JP2015096551A - 精製ペンタメチレンジアミンの製造方法及びポリアミド樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、晶析法では、高収率でペンタメチレンジアミン・ジカルボン酸塩を得ることは困難であるだけでなく、不純物の除去が完全に行われないために、これを原料として得られたポリアミドが着色するという問題があった。
本発明はまた、このようにして製造された精製ペンタメチレンジアミンを用いたポリアミド樹脂の製造方法を提供することを課題とする。
従って、本発明によれば、精製ペンタメチレンジアミン及びこの精製ペンタメチレンジアミンを用いたポリアミド樹脂を工業的に有利に製造することができる。
また、本発明において、「粗ペンタメチレンジアミン」とは、未精製のペンタメチレンジアミンを表し、「精製ペンタメチレンジアミン」とは、精製後のペンタメチレンジアミンを表す。
ペンタメチレンジアミン炭酸塩の分解率(モル%)=(ペンタメチレンジアミン濃度(重量%)÷102.18)÷(ペンタメチレンジアミン濃度(重量%)÷102.18+ペンタメチレンジアミン炭酸塩濃度(重量%)÷164.21)×100
ここで、102.18とはペンタメチレンジアミンの分子量であり、164.21とはペンタメチレンジアミン炭酸塩の分子量である。
{ペンタメチレンジアミン炭酸塩}
本実施の形態で使用するペンタメチレンジアミン炭酸塩は、リジンの酵素的脱炭酸反応(LDC反応)により得られるものであることが好ましい。リジンのLDC反応は、リジン及び/又はリジン炭酸塩と、リジン脱炭酸酵素、リジン脱炭酸酵素活性の向上した組み換え微生物、リジン脱炭酸酵素を産生する細胞もしくは当該細胞の処理物からなる群の少なくとも1つを使用して行われる。リジンのLDC反応については後述する。
リジンのLDC反応により得られたペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液には、通常3個以上の官能基を有する有機物やタンパク質等の高分子物質を含む不純物が含まれている。
3個以上の官能基を有する有機物としては、アミノ酸、オリゴ糖、リンゴ酸、クエン酸等が挙げられる。アミノ酸の具体例としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リジン、オルニチン、ヒドロキシリジン、アルギニン、ヒスチジン等が挙げられる。中でもリジンが多く存在する。なお、これらのアミノ酸はL体でもD体でも構わない。
また、特に、ペンタメチレンジアミン炭酸塩が、後述するリジン脱炭酸酵素を使用しリジン又はリジン炭酸塩から産出されたものである場合、ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液中には、高分子不純物として、例えば、タンパク質、核酸、多糖類等が含まれる。
このため、本実施の形態では、ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液中の不純物を、少なくとも後述する蒸留工程の前、あるいは熱分解工程を行う前に、予め低減させることが好ましい。
ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液中に存在する3個以上の官能基を有する有機物のなかでも、リジン等のアミノ酸は、リジン脱炭酸酵素(以下、LDCと称する場合がある)の使用に伴う微生物(菌体)に由来する。このため、リジンのLDC反応時に使用する菌体の量を所定範囲内に抑えることにより、得られるペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液中のリジン等のアミノ酸量を低減することができる。さらに、LDC反応の転化率が約100%になるまでLDC反応を行うことにより、ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液中のリジン濃度を検出限界以下にすることが可能である。
上述した操作により、本実施の形態では、少なくとも後述の蒸留工程の前あるいは熱分解工程の前にペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液中に含まれる3個以上の官能基を有する有機物の合計含有量は、水溶液に含まれるペンタメチレンジアミン換算のペンタメチレンジアミン炭酸塩量に対する重量比率で、通常0.01以下、好ましくは0.009以下、さらに好ましくは0.008以下、特に好ましくは0.007以下に低減する。
本実施の形態で使用するペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液は、加熱による熱分解工程に先立ち、予め、ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液中に含まれる高分子不純物を除去することが好ましい。
