JP2015095592A - 回路基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 層間導電部を形成する際に確実な導電を実現すると共に、導電率等の電気的特性の劣化を防止できる回路基板の製造方法を提供する。
【解決手段】 層間導電部12を有する回路基板1の製造方法において、絶縁性基板2の一方の主面に対して、層間導電部12の形状に対応すると共に底部に開孔部を一部に含む薄膜部14を残存させるようにインプリント法により凹部21を形成する工程と、前記開孔部内を含む前記凹部21内に導電体6を充填する工程とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、無電解めっき処理及び電解めっき処理によって配線パターンと層間導電部を形成する回路基板の製造方法に関するものである。
インプリントモールドを用いた配線基板の製造方法において、配線基板の上面と下面を導電させるビアホールを形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1においては、導電性金属の支持体に形成された硬化性樹脂層に、押し型パターンを有する配線基板形成用モールドを侵入させて、モールドのパターンを硬化性樹脂層に転写し、形成された凹部に金属を析出させることにより配線基板の上面と下面を導電させるビアホールを形成している。
特開2006−339365号公報
特許文献1の特徴は、モールドが有する押し型パターンを同一断面における支持基台側の断面幅が先端側の断面幅よりも広く形成することにより、硬化性樹脂層からのモールドの撤去を容易にし、硬化性樹脂層に欠落等が生じ難くすることである。その場合であってもモールドの撤去後には凹部の底部に残留層が残存することになり、特許文献1はこの残留層をデスミア処理により除去することにより、支持体を露出させるとしている。デスミア処理は例えばプラズマを照射することにより行なわれる。しかしながら、デスミア処理により周囲の硬化性樹脂層にもダメージを与え、凹部の内壁形状が変形してしまうことが一般的に知られており、これに起因して凹部に形成される金属の形状も不安定になり、ビアホールの導電率等の電気的特性が劣化してしまうという課題があった。
そこで、本発明は、以上の事情を考慮してなされ、層間導電部を形成する際に確実な導電を実現すると共に、導電率等の電気的特性の劣化を防止できる回路基板の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明は、層間導電部を有する回路基板の製造方法において、絶縁性基板の一方の主面に対して、層間導電部の形状に対応すると共に底部に開孔部を一部に含む薄膜部を残存させるようにインプリント法により凹部を形成する工程と、前記開孔部内を含む前記凹部内に導電体を充填する工程とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、層間導電部を有する回路基板の製造方法において、絶縁性基板の一方の主面に対して、層間導電部の形状に対応すると共に底部に開孔部を一部に含む薄膜部を残存させるようにインプリント法により凹部を形成するのでインプリントモールドの表面形状が当該絶縁性基板に正確に転写される。次に、前記開孔部内を含む前記凹部内に導電体を充填するので安定した形状の層間導電部が形成されると共に、当該層間導電部は当該開孔部内においては導電体により導電している。その結果、確実な導電を実現すると共に、導電率等の電気的特性の劣化を防止できる。
本発明によれば、絶縁性基板に層間導電部を形成する際に、確実な導電を実現すると共に、導電率等の電気的特性の劣化を防止できる。
図1は、本発明の第1実施形態によって製造された回路基板の断面図である。 図2は、本発明の第1実施形態における回路基板の製造方法を示す工程図である。 図3(a)〜(c)は図2の各工程を示す概略断面図である。 図4は、本発明の第2実施形態によって製造された回路基板の断面図である。 図5は、本発明の第2実施形態における回路基板の製造方法を示す工程図である。 図6(a)〜(c)は図5の各工程を示す概略断面図である。 図7(a)〜(c)は図5の各工程を示す概略断面図である。 図8は、本発明の第3実施形態によって製造された回路基板の断面図である。 図9は、本発明の第4実施形態によって製造された回路基板の断面図である。 図10は、本発明の第5実施形態によって製造された回路基板の断面図である。 図11は、本発明の第5実施形態における回路基板の製造方法を示す工程図である。 図12(a)〜(d)は図11の各工程を示す概略断面図である。 図13は、本発明の第6実施形態によって製造された回路基板の断面図である。 図14は、本発明の第6実施形態における回路基板の製造方法を示す工程図である。 図15(a)〜(d)は図14の各工程を示す概略断面図である。 図16(a)〜(c)は図14の各工程を示す概略断面図である。
以下、本発明の主たる実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
まず、第1実施形態に係る製造方法によって製造された回路基板1の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態によって製造された回路基板1の断面図である。
本実施形態における回路基板1は、図1に示すように絶縁性基板2と、配線パターン8と、層間導電部12と、当該絶縁性基板2の下面2bに形成された導電体6とを備えている。
絶縁性基板2は、電気絶縁性を有する樹脂材料から構成されたフレキシブルな樹脂基材である。この絶縁性基板2を構成する具体的な樹脂材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、液晶ポリマ(LCP)、ポリイミド(PI)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)を例示することができる。なお、絶縁性基板2をリジッドな樹脂基材で構成してもよい。
この絶縁性基板2の上面2aに熱インプリント法によって第1の凹部21a及び第2の凹部21bが形成されている。第1の凹部21aの断面形状は四角形状であるが、これに限定されない。なお、第1の凹部21a及び第2の凹部21bを光インプリント法によって形成してもよい。この場合には、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)等で絶縁性基板2を構成してもよい。
第2の凹部21bは、絶縁性基板2を貫通すると共に、第1の空間部21c、第2の空間部21d及び開孔部15から構成される。第1の空間部21cと第2の空間部21dは連通し、第2の空間部21dと開孔部15も同様に連通している。開孔部15は絶縁性基板2の下面2bにまで到達している。第1の空間部21c、第2の空間部21d及び開孔部15は各々円柱状であるが、これに限定されない。また、第1の空間部21cは第2の空間部21dよりも径が大きく、第2の空間部21dは開孔部15よりも径が大きい。第1の空間部21cが第2の空間部21dよりも径が大きい理由はランド12a上に電子部品等の実装スペースを確保するためであるが、実装スペースが不要であれば第1の空間部21cの径を大きくする必要はない。
配線パターン8は信号等を伝送するための配線であり、絶縁性基板2の第1の凹部21aの内部空間に導電体6を充填することにより形成される。配線パターン8の断面形状は第1の凹部21aと同様に四角形状であるが、これに限定されない。この導電体6を構成する具体的な導電性材料としては、例えば、銅、ニッケル、銀、それらの混合物、合金を例示することができる。
