JP2015096808A - 板厚測定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
従来より、プレス成形部品の板厚を測定する方法として、マイクロメータを用いた測定が広く知られている。しかしながら、この方法は、多くの手間がかかる。また、この方法は、プレス成形部品のいくつかの代表部位を測定することしかできず、全ての部位を測定することができない。そのため、この方法では、ネッキングなどの欠陥を見逃す可能性がある。
また、マイクロメータの大きさや形状によって測定できる部位が制約されるため、比較的大きいプレス成形部品の中央部などの測定が困難である。そこで、そのままでは測定できない部位について、プレス成形部品を予め切断してマイクロメータで測定可能な大きさや形状にするといった前準備が必要となる。
特許文献1には、板材の両側から光ビームを照射して、その反射光を用いて板材の厚さを測定する装置が開示されている。
しかしながら、特許文献1及び2に開示された手法は、平坦な板材の板厚を測定する技術であり、曲面を有するプレス成形部品の板厚を測定することは困難である。つまり、特許文献1の手法は、光ビームを曲面の法線方向に常に当てる必要があるため、プレス成形部品のような複雑な曲面では著しく困難である。また、特許文献2の手法では、複雑な曲面で反射した光を特定方向のみで受光することは困難である。
該基準部材形状データ作成工程で作成した前記基準部材の3次元形状データに基づいて前記基準部材の現物を作成する基準部材現物作成工程と、
該基準部材現物作成工程によって作成された前記基準部材を板厚測定対象となる被測定物に取り付け、前記基準部材が取り付けられた基準部材付き被測定物の表面及び裏面を撮像する撮像工程と、
該撮像工程で撮像された前記基準部材付き被測定物の表面及び裏面の撮像データを3次元形状化して3次元化撮像データを作成する撮像データ3次元化工程と、
該撮像データ3次元化工程で作成された前記3次元化撮像データにおける前記基準部材の部分を前記基準部材の3次元形状データに、同一部分が同一位置になるように位置合わせする位置合わせ工程と、
該位置合わせ工程で作成されたデータに基づいて、前記被測定物の表面と裏面の距離を演算することによって板厚を求める板厚演算工程とを備えたことを特徴とするものである。
以下、上記各工程について、板厚1.4mmの鋼板をプレス加工して得られた被測定物1(図4〜図6参照)の板厚測定を行う場合を例に挙げて、図1のフローチャートに基づいて図2〜図16を参照しながら詳細に説明する。
基準部材形状データ作成工程は、位置合わせの基準となる形状及び板厚を有する基準部材の3次元形状データ(基準部材3次元形状データ)を作成する工程である(S1)。
基準部材3次元形状データは、3次元CADによって作成される3次元CADデータである。
基準部材は、本工程で作成された3次元形状データに基づいて現物が作成され、作成された現物は被測定物1に取り付けられて被測定物1と共に撮像されて位置合わせの基準となるものである。
基準部材3次元形状データの一例を、画面上に3次元形状として表示したもの(以下、この形状を「表示形状3」という)を図2に示す。
図2は、表示形状3の表(おもて)面を図示したものである。
表示形状3(すなわち基準部材)は、図2に示す通り、中央に開口部3aを有する矩形状の枠形状からなる。
表示形状3の角部には第1段部3b、辺部における外縁には第2段部3c、辺部における内縁には第3段部3dが形成されている。このように、第1段部3b、第2段部3c、第3段部3dが形成されていることによって表示形状3の板厚が変化しており、該各段部が本発明の板厚変化部に相当する。
基準部材現物作成工程は、基準部材形状データ作成工程で作成した基準部材3次元形状データに基づいて基準部材の現物を作成する工程である(S3)。
基準部材(現物)30は、板厚の基準となるものであるため高精度に製作する必要があり、例えば、金属ブロックからNC加工により削り出して作成される。