UF膜の膜形状は、平膜、中空糸、板、管、スパイラル巻き等が挙げられる。中でも中空糸膜が好ましい。また、種々のUF膜モジュールが各社から販売されており、操作のしやすさからモジュール化したものが好ましい。
本実施の形態において、リジンのLDC反応等により得られたペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液を加熱し、予め定めた温度及び圧力により粗ペンタメチレンジアミンと二酸化炭素とに熱分解する。更に必要に応じて、ペンタメチレンジアミンを蒸留し、不純物が除去された精製ペンタメチレンジアミンを得ることができる。
初めに、ペンタメチレンジアミン炭酸塩を熱分解する工程について説明する。
熱分解に供するペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液中のペンタメチレンジアミン炭酸塩濃度は、通常1重量%〜80重量%、好ましくは20重量%〜60重量%であるので、リジンのLDC反応後、得られたペンタメチレンジアミン炭酸塩の濃度がこの範囲より低い場合は、必要に応じて濃縮操作や還流操作により濃度調整を行うことが好ましい。
本熱分解工程においては、前記留出液にペンタメチレンジアミンと、ペンタメチレンジアミン炭酸塩が分解して生成した二酸化炭素とが含まれる場合があり、コンデンサー付近や配管内で再びペンタメチレンジアミン炭酸塩を生成し、生成したペンタメチレンジアミン炭酸塩が析出して、配管閉塞等を引き起こす可能性がある。
とりわけ、ペンタメチレンジアミン炭酸塩の分解率が高く、且つ、留出液の水分濃度が低いと、前記配管閉塞等の可能性が高くなる。
留出液中の水分濃度が過度に高いと熱分解工程の時間が長くなる可能性がある。
熱分解工程における圧力が過度に低いと熱分解中にペンタメチレンジアミンと、ペンタメチレンジアミン炭酸塩が分解して生成した二酸化炭素が留出液中に含有されやすくなり、両者が反応してペンタメチレンジアミン炭酸塩を生成し、生成したペンタメチレンジアミン炭酸塩が析出する可能性がある。また、圧力が過度に高いと熱分解速度が遅くなるため好ましくない。なお、本発明における圧力とは絶対圧力である。
前記最高温度が過度に低いと、ペンタメチレンジアミン炭酸塩の分解の進行が遅くなり、その後に行われる蒸留操作による収率が低下したり、ペンタメチレンジアミン炭酸塩の析出が起こる傾向がある。また、前記最高温度が過度に高いと、ペンタメチレンジアミンそのものが分解し、別の化合物に変化する可能性がある。
本実施の形態においては、好ましくは、前記熱分解工程で得られる粗ペンタメチレンジアミンを蒸留することにより、不純物が除去された精製ペンタメチレンジアミンを得る。
次に、その蒸留工程について説明する。
この蒸留工程に先立って、熱分解工程で発生した二酸化炭素を、反応槽もしくは蒸留塔内から除去しておくことが好ましい。二酸化炭素を除去しない場合、反応槽や蒸留塔上部に二酸化炭素が存在するために、二酸化炭素と蒸留されたペンタメチレンジアミンとが反応してペンタメチレンジアミン炭酸塩を生成し、塔内壁に付着して閉塞等の原因となる場合がある。
<二酸化炭素の回収・再使用>
次に、ペンタメチレンジアミン炭酸塩の熱分解工程における分解で生成した二酸化炭素の回収・再使用について説明する。
二酸化炭素は、出発原料からペンタメチレンジアミンを製造する間のいずれの工程においても使用することができ、特に限定されない。特に、本実施の形態では、リジンと二酸化炭素からリジン炭酸塩を得るリジン炭酸塩生成工程、リジン炭酸塩からペンタメチレンジアミン炭酸塩を生成する酵素的脱炭酸反応工程に使用することが好ましい。後者の場合は、酵素的脱炭酸反応が進むとpHが高くなるので、中性になるようにpH調整することが好ましく、そのpH調整に二酸化炭素を使用することができる。
更に、ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液の濃縮や、ペンタメチレンジアミン炭酸塩の熱分解工程にて回収された水と、後述するペンタメチレンジアミンとジカルボン酸の濃縮工程及び重縮合反応工程にて回収された水の再使用について説明する。
水は、出発原料からペンタメチレンジアミンを製造する間のいずれの工程においても使用することができ、特に限定されない。特に、本実施の形態では、リジンと二酸化炭素からリジン炭酸塩を得るリジン炭酸塩生成工程、リジン炭酸塩からペンタメチレンジアミン炭酸塩を産出する酵素的脱炭酸反応工程に使用することが好ましい。
次に、本実施の形態において使用するペンタメチレンジアミン炭酸塩を調製するためのリジン炭酸塩生成及びリジンの酵素的脱炭酸反応について説明する。
リジン溶液を調製する溶媒は、好適には水が使用される。LDC反応が行われる反応液のpHは、二酸化炭素によって調節され、通常他のpH調節剤や緩衝剤は使用されない。なお、リジンを溶解する溶媒に、例えば酢酸ナトリウム緩衝液等を使用する場合、ペンタメチレンジアミン炭酸塩を形成させるという点から、リジン濃度は低濃度に抑えることが好ましい。