層間導電部12は、絶縁性基板2の層間を電気的に接続すると共に、ランド12a、ビア12b及び接続部12cから構成される。ランド12aは、第1の空間部21cの内部空間に導電体6を充填することにより形成され、ビア12bは、第2の空間部21dの内部空間に導電体6を充填することにより形成され、接続部12cは、開孔部15の内部空間に導電体6を充填することにより形成される。ランド12aとビア12b間、ビア12bと接続部12c間、及び接続部12cと絶縁性基板2の下面2bに形成された導電体6間が通電することにより、層間導電部12は絶縁性基板2の層間を電気的に接続する。ここで、ランド12aはビア12bよりも径が大きく、ビア12bは接続部12cよりも径が大きい。また、これらは各々円柱状であるが、これに限定されない。
なお、配線パターン8や層間導電部12の形状、数、配置等は、回路基板1に示す例に限定されない。また、本実施形態では、絶縁性基板2の上面2aのみに配線パターン8を形成する例について説明したが、特にこれに限定されない。例えば、配線パターン8を絶縁性基板2の両面2a、2bに形成してもよい。更に、回路基板1を積層して多層プリント配線板を形成してもよい。
次に、本実施形態における回路基板1の製造方法について、図2、図3(a)〜(c)を参照しながら説明する。
図2は、本発明の第1実施形態における回路基板1の製造方法を示す工程図、図3(a)〜(c)は図2の各工程を示す概略断面図である。
本実施形態では、まず、図2のステップS1において、図3(a)に示すように、絶縁性基板2とインプリントモールド3を所定温度まで加熱した後に、インプリントモールド3を絶縁性基板2の上面2aに押し付ける。
このインプリントモールド3は、例えばシリコン(Si)から構成される熱インプリント用の金型であり、図3(a)に示すようにベース部3g、第1の凸部3a及び第2の凸部3bを有している。第1の凸部3a及び第2の凸部3bは下方に突出するようにベース部3gに設けられている。第1の凸部3aは第1の凹部21aに対応し、第2の凸部3bは第2の凹部21bに対応する。すなわち、第1の凸部3aの断面形状は第1の凹部21aと同様に四角形状であるが、これに限定されない。また、第2の凸部3bは、第1の空間部21cを形成するための第1のパターン部3c、第2の空間部21dを形成するための第2のパターン部3d及び開孔部15を形成するための突起部3eから構成される。すなわち、第1のパターン部3cは第2のパターン部3dよりも径が大きく、第2のパターン部3dは突起部3eよりも径が大きい。また、これらは各々円柱状であるが、これに限定されない。
このインプリントモールド3が絶縁性基板2の上面2aに押し付けられると、図3(a)に示すように、インプリントモールド3の表面形状(本実施形態では第1の凸部3a、第2の凸部3b)が絶縁性基板2に転写される。これにより、絶縁性基板2の上面2aに第1の凹部21a、第2の凹部21bが形成される。この際に、インプリントモールド3の第1のパターン部3c、第2のパターン部3dの高さ等を調整することにより、第2の凹部21bの底部に開孔部15を一部に含む薄膜部14を残存させる。なお、第1の凹部21a及び第2の凹部21bを形成する方法はインプリント法に限らず、レーザーやドリルを用いる方法であってもよい。
次に、図2のステップS2において、図3(b)に示すように絶縁性基板2に対して、第1の凹部21a、第2の凹部21bの内部空間を含む上面2a及び下面2bに導電体6を形成する。この際、開孔部15内にも導電体6が充填される。導電体6を形成する方法としては、導電性ペーストを塗布する方法や、第1の凹部21a、第2の凹部21bの内壁面を含む上面2a及び下面2bに無電解めっき、スパッタ、蒸着等によりシード層を形成した後に電解めっきを行なう方法を使うことができる。
最後に、図2のステップS3において、図3(c)に示すように、エッチング又は/及び研磨により、不要な導電体6を除去し、配線パターン8と層間導電部12を形成する。
以上のように、本実施形態によれば、層間導電部12を有する回路基板1の製造方法において、絶縁性基板2の一方の主面に対して、底部に開孔部15を一部に含む薄膜部14を残存させるようにインプリント法により第2の凹部21bを形成するのでインプリントモールド3の表面形状が当該絶縁性基板2に正確に転写される。次に、前記開孔部15内を含む前記第2の凹部21b内に導電体6を充填するので安定した形状の層間導電部12が形成されると共に、当該層間導電部12は当該開孔部15内においては導電体6により導電している。その結果、確実な導電を実現すると共に、導電率等の電気的特性の劣化を防止できる。
<第2実施形態>
図4は、本発明の第2実施形態によって製造された回路基板101の断面図である。
本実施形態における回路基板101は、図4に示すように絶縁性基板102と、配線パターン108と、層間導電部112と、当該絶縁性基板102の下面102bに形成された導電体106とを備えている。
絶縁性基板102は、電気絶縁性を有する樹脂材料から構成されたフレキシブルな樹脂基材である。この絶縁性基板102を構成する具体的な樹脂材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、液晶ポリマ(LCP)、ポリイミド(PI)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)を例示することができる。なお、絶縁性基板102をリジッドな樹脂基材で構成してもよい。
この絶縁性基板102の上面102aに熱インプリント法によって第1の凹部121a及び第2の凹部121bが形成されている。さらに、第1の凹部121a及び第2の凹部121bの表面内部と下面102bの表面内部には金属層104が形成されている。第1の凹部121aの断面形状は四角形状であるが、これに限定されない。なお、第1の凹部121a及び第2の凹部121bを光インプリント法によって形成してもよい。この場合には、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)等で絶縁性基板102を構成してもよい。
第2の凹部121bは、絶縁性基板102を貫通すると共に、第1の空間部121c、第2の空間部121d及び開孔部115から構成される。第1の空間部121cと第2の空間部121dは連通し、第2の空間部121dと開孔部115も同様に連通している。開孔部115は絶縁性基板102の下面102bにまで到達している。第1の空間部121c、第2の空間部121d及び開孔部115は各々円柱状であるが、これに限定されない。また、第1の空間部121cは第2の空間部121dよりも径が大きく、第2の空間部121dは開孔部115よりも径が大きい。第1の空間部121cが第2の空間部121dよりも径が大きい理由はランド112a上に電子部品等の実装スペースを確保するためであるが、実装スペースが不要であれば第1の空間部121cの径を大きくする必要はない。
配線パターン108は信号等を伝送するための配線であり、第1の凹部121aの表面内部に形成された金属層104及び第1の凹部121aの内部空間に充填された導電体106から構成される。配線パターン108の断面形状は第1の凹部121aと同様に四角形状であるが、これに限定されない。この導電体106を構成する具体的な導電性材料としては、例えば、銅、ニッケル、銀、それらの混合物、合金を例示することができる。
