JP2015094717A - 熱疲労寿命予測装置、熱疲労寿命予測方法、プログラム - Google Patents

熱疲労寿命予測装置、熱疲労寿命予測方法、プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】対象物の熱疲労による寿命を予測するに際して、シミュレーションを精度よく行えるようにする。
【解決手段】熱疲労寿命予測装置は、対象物の熱疲労による寿命をコンピュータを用いた有限要素法により予測する。この熱疲労寿命予測装置は、解析部12と計算部13と同定部14とを備える。解析部12は、有限要素モデルの要素ごとに損傷が閾値に達すると該当する要素を除去する。計算部13は、予測式の初期値に用いる非弾性ヒステリシスエネルギを、対象物が塑性シェイクダウンである状態において算出する。同定部14は、熱サイクル試験による実測値から抽出した評価点におけるき裂長さと、予測式を用いて得られるき裂長さとの誤差を最小化するように、予測式における未知の定数を探索して予測式を同定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、はんだ接合部のような対象物について熱疲労による寿命を予測する熱疲労寿命予測装置、この熱疲労寿命予測装置に用いる熱疲労寿命予測方法、コンピュータを熱疲労寿命予測装置として機能させるプログラムに関する。
従来、コンピュータを用いたシミュレーションにより、対象物に生じるき裂の進展を解析し、対象物の寿命を予測する技術が知られている(たとえば、特許文献1〜3参照)。特許文献1〜3には、はんだ接合部の疲労によるき裂の進展をコンピュータを用いて解析することにより、はんだ接合部の寿命を予測する技術が記載されている。これらの文献に記載された技術では、はんだ接合部の有限要素モデルを生成し、Manson-Coffin則を用いてき裂発生寿命をひずみから求めている。また、特許文献2、3にはき裂の進展を解析する技術が提案されている。
特開2005−26250号公報 特開2009−174926号公報 特開2011−58888号公報
上述したように、特許文献1〜3に記載された技術は、ひずみをき裂発生寿命に結びつける解析技術が用いられているが、熱サイクル試験のシミュレーションを精度よく行うには膨大な計算時間を要するという問題を有している。
また、特許文献2、特許文献3に記載されているき裂の進展を解析する技術では、き裂の進展を熱サイクル試験の結果に結びつけているが、き裂の進展を予測する際の初期条件が必ずしも安定ではなく、結果的に予測精度が低下する可能性がある。
本発明は、対象物の熱疲労による寿命を予測するに際して、シミュレーションを精度よく行えるようにした熱疲労寿命予測装置、熱疲労寿命予測方法、プログラムを提供することを目的とする。
本発明に係る熱疲労寿命予測装置は、対象物の熱疲労による寿命をコンピュータを用いた有限要素法により予測する装置であって、前記対象物の現在の損傷に基づいて複数サイクル後の損傷を外挿予測する予測式を用いてき裂の進展過程を予測し、有限要素モデルの要素ごとに損傷が閾値に達すると該当する要素を除去する解析部と、前記予測式の初期値に用いる非弾性ヒステリシスエネルギを、前記対象物が塑性シェイクダウンである状態において算出する計算部と、熱サイクル試験による実測値から抽出した評価点におけるき裂長さと、前記予測式を用いて得られるき裂長さとの誤差を最小化するように、前記予測式における未知の定数を探索して前記予測式を同定する同定部とを備えることを特徴とする。
この熱疲労寿命予測装置において、前記同定部は、き裂長さ−熱サイクル曲線から抽出した複数個の評価点のき裂長さを用い、前記予測式を定める前記未知の定数をシンプレックス法により探索することが好ましい。
この熱疲労寿命予測装置において、前記計算部は、変位関数をフーリエ級数で表し、修正ニュートン法により塑性シェイクダウンの状態における変位関数を求め、当該変位関数を用いて非弾性ヒステリシスエネルギを算出することが好ましい。