図3は作成された基準部材(現物)30の裏面を図示したものであり、図3において図2の表示形状3と同様のものには同一の添え字(a、b、c、d)を付している。
基準部材の表面については図2の表示形状3に基づいて説明したが、図3に示す通り基準部材(図3においては基準部材(現物)30)の裏面においても段部(第1段部30b、第2段部30c、第3段部30d)が形成されている。
撮像工程は、基準部材現物作成工程によって作成された基準部材(現物)30を板厚測定対象となる被測定物1に取り付け、基準部材(現物)30が取り付けられた基準部材付き被測定物5の表面及び裏面を撮像する工程である(S5)。
被測定物1は、図4に示すように、基準部材(現物)30の開口部30a内に、例えば治具7(図5参照)を用いて取り付けられる。基準部材(現物)30は取付後に被測定物1との相対位置がずれないように保持される必要があり、治具7は剛性の高いものを用いる。
撮像は、表面と裏面のそれぞれについて行う。表面を撮像した後に裏面を撮像する場合には、回転台11を180°回転させる。
以上のようにして被測定物5の表面撮像データと裏面撮像データを取得する。
撮像データ3次元化工程は、撮像工程で撮像された基準部材付き被測定物5の表面及び裏面の撮像データ(表面撮像データ、裏面撮像データ)を3次元形状化して3次元化撮像データ(表面3次元化撮像データ13、裏面3次元化撮像データ15)を作成する工程である(S7)。
3次元化撮像データは、撮像データに基づいてステレオ法により画像を3次元化することで作成する。
図7中に枠で囲んだ部分の拡大図を図8に示す。図8に示すとおり、3次元化撮像データは辺の長さ0.1mmから5mmの三角形要素で構成されている。各要素は複数の点を有している。なお、図7〜図10及び図15において治具7の図示を省略している。
位置合わせ工程は、撮像データ3次元化工程で作成された3次元化撮像データ(表面3次元化撮像データ13、裏面3次元化撮像データ15)における基準部材の部分(基準部材表面3次元化撮像データ13b、基準部材裏面3次元化撮像データ15b)を基準部材3次元形状データに、同一部分が同一位置になるように位置合わせする工程である(S9)。
位置合わせは表面と裏面について同様に行うので、表面の場合を例に挙げて以下に説明する。
表面の位置合わせは、基準部材3次元形状データと、基準部材表面3次元化撮像データ13bとの形状差を計算し、その差が最小になるように表面3次元化撮像データ13を移動させることで行う。
表面3次元化撮像データ13は、図9の状態から、表示形状3と基準部材表面3次元化撮像データ13bが同一位置になるように移動して図10の状態になっている。
板厚は、表面3次元形状と裏面3次元形状間の距離を演算することで取得可能である。従って、表面3次元化撮像データ13と裏面3次元化撮像データ15と位置合わせを正確に行うことは、板厚の演算精度向上のために非常に重要である。
基準部材に形成された段部(表示形状においては第1段部3b、第2段部3c、第3段部3d、基準部材(現物)30においては第1段部30b、第2段部30c、第3段部30d)は、位置合わせをより正確かつ容易に行うためのものである。各段部の効果について図12と図13に基づいて詳細に説明する。
図12と図13は、A−A断面(図10参照)における位置合わせ前後の表面3次元化撮像データ13と裏面3次元化撮像データ15の位置を説明する図である。
この場合、3次元形状データの板厚方向の位置は、表示形状17の表面および裏面を基準として合わせることができるが、縦方向および横方向の位置については基準となる面がなく、正確に合わせするのは難しい。そのため、図12(a)に示すように、例えば裏面3次元化撮像データ15の横方向位置がずれていれば、図12(b)に示すように、表面3次元化撮像データ13と裏面3次元化撮像データ15との相対位置がずれてしまうので、このずれを正す手間がかかる。
この点、本実施の形態における基準部材は、図13に示すように段部(図13においては第2段部3c、第3段部3dを示している)が形成されており、該各段部が縦方向および横方向の位置合わせの基準となるため、より正確かつ容易に位置合わせを行うことができる。