なお、原料のリジンは、反応開始時に反応液に全量添加してもよく、LDC反応の進行に応じ、分割して添加してもよい。
LDC反応は、上述したようにペンタメチレンジアミンの生成に伴って上昇するpHを、二酸化炭素を使用して逐次中和することにより、良好に進行する。LDC反応により生成したペンタメチレンジアミンは二価の炭酸塩又は一価の炭酸水素塩として反応液中に蓄積する。
{ポリアミド樹脂の製造方法}
本発明の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法によりペンタメチレンジアミン炭酸塩から得られる精製ペンタメチレンジアミンは、ポリアミド樹脂の製造原料として好適に使用される。
以下に、この精製ペンタメチレンジアミンとジカルボン酸とを単量体成分として用いるポリアミド樹脂の製造方法について説明する。
本実施の形態では、ペンタメチレンジアミン炭酸塩から得られたペンタメチレンジアミンとジカルボン酸とを単量体成分とし、重縮合触媒を用いる重縮合反応によりポリアミド樹脂を製造する。
ペンタメチレンジアミンとの重縮合反応に用いる、単量体成分としてのジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのジカルボン酸の中でも、脂肪族ジカルボン酸が好ましく、アジピン酸が特に好ましい。また、ジカルボン酸としてアジピン酸を用いる場合、ジカルボン酸中のアジピン酸の濃度は、通常90重量%以上、好ましくは95重量%以上、さらに好ましくは100重量%である。
さらに、本発明により得られる効果を損なわない程度において、他の単量体成分を用いることができる。このような他の単量体成分としては、例えば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸等のアミノ酸;ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム等のラクタム;エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、1,15−ジアミノペンタデカン、1,16−ジアミノヘキサデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1,19−ジアミノノナデカン、1,20−ジアミノエイコサン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン等の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノヘキシル)メタン等の脂環式ジアミン;キシリレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。これらの単量体成分は2種以上を併用しても良い。
本実施の形態において、ペンタメチレンジアミンとジカルボン酸との重縮合反応方法は特に限定されず、従来公知の方法から適宜選択することができる。また、重縮合触媒は、従来公知のものの中から適宜選択して使用することができ、特に限定されない。一般的なポリアミド樹脂の製造方法としては、例えば、「ポリアミド樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社:福本修編、昭和63年1月30日初版)等に開示されている。
本実施の形態が適用されるポリアミド樹脂には、必要に応じて、各種の添加剤が配合される。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、離型剤、滑剤、顔料、染料、結晶核剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤、他の重縮合体等が挙げられる。
本実施の形態が適用されるポリアミド樹脂は、射出成形、フィルム成形、溶融紡糸、ブロー成形、真空成形等の任意の成形方法により、所望の形状に成形することができる。成形品としては、例えば、射出成形品、フィルム、シート、フィラメント、テーパードフィラメント、繊維等が挙げられる。また、ポリアミド樹脂は、接着剤、塗料等にも使用することができる。
各試料中の全ペンタメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン炭酸塩の各濃度は、自動滴定装置(三菱化学株式会社製GT−100)を使用し、滴定により測定した。
測定に際し、試料中の全ペンタメチレンジアミンの量が0.2g〜1.0gになるように試料を測りとり、脱塩水で希釈した後、1mol/L HCl水溶液(キシダ化学株式会社製)にて滴定を行った。
測定結果に基づき、以下の計算方法によりペンタメチレンジアミン濃度を求めた。
{y÷1000×f}÷2×102.18÷a×100 (式1)
ペンタメチレンジアミン濃度(重量%)
[{x−(y−x)}÷1000×f]÷2×102.18÷a×100 (式2)
ペンタメチレンジアミン炭酸塩濃度(重量%):
{(y−x)÷1000×f}×164.21÷a×100 (式3)
全ペンタメチレンジアミン濃度(重量%):