本発明に係る熱疲労寿命予測方法は、対象物の熱疲労による寿命をコンピュータを用いた有限要素法により予測する方法であって、前記対象物の現在の損傷に基づいて複数サイクル後の損傷を外挿予測する予測式を用いてき裂の進展過程を予測し、有限要素モデルの要素ごとに損傷が閾値に達すると該当する要素を除去する第1の工程と、前記予測式の初期値に用いる非弾性ヒステリシスエネルギを、前記対象物が塑性シェイクダウンである状態において算出する第2の工程と、熱サイクル試験による実測値から抽出した評価点におけるき裂長さと、前記予測式を用いて得られるき裂長さとの誤差を最小化するように、前記予測式における未知の定数を探索して前記予測式を同定する第3の工程とを備えることを特徴とする。
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、上述したいずれかの熱疲労寿命予測装置として機能させるものである。
本発明は、き裂の進展を予測式を用いて予測する解析部と、予測式の初期値に用いる非弾性ヒステリシスエネルギを、対象物が塑性シェイクダウンである状態において算出する計算部とを備える。また、本発明は、熱サイクル試験による実測値から抽出した評価点におけるき裂長さと、予測式を用いて得られるき裂長さとの誤差を最小化するように、予測式における未知の定数を探索して予測式を同定する同定部を備える。すなわち、予測式は対象物が安定した状態を前提として設定されるから、はんだ接合部のような対象物の熱疲労による寿命を予測するに際して、シミュレーションを精度よく行えるという利点を有する。また、予測式に含まれる未知の定数を、熱サイクル試験による実測値とのき裂長さの誤差が小さくなるように定めるから、実測値に対する予測精度が高くなる。さらに、予測式は、現在の対象物の損傷に基づいて、複数サイクル後に対象物に生じる損傷を外挿予測によって求めるモデルに基づいているから、対象物に生じるき裂の進展を局所的に予測することが可能である。以上のことから、き裂の進展を局所的にも大局的にも精度よく予測することが可能になるという利点がある。
実施形態を示すブロック図である。 実施形態における塑性シェイクダウンの概念を説明する図である。 実施形態における検証のためのサンプルの例を示す斜視図である。 実施形態におけるき裂の例を示す断面図である。 実施形態における実証例を示す図である。 実施形態においてシミュレーションで求めたき裂の進展を示す図である。 実施形態における実証例を示す図である。 実施形態における実証例を示す図である。 実施形態における実証例を示す図である。
以下に説明する熱疲労寿命予測装置は、対象物の熱疲労による寿命をコンピュータを用いた有限要素法により予測する装置であって、図1に示すように、解析部12と計算部13と同定部14とを備える。解析部12は、有限要素モデルの要素ごとに損傷が閾値に達すると該当する要素を除去する。計算部13は、予測式の初期値に用いる非弾性ヒステリシスエネルギを、対象物が塑性シェイクダウンである状態において算出する。同定部14は、熱サイクル試験による実測値から抽出した評価点におけるき裂長さと、予測式を用いて得られるき裂長さとの誤差を最小化するように、予測式における未知の定数を探索して予測式を同定する。
同定部14は、き裂長さ−熱サイクル曲線から抽出した複数個の評価点のき裂長さを用い、予測式を定める未知の定数をシンプレックス法により探索することが望ましい。また、計算部13は、変位関数をフーリエ級数で表し、修正ニュートン法により塑性シェイクダウンの状態における変位関数を求め、当該変位関数を用いて非弾性ヒステリシスエネルギを算出することが望ましい。
以下に説明する熱疲労寿命予測方法は、対象物の熱疲労による寿命をコンピュータを用いた有限要素法により予測する方法である。この方法は、3つの工程を有している。第1の工程では、対象物の現在の損傷に基づいて複数サイクル後の損傷を外挿予測する予測式を用いてき裂の進展過程を予測し、有限要素モデルの要素ごとに損傷が閾値に達すると該当する要素を除去する。第2の工程では、予測式の初期値に用いる非弾性ヒステリシスエネルギを、対象物が塑性シェイクダウンである状態において算出する。第3の工程では、熱サイクル試験による実測値から抽出した評価点におけるき裂長さと、予測式を用いて得られるき裂長さとの誤差を最小化するように、予測式における未知の定数を探索して予測式を同定する。