層間導電部112は、絶縁性基板102の層間を電気的に接続すると共に、ランド112a、ビア112b、第1の接続部112c及び第2の接続部112dから構成される。ランド112aは、第1の空間部121cの表面内部に形成された金属層104及び第1の空間部121cの内部空間に充填された導電体106から構成され、ビア112bは、第2の空間部121dの周囲の表面内部に形成された金属層104及び第2の空間部121dの内部空間に充填された導電体106から構成され、第1の接続部112cは、開孔部115の内部空間に充填された導電体106から構成される。さらに、第2の接続部112dは、開孔部115の周囲の薄膜部114の上面から下面に渡って形成された金属層104によって構成される。
ランド112aとビア112b間、ビア112bと第1の接続部112c間、ビア112bと第2の接続部112d間、第1の接続部112cと絶縁性基板102の下面102bに形成された導電体106間、及び第2の接続部112dと絶縁性基板102の下面102bに形成された導電体106間が通電することにより、層間導電部112は絶縁性基板102の層間を電気的に接続する。ここで、ランド112aはビア112bよりも径が大きく、ビア112bは第1の接続部112cよりも径が大きい。また、これらは各々円柱状であるが、これに限定されない。
なお、配線パターン108や層間導電部112の形状、数、配置等は、回路基板101に示す例に限定されない。また、本実施形態では、絶縁性基板102の上面102aのみに配線パターン108を形成する例について説明したが、特にこれに限定されない。例えば、配線パターン108を絶縁性基板102の両面102a、102bに形成してもよい。更に、回路基板101を積層して多層プリント配線板を形成してもよい。
次に、本実施形態における回路基板101の製造方法について、図5、図6(a)〜(c)及び図7(a)〜(c)を参照しながら説明する。
図5は、本発明の第2実施形態における回路基板101の製造方法を示す工程図、図6(a)〜(c)及び図7(a)〜(c)は図5の各工程を示す概略断面図である。
本実施形態では、まず、図5のステップS101において、図6(a)に示すように、絶縁性基板102とインプリントモールド103を所定温度まで加熱した後に、インプリントモールド103を絶縁性基板102の上面102aに押し付ける。
このインプリントモールド103は、例えばシリコン(Si)から構成される熱インプリント用の金型であり、図6(a)に示すようにベース部103g、第1の凸部103a及び第2の凸部103bを有している。第1の凸部103a及び第2の凸部103bは下方に突出するようにベース部103gに設けられている。第1の凸部103aは第1の凹部121aに対応し、第2の凸部103bは第2の凹部121bに対応する。すなわち、第1の凸部103aの断面形状は第1の凹部121aと同様に四角形状であるが、これに限定されない。また、第2の凸部103bは、第1の空間部121cを形成するための第1のパターン部103c、第2の空間部121dを形成するための第2のパターン部103d及び開孔部115を形成するための突起部103eから構成される。すなわち、第1のパターン部103cは第2のパターン部103dよりも径が大きく、第2のパターン部103dは突起部103eよりも径が大きい。また、これらは各々円柱状であるが、これに限定されない。
このインプリントモールド103が絶縁性基板102の上面102aに押し付けられると、図6(a)に示すように、インプリントモールド103の表面形状(本実施形態では第1の凸部103a、第2の凸部103b)が絶縁性基板102に転写される。これにより、絶縁性基板102の上面102aに第1の凹部121a、第2の凹部121bが形成される。この際に、インプリントモールド103の第1のパターン部103c、第2のパターン部103dの高さ等を調整することにより、第2の凹部121bの底部に開孔部115を一部に含む薄膜部114を残存させる。残存させる薄膜部114の厚さは400nm以下とし、好適には200nm以下、更に好適には50nm以下とする。なお、第1の凹部121a及び第2の凹部121bを形成する方法はインプリント法に限らず、レーザーやドリルを用いる方法であってもよい。
次に、図5のステップS102において、図6(b)に示すように、光源(不図示)から絶縁性基板102の上面102a及び下面102bに対して紫外線を照射して、絶縁性基板102の第1の凹部121a、第2の凹部121bの内壁面を含む上面102a、下面102bに改質層122を形成する。
形成される改質層122の厚さは、絶縁性基板の材質や条件にもよるが、概ね基板表面から内部の方向へ200nm以下である。すなわち、第2の凹部121bの底部においては、残存させる薄膜部114の厚さが400nm以下であれば、絶縁性基板102に対して第1の凹部121a、第2の凹部121bの内壁面を含む上面102a及び下面102bから改質層122を形成した場合、当該薄膜部114の上面から下面に渡って改質層122が形成されることになる。
このステップS102で使用される光源としては、例えば、低圧水銀灯を例示することができる。この低圧水銀灯は、波長が185[nm]の紫外線と波長が254[nm]の紫外線を主に発生する。前者の光エネルギーは647[kJ/mol]であり、後者の光エネルギーが472[kJ/mol]である。これに対し、例えば、絶縁性基板102を構成する有機化合物のC−H結合の結合エネルギーは457[kJ/mol]であり、前述の紫外線の光エネルギーの方が分子結合の結合エネルギーよりも強い。このため、この紫外線照射によって、当該絶縁性基板102の第1の凹部121a、第2の凹部121bの内壁面を含む上面102a及び下面102bの分子結合が断ち切られて、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基等の親水性の極性基を有する改質層122が形成される。
この改質層122は、無電解金属めっき用の金属めっき触媒を含有した溶液がぬれ易く金属めっき触媒を吸着させ易くなっており、金属が析出し易くなっている。また、こうした紫外線照射によって形成された改質層122は、微細な孔が形成された多孔質の構造を有しているため、無電解金属めっき用の金属めっき触媒を含有した溶液に絶縁性基板102を浸漬すると、当該溶液が改質層122の微細な孔に浸透し、この孔の内部から金属を析出させることができる。
なお、このステップS102において、紫外線照射に代えてプラズマ処理、コロナ放電処理、又はアルカリ処理によって絶縁性基板102の第1の凹部121a、第2の凹部121bの内壁面を含む上面102a及び下面102bに改質層122を形成してもよい。なお、アルカリ処理とは例えば、水酸化ナトリウム水溶液に絶縁性基板102を浸漬するウェット処理である。
次に、図5のステップS103において、図6(c)に示すように、絶縁性基板102の第1の凹部121a、第2の凹部121bの内壁面を含む上面102a及び下面102bに形成された改質層122に無電解金属めっき用の金属めっき触媒(例えばパラジウム、白金、銀、又はこれらの前駆物質等)を付与することにより、金属めっき触媒が付与された改質層123を形成する。金属めっき触媒の付与は、金属めっき触媒イオンを含む溶液で改質層122を処理した後、還元剤で処理して金属めっき触媒イオンを還元し、金属めっき触媒を析出させることにより行なうことができる。金属めっき触媒金属を含むコロイド溶液で改質層122を処理した後、アクセラレーター処理により保護層を除去することで金属めっき触媒を析出させてもよい。なお、これらの方法に限定されない。