{z÷1000×f}÷2×102.18÷a×100 (式4)
ペンタメチンレンジアミン炭酸塩の分解率は前記したとおり、ペンタメチレンジアミンとペンタメチレンジアミン炭酸塩との合計モル数を100とした時のペンタメチレンジアミンの割合を表したものであり、次式で表すことが出来る。
ペンタメチレンジアミン炭酸塩の分解率(モル%)=(ペンタメチレンジアミン濃度(重量%)÷102.18)÷(ペンタメチレンジアミン濃度(重量%)÷102.18+ペンタメチレンジアミン炭酸塩濃度(重量%)÷164.21)×100
ここで、102.18とはペンタメチレンジアミンの分子量であり、164.21とはペンタメチレンジアミン炭酸塩の分子量である。
カールフィッシャー型水分測定器(三菱化学社製「CA−06」)を使用し、留出液中の水分濃度を測定した。
目視にて白色析出物の有無を確認し、析出物が確認されなかった場合を「○」、析出物が確認された場合を「×」とした。
目視にて留出液留出の有無を確認し、留出が確認された場合を「○」、留出が確認されなかった場合を「×」とした。
(A)LDC遺伝子(cadA)増強株の作製
(a)大腸菌DNA抽出:
LB(Luria−Bertani)培地(組成:トリプトン10g、イーストエキストラクト5g、NaCl 5gを蒸留水1Lに溶解)10mLに、大腸菌(Eschericia coli)JM109株を対数増殖期後期まで培養し、得られた菌体を、10mg/mLのリゾチームを含む10mM NaCl/20mM トリス緩衝液(pH8.0)/1mM EDTA・2Na溶液0.15mLに懸濁した。
次に、この溶菌液に等量の(フェノール/クロロホルム)溶液を添加し、室温で10分間ゆるやかに振盪した後、全量を遠心分離(5,000×g、20分間、10〜12℃)し、上清画分を分取し、酢酸ナトリウムを0.3Mとなるように添加した後、2倍量のエタノールを加えて混合した。次いで、遠心分離(15,000×g、2分間)により回収した沈殿物は70%エタノールで洗浄後、風乾した。得られたDNAに、10mMトリス緩衝液(pH7.5)/1mM EDTA・2Na溶液5mLを加え、4℃で一晩静置し、以後に述べるPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)の鋳型DNAに使用した。
大腸菌cadAの取得は、上記(a)で調製したDNAを鋳型とし、全ゲノム配列が報告されている大腸菌K12−MG1655株の当該遺伝子の配列(Genbank Database Accession No.U00096)を基に設計した合成DNA(配列番号1(配列;GTTGCGTGTTCTGCTTCATCGCGCTGATG)及び配列番号2(配列;ACCAAGCTGATGGGTGAGATAGAGAATGAGTAAG))を用いたPCRによって行った。
鋳型DNAの1μL、PfxDNAポリメラーゼ(インビトロジェン株式会社製)0.2μL、1倍濃度添付バッファー、0.3μMの前記合成DNA、1mM MgSO4及び0.25μMのデオキシヌクレオシド三リン酸(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)を混合し、全量を20μLとした。
DNAサーマルサイクラーとして、MJ Research株式会社製「PTC−200」を使用し、94℃で20秒間、60℃で20秒間、72℃で2.5分間からなるサイクルを35回繰り返した。但し、1サイクル目の94℃での保温は1分20秒間、最終サイクルの72℃での保温は10分間とした。
図3に示すように、PCR終了後、増幅産物をエタノール沈殿により精製した後、制限酵素Kpn I及び制限酵素Sph Iで切断した。このDNA標品を、0.75重量%アガロース(SeaKem GTG agarose:FMC BioProducts製)ゲル電気泳動により分離後、臭化エチジウム染色により可視化することによりcadAを含む約2.6kbの断片を検出し、QIAQuick Gel Extraction Kit(QIAGEN製)を使用して目的DNA断片の回収を行った。
実施例で使用するペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液は、JM109/pCAD1を用い、リジン炭酸塩水溶液を原料とし、以下の方法で調製した。
JM109/pCAD1をLB培地入りフラスコで前培養した後、3mLの培養液を100mLの2倍濃度のLB培地が入った1L容フラスコに接種し、35℃、250rpmで撹拌培養を行った。培養開始4時間目に、滅菌したIPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)を、終濃度で0.5mMになるように添加し、その後14時間培養を継続した。
培養液を8000rpm、10分間で遠心分離して上清を廃棄し、菌体を回収した。得られた湿菌体は、培養液体積の1/20になるように50mM酢酸ナトリウムバッファーで懸濁して反応に必要となるまで4℃で保存した。
