンバーに移したのち、GENE PULSER II(BIO−RAD)を用いて25uF,350Ω、2.5kVのパルスをかける。氷冷した1Mソルビトール入りYPD Brothを加えて1.5mL容チューブに移し、30℃で2時間振とうした後、5000rpm、4℃で5分間遠心して菌体を回収し、200μLの1Mソルビトール溶液に再懸濁して100μLずつ選択培地に塗抹し、30℃で約1週間培養する。選択培地には、0.68%Yeast Nitrogen Base w/o amino acids、2%グルコース、0.03%ウラシル、および5−フルオロオロチン酸、1.5%Agarを含むSD-UF寒天培地を使用する。生育したコロニーを再度SD−UF寒天培地で培養した後、それぞれについてウラシル要求性、5−フルオロオロチン酸耐性を確認し、ウラシル要求性株を取得する。
実施例3 プロモーターの選抜
実施例1の遺伝子発現解析より、高発現プロモーターを探索した。遺伝子発現解析でシーケンスしたリードをアセンブルし、ゲノム配列にマッピングした後、遺伝子発現強度を示すRPKM(Reads per Kilobase of exon per million mapped reads)を求めて遺伝子発現量とした。本情報より、GAPDH、PHO、GAL1、ADH1、TDH3、PGK1、TPI1、TEF1はLCB1およびLCB2よりも優位に発現量が高いことが確認され、高発現プロモーターとして有望であると考えられた。
実施例4 LCB1またはLCB2過剰発現株の作製
(1)LCB1またはLCB2欠損用プラスミドの作製
実施例2で得られたS.bombicola KSM36株ゲノムDNAを鋳型に、表2記載の配列番号7と8および9と10のプライマーを用いて、本発明のLCB1遺伝子の上流領域および下流領域を増幅した。同様に、配列番号13と14のプライマーおよび配列番号15と16のプライマーを用いて、本発明のLCB2遺伝子の上流領域および下流領域を増幅した。さらに、配列番号11と12および17と18のプライマーを用いて、当該プライマー領域を含むURA3遺伝子領域を増幅した。次に得られたPCR産物を鋳型にSOE-PCRによって本発明のLCB1遺伝子上流領域とURA3遺伝子と該LCB1遺伝子下流領域(配列番号7、10のプライマー)、または本発明のLCB2遺伝子上流領域とURA3遺伝子と該LCB2遺伝子下流領域(配列番号13、16のプライマー)の組み合わせでDNAを連結させ、pTA2ベクターとライゲーションすることによってpTA2-lcb1::URA3プラスミドおよびpTA2-lcb2::URA3プラスミドを構築した。さらに、pTA2-lcb1::URA3プラスミドを鋳型に表2記載の配列番号7、10のプライマーを使用してLCB1遺伝子欠損用カセットを増幅し、またpTA2-lcb2::URA3プラスミドを鋳型に表2記載の配列番号13、16のプライマーを使用してLCB2遺伝子欠損用カセットを増幅したのち、High pure PCR product purification kitを用いて精製した。
Figure 2015097493
(2)Δlcb1株およびΔlcb2株の作製
上記実施例2で作製したS.bombicola KSM36−ura3株を、5mLのYPD Brothを含む100mL容試験管に一白金耳植菌し、30℃、250rpmで48時間培養した。得られた培養液を、YPD Broth50mLを含む坂口フラスコに1%植菌し、30℃、120rpmでOD600=1〜2になるまで培養した。増殖した菌体を3000rpm、4℃で5分間遠心して集菌した後、氷上で冷やした滅菌水20mLで2回洗浄した。菌体を氷冷した1mLの1Mソルビトール溶液に懸濁し、5000rpm、4℃で5分間遠心し、上清を捨てたのち、400μLの1Mソルビトール溶液を加えて氷上に置き、ピペッティングで懸濁した。この酵母懸濁液を50μLずつ分注し、LCB1またはLCB2遺伝子欠損用のDNA断片を1μg加えた。酵母懸濁液を氷冷した0.2cmギャップのチャンバーに移したのち、GENE PULSER II(BIO−RAD)を用いて25μF,350Ω、2.5kVのパルスをかけた。氷冷した1Mソルビトール入りYPD Brothを加えて1.5mL容チューブに移し、30℃で2時間振とうした後、5000rpm、4℃で5分間遠心して菌体を回収し、200μLの1Mソルビトール溶液に再懸濁して100μLずつ選択培地に塗抹し、30℃で約1週間培養した。選択培地には、0.68% Yeast Nitrogen Base w/o amino acids,2% グルコース、0.077% CSM−ura(フナコシ)、20〜200μM フィトスフィンゴシン(Cosmoferm)、0.05% レオドールO320V(花王)、および1.5% Agarを含むSD-ura+PHS寒天培地を使用した。生育したコロニーをSD-ura+PHS培地および0.68% Yeast Nitrogen Base w/o amino acids,2% グルコース、0.077% CSM−ura(フナコシ)、および1.5% Agarを含むSD-ura寒天培地にレプリカし、30℃で約1週間培養した後、SD-ura+PHS培地のみで生育するコロニーを選抜した。選抜した変異株は、表2記載の配列番号7と10または13と16のプライマーでKOD-FX-Neo(TOYOBO)を用いてコロニーPCRし、増幅される配列長が変化していること、およびシーケンス解析により配列が設計どおりに変異していることを確認したのち、S.bombicola KSM36−Δlcb1株、およびS.bombicola KSM36−Δlcb2株として取得した。