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、上述したいずれかの熱疲労寿命予測装置として機能させる。
以下に本実施形態の構成をさらに詳しく説明する。はんだ接合部のような対象物の疲労による寿命をコンピュータシミュレーションによって予測する場合、き裂の進展を解析する技術が主流になっている。き裂進展解析の技術としては、要素削除方式(動的要素削除、静的要素削除)、損傷パス方式などが知られている。
対象物の疲労による寿命を予測するために、この種のき裂進展解析の技術を用いる場合、大きく分けて、以下の2種類の方法のいずれかが採用されている。第1の方法は、熱サイクル試験に相当する全サイクル数に亘って対象物に生じるき裂の進展を追跡する方法である。第2の方法は、最初の2〜3サイクルのみで対象物の応力状態を算出し、疲労寿命則などの実験式を用いて数百サイクル後のき裂の発生および進展を予測するプロセスを繰り返す方法である。第1の方法は、単純な解析モデルでなければ、計算量が膨大になるという問題がある。また、第2の方法は、最初の数サイクルのみで対象物の応力状態を算出しているから、応力状態が安定した状態ではなく、そのため、予測したき裂の進展課程において現実的ではない挙動になる可能性がある。つまり、第2の方法では予測精度が低い場合がある。
本実施形態は、き裂の進展を記述する予測式を最適化するためにシンプレックス法を用いることによって、熱サイクル試験に相当する全サイクル数に亘ってき裂の進展を追跡せずに予測することを可能にし、第1の方法の問題を解消している。また、き裂の進展を予測する予測式において用いる非弾性ヒステリシスエネルギを直接周期法により求めることによって、き裂の進展を応力状態が安定した状態で予測し、結果的にき裂の進展過程を精度よく予測することを可能にしている。つまり、直接周期法で安定化した塑性シェイクダウンの状態における非弾性ヒステリシスエネルギを求めることにより、第2の方法の問題を解消している。
以上の概要についての説明からわかるように、本実施形態は、非弾性ヒステリシスエネルギを求める機能と、予測式を用いてき裂の進展を予測する機能と、き裂の進展を予測する予測式をシンプレックス法で同定する機能とを備える。また、本実施形態は、予測式を当て嵌める対象物のモデルを生成する機能も備える。予測式を当て嵌めるモデルは、有限要素モデルであり、対象物の形状に応じて作成される。
以下では、対象物がはんだ接合部であって、熱疲労による寿命を予測する場合を例として説明する。したがって、モデルは、チップ部品の表面実装、アキシャル部品あるいはラジアル部品の実装、フリップチップ実装などに応じて作成される。
図1に示すように、本実施形態の熱疲労寿命予測装置(以下、「予測装置」という)は、はんだ接合部の有限要素モデルを作成するためのモデル作成部11を備える。モデル作成部11が作成した個々の要素に上述した技術が適用されることにより、熱サイクルによるき裂の進展が予測される。そのため、予測装置は、予測式を適用してき裂の進展を予測する解析部12と、解析部12が用いる予測式に当て嵌める非弾性ヒステリシスエネルギを求める計算部13と、解析部12が用いる予測式を同定する同定部14とを備える。
予測装置は、パーソナルコンピュータのようなコンピュータを、予測装置として機能させるプログラムを実行することにより構成される(図の四角で囲んだ部分がコンピュータの本体に相当する)。したがって、予測装置は、モデル作成部11で作成した有限要素モデル、解析部12による解析結果などを表示するディスプレイを備えた出力装置21を備える。また、予測装置は、モデル作成部11で有限要素モデルを作成する際の操作などを行うキーボード、マウス、タッチパネル、カメラなどから選択される入力装置22を備える。
なお、パーソナルコンピュータのような汎用のコンピュータではなく、専用のコンピュータを用いる構成であってもよい。また、クライアント−サーバシステム、クラウドコンピューティングシステムなどを用い、サーバ側(あるいはクラウド側)に予想装置としての機能を設け、サーバ(あるいはクラウド)と通信する端末装置で予測装置の機能を利用するようにしてもよい。