50%(w/v)リジン水溶液(協和発酵バイオ株式会社製)48kgと脱塩水30Lを200L容反応槽内に準備し、二酸化炭素を15L/minで通気して加えて、リジン炭酸塩水溶液を調製した。リジン溶液のpHは、最初10.3付近であり、二酸化炭素の供給に伴い酸性側へと低下した。二酸化炭素の供給は、pH変化がほぼなくなったところで停止した。このときのpHは約7.5であった。
ピリドキサルリン酸を0.1mMの濃度となるように上記基質溶液に加え、さらに、JM109/pCAD1の菌体を、OD660(Optical Density 660)が0.5になるように加えて反応を開始した。
ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液から回収したペンタメチレンジアミンとアジピン酸との重縮合反応により得られたポリアミド樹脂の試料を98重量%濃硫酸に溶解し、濃度0.01g/mLの試料溶液を調製した。次に、オストワルド式粘度計を使用し、25℃における試料溶液の落下時間tと濃硫酸の落下時間t0とをそれぞれ測定し、(t/t0)を相対粘度(ηrel)とした。
ポリアミド樹脂の融点(Tm)は、示差走査熱量計(DSC:セイコー電子工業株式会社製ロボットDSC)を使用して、窒素雰囲気下にて測定した。ポリアミド樹脂試料約5mgを完全に融解させ3分間保持した後、降温速度20℃/分で30℃まで降温した。続いて、ポリアミド樹脂試料を30℃で3分間保持した後、30℃から昇温速度20℃/分で昇温したときに観測される吸熱ピークの温度を融点Tmとして測定した。吸熱ピークが複数の場合は、最も高い温度を融点Tmとした。
ポリアミド樹脂の色調は白色であるものを「○」、例えば黄色等に着色しているものを「×」とした。
(濃縮工程)
前記(c)で得られたペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(ペンタメチレンジアミン炭酸塩濃度:15重量%)を、ウォーターバスを具備した柴田科学社製ロータリーエバポレーター(R205V−0)内に投入した。次いで下記条件により濃縮を行った。
ウォーターバス温度:50℃
圧力:40kPaから1.3kPaまで段階的に減圧
回転数:200rpm
濃縮後のペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液中の全ペンタメチレンジアミン濃度は34.1重量%、フリーのペンタメチレンジアミン濃度は17.1重量%、ペンタメチレンジアミン炭酸塩濃度は27.4重量%であった。
濃縮後のペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(全ペンタメチレンジアミン濃度:34.1重量%)300gをジャケット付きオートクレーブに入れて窒素置換を行い窒素雰囲気とした。オートクレーブ内を密閉状態とし、ジャケット温度を常温から150℃に昇温し、150℃で30分保持後、昇温速度1℃/minで190℃まで昇温して80分保持(熱分解時間150分)した。このとき、圧力(この圧力を「所定圧力」という。)が0.30MPaに達した時点で、圧力調整弁にて圧力が0.30MPaに維持するように調整した。圧力が0.30MPaに達した時点を0分として、0.5時間後、1.0時間後、2.5時間後の留出液及びオートクレーブ内の分解反応液を経時でサンプリングした。留出液については、ペンタメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン炭酸塩、水分の濃度分析を行い、留出の有無、配管内の析出物の有無を確認した。分解反応液については、ペンタメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン炭酸塩の濃度分析を行い、ペンタメチレンジアミン炭酸塩の分解率を算出した。結果については表2A,2Bに示す。
続いて、上記の操作により得られた粗ペンタメチレンジアミンを内温80℃(オイルバス温度110℃)、圧力2.7kPaにて蒸留を行い、精製ペンタメチレンジアミンを得た。得られた精製ペンタメチレンジアミンの重量及び収率を表2Bに示す。収率は、下記(式5)により算出した。
ペンタメチレンジアミン収率(重量%)=
{精製蒸留後の全ペンタメチレンジアミン重量÷原料のペンタメチレン
ジアミン重量×100} (式5)
熱分解工程において、所定圧力を0.60MPaに、また、190℃に昇温後の保持時間を110分(熱分解時間180分)として、圧力が0.60MPaに達した時点で、圧力調整弁にて圧力が0.60MPaに維持するように調整し、圧力が0.60MPaに達した時点を0分として、0.5時間後、1.0時間後、2.0時間後、2.5時間後の留出液及びオートクレーブ内の分解反応液を経時でサンプリングした以外は実施例1と同様にして、精製ペンタメチレンジアミンを得た。各種結果を表2A,2Bに示す。