次に、図5のステップS104において、絶縁性基板102を無電解金属めっき液に浸漬する。これにより、図7(a)に示すように、絶縁性基板102の第1の凹部121a、第2の凹部121bの内壁面を含む上面102a及び下面102bに形成された金属めっき触媒が付与された改質層123内部に金属が析出し、金属層104が形成される。
ここで、薄膜部114は、上面から下面に渡って、金属めっき触媒が付与された改質層123なので、当該薄膜部114の上面と下面は金属層104により通電することになる。
次に、図5のステップS105において、ステップS104で形成された金属層104をシード層として、絶縁性基板102に電解金属めっきを行なう。これにより、図7(b)に示すように、絶縁性基板102の第1の凹部121a、第2の凹部121bの内部空間を含む上面102a及び下面102bに導電体106が形成される。この際、開孔部115内にも導電体106が形成される。ここで、第2の凹部121bの底部には金属層104が存在するため、第2の凹部121bの内部空間への充填性は、貫通孔と比較して非常に優れたものとなる。
最後に、図5のステップS106において、図7(c)に示すように、エッチング又は/及び研磨により、不要な金属層104及び導電体106を除去し、配線パターン108と層間導電部112を形成する。
以上のように、本実施形態によれば、層間導電部112を有する回路基板101の製造方法において、絶縁性基板102の一方の主面に対して、底部に開孔部115を一部に含む薄膜部114を残存させるようにインプリント法により第2の凹部121bを形成するのでインプリントモールド103の表面形状が当該絶縁性基板102に正確に転写される。次に、前記薄膜部114の上面から下面に渡って改質層122を形成した後に前記改質層122に金属めっき触媒を付与するので改質層122全域に金属めっき触媒が拡散される。そして、前記金属めっき触媒が付与された改質層123に対して、無電解めっきにより金属層104を形成するので前記薄膜部114の上面から下面に渡って金属層104が形成される。さらに、前記金属層104をシード層とした電解めっきにより前記開孔部115内を含む前記第2の凹部121b内に導電体106を充填するので安定した形状の層間導電部112が形成されると共に、当該層間導電部112は当該開孔部115内においては導電体106により導電している。その結果、確実な導電を実現すると共に、導電率等の電気的特性の劣化を防止できる。同時に、層間導電部112の抵抗を下げることができる。
<第3実施形態>
図8は、本発明の第3実施形態によって製造された回路基板201の断面図である。
本実施形態における回路基板201は、図8に示すように絶縁性基板202と、第1の配線パターン208と、第2の配線パターン210と、層間導電部212と、当該絶縁性基板202の下面202bに形成された導電体206とを備えている。
絶縁性基板202は、電気絶縁性を有する樹脂材料から構成されたフレキシブルな樹脂基材である。この絶縁性基板202を構成する具体的な樹脂材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、液晶ポリマ(LCP)、ポリイミド(PI)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)を例示することができる。なお、絶縁性基板202をリジッドな樹脂基材で構成してもよい。
この絶縁性基板202の下面202bに熱インプリント法によって凹部221が形成されている。なお、凹部221を光インプリント法によって形成してもよい。この場合には、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)等で絶縁性基板202を構成してもよい。
凹部221は、絶縁性基板202を貫通すると共に、空間部221d及び開孔部215から構成される。空間部221dと開孔部215は連通している。開孔部215は絶縁性基板202の上面202aにまで到達している。空間部221d及び開孔部215は各々円柱状であるが、これに限定されない。また、空間部221dは開孔部215よりも径が大きい。
第1の配線パターン208及び第2の配線パターン210は信号等を伝送するための配線であり、導電体206によって構成される。また、第1の配線パターン208及び第2の配線パターン210は、絶縁性基板202の上面202aに例えばサブトラクティブ法やセミアディティブ法により形成されている。第1の配線パターン208及び第2の配線パターン210の断面形状は四角形状であるが、これに限定されない。この導電体206を構成する具体的な導電性材料としては、例えば、銅、ニッケル、銀、それらの混合物、合金を例示することができる。
層間導電部212は、絶縁性基板202の層間を電気的に接続すると共に、ビア212b及び接続部212cから構成される。ビア212bは、空間部221dの内部空間に導電体206を充填することにより形成され、接続部212cは、開孔部215の内部空間に導電体206を充填することにより形成される。絶縁性基板202の下面202bに形成された導電体206とビア212b間、ビア212bと接続部212c間、接続部212cと第2の配線パターン210間が通電することにより、層間導電部212は絶縁性基板202の層間を電気的に接続する。ここで、ビア212bは接続部212cよりも径が大きい。また、これらは各々円柱状であるが、これに限定されない。
<第4実施形態>
図9は、本発明の第4実施形態によって製造された回路基板301の断面図である。
本実施形態における回路基板301は、図9に示すように絶縁性基板302と、第1の配線パターン308と、第2の配線パターン310と、層間導電部312と、当該絶縁性基板302の下面302bに形成された導電体306とを備えている。
絶縁性基板302は、電気絶縁性を有する樹脂材料から構成されたフレキシブルな樹脂基材である。この絶縁性基板302を構成する具体的な樹脂材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、液晶ポリマ(LCP)、ポリイミド(PI)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)を例示することができる。なお、絶縁性基板302をリジッドな樹脂基材で構成してもよい。
この絶縁性基板302の下面302bに熱インプリント法によって凹部321が形成されている。さらに、凹部321の表面内部と下面302bの表面内部には金属層304が形成されている。なお、凹部321を光インプリント法によって形成してもよい。この場合には、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)等で絶縁性基板302を構成してもよい。
凹部321は、絶縁性基板302を貫通すると共に、空間部321d及び開孔部315から構成される。空間部321dと開孔部315は連通している。開孔部315は絶縁性基板302の上面302aにまで到達している。空間部321d及び開孔部315は各々円柱状であるが、これに限定されない。また、空間部321dは開孔部315よりも径が大きい。