専用のコンピュータを用いる場合、プログラムはROM(Read Only Memory)に格納されていてもよい。また、プログラムは、コンピュータで読み取りが可能な記録媒体により提供されるか、インターネットのような電気通信回線を通して提供されてもよい。
モデル作成部11は、有限要素法によるシミュレーションを行うアプリケーションプログラムに組み込まれている機能を流用することにより実現される。つまり、モデル作成部11は、シミュレーションを行う対象物であるはんだ接合部の有限要素モデルを、入力装置22および出力装置21を用いて作成する。モデル作成部11により有限要素モデルを作成する際には、はんだ接合部に用いるはんだの種類および特性、はんだで接合される材料の種類および特性など、有限要素モデルとして必要な情報がモデル作成部11に与えられる。
解析部12は、き裂の発生開始基準サイクル数を数1に示すNで表したモデルを用いる。この基準を満たすと、き裂の進展は数1に示す形式で表される。このモデルは、Nサイクルでのき裂の状態(損傷D)に基づいて、ΔNサイクル後のき裂の状態(損傷DN+ΔN)を予測できるように再帰的な形式で記述されている。このモデルを用いると、現在のサイクルNの損傷Dを用いて複数サイクルΔNまでの損傷DN+ΔNが外挿予測される。
Figure 2015094717
数1において、C1,C2,C3,C4は、有限要素モデルおよびシミュレーションの条件に応じて異なる未知数であって、同定部14は、これらの未知数C1,C2,C3,C4を決定することにより、予測式を同定する。また、数1においてΔwは、非弾性ヒステリシスエネルギであり、計算部13において直接周期法を用いて定められる。Lは有限要素モデルにおける要素の代表長さであって、既知の値である。損傷が始まるサイクル数は数1においてNで表されている。したがって、非弾性ヒステリシスエネルギΔwに基づいて損傷が始まるサイクル数Nを初期値に用いると、数1を用いて、ΔNサイクル後の損傷DΔNを予測式によって予測することができる。
数1の形式を用いて、き裂の状態を表すと、熱サイクルのサイクル数の増加に伴って損傷Dが増加する。解析部12は、損傷(累積値)Dが増加してD=1になったことを該当する要素が損傷したとみなして、該当する要素を除去することによりき裂を表す。言い換えると、要素が除去されるサイクル数が、実際の熱サイクル試験に適合するように、未知数C1,C2,C3,C4を定める必要がある。なお、損傷の累積値に対する閾値を1に設定することは必須ではなく、他の値を用いることも可能である。
数1の予測式を用いてき裂の状態を精度よく予測するには、初期値Nに含まれる非弾性ヒステリシスエネルギΔwを適切に定め、かつ未知数C1,C2,C3,C4を適切に定めることが必要である。
ここでは、はんだ接合部の熱疲労による寿命を予測することが目的であって、はんだ接合部は、熱サイクルによって塑性変形が生じるという仮定のもとにシミュレーションを行っている。この種の対象物は、熱サイクル試験の初期の段階では、応力−ひずみの関係がサイクル毎に異なるが、多数回の熱サイクルの繰り返しにより、応力−ひずみの関係が一定になり、閉じたループになることが知られている(塑性シェイクダウン)。
塑性シェイクダウンを模式的に示すと、図2(a)のようになる。つまり、対象物に対して一定の外力(ひずみε)を加える状態と除く状態とを繰り返すと、対象物の残留応力の再配分、局部降伏などにより応力σが一定になる。この状態を塑性シェイクダウンと呼んでいる。言い換えると、ひずみεの変化幅Δεが一定であるサイクルを繰り返した場合に、初期サイクルでは応力σにばらつきがあるが、やがて応力−ひずみの関係を表すループに変化が生じなくなる(図2(b))。
非弾性ヒステリシスエネルギΔwは、図2(b)に示す応力−ひずみの関係を表すループの面積に相当する。したがって、このループに変化が生じなくなった塑性シェイクダウンの状態において、非弾性ヒステリシスエネルギΔwを求めると、応力−ひずみの関係の挙動が安定し、数1の予測式における初期値Nのばらつきを抑制することができる。