熱分解工程において、所定圧力を0.80MPaに、また、190℃に昇温後の保持時間を210分(熱分解時間280分)として、圧力が0.60MPaに達した時点で、圧力調整弁にて圧力が0.60MPaに維持するように調整し、圧力が0.60MPaに達した時点を0時間として、1.0時間後、2.0時間後、3.5時間後の留出液及びオートクレーブ内の分解反応液を経時でサンプリングした以外は実施例1と同様にして、精製ペンタメチレンジアミンを得た。各種結果を表2A,2Bに示す。
続いて、前述の調製した原料水溶液40gをオートクレーブに入れ、窒素置換を行った。次に、オートクレーブを温度270℃のオイルバスに浸し重縮合反応を開始した。重縮合反応の開始後、オートクレーブの内圧を1.67MPaで2時間保持し、次いで、オートクレーブ内の圧力を徐々に放圧した後、さらに、圧力61.3kPaまで減圧し、1時間保持して重縮合反応を終了した。重縮合反応終了後、オートクレーブの内圧を減圧状態のまま放冷し、放冷後に重縮合反応により得られたポリアミド樹脂を取り出した。得られたポリアミド樹脂の相対粘度、融点、色調を表2Bに示す。
実施例1の濃縮工程で得られた濃縮後のペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(全ペンタメチレンジアミン濃度:34.1重量%)300gをジャケット付きオートクレーブに入れて窒素置換を行い窒素雰囲気とした。オートクレーブ内を開放状態(圧力:0.10MPa)とした状態でジャケット温度を常温から100℃に昇温し、100℃で30分保持後、昇温速度1℃/minで140℃まで昇温して60分保持した。更に140℃から昇温速度1℃/minで190℃まで昇温した。留出が開始した時点を0時間として、1.0時間後、1.5時間後、2.0時間後、2.5時間後の留出液及びオートクレーブ内の分解反応液を経時でサンプリングした。3.2時間後に内圧が上昇したので途中で中断した。各種結果を表2A,2Bに示す。
熱分解工程において、所定圧力を1.1MPaとした以外は実施例1と同様にした。
但し、ジャケット温度190℃に於ける原料の蒸気圧が1.1MPaであったため圧力は封じ込め状態で熱分解を行った。
実施例1〜3では、時間の経過と共に、ペンタメチレンジアミン炭酸塩の分解率が上昇し、留出液中のペンタメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン炭酸塩濃度は高くなり、水分濃度は低下した。実施例1では一番留出液中の水分濃度が低くなったが、分解率が90.5モル%に達した時点における留出液中の水分濃度は76.7重量%であり、析出物は一切確認されなかった。
実施例3では、最終的に得られたポリアミド樹脂の色調も白色であり、特に着色は認められなかった。
一方、比較例1では、時間の経過と共に、ペンタメチレンジアミン炭酸塩の分解率が上昇し、留出液中の水分濃度も低下し、分解率80.2モル%で留出液中の水分濃度は74.5重量%となり、分解率95.3モル%で析出物が確認された。
一方、比較例2ではジャケット温度190℃に於ける原料の蒸気圧が1.1MPaであったため圧力は封じ込め状態で熱分解を行ったが、全くペンタメチレンジアミン炭酸塩の分解が進行していなかった。
以上のことから、ペタンメチレンジアミン炭酸塩の分解率が90モル%を超えるまで、留出液中の水分濃度を75重量%以上にする必要があることが分かる。
Claims (6)
- ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液を加熱することにより、留出液を除去しながら、粗ペンタメチレンジアミンと二酸化炭素に分解する熱分解工程を含む精製ペンタメチレンジアミンの製造方法であって、
ペンタメチレンジアミン炭酸塩の分解率が90モル%を超えるまで、前記留出液中の水分濃度が75重量%以上であることを特徴とする精製ペンタメチレンジアミンの製造方法。 - 前記熱分解工程の圧力が0.21MPa〜1.0MPaであることを特徴とする請求項1に記載の精製ぺンタメチレンジアミンの製造方法。
- 前記熱分解工程の最高温度が110℃〜250℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法。
- 前記熱分解工程に先立って、リジン脱炭酸酵素、リジン脱炭酸酵素活性の向上した組み換え微生物、リジン脱炭酸酵素を産生する細胞もしくは当該細胞の処理物からなる群の少なくとも1つを使用し、リジン及び/又はリジン炭酸塩からペンタメチレンジアミン炭酸塩を産出する酵素的脱炭酸反応工程を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法。
- 前記粗ペンタメチレンジアミンを更に蒸留する蒸留工程を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法により製造された精製ペンタメチレンジアミンとジカルボン酸とを重縮合させる工程を含むことを特徴とするポリアミド樹脂の製造方法。
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