(3)LCB1またはLCB2過剰発現用プラスミドの作製
実施例2で得られたS.bombicola KSM36株ゲノムDNAを鋳型に、表3記載の配列番号19と20のプライマーを用いて、上流および下流領域を含む本発明のLCB1遺伝子を、配列番号21と22のプライマーを用いて、上流および下流領域を含む本発明のLCB2遺伝子を増幅した。同様に配列番号23と24または25と26のプライマーを用いてグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)のプロモーター領域を増幅した。次に、LCB1およびLCB2を含む遺伝子増幅断片をpTA2ベクターにライゲーションし、pTA2−LCB1プラスミドおよびpTA2−LCB2プラスミドを構築した。さらに、pTA2−LCB1プラスミドには配列番号27と28のプライマー、pTA2−LCB2プラスミドには配列番号29と30のプライマーで、PrimeSTAR Max DNA Polymerase(タカラバイオ)を用いて変異導入することにより各遺伝子のORF開始点に制限酵素NdeI用サイトを導入した。それぞれの改変プラスミドをNdeIで切断した後、GAPDHプロモーター領域をIn−Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ)を用いて連結した。シーケンス解析によってGAPDHプロモーター領域が正しく挿入されたプラスミドを選抜し、pTA2−GAPDH−LCB1プラスミドおよびpTA2−GAPDH−LCB2プラスミドとした。それぞれのプラスミドを鋳型に配列番号19と20または21と22のプライマーを用いてGAPDHプロモーターを含むLCB1遺伝子およびLCB2遺伝子を増幅し、High pure PCR product purification kitを用いて精製した。
Figure 2015097493
(4)LCB1過剰発現株およびLCB2過剰発現株の作製
上記実施例4(2)で作製したS.bombicola KSM36−Δlcb1株お
よびS.bombicola KSM36−Δlcb2株に対して、実施例4(1)と同
様の方法を用いて、S.bombicola KSM36−Δlcb1株にはLCB1過
剰発現用DNA断片を、S.bombicola KSM36−Δlcb2株にはLCB
2過剰発現用のDNA断片を形質転換した。選択培地にはYPD培地を使用し、生育したコロニーをSD-ura培地および0.68% Yeast Nitrogen Base w/o amino acids,2% グルコース、0.077% CSM(フナコシ)、および1.5% Agarを含むSD-CSM寒天培地にレプリカし、30℃で約1週間培養した後、SD−CSM寒天培地のみで生育するコロニーを選抜した。選抜した変異株は、表3記載の配列番号19と20または21と22のプライマーでKOD-FX-Neo(TOYOBO)を用いてコロニーPCRし、増幅される配列長が変化していること、およびシーケンス解析により配列が設計どおりに変異していることを確認したのち、S.bombicola KSM36−LCB1OE株、およびS.bombicola KSM36−LCB2OE株として取得した。
(5)LCB1過剰発現LCB2欠損株の作製
上記実施例4(4)で作製したS.bombicola KSM36−LCB1OE株を培養し、実施例4(2)と同様の方法でLCB2遺伝子欠損用のDNA断片を形質転換した。選択培地には、SD-ura+PHS寒天培地を使用した。生育したコロニーをSD-ura+PHS培地およびSD-ura寒天培地にレプリカし、30℃で約1週間培養した後、SD-ura+PHS培地のみで生育するコロニーを選抜した。選抜した変異株は、表2記載の配列番号13、16のプライマーでKOD-FX-Neo(TOYOBO)を用いてコロニーPCRし、増幅される配列長が変化していること、およびシーケンス解析により配列が設計どおりに変異していることを確認したのち、S.bombicola KSM36−LCB1OE−Δlcb2株として取得した。
(6)LCB1/LCB2過剰発現株の作製
上記実施例4(5)で作製したS.bombicola KSM36−LCB1OE−Δlcb2株を培養し、実施例4(1)と同様の方法でLCB2過剰発現用のDNA断片
を形質転換した。選択培地にはYPD培地を使用し、生育したコロニーをSD-ura+PHS培地およびSD-ura寒天培地にレプリカし、30℃で約1週間培養した後、SD-ura+PHS培地のみで生育するコロニーを選抜した。選抜した変異株は、表3記載の配列番号21、22のプライマーでKOD-FX-Neo(TOYOBO)を用いてコロニーPCRし、増幅される配列長が変化していること、およびシーケンス解析により配列が設計どおりに変異していることを確認したのち、S.bombicola KSM36−LCB1OE−LCB2OE株として取得した。