上述のように塑性シェイクダウンでの非弾性ヒステリシスエネルギΔwを求めるために、本実施形態は、計算部13において直接周期法を採用している。直接周期法では、変位関数u(t)を数2のように、変位関数をフーリエ級数で表し、修正ニュートン法によって塑性シェイクダウンの状態における変位関数u(t)が求められる。
Figure 2015094717
計算部13は、塑性シェイクダウンの状態における変位関数u(t)を求めた後に、応力−ひずみの関係におけるループの面積を求め、この面積に基づいて非弾性ヒステリシスエネルギΔwを求める。つまり、熱サイクルを繰り返し、対象物(はんだ接合部)の応力−ひずみの関係が安定した状態において、非弾性ヒステリシスエネルギΔwが算出される。解析部12は、計算部13が求めた非弾性ヒステリシスエネルギΔwを用いて損傷の初期値Nを求める。
ところで、計算部13で用いる予測式は、4個の未知数C1,C2,C3,C4を含んでいる。これらの未知数C1,C2,C3,C4はシミュレーションのみでは定められない。すなわち、未知数C1,C2,C3,C4は、実際の熱サイクル試験の結果に適合するように同定されなければならない。また、未知数C1,C2,C3,C4の同定によって予測式が決定された場合に、熱サイクル試験の条件を変更しても数1の予測式が使用できることを検証しなければ、予測式によるシミュレーションは行えない。つまり、未知数C1,C2,C3,C4を求めた後には、予測式の妥当性を確認する必要がある。
未知数C1,C2,C3,C4の同定は同定部14が行う。同定部14は、熱サイクル試験を行った結果を用いて、シンプレックス法により未知数C1,C2,C3,C4を決定する。同定部14は、数3のように定めた評価関数fを用い、この評価関数fを最小にする未知数C1,C2,C3,C4をシンプレックス法によって求める。
数3におけるλはき裂長さであり、λ(uj)は熱サイクル試験により実測した既知のき裂長さ、λ(uj,Ci)は予測式に当て嵌める未知のき裂長さである。き裂長さλ(uj),λ(uj,Ci)は、後述するき裂長さ−熱サイクル曲線におけるき裂長さである。jは、正の整数であり、き裂長さ−熱サイクル曲線において評価関数fを求める評価点に付与する順序を表す。評価点は通常は3〜5個程度を選択すればよい。また、iは、未知数C1,C2,C3,C4の個数である(ここでは、i=1,2,3,4)である。
Figure 2015094717
き裂長さ−熱サイクル曲線において、評価関数fを求める評価点は適宜に定めることが可能である。1000サイクルの熱サイクル試験を行うことを想定すると、たとえば200サイクルごとに5個の評価点を定める(j=1〜5)。同定部14は、これらの評価点で求めたき裂長さλ(uj),λ(uj,Ci)を評価関数fに当て嵌め、評価関数fを最小にするという制約条件のもとで未知数Ci(i=1〜4)を定める。すなわち、本実施形態では、評価関数fを最小にする未知数Ci(i=1〜4)を探索する際に、シンプレックス法を用いている。
評価関数fを最小にするという制約条件で、未知数C1,C2,C3,C4を定める方法は、シンプレックス法のほかにも多変数の解空間を探索する技術は知られている。同定部14は、それらの技術を採用して未知数C1,C2,C3,C4を同定してもよいが、シンプレックス法は比較的少ない処理負荷で未知数C1,C2,C3,C4を同定することができる点で有利である。
以下では、本実施形態による予測式の妥当性を評価した結果について説明する。ここでは、熱疲労による寿命を評価するサンプルとして、図3(a)に示すモデルを想定する。図示例は、銅貼基板における導電層30(銅箔)の上にシリコンのチップ31を、鉛フリーであるはんだ32(図4参照)により実装した構成を想定している。導電層30は、10mm×10mm×500μm、チップ31は、5mm×5mm×575μmとする。また、はんだ32は、導電層30とチップ31との間では100μmとする。なお、寸法は一例であって限定する趣旨ではない。