第1の配線パターン308及び第2の配線パターン310は信号等を伝送するための配線であり、導電体306によって構成される。また、第1の配線パターン308及び第2の配線パターン310は、絶縁性基板302の上面302aに例えばサブトラクティブ法やセミアディティブ法により形成されている。第1の配線パターン308及び第2の配線パターン310の断面形状は四角形状であるが、これに限定されない。この導電体306を構成する具体的な導電性材料としては、例えば、銅、ニッケル、銀、それらの混合物、合金を例示することができる。
層間導電部312は、絶縁性基板302の層間を電気的に接続すると共に、ビア312b、第1の接続部312c及び第2の接続部312dから構成される。ビア312bは、空間部321dの周囲の表面内部に形成された金属層304及び空間部321dの内部空間に充填された導電体306から構成され、第1の接続部312cは、開孔部315の内部空間に充填された導電体306から構成される。さらに、第2の接続部312dは、開孔部315の周囲の薄膜部314の上面から下面に渡って形成された金属層304によって構成される。
絶縁性基板302の下面302bに形成された導電体306とビア312b間、ビア312bと第1の接続部312c間、ビア312bと第2の接続部312d間、第1の接続部312cと第2の配線パターン310間、及び第2の接続部312dと第2の配線パターン310間が通電することにより、層間導電部312は絶縁性基板302の層間を電気的に接続する。ここで、ビア312bは第1の接続部312cよりも径が大きい。また、これらは各々円柱状であるが、これに限定されない。
<第5実施形態>
図10は、本発明の第5実施形態によって製造された回路基板401の断面図である。
本実施形態における回路基板401は、図10に示すように絶縁性基板402と、第1の配線パターン408と、第2の配線パターン410と、層間導電部412と、当該絶縁性基板402の下面402bに形成された導電体406とを備えている。
絶縁性基板402は、電気絶縁性を有する樹脂材料から構成されたフレキシブルな樹脂基材である。この絶縁性基板402を構成する具体的な樹脂材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、液晶ポリマ(LCP)、ポリイミド(PI)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)を例示することができる。なお、絶縁性基板402をリジッドな樹脂基材で構成してもよい。
この絶縁性基板402の上面402aに熱インプリント法によって第1の凹部421a及び第2の凹部421bが形成されている。第1の凹部421a及び第2の凹部421bの断面形状は四角形状であるが、これに限定されない。
さらに、下面402bにおける第2の配線パターン410に対応する位置に対して同様に熱インプリント法によって第3の凹部421cが形成されている。なお、第1の凹部421a、第2の凹部421b及び第3の凹部421cを光インプリント法によって形成してもよい。この場合には、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)等で絶縁性基板402を構成してもよい。
第3の凹部421cは、第2の凹部421bと連通すると共に、空間部421d及び開孔部415から構成される。空間部421dと開孔部415は連通している。開孔部415は第2の凹部421bの底部にまで到達している。空間部421d及び開孔部415は各々円柱状であるが、これに限定されない。また、空間部421dは開孔部415よりも径が大きい。
第1の配線パターン408及び第2の配線パターン410は信号等を伝送するための配線であり、絶縁性基板402の第1の凹部421a及び第2の凹部421bの内部空間に導電体406を充填することにより形成される。第1の配線パターン408及び第2の配線パターン410の断面形状は第1の凹部421a及び第2の凹部421bと同様に四角形状であるが、これに限定されない。この導電体406を構成する具体的な導電性材料としては、例えば、銅、ニッケル、銀、それらの混合物、合金を例示することができる。
層間導電部412は、絶縁性基板402の層間を電気的に接続すると共に、ビア412b及び接続部412cから構成される。ビア412bは、空間部421dの内部空間に導電体406を充填することにより形成され、接続部412cは、開孔部415の内部空間に導電体406を充填することにより形成される。絶縁性基板402の下面402bに形成された導電体406とビア412b間、ビア412bと接続部412c間、及び接続部412cと第2の配線パターン410間が通電することにより、層間導電部412は絶縁性基板402の層間を電気的に接続する。ここで、ビア412bは接続部412cよりも径が大きい。また、これらは各々円柱状であるが、これに限定されない。
なお、第1の配線パターン408、第2の配線パターン410や層間導電部412の形状、数、配置等は、回路基板401に示す例に限定されない。また、本実施形態では、絶縁性基板402の上面402aのみに第1の配線パターン408及び第2の配線パターン410を形成する例について説明したが、特にこれに限定されない。例えば、第1の配線パターン408や第2の配線パターン410を絶縁性基板402の両面402a、402bに形成してもよい。更に、回路基板401を積層して多層プリント配線板を形成してもよい。
次に、本実施形態における回路基板401の製造方法について、図11、図12(a)〜(d)を参照しながら説明する。
図11は、本発明の第5実施形態における回路基板401の製造方法を示す工程図、図12(a)〜(d)は図11の各工程を示す概略断面図である。
本実施形態では、まず、図11のステップS401において、図12(a)に示すように、絶縁性基板402とインプリントモールド403を所定温度まで加熱した後に、インプリントモールド403を絶縁性基板402の上面402aに押し付ける。
このインプリントモールド403は、例えばシリコン(Si)から構成される熱インプリント用の金型であり、図12(a)に示すように、ベース部403g、第1の凸部403a及び第2の凸部403bを有している。第1の凸部403a及び第2の凸部403bは下方に突出するようにベース部403gに設けられている。第1の凸部403aは第1の凹部421aに対応し、第2の凸部403bは第2の凹部421bに対応する。すなわち、第1の凸部403a及び第2の凸部403bの断面形状は第1の凹部421a及び第2の凹部421bと同様に四角形状であるが、これに限定されない。
このインプリントモールド403が絶縁性基板402の上面402aに押し付けられると、図12(a)に示すように、インプリントモールド403の表面形状(本実施形態では第1の凸部403a、第2の凸部403b)が絶縁性基板402に転写される。これにより、絶縁性基板402の上面402aに第1の凹部421a、第2の凹部421bが形成される。
次に、図11のステップS402において、図12(b)に示すように、絶縁性基板402とインプリントモールド503を所定温度まで加熱した後に、インプリントモールド503を絶縁性基板402の下面402bに押し付ける。