実施例5 過剰発現株の遺伝子発現量評価
実施例4で作製したS.bombicola KSM36−LCB1OE株、S.bombicola KSM36−LCB2OE株、およびS.bombicola KSM36−LCB1OE−LCB2OE株、ならびにコントロールとして、S.bombicola KSM36−ura3株をYPD培地(1% Yeast Extract、2% Bacto Peptone、2% Glucose)を5mL含む100mL容試験管に一白金耳植菌し、30℃、250rpmで48時間培養した。得られた培養液を、SD+U300培地(0.67% Yeast Nitrogen Base w/o amino acids、0.03% ウラシル、2% Glucose)30mLに1%植菌した。培養器は500mL容ひだ付フラスコを用い、30℃、210rpmで72時間培養したのち、菌体を回収した。回収した菌体から、実施例1同様の方法でRNeasy Mini Kit(キアゲン)を用いてTotal RNAを抽出した。TotalRNAはAffinityScript QPCR cDNA Synthesis きt(Stratagene)を用いて逆転写し、Brilliant III Ultra−Fast SYBR Green QPCR Master Mix(Stratagene)を用いて定量的PCRによって遺伝子発現量を解析した。比較対象としてACT1遺伝子を選抜し、それとの発現量比を求めた。プライマーはLCB1遺伝子の発現解析には配列番号31と32のプライマー、LCB2遺伝子の発現解析には配列番号33と34のプライマー、ACT1の発現解析には配列番号35と36のプライマーを使用した(表4参照)。定量は、先述のプライマーにて増幅される対象領域をpTA2ベクターに連結したプラスミドを用いて求めた検量線を使用した。S.bombicola KSM36−ura3株の発現量比を1とした場合の結果を表5に示す。この結果より、それぞれの株において設計通りに遺伝子発現が強化されていることが確かめられた。
Figure 2015097493
Figure 2015097493
実施例6 過剰発現株のセラミド生産性評価
実施例4で作製したS.bombicola KSM36−LCB1OE株、およびS.bombicola KSM36−LCB2OE株、S.bombicola KSM36−LCB1OE−LCB2OE株、およびコントロールとして、S.bombicola KSM36−ura3株をYPD培地(1% Yeast Extract、2% Bacto Peptone、2% Glucose)を5mL含む100mL容試験管に一白金耳植菌し、30℃、250rpmで48時間培養した。得られた培養液を、SD+U300培地(0.67% Yeast Nitrogen Base w/o amino acids、0.03% ウラシル、2% Glucose)30mLに1%植菌した。培養器は500mL容ひだ付フラスコを用い、30℃、210rpmで72時間培養したのち、菌体を回収し、凍結乾燥にて乾燥させた。
乾燥菌体50mgを1mLのMilli−Q水に懸濁したのち、3.75mLの内部標準を含むクロロホルム:メタノール=1:2(v/v)溶液を添加し、15分間ボルテックスした。この時、内部標準としてN−Heptadecanoyl−D−erythro−sphingosine(総炭素鎖長35−NSセラミド)を添加した。次に1.25mLのクロロホルムを添加して1分間ボルテックスし、さらに1.25mLのMilli−Q水を添加して1分間ボルテックスした後、3000rpm、20℃にて5分間遠心して下層を回収した。回収したクロロホルム層は窒素ガス吹きつけによって乾燥させ、脂質抽出サンプルとした。
各脂質サンプルをメタノール:IPA=1:1の溶液に再懸濁し、HPLC−TOFMS解析に供した。HPLCはAcurity UPLC(Waters)、カラムはAcurity UPLC BEH 2.1mm i.d.×100mm(1.7mm)(Waters)を用いた。溶離液Aには0.1%酢酸および0.028%アンモニアを含むアセトニトリル/メタノール/水=18/18/4(v/v/v)、溶離液Bには0.1%酢酸および0.028%アンモニアを含むIPAを使用した。溶離液のグラジエントは溶離液B2%→30%(40分)→40%(40.1分)→55%(80分)→60%(90分)となるように設定した。質量分析は、LCT Premier XE(Waters)を使用し、エレクトロスプレーイオン化法にてイオン化した。内部標準の面積値と比較することにより定量を行った。
S.bombicola KSM36−ura3株において、セラミドNP(総炭素数C42〜46)、セラミドAP(総炭素数C42〜46)、セラミドNS(総炭素数C34〜38)及びセラミドAS(総炭素数C34〜36)の生産が初めて確認された。セラミドNPとは飽和脂肪酸(N)とフィトスフィンゴシン(P)から構成されるセラミドであり、セラミドAPとは2−ヒドロキシ脂肪酸(A)とフィトスフィンゴシン(P)から構成されるセラミドであり、セラミドNSとは飽和脂肪酸(N)とスフィンゴシン(S)から構成されるセラミドであり、セラミドASとは2−ヒドロキシ脂肪酸(A)とスフィンゴシン(S)から構成されるセラミドである。