また、チップ31は、導電層30と中心が一致するように配置されている。つまり、図3(a)に示す例では、導電層30の表面において中心を通る2本の直線によって同寸法かつ同形状の4個の部分に分けることが可能である。したがって、コンピュータによるシミュレーションは、導電層30の中心を通り導電層30の各辺に沿った2本の直線により4等分した図3(b)に示す形状について熱疲労を予測した。
予測の精度を評価するために、上述したサンプルについて、−40℃と135℃との間の温度変化を繰り返す熱サイクル(以下、「高温サイクル」)と、−40℃と105℃との間の温度変化を繰り返す熱サイクル(以下、「低温サイクル」)とによる試験を行った。熱サイクル試験においては、約200サイクル毎にサンプルを取り出してサンプルの対角線上で断面を観察し、角から中心方向に進展するき裂33の長さを測定した。
図5は高温サイクルに関するシミュレーションおよび実際のサンプルに関する試験の結果を表している。図5では、シミュレーションにおいて、予測式で求められるき裂33の長さを白抜き四角で表し、シミュレーションで求めたき裂33の長さと熱サイクルの回数との関係を近似する曲線(き裂長さ−熱サイクル曲線)を特性Saで示している。また、図5において、黒塗り四角は実際のサンプルについて試験を行った結果の平均値であり、黒塗り四角の上下に伸びる直線は、ばらつきの範囲を示している。
図からわかるように、シミュレーションによって求めた近似曲線(特性Sa)は、実際のサンプルについて行った試験結果のばらつきの範囲内であり、シミュレーションによる予測は実際のサンプルの試験結果と整合している。すなわち、シミュレーションの妥当性が検証された。
図6は、シミュレーションの際にき裂に相当する箇所として削除された要素を白抜きで表しており、熱サイクルの回数の増加に伴って、はんだ32に形成される白抜きの領域が増加していることがわかる。図4は、実際のサンプルの断面であって、導電層30とチップ31との間のはんだ32に、端からき裂33が生じていることがわかる。き裂33は、導電層30側から生じ、チップ31側を進展することが知られており、シミュレーションの結果においても同様の挙動が見られた。
上述した条件では、シミュレーションの結果に妥当性が得られるという結果が得られたが、さらに、シミュレーションの妥当性を検証するために、条件を変更し、実際のサンプルで行った試験結果とシミュレーションの結果とを比較した。
図7に低温サイクルでの結果を示す。シミュレーションで求めたき裂の長さは白抜きで示し、特性Sbは近似曲線を示している。黒抜り四角は、サンプルについて試験をした結果の平均値であり、黒塗り四角の上下に伸びる直線は、ばらつきの範囲を示している。図5と同様に、図7に示す低温サイクルの結果においても、シミュレーションによる予測結果は、実際のサンプルについて行った試験結果のばらつきの範囲内であるという結果が得られた。
さらに、チップ31をシリコンからアルミニウムに代え、はんだ32の厚みを100μmから50μmに変更して、高温サイクルおよび低温サイクルでのシミュレーションおよび試験を行った。この結果を図8に示す。図8において上の特性Saが高温サイクルでの近似曲線を示し、下の特性Sbが低温サイクルでの近似曲線を示す。図8ではシミュレーションの結果と実際のサンプルから得られる結果とがほぼ整合していることがわかる。つまり、接合する材料を変更し、はんだ32の厚みを変更しても、シミュレーションの結果と実測の結果とがほぼ一致していることがわかった。
図5、図7、図8に示す結果によれば、熱サイクルが1000サイクル程度までであれば、シミュレーションによってき裂の長さを3〜4回求めるだけで、実測の結果に整合する近似曲線が得られることがわかった。なお、近似曲線を求めるには、当て嵌めようとする曲線の式に、シミュレーションの結果を適用し、最小二乗法などによって係数を定めればよい。このようにして求めた近似曲線は、実測値に対する誤差が6%以内であり、上述した方法でシミュレーションを行うことにより、少ない処理負荷で(つまり、高い計算効率)で、精度のよい予測が行えた。
現実の電子部品であるチップ抵抗を、はんだにより基板に実装した場合について、はんだ接合部の疲労寿命サイクルを、実測とシミュレーションとにより求めた結果を図9に示す。ここでの疲労寿命サイクルは、はんだ接合部においてチップ抵抗の下面側に形成されるフィレットにおいて発生したき裂が、チップ抵抗の下面と基板の導電層との間のはんだ接合部を進展し、チップ抵抗の下面の角部に達した時点の熱サイクル数と定義する。