このインプリントモールド503は、インプリントモールド403と同様に、例えばシリコン(Si)から構成される熱インプリント用の金型であり、図12(b)に示すように、ベース部503g及び第3の凸部503fを有している。第3の凸部503fは上方に突出するようにベース部503gに設けられている。第3の凸部503fは第3の凹部421cに対応する。また、第3の凸部503fは、空間部421dを形成するためのパターン部503d及び及び開孔部415を形成するための突起部503eから構成される。すなわち、パターン部503dは突起部503eよりも径が大きい。また、これらは各々円柱状であるが、これに限定されない。この際に、インプリントモールド503のパターン部503dの高さ等を調整することにより、第3の凹部421cの底部に開孔部415を一部に含む薄膜部414を残存させる。
なお、図11のステップS401とステップS402の工程が逆になっても構わない。その場合には、インプリントモールド403を絶縁性基板402の上面402aに押し付ける際に開孔部415を一部に含む薄膜部414を残存させる。また、インプリントモールド403が開孔部415を形成してもよく、インプリントモールド403とインプリントモールド503の各々が突起部を有し、各突起部が共同して開孔部415を形成するようにしても構わない。なお、第1の凹部421a、第2の凹部421b及び第3の凹部421cを形成する方法はインプリント法に限らず、レーザーやドリルを用いる方法であってもよい。
次に、図11のステップS403において、図12(c)に示すように絶縁性基板402に対して、第1の凹部421a、第2の凹部421bの内部空間を含む上面402a及び第3の凹部421cの内部空間を含む下面402bに導電体406を形成する。この際、開孔部415内にも導電体406が充填される。導電体406を形成する方法としては、導電性ペーストを塗布する方法や、第1の凹部421a、第2の凹部421bの内壁面を含む上面402a及び第3の凹部421cの内壁面を含む下面402bに無電解めっき、スパッタ、蒸着等によりシード層を形成した後に電解めっきを行なう方法を使うことができる。
最後に、図11のステップS404において、図12(d)に示すように、エッチング又は/及び研磨により、不要な導電体406を除去し、第1の配線パターン408、第2の配線パターン410及び層間導電部412を形成する。
以上のように、本実施形態によれば、層間導電部412を有する回路基板401の製造方法において、絶縁性基板402の一方の主面に対して、インプリント法により第1の凹部421bを形成した後に前記絶縁性基板402の他方の主面における前記第1の凹部421bに対応する位置に対して、底部に開孔部415を一部に含む薄膜部414を残存させるようにインプリント法により第2の凹部421cを形成するのでインプリントモールド403、503の表面形状が当該絶縁性基板402に正確に転写される。次に、前記第1の凹部421b及び前記開孔部415内を含む前記第2の凹部421c内に導電体406を充填するので安定した形状の層間導電部412が形成されると共に、当該層間導電部412は当該開孔部415内においては導電体406により導電している。その結果、確実な導電を実現すると共に、導電率等の電気的特性の劣化を防止できる。同時に、配線パターン410と層間導電部412が独立して形成されることにより各々の体積が小さくなるので導電体406の充填性をさらに向上させることができる。
<第6実施形態>
図13は、本発明の第6実施形態によって製造された回路基板601の断面図である。
本実施形態における回路基板601は、図13に示すように絶縁性基板602と、第1の配線パターン608と、第2の配線パターン610と、層間導電部612と、当該絶縁性基板602の下面602bに形成された導電体606とを備えている。
絶縁性基板602は、電気絶縁性を有する樹脂材料から構成されたフレキシブルな樹脂基材である。この絶縁性基板602を構成する具体的な樹脂材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、液晶ポリマ(LCP)、ポリイミド(PI)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)を例示することができる。なお、絶縁性基板602をリジッドな樹脂基材で構成してもよい。
この絶縁性基板602の上面602aに熱インプリント法によって第1の凹部621a及び第2の凹部621bが形成されている。さらに、第1の凹部621a及び第2の凹部621bの表面内部には金属層604が形成されている。第1の凹部621a及び第2の凹部621bの断面形状は四角形状であるが、これに限定されない。
さらに、下面602bにおける第2の配線パターン610に対応する位置に対して同様に熱インプリント法によって第3の凹部621cが形成されている。さらに、第3の凹部621cの表面内部と下面602bの表面内部には金属層604が形成されている。第3の凹部621cの断面形状は四角形状であるが、これに限定されない。なお、第1の凹部621a、第2の凹部621b及び第3の凹部621cを光インプリント法によって形成してもよい。この場合には、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)等で絶縁性基板602を構成してもよい。
第3の凹部621cは、第2の凹部621bと連通すると共に、空間部621d及び開孔部615から構成される。空間部621dと開孔部615は連通している。開孔部615は第2の凹部621bの底部にまで到達している。空間部621d及び開孔部615は各々円柱状であるが、これに限定されない。また、空間部621dは開孔部615よりも径が大きい。
第1の配線パターン608は信号等を伝送するための配線であり、第1の凹部621aの表面内部に形成された金属層604及び第1の凹部621aの内部空間に充填された導電体606から構成される。第2の配線パターン610も同様に、信号等を伝送するための配線であり、第2の凹部621bの表面内部に形成された金属層604及び第2の凹部621bの内部空間に充填された導電体606から構成される。第1の配線パターン608及び第2の配線パターン610の断面形状は第1の凹部621a及び第2の凹部621bと同様に四角形状であるが、これに限定されない。この導電体606を構成する具体的な導電性材料としては、例えば、銅、ニッケル、銀、それらの混合物、合金を例示することができる。
層間導電部612は、絶縁性基板602の層間を電気的に接続すると共に、ビア612b、第1の接続部612c及び第2の接続部612dから構成される。ビア612bは、空間部621dの周囲の表面内部に形成された金属層604及び空間部621dの内部空間に充填された導電体606から構成され、第1の接続部612cは、開孔部615の内部空間に充填された導電体606から構成される。さらに、第2の接続部612dは、開孔部615の周囲の薄膜部614の上面から下面に渡って形成された金属層604によって構成される。
絶縁性基板602の下面602bに形成された導電体606とビア612b間、ビア612bと第1の接続部612c間、ビア612bと第2の接続部612d間、第1の接続部612cと第2の配線パターン610間、及び第2の接続部612dと第2の配線パターン610間が通電することにより、層間導電部612は絶縁性基板602の層間を電気的に接続する。ここで、ビア612bは第1の接続部612cよりも径が大きい。また、これらは各々円柱状であるが、これに限定されない。
なお、第1の配線パターン608、第2の配線パターン610や層間導電部612の形状、数、配置等は、回路基板601に示す例に限定されない。また、本実施形態では、絶縁性基板602の上面602aのみに第1の配線パターン608及び第2の配線パターン610を形成する例について説明したが、特にこれに限定されない。例えば、第1の配線パターン608や第2の配線パターン610を絶縁性基板602の両面602a、602bに形成してもよい。更に、回路基板601を積層して多層プリント配線板を形成してもよい。