S.bombicola KSM36−ura3株における各セラミドの中で、最も特徴的な分子の量を1とした場合の各発現強化株におけるセラミド生産性の相対値を示す(表6)。コントロールとして用いたS.bombicola KSM36−ura3株と比較して、S.bombicola KSM36−LCB1OE株においてはセラミドAPおよびセラミドASの生産量が、S.bombicola KSM36−LCB2OE株においてはセラミドNPおよびセラミドNSの生産量が、それぞれ増加していた。さらに、S.bombicola KSM36−LCB1OE−LCB2OE株においては、セラミドAPおよびセラミドNPの生産量が顕著に増加しており、コントロールと比較してそれぞれ5.0倍、2.3倍の生産量であった。
なお、定法により培養液中のソホロリピッドを測定した。KSM36−ura3株、KSM36−LCB1OE株、KSM36−LCB2OE株及びLCB1OE−LCB2OE株において、ソホロリピッドの生産が確認され、ソホロリピッドとの併産が可能であることが確かめられた。
Figure 2015097493

Claims (10)

  1. スターメレラ・ボンビコーラにおいて、以下の(A)〜(F)から選択されるポリペプチドの発現を強化することを特徴とする、スターメレラ・ボンビコーラにおけるセラミド生産性向上方法。
    (A)配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (B)配列番号2で示されるアミノ酸配列と43%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ(D)〜(F)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチド;
    (C)配列番号2で示されるアミノ酸配列において、1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ(D)〜(F)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチド;
    (D)配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (E)配列番号4で示されるアミノ酸配列と55%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ(A)〜(C)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチド;および
    (F)配列番号4で示されるアミノ酸配列において、1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ(A)〜(C)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチド
  2. 前記(A)〜(C)のポリペプチドが、配列番号2の163位、またはそれらに相当する位置にシステイン残基を有する請求項1記載のセラミド生産性向上方法。
  3. 前記(D)〜(F)のポリペプチドが、ピリドキサール−5’−リン酸結合モチーフ(GT(F/L)TKSFG)を有する請求項1又は2記載のセラミド生産性向上方法。
  4. 前記(A)〜(C)からなる群より選択されるポリペプチドと、前記(D)〜(F)からなる群より選択されるポリペプチドとを発現強化する、請求項1〜3のいずれか1項記載のセラミド生産性向上方法。
  5. 前記(A)〜(F)から選択されるポリペプチドの発現の強化が、前記スターメレラ・ボンビコーラにおいて、該(A)〜(F)から選択されるポリペプチドをコードする遺伝子の発現量を増加させることである、請求項1〜4のいずれか1項記載のセラミド生産性向上方法。
  6. 前記(A)〜(C)からなる群より選択されるポリペプチドをコードする遺伝子と、前記(D)〜(F)からなる群より選択されるポリペプチドをコードする遺伝子の発現量を増加させる、請求項5記載のセラミド生産性向上方法。
  7. 配列番号1で示される塩基配列からなる遺伝子と、配列番号3で示される塩基配列からなる遺伝子の発現量を増加させる、請求項5又は6記載のセラミド生産性向上方法。
  8. GAPDH、PHO、GAL1、ADH1、TDH3、PGK1、TPI1、又はTEF1のプロモーターのいずれか1以上と連結された前記遺伝子を含むベクターまたは該遺伝子の断片を、前記スターメレラ・ボンビコーラに導入する、請求項5〜7のいずれか1項記載のセラミド生産性向上方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項記載の方法でセラミド生産性を向上させたスターメレラ・ボンビコーラを用いることを特徴とするセラミド製造方法。
  10. セラミドがセラミドNPまたはセラミドAPである請求項9記載のセラミド製造方法。
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