板厚演算工程は、位置合わせ工程で作成されたデータに基づいて、被測定物1の表面と裏面の距離を演算することによって板厚を求める工程である(S11)。
被測定物1の表面と裏面の距離の求め方を図14に基づいて説明する。図14は、位置合わせ工程で作成された3次元形状データの一部を拡大したものと、さらにその一部を四角の枠で囲んで拡大したものと、そしてさらにその一部を丸の枠で囲んで拡大したものとをそれぞれ示している。
また、裏面3次元化撮像データ15の各点について法線ベクトル19を求めてもよい。この場合、裏面3次元化撮像データ15の各点と、該各点の法線ベクトル19と表面3次元化撮像データ13との交点間の距離を板厚として取得する。
板厚は、被測定物1の特定の箇所について求めてもよいし、全体について求めてもよい。
図16は、図15中の白抜きの点線で示す断面における板厚分布を表したグラフであり、縦軸が板厚(mm)、横軸が測定位置(mm)を示す。図16には、比較のためにマイクロメータで同断面上を所定間隔で実測した値を●印で表している。
図16に示す通り、本発明方法による測定値とマイクロメータによる実測値とは非常によく一致しており、本発明によれば精度よく板厚を測定可能であることが実証された。
このように、本実施の形態においては、従来方法のようにレーザ等を用いて被測定物の板厚を直接測定する工程がないため、測定誤差も生じず高精度かつ短時間で測定することが可能となり、被測定物1の板厚分布を定量的に把握することができ、従って板厚が薄い箇所を特定することにより、ワレ危険性を把握することができる。
3 表示形状
3a 開口部
3b 第1段部
3c 第2段部
3d 第3段部
30 基準部材(現物)
30a 開口部
30b 第1段部
30c 第2段部
30d 第3段部
5 基準部材付き被測定物
7 治具
9 光学式3次元形状測定機
9a 測定カメラ
11 回転台
13 表面3次元化撮像データ
13a 被測定物表面3次元化撮像データ
13b 基準部材表面3次元化撮像データ
15 裏面3次元化撮像データ
15a 被測定物裏面3次元化撮像データ
15b 基準部材裏面3次元化撮像データ
17 表示形状(比較例)
19 法線ベクトル
21 基準部材(他の態様その1)
23 基準部材(他の態様その2)
25 基準部材(他の態様その3)
25a 第1凹曲面部
25b 第2凹曲面部
Claims (3)
- 位置合わせの基準となる形状及び板厚を有する基準部材の3次元形状データを作成する基準部材形状データ作成工程と、
該基準部材形状データ作成工程で作成した前記基準部材の3次元形状データに基づいて前記基準部材の現物を作成する基準部材現物作成工程と、
該基準部材現物作成工程によって作成された前記基準部材を板厚測定対象となる被測定物に取り付け、前記基準部材が取り付けられた基準部材付き被測定物の表面及び裏面を撮像する撮像工程と、
該撮像工程で撮像された前記基準部材付き被測定物の表面及び裏面の撮像データを3次元形状化して3次元化撮像データを作成する撮像データ3次元化工程と、
該撮像データ3次元化工程で作成された前記3次元化撮像データにおける前記基準部材の部分を前記基準部材の3次元形状データに、同一部分が同一位置になるように位置合わせする位置合わせ工程と、
該位置合わせ工程で作成されたデータに基づいて、前記被測定物の表面と裏面の距離を演算することによって板厚を求める板厚演算工程とを備えたことを特徴とする板厚測定方法。 - 前記基準部材は、中央に開口部を有する枠形状であり、
前記撮像工程において、前記被測定物は前記基準部材の前記開口部内に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の板厚測定方法。 - 前記基準部材は、板厚が変化する板厚変化部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の板厚測定方法。
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