次に、本実施形態における回路基板601の製造方法について、図14、図15(a)〜(d)及び図16(a)〜(c)を参照しながら説明する。
図14は本実施形態における回路基板601の製造方法を示す工程図、図15(a)〜(d)及び図16(a)〜(c)は図14の各工程を示す概略断面図である。
本実施形態では、まず、図14のステップS601において、図15(a)に示すように、絶縁性基板602とインプリントモールド603を所定温度まで加熱した後に、インプリントモールド603を絶縁性基板602の上面602aに押し付ける。
このインプリントモールド603は、例えばシリコン(Si)から構成される熱インプリント用の金型であり、図15(a)に示すように、ベース部603g、第1の凸部603a及び第2の凸部603bを有している。第1の凸部603a及び第2の凸部603bは下方に突出するようにベース部603gに設けられている。第1の凸部603aは第1の凹部621aに対応し、第2の凸部603bは第2の凹部621bに対応する。すなわち、第1の凸部603a及び第2の凸部603bの断面形状は第1の凹部621a及び第2の凹部621bと同様に四角形状であるが、これに限定されない。
このインプリントモールド603が絶縁性基板602の上面602aに押し付けられると、図15(a)に示すように、インプリントモールド603の表面形状(本実施形態では第1の凸部603a、第2の凸部603b)が絶縁性基板602に転写される。これにより、絶縁性基板602の上面602aに第1の凹部621a、第2の凹部621bが形成される。
次に、図14のステップS602において、図15(b)に示すように、絶縁性基板602とインプリントモールド703を所定温度まで加熱した後に、インプリントモールド703を絶縁性基板602の下面602bに押し付ける。
このインプリントモールド703は、インプリントモールド603と同様に、例えばシリコン(Si)から構成される熱インプリント用の金型であり、図15(b)に示すように、ベース部703g及び第3の凸部703fを有している。第3の凸部703fは上方に突出するようにベース部703gに設けられている。第3の凸部703fは第3の凹部621cに対応する。また、第3の凸部703fは、空間部621dを形成するためのパターン部703d及び及び開孔部615を形成するための突起部703eから構成される。すなわち、パターン部703dは突起部703eよりも径が大きい。また、これらは各々円柱状であるが、これに限定されない。この際に、インプリントモールド703のパターン部703dの高さ等を調整することにより、第3の凹部621cの底部に開孔部615を一部に含む薄膜部614を残存させる。
なお、図14のステップS601とステップS602の工程が逆になっても構わない。その場合には、インプリントモールド603を絶縁性基板602の上面602aに押し付ける際に開孔部615を一部に含む薄膜部614を残存させる。また、インプリントモールド603が開孔部615を形成してもよく、インプリントモールド603とインプリントモールド703の各々が突起部を有し、各突起部が共同して開孔部615を形成するようにしても構わない。なお、第1の凹部621a、第2の凹部621b及び第3の凹部621cを形成する方法はインプリント法に限らず、レーザーやドリルを用いる方法であってもよい。
次に、図14のステップS603において、図15(c)に示すように、光源(不図示)から絶縁性基板602の上面602a及び下面602bに対して紫外線を照射して、絶縁性基板602の第1の凹部621a及び第2の凹部621bの内壁面を含む上面602a、第3の凹部621cの内壁面を含む下面602bに改質層622を形成する。
形成される改質層622の厚さは、絶縁性基板の材質や条件にもよるが、概ね基板表面から内部の方向へ200nm以下である。すなわち、第3の凹部621cの底部においては、残存させる薄膜部614の厚さが400nm以下であれば、絶縁性基板602に対して第1の凹部621a、第2の凹部621bの内壁面を含む上面602a及び第3の凹部621cの内壁面を含む下面602bから改質層622を形成した場合、当該薄膜部614の上面から下面に渡って改質層622が形成されることになる。
このステップS603で使用される光源としては、例えば、低圧水銀灯を例示することができる。この低圧水銀灯は、波長が185[nm]の紫外線と波長が254[nm]の紫外線を主に発生する。前者の光エネルギーは647[kJ/mol]であり、後者の光エネルギーが472[kJ/mol]である。これに対し、例えば、絶縁性基板602を構成する有機化合物のC−H結合の結合エネルギーは457[kJ/mol]であり、前述の紫外線の光エネルギーの方が分子結合の結合エネルギーよりも強い。このため、この紫外線照射によって、当該絶縁性基板602の第1の凹部621a、第2の凹部621bの内壁面を含む上面602a及び第3の凹部621cの内壁面を含む下面602bの分子結合が断ち切られて、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基等の親水性の極性基を有する改質層622が形成される。
この改質層622は、無電解金属めっき用の金属めっき触媒を含有した溶液がぬれ易く金属めっき触媒を吸着させ易くなっており、金属が析出し易くなっている。また、こうした紫外線照射によって形成された改質層622は、微細な孔が形成された多孔質の構造を有しているため、無電解金属めっき用の金属めっき触媒を含有した溶液に絶縁性基板602を浸漬すると、当該溶液が改質層622の微細な孔に浸透し、この孔の内部から金属を析出させることができる。
なお、このステップS603において、紫外線照射に代えてプラズマ処理、コロナ放電処理、又はアルカリ処理によって絶縁性基板602の第1の凹部621a、第2の凹部621bの内壁面を含む上面602a及び第3の凹部621cの内壁面を含む下面602bに改質層622を形成してもよい。なお、アルカリ処理とは例えば、水酸化ナトリウム水溶液に絶縁性基板602を浸漬するウェット処理である。
次に、図14のステップS604において、図15(d)に示すように、絶縁性基板602の第1の凹部621a、第2の凹部621bの内壁面を含む上面602a及び第3の凹部621cの内壁面を含む下面602bに形成された改質層622に無電解金属めっき用の金属めっき触媒(例えばパラジウム、白金、銀、又はこれらの前駆物質等)を付与することにより、金属めっき触媒が付与された改質層623を形成する。金属めっき触媒の付与は、金属めっき触媒イオンを含む溶液で改質層622を処理した後、還元剤で処理して金属めっき触媒イオンを還元し、金属めっき触媒を析出させることにより行なうことができる。金属めっき触媒金属を含むコロイド溶液で改質層622を処理した後、アクセラレーター処理により保護層を除去することで金属めっき触媒を析出させてもよい。なお、これらの方法に限定されない。
次に、図14のステップS605において、絶縁性基板602を無電解金属めっき液に浸漬する。これにより、図16(a)に示すように、絶縁性基板602の第1の凹部621a、第2の凹部621bの内壁面を含む上面602a及び第3の凹部621cの内壁面を含む下面602bに形成された金属めっき触媒が付与された改質層623内部に金属が析出し、金属層604が形成される。