チップ抵抗は、3216チップと2550チップとの2種類について評価した。図9に示す2種類のチップ抵抗の疲労寿命サイクルについて、それぞれ左側が実際のチップ抵抗の試験結果であり、右側がシミュレーションの結果である。試験結果を示すバーの上端には、I字状の図形でばらつきの範囲を示している。図9によれば、チップ抵抗の種類にかかわらず、シミュレーションで求めた疲労寿命サイクルは、試験結果のばらつきの範囲内であり、本実施形態で説明したシミュレーションの技術が、現実の部品に関するはんだ接合部への適用が可能であることが確認された。
また、熱サイクルの試験には、2ヶ月程度の期間を要する場合があるが、この程度の試験に代えて本実施形態で説明したシミュレーションを行えば、パーソナルコンピュータ程度の処理能力であっても2〜3時間程度の計算で同程度の結果を得ることができる。すなわち、はんだ接合部の信頼性の評価を行う期間を短縮できる。そのため、電子機器の開発期間の短縮にも大きく貢献することが期待でき、電子機器の品質を維持するための評価を十分に行ってトラブルの未然防止に貢献することも期待できる。さらに、コンピュータでのシミュレーションによって、熱疲労の寿命サイクルを評価できるから、試作回数を削減でき、開発コストの低減にもつながる。
なお、上述した実施形態は本発明の一例であって、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
11 モデル作成部
12 解析部
13 計算部
14 同定部
21 出力装置
22 入力装置

Claims (5)

  1. 対象物の熱疲労による寿命をコンピュータを用いた有限要素法により予測する装置であって、
    前記対象物の現在の損傷に基づいて複数サイクル後の損傷を外挿予測する予測式を用いてき裂の進展過程を予測し、有限要素モデルの要素ごとに損傷が閾値に達すると該当する要素を除去する解析部と、
    前記予測式の初期値に用いる非弾性ヒステリシスエネルギを、前記対象物が塑性シェイクダウンである状態において算出する計算部と、
    熱サイクル試験による実測値から抽出した評価点におけるき裂長さと、前記予測式を用いて得られるき裂長さとの誤差を最小化するように、前記予測式における未知の定数を探索して前記予測式を同定する同定部とを備える
    ことを特徴とする熱疲労寿命予測装置。
  2. 前記同定部は、き裂長さ−熱サイクル曲線から抽出した複数個の評価点のき裂長さを用い、前記予測式を定める前記未知の定数をシンプレックス法により探索する
    請求項1記載の熱疲労寿命予測装置。
  3. 前記計算部は、
    変位関数をフーリエ級数で表し、修正ニュートン法により塑性シェイクダウンの状態における変位関数を求め、当該変位関数を用いて非弾性ヒステリシスエネルギを算出する
    請求項1又は2記載の熱疲労寿命予測装置。
  4. 対象物の熱疲労による寿命をコンピュータを用いた有限要素法により予測する方法であって、
    前記対象物の現在の損傷に基づいて複数サイクル後の損傷を外挿予測する予測式を用いてき裂の進展過程を予測し、有限要素モデルの要素ごとに損傷が閾値に達すると該当する要素を除去する第1の工程と、
    前記予測式の初期値に用いる非弾性ヒステリシスエネルギを、前記対象物が塑性シェイクダウンである状態において算出する第2の工程と、
    熱サイクル試験による実測値から抽出した評価点におけるき裂長さと、前記予測式を用いて得られるき裂長さとの誤差を最小化するように、前記予測式における未知の定数を探索して前記予測式を同定する第3の工程とを備える
    ことを特徴とする熱疲労寿命予測方法。
  5. コンピュータを、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱疲労寿命予測装置として機能させるプログラム。
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