ここで、薄膜部614は、上面から下面に渡って、金属めっき触媒が付与された改質層623なので、当該薄膜部614の上面と下面は金属層604により通電することになる。
次に、図14のステップS606において、ステップS605で形成された金属層604をシード層として、絶縁性基板602に電解金属めっきを行なう。これにより、図16(b)に示すように、絶縁性基板602の第1の凹部621a、第2の凹部621bの内部空間を含む上面602a及び第3の凹部621cの内部空間を含む下面602bに導電体606が形成される。この際、開孔部615内にも導電体606が形成される。ここで、第3の凹部621cの底部には金属層604が存在するため、第3の凹部621cの内部空間への充填性は、貫通孔と比較して非常に優れたものとなる。
最後に、図14のステップS607において、図16(c)に示すように、エッチング又は/及び研磨により、不要な金属層604及び導電体606を除去し、第1の配線パターン608、第2の配線パターン610及び層間導電部612を形成する。
以上のように、本実施形態によれば、層間導電部612を有する回路基板601の製造方法において、絶縁性基板602の一方の主面に対して、インプリント法により第1の凹部621bを形成した後に前記絶縁性基板602の他方の主面における前記第1の凹部621bに対応する位置に対して、底部に開孔部615を一部に含む薄膜部614を残存させるようにインプリント法により第2の凹部621cを形成するのでインプリントモールド603、703の表面形状が当該絶縁性基板602に正確に転写される。次に、前記薄膜部614の上面から下面に渡って改質層622を形成した後に前記改質層622に金属めっき触媒を付与するので改質層622全域に金属めっき触媒が拡散される。そして、前記金属めっき触媒が付与された改質層623に対して、無電解めっきにより金属層604を形成するので前記薄膜部614の上面から下面に渡って金属層604が形成される。さらに、前記金属層604をシード層とした電解めっきにより前記第1の凹部621b及び前記開孔部615内を含む前記第2の凹部621c内に導電体606を充填するので安定した形状の層間導電部612が形成されると共に、当該層間導電部612は当該開孔部615内においては導電体606により導電している。その結果、確実な導電を実現すると共に、導電率等の電気的特性の劣化を防止できる。同時に、層間導電部612の抵抗を下げることができると共に、配線パターン610と層間導電部612が独立して形成されることにより各々の体積が小さくなるので導電体606の充填性をさらに向上させることができる。
なお、以上説明した第1ないし第6実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。従って、前記の第1ないし第6実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
1、101、201、301、401、601・・・回路基板
2、102、202、302、402、602・・・絶縁性基板
2a、102a、202a、302a、402a、602a・・・上面
2b、102b、202b、302b、402b、602b・・・下面
3、103、403、503、603、703・・・インプリントモールド
3a、3b、103a、103b、403a、403b、503f、603a、603b、703f・・・凸部
3c、3d、103c、103d、503d、703d・・・パターン部
3e、103e、503e、703e・・・突起部
3g、103g、403g、503g、603g、703g・・・ベース部
104、304、604・・・金属層
6、106、206、306、406、606・・・導電体
8、108、208、210、308、310、408、410、608、610・・・配線パターン
12、112、212、312、412、612・・・層間導電部
12a、112a・・・ランド
12b、112b、212b、312b、412b、612b・・・ビア
12c、112c、112d、212c、312c、312d、412c、612c、612d・・・接続部
122、622・・・改質層
123、623・・・金属めっき触媒が付与された改質層
14、114、314、414、614・・・薄膜部
15、115、215、315、415、615・・・開孔部
21、21a、21b、121a、121b、221、321、421a、421b、421c、621a、621b、621c・・・凹部
21c、21d、121c、121d、221d、321d、421d、621d・・・空間部

Claims (6)

  1. 層間導電部を有する回路基板の製造方法において、
    絶縁性基板の一方の主面に対して、層間導電部の形状に対応すると共に底部に開孔部を一部に含む薄膜部を残存させるようにインプリント法により凹部を形成する工程と、
    前記開孔部内を含む前記凹部内に導電体を充填する工程とを備える
    ことを特徴とする回路基板の製造方法。
  2. 請求項1に記載の回路基板の製造方法において、
    前記導電体を充填する工程は、
    前記薄膜部の上面から下面に渡って改質層を形成する工程と、
    前記改質層に金属めっき触媒を付与する工程と、
    前記金属めっき触媒が付与された改質層に対して、無電解めっきにより金属層を形成する工程と、
    前記金属層をシード層とした電解めっきにより前記開孔部内を含む前記凹部内に導電体を充填する工程とからなる
    ことを特徴とする回路基板の製造方法。
  3. 請求項2に記載の前記改質層を形成する工程は、前記絶縁性基板の一方の主面及び他方の主面から行なうことを特徴とする回路基板の製造方法。
  4. 層間導電部を有する回路基板の製造方法において、
    絶縁性基板の一方の主面に対して、配線パターンの形状に対応するようにインプリント法により第1の凹部を形成する工程と、
    前記絶縁性基板の他方の主面における前記配線パターンに対応する位置に対して、層間導電部の形状に対応すると共に底部に開孔部を一部に含む薄膜部を残存させるようにインプリント法により第2の凹部を形成する工程と、
    前記第1の凹部及び前記開孔部内を含む前記第2の凹部内に導電体を充填する工程とを備える
    ことを特徴とする回路基板の製造方法。
  5. 請求項4に記載の回路基板の製造方法において、
    前記導電体を充填する工程は、
    前記薄膜部の上面から下面に渡って改質層を形成する工程と、
    前記改質層に金属めっき触媒を付与する工程と、
    前記金属めっき触媒が付与された改質層に対して、無電解めっきにより金属層を形成する工程と、
    前記金属層をシード層とした電解めっきにより前記第1の凹部及び前記開孔部内を含む前記第2の凹部内に導電体を充填する工程とからなる
    ことを特徴とする回路基板の製造方法。
  6. 請求項5に記載の前記改質層を形成する工程は、前記絶縁性基板の一方の主面及び他方の主面から行なうことを特徴とする回路基板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017092498A (ja) * 2017-02-10 2017-05-25 ウシオ電機株式会社 配線基板の製造方法、配線基板及び配線基板製造